【内閣委員会】コロナ急拡大/医療者/賃下げに直面/国は減収補てんを

 新型コロナウイルス感染急拡大のもとで、医療従事者のボーナス引き下げを放置する政府の姿勢を批判し、「国の責任で医療機関の減収補てんを」と求めました。

 医療機関や高齢者福祉施設でのクラスター増加(資料参照)に伴い、医療機関・医療従事者の負担も増大しています。私は、政府の認識を問いました。

 西村康稔担当大臣は「重症化する患者が増えており、医療機関の負荷が重くなっている」と答えました。

 私は、日本医労連の調査で、医療従事者の冬のボーナスは約43%の組合でマイナスとなっており、下げ幅が最も大きい東京都内の施設では、約35万円減となっている実態を示し「コロナ対応に全力を尽くしている医療従事者の待遇悪化はあってはならないことだ」と追及。

 西村大臣が「医療機関には約3兆円の緊急包括支援交付金を計上している」と答えたのに対し、私は、実際にボーナスカットは行われている。今のやり方では対応できないということだと強調しました。

 問題の根底は病院がぎりぎりの経営を強いられていることだと指摘。3病院団体が行っている病院経営定期調査では、経常利益率が2017年度0.0%、2018年度は0.1%であり、他の産業(製造業は18年度で6.6%、非製造業で5.0%「法人企業統計調査」)と比較しても利益率が低い。医療機関の経営危機は、国が診療報酬で医療機関にぎりぎりの経営を強いてきたためだ、と強調。

 医療従事者の過酷な労働実態と賃下げ等の待遇悪化が離職の契機になり、コロナ対策そのものを後退させることになると指摘し、国民の命と健康がかかった深刻な事態だからこそ、国が責任をもって減収補てんを行えと主張しました。

 西村大臣は「緊急包括支援交付金等を計上している」との答弁を繰り返しました。

 私は、最後に、医療体制が深刻な危機にある今こそGoToトラベルを即時中止し、観光・飲食業への直接支援策を行うよう求めました。

全国のクラスター発生の件数(クリックで拡大)
医療機関と高齢者福祉施設におけるクラスター発生の累計件数(クリックで拡大)

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「議事録」

<第203臨時国会 2020年12月16日 内閣委員会 7号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 きょうは、コロナ対策、特に医療機関への財政支援、そして、GoToトラベル事業について質問をいたします。
 十二月十日の厚労省のアドバイザリーボードにおきましては、新規感染者数は、過去最多の水準が続いており、引き続き最大限の警戒が必要な状況。今般の感染拡大では、新規感染者の規模が大きく、高齢者の絶対数も多くなっている。これに伴い、入院者数、重症者数の増加が続いており、医療提供体制及び公衆衛生体制の負荷が増大をしているということであります。
 そういう中で、医療機関や高齢者福祉施設におけるクラスターが増加をしている、こういう状況にあるのではないかと思いますが、この点について厚生労働省に確認をいたします。
○佐原政府参考人 お答えいたします。
 厚生労働省では、自治体のプレスリリースなどをもとに、同一の場で二名以上の感染者が出たと報道されている事案の件数を集計しております。昨日火曜日時点の累計の件数三千四十四件となっております。このうち、医療機関は四百九十三件、高齢者福祉施設は四百二十六件というふうになっております。
 以上でございます。
○塩川委員 資料をお配りさせていただきました。
 二枚ありますけれども、一枚目が、全国のクラスター発生の件数を月別に取り上げているものであります。第一波の四月の時点で二百二十件、これが、第二波の八月を取り出しますと五百二十三件、そこから余り落ちずに、十一月をとりましても七百六十七件という形で、大きくクラスターが増加をしております。
 二枚目が、高齢者福祉施設そして医療機関におけるクラスター発生の累計の件数ですけれども、こういうふうに区分分けをしてデータをとり始めているのが九月以降ということですので、九月以降の数字になっていますけれども、ごらんいただいてわかりますように、大きく増加をし、さらに今、その頻度が増しているということが、こういうところにも見てもらえると思います。こういう現場の状況がある。
 埼玉医大でコロナ対策を担当しておられる岡秀昭教授は、第三波では家庭内や福祉施設の感染が広まり、重症の高齢者がふえている、そこが第一波、第二波と違うと述べておられます。
 高齢者、基礎疾患のある患者は、軽症で入院しても、中等症、重症へと悪化することがあります。介護施設から入院した患者の場合には、介護職員の行っていた仕事を看護師が行うようになります。一般のコロナ患者に比べて三倍の負荷がかかると言われております。
 高齢者、基礎疾患のある患者がふえる中で、患者の重症化が進み、医療機関、医療従事者の負担が増しているという状況にあると思いますが、西村大臣、このような医療機関、医療従事者の負担が増しているという実態についてどのように受けとめておられますか。
○西村国務大臣 御指摘のように、感染者の数が、新規陽性者の数が非常に高い水準で続いてきております。当然、入院される方、そして重症化される方もおくれて増加されてきますので、そうした中で、今、医療提供体制、医療現場への負荷が、負担が大変重いものになってきているという認識を持っております。幾つかの地域では病床も逼迫をしてきているわけでありまして、医療現場の支援、医療提供体制への支援に全力を挙げているところであります。
 まさに、専門家の皆さんと、そして都道府県知事と、こうした強い危機感を共有しながら対応してきているところであります。
 現場で医療に当たっている医療従事者の皆さん方に、改めて感謝申し上げたいと思います。
 その上で、こうしたことに応えていくために、これまでも、診療報酬の大幅な増額であるとか、あるいは空床確保への単価の引上げであるとか、また、清掃などの業務を民間事業者に委託する、これは看護師さんたちの皆さんの負担を軽減することにつながるわけですけれども、こういったことを補助するなど、医療従事者の負担軽減を行っているところでありますけれども、さらに、厚労省から医師や保健師の派遣、あるいは都道府県から看護師さんの派遣、自衛隊から医療チームの派遣など、医療現場の支援に全力を挙げているところでございます。
○塩川委員 医療現場の負荷が重くなっているというお話であります。
 コロナ対応のフル装備を現場でしますと、長時間作業は耐えがたいものになる。ある病院では、そういったフル装備での作業そのものは十五分以内にとどめたいということでの努力をしているんだけれども、実際には、午前中に入ったらお昼まではそういう作業が続かざるを得なくなるような、そういう大きな負担がある中での仕事に従事しておられるということで、訓練されていない方も、現場、最前線の仕事に従事せざるを得なくなっている、リハビリのスタッフの方にも感染の懸念も広がっている。こういう大きな負担感のある中での仕事をしておられるのが、医療機関の現場の実態だと思います。
 こういった仕事に従事しておられる医療従事者に対して、ボーナスが引き下げられているという問題が出ております。
 ことしの夏のボーナスについても、三病院団体の調査で、四分の一を超える病院が減額支給せざるを得なくなったということでした。
 冬のボーナスに関する日本医労連の調査では、加盟労働組合のうち、昨年実績と比較可能な三百九十六組合のうち、約四三%に当たる百七十組合でマイナスだったということであります。中でも、そのうちの三十三組合は組合員平均で十万円を超える大幅減額を提示されて、下げ幅が最も大きい東京都内の施設では約三十五万円の減となったということです。
 大臣、お尋ねしますけれども、コロナ対応で本当に全力で頑張っておられる医療従事者のボーナスが下がるようなことなど、あってはならないことだと思いますが、大臣はどのように受けとめておられますか。
○西村国務大臣 改めて、医療現場の皆様が本当に感染リスクを抱えながら最前線で対応していただいていること、敬意を表したいというふうに思います。そうした献身的な活動にしっかりと報いていかなければならないというふうに考えております。
 御指摘のように、四病院団体の協議会の調査では、この冬季の賞与について、減額支給を予定している病院が約二三%程度あるという結果が出ているものと承知をしております。
 政府としては、これまで包括支援交付金など約三兆円を医療機関への措置としてきたところでありますけれども、残念ながら、実際に届いているのはまだ〇・八兆円程度というふうに聞いております。都道府県においても、それぞれの議会の手続は終わっていると承知しておりますが、さらに、この執行事務を行う都道府県に対して厚労省から、この迅速化について、早期執行について要請をしているものというふうに聞いております。
 まずは、こういった支援が医療現場の皆様方にしっかりと届くことが大事でありますので、引き続き、私の立場からもお願いをしていきたいというふうに思います。
 また、独立行政法人の福祉医療機構、いわゆるWAMでありますけれども、無利子無担保などの融資の枠を拡充してきております。こうしたものも活用いただければというふうに思いますし、医療機関の皆様にはどういった支援策があるのかというコールセンターを十二月四日から、総合的な相談を受け付けるということで設置をしております。そうした相談を今受け付けているところであります。
 あわせて、今般の総合経済対策におきまして、緊急包括支援交付金の増額を約一・二兆円、三次補正において積み増しをすることとしておりますし、また、医師や看護師などを重点医療機関に派遣する場合の支援額を倍増するという措置も講ずることとしたところであります。
 いずれにしましても、私の立場からも、厚労省そして都道府県と緊密に連携をして、一刻も早く医療機関に支援が届けられるよう支援をしてまいりたいというふうに考えております。
○塩川委員 いろいろな支援を行っている、これからも三次補正などで対応するということなんですけれども、現にこの十二月のボーナスがカットされているんですよ。これに対して、今からでも、穴埋めをする、それができるんだ、そういう支援になっているということですか。
○西村国務大臣 本当に残念、まだ届いていないということで残念なことではあるんですけれども、約三兆円の手当てを、医療機関への措置を計上してきているところでありますので、これが実際に届いているのがまだ〇・八兆円ということでありますから、これをまず届けることが何より大事だというふうに考えております。
 厚労省、都道府県と連携をして、迅速に届けられるように取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○塩川委員 いや、ですから、今のボーナスカットの問題をどうするんですか。現場で働いている皆さんは、何よりももう精神的につらい、加えて、肉体的、身体的にもつらい。その上に、そういう環境の中で奮闘しておりながら、こういった、待遇が悪化をするということはどういうことなんだと。献身的に頑張っておられる医療従事者のそういう思いに逆らうようなことが現場で起こっていることに対して、少なくともボーナスカット分については穴埋めをします、政府の今のこの支援策でできますとはっきり言ってもらえませんか。
○西村国務大臣 繰り返しになりますけれども、医療機関への支援、約三兆円を計上してきております。これを一刻も早く届けることが大事だというふうに考えておりますし、その間の資金繰りについては、先ほど申し上げた無利子無担保の融資の仕組みもあります。そして、相談窓口もつくっておりますので、医療機関からの相談も受けながら、また、厚労省、都道府県と緊密に連携をとりながら、まずは資金を届けて、そして、それぞれの皆さんの処遇の改善につながるように取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○塩川委員 医師、看護師派遣についての支援額を倍増するというのは入れた、これはこれで必要な手だてかもしれません。しかし、そういう形で個別に対策もとるのであれば、ボーナスカット分について穴埋めをします、この例えば包括支援交付金などを使ってそれができますということを現場に伝えるということが何でできないんですか。そういう措置を行う必要があるんじゃないですか。
○西村国務大臣 繰り返しになりますけれども、こうした資金を活用して医療機関への支援を行っていく、そうした中で、当然、現場で本当に献身的に働いておられる皆さん方の処遇改善にもつなげてまいりたいというふうに考えているところであります。
○塩川委員 それではやはり現場のボーナスカットの問題に対応できない。
 北海道の医労連の緊急アンケートでも、こういう精神的な負担を感じるという回答が七三・四%あったということです。冬のボーナスも三十五施設中十六施設で減額で、昨年比では四万六千円下がった。看護師の使命感だけに頼るというのはもう限界だ、医療現場には赤信号がともっていると訴えておられます。
 このように、医療従事者の過酷な労働実態と賃下げなどの待遇悪化というのは、労働意欲を減退をさせ、離職の契機にもなり得る、コロナ対策そのものを後退させることになる。今からでも、こういうボーナスカット分を穴埋めするような支援策を行うべきだ。同時に、なぜ医療機関がこういう、ボーナスカットなどを行うというところは、病院、医療機関経営全体の減収が大変大きいという問題があるわけです。
 二千五百の病院が加盟する国内最大の病院団体である日本病院会の相澤孝夫会長は、コロナ禍以降、全国の状況はボクシングでいえばノックアウト寸前の状態が続いています、コロナ禍以前から病院の経営は極めて厳しかった、一八年度、一九年度、二期連続で赤字となった病院は四分の一を占める、医療機関の倒産はここ十年で最多となった、追い打ちをかけるようにコロナというパンチが飛んできたんですと。
 このように、医療機関の減収補填をしっかり行う、このことこそ必要じゃないですか。大臣、いかがですか。
○西村国務大臣 これまでも御説明申し上げてきていますけれども、約三兆円を包括支援交付金などにおきまして措置をしてきております。そのほかに、診療報酬の特例的な措置ということで、集中治療室におけるその評価、それから、中等症以上の患者における評価五倍などしてきているところであります。
 さらに、先般、三次補正におきまして、小児科等への支援、それから、新型コロナウイルス感染症からの回復患者の転院支援に係る診療報酬上の特例的な対応、こうしたものも含めて、緊急支援交付金を約一兆二千億円の積み増し、これを図ることとしております、閣議決定したところであります。こうしたものも活用していただきながら、厳しい状況にある医療機関の経営をしっかりと支援をしてまいりたい。私の立場からも、厚労省、都道府県と連携して対応してまいりたいというふうに考えております。
○塩川委員 コロナ対応のいろいろな細目についての積み上げ的な費用、これはこれで必要なところはあるでしょう。しかし、今の受診抑制などを含めて医療機関全体が大幅な減収となっているということが、地域医療を支えるそういう医療機関の経営を困難にしていく、医療従事者の皆さんのこういった労働条件を悪化させることになる、これを改めるとしたら、減収そのものにしっかりと補填するということが必要だ。
 そもそも、産業別に見ましても、製造業での経常利益率は大体六・六%、非製造業は五・〇%です。しかし、医療機関の経営というのは、病院経営の定期調査を見ると、三病院団体の調査では、経常利益率、二〇一七年度は〇・〇%、二〇一八年は〇・一%なんですよ。ここに国の制度として診療報酬のように公定価格が定められていて、ぎりぎりの経営が強いられている状況があります。慢性的な経営危機にあるというのが医療機関であって、非営利なので大もうけをすることはないけれども、赤字には少なくともしないという仕組みであるはずだったのではないのか。
 そういったときに、コロナの異常事態ですから、こういう異例の事態に備えて、国が責任を持った財政措置こそ必要であって、減収補填をしっかり行うことが日本の医療体制を支える、コロナ体制に万全を期す、その上で必要なことではありませんか。
○西村国務大臣 繰り返しになりますけれども、これまでも約三兆円の医療機関への支援を措置してきたところであります。
 その上で、診療報酬などでも特例的な対応で、集中治療室については三倍増であるとか、中等症以上の患者さんについて五倍増であるとか、そしてまた、影響を受けている科目として小児科等への支援、さらには転院支援に係るまた特例、こういったものも含めて、今回、約一兆二千億の交付金の積み増しを行うこととしているところであります。
 コロナの影響によって診療体制を弱体化させることなく地域の医療機関が診療を継続していくため、これが重要であります、御指摘のとおりであります。まさに、医療提供体制の確保に万全を期すという観点から、こうした支援をしっかりと実行していきたいというふうに考えております。
○塩川委員 答えておりません。医療従事者をしっかり支える上でも、医療機関は絶対に潰さない、こういうことをしっかりと伝えられるような支援策を行う、そういう減収補填こそ行えということを強く求めておきます。
 こんなときにGoToトラベルをまだ続けるのかという問題であります。
 二十八日から一月十一日まで全国一斉に一時停止ということですけれども、危機的事態の今こそ、今から全国一斉停止すべきではありませんか。
○西村国務大臣 分科会からの提言をいただいております。これは、ステージ3相当の対策が必要となる地域について一時停止を行うということ、あわせて、年末年始、静かな年末年始を過ごすようにというこうした提言をいただいております。
 まず、最初の方の提言を受けて、私ども、大阪市、札幌市、そして今回、名古屋市、東京都について一時停止などの措置を対応したところであります。感染が拡大している地域との行き来を奨励することはないようにということで一時停止しているわけであります。
 その上で、静かな年末年始を過ごすべき、こういう御提言を踏まえて、年末年始の時期はお店も企業も休みになるところが多いですから、接触機会を削減する、これは有効なタイミングであるということで、年末年始について、GoToトラベルについては全国一斉に停止をするという、いわば予防的なことも含めてそうした対応を決めさせていただいたところであります。
○塩川委員 菅総理は、年末年始にかけてこれ以上の感染拡大を食いとめる、医療機関などの負担を軽減するため、最大限の対策を講じるというふうに、医療機関の負担軽減と言っているのであれば、まさに年末年始に深刻な逼迫状況を生み出さないように、今からGoToトラベルを一時停止するというのが行うべき仕事なんじゃないでしょうか。改めて。
○西村国務大臣 医療が逼迫している状況も含めて、この四つの地域について、かなり厳しい状況になっているということでありますので、この四つの地域について、GoToトラベルについては一時停止などの措置を講じているところであります。そしてあわせて、いわゆる時間短縮の要請も、それぞれの地域で、かなり長い期間にわたって、これは本当に飲食店の皆さんには大変厳しい状況になると思いますけれども、そうした皆さんにも支援をしっかりと行いながら、これにぜひ応えていただいて、何とか、もう既にそうした対応はとられていますので、年末に向けて感染拡大を抑制していけるように、全力を挙げて取り組んでいきたいというふうに考えております。
○塩川委員 GoToトラベルは直ちに停止をする、観光業、飲食業への直接の支援策をしっかりと行え、このことを求めて、質問を終わります。

日本共産党の躍進で、野党連合政権の道を確かに/栃木・佐野市で演説会

 栃木県佐野市で演説会。田村智子副委員長が講演。衆院北関東比例予定候補の大内くみ子さん、栃木1区の青木ひろしさん、栃木5区の岡村恵子さん、佐野市議選予定候補二人とともにあいさつ。

 全国でコロナ感染拡大が広がり、栃木県のコロナ病床稼働率も43.8%と、深刻な事態。そんなときに菅政権は、予備費を医療支援に充てず、GoToに注ぎ込む。逆立ち政治を正し、暮らしと営業を守る政治に転換しよう!

 米国いいなり、財界中心という自民党政治の二つの歪みをただす日本共産党の躍進で、野党連合政権の道を確かなものとしよう!

【「しんぶん赤旗」掲載】行政のデジタル化は何をもたらすか/塩川鉄也衆院議員に聞く(5)

「しんぶん赤旗」12月12日付・6面より

特定企業の利益重視

 ▶デジタル庁は強力な権限をもつことが想定されていますが、何が問題になるでしょうか。

 デジタル庁の創設によって、官邸直結の司令塔機能を設置し、さらに財界・特定企業の利益重視へ向かうことが、問題です。

 この間、安倍政権では、個人情報の利活用を進め、個人情報をもうけの種にした「ビッグデータ利活用」を成長戦略に掲げ、行政手続きや業務は「紙からデータへと転換」しオンライン利用の原則化、国や自治体保有の個人情報を民間企業が活用できるようにしました。

 経団連に求められるまま作り上げた官民データ活用推進基本法と相まって、行政サービスを簡素化させて、行政が保有する情報をデジタル化し、ビッグデータを活用できる大企業をもうけさせようとするものです。菅首相がいう「改革」とは、この間、官邸機能強化を最大限に活用した財界・特定企業の要求に応えた「改革」です。

権限・業務…徐々に明らか

デジクル庁の業務
▽国の情報システムを整備・管理し、関係予算は一括計上。システムの統合や一体化を行う
▽地方自治体の行政システムを統一し、全国規模でクラウトに移行
▽マイナンバー制度、カード普及の企画・立案を移管し、カードの発行や管理システム運営をしている地方公共団体情報システム機檎(J-LIS)への関与を強化
▽民間などのデジクル化を支援
▽デーク利活用を推進
▽サイバーセキュリティーの専門チームを設置し内閣サイバーセキュリティーセンクー(NISC)と連携
▽民間企業と行政機関を人材が行き来する体制を構築

 検討中のデジタル庁の権限・業務について、政府はなかなか公表しませんが、報道で徐々に明らかになってきています(表)。デジタル庁は、「強力な司令塔機能を有し、官民を問わず能力の高い人材が集まり、社会全体のデジタル化をリードする強力な組織とする」としています。平井卓也デジタル改革担当相は、デジタル庁の「民間人材の登用」を声高に述べており、デジタル庁設置の作業をしている準備室にも民間から12人採用しています。デジタル庁の体制は、500人のうち100~150人を民間から登用、事務次官級の「デジタル監」も民間から起用する方針も報道されています。

癒着排除必要 政治の転換を

 デジタル庁による国の情報システム統合によって、2025年度までに運用経費などを3割削減すると言っています。しかし、ICT(情報通信技術)化する業務が増えれば、関連予算が増加することは当然のことです。この5年間、情報システム関係予算は増加しています。各省庁のIT・情報システム予算は、今年度から順次内閣官房のIT総合戦略室(IT室)が予算査定から執行段階まで一元的に管理することになっていて、デジタル庁発足前から、すでにIT室が予算配分・執行に直接口出しできるようになっています。

デジタル庁創設に向けたデジタル改革関連法案準備室の職員に訓示を行う菅義偉首相=9月30日(首相官邸ホームページから)

 官民癒着の観点から見ると、現在IT室は、約半数の76人が民間企業の出身の非常勤職員です。政府は私の追及に対し、これらの職員が、出身企業に籍をおいたまま出向し、出身企業から給与補てんされていることについて、否定していません。このような民間企業の社員が、非常勤の国家公務員として、直接、政府のデジタル政策策定に関与し、しかも、予算配分にまで関わるようになっているのです。一部の大企業は「IT特需」にわき、国民には負担がのしかかり続けるということです。

 強力な権限と予算をもつデジタル庁になれば、さらに、官民癒着がいっそう問われることになります。官民癒着を排除し、このような政治を転換する必要があります。(おわり)

【「しんぶん赤旗」掲載】行政のデジタル化は何をもたらすか/塩川鉄也衆院議員に聞く(4)

「しんぶん赤旗」12月11日付・8面より

自治体を鋳型に収め

 ▶菅首相は、システムの統一・標準化を行うと言っていますが、どういうことでしょうか。

 デジタル化による行政サービスのシステムの統一・標準化は、重大な問題です。

 菅首相は、「2025年度末までに自治体の業務システムの統一・標準化を目指す」と述べています。現在、政府は、地方自治体のデジタル化を進めるために、複数の自治体の情報システムを集約し共同利用し標準化する「自治体クラウド」(※↓)の導入を推進しています。

標準化強要しサービス抑制

富山県上市町の事例をあげて行政手続きを原則オンライン化するデジタル手続き法案の問題点をただす塩川議員=2019年4月26日、衆院内閣委

 富山県上市町では、日本共産党町議の「3人目の子どもの国保税免除、65歳以上の重度障害者の医療費窓口負担免除」との提案に対し、町長が「自治体クラウドを採用しており、町独自のシステムのカスタマイズ(仕様変更)はできない」と答弁しています。「自治体クラウド」によって、「システムに行政の仕事内容を合わせる」ことが目的となり、自治体独自のサービスは抑制されているということです。

 システムの統一で情報共有がしやすくするともいっていますが、実際には情報抑制になりかねません。例えば、コロナ感染情報の公表について、内閣官房のIT総合戦略室が統一化を図ろうと、東京都のコロナ情報サイトのシステムを各道府県に押し付けましたが、公開情報が少ない東京がモデルのため、各道府県は別サイトでも情報を公開しています。一方で、「個人保護条例が厳しい自治体があるため、政府のシステムに乗らない」といって、条例の統一化も狙っています。

 このような自治体への統一・標準化の押し付けは、サービス低下を引き起こし、地方自治の多様性をなくし、自治体の自立性を失わせます。これは、「住民の福祉の増進を図ることを基本」とした地方自治体の住民自治・団体自治を侵害するものです。

 また、標準化の問題でいうと、引っ越しや死亡の際、民間を含め、複数の手続き・サービスを一括で実現させるコネクテッド・ワンストップを政府が進めています。しかし、決められたメニューから利用者がサービスを選ぶことになるので、選択肢が減ることになり、一概に利便性が向上するとは言えないのではないでしょうか。

 行政サービスの統一・標準化が引き起こすのは、官邸・デジタル庁がつくった鋳型にぴったりと収まるものでしか、サービスは受けられないということです。結果として、行政サービスは抑制的になりかねず、「自己責任」を押し付けることになります。

国会審議なし強力な支配も

 さらに、行政のデジタル化を急ピッチで進めることも問題です。デジタル庁をはじめとして、政府のデジタル化をどのような機能・権限を構築していくのか、設計の段階が重要です。

 特にデジタル技術は強力な支配をもたらすことが指摘されています。例えば、デジタルコンテンツの違法コピーを防止するには、複製を不可能とするプログラムをメディアに埋め込めばいいとなり、著作権法は実質不要となります。しかし、複製を拒むプログラムは、著作権法上合法な私的複製まで不可能にするということです。結局、国会審議を通じて行われる立法過程を飛ばして、システム設計によって、法的に認められている権利まで制約する、法を超えることを可能にするということです。

 拙速なデジタル庁創設ではなく、国民に開かれた形で、立法府が関与する必要があることは言うまでもありません。

※自治体クラウド=複数の自治体の行政に関するデータを、データセンター内にて管理・運用し、システムを共同利用すること。

(つづく)

【「しんぶん赤旗」掲載】行政のデジタル化は何をもたらすか/塩川鉄也衆院議員に聞く(3)

「しんぶん赤旗」12月10日付・8面より

役所のサービス低下

 ▶行政手続きのデジタル化・オンライン化の問題点は何でしょうか。

 デジタル化・オンライン化のみでは、多様で多面的な国民ニーズに応えられないということが問題です。

利用できぬ人 置いてきぼり

 コロナ禍のもと給付金のデジタル申請をめぐって、さまざまな問題が起きました。政府は、マイナンバーカードの普及が1割程度であることを知っていながら、マイナンバーカードでのオンライン申請を押し付けたことで、国民と自治体に混乱を広げました。特に原則デジタル申請である持続化給付金や家賃支援金、文化芸術支援金は、高齢者や障害者が申請に苦労されている声も届いており、申請・給付に時間がかかるという問題も指摘されています。

 また、災害時ではデジタルよりもアナログ手続きの方が安定的な手段となっています。デジタルの最大の弱点は、電源・電波と水没です。この間の災害時に、電源の確保の問題、情報通信機能のマヒ、自治体のサーバーの水没などが問題となりました。

 デジタル化の大前提はデジタル・デバイド(※↓)の是正です。しかし、政府の対応は、障害者や高齢者などデジタルを使いこなすことが困難な条件や環境にある人、経済的事情でIT機器が利用できない人などへの具体策はありません。サポートセンターなどでデジタルを習熟せよと求めるだけです。これでは、デジタル化できない人には、利便性を感じないどころか、従来の書面申請や、相談しながら申請を行う対面による窓口手続きがなくなっていく。役所はますます遠くなるということです。結果、利便性は後退し、行政サービスが低下する。サービスそのものが届かなくなるのです。

前橋市の「マイタク」をマイナンバーカード活用事例として高く評価する総務省の資料

 実際に、コンビニなどでマイナンバーカード利用による住民票の写しの交付が可能となったことを理由に、窓口が減らされている自治体(東京都北区は区民事務所7分室撤廃、東京都練馬区は17の出張所廃止)も出ています。群馬県前橋市では、移動困難者対策のタクシー運賃助成制度「マイタク」について、2022年度に紙の登録証と利用券を廃止し、マイナンバーカード利用へ完全移行する方針を明らかにしています。マイナンバーカードを所持しない高齢者などの利用者を排除するもので、批判の声が上がっています。

 デジタル化による「行政の効率化」を口実に、行政サービスの入り口がないがしろにされ、個人情報保護は置いてきぼりのまま、オンライン化された行政手続きの利用は自己責任とされ、行政サービスは使える人が使えればいいということになりかねない。このことが、問題です。

対面サービス向上こそ必要

 国には国民の命と暮らしを守る責任があります。「自助」「効率化」といって、その責任を放棄することは許されません。多様で多面的な住民ニーズに応えるには、対面サービスの向上、住民の身近な窓口である自治体業務の拡充こそ求められています。しかし、国、地方の公務員が減らされ続けていることで職務遂行に支障が生じていることも、災害やコロナ禍であらわになっています。

 いま必要なのは、憲法が規定する「全体の奉仕者」としての公務員制度に変革し、その役割を果たすことができる体制にすることです。

※デジタル・デバイド=ICT(情報通信技術)を利用できる人と利用できない人との間に生じる格差

(つづく)

コロナ/医療機関の実状/埼玉協同病院、埼玉県保険医協会と懇談

 埼玉協同病院と埼玉県保険医協会を訪問し、コロナ対応の医療機関の実状と国政要望について懇談。伊藤岳参院議員、梅村さえこ衆院北関東比例予定候補とともに。

 高齢者、要介護者の感染拡大の懸念が広がり、医療現場の負担がとても大きくなっている。感染を止めないとオーバーシュートする。GoTo事業はストップを。

 補助金はあっても、手続きが煩雑で手間がかかる上に、減収を穴埋めするようなものにはならない。廃業する医療機関も増えている。減収補填など経済的支援を行ってほしい。

予備費は医療対策へ/安倍前首相、吉川・西川元農水相の国会招致を/野国連

 野党国対委員長連絡会開く。

①11日の予備費執行は、GoToトラベルに3千億円。厳しく追及する。医療対策に全力を挙げ、GoToトラベルは一時中止を。
②安倍前首相の国会招致、吉川・西川元農水相の国会招致を要求。
③今週、来週に加え、再来週もコロナ対策全般に係る閉会中審査を求める。
④75歳以上の医療費窓口負担2割引き上げについて、コロナ禍の現下の状況では行うべきではない。

【「しんぶん赤旗」掲載】行政のデジタル化は何をもたらすか/塩川鉄也衆院議員に聞く(2)

「しんぶん赤旗」12月9日付・6面より

情報集約/漏えいの危険

 ▶情報が集約されると、プライバシー侵害の不安がぬぐえませんが、どうでしょうか。

 個人データの保護の問題は重大です。

マイナンバーカードの登録で多様な機能が利用可能になると紹介するマイナポータルログィン画面

 マイナンバー制度は、社会保障・税・災害対策の3分野についてのみ共通番号を導入しています。情報漏えいやなりすましの防止のため、個人情報を一元管理せず、年金の情報は年金事務所、地方税の情報は市町村と、分散して管理することになっているのです。それを、マイナンバーカードの認証を利用してマイナポータルで情報をまとめようというのですから、3分野以外にも制度を広げることになります。分散管理による安全性を揺るがし、マイナンバー制度を大本から変えることになります。

本人知らぬ間/不利益使用も

 利便性の高さはセキュリティーレベルの低さと表裏一体であることが、ドコモ口座の不正引き出し事件であらわになりました。マイナンバーカードやマイナポータルも同じことがいえます。さらに、行政機関は「国内最大のデータホルダー(保有者)」です。情報は集積されるほど利用価値が高まり、攻撃されやすくなります。情報漏えいを100%防ぐ完全なシステム構築は不可能で、一度、漏れた情報は流通・売買され、取り返しがつきません。プライバシー侵害の恐れが高まることになるのです。

 また、これらの個人データが捜査機関へ照会されない保証はなく、監視社会へ導く危険もあります。

 現在のIT(情報技術)社会では、国家や企業などに集積された個人データが、本人の知らないところでやりとりされ、プロファイリング(※↓)やスコアリング(格付け)され、本人に不利益な使い方をされる懸念があります。

 昨年、学生就職支援サイト「リクナビ」を運営するリクルートキャリア社が、就活生の閲覧履歴などから採用試験の合否を左右しかねない内定辞退率を勝手に算出し、採用企業に販売していた問題が発覚しました。通販大手のアマゾンではAI(人工知能)を用いた人事採用システムが過去の傾向などから女性の求職者に不利な評価を行うといった差別も発覚しています。ビッグデータやAIを利用して、個人にレッテルを貼り、信用力を点数化してサービスや取引から排除するといったことも行われています。プロファイリングやスコアリングが、個人の人生に大きな影響を与える事態を引き起こしているのです。

個人情報保護/ルール強化を

 だからこそ、個人情報保護のルールを強化する必要があります。しかし、今年の個人情報保護法改定は、個人の権利利益が実質的に守られるものになっていません。政府は、私の質問に対し、リクナビ事件のような事例は起きないと答弁できませんでした。

 日本の法律は、インターネット上に残る個人データの削除・消去、利用停止権(いわゆる「忘れられる権利」)の保障からは程遠く、EUの一般データ保護規則(GDPR)で保障されている「忘れられる権利」や「プロファイリング」に関する規程が明記されていません。

 個人情報の定義は狭く、閲覧履歴など端末情報も保護されておらず、利用目的が公表されていれば本人に自覚がなくても同意したとみなされます。

 個人情報は、「個人の人格尊重の理念の下に慎重に取り扱われるべきもの」であり、プライバシーを守る権利は、憲法が保障する基本的人権です。どんな自己情報が集められているかを知り、不当に使われないよう関与する権利、自己情報コントロール権、情報の自己決定権を保障することが、いまこそ必要です。

※プロファイリング=ICT(情報通信技術)などで集約した個人情報を人工知能(AI)などで自動的に分析して人物像を推定し、評価・差別・選別する手法のこと。

(つづく)

【「しんぶん赤旗」掲載】行政のデジタル化は何をもたらすか/塩川鉄也衆院議員に聞く(1)

「しんぶん赤旗」12月8日付・8面より

自助優先の社会保障

 菅義偉政権が推進しているデジタル庁の創設など行政のデジタル化が何をもたらすのか、日本共産党の塩川鉄也衆院議員に聞きました。

 ▶菅首相は「デジタル庁」の新設を目玉政策としていますが、何をしようとしているのでしょうか。

 デジタル庁の創設について、菅首相は、規制改革の断行の「突破口」だと述べています。菅政権の基本方針は、「われわれの目指す社会像は『自助・共助・公助、そして絆』」であり、「行政の縦割りや前例主義を打破して、既得権益にとらわれずに規制の改革を全力で進める」としています。デジタル庁の創設によって、▽国、自治体のシステムの統一・標準化▽マイナンバーカードの普及促進を進め、各種給付の迅速化やスマホによる行政手続きのオンライン化▽民間等のデジタル化支援とともに、オンライン診療やデジタル教育などの規制緩和―などを行うとしています。年内に基本方針を定め、次の通常国会に必要な法案を提出し、IT(情報技術)基本法の抜本改正や来秋のデジタル庁設置を目指しています。

個人データの国家管理進む

 さらに、菅政権は、「データ戦略」を策定し、看板政策に位置付けようとしています。デジタル化によって生み出された個人や産業の巨大なデータ(ビッグデータ)が「競争力の源泉である」として、成長戦略とするものです。「国内最大のデータホルダー(保有者)である行政機関は最大のプレイヤー」だとして、行政のデジタル化によって個人データの利活用を推し進めようとしているのです。この路線は、安倍政権から引き継がれたものです。

 ▶行政のデジタル化、「デジタル・ガバメント(電子政府)」の問題点は何でしょうか。

委員会質疑で個人情報保護法の改定が個人の権利・利益を守るものになっていないと批判する塩川鉄也議員=5月27日、衆院内閣委

 この間、国会論戦を行ってきて、デジタル・ガバメントにはいくつか問題点があると考えています。一つは、デジタル化によって個人データの管理を進め、マイナンバー制度で社会保障支出をさらに抑制しようという狙いがあるという点です。

 政府は、あらゆる分野でマイナンバーカードの公的個人認証やマイナポータルを利用することを目指しています。学校や職場等の健診結果を含む医療・介護の個人データ、国税還付・年金給付・各種給付金・緊急小口資金・被災者生活再建支援金・各種奨学金等の公金、障害者手帳や在留カード、各種免許・国家資格、学校教育における学習データなどを対象にしています。

 マイナンバーカードは、全国民が2022年度末までに取得することを目標とし、来年3月から健康保険証としての利用を開始、運転免許証との一体化も計画しています。任意であるマイナンバーカード取得を、実質的に強制とする危険があります。この結果、国民の所得や資産、さらに医療、教育など、個人を丸ごとスキャン(読み取り)した膨大なデータが政府に集中することになり、国家による個人データの管理が進むことになります。

最大の狙いは給付抑制徹底

 もともと財界の要求であった「共通番号」制度の導入は、各人が納めた税・保険料の額と、社会保障の給付額を比較できるようにして、「公正な給付と負担」の名で徹底した給付抑制を実行し、国の財政負担、大企業の税・保険料負担を削減していくことが最大の狙いです。マイナンバー制度は、社会保障を、納めた税・保険料に相当する“対価”を受けとるだけの仕組みに変質させ、「自助」が優先され「自己責任」に後退させるものです。国民の権利としての社会保障を守るため、廃止するしかありません。

コロナ、「桜」・・・会期延長で徹底審議を/埼玉・熊谷駅前で街頭演説

 熊谷駅前で日本共産党街頭演説会。小山しんや埼玉11区予定候補、梅村さえこ衆院北関東比例予定候補と訴え。

 コロナ問題でただちに対策を!「桜」をめぐる安倍前首相の虚偽答弁問題、吉川元農水大臣の政策買収疑惑、学術会議任命拒否問題など国会で徹底審議すべき。会期延長を拒否するなどとんでもない!

 大阪地裁の大飯原発設置許可取り消しの判決は、地震列島、火山列島の日本で原発はムリということを示した。野党連合政権で、石炭火力発電ゼロ、再エネと省エネ推進で、気候危機打開、原発ゼロの日本を実現しよう!

 

国会閉会で伊藤岳参院議員と街頭演説/埼玉・浦和駅前

 事実上の国会閉会日。浦和駅前で国会報告の街頭演説会。伊藤岳参院議員と訴えました。

 コロナ感染拡大の防止に全力を挙げるときに、人の移動を拡大するGoToトラベルを延長するのは、逆行した政治。検査体制、医療提供体制の抜本的強化、事業者への経営支援で、命と暮らし、営業を守ろう!

【議院運営委員会】コロナ、「桜」、政治とカネ/会期延長で徹底審議を

 立憲民主党、日本共産党、国民民主党、社会民主党の野党4党が、今国会の会期を12月28日まで延長する申し入れを行いました。

 議院運営委員会で、会期延長の申し入れについて採決が行われ、与党と維新の反対多数で否決。採決に先立ち、会期延長に賛成の発言を行いました。

会期延長に賛成の発言は、以下の通りです


 私は、日本共産党を代表して、第203回臨時国会の会期を12月28日まで、23日間延長する動議に賛成の意見を述べます。

 会期延長を求める第一の理由は、深刻な広がりを見せる新型コロナウイルス感染症対策に、国会として全力を挙げるためです。

 医療提供体制が崩壊の危機に瀕しているのに、菅政権は無為無策。その一方で人の移動を拡大するGoToトラベル事業には固執しています。菅政権の失政は明らかです。

 いま行うべきは、GoToトラベルの一時停止、検査体制、保健所体制の抜本的強化、医療機関への減収補てん、医療従事者への支援策の拡充、飲食業・観光業を始めとした事業者へのきめ細かな支援策など、命と暮らし、営業を守るために全力を挙げることです。必要な対策をただちに行えと政府に求めることこそ、国会の責務です。

 第二に、安倍前総理が主催した「桜を見る会」の前夜祭をめぐって、安倍氏秘書が五年間に九一六万円を補てんしたとして、公選法、政治資金規正法違反が問われています。東京地検特捜部は、安倍前総理に事情聴取を要請したとされています。安倍前総理は、国会において「事務所は関与していない、明細書はない、差額補てんしていない」という答弁を一年間で三十三回も繰り返してきましたが、虚偽答弁だったのではないか。安倍前総理は国会で説明すべきです。嘘をつけば偽証罪に問われる証人喚問への出席を求めたい。同様の答弁を6回も繰り返した菅総理の責任も明らかにしなければなりません。

 第三に、自民党の吉川貴盛議員の政策買収疑惑の究明です。吉川議員が農水大臣在任時に、大手鶏卵生産業者から複数回、現金提供を受け、日本の鶏の飼育環境に批判的な国際基準案への反対意見の表明や鶏卵価格下落時の補助金支給事業の拡充など、事業者の要望に沿った措置を行っていたことが問われています。秋元事件、河井事件、そして吉川疑惑と続く政権与党の「政治とカネ」の徹底解明を行うべきです。政権中枢にいた菅総理の責任も免れません。

 最後に、菅総理による日本学術会議への人事介入問題です。説明なしの任命拒否は、学術会議の独立性を否定し、学問の自由を侵害し、言論・表現の自由を侵すものです。国の機関からの切り離しを要請するといった論点そらしは通じません。その上、政府が学術会議に民生技術の軍事転用の検討を求めたことは、学問の戦争利用を許さないという学術会議の原点を踏みにじるものです。任命拒否は撤回し、6人をただちに任命することを求めます。

 以上、23日間の会期延長を求め、意見表明を終わります。

コロナ特措法改正案を提出/野党共同提案

 野党共同提案で、コロナ特措法改正案を提出。

 コロナ感染拡大の下、政府がまともな対策を取らない中、喫緊の課題について立法化するもの。

 最前線でコロナ対策に取り組む知事会の要望を踏まえ、補償的経済支援、検査体制の強化などを図るものです。感染症対策の実効ある措置として、罰則強化ではなく、生活営業支援を行うものとなっています。


新型インフル特措法改正案など4野党が共同提出

「しんぶん赤旗」12月3日付・2面より

 立憲民主党、日本共産党、国民民主党、社民党の野党4党は2日、「新型インフルエンザ特措法等改正案」など2法案を衆院に共同で提出しました。

 新型インフル特措法等改正案は全国知事会の要請も踏まえ、
(1)休業要請と補償をセットで行う国負担による給付金支給を規定
(2)行政検査以外も含めて検査体制を整え、国が財政支援することを明記
(3)軽症者・無症状者の待機場所の確保と、そのための国の財政支援
  ――の三つの柱を盛り込んでいます。

 提出後の記者会見で立憲民主党の今井雅人衆院議員は「政府も改正は必要だと認識しながら、“コロナが終わってから”などと対応が後手に回っている」と批判し、「国会を延長して審議し、成立させたい」と主張。日本共産党の塩川鉄也衆院議員も「政府が無策なもとで、喫緊の課題についての立法化は意義がある」「罰則の強化ではなく、生活と営業をしっかり支援する取り組みが重要だ。その方向での改正案だ」と述べました。

埼玉県民大運動実行委員会の院内集会で国会報告

 埼玉県民大運動実行委員会の院内集会。伊藤岳参院議員と国会報告。

 コロナ問題の追及、桜を見る会の究明、学術会議任命拒否の撤回など、野国連で国会会期の延長要求を確認したことを紹介。

 参加者のみなさんから署名を受けとりました。

コロナ、「桜」・・・/会期延長を/野国連

 野党国対委員長連絡会開く。

 臨時国会の会期末が12月5日と迫る中、会期延長を求めることを確認しました。何よりもコロナ感染症が拡大しているときに、人の移動を促すGoTo事業を進めていることや危機的な医療機関への支援策が不十分であることなど、政府の対応をただすことが必要。国会を閉じるべきではない。

 また、桜を見る会前夜祭の究明のために、安倍前首相の国会招致で一致しました。

 明日、野党書記局長・幹事長会談を開き、会期延長幅などについて協議する予定です。