入管法改正案の強行採決/政府与党に断固抗議

 法務委員会、そして衆院本会議で、入管法改正案の強行採決をおこなった政府与党に断固抗議します。

●第一に問われなければならないのは、入管法改正案の審議に当たって、政府資料のねつ造や大臣の虚偽答弁を不問に付したまま、強行採決を行ったことです。

 入管法改正案において、新たな在留資格の特定技能1号は、多くの技能実習生が移行する制度となっており、だからこそ26万人の技能実習生の労働実態把握は法案審議の大前提です。失踪技能実習生の聴取票はその実態に迫る貴重な資料です。しかし法務省は、その国会提出を拒否し、聴取票とりまとめだけでごまかそうとしました。聴取票そのものには「低賃金」「契約賃金以下」「最低賃金以下」となっているのに、聴取票取りまとめでは「より高い賃金を求めて」と、あたかも技能実習生が身勝手に逃げ出したかのように描き、また実習先の暴力の件数も小さく見せることで、深刻な労働条件と人権侵害を覆い隠そうとしたのです。そのようなねつ造されたデータに基づき、歴代法務大臣が虚偽答弁を繰り返したことは極めて重大です。

●先の通常国会で起こったことは何か。政府によるデータ改ざん、虚偽答弁が大問題となったではありませんか。今国会でも同じ過ちを重ねることは許しがたい。

 大島理森議長は通常国会を振り返って「所感」を出しました。「国権の最高機関であり、国の唯一の立法機関」である国会は、「法律を制定するとともに、行政執行全般を監視する責務と権限を有している。これらの権限を適切に行使し、国民の負託に応えるためには、行政から正しい情報が適時適切に提供されることが大前提になっている」。しかし「厚生労働省による裁量労働制に関する不適切なデータの提示」など「法律の制定や行政監視における立法府の判断を誤らせるおそれがあるものであり、立法府・行政府相互の緊張関係の上に成り立っている議院内閣制の基本的な前提を揺るがすものである」という指摘は、きわめて重いものがあります。

●通常国会での裁量労働制のデータねつ造も今回の技能実習生のデータねつ造も、いずれもその出発点には、安い労働力を確保したいという財界の要求があります。労働者の労働条件と権利の侵害をもたらす悪法を推進する政府与党の姿勢は認められません。

●第二に問われなければならないのは、政府与党は野党の慎重審議を求める声に耳を傾けず、安倍総理の外遊日程に合わせた採決日程を強行したことです。

 入管法改正案については、議運理事会で重要広範議案と確認したにもかかわらず、法務委員会では連合審査も行わない、地方公聴会もおこなわない、総理出席質疑さえ行わず、その上定例日外の審議強行まで行って、国民が求める慎重審議を踏みにじり、採決を急いだのです。質疑時間は17時間余り、いわゆる空回しを除けば、15時間にも満たないものでした。このような拙速な審議、採決強行の上、緊急上程をして、本会議で採決を行うものでした。なぜ急ぐのか。結局、安倍総理の外遊日程を優先し、総理の都合に合わせて国会審議を進めようとしているからではありませんか。この間、モリカケ問題など安倍総理の国政私物化が大問題となりましたが、国会日程までも総理の都合に合わせる最悪の国政私物化だと言わなければなりません。

 入管法審議は、参議院に移りますが、徹底審議で廃案に追い込んでいきたい。

認可外幼稚園も無償化を/来年予定の幼児教育無償化措置/政府に要請

 国が来年10月から実施を予定している幼児教育無償化措置について、幼稚園類似施設(認可外幼稚園)も対象とするよう、保護者や施設関係者とともに内閣府、文科省に要請しました。

 地域に貢献してきた施設の存続が危ぶまれています。幼稚園類似施設の果たしてきた役割について、国の担当者も「大切なものだと思う」と認めていますが「閣議決定で、3歳から5歳までの幼稚園、保育所、認定こども園の無償化とそれ以外については、保育の必要性があると認定された子どもを対象として無償化するとしている」と述べるだけ。

 まだ決まった話ではありません。年末の予算編成、来年の法案提出などはこれからです。自治体にも働きかけ、幼稚園類似施設の果たしてきた役割を広く伝えながら、無償化措置の対象となるよう取り組んでいきたい。

埼玉・春日部市で演説会/国保のエキスパート、秋山県議の再選必ず

 春日部市で日本共産党演説会。来年の埼玉県議選で再選をめざす秋山文和県議と訴え。

 国保のエキスパートの秋山県議。国保の広域化によって、県の役割が大きくなっている時だからこそ、秋山県議の議席は絶対に必要です。なんとしても押し上げてください!

 裁量労働制でデータねつ造しただけでなく、技能実習生の実態調査でもデータねつ造。根っこは一緒。安い労働力の拡大を狙う財界要求に応えるもの。安心して働ける労働環境こそ、全ての労働者の要求。団結してたたかおう!


埼玉・春日部/塩川議員

「しんぶん赤旗」11月27日付・首都圏版より

 日本共産党埼玉県議団は24日、埼玉県春日部市で県政報告会を開き、塩川鉄也衆院議員と秋山文和県議が国政や県政について報告しました。

 塩川氏は、秋山氏について、市民にとって切実な国民健康保険の問題を堂々と問える県議だと紹介しました。

 技能実習生へのアンケート調査でデータのねつ造が行われていたと報告。「働く人の権
利を損なうような政治に審判を下していくときだ」と強調しました。

 秋山氏は、NICU(新生児集中治療室)の設置など医療体制の強化が行われた春日部市立医療センターを、地域周産期母子医療センターに認定して地域完結型の子育ての拠点にと呼びかけ。「原発再稼働を求める意見書など、ありえない提案をする自民党を減らしていく必要がある」と訴えました。

 報告会に参加した実家が春日部市にあるという女性(63)=東京都文京区=は、「それぞれが論理的に、これからのことを話していて信ぴょう性がある」と話しました。

埼玉・所沢/オスプレイは市街地上空を飛ぶな!/集会で講演

 基地周辺の安全を考えるつどい実行委員会(所沢・入間・狭山・日高・飯能)主催の「オスプレイは市街地上空を飛ぶな!所沢集会」で講演。

 19年前の入間基地所属の自衛隊機墜落事故後、毎年開催している集会です。米軍横田基地や自衛隊入間基地を始め、首都圏の人口密集地域に航空基地が集中している危険性を指摘しました。

 横田基地の機能が大きく変貌し、オスプレイなど特殊作戦部隊の危険な訓練飛行が市街地上空で繰り返されること、入間基地もC2大型輸送機配備や自衛隊病院の建設によって、輸送と衛生(軍事医療)の兵たん拠点として強化されていることを告発。

 日米軍事一体化の実態を多くの市民に伝えていくとともに、安倍9条改憲阻止の世論と運動を広げようと呼びかけました。


オスプレイは飛ぶな/埼玉・所沢/5市平和委が市民集会

「しんぶん赤旗」11月24日付・首都圏版より

 埼玉県の所沢、入間、狭山、日高、飯能の各市平和委員会で構成する「基地周辺の安全を考える集い実行委員会」は23日、所沢市で「オスプレイは市街地上空を飛ぶな! 所沢集会」を開きました。

 日本共産党の塩川鉄也衆院議員や柳下礼子埼玉県議、西南地区の議員など95人が参加しました。

 塩川氏は、災害対処拠点や自衛隊病院の建設で、航空自衛隊入間基地(埼玉県入間市・狭山市)が海外の戦闘地域と直結した輸送と衛生の兵たん拠点に変貌すると指摘。「基地周辺の安全を考え、戦場でたたかうための訓練を行うなど大きく変貌した自衛隊のあり方を、多くの市民に訴えていこう」と呼びかけました。

 日本平和委貝会の紙谷敏弘調査研究委員は、オスプレイの整備工場がある千葉県木更津市でのたたかいを語り、「首都圏のたたかいとして、みんなで共同してつくっていくことが大事だ」と訴えました。

 集会では各地からの報告も行われ、平井明美所沢市議はオスプレイが7月2日に離着陸訓練を行ったことにもふれて、「米軍所沢通信基地が離着陸の訓練場に変わっているのではないか」と指摘しました。

【内閣委員会】サイバーセキュリティ基本法改正案/安全保障と密接/民間分野まで

 サイバーセキュリティ基本法の一部を改正する法律案の質疑。質疑後採決が行われ、賛成多数で可決されました。共産党は反対しました。

 法案は内閣官房のもとに官民が参加する協議会を設置し、構成員にサイバーセキュリティに関する情報の提供義務を課すものです。協議会の事務局は内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)が担います。

 協議会で構成員に情報提供義務を課す主体は、NISCである。提供義務がかかる情報の定義はどうやって定めるのか――と質問。

 内閣官房は「規約で定める。原案はNISCが作る」と答えました。

 政府は官民で情報共有するための協議会だと言うが、NISCが構成員に情報提供義務を課して提出させる組織だ。NISCのトップである内閣サイバーセキュリティセンター長に、国家安全保障局次長でもある内閣副長官補(事態対処・危機管理担当)が着いている理由を追及。

 櫻田義孝大臣(サイバーセキュリティ戦略本部担当)は「サイバーセキュリティは安全保障と密接な関係があるため」と答えました。

 日本の国家安全保障戦略が「米国とのサイバー防衛協力の推進」を掲げているもとで、日本のサイバーセキュリティ分野が米国のサイバー軍事戦略に組み込まれる懸念がある。

 櫻田大臣は「安全保障は私の分野ではない」と答弁を避けました。

 また、NISCの実員数191人のうち民間出身の非常勤の職員が53人いる。非常勤職員の給与額について質問。

 内閣官房は「日当で1万円程度」と答えました

 出身元企業から給与補てんを受けつつ非常勤職員として働くことは可能かと質問。

 内閣官房は「可能だ」と認めました。

 非常勤職員が企画立案など専門性の高い業務を行っているにもかかわらず日給1万円ほどで働いている。低い賃金を民間企業が補てんしていることがうかがわれる。官民人事交流法では出身元企業からの給与補てんが禁止されているにも関わらず、非常勤であればそれが許される。抜け道だ。官民癒着の疑念は払しょくできない。

 櫻田大臣は「制度として認められていることだ」と答えました。

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「議事録」
【質疑】

<第197通常国会 2018年11月22日 内閣委員会 6号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 サイバーセキュリティ基本法改正案について質問をいたします。
 幾つか事務方の方にお伺いしますけれども、サイバーセキュリティ協議会を創設するというのが今回の法案なんですが、このサイバーセキュリティ協議会を組織するのは誰か、この点について教えてください。

○山内政府参考人 お答えいたします。
 協議会は、サイバーセキュリティ本部長及び本部長が委嘱する国務大臣が組織するものとしております。

○塩川委員 本部長等が組織するということですが、このサイバーセキュリティ戦略本部長は官房長官です。
 協議会の庶務は誰が担うのか。事務局はどこか。

○山内政府参考人 お答え申し上げます。
 協議会の事務局は、私ども内閣サイバーセキュリティセンター、そして、法文の中で、技術的な内容を今回この情報共有の中で求めますので、これを委託する法人というものを考えてございます。この二つが事務局を担うことになります。

○塩川委員 委託の法人がありますけれども、事務局は内閣サイバーセキュリティセンターということで、センター長は内閣官房副長官補の事態対処・危機管理担当ということです。
 協議会の構成員について、想定される対象機関を例示してください。この第十七条第二項の各号に対応してポイントの説明をお願いします。

○山内政府参考人 お答え申し上げます。
 まず、国の関係行政機関でございますので、これはいわゆる中央の政府機関。地方公共団体でございますので、都道府県及び市町村。それから重要インフラ事業者、これはサイバーセキュリティ戦略本部で指定をしております十四分野、例えば電気通信、金融、電力といった、こういうサービスを担う事業者。それからサイバー関連事業者、これはいわゆる情報通信それからセキュリティーのサービスを担当している会社、例えば電機メーカー、それからセキュリティーのサービスを行っている会社。教育研究機関、例えば大学でございます。

○塩川委員 広い機関が構成員になる。そこに、国の行政機関等もありますけれども、自治体やまた民間事業者、大学等の研究教育機関も入っているということです。
 情報提供義務を課す機微な情報というのはどういうものでしょうか。情報提供義務を課すその主体というのはどこになるんでしょうか。

○山内政府参考人 お答え申し上げます。
 まず、守秘義務に関しましては、構成員の中にかかる形でございますが、恐らくこの後の実際の規定の中で決めることになりますが、秘密を持っている、例えば企業の中のまだ公表に至らない情報を持っている、こういう会社、構成員の中のその方々ということになろうかと思います。

○塩川委員 情報提供義務を課す機微な情報というのはどういうものか。

○山内政府参考人 大変失礼いたしました。
 お答え申し上げます。
 情報提供義務、すなわち、対策に資する情報、それから攻撃に関する情報といったものを提供される方々ということになりますので、この構成員の中でそのような情報をお持ちの方ということになります。

○塩川委員 こういった情報提供義務を課すのは誰なのか。情報提供義務を課すのは誰。

○山内政府参考人 お答え申し上げます。
 情報提供義務、今回、法律によって課す形でございます、法律が課すという形でございますので、当然、協議会が構成員に対して課すという形になります。

○塩川委員 協議会が情報提供義務を課していると。
 その協議会の事務局はNISCということでよろしいですね。

○山内政府参考人 そのとおりでございます。

○塩川委員 広範囲の官民の機関が構成員となるわけですが、この協議会というのは会議とかを開くんですか。

○山内政府参考人 お答え申し上げます。
 今後、実際に規定をある程度決めていくことになろうかと思います。協議会の中の会合はございますが、実際に目的とする情報共有に関しましては、恐らく情報のシステムの中で、迅速に共有をする必要がございますので、このシステムの中で共有をする形というのを考えてございます。
 したがいまして、実際の構成員が集まる会合というものを頻度高く行うという形にはならないかというふうに思ってございます。

○塩川委員 構成員が集まるような会合ということにはならない、バーチャルな格好で、この情報共有はシステムの中で行うという説明であったわけです。ですから、協議会といっても、何かこう一堂に会するような、そういう場ではないということになります。
 ですから、サイバーセキュリティ協議会は会議体ではありません。事務局である内閣サイバーセキュリティセンター、NISCが、構成員の官民の機関に対して、サイバーセキュリティーに関する施策の推進に関し必要な資料について情報提供義務を課して提出させる、そういう組織になるわけです。
 その場合の情報提供について、例えば大学などの研究教育機関の研究や技術というのも情報提供義務を課す対象とはなり得るんでしょうか。

○山内政府参考人 お答え申し上げます。
 今回の法文上ですと、提供義務というのを課してございますが、特段の定めがない場合ということになってございます。例えば、今先生御指摘の大学の場合ですと、大学の自治等、ほかの法律に基づくもの等がございますので、これに抵触をしない範囲ということになろうかと存じます。

○塩川委員 抵触をしない範囲というのがどこで線を引かれるのかわからない。構成員として協議会の中に入ればこの情報提供義務は課されるわけですから、その場合に、法文上にも「正当な理由がある場合を除き、」という、その辺の仕切りは誰がどういうふうに決めるんですか。

○山内政府参考人 お答え申し上げます。
 今後、規定の中で具体的にどのような形になるかということは整理をさせていただきたいと存じますが、特に今の大学のお話に関しましては、先生が御指摘の大学の自治等がございますので、一定の配慮が必要かというふうに思ってございます。

○塩川委員 まあ、一定の配慮という言い方はしますけれども、規定で決める。その規定は誰がつくるんでしょうか。

○山内政府参考人 お答え申し上げます。
 協議会の事務局を務めます私ども内閣サイバーセキュリティセンターが原案をつくりまして、この協議会の構成員に諮る形になろうかと思います。

○塩川委員 NISCがたたき台をつくる、事務方で行っていくということになります。
 同じように、民間に対しても必要な資料の提供を求めるということになるわけですね。

○山内政府参考人 お答え申し上げます。
 協議会の構成員になる方に関しましては、ひとしくこの情報の提供義務を課すという形になろうかと思います。

○塩川委員 この情報提供を求めることに対して応じなければならないという規定になっているわけです。主要国と比べても、情報提供を求める対象が広いというのが特徴だと思います。
 大臣にお尋ねいたします。
 内閣サイバーセキュリティセンター長は、内閣官房副長官補、事態対処・危機管理担当であります。この事態対処・危機管理担当の内閣官房副長官補は、国家安全保障局次長を務めております。内閣官房副長官補、事態対処・危機管理担当が内閣サイバーセキュリティセンター長と国家安全保障局次長を兼ねている、その理由は何ですか。

○櫻田国務大臣 お答えさせていただきます。
 政令に基づいて、内閣サイバーセキュリティセンター長は内閣官房副長官補の中から指名されることになっております。また、サイバーセキュリティーに関する業務は事態対処担当や国家安全保障局の業務ともそれぞれ関連があることが、センター長が兼ねている理由であると認識しております。

○塩川委員 国家安全保障と危機管理、サイバーセキュリティーと危機管理、これが密接にかかわるものだということでよろしいですか。

○櫻田国務大臣 そのとおりでございます。

○塩川委員 内閣サイバーセキュリティセンターと国家安全保障局が同一のトップのもとで、緊密に連携して業務を行っているということであります。
 NISCの常勤スタッフは府省庁の出身者で構成されておりますけれども、一番多いのが防衛省であり、副長官補、この事態対処・危機管理担当の方も防衛省出身の方であります。
 国家安全保障局が事務局となっている国家安全保障会議で策定した国家安全保障戦略には、アメリカとのサイバー防衛協力の推進がうたわれております。二〇一五年四月の新日米ガイドラインには、サイバー空間に関する協力という項目が初めて設けられました。
 このアメリカの軍事戦略に組み込まれることになるのではないのかと考えますが、大臣、いかがですか。

○櫻田国務大臣 安全保障の問題は、別の所管で伺っていただければありがたいと思います。

○塩川委員 国家安全保障、サイバーセキュリティーと危機管理は密接にかかわるということをお認めになったわけですから、そういう、アメリカとの関係がどうなるのかというのは不可分な話であって、人任せの話じゃないと思うんですが、改めて。

○櫻田国務大臣 そういう意味では、そのとおりでございます。

○塩川委員 だから、答えてもらえればと思うんですけれども。
 アメリカの軍事戦略に組み込まれることになりはしないのか。サイバーセキュリティーの話で聞いているわけですから、大臣。

○櫻田国務大臣 軍事情勢と無関係だとは言えないと思いますし、多少かかわり合いが、多少ではなく、かかわり合いは持っていると思います。

○塩川委員 ですから、アメリカの場合は、サイバー攻撃による大規模な被害が差し迫っている場合にはサイバー空間で先制攻撃を行う、そういう可能性についても言及をしているわけです。
 協議会を通じて、日本の官民の機関がアメリカのサイバー戦略に組み込まれる懸念もあるわけですけれども、それはどうですか。

○櫻田国務大臣 この辺の分野になると、私の分野ではないと考えております。

○塩川委員 サイバーセキュリティーについてお聞きしているので、別に安全保障そのものの話をしているわけではない。サイバーセキュリティーのこの問題が、こういうアメリカの軍事戦略に組み込まれることになりはしないのかということをお聞きしているんですから、もう一回。

○櫻田国務大臣 やはり質問の内容からいって、安全保障にかかわるものだと私は思っておりますので、発言は控えさせていただきます。

○山内政府参考人 お答え申し上げます。
 大臣の発言のちょっと補足をさせていただきたいと思います。
 サイバーセキュリティ基本法の中で、まず、サイバーセキュリティーに関して、安全保障と密接に関連をしているというのは、先生の御指摘のとおりでございます。
 他方、協議会の中で扱う、共有される情報につきましては、これも先生の御指摘のとおりでございますが、情報の提供義務があるのは確かでございます。特段の差しさわりがある場合を除いてということは当然ございますし、安全保障があるからといって、その企業にそういう情報の提供を義務づけるというものではございません。ここは当然、一定の仕切り、整理を設けて、協議会の中で民間の企業の方々にも安心をして出していただくという構造にしたいというふうに思ってございます。そのような規定も設けたいというふうに思ってございます。

○塩川委員 情報提供義務を課すというところがあるんですから、その規定の中身というのも事務局の方でつくるわけで、その主導をするNISCのトップの事務方というのが、国家安全保障局の次長という形で両方のトップを兼ねているわけですから、これは不可分、リンクをしているでしょうというときに、このサイバーセキュリティーが国家安全保障戦略と不可分で、その先にあるのが日米の軍事協力の話ですから、その点で聞いているんですけれども、お答えがありませんでした。
 こういった日本の官民の機関が、アメリカのサイバー戦略、先制攻撃を含むようなそういうものに組み込まれる懸念というのは拭えないということを申し上げなければなりません。
 もう一つ、NISCの構成についてお尋ねをいたします。
 NISCにおける実員数、常勤、非常勤の区分、それから、そのうちの民間出身者の数、常勤と非常勤を分けて、何人かお答えください。

○山内政府参考人 お答え申し上げます。
 私ども内閣サイバーセキュリティセンター、実員数、まず、全員で百九十一名でございます。公務員の出身者が、現役で公務員の者が九十三名、それから、民間企業からの出身の者が六十四名でございます。

○塩川委員 ちょっとお答えになっていないんですが、実員数百九十一人で、内訳でいうと、常勤が百九人で、非常勤は八十二人です。非常勤の方も非常に多いということと、民間出身者の方の数、六十四人と言いました。この六十四人の内訳は、常勤、非常勤の区分でわかりますか。

○山内政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほど申し上げました六十四人の中の内訳、常勤が十一名、非常勤が差し引きました五十三名でございます。

○塩川委員 ですから、民間の方のほとんどが非常勤の方であります。
 それで、民間出身者の役職別の内訳と人数を、常勤、非常勤というのも加えて説明してもらえますか。

○山内政府参考人 お答え申し上げます。
 六十四人のうちの五十三名の非常勤。政策調査員という方々がまず四十九名、それから、サイバーセキュリティ補佐官が一名、行政実務研修員が三名、これが五十三名の内訳になります。
 サイバーセキュリティ監査官六名、上席サイバーセキュリティ分析官三名、主査二名、計十一名が常勤の職員でございます。

○塩川委員 非常勤の方が非常に多い。その中でも、政策調査員という方が四十九人を占める。ですから、NISC全体の四分の一以上の人が非常勤の民間の政策調査員という方であります。
 民間出身者の大半が非常勤職員の政策調査員ですが、この政策調査員の方の勤務条件というのはどうなっているんでしょうか。応募要領などがあるわけですけれども、勤務時間、任期、給与等について説明してもらえますか。

○山内政府参考人 お答え申し上げます。
 政策調査員の方々でございますが、任期は先方との取り交わしでございますが、基本的に二年でございます。
 それから、勤務時間に関しましては、いわゆる非常勤の職員でいらっしゃいますので、一日五時間四十五分を超えないものという形でございます。
 給与に関しましては、非常勤の職員についての定めがございますので、この給与について、実際に時間当たりのお金を掛けてお払いをするという形でございます。

○塩川委員 一日五時間四十五分、非常勤の方の線があるものですから、週五日、任期は二年間、給与は、一般職給与法に基づいて、常勤職員との権衡を考慮して支給するということになるわけですが、ちなみに、非常勤職員で主査クラスの人というのは幾らぐらいになるものなんですか。

○山内政府参考人 お答え申し上げます。
 主査クラスの方の日額の単価が九千七百円でございます。

○塩川委員 主査クラスは日額九千七百円。補佐級はどのぐらいですか。

○山内政府参考人 お答え申し上げます。
 補佐級の職員に関しましては、日額一万一千百十円でございます。

○塩川委員 ですから、非常勤職員、この政策調査員の方は、主査、係長クラス、課長補佐クラスとなると、日額、日当が九千七百円とか一万一千百十円なんですよ。それを、年間二百五十日ぐらいにしても、二百五十万ぐらいなんですよね。こういった、官製ワーキングプアと言われても仕方がないようなそういう水準なんですけれども、この政策調査員の募集要項を見ると、結構いろいろなことを書いているんですよね。
 応募資格がどういうものになるかというのは御存じですか。

○山内政府参考人 お答え申し上げます。
 実際に、私どもにお越しいただいて働くときの業務によって若干変わります。例えば監査を行っていただく方の場合でございますと、その監査の経験をお持ちであるか、それから、例えばシステムにもしかかわるのであれば、システムの御経験があるのかといったことを加味いたします。
 あと、それ以外に関しましては、いわゆる政府の非常勤職員としての要求条件と同じということでございます。

○塩川委員 例えば、政府機関総合対策グループの業務という政策調査員の方の募集要項にある応募資格を見ると、大学以上の学歴を有すること、サイバーセキュリティー及び情報システムに関する一定の知識、情報システムの開発、運用に関する実務経験を有すること、また、官民の多様な組織間の調整に必要な折衝能力、一定の事務処理能力及び説明能力を有すること。なお、情報処理安全確保支援士、情報セキュリティーに関連した資格を有している者が望ましいとあります。
 随分注文が多いわけですけれども、こんなにいろいろ応募資格で注文をつけているのに、年収二百五十万円じゃ、ちょっと安過ぎると思いませんか。

○櫻田国務大臣 それぞれ仕事に応じたお金だと思っておりますので、私からは、それ以上のことは。

○塩川委員 業務としてこれだけのことを求める、まさに、企画立案、総合調整という、NISCの中で、非常勤の方であれ、主査、係長や課長補佐クラスで働いているような方なんかもたくさんいらっしゃるわけですから、そういうときに、これは余りにも低過ぎるんじゃないかと率直に思いませんか。

○櫻田国務大臣 ちょっと立場上、答弁は控えさせていただきたいと思います。

○塩川委員 いや、大臣のもとで働いている専門家の皆さんなんですから、その実情、実態に心を寄せるというのは当然のことではないかと思いますが。
 ちょっと事務方に聞きますけれども、この政策調査員、非常勤の方というのは、民間の籍を持って、出身元企業の身分を持ったまま勤務するということは可能ですか。

○山内政府参考人 お答え申し上げます。
 国家公務員の一種でいらっしゃいますが、この非常勤職員につきまして、職員の兼業の許可に関する政令がございますが、これによりまして兼業を行うことが可能ということでございます。したがいまして、もとの職をお持ちのままで私どものところに御出向していただくことが可能という形でございます。

○塩川委員 これは、内閣人事局のホームページを見ると、民間出身者のリストがあります。ですから、出身企業のことが全部、NISCの場合でも出てくるわけですよね。それを見ると、名立たる大企業が出てくるわけです、システムベンダーのNECとか富士通とか日立とか。こういう企業を含めてたくさんの大企業等々があるわけで、そういった方々が実際には非常勤職員でNISCの中で働いているということになっているわけですよね。
 そうしますと、この政策調査員の人は、確かに二百五十万、非常勤で働いているかもしれないけれども、出身元企業、籍を置いている企業から給与の補填を受けているということは当然あるんじゃないですか。ないと言えますか。

○山内政府参考人 お答え申し上げます。
 兼業が認められている範囲での二つのところからの給与というのはあり得るかと存じます。

○塩川委員 ですから、そうなると、民間企業に籍を置きながら、こういうNISC、サイバーセキュリティーの企画立案を行うようなところで、そのまま社員の身分を持って働いている、二百五十万の給料じゃ当然足りないとなれば、民間企業から給与の補填をやって仕事をしているとなるんですよね。そうなると、これは、民間企業の利益をみずからの仕事として官の仕事をやるということになりはしないのかという問題なんです。
 これは、官民人事交流の制度を見たときにも、官民人事交流法というのがあります。そのもとでは、民間の身分を持ったまま官で働くような場合、これは今の制度上は雇用継続型という形で認められている、新しい枠もつくったわけであります。そのときに、それでも官民癒着の懸念がありますよ、公務の公正性が疑われないようにしなければなりませんねということで、この官民人事交流法の雇用継続型においては幾つか条件をつけているんですよ。それというのが、交流元企業の業務に従事することはできません、つまり出身企業で仕事はできませんということと、出身企業から給与の補填は禁止をする、こういう条件がついているんです。
 それは、やはり官民癒着の批判を免れないということになるわけじゃないですか。確かに、官民人事交流制度ではなく、非常勤職員だから兼職は可能だとなっているんだけれども、実態は抜け道じゃないですか。
 そういったときに、そもそもこんな二百五十万の給与でいいのかという問題と、そもそも民間の身分で民間企業から給与補填を受けて働いているということになれば、これはやはり官民癒着のそしりは免れないんじゃないかと思うんですが、こういった事態を放置していいのか。いかがですか。

○櫻田国務大臣 それはいろいろ御意見があるかもしれませんが、制度として認められたものだというふうに認識しております。

○塩川委員 いや、それは実質抜け穴なんですよ。だって、官民人事交流制度で官民交流を行う際に一定のやはり規制が必要だということになって、雇用継続型の場合であれば、もともとの出身企業では働かない、出身企業からの給与の補填を受けないと言っているわけですから。実際、でも、非常勤職員となれば、これの抜け穴でこの規制が取り払われるというのは、仕組み上おかしいんじゃないですか。
 だから、どんなにいい仕事をしていても、こういった実態ということになれば、これは官民癒着のそしりを免れない、公務の公正性が疑われる、こういう事態は無視できないと思うんですが、もう一回。

○櫻田国務大臣 これは公務員制度全体の問題というふうに認識しております。

○塩川委員 いや、足元のNISCについての話ですから、これについての見識というのは必要じゃないですか。

○櫻田国務大臣 NISCだけの問題というふうには捉えておりませんので、あくまでも公務員制度の中で一般論としてやられているものだと思います。

○塩川委員 この点で、公務の公正性が疑われる、官民癒着の疑念は払拭できないということを言わざるを得ません。
 私がこのことを強調するのも、やはり、大きなお金が動くようなこういった官の仕事で民間の人が働く際に、当然そういった点についてのさまざまな規制があってしかるべきだということがあるわけです。そういったときに、それを監督指揮する立場の大臣の姿勢も問われるわけです。
 ですから、最後に伺いますけれども、櫻田大臣が所管をする、関連する、そういう仕事において、関連する業界団体や企業から企業・団体献金やパーティー券の購入は行わない、オリパラもあるんですから、ゼネコンから金をもらうなんてとんでもない、こういうことというのははっきり約束してもらえますか。

○櫻田国務大臣 国務大臣は、倫理の保持に万全を期するため、大臣規範において、「関係業者との接触等」について、「国民の疑惑を招くような行為をしてはならない。」とされていると承知をしております。
 大臣規範を踏まえ、今後とも適切に国務大臣としての業務を遂行してまいります。

○塩川委員 きのうやりとりしましたように、大臣規範というのは実質もう機能していないような、そういう中身になっているという点も極めて重大であるわけで、国民からやはり後ろ指を指されないような、そういう姿勢こそ求められている。
 こういった企業・団体献金、パーティー券については、少なくとも関連する業界団体、企業からはもらわないということこそ大臣に求められていることを求めて、質問を終わります。

 

【反対討論】

<第197通常国会 2018年11月22日 内閣委員会 6号>

○塩川委員 私は、日本共産党を代表して、サイバーセキュリティ基本法の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。
 まず、与野党の合意なく、予備日に閣法の質疑を行い、採決まで行うような与党の運営に強く抗議をするものであります。
 我が党は、サイバーセキュリティ基本法について、日本と米国との軍事一体化が進むもとで、サイバーセキュリティーを安全保障の一環として位置づけている、サイバーセキュリティー分野が日米軍事強化の一翼を担うことになるとして反対してきました。
 本案は、内閣官房のもとに民間などが参加する協議会を設置し、その構成員に情報提供義務と守秘義務を課すことで、内閣サイバーセキュリティセンターが民間などが保有するサイバーセキュリティーに関する情報を広く素早く収集する仕組みづくりを行うものです。
 政府は、協議会は官民で情報を共有する仕組みだと説明していますが、提供された情報をどの構成員に提供するか決めるのはNISCであり、提供義務がかかる情報の定義も協議会の規則で定めるもので不確定です。協議会は、NISCによる情報収集管理システムという側面が強いと言わざるを得ません。
 NISCのトップであるセンター長には、国家安全保障局次長である内閣官房副長官補、事態対処・危機管理担当がつき、NISCが国家安全保障会議のもとで情報収集を行うことになります。協議会を通じてNISCによって収集される情報は安全保障政策のために活用され、加えて、収集された情報がサイバー攻撃や軍事に転用されるおそれも否定できません。
 また、二〇一八年七月に閣議決定された新サイバーセキュリティ戦略では、我が国の安全保障を脅かすようなサイバー空間における脅威について、同盟国、有志国とも連携し、とり得る全ての有効な手段と能力を活用し、断固たる対応をとると、より一層サイバー空間における米国との軍事一体化の姿勢を明確にしています。
 米国は、サイバー事案に対して武力行使をすること、場合によってはサイバー攻撃を先制的に行うことを表明しており、その米国と一体となった安全保障体制のもとで、官民一体の協議会を設置することは、米国のサイバー戦略に民間分野まで含めて協力する道を開くものであり、容認できません。
 以上、反対討論を終わります。

【倫理選挙特別委員会】候補者情報充実を/「選挙公報」活用を要請

 来春の統一地方選挙で各選挙管理委員会発行の「選挙公報」を活用するよう求めました。

 明るい選挙推進協会の2015年「統一地方選挙全国意識調査」によれば、半数以上の有権者が「候補者情報が不足している」と回答。選挙期間で触れたもののうち「役に立った」のは「選挙公報」との回答が一番でした。

 都道府県議選・市区町村長選・市区町村議選の選挙公報発行には各自治体で条例を制定する必要があります。

 わたしの質問に対し総務省は、都道府県議選・指定都市長選・指定都市議選(北九州市除く)で条例が制定され、制定自治体が増加していることを明らかにしました。

 地方選における候補者情報の不足は大きな問題となっている。選挙公報の活用が必要だとただすと――。

 石田真敏総務相は「条例制定が増えていることは結構なこと。積極的に考えてもらえれば」と述べました。

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「議事録」

<第197通常国会 2018年11月21日 政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会 4号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 法案について質問いたします。
 日本国憲法は、国民主権、議会制民主主義の基本理念のもと、主権者たる国民が政治に参加する手段として選挙制度を位置づけております。また、住民の福祉の増進を図ることを基本とした地方自治体においては、選挙によって住民の意思が示されることで、住民の意思に基づき、自治体みずからの意思と責任を持ってその役割を果たしていくことを明記しております。憲法上の権利行使にとっても、住民の意思を議会、首長に反映した地方自治を行うためにも選挙が重要であることは言うまでもありません。
 前回の質問で、期日前投票が増加をし、候補者情報が入らないままに投票が行われている実情について取り上げました。大臣に伺いますが、選挙が正当に行われるためにも、有権者に、誰が立候補し、どういう公約を出しているのか、候補者情報がきちんと渡ることが必要であると考えますが、お考えをお聞かせください。

○石田国務大臣 先ほど来申し上げましたけれども、投票は、やはり国民主権のもとで最も重要な権利の一つでありまして、選挙権の行使に当たっては、やはり有権者が、今御指摘のように、候補者や政党の政策等の情報を十分に得られることは大変重要なことと認識いたしております。

○塩川委員 ということであります。
 明るい選挙推進協会が選挙のたびに意識調査を行っております。二〇一五年の統一地方選挙全国意識調査の結果について紹介していただきたいんですが、候補者に関する情報が不足しているかどうかについて、地方選挙で候補者の人物や政見がよくわからないために、誰に投票したらよいか決めるのに困るという声があります。最近の地方選挙であなたはそう感じたことがありますかとの質問に、感じたことがあると答えた人の割合はどうなっているか、その割合が過去と比べてどうなっているのかについて説明をお願いします。

○大泉政府参考人 お答え申し上げます。
 平成二十七年、二〇一五年の統一地方選挙後に明るい選挙推進協会が全国三千人の有権者を対象に実施した意識調査によりますと、候補者情報の不足を感じたことがあると答えた割合は、平成二十七年には五三・四%であったと承知しております。かつて、昭和五十四年のデータがございますが、これが三一・六%であったと承知しております。

○塩川委員 以前にも増して不足と感じたことがある人の割合が高まっている。前回でいえば、五三・四%と過半になっているという現状があります。しかも、情報不足を感じている人の六割が、都道府県議選や市区町村議選が情報不足だと言っているわけで、大変重大な事態ではないかと言わざるを得ません。
 質問しますが、同じ調査で、特定の候補者に投票するのを決めたのはいつごろであったのかとの質問に対して、選挙期間中、投票日の前日までと投票日当日に決めた人の割合というのはどうなっていますか。前回調査との比較はどうでしょうか。

○大泉政府参考人 お答えを申し上げます。
 選挙期間中に、投票日前日までに決めた割合につきましては、それぞれ選挙ごとに申し上げますと、知事選につきましては、選挙期間中までは二四・三%、投票日当日には八・七%となっております。都道府県議選挙については、同じように、三〇・八%と一〇・六%、市区町村選につきましては二二・四%と八・七%、市区町村議選につきましては二七・四%と九・八%とそれぞれなっておるところでございます。
 それから、ちょっと、かつての比較は手元にございませんので、失礼いたします。

○塩川委員 今、足し合わせれば、前日、当日決めたという人が三割、四割ぐらいというので、大変大きいわけであります。
 前回質問した際にも、選挙運動期間がどんどんどんどん短くなっているということもありますので、三割以上の人が、この短い選挙期間の中で誰に投票しようか真剣に考えているということが示されていると思います。
 重ねてお聞きしますが、同じ調査で、政党や候補者による情報提供について、選挙期間中に見たり聞いたりしたものと、役立ったものとの質問に対し、選挙期間中に見聞きしたトップファイブは何か、それらが役立ったと回答が一番多かったものは何かについてお答えください。

○大泉政府参考人 お答え申し上げます。
 選挙運動において、どのような媒体と接触したかにつきましては、候補者のポスターが四九・四%、街頭演説が三六・五%、連呼が三〇・二%、選挙公報が二五・八%、候補者のはがきが二一・六%がベストファイブでございます。
 また、その有効度についての調査でございますが、選挙公報が一七・三%、街頭演説が一一・八%、候補者のポスターが九・九%、テレビの政見放送、これも経歴放送も含むということでございます、これが八・八%、候補者の新聞広告が七・四%の順ということとなっております。

○塩川委員 選挙公報が一番役に立ったという回答があるというのは非常に重要だと思います。
 十八歳選挙権が施行されて、総務省と文部科学省がつくった高校生向け副教材の中でも、「候補者や政党の情報はこう集める!」として、選挙公報が挙げられております。選挙公報は、有権者にとって接触しやすく、役立つ情報源となっております。
 昨年の法改正で、町村議選を除いて、他の選挙は候補者個人の選挙運動用ビラの頒布が可能となりましたが、候補者ビラは枚数制限があり、一枚ずつ証紙を張って、頒布方法も新聞折り込みとか、選挙事務所内とか、演説会場内とか、街頭演説の場所と限られ、多くの有権者に候補者情報が届くとは言いがたいものであります。
 その点でも、各選挙管理委員会が発行する選挙公報は重要です。
 選挙公報は、国政選挙と都道府県知事選挙では義務づけられておりますが、都道府県議選、市区町村議選においては、それぞれの自治体が条例を制定することによって行われております。
 この選挙公報の発行に係る条例の制定について確認をしたいのですが、都道府県議選、指定都市での市長選、市議選で条例の制定状況はどうなっているか、つまり制定していない団体はどこかということと、一般市区の市区長選、市区議選、町村長選、町村議選でそれぞれ条例を制定していない団体数、比率はどうなっているのかについてお答えください。

○大泉政府参考人 お答え申し上げます。
 選挙公報の発行に係る条例の制定状況につきまして、平成二十九年十二月三十一日現在の状況を申し上げますと、都道府県議会議員選挙については、四十四団体で制定しております。ただし、その時点で未制定でございました新潟県、山梨県、岐阜県の三団体が平成三十年の三月に条例を制定しております関係で、全ての団体で条例が制定されました。
 指定都市の市長選挙につきましては、全ての団体で条例が制定されております。
 指定都市の市議会議員選挙につきましてですが、十八団体で制定されております。ただし、その時点では未制定であった広島市が平成三十年七月に条例を制定されますので、未制定の団体は北九州市となっております。
 政令指定都市以外の市区町村選挙及び市区町村議会議員選挙について、条例を制定していない団体は、ああ、市区。済みません、町村じゃありませんでした、市区議会議員選挙について、条例を制定していない団体は、それぞれ七十五団体、七十六団体となっておりまして、全団体に占める割合は、それぞれ九・四%、九・六%でございます。
 町村長選挙及び町村議会議員選挙において、条例を制定していない団体は、それぞれ五百五団体、五百八団体でございまして、全団体に占める割合は、それぞれ五四・五%、五四・八%でございます。

○塩川委員 町村長選や町村議選ではまだ五割以上が選挙公報を発行していないという点で、極端に少ないわけですが、指定都市でも北九州市議選はまだ条例ができておりません。都道府県によってもかなりばらつきがあるわけで、富山県、福井県、鳥取県、佐賀県では、全ての市町村で首長も議員も選挙公報を発行できる条例を制定しております。一方、和歌山県では、県議選と、和歌山市と橋本市が、首長と議員の選挙公報を発行できる条例が制定されているだけということでもあります。
 ようやく全ての都道府県で選挙公報が発行できる条例ができました。先ほどの意識調査で、一番候補者情報が不足している選挙となっていたのが都道府県議選であります。昨年六月に我が党の穀田議員が質問したときよりも条例を制定した自治体がふえているのは確かであります。
 こういう状況について、総務省としてはどのように評価しておられますか。

○大泉政府参考人 お答え申し上げます。
 条例につきましては、当該条例につきまして、各団体の議会において議論を経て成立したものと承知しておりまして、総務省としては、その議論を評価するという立場ではございませんが、一般論として申し上げますと、選挙公報の発行により、選挙人にとって、候補者等の政見等を入手する手段がふえたということにはなると考えております。

○塩川委員 候補者の情報が不足だと感じている有権者が多いわけで、誰に投票していいかわからないという声があるときに、選挙運動期間が短い地方選における候補者情報の不足が大きな問題であります。遠隔地で不在者投票を行う場合も、候補者情報を得るには選挙公報のみとなる場合も多いわけです。
 大臣に伺いますが、我が党は、東日本大震災の際に、居住地から遠く離れて避難を余儀なくされた方々に候補者情報を届ける、そのために選挙公報を郵送する、公報を選管ホームページに掲載するということを提案をしました。実際に福島県内では選挙公報発行を始めた自治体もありますし、選管ホームページに選挙公報を掲載することが二〇一二年総選挙から全ての選管で行われるようになりました。
 この選挙公報の活用が非常に重要、必要だと考えますが、大臣のお考えをお聞かせください。

○石田国務大臣 選挙人が、議員御指摘がありましたように、候補者等の政見を入手する手段として非常に評価できると考えておりまして、条例を制定している団体がふえているということは結構なことだと考えております。
 ただ、御指摘ありましたように、選挙運動期間の短い選挙においては、やはりその発行等が困難な場合も考えられるわけでありますけれども、可能な範囲で積極的に考えていただければありがたいと思っております。

○塩川委員 ぜひ、選挙公報の発行に努めるという点での取組を促していきたいと思っております。
 我が党は、統一率が高ければいいという立場はとりません。やはり議員の選挙期間、また議員の任期というのは重い、選挙における有権者の権利をしっかりと保障するということが重要で、そういう点でも、選挙、政治、国民にわかりやすくする上で、複雑な現行の公職選挙法の抜本的な改正、国民の基本的権利である選挙運動の自由を保障するということを求めて、質問を終わります。

【内閣委員会】「大臣規範」の「大規模パーティ自粛」について質す

 歴代政権は「大臣規範」を定め、「公職にある者としての清廉さを保持し、政治と行政への国民の信頼を確保する」ため、大規模な政治資金パーティの自粛を求めています。

 また政治資金規正法では、パーティ収入が1千万円以上のものを「特定パーティ」として、よりいっそうの情報開示を規定しています。

 安倍政権の閣僚について2016年度の政治資金収支報告書を見ると、石田総務大臣が特定パーティ2回、茂木大臣が3回、片山大臣は2回などとなっています。

 一方、菅官房長官はすべて1千万円未満にしています。菅官房長官に「自粛する大規模パーティとはどのような規模か」と質問。菅氏は「定められた基準はない。良識の範囲で対応する」と答弁。

 「大臣規範」に実効性がないことが明らかになりました。

 総務省に、茂木大臣が経産大臣だったときのパーティ収入を確認。1千万円以上の特定パーティは6回、パーティ収入総額が1億3386万円にのぼると答弁。

 パーティ収入の多くが企業・団体からのパーティ券収入であり、実質は企業団体献金である。

 茂木大臣は「大臣規範や関係法令にのっとり適切に対応してきた」と答えるだけ。

 政治とカネの問題について、国民に疑念を持たれているときです。パーティ券購入を含めた企業・団体献金の禁止を強く求めました。

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「議事録」

【内閣委員会】技能実習生の実態把握こそ/監理団体調査を

 外国人技能実習生の実態把握に関して法務省が「監理団体」の調査を行っていない問題をただしました。

 事業協同組合などの監理団体は日本で実習生を企業などに仲介し、実習が適切に行われるよう監理する役割を担っています。

 失踪した技能実習生にかかる聴取票」に監理団体に関する項目がない理由を質問。

 法務省担当者は、失踪動機の把握が調査目的であるためと答えました。

 実習生への搾取などの監理団体による不正行為が絶えないため、2016年に成立した技能実習法の28条で「監理団体はいかなる名義でも手数料又は報酬を受けてはならない」と法定化されている。実習生と日常的にかかわっている監理団体の実態をなぜ把握しないのかと重ねてただしました。

 法務省の佐々木聖子大臣官房審議官は「監理団体の適正化は新法の下、取り組んでいる」と答弁を避けました。

 監理団体が新制度の登録支援機関にスライドすると想定されている。技能実習制度の深刻な実態を把握するために監理団体を調べるのは必要不可欠だ。聴取票の公開を求めました。

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「議事録」

【倫理選挙特別委員会】期日前投票増加受け/事前運動禁止見直し提起

 公職選挙法の「事前運動禁止」の規定を見直すようただしました。

 制度創設以来、期日前投票が2.3倍に激増し、2017年総選挙では3票に1票が期日前投票になっています。日本の公選法は、公示・告示日から投票日前日までを「選挙運動期間」と定め、期間前の選挙運動を「事前運動」として禁止しています。

 公示・告示日の翌日から投票できる「期日前投票」が増加する現状では、候補者情報が有権者にわたっているとは言えない。事前運動の禁止はもはや必要がないと、見直しを提起。

 石田真敏総務相は、「選挙運動費用を抑制し、無用の競争を避けるため、期間が定められている」などと答弁しました。

 総務省は、諸外国では選挙運動期間や事前運動の規制がないことを答弁。

 わたしは、このような日本の仕組みは異例。戦前の規定をいまだに続けている。国民・有権者も含めて日常的に政治的議論・選挙運動を自由に行うことができるようにすることが大事だ。

 さらに、選挙経費の削減によって投票所数の減少や投票時間の短縮が生じている。期日前投票が増えているからといって当日の投票環境を後退させたままで良いとはならない。選挙経費削減をやめるよう求めました。

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「議事録」

<第197通常国会 2018年11月19日 政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会 3号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 きょうは、増加をしている期日前投票に関連して幾つか質問したいと思っております。
 公職選挙法の第四十四条では、「選挙人は、選挙の当日、自ら投票所に行き、投票をしなければならない。」とあります。
 大臣にお尋ねいたしますけれども、我が国は投票日当日投票所主義をとっております。例外として、期日前投票制度や不在者投票制度、在外投票制度があるわけです。この考え方について確認をしたいと思います。

○石田国務大臣 期日前投票制度につきましては、不在者投票数の増加に伴いまして、投票用紙を直接投票箱に入れることができないこと、投票用紙を内封筒及び外封筒に入れなければならないこと、外封筒に署名しなければならないことに改善を求める声が大きくなっていたことを踏まえまして、平成十五年に投票日当日における投票の例外として導入されたものと承知をいたしております。

○塩川委員 例外としての期日前投票の話がありましたが、投票日にみずから投票所に行って投票する、秘密投票の原則を貫き、選挙の公正を保たんとするのがもともとの投票日当日投票所主義であります。
 最近の選挙を見ると、期日前投票が激増しております。九月の沖縄知事選挙を見ると、大型台風の影響もあり、投票日の繰上げを行うような自治体もあったわけですけれども、期日前投票者が当日の投票者数を上回る、有権者の三人に一人、投票者のうち五六%が期日前投票を行っておりました。
 総務省の方に確認しますが、この期日前投票制度創設後の二〇〇五年総選挙の小選挙区と二〇一七年総選挙の小選挙区における投票者数、期日前投票者数、総投票者数に占める期日前投票者の割合を示してください。

○大泉政府参考人 お答え申し上げます。
 期日前投票制度導入直後の国政選挙でございました平成十七年、二〇〇五年の衆議院議員総選挙における投票者数は約六千九百五十三万人、期日前投票者数は約八百九十六万人となっておりまして、投票者数に占める期日前投票者数の割合は約一二・九%でございました。
 直近の国政選挙である平成二十九年、二〇一七年の衆議院総選挙におきましては、投票者数は約五千六百九十五万人、期日前投票者数は約二千百三十八万人となっており、投票者数に占める期日前投票者数の割合は約三七・五%でございました。

○塩川委員 ですから、昨年の総選挙も、四割近くが投票者のうちに占める期日前投票となっております。十年余りで二・三倍になっております。先ほど言ったように、昨年の総選挙は、台風の影響があったとはいえ、投票のうち三票に一票が期日前投票で行われているということです。
 大臣にお尋ねしますが、このように期日前投票者が増加をしている理由は何なのかという点です。

○石田国務大臣 お尋ねの、増加している理由についてでありますけれども、一概には申し上げられないと思いますけれども、平成十六年の参議院通常選挙で導入されて以降、まず、有権者に浸透してきたこと、さらには、最近では人の往来が多く利便性の高い商業施設等への設置も進んでいること、期日前投票時間の弾力的な設定などの制度改正を行ってきたことが考えられるほか、特に昨年十月の衆議院議員総選挙におきましては、期日前投票事由に天災又は悪天候により投票所に到達することが困難であることを追加したこともございまして、台風二十一号の接近や秋雨前線による大雨等の影響なども要因ではなかったかと考えられております。

○塩川委員 有権者に浸透してきている、大型集客施設への設置ですとか、天災、悪天候の場合についての利用の話もありました。ただ、こういった理由だけなのかということが問われているわけです。
 ちょっと数字の確認を総務省にしますけれども、二〇〇五年と二〇一七年のそれぞれの総選挙小選挙区における当日の投票所数、期日前の投票所数、投票所の経費予算額、期日前投票所経費予算額について確認をしたいと思います。

○大泉政府参考人 お答え申し上げます。
 期日前投票制度導入直後の国政選挙であります平成十七年、二〇〇五年の衆議院総選挙におきまして、投票所数は五万三千二十一カ所、期日前投票所数は四千四百五十一カ所となっておりまして、平成二十九年、二〇一七年の衆議院議員総選挙における投票所数は四万七千七百四十一カ所、期日前投票所数は五千三百四十六カ所となってございます。
 これにかかります予算でございますが、平成十七年、二〇〇五年の衆議院議員総選挙における投票所経費の予算額は約二百三十九億八千万円、期日前投票所経費の予算額は約十七・七億円となっておりまして、平成二十九年、昨年の衆議院議員総選挙における投票所経費の予算額は約百四十六・八億円、期日前投票所の予算額は約三十九・五億円となってございます。

○塩川委員 期日前投票所が二割ぐらいふえて予算も倍以上にふえている点と、一方で当日の投票所数というのが五千カ所、全体の一割減っているんですよね。また、当日の投票所に係る経費についても九十三億円も減って六割になっているわけです。
 ですから、大臣、お聞きしたいんですが、投票日当日投票所主義であるにもかかわらず、その投票日当日の投票所の数も減り、予算も減っているという点がそのままでいいのかということが問われているわけで、そもそも期日前投票の導入の理由は何だったのか、選挙人が自由に投票する日を選択できる複数投票日制を導入したということなのか、その点について確認したいと思います。

○石田国務大臣 現行の選挙制度は、選挙期日の公示又は告示の日に立候補の届出を認め、そして、候補者が選挙運動を行って、選挙人に投票を行うに当たっての情報を提供し、最後に選挙人が投票を行うというその流れを基本としているところでありまして、期日前投票制度の導入は複数投票日制の採用を意味するものではないと考えております。

○塩川委員 投票日当日投票所主義の原則が崩れるような複数投票日制は導入していないということであります。
 期日前投票がふえているから投票日当日の投票所の投票環境を後退させてもよいとはならないわけで、全国一律の国政選挙において投票所の数や投票時間の保障というのは、有権者の投票権の行使、投票機会の公平を確保する上で極めて重要であります。現状は、選挙経費の削減によって投票所数の減少や閉鎖時刻の繰上げに拍車をかけていると言わざるを得ません。
 大臣に重ねてお尋ねしますが、投票環境の向上を言うのであれば、真っ先にすべきは投票所数を減らすんじゃなくてふやすことであり、投票時間、閉鎖時間の繰上げをやめて規定どおりの時間投票所を開くことが必須ではないかと思いますが、御見解を伺わせてください。

○石田国務大臣 先ほども御議論がございましたけれども、投票所数については減少してきていると承知をいたしております。
 投票所の設置につきましては、市町村の選挙管理委員会が地域の実情などを踏まえて決定すべきものでございまして、地域の実情を踏まえて投票所や期日前投票所を設置するほか、かつて投票所があった地域での期日前投票所の設置とか、あるいは移動期日前投票所の取組、あるいは移動困難者に対する支援など、選挙人の投票機会の確保に努めているものと承知をいたしております。
 また、投票所の閉鎖時刻の繰上げ、これにつきましても、市町村の選挙管理委員会の判断で、選挙人の投票に支障を来さないと認められる特別の事情のある場合などに限り行うことができるとされているわけでございまして、先ほども答弁申し上げましたけれども、例えば、高齢者が多く、大半が午後六時までに投票を済ませ、以降の投票者がほとんどいない場合、あるいは、台風による増水により橋梁が通行不能となるおそれが発生したなどの理由があると伺っております。
 私も、先ほど申し上げましたけれども、閉鎖時刻をむやみに繰り上げることは決して好ましいことではないと考えておりまして、総務省では、選挙の都度、投票所の設置についての積極的な措置、あるいは投票所閉鎖時刻の繰上げへの厳正な対応を各選挙管理委員会に対し要請をしておるところでございます。

○塩川委員 県庁所在地でも閉鎖時刻を繰り上げているような例もあったりするわけですから、こういった事態が生まれている背景というのを、単に自治体の判断だ、選管の判断だとか地域の実情を踏まえてというだけに見るというのは、私は適切ではないと思います。指摘をしたように、投票日当日の投票所を開くための予算そのものがぐっと減ってきているわけですから、そこのところをしっかりと見る必要がある。
 そういう点で、年明けの通常国会には国政選挙の執行経費法案を出すというような話もお聞きするわけで、投票所の経費を更に削るようなことがあってはならないということを指摘をしておくものであります。
 それで、もう一つ考えたいのが、そもそも、期日前投票によって、選挙期間中、告示、公示の直後から投票が可能になるといった場合に、選挙期間が持つ意味は何なのかということが問われてくるわけです。
 我が国の選挙は、選挙期日の公示、告示日に立候補の届出をして、そこから候補者が選挙運動を行って、有権者に投票のための情報を提供し、有権者が投票を行うという制度です。選挙が正当に行われるためにも、有権者に、誰が立候補し、どういう公約を出しているのか、候補者情報がきちんと伝わることが必要です。
 日本国憲法は、国民主権、議会制民主主義の基本理念のもと、主権者たる国民が政治に参加する手段として選挙制度を位置づけています。憲法上の権利行使にとって選挙が重要であることは言うまでもありません。
 しかしながら、公選法が公示、告示日から投票前日までを選挙運動期間と定め、その期間前に選挙運動をすることを事前運動として禁止しているもとで、公示、告示日の翌日から投票できる期日前投票では、候補者情報が有権者に十分に渡っているとは言えない状況になっているのではないのか。しかも、その選挙運動期間もどんどん短くなってきているというのがこの間の経緯であります。
 選挙運動期間の日数というのは、憲法施行後、一九五〇年の公選法制定時には三十日間、衆議院も参議院も、知事、都道府県議もありましたけれども、それぞれ、衆議院は十二、参議院や知事は十七、都道府県議は九日に減り、一般市の長や議員、町村長と議員、二十日間だったものが、一般市では七、町村では五日というふうに大幅に減ってきているわけです。
 ネット選挙運動が解禁されたことで、有権者も主体的に選挙運動にかかわるようになってきた。各政党や候補者が有権者にみずからの政策を訴えるのが、この短い選挙運動の期間の設定で、民主主義の発展にとって本当にふさわしいのかということになってくるわけです。
 大臣に伺いますが、そもそも、選挙運動期間が定められ、事前運動が禁止された理由は何だったのか。

○石田国務大臣 議員御指摘のように、公職選挙法第百二十九条におきまして、選挙運動は、立候補の届出のあった日から当該選挙の期日の前日まででなければすることができないと規定をされております。
 これは、選挙運動の開始の時期を特定することにより、各候補者の選挙運動を可能な限り同時にスタートさせて無用の競争を避けるとともに、選挙運動費用の増加を抑制するために定められたものと承知をいたしております。

○塩川委員 これは、逐条解説などを見ても、いろいろ異論があるわけです、こういった仕組みでいいのかと。だって、戦前から引きずっている制度をそのまま運用しているというのが実態ですから。
 選挙運動をそもそもすべからく自由にすべきだという理念というのは当然あるわけで、例えば、地盤培養行為と選挙運動の差は紙一重で実質的に区別しがたいとかという意見なんかも当然ありますし、こういった反対論があるにもかかわらず、従前どおり禁止しているといった経緯というのは、今言ったように、無用の競争を避けたいという考え方によるものだということにとどまっているわけです。
 選挙運動は、判例により、特定の公職の選挙につき、特定の候補者の当選を目的として投票を得又は得させるために直接又は間接的に必要かつ有利な行為と考えられているわけですが、事前運動の禁止というのは、戦前の規定をそのまま引き継いで、反対論が多いにもかかわらず、括弧つきの公平のためにいまだ続けているものですから、これは諸外国じゃちょっと考えられない仕組みと言わざるを得ません。
 総務省に確認しますけれども、主要国において、こういった選挙運動期間の設定、事前運動の禁止がどうなっているのか、紹介してもらえますか。

○大泉政府参考人 詳細は承知していないところでございますが、国会図書館がまとめた資料によりますと、フランスにおいて、選挙運動の期間の始期、投票日の二十日前から制限があるということでございますが、イギリス、アメリカ、ドイツなど主要国では基本的には制限がないものと承知をしております。

○塩川委員 フランスは選挙運動期間の設定はありますけれども、我が国におけるような事前運動規制の概念というのはそもそもないんですよ。アメリカは州によって選挙運動規制の内容が異なりますけれども、規制がなしということがありますし、イギリス、ドイツも規制がありません。ですから、日本のような仕組みそのものが異例なんです。いわば、国民の参政権、選挙権を大幅に制約をするような、そういう選挙制度のあり方そのものが問われているんじゃないのかということが、今、この期日前投票の問題ともかかわって改めて浮き彫りになっているときではないでしょうか。
 ですから、選挙運動と政治活動を区別をして選挙運動期間を設定をし、事前運動を禁止している国というのは、国際的にもまれな存在であるわけで、本来、選挙運動というのは政治活動の一部でありますから、こういう規定は見直すべきではないのか。
 大臣に伺いますけれども、期日前投票がふえて、候補者の情報が入らないままに投票が行われている実態を見れば、事前運動の禁止はもはや必要ないと考えますが、大臣のお考えをお聞かせください。
    〔委員長退席、宮内委員長代理着席〕

○石田国務大臣 先ほど御答弁申し上げましたように、選挙運動期間を定めて事前運動を禁止しているのは、選挙運動の開始の時期を特定することにより、各候補者等の選挙運動を可能な限り同時にスタートさせて無用の競争を避けるとともに、選挙運動費用の増加を抑制しようとするものでございまして、この趣旨は、投票日より前に投票する者が増加している現状においても妥当するものと考えておりますが、いずれにせよ、事前運動の禁止を含めた選挙運動のあり方につきましては、これは選挙制度の根幹にかかわる事柄でございますので、各党各会派において御議論いただくべきものと考えております。

○塩川委員 無用の競争というのは何なのかわからないというのが率直なところであるわけで、主権者国民の代表を選ぶ選挙というのは民主主義の根本、根幹でありますから、公務員の選定、罷免権の行使という憲法上保障された国民主権と議会制民主主義上の原則にかかわる問題であります。
 よく知られているように、我が国の公選法というのは、べからず集と言われているように、いわば、できることはごくごく限定、箇条書きになっているというのが今の実態であります。それ自身が有権者の選挙への参画を大きく狭めることになる。先ほど言ったインターネット選挙の中で、何ができる、できないみたいなこと、参加しようと思う市民の皆さんが戸惑うような選挙制度というのはそもそもおかしいんですよ。
 こういうことこそ今見直すときだという点で、民主主義の発展を考えても、日常的に候補者、政党だけではなく、国民、有権者も含めて、政治的議論、選挙運動を自由に行うことができるようにすることが必要だということを申し上げて、質問を終わります。

【議運理事会】首相・法相の答弁撤回を要求

 衆院議院運営委員会・理事会で、野党側は、失踪した技能実習生からの聴取票の集計結果に「誤り」が判明したことを受け、同調査に基づく山下貴司法相や安倍晋三首相の答弁の撤回を求めました。

 野党が指摘したのは13日の衆院本会議での山下法相の答弁。失踪の理由として「より高い賃金を求めて」と答弁しました。実際の聴取票にはこうした項目はなく、法務省が「低賃金」「契約賃金以下」「最低賃金以下」との回答を合算し、その数字も間違っていました。

 わたしは、本会議での二つの答弁が問題だ。山下法相の「より高い賃金を求めて」という答弁は、本人の身勝手で逃げ出したように描くもので、それが際立つように67%を87%と多く見せていた。作為的な調査結果に基づいた虚偽答弁であり、撤回を求めました。

 また、安倍首相が、「聴取票そのものの開示は困難」だと答弁したことについては、国会の付帯決議に基づいて作られた調査票なのだからこれを開示するのは当然。困難だと言った答弁を撤回すべきだ。

群馬県渋川市で日本共産党演説会/市民の暮らし応援の日本共産党を大きく

 群馬県渋川市で日本共産党演説会。来年1月27日告示、2月3日投票で市議選(定数18、前回比4減)が行われます。かとう幸子・角田よしかず両市議の議席確保をめざします。

 かとう幸子市議(角田よしかず市議は体調不良で参加できず残念)と伊藤達也党参院群馬選挙区予定候補とともに訴えました。

 この間、大同特殊鋼の有害鉄鋼スラグ問題を市議団と取り組んできました。

 学校給食費の完全無料化、小中学校にエアコン設置、保育所・幼稚園の第2子まで完全無料化など、豊かな実績を持つ市議団です。

 介護保険料や国保税値上げなど市民負担押し付けの自民保守・公明に対し、きっぱり対決してきたのが日本共産党。3年間で3割も増えた市のため込み金を活用して市民の暮らしを応援する日本共産党を大きくしてください!

 外国人労働者問題でもデータねつ造の国政私物化をはかる安倍政権は許せません。安倍政権退場の審判を!市民と野党の共闘を前進させ、新しい政治の流れを広げよう!


群馬・渋川/塩川議員

「しんぶん赤旗」11月27日付・首都圏版より

 群馬県北毛地区委員会は18日、塩川鉄也衆院議員を迎え、来年2月3日投票の渋川市議選、統一地方選、参院選躍進めざし、渋川市で演説会を開催しました。渋川市議選候補と伊藤たつや参院群馬選挙区候補が決意表明。

 塩川氏は、安倍内閣の閣僚の資質問題に言及。出入国管理法改定案での外国人労働者(実習生)の奴隷労働のような異常な状態を告発しました。

 また、安倍政権が狙う来年10月からの消費税増税を批判。税の集め方、使い方の改革を提唱しました。

 塩川氏が、安倍首相による憲法9条改悪の策動と北東アジアの平和の流れ、米軍基地問題などを訴えると、会場からは大きな拍手が起こりました。

 伊藤候補は、群馬県における外国人労働者の実態を詳しく紹介。来年の参院選での野党統一候補めざし奮闘する決意を訴えました。

 かとう幸子市議は、市議会での党議員団の活動と政策を報告。角田よしかず市議は、市議団の実績と市長いいなりの議会を変える決意表明を文書で寄せました。また演説会冒頭には、声楽を学ぶ19歳の学生が、独唱しました。

入管法の審議を強行するな/野党合同院内集会

 入管法の拙速審議を許さない野党合同院内集会。6野党会派が集い、我が党を代表して穀田国対委員長があいさつ。

 技能実習生の深刻な労働実態を放置したまま、その技能実習生が移行することになる新制度など認められません。

 実習先から緊急避難した技能実習生の実態について把握した調査票の集計に誤りがあることが明らかになりました。

 裁量労働制のデータ捏造と同じ構図です。審議の前提を欠いた事態です。こんなときに審議を強行するな!

【内閣委員会】国家公務員減らすな/地方機関の業務に支障

 国家公務員を削減する「定員合理化計画」(2015~19年度)が地方機関の業務遂行上の重大な支障の要因になっている。計画の中止を求めました。

 人事院の年次報告(15年度)が若年層職員の減少で技能などが世代間で継承されないなど「業務遂行上の重大な支障」が生じている。要因を質問。

 人事院は「政府の総人件費抑制方針のもと、継続的な定員削減や新規採用抑制の取り組みが進められてきた影響」だと認めました。

 総務省地方総合通信局では50歳超が年齢構成の中心となり「電波の秩序が危ない」(国公労連『公務員酷書』)と言う実態。人事院の指摘への認識をただした。

 宮腰光寛国家公務員制度担当相は「指摘は理解できる」と述べる一方、「適切に定員を配置する」と繰り返し、具体策を示しませんでした。

 定員合理化計画のもとで、現場では長時間過密労働や非正規・不安定雇用、健康被害が増大している。国家公務員の定年延長や障害者雇用を阻む要因となりかねない。定員管理を柔軟に運用し、必要な要員を確保する仕組みに改めるよう求めました。

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「議事録」
【質疑】

<第197通常国会 2018年11月16日 内閣委員会 4号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 きょうは、総人件費抑制方針に関連して質問をいたします。
 最初に、人事院にお尋ねをいたします。
 平成二十七年の人事院の年次報告を見ますと、各府省の職員の在籍状況は、従前に比べて、特に地方機関において若年層の職員が極端に少なくなっている実態があるとし、そのため、業務遂行上の重大な支障が生じていると述べております。
 そこで、どのような業務遂行上の重大な支障が生じているのか、この点について人事院にお聞きします。

○松尾政府参考人 お答え申し上げます。
 委員御指摘の記述は、平成二十七年度年次報告書において、特別テーマといたしまして、「在職状況(年齢別人員構成)の変化と人事管理への影響」、こういうことを取り上げる中で言及をしているものでございます。
 この報告に当たりましては、各省の人事担当部局に聞き取り調査を行いました。この調査の中では、若年層が極端に少ないことによりまして、将来、地方機関の管理職となる職員が年齢や勤務年数に応じた必要な業務経験を十分に積めないなどの人事管理上の課題が生じていることが指摘されるとともに、組織として蓄積すべき技術やノウハウが世代間で円滑に継承されなくなるという業務遂行上の支障が生じてきているとの声があったところでございます。

○塩川委員 今、話にありましたように、若年層が非常に少ないという中で、組織に蓄積されるべき技能やノウハウが継承されないなどの重大な支障が生じていると指摘をしています。
 宮腰大臣にその点お聞きしたいんですけれども、地方機関の若年層が極端に少ない実態によって業務遂行上の重大な支障が生じているという人事院の指摘については、大臣としてはどのように受けとめておられますか。

○宮腰国務大臣 人事院が平成二十七年度年次報告におきまして在職状況の変化と人事管理への影響を取り上げていることについては、承知をいたしております。
 職員の年齢構成は省庁、組織によりさまざまであると思いますけれども、行政課題が複雑高度化する中、年齢構成の偏りについては、それぞれの省庁において、業務改革の推進、経験者採用試験による中途採用や再任用の活用、職員の配置の見直し、働き方改革の推進などを行うことにより、工夫して対応されているものというふうに考えております。

○塩川委員 どう工夫するかというのはまた別の話で、そもそも、現状が重大な支障を生じているということについてはどうお考えですか。

○宮腰国務大臣 それぞれの省庁の出先機関によっては、確かに、若い方々が極端に少なくて、ここ十年で定年をお迎えになる方々がぐっと多いという出先があるということはよくわかっております。これではやはり将来的に心配であるという委員の御指摘もよく理解できます。
 当面は工夫をしながらやっていただくということになろうとは思いますけれども、長期的な課題としては、しっかりと受けとめて対応していく必要があるのではないかというふうに考えております。

○塩川委員 将来心配という指摘については理解できるというお話での現状認識を伺いました。
 国家公務員の労働組合でありますと、国公労連が公務員酷書、ひどいという酷の方ですけれども、まとめておりまして、深刻な実態を告発しておられます。
 例えば、総務省の地方総合通信局ですけれども、仕事は、今、携帯、インターネットが現代社会で普及、不可欠となり、新しい技術開発で、いつでも、どこでも、誰とでもといった通信可能な時代が進みながら、一方で、複雑な要因で、電波とか交信障害とか、発生が増加をしています。これに対処するのがこの地方総合通信局の皆さんの仕事ですけれども、現状は、これらの事態に対処する職員の年齢構成が、五十歳を超える人がほとんど中心となっていて、十年後には職員の半数、二十年後には八割の職員が退職する、こういうような人員構成の中で、貴重なノウハウを次世代に継承できず、電波の秩序が危ないと訴えておられます。このような実態に目を向けるべきであります。
 人事院にお聞きします。
 このような業務遂行上の重大な支障が生じている要因は何か、年次報告ではどのように指摘をしておられますか。

○松尾政府参考人 先ほど言及させていただきました平成二十七年度年次報告書の特別テーマにおきましては、地方機関において若年層が大幅に減少している背景として、継続的な定員削減や新規採用抑制の取組が進められてきたことが影響している旨、言及しておるところでございます。

○塩川委員 継続的な定員削減や新規採用抑制の取組が進められてきた結果だと。
 政府の総人件費抑制方針のもと、こういうことを行ってきたという指摘が年次報告の中にもあるところであります。宮腰大臣は、この点はいかがでしょうか。

○宮腰国務大臣 国の行政機関におきましては、現下の厳しい財政事情に鑑み、不断の業務の見直しを進め、定員合理化を図る一方で、必要なところにはしっかりと定員を配置し、政府の重要課題に機動的かつ柔軟に対応できる体制の構築を図ってきたところであります。
 いずれにせよ、年齢構成の偏りについては、それぞれの省庁において、業務改革の推進、経験者採用試験による中途採用や再任用の活用、職員の配置の見直し、働き方改革の推進などを行うことにより、現在、工夫して対応されているものというふうに理解をいたしております。

○塩川委員 必要なところはしっかり配置するといいながら、この間でいえば、今言ったような年齢構成の偏りの中で、技能、ノウハウの継承も困難という深刻な業務遂行上の重大な支障が生じているという指摘があって、そこの点は大臣もお認めになったわけですよね。その要因が、総人件費抑制方針のもとの継続的な定員削減や新規抑制方針があるということはお認めになりませんか。

○宮腰国務大臣 人事院の年次報告におきまして、地方機関において若年層が大幅に減少している背景として、今ほど委員御指摘の、継続的な定員削減あるいは新規採用抑制が原因となっているという御指摘をいただいているということについては承知をいたしております。

○塩川委員 そこのところをはっきりとさせるということが、今、今後の施策において極めて重要だということであります。政府の総人件費抑制方針が行政組織のゆがみをつくり出しているということは明らかだ、このことを踏まえた対策こそ求められているということです。
 もう一つ、二つ目の事例で取り上げたいのが定年延長の問題なんですが、人事院の定年延長に関する意見の申出の中では、「定年を引き上げる年度においては定年退職者が生じないこととなるため、定員が一定であれば、その翌年度の新規採用者数が大幅に減少することとなる。こうした事態を緩和し、定年の引上げ期間中も真に必要な規模の新規採用を計画的に継続していくことができるような措置を適切に講ずる。」ということがあります。
 これは、政府の公務員の定年の引上げに関する検討会論点整理でも同様の指摘になっているわけですが、ちょっと時間の関係もありますので大臣にお尋ねしますけれども、定年の引上げの際に、やはり定員管理上問題が出てくる。定年を引き上げたその年というのは、翌年度の新規採用を大幅に抑えざるを得なくなるという指摘があるわけで、このようなときに、真に必要な規模の新規採用を継続していくことが必要だ、こういう点について、政府として、大臣として、どのように考えておられるか、お聞きします。

○宮腰国務大臣 本年二月に取りまとめました論点整理におきまして、定年引上げを行う場合、定員が一定であれば、その翌年度の採用者数を大幅に減少せざるを得なくなりますが、その上で、今後の少子化の進展や行政課題の複雑高度化への対応を踏まえますと、継続的な組織運営に支障が出ないようにする必要があることから、真に必要な規模の新規採用を計画的に継続していくことが必要であるとしていたところであります。
 国家公務員の定年の引上げにつきましては、現在、人事院の意見の申出も踏まえつつ検討を行っているところでありまして、真に必要な規模の新規採用の継続のあり方も含め、政府としてさらなる検討を行ってまいりたいと考えております。

○塩川委員 定年延長という観点でも、総人件費抑制方針、そのもとでの定員削減、定員合理化計画の見直しが必要だと言わざるを得ません。
 三点目に指摘をしたいのが、障害者雇用の問題であります。
 この間報道されておりますように、国家公務員における障害者雇用の水増し問題が大問題となりました。障害者手帳や医師の診断書を確認しないという形で計上するとか、退職者を含めていたような事例ですとか、眼鏡をかけていて視力が弱いというだけでカウントするような、そういう実態があった、極めて重大な事態であります。
 大臣に伺いますけれども、やはり、こういう水増しの背景にも定員合理化計画があるんじゃないのか、このことを問われているんですけれども、どう受けとめておられますか。

○宮腰国務大臣 今後、各府省において、障害者採用計画に基づき、本格的に採用が行われることになると承知をいたしております。
 常勤での採用に当たって定員措置が必要となる場合には、障害者の方々に安定的な雇用環境を提供する観点から、公務部門における障害者雇用に関する基本方針に基づきまして、適切に措置してまいりたいというふうに考えております。

○塩川委員 基本方針に、適切に措置するというのはそのとおりなんですけれども、その前提として、何でこんな水増しが起こったのかといった際にも、やはり各府省における定員管理の中で、全体の定員削減、定員合理化計画のもとでこういった水増しにつながっているんじゃないのか。その点については率直に、どのように受けとめておられますか。

○宮腰国務大臣 障害者雇用の問題と今の定員管理の問題とは、直接的にはリンクしていないのではないかというふうに考えております。

○塩川委員 そこは極めて検証が必要なところだと思っております。しっかりとこの実態を踏まえて、原因究明の問題は各府省においてしっかり行うと同時に、内閣人事局、内閣官房としても行うべき課題だということは申し上げておきます。
 その上で、やはり、しっかりと受け入れる体制をどう整えていくかという問題ですが、今大臣が御答弁になりましたように、基本方針では「施策の推進に必要となる定員及び予算については適切に措置するものとする。」とありますけれども、これは具体的にどうするのか、そこがまさに問われているんですが、その点はいかがですか。

○宮腰国務大臣 基本方針の中で、「公務員の任用面での対応等」「定員・予算措置」というところで、「上記施策の推進に必要となる定員及び予算については適切に措置するものとする。」というふうに明記をしておりまして、これ以上でもこれ以下でもありません。

○塩川委員 これは、でも、今年度と来年度で行うという話なわけですよね。そういったときに、常勤雇用、もちろん非常勤という話もあるでしょう。だから、常勤でしっかりと雇用するということを求めていくときに、現状の定員管理の中で、欠員だけでは当然のみ込めないような話が出てくるわけですよ。そういった場合なんかについても、しっかりと、今年度と来年度で四千人、政府が言っているわけですから、どうするのかといったときに工夫が必要だと思うんですが、その点、改めていかがですか。

○宮腰国務大臣 定員の問題につきましては、先ほども申し上げたように、常勤での採用に当たって定員措置が必要となる場合には、障害者の方々に安定的な雇用環境を提供する観点から、この基本方針に基づき適切に措置をしていきたいというふうに考えております。

○塩川委員 この点、実際に、本当に障害者の雇用につながるというあり方として、具体化を求めていきたいと思っています。定員削減や定員合理化計画が障害者雇用の拡大を阻むことになってはならないわけで、そういった点でも、総人件費抑制方針を見直すということを求めていくものです。
 大臣に伺いますが、きょうやりとりしましたように、蓄積されるべき技能やノウハウが継承できない地方機関の実態や、定年延長、障害者雇用など、いずれも定員削減の定員合理化計画によって改善策がとれなくなる、こういう事態になっています。
 今、頻発する自然災害への対処ですとか、ブラック企業を監督する労働行政など、公務に対する国民の期待、要求が高まっております。それなのに、定員削減によって長時間過密労働が強いられ、職場の非正規、不安定雇用が増大をし、国民のニーズに応えることができないという事態にあります。
 大臣に問いますが、このような定員削減を押しつけてきた定員合理化計画は中止をすべきであります。また、二〇二〇年からの次期定員合理化計画はもう策定するべきではないと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

○宮腰国務大臣 国の行政機関の機構・定員管理に関する方針、これは平成二十六年の七月の閣議決定でありますけれども、この方針に基づきまして、平成二十七年度以降、行政機関全体で計画的に定員合理化に取り組んでいるところであります。
 この計画的な合理化の取組は、既存業務の見直しを進めることによって生まれた原資を活用し、新たな行政課題に対して必要な増員を行うものであります。
 現下の厳しい財政事情に鑑み、不断の業務の見直しを進める一方で、必要なところにはしっかりと定員を配置し、政府の重要課題に機動的かつ柔軟に対処できる体制の構築を図ることが基本であると考えておりますので、引き続き、現場の実情を始め、政策課題を丁寧に伺いながら定員管理を行ってまいりたいというふうに考えております。

○塩川委員 必要なところにしっかり人を配置するという話なんですが、もともとこの定員合理化計画は、今、平成二十七年から三十一年、この五年間が回っているところです。毎年二%、五年間で一〇%以上合理化するというのが定員合理化計画で、この間でいえば、ずっと純減が前提で行われてきているわけですよね。実際に減らされてきているという経緯もあったわけです。
 めり張りをつけるということで言われていますけれども、新規業務で増員要求を行った場合でも、既存業務の人員は削られ続けるわけです。既存業務の仕事というのが、減るどころかふえているような場合だって当然あるわけで、既存業務の人員が削られて、長時間労働が強いられ、健康被害が増加をしているという実態もあるわけですから。
 私は、こういった定員合理化計画をやり続けるのはそもそも無理なんだ、きっぱりとこれはやめようというのが現場の声であり、それでこそ公務公共サービスを国民の皆さんにしっかりと提供していく国家公務員の役割を果たせると思うんですが、改めていかがでしょうか。

○宮腰国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、現下の厳しい財政事情に鑑みまして、不断の業務の見直しを進め、必要なところにはしっかりと定員を配置し、そして万全を期していきたいというふうに考えております。

○塩川委員 定員合理化計画は撤回をし、定員の上限を規制する総定員法は廃止をする、定員管理の柔軟な運用で必要な要員を確保する仕組みに改めるということを求めて、質問を終わります。

 

【反対討論】

<第197通常国会 2018年11月16日 内閣委員会 4号>

○塩川委員 私は、日本共産党を代表して、国家公務員の一般職の給与法改正案に賛成、特別職の給与法改正案に反対の討論を行います。
 一般職の改正案は、本年八月の人事院勧告どおり、月例給や特別給の引上げ、宿日直手当や初任給調整手当を上げるものです。消費者物価指数の伸びを考慮しても不十分な水準ではありますが、実際に給与を引き上げるものであり、賛成とします。
 特別職の改正案について、我が党は、公務員の給与体系が内閣総理大臣、国務大臣、副大臣、政務官といった幹部職に厚いことから、その引上げに反対してきました。本案も、総理大臣などの特別給を引き上げることとなっており、反対であります。
 この間、給与制度の総合的見直しの実施により、高齢層を中心に一般職職員の給与が引き下げられている中で、総理大臣などの特別給を引き上げるべきではありません。
 また、総理大臣などは、二〇一四年四月以降、組閣のたびに給与の一部返納を申し合わせており、現内閣も申合せを継続しています。本案により特別給を引き上げることは整合性がとれず、一貫性のある措置ではありません。
 なお、特別職のうち秘書官の月例給、特別給を、一般職職員に準じ、引き上げることには賛成であります。
 最後に、政府は、公務員の定年延長に関して、「六十歳以上の職員の給与水準については六十歳時に比し一定程度引き下げることが適当」と論点整理しています。給与引下げありきで進めることは認められません。
 人事院は、地方機関の若年層が極端に少なく、業務遂行上の重大な支障が生じており、その要因は、「政府の総人件費抑制方針の下、」「継続的な定員削減や新規採用抑制の取組が進められてきた結果、」と年次報告書で指摘をしています。
 また、水増しにより問題となっている中央省庁の障害者雇用においても、定員削減、定員合理化計画が雇用拡大を阻む要因となりかねません。
 公務の現場で長時間過密労働、非正規雇用の拡大をもたらし、行政組織のゆがみをつくり出している総定員法、総人件費抑制方針、定員削減、定員合理化計画をやめ、必要な要員を確保する仕組みに改めるべきです。
 以上、討論を終わります。

【議運理事会】漁業法改悪案きよう審議入り/塩川・田村貴議員が批判【「しんぶん赤旗」掲載】

「しんぶん赤旗」11月15日付・2面より

 政府提出の漁業法改悪案が15日の衆院本会議で審議入りします。14日の衆院議院運営委員会理事会で決まりました。理事会で日本共産党の塩川鉄也議員は「漁業法を全面改定する重大な内容だ。営利企業参入を招き、沿岸漁業を圧迫するものだ」と批判しました。

 同日の衆院農林水産委員会では、日本共産党の田村貴昭議員が法案を「生産者の声に耳を傾けない官邸サイドからの一方的な提案だ」と批判しました。「漁民の声を聞け」との声がわき起こっていることを指摘し、「審議の前提となるまともな資料も出ていない。この短い会期中に漁業法を全面的に改悪することなど断じて認められない」と強調しました。

 漁業法改悪案は漁業協同組合(漁協)や地元の沿岸漁業者の生活を優先することで地域経済を支えてきた制度を見直し、利益を優先する企業参入を広げていくなど、戦後の漁業制度を根本から覆すものです。

 漁協や地元漁業者を優先してきた養殖・定置網の漁業権を、地元の頭ごしに企業に直接与え、地元優先のルールは廃止します。水面利用の調整役を担う海区漁業調整委員会を公選制から知事による任命制に変更します。個々の漁船に漁獲割当量を配分し、守らせるとしていますが、大規模漁業者を優先し、地域の漁業者の生活を無視して一方的な割り当てをおこなう懸念があります。

【内閣委員会】人事院の申出/給与減額ありきを批判

 人事院が8月10日に出した「定年延長に関する意見の申出」について質問。「意見の申出」は、国家公務員の定年を65歳まで段階的に引き上げ、60歳を超える国家公務員の年間給与を60歳前の7割の水準にするのが適当としています。

 給与水準を7割に引き下げる根拠をただすと、一宮なほみ人事院総裁は「厚生労働省の賃金調査と人事院の民間給与実態調査を用いた」と答弁。

 わたしは厚労省調査の対象は、いったん雇用契約が切られる再雇用が8割を占めている。定年延長後の給与の比較対象に使うのはふさわしくないと批判。

 また、人事院の民間給与実態調査で60歳を超える従業員の年間給与水準平均を60歳前の7割としていることについて、定年を61歳以上に引き上げている事業所のうち、給与減額を行っている事業所のみを選んで比較している。

 人事院は「その通り」と認めました。

 人事院の調査でも定年延長後も給与を下げていない事業所の割合は6~7割ある。給与引き下げありきの議論を批判しました。

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「議事録」

<第197通常国会 2018年11月14日 内閣委員会 3号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 きょうは、定年延長に関連して、宮腰大臣、そして人事院総裁にお尋ねいたします。
 最初に、人事院総裁に定年延長に関する意見の申出についてお尋ねをいたします。
 人事院は、国家公務員の定年を段階的に六十五歳に引き上げるという意見の申出を行いました。「六十歳を超える職員の年間給与は、六十歳前の七割の水準に設定することが適当」としていますが、その根拠は何か、御説明ください。

○一宮政府特別補佐人 国家公務員の給与は、社会一般の情勢に適応するように変更することとされております。
 民間企業の六十歳を超える従業員の給与の状況を厚生労働省の賃金構造基本統計調査で見ますと、公務の行政職俸給表(一)の適用を受ける常勤職員と類似する管理・事務・技術労働者のフルタイム、正社員の六十歳代前半層の年間給与は、五十歳代後半層と比較して七割程度となっております。
 また、本院が本年実施した職種別民間給与実態調査においても、定年を六十歳から六十一歳以上に引き上げている事業所のうち六十歳時点で従業員の給与の減額を行っている事業所における六十歳を超える従業員の年間給与水準を見ますと、平均で六十歳前の七割台となっております。
 これらの民間企業における高齢層従業員の給与の状況を踏まえ、定年引上げ後の六十歳超職員の年間給与は、当面、六十歳前の七割の水準に設定することが適当であると判断したところでございます。

○塩川委員 厚生労働省と人事院の調査を踏まえて七割程度としたということですが、ただ、その中身をきちっと見ておく必要があると思います。
 最初に、厚生労働省の賃金構造基本統計調査ですけれども、これは定年延長の話なんですけれども、この賃金構造基本統計調査というのは再雇用も含んでいる数字ではありませんか。

○一宮政府特別補佐人 おっしゃるとおり、先ほど申し上げた賃金構造基本統計調査の数値には、再雇用者も正社員であれば含まれることとなります。
 一方、定年が六十歳を超える事業所等の割合は低く、多くの民間企業においては再雇用制度により対応しているということを踏まえますと、現時点では、定年を引き上げた企業の状況だけでなく、再雇用の従業員も含む正社員全体の給与水準を参考に六十歳超の職員の給与水準を設定することが適当と考えております。

○塩川委員 再雇用なわけですから、一度切れているわけですよ。定年延長の話じゃないんですよね。
 こういった賃金構造基本統計調査では、六十五歳までの定年延長が一七%、定年がないのが二%とか、再雇用が八割とかになっているということですけれども、今言ったように、八割が再雇用の例ですから、これを定年延長の話の資料で挙げるというのは妥当なものとは言えない、定年延長の給与について比較するのにふさわしくないんじゃないかと思うんですが、人事院総裁、いかがですか。

○一宮政府特別補佐人 先ほども申し上げましたように、定年が六十歳を超える事業所等の割合が低く、多くの民間企業において再雇用制度によって対応しているということを踏まえると、現時点では、定年を引き上げた企業の状況だけでなく、再雇用の従業員も含む正社員全体の給与水準を参考に六十歳超の職員の給与水準を設定することが適当であると考えたところでございます。

○塩川委員 定年延長の議論の際の資料としてやっているわけですから、再雇用の話を持ち出せるんだったら、では、今の再任用の話と比較するような話じゃないですか。公務における再任用と比較するのであればまだしも、公務の定年延長の話なんですよ。そういう際に、民間はどうかといったときに、再雇用を含むような、それが八割を占めるようなこういった資料をもとに議論するというのは、これはそもそも定年延長の数字として妥当なものではないということははっきりしていると思います。
 もう一つ挙げている人事院が実施をした職種別の民間給与実態調査ですけれども、これは、「定年を六十歳から六十一歳以上に引き上げている事業所のうち六十歳時点で従業員の給与の減額を行っている事業所における六十歳を超える従業員の年間給与水準について見ると、平均で六十歳前の七割台となっている。」ということなんですが、ここで説明があったように、定年延長をしている事業所のうち六十歳時点で給与を減額している事業所だけをとって比較をしているわけですよね。そういうことですよね。

○森永政府参考人 お答えいたします。
 先ほど委員が述べられました意見の申出の根拠につきましては、おっしゃるとおり、減額をしている企業の数字の平均値でございます。

○塩川委員 そうすると、定年を六十歳から引き上げた事業所において、給与減額ありの事業所の割合と給与減額なしという事業所の割合はどういうふうになっていますか。

○森永政府参考人 お答えいたします。
 定年を六十歳から引き上げた事業所において一定年齢到達を理由に給与減額を行った事業所の割合は、課長級で三七・五%、非管理職で三二・三%となってございまして、給与減額を行っていない事業所の割合は、課長級で六二・五%、非管理職で六七・七%となってございます。

○塩川委員 つまり、人事院の調査でも、定年延長をしている民間事業所を調べた場合に、給与減額を行っている事業所というのが三割から四割と少数なんですよね。一方、六割、七割を占める給与減額なしのそういった事業所については、これは比較の対象から外しちゃっているわけですよ。
 減らす方のところだけ取り出して、六割、七割を占める多数の給与減額なしという事業所との比較は脇に置いてしまっている。これはおかしいんじゃないですか。いかがですか。

○一宮政府特別補佐人 定年が六十歳を超える事業所等の割合は一三・〇%であり、多くの民間企業はいまだ再雇用制度により対応しているということも踏まえますと、定年が六十歳を超える事業所等の状況のみを参考に六十歳を超える職員の給与水準を設定することは適当ではないと考えております。
 他方、六十歳を超えて引き続き同一の職務を担う場合は、本来、給与水準が維持されることが望ましいこと等から、六十歳を超える職員の給与水準の設定につきましては、当分の間の措置として位置づけております。
 今後、民間企業における定年制や高齢層従業員の給与の状況等を踏まえ、六十歳前の職員の給与カーブも含めてそのあり方を引き続き検討することとしたいと考えております。

○塩川委員 給与カーブの話で、中高年を引き下げて何となくならすような話というのは、これは受け入れられない話なわけです。
 当分の間の措置と言いますけれども、当分の間というので未来永劫やっているような制度なんて山ほどあるわけですから、当分の間なんという言葉でこれはあたかも時限であるかのように言われるというのは、こんなのは是認することができないわけであります。
 意見の申出の中でも、「六十歳を超えても引き続き同一の職務を担うのであれば、本来は、六十歳前後で給与水準が維持されることが望ましい。」と言っているわけじゃないですか。だから、当分の間という形で、これがずっと続くわけじゃないかのように言うんだけれども、当分の間はずっと続く制度になっているところも多々あるので、これで引き合いに出してほしくはないんですけれども。
 ここに言っているように、「六十歳を超えても引き続き同一の職務を担うのであれば、本来は、六十歳前後で給与水準が維持されることが望ましい。」これはもっともな話だと思うんですけれども、そうですよね。ここの立場でやるということが、本来、基本じゃないですか。

○森永政府参考人 国家公務員の給与につきましては、国家公務員法により、社会一般の情勢に適応するようにと、情勢適応の原則を定めておりまして、民間の動向等を踏まえて適切に設定していく必要があるということでございまして、給与に対する国民の御理解でございますとか、納税者の、税金の使い道としての国民の目等もいろいろ考慮しまして、現時点では、意見の申出のように、当分の間の措置として七割の水準を設定した上で、今後の民間の動向をしっかりと把握して、今後必要な見直しを進めてまいりたい、そういうふうに考えてございます。

○塩川委員 いやいや、だから、比較の対象としておかしいんじゃないですかということをただしているわけで、厚労省の場合でいえば、定年延長の議論のはずなのに、再雇用が八割というデータをもとに比較する、それで七割ですよと言われても、これは納得いく話ではありませんし、人事院の調査でいえば、定年延長をしている民間事業所のうち給与を減額しているところだけを取り出して七割程度ですと。
 つまり、下げるということありきでの議論になっている。そこがおかしいんじゃないですか。そう思いませんか。

○森永政府参考人 先ほど総裁からも御答弁いたしましたけれども、定年が六十歳を超える事業所等の割合は一三%にとどまってございまして、多くの民間企業はいまだ再雇用制度により対応しているということも踏まえますと、定年が六十歳を超える事業所等の状況のみを参考に、六十歳を超える職員の給与水準設定をすることは適当でないと考えているところでございます。

○塩川委員 そこは慎重に考えないといけないと思いますよ。だって、官の方がそういうふうに決めたら、民間がそれに学ぶという話になっちゃうじゃないですか。こういった形で、一方的にこういう数字を決めるようなことというのを、減額ありきの議論ということは絶対おかしいんですよ。
 それって、人事院のそもそもこの検討そのものが、政府からの要請を受けてのものですよね。政府の公務員の定年の引上げに関する検討会、この論点整理の中で、「六十歳以上の職員の給与水準については六十歳時に比し一定程度引き下げることが適当」だと。要するに、そもそも、引き下げてくれということを踏まえた検討になっているからじゃないですか。

○一宮政府特別補佐人 確かに、政府の方からの要請はございました。しかしながら、人事院といたしましては、平成二十三年に既に意見の申出をしておりまして、そのときも同様の意見の申出になっております。

○塩川委員 政府全体として、人件費の抑制方針を持っているということが大前提にあるわけです。
 宮腰大臣にお尋ねをいたしますけれども、率直に言って、給与引下げありきじゃないのかということが問われている。今申し上げましたように、政府の公務員の定年の引上げに関する検討会論点整理で、「六十歳以上の職員の給与水準については六十歳時に比し一定程度引き下げることが適当」としている。こういうことを前提に給与引下げありきで進めるようなことというのは、絶対認めることができない。その大もとにある総人件費抑制方針そのものをもうやめるときじゃないのか。担当大臣として、そのことについてお答えをいただきたい。

○牧原委員長 宮腰大臣、申合せの時間が来ておりますので、答弁は簡潔にお願いします。

○宮腰国務大臣 お答え申し上げます。
 本年二月の論点整理におきましては、これは、公務員の定年の引上げに関する検討会の中で種々検討されてきた、その論点の整理を出したものでございます。
 御指摘のとおり、「給与制度については、人事院勧告事項であるという前提の下、国民の理解を得るためには、民間給与水準との均衡の確保及び総人件費の増加の抑制の必要性を踏まえたものとする必要がある。」ということ、「こうした基本的な考え方の下、」「六十歳以上の職員の給与水準については六十歳時に比し一定程度引き下げることが適当ではないか」という論点をお示しした上で、同日、二月十六日付で人事院に検討を要請したところであります。
 本年八月の人事院の意見の申出におきましては、六十歳を超える職員の給与について、第三者機関である人事院において、専門的な見地から判断されたものというふうに認識をいたしております。

○塩川委員 七割、削減前提で話を進めるというのは断固反対であります。総人件費抑制方針の撤回を求めて、質問を終わります。