【衆院本会議】TPP11関連法案可決/「経済・食料主権を侵害」本会議で反対討論

 米国を除く11力国が署名した環太平洋連携協定(TPP11)関連法案の採決が衆院本会議で強行され、自民党、公明党、維新の会の賛成で可決されました。日本共産党、立憲民主党、国民民主党、無所属の会、自由党、社民党は反対しました。

 TPP11は、TPPを丸ごと組み込んだものであり、国会決議に真っ向から反する。経済主権や食料主権を侵害するもので、断じて認められない――と反対討論しました。

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反対討論は以下の通りです。


 私は、日本共産党を代表して、TPP11関連法案に断固反対の立場から討論を行います。

 何よりまず、本法案の質疑を短時間で打ち切り、採決を強行したことに厳しく抗議するものです。本法案の審議に対し野党は、関係委員会との連合審査、テーマ別審議、中央・地方公聴会、参考人質疑、さらなる総理質疑などを求めてきました。

 このまま審議を打ち切れば、アメリカが抜けたTPP11が、日米の「新協議」と相まって、日本経済と国民生活にどのような打撃を与えるのか、国民に問題点を明らかにできず、国会の責務を果たしたとは到底言えません。

 TPPは、2年前の国会でも国民の厳しい批判にさらされ、審議中にアメリカが離脱したにもかかわらず、政府・与党が採決を強行したものです。今回のTPP11は、この間のわずかな審議でも、重大な問題点が明らかになっています。

 TPP11は、TPPを丸ごと組み込んだものであり、TPPと同様、米、牛肉・豚肉、乳製品など重要五項目を関税撤廃交渉から除外することを求めた「国会決議に真っ向から反する」ものであります。経済主権や食料主権を侵害するもので、断じて認めることはできません。

 そもそもTPPは、国境を越えてもうけを追求する多国籍企業の活動を後押しするものです。関税の原則撤廃や投資の自由化、規制緩和を行おうとするその本質は、そのままTPP11でも維持されています。多国籍企業が投資先国を提訴するISD条項、食の安全や金融サービス等などの危険性も基本的に変わっていません。情報開示や説明はまったく不十分であり、到底みとめることはできません。

 また、政府はTPP11による農業生産の減少は「ない」とする試算を発表しましたが、この政府試算は「影響がないように対策するから影響がない」と言っているにすぎません。対策を検討するための試算になりえないことは明白であります。

 さらに、4月の日米首脳会談で、日米経済対話に加えて新たな経済協議の枠組み「FFR」創設に合意したことは重大です。

 安倍総理は、わが党の笠井議員の質問に対し「TPPですでに譲歩しているもの以上は譲歩できない」と答弁しましたが、TPP交渉で日本が『国際公約』したとみなされる関税・非関税措置撤廃を出発点に、「日米新協議」でさらなる譲歩を迫られることは明らかです。

 すでに日米経済対話で、USTR(米国通商代表部)が公表している「外国貿易障壁報告書」の要求項目に対し、具体的な措置が取られました。さらに、USTRは、BSE(牛海綿状脳症)問題は解消したとして、牛肉市場の完全な開放を求めています。アメリカの要求を受け入れ、食の安全基準を損なうことなど断じて認められません。

 日米の「新協議」は、アメリカの身勝手な「貿易障壁」撤廃を受け入れる場となり、さらには日米FTA(自由貿易協定)へとつながるものとなります。日本経済と国民生活に大打撃を与えることは必至であります。

 安倍総理は、TPP11は「成長戦略の柱」だといいます。しかし、その路線が導く先は何か。TPPは、日米の多国籍企業が、アジア・太平洋地域で自分たちが儲けられるルールを広げたい、ということが本質です。この路線は、一握りの大企業を肥え太らせ、各国で国民の貧困と格差を拡大させるものでしかありません。

 日本が進むべき道は、TPP、TPP11、「日米新協議」ではありません。各国の経済主権や食料主権を尊重し、平等・互恵の貿易ルールづくりによって経済関係を発展させる道にすすむことであります。このことを強調し、反対討論を終わります。

【内閣委員会】事業者の規制こそ/ギャンブル依存症対策法案で

 ギャンブル依存症対策基本法案に関し、立民・無所属の会・自由・社民案について質問し、依存症対策に必要なものは射幸性の抑制や広告の規制など事業者そのものに対する規制強化だと主張しました。

 同法案は、カジノ解禁の具体化と一体の自民・公明・維新案と、カジノ推進反対の立民・無所属の会・自由・社民案の両案が審議されています。

 わたしが4野党・会派案と自公維案の最大の違いを尋ねると――法案提出者の初鹿明博衆院議員(立民)は、射幸性の抑制や入場制限などの措置を講ずる内容の検討規定を設けたことだと説明しました。

 検討規定にある「ギャンブル関連事業者の広告宣伝の在り方」について、現状認識と規制のあり方をただすと。

 初鹿氏は、パチンコなどへの依存に対する注意喚起は業界任せであり、駅や電車など公共の場で大量広告されているのが現状だと発言。広告の時間帯や量、場所について規制する必要があると答えました。

 依存症対策に必要なことは、射幸性の抑制や広告の規制、立地規制など依存症の発生を防止するギャンブル事業そのものへの規制強化だ。とくに依存症の大半を占めるパチンコに対する規制強化を進めるべきだ。ましてや、新たにギャンブルを広げることになるカジノ解禁は断じて認められない。

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「議事録」
<第196通常国会 2018年05月24日 内閣委員会 20号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 三人の参考人の皆さんには、それぞれ貴重な御意見を賜り、ありがとうございます。
 私の方からは、やはりギャンブル依存症の問題を考える際に、今政府が提出をして審議に入っておりますIR実施法案、カジノの解禁について、まずお尋ねをしたいと思っております。
 三人の皆さんにそれぞれお尋ねしたいんですけれども、やはり、ギャンブル依存症者を減らそうという今回の法案ではありますけれども、新たにギャンブルをつくるという仕組みになるわけです。そういう点で、制度設計上、世界最高水準のカジノ規制ということも言われているんですけれども、このIR実施法案におけるカジノ規制についての評価について、お三方にそれぞれお答えいただけないでしょうか。

○西村参考人 この会は、いわゆる依存症対策のところなので、カジノの規制について私がお答えするのはどうかと思うんですが。
 現在、実施法等の中で依存症対策という名前の中で行われているものが、一体どの程度本当に実効性があるのか。それから、海外での対策をしてきたエビデンスのレベル、また研究者の目から見ると、やはりかなり奇異に見える部分があるというところがあります。そこはやはり、世界最高水準ということ、国内の事情もありますが、世界の評価というときには、これはどうなのかなというのは正直感じる部分はあります。
 あとは、カジノというのとIRというのは本来私は別のものだと思っておりまして、IRのないカジノもありますし、IRのあるカジノもありますし、カジノのないIRもあるので、そこの部分は少し、規模もあるので、一つを置いて全てカジノの中の対策、依存症対策というと、余りにもざっくりし過ぎていて、今度、国内における規模の中におけるフロア内の問題か地域の問題かというふうに少し分けていかないと、なかなかこの問題の規制の効果というのを評価するのは難しいかなというふうに思っております。

○田中参考人 ありがとうございます。
 実は先生、私、はまったギャンブルが競艇とカジノなんですね。なので、カジノのことはすごく本当にかつて大好きだった人間として申し上げますが、入り口でやられている規制、いろいろ出てきている規制というのは、あれはギャンブラーにとって余り意味がないかなというふうに思っています。
 六千円の入場料みたいなものというのは、こちらは、やはりカジノに行ったときは何十万、何百万取り返してやろうと思って行っているので、六千円ぐらい取ったからといって、別にどうということないなというふうに思っちゃうんですね。
 あとは、入場規制といっても、本当に月何回というのが果たして効果があるのか。日本には、それこそ闇カジノもたくさんありますし、やろうと思えばオンラインカジノもありますし、そもそも海外に行けばいいことなので、あの入場回数の制限というのが果たして効果があるのかなというふうにも思っています。
 唯一、入り口の規制で効果があるなというふうに思うのは、家族と本人の申告です。あれは、やはり海外でもエビデンスありますよ。私たちの経験からいっても、あれは効果があるんじゃないかなというふうに思っているんですね。
 何よりも、何かお金の話ばっかりして、あいつ、金が欲しいのかなと思われていないかと思ってちょっと心配なんですけれども、やはり海外のカジノというのは、〇・一%から〇・五%の、売上げからギャンブル依存症対策費に回すという明示があるんですね。でも、今度の制度設計でもやはりそれがないということで、結局、公益に回すみたいな感じになっているんですけれども、その公益の中にギャンブル依存症対策が入っていないわけですよね。なので、私たちとしては、そこが一番片手落ちじゃないかなというふうに思っております。
 元ギャンブラーの経験からですけれども、以上です。

○三上参考人 入場回数制限について、一週間三回、月十回という制限が依存症対策になるのかどうか、入場料六千円という金額がカジノ施設に安易に入場することを抑止する効果を持つのかということについては、非常に疑問を持っておりますし、そういう依存症対策としての効果があるとは言えないんだろうというふうに思っております。
 何よりも、今ここで依存症対策基本法案について審議されて、依存症というのが非常に深刻な問題になっているということを踏まえて、これから基本計画をつくって各種の取組を進めていこう、実態把握等をやっていこうというときに、新たにカジノをつくって新たな依存症の人をふやしていくというのは、非常に大きな矛盾なんだろうというふうに思っております。
 以上です。

○塩川委員 それぞれ貴重な御意見をいただき、ありがとうございます。
 私は、きのうの質疑の中でも、法案の提出者の方々に、この法案はギャンブル依存症の方を減らしていこうという法案ですねということを、そうですという確認をいただいたわけです。その場合に、既存の公営ギャンブルやパチンコなどもある、それに新たに、刑法で禁じられている賭博を解禁する、カジノを導入するということは、これは相入れないんじゃないですかということもお尋ねしたんです。
 ですから、今回の法案とまさに密接にかかわっているのがカジノ解禁を核とするIR法案であるわけです。私、率直に、カジノを解禁すれば、新たなギャンブル依存症者をふやすことにつながると思いますので、お三方にお尋ねしますが、こういったカジノ解禁はやめるべきではないかと思うわけですけれども、お三方の御意見をお聞かせください。

○西村参考人 これにつきましては政治的な判断ですので、どうあるべきかというのはなかなか難しいんですが、ただ、対策をとっている側としては、現実問題、カジノができたエリアで対策を重点的にやっているところでの、ギャンブルの依存の問題を持っている人たちが開設前よりも減っていくという問題、それから治安の改善等々、やはり産業がある程度地域に投資をしていくということで社会問題をある意味起こす部分と抑止する部分というものが、これは両方、両面あると思うんですね。
 いかにその部分がバランスよくされるかであって、それが基本的に、カジノであろうが町の工場であろうが、どんな産業であれ、そこに来れば、例えば、私は沖縄にいますが、沖縄はインバウンドで今経済を活性化させております。その結果、何が起こっているかというと、今、感染症の問題が出ております。これは引き受けざるを得ない問題なんですね。
 何をとるかというのは、それは今後の、国益の問題であって、その中の一つとして、カジノというよりもIRというものを使う、そこは、やはりそれなりの覚悟の上で対策をしていくということであれば、いかにイニシャルの、今ある問題をより減らす。さらに、ギャンブルだけではなくて、他の、福祉財源がなくなっていく中でこれを活用するか、そこは知恵の問題であって、純粋にカジノがよいか悪いかという話だけでやはり議論するべきではないというふうに思っております。

○田中参考人 ありがとうございます。
 私も、本当にギャンブル依存症者として思うことは、やはり、もしカジノができたとしたら、相当今ある既存ギャンブルに対しても規制がかけられるようであれば、総体的にギャンブル依存症を減らすことができるというふうには思います。
 例えば、今マイナンバーで管理するみたいなことがカジノで出ていますけれども、あれを、マイナンバーとかはやめて、もうちょっと出回っている運転免許証とかその程度の身分証明書で、パチンコとか競馬とか公営競技にもきちんと、機械を開発して年齢制限なんかをきっちりできるぐらいのことまでできれば、総体的にギャンブル依存症を減らすということはできるんじゃないかなというふうには思っています。
 息抜きとしてギャンブルということを楽しみたい人たちがいるという気持ちは本当に重々わかるんですけれども、本当に依存症対策がどの程度できるかというところ、そこがどこまで踏み込めるかということがカジノの是非にかかっているのではないかなというふうに思っております。

○三上参考人 先ほど述べましたけれども、依存症対策についてこれからやっていこうというときに新たなカジノ施設をつくることは矛盾であるというふうに私は考えておりますし、少なくとも、今、特定複合観光施設区域整備法案として提出されているものについては、依存症対策は不十分であるというふうに言わざるを得ない内容だと思っていますので、これをつくることによって依存症の人が減るということはあり得ないだろうというふうに思っております。
 カジノについて、高い経済効果が期待されていると言われていますけれども、そこで期待される経済効果の中身は何かというと、突き詰めれば、単純に言えば、ギャンブルで負けた人のお金ということになるわけで、依存症の人をふやしていくことによって経済効果を上げる。それだけの経済効果を上げるためには、それだけ多くの人の生活が破壊されることになる。人の不幸をもとにして経済効果を上げるという経済政策でいいのかどうかということについては、私は反対意見を持っております。
 以上です。

○塩川委員 ありがとうございます。
 次に、田中参考人にお尋ねします。
 依存症者の団体をつくられて、支援を行っておられる。そういう点では、アルコールと薬物とそしてこういったギャンブルと、それぞれ団体の方がやっていらっしゃる、いろいろな努力をなされておられるわけです。
 そういった依存症に係るような、そういう自主的な運動をされておられる方同士の連携といいますか、それぞれの役割とそういう連携と、その持つ意味も大きいのではないかなと思うんですが、そういう点での体験、経験などを踏まえて、お聞かせいただけないでしょうか。

○田中参考人 ありがとうございます。
 本当に、カジノのこの問題が出てギャンブル依存症対策ということが言われるようになって、初めて私たちも、アルコール、薬物、ギャンブルの御家族が連携するということが始まったばかりなんですね。
 それで、やはりギャンブルの基本法ができたら、アルコールはできたし、ギャンブルはできたし、次は薬物というふうに、私たち、悲願として考えております。そして、依存症ということが包括的に社会の中で認知されていけばありがたいなというふうに思っております。
 ただ、薬物の御家族というのは、なかなか声を上げたりとか、やはり違法であるということがあるので、顔出しで発言したりということはできないので、アルコールとかギャンブルの家族がその分を助けていくというようなことは必要ではないかなというふうに思っている。
 やはりアルコールに関しては社会が受け入れている部分というのもすごく多くて、それがよしあしなんですけれども、アルコールというのはたくさんの味方がいるんですね。お医者さんもたくさんかかわっていらっしゃいますし、何より議連もありますし、ほかにも、長い歴史があって、断酒会さんという地域に根差した活動をされている方たちがいて、またそういう方たちがたくさんの連携や知恵を持っておられるということがあるので、私たちのような、本当に今始まったばかりのギャンブルとか、あと、なかなか声を上げられない薬物というのは、アルコールの方々が敷いたレールに乗るというか、そこで耕していただいた土壌を使わせていただくということで、大変恩恵を受けております。

○塩川委員 ありがとうございます。
 三上参考人にお尋ねいたします。
 日弁連のギャンブル依存対策推進に関する意見書で、ギャンブルとの物理的、精神的近接性の排除をギャンブル依存対策の重要な柱の一つとすべきことという話のところであります。
 依存症が疑われる方々に対してのさまざまな相談活動ですとか支援を行うと同時に、やはりギャンブル事業者に対する規制というのをしっかり行っていくということが必要だろうと思うんですけれども、こういう点で幾つかの例示もされておられるわけですが、その中身はどのようなものなのか、また、その意味するところがどういうことなのか、こういうことについて御説明いただけないでしょうか。

○三上参考人 やはり依存症対策、予防という意味で一番大切なのは、今のように、時間的、場所的に、いつでもどこでもギャンブルが身近にあるという状況を変えていく必要があるのではないかというふうに思っております。
 そういう意味では、ギャンブル事業者のCMがテレビで普通に流されていると子供も目にするということがあり、駅前のすぐ近くにパチンコがあって、そこからにぎやかな音が聞こえてきて、子供と一緒にその目の前を通るというようなことがあり、子供のころから身近にギャンブルがあるという状況で育っていくことについては、非常に問題が大きいのではないかというふうに思っておりますというのが一点です。
 もう一点は、入場回数制限等入場制限という問題になってきますけれども、やはり全てのギャンブルを包括した形での入場回数制限等というのはあるべきだと思いますし、自己申告、家族申告による制限というものも、カジノだけではなくて全てのギャンブルを包括したものとしてやっていく必要があるんだろう。
 あるいは、収入に応じてかけ金額の上限を決めるとか、いろいろ、いつでもどこでも簡単にギャンブルができるという状況を変えていくためにやらなければいけないことはたくさんあるんだろうというふうに思っております。

○塩川委員 実際に依存症で大きな比重を占めるのはパチンコですけれども、パチンコは一万店舗ある、こういった出店規制のような、そういった取組についてはどのようにお考えでしょうか。

○三上参考人 出店規制というのもあるべきだろうと思っております。
 出玉規制ということがやられましたけれども、出玉規制ということよりも、やはり、どこに行っても何軒もパチンコが目の前にあるという状況でいいのかどうかということについて、風俗営業法の中でも、もうちょっと今の状況というのは、学校の近くにも駅の近くにも、どこにでもパチンコが並んでいるというのは変えなければいけないのではないかというふうに思っております。

○塩川委員 終わります。ありがとうございました。

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 私は、きょうは、立憲民主党、無所属の会、自由党、社会民主党提出のギャンブル依存症対策基本法案について、提出者にお尋ねをいたします。
 最初に、自公維の案と野党の案、この一番の違いは何なのか、この点についてお尋ねをいたします。

○初鹿議員 御質問ありがとうございます。
 昨日から何度も答弁させていただいておりますが、やはり大きな違いとして、我々野党案の方は、民間から支援を受けるギャンブル依存症の患者等及びその家族の経済的な負担を軽減するための施策が盛り込まれているところでございます。この点は、先ほどから御答弁があるように、自公維案には盛り込まれていないところであります。
 それと、加えて、我々野党案では、附則第二項において検討規定を設けており、そこには、政府が、射幸性の抑制、未成年者等の入場制限の方策等の事項について検討し、遅くとも法律の施行後三年以内に必要な措置を講ずるものとしております。
 この中でもとりわけ、附則第二項第六号に規定をします、ギャンブル関連事業者のギャンブル依存症対策に係る費用負担の検討が我々は重要であると考えております。ここは昨日からかなり議論になっておりますが、自公維案の提出者の皆様方は否定的であるところですけれども、我々はこの点が非常に重要であると考えております。
 やはり、ギャンブル関連事業者の方は、ギャンブル依存症の発生等の原因になり得る事業を行っていて、そして収益を得ているわけですから、その収益の中から資金を拠出することは妥当であるというふうに考えております。

○塩川委員 今御説明がありました中で、経済的負担の軽減についてお尋ねします。
 第十九条に、国及び地方公共団体は、民間による支援を受けるギャンブル依存症の患者等及びその家族の経済的負担を軽減するために必要な施策を講ずるものとありますが、具体的にどのような措置を考えておられるのか、お尋ねします。

○初鹿議員 どうもありがとうございます。
 まず、現状において、ギャンブル依存症の患者等や家族が民間団体等による支援を受けるためには、費用は基本的には自己負担になっております。そのため、その費用が患者等の生活を圧迫し、それによって患者等が支援を受けることをちゅうちょするおそれが生じています。
 そこで、この条項を設けているわけですけれども、具体的には、民間団体への助成等により、間接的に患者等の経済的負担を軽減するだけではなくて、患者等やその家族への直接的な経済的支援を行うことを想定しております。例えば、障害福祉の施策の中に組み込むとか、直接本当に現金を渡すというやり方ではない形の直接的な支援ということもあり得るのではないかというふうに考えておりますので、その点は今後の検討だというふうに思います。

○塩川委員 続けて、附則の検討項目にありますギャンブル関連事業者の広告宣伝のあり方に関して、現状認識及び規制のあり方についてお考えをお聞かせください。

○初鹿議員 この点は非常に私も重要だというふうに思っております。
 アルコール健康障害基本法でも広告規制というのは非常に議論になっておりまして、中谷先生もいらっしゃいますが、なかなか、事業者側からすると、広告に規制をするということには抵抗があるわけであります。
 ただ、現状を申し上げますと、パチンコ事業者の方々は、例えば新聞に折り込む広告や、駅等でティッシュを配ることがありますよね。そういうティッシュや、最近だと、駅に出ているでっかい看板の中にも、のめり込みには注意しましょうという注意喚起文を添えていることが多くなっているわけです。
 ただ、これは業界での自主規制のために、頑張ってそうやって前向きにやっている事業者もいれば、そうじゃないところもいるわけであって、やはりここは統一して対応するようなことが必要だというふうに思います。
 また、今度の日曜日が日本ダービーの開催なわけですね。きのうも、私は東京の議員なので電車で帰宅をするんですが、電車のドアの上に今モニターがありますよね。そこで日本ダービーの広告が流されるわけです。場合によっては、駅全体がJRAの広告になるときがありますよね。年末の有馬記念のときなんかは、渋谷の駅に行くと、ここは一体どうなったんだみたいなことになるわけです。
 むしろ民間のパチンコ事業者がそれだけ意識をしているのに、公営競技の方は全く意識もなく、ちゅうちょもなく広告を打ち出しているということは、私は非常に問題が多いのではないかというふうに考えております。
 ですので、我々は、検討事項の中にギャンブル関連事業者の広告宣伝のあり方というものを掲げておりまして、ポスターやウエブサイトにおいて普及啓発や注意喚起を促進するということと、やはり時間帯や広告の量や場所などについてきちんと規制をしていくことは必要ではないかというふうに考えております。

○塩川委員 ありがとうございます。
 やはり、ギャンブル依存症の発生を抑制するためには、ギャンブル事業者の事業そのものへの規制強化が必要だと考えます。
 ギャンブル依存症対策として必要なことは、ギャンブル事業者に対して、射幸性の抑制や広告の規制、立地規制など、依存症の発生を防止する、ギャンブル事業そのものへの規制強化であります。特に、依存症の大半を占めるパチンコに対する規制強化を進めるべきだと考えます。
 ましてや、新たにギャンブルを広げることになるカジノ解禁は断じて認められないということを申し添えて、質問を終わります。

【内閣委員会】ギャンブル依存症対策/予防が重要/事業者への規制を

 ギャンブル(等)依存症対策基本法案について参考人質疑。

 意見陳述で、日本弁護士連合会カジノ・ギャンブル問題検討ワーキンググループ事務局長の三上理氏は「ギャンブル依存症対策として、依存症の進行の防止や回復ももちろん大切でありやらなければならないことだが、一番大切なことは予防であり、新たに依存症者を生み出さないことだ」と述べました。

 公益社団法人ギャンブル依存症問題を考える会代表理事の田中紀子氏は「依存症対策予算は6.1億円(2018年度)。そのうち民間団体への支援は1800万円しかない。民間団体は大きな役割を果たしているが、あまりにも公的支援が少ない」と述べました。

 わたしは、カジノを解禁すれば、新たな依存症者を増やすことにつながるのではないか――と質問。

 三上氏は「依存症対策について法律を作って、対策を進めていこうというときに、新たにカジノを作って、新たな依存症の人を増やしていくというのは非常に大きな矛盾だ。カジノが経済対策として効果があるという意見があるが、カジノの儲けは負けた人のお金であり、人の不幸をもとにした経済政策には反対だ」と述べました。

 さらに、依存症対策には、ギャンブル事業者への規制が必要ではないか――と質問。

 三上氏は「予防として一番大切なことは、時間的・場所的にいつでもどこでもギャンブルが身近にある状況を変えることだ。公営ギャンブルやパチンコなど、すべてのギャンブルを対象にした入場制限や自己申告・家族申告の制限などに加え、パチンコの出店規制も必要だ」と述べました。

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「議事録」
<第196通常国会 2018年05月24日 内閣委員会 20号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 三人の参考人の皆さんには、それぞれ貴重な御意見を賜り、ありがとうございます。
 私の方からは、やはりギャンブル依存症の問題を考える際に、今政府が提出をして審議に入っておりますIR実施法案、カジノの解禁について、まずお尋ねをしたいと思っております。
 三人の皆さんにそれぞれお尋ねしたいんですけれども、やはり、ギャンブル依存症者を減らそうという今回の法案ではありますけれども、新たにギャンブルをつくるという仕組みになるわけです。そういう点で、制度設計上、世界最高水準のカジノ規制ということも言われているんですけれども、このIR実施法案におけるカジノ規制についての評価について、お三方にそれぞれお答えいただけないでしょうか。

○西村参考人 この会は、いわゆる依存症対策のところなので、カジノの規制について私がお答えするのはどうかと思うんですが。
 現在、実施法等の中で依存症対策という名前の中で行われているものが、一体どの程度本当に実効性があるのか。それから、海外での対策をしてきたエビデンスのレベル、また研究者の目から見ると、やはりかなり奇異に見える部分があるというところがあります。そこはやはり、世界最高水準ということ、国内の事情もありますが、世界の評価というときには、これはどうなのかなというのは正直感じる部分はあります。
 あとは、カジノというのとIRというのは本来私は別のものだと思っておりまして、IRのないカジノもありますし、IRのあるカジノもありますし、カジノのないIRもあるので、そこの部分は少し、規模もあるので、一つを置いて全てカジノの中の対策、依存症対策というと、余りにもざっくりし過ぎていて、今度、国内における規模の中におけるフロア内の問題か地域の問題かというふうに少し分けていかないと、なかなかこの問題の規制の効果というのを評価するのは難しいかなというふうに思っております。

○田中参考人 ありがとうございます。
 実は先生、私、はまったギャンブルが競艇とカジノなんですね。なので、カジノのことはすごく本当にかつて大好きだった人間として申し上げますが、入り口でやられている規制、いろいろ出てきている規制というのは、あれはギャンブラーにとって余り意味がないかなというふうに思っています。
 六千円の入場料みたいなものというのは、こちらは、やはりカジノに行ったときは何十万、何百万取り返してやろうと思って行っているので、六千円ぐらい取ったからといって、別にどうということないなというふうに思っちゃうんですね。
 あとは、入場規制といっても、本当に月何回というのが果たして効果があるのか。日本には、それこそ闇カジノもたくさんありますし、やろうと思えばオンラインカジノもありますし、そもそも海外に行けばいいことなので、あの入場回数の制限というのが果たして効果があるのかなというふうにも思っています。
 唯一、入り口の規制で効果があるなというふうに思うのは、家族と本人の申告です。あれは、やはり海外でもエビデンスありますよ。私たちの経験からいっても、あれは効果があるんじゃないかなというふうに思っているんですね。
 何よりも、何かお金の話ばっかりして、あいつ、金が欲しいのかなと思われていないかと思ってちょっと心配なんですけれども、やはり海外のカジノというのは、〇・一%から〇・五%の、売上げからギャンブル依存症対策費に回すという明示があるんですね。でも、今度の制度設計でもやはりそれがないということで、結局、公益に回すみたいな感じになっているんですけれども、その公益の中にギャンブル依存症対策が入っていないわけですよね。なので、私たちとしては、そこが一番片手落ちじゃないかなというふうに思っております。
 元ギャンブラーの経験からですけれども、以上です。

○三上参考人 入場回数制限について、一週間三回、月十回という制限が依存症対策になるのかどうか、入場料六千円という金額がカジノ施設に安易に入場することを抑止する効果を持つのかということについては、非常に疑問を持っておりますし、そういう依存症対策としての効果があるとは言えないんだろうというふうに思っております。
 何よりも、今ここで依存症対策基本法案について審議されて、依存症というのが非常に深刻な問題になっているということを踏まえて、これから基本計画をつくって各種の取組を進めていこう、実態把握等をやっていこうというときに、新たにカジノをつくって新たな依存症の人をふやしていくというのは、非常に大きな矛盾なんだろうというふうに思っております。
 以上です。

○塩川委員 それぞれ貴重な御意見をいただき、ありがとうございます。
 私は、きのうの質疑の中でも、法案の提出者の方々に、この法案はギャンブル依存症の方を減らしていこうという法案ですねということを、そうですという確認をいただいたわけです。その場合に、既存の公営ギャンブルやパチンコなどもある、それに新たに、刑法で禁じられている賭博を解禁する、カジノを導入するということは、これは相入れないんじゃないですかということもお尋ねしたんです。
 ですから、今回の法案とまさに密接にかかわっているのがカジノ解禁を核とするIR法案であるわけです。私、率直に、カジノを解禁すれば、新たなギャンブル依存症者をふやすことにつながると思いますので、お三方にお尋ねしますが、こういったカジノ解禁はやめるべきではないかと思うわけですけれども、お三方の御意見をお聞かせください。

○西村参考人 これにつきましては政治的な判断ですので、どうあるべきかというのはなかなか難しいんですが、ただ、対策をとっている側としては、現実問題、カジノができたエリアで対策を重点的にやっているところでの、ギャンブルの依存の問題を持っている人たちが開設前よりも減っていくという問題、それから治安の改善等々、やはり産業がある程度地域に投資をしていくということで社会問題をある意味起こす部分と抑止する部分というものが、これは両方、両面あると思うんですね。
 いかにその部分がバランスよくされるかであって、それが基本的に、カジノであろうが町の工場であろうが、どんな産業であれ、そこに来れば、例えば、私は沖縄にいますが、沖縄はインバウンドで今経済を活性化させております。その結果、何が起こっているかというと、今、感染症の問題が出ております。これは引き受けざるを得ない問題なんですね。
 何をとるかというのは、それは今後の、国益の問題であって、その中の一つとして、カジノというよりもIRというものを使う、そこは、やはりそれなりの覚悟の上で対策をしていくということであれば、いかにイニシャルの、今ある問題をより減らす。さらに、ギャンブルだけではなくて、他の、福祉財源がなくなっていく中でこれを活用するか、そこは知恵の問題であって、純粋にカジノがよいか悪いかという話だけでやはり議論するべきではないというふうに思っております。

○田中参考人 ありがとうございます。
 私も、本当にギャンブル依存症者として思うことは、やはり、もしカジノができたとしたら、相当今ある既存ギャンブルに対しても規制がかけられるようであれば、総体的にギャンブル依存症を減らすことができるというふうには思います。
 例えば、今マイナンバーで管理するみたいなことがカジノで出ていますけれども、あれを、マイナンバーとかはやめて、もうちょっと出回っている運転免許証とかその程度の身分証明書で、パチンコとか競馬とか公営競技にもきちんと、機械を開発して年齢制限なんかをきっちりできるぐらいのことまでできれば、総体的にギャンブル依存症を減らすということはできるんじゃないかなというふうには思っています。
 息抜きとしてギャンブルということを楽しみたい人たちがいるという気持ちは本当に重々わかるんですけれども、本当に依存症対策がどの程度できるかというところ、そこがどこまで踏み込めるかということがカジノの是非にかかっているのではないかなというふうに思っております。

○三上参考人 先ほど述べましたけれども、依存症対策についてこれからやっていこうというときに新たなカジノ施設をつくることは矛盾であるというふうに私は考えておりますし、少なくとも、今、特定複合観光施設区域整備法案として提出されているものについては、依存症対策は不十分であるというふうに言わざるを得ない内容だと思っていますので、これをつくることによって依存症の人が減るということはあり得ないだろうというふうに思っております。
 カジノについて、高い経済効果が期待されていると言われていますけれども、そこで期待される経済効果の中身は何かというと、突き詰めれば、単純に言えば、ギャンブルで負けた人のお金ということになるわけで、依存症の人をふやしていくことによって経済効果を上げる。それだけの経済効果を上げるためには、それだけ多くの人の生活が破壊されることになる。人の不幸をもとにして経済効果を上げるという経済政策でいいのかどうかということについては、私は反対意見を持っております。
 以上です。

○塩川委員 ありがとうございます。
 次に、田中参考人にお尋ねします。
 依存症者の団体をつくられて、支援を行っておられる。そういう点では、アルコールと薬物とそしてこういったギャンブルと、それぞれ団体の方がやっていらっしゃる、いろいろな努力をなされておられるわけです。
 そういった依存症に係るような、そういう自主的な運動をされておられる方同士の連携といいますか、それぞれの役割とそういう連携と、その持つ意味も大きいのではないかなと思うんですが、そういう点での体験、経験などを踏まえて、お聞かせいただけないでしょうか。

○田中参考人 ありがとうございます。
 本当に、カジノのこの問題が出てギャンブル依存症対策ということが言われるようになって、初めて私たちも、アルコール、薬物、ギャンブルの御家族が連携するということが始まったばかりなんですね。
 それで、やはりギャンブルの基本法ができたら、アルコールはできたし、ギャンブルはできたし、次は薬物というふうに、私たち、悲願として考えております。そして、依存症ということが包括的に社会の中で認知されていけばありがたいなというふうに思っております。
 ただ、薬物の御家族というのは、なかなか声を上げたりとか、やはり違法であるということがあるので、顔出しで発言したりということはできないので、アルコールとかギャンブルの家族がその分を助けていくというようなことは必要ではないかなというふうに思っている。
 やはりアルコールに関しては社会が受け入れている部分というのもすごく多くて、それがよしあしなんですけれども、アルコールというのはたくさんの味方がいるんですね。お医者さんもたくさんかかわっていらっしゃいますし、何より議連もありますし、ほかにも、長い歴史があって、断酒会さんという地域に根差した活動をされている方たちがいて、またそういう方たちがたくさんの連携や知恵を持っておられるということがあるので、私たちのような、本当に今始まったばかりのギャンブルとか、あと、なかなか声を上げられない薬物というのは、アルコールの方々が敷いたレールに乗るというか、そこで耕していただいた土壌を使わせていただくということで、大変恩恵を受けております。

○塩川委員 ありがとうございます。
 三上参考人にお尋ねいたします。
 日弁連のギャンブル依存対策推進に関する意見書で、ギャンブルとの物理的、精神的近接性の排除をギャンブル依存対策の重要な柱の一つとすべきことという話のところであります。
 依存症が疑われる方々に対してのさまざまな相談活動ですとか支援を行うと同時に、やはりギャンブル事業者に対する規制というのをしっかり行っていくということが必要だろうと思うんですけれども、こういう点で幾つかの例示もされておられるわけですが、その中身はどのようなものなのか、また、その意味するところがどういうことなのか、こういうことについて御説明いただけないでしょうか。

○三上参考人 やはり依存症対策、予防という意味で一番大切なのは、今のように、時間的、場所的に、いつでもどこでもギャンブルが身近にあるという状況を変えていく必要があるのではないかというふうに思っております。
 そういう意味では、ギャンブル事業者のCMがテレビで普通に流されていると子供も目にするということがあり、駅前のすぐ近くにパチンコがあって、そこからにぎやかな音が聞こえてきて、子供と一緒にその目の前を通るというようなことがあり、子供のころから身近にギャンブルがあるという状況で育っていくことについては、非常に問題が大きいのではないかというふうに思っておりますというのが一点です。
 もう一点は、入場回数制限等入場制限という問題になってきますけれども、やはり全てのギャンブルを包括した形での入場回数制限等というのはあるべきだと思いますし、自己申告、家族申告による制限というものも、カジノだけではなくて全てのギャンブルを包括したものとしてやっていく必要があるんだろう。
 あるいは、収入に応じてかけ金額の上限を決めるとか、いろいろ、いつでもどこでも簡単にギャンブルができるという状況を変えていくためにやらなければいけないことはたくさんあるんだろうというふうに思っております。

○塩川委員 実際に依存症で大きな比重を占めるのはパチンコですけれども、パチンコは一万店舗ある、こういった出店規制のような、そういった取組についてはどのようにお考えでしょうか。

○三上参考人 出店規制というのもあるべきだろうと思っております。
 出玉規制ということがやられましたけれども、出玉規制ということよりも、やはり、どこに行っても何軒もパチンコが目の前にあるという状況でいいのかどうかということについて、風俗営業法の中でも、もうちょっと今の状況というのは、学校の近くにも駅の近くにも、どこにでもパチンコが並んでいるというのは変えなければいけないのではないかというふうに思っております。

○塩川委員 終わります。ありがとうございました。

【内閣委員会】カジノ解禁で依存増/対策法相いれない

 ギャンブル依存症対策基本法案に関し、自民・公明・維新案と立民・無所属の会・自由・社民案の両案について質問。

 自民、維新は2016年に提出されたカジノ推進法に賛成しました。政府提出のカジノ実施法案に対しても、政府と自民、公明、維新が一体となって、成立に向けて強引な国会運営を推し進めています。

 法案の目的について「依存症を減らすためのものか」と質問。

 法案の提案者である岩屋毅衆院議員(自民)は「おっしゃる通りだ」と答弁しました。

 カジノを解禁すれば、依存症を増やすことになるのではないかと追及。

 岩屋氏は「(カジノ実施法案には)依存症を最小化する仕組みが入っている」と答え、依存症が増えることを否定できませんでした。

 わたしは、依存症対策とカジノ解禁は相いれない、と批判した。

 また、立民・無所属の会・自由・社民案の提出者に対し、共産党が共同提出しているカジノ解禁推進法廃止法案についての態度を確認。

 初鹿明博衆院議員(立民)は「廃止法案を提出した。新たな依存症者を増加させることを進めるべきでない」と述べ、中川正春衆院議貝(無所属の会)は「賛成していく」とカジノ解禁推進法廃止の立場を明確にしました。

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「議事録」
<第196通常国会 2018年05月23日 内閣委員会 19号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 ギャンブル依存症対策基本法案について、両案の提出者にお尋ねをいたします。
 最初に久里浜医療センターの樋口院長にお尋ねをいたしますが、厚生労働省として、ギャンブル依存症者と疑われる、そういう人の割合についての調査をしていると承知をしております。生涯を通じたギャンブル等の経験等を評価した場合にギャンブル依存症者と疑われる者の割合は、この日本においてどうなっているのか、また諸外国はどうかということで、同様の指標で調査を行っていますオーストラリア、オランダ、フランス、スイス、カナダ、イタリア、ドイツはどうなっているのか、このあたりについて質問をいたします。

○樋口参考人 お答えいたします。
 まず、海外におけるギャンブル依存に係る調査結果と私たちが行った全国調査の結果の比較については、先ほども申し上げましたけれども、調査の方法が違うこともありまして双方の結果を単純に比較することはできませんが、私たちの研究班が行った全国調査において、SOGSというスクリーニングテストを用いてギャンブル等依存が疑われる人の割合を推計いたしました。その結果は、生涯の経験等による評価でギャンブル等依存が疑われる人の割合は三・六%。これは、生涯の過去のどこかでSOGSを満たす期間があった、そういうふうな理解でございます。それが三・六%。
 同じように、海外の調査では、オーストラリアは男性と女性で分けてありまして、男性二・四%、女性一・七%という報告がございます。オランダは男女合わせて一・九%、フランスは一・二%、スイスは一・一%、カナダは〇・九%、イタリアは〇・四%、ドイツは〇・二%と報告されています。
 国ごとに調査手法が異なるため、各国の調査結果を単純に比較することには注意が必要だと思います。

○塩川委員 単純に比較できないというお話でありますが、やはり議論の土台として、目安としては極めて重要だと思っております。
 そういった点でも、日本における既存のギャンブル、公営ギャンブルやまたパチンコのあり方というのが問われている。そういった点で、この三・六%、推計すれば約三百二十万人の方々がギャンブル依存症者を疑われる、そうなっているということは極めて重いというふうに受けとめております。
 そこで、両案の提出者にそれぞれお尋ねをいたしますけれども、このように日本のギャンブル依存症者と疑われる方の割合が高いというもとにおいて、今回の法案というのは、こういったギャンブル依存症者を減らそう、そういうことを考えて提出しておられるのか、この点についてお答えください。

○初鹿議員 済みません、御指名いただきましたので、先に立民、無所属の会、社民、自由党案について答弁をさせていただきます。
 先ほども福田議員からの御質問に対してお答えをさせていただいておりますけれども、我々の案については、ギャンブル関連事業者に対して、ギャンブル依存症の患者等をふやさないようにすることを求めていくことを大前提としておりますので、議員からの御指摘どおりでございます。

○岩屋議員 おっしゃるとおりだと思います。これまで、さまざまな公営競技あるいは遊技を認めてきたにもかかわらず、しっかりとしたギャンブル依存症対策の調査、対策がとられていなかったということに問題があったと思っておりまして、対策をしっかり講じることによって、結果的にギャンブル依存症比率を低下させていくことができるというふうに期待をしております。

○塩川委員 やはりギャンブル依存症者を減らしていこう、こういうお立場でのそれぞれの案というふうにお聞きしております。
 ただ、先ほどの議論でも、数値目標を持つかどうかという議論というのは、佐藤さんのお答えがあった。そういった課題は、これはこれとしてあるとは思いますけれども、決してふやさない、減らしていこうという決意のもとでの案ということで受けとめております。
 その上で、ぜひお尋ねしたいというのがやはりIR、そのかなめとなっているカジノの問題であります。
 日本において、一連の公営ギャンブルがあり、またパチンコがあってギャンブルの依存症者を多く生じる、そういう環境の中において新たなギャンブルを広げようというのがIRの推進法だったわけであります。
 そこで、両案の提出者にお尋ねをいたします。といいますか、各会派、両案の提出者において、それぞれの各会派を代表される方にそれぞれ伺えればと思うんですけれども、一昨年審議をしましたIR推進法についての各党の態度がどうだったのか、この点について確認をしたいと思います。

○岩屋議員 自由民主党でございますが、賛成をさせていただきました。

○佐藤(茂)議員 公明党は、最終的に党議拘束をかけませんで、各政治家、それぞれの信念に基づいて賛否をそれぞれ態度表明した、そういう状況です。

○初鹿議員 御存じのとおり、我が党は、昨年の採決の際にはまだ存在をしておりませんでしたので、態度を表明しておりません。

○中川議員 当時は民進ですが、反対をしました。

○塩川委員 自公維案で、維新の方はちょっとおいでになっていないのであれですけれども、IR推進法については賛成をしておられるということであります。
 公明党さんでは自主投票ということで、佐藤さんは賛成をされたということですね。

○佐藤(茂)議員 先ほどまでいた桝屋議員は別の委員会の理事で、ちょっと移動しましたけれども、きょうの二人の答弁者のうち、私は賛成をし、桝屋議員は反対、こういう、まさに自主投票でございますので態度が分かれたということでございます。

○塩川委員 ということであります。
 IRのかなめはカジノということで、カジノ収益において、もちろん、IRですから、統合型のリゾートとしてのそういった支えをするけれども、しかし、それを回していく、その収益の大きなところ、カジノに依存するという仕組みになっているわけです。
 率直なところ、この自公維案の提出者の方に伺いますけれども、カジノを新たに解禁すればやはり新たなギャンブル依存症者を生じることになるんじゃないかと率直に思うんですが、いかがですか。

○岩屋議員 ここはIR実施法について審議をしている場ではありませんが、お尋ねでございますのでお答えさせていただきますと、IR実施法の場合は、ギャンブル依存症を抑止するための仕組みが法案の中にビルトインされているというふうに承知をしております。それは、厳格な本人確認であったり、厳格なまた入場規制であったり、入場料の賦課であったり、先生もう御案内のとおりでございますが、したがって、そこから生じるギャンブル依存症というものを最小化する、極小化するという仕組みがビルトインされた形になっているものというふうに承知をしております。

○塩川委員 ギャンブル依存症者対策がビルトインされている、ギャンブル依存症者を生じさせない、極小化、最小化をしていく、そういう対策がビルトインされているということでありますが、お答えのように、じゃ、生じないかといえば、最小化、極小化というお話であれ、生じるということであるわけです。
 それはまた制度設計全体の問題も当然出てくるわけで、実際にこのIRを回していく上でカジノをどういうふうに制度設計するかというのが当然議論されてきたわけで、課題になるのは、カジノの収益をどこまで見るのか、それに対してこの依存症者対策との関係、この二つの兼ね合いというのはなかなかやはり相入れないところが当然あるわけですから、そういった点で、制度設計次第ではやはり今後どうなるかわからない、依存症者を生じることというのは否定できないことではないかと思うんです。
 全体としてのギャンブル依存症者を減らしていこうというお立場であれば、こういったカジノについて、新たに依存症者を生むような仕組みを入れるということについては矛盾があるんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

○岩屋議員 現段階では日本にIRはない、カジノも存在しないということですから、この法案は、既存の公営競技や遊技等、違法なものも含めて、そこに起因している依存症にまず対策をとるための法案でございますが、仮にIRが誕生し、カジノができるということになりますと、それは当然、この法律の対象になっていきます。
 きょう、公明党の質疑者から紹介をいただきましたが、シンガポールは、二カ所のIRを開業して、徹底的なギャンブル依存症対策をやって劇的に依存症比率を全体として減らすことに成功したという事例がございます。私どもはそういう方向を目指していくべきだというふうに考えております。

○塩川委員 シンガポールはそもそもIRがあって、その依存症者が問題となって、統合的に、一体的な仕組みをつくることによって対策をとってきた、それで結果として減らした。それはそれとしてあると思いますけれども、しかし、日本においては、カジノはないんですから、それを新たに始める必要はないんじゃないのか。依存症者対策を本気でやるというのであれば、新たにギャンブルを生むということ自身はあってはならないんじゃないかと法案提出者としては思いませんか。

○岩屋議員 先ほども申し上げましたように、まずIRについてはしっかりとした抑止政策がビルトインされている、そして既存のものについても今までにない対策をしっかり講じる、相まって、全体としての依存症の比率を必ず低下せしめることができるというふうに私どもは考えております。

○塩川委員 ですから、公営ギャンブルあるいはパチンコについて依存症者を減らしていこう、こういう取組が極めて重要であるわけで、それに資するような法案であってほしいと思っておりますし、そういった点で知恵を出す必要があると思っていますが、しかし、新たにギャンブルをふやす必要はないでしょう。依存症者を生じ得る、そういったものについて、新たにカジノというギャンブルをつくる必要はないんじゃないですか。依存症者を減らすというのであれば、新たに生み出すような新たなギャンブルをつくる必要はないんじゃないのかと率直に思うんですが、いかがですか、佐藤さんや中谷さん。

○中谷(元)議員 この問題は、ギャンブル依存症の対策基本法案でありまして、IRができるかできないかではなくて、現状、IRがない状況でありますが、現にギャンブル依存症で大変苦しんでいる方々がたくさんいますので、その対策をするための法案でございます。
 新たに、IRにつきましては、別途法案の審議がありますので、そこで議論をしていただきたいと思いますが、この法案は依存症にかかっている方々に対する対策法案でありますので、その点について真剣にこの場で御議論いただきたいというふうに思います。

○佐藤(茂)議員 今、同じく自公維案の提案者の岩屋また中谷両議員からもありましたけれども、この法案をまずやはりきちっと議論して、既存の公営ギャンブル及びパチンコ等の対策をしっかりとやって、現におられる依存症患者、こういう方々への対策をしっかりとやる。
 IRについては、またこれは別途政府から法案が出され、きのうも本会議質疑があったわけですから、その中で、本当に懸念される依存症対策等がきちっとビルトインされているのか、そういうことはきちっと改めて議論すべき問題である、そのように私どもは考えております。

○塩川委員 それこそ、まさにIR実施法、カジノ実施法とセットのように今議論されているというところがこの内閣委員会で大問題になっているわけですから、我々はやはりTPPの審議だってしっかりしたかったのに、それをまさに打ち切ってまで進めるようなやり方自身がおかしいということも言ってきたところで、切り離されていないんですよ。
 というより、そもそも、ギャンブル依存症を減らそうということであれば、新しいカジノというギャンブルをわざわざ解禁する必要がないじゃないですかということの話であって、これについては、依存症者を減らしたいという法案を出しておられる方々が責任を持って答えられるのは当然のことだと思うんです。何か別途カジノ実施法できちっとした対策をとりますから、そういう話じゃないんですよ。
 そういう話じゃなくて、新しいギャンブルを認めるか認めないのか。依存症者をふやす、そういった懸念がある、そういった新しいギャンブルを新たに解禁して具体化をする、それでいいのかということが問われているんですから、それははっきりお答えいただかないといけないんじゃないですか。

○中谷(元)議員 この法案とIRを関係づけようといたしておりますが、これは全く別の法案でありますし、そもそも、前の国会でギャンブル対策の法案を提出しておりました。本来でしたらもっと早く審議していただきたかったんですけれども、議員立法でありますので、国会の関係もありますが、非常に審議がおくれまして現在に至っている。これは与野党双方に原因があるかもしれませんが、たまたまこれは重なってしまったわけでありまして、本来は単独で審議をして議論してほしかったという法案でございます。

○塩川委員 法案はもちろん別ですから。別ですよ。別ですけれども、私が聞いているのは、ギャンブル依存症者を減らしましょうという法案を出されているということであれば、新たにギャンブルによって依存症者を生じるようなカジノを解禁、具体化するようなことはしてはならないんじゃないですかといったことを、当然、今回の法案との関係で問うているわけですけれども、それは別途ちゃんとやりますからと言う。その話じゃないんですよ。この法案上についてどう考えるかという、その考え方を聞いているわけですから。
 その点についてお答えがなかったという点は極めて重大ですし、もともと二年前については、自民党や維新はこれを推進する立場だということははっきりしておりますし、閣法としてカジノ、IRの実施法が出されているということを見ても、我々は、こういった問題について、新たなギャンブルを拡大するようなそういう法案は認められない、ギャンブル依存症者を減らそうというのであれば、こういったカジノの実施法というのはもうやるべきではないということはあわせて申し上げておくものであります。
 そこで、立民、無所属の会、自由党、社民党の提出者にお尋ねをいたします。
 今、今国会に特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律を廃止する法律案、いわゆるIR推進法の廃止法案を出しておりますけれども、これについて、本案の提出者の方々の態度などについてお聞きできればと思います。

○初鹿議員 では、私からは立憲民主党の立場で答弁をさせていただきますが、塩川議員からも今御指摘があるとおり、我々も、カジノを解禁することによって新たな依存症者が増加をする、依存症対策を進めていく上で新たな依存症者が増加するようなことを進めるべきではないと考えております。そのような考えに基づきまして、今回、廃止法案を提出することといたしました。
 この法案については、日本共産党さんにも提出会派として賛同していただいておりますことを申し添えさせていただきます。

○中川議員 無所属の会としては、共同の提案者にはなっていませんけれども、これに賛成をしていく方向にしていきます。

○塩川委員 そういう点でも、今回の依存症者を減らそうという法案の趣旨からいって、新たなギャンブルであるカジノを解禁、実施する、そういうことというのは認められないということを私は申し上げておくものであります。
 その上で、既存のギャンブル、公営ギャンブルとそれからパチンコについてですけれども、そもそも今、現状はどうなっているのかについて、政府の方から確認したいと思っています。
 公営ギャンブル及びパチンコの直近の売上げ、市場規模、これがどうなっているのかについて説明いただけますか。

○中川政府参考人 お答え申し上げます。
 公営ギャンブル、パチンコの直近の市場規模などについてのお尋ねがございました。
 まず、公営競技の直近の売上げでございますけれども、それぞれの競技ごとに申し上げます。
 中央競馬は、平成二十九年、ここは一月から十二月の決算でございます、その売上げが二兆七千五百七十八億円。地方競馬、これは年度になっておりまして、平成二十九年度の売上げが五千五百二十五億円。競輪も同様に二十九年度でございますけれども、六千四百億円。オートレースにつきましては、二十九年度が六百六十億円。モーターボート競走は、同様に平成二十九年度で一兆二千三百七十九億円でございます。
 また、パチンコでございますけれども、その市場規模、遊技人口、店舗数につきまして、まず、市場規模につきましては、日本生産性本部、レジャー白書二〇一七年によれば、二十一兆六千二百六十億円でございます。これは平成二十八年でございます。遊技の参加人口は、同様に平成二十八年で九百四十万人。営業所数につきましては、警察庁の調べによりますと、平成二十九年末現在で一万五百九十六店舗となってございます。
 以上でございます。

○塩川委員 公営ギャンブル、中央、地方競馬で大体三兆円ぐらい、オートと競輪で大体七千億ぐらい、競艇が一兆円、パチンコが二十一兆円。公営ギャンブルもいろいろ規模の間隔はありますけれども、やはりパチンコが非常に大きいということでもあります。
 そういったときに、こういった既存ギャンブル、公営ギャンブルやまたパチンコに対して規制対策をどう進めていくのか、こういうことについて、両案の方にお尋ねをしたいと思っております。

○岩屋議員 まず、公営競技についてですけれども、これについては、既に政府においてギャンブル依存症対策関係閣僚会議というのが設けられておりまして、対策が既に発表され、実施に移されているところでございます。
 私どもは、この法律を成立させていただくことによって更にその取組を強化充実していってもらいたいというふうに思っておりますが、具体的な中身については、これも先生御案内のとおりと思いますが、今、公営競技というのは六割、七割ぐらいがインターネット投票になっておりますので、このインターネットの投票における対応をもっとしっかりしていかなくちゃいけない。そして、家族や本人申告に基づく利用制限等も、既に取組が始まっておりますが、更に充実強化させていかなければならない。相談窓口はもっとしっかりと配置されなければならない。そういう方向が、この法律ができますれば、基本計画の中に更にしっかりと盛り込まれていくと考えております。
 それから、パチンコにつきましては、既に、わかりやすく申し上げますと、射幸性が今までの三分の二ぐらいになったという措置がとられておりますが、ここにおいても、業界の自主的な取組をもっと進めていただいて、相談窓口の設置、本人、家族申告によるアクセス制限等を徹底してもらうようにしていきたい。これも、この法律が成立すれば、しっかり政府から促していただきたいというふうに思っております。

○初鹿議員 我々野党案の方には、十五条二項に、公営ギャンブルについてもパチンコ事業についても、ギャンブル依存症の患者等による利用が制限されることとなるように特に配慮するよう規定を設けております。具体的には、本人申告によるアクセス制限の導入や、家族申告によるアクセス制限の仕組みの構築などを考えております。
 公営競技においては、今御答弁がありましたようにインターネット投票が進んでいることもありますから、インターネット投票サイトにおける注意喚起や相談窓口の案内の掲載等も検討しているところであります。
 また、附則第二項において検討事項を設けておりまして、ここにおいて、公営競技の投票及びパチンコ屋等において使用される遊技機の性能に係る射幸性の抑制、若しくは入場制限の方策や、ギャンブル依存症の患者等に係る投票等の制限や、広告宣伝のあり方なども検討事項に加えていることとしております。

○塩川委員 時間が参りましたので、終わります。ありがとうございました。
    ―――――――――――――

【内閣委員会】生活に大打撃与える/TPP11関連法案強行で反対討論

 11力国による環太平洋連携協定(TPP11)関連法案が、自民、公明、維新の賛成多数で可決。反対討論に立ちました。

 山際大志郎委員長が職権で委員会の質疑を短時間で打ち切り、採決を強行したことに厳しく抗議。野党は、公聴会、関係委員会との連合審査、テーマ別審議などを要求してきました。TPP11が経済と国民生活にどのような打撃を与えるのか、などの国民に問題点を明らかにすべき国会の責務を果たしたとは到底言えない。

 もともとTPPは2年前の国会で国民の厳しい批判にさらされ、審議中に米国が離脱したにもかかわらず、政府・与党が採決を強行したものだと指摘。TPP11でも、関税・非関税措置の撤廃や、重要農産物の除外などを求めた「国会決議」に反する実態がそのまま生きており、認められない。

 また、4月の日米首脳会談で新たな経済協議の枠組みをつくることで合意したことは重大だ。米国に際限ない譲歩を迫られ、自由貿易協定(FTA)に行きつく。日本経済と国民生活に大打撃を与える。

 参考人質疑に出席した鈴木宣弘東大教授が、TPPで日本のグローバル企業の利益は増える一方、国内の人々は低賃金で働くか、失業すると明言した。世界の流れは、各国の食糧主権と経済主権を尊重した平等互恵の貿易と投資のルールづくりだ。

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反対討論は以下のとおりです。


 私は、日本共産党を代表して、TPP11整備法案に断固反対の立場から討論を行います。

何よりまず、委員長職権により、当委員会の質疑を短時間で打ち切り、採決を強行することに厳しく抗議するものです。

 野党は、関係委員会との連合審査、食の安全、国民の暮らしと命、健康を脅かす問題、政府調達、ISDS条項、環境や労働に関わる論点などのテーマ別審議、中央・地方公聴会、参考人質疑、さらなる総理質疑などを求めてきました。

 アメリカが抜けたTPP11が、日米2国間協議と相まって、日本経済と国民生活にどのような打撃を与えるのか、審議を打ち切れば、国民に問題点を明らかにすべき国会の責務を果たしたとは到底言えません。

 わずかな審議を通じても、TPP11の重大な問題点が明らかになっています。

 もともとTPPは、2年前の国会で、国民の厳しい批判にさらされ、審議中にアメリカが離脱したにもかかわらず、政府・与党が採決を強行したものです。TPPをまるごと組み込んで蘇らせたTPP11は、関税・非関税措置の撤廃がそのまま生きており、大問題となった「国会決議に真っ向から反する」実態もそのままであり、認めることはできません。

 参考人質疑の中で、内田聖子参考人は、TPP11の変更点について「TPPの危険性は基本的に変わっていない」と指摘しています。

 また、4月の日米首脳会談で、新たな経済協議の枠組み「FFR」をつくことで合意したことは、重大です。アメリカが具体的な通商要求項目を、日本へ突きつけ、「取引する場」へ更に踏み込み、TPPを出発点にして、さらに際限ない譲歩を迫られ、行きつく先は日米FTAです。TPP、TPP11、日米二国間協議が日本経済と国民生活に大打撃を与えることは必至であります。

 TPPとは何のために行われるものなのか、鈴木宣弘参考人は「アメリカのグローバル企業が、自分たちが儲けられるルールをアジア・太平洋地域に広げたい、これが端的なTPPの本質だ。日本のグローバル企業にとっても同じこと。グローバル企業の利益は増えるが、現地の人は安く働かされる。国内の人々は安い賃金で働くか失業する」と明確に述べられました。

 世界の流れは、各国の食糧主権と経済主権を尊重しながら、平等互恵の貿易と投資のルールづくりです。日本が進むべき道は、TPP11、日米「新協議」ではない、ということを申し上げて、反対討論を終わります。

【議院運営委貝会理事会】きょうにもカジノ審議入り/衆院本会議/共産など野党、強く反対

「しんぶん赤旗」5月22日付・1面より

 衆院議院運営委貝会の理事会で21日、自民、公明両党はカジノ実施法案を22日の本会議で審議入りすることを提案しました。日本共産党、立憲民主党、国民民主党、無所属の会の野党各党が「ギャンブル依存症など重大な問題がある」として審議入りに強く反対しましたが、古屋圭司委員長の職権で日程を決めました。

 日本共産党の塩川鉄也議員は「TPP関連法案の審議打ち切りを前提に、カジノ実施法案の審議入りを決めるなどとんでもない」と厳しく批判。「カジノ実施法案は刑法に反して賭博を合法化するものであり、ギャンブル依存症など重大な問題がある」と強調し、法案への反対を表明しました。

 他の野党からも、「(審議入りは)受け入れられない」(立民)、「違法性や依存症の問題があるなかで審議に入るべきではない」(国民党)などの批判が相次ぎました。

東海第2原発は廃炉に/「首都圏連絡会」結成集会に参加

 「とめよう!東海第2原発 首都圏連絡会」結成集会に参加。

 東海第2原発は、茨城県だけでなく、東京をはじめ首都圏全域に影響を及ぼします。首都圏の市民の共同の要求運動として、東海第2原発は廃炉にしよう!

東海第2原発反対の茨城県自治体議員連盟と「原発ゼロの会」との懇談会

 東海第2原発に反対する茨城県自治体議員連盟と「原発ゼロの会」との懇談会に出席。茨城県のわが党の議員からは大内前県議、上野県議らが参加。

 老朽原発の危険性、無理な広域避難計画、原発加害企業の東電頼みの資金調達計画など、どこをとっても、再稼働、運転延長などとんでもない!きっぱり廃炉にしましょう!

 国会から立憲民主党の阿部知子・近藤昭一・逢坂誠二議員らが参加しました。

東日本入国管理センター/自殺や自傷行為が相次いでいる問題で法務省ヒアリング

 茨城県牛久市にある東日本入国管理センターで、自殺や自傷行為が相次いでいる問題について、党牛久市議団と法務省ヒアリング。

 施設における医療体制の改善、地元自治体への情報提供などが求められます。

 大本には、外国人の人権保障に問題があり、難民認定に消極的な国の姿勢があります。

 この間、この問題を取り上げてきた藤野保史議員のスタッフも同席しました。

 


「しんぶん赤旗」5月22日付・5面より

入管施設/人道配慮を/共産党市議ら管理局に要請

 在留資格がない外国人らを収容する東日本入国管理センター(茨城県牛久市)でインド国籍の30代男性が4月に自殺したことをきっかけに収容者にハンガーストライキが発生したことをめぐり、日本共産党の利根川英雄、鈴木かずみ、遠藤のり子の各牛久市議は21日、法務省入国管理局に対し人道上の配慮や施設の環境改善などを申し入れました。日本共産党の塩川鉄也衆院議員が同席しました。

 利根川市議らは、日本の入管施設の長期収容をめぐり、国連の拷問禁止委員会が懸念を表明していると指摘。夜間の医療体制の強化や、心理カウンセラーの確保、事件などが発生した際の地元自治体への報告体制を整えるよう要請しました。同局警備課の徳井一之法務専門官は「改善すべきは改善する。ご指摘の点は検討したい」と笞えました。

 塩川議員は「国会質問でも、医療面に不十分さがあることなどが明らかになっている。日本は、難民認定の手続きや外国人の人権保障に問題がある。しっかり対応してもらいたい」と述べました。

 


 

「しんぶん赤旗」5月22日付・5面より

今すぐ処遇改善せよ/茨城・入管施設前/市民が抗議行動

 茨城県牛久市にある東日本入国管理センター前で20日、入管行政に対する抗議が行われました。市民有志が呼びかけ、県内だけでなく東京などから50人が参加し、「人権守れ」「まともな医療を」とスピーチしました。

 施設の前で参加者が、英語で「Stop Long Detention」(長期収容やめろ)などとコールすると、施設のなかから「ありがとう」と日本語で応答がありました。

 行動を呼びかけた、茨城県つくぱ市に住む男性(42)は、「収容されている人の処遇改善はもちろん、難民申請中の人も含めて原則すべての人を収容するという姿勢を改めるべきです。解決するまで、何度でもこの場所に来ます」と訴えました。

 東京都世田谷区から参加した方は、この問題をニュース報道で知り、「黙ってはいられない。多くの人に知ってほしい」と、東京・渋谷ハチ公前でひとり、スタンディングもしたといいます。「すぐに収容所の環境を改善してほしい。命がかかっています。実現するまで声をあげ続けます」

さいたま市学童保育連絡協議会総会であいさつ

 さいたま市学童保育連絡協議会総会であいさつ。子どもたちを真ん中に、学童保育の量と質の拡充のためにがんばります。

 国は「地方分権改革」の一つとして、学童保育の指導員配置基準を自治体の裁量に任せるものに後退させようとしています。

 「国が地方をしばる基準をなくすんだ」といいますが、とんでもない。

 子どもの安全を確保し、豊かな保育を保障する職員の配置基準は、国民、保護者が国、自治体をしばっている基準です。その基準を勝手に変えさせるわけにいきません。

TPP11協定批准反対/国会前アクションで国会報告

 議員会館前で行われている「TPP11協定批准反対」国会前アクションで、緊迫した国会情勢を訴えました。
 
 TPP協定の本会議採決強行に抗議。同時に、TPP推進の責任者である茂木大臣に対する不信任決議案を野党共同で提出したことを報告。そのため内閣委員会でのTPP関連法案の本日の採決強行に待ったがかかりました。来週から新たに動き出します。
 

「しんぶん赤旗」5月19日付・1面より
 
TPP廃案にさせよう/全国食健連座り込み/議員会館前
 
 自民、公明、希望、維新の各党が、米国を除く11ヵ国による環太平洋連携協定(TPP11)批准案の衆院通過を強行した18日、「国民の食糧と健康を守る運動全国連絡会」(全国食健連)は、衆院第2議員会館前で抗議の座り込みをしました。
 
 舘野豊事務局長が「食と農業を守るたたかいを広げ、安倍政権を退陣に追い込もう」と主催者あいさつしました。
 
 外務委員会と本会議での強行に対し、参加者は「強行採決絶対反対」「審議は不十分。強行は許せない」「TPPをみんなで止めよう」とコールしました。
 
 参加者がマイクを握り、離農が相次ぐ農村の実態、農業への影響試算のデタラメさ、ISDS(投資家対国家紛争解決)条項の危険性などに触れ、「徹底審議を」と訴えました。
 
 日本共産党の紙智子参院議員、塩川鉄也衆院議員、立憲民主党の衆参両院議員が連帯あいさつ。
 
 全農協労連の砂山太一委員長は、「私たちの運動で廃案に追い込もう」と呼びかけました。
 
 この日の抗議は、働き方改悪法案に反対する「雇用共同アクション」と共同でおこなわれました。
 

野党合同緊急院内集会/異常事態の内閣委を報告

 安倍暴走政権に「怒!」野党合同緊急院内集会で異常事態の内閣委報告。
 
 日本経済と国民生活に大打撃を与えるTPP関連法案をわずか14時間の政府質疑で強行採決しようとする政府与党に厳しく抗議。なぜ採決を急ぐのか。
 
 TPPの危険性を国民に知らせたくないからであり、カジノ実施法案を今国会で押し通そうとしているから。
 
 断じて許すことはできません。市民と野党の共闘で悪法を廃案に追い込むために全力を挙げます!
 

「しんぶん赤旗」5月19日付・2面より
 
6野党党・会派が緊急院内集会/安倍政権打倒・新潟知事選勝利を
 
 日本共産党、立憲民主党、国民民主党、無所属の会、自由党、社民党は18日、「安倍暴走政権に『怒!』野党合同緊急院内集会」を開き、一致結束して安倍政権打倒をめざす決意を表明しました。
 
 冒頭、国会全体の情勢を報告した国民民主党の泉健太国対委員長は、改ざん前の決裁文書全文を18日までに提出するとした約束をほごにし、23日に先延ばしし、悪法を押し通そうとする政府・与党を批判。「与党に対峙(たいじ)し、みんなで声をあげて国民に訴えよう」と強調しました。
 
 続いて、悪法とのたたかいについて担当議員が発言しました。
 
 「働き方改革」一括法案について立憲民主党の吉田統彦衆院議員は、厚労省の労働時間調査で2割超の「異常値」が明らかとなったことをあげ、「普通だったら撤回だ」と強調。衆院厚労委での採決が23日にも狙われていると指摘し、「(野党が)一丸となって対応していく」と強調しました。
 
 TPP協定と関連法案について、日本共産党の塩川鉄也衆院議員が発言。衆院外務委での協定採決を厳しく批判し、同内閣委でもわずか14時間の審議で関連法案の採決を強行する動きを報告しました。
 
 塩川氏は、政府・与党が採決を急ぐ理由は「日本経済や国民生活に関わる重大な中身を国民に知られたくないからだ」と指摘。しかも、後ろに控えるカジノ実施法案の今国会成立も狙っていると述べ、「野党が国民と結束すれば政府与党の暴挙を許さない力を発揮できる」と訴えました。
 
 加計疑惑について、無所属の会の江田憲司衆院議員が報告。「加計問題は完全に黒だ」と断言し、「加計孝太郎さんと安倍昭惠(首相)夫人の国会招致がなければ国民は納得しない」と力を込めました。
 
 新潟県知事選(24日告示、6月10日投開票)について、自由党の森ゆうこ参院議員が報告。「柏崎刈羽原発再稼働は認められない」と強調し、安倍首相の意向で動く与党候補に負けられないと述べ、野党が結東して池田ちかこ候補を勝利させようと呼びかけました。
 
 最後に社民党の吉川元幹事長の音頭で、安倍政権打倒と新潟県知事選勝利に向けて「ガンバロー」を三唱しました。

【議院運営委員会】ギャンブル依存症対策法案の内閣委員会付託に反対

 自民・公明は、野党の反対を押し切り、ギャンブル依存症対策法案の内閣委員会付託を強行しました。私は、議院運営委員会で反対の意見表明を行いました。

 ギャンブル依存症対策法案の内閣委員会付託の強行は、審議入りしたばかりのTPP11整備法案の質疑打ち切りを意味するものであり、引き続くカジノ実施法案の審議強行を図ろうとするものであり、反対であることを述べました。

【内閣委員会】本質は多国籍企業の利益追求と参考人指摘

 米国を除く11力国の環太平洋連携協定(TPP11)の関連法案について参考人質疑が行われ、政府の作成したTPPの影響試算の評価について質問しました。

 鈴木宣弘東大教授は「影響試算は、これだけの影響が出るからこれだけの対策が必要だという順序で進めなければいけない。政府の試算は“影響がないように対策するから影響がない”と計算している。対策を検討するための試算になりえない」と指摘しました。

 わたしはまた、TPP11で多国籍企業が投資先国を提訴するISDS条項など22の「有害条項」が「凍結」された効果を尋ねました。

 NPO法人アジア太平洋資料センターの内田聖子共同代表は「有害条項は22条項以外にも、食の安全や金融サービス等、非常に多くある。TPPの危険性は基本的に変わっていない」と答えました。

 わたしは、そもそもTPPはなんのために行われるのか?として、日米のグローバル企業の利益追求のためではないかと聞きました。

 鈴木教授は「ご指摘の通り、アメリカのグローバル企業が自分たちがもうけられるルールをアジア・太平洋地域に広げたい、これが端的なTPPの本質だ。日本のグローバル企業にとっても同じこと。アジアで直接投資を展開できる。グローバル企業の利益は増えるが、現地の人は安く働かされる。国内の人々は安い賃金で働くか失業する」と説明しました。

 
 
 
 

「議事録」
第196通常国会 2018年05月17日 内閣委員会 17号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 参考人の皆様には、私どもの視野を広げ、また、それぞれの課題を掘り下げる貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございます。
 最初に中川参考人に、TPP11における凍結項目について、なぜ凍結をされたのかについてお尋ねをいたします。
 ISDSの対象を絞り込むことや政府調達に係る労働条件など、米国が強く要求し日本も同調したものの一部が凍結をされたと述べておられましたが、このような凍結項目が決められたのは参加国のどんな事情があったのか、お願いします。

○中川参考人 お答えいたします。
 TPP11の交渉プロセスについては、情報が十分公開されておりませんので、私、その間の個々の項目が決まった事情については、率直に申し上げて通じておりません。
 今から申し上げるのは推測でありますけれども、郵便独占に係る急送便サービスの義務でISDS、これはISDSでやはり投資受入れ国として訴えられることを想定して、それは嫌だという抵抗感というのはあるわけですね。
 日本の立場としては、特に、世界じゅうでグローバルに投資を展開するということでありますので、投資受入れ国で、ISDSがなければ、受入れ国の国内裁判所で紛争を解決してもらうということになるわけですけれども、投資受入れ国の国内裁判所が果たして中立公正な判断をしてもらえるかどうかということに対する懸念もあるということで、アメリカと同調してISDSを主張したわけであります。これに対して、受入れ国として抵抗があったということだろうと承知しております。
 知的財産権関係のルール分野は多いと思いますけれども、これはかなりアメリカが主張し、また、日本もそれに同調して高水準の知的財産権保護を主張したわけですから、現行法から見て、受け入れるためにはたくさんの法律改正をしなければいけない国というのが、先進国であるニュージーランドを含めてTPP11の締約国の中にありましたので、それを少し猶予してほしいということだったんだろうと理解しております。

○塩川委員 ISDSや知的財産権の関係についてのお話がありました。
 内田参考人にお尋ねをいたします。
 TPP11における二十二の凍結項目について、内田参考人が、TPPの有害条項の代表格と述べておられます。今お話も出ましたけれども、知的財産権の規定も多数あるわけですし、ISDSの問題もあります。
 では、TPP11で有害性が除去されたと言えるのかということと、当然、国内法整備との関係でも問題はないのかということがあるわけですが、この点で、知的財産権、医薬品の特許関係についてお考えのところをまずお聞かせいただけないでしょうか。

○内田参考人 ありがとうございます。
 まず、凍結項目について、二十二に絞られたわけですが、その背景には多数あったと思います。
 プロセスは私も承知しておりませんが、途上国側、新興国側からすれば、とりわけ医薬品の特許関連、これに関しては、交渉の時点から非常に反対の声が強くありました。大筋合意をした二〇一五年十月のアトランタでの交渉、私も現場に毎回行っていますのでおりましたが、ここで最後の最後までもめ込んだのが、バイオ医薬品という、新しい生物製剤、医薬品の特許をめぐる規定でした。
 なぜ、これに途上国、新興国は反対するのかといえば、これはとてもシンプルです。命にかかわるからです。途上国では、アメリカの製薬会社が要求するレベルで特許権を強化してしまえば、もちろん、国内法を変えるとかそういうテクニカルな問題はたくさんあったんですが、受け入れられない理由はそうではありません。それが自国の国民の命に直結する問題だからです。
 今、どのメガFTAであれ、二国間であれ、この知的財産、とりわけ医薬品の特許をめぐる問題というのは大変な対立を生み出しているマターです。RCEPでもそうです。
 私、きょう、資料の中で、一番最後のページに、十五ページに写真をつけさせていただきました。これは、RCEP交渉、昨年の七月にインドのハイデラバードで行われたときに私も行きましたけれども、これはTPPと関係ないじゃないかと思われるかもしれませんが、関係あるんです。
 日本政府及び韓国政府は、RCEPの中でも、TPPと同じようなレベルの特許権保護、つまり、WTOのTRIPs協定というものがありまして、それよりももっと保護強化をしよう、つまり、医薬品会社の利益をもっと高めよう、そういうWTOより以上のものを提案しているということがリーク文書でわかりつつあります。このことにインドの人々は非常に抵抗していて、ちょっとショッキングなバナーですけれども、日本と韓国は人々の命をもてあそぶな、こういう厳しい批判というものもあります。
 ですから、こういう形で、ルールを高めたという、企業側からすれば利益なのでしょうが、一方、それは、公衆衛生とかさまざまな公共政策、それから気候変動への対応など、いわゆる国際市民社会が重要としている価値とは非常に対立的になっているということがありますので、日本としては、このあたりを、TPPがいいんだというだけでは、やはり他のアジアの国々、世界の人々に対しての責任という観点からは非常に問題があると思っております。

○塩川委員 そういう意味でも、非常に命にかかわる問題だということで、極めて重要、重大だと思います。
 その点で、いや、そうはいっても、この有害条項は凍結しているんだという話があるんですけれども、それが本当にそうなのか、その点についてはどうでしょうか。

○内田参考人 済みません、簡潔に。
 まず、有害条項と評したのは、今言ったような、その国々の公共政策だとか公衆衛生だとか人権とか、それから環境保護政策、こういうものにとって有害だという条項という意味です。これは、二十二の条項以外にも、私からすれば、まだ多数、TPPの中にはあります。逆に言えば、たった二十二個しか凍結されなかったのかというふうに思っております。
 ですから、仮に二十二が凍結されたとしても、先ほど来あるような食の安全のものだとか、それから金融のサービス、国有企業等々、まだまだ我々からすれば問題な条項というのが非常に多く埋め込まれております。ですから、このTPPの危険性というのは、若干は解消されたけれども、基本的には変わっていないというふうに思っております。
    〔委員長退席、石原(宏)委員長代理着席〕

○塩川委員 続けて内田参考人にお聞きしたいのはISDSの件ですけれども、先ほど、EUはISDSを否定したという話もありました。
 TPP11で、先ほども出た凍結項目としてISDSの話も出てくるわけですけれども、TPP11において、ISDS条項のいわば危険性というのは払拭されたのかということについてお聞かせいただけないでしょうか。

○内田参考人 ISDSは、現時点で累積して、特に九〇年代、二〇〇〇年以降、約七百六十件ほど、世界じゅうでさまざまなケースがあります。そのほとんどは、先進国政府の企業が途上国政府を訴えるという構図が基本的なパターンであります。
 ですから、TPPの中では、先ほど中川参考人からもあったように、主に途上国、新興国の政府がやはり提訴の危険というものを重々わかっているわけですね、みんな。ですから、凍結として要求したのだろうと思っております。
 その意味では、私は、凍結項目におけるISDSの、一部の縮小ですけれども、これは、途上国政府がやはり辛うじてTPPの中で奪い返したぎりぎりの線だったんだろうと思っております。
 日本にとってはどうかといえば、特段の変化はありません。これは、たしか凍結の中で、投資の定義というところで中央政府というところに限っていたと思いますけれども、逆に日本が訴えられなくなるじゃないかという声が、日本の企業が途上国政府を訴えるツールがなくなったんじゃないかという意見がありますけれども、逆に訴えられるリスクが減ったかといえば、特段減ってはいないというふうに思っております。

○塩川委員 ありがとうございます。
 次に、鈴木参考人にお尋ねいたします。
 TPP11の影響試算のことについてお尋ねしたいんですが、政府は二〇一七年末にTPP11の影響についての試算を出しましたけれども、これは本当に国内対策の検討に使えるのか、恣意的ではないのかという意見をお聞きするわけですけれども、鈴木参考人のお考えをお聞かせください。

○鈴木参考人 私の資料の四ページにもございますように、この影響試算というのは、本来は、これだけの影響が出るということをまず計算して、であるから、どれだけの対策が必要かという順序で進めなきゃいけないはずですが、それを、影響がないように対策をするから影響はないということで計算しておりますので、これは対策を検討するための影響試算にはなり得ないということだと思います。
 例えば農産物の価格が十円下がったら、そのためにそれを相殺するだけの政策はやるから生産量も所得も変わらないんだという計算方法でございます。それでは本当の影響というのは見えない。もしそれを正当化するのであれば、その十円下がったときにどういう対策をやるからその十円が相殺されて生産量と所得が変わらないのかについての根拠を示さないといけない。
 そういう意味で、まず、対策を入れ込んだ影響試算ではなくて、対策をしなければどういうことが起きるのかという純粋の影響というものを示してから議論すべきである、これが基本的な視点ではないかというふうに考えております。

○塩川委員 その場合、その対策をしなければどのような影響が出るのか、これをきちっと出すことが必要だというお話ですけれども、こういう点について政府に出せという要求をするのは当然のことでありますが、同時に、識者の方から、そういう、対策をしなければどういう影響が出るのかという試算というのは、何らかお示しできるものがあればお示しいただけないでしょうか。

○鈴木参考人 私どもでは、TPP12のときに独自の影響試算をして、政府試算とは全く違う、七倍の数字、一兆六千億円の被害が出るという数字を出しました。これは、基本的にはTPP11になっても変わらない、あるいはそれ以上であると考えなきゃいけない。つまり、TPP11をやるということはTPP12以上の内容を結果的に受け入れるわけですから、少なくとも、TPP12のときの打撃が出るということをまず踏まえる必要が出てくる。
 ですので、改めてTPP11だけを切り取って影響試算をすることも可能ではありますが、私はそれを今のところはやっていません。それは今のような理由からでございます。

○塩川委員 ありがとうございます。
 もう一点お聞きしたいのが、TPPがそもそも何のために行われるのか。TPPの本質について、やはりアメリカのグローバル企業の要求、便宜供与の問題があるという話、鈴木参考人もおっしゃっておられます。そういう点についてのお考えと、あわせて、このTPPというのは日本のグローバル企業のアジア等における利益追求にも応えるものとなっているのではないのかと思うんですが、そのこともあわせてお答えいただけないでしょうか。

○鈴木参考人 御指摘のとおり、アメリカのグローバル企業、先ほど来出ています製薬会社さんとかが、人の命を縮めても自分たちがもうけられるようなルールをアジア太平洋地域に広めたい、これが端的なTPPの本質ですね。まさにグローバル企業、それが政治家とお友達になって、お友達企業への便宜供与と世界の私物化という現象が起こっている。極端に言えばそういうことだと。
 それは日本のグローバル企業にとっても同じことで、おっしゃるとおりでございます。日本の企業が、あるいは小売企業がアジアに行って、直接投資が更に自由化されれば、どんどん展開できる。それによって日本のグローバル企業の経営陣の利益もふえます。しかし、現地の人たちは安く働かされる。そして、日本の国内では、国内の人々が結局安い賃金で働くか、あるいは失業して、例えばベトナムの方々の賃金は日本の二十分の一から三十分の一ですから、そういう方々が更にふえる、あるいは企業が出ていく。
 いずれにしましても、グローバル企業の経営陣にとってのメリットは、それは日米ともにあることは間違いない。しかし、それが一般国民の九九%の方々の生活をプラスにするかというと、それは逆行してしまう。ここをどのように調整できるのかということが問われているんじゃないかというふうに思います。

○塩川委員 終わります。ありがとうございました。