【内閣委員会】岸田派不記載他にも/官房長官認める

 自民党の裏金問題を追及し、岸田派の政治資金収支報告書への不記載のうち、政治資金パーティー収入以外でも不記載があったことが明らかになりました。

 岸田派では政治資金収支報告書への不記載額が3059万円(2018~20年)にのぼり、元会計責任者の有罪が確定しています。岸田文雄首相や同派座長だった林芳正官房長官は、これまでの答弁で、不記載の要因の一つとして、18年分の不記載額1322万円のうち558万円について寄付の取り消し要請があったと説明しています。

 私は、岸田派が3年間分の政治資金収支報告書の訂正をした1月18日の6日後に、同派前会長の古賀誠元幹事長が代表を務める古賀誠筑後誠山会が政治資金収支報告書の訂正で19年以前からの繰越額558万円を追加したことを挙げ、「この取り消し要請は、古賀事務所に対するものか」とただしました。

 林官房長官は「18年の寄付について、同年中に寄付者から取り消しの申し出があり返金した」と認めつつ、相手が誰かなど「他の政治団体について答える立場にない」として明らかにしませんでした。

 私が558万円は、パーティー収入以外の収入かと重ねてただすと、林氏は「(558万円については)パーティー収入ではない」と認めました。

 私は、岸田首相が「(岸田派の不記載分は)パーティー専用の口座に残っており、ほかに流用したわけではないから裏金ではない」と強弁してきたが、「パーティー収入とは別のお金のやり取りがあったのであれば、きちんと説明がされないままになっている」と批判し、岸田派についても裏金事件の徹底した真相解明が必要だと強調しました。

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「議事録」

第213回国会 令和6年4月10日(水曜日) 内閣委員会 第9号

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 今日は、岸田派の裏金問題について質問をいたします。

 二月十六日の内閣委員会で、林官房長官は、宏池会座長の立場にあった者としてということで、宏池政策研究会、岸田派の裏金問題についてお答えになっておられます。

 岸田派の派閥収支報告書の不記載の要因について、このときの質疑で林官房長官が三点を指摘をしているわけですが、一つは、どの議員の紹介によるパーティー券収入か不明な場合には判明するまで収支報告書への記載を保留するという事務手続を取っていたということ、二つ目に、銀行への入金履歴を手書きで転記する際に転記ミスを起こして収支報告書への記載漏れがあったということ、三つ目に、二〇一八年の千三百二十二万円の収入不記載について、五百五十八万円は寄附の取消し要請があったということでありました。

 その内容についてお聞きします。

 まず、どの議員の紹介によるパーティー券収入か不明な場合には判明するまで収支報告書への記載を保留するという事務手続を取っていたということですが、岸田派の政治資金パーティーにおいては、パーティー専用の口座を恒常的に設けていたということですので、一つの口座によって、過去のパーティーを含め、出入金の記録は確認できるのではないかと考えます。

 そこで、二〇一八年から二二年の各年において、誰が振り込んだのか、これは明らかにできるんじゃないでしょうか。その点についてお答えいただけますか。

○林国務大臣 今御指摘がございましたように、宏池会による政治資金パーティーにおきましては、専用口座を恒常的に設けていたところでございます。当該口座の入出金の全てを把握しているわけではございませんが、宏池会のパーティー券を購入した個々の方々から振り込みがなされているほか、パーティー券の売上げを預かった個々の議員事務所からの振り込み等があった、そういうものと承知をしております。

○塩川委員 パーティーを購入した個々の方から振り込みもあったし、個々の議員の事務所からの振り込みもあった、それが口座にとどまっていた分としてあったということでよろしいですか。

○林国務大臣 お尋ねは、どういう振り込みがあったかということでございますので、個々の方々からの振り込み、またパーティー券の売上げを預かった個々の議員の事務所から振り込みがあったということでございます。

○塩川委員 それがここで言っている、保留する、保留分のお金として、個々の事務所から来た振り込み先というのは個々の議員が特定できるので、保留分にならないんじゃないかと思うんですが、そこはどうなんですか。

○林国務大臣 宏池会におきましては、前会計責任者の不確かな会計知識に基づきまして、どの議員の紹介によるパーティー券収入か不明な場合に判明するまで収支報告書への記載を保留するという事務手続が取られていたということで不記載が生じたと聞いております。

 パーティー券がどの議員との関係での売上げであるかということでございますが、振り込み時にパーティー券の番号を記載していただいたり、パーティー券の売上げを預かった議員事務所がまとめて振り込みをしたりすることなどにより確認をしていたと承知をしておりますが、振り込み時のパーティー券番号の誤記それから記載漏れ等によって、どの議員の紹介によるパーティー券収入なのか不明なものが一部生じた、そういうふうに聞いております。

○塩川委員 その誤記、記載漏れについて保留分としてずっとあったということについて、本来であればその腑分けが必要なわけですけれども、そういうことについて、されないままでいたということでしょうか。

○林国務大臣 委員が腑分けとおっしゃるのはどういうことか、明らかに、ちょっと理解したかどうか分かりませんが、まさに、議員の事務所がまとめて振り込みをすればどの議員かは分かるということでございますが、それ以外の方でもパーティー券の番号を記載していただければ分かるということですが、先ほど申し上げましたように、振り込み時のパーティー券番号の誤記、記載漏れ等によって、どの議員の紹介によるパーティー券収入か不明なもの、これが生じたということでございます。

○塩川委員 いずれにしても、購入者が支払っているお金があるわけですから、誤記や記載漏れがあったとしても、誰が振り込んだのかということについては、購入者が振り込んだ分については、これは特定できるはずなので、保留分になっているものであっても、購入者が振り込んだ分については明らかで、名前が分かるわけですよね。

 ですから、そういったものについて、収支報告書の記載、公表事項となっている二十万円を超えるような、そういうものというのも出てきていていいはずなんですけれども、そういうのが見えないというのは、そもそもきちんとした照合をこの間の詳細な実態調査の中で行っていないということでしょうか。

○林国務大臣 まさに、前会計責任者の不確かな会計知識に基づいて、どの議員の紹介によるパーティー券収入か不明な場合には判明するまで収支報告書への記載を保留する、こういう事務手続が取られていたということでございます。

○塩川委員 ですから、その実態というのがまだ、いまだに分からないままなのでお聞きしているんですが、明確なお答えがありませんでした。

 その上で、二〇一八年の略式起訴に係る千三百二十二万円、その内数として、寄附の取消し要請というのがあって、五百五十八万円だという答弁だったわけですが、この寄附の取消し要請というのは何なのか、相手方というのは誰なのか、その点について御説明ください。

○林国務大臣 御指摘のありました寄附の取消しでございますが、二〇一八年、すなわち平成三十年でございますが、この二〇一八年中に行われた寄附につきまして、同年中に寄附者からの申出があり、寄附を取り消して、同年中に返金を行っていたものでございます。

 なお、宏池会としては寄附を受ける立場でございますので、寄附の取消し理由についてはお答えする立場にはないと考えます。

 また、誰の寄附を幾ら取り消したのかということにつきましては、プライバシーにも関わるものであることから、お答えは差し控えさせていただきます。

○塩川委員 パーティー収入について虚偽記入があったということがずっと言われているんですけれども、この二〇一八年の寄附について、同年中に取消し要請があり取り消したというのは、パーティー収入とは別ということですね。

○林国務大臣 先ほど申し上げましたように、寄附の取消し、寄附があって、寄附について、同年中にその寄附者からの申出があって、寄附を取り消したということでございます。

○塩川委員 ですから、派閥のパーティーの収入とは関係ないお金ということですよね。

○林国務大臣 先ほどお答えしたとおりでございまして、これがどういう、先ほどの区分になっていたかというのは、詳細は承知をしておりません。

○塩川委員 いやいや、この前の答弁のときにも、派閥のパーティー収入で不明な分の金額の保留分については、二〇一八年については林官房長官は七百六十四万円と答弁しているんですよ。ですから、全体として不記載が千三百二十二万円、そのうち、パーティーかパーティー券についての不明分が七百六十四万、その差額の五百五十八万円が寄附の取消し要請分ということですから、パーティー収入とは別ということははっきりしていると思うんですが、そういうことですよね。

○林国務大臣 検察の処分も出ておるわけでございますが、検察がどのような判断でそういう処分をなされたのかということは私は承知しておらないわけでございますけれども、お尋ねの五百五十八万円分の寄附の取消し、これは平成三十年中に行われたものであって、五百五十八万円は令和元年以降には繰越しをしていないということでございます。したがって、不記載ということで検察から判断がなされているということでございます。

○塩川委員 ですから、二〇一八年の千三百二十二万円については、パーティー収入について保留分として口座に残っていた、まあ、その説明が妥当かどうかはあれにしても、パーティー収入の保留分というのが七百六十四万円で、寄附があったんだけれどもその年に取消しになったから、その分についてが五百五十八万円ですから、パーティー収入とは別なお金ということになるわけですから。

 そういう意味では、この間、岸田総理自身も、パーティー収入については口座できちっと記録して、そのお金も残っていたんだから問題がないということを言っていたんですが、パーティー収入とは別なお金のやり取りがあったということであれば、それは非常に不透明だと。これについてのきちんとした説明がされないままで来ていると思うんですけれども、いかがですか。

○林国務大臣 パーティー収入については、先ほど委員からも御指摘のあった数字が不記載として検察の処分ということになっておりますし、お尋ねの五百五十八万円分の寄附の取消しというのは、先ほど申し上げましたように、平成三十年中に行われたものでございます。

 寄附の取消しでございますので、パーティー収入ではないということだと思います。

○塩川委員 岸田派のかつての領袖である古賀誠元自民党幹事長が代表を務める古賀誠筑後誠山会は、一月に政治資金収支報告書の訂正を行っております。二〇一九年以前の収支に記載漏れがあったとして、報告書を訂正できる二〇年から二二年分について、前年からの繰越額として五百五十八万円を追加をしております。

 岸田派の収支報告書の訂正が一月の十八日、古賀誠筑後誠山会の収支報告書の訂正は一月の二十四日ということになると、この寄附の取消し要請の五百五十八万円分というのは、古賀事務所に対するものということになるんじゃありませんか。

○林国務大臣 他の政治団体につきまして、私から何らかお答えする立場にはないと考えております。

○塩川委員 でも、個々の議員の収支報告書などについてもきちっと明らかにするということは、聞き取り調査などで行われてきているわけであります。

 自らの派閥についてどういうお金の流れがあったのかということについて、これは当然のことながら、自民党の総裁でもあり岸田派の会長だった岸田総理としてきちんと説明されるのは当然でありますし、岸田派の座長でもあった林官房長官としても、そういう不透明なお金の流れについてきちんと説明をすべきじゃないでしょうか。

 古賀誠さんの事務所と違うというんだったら、それはそれとしてあるわけですけれども、まさに身内といいますか関係者であるわけですから、そういう不透明なお金の流れがどうなっていたのかについて、これをきちんと説明することは最低限の政治的責任じゃありませんか。

 この点について、改めてお答えください。

○林国務大臣 委員のお尋ねが宏池会とは別の政治団体についてのお尋ねでございましたので、他の政治団体については、私から何らかのお答えをする立場にはないとお答えしたところでございます。

○塩川委員 宏池政策研究会への寄附が行われているんですよ。そういう寄附があれば、それは当然のことながら、その金額からいってもきちっと記載されなければならないものであるわけで、そういった点でも、これは宏池政策研究会に係る収入としての寄附の話ですから、宏池政策研究会として、その関係者がきちんと説明するのは当然のことじゃないでしょうか。

 そういうことを行わないで、これで政治的、道義的責任を果たしたということは言えない。そもそも、処分で、これで一件落着などとは当然言えないわけで、全容解明は岸田派においてもいまだ途上だということを申し上げなければなりません。徹底解明が必要であります。

 岸田総裁、岸田派会長として処分なしというのは……

○星野委員長 申合せの時間が経過をしておりますので、おまとめください。

○塩川委員 真相解明を棚上げするものだと言わざるを得ないということを申し上げて、質問を終わります。

自衛隊化学学校の毒ガス問題資料

(資料1)陸上自衛隊化学学校と毒ガス製造問題の経緯(年表)

【活動日記】さいたま市/自衛隊化学学校の毒ガス問題を考えるつどい(12月15日)参照

(資料2)科学学校における特定物質の製造量等の実績(2008~2012年度)

【活動日記】さいたま市/自衛隊化学学校の毒ガス問題を考えるつどい(12月15日)参照

科学学校における特定物質の製造量等の実績(2013~2018年度)

(資料3)陸上自衛隊大宮駐屯地施設配置図

【活動日記】さいたま市/自衛隊化学学校の毒ガス問題を考えるつどい(12月15日)参照

(資料4)これまでの遺棄化学兵器発掘・回収事業状況

【活動日記】さいたま市/自衛隊化学学校の毒ガス問題を考えるつどい(12月15日)参照

【本会議】秘密保護法拡大法案/平和国家投げ捨て兵器の共同開発推進

 「秘密の範囲」を経済分野に拡大する経済秘密保護法案(重要経済安保情報法案)等が衆院本会議で、自民、公明、立民、維新、国民などの賛成で可決されました。日本共産党、れいわは反対しました。

 私は反対討論で、「法案は米国などの同盟国・同志国と兵器の共同開発を推進するものだ」と告発し、「憲法の平和主義を投げ捨てる暴挙に断固抗議する」と厳しく批判しました。

 私は、米国の「国家防衛産業戦略」が、多国間連携による兵器の共同開発・共同生産や維持・整備網の構築を掲げていると指摘。同法案の狙いは、岸田政権が日英伊の次期戦闘機「GCAP」、日米の極超音速兵器を迎撃する滑空段階迎撃用誘導弾「GPI」、米英豪の「AUKUS」との兵器の共同開発を進めようとする中で、秘密保護法の範囲外にまで「秘密の範囲」を広げ、同盟国・同志国と同等の秘密保全法制を整備することにあると告発。「駐日英大使が、機密技術の共同開発には、セキュリティ・クリアランス制度が欠かせない」と述べている通りだと強調しました。

 日本の財界も、「国防省関係のビジネスで、さらなる業務獲得・円滑化のためには、クリアランスが必要」と推進しているとして、「米国などの同盟国・同志国と財界の要求に応えて兵器の共同開発・輸出を進め、日本を『死の商人国家』にしようというものだ。断じて許すわけにはいかない」と批判。

 米国のキャンベル国務副長官は明日(10日)の日米首脳会談で、「極めて重要な防衛装備品の共同開発・共同生産を協議する」と述べていると指摘し、「首脳会談の手土産にするために衆院を通過させようとしているのは明らかだ」と主張。「本法案に断固反対」と強調し、廃案にすることを強く求めました。

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反対討論の概要は、以下のとおりです


 私は、日本共産党を代表して、重要経済安保情報法案等に、反対の討論を行います。

 本案は、米国などの同盟国・同志国と、兵器の共同開発を推進するものです。

 米国が初めて策定した「国家防衛産業戦略」は、「同盟国・同志国の強固な防衛産業は、米国国防総省の統合抑止の礎石であり続ける」として、多国間連携による兵器の共同開発・共同生産や、維持・整備網の構築を掲げています。

 岸田政権は、日英伊の次期戦闘機「GCAP」、日米の極超音速兵器を迎撃する滑空段階迎撃用誘導弾GPI、さらに米英豪の「AUKUS」との兵器の共同開発を進めようとしています。そのため、本案は、秘密保護法の範囲外である「コンフィデンシャル」級の情報まで秘密の範囲を広げることで、同盟国・同志国と同等の秘密保全法制を整備しようというものです。

 イギリスの駐日大使が、機密技術の共同開発には、セキュリティ・クリアランス制度が欠かせないと述べている通りです。

 日本の財界も、「国防省関係のビジネスで、さらなる業務獲得・円滑化のためには、クリアランスが必要」と推進しています。

 米国などの同盟国・同志国と財界の要求に応えて、兵器の共同開発・輸出を進め、日本を死の商人国家にしようというのが本案です。断じて許すわけにはいきません。

 米国のキャンベル国務副長官は、明日開かれる日米首脳会談で、「極めて重要な防衛装備品の共同開発・共同生産を協議する」と述べました。日米首脳会談の手土産にするために、衆議院を通過させようとしているのは明らかではありませんか。憲法の平和主義を投げ捨てる暴挙に、断固抗議します。

 軍事兵器の共同開発推進の下で、国民には何が秘密かも知らされないまま、政府が勝手に秘密を指定し、その秘密に触れただけで、拘禁刑という厳罰で処罰する秘密保護法を拡大するのが本案です。政府が指定できる秘密を経済分野まで大幅に増やし、広範な民間労働者、技術者、研究者を政府の秘密保全体制に組み込んで、監視し、処罰するなど、到底認められません。

 本案が規定する秘密を扱う人への適性評価は、政治的思想、海外渡航歴、精神疾患などの治療歴、借金や家賃の滞納、家族や同居人の過去の国籍まで、機微な個人情報を根こそぎ調べ上げるものです。事情に変更があった際には、報告させる誓約まで迫ります。

 本人だけでなく上司からも調査票を提出させ、警察・公安調査庁や医療機関などにも、本人への通知なく照会をかけます。適性評価後も、事業者に、対象者を継続的に監視させる二重三重の監視体制であることが、質疑でも明らかになりました。本人の同意が前提といいますが、労働者が調査を拒否しても不利益を被らないという保証はなく、事実上の強制です。

 思想・良心の自由、プライバシー権を踏みにじる憲法違反そのものではありませんか。

 しかも、秘密指定された情報は、国民の代表である国会議員にすら明らかにされません。修正されたところで、秘密を知った国会議員が、秘密会の外で漏らせば刑罰に処せられるなど、国会の国政調査権や議員の質問権を侵すものであることには変わりなく、反対です。

 経済分野への秘密指定の拡大は、本来あるべき研究成果の自由な公開やオープンな研究環境を制限し、学問の自由を侵害するのは明らかであり、容認できません。

 重大なのは、政府が、本案によって経済分野まで拡大される秘密の範囲に合わせて、秘密保護法を改正することなく、法の運用によって、これまで防衛、外交、スパイ活動、テロ活動の4分野に限定されていた特定秘密の範囲を拡大しようとしていることです。10年前、国民の大反対を押し切って強行した憲法違反の秘密保護法を運用で拡大するなど、断じて認められません。

 このような拡大は、政府が経済安保の名の下ででっちあげた、大川原化工機事件のような冤罪事件を引き起こすのは明白であります。

 以上、本法案に断固反対、廃案にすることを求め、討論を終わります。

さいたま市緑区の「春を呼ぶつどい」/松村としお市議とのトーク企画

 さいたま市緑区の「春を呼ぶつどい」。

 松村としお市議とトーク形式で。裏金問題でも経済・外交分野でも、自民党政治の行き詰まりが明らかに。

 金権腐敗の追及、経済・外交政策の対案など、日本共産党の果たす役割の大きさを実感。

 大型開発中心、市民サービス切り捨てのさいたま市政のゆがみも話題に。

埼玉・志木市議選告示/上野たくま候補の応援に

 志木市議選告示、上野たくま候補の応援に!水谷としみ市議とバトンタッチ。

 学校給食費完全無償化、国保税引下げ、高齢者の補聴器購入補助を実現しよう!

 国保税・介護保険料値上げにきっぱり反対、子ども医療費の税金完納要件廃止させた党だからこそ!

 裏金自民党に審判を!大軍拡やめて子育て支援を!

【内閣委員会】秘密保護法拡大法案が内閣委で採決/兵器の共同開発推進を告発

 「秘密の範囲」を経済分野に拡大する経済秘密保護法案(重要経済安保情報法案)等が衆院内閣委員会で、自民、公明、立民、維新、国民などの賛成多数で可決しました。日本共産党は反対しました。

 私は質疑で、「法案は、米国などの同盟国・同志国との多国間連携で兵器開発を推進するためのものだ」と告発しました。

 私は、米英豪の国々の発言を紹介。

 英国のロングボトム駐日大使は、日英伊の次期戦闘機(GCAP)について、セキュリティ・クリアランス制度は「機密技術の共同開発を促進するのに欠かせない」。

 米国のキャンベル国務副長官は「日米首脳会談で、極めて重要な防衛装備品の共同開発・共同生産を協議する」。

 オーストラリアのマールズ副首相・国防相は、極超音速兵器や無人機に適用されるAI技術の共同開発について「日本の参画に期待」。

 私は、米国防総省の「国家防衛産業戦略」が「同盟国・同志国による強固な防衛産業は、米国国防総省の統合抑止の礎石であり続ける」と掲げていると指摘、この戦略に沿って、GCAPや、それに連動する無人機、極超音速兵器を迎撃する滑空段階迎撃用誘導弾(GPI)などの共同開発を推進するために「日本の民間企業の参入も踏まえてセキュリティ・クリアランスが必要となるのではないか」とただしました。

 岸田文雄首相は、GCAPは法案の対象ではないとしつつ、それ以外の「国際共同開発が一層進むことが期待される」と認めました。

 私は、防衛省のシンクタンクである防衛研究所のレポートでも「米国との安全保障分野の連携に民間企業を参画させる際に無視できないのがセキュリティ・クリアランスだ」としていると指摘。「殺傷能力のある兵器を他国に売りさばく死の商人国家を目指すことは断じて認められない」と批判し、「断固反対、廃案にすることを求める」と強調しました。

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反対討論の概要は、以下のとおりです。


 私は、日本共産党を代表して、重要経済安保情報法案に、反対の討論を行います。

 本案は、国民には何が秘密かも知らされないまま、政府が勝手に秘密に指定し、その秘密に触れただけで拘禁刑という厳罰で処罰する秘密保護法を拡大する法案に他なりません。秘密の範囲を経済分野まで拡大することで、政府が指定できる秘密を大幅に増やし、広範な民間労働者、技術者、研究者を政府の秘密保全体制に組み込むものです。

 本案がなぜ必要なのか。米国の「国家防衛産業戦略」は「同盟国・同志国の強固な防衛産業は、米国国防総省の統合抑止の礎石であり続ける」と掲げています。

 岸田政権が進める、日米の極超音速兵器を迎撃する滑空段階迎撃用誘導弾GPI、米英豪の「AUKUS」との極超音速兵器や無人機、日英伊の次期戦闘機「GCAP」。こうした共同開発を進めるために、本案は、同盟国・同志国と同等の秘密保全法制を整備しようというものです。イギリスの駐日大使が、機密技術の共同開発にはセキュリティ・クリアランス制度が欠かせないと述べている通りです。

 日本の財界も、「国防省関係のビジネスで、さらなる業務獲得・円滑化のためにはクリアランスが必要」と推進しています。

 米国などの同盟国・同志国と財界の要求に応えて、兵器の共同開発・輸出を進め、日本を死の商人国家にしようというのが本案です。10日に開かれる日米首脳会談に間に合わせるために衆議院を通過させようなど、断じて許されません。

 軍事兵器の共同開発推進の下で、国民には罰則、身辺調査を押し付けます。本案が規定する秘密を扱う人への適性評価は、政治的思想、海外渡航歴、精神疾患などの治療歴、借金や家賃の滞納、家族や同居人の過去の国籍まで、機微な個人情報を根こそぎ調べ上げるものです。事情に変更があった際には報告させる誓約まで迫ります。

 本人だけでなく上司からも回答を提出させ、警察・公安調査庁や医療機関などにも本人への通知なく照会をかけます。適性評価後も、事業者に対象者を継続的に監視させる二重三重の監視体制であることが質疑でも明らかになりました。本人の同意が前提といいますが、労働者が調査を拒否しても不利益を被らないという保証はなく、事実上の強制です。
思想・良心の自由、プライバシー権を踏みにじる憲法違反そのものです。

 重大なのは、政府が、これまで防衛、外交、スパイ活動、テロ活動の4分野に限定されていた特定秘密の範囲を、運用の見直しによって拡大しようとしていることです。10年前、国民の大反対を押し切って強行した憲法違反の秘密保護法を、法改正無しに拡大するなど断じて認められません。

 このような拡大は、政府が経済安保の名の下ででっちあげた、大川原化工機事件のような冤罪事件を引き起こすのは明白であります。

 以上、基本的人権、国民主権、平和主義という日本国憲法の基本原理を根底から覆す秘密保護法の拡大であり、経済安保情報法案と合わせて断固反対です。両修正案にも反対であると申し述べ、討論を終わります。


「議事録」(対政府質疑)

第213回国会 令和6年4月5日(金曜日) 内閣委員会 第8号

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 今日は、同盟国、同志国による防衛装備品の国際共同開発と今回の法案の関係についてお尋ねをいたします。

 日本とイギリス、イタリアによる次期戦闘機の共同開発に係るグローバル戦闘航空プログラム、GCAPに関連し、昨年十二月、日米両政府は、次期戦闘機と連動する無人機をめぐりAI技術に関する共同研究を実施することで合意したといいますが、これはどのような内容でしょうか。

○松本(恭)政府参考人 失礼します。

 委員御指摘のとおり、昨年十二月に、防衛省及び米国防省は、日米防衛当局間で、無人機へ適用するAI技術に係る日米共同研究に関する事業取決めに署名したところです。

 本研究は、一昨年十二月に公表した次期戦闘機に係る協力に関する防衛省と米国防省による共同発表を踏まえて実施するものであり、無人機の行動判断に適用されるAI技術について防衛装備庁と米空軍研究所が共同研究を実施するものです。本共同研究の成果として得られるAI技術については、我が方においては次期戦闘機と連携する無人機等に適用することを念頭に置いています。

 無人機と有人機の連携は今後の航空領域における活動のために極めて重要な要素であり、その実現に必要な技術として、特に進展の著しいAI技術の分野における日米の協力は、日米同盟の相互運用性や技術的優位性を確保するものであると期待しているところです。

○塩川委員 無人機の行動判断に適用されるAI技術を研究するということで、日本においては次期戦闘機と連動する無人機をめぐるAI技術ということであります。次期戦闘機に連動する無人機の開発をめぐってAI技術に関する共同研究を日米で実施するということであります。

 次に、バイデン米国大統領は、昨年十月、オーストラリアのアルバニージー首相と会談をし、日本を交えた三か国で無人機分野の協力を検討すると合意したということですけれども、その内容について承知しているでしょうか。

○松本(恭)政府参考人 お答え申し上げます。

 米国、豪州間の合意の内容につきましては我々も承知しておるところでございますけれども、具体的な詳細については、我々、詳細に承知しておるわけではございませんので、引き続き、三か国とも連携して、協議を重ねてまいりたいと思います。

○塩川委員 アメリカとオーストラリアの首脳共同声明は、戦闘機とそれに連動して活動する無人機の連携が重要になるとの認識を示し、我々の協力は相互運用性の向上と技術移転の加速を狙っていると記しているそうであります。

 これは、GCAPの次期戦闘機と連動する無人機の開発に係るAI技術の共同開発について、日米豪三か国での協力を目指すものではないのかと考えられます。

 あわせて、オーストラリアのリチャード・マールズ国防相は、共同のインタビューに、AUKUSの第二の柱である極超音速兵器やAIなどの共同開発について、将来的な日本の参画に期待と述べていますが、どのような期待をオーストラリア側はしているということなんでしょうか。

○安藤政府参考人 お答え申し上げます。

 AUKUSは、一義的には米英豪三か国の協力の枠組みでございますが、先進能力分野につきましては、同盟国及び緊密なパートナーに関与する機会を模索することと承知をしておりまして、防衛省として、関心を持ってこの取組の進展を注視しているところでございます。

 その上で、今先生御指摘の報道につきましては承知をしておりますが、豪副首相兼国防相のコメントの趣旨につきまして確定的にお答えすることが困難であることにつきましては御理解を賜りたいと存じます。

○塩川委員 そういう話があるということであります。

 日米の間で、極超音速兵器を迎撃する滑空段階迎撃用誘導弾、GPIの共同開発で合意をしておりますが、リチャード・マールズ・オーストラリア副首相・国防相の、極超音速兵器の共同開発について日本の参画に期待するという発言は、それを受けてのものということであります。

 いわば、GCAPにおける次期戦闘機に係る、連動する無人機のAI技術の開発とともに、GPIに関しても日米豪三か国での共同開発が想定をされているということであります。これにはイギリスも入るということもあるかもしれません。

 そこで、米国のカート・キャンベル国務副長官は、この十日に行われます日米首脳会談で、AUKUSと日本との技術協力について議論すると明らかにしておられます。

 また、キャンベル国務副長官は、三日のワシントンでのAUKUSをテーマにした講演において、極めて重要な防衛装備品の共同開発、共同生産について日米首脳会談で協議をすると述べておりますが、これはどのような内容のものでしょうか。

○濱本政府参考人 お答え申し上げます。

 キャンベル国務副長官は、記者団等に対しまして、日米首脳会談でAUKUSと日本との技術協力についても協議が行われる見通しだとの趣旨の発言をした、具体的には、安全保障や技術の面で日本が大きな能力を発揮できる分野がある等ということを言ったと報じられていると承知しております。

○塩川委員 実際に首脳会談でどういうことを議論するんでしょうか。

○濱本政府参考人 お答え申し上げます。

 日米首脳会談における議論の内容等につきましては決まっていないところでございまして、予断を持ってお答えすることは困難であることは御理解いただけないかと思います。

 その上で、AUKUSにつきましては、現時点におきまして日本とAUKUSとの協力について決まっていることはございませんが、我が国としては、法の支配に基づく自由で開かれたインド太平洋の実現に向けて、安全保障、防衛面で重要なパートナーである米国、豪州、英国との間で引き続き様々な形での連携を強化し、我が国の防衛力強化に資する取組を今後とも進めてまいりたいと考えております。

○塩川委員 キャンベル国務副長官は、極めて重要な防衛装備品の共同開発、共同生産について日米首脳会談で協議するということを述べた。その中身について、今やり取りしましたように、やはり、GCAPに係る次期戦闘機と連動する無人機のAI技術の共同開発の面、それから、GPIの共同開発についても、日本、アメリカ、オーストラリア、さらに、イギリスも視野に入っているかもしれません、こういった共同開発の可能性ということも指摘をされるところであります。

 このように、次期戦闘機に連動する無人機に関するAI技術の共同開発及び極超音速兵器を迎撃する滑空段階迎撃用誘導弾、GPIの共同開発について、日米豪、さらにはイギリスも含め進めることになれば、日本の民間企業の参入も踏まえ、セキュリティークリアランスが必要となるのではないでしょうか。

○品川政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘のありました防衛装備品等についての開発につきましては、本法案が成立する前からあります既存の制度に基づくセキュリティークリアランスを活用していくものと理解をしております。

○塩川委員 そうなんでしょうか。

 大臣にお尋ねします。

 米国防総省は、今年一月、同盟国の軍需産業をアメリカの戦略に統合することを掲げた国家防衛産業戦略を発表しました。この国家防衛産業戦略は、同盟国や同志国の強固な防衛産業は米国国防総省の統合抑止の礎石であり続けると指摘をし、地球規模の兵器のサプライチェーンや整備拠点の確保が死活的だとして、同盟国との二国間、多国間の防衛産業の協力が掲げられております。

 このようなアメリカの国家防衛産業戦略の下、日本に対して民間企業へのセキュリティークリアランスの導入強化が求められているのではありませんか。

○高市国務大臣 アメリカの国防省が国家防衛産業戦略を公表したのは今年、二〇二四年の一月十一日でございます。

 そもそも、この法律案の検討について私が意欲を表明したのは二〇二二年の八月十日、そして、その後、総理から御指示をいただいて、有識者会議も設置して、本格的にこの法律案の準備に向けて対応を始めたのは昨年、二〇二三年の二月でございます。

 ですから、アメリカの国防省から何か言われて制度の導入を求められたという事実は全くございません。そもそも、この法律案が保護の対象とするのは、我が国の国民生活や経済活動にとって重要なインフラや重要物資のサプライチェーンの保護に関する情報でございます。

○塩川委員 防衛産業というのは重要経済基盤に当たるということでよろしいですか。

○高市国務大臣 重要経済基盤、つまり、重要な、サプライチェーンですとか重要な物資に係るものでございますけれども、デュアルユースという概念からいいますと、防衛関連企業がこれまで培ってきた知見というものを、政府が持っている情報を提供して共に研究をしていくということはあるかと思いますが、直接的に国防の用に供する装備品ということになりますと、これは特定秘密の世界に入っていくと考えております。

 本法案でそのような形のことは想定しておりません。

○塩川委員 サプライチェーンにおける防衛産業も重要経済基盤、これは否定されないわけであります。

 そういった点でも、今回の動きについて、防衛省のシンクタンクである防衛研究所の「「米国国家防衛産業戦略」を読み解く」というレポートでも、「米国との安全保障分野の連携に我が国の民間企業を参画させる際に無視できないのが、セキュリティークリアランス制度の問題である。本稿執筆中の二〇二四年一月末現在、同制度の実現に向けて法案の提出が目指されているが、防衛産業連携のいわば「共通言語」である同制度の確立と確実な普及は依然急務である。」と述べております。防衛省が、今回の法案がアメリカの国家防衛産業戦略と符合する、そういうものとしてこの確立と普及が急務だと述べているというのが、まさにこの本質を示しているのではないでしょうか。

 今回の法案は、同盟国、同志国の多国間連携で兵器開発を推進するものであります。殺傷能力のある兵器を他国に売りさばくような、死の商人国家を目指すことは断じて認められないということを申し上げて、質問を終わります。

「議事録」(総理質疑)

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 秘密保護法拡大法案について質問をいたします。

 岸田総理は、セキュリティークリアランスは、同盟国、同志国との円滑な協力のために重要と述べております。岸田政権は、イギリス、イタリアと次期戦闘機の共同開発、GCAPを進めておりますが、ジュリア・ロングボトム駐日イギリス大使は、毎日新聞の寄稿で、GCAPに関連して、セキュリティークリアランス制度は機密技術の共同開発を促進するために欠かせないと語っております。

 次期戦闘機共同開発のためにも今回の法案が必要ということではありませんか。

○岸田内閣総理大臣 現在、英国及びイタリアとの共同開発を進めている次期戦闘機の共同開発、ここで取り扱う秘密情報については、トップシークレット、シークレット、こうした二つのランクの情報として、我が国においては特定秘密に指定し、そして管理をしています。

 本法案は、コンフィデンシャル級の情報を保護の対象とする制度を創設しようとするものであり、本法案の重要経済安保情報は、その対象から特定秘密を除外しているところ、本法案が次期戦闘機の共同開発のために必要であるという御指摘は当たらないと考えています。

 ロングボトム大使の寄稿の趣旨についてお答えする立場にありませんが、本法案では、我が国の安全保障の確保に資する活動を行う事業者への重要経済安保情報の提供等について規定しており、一般的にGCAP関連以外の国際的な共同開発が一層円滑に推進されることが期待されるものであると考えています。

○塩川委員 まさに、裾野広く共同開発、共同生産を行えるような防衛産業の国際的な協力機構、その上で、民間企業へのセキュリティークリアランスが必要なのではないのか、こういう立場で、ロングボトム大使が、日本に対して民間企業に係るセキュリティークリアランスを求めてきているのではないか。その一環でこのGCAPの問題も捉える必要があるということを申し上げなければなりません。

 あわせて、来週、総理は日米首脳会談に臨まれますけれども、先ほどの質疑でもただしたところですが、アメリカのカート・キャンベル国務副長官が、この日米首脳会談でAUKUSと日本との技術協力について議論すると明らかにしたということであります。

 また、キャンベル国務副長官は、防衛装備品の共同開発、共同生産について日米首脳会談で協議すると述べたということですが、防衛装備品の共同開発、共同生産についてどのような協議を行うお考えでしょうか。

○岸田内閣総理大臣 先ほども答弁させていただきましたが、日米首脳会談については、恐らく、開催ぎりぎりまで、内容について協議、調整が続くものであると認識をしています。

 その中において、外交安全保障、経済、経済安全保障を始め、日米の連携について重要な課題が取り上げられるものであると想定はしておりますが、具体的な内容については、関係者、様々な意見や発言がある、これは承知をしておりますが、最終的にどのような会談を行うことになるのか、今の時点では具体的には確定しておりません。

○塩川委員 日本、アメリカ、それからオーストラリアの政府高官、政策担当者の発言を見ますと、例えば、GCAPの、次期戦闘機に連動する無人機に関するAI技術の共同開発、また、GPI、極超音速兵器を迎撃する滑空段階迎撃用誘導弾の共同開発、これらについて、日米豪、さらにはイギリスも含め進めるという話が出ております。

 そういったことになれば、日本の民間企業の参入も踏まえ、セキュリティークリアランスが必要となってくるのではないのか、そういうことも俎上にのった議論が行われるのではありませんか。

○岸田内閣総理大臣 今の時点で具体的な内容を申し上げることはできません。

 そして、それに向けて、いろいろな関係者が様々な意見を表明している、提案をしている、これは十分承知をしておりますが、それらを会議の中でどう、取り入れるかどうか等も含めて、今はまだ何も決まっていないというのが現状であります。

 いずれにせよ、今回の日米首脳会談、国際安全保障環境が複雑化し、そして厳しさを増している中であって、日米同盟、日本とアメリカの関係、今まで以上にその存在の重要性が高まっています。その中で、日米関係の深化を確認し、そしてそれを世界に発信する、そのために重要な会議であると認識をしています。そのために必要な内容を最後までしっかり詰めたいと思います。

○塩川委員 セキュリティークリアランスに関わる法案を国会で審議をしているときに、それにつながるような首脳会談での議論が行われるかもしれない。そういったことについて何ら明らかにされずに、この法案だけ通してくれという話は、それは筋が通らないということを言わざるを得ません。

 こういった問題について、更にお尋ねしますけれども、米国防総省は、今年一月に、同盟国の軍需産業をアメリカの戦略に統合することを掲げた国家防衛産業戦略を発表しました。地球規模の武器供給網、サプライチェーンや整備拠点の確保が死活的だとして、同盟国との二国間、多国間の防衛産業の協力が掲げられております。

 こういったアメリカの戦略の下、日本に対して民間企業へのセキュリティークリアランスの導入強化が求められているのではないのか。アメリカ政府の国家防衛産業戦略に基づき、日本に対してセキュリティークリアランスの導入強化が求められているのではないのか。この点についてお答えをいただけますか。

○岸田内閣総理大臣 今御審議いただいている法案が対象とする重要経済安保情報とは、国民の生存に不可欠な又は広く我が国の国民生活や経済活動が依拠する重要な物資のサプライチェーンに関する情報であるとされています。

 これから明らかなように、本法案は、例えば米国産の武器の日本企業による生産を容易にするとか、そういったことを狙いにするものでは全くないと考えております。

○塩川委員 今年発行されました防衛省のシンクタンクである防衛研究所のレポートにおいても、米国との安全保障分野の連携に我が国の民間企業を参画させる際に無視できないのが、セキュリティークリアランスの制度の問題である、防衛産業連携のいわば共通言語であるセキュリティークリアランス制度の確立と確実な普及は依然急務であると述べているわけであります。

 今回の法案は、同盟国、同志国との間の多国間連携で兵器開発を推進するために必要な法案、殺傷能力のある兵器を他国に売りさばくような、死の商人国家を目指すことは断じて認められないということを申し上げておきます。

 こういった軍拡を進める法案は、基本的人権も侵害することになります。

 セキュリティークリアランス、適性評価の調査についてお尋ねをいたします。

 秘密保護法の運用基準を参考に作るというこの法案における適性評価の調査でありますけれども、秘密保護法による適性評価では、対象者が提出する質問票は三十ページにも及びます。海外渡航歴や統合失調症、躁うつ病などの治療歴、国税や社会保険料、家賃の滞納状況、また、家族、同居人の国籍など、機微情報の詳細な調査を行うことになります。

 本人に聞くだけでなく上司にも調査票を提出をさせ、これらの調査の内容に疑問が生じたときは、本人とともに上司や同僚、その他知人への質問を行う、それにとどまらず、現在の企業だけでなく過去に働いていた会社も含め調査を行うというものであります。

 二重三重に調査を行う仕組みということで、このような適性評価の対象者を継続的に監視するような、こういう仕組みにならざるを得ないのではありませんか。

○岸田内閣総理大臣 お尋ねのセキュリティークリアランスに関する法案における適性評価の七つの調査項目は、自発的に情報を漏えいするおそれの有無、また、他から働きかけを受けた場合に影響を排除できず漏えいしてしまうおそれの有無、また、意図せず過失により漏えいしてしまうおそれの有無、こういった観点から信頼性を確認するための必要な項目です。

 そして、これらは個人のプライバシーに関わるものであるため、適性評価の実施に当たっては、調査項目を七項目に限定しているほか、調査項目や調査の実施方法などをあらかじめ告知した上で本人の同意を得ることとし、収集した個人情報は雇用主には渡さず、また、適性評価の結果や個人情報の目的外利用を禁止するなど、法律上で配慮を行っています。

 さらに、二十一条一項には、この法律の適用に当たっては、これを拡張して解釈して、国民の基本的人権を不当に侵害することはあってはならない、こういった規定も置いています。

 これらが運用においても政府全体できちんと担保されるよう、しっかりと対応してまいりたいと考えています。

○塩川委員 基本的な人権を侵害することはあってはならない、そういうことを規定していると言いますけれども、この仕組みの中でも、例えば警察に照会したような個人情報が消去されるんですかということについて、政府としては明言をしていないわけですよ。こういった個人情報に対しての問題、重大な人権侵害の懸念というのは拭えないということであります。

 国民に最高五年間の拘禁刑という厳罰を科し、未遂や過失、共謀、教唆、扇動、さらには取材などで秘密を取得する行為まで処罰の対象となります。

 経済安保の名の下で政府がでっち上げた冤罪事件が大川原化工機事件であります。検察が公訴を取り消したこの事件を政府はそもそも反省しているんですか。

○岸田内閣総理大臣 御指摘の点については、裁判においてまだ係争中であると承知をしております。政府の立場から、今の段階でこの事案について評価を申し上げることは控えなければなりません。

○塩川委員 裁判で現役捜査員が捏造と証言した事件ですよ。こういった問題が、経済分野全般への秘密指定の拡大によって更に同じような事件を引き起こすことになるのではないのか、こういう懸念を拭えると言えるんでしょうか。

○高市国務大臣 今回、何が対象であるかということを明確にした上で事業者に共有して、共有を受けた事業者の方々にも公務員と同様に守秘義務を負っていただく、それが今回提案している法案でございます。外為法の話とはまた別でございます。

○塩川委員 経済安保の名の下にこういった問題が生じてくるわけですから、今回の法案はそうならないということについて、しっかりとした答えというのは受け取ることができませんでした。

 基本的人権、国民主権、平和主義という日本国憲法の基本原理を根底から覆す秘密保護法を拡大するものであり、断固反対をし、廃案にすることを求めます。

 そもそも、裏金問題について、自民党ぐるみの組織的犯罪行為であるにもかかわらず、真相解明を棚上げしたまま、森元首相へ電話した中身も答えない、これでは国民に対して説明責任を果たしたと言えないのは明らかではありませんか。

○岸田内閣総理大臣 自民党としては、今日まで、今回の事案について、検察における捜査が行われ、刑事責任が明らかにされた後も、国会あるいは党において、政倫審での弁明、また党の聞き取り調査等も行われた、その中で、できる限りの事実を把握した上で、政治責任について判断をいたしました。

 しかし、信頼回復のためにはまだ道半ばであり、政治資金規正法を始めとする法改正、国会においてもしっかりとこの国会で実現することなど、引き続き政治改革について努力を続けていきたいと思います。

 自民党の信頼ということについては、強い危機感を持って、引き続き最善の努力を続けてまいります。

○塩川委員 岸田派会長、自民党総裁の処分も行わない、こんな政党、政治家に日本の政治は任せられないと申し上げて、質問を終わります。

【「しんぶん赤旗」掲載】経済秘密保護法案/立急ぐ政府・与党/塩川衆院議員に聞く

「しんぶん赤旗」4月4日・3面より

米・財界が望む武器商人国家に

 「秘密の範囲」を経済分野にまで拡大する経済秘密保護法案(重要経済安保情報法案)。政府が秘密を指定し、国民への身辺調査=「セキュリティー・クリアランス(適性評価)」も行うという重大な法案ですが、政府・与党は来週にも衆院での採決を狙っています。日米の軍事一体化を背景にした同法案の危険性について、日本共産党の塩川鉄也衆院議員(党国会議員団内閣部会長)に聞きました。

秘密指定/際限なく拡大
 ―経済秘密保護法案とはどんな法案なのでしょうか。

 同法案は、何が「秘密」なのか、国民には一切知らせないまま、政府の一存で「秘密」指定する秘密保護法と同じ法体系です。重大なのは秘密の範囲を経済分野にも拡大することです。その範囲は経済安保推進法の基幹インフラ(電気、ガス、水道、運輸、通信など14分野)や重要物資(半導体など)より広く、秘密保護法制に新たに組み込まれる食料なども含みます。

 意図していなくても秘密に触れたり、情報漏えいした場合、5年以下の拘禁刑、または500万円の厳罰が科されます。漏えい未遂、過失、共謀、教唆、扇動、取材などで秘密を取得する行為も処罰対象です。

 秘密指定された情報は、国民の代表である国会議員にすら明らかにされません。報道や国会による行政監視は一層困難となり、国民の知る権利への侵害がより深刻化していくことは明らかです。

 秘密を扱う人は民間労働者、技術者、研究者などへと、秘密保護体制が際限なく拡大できることも重大です。

強制的調査/生涯監視も
 ―「セキュリティー・クリアランス(適性評価)制度」の問題点とは?

 今回とくに重大な論点となっているのが、「セキュリティー・クリアランス制度」の導入です。「秘密」を扱う人に対する身辺調査として、政治的思想、精神疾患などの病歴、借金などの信用情報といった機微な個人情報を根こそぎ調べ上げるものです。家族や同居人の氏名、国籍、住所なども家族本人の同意なく調査されます。秘密保護法に基づく「適性評価」として、公務員を中心に約13万人がすでに対象となっています。本人に回答の提出を求める質問票は30ページに及び、海外渡航歴やそううつ病の治療歴、家賃の滞納状況まで書かせます。上司による回答も求めており、変更事項がある際には「速やかな」報告が必要です。継続的な監視を行うということです。これが民間労働者にまで大きく拡大することになります。

 調査は本人同意を前提としていますが、拒否すれば職場などで不利益を被る恐れがあり、事実上の強制です。しかも、本人や上司などから提出された調査票に疑問が生じれば、再調査や警察、公安調査庁を含む公的機関や医療機関などへの照会なども行うとしています。何重にもチェックする仕組みがつくられます。

 政府は収集した情報は10年の保存期間後に廃棄するとしていますが、照会情報を削除するための規定は設けていません。政府が本当に情報を廃棄したのか、確かめるすべもなく、保管し続けることもできます。一度でも秘密に触れた人は、秘密を漏らしていないか生涯監視が続く恐れがあります。思想、良心の自由、プライバシー権を踏みにじる憲法違反そのものです。

武器輸出・共同開発狙う
 ―次期戦闘機など国際共同開発をめぐる武器輸出との関係は?

 岸田政権は英国、イタリアと次期戦闘機の国際共同開発を進めています。先月26日には共同開発した次期戦闘機の第三国輸出を解禁するため、「防衛装備移転三原則」の運用指針を改定しました。

 岸田首相は「セキュリティー・クリアランスは、同盟国・同志国との円滑な協力のために重要」だと述べています。日米同盟のもと、2014年に集団的自衛権の行使を可能とする流れの中で、日米の軍事一体化が進められ、米国要求に応える形で秘密保護体制を構築してきました。今回は、英国等も含めた同盟国・同志国との連携強化を図ることが最大の狙いではないかとも見ることができます。

 駐日英大使のジュリア・ロングボトム氏は、毎日新聞(2月14日付)への寄稿で、次期戦闘機の共同開発を進める「グローバル戦闘航空プログラム(GCAP)」に関連して、「セキュリティー・クリアランス制度」は「機密技術の共同開発を促進するために欠かせない」と語っています。こうした発言を背景に考えると、政府は武器輸出の推進や連携強化を念頭に、英国からの要求で、政府は同制度の導入を急いでいるのではないかと思います。

 日本国内の財界からも「相手国の国防省関係の業務獲得・円滑化のためにはクリアランスが必要」との声があがっています。英伊との次期戦闘機や、米国との極超音速兵器を迎撃する滑空段階迎撃用誘導弾(GPI)の共同開発に加えて、極超音速兵器やAIの共同開発を柱とする米英豪の安全保障の枠組み「AUKUS(オーカス)」との協力が進められることも報じられています。

 米国など同盟国・同志国と財界の要求に応えて、殺傷性のある兵器の共同開発・輸出を進め、日本を「死の商人国家」にしようという法案の正体を追及していくことが、今国会の大きな焦点の一つです。基本的人権や、国民主権、平和主義という日本国憲法の基本原理を根底から覆す危険な法案を成立させてはなりません。国民世論を結集し、廃案へ追い込むことが絶対に必要です。

【内閣委員会】秘密保護法拡大法案/身辺調査=適性評価/個人情報根こそぎ調べる

 秘密保護法拡大法案(重要経済安保情報法案)で規定する「セキュリティ・クリアランス(適性評価)」は、機微な個人情報を根こそぎ調べ上げるものだと批判しました。適性評価は、政府が秘密を扱う資格者を認定する制度。

 私は、法案の適性評価は秘密保護法の運用基準を参考にして行われることを確認。秘密保護法の適性評価では、対象者が提出する質問票は30ページにも及びます。

 私は調査内容について質問。内閣官房は、海外渡航歴や躁うつ病などの精神疾患の治療歴、借金や家賃の滞納・クレジットカードが停止されたことはあるかなどの経済状況などが対象となることを認めました。

 私は、警察を含む「公務所」、医療機関などの「公私の団体」に照会して必要な事項の報告を求めることも出来ることを指摘し、警察や公安調査庁、医療機関などに対し照会を行うことは対象者に通知されるのかと質問。

 内閣官房は「本人への通知がなければ本人は知らない」と答え、通知が義務でないことを認めました。

 私は、秘密保護法の運用基準では、適性評価の調査後も、対象者が秘密を漏えいする疑いがある時には、事業者に速やかに政府に報告させる仕組みになっていると指摘。「上司から継続的に監視されることになる」「二重三重に調査がかけられる仕組みだ」と批判しました。

 内閣官房は「報告を求めるのは人事管理の範囲内のものだ」と釈明しました。

 私は「収集された大量の個人情報について削除のルールはあるのか。個人情報が政府に溜まり続けるのではないか」と追及。

 高市大臣は「適性評価の実施後、10年間は保存しておくことが必要だ」と答弁。

 私は照会を受けた警察側で保存する場合はどうかと迫ると、内閣官房は「公文書管理法などに基づき適切に廃棄される」と答えました。

 私は「大川原化工機事件に反省すら示さない政府に、不信感が募るのは当然だ」と強調しました。

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「議事録」

第213回国会 令和6年4月3日(水曜日) 内閣委員会 第7号

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 今日は、最初に適性評価の調査について質問をいたします。

 高市大臣にお尋ねしますが、今回の法案では秘密保護法と同様に適性評価を行うことになりますが、今回の法案における適性評価に当たっては、秘密保護法で作られている運用基準、これに倣って作るものなのかどうか、その点についてお答えください。

○高市国務大臣 本法案に基づく適性評価につきましては、第十二条から第十六条において、その実施に関する手続を定めております。十八条において、その実施について統一的な運用を図るための運用基準を有識者の意見を聞いて作成し、閣議決定することとしております。

 委員お尋ねの運用基準を作成するに当たってでございますが、先行制度である特定秘密保護法の運用基準を参照しながら、この法案が重要経済安保情報を我が国の安全保障の確保に資する活動を行う事業者に提供し共有する制度であることに鑑み、有識者会議最終取りまとめでも指摘されておりますとおり、民間事業者に分かりやすいものとなるように検討してまいりたいと思っております。

○塩川委員 特定秘密の運用基準を参照しながらという話でございます。

 そこで、現行の特定秘密保護法での運用基準に即して、それを踏まえて今回の法案ではどういうふうに考えるかということでお尋ねしたいと思うんです。

 運用基準に基づく適性評価の調査方法について、特定秘密において本人が提出をするという質問票は三十ページにも及ぶわけですけれども、こういった質問票については大体同様のものをこの法案でも求める考えということでよろしいでしょうか。

○飯田政府参考人 お答えをいたします。

 今御質問がありました質問票と申しますのは、適性評価のための調査において、重要経済基盤毀損活動を始めとする七項目の調査事項があるわけですけれども、それらについて、その調査事項を確認するために更に少し細目を設けまして質問を構成しているところでございまして、この質問票につきましても、特定秘密保護法と同様に、運用基準の中でどのようなものにするのかについて、有識者の意見をお聞きしながら、明確なものを今後策定していきたいというふうに考えております。

○塩川委員 この質問票においては、調査対象者の方への質問として、海外渡航歴についてはどのようなことを記入するようになっているんでしょうか。

○飯田政府参考人 お答えいたします。

 特定秘密保護法の例を申しますと、質問票には、職務上の出張を除き、過去十年以内に海外に居住又は渡航したことがある場合には、その国や都市の名称、期間、目的を記載することを求めているものと承知をしております。

 本法案におきましても、重要経済基盤毀損活動との関係に関する事項として、特定秘密保護法の例も参照しながら、質問票の中で確認する事項について運用基準の中で明確にすることを想定しております。

○塩川委員 過去十年の海外渡航歴を記載するというのを求めているということでよろしいですか。

○飯田政府参考人 今お答えしたとおり、過去十年ということでございます。

○塩川委員 精神疾患についてはどのようなことを記入するんでしょうか。

○飯田政府参考人 精神疾患につきましても、先ほど申し上げた調査項目七つの項目の一つでございまして、それらについて、具体的な病名、ちょっと今手元にございませんけれども、具体的な病名も例示をしながら、場合によっては医療機関に確認をしていただいて記載を求めるということになっております。

○塩川委員 質問票を見ますと、過去十年以内に、統合失調症、躁うつ病、薬物依存症、アルコール依存症その他の精神疾患に関し、治療又はカウンセリングを受けたことがありますかと。こういう質問項目ということでよろしいでしょうか。

○飯田政府参考人 今手元にございますので申し上げますと、精神疾患に関し、治療又はカウンセリングを受けたことがあるか記載しますが、治療又はカウンセリングを受けたことがあるとの事実だけをもって、特定秘密を漏らすおそれがないと認められないと直ちに判断されることはありません、必要な場合には、医療機関に照会した上で、具体的な症状や治療の経過、再発の可能性等を踏まえ、特定秘密を漏らすおそれがないかどうかを判断いたしますといったような記述もございます。

○塩川委員 適性評価の実施について対象者に告知を行う告知書にも、必要な場合には、医療機関等に照会した上で、具体的な症状や治療の経過、再発の可能性等を踏まえ、特定秘密を漏らすおそれがないかどうか判断されますとありますが、これはそのとおりでよろしいですか。

○飯田政府参考人 お答えいたします。

 今委員から御指摘のございました告知書と申しますのは、適性評価を実施するに当たって、まず、今御指摘のあったような事項も含めて、適性評価がどのように行われるかということを評価の対象者の方に告知をして、その上で、その内容について十分御理解をいただいた上で適性評価の実施についての同意書などをいただきます。その上で、同意いただいた方につきましては、先ほど質問がございました質問票への記入をお願いをする、そういう流れになっております。

○塩川委員 その告知書には先ほど申し上げたことが書かれているわけであります。

 質問票においては、信用状態その他の経済的な状況に関して、どのような質問を行っているでしょうか。

○飯田政府参考人 質問票におきまして、信用状態その他の経済状況としては複数の項目がございます。

 まず第一に、借入れの状況ということでございまして、住宅、車両又は耐久消費財の購入を目的としたもの、教育のためのもの、クレジットカードを使用した商品等の購入に伴うもののほか、それ以外の項目としては、過去十年以内に国税等を滞納している又は滞納したことがありますかといったような事項でありましたり、あるいは、過去十年以内に自己破産をしたことがありますか、あるいは、過去十年以内に支払いの不備等の問題によってクレジットカードの使用を停止されたことがありますか、あるいは、過去十年以内に民事執行手続を受けたことがありますか、あるいは、過去十年以内に賃金、給付金、資産を差し押さえられたことがありますか、こういったような事項が明記をされているところでございます。

○塩川委員 かなり詳細に質問項目が及んでいるわけであります。

 若干省略されましたが、国税だけではなくて社会保険料や家賃の滞納状況も質問項目にあるということですね。

○飯田政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘ございましたとおり、過去十年以内に国税や保険料、家賃等の支払いが滞納しているかどうかという記載事項もございます。

○塩川委員 これは、対象者に対する質問票と同時に、上司等による、その周辺の方々に対しての調査も行うということで、上司等による調査票を出してもらうとなっているわけですけれども、この上司等による調査票にはどのような調査項目があるんでしょうか。

○飯田政府参考人 お答えいたします。

 特定秘密保護法における、上司等に対して提出を求める調査票ということでございますけれども、先ほど申し上げました七つの調査事項のそれぞれについて、例えば、特定有害活動及びテロリズムとの関係につきましては、評価対象者が特定有害活動やテロリズムを行ったこと、又はこうした活動を支援したことが認められますかという事項が記載がございまして、これに対して該当すると認められる場合はチェックをつけていただく、そしてその内容を御存じであれば記載していただくという形の調査票になっております。

○塩川委員 対象者の周囲の方、上司などがその素行についてチェックをするということが調査票の中身となっているということであります。

 こういった調査の内容に調査機関の側で疑問が生じた場合には、何を行うことになっているんでしょうか。

○飯田政府参考人 お答えをいたします。

 特定秘密保護法では、質問票や調査票に記載された事項について疑問点が生じたときは、必要に応じまして、これは特定秘密保護法の規定に基づく権限ということでございますけれども、適性評価を実施している行政機関が評価対象者の上司等に対して質問を行ったり、現在又は過去の勤務先に人事に係る情報の報告を求めたり、あるいは評価対象者本人の方との面接を行ったり、公務所又は公私の団体に対して照会を行うことを必要に応じ行うとされております。

○塩川委員 疑問が生じた場合に調査機関が必要に応じて行うこととして、本人に対する面接、あるいはその上司や同僚その他知人への質問を行う、そういうのとともに、現在の所属企業だけではなくて過去に働いていた会社も含めて人事管理情報の報告を求めるということも今答弁であったところです。あわせて、公務所、公私の団体への照会ということです。

 調査内容に疑問が生じた場合に、上司等への質問、また、現在及び過去の所属企業に対して人事管理情報の報告、本人に対する面接、それでも疑問が解消されない場合に公務所、公私の団体への照会ということですけれども、この公務所、公私の団体への照会には警察や医療機関、金融機関への照会も入るんでしょうか。

○飯田政府参考人 お答えいたします。

 特定秘密保護法では、公務所や公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めたりするわけでございますが、これについては、先ほど申し上げました告知書で本人にあらかじめ知らせて、書面により同意を得ることとしております。当該告知書には、照会先として医療機関と信用情報機関を例示していると承知をしております。

 また、今御質問に警察とあったかと思いますが、警察に対する照会も公務所ということで実施することはあり得るというふうに承知をしておりますが、実際に照会をしているかどうか、何を照会しているかは調査に支障を及ぼすおそれがあるというふうに聞いておりまして、私としてのお答えは差し控えるべきものと承知をしております。

○塩川委員 こういった公務所、公私の団体への照会を行う際に、そのことは本人に通知はされるんでしょうか。

○飯田政府参考人 私は特定秘密保護法の担当ではございませんので、詳細については承知をしておりませんけれども、告知書において公務所照会を行うということはお知らせした上で、本人の同意をいただいているというふうに認識しております。

 個々のケース、あるいはそれぞれのときに実際に御本人に通知をしているかどうかということについては、申し訳ございません、承知をしておりません。

○塩川委員 そこは事前にお願いしていて、秘密保護法の担当が答えるのか、今回の法案の担当の方が答えるのか、それはそちらの判断でということで答弁者で指定されたわけですから。

 この点、ちょっと、本人に知らせるのかどうかというのは、事前にもお伝えしている項目ですけれども、はっきり答えてもらえますか。

○飯田政府参考人 先ほど申し上げましたとおり、照会の実施に当たってどこの公務所に照会をするかということについては、一つ一つお伝えすることについて、これはケース・バイ・ケースで判断をしているものというふうに認識をしております。

 それから、先ほど、実際に照会をするかどうか、何を照会しているかは、調査に支障を及ぼすおそれがあるケースもあるというふうに認識をしておりますので、それら全てについて御本人に通知を必ずしもするものではないというふうに認識をしております。

○塩川委員 今、曖昧ですけれども、ケース・バイ・ケースといっても、本当に伝えることになっているのかどうか、そこはちょっと改めて返事が欲しいと思います。

 それから、警察などについては何を照会しているのかも含めて明らかにできない、お答えを差し控えたいということですから、そうしますと、警察や公安調査庁に対して照会を行ったような際に、そういったことについては、本人はそういう問合せがあったということは何も分からないということなんでしょうか。

○飯田政府参考人 公務所を、行った場合について、本人に通知をしなければ本人は御存じないものというふうに思います。

○塩川委員 もう一回ちょっと答えてほしいんですが、本人に通知をしなくてもよいと。

○飯田政府参考人 公務所への照会についてはケース・バイ・ケースであろうというふうに申し上げました。その上で、本人にその旨を通知をしなかったということであれば、本人としては御存じないものというふうに認識しております。

○塩川委員 自分が知らないところでいろいろ照会、調査も行われるということになるわけであります。

 そうしますと、警察や公安調査庁に対して照会を行ったような場合に、警察や公安調査庁側に照会の記録というのは残ったままなのか、削除をされるのか、この点はどうでしょうか。

○飯田政府参考人 お答えを申し上げます。

 特定秘密保護法におきまして、警察や、今公安調査庁とおっしゃいましたでしょうか、に対する照会が実施されることはあり得るというふうに承知をしておりますが、実際に照会をしているかどうか、何を照会しているかにつきましては、お答えを差し控えたいと思います。

 その上で、一般論として申し上げますと、行政機関でございますので、照会を受けた行政機関側に照会が記録されるということはあろうかというふうに思っております。

○塩川委員 そういう点では、調査の中身が記録をされるということであります。

 それから、秘密保護法においては、適性評価の当事者には誓約書を書いてもらうことになります。その誓約書の中には、事情の変更があった場合に、どのような事情変更があったかを申告することが書かれておりますが、今回の法案でも同様の措置を取るということでよろしいでしょうか。

○飯田政府参考人 特定秘密保護法におきましては、誓約書を適性評価の対象者の方に書いていただいているわけでございますが、その誓約書の中に、特定秘密保護法の運用基準を引用いたしまして、運用基準の中に掲げる事情について変更があった場合には申告をするといったようなことが書かれているというふうに認識をしております。

 今回の法案におきましても、こうした誓約書をいただくことも想定されるわけでございますけれども、今後、有識者の意見をお聞きしながら、その内容、手続について明確にし、それを運用基準として作成してまいりたいというふうに考えております。

○塩川委員 三十ページに及ぶ質問票で、書いた後、事情の変更がありました、そういうことについては報告してくださいと誓約書にあります。そうした場合に、事情の変更があった場合には調査をやり直すということになるんでしょうか。

○飯田政府参考人 お答えをいたします。

 適性評価を受けられて、特定秘密を漏らすおそれがないと認められた方について、事情変更があったために自己申告があった場合の対応でございますけれども、その対応は、基本的には、まさに事情変更の内容に応じて行政機関において判断されるものというふうに認識しております。

○塩川委員 いわば政府による継続的な監視という仕組みになっております。

 それから、対象者、従業者の方が所属する適合事業者において、適合事業者が対象者に対する疑いを生じさせる事情があると認めたときは速やかに政府に報告するということになっているのではありませんか。

○飯田政府参考人 特定秘密保護法の運用基準におきましては、適合事業者は、従業者について、特定秘密を漏えいするおそれがないと認めることについて疑いを生じさせる事情があると認めた場合には、速やかにこれを契約先の行政機関における当該特定秘密に係る特定秘密管理者に報告することと定めているところでございます。

○塩川委員 そうなりますと、その対象者、従業者の方がホルダーとなったような場合であれば、上司から継続的にチェックをされる、上司から継続的にいわば監視をされる、こういうことになるのではありませんか。

○飯田政府参考人 お答えをいたします。

 適合事業者に事情変更があった場合に報告するということは、これは通常の事業の運営あるいは人事の管理の中で知り得た場合にお願いをしているということでございまして、適性評価を受けられて、特定秘密を漏えいするおそれがないと認められて、特定秘密の取扱いの業務に従事している方を常時監視するといったようなことを上司の方々あるいは適合事業者に要請するものでも、あるいは義務づけるものでもございません。

○塩川委員 疑いを生じさせる事情があると認めたときには、人事で知り得た場合等といいますけれども、そういった疑いを生じさせる事情があるということについては、これは、でも、継続的にチェックをするということにはなるんですよね。

○飯田政府参考人 お答えをいたします。

 どのような事情変更について報告を求めているかということの例示でございますが、例えば、罪を犯して検挙されたこと、懲戒処分の対象となる行為をしたこと、情報の取扱いに関する規則に違反したこと、違法な薬物の所持、使用など薬物の違法又は不適切な取扱いを行ったこと、こういったことの事情変更でございますので、常時監視を要請するようなものではございません。

○塩川委員 こういった調査票の項目に沿って、疑いが生じる事情があった場合についてはそれをチェックするということですから、それは五年、十年というスパンで継続的にチェックを行うという仕組みにはなるわけであります。いわば二重三重に調査がかけられる仕組みになっております。

 有識者会議最終取りまとめには、信頼性が確認された後又は信頼性の確認手続中に本人側の事情変更があった場合に、信頼性の確認、評価を行う各行政機関や調査機関がこれをタイムリーに把握できるよう、本人からの自己申告の仕組みを確保するとともに、信頼性が確認された後に各行政機関と本人とのコミュニケーション等により継続的に状況を把握する仕組みについても検討していくべきとありますけれども、これはどのような仕組みをつくるということなんでしょうか。

○飯田政府参考人 お答えをいたします。

 適性評価のための調査というのは、まさに適性評価調査の時点でのみ行われるものである一方で、これが特定秘密の場合であれば五年、あるいは今回の重要経済安保情報の場合であれば十年という期間を設定していることでございまして、有識者会議の取りまとめは、その間に事情変更があって、今回のケースでいえば重要経済安保情報、あるいは委員の方々には特定秘密についても念頭にあったかと思いますけれども、そこで、情報漏えいのおそれがないとは認められない状況になる状況というのは情報保全制度の趣旨に照らして適当ではございませんので、今委員から御指摘のあったような指摘をいただいたところです。

 具体的な仕組みについてでございますけれども、適性評価の実施後に先ほど申し上げたような事情変更があった場合には、評価を行った行政機関の長に、もちろん事前の同意を求めるわけでございますけれども、自己申告することを誓約書で求めること、あるいは、先ほどの上司の方の対応として、行政機関の職員や適合事業者の従業員について一定の事情変更があったことを知った場合には、評価を行った行政機関の長に対する報告を求めることなどを想定しております。

 いずれにいたしましても、今後、有識者の意見を聞いて検討を行います運用基準において、この重要経済安保情報の適性評価の実施を含めた運用について検討する中で、しっかりと内容について検討してまいりたいと考えております。

○塩川委員 十年間継続的に状況を把握する仕組みということですから、十年間継続的に調査、監視をするという仕組みをつくるという話であります。

 大臣にお尋ねします。

 適性評価は本人の同意が前提ということですけれども、働く労働者の側は調査を拒否すれば不利益を受けるおそれがあり、事実上の強制となるのではないのか、このような懸念があります。不利益取扱いに対する規制策はあるんでしょうか。また、個人情報の目的外利用を禁止する実効性ある対策はあるのか、罰則を設けるなど、どういう対応を考えているのか。お答えください。

○高市国務大臣 企業において、もしも上司の方が適性評価を受けることを求めた場合におきましても、それに同意しないことが許されるような状況が実質的に確保されるということが重要だと考えております。

 そのためには、適性評価を受けることに同意しなかった事実の目的外使用を禁止する十六条二項の実効性を担保するということが重要です。禁止の趣旨を事業者及び本人の双方に十分説明して理解を得るということとともに、行政機関が十二条三項による同意の確認をする際に、同意は任意であるということを説明して、さらに、強要などを受けていないかを確認するということを考えております。

 さらに、同意をしなかった方が、その後、これを理由として不利益な措置を受けることがないよう、今後策定する運用基準などにおきまして具体的な禁止事項を明示すること、禁止の遵守を契約などでも求めること、本人が不利益取扱いを受けたと考えた場合に相談できる窓口を設けることなどの措置を検討していく予定でございます。

 これらを通じて、事実上の強制ということにならないようにしてまいります。

○塩川委員 不利益取扱いとならないように契約等で担保するという話ですけれども、この件についての罰則というのはないんですよね。

○高市国務大臣 不利益取扱いの禁止の規定の違反に罰則というものは法定しておりませんけれども、この実効性を担保するために、先ほど申し上げましたように、運用基準で不利益な取扱いを明示すること、禁止規定の遵守を行政機関と適合事業者との契約などでも求めるといった措置を取ることを考えております。

 以上でございます。

○塩川委員 実効性ある対策を取れる保証を認めることはできません。

 冒頭の質疑の中で旅行先などについても調査対象となっておりますけれども、このような旅行先や交友関係なども調査対象となっているということで、そういった調査において、やはり私生活に制約を受けることになるのではないのかという懸念があるんですが、その点についてはどうですか。

○飯田政府参考人 お答えいたします。

 御質問は適性評価を受けた後の対応だというふうに認識をしておりますけれども、適性評価を受けて重要経済安保情報あるいは特定秘密、そういったものを取り扱うこととなった方に対して海外渡航等に関しての注意喚起をするということはあり得るわけですけれども、この法案の制度の下で、今御指摘のあった、例えば旅行先を制限するといったような私生活上の自由を制限することはございません。

○塩川委員 こういった個人情報が収集、集積していくわけですけれども、大臣にお尋ねします。こういった収集された大量の機微な個人情報については、削除のルールというのはあるんでしょうか。個人情報が政府にたまり続けていくことになりはしないのか懸念があるんですが、その点はいかがですか。

○高市国務大臣 適性評価のために収集した個人情報につきましては、後に事情変更の自己申告などがあった際に再評価を実施すべきかどうか判断する際に用いたり、他の行政機関による適性評価に供される可能性がありますので、適性評価の実施後十年間は保存しておくことが必要だと考えております。これは、調査を受けられる側の負担軽減にもつながることであると思っております。

 ただ、機微な個人情報でもありますので、いたずらに長期にわたって保管することは適当ではございません。先ほど申し上げた一般的な保存期間十年のほかに、適性評価への不同意に関する情報の保存期間など、十年よりも短い保存期間が設定できるケースについても、運用基準などで適切なルールを定めることを予定いたしております。

 ですから、収集した機微な個人情報を制度の趣旨から見て不必要に長い期間保有するようなことは考えておらず、御指摘のような懸念は生じないと思っております。

○塩川委員 保存期間十年ということですけれども。

 収集された個人情報が例えば公文書管理法上の公文書として取り扱われる、そういった扱いでの管理基準、廃棄のルールもあると思うんですけれども、ただ、個別の情報が例えば収集、集約されることによって、文書という形ではなくてエクセルのデータとかに転換をしていくといった先、例えば警察などにそういう情報が収集されるような場合においても、それは削除されるんでしょうか。

○飯田政府参考人 まず、適性評価を行いました行政機関における文書の保存につきましては、先ほど大臣から答弁申し上げたとおり、基本は十年ということでございますけれども、個別、個々のケースについて運用基準の中で明確にしていくことを想定しております。

 もう一つは、先ほどの御質問と関連して、公務所照会などを行った場合の文書なり情報の取扱いというふうに受け止めておりますけれども、そういった情報につきましても、もし情報が記録されているということでございましたら、これは当然のことながら、公文書管理法や個人情報保護法などに基づいて適切に廃棄されるものというふうに考えております。

○塩川委員 本人も分からないところで情報が渡される、照会もされる、それが実際どうなっているかもよく分からないというときに、一般論的に公文書管理法や情報公開法と言われても納得いくものではありません。調査項目が多岐にわたるという点では、プライバシーの侵害、人権の重大な侵害ということが起こり得るということを強く危惧するものであります。

 こういった経済安保に関わっては、大川原化工機の事件がありました。経済安保の名の下に、長期勾留された相談役が亡くなるなど、人権じゅうりんの違法捜査が行われたわけであります。

 こういった、検察が公訴取消しをした冤罪事件を政府は反省しているんでしょうか。

○飯田政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘の事案については承知をしておりますけれども、刑事事件の捜査あるいは公判の在り方については所管外でございますし、あるいは現在も訴訟が係属中ということでございますので、お答えは控えさせていただきます。

○塩川委員 検察が公訴取消しをした事件なんですよ。立件しても維持できないということで自ら取り下げるといった案件について、そのことについて政府としての反省の言葉がないんですよ。これはやはり、国民の皆さん、特に当事者の大川原化工機の関係者の皆さんにとってはとても納得のいくものではない、こういう不信感が大きくなるのは当然じゃないでしょうか。

 大臣、その点についてはどのように受け止めておられますか。

○高市国務大臣 当該事件において、お亡くなりになった方がいらっしゃいます。適切な治療が受けられなかったという、御遺族の悔しい、そして悲しいお声も伺っております。

 しかしながら、捜査の在り方そしてまた司法案件そのものは所管ではございませんので、また係争中のものでございますので、私の立場からこれについて申し上げることは控えさせていただきます。

○塩川委員 政府としての反省もないまま、経済分野全般への秘密指定の体制拡大が更に同じような事件を引き起こすんじゃないのか、こういう強い危惧を覚えるんですが、その点についてはいかがですか。

○高市国務大臣 今回の法案におきましては、何が重要経済安保情報であるのか、その要件をしっかりと法律案に書き込んでおります。これは、諸外国の例と比べましても、今回の法律案に書き込んである様々な要件というのは詳しいものでございます。

 それから、もう一つは、ちゃんとそれが重要経済安保情報であるということが表示される、これは絶対の条件でございます。

 そして、しかも、自らその情報を取り扱うということについて希望された適合事業者の方と契約を結んだ上で、その適合事業者の従業者の方で、御本人の同意を得た上で調査を行って、この情報を取り扱っていただくということでございます。

 だから、何が重要経済安保情報なのか全く分からないとか、判断がつかないとか、御本人がそれを理解しないまま取り扱うというようなことが起こるようなものではございません。

 また、外為法の方は所管外でございますけれども、明確な法律案だと思っております。

○塩川委員 重要インフラ、サプライチェーン、大きく広がるわけですから、そういう懸念は拭えないということを申し上げて、質問を終わります。

【内閣・経済産業委員会連合審査】秘密保護法拡大法案(重要経済安保情報法案)/狙いは兵器共同開発

 秘密保護法拡大法案(重要経済安保情報法案)の背景に、次期戦闘機の共同開発国である英国からの要求があることを明らかにし、「同盟国・同志国と連携して兵器開発を推進するためのものだ」と批判しました。

 同法案は、秘密の範囲を秘密保護法の「防衛・外交・スパイ活動・テロ活動」から経済分野に拡大するもの。秘密を扱う資格者を政府が認定する「セキュリティークリアランス(SC、適正評価)」の対象も民間労働者などに大きく広がります。

 私は、英国、イタリアと共同開発する次期戦闘機(GCAP、グローバル戦闘航空プログラム)について、ロングボトム駐日英国大使がインタビューなどで「GCAPの成功には当事者間で防衛技術の円滑な移転ができる仕組みが欠かせない」「セキュリティークリアランスを日本の産業界に導入することを支援する」と述べるなど、防衛技術の情報保全の強化やセキュリティークリアランス制度の導入を求める発言を繰り返し行ってきたと指摘。「今回の法案は、次期戦闘機の共同開発につながる英国側の要求に応えるものだ」と迫りました。

 内閣官房は「大使の発言の詳細は承知していない」としつつ、「(本案を含む)セキュリティークリアランス制度全般を指して話したものではないか」と否定しませんでした。

 私は、今国会に提出されているGCAPを推進する国際共同機関(GIGO)設立条約にも機密情報の保護規定があると指摘。「今回の法案は、多国間連携で兵器開発を推進するものだ。殺傷兵器を他国に売る『死の商人国家』を目指すことは断じて認められない」と強調しました。

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「議事録」

第213回国会 令和6年4月2日(火曜日) 内閣委員会経済産業委員会連合審査会 第1号

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 最初に、高市大臣にお尋ねをいたします。

 今回の法案の意義として、同盟国、同志国との国際共同開発の拡大を掲げております。同盟国のアメリカとともに同志国のNATO諸国やオーストラリアなどとの国際共同開発を大きく拡大するのが今回の法案の目的の一つではないか。この点について、お考えをお聞かせください。

    〔岡本委員長退席、星野委員長着席〕

○高市国務大臣 本法案は、安全保障の裾野が経済、技術分野にも拡大する中、経済安全保障分野においても、厳しい安全保障環境を踏まえた情報漏えいのリスクに万全を期すためにも、我が国の経済安全保障上重要な情報を適確に保護、活用するための体制を確立するものでございます。

 国際共同開発に関しまして、本法案では、それが重要経済基盤の脆弱性の解消や重要経済基盤の革新的な技術に関する調査及び研究等に該当する場合には、本法案の目的にある事業者による我が国の安全保障の確保に資する活動と位置づけられることとなります。ですから、本法案や関係する国際的な枠組みと相まって、円滑な推進が図られていくと考えております。

 この法案の枠組みの下でどの国とどのような国際共同開発を進めるかという点については現時点で申し上げることは困難でございますけれども、本法案による制度整備によりまして、米国を含む同盟国、同志国との重要情報のやり取りが円滑に行われるようになり、経済安全保障分野における国際協力というものが一層推進するということを期待いたしております。

○塩川委員 同盟国、同志国との重要情報の円滑な保護、活用ということであります。

 そこで、この法案を準備する有識者会議の議論で、「おそらくアメリカに対してはそれなりの相互のやり取りがあるため、ある種の相場観があると思うが、今後の経済安全保障上の重要機微情報に関しては、アメリカだけではいけないのではないか。例えば、防衛の特定秘密保護法の話になるかとは思うが、GCAPのようなイギリス・イタリアといった国々との関係や、将来的にはAUKUSでのいわゆる新興技術を含めた技術協力だとか、そういったことに広がりが出てくることを考えると、日米間特有の理解が他国に共有されるかどうかということは考えておくべきだと思う。」このような発言がありました。

 ここで言う「日米間特有の理解が他国に共有されるかどうか」という話ですが、日米の間と、日本とイギリス、イタリア、オーストラリアとの間では、秘密保全の体制はどこが異なるということなんでしょうか。

○品川政府参考人 お答えいたします。

 本法案につきましては、一義的には我が国の情報保全制度を整備するものでございます。特定の他国との間でのみ通用する制度として整備するものではございません。

 情報保全制度につきましては、国によって法体系等の違いも含め多様でございまして、制度として完全に同一のもの、そのような同一のものとすることが求められるといった性質のものではございません。

 一般的には、この情報保全制度は、秘密情報の保護措置、信頼性の確認を含む、情報を取り扱う者の制限、漏えい時の罰則などにつきまして国内制度を整備するものでございます。

 その上で、かかる制度の運用面も併せて考慮をしつつ、諸外国それぞれから、自国が提供する、その当該外国の提供する秘密情報につきまして、自国が提供する秘密情報については、我が国、日本において実質的に自国と同等の保護が与えられているというふうに認められるようなもの、運用を含めた我が国の情報保全制度がそのようなものになるということが必要であるというふうに考えております。これは、御指摘のございました米国とはもちろんのこと、イギリス、イタリア、オーストラリアとも同様でございます。

 したがいまして、本法案が成立した暁には、制度を運用するために必要となる関係政令や運用基準、実施体制を速やかに整備をいたしまして、制度の実効的な運用を確保するとともに、我が国の制度について、運用面も含め、諸外国にしっかり説明をしてまいりたいと考えております。

○塩川委員 確認ですけれども、アメリカとの間には特別防衛秘密がありますけれども、それ以外の国との間にはありませんよね。

○品川政府参考人 お答えいたします。

 米国との間で御指摘の特別防衛秘密に関します制度があることは、御指摘のとおりでございます。

○塩川委員 アメリカとの間には、七十年にわたってこういう情報保全の取組をやってきているわけであります。そういった点で他国との差があるというのがこのような議論の背景にあると考えております。

 そこで、二〇二二年の十二月に、日本、イギリス、イタリアの首脳は、次期戦闘機の共同開発に係るグローバル戦闘航空プログラム、GCAPを発表しました。GCAPの実施に当たり、日英伊は、GCAPの管理等を三か国のために行う国際機関を設立することで合意をしております。

 毎日新聞の二月十九日のインタビューによると、ジュリア・ロングボトム駐日イギリス大使は、GCAPの成功には当事者間での防衛技術の円滑な移転と、信頼できる開発相手国や同盟国へ将来的に機体の輸出ができるような仕組みが欠かせないと述べております。次期戦闘機の共同開発に当たって、防衛技術の情報保全の強化と武器輸出、この二つを日本に求めるものとなっております。

 ロングボトム大使は、次期戦闘機の共同開発に当たって、機密技術の共同開発を促進するために欠かせないセキュリティークリアランス制度の導入に向けた議論を歓迎する発言を行っております。イギリス側は、次期戦闘機の共同開発に当たって、日本側にセキュリティークリアランス制度の強化を求めてきたのではありませんか。

○品川政府参考人 お答えいたします。

 我が国は、相手国・機関との間で相互に提供される秘密情報について受領国政府・機関が自らの国内法や関連規則に従って保護すること等を定めます情報保護協定を締結をしております。イギリスとの間でも締結をしているところでございます。

○塩川委員 防衛省でもいいですから、駐日イギリス大使が、このように、日本側にセキュリティークリアランス制度の強化を求める、こういう発言があるというのは当然承知していますよね。

○弓削政府参考人 お答えを申し上げます。

 セキュリティークリアランスに関する御質問でございますが、現在、イギリスとイタリアとの共同開発を進めている次期戦闘機は、第五世代戦闘機を超える最新鋭の戦闘機であることから、三か国による共同開発において取り扱う秘密情報につきましては、我が国では特定秘密に指定し、管理しているところでございます。

 この点、新たなセキュリティークリアランス制度におきましては、その対象となる重要経済安保情報は特定秘密を含まないものと承知しておりまして、次期戦闘機の共同開発におきまして、民間企業の従業者は特定秘密を取り扱うため、新たなセキュリティークリアランスの対象にはならないというふうに認識しているところでございます。

 他方、次期戦闘機の共同開発に必要な特定秘密を民間企業が取り扱うに当たりましては、その従業者に対しまして特定秘密保護法に基づく適性評価を実施しておりまして、適切なクリアランスを付与しているところでございます。

○塩川委員 では、何でイギリス大使が日本にセキュリティークリアランスを求めているんですか。

○品川政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねのイギリス大使の発言が、どの時点で、どの文脈でなされたものかは承知しておりませんが、私どもの今提出しております本法案につきましては、昨年来の有識者会議での御議論を踏まえまして、経済安全保障分野におきますセキュリティークリアランス制度につきまして、我が国の法制度としてどこが必要かということを検討して提出させていただいたものでございます。

○塩川委員 GCAP発表の翌日の二〇二二年十二月十日の読売新聞でもロングボトム大使のインタビューがありまして、機微情報に触れる権限を与えるセキュリティークリアランスを日本の産業界に導入することを支援し、両国の協力関係を進展させていくということも述べております。

 昨年の四月二日の日本記者クラブ講演で、やはりロングボトム大使は、日本の産業界に実行可能なセキュリティークリアランスシステムを導入するための政府有識者会議の設置を歓迎しますと述べております。今の、まさに今回の法案を準備をする政府のコミッション、有識者会議の設置を歓迎すると述べているという点でも、セキュリティークリアランス導入についての発言を繰り返しておられます。

 そういう点でも、今回の法案というのが、まさに次期戦闘機の共同開発につながる、イギリス側のセキュリティークリアランスの要求に応える、そういうものになっているということじゃありませんか。

○飯田政府参考人 お答えいたします。

 ただいま委員から御指摘のございました有識者会議におきましては、いわゆる法形式についての議論をしていたものではございませんで、まさに経済安全保障分野における機微情報について、現行の特定秘密保護制度を含めてどのような形で重要経済安保情報を保護していくのか、あるいはそれを、国際的に通用するものをどうすべきかということについての御議論をいただいたものでございます。

 ロングボトム大使の発言の詳細については承知しておりませんけれども、そういった、我が国のセキュリティークリアランス制度を持つ既存の特定秘密保護制度、あるいは、有識者会議でその後検討されることとなる経済安全保障分野の機微情報に関するセキュリティークリアランス制度全般を指してお話しになっていたものではないかというふうに認識しております。

○塩川委員 民間企業にもセキュリティークリアランスを導入するために、今回、コンフィデンシャル級を導入する、そういうので対応しているのではないのかといったことが当然想定されるわけであります。

 このGCAPを管理する機関を設立するための条約がGIGO設立条約で、今国会に提出をされております。この条約には、秘密情報の保護規定があります。五十二条の(2)で、運営委員会は、情報保全に関する全ての分野において秘密情報を共通の程度で保護することを確保するとあります。

 この秘密情報を共通の程度で保護することを確保するという中身として、イギリス側の秘密情報の共有に必要な秘密保全の仕組みづくりのために今回の法案も含めた措置が求められているということじゃありませんか。

○弓削政府参考人 お答え申し上げます。

 日英伊の次期戦闘機の共同開発に係るGIGOや、これに対応する共同事業体制における秘密情報の保護の体制につきましては、現在、既存の日英、日伊、英伊の二国間の情報保護協定等を参考に、日英伊三か国で検討中でございます。

 その上で申し上げますと、三か国及びGIGOにおきまして、同等の秘密には同等の保護措置を与えられるよう検討を進めているところでございます。

○塩川委員 アメリカとの関係での特別防衛秘密というのはイギリスやイタリアとの関係にはない、そういった点についても、イギリス側からの要望が出てくる背景があるわけであります。

 今回の法案は、同盟国、同志国の多国間連携で兵器開発を推進するためのものと言わざるを得ません。

○星野委員長 申合せの時間が過ぎておりますので、おまとめください。

○塩川委員 殺傷能力のある兵器を他国に売りさばくような、死の商人国家を目指すことは断じて認められないということを申し上げて、質問を終わります。

震災から3カ月/復興どころか復旧にも至らず/能登半島地震災害対策本部会議

 能登半島地震災害対策本部会議。藤野やすふみ現地責任者が報告。

 震災から3カ月でも、復興どころか復旧にも至らず、未だに救助が必要。避難者は避難所、壊れた自宅、親族宅など2万人超。避難所の食事もレトルト食品で3食同じところも。断水も続いている。

 能登に住み続けたいという要望に応えた支援を!

埼玉・坂戸市で街頭演説

 4月の市議選で2議席めざす坂戸市で街頭演説会。新井文雄市議と大山かよ子さんと訴え!

 昨年度から学校給食費無料化を実現。10月から高卒までの医療費無料化に。豊かな実績の党議席必ず!

 自民党裏金の徹底解明、森氏らの証人喚問、企業団体献金禁止こそ!

 大軍拡やめて、子育て支援制度の抜本拡充を!

【内閣委員会】秘密保護法拡大法案参考人質疑/曖昧な定義で秘密に指定/国民に厳罰

 秘密保護法拡大法案(重要経済安保情報法案)の参考人質疑が行われました。同法案は、国民には何が秘密かも知らされず、政府が勝手に秘密に指定し、秘密に触れれば厳罰を科す秘密保護法の「秘密の範囲」を経済分野に拡大するものです。

 秘密を扱う人が民間労働者、技術者、研究者などへ飛躍的に広がり、重大な人権侵害を引き起こすと危惧されます。

 参考人の三宅弘弁護士は「同法案における重要経済安保情報は、秘密保護法における特定秘密との区別が曖昧だ」と指摘。「5年以下の拘禁刑または罰金で処罰するのは、罪刑法定主義の観点から問題がある」と述べました。また、秘密情報を扱う適性評価の対象は「数十万人に上るのではないか」と述べました。

 齋藤裕日弁連副会長は、米国では強制的秘密解除という、市民が秘密の解除を求めるシステムがあるとし、「日本は米国に比べて秘密が拡大しやすく、市民の知る権利が制限されかねない」と強調。同法案は、秘密保護法のように別表で具体的に秘密とされている類型が規定されていないとし、罪刑法定主義の観点から「処罰範囲は国会が決めるべきで、市民がその行動について予測可能性を持つことができるように明確であるべきだ」と主張しました。

 私は、政府が、秘密保護法拡大法案によって経済分野まで拡大される秘密の範囲に合わせて、これまで4分野に限定されていた特定秘密の範囲も経済分野まで広げようとしていると指摘し、「政府の裁量で勝手に秘密の範囲を広げ、法律によらず罰則の対象を広げるのではないか」と質問しました。

 斎藤氏は「秘密保護法の対象はこれまで「国民の生命・身体が害される」場合とされてきたが、「国民の生活・経済が害される」場合まで拡大しようというものだ」と批判しました。

 私は、次期戦闘機の共同開発国である英国やイタリアとの関係について「今回の法案は多国間の共同開発の障害を取り除くものとなっているのか」と質問。

 政府の有識者会議の座長を務めた渡部俊也東大未来ビジョン研究センター教授は「他の国のことはよくわからない」と述べるに留まりました。

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「議事録」

第213回通常国会 令和6年3月28日(木曜日) 内閣委員会 第6号

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 今日は、皆様、貴重な御意見を賜り、ありがとうございます。

 最初に、齋藤参考人と三宅参考人にお尋ねをいたします。

 今回の法案は、特定秘密保護法を拡大をする、スキーム的にはそういう中身となってまいります。その際に、秘密保護法の方ですけれども、今回、秘密保護法については、特定秘密の範囲を、法改正をせずに運用基準の見直しで拡大しようとしております。政府の裁量で勝手に秘密の範囲を広げることになるのではないのか、法律によらず罰則の対象を広げるものでもあり、こういったやり方についてはどのようにお考えか、お答えいただければと思います。

○齋藤参考人 ありがとうございます。

 そもそも、秘密保護法と今回の法案ですけれども、もちろん対象が違うんですけれども、安全保障という概念が両方使われている、同じ言葉が使われているんですが、その言葉の意味が実質的には違うというふうに思っています。安全保障の概念の中に、国民の安全という言葉が両方とも含まれているんですね。これも概念が違うと思っています。

 特定秘密保護法の国民の安全というのは、注釈とかあるいは別表とかを見ますと、国民の生命や身体が害される場合をいうというふうに多分解されると思うんですね。今回の法案について言うと、重要基盤とかの関係で国民の生活や経済が害される場合が含まれていて、それが漏れた場合に安全保障が害されるという形になるので、多分、安全保障という概念の中には、国民の生命身体が害される場合だけじゃなくて国民生活、経済が害される場合も含まれるわけです。

 その上で、今回の法案でいうと、例えば半導体のサプライチェーンみたいなものは多分対象になるんだろうと思うんですけれども、大臣の答弁とかを聞いていると、じゃ、そういうものの保護の必要性が高い、コンフィデンシャル級じゃなくてシークレット級、トップシークレット級のものは恐らく秘密保護法で保護されるんだろうというようなことをおっしゃられているんですよね。そうだとすると、国民生活や経済には影響するけれども国民の生命身体には直接影響しないような情報を秘密保護法で対処しようとしているんだろうと思うんです、政府の方は。

 先ほども申しましたけれども、秘密保護法というのは、恐らく国民の生命身体を害するような事態を対象としていて、国民経済や国民生活だけを害するようなものは多分対象としていない。ところが、どうもそこに、秘密保護法の解釈の中に、生命身体には影響しないけれども経済、国民生活に影響するようなものも含ませようとしているように見えますので、そうしますと、立法のときの経過や文言からして明らかに想定されていなかったものをそこに含ませようとしているということだと思いますので、罪刑法定主義の観点から非常に問題だろうというふうに思っております。

 ありがとうございます。

○三宅参考人 先ほど御質問の御説明の中に、特定秘密法の拡大のスキームだという御説明がありましたが、私の資料の中でも二ページのところで、特定秘密というのは別表に掲げる事項に関する情報という、まず別表の限定がございますが、重要経済安保情報にはそれがない。それから、その漏えいが我が国の安全保障に著しい支障という、その著しい支障のところが、特定秘密の場合には要件とありますが、今回の場合はないということで、トップシークレット級、シークレット級と、コンフィデンシャルを分けて、二分しているという説明にはなっておるわけでございますけれども、残念ながら、別表の中の適用のところの見直し、審議というようなことがまだ尽くされていないのではないかなと思います、この十年。だからこそ、省庁で十四しかない、特定秘密法の対象となっているものを扱っている省庁。

 それは、特に特定秘密指定ということを、枠を決めてもそこに対象情報がないような場合はその枠を外せということを特定秘密保護法における審議の過程で国会で議論されたものですから、いろいろな省庁で特定秘密という箱をつくってもそこに入れる情報がない、そんな特定秘密の箱は要らないじゃないかということが審査されて、対象になる府省庁が少ないわけでございます。

 本来は、今日お話しになったところの刑罰法規の問題は、別表である程度書いて構成要件を整備して、それで刑罰法規が適用対象になるということになると、特定秘密保護法の見直しというようなことをちゃんと実績を踏まえてするということがないと、この法律との兼ね合いが不明確になってくる。

 なおかつ、重要経済安保情報の定義自体が、先ほど齋藤参考人がお話しになったように、国民の生命身体というよりは、国民生活というのは経済情報ですから、そこまで広げると、かえって今度は刑罰法規というところの構成要件がやはり曖昧になるので、特定秘密保護法の場合は別表で掲げるということで辛うじて構成要件が、罪刑法定主義の観点から刑罰法規としてオーケーだとしても、今回のものは別表がないものですから、運用基準で広がって、それが最高刑五年の拘禁刑になってしまう、そういう問題があるので。立法を進める方からいえば痛しかゆしの問題だろうと思いますが、我々からいえば、刑法学者とかのお話を聞くと、とても刑罰法規として堪えられるようなものではないというところになっておりますので、特定秘密保護法から見直していただくところを初めからやり直してもらう方がベターだと。

 必要性のところは、刑罰法規とかかわらず、ガイドラインで、刑罰法規のないもので作っていただいてもいいような、お話を今日お聞きして、特に大事だというようなことからは、思うように、今の段階では考えているところでございます。

○塩川委員 ありがとうございます。

 次に、渡部参考人にお尋ねいたします。

 先ほど冒頭の陳述の際に、齋藤参考人が、コンフィデンシャルの扱いについて、イギリスやフランスでは廃止をしている、アメリカでもISOOが廃止を勧告をする、同盟国、同志国でコンフィデンシャル廃止の動きがある中で今回の法案を作ることへの疑問を呈されたところでありますが、この点については渡部参考人はどのようにお考えでしょうか。

○渡部参考人 実態として今アメリカでどれぐらいコンフィデンシャルが使われているかという統計等はちょっと把握はしていないんですけれども、アメリカで、私の、ハーバードでクリアランスホルダーを持っている人をよく知っているんですけれども、よくブリーフィングやなんかでやっているものに関してはコンフィデンシャル級のものが含まれているということを聞いております。

 詳しくその辺どういう動向になっているかということを踏まえては必要だとは思いますが、一方、これは我が国の制度ですから、我が国として、例えば今経済産業省は特定秘密はないわけですけれども、コンフィデンシャル級の技術的な情報があるという前提でこれを運用するというふうに理解をしております。

○塩川委員 ありがとうございます。

 その点について、どうでしょうか、齋藤参考人の方で何か補足することとかございますか。

○齋藤参考人 ありがとうございます。

 先ほども申し上げたんですけれども、コンフィデンシャルで指定された秘密というのは、過去には指定されておりますし、そういう判こを押しているわけですから、急にコンフィデンシャルというものがぱっと消えるわけではないわけです。

 ただ、扱いとしては、やはり、コンフィデンシャルというものを廃止して、ほかのトップシークレット、シークレットの二段階の中でやっていくという方向には間違いなく動いているし、ISOOもそういうふうに勧告しているわけです。

 アメリカの情報を特に入手したいということで制度をつくるのであれば、そして、アメリカのISOOは、イギリスのようなアライアンスを組んでいる国がコンフィデンシャルを廃止しているからアメリカも廃止しなきゃ駄目だよというふうにまさに勧告しているわけですから、ほかの国から情報を取りたいということであれば、やはり日本の秘密制度というのもほかの国に合わせていかないといけない。

 そうであれば、やはりトップシークレット、シークレットという二段階の秘密区分に合わせた法制を作らなければならないのであって、日本だけガラパゴス的にコンフィデンシャル級の法律を作るというのは、私は非常に、何というか、成果がないだろうというふうに思っております。

 ありがとうございます。

○塩川委員 ありがとうございます。

 渡部参考人にお尋ねいたします。

 セキュリティークリアランスについての今回の情報保全体制の必要性について、ちょっと個別の案件ですけれども、今回の法案の意義の一つとして同盟国、同志国との協力関係を強化するものを強調しているわけですが、昨年六月に政府がまとめた宇宙安全保障構想、この中では、同盟国、同志国との各種衛星データの互換性の確保や相互運用性の確保が必要であり、そのためにセキュリティークリアランスを含む情報保全体制が必要だと指摘をしております。

 現状は何が足りないとしているのか、その上で、今回の法案はこのような要請に対応するものとなっているのか、その点について教えていただけないでしょうか。

○渡部参考人 宇宙関係につきましてはニーズがあるということは承知しております。

 現在、宇宙関係、特にスタートアップに日本はかなり力を入れようとしているときに、必ずそこでアメリカとの関係が問題になる。そこの中で、実態的に今の三階級のどこが問題になるのかということはちょっと把握はしておりません。その点については、今後もアメリカとのやり取りを、これはつくってから説明をするでしょうから、その中で処理をしていくということかと思っております。

○塩川委員 これは、コンフィデンシャル級だけで対応するようなスキームというのがあるということなんでしょうか。要するに、トップシークレット、シークレットはかかわらず、コンフィデンシャルにおいて、相互の秘密の情報の共有をするような、そういう共同開発とかいうのがあるというのが想定されているということなんでしょうか。

○渡部参考人 共同開発をどういう形でやっていくのかということについては承知をしておりません。

 今、トップシークレット、シークレットに関しては特定秘密があって、それで、報告書に関しては、仮に別にする場合はシームレスな制度にするという表現になっています。その中でどれぐらいのことができるかということになるかと思います。

○塩川委員 重ねて渡部参考人に伺います。

 有識者会議の議論の中で、第八回のときに、同盟国、同志国との情報保全の仕組みについて、「先ほど他の委員から「合わせ技」で信頼を得ればよいのではないかという話があった点に関し、おそらくアメリカに対してはそれなりの相互のやり取りがあるため、ある種の相場観があると思うが、今後の経済安全保障上の重要機微情報に関しては、アメリカだけではいけないのではないか。例えば、防衛の特定秘密保護法の話になるかとは思うが、GCAPのようなイギリス・イタリアといった国々との関係や、将来的にはAUKUSでのいわゆる新興技術を含めた技術協力だとか、そういったことに広がりが出てくることを考えると、日米間特有の理解が他国に共有されるかどうかということは考えておくべきだと思う。」と。

 アメリカとの間では、いろいろ、この間、積み重ねもずっとある。しかし、イギリスとかイタリアとかオーストラリアの場合では違うんじゃないのかと。そういった場合に、現行、アメリカとの関係と、それ以外のイギリス、イタリア、オーストラリアのような国々との間には、クリアランスの対応が異なっているものなんでしょうか。今回の法案は、このような多国間の共同開発の障害を除くものとなっているということなんでしょうか。

○渡部参考人 御質問ありがとうございます。

 この手の制度は、例えば特許非公開の制度をつくったときに、これは当然アメリカも、いろいろな国にあるわけでございますが、じゃ、どういう運用をしていてどういう形でそれは連携していけるのかということについては、制度がないとまず話をできないという状態でございました。

 そういう意味で、先ほど申しましたように、アメリカと比べると少し変わった形の制度をつくったわけですけれども、今まさにそういうコミュニケーションが取れる状態にはなってきたというふうに理解をしています。

 今回の場合も、先ほど申しましたけれども、ほぼ、ほかのG7の各国で制度を持っているわけでありますが、日本にはない。前提として、民間に広く提供されるような形では制度を持っていないわけですから。それを今回、初めてつくる。先ほど申しましたように、制度をつくればすぐシステムが機能するというものではないと考えています。逆に言うと、一遍に大量に、例えばアメリカは四百万人ですけれども、拡大するということは現実的にはできないし、あり得ないと考えています。

 そういう意味で、ステップを踏んで、今のようなことが現実にどういうふうにできるのかということを検討していくということが現実的だと思います。

 ほかの国についてはもっとよく分かりません、残念ながら。

○塩川委員 終わります。ありがとうございました。

【内閣委員会】秘密保護法拡大法案/政府の判断で秘密範囲拡大/危険性追及

 「秘密の範囲」を秘密保護法の「防衛・外交・スパイ活動・テロ活動」の4分野から経済分野に拡大する秘密保護法拡大法案(重要経済安保情報法案)の質疑に立ち、「秘密の範囲」が政府の恣意的判断で拡大する危険性を追求しました。

秘密保護法の運用見直し

 岸田文雄首相は「新制度が我が国の既存の情報保全制度とシームレスに運用されるよう、特定秘密保護法の運用基準の見直しの検討を含め、必要な措置を講じること」を指示しています。

 私は「秘密保護法の範囲を改正せずに、運用見直しで拡大するものだ」と批判。10年前の秘密保護法の審議の際に、特定秘密の4分野に「経済安保が含まれる」との政府の答弁はあったのかと質問。

 内閣官房は「政府としては行っていない」と答えました。

 私は、内閣官房作成の秘密保護法の逐条解説では、「本法の別表は、その裁量の幅を狭めるために、類型的に秘匿の必要性が高いと認められる事項を限定列挙したものである」と説明していると指摘。さらに、当時の森まさこ秘密保護法担当大臣が「特定秘密に指定される範囲は必要最小限に限定されなければならないことは当然のこと」と述べていることも挙げ、「運用基準の見直しで経済安保分野を特定秘密に指定するのは、法律によらず罰則の対象を広げるものになるのではないか」と追及しました。

 高市早苗経済安保担当大臣は、「秘密保護法の改正は行わないので、特定秘密の範囲は広がらない」と強弁。

 私は「実際に運用の見直しを行うと言っているではないか。まさに何が秘密かも秘密という秘密保護法の危険性をはっきりと示すものだ」と強調しました。

秘密の範囲拡大

 同法案では、重要インフラと重要な物資のサプライチェーン(重要経済基盤)の保護に関わって、漏洩すれば日本の安全保障に「支障」を与える恐れがあるため、特に必要なものを「重要経済安保情報」に指定します。さらに、秘密を扱う人に対し「セキュリティークリアランス(適性評価)制度として身辺調査を行い、政治的思想や病歴、借金などの個人情報を調べます。

 私は重要経済基盤は、2022年に成立した経済安保推進法の基幹インフラ(電気、ガス、水道、運送、通信など14分野)より広い概念であることを確認。基幹インフラの事業者などから事業に関する情報を国に提出させる仕組みがあると指摘し、「こうした情報も秘密指定の対象となりうるのか」と質問。

 内閣官房は「多数の民間事業者から提出された情報を政府側で集約、分析するなどして作成した重要経済安保情報として指定することは考えられる」と答弁。

 私は、秘密指定された情報について、民間事業者は「適合事業者」(適性評価を受けた事業者)にならないと情報が受け取れないと指摘。「民間事業者に適合事業者となることを迫るスキームだと言わざるを得ない」「民間事業者の営業の自由や従業者のプライバシーの侵害などが強く危惧される」と批判しました。

 さらに私は、政府が重要経済安保情報について「政府が保有する情報に限る」と説明しているが、条文には規定がないと指摘。米国の大統領令第13526号では、民間事業者が指定を要する秘密を知ったときに関係職員に通報することが規定されていると紹介し、「同様のことを日本でも行うのではないか」と追及しました。

 内閣官房は「ご指摘のようなことは法定されていない」と答弁。

 私は「『政府保有の情報に限り』と条文上規定しないのは、民間保有の情報も指定し得る余地を残すためではないかという懸念もある。非常に曖昧なまま秘密の範囲を広げるのは許されないと批判しました。

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「議事録」

第213回通常国会 令和6年3月27日(水曜日) 内閣委員会 第5号

 ○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 重要経済安保情報保護活用法案、すなわち秘密保護法拡大法案について質問をいたします。

 岸田総理は、新制度が我が国の既存の情報保全制度とシームレスに運用されるよう、特定秘密保護法の運用基準の見直しの検討を含め、必要な措置を講じることを指示しております。経済安保分野の秘密について、秘密保護法の特定秘密の範囲を、法改正せずに運用基準の見直しで拡大するというものであります。

 お尋ねしますが、特定秘密において、経済安保分野の重要経済基盤保護情報に相当するものを指定したことというのはなかったと午前中の答弁でもありましたが、そのとおりでしょうか。

○岡政府参考人 お答えいたします。

 まず、経済安全保障政策で中心的な役割を果たします内閣府それから経済産業省におきましては、これまで経済安全保障に関する特定秘密を指定した例はございません。これがまず第一です。

 次に、その他の行政機関につきましても、私どもが許される範囲で確認をいたしましたが、指定された特定秘密の概要に、経済安全保障やサプライチェーン、それから重要インフラ、その他これらに類する関連の文言が用いられている例はございませんでした。この限りにおいて、重要経済基盤の保護に関する情報を直接的に特定秘密に指定した例はないというふうに申し上げられます。

 ただ、一方で、例えば、内閣情報調査室が外国の政府等と行う安全保障に関する協力業務を通じて提供された情報といった情報が特定秘密にまた指定されております。これによりまして、例えば、我が国の先端技術を狙ったスパイ活動やサイバー攻撃の重要情報が友好国からシークレットの保全表記がなされた文書でもたらされた場合には、当該文書を特定秘密文書として厳重に管理しております。

 いずれにしましても、新法の重要経済基盤保護情報への該当、非該当は、新法の運用基準がまだ策定されておらず、個別具体の当てはめを判断できない現段階において、確定的なお答えをすることは困難でありますが、関連する特定秘密保護法の運用状況は以上のとおりでございます。

○塩川委員 過去指定したものはないという答弁です。

 十年前の秘密保護法審議の際に、特定秘密の四分野に経済安保が入っている、そういう政府の答弁というのはあるんですか。

○岡政府参考人 お答えいたします。

 特定秘密保護法の法案審議の際には、経済安全保障という言葉、表現を用いた答弁は、政府としては行っておりません。

 他方で、当時の法案審議におきましては、例えば、防衛装備品の開発における民生技術の活用や、エネルギーに係る安全保障、食料に係る安全保障などにつきまして様々な議論がなされていたものと承知をしております。

○塩川委員 議論がないということであります。

 内閣官房作成の逐条解説では、本法の別表は、その裁量の幅を狭めるために、類型的に秘匿の必要性が高いと認められる事項を限定列挙したものと説明しておりますけれども、限定列挙、裁量の幅を狭める、そうですね。

○岡政府参考人 お答えします。

 御指摘の記載は特定秘密保護法の別表について解説したものでございまして、その意味するところは、特定秘密に指定できる範囲を別表に列挙された事項に限定することによりまして、指定対象を明確化するとともに、行政機関による恣意的な指定を防止する趣旨であることを示したものでございます。

○塩川委員 裁量の幅を狭めるとうたっているところであります。

 十年前の秘密保護法審議の際に、当時森大臣は、特定秘密に指定される範囲は必要最小限に限定されなければならぬことは当然のことと述べていたわけであります。今回、それを運用で広げるという話ですから、この秘密保護法の議論のときと大きく変わる、そういった今回の中身となっているということで、大臣にお尋ねいたします。

 今回、法改正でなく運用基準の見直しで経済安保分野を特定秘密に指定しようというのは、結果として、法律によらず罰則の対象を広げるものになるのではありませんか。こういうことは認めることができないと思いますが、いかがですか。

○高市国務大臣 今回、特定秘密保護法の改正は行いませんので、特定秘密の範囲が拡大されることはございません。

 特定秘密保護法の運用基準の見直しにつきましては、経済安全保障に関する個々の重要情報について、特定秘密に該当するかどうかを各行政機関が的確に判断できるよう、現行の運用基準について、法の別表に定める範囲内で、より明確にすべき箇所や補足すべき箇所がないかを検討するものでございますので、何も行政の裁量で特定秘密の範囲を拡大するようなことではございません。

○塩川委員 でも、実際、運用の見直しでやると言っているわけですから、秘密保護法の特定秘密の範囲を、法改正をせずに運用の見直しで拡大するということになれば、政府の裁量で勝手に秘密の範囲を広げると言われても仕方がない。まさに、何が秘密かも秘密という、秘密保護法の危険性をはっきりと示すものではありませんか。

○飯田政府参考人 お答えいたします。

 ただいま大臣の方から答弁させていただいたとおり、今回、特定秘密保護法、そしてその範囲を定めるものとして別表があるわけでございますけれども、それを改正するわけではございませんので、運用基準につきましては、あくまでも法の授権の範囲での検討ということだと認識しております。

○塩川委員 法律によらず罰則の範囲を広げるという点では罪刑法定主義にも反する重大な問題だ、こういった秘密保護法はそもそも廃止しかないということを申し上げておきます。

 次に、重要経済安保情報の範囲についてお尋ねいたします。

 重要経済安保情報指定の三要件は、重要経済基盤保護情報であって、公になっていないもののうち、その漏えいが我が国の安全保障に支障を与えるおそれがあるため、特に秘匿することが必要であるもののうち、特別防衛秘密、特定秘密は除くということです。その重要経済基盤保護情報とは、我が国にとって重要なインフラと重要な物資のサプライチェーンの二つを重要経済基盤と定義をしております。

 そこで、この重要経済基盤ですけれども、重要経済基盤である我が国にとって重要なインフラとは何なのか、また重要な物資のサプライチェーンとは何なのか、このことについて説明してください。

○飯田政府参考人 お答えいたします。

 本法案では、今委員の方から御紹介ございましたが、経済活動に関して行われる国家及び国民の安全を害する行為が及び得る対象範囲として、我が国の国民生活や経済活動を支える重要なインフラと、我が国の国民生活や経済活動が依拠する重要物資のサプライチェーンを重要経済基盤と定義をしているところでございます。

 具体的には、本法案第二条第三項におきまして、インフラにつきましては、我が国の国民生活又は経済活動の基盤となる公共的な役務であってその安定的な提供に支障が生じた場合に我が国及び国民の安全を損なう事態を生ずるおそれがあるものの提供体制、サプライチェーンにつきましては、国民の生存に必要不可欠な又は広く我が国の国民生活若しくは経済活動が依拠し、若しくは依拠することが見込まれる重要な物資、これはプログラムも含みますけれども、その供給網と定義しております。

○塩川委員 重要経済基盤は、経済安保推進法にあります基幹インフラ十四分野、プラス今回の港湾、この経済安保推進法で挙げている基幹インフラよりも広い概念ということでよろしいですか。

○飯田政府参考人 お答えいたします。

 本法案における重要経済基盤のうち、いわゆる重要インフラにつきましてはただいま答弁させていただいたとおりでございます。

 一方、経済安保推進法の基幹インフラ制度の対象となるインフラ、すなわち特定社会基盤事業者につきましては、国民生活及び経済活動の基盤となる役務であって、その安定的な供給に支障が生じた場合に国家及び国民の安全を損なう事態を生ずるおそれがあるものということとしておりまして、この点については本法案と共通しておりますけれども、実際には、この制度においては、特定重要設備の導入計画等の届出義務を課すという観点から更に法律の中で対象を絞り込んでおりまして、そのような事業の中で一定の事業を政令で定め、その事業を行う事業者を、省令において設備を特定することによって制度を運用しておりまして、最終的には、主務省令で定める基準に該当する事業者を、先ほど申し上げました義務の対象として絞り込んでいるところでございます。

○塩川委員 絞り込んでいるということですから、基幹インフラよりも重要経済基盤の概念の方が広いということになります。

 そこで、政府は、多数の民間事業者から提供された情報を政府の側で集約、分析するなどして作成した情報については、重要経済安保情報として指定することは考えられると答弁をしています。

 そこで、経済安保推進法に基づき多数の民間事業者から提供された、民間事業者による供給確保計画及び重要設備の導入、維持管理等の委託に関する計画書の情報を政府の側で集約、分析して作成した情報は、重要経済安保情報として指定するということはあり得るんでしょうか。

○飯田政府参考人 お答えいたします。

 重要経済安保情報として指定することとなりますのは、先ほど来、三つの要件がございますけれども、重要経済基盤保護情報であって、公になっていないもののうち、その漏えいが我が国の安全保障に支障を与えるおそれがあるため、特に秘匿する必要があるものというものでございます。

 お尋ねの、経済安全保障推進法の下で民間事業者から申請されることになります特定重要物資の供給確保計画、あるいは基幹インフラ制度の中で提出されます特定重要設備の導入等計画が、そのまま本法案の重要経済安保情報の要件に該当するとは私ども考えにくいというふうに考えております。

 他方で、御指摘の計画などに限らず、政府が、多数の民間事業者から提供されたインフラやサプライチェーンに関する様々な情報を政府の側で集約し分析することなどによりまして、重要経済基盤の重大な脆弱性に関する情報や、これを解消し、重要経済基盤を保護するために政府が取るべき措置等に関する資料を作成した場合には、その内容が先ほど申し上げた三つの要件に該当する可能性もあり得るというふうに考えております。

○塩川委員 もう一回確認ですけれども、経済安保推進法で二つの計画があります、二つの計画について政府の側で集約、分析するなどして作成した情報については、三つの要件に当たれば重要経済安保情報として指定することはあり得るということですね。

○飯田政府参考人 お答えいたします。

 サプライチェーンの関連で提出されます供給確保計画につきましては、この法律の中で支援対象としております設備投資の計画であったり、あるいは備蓄の計画だったりというような内容でございます。

 他方で、インフラ制度の中で提出される導入等計画というのは、このインフラを運営するに当たって非常に重要な設備について、あるいはそれを構成する設備について、どのようなスケジュールでどのようなサプライヤーから調達をするのかといったような導入に関する計画でございまして、その一つ一つが、もちろん、元々、民間が承知している、あるいは民間のサプライチェーンの中で様々な事業者が承知している情報ですので、それがそのまま直ちにこの重要経済安保情報の要件を満たすものとは考えておりません。

○塩川委員 いや、答えていないんですけれども。

 個々の事業者が出した計画が重要経済安保情報に指定されるかと聞いているんじゃなくて、そもそも、政府が言っているように、政府の側で集約、分析するなどして作成した情報について言っているんです。その場合の集約、分析する対象となる計画として、経済安保推進法による二つの計画を集約、分析して作成した情報というのは重要経済安保情報に指定し得るのか。そこをもう一回。

○飯田政府参考人 お答えいたします。

 今申し上げました様々なデータを収集をして、それを政府の側で、様々な分析手法や、あるいは政府として独自に収集した情報、データも加味して、そして最終的に作成をいたしました、先ほど申し上げました脆弱性に関する情報やそれを解消するための政府の措置につきましては、重要経済安保情報として指定することもあり得るというふうに考えております。

○塩川委員 否定しませんでしたので、そういう意味では、民間事業者が経済安保推進法に基づいて出した計画をベースに集約、分析したものが重要経済安保情報の指定の対象となり得るということであります。

 そういうときに、民間事業者が提供した情報を基に政府が作成した重要経済安保情報について、その民間事業者は、適合事業者にならないとその重要経済安保情報は受け取れないということですね。

○飯田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の重要経済安保情報を受け取ることができる事業者と申しますのは、今、提供した事業者という御指摘があったわけですが、それも含めまして、この法律の十条一項により提供を受ける場合でございまして、それは、適合事業者の認定を受け、さらに政府との間で、あるいは関係する行政機関との間で契約を結んだ上で提供を受けるということになります。

○塩川委員 経済安保推進法で計画を出しました、こういうところが弱点です、政府の方が集約、分析をしたものが重要経済安保情報になりますといったときに、当然、事業者側にその穴を埋めてくださいねという話というのは出てくるわけですよ。そうなりますと、政府は民間事業者に、秘密保持契約を結ぶ適合事業者になることを求めることになるんじゃないでしょうか。そこはどうですか。

○飯田政府参考人 今御指摘のございました経済安保推進法の計画でございますけれども、これはあくまでも民間事業者の御判断により策定された計画でございますので、それを、私ども、申請を受けて、審査をして認定をするというわけでございますが、そのプロセスの中で、相手先であります企業に対して重要経済安保情報を一律に提供するということは想定しておりませんし、そのために先方の事業者に適合事業者となるということを求めるものではございません。

○塩川委員 でも、こういうインフラやサプライチェーンで、ここが弱点です、脆弱性です、こういうところをきちっとカバーしてくださいというアドバイスというのはされるわけですよね。その一つとして、穴を埋めるためにはこの重要経済安保情報が必要です、適合事業者になってください、そういうことは言わないということですか。

○飯田政府参考人 お答えいたします。

 経済安保推進法におきましては、まず、安定供給に支障を生ずるおそれがある物資を特定重要物資として指定をいたします。その上で、取組方針というものを定めまして、こういった取組に貢献するということであれば、その計画を申請していた企業に対して財政的な支援も含めて支援をするという制度でございます。

 したがいまして、この計画認定のプロセスにおいて適合事業者であるということは必ずしも関係がございませんし、むしろ、事業者が提出してきた計画の内容そのものが、私ども政府の側でそれぞれの物資所管官庁が示した取組方針に合致しているかどうかを審査をするということでございますので、その点において、重要経済安保情報に指定されている情報をお渡しするということは必ずしも想定しているものではございません。

○塩川委員 ただ、政府の説明として、多数の民間事業者から提供された情報を政府の側で集約、分析するなどして作成した情報については、重要経済安保情報として指定することが考えられるということですから、経済安保推進法に別に限らなくてもいいわけですよ。多数の事業者からいろいろな情報が寄せられました、それを分析しました、これは重要経済安保情報に指定し得るよねと。

 そういった場合に、そういった元々の計画なり情報を出してきた事業者に対して、やはり問題点があればアドバイスをするということはやるんですよね。

○飯田政府参考人 お答えいたします。

 本法案の規定にございますとおり、先ほど申し上げました重要経済基盤の脆弱性の解消を含めた安全保障の確保に資する活動のために必要である場合にあって、その活動にまさに従事する民間事業者、こちらに重要経済安保情報を提供することでその事業活動などを推進していく、あるいは促していくということがございます。その場合においては、まさに適合事業者に該当するかどうか、政令で定められた基準を満たしているかどうかを認定した上で、さらにその上で契約を結んで、その事業者に対して重要経済安保情報を提供することがあるということでございます。

○塩川委員 やはり、政府として重要経済安保情報をつくりましたといったものを有効に利用してもらうとしたら、適合事業者になってくださいということを求める、迫るというスキームにならざるを得ないという点でいっても、民間事業者に対して、これはちゃんと管理するためにクリアランスを受けてくれということを迫るようなスキームになってくると言わざるを得ません。

 あと、重要経済基盤の範囲についてですけれども、例えば医療分野というのは重要経済基盤には入り得るんでしょうか。

○飯田政府参考人 お答えいたします。

 医療基盤と言われるものが何を指しているかについては様々な御見解があろうかというふうに思いますけれども、医療につきましては、我が国の国民生活又は経済活動の基盤となる公共的な役務であってその安定的な提供に支障が生じた場合に我が国及び国民の安全を損なう事態を生ずるおそれがあるものに該当する可能性があるものもあるというふうに考えております。

○塩川委員 該当するものもあるということです。

 厚生労働省は、二〇二四年度には、オンライン資格確認システムを基盤に構築する電子カルテ情報共有サービスについて、標準規格に準拠した電子カルテを使用する医療機関等から接続を順次開始するとのことであります。

 医療DXに係るセキュリティー対策に関わって、医療分野が重要インフラの対象となるのではないのか。そうなると、医療機関が重要経済安保情報を取り扱う適合事業者になり得るのか。この点はどうでしょうか。

○飯田政府参考人 お答えをいたします。

 先ほど来申しております一般論と同様でございまして、重要経済基盤に関する脆弱性、あるいはその脆弱性を解消するための活動に関連して、民間の事業者と情報を共有するということは想定しております。

 ただし、一つだけ補足させていただきますと、民間とのやり取り、それは全て重要経済安保情報だけでは当然なくて、そういったものに指定されていない情報も含めて、私ども、関係事業者と情報交換を進め、そしてその事業活動を促していきたいというふうに考えております。

○塩川委員 インフラやサプライチェーンの維持に必要な秘密情報の保全対策として、民間事業者に適合事業者となることを迫るものになるのではないのか、民間事業者の営業の自由や従業者のプライバシーの侵害などが強く危惧されるものだということを申し上げておきます。

 次に、午前中の質疑でもありましたけれども、政府は、重要経済安保情報について、政府が保有する情報に限ると説明しておりますが、条文上どこに規定しているのかという質問に対して、条文にはないと答弁しておりましたが、それでよろしいでしょうか。

○飯田政府参考人 お答えいたします。

 午前中の質疑でも答弁がございましたけれども、重要経済安保情報は、行政機関の長が三つの要件に該当するかどうかということを所掌事務に係る専門的知見から判断をして指定するということになるわけでございますけれども、この三つの要件に該当するか否かは、当然その情報が手元になければ判断のしようがないという意味で、政府が当然のことながら保有している情報を吟味した上で指定の要否を判断をするという意味で、政府保有ということで御説明をしたところでございます。

 その中に、仮に元々民間が保有していた情報があったとしても、元々民間が保有している情報でございますので、これにはこの法律の規律は及ばないということも併せて御説明させていただいた上で、そのような観点から、そういったものをすべからく指定するようなことは基本的には考えていないということで答弁差し上げたところでございます。

○塩川委員 午前中の答弁の中で、政府保有とした場合に、元々の保有者もいる、条文ではなく、政府の方針として表明することで足りるのではないかという説明をしていたんですが、政府保有とした場合に、元々の保有者もいるというのは、これは何を言っていたんですか。

○飯田政府参考人 お答えいたします。

 先ほど塩川委員の方から御指摘がございました推進法の関連で、民間から提供された情報についての言及がございました。

 そういったものを分析、あるいは収集して分析した上で、重要経済安保情報に指定することがあるということを申し上げたわけでございますけれども、私自身がまず申し上げましたのは、政府の手元にある情報の中にはこうした民間が提供した情報もあるということでございますし、そういったものをそのまま指定するということは基本的には考えてございませんが、論理的には指定はできますけれども、その場合であっても、この法案の条文の罰則の条項などを見ていただきますと、全て、罰則等の規律が発生をいたしますのは、行政機関の長から、適合事業者を介して、適性評価を受けられて漏えいのおそれがないと認められた方に情報が提供された場合に限って罰則などが適用するという規定になっておりまして、全て、行政機関を起点として、行政機関から提供された情報について規律が発生するということで御説明をしております。

○塩川委員 先ほどの説明では、十条二項で、政府が現に保有していない情報もあるのでと言ったんですけれども、それもそういうことなんですか。

○飯田政府参考人 十条二項の規定につきましては、これは、そもそも政府が保有する情報の概念の中の一つとして、十条二項で特別な規定を設けているものでございます。

 これにつきましても、まさに政府が、まずは指定をしなければなりませんが、重要経済安保情報の三要件に該当するかどうか、これを判断するのはあくまでも行政機関の側でございまして、これを現時点で保有せずとも、行政機関が先方との同意の上で行わせることとなる調査研究の結果生成した情報については、政府保有の情報として指定をし、また、その指定に伴う規律を、それを取り扱う民間事業者の方にもその規律を適用するということでございまして、あくまでも政府保有の情報の一類型として御紹介をしております。

○塩川委員 であれば、政府保有と書くのでいいんじゃないですか。

○飯田政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のような考え方もあろうかと思いますけれども、私どもとしては、この条文の規定によりまして御指摘の趣旨については手当てできるというふうに考えまして、このような条文とさせていただいております。

○塩川委員 何だか大分いいかげんな話になってまいりましたけれども。

 秘密保護法の運用基準には、「行政機関又は都道府県警察の職員は、特定秘密に指定すべきと考えられる情報を知ったときには、直ちに当該情報が特定秘密に指定されるよう関係職員に通報するなどの措置を講ずるものとする。」とあります。特定秘密を指定する権限を持たない者がその指定を要する情報を知ったときに講ずる措置を規定をしております。これは特定秘密保護法の運用基準ですけれども、今回、民間分野に大きく秘密指定の範囲を広げることになります。

 その際に、アメリカがどうなっているのか。米国の大統領令の一三五二六には、これは機密を扱う大統領令ですけれども、民間事業者が指定を要する秘密を知ったときに関係職員に通報することが規定をされています。

 同様のことを日本でも行うんでしょうか。

○飯田政府参考人 お答えいたします。

 民間事業者との関係については、この法律の条文にあるとおりでございまして、御指摘のようなことは法定されておりません。

○塩川委員 運用基準で入れようとか、そういうのはないということですか。

○飯田政府参考人 お答えをいたします。

 この法律の範囲内で、あるいは授権された範囲内で運用基準というものは定めてまいります。

○塩川委員 運用基準には入れないということですね。

○飯田政府参考人 法令で規定されないまま、運用基準で通報を義務づけるようなことはできないのではないかというふうに考えております。

○塩川委員 政府が保有するというところが非常に曖昧だという点で、政府保有の情報に限りと条文上規定していないのが、このように政府保有だけではなくて民間保有の情報も指定され得る余地を残すためじゃないのかという懸念も浮かぶところであります。そういう点でも、非常に曖昧な、秘密の範囲がどんどん広がっていく、そういう中身ということが強く危惧されるところであります。

 大臣にお尋ねします。

 有識者会議の議論の中で、永野委員から、秘密保護法は別表形式です、このような別表等の形式により、今回の法案についても可能な限り明確に対象となる情報類型を列挙すべきと指摘をしていましたけれども、そういった限定列挙についてどのような検討を行ったのか。今回、限定列挙しなかったのはなぜなんでしょうか。

○高市国務大臣 永野委員から、別表等の形式によりということで、可能な限り明確に対象となる情報類型を列挙すべきといった御指摘はございました。

 特定秘密保護法では、特定秘密に該当する情報を明確化するため、別表に掲げる事項に関する情報であって、公になっていないもののうち、その漏えいが我が国の安全保障に著しい支障を与えるおそれがあるため、特に秘匿することが必要であるものという三要件を充足することを要しています。

 この点について、本法案におきましては、先ほど来申し上げていますように、重要経済安保情報に該当する情報を明確化するために、特定秘密保護法と同様、一つ目は重要経済基盤保護情報であってということになりますけれども、公になっていないもののうち、その漏えいが我が国の安全保障に支障を与えるおそれがあるため、特に秘匿することが必要であるものという三要件を充足することを要することとしています。

 さらに、重要経済基盤保護情報について、我が国にとって重要なインフラとサプライチェーン、すなわち重要経済基盤に関する情報のうち、外部から行われる行為に対する保護措置やこれに関する計画又は研究、重要経済基盤の脆弱性や革新的な技術、これらに関して収集した外国からの情報や、我が国の情報収集能力に関する情報であることを法文上明確にいたしております。

 これらの要素というのは、特定秘密保護法別表の類型を参考といたしました。ですから、限定列挙していないわけではございません。

○塩川委員 全然そんなふうに読めない中身であります。

 限定列挙の秘密保護法ですらその範囲が曖昧だということが厳しく批判をされているわけですから、更に曖昧で、秘密の範囲がどんどん広がりかねないという点では認めることができないということを申し上げ、質問を終わります。