【本会議】政治資金規正法自民党案が衆院通過/企業・団体献金禁止せず、政策活動非合法化、収支公開改悪/反対討論

 自民党が提出し、昨日に修正した政治資金規正法改正案が、今日の衆議院本会議で、自民、公明、維新の賛成多数で可決されました。

 この法案は、企業・団体献金の禁止には全く触れず、脱法的な政策活動費を合法化し、収支公開を改悪させる内容です。

 日本共産党、立憲民主党などが反対しました。

 私は反対討論に立ち、裏金事件の当事者である自民党が真相究明に背を向けたまま提出した法案には、企業・団体献金の禁止がすっぽり抜け落ちているとして「国民の要求にこたえるものではない」と指摘しました。

 裏金事件は自民党派閥の政治資金パーティー収入を原資とした組織ぐるみの違法行為。企業・団体による献金の禁止、その抜け道であるパーティー券購入の禁止が、再発防止に不可欠だと主張しました。

 企業・団体献金は、本質的に政治を買収する賄賂であり、国民の権利である参政権を侵害するものだとのべ、「金権腐敗政治根絶の核心は、企業・団体献金の全面禁止だ」と強調しました。

 また、「政策活動費を合法化し、温存することは重大な改悪だ」と主張。

 岸田総理も、政策活動費は現行法に規定がなく、だから法定化すると述べ、合法化する法案だと認めざるを得なかったと指摘。「政策活動費はきっぱり廃止すべきだ」と主張しました。

 さらに、収支報告書の要旨の作成・公表義務の削除する規定について、要旨すらなくなれば、政治資金の流れは見えなくなる。不祥事を隠蔽するものだと批判。

 国民の監視を妨害する要旨作成の廃止はやめるべきだ、と主張しました。

 私の反対討論(5分)は、以下のYouTubeからご覧ください。


裏金幕引き改定案/衆院通過政治資金規正法/共産党は反対

「しんぶん赤旗」6月7日・1面より

 自民党が提出し、修正された政治資金規正法改定案が6日の衆院本会議で、自民、公明、日本維新の会の賛成多数で可決されました。日本共産党、立憲民主党、国民民主党などは反対しました。

 私は討論で、裏金事件の当事者である自民党が真相究明に背をむけたまま提出した法案は企業・団体献金禁止が抜け落ちているとして「国民の要求に応えるものではない」と指摘。裏金事件は自民党派閥の政治資金パーティー収入を原資とした組織ぐるみの違法行為であり、企業・団体献金とその抜け道であるパー券購入の禁止が再発防止に不可欠だと主張しました。

 企業・団体献金は本質的に政治を買収する賄賂であり、国民の参政権を侵害すると述べ「金権腐敗政治根絶の核心は、企業・団体献金の全面禁止だ」と強調しました。

 また「政策活動費を合法化し温存することは重大な改悪だ」と強調。岸田首相も、現行法に規定がないから「法定化する」と述べ、政策活動費を合法化する法案だと認めたとして「きっぱり廃止すべきだ」と求めました。

 収支報告書の要旨の作成・公表義務を削除する規定について、政治資金の流れを見えなくし、不祥事を隠蔽(いんぺい)するものだと指摘。国民監視の妨害をやめるよう主張しました。

 

 
 

「議事録」

第33号 令和6年6月6日(木曜日)

○塩川鉄也君 私は、日本共産党を代表し、自民党提出の政治資金規正法改正案と修正案に反対の討論を行います。(拍手)

 まず、法案及び修正案について、条文を吟味する時間も与えず、僅かな質疑時間、拙速な審議で採決をしたことは重大であります。民主政治の健全な発達に寄与することを目的とする政治資金規正法の審議でこのような暴挙を行ったことに、強く抗議をするものであります。

 裏金事件の真相を徹底解明し、再発防止の抜本改革を実現することは、今国会に課せられた重要な責務であります。ところが、当事者である自民党が真相究明に背を向けたまま提出した法案は、肝腎要の企業、団体による献金や政治資金パーティー券購入の禁止がすっぽり抜け落ちているではありませんか。到底、国民の要求に応えるものではありません。

 裏金事件は、自民党派閥のパーティー収入を原資とした組織ぐるみの違法行為です。企業・団体献金を禁止し、その抜け道である企業、団体によるパーティー券購入を禁止することが再発防止に不可欠です。修正案は、パーティー券購入の公開基準を五万円超にしたと言いますが、一回当たりにすぎず、複数回に分ければ、これまでと何ら変わるものではありません。抜け道を温存するものです。

 営利を目的とする企業は、金を出せば必ず見返りを期待するものであり、企業・団体献金は、本質的に政治を買収する賄賂です。選挙権を持たない企業が巨大な資金力で政治に影響力を行使し、金の力で政治をゆがめることは、国民一人一人の権利である参政権を侵害するものです。金権腐敗政治根絶の核心は、企業・団体献金の全面禁止です。企業・団体献金を聖域とする自民党案は、国民の願いを裏切るものであり、断じて認められません。

 第二に、政策活動費を合法化し、温存することは、重大な改悪であります。

 自民党は、政策活動費と称して、政党本部から政治家個人に巨額の資金を支出してきました。政策活動費は政党のために使う支出だと言いますが、政党の支出であれば、そのまま収支報告書に支出を記載すればよいのであります。現行法に規定がないにもかかわらず、政治家を迂回させることで支出の実態を隠そうとするものであり、収支を全て公開するという規正法の趣旨に反する脱法行為であります。

 しかも、岸田総理は、政策活動費は法律に基づいて認められていると強弁する一方で、現行法に定めがないことも認め、だから今回法定化すると述べ、脱法行為を合法化する法案であることを認めざるを得ませんでした。

 さらに、維新の会との合意による修正案で政策活動費の上限を定め、十年後には支出状況を公開するかのように言っていますが、提案者は、上限額も公開内容も、今後の検討で結論を得ると繰り返すだけでした。政策活動費に固執している自民党と維新で、都合のいい制度をつくろうというものであります。政策活動費はきっぱり廃止すべきです。

 第三に、自民党案が収支報告書の要旨の作成、公開義務を削除したことは、規正法の柱である収支公開に逆行するものです。

 収支報告書の根幹部分が記載されている要旨すらなくなれば、収支報告書の公開三年後には、政治資金の流れが全く見えなくなります。裏金事件が起きても、過去に遡って金の流れを検証し、政治的、道義的責任を明らかにすることができなくなるのであります。不祥事を隠蔽するものと言わざるを得ません。国民の不断の監視と批判の下に置くとした規正法の基本理念を貫き、収支報告書は公的に永久に残すことこそ必要です。国民の監視を妨害する要旨作成の廃止はやめるべきです。

 日本共産党は、企業・団体献金、政党助成金を一切受け取らず、政治資金パーティー券購入を含む企業・団体献金禁止法案をこの三十年間、国会に提出し続けてきました。その実現に全力を挙げることを申し述べ、討論を終わります。(拍手)

【政治改革特別委員会】裏金事件再発防止にも抜本改革にもならない、政治資金規正法の自民党案/衆院の委員会で可決

 政治資金規正法改正案などの採決が行われ、自民党が提出した改定案が、自民、公明、維新の賛成多数で修正のうえ可決しました。日本共産党は、反対しました。

 自民党は、企業・団体献金の禁止に触れず、政策活動費を合法化し、収支公開に逆行するものです。

 私は、反対討論で、「裏金事件の当事者である自民党が真相究明に背を向けたままだ」と指摘し。「自民党提出の法案と修正案は、再発防止にも抜本改革にもならない」と強調しました。

 私は、自民党案で抜け落ちている企業・団体による献金や政治資金パーティー券購入の禁止こそが「再発防止に不可欠だ」と主張。「企業・団体献金は、本質的に政治を買収する賄賂」「選挙権を持たない企業が巨大な資金力で政治を歪めることは国民の参政権を侵害する」と主張しました。

 私は、現行法に規定がない政策活動費は「規正法の趣旨に反する脱法行為だ」と指摘。自民案は「政策活動費を新たに法定化し、堂々とやれるようにしようというものだ」と批判。さらに、修正案に盛り込まれた10年後公開の検討は「政策活動費に固執している自民と維新で都合がいい制度をつくろうというものだ。政策活動費の合法化、温存は認められない」と強調しました。

 また、自民党案が収支報告書の要旨の作成・公開義務を削除したことは、規正法の柱である「収支公開」に逆行するものだと指摘。「過去の不祥事を隠蔽するもの」と批判し、要旨作成の廃止はやめるべきだと主張しました。


衆院特委/規正法改定案を可決/企業・団体献金も政策活動費も温存/共産党反対「抜本改革できず」

「しんぶん赤旗」6月6日・1面より

 自民党が提出した政治資金規正法改定案は5日の衆院政治改革特別委員会で、自民、公明と日本維新の会の3党の賛成多数で修正のうえ可決しました。自民党の改定案は、企業・団体献金の禁止に触れず、政策活動費を合法化し、収支公開に逆行するもの。日本共産党と立憲民主党などは反対しました。

 私は反対討論で「裏金事件の当事者である自民党が真相究明に背を向けたままだ」と指摘し、「自民党提出の法案と修正案は、再発防止にも抜本改革にもならない」と強調しました。

 私は、自民案で抜け落ちている企業・団体による献金や政治資金パーティー券購入の禁止こそが「再発防止に不可欠だ」と主張。「企業・団体による献金は、本質的に政治を買収する賄賂だ」「選挙権を持たない企業が巨大な資金力で政治をゆがめることは、国民の参政権を侵害する」と批判しました。

 私は、現行法に規定がない政策活動費は「規正法の趣旨に反する脱法行為だ」と指摘。自民案は「政策活動費を新たに法定化し、堂々とやれるようにしようというものだ」と批判し、修正案に盛り込まれた10年後の公開の検討についても「政策活動費に固執している自民党と維新で都合のいい制度をつくろうというものだ。政策活動費の合法化、温存は認められない」と強調しました。

 自民案で政治資金収支報告書の要旨の作成・公開義務を削除したのは、規正法の柱である「収支公開」に逆行すると指摘。「過去の不祥事を隠ぺいするものだ」と批判しました。


「議事録」

第213回通常国会 令和6年6月5日(水曜日) 政治改革に関する特別委員会 第8号

○塩川委員 日本共産党を代表し、政治資金規正法に関する四法案と修正案の討論を行います。

 まず、法案及び修正案の条文を吟味する時間も与えず、僅かな審議時間、拙速な審議で採決することに断固抗議をするものです。

 裏金事件の当事者である自民党は、真相究明に背を向けたままであり、自民党提出の法案と修正案は、再発防止にも抜本改革にもなりません。

 第一に、肝腎要の企業、団体による献金や政治資金パーティー券購入の禁止がすっぽり抜け落ちています。

 裏金事件は、自民党派閥のパーティー収入を原資とした組織ぐるみの違法行為です。企業・団体献金の禁止、抜け道であるパーティー券購入も禁止することが再発防止に不可欠です。修正案は、パーティー券購入の公開基準を五万円超としていますが、複数回に分ければ、これまで同様に非公開で購入できます。抜け道を温存するものです。

 企業・団体献金は、本質的に政治を買収する賄賂です。選挙権を持たない企業が巨大な資金力で政治をゆがめることは、国民一人一人の権利である参政権を侵害するものです。企業・団体献金を聖域とする自民党案は、国民の願いに反するものであり、認められません。

 第二に、現行法に規定がない政策活動費は、政治家を迂回させることで支出の目的を明らかにしないものであり、規正法の趣旨に反する脱法行為であります。

 自民党案は、政策活動費を新たに法定化し、堂々とやれるようにしようというものです。

 さらに、修正案で政策活動費の上限を定め、十年後には領収書等を公開するかのように言っていますが、上限額も内容も、提案者は今後の検討で結論を得ると繰り返すだけで、政策活動費に固執している自民党と維新で都合のいい制度をつくろうというものです。

 政策活動費の合法化、温存は認められません。きっぱり廃止すべきです。

 第三に、自民党案が収支報告書の要旨の作成、公開義務を削除したことは、規正法の柱である収支公開に逆行するものです。収支報告書の根幹部分が記載されている要旨すらなくなれば、収支報告書の公開三年後には、政治資金の流れが全く見えなくなります。過去の不祥事を隠蔽するものと言わざるを得ません。国民の不断の監視と批判の下に置くとした規正法の基本理念を貫き、収支報告書は公的に永久に残すことこそ必要です。国民の監視を妨害する要旨作成の廃止はやめるべきです。

 このほか、お墨つきを与えるだけの政治資金監査制度の拡大や政党助成金を利用した法違反のペナルティー制度の創設の検討、第三者機関へのルール作りの丸投げの検討など、看過できない規定が盛り込まれています。

 立憲、国民、有志案も同様の理由から反対です。立憲のパーティー開催禁止法案も賛同できません。立憲の企業・団体献金禁止法案は賛成をするものです。

 日本共産党は、企業・団体献金、政党助成金を一切受け取らず、政治資金パーティー券購入を含む企業・団体献金禁止法案をこの三十年間、国会に提出し続けてきました。その実現に全力を挙げることを申し述べ、討論を終わります。(拍手)

【政治改革特別委員会】カネの力で「政策買収」する自民党の賄賂政治を追及

 私は、赤旗日曜版のスクープを紹介して企業・団体献金が政治を歪める実態を指摘し、企業・団体献金禁止に踏み込まない自民党案を批判しました。

 私は、政権交代後の2013年参院選前に、自民党の政治資金団体(国民政治協会)が、日本建設業連合会(日建連)に企業献金4億7100万円の請求書を出していると指摘し、「夏には参院選があるといって、『国土強靭化』の政策を訴え、献金を請求した。まさに特定政策を誘導する形で、企業献金を催促してきたのが自民党だ」と批判しました。

 岸田総理は「請求ではなく自発的寄附のお願いだ。特定選挙と政策と連動するわけではない」と言い訳したうえで「政治資金団体が献金を受け取ることは、法的に何ら問題はない」と開き直りました。

 私は「この20年間で、日建連会員企業から自民党への献金額は20億円を超えており、その見返りに日建連会員企業が受注した大型公共事業額は27兆円を超えている。政策をカネで売り買いする賄賂政治そのものだ」と強調しました。

 さらに、私は企業・団体による政治資金パーティー券購入が形をかえた企業・団体献金である実態を追及。
 私は、パーティー建購入の公開基準が引き下げられるのは、自民党の修正案の施行日2027年1月1日であると述べ、「その間に総選挙や参院選挙がある」と指摘。

 今回の裏金事件で、安倍派の22年参院選改選の参院議員は全額キックバックを受けていましたが、同じ22年参院選前に、岸田派の国交省OB足立敏之参院議員の例を指摘。足立議員側が、日建連に対し、3000万円のパーティー券購入を依頼し、各社に100万円以上を割り振っていたことを暴露。目前に迫った総選挙・参院選挙で、従来通り企業・団体からのパーティー収入を得ようとしているのではないかと追及。

 岸田総理は、「(法施行までに)準備が必要であり設けたものだ」とまともに答えませんでした。

 私は、「自民党案は、企業・団体献金を聖域にするものだ」と厳しく批判しました。


政策買収の自民政治政治改革特委/塩川氏が首相追及

「しんぶん赤旗」6月6日・2面より

 私は、衆院政治改革特別委員会の政治資金規正法改正案の審議で「赤旗」日曜版のスクープを紹介し、岸田文雄首相を追及しました。

 私は、政権交代後の2013年の参院選前に自民党の政治資金団体が、日本建設業連合会(日建連)に企業献金4億7100万円の請求書を出していると指摘。「夏には参院選があると言って、『国土強靱(きょうじん)化』を訴えて献金を請求した。まさに特定政策を誘導する形で、企業献金を催促してきた」と批判しました。首相は「政治資金団体が献金を受け取ることは、法的に何ら問題はない」と開き直りました。

 私は「この10年間で、日建連会員企業から自民党への献金額は20億円を超えており、その見返りに日建連会員企業が受注した大型公共事業額は27兆円を超えている。政策を金で売り買いする賄賂政治そのものだ」と強調しました。

 さらに、自民党の修正案では、パー券購入の公開基準が引き下げられるのは施行日の2027年1月1日だとして、「その間に総選挙や参院選がある」と指摘。22年参院選前に岸田派で国交省出身の足立敏之参院議員が、日建連に3000万円のパーティー券購入を依頼し、日建連が各社に100万円以上を割りふっていたことを暴露し、目前に迫った国政選挙で従来通り、企業・団体からパーティー収入を得ようとしているのではないかと追及しました。首相は「(法施行までに)準備が必要であり、設けたものだ」とまともに答えませんでした。私は「自民党案は企業・団体献金を聖域にするもの」と批判しました。

 


「議事録」

第213回通常国会 令和6年6月5日(水曜日) 政治改革に関する特別委員会 第8号

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 法案提出者の、自民党総裁である岸田総理にお尋ねをいたします。

 まず、企業・団体献金について質問をいたします。

 今回の法案には、企業・団体献金の禁止は全く入っておりません。岸田総理は、特定企業からの寄附が政策決定に影響を与えることはないと述べておられますが、特定の企業、団体からお金を受け取って政治がゆがめられたことがなかったと言い切れるんですか。

○岸田内閣総理大臣 企業・団体献金によって政策がゆがめられた例はないと言い切れるかという御質問でありますが、これについては、予算委員会等、国会の様々な委員会において議論を行わさせていただきましたが、そもそも政治団体の収入については、多様な考え方の多くの出し手による様々な収入を確保することが政策立案における中立公正やバランスの確保において重要である、こういった考え方を申し上げております。

 その上で、平成元年の政治改革大綱においても、法人などの寄附を禁止する理由はない、あるいは、よく例に挙げられます昭和四十五年の最高裁判決においても、政治活動の自由の一環として政治資金の寄附の自由を企業は有する、こういった判決もある、さらには、政策決定のプロセスについても紹介をさせていただく、こういったことにおいて、一部の企業からお金を受けることによって政策がゆがめられる、こういったことはないと説明をさせていただいております。

○塩川委員 実際、この間を見ても、例えば自民党の国会議員だった吉川農水大臣の鶏卵汚職事件を始めとして、企業との癒着によって政治がゆがめられた、このことが問題となった事例というのは枚挙にいとまがないわけであります。

 政治資金のバランスの問題という話をいつもされるんですけれども、ということは、三分の二の自民党の収入は政党助成金、バランスが悪いということであれば、その他の企業・団体献金はもっと増やす、こういう議論にバランス論で言えばなるんじゃないでしょうか。全く反省がないと言わざるを得ません。

 民主党政権からの政権交代後、自民党は、二〇一三年の参議院選挙を前にして、ゼネコン業界に企業献金の請求書を出していたことを、当時、しんぶん赤旗日曜版が暴露しております。

 自民党の政治資金団体の国民政治協会が、ゼネコン業界団体、日本建設業連合会、日建連に出した文書であります。自民党の文書には石破幹事長を始め党幹部の名前が並び、「夏には、参議院選挙が行われます。」として、「「強靱な国土」の建設へと全力で立ち向かっております。」と述べて、四億七千百万円の献金を請求をしておりました。総理は承知しておられますか。

○岸田内閣総理大臣 お尋ねについては、これは、まず、請求書というような類いのものではありません。これは、自民党の政治資金団体である一般財団法人国民政治協会から、政治活動に対する一般的な支援要請として、日本建設業連合会に対し、会員による自発的な寄附の御協力のお願いを行ったものであると承知をしております。

 当然のことでありますが、当該寄附の要請は特定の選挙に関してなされるものや公共事業などと連動するものではなく、企業、団体から政治資金団体が献金を受け取ることも法的には何ら問題があるものではないと認識をしております。

○塩川委員 公共事業受注企業からの献金を迫るといったこと自身が問われているわけで、夏には参議院選挙が行われますということで、国土強靱化、この政策を訴えて、四億七千百万円の献金を請求していた。業界団体に、まさに特定の政策を誘導する形で企業献金を催促してきたのが自民党であります。

 その後、どうなったか。昨年、しんぶん赤旗日曜版が、自民党からゼネコン各社への献金割り振り額が示された日建連の内部文書をスクープしております。

 日建連加盟の大手五十七社で構成される社会貢献活動協議会の例会においてであります。

 二〇一九年例会、事務部会進行シナリオには、国民政治協会への各社の献金割り振り額が記されております。国政協に対する政治寄附の目安金額を第一グループから順に申し上げますので、メモしていただきますようお願いいたしますとして、第一グループ一千八百万円、第二グループ九百万円などとグループ別に金額を読み上げております。そして、例年同様、本日、社会貢献協議会の例会が終わったことを国民政治協会に連絡させていただきますので、後日、国政協の担当者から各社をお訪ねしたい旨のアポイントが入ることになります。

 このような、まさにシナリオを読み上げていたわけであります。

 自民党と一体で献金あっせんをしているのが日建連であります。この十年間で、日建連会員企業から自民党への献金額は二十億円を超えております。その見返りに、日建連会員企業が受注した国の大型公共事業額は、この十年間で二十七兆円を超えています。政策を金で売り買いする賄賂政治そのものではありませんか。

○岸田内閣総理大臣 まず、御指摘の文書については私自身承知しておりませんし、逆に、特定の団体の内部文書について私の立場からコメントすることはいたしません。

 しかし、企業・団体献金について、賄賂性があるのではないか、政策をゆがめているのではないか、こういったことについては、先ほどの説明に加えまして、一般論として、我が国の自由主義経済の重要な構成要素である企業等が、個別の政策云々にかかわらず、我が国の経済の発展に力を尽くそうとしている政党の活動を応援する、これは政治活動の自由の在り方ということにおいて責められるものではないと認識をしております。

○塩川委員 選挙権のない企業が金の力を使って政治に口を出すというのは、まさに国民の参政権を侵害するものと言わざるを得ません。断じて認めることができません。

 次に、自民党の政治資金パーティー収入については、形を変えた企業・団体献金ということで、その政治資金パーティー券についてですが、公開基準を二十万円超から五万円超に引き下げるという、党首会談でこの点を合意をし、修正案が出されました。

 総理にお尋ねしますが、この五万円超というのは、パーティー一回に限っての話であって、年間ではありません。四回あれば二十万円を超えるというのと同じことになるんじゃありませんか。

○岸田内閣総理大臣 政治資金パーティーの公開基準の議論につきましても、この国会において、予算委員会等で様々な議論が行われてきました。私も度々答弁をさせていただいたところでありますが、これは、先ほども紹介させていただきました最高裁の判決等においても、政治活動の自由の観点から、企業において政治資金の寄附の自由というものは認められているというような判断等を考えますときに、こうした政治活動の自由と、一方で、国民が民主主義の基本である政治資金についてしっかりと実態を承知する、透明性を高める、この二つのバランスの中でどうあるべきなのか、こういった議論であると考えております。

 それを、今回、従来より引き下げるということで、今申し上げた二つの課題に対するバランスのありようを考えたというのが今回の結論であったと承知をしております。

○塩川委員 自民党と日建連の癒着がまさに行政、政治をゆがめるということが問われているときに、こういった、今回の、四回あれば二十万円を超えると同じじゃないかということについてのお答えはなかった、否定をされませんでした。何の規制にもなっていないということも申し上げておきます。

 この仕組みの施行期日は二〇二七年の一月一日で、それまでは先送りであります。それまでは公開基準二十万円超が続くことになります。その間にあるのが総選挙であり、参議院選挙であります。

 今回の裏金問題では、二〇二二年の参議院選挙改選組の議員に対して、安倍派においてノルマなしの全額キックバックが行われていたことが明らかになりました。選挙の裏金だったのではないのかということが問われているわけであります。

 同じく、二〇二二年の参議院選挙前に、岸田派の国交省OBである足立敏之参議院議員が政治資金パーティーを行い、その際に、日建連に対して三千万円分のパー券購入依頼を行い、各社に百万円以上割り振ったと、これもしんぶん赤旗日曜版が報道しているところであります。

 日建連に対して選挙前にパーティー券を割り振ったように、目前に迫った総選挙や参議院選挙で、従来どおり、企業、団体から、二十万円超、公開基準でパーティー収入を受け取れるようにする、施行期日の、実施の先送りというのがまさにそのことを示す、まさに国政選挙を前にして、政治資金パーティーにおいて企業、団体からのお金を受け取る、こういう仕組みを続ける、このことが大本にあるんじゃありませんか。

○岸田内閣総理大臣 まず、委員が今紹介された具体的な事例につきましては、私は、実態を承知しておりませんし、それについて申し上げる材料は持ち合わせておりませんが、今回の法改正の議論の中で、内容によってこの法律の施行期日等を検討した、こういったことについては、それぞれの内容において、それぞれの国会議員が、それぞれの政党が、様々な準備を行わなければいけない、こういった実態に即して、それぞれの施行期日について議論を行い、確定したものであると承知をしております。

○塩川委員 総選挙、参議院選挙前は今の仕組みでやれるという点では、従来どおりの企業、団体からのお金集めのパーティーとなっていくということは明らかであります。

 この法案は、企業・団体献金に全く手をつけておりません。企業・団体献金を聖域にする法案であります。企業、団体による政治資金パーティー券購入を含む企業・団体献金は、賄賂性を持ち、政治をゆがめるものであり、国民の参政権を侵害するものです。企業・団体献金は禁止しかありません。

 最後に、政策活動費についてお尋ねをいたします。

 岸田総理は、法律に基づいて政策活動費というものが認められているということを三月二日の予算委員会で答弁をしておりますが、自民党案の提出者は、政策活動費については現行法令上の定めがないと答えております。食い違っておりますが、これはどういうことなんでしょうか。

○岸田内閣総理大臣 今委員がまさに発言されたように、政治資金規正法上認められるということと、規定されている、これは別物であります。

 法律上、これは、そうした政治活動費というものが認められるということを私は申し上げました。そして今回は、この法律の中において、政策活動費について、これを法定化する、規定を設けるということであります。この違いが、まさに今御指摘の発言の違いであると認識をしております。

○塩川委員 元々規正法は、国民の前に収支の実態を明らかにするということなんですよ。それが不透明なままというのは、そもそも政策活動費というのは、政治資金規正法上、脱法的なやり方だということを認めるということであります。こういった形でこれを合法化するような今回の法案は認めることができません。

 我が党と立憲、国民、有志の会は、政策活動費廃止の法案を出しております。公明党は政策活動費を使っていないと言っておられます。政策活動費に固執しているのは自民党と維新だけであって、政策活動費の制度設計について、しがみついている自民と維新が相談して決めるのでは、国民は納得はしません。

 政策活動費は廃止すべきだ。こんな法案に公明党も加担をしているということも許されないことであって、抜本的な対策としての企業・団体献金の禁止、政策活動費の廃止、強く求めて質問を終わります。

【政治改革特別委員会】政策活動費を合法化、温存する自民党案

 私は、自民党の政治資金規正法改正案について、規正法の趣旨に反する脱法的な「政策活動費」を合法化し、温存するものだと追及しました。

 私は、政策活動費について、岸田総理が、3月の衆院予算委員会で「法律に基づいて認められている」と新たな解釈を持ち出したことを指摘。一方、自民党提案者は「現行法令上の定めがない」と答弁しており、食い違いをただすと、岸田総理は「法で認められていることと、規定されることは別物。今回の法案で法定化する」と答えました。

 まさに、政治活動費が脱法行為であることを認める答弁であり、岸田総理の答弁を合わせるために「脱法的な政策活動費を合法化するための法案だ」と厳しく批判しました。

 さらに、「政策活動費のすべての支出に、領収書などの保存・提出・公開を義務付けるのか」と追及。

 自民党の鈴木馨介議員は「様々な考慮が必要なこともあり、今後各党間での協議を行う」と述べるだけ。

 私は「裏金を合理化する口実ともなった政策活動費は廃止しかない」と迫りました。

 また、自民党案の政治資金監査の強化に関し、この間の事件をみても、現行の監査制度が意味をなさないことを露呈していると指摘。

 私は「政治資金は、公開して国民の不断の監視と批判の下におき、国民の判断に委ねることが基本だ。真相究明も行わず、第三者機関に政治資金の監査のルール作りまで丸投げすることは許されない」と批判しました。


規正法改定案/政策活動費を合法化/衆院特別委/塩川氏が追及

「しんぶん赤旗」6月7日・2面より

 私は5日の衆院政治改革特別委員会で、自民党の政治資金規正法改定案は同法の趣旨に反する脱法的な「政策活動費」を合法化し、温存するものだと追及しました。

 私は、岸田文雄首相が3月の衆院予算委で政策活動費は「法律に基づいて認められている」との新たな解釈を持ち出していたと指摘。一方、自民案の提出者は「現行法令上の定めがない」と答弁しているとして「食い違っている」とただしました。

 岸田首相は「法で認められていることと、規定されることは別物。今回の法案で法定化する」と答えました。

 私は、政策活動費が脱法行為だと認める答弁だとして、岸田首相の発言に合わせるために脱法的な政策活動費を合法化するものだと厳しく批判しました。

 さらに「政策活動費の全ての支出について領収書などの保存、提出、公開を義務付けるのか」と追及。自民党の鈴木馨祐議員は「さまざまな考慮が必要なこともあり今後各党間での協議を行う」と述べるだけ。私は「裏金を合理化する口実ともなった政策活動費は廃止しかない」と迫りました。

 また、自民案の政治資金監査の強化にかんし、この間の事件でも現行の監査制度が意味をなさないことが露呈していると指摘。「政治資金は、公開して国民の不断の監視と批判のもとに置き、国民の判断にゆだねることが基本だ。真相究明も行わず、第三者機関に政治資金の監査のルールづくりまで丸投げすることは許されない」と批判しました。


「議事録」

第213回通常国会 令和6年6月5日(水曜日) 政治改革に関する特別委員会 第8号

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 質問いたします。

 最初は自民党案の提出者にお尋ねしますけれども、今回、修正案を撤回して再修正案を出されたということですが、昨日の十一時二十分の理事会のときに、その再修正案についてのいわば未定稿のものが出された。それに基づいて質問通告をしたわけですけれども、質問準備をしている中で、夕方に届いた最終版を見ると、大きな変更があるわけですよ。

 昨日の理事会のときには、ハネの部分が若干残りますということを言っていたのが、ハネどころじゃないという点では、この再修正案の未定稿と最終版に幾つもあった変更点、これについて簡単に説明してもらえますか。

○鈴木(馨)委員 今回の再修正案につきましては、基本的には五十万円のところを削るということ、そして、そういったことを中心といたしまして、その実質的な機能といたしましては、まさにハネ、あるいは関連する改正というところが未定稿との違いというふうに承知しております。

○塩川委員 今日の朝の理事会で法制局から説明がありましたけれども、十三条の二の第三項、第四項は、元々は未定稿段階の準用というものを適用の読替規定に変更するという、いわば手続についての重要な変更が行われているわけですよ。ハネじゃないんですよ。

 それと、附則の第十四条のところには、元々未定稿には同項の報告書とあって、同項がどこなのかが書いていないんですよ。全くの間違いなんです。こういう間違った未定稿で質問をしろということ自身がおかしいんじゃないでしょうか。

 これは法制局の、事務方の責任じゃありません。岸田総理が、やはり今国会で何としても成立させるんだ、こんなことで、採決先にありきの拙速な作業をし、そして拙速な審議を行ってきた。余りにもひどい。これでまともな議論ができるはずはない。だから、今日の採決日程なんかはとんでもないということをまず最初に申し上げておくものであります。

 そこで、政策活動費についてお尋ねをいたします。

 規正法の九条一項二号においては、会計帳簿の記載の規定が置かれております。全ての支出、当該政治団体のためにその代表者又は会計責任者と意思を通じてされた支出を含む、並びに支出を受けた者の氏名及び住所並びにその支出の目的、金額及び年月日を会計帳簿に記載しなければならないとしております。つまり、渡し切りを含め、会計帳簿に必要事項を記載しなければならないと規定しております。

 自民党案の提出者は、政策活動費については現行の法令上の定義が定められていないと答弁をしております。そうなると、政策活動費の現在の自民党のような支出の在り方というのは、規正法の趣旨にそもそも反しているのではないのか。この点、お答えください。

○勝目委員 お答え申し上げます。

 先日来御説明させていただいておりますとおり、我が党におきます政策活動費でありますけれども、党勢拡大、政策立案、そして調査研究という三つの目的で、党に代わって、役職者の職責に応じて支給をされている、党から議員個人に対する支出として行われているということでありまして、また、当該支出をしているということについては、これは収支報告書にも計上、記載をしているところであります。

 そして、今回の政治資金規正法の改正、これは本則の十三条の二の方の改正におきまして、それについて、また項目ごとに、かつ年月を記載するという形で透明性の向上を図っているということであります。

 あわせまして、このような経費が必要だという理由でありますけれども、これも先日来御説明をさせていただいておりますとおり、受け手のプライバシー、営業の秘密、あるいは我が党の方向性が外国勢力に見られたらいけないという、そういったもろもろの観点を鑑みましてこのような経費を必要としているということでありますけれども、透明性の向上、これが必要だということに鑑みて、今回の改正を御提案させていただいているところであります。

○塩川委員 規正法に反する脱法的な政策活動費について、これを合法化しようというのが今回の法案だ。若干、備考欄に項目とか金額とか年月を書くとしても、それ以上のものはないわけですよ。これでどうして、規正法の趣旨に立った、国民の前に公開を図っていく、こういったことにかなうのか。全く中身が伴っていないということを言わざるを得ません。

 再修正案では、第十三条の二第三項に、政党から国会議員及び国政候補者への五万円未満の支出に関する記載事項の追加が規定をされています。

 収支報告書は、全ての支出について、五万円以上のものは支出先の氏名、住所、支出の目的、金額、年月日を記載することになっておりますが、この改正では、適用除外だった五万円未満についても、政党から国会議員等への同様の記載をするというものであります。

 しかしながら、お尋ねしますが、自民党においては、自民党の言う政策活動費について、五万円未満の支出は実際にはこれまでなかったので、五万円未満の支出の記載を求められても、自民党にとっては新たに記載するものというのは何もないということになるんじゃないですか。

○鈴木(馨)委員 私どもとしては、これまで様々な支出におきまして適切な対応を、これは党内のガバナンスも含めて、行ってきたところであります。

 五万円以下ということで今言及がありましたが、例えば、これは我々も精査しなきゃ分かりませんが、恐らく、いわゆる遊説旅費等のところではそういった支出もあった可能性がありますので、そういったものについては新たに対象となるという理解であります。

○塩川委員 政策活動費についてはどうですか。

○鈴木(馨)委員 これはこの委員会でもずっと申し上げておりますが、我が党においては、これまで、政策活動費ということでいえば、その規模の支出はありません。

 そういったことでいうと、我々としては、当初五十万円ということで、なぜそこで切ったかというと、これはあり得ないからということでありましたが、この度、様々な御指摘をいただいて、そこの修正をしたところであります。

 そういったことでいうと、御指摘の五万円以下ということが政策活動費としてこれまであったかということは、なかったと思いますし、今後あり得るかというと、そういったことも想定はされないということであります。

○塩川委員 今問題となっている政策活動費について、二〇二二年の自民党の収支報告書を見ても、五万円未満の支出はありません。最も少ない支出は百五十万円ですから、この再修正で五万円未満について新たに収支報告書に記載するようになっても、自民党にとって、政策活動費については何の変更もない、痛くもかゆくもないというのが今回の再修正の中身だと言わなければなりません。

 続いて、附則の第十四条についてお尋ねをいたします。

 政策活動費の支出の上限金額については、上限の目安もないんでしょうか。政党ごとに上限額も変更されるということもあるということなんでしょうか。

○鈴木(馨)委員 これもこれまで委員会で御答弁申し上げておりますが、今後、各党の間での協議ということになりますが、当然、それは各党においても、活動の規模であったり、そういったものが異なるということも考えていく必要があるとは思います。その上で、各党の中でそういった議論を進めた結果として、適切な検討がされることを期待しております。

○塩川委員 適切な検討ということで、何も決まったものはない。結局、政策活動費を必要としている自民党と維新が二人で相談して決めるということでしかないということを言わざるを得ません。

 再修正案では、「支出の状況に係る領収書、明細書等の公開(そのための保存及び提出を含む。)」とありますが、この公開については、収支報告書とは別の仕組みでの公開ということになるんでしょうか。

○勝目委員 お答え申し上げます。

 この附則十四条に記載をされているとおりでございまして、まさに「政治活動に関連してした支出の状況に係る領収書、明細書等の公開(そのための保存及び提出を含む。)をする」ということであります。その具体的な内容については、早期に検討が加えられ、結論を得るということになっておりますので、まさにそのとおりだということでございます。

○塩川委員 何も決まったものがないということでいうと、政策活動費の使用状況の公開、収支報告書に新たに記載をする、そういうことも明らかではないということになります。どんな別な仕組みができるのか、そういうことにもなるのかということも、現時点では分からないということであります。

 公開については、十年後は誰が公開するんですか。

○勝目委員 お答えを申し上げます。

 公開の具体的な内容については、早期に検討が加えられ、結論を得るものとするというのが附則十四条の規定でございます。

 今後、プライバシー等の保護の観点も含めて、早期に検討が加えられまして、その中で結論を得るということになるものと承知しております。

○塩川委員 だから、総務省、都道府県選管でないかもしれない。政党の公開だといった場合には、十年後になくなっている政党もたくさんあるわけですよ。まさに闇の中に葬られるというのがこの仕組みということになるんじゃないでしょうか。

 政策活動費の支出の全てについて領収書等の保存、提出、公開を義務づけることになるのか。政策活動費の支出の全てについて義務づけということになるんですか。

○鈴木(馨)委員 原則的にはそういった方向になると思います。

 その上で、もちろん、ただ一方で、プライバシーであったり、様々な考慮が必要なこともありますので、そういった点について適切な形をつくれるように、今後、各党間での協議を行っていきたいと思います。

○塩川委員 様々な考慮という点でいえば、まさにそこが抜け道になるということも言えるわけであります。墨塗りの話も今回の委員会の質疑でも行われてきているところであります。

 領収書等の公開の担保もありません。制度設計が全く不透明で、領収書の全面公開が行われるという保証はどこにもありません。政策活動費を合法化し、温存するものでしかない。裏金を合理化する口実ともなった政策活動費は廃止しかないということを申し上げておきます。

 最後に、自民党案は政治資金監査の強化を掲げておりますが、現行の政治資金監査制度がそもそも有効に機能していると言えるのか、このことが問われております。

 一昨年、政治資金制度を所管する寺田稔総務大臣の政治資金規正法違反の疑惑が大問題となりました。例えば、寺田氏の後援会が亡くなっている方をそのまま会計責任者にしていても、監査では問題なしとなっていた。また、領収書の宛名の追加記載疑惑があっても、法律上は問題はないと強弁をした。さらには、適正化委員会のQアンドAで望ましくないとしている、顧問税理士が関係五団体全ての監査人であることを指摘されても、好ましいかどうかはケース・バイ・ケースと、寺田大臣は開き直りの答弁でありました。

 こんなでたらめな実態で、政治資金監査制度が有効に機能していると言えるんですか。

○小倉議員 今回の外部監査の拡充というのは、これまで対象ではなかった収入面での外部監査を導入すること、そして、国会議員関係政治団体とみなされなかった政策研究団体についても、これを対象とすることで、外部監査を拡充いたしております。

 それと同時に、不記載や虚偽記入を防ぐためには、外部監査だけではなくて、そもそも、会計責任者と政治団体の代表者、これのコンプライアンスの向上が重要だと思っております。その点、我が党の案につきましては、代表者がしっかり会計責任者から話を聞いて、そして、その上で確認書を交付するという制度もございますし、それ以前も、定時、随時の確認を政治団体の代表者自身がするということでございますので、そういったことを組み合わせて、より虚偽記入や不記載を防ぐことにつながるもの、そういうふうに認識しております。

○塩川委員 現行の政治資金監査制度が有効に機能しているという点でのお話はありませんでした。

 そもそも、裏金問題でも監査制度が役割を果たしていなかった。ほかにも、不明朗支出や白紙領収書問題、河井夫妻が有罪となった巨額選挙買収事件などが相次ぎ、この制度が意味を成さないということを露呈しております。

 問題のある監査で個別に指導助言を受けた監査人は、過去八年間で二百七十六人にも上ります。制度上の逸脱のあった報告書の件数は三百七十件に上ります。政治資金監査制度は実務上も破綻していると言わなければなりません。結局、監査人のチェックを受けたというお墨つきを得ようとするだけの仕組みでしかない。

 政治資金は、政治団体がその収支を公開し、国民の不断の監視と批判の下に置き、国民の判断に委ねることが基本であります。収支はそのまま速やかに公表すればいいのであって、政治資金監査制度は必要がありません。

 真相究明も行わず、第三者機関に政治資金の監査のルール作りまで丸投げすることは許されない。要旨の削除などはとんでもない。このことを申し上げて、質問を終わります。

【「しんぶん赤旗」掲載】追いつめられる自民/ 規正法改定で公明・維新「助け舟」

「しんぶん赤旗」6月5日・3面より

 自民党の裏金事件を受けた政治資金規正法の改定をめぐって、自民党が厳しい批判を受け追い込まれています。自民党は同法改定案を出したものの、公明・維新との合意を受けた修正案をめぐって二転三転。4日に予定していた衆院政治改革特別委員会の採決も、直前に見送らざるを得なくなるなど迷走しています。

企業献金「公開」にすり替え

 裏金事件の真相解明に背を向けてきた自民党が最初に提示した改定案は「政治改革の名に値しないもの」(5月10日、日本共産党の山添拓政策委員長)でした。金権腐敗政治の温床である企業・団体献金の全面禁止にも、「ブラックボックス」と批判されている政策活動費の廃止にも触れておらず、世論調査でも約7割が「評価しない」と回答。今国会での自民案の成立は完全に暗礁に乗り上げていました。

 この事態を受けて、自民党に「助け舟」をだしたのが公明党です。公明党はパーティー券の購入金額の公開基準の引き下げを言いますが、詳細は先送りすることで自民案に大筋合意を表明(5月9日)。「同じ穴のむじな」だとの批判が殺到すると、突然、「そのまま賛同できない」(同30日、山口那津男代表)と主張し始めました。

 しかし、公明党が問題視したのは政治資金パーティー券購入者の公開基準を自民案の「10万円超」から「5万円超」に下げろというだけでした。事実上の企業・団体献金である企業のパー券購入の存続をはかるもの。企業・団体献金の“抜け穴”を放置したまま「公開基準」に論点をすり替えることで自民党を支えた格好です。

 さらに、自民党の「助け舟」になったのが日本維新の会です。

 維新は自民案について「絶望的にお粗末な案」(5月23日、青柳仁士議員)と酷評し、「サイドメニューばかり」「メインディッシュは企業・団体献金だ」と主張。ところが、修正案では企業・団体献金の禁止にまったく触れておらず、腰砕けです。

 また、維新は日本共産党や立憲民主党、国民民主党とともに(1)企業・団体献金を禁止する(2)政策活動費を廃止する(3)会計責任者と同等の責任を政治家に負わせる―3点を求めることで一致していました。ところが、修正では企業・団体献金の禁止はおろか、政策活動費の廃止も、政治家の責任への言及もありません。

 維新は「100%わが党の考え方が通った」(5月31日、馬場伸幸代表)「自信をもって賛成したい」(6月4日、遠藤敬国対委員長)と述べますが、結局、苦境の自民党を助けるだけです。

 肝心の企業・団体献金の禁止にはまったく触れず、政策活動費の存続を前提にした修正では、国民の求める根本的な解決にはなりません。悪法をゴリ押しする自民、公明、維新の一体ぶりは明らかです。

政策活動費 抜け穴だらけ

 自民案は、政党の「機密費」ともいうべき政策活動費を廃止どころか合法化するものです。自民と維新が合意した修正案に盛り込まれた「政策活動費の10年後の公開」も具体的な内容が何も定まっていないことが発覚。「ブラックボックス」を温存する抜け穴だらけの改悪案です。

 政策活動費とは規正法に規定されたものではなく、政党が党幹部などに渡す“つかみ金”です。自民案では政策活動費を「政党から個人への支出」と規定。これまで法令上の定めがなかった政策活動費を初めて法定化し、事実上“合法化”しています。

 政策活動費が党幹部など議員個人に渡った後、どう使われるかは「ブラックボックス」となっていますが、政党からの支出は政治家を経由せずに行い、政治資金収支報告書に支出の項目や金額を記載すれば透明化は図れます。自民案はこれに逆行し、政治家経由の「迂回(うかい)支出」を容認するものになっています。

 自民案は維新の要求を反映させ、政策活動費は、収支報告書の公表から10年後に領収書など「支出の状況」を公開するとしています。一方で、制度の具体的な内容は「早期に検討し、結論を得る」と曖昧で、領収書の公開方法や年間支出の上限金額も未定のままです。

 そもそも、政治資金の流れを公開する意味は直ちにチェックを受けるためにあるはずです。また、収支報告書の保存期間は3年、虚偽記載や不記載の罪に問われる公訴時効は5年であり、10年後の公開にどれほどの意味があるのかも不明です。

 3日の衆院政治改革特別委員会では、私が「(10年後の公開時に)領収書、明細書を付けないこともあり得るのか」とただすと、自民案提出者の鈴木馨祐議員は「運用については各党間の協議による」と否定せず。立憲民主党の山岸一生議員は「領収書の黒塗りを認めることはあり得るのか」と質問しましたが、鈴木氏は「プライバシーや営業秘密とのバランスは考慮されないといけない」と含みを持たせました。

 上限金額については、私が、維新の提示した「政党交付金の1%または5千万円の少ない額」などが自民案には入っていないと指摘。鈴木氏は「政党によって活動規模がまちまち」などと政党によって上限金額が異なる可能性も示しました。

透明性の向上どころか後退

 しかも、自民案は「透明性の向上」どころか、収支の公開をさらに後退させる重大な改悪を含んでいます。

 自民案は、官報や都道府県公報への政治資金収支報告書の要旨の作成・公表義務を削除しています。要旨には、寄付者の氏名や寄付額、項目ごとの収入額や支出額など収支報告書の根幹部分が記載されています。

 インターネットなどで公開される収支報告書そのものは3年で見られなくなるため、要旨を削除すれば過去にさかのぼっての確認ができなくなってしまいます。

 私は、3日の委員会で「透明性の向上どころか後退だ」と迫りましたが、自民党の本田太郎衆院議員は「(行政の)業務負担の増加につながる」などと強弁するだけ。「業務量」を理由に、「政治資金を国民の不断の監視と批判の下に置く」という規正法の趣旨に反する改悪を行うことは許されません。

 また、政治資金に関する独立性が確保された機関の設置についても、政治資金の「透明性の向上」からかけ離れたものになっています。第三者機関の設置について自民案は付則で「必要な措置が講ぜられる」と規定。しかし、その具体的内容は全て検討課題です。

 3日の委員会でも自民党の鈴木氏は「第三者機関の組織あるいは権限の内容はこれから議論される」と述べるだけ。検討の結果、実際に設置されるのかもわかりません。

 裏金づくりを反省するどころか、暴露されないよう、透明性を後退させる法改悪を行う―。私は自民案について「国民による政治資金の監視を妨げる法案だ」と厳しく批判しました。


「議事録」

 

【政治改革特別委員会】今日の採決見送り、明日5日に質疑採決

 政治改革特別委員会の理事会で、今日開催が決まっていた岸田総理出席の質疑と採決を見送ることを決めました。

 自民党が政治資金規制法改正案をめぐり、前日3日に提出した修正案を取り下げ、改めて修正案を提出する方針を示したことを受けたものです。

 理事会で、自民党は維新の会との協議をふまえた修正案を出し直すため、今日の質疑・採決を取り止めると述べ、謝罪しました。

 これを受け、今日の政治改革特別委員会は開かれずに流会となりました。

 その後、再び開かれた理事会で、自民党は「政策活動費」を温存することに変わりない再修正案の案文を提示。

 明日5日、再修正案を提出し、午前の質疑と午後の岸田総理出席の質疑を行ったうえでの採決を主張しました。

 再修正案の具体的な内容も示さないまま、質疑と採決を提案することに対し、私は、「拙速な委員会運営に抗議する」と述べ、「そもそも肝心の企業・団体献金禁止が入っていない。さらなる質疑を行うべきであり、採決日程には反対だ」と強調しました。

 自民の採決提案に、立憲民主党が了承し、維新の会と公明党が「同様」と述べ、5日の質疑と採決を決めました。


衆院政治改革特委見送り理事会 きょうにも採決狙う

「しんぶん赤旗」6月5日・2面より

 衆院政治改革特別委員会は4日、理事会を開き、同日開催が決定していた岸田文雄首相出席の質疑と採決を見送ることを決めました。自民党が政治資金規正法改定案をめぐり、前日に提出した修正案を取り下げ、改めて提出する方針を示したことを受けたものです。

 自民党は理事会で、日本維新の会との協議を踏まえた修正案を出し直すため、4日の委員会質疑を取りやめると述べて謝罪。これを受け、同日の委員会は流会となりました。

 その後、再び開かれた理事会で、自民党は「政策活動費」を温存することに変わりない再修正案の案文を提示。5日、再修正案を提出し、午前の質疑と午後の岸田首相出席の質疑を行ったうえでの採決を主張しました。

 再修正案の具体的内容も示さないまま質疑と採決を提案することに対し、私は「拙速な委員会運営に抗議する。徹底審議が必要だ」「そもそも肝心の企業・団体献金禁止が入っていない。さらなる質疑を行うべきであり、採決には反対だ」と述べました。

 自民の採決提案に立憲民主党が了承し、維新と公明党も「同様」とし、5日の質疑と採決を決めました。

【政治改革特別委員会】規正法改定・自民案/公開が後退/国民の監視を妨害

 私は、自民党の政治資金規正法改定案に収支の公開を後退させる内容が含まれているとして、国民の監視を妨害するものだと追及しました。

 自民案では、官報や都道府県の公報への政治資金収支報告書の要旨の作成義務を削除しています。要旨は、寄付者の氏名や寄付額、項目ごとの収入・支出額など収支報告書の根幹部分を記載したものです。

 私は、収支報告書そのものは3年で見られなくなるとして「(要旨の作成義務がなくなれば)過去にさかのぼって収入・支出額、寄付者名などを確認できなくなる」と指摘。「透明性の向上どころか後退だ」と迫りました。

 自民党の本田太郎衆院議員は、要旨作成は「(行政の)業務負担の増加につながる」などと強弁。

 私は、事務作業量の問題ではないとして、「政治資金を国民の不断の監視と批判の下に置く」という規正法の趣旨に照らし、明確な後退だと批判しました。「要旨作成義務規定を取り去れば政治資金の動きは全く分からなくなる」として、削除をやめるよう要求。過去の不祥事をもみ消し、裏金を暴露させないためのものだと批判し、「収支報告書を公的に、永久に残すことこそ必要だ」と求めました。

 また、自民党案では、公開する収支報告書で、寄付者の住所を市区町村名までとすることを可能にします。私の質問に対し提案者の本田氏は、いつでもだれでも見られるネットでは住所が限定された報告書を公開するものの、総務省や都道府県選管では住所が限定されない報告書も閲覧の対象とし、情報公開請求の際も限定されない報告書を開示できると答弁しました。

 私はプライバシー保護を口実にした政治資金の情報開示の後退がないよう求めました。


自民案/収支公開が後退/衆院政治改革特委/塩川氏追及/国民の監視を妨害

「しんぶん赤旗」6月4日・2面より

 私は、自民党の政治資金規正法改定案に収支の公開を後退させる内容が含まれており、国民の監視を妨害するものだと追及しました。

 自民案は、官報や都道府県の公報への政治資金収支報告書・要旨の作成義務を削除しています。要旨は、寄付者の氏名や寄付額、項目ごとの収入・支出額など収支報告書の根幹部分を記載したものです。

 塩川氏は、収支報告書そのものは3年で見られなくなるとして「(要旨の作成義務がなくなれば)過去にさかのぼって収入・支出額、寄付者名などを確認できなくなる。透明性の向上どころか後退だ」と迫りました。

 自民党の本田太郎衆院議員は、要旨作成が「(行政の)業務負担の増加につながる」などと強弁。私は、事務作業量の問題ではないと述べ「政治資金を国民の不断の監視と批判の下に置く」という規正法の趣旨に照らし、明確な後退だと批判しました。

 私は「要旨作成義務規定を取り去れば政治資金の動きが全く分からなくなる」として、削除をやめるよう要求。過去の不祥事をもみ消し、裏金を暴露させないための改定だと述べ「収支報告書を公的に、永久に残すことこそ必要だ」と求めました。

 また、自民案では、公開する収支報告書の寄付者の住所を市区町村名までとすることを可能にします。私の質問に対し自民党の本田氏は、いつでも誰でも見られるネットでは住所が限定された報告書を公開するものの、総務省や都道府県選管では住所が限定されない報告書も閲覧の対象とすると答弁。情報公開請求の対象にも住所を限定しない報告書を含むと答えました。私は、プライバシー保護を口実にした情報開示の後退がないよう求めました。


「議事録」

第213回通常国会 令和6年6月3日(月曜日) 政治改革に関する特別委員会 第7号

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 今の議論にあるように、全然審議を尽くされていないんですよ。それをあした採決するなんてとんでもない、あしたの本会議で緊急上程なんというのは断じて許されない、徹底した審議が必要だということをまず冒頭申し上げておきます。

 そこで、自民党の提出者にお尋ねいたします。

 最初に、政治資金収支報告書要旨の作成、公表義務の削除の件についてお尋ねをいたします。

 自民党案の提出者は、政治資金の透明性の向上を図ると繰り返し述べてまいりました。そこで、お聞きしますが、自民党案では官報又は都道府県の公報による政治資金収支報告書の要旨の公表義務を削除しております。収支報告書の要旨には、寄附者の氏名や寄附額を始め項目ごとの収入額や支出額など、収支報告書の根幹部分が記載をされております。収支報告書そのものは、総務省、都道府県選管での閲覧、インターネット公表されますが、三年たつと削除されて見られなくなってしまいます。過去に遡って収入額、支出額、寄附者名などを確認することができなくなる、これは透明性の向上どころか透明性の後退ではありませんか。

○本田議員 お答えいたします。

 改正案では、収支報告書に関するデジタル化を進展させ、国会議員関係政治団体のオンライン提出の義務化や、収支報告書のインターネット公表の義務化などを盛り込んでおります。

 また、委員御案内のとおりだと思いますけれども、現行法においては収支報告書をインターネットで公表する場合には収支報告書の要旨を公表する必要がないと定められており、この規定に基づき、現在、四十七都道府県中三十八道府県において収支報告書の要旨が廃止されている、そういう現状にございます。

 インターネットで公表された収支報告書は誰でも保存することができるにもかかわらず、要旨の公表を復活させることは、むしろこれらの都道府県における業務負担の増加につながると考えております。

 以上の観点から、収支報告書の要旨の公表を廃止したというところでございます。

○塩川委員 規正法というのは、国民の監視と批判の下に置く、政治資金を明らかにしていく、オープン、公開していく、その立場に立ったときに要旨の削除というのはまさに後退じゃありませんか。事務作業量の話じゃないんですよ。国民に対してやはりしっかりとした規正法に基づく情報の公開を行っていくということこそ必要で、これは明確な後退だと言わざるを得ません。

 要旨を使って三年より前の収支報告書が確認できたことで、自民党派閥への企業・団体献金禁止の法改正があった一九九九年に自民党派閥の政治資金パーティー収入が前年より三・六倍に増えたことが明らかになったわけであります。企業・団体献金が形を変えて政治資金パーティーになったことを浮き彫りにできたのも、収支報告書の要旨があったからこそであります。

 それを、二〇〇七年の法改定で収支報告書のネット公表を行っていれば要旨を作成、公表しなくてもよいとなった。これが問題で、今答弁があったように、実際、要旨作成、公表を取りやめた都道府県選管は三十八道府県に上るわけであります。

 要旨公表義務規定を取り去れば、政治資金の動きは全く分からなくなります。政治資金の透明性の向上どころか、収支報告書の公開の制度の重大な後退であります。要旨公表義務規定の削除はやめるべきではありませんか。

○本田議員 お答えいたします。

 要旨の削除をやめるべきではないかという御指摘、理解するところもあるんですけれども、現状において、現行法において収支報告書をインターネットで公表する場合には収支報告書の要旨を公表する必要がないと既に定められているところでございます。

○塩川委員 それが間違いなんですよ。そういうことをやったから後退になっているわけで、先ほども言ったように、政治資金を国民の監視と批判の下に置く、こういう規正法の趣旨に全く逆行するものであります。過去の不祥事をもみ消したいという発想じゃないでしょうか。

 このような、裏金を暴露されたくないというものであって、国民による政治資金の監視を妨げる法案と言わざるを得ません。政治資金収支報告書は公的に永久に残すことこそ必要であり、要旨公表義務規定の削除は撤回をすべきだと重ねて申し上げておくものであります。

 次に、寄附者の住所記載の変更についてお尋ねをいたします。

 附則の第五条第四項において寄附者の住所について市区町村名までとする収支報告書、住所限定報告書の提出を可能とする法改正を行うものとなっております。お尋ねしますが、このようになった場合に、総務省や都道府県選管における収支報告書の閲覧については、マスキングなどの加工をしていない収支報告書そのものは閲覧できるんでしょうか。

○本田議員 お答えいたします。

 委員御指摘の附則第五条第四項は、収支報告書とともに個人寄附者等の住所の一部を記載していない収支報告書を併せて提出した場合には、個人寄附者等の個人情報やプライバシーに配慮をして、インターネットによる公表に際しては住所が限定された報告書が公表されるということにしております。

 その上で、総務省や都道府県選管での収支報告書の閲覧については、インターネットのように時間、場所を選ばず直ちに閲覧できるような環境にはないため、従前どおり、住所が限定されない収支報告書についても閲覧の対象としております。

 また、総務大臣、都道府県選管は、住所が限定された報告書だけでなく、従来の収支報告書についても保存が義務づけられているため、情報公開法等に基づく情報公開の対象となると考えております。

○塩川委員 確認ですけれども、情報公開請求については先ほど聞いていなかったものですから、情報公開請求についてもマスキングなどの加工をしていない収支報告書そのものの開示ができるということでよろしいですか。

○本田議員 はい、開示の対象になると考えております。

○塩川委員 この点、確認をいたしました。

 そもそも、総務省、都道府県選管においてしっかりと収支報告書そのものを閲覧できるようにすること、情報開示請求についても収支報告書そのものの開示を行う、このことは当然維持されるべきであって、プライバシー保護を口実にしたような政治資金の情報開示の後退は許されないということを申し上げておくものであります。

 そこで、政策活動費についてお尋ねをいたします。

 政党から政策活動費と称して政治家個人に支出された巨額の資金は、支出内容が全く不明瞭であり、収支を全て明らかにするという政治資金規正法の趣旨に反するものであります。

 この政策活動費というのは規正法においてはどのように規定をされているのか、その根拠は何かについてお尋ねいたします。

○鈴木(馨)議員 従来の政治資金規正法の中においては、政策活動費という、その言葉自体の定義ということはございません。

 今回、そういった中でいろいろな議論が、様々な議論が行われている中で、今回の改正後ということで申し上げれば、第十三条の二の第一項におきまして、政党に所属している衆議院議員又は参議院議員に係る公職の候補者は、当該政党からの支出、それが、一件当たりの金額、数回にわたってされたときはその合計金額としておりますが、五十万円を超えるものに限るものとし、別途人件費あるいは光熱水費その他の総務省令で定める経費の支出を除くというものでありますが、要は支出で金銭によるものを受けたときということで定義してございます。

○塩川委員 政策活動費については現行法令上の定めがないということで、今回、政策活動費を初めて法定化するものということであります。

 政策活動費をいわば合法化する規定ということでは、政党からの支出というのは、本来、政治家を経由せずに行って収支報告書に支出の項目や金額を書けばよいものであって、政治家経由の支払いは迂回献金ならぬ迂回支出と言わざるを得ない、このことは認められないということを申し上げておきます。

 そこで、いわゆる政策活動費の使途公開に関して修正前の自民党案において、政策活動費について、収支報告書を見ると、茂木幹事長に三千万円とか出てくるわけですね。使途公開の記載の仕方なんですけれども、例えば茂木幹事長への三千万円の支出を記載した収支報告書において、どんなふうに記載をすることになるのか。備考欄のところに、組織活動費とか選挙活動費とか調査研究費とか、そういった支出項目の範囲で金額と年月を記載するということですか。

○鈴木(馨)委員 今の御質問についてでありますが、同じ改正法の第十三条の二第一項の後段ということになりますが、今おっしゃられた支出につきましては、当該支出に係る同号の総務省令で定める項目別の金額及び年月を通知するということとしております。

 通知に基づいて記載をするということですから、要すれば、政治資金報告書の当該部分の基本的には備考欄において、支出がされた年月と項目、総務省令上、政治資金という世界においては支出項目というものが列挙限定されていますので、それぞれについて幾らあったのかということを記載するということを想定しております。

○塩川委員 規正法の省令で政治活動費については六項目ぐらい項がありますけれども、その範囲ということで、支出項目であって、支出の目的というのは入らないわけですよね。

○鈴木(馨)委員 項目ということでのここでの記載ということであります。

 趣旨としては、法令上どこまでできるのかというところ、今の現行法の中でかなりそこは我々としても工夫をしたところでありますけれども、なかなかそこは限界があるというところで項目ということとして、虚偽があれば当然そこは法令違反ということになりますので、そこは会計責任者に対しても責任が追及されるという状況になります。

 その上で、今、改正の修正案においても、第三者機関であったり、あるいは十年後ということでそこを更に補完していく、そういったことで考えてございます。

○塩川委員 我が党は、第三者機関じゃなくて、国民そのものにきちっと公表する、国民はやはり監視、批判、判断を行っていく、それを保障するという点で、先ほどの要旨の削除なんかはとんでもないということでもありますし。

 今のお話でも、支出項目はあるけれども、支出の目的がない。同様に言えば、年月日の日は入れないですとか、あるいは支出を受けた者の氏名や住所は入らないだとか、そういった点で、まさに現行の政治資金収支報告書に基づく支出の記載項目から大きく後退をさせている、新たに政策活動費というのを法定化することによってこういった支出の記載の在り方についてダブルスタンダードを作るというのが今回の法案の中身だということを言わざるを得ません。

 その上で、こういったものについて、自民党案というのは、大きなブラックボックスはそのままに、中に間仕切りを入れただけというのが実態という点で、ガラス張りにするという規正法の趣旨に反するものと言わなければなりません。

 あわせて、修正案において、年間の政策活動費の上限金額ですけれども、維新案にあった政党交付金の一%あるいは五千万円の小さい方といったことなどの配慮を含めてどうなるのか。今、現行、直近の政策活動費の支出については十四億円余りと承知をしておりますけれども、その十四億円以上というのも排除されないのか。上限についてお答えください。

○鈴木(馨)委員 上限についてでありますが、先ほどほかの答弁で申し上げましたが、今後、上限額をどうしていくのか、この制度設計につきましては、先ほど申し上げたように、政治活動の自由への配慮、あるいは政党によって活動規模がまちまちということもあります、その中で、適正な規模がどうなのか、各党の皆様方と早急に議論し、検討させていただいて、結論を得られるように努力してまいるということでございます。

○塩川委員 それは、政党によって上限金額が違うということもあり得るということなんですか。

○鈴木(馨)委員 そういったことについても今後各党間での検討を行い、結論を得るものと承知しております。

○塩川委員 要するに自民党と維新で話し合って決めるような枠組みですよ、ほかの党は政策活動費をなくすと言っているわけですから。そういった点でも、政策活動費の上限金額について全く定めがないという点でも、十四億円以上になるということも排除されないということについても否定をされませんでした。そういう点でも極めて重大だと言わなければなりません。

 次に、修正案による十年後の政策活動費の支出の公開についてですけれども、修正案の条文で、支出の状況(これに係る領収書、明細書等を含む。)を公開するとありますけれども、この支出の状況というのは何なんですか。

○鈴木(馨)委員 支出の状況というのは、いわゆる使用状況、ここについて、領収書あるいは明細書等も含めた使用状況についてという趣旨であります。

○塩川委員 使用状況というのはどんなふうに明らかにされていくものなんですか。

○鈴木(馨)委員 ここについては、我々の修正案においては、十年後にそういったものを、領収書、明細書等を含めた使用状況について公開するものとして、その制度の具体的な内容については早期に検討が加えられ結論を得るということとしております。

○塩川委員 支出の状況についての説明がないままなんですけれども。(これに係る領収書、明細書等を含む。)とあるんですけれども、領収書、明細書を含むですから、領収書、明細書がない場合もあり得るということをいう表現と受け止めてよろしいですか。

○鈴木(馨)委員 一般論として申し上げれば、当然そこは、領収書、明細書等も含めて使用状況を公開すると書いてございますものでありますけれども、ただ、公開対象となる事項等については、今後、政治資金の透明性の確保と、各政党の活動と関わりのある個人のプライバシーや企業、団体の営業秘密の保護等とのバランスを図りながら、そういった公開対象についても各党で議論をしていくということと認識しています。

○塩川委員 ですから、領収書、明細書をつけない場合もあり得るということを含む表現ということでよろしいですか。

○鈴木(馨)委員 基本的には、我が党において、これまでの運用によれば、政党としての様々な活動、党勢拡大であったり、あるいは調査研究であったり、政策立案であったり、そういったものを代わってすることができる責任と、そういった判断ができる者に対しての支出、これがいわゆる政策活動費ということになっております。

 今回においては、その者から先の支出について対象とするということになっております。そういった意味においては、領収書等、そこについては基本的にはそういったものも含まれるという認識でおります。

○塩川委員 含まれるけれども、ない場合もあるんでしょう。

○鈴木(馨)委員 実際にどのような運用をしていくのか、あるいはどのような形での対応をしていくのか、ここについては、先ほど来申し上げておりますけれども、後に、各党間での様々な協議によるものと承知しています。

○塩川委員 ない場合もあるということを否定されませんでした。これでは、何の公開なのかということを言わざるを得ません。

 十年間は情報公開請求をしても開示しないということになるんでしょうか。

○鈴木(馨)委員 制度の具体的な中身については、繰り返しになりますが、ここについては、具体的な内容についての早期の検討、各党間での議論、検討をしていく、その上で結論を得るということであります。

○石田委員長 時間が参っております。

○塩川委員 ええ。

 維新案では情報公開を行わないとしております。そういう点でも、本当に闇の中に置くということを言わざるを得ません。

 政策活動費についてはきっぱりと廃止をする。そもそも、企業・団体献金、何も言っていない。聖域とするような企業・団体献金、許されない、きっぱりと禁止する。そのことを求めて、質問を終わります。

【政治改革特別委員会】政策活動費・自民案/廃止どころか合法化

 自民党の裏金事件を受けた政治資金規正法改定案の審議が行われました。私は、自民党が当日提出した「修正案」は政策活動費を合法化するものだと批判し、廃止を求めました。
 
 私は「政党から政策活動費と称して政治家個人に支出された巨額の資金は、支出内容が全く不明瞭であり、収支をすべて明らかにするという規正法の趣旨に反するものだ」と指摘。自民党案は、現行法令上の定めがない政策活動費を「政党から個人への支出」として規定しており、「政策活動費を初めて法定化、合法化するものだ」と批判しました。
 
 私は、自民党案では、党幹事長などに多額の支出をしても収支報告書の備考欄に「組織活動費」「選挙活動費」「調査研究費」など大まかな項目ごとの支出金額・年月を記載するだけで、支出の目的は明らかにされないのかと質問。
 
 自民案提出者の鈴木馨祐議員が「(公開には)限界がある」と述べたのに対し、私は「現行の政治資金収支報告書に基づく支出の記載項目から大きく後退している。新たに政策活動費を法定化することで、支出の記載の在り方にダブルスタンダード(二重基準)をつくる内容だ」と批判しました。
 
 自民党が維新と合意した修正案では、政策活動費について、毎年の上限金額を設定し、10年後に「支出の状況」を公開する制度を検討するとしています。
 
 私は、「年間の上限金額はいくらか」「『支出の状況』とは何か」など制度の具体的な内容をただしましたが、鈴木氏は「各党と議論し、結論を得る」と繰り返し、答えませんでした。
 
 私は上限金額が大きく膨らむ可能性や、公開時に領収書と明細書がない場合があることを鈴木氏が否定しなかったと指摘。「政策活動費はきっぱりと廃止にすべきだ」と主張しました。
 
 理事会では、日本共産党が反対する中、与野党の理事が4日の採決を決めました。
 

政策活動費・自民案/廃止どころか合法化/衆院政治改革特委/塩川氏追及

「しんぶん赤旗」6月4日・1面より

 衆院政治改革特別委員会が3日開かれ、自民党の裏金事件を受けた政治資金規正法改定案の審議が行われました。私は、自民党が同日提出した「修正案」は政策活動費を合法化するものだと批判し、廃止を求めました。

 私は「政党から政策活動費と称して政治家個人に支出された巨額の資金は、支出内容が全く不明瞭で、収支を全て明らかにするという規正法の趣旨に反する」と指摘。自民党案は、現行法令上の定めがない政策活動費を「政党から個人への支出」として規定しており、「政策活動費を初めて法定化、合法化するものだ」と批判しました。

 私は自民案について、党幹事長などに多額の政策活動費を支出しても政治資金収支報告書の備考欄に「組織活動費」「選挙活動費」「調査研究費」など大まかな項目別に支出金額・年月を記載するだけで、支出の目的は明らかにされないのかと質問。自民案提出者の鈴木馨祐議員が「(公開には)限界がある」と述べたのに対し、私は「現行の収支報告書に基づく支出の記載項目から大きく後退している。新たに政策活動費を法定化することで支出の記載の在り方にダブルスタンダード(二重基準)をつくる内容だ」と批判しました。

 自民が維新と合意した修正案では、政策活動費について毎年の上限金額を設定し、10年後に「支出の状況」を公開する制度を検討するとしています。私は「年間の上限金額はいくらか」「『支出の状況』とは何か」など制度の具体的な内容をただしましたが、鈴木氏は「各党と議論し、結論を得る」と繰り返すのみ。私は、上限金額が大きく膨らむ可能性や、公開時に領収書と明細書がない場合があることを鈴木氏が否定しなかったと指摘し、「政策活動費はきっぱりと廃止にすべきだ」と主張しました。

 理事会では、日本共産党が反対する中、与野党の理事が4日の採決を決めました。

 

 
 


「議事録」

第213回通常国会 令和6年6月3日(月曜日) 政治改革に関する特別委員会 第7号

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 今の議論にあるように、全然審議を尽くされていないんですよ。それをあした採決するなんてとんでもない、あしたの本会議で緊急上程なんというのは断じて許されない、徹底した審議が必要だということをまず冒頭申し上げておきます。

 そこで、自民党の提出者にお尋ねいたします。

 最初に、政治資金収支報告書要旨の作成、公表義務の削除の件についてお尋ねをいたします。

 自民党案の提出者は、政治資金の透明性の向上を図ると繰り返し述べてまいりました。そこで、お聞きしますが、自民党案では官報又は都道府県の公報による政治資金収支報告書の要旨の公表義務を削除しております。収支報告書の要旨には、寄附者の氏名や寄附額を始め項目ごとの収入額や支出額など、収支報告書の根幹部分が記載をされております。収支報告書そのものは、総務省、都道府県選管での閲覧、インターネット公表されますが、三年たつと削除されて見られなくなってしまいます。過去に遡って収入額、支出額、寄附者名などを確認することができなくなる、これは透明性の向上どころか透明性の後退ではありませんか。

○本田議員 お答えいたします。

 改正案では、収支報告書に関するデジタル化を進展させ、国会議員関係政治団体のオンライン提出の義務化や、収支報告書のインターネット公表の義務化などを盛り込んでおります。

 また、委員御案内のとおりだと思いますけれども、現行法においては収支報告書をインターネットで公表する場合には収支報告書の要旨を公表する必要がないと定められており、この規定に基づき、現在、四十七都道府県中三十八道府県において収支報告書の要旨が廃止されている、そういう現状にございます。

 インターネットで公表された収支報告書は誰でも保存することができるにもかかわらず、要旨の公表を復活させることは、むしろこれらの都道府県における業務負担の増加につながると考えております。

 以上の観点から、収支報告書の要旨の公表を廃止したというところでございます。

○塩川委員 規正法というのは、国民の監視と批判の下に置く、政治資金を明らかにしていく、オープン、公開していく、その立場に立ったときに要旨の削除というのはまさに後退じゃありませんか。事務作業量の話じゃないんですよ。国民に対してやはりしっかりとした規正法に基づく情報の公開を行っていくということこそ必要で、これは明確な後退だと言わざるを得ません。

 要旨を使って三年より前の収支報告書が確認できたことで、自民党派閥への企業・団体献金禁止の法改正があった一九九九年に自民党派閥の政治資金パーティー収入が前年より三・六倍に増えたことが明らかになったわけであります。企業・団体献金が形を変えて政治資金パーティーになったことを浮き彫りにできたのも、収支報告書の要旨があったからこそであります。

 それを、二〇〇七年の法改定で収支報告書のネット公表を行っていれば要旨を作成、公表しなくてもよいとなった。これが問題で、今答弁があったように、実際、要旨作成、公表を取りやめた都道府県選管は三十八道府県に上るわけであります。

 要旨公表義務規定を取り去れば、政治資金の動きは全く分からなくなります。政治資金の透明性の向上どころか、収支報告書の公開の制度の重大な後退であります。要旨公表義務規定の削除はやめるべきではありませんか。

○本田議員 お答えいたします。

 要旨の削除をやめるべきではないかという御指摘、理解するところもあるんですけれども、現状において、現行法において収支報告書をインターネットで公表する場合には収支報告書の要旨を公表する必要がないと既に定められているところでございます。

○塩川委員 それが間違いなんですよ。そういうことをやったから後退になっているわけで、先ほども言ったように、政治資金を国民の監視と批判の下に置く、こういう規正法の趣旨に全く逆行するものであります。過去の不祥事をもみ消したいという発想じゃないでしょうか。

 このような、裏金を暴露されたくないというものであって、国民による政治資金の監視を妨げる法案と言わざるを得ません。政治資金収支報告書は公的に永久に残すことこそ必要であり、要旨公表義務規定の削除は撤回をすべきだと重ねて申し上げておくものであります。

 次に、寄附者の住所記載の変更についてお尋ねをいたします。

 附則の第五条第四項において寄附者の住所について市区町村名までとする収支報告書、住所限定報告書の提出を可能とする法改正を行うものとなっております。お尋ねしますが、このようになった場合に、総務省や都道府県選管における収支報告書の閲覧については、マスキングなどの加工をしていない収支報告書そのものは閲覧できるんでしょうか。

○本田議員 お答えいたします。

 委員御指摘の附則第五条第四項は、収支報告書とともに個人寄附者等の住所の一部を記載していない収支報告書を併せて提出した場合には、個人寄附者等の個人情報やプライバシーに配慮をして、インターネットによる公表に際しては住所が限定された報告書が公表されるということにしております。

 その上で、総務省や都道府県選管での収支報告書の閲覧については、インターネットのように時間、場所を選ばず直ちに閲覧できるような環境にはないため、従前どおり、住所が限定されない収支報告書についても閲覧の対象としております。

 また、総務大臣、都道府県選管は、住所が限定された報告書だけでなく、従来の収支報告書についても保存が義務づけられているため、情報公開法等に基づく情報公開の対象となると考えております。

○塩川委員 確認ですけれども、情報公開請求については先ほど聞いていなかったものですから、情報公開請求についてもマスキングなどの加工をしていない収支報告書そのものの開示ができるということでよろしいですか。

○本田議員 はい、開示の対象になると考えております。

○塩川委員 この点、確認をいたしました。

 そもそも、総務省、都道府県選管においてしっかりと収支報告書そのものを閲覧できるようにすること、情報開示請求についても収支報告書そのものの開示を行う、このことは当然維持されるべきであって、プライバシー保護を口実にしたような政治資金の情報開示の後退は許されないということを申し上げておくものであります。

 そこで、政策活動費についてお尋ねをいたします。

 政党から政策活動費と称して政治家個人に支出された巨額の資金は、支出内容が全く不明瞭であり、収支を全て明らかにするという政治資金規正法の趣旨に反するものであります。

 この政策活動費というのは規正法においてはどのように規定をされているのか、その根拠は何かについてお尋ねいたします。

○鈴木(馨)議員 従来の政治資金規正法の中においては、政策活動費という、その言葉自体の定義ということはございません。

 今回、そういった中でいろいろな議論が、様々な議論が行われている中で、今回の改正後ということで申し上げれば、第十三条の二の第一項におきまして、政党に所属している衆議院議員又は参議院議員に係る公職の候補者は、当該政党からの支出、それが、一件当たりの金額、数回にわたってされたときはその合計金額としておりますが、五十万円を超えるものに限るものとし、別途人件費あるいは光熱水費その他の総務省令で定める経費の支出を除くというものでありますが、要は支出で金銭によるものを受けたときということで定義してございます。

○塩川委員 政策活動費については現行法令上の定めがないということで、今回、政策活動費を初めて法定化するものということであります。

 政策活動費をいわば合法化する規定ということでは、政党からの支出というのは、本来、政治家を経由せずに行って収支報告書に支出の項目や金額を書けばよいものであって、政治家経由の支払いは迂回献金ならぬ迂回支出と言わざるを得ない、このことは認められないということを申し上げておきます。

 そこで、いわゆる政策活動費の使途公開に関して修正前の自民党案において、政策活動費について、収支報告書を見ると、茂木幹事長に三千万円とか出てくるわけですね。使途公開の記載の仕方なんですけれども、例えば茂木幹事長への三千万円の支出を記載した収支報告書において、どんなふうに記載をすることになるのか。備考欄のところに、組織活動費とか選挙活動費とか調査研究費とか、そういった支出項目の範囲で金額と年月を記載するということですか。

○鈴木(馨)委員 今の御質問についてでありますが、同じ改正法の第十三条の二第一項の後段ということになりますが、今おっしゃられた支出につきましては、当該支出に係る同号の総務省令で定める項目別の金額及び年月を通知するということとしております。

 通知に基づいて記載をするということですから、要すれば、政治資金報告書の当該部分の基本的には備考欄において、支出がされた年月と項目、総務省令上、政治資金という世界においては支出項目というものが列挙限定されていますので、それぞれについて幾らあったのかということを記載するということを想定しております。

○塩川委員 規正法の省令で政治活動費については六項目ぐらい項がありますけれども、その範囲ということで、支出項目であって、支出の目的というのは入らないわけですよね。

○鈴木(馨)委員 項目ということでのここでの記載ということであります。

 趣旨としては、法令上どこまでできるのかというところ、今の現行法の中でかなりそこは我々としても工夫をしたところでありますけれども、なかなかそこは限界があるというところで項目ということとして、虚偽があれば当然そこは法令違反ということになりますので、そこは会計責任者に対しても責任が追及されるという状況になります。

 その上で、今、改正の修正案においても、第三者機関であったり、あるいは十年後ということでそこを更に補完していく、そういったことで考えてございます。

○塩川委員 我が党は、第三者機関じゃなくて、国民そのものにきちっと公表する、国民はやはり監視、批判、判断を行っていく、それを保障するという点で、先ほどの要旨の削除なんかはとんでもないということでもありますし。

 今のお話でも、支出項目はあるけれども、支出の目的がない。同様に言えば、年月日の日は入れないですとか、あるいは支出を受けた者の氏名や住所は入らないだとか、そういった点で、まさに現行の政治資金収支報告書に基づく支出の記載項目から大きく後退をさせている、新たに政策活動費というのを法定化することによってこういった支出の記載の在り方についてダブルスタンダードを作るというのが今回の法案の中身だということを言わざるを得ません。

 その上で、こういったものについて、自民党案というのは、大きなブラックボックスはそのままに、中に間仕切りを入れただけというのが実態という点で、ガラス張りにするという規正法の趣旨に反するものと言わなければなりません。

 あわせて、修正案において、年間の政策活動費の上限金額ですけれども、維新案にあった政党交付金の一%あるいは五千万円の小さい方といったことなどの配慮を含めてどうなるのか。今、現行、直近の政策活動費の支出については十四億円余りと承知をしておりますけれども、その十四億円以上というのも排除されないのか。上限についてお答えください。

○鈴木(馨)委員 上限についてでありますが、先ほどほかの答弁で申し上げましたが、今後、上限額をどうしていくのか、この制度設計につきましては、先ほど申し上げたように、政治活動の自由への配慮、あるいは政党によって活動規模がまちまちということもあります、その中で、適正な規模がどうなのか、各党の皆様方と早急に議論し、検討させていただいて、結論を得られるように努力してまいるということでございます。

○塩川委員 それは、政党によって上限金額が違うということもあり得るということなんですか。

○鈴木(馨)委員 そういったことについても今後各党間での検討を行い、結論を得るものと承知しております。

○塩川委員 要するに自民党と維新で話し合って決めるような枠組みですよ、ほかの党は政策活動費をなくすと言っているわけですから。そういった点でも、政策活動費の上限金額について全く定めがないという点でも、十四億円以上になるということも排除されないということについても否定をされませんでした。そういう点でも極めて重大だと言わなければなりません。

 次に、修正案による十年後の政策活動費の支出の公開についてですけれども、修正案の条文で、支出の状況(これに係る領収書、明細書等を含む。)を公開するとありますけれども、この支出の状況というのは何なんですか。

○鈴木(馨)委員 支出の状況というのは、いわゆる使用状況、ここについて、領収書あるいは明細書等も含めた使用状況についてという趣旨であります。

○塩川委員 使用状況というのはどんなふうに明らかにされていくものなんですか。

○鈴木(馨)委員 ここについては、我々の修正案においては、十年後にそういったものを、領収書、明細書等を含めた使用状況について公開するものとして、その制度の具体的な内容については早期に検討が加えられ結論を得るということとしております。

○塩川委員 支出の状況についての説明がないままなんですけれども。(これに係る領収書、明細書等を含む。)とあるんですけれども、領収書、明細書を含むですから、領収書、明細書がない場合もあり得るということをいう表現と受け止めてよろしいですか。

○鈴木(馨)委員 一般論として申し上げれば、当然そこは、領収書、明細書等も含めて使用状況を公開すると書いてございますものでありますけれども、ただ、公開対象となる事項等については、今後、政治資金の透明性の確保と、各政党の活動と関わりのある個人のプライバシーや企業、団体の営業秘密の保護等とのバランスを図りながら、そういった公開対象についても各党で議論をしていくということと認識しています。

○塩川委員 ですから、領収書、明細書をつけない場合もあり得るということを含む表現ということでよろしいですか。

○鈴木(馨)委員 基本的には、我が党において、これまでの運用によれば、政党としての様々な活動、党勢拡大であったり、あるいは調査研究であったり、政策立案であったり、そういったものを代わってすることができる責任と、そういった判断ができる者に対しての支出、これがいわゆる政策活動費ということになっております。

 今回においては、その者から先の支出について対象とするということになっております。そういった意味においては、領収書等、そこについては基本的にはそういったものも含まれるという認識でおります。

○塩川委員 含まれるけれども、ない場合もあるんでしょう。

○鈴木(馨)委員 実際にどのような運用をしていくのか、あるいはどのような形での対応をしていくのか、ここについては、先ほど来申し上げておりますけれども、後に、各党間での様々な協議によるものと承知しています。

○塩川委員 ない場合もあるということを否定されませんでした。これでは、何の公開なのかということを言わざるを得ません。

 十年間は情報公開請求をしても開示しないということになるんでしょうか。

○鈴木(馨)委員 制度の具体的な中身については、繰り返しになりますが、ここについては、具体的な内容についての早期の検討、各党間での議論、検討をしていく、その上で結論を得るということであります。

○石田委員長 時間が参っております。

○塩川委員 ええ。

 維新案では情報公開を行わないとしております。そういう点でも、本当に闇の中に置くということを言わざるを得ません。

 政策活動費についてはきっぱりと廃止をする。そもそも、企業・団体献金、何も言っていない。聖域とするような企業・団体献金、許されない、きっぱりと禁止する。そのことを求めて、質問を終わります。

6・2オール埼玉総行動に参加/さいたま市

 立憲主義を取り戻す!戦争させない!9条こわすな!6・2オール埼玉総行動に参加。

 後援団体の埼玉弁護士会・連合埼玉・埼労連や立憲・共産・社民・新社会のあいさつ。

 自民党裏金問題の当事者が大軍拡や集団的自衛権行使や敵基地攻撃能力保有の推進役だったことへの怒り。市民と野党の共闘で政権交代を!

【新聞「新埼玉」掲載】塩川鉄也の国会から埼玉から

新聞「新埼玉」6月号より

政治腐敗生む/企業・団体献金

 わが党のしんぶん赤旗の報道が端緒となった自民党裏金問題。全容解明と金権腐敗の根を断つ抜本的改革が必要です。

 裏金の原資である政治資金パーティー収入は、形を変えた企業・団体献金。本質的に政治を買収する賄賂です。リクルート事件など金権腐敗政治への国民の批判を受けて、財界団体の経団連は、1993年に献金あっせんを中止しましたが、2003年に露骨な政策買収である政党通信簿方式の企業献金を打ち出し、カネも出せば口も出すと企業献金を復活しました。

 この20年間で、大企業の求める法人税減税は基本税率で30%から23・2%に引き下げられ、一方で国民につけを回す消費税は5%から10%へと増税されました。この間、自民党への企業献金は464億円。大企業には巨額の利益と内部留保が積みあがる一方、国民は賃金も年金も上がらず、塗炭の苦しみの中にあります。

 財界・大企業の利益を優先し、国民生活を顧みないという政治の腐敗を生みだした企業・団体献金の禁止を今国会でぜひとも実現したい。

(衆議院議員・党国会対策委員長代理)

【政治改革特別委員会・理事懇談会】自公維合意案を提示/企業・団体献金禁止なし/パー券公開にも経過措置

 自民党が政治資金規正法改定案の新たな修正案の概要を提示しました。企業・団体献金や政治資金パーティー券購入の禁止などには一切踏み込んでいません。

 自民党は、修正案の具体的な内容を示さないまま、6月3日の委員会質疑後の採決を強硬に主張しました。

 これに対し、私は「肝心要の企業・団体献金禁止が入っていない。これでは受け入れられない。自民党裏金事件に対する国民の怒りがこれほど大きいなか、この内容で納得は得られない」と批判。

 立憲民主党も「現状維持だ。受け入れられない」とし、採決日程に反対しました。

 また、私は「質疑を打ち切るようなことは断じて認められない。審議を尽くすべきだ」と指摘しました。

 自民、公明両党と石田真敏委員長(自民)は野党の意見を無視し、3日に質疑し採決することを職権で決めました。その後、自民党の浜田靖一国対委員長は、立民の安住淳国対委員長と会談し、委員長職権で決めた3日の採決を取り下げると述べました。安住氏は、岸田文雄首相出席のもとでの質疑を行うよう要求。浜田氏は「検討したい」としました。

 自民党が理事懇で示した修正案の概要は、31日午前、岸田首相が公明党の山口那津男代表、日本維新の会の馬場伸幸代表とそれぞれ会談し、合意したもの。

 概要は政治資金パーティー券購入者の公開基準額を現行20万円超から5万円超へ引き下げるとしながら、3年の経過措置を設けるなどというものです。ただし、この基準が1パーティー当たりなのか、年間合計額なのか、いつから始めるのかなど、具体的には明らかになっていません。

 また、維新提出法案から政策活動費の領収書など支出の状況を10年後に公開する制度の検討規定を盛り込みました。政策活動費の年間の使用上限を設定するとしていますが、その額は未定であり、10年間ブラックボックスに入れ、隠す制度を検討するというのです。内容が不明瞭な政策活動費を温存し、国民に収支を明らかにしようとしない自民党の姿勢が表れています。

【「しんぶん赤旗」掲載】自民党の政治資金規正法改定案/塩川鉄也衆院議員に聞く/企業・団体献金/政策活動費を温存

「しんぶん赤旗」5月30日・3面より

 衆院政治改革特別委員会で、自民党の裏金事件を受けた政治資金規正法改定の議論が行われています。今週に入り、理事懇談会の場で、自民提出の法案に対する修正協議が始まりました。自民党案の問題点や議論の状況について日本共産党の塩川鉄也議員に聞きました。

裏金解明しないまま

 ――特別委員会では、各党が政治資金規正法の改定案を提出して議論を行ってきました。この間の議論を通じ、どんな問題がありますか。

 塩川 そもそも自民党は、裏金問題の真相を明らかにしないまま今回の法案を提出しました。これ自身が国民に対して全く無責任な対応です。政治改革特別委員会で、裏金づくりを誰がいつ何のために始めたのかとただしても、自民党の法案提出者は全く答えませんでした。

 参考人質疑では、東京大学の谷口将紀教授が裏金の使途について「(今回は)地方、選挙にも流れている」として、党幹部の汚職が問われたリクルート事件よりも「根が深い問題だ」と指摘しました。党幹部にとどまらない、自民党全体の組織的な問題であり、裏金が選挙買収などに使われたのではないかという点も含めて徹底解明が必要です。

 加えて、自民党の菅家一郎衆院議員らが、安倍派からのキックバックの裏金を含む資金を自らが代表を務める政党支部に寄付し、税の優遇を受けていた問題も新たに明らかになっています。

 裏金問題の抜本解決のためにも、真相究明を引き続き徹底して行うことが必要です。

5党会派の要求に背

 ――自民党が提出した政治資金規正法改定案の問題点についてどう考えますか。

 塩川 自民党案には、肝心要の企業・団体献金の禁止がありません。政策活動費の廃止もありません。審議を通じて、日本共産党と立憲民主党、日本維新の会、国民民主党、有志の会の4党1会派が、企業・団体献金の禁止、政策活動費の廃止、会計責任者と同等の責任を政治家に負わせる―という3点で一致して自民党に迫っていることは重要です。

 今回の裏金の原資となったのは、政治資金パーティー券購入という形を変えた企業・団体献金です。

 企業・団体献金は政治をゆがめる賄賂です。このことは、政治資金をめぐる過去の一連の事件が示しています。また、選挙権を持たない企業がカネを出し政治を自らの利益のためにゆがめることは、国民一人ひとりの権利である参政権を侵害するものです。

 しかし、日本共産党が企業・団体献金の禁止を求めても、岸田文雄首相や自民党案提出者は「企業・団体は悪ではない」「企業にも政治活動の自由がある」「企業献金、個人献金、政党助成金のバランスが大事だ」など同じ答弁を繰り返し、正面から答えようとしていません。

 日本共産党は企業・団体献金を一切受け取らず、リクルート事件発覚後の1989年から一貫して、企業による政治資金パーティー券購入を含む企業・団体献金禁止法案を国会に提出してきました。

 いま、企業・団体献金の禁止は、国民の運動や声とも結び、大きな流れになっています。このことが、立憲民主党や維新の会による企業・団体献金禁止の法案の提出につながり、日本共産党の追及、赤旗のスクープが、この流れの変化をもたらしたと言えます。

公開後退させる内容

 ――政治資金の公開も重要なテーマです。

 塩川 政党、政治家の政治資金は国民の不断の監視と批判の下に置くことが政治資金規正法の基本理念です。政治資金をしっかりと公開することが必要です。

 政治資金規正法は、政治家個人に寄付することを禁止し、収支報告書の公開で、国民に明らかにすることとしています。それを、政党から政治家個人への寄付は「特例」として穴をあけています。これが「政策活動費」です。政策活動費は、何に使ったのかわからない不透明な資金です。選挙買収に使われた疑念も生んでいます。きっぱりと廃止すべきです。

 しかし、自民党案は政策活動費を温存するものです。領収書の保存も公開もありません。大きなブラックボックスの中に、項目ごとの金額を載せ、少し間仕切りを入れるだけのものです。これではブラックボックスであることは変わりません。不透明なお金の使い方を継続しようという自民党の姿勢は許されません。

 日本共産党は、この政策活動費の廃止も、89年から一貫して、法案に盛り込んでいます。

 ――自民党案には公開をめぐって重大な改悪も含まれています。

 塩川 自民党案には政治資金収支報告書(要旨)の官報・都道府県公報掲載の廃止が含まれており、収支の公開の重大な後退です。

 収支報告書の要旨には、寄付者の氏名や寄付額をはじめ、項目ごとの収入額や支出額など、収支報告書の根幹部分が記載されています。収支報告書そのものは、総務省・都道府県選管での閲覧、インターネット公開されますが、3年たつと削除され見られなくなってしまいます。要旨が官報・公報に掲載されていることで、過去にさかのぼって、収入額や支出額、寄付者などを継続して確認することができています。

 ところが2006年と07年に、収支報告書をネット公開した場合は要旨を作成しなくてもいいという法改定がされ、現在38の道府県ですでに要旨が作成されていません。自民党案はこの要旨を廃止し、3年限りで何もかも削除するものです。

 要旨で3年より前の収支報告書が確認できたことで、派閥への企業・団体献金禁止の法改正があった1999年に自民党派閥の政治資金パーティー収入が前年より3・6倍に増えたことが分かりました。パーティー収入が形をかえた企業・団体献金であることを浮き彫りにしたのです。

 自民党案の要旨の廃止は、政治資金の流れを見えなくしてしまいます。公開に逆行する、国民の監視を妨げる法案だと言わざるを得ません。要旨の掲載の廃止は、やめるべきです。

 こうした議論を、特別委員会の理事懇の非公開の場ではなく、委員会の場でしっかり議論を行い、国民の声に応える政治資金改革こそ行うべきです。30年前の「政治改革」であけた「抜け道」をふさがず、数時間の審議で通すことは許されません。国民の前に見える形で問題点を明らかにし、企業・団体献金の禁止の実現を迫っていきたいと思います。

【政治改革特理事懇】自民、政治資金規正で修正案/5会派の要求には「ゼロ回答」/企業・団体献金の禁止の棚上げは許されない

 政治改革特別委員会の理事懇談会で、自民党が、各党からの修正意見を受けた自民党法案の修正案イメージを提示。日本共産党、立憲民主党、維新の会、国民民主党、有志の会の4党1会派が求めた、(1)企業・団体献金の禁止、(2)政策活動費の廃止または領収書の全面公開、(3)政治家に会計責任者と同等の責務を負わせる措置、の3項目は触れられていませんでした。

 私は「5会派の要望にも、わが党の要望にも、ゼロ回答だ」と批判。「企業・団体献金の禁止、政策活動費の廃止などを棚上げにすることは許されない」と強調しました。

 自民党案にある収支報告書(要旨)の官報・都道府県公報掲載の廃止について「国民の不断の監視と批判の下に置くという政治資金規正法の大原則に反するものであり、明らかな後退だ」と撤回を要求。また、非公開の理事懇の場ではなく、委員会の場で議論を行うべきだと主張しました。

 立憲などの各党も、自民党はゼロ回答だとして、再検討を求めました。30日にも協議することになりました。

 自民党の修正案は、政策活動費の使途について収支報告書の記載事項に「年月」を追加。附則に、施行後3年の見直し規定などを盛り込むにとどまっています。

【政治改革特別委員会・理事懇談会】「企業・団体献金の全面禁止を」と主張/政治資金規正法改正の修正巡り協議

 理事懇談会で政治資金規正法改正の修正を巡って協議を行いました。

 私は、パーティー券購入を含む企業・団体献金の全面禁止が必要だと主張。

 また、政党から政治家個人に対して支給される、いわゆる「政策活動費」の廃止、政治家に会計責任者と同等の責任を負わせる政治団体代表の監督責任の明確化を求めました。

 さらに、収支報告書の早期公表など公開の迅速化が必要だと強調し、自民党案に盛り込まれている収支報告書(要旨)の官報・公報掲載の廃止は、収支を国民から隠し、公開に逆行するものだと撤回を求めました。

 私はまた、自民党の菅家一郎、稲田朋美両衆院議員が、安倍派から受けたキックバックを自らの政党支部に寄付し、税優遇を受けていた問題も新たに明らかになったとして、「徹底究明が必要だ」「法案の内容についても委員会で引き続き議論を行うべきだ」と主張しました。

 理事懇では、立憲民主党や維新の会なども、企業団体献金の禁止、「政策活動費」の禁止などを求めました。

 自民党は、各党の意見を持ち帰り、29日の理事懇で回答するとしました。

【政治改革特別委員会】政治資金制度/ゆがみ/二つの抜け道/参考人が指摘

 自民党派閥の裏金事件を受けた政治資金規正法改正案の参考人質疑を行い、質疑に立ちました。

 平野貞夫元参院議員は意見陳述で「裏金事件の本質を理解し、究明しなければ本格的な立法体制はつくれない」「自民党による集団犯罪の疑いがある問題をうやむやにできない」と述べました。

 東京大学の谷口将紀教授は、党幹部が問題となったリクルート事件と違い「(今回は)裏金が地方、選挙に流れている」と地方組織も含め党全体の問題であると指摘しました。

 私は、金権腐敗事件を契機とした30年前の「政治改革」では、企業・団体による「政党支部への献金」と「政治資金パーティー券の購入」という二つの「抜け道」がつくられ企業・団体献金が温存されたと指摘。二つの「抜け道」をふさぐ必要があるのではないかと質問しました。

 谷口氏は「この際、企業・団体献金を禁止しようという主張も理解できる」と述べた上で、複数人の企業幹部による個人献金などが実質的な企業・団体献金となる可能性も考えるべきだと強調。

 駿河台大学の成田憲彦名誉教授は「(二つの『抜け道』は)まさに日本の政治資金制度のゆがみだ」と指摘し、「寄付で企業献金を禁止するのなら、パーティー券購入と寄付(の扱い)を同じにしなければならない。パーティーの対価の支払いも企業は禁止にすべきだ」と主張しました。

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「議事録」

第213回通常国会 令和6年5月27日(月曜日) 政治改革に関する特別委員会 第6号

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 今日は四人の参考人の皆様に貴重な御意見を賜り、ありがとうございます。

 最初に、四人の皆さんに御質問をしたいと思っておりますが、自民党の今回の裏金問題とは何なのかということであります。

 平野参考人は陳述の中で、裏金問題の本質の解明、これが中途半端にとどまっているのではないのかというお話をされ、これでまともな判断ができるのかということもおっしゃっておられました。谷口参考人の大手紙へのコメントなども拝見しますと、リクルート事件よりも根が深いということをおっしゃっておられたと承知をしております。

 そこで、自民党の裏金問題とは何なのか、その本質について、過去の政治と金の事件との違いを踏まえた特徴などについて、それぞれ御意見を賜りたいと思います。

○谷口参考人 御質問ありがとうございます。

 今般の事件に対する率直な感想としては、やはりとまさかの両面がございます。

 まず、やはりと申しますところは、冒頭の意見陳述で申し述べさせていただきましたとおり、従来から、この政治資金パーティー制度には抜け穴がある、つくろうと思えば裏金がつくれてしまうというような制度になっているという危惧は、かねてより、私も含めて様々な研究者が指摘をしてまいったところでございます。ですので、今般、このようなパーティーを利用した裏金づくり、いわゆる裏金づくりが行われたということは、やはりそうであったかという思いがしておるところでございます。

 他方で、それが当時の安倍派、二階派という権力の中枢にある政策集団において組織的に行われているということに関しては私も全く想定をしておらなかったわけでありまして、このような点については想定外、まさかという印象を抱いて、ここは早急に法律の所要の改正が必要であるというふうに感じておるところでございます。

○成田参考人 お答え申し上げます。

 私は制度の専門家でありまして、実態は、特に最近は永田町から離れておりますので、承知をしておりません。

 ただ、政治と金の問題というのは、古くは贈収賄だったわけですね。ところが、最近は贈収賄という言葉はほとんど姿を消しまして、最も頻繁に行われているのは不記載の問題になりました。裏金問題というのも不記載のことで起きているのだと思います。

 どうして贈収賄ではなく不記載が増えているかというと、やはり、ざる法と言われながら、いろいろな規制制度ができてきて、贈収賄に至る手前のところで法律で規制ができ網にひっかかるようになっている、そのせいではないかというふうに考えています。

 しかし、贈収賄にしても不記載にしましても、やはり基本は、政治に金がかかる、あるいは政治に金をかけている先生方がいらっしゃるということが根本にあるんだと思いまして、それで、やはり金のかからない政治を実現するということが基本ではないかというふうに考えております。

○川上参考人 どうもありがとうございます。

 私は、参考人の陳述でも申し上げたように、慣れと甘えと行き過ぎ、これに驚いているところであります。

 先ほど成田参考人からありましたが、昔でいうと、もうちょっとざくっと、リクルート事件とか未公開株を受け取るとか、そういう贈収賄に近いような形が多かったわけですけれども、曲がりなりにも政治資金規正法ができて、でも、派閥はお金を集めなければいけない、そうすると、各国会議員にノルマを課す。このぐらいはやってもいいだろう、大丈夫だろうという慣れがあった。甘えですよね、パーティー券をこれだけ売れば自分のものにしていいよねという甘え。そして、それが、多い人であれば何千万。行き過ぎであります。

 だから、私は、前のリクルート事件だとか、そういう政治とお金の問題と違うのは、政治資金規正法はできたんだけれども、やはり政権政党の中に、特に派閥に、慣れと甘えと行き過ぎがあったのかなと。こういう慣れと甘えと行き過ぎは二度とあってはいけないのではないかというふうに考えております。

 ありがとうございます。

○平野参考人 私は、細川改革が抜け道をつくったとかいろいろ批判は多いんですけれども、それなりに効果があって、やはり政治資金が、企業から寄附をなかなか集めにくくなった。そして、ちょうど二十年ぐらい前になりますと、日本のやはり経済、景気がよくない、非常に経済が停滞した。そうすると、各企業から、経費で落とせるものをパーティー券として買うようになる。それを裏金にするのにつくられたのが裏金キックバックの原理じゃないかと思います。

 何のためにつくったかといいますと、ちょうどその頃、小泉政権がずっと続くわけですが、一時替わりますが、基本的にこの安倍派の政策の、政治は、私、一言で言えば金権カルト政治だったと思います。政治改革をさせない、政治改革を妨害するための資金づくりではなかったかと、僕はそこに本質があると思っております。

 以上です。

○塩川委員 ありがとうございます。

 次に、成田参考人と平野参考人にお尋ねをいたします。

 岸田総理、自民党総裁は、自民党裏金問題の真相解明の努力は続けなければならないと述べておりますが、自民党の法案提出者に、裏金問題は、誰がいつから何のために行ったのか、こういう問いをしましても、知る立場にないというにべもない答弁だったわけであります。自民党の聞き取り調査報告書の聴取事項にも、誰がいつから何のために、こういったことは問いにもなっておりません。

 そういう点でも、自民党として裏金問題のそもそもについて真相解明の努力を行っていないことについてどのようにお考えなのか、この点についてお答えいただければと思います。

○成田参考人 自民党が真相解明の努力を行っているか行っていないかということについては、私は、ちょっと全く見当がつきませんので、その点についてはお答えを申し上げることはできません。

 ただ、先ほど平野参考人が言われましたように、政倫審というのは事実を解明するためのものではないというところは私も全く同感でございますが、平野参考人と少し意見を異にするところは、事実の解明のために予算委員会を使うというのは私は反対でございまして、やはり、国政の課題を停滞なく遂行していくというためには、予算委員会及びそのほかの委員会であっても、この第一委員室を使うような委員会の場は避けた方が適当であろう。

 そういうためには、やはり調査会をつくりまして、そこで別トラックで真相解明をやっていくというのは欧米では普通のやり方でございまして、かなりの長期間、何年もかけて、なおかつ二十冊、三十冊の報告書を作るという努力をやって事実の解明をやるわけでございます。日本は、予算委員会でやって、それで混乱して、すぐ忘れて終わりということになりますけれども、やはり別トラックで調査会を設置して事実を究明していくというやり方を、今回のことに限らず、日本の国会も身につけることが適当ではないかというふうに考えております。

○平野参考人 予算委員会を止めてというのはちょっと極端なんですけれども、私は、予算の審議と、この日本の議会の崩壊の問題とを比べた場合に、国民の納得する範囲でそれはできると思います。そこのところは、一つの、私は多少暴言的なところもあったんですが、そこはやはり、民意、国民の意思、世論調査等も含めて、総合的な判断ができたと思う、この問題は。ロッキード事件とか、そのほかのあらゆる事件の中で、戦後の最大の日本の議会の崩壊の問題だったと私は思っております。

○塩川委員 ありがとうございます。

 次に、谷口参考人と成田参考人にお伺いいたします。

 三十年前のリクルート事件を機にした様々な政治と金の問題についての対処があったわけですけれども、そういった中で、谷口参考人から政党支部の問題の意見陳述をいただきました、成田参考人からは企業・団体献金によって日本の資源配分はゆがめられているという御発言もいただきました。

 私はやはり、三十年前の政治改革と称するもので、政治と金の問題について、特に企業・団体献金について、政党支部への献金と政治資金パーティー券の購入という二つの抜け道をつくることで企業・団体献金を温存してきた、そこに今回の裏金問題にも通じる点があると考えます。

 裏金問題の解決のためには、政党支部への献金、政治資金パーティー券の購入という企業・団体献金の二つの抜け道を塞ぐことが必要ではないかと考えますが、御意見を伺わせてください。

○谷口参考人 御質問ありがとうございます。

 政治資金パーティーと企業・団体献金、二つについて御質問をいただきましたが、一つにまとめてお答えを申し上げたいというふうに思います。特に企業・団体献金についてでございます。

 企業・団体献金につきましては、先ほど来、再三言及がなされておりますとおり、八幡製鉄事件の最高裁判決において、政治資金を寄附することは会社の権利能力の範囲内とされておるところでございますが、同判決の、会社は自然人たる国民と同様、国や政党の特定の政策を支持、推進し又は反対するなどの政治行為をなす自由を有するなどとされた部分につきましては、行き過ぎであるという評価が憲法学の通説であります。判決自体も、企業・団体献金の弊害防止については立法に委ねておるというところは、本委員会においても既に指摘のあったところでございます。

 恐らく、このような観点も含めて、平成の政治改革においては、企業・団体献金に対する規制を強化し、個人献金と政党助成をもってこれに代えるという方向性が打ち出されたものというふうに承知をいたしておりますので、その延長線上にあって、この際、企業・団体献金を禁止しようという主張も理解をできるものであります。

 ただし、直ちに企業・団体献金を禁止いたしますと、例えば、従来、一つの企業から百万円の寄附がなされていたものが、当該企業の幹部二十名が個人として五万円ずつ寄附をするようになる、いわゆる個人献金への迂回が発生するものと予想をされます。実質的に当該企業から百万円の寄附がなされているのにもかかわらず、それが現在よりも見えにくくなってしまう、政治資金の流れの透明性をかえって妨げるおそれがあるわけでございます。

 したがいまして、企業・団体献金を禁止する場合においては、更なる個人献金の促進策、政党交付金の在り方、あるいは政治資金の支出の在り方等を総合的に検討した上で、激変緩和のための経過措置も含めて実効性のあるロードマップを描かないと、副作用が主作用を上回る事態になりかねないことを懸念する次第でございます。

○成田参考人 まず、政党支部も政党として企業が献金ができるというのは、規正法二十一条第四項でございます。それで、この規定は、細川内閣の政府案で、政治献金は政党及び政党の政治資金団体に限るということにいたしましたときに、そうすると地方議員には政治資金が入らなくなるということで、地方議員が政党に対する企業献金を得られるようにということで挿入をされた規定でございます。

 あのとき、自民党は、議員の政治団体にも企業献金を認めるという規定をしておりましたから、政党支部を政党にするという規定は不要ということで、随分あのときは自民党に攻撃されました。こういう規定はおかしいということで盛んに言われましたけれども、今、自民党が大変その恩恵を受けているのではないか、こういうふうに思っております。

 それから、パーティーと企業献金と二つという問題は、まさに非常に日本の政治資金制度のゆがみ、つまり、モグラたたきを繰り返してきた結果、至った姿ではないかというふうに思っておりまして、要するに、企業献金を是認するのか否定するのか非常にはっきりしないということで、少なくとも、パーティーと寄附というものはやはり統一的に扱うのがいいんじゃないかというふうに思っておりまして。

 諸外国ではパーティーは全て寄附なんです。それで、今回の提案の中では、立憲、国民共同提案がパーティー禁止ということになっておりますが、全てのパーティーが禁止になっておりますが、やはりパーティーというのは寄附を集めるのに最も適切なやり方であり、政治以外の一般の世界でもパーティーを使って寄附を集めるということはやっておりますから、パーティーを禁止するということはしないで、パーティーは寄附と同じである、したがって、寄附で企業献金を禁止するならパーティーの対価の支払いも企業は禁止するという統一的な扱いにするのが現実的ではないかというふうに思っております。

 以上でございます。

○塩川委員 時間が参りました。終わります。