【「しんぶん赤旗」掲載】社会進歩へ共産党と共に/鳥取で訴え/塩川・大平氏/比例議席奪還を

「しんぶん赤旗」5月28日・4面より

 日本共産党鳥取県委員会は26日、塩川鉄也衆院議員を迎え、鳥取と米子両市で「党を語る集い」を開きました。大平よしのぶ衆院中国比例候補、岡田正和鳥取同1区候補(鳥取市)、福住ひでゆき同2区候補(米子市)があいさつしました。

 塩川氏は、金権腐敗政治の一掃へ「しんぶん赤旗」と日本共産党が世論を動かし、自民党を追い詰めていると指摘。企業・団体献金が政治をゆがめ、消費税増税が大企業の法人税減税の穴埋めにされ、国民が犠牲にされてきたと指摘しました。

 岸田政権が2年間で2・5兆円も増やした軍事費をやめて子育て支援に使えば、学校給食の無償化も大学の学費半額も実現できると訴えました。

 「共産党はなぜ大きくならないのか」という参加者の質問に、塩川氏は「落ち込んでばかりではありません」と1970年代、90年代後半、2010年代と3回の躍進を紹介。2014年の総選挙では大平氏が初当選し党の躍進が初の野党共闘選挙実現の力になったと述べ、来たる総選挙で中国ブロックから大平氏の議席奪還をと力説しました。

 集い後の入党懇談で高齢の女性が入党しました。

【政治改革特別委員会】日曜版特報/自民刷新本部座長/裏金かの追及に不記載認める

 自民党派閥の裏金問題を巡り、「しんぶん赤旗」日曜版5月26日号がスクープした同党の鈴木馨祐(けいすけ)議員(党政治刷新本部作業部会座長)の裏金受領疑惑を追及しました。

 日曜版の報道で、鈴木氏が代表を務める「自民党神奈川県第7選挙区支部」の2021年の政治資金収支報告書に、計6件66万円の寄付収入を記載していない政治資金規正法違反の疑いが発覚しています。

 私は、報道の内容は事実かと質問。

 鈴木氏は「事実だ。当時の資金担当者が変わったタイミングでミスがあった」と認め、「精査した結果、(不記載が)他に2件あったので、合計8件について記載を訂正した」と明らかにしました。

 私は、自民党の政治資金規正法改定案の提出者である鈴木氏が違法行為を行っていたとして、「法案を出す資格がない」と厳しく批判しました。

 鈴木氏が所属する「志公会」(麻生派)では、政治資金パーティー券の売り上げノルマ超過分をキックバック(還付)する仕組みがあったことが発覚しています。私は、麻生派関係者が「志公会の前身の為公会では、所属議員がノルマを超えて販売したパーティー券のキックバックは“裏金”で渡していた」と証言していると告発。麻生派所属議員の17年までの収支報告書には還付とみられる記載はなく、「麻生派では17年までは還付を裏金として渡していたのではないか」と迫りました。

 鈴木氏は「おそらくそういったことはない」と答弁。

 私は、日曜版(3月3日号)が告発した井上信治元万博相(麻生派)の裏金疑惑にも触れ、「麻生派も違法行為を行っていた点で立件された安倍派、二階派、岸田派と同じだ」「疑惑をまともに調べようともせずに、裏金問題の抜本的な解決を行えるはずがない」と批判しました。

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論戦ハイライト/塩川氏追及/政治資金規正法「改正」自民案/法案提出者が法違反とは

「しんぶん赤旗」5月25日・3面より

 「法案を提出する資格があるのか」。日本共産党の塩川鉄也議員は24日の衆院政治改革特別委員会で、政治資金規正法「改正」の自民党案の提出者である、同党政治刷新本部作業部会の座長・鈴木馨祐(けいすけ)議員の新たな裏金疑惑を追及。政治をゆがめる企業・団体献金の全面禁止を求めました。

塩川氏 パーティー券のノルマはいくらだったのか

鈴木氏 「記録ない」と開き直り

 「しんぶん赤旗」日曜版5月26日号は、鈴木氏が代表を務める「自民党神奈川県第7選挙区支部」の2021年の収支報告書に、全日本不動産政治連盟神奈川県本部などからの計6件、66万円分の寄付収入が不記載だったと報じています。

 鈴木氏は「これは事実です」と認め、「精査した結果他に2件あり、合計8件について記載を訂正した」「不適切な状況だった」と述べました。

 塩川氏は「政治資金規正法の法案の提出者が政治資金規正法違反を行っていた。法案を出す資格はない」と批判しました。

 鈴木氏が所属する志公会(麻生派)では、所属議員が派閥の政治資金パーティー券の販売ノルマを持ち、ノルマを超えて販売した場合のパーティー券代を議員側にキックバックする仕組みがありました。

 鈴木氏は自身へのキックバック額について2018年94万円、19年22万円、20年158万円、21年126万円、22年86万円だったと答えました。一方、ノルマ額については「派閥の運営者の立場にないので、目標額を責任持ってお答えできない」などとして、答弁を拒否しました。

 塩川 なぜ自分のノルマを説明できないのか。

 鈴木 私の立場でわが派の目標額はいくらだったかお答えできない。

 塩川 鈴木議員のノルマはいくらだったのか。

 鈴木 記録を残していない。

 塩川 知らないという話は通らない。

 何度聞いてもノルマ額を答えず、説明責任を果たそうとしない鈴木氏らに塩川氏は「パーティー収入のキックバックが裏金になっていたことが問われている」「去年行ったパーティーのノルマすら答えられない人が答弁者になっていることが信じられない。あまりにも無責任だ」と批判しました。

 また、麻生派や、鈴木氏など所属議員の18年以降の収支報告書にはキックバックとみられる寄付の記載があります。ところが17年以前は記載がありません。塩川氏は「志公会の前身の為公会では、所属議員がノルマを超えて販売したパーティー券のキックバックは裏金で渡していた」などの証言を示して追及しました。

 塩川 17年までは派閥パーティーのキックバックを裏金として渡していたのではないか。

 鈴木 報告書等の保存がなく申し上げられる状況ではない。そういったことはないと私自身の記憶では思っている。

 塩川 麻生派の裏金疑惑について調査、検証し、国民の前に明らかにすべきだ。

 鈴木 派閥の運営や当時の状況について責任ある立場でないので、お答えできない。

 塩川氏は「まともに調べようともせずに、裏金問題の抜本的な解決を行えるはずがない」と批判しました。

鈴木氏 企業にも政治参加の自由がある

塩川氏 政治活動の自由と言いながら実際には賄賂政治の自由だ

 「企業・団体献金は全面禁止し、企業との癒着・依存を断ち切るべきだ」―。塩川氏は、30年前の「政治改革」で「政党・政党支部への献金」と「政治資金パーティー券の購入」を認めて企業・団体献金を温存させた「抜け道」をふさぐことが必要だと迫りました。

 塩川氏は、リクルート事件以降も国会議員や閣僚の汚職事件などが続き、企業のカネの力で政治をゆがめる問題に国民の批判が大きく広がったと指摘。「賄賂性をもつ企業・団体献金の全面禁止こそ国民主権を保障する道だ」と強調しました。

 リクルート事件などが相次いだ1993年、「企業献金は廃止を含めて見直す」としていた日本経団連は2003年に通信簿方式の献金促進策を始めました。政党の通信簿をつけて、いい成績を取った政党への献金を加盟企業に呼びかけるものです。

 塩川 金が欲しければいい成績を取れという露骨な政策買収の仕組みではないか。

 鈴木 寄付をいただくこと自体が不適切ではない。企業にも政治参加の自由がある。

 塩川氏は、経団連が通信簿の模範回答とし取り上げていたのが法人税など大企業の負担軽減と消費税の増税であり、自民党側への献金は今も続いていると指摘。「金も出すが口も出すという賄賂政治そのもので、政治活動の自由と言いながら実際には賄賂政治の自由だ」と断じました。

政党助成金

 企業・団体献金禁止とともに問われているのが政党助成金です。「抜け道」により温存された企業・団体献金とともに二重取りが続いています。政党助成法施行以来、今年4月までに約9250億円もの税金がばらまかれ、自民党にはその半分の約4450億円が支払われています。

 塩川 企業・団体献金と政党助成金の二重取りはおかしいとの国民の声にどう答えるのか。

 鈴木 現行の法制度上、政党助成金が併存していることも考えれば二重取りという批判は当たらない。

 塩川 国民の声は届かないということだ。

 各党の運営資金に占める政党助成金の割合(2022年分)は、自民党64・3%、立憲民主党74・1%、日本維新の会72・3%です。塩川氏は、政党の運営資金の大半が税金という「官営政党」批判をどう受け止めるかと問いました。

 鈴木氏は「企業・団体も含めて個人、法人も含めて寄付をいただく。そうした方々からの収入をしっかり確保できるよう今回法案の提出もさせていただいている」と答弁。立民・落合貴之氏は「国際的に見ると公費の割合が高い国もある」とし、維新・中司宏氏は「国民に広く薄く負担をお願いすることは、わが国の民主主義の発展のために意義がある」と述べました。

 塩川氏は「自民党は企業・団体献金をもっと集めるという答弁だった」と批判。日本共産党が参院に提出している政党助成法廃止法案の実現に力を尽くすと強調しました。


「議事録」

第213回通常国会 令和6年5月24日(金曜日) 政治改革に関する特別委員会 第5号

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 自民党案提出者の鈴木議員にお尋ねをいたします。

 五月二十六日号のしんぶん赤旗日曜版は、鈴木議員が代表を務める政党支部に政治資金規正法違反の疑いがあることを報道しております。

 鈴木議員が代表の自民党神奈川県第七選挙区支部の二〇二一年の収支報告書において、全日本不動産政治連盟神奈川県本部からの二十万円とか、神奈川県歯科医師連盟からの十万円など、計六件、合計六十六万円の寄附収入を記載をしていなかったということですが、これは事実でしょうか。

○鈴木(馨)議員 今御指摘の件につきましては、ちょうど二〇二一年の総選挙の時期であろうと思いますけれども、団体から受けた寄附につきまして記載が漏れていた、これは事実でございます。当時の資金担当者が、私どもの実際の実務の担当者が替わったというタイミングにおいてそういったミスがございました。

 その点は深くおわびを申し上げますとともに、御指摘を踏まえまして更に精査をいたしました結果、ほかに二件ございましたので、合計八件について、この点については記載を訂正をしてございます。

 これは私どもの事務所のミスでございますので、改めておわびを申し上げたいと思います。

○塩川委員 六件に加えて二件の計八件ということで記載が漏れていたということ、これらは政治資金規正法違反ということに当然なったわけですね。

○鈴木(馨)議員 そういった意味でいうと、今回の記載すべきものが適切に記載されていなかったということで、訂正をする前の状況は不適切な状況であったと思います。

○塩川委員 政治資金規正法の法案の提出者がこのように、不適切と言いましたけれども、政治資金規正法違反の行為を行っていた。これは、そもそもこの規正法の法案を出す資格がないということじゃありませんか。

○鈴木(馨)議員 今申し上げておりますように、この点は本当におわびをするよりほかない状況であります。

 まさに、こうしたある意味での訂正を要するそういった状況、これは、与野党を通じて多くの方にも正直あることも事実であります。まさに、そうした中で、どのようにして政治資金というものをきちんと正しく報告書に載せるという規制をしていくのか。そのことはやはり、今回の法改正を通じて、そういった意味では、まさにそうした抑止をどう働かせていくのか、そういったことも大事だと思っておりますし、そのことは、私の経験も踏まえて、しっかりとした建設的な議論を行っていきたいと思っております。

○塩川委員 鈴木議員に関わっては、鈴木議員が所属をする志公会、麻生派では、所属議員が派閥の政治資金パーティー券の販売ノルマを持ち、ノルマを超えて販売した場合にはその分のパーティー券代をキックバックをする、還付をする、そういう仕組みがあると承知をしております。

 そういう点では、政治資金規正法に違反する不記載の問題だけではなくて、このキックバック、今問題となっている裏金に関わるような問題について麻生派、志公会がどうかということを問うところですけれども、そこで、麻生派における派閥パーティーにおけるいわゆるノルマ額は幾らなんでしょうか。キックバック、還付の額というのは幾らだったのか、この点について鈴木議員にお答えいただきたい。

○鈴木(馨)議員 私どもは、麻生派と言われる、政治団体としては志公会ということになりますけれども、この団体におきましては、派閥の政経セミナーのパーティー券、政治資金パーティー券についての目標額というものを設定してございました。そして、それを超えた部分について派閥から寄附を受けるという形、これは記載をしてございますので、そういった意味では、今の法制度の中で合法な形で処理をしているものであります。

 今、いわゆる目標額、ノルマが幾らかということでありますけれども、そこは派閥の運営に関わることでありまして、私もそのことは厳格に知らない状況でありますので、そこはお答えを差し控えさせていただきたいと思いますが、受けた寄附ということで申し上げれば、私どもの政治団体において収入が記載され、さらには、相手方の志公会においても支出が記載をされているものについては、この寄附額、今、要は我々としてアクセスできるものについて申し上げれば、二〇一八年で九十四万円、二〇一九年で二十二万円、二〇二〇年で百五十八万円、二〇二一年で百二十六万円、そして二〇二二年で八十六万円、以上が、派閥、政策集団から受けた寄附でございます。

○塩川委員 キックバックの額について、二〇一八年から二二年の五年間の説明をもらいました。

 このノルマ額についてなんですけれども、派閥の運営に関わることなので承知していない、知らないというのはよく分からない説明なんですが、鈴木議員御本人のノルマ額が幾らかというのを聞いているんです。

○鈴木(馨)議員 そこにつきましては、派閥の運営者というか、そういった立場に私もないものですから、その当時の目標額が幾らだったのか、そういったことは、私としてちょっと責任を持ってお答えできる状況にはございません。

 そういった意味でいうと、私として把握ができるのは、団体上の寄附額、これは法律に基づいて処理をしているものでありますので、そこについては明確に御答弁できますけれども、派閥サイドの目標額が幾らだったのか、そこについては、私として責任を持ってお答えできる立場にはございません。

○塩川委員 自分のノルマですよ。だって、そのノルマを超えたら今言ったようなキックバックの額が出てくるわけですから、当然ノルマ額は承知しておられるわけで、何で説明できないんですか。林官房長官だって答えましたよ、岸田派ですけれども、二百万円とかと答えているじゃないですか。もちろん、安倍派あるいは二階派の幹部どころなども答えておりますけれども、これは別に、何か明かせないような秘密という話ではそもそもないわけで、正直に答えてもらえればいいと思うんですが。

○鈴木(馨)議員 この点については、明かせないとかそういう話ではなくて、恐らく当時の運用として目標額というものがあって、それを超えたものは寄附を受けているというふうに承知していますけれども、総額幾ら売り上げたのか、そこは派閥の方での管理ということに当方はなっていますので、そこで、そのとき、毎年毎年が幾らだったのか、そこについて私も今定かでは正直ない状況ですので、そこについては、今、私の立場で、我が派の目標額が幾らだったのかということをお答えすることができない状況であります。

○塩川委員 鈴木議員本人のでいいんですよ。鈴木議員としてノルマは幾らだったのかということなんですが。

○鈴木(馨)議員 正直、そこは、当方の様々なそういった資金を担当しているスタッフに聞いても、そこは記録を残しているわけではないものですから。その場で、要は、我が方としては振り込み先が派閥になっています。そういった中で、その目標額を超えた分について返ってきているという状況ですので、私どもとして把握ができるのはその超えた分ということは御理解いただきたいと思います。

○塩川委員 だって、目標額があると言ったじゃないですか。当然、各議員は知っているわけですよ。そういうことについて、知らないという話は通らないじゃないですか。どう考えたっておかしいですよ。はっきりと答えてもらいたい。

 そもそも、裏金の問題が問われているときに、パーティー収入に関わって、当然ノルマがあって、それを超えた分がキックバックになる、それを収支報告書に書いていない、裏金になっているというこの事件なんですから、麻生派がどうだったのかというのを明らかにする上でも、全体についていろいろ、幹部じゃない立場で言えないとかというのは、それも容認できないけれども、少なくとも自分の額は分かるわけだから、それははっきり答えていただきたい。

○鈴木(馨)議員 正直、これは別に隠したいとかなんとかじゃなくて、毎年毎年は恐らく変わっていたんだと思います。なので、そういった意味でいうと、毎年の分というものを今正確に把握ができないのでというのが今の現状であります。

○塩川委員 去年の額とかは分かるでしょうが、事前に聞いているわけだから、質問通告もしているんだから。その確認をしなかったということなんですか。

○鈴木(馨)議員 そういったことで申し上げると、当方の事務所でそういった目標額についての記録がなかったというのが状況ですので、そこは必要があればまた調べてということになろうかと思いますが、そこについては、今、現状、私として把握をしておりません。

○塩川委員 はっきり答えていただきたいので、この後でもいいから、ちょっと電話一本入れて確認してもらいたい。是非はっきりさせていただきたい。

 このことを強く求めると同時に、小倉さんは幾らですか。

○小倉議員 私が所属をしておりましたのは、志帥会と言われる政策集団でございます。この政策集団につきましても、目安というふうに言っていたようでありますけれども、派閥のパーティー券の目安を設定をして、それを超えた部分について政策集団が国会議員の政治団体に寄附する、こういう運用を行っていたと承知をしております。

 そういった中で、私に対する志帥会からのこうした寄附につきまして、昨晩、委員から通告を受けまして、夜、急ぎ、事務所で確認しておりましたので、手元の数字ということで御容赦いただきたいと思いますが、平成三十年三十四万円、令和元年六十八万円、令和二年八万円、令和三年四十四万円、令和四年四十二万円となっておりますけれども、支出面、収入面のいずれにおきましても、資金のやり取りは全て収支報告書に記載されておりますので、政治資金規正法上何らの問題もなく、法令にのっとって適正に処理しているもの、このように認識しております。

○塩川委員 キックバックの額はそういうことなんでしょうけれども、ノルマは幾らですか。

○小倉議員 これも鈴木議員と似たような答えになってしまいますけれども、この目安につきましては、正確なところを理解しているのはやはり派閥の事務局でございます。私としては、なかなか、この目安につきまして責任を持って正確にお答えすることは難しいのではないかと考えておりますし、私の派閥は解散しておりまして、事務局もございませんので。笑い事ではないと思いますけれども、そういう意味では、確認をすることはなかなか難しいのではないかと思います。

○塩川委員 こんな去年行ったようなパーティーのノルマ額さえ答えられないような、こんな人が答弁者になっているということ、信じられないですよ。規正法の議論じゃないですか。そういった点でも、本当に無責任だと言わざるを得ない。

 戻りますけれども、鈴木議員について、ノルマ額を言わないということ自身も許されないところですけれども、キックバックの額の話がありました。これは、もちろん、志公会側についての収支報告書でその金額も記録をされているわけですけれども、他方、二〇一七年以前の収支報告書ですね、ですから、二〇一八年から先ほど答えていただいたんですが、このキックバックに相当する金額の記載が見当たらないんです。ですから、このような、二〇一七年の鈴木議員の日本国家戦略フォーラム二〇二五を見ましても、二〇一七年にキックバックの記載がないんですよね。

 この点について麻生派の関係者は、志公会の前身の為公会では、所属議員がノルマを超えて販売したパーティー券のキックバックは裏金で渡していた、派閥の例会で、名前を呼ばれた議員が別室に入ると、派閥幹部がキックバック分の現金が入った茶封筒を手渡したと証言をしているということであります。

 麻生派においても、二〇一七年までは、派閥パーティーにおけるキックバックを裏金として渡していたのではないんですか。当事者としてお答えください。

○鈴木(馨)議員 正直、そこの、二〇一七年以前については、報告書等々も含めて保存がないということもありまして、私として、状況、これは正直、申し上げられる状況ではないですし、恐らくそういったことはないと私自身の記憶では思っております。

○塩川委員 収支報告書上は、二〇一七年までのところについてはキックバック額がないんですよ。二〇一八年から二二年は先ほどお答えになったようなキックバックの額が書かれているということになると、二〇一七年まではキックバックを裏金にしていたんじゃないのかということが、為公会側の収支報告書でもそのことが見て取れるということです。

 麻生派、以前の為公会は、山東派の番町政策研究所などと合流をし志公会となった後の二〇一八年分から、キックバックの収支を派閥側、議員側共に政治資金収支報告書に記載し始めたのではないかと見られるわけであります。

 そういう点では、同じ麻生派の井上信治議員については、志公会の、派閥側の二〇一八年の収支報告書においては、派閥から井上議員側に四百五十八万円の寄附がありましたが、井上氏側の収支報告書にはその記載がなかったわけであります。ですから、二〇一七年まで続いた裏金の伝統を引き継いで、井上氏側は不記載のままにしていたんじゃないのかということが問われるわけであります。

 安倍派、二階派、岸田派の裏金が規正法違反で立件されましたが、違法行為を行っていたという点では、麻生派も五十歩百歩なんじゃないでしょうか。このような自らの派閥である麻生派の裏金疑惑について、調査、検証し、国民の前に明らかにすべきではありませんか。

○鈴木(馨)議員 私が所属をしておりました、かつて存在をした為公会でありますけれども、私の知る限り、適法に様々な処理をしていたと承知をしております。政治資金規正法上のとおりに処理をしているというふうに承知をしております。

 その上で、派閥の運営、あるいはその当時の状況について、私として、責任がある事務局等の立場でもございませんので、その点についてはお答えをできないということは御理解いただきたいと思います。

○塩川委員 岸田総理は、法律上の責任以外にも、政治家として、説明責任、政治責任、そして道義的責任があるんだと言っているわけであります。この過去分についても、しっかりと調べることが誠意ある態度ではないでしょうか。麻生派の裏金疑惑についてまともに調べようともしないのでは、裏金問題の抜本的な解決策を行えるはずがないということを指摘せざるを得ません。

 そもそも派閥の政治資金パーティーでは、議員に対する巨額のノルマ額が明らかになりました。安倍派では、事務総長の松野議員、高木議員は五百四十万円、会長代理の塩谷議員、下村議員は七百五十万円、二階派事務総長の武田議員は二千万円ということであります。

 ノルマが増える派閥の幹部になるほど、多数購入してもらうために、結果として、企業への依存、癒着を深めることになっているんじゃありませんか。

○鈴木(馨)議員 今回の政治資金規正法改正の問題、これは、これまでも議論、様々ありますけれども、やはり特定の者の影響をどう排除するのか、資金によって政策あるいは行政がゆがめられることがあってはならない、そういったことが透明度を上げていく上での一番の趣旨であろうと思います。

 そういった意味でいうと、今回のこの不記載事案、一連の我が党の一部の派閥及び所属の議員による不記載事案によって、行政プロセスであったり、あるいは政策決定過程がゆがめられた、そういった指摘は承知をしておりません。

○塩川委員 派閥の政治資金パーティー収入が形を変えた企業・団体献金として問われているときに、このような企業、団体による寄附を禁止するとともに、企業、団体によるパーティー券購入も禁止するため、政治資金パーティー収入を寄附とみなす法改正を行うことを我が党は提案をしております。やはり、企業との癒着、依存を断ち切ることが必要だ、こういう仕組みともなっているような政治資金パーティーそのものの企業・団体献金に基づくゆがみこそ、正していくべきだということです。

 その点で、三十年前の政治改革は、政治と金の問題を選挙制度の問題にすり替えて小選挙区制を導入をし、政党支部への献金、政治資金パーティー券の購入という二つの抜け道をつくって、企業・団体献金を温存したわけであります。

 自民党案提出者にお尋ねしますが、このような裏金問題の解決のためには、企業・団体献金温存のこの二つの抜け道を塞ぐことが必要ではありませんか。

○鈴木(馨)議員 三十年前の政治改革、まさにこれは、最初、山下委員の指摘にもありましたが、当時、贈収賄ということでスタートした議論だと承知をしております。そういった中で、やはり当時、四か月にわたって我が党の中でも議論が続けられ、政治改革大綱ということで、これは選挙区制も含めて、幅広い議論が行われたわけであります。

 その中で、政党助成金、国民の皆さんに、政治参加、そういった政治の自由ということで、ある意味、民主主義のコストということで御負担をいただく、そういった形で政党助成金、これを導入をしたところであります。

 ただ、同時に、その当時の議論としても、政治のコスト、これをどう下げていくのか、これは極めて大事なことで、それ以降も相当な取組がされ、政治資金全体のボリュームはかなり下がっている状況だと思いますが、その当時の議論でも、税金によるものに加えて、個人あるいは企業、団体、こういったところの資金の出し手という意味でも、そのバランスが必要であるということ。そして同時に、形態ということでいっても、この政党助成金に加えて、寄附、そして事業と、それぞれのバランスをしっかり取っていくということ。

 そのことをもって、先ほど来御指摘のような、政治と金の癒着であったり、あるいは、場合によっては、党に対して隷属的な議員ではなくて、そういった一極集中、上意下達の党ではなくて、これはいろいろな党がありますけれども、私どもとしては、自由民主党としては、国民政党として、そうした党に対してもしっかり物が言える、中でも闊達な議論を行うことで、そういった適切な政治決定、政策決定プロセスを経ていく、そういったことで、こうした改革を進めてきたところであります。

 要すれば、先ほど来申し上げておりますように、企業、団体についても、そこについては、政治参加の自由であったり、あるいは、そうした癒着を防ぐという意味での、幅広い、自ら立つということをつくるためにも必要なものであるというふうに我々としては判断しております。

○塩川委員 元々、政治改革の議論は、リクルート事件、佐川急便事件、ゼネコン汚職、こういったやはり企業の力、企業の金で政治をゆがめる、このことが問題となったからこそ、企業・団体献金禁止の議論が大きく広がってきた。

 最近でも、秋元司議員や吉川貴盛大臣や、また秋本真利議員のように、やはり企業の金で政治をゆがめる、このことが問題となった。まさに賄賂性が問われるのが企業・団体献金だ。この抜け道を塞ぐということこそ、本当に国民が主人公となる、国民主権を保障する、国民の権利を保障する、そういった道だということを強調したい。

 その点で、リクルート事件など金権腐敗事件が相次いだ一九九三年、財界団体の経団連も、企業献金については廃止を含めて見直すべきと発表しました。政治献金のあっせんを取りやめたわけであります。しかし、あっせん中止から十年たった二〇〇三年、日本経団連は、政策や政治の在り方について積極的に発言するとともに、政党活動のコスト負担を行うべきと表明をしました。金も出すが口も出すと始めたのが、通信簿方式の献金促進策であります。

 かつての献金あっせんは、企業の資本金や利益などを勘案して作られたリストに基づいて献金額を企業ごとに割り振り、献金させるというものでした。ところが、通信簿方式の献金促進は、経団連が政党の通信簿をつけて献金のガイドラインを作り、いい成績を取った政党への献金を企業に呼びかけるというものであります。

 こうなりますと、金が欲しければいい成績を取れという露骨な政策買収の仕組みとなっているのではありませんか。お答えください。

○鈴木(馨)議員 そもそも論になりますが、企業・団体献金については、企業は、憲法上の政治活動の自由の一環として、政治資金の寄附の自由を有するとの最高裁判決もある中で、そして、資本主義を旨とする我が国において、企業、団体も社会的存在として重要な立場を保持するとともに、政治活動の自由も有するとのものであります。

 先ほど御指摘ありました日本経団連については、企業・団体献金を社会貢献の一環として位置づけておりまして、傘下の企業、団体は、各政党に対する政策評価を参考に、独自の判断で自発的に政治献金を行っているものと理解をしております。そのような状況下におきましては、政党等がその量的、質的制限の範囲内でその寄附をいただくこと自体が不適切なものであるとは考えておりません。

 また、党内のプロセスにおいても、有識者を中心に様々な声も反映する中で、相当な、党内、様々な議論がある中での政策決定を行っております。そういった意味においては、そうした企業・団体献金が政策決定をゆがめているのではないか、そういった御指摘は当たらないと考えております。

○塩川委員 経団連が模範解答として真っ先に取り上げていたのが、法人税など大企業の負担軽減と消費税の増税だったわけであります。それに応えるようなことがこの間行われてきた。この仕組みは今なお続いて、毎年二十四億円を自民党国政協側に献金をしております。

 昨年十二月、十倉経団連会長は、自民党への献金について、民主主義にはコストがかかる、何が問題かと開き直っているわけであります。金も出すが口も出すという賄賂政治そのもので、政治活動の自由といいながら、実際には賄賂政治の自由だということを言わざるを得ません。

 最後に、企業・団体献金とともに、もう一つ重大な政党助成金についてお尋ねをいたします。

 思想、信条の自由や政党支持の自由を侵す、憲法違反の制度であります。政党助成法施行以来、今年四月までに九千二百五十億円もの税金がばらまかれ、自民党にはその半分の四千四百五十億円が渡されております。

 このような企業・団体献金と政党助成金の二重取りが続いていることについて、自民党案の提出者はどのように受け止めておられますか。

○鈴木(馨)議員 先ほども申し上げたところでありますけれども、政党助成金、これは三十年前の政治改革の結果として導入をされたものであります。

 そのときにも、やはり、企業・団体献金、そして個人献金と、そのバランスをどう取っていくのか、そういったことを通じて、ある意味、国に対しても、あるいは党に対しても、あるいは政治家としてどう自ら立っていくことができるのかということの判断で、こうしたことが行われたと承知をしております。

 なるべく広くそういった政治資金を得る、特にクリーンな形での政治資金を得るということ、まさにそのことは極めて大事なことだろうと思っております。

 そういった中においては、我が党として、政党助成金と同時に企業・団体献金、それを受け取っている。まさにそれは、国民政党として、我が党の成り立ちからいっても、それは企業、団体も含めて、あるいは国民の皆様も含めて、幅広く意見をしっかりと伺った上で政策決定を行っていく、そういった趣旨の下でこうした運用を行っているところでございます。

○塩川委員 聞いているのは、企業・団体献金と政党助成金の二重取りはおかしいという国民の声にはどう答えるのかということです。もう一度。

○鈴木(馨)議員 今趣旨は申し上げましたが、そういった趣旨の下で、政党に対する企業・団体献金は禁止されていないということも含めて、あるいは現行の法制度上、政党助成金が併存しているということを考えれば、二重取りという、そういった批判は当たらないと思いますし、まさにそういった、なぜ我々としてそういう運用をしているのかということは先ほどの御答弁で申し上げたとおりであります。

○塩川委員 国民の声は届かないということであります。

 最後に、自民、立憲、維新の提出者にお尋ねします。

 運営資金に占める政党助成金の割合について、自民党は六四・三%、三分の二を政党助成金に依存しております。立憲民主党は七四・一%、維新の会は七二・三%であります。政党の運営資金の大半が税金という官営政党批判をどう受け止めておられますか。

○鈴木(馨)議員 当然、憲法上の問題等々は生じないこと、それは先ほどの答弁で申し上げたとおりでありますけれども、同時に、国に対してもでありますし、ある意味で、党としても自ら立っていく、そういった姿勢は大事だと思っております。

 そういった中で、どのようにして広く多くの方から、これは企業、団体も含めて、個人、法人も含めて、そうした方から、そういった意味での政治資金、賛同いただいた上で寄附をいただく、あるいは事業として賛同いただく。そういったことを通じて、我々としても、広い、そうした方々からの収入というものをしっかり確保できるように、同時に、制度としてもそうした偏りがないような形にできるように、そういったことで今回法案の提出もさせていただいております。

○落合議員 政党助成金の割合が高過ぎるという議論もあるということは承知をしております。国際的に見てみますと、結構公費の割合が高い国もありますので、党として、この財務状況を、どうやって収入を確保していくかという判断はなされていくものだと思います。

 なお、我々は、企業・団体献金の禁止法案の中に個人の少額の寄附をどんどん促進していくということは入れておりまして、それを目指しているところでございます。

○中司議員 お答えいたします。

 政党助成金については、歴史的経緯を踏まえて考えるべきだと思います。

 一九九四年の細川政権の政治改革以前は、政党助成金制度そのものが存在していませんでした。その中で、リクルート事件や佐川急便事件などが発生をした。政治を商売にしてはならないという世論が沸騰する中で、細川内閣は、政党助成金を交付する代わりに、企業・団体献金を五年以内に見直すと宣言したわけでございます。基本的には、その際に、企業・団体献金は全面禁止としなければならなかったはずだと考えております。

 一部の企業、団体の献金により政策がゆがめられるという弊害を解消するために、国民に広く薄く、例えば毎年コーヒー一杯分の負担をお願いするということは、我が国の民主主義の発展のために意義があることと考えております。また、その趣旨を貫徹するために、企業・団体献金は禁止するべきだと考えておりますので、よろしくお願いします。

○塩川委員 自民党は、企業・団体献金をもっと集めるという答弁でした。とんでもありません。

 政党助成金を受け取らず、廃止を求めてきた日本共産党として、参議院に政党助成法廃止法案も提出をしております。その実現のために力を尽くすことを述べて、質問を終わります。

【内閣委員会】洋上風力EEZ拡大法案/環境保全第一におこなえ

 洋上風力発電の設置を認める海域を排他的経済水域(EEZ)まで拡大する再エネ海域利用法改正案の採決を行い、全会一致で可決しました。

 私は、企業の利益優先ではなく環境保全が重要だと強調しました。

 私は、法案に盛り込まれた、事業者の代わりに環境省が環境アセスに相当する調査を担う内容について質問。洋上風力発電アセスの技術ガイドに関するパブコメで、コウモリ・鳥類・魚類・その他遊泳動物への影響など懸念が示されていると指摘し、「環境省には洋上風力による環境への影響に関する知見があるのか。環境を保全する役割が果たせるのか」と質問。

 環境省は、「科学的知見が乏しい」と認め、環境省が行う事前調査や運転開始後のモニタリングを通じて知見の充実を図っていくと答えました。

 私は、24年度予算事業は、航空機を用いた海域調査などに限られ、予算額も約7億円の内数であり、「あまりに少ない」と追及。

 環境省は「鳥類や他の種も含めて幅広い調査を実施するために、必要な予算・体制を確保していきたい」と答えました。

 私は、政府の生物多様性国家戦略で「知見が十分でないことを理由に先送りせず予防的な対策を講じる」「モニタリング等を通じて得た科学的知見に基づいて事業を継続的に見直す」取組を基本的な考えと示していることを確認し、環境保全に万全を期すよう求めました。

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「議事録」

第213回通常国会 令和6年5月24日(金曜日) 内閣委員会 第16号

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 再エネ海域利用法について質問をいたします。

 海の憲法とも呼ばれる国連海洋法条約は、海洋生物資源の保存並びに海洋環境の研究、保護及び保全の促進を目標に掲げ、いずれの国も、海洋環境を保護し及び保全する義務を有すると宣言をしております。領海か排他的経済水域かを問わず、海洋環境を保護することが国家の義務であることを確認したものであります。

 そこでお尋ねしますが、従来の事業者の環境アセスと、今回の法改正に伴う環境省によるアセスの一部の肩代わりとの違いは何なのか。環境省が調査方法書を作成し現地調査を行うということですが、環境保全の観点から、これまでと比べてどのような改善が図られるのか、この点についてお答えください。

○堀上政府参考人 お答えいたします。

 本法案におきまして、洋上風力発電事業に係る区域の指定に当たって、海洋環境の保全の観点から、環境大臣が調査等を行うとともに、事業者が行う環境影響評価法に基づく手続のうち、これに相当するものを適用除外とすることとしております。

 洋上風力発電による環境影響は風車の立地場所によるところが大きいということで、国が区域を指定する際に適切に環境に配慮した場所を選定することが重要である、このことから、事前の環境調査規定を設けることによりましてこれが可能となるということでございます。

○塩川委員 洋上風力発電の導入が進んでいるオランダ、デンマークでは、海域選定プロセスや環境アセスにおいて国が主体的な役割を果たす仕組みとなっていると聞いておりますが、どのような仕組みなのかについて説明をしてください。

○堀上政府参考人 お答えいたします。

 洋上風力発電の実績が多いデンマークそれからオランダでは、初期段階から政府が主導的に関与する、いわゆるセントラル方式が導入されております。政府によって、事業実施区域の選定や、区域選定に当たっての主な環境影響の評価が行われていると承知をしております。

 本法案においては、こうした諸外国の状況も参考に、区域指定前に国が海洋環境調査を実施するということとしております。

○塩川委員 欧州諸国も、国が調査を行う仕組みをつくり、知見を蓄積してきたということですので、日本においても、そういった知見の蓄積を国が行うということで、蓄積をしていく、そのことが可能となるということでよろしいですか。

○堀上政府参考人 お答えいたします。

 環境省自らが調査を行っていくということで、国外の例を倣いながらということで、事業での環境影響に係る知見を集積していくということによって、その知見を活用し、事業全体における環境負荷の低減、あるいは今後の事業に係る地域の理解の促進を図っていく、そういうことに活用できるというふうに考えてございます。

    〔委員長退席、中山委員長代理着席〕

○塩川委員 洋上風力発電環境アセス技術ガイドに対するパブコメへの回答を見ますと、環境への影響について、海底の送電ケーブルにより生じる電磁界の影響ですとか、コウモリ、鳥類、魚類その他遊泳動物への影響、個体群に対する累積的影響及び広域的影響について、科学的知見が少ないことから、引き続き知見の収集に取り組むとしております。

 これまでの科学的知見がない中で、環境省は、洋上風力発電による環境への影響を調査、把握をし、環境を保全する役割というのを果たしていけるのか、この点についてお答えください。

○堀上政府参考人 委員御指摘のとおり、洋上風力発電につきまして、科学的知見が乏しいというところはございます。これは、陸上風力発電事業に比べて稼働実績が少ないということなどで、現時点では、実際の環境影響に係る科学的知見が十分には蓄積されていないという状況にございます。区域の指定に際して環境省が行う調査等を通じて、この知見の集積を図ることが重要と考えてございます。

 その上で、国と事業者の適切な役割分担の下に行う運転開始後のモニタリングにおきまして、実際の環境影響に関する情報を収集し、後続のその他の事業における環境影響の適切な予測、評価、あるいは効果的な環境配慮の確保につなげてまいりたいと考えてございます。

 なお、モニタリングの結果、仮に重大な環境影響が確認された場合には、事業者において追加的な環境保全措置を検討することが必要ということで考えております。

 このような取組を通じて、洋上風力発電事業に係る環境配慮を確保してまいりたいと考えてございます。

○塩川委員 モニタリングの話も出ました。モニタリングの結果において問題があれば、追加的な措置を求めていくということであります。

 生物多様性国家戦略では、施策の実施に当たっては、長期的な視点に立ち、生物多様性が持つ複雑性、不確実性等を踏まえ、科学的な知識と予防的、順応的な取組が重要としております。この内容がどのような内容なのかについて御説明ください。

○堀上政府参考人 お答えいたします。

 生物多様性国家戦略におきまして、どのような内容で書かれているかということでございます。

 これにつきましては、科学的な認識と予防的、順応的な取組というのを、戦略の実施に向けた基本的な考え方の一つとして国家戦略の中で位置づけてございます。

 この国家戦略の中において、予防的な取組につきましては、不確実性を伴うことをもって対策等を先送りするのではなく、科学的知見の充実に努めつつ、予防的な対策を講じるという考え方を記載をしております。

 また、順応的な取組につきましては、新たに集積した科学的知見や、施策の実施状況のモニタリング結果に基づいて、必要な施策の追加、変更や施策の中止等の見直しを継続して行っていくという考え方、これを記載しているというところでございます。

○塩川委員 予防的な取組方法また順応的な取組方法、この点についてが指摘をされているということであります。

 パブコメへの政府の回答では、モニタリング等を通じて知見を収集していくと述べているわけですが、先ほど述べたような考え方、取組方法に基づいて、パブコメで指摘があった多様な生物への影響について、モニタリングを実施していくことになるんでしょうか。

○堀上政府参考人 お答えいたします。

 一般的に、環境影響評価におきましては、モニタリングにつきましては、環境影響評価の結果、その事業がどのようになっていくのか、そこをモニタリングするということですので、予測、評価の中で実際に評価している内容についてモニタリングをする、その中には生物のことについても含まれていくというふうに考えてございます。

○塩川委員 具体的なモニタリングの対象ですとか、そういったことについての考え方などはあるんでしょうか。

○堀上政府参考人 お答えいたします。

 洋上風力は、知見がこれまで余りないということを申し上げました。そういう意味で、今後、モニタリングの内容については、環境省が、海外の先行事例を含めた最新の科学的知見を収集しながら、関係省庁と共同してガイドラインを作成することとしております。これに沿った形でモニタリングを実施していくということにしております。

○塩川委員 その際に、どのような生物種を対象、念頭としているのかについて示してもらえますか。

○堀上政府参考人 お答えいたします。

 一般的なことになりますけれども、特に領海については、渡り鳥あるいは海鳥について、洋上では特に重要な種類となると思います。また、海生生物の中にも貴重な種類というものもございます。そういったものを調査、評価する中で、モニタリングが必要なものが出てくるということでございます。

 また、EEZにおきましても、特に鳥、渡り鳥あるいは海鳥というものが重要な種類になっていきますので、そこについては、調査、予測、評価の中で出てきたことについてまたモニタリングをしていくということになろうかと思います。

○塩川委員 EEZなどにおいても、渡り鳥、海鳥、鳥類だけではなくて、海洋生物もやはり視野に入れてということが求められると思うんですが、その点はどうでしょうか。

    〔中山委員長代理退席、委員長着席〕

○堀上政府参考人 先ほど来お話をしておりますけれども、EEZにおきましては、まだ知見が十分でないということでございます。この辺り、海外の知見も収集しながらになりますけれども、特に今懸念されておりますのは海鳥、渡り鳥ということでありまして、海生生物の中で特に重要な種類がいるかどうか、今後の情報収集の中で整理をしていくことになるかと思います。

○塩川委員 知見がないというEEZにおける募集区域においては環境省が文献調査を行うということですけれども、こういった知見がないものについては、文献調査にとどまらず、新たな調査も行うということでよろしいんでしょうか。

○堀上政府参考人 特に海鳥について懸念をしているところでございますが、知見がない中でどうしていくかということでございます。

 これにつきましては、今年度、予算事業において、レーダーによる鳥類調査の技術的手法の実証等を行っていくということにしております。そういった中で知見を収集して、今後に活用していきたいというふうに考えてございます。

○塩川委員 レーダーによる鳥類調査の話がありましたが、環境省の予算事業は、環境調査の実施として挙げられているのは、航空機を用いた海域調査やレーダーによる鳥類調査などに限られており、予算額も約七億円の内数ということでは余りにも少な過ぎるのではないのかと思いますが、そうは思いませんか。

○堀上政府参考人 今年度の予算ということで、今委員御指摘のとおりでございます。

 本法案が成立し施行された際には、環境省が、海洋環境保全の観点から、さらに、鳥類のほかも含めて幅広い項目について調査を実施することになりますけれども、実際に調査を行う対象海域の特性に応じて適切な調査手法を検討の上、それに必要な体制、予算をしっかり確保できるように努めていきたいと考えてございます。

○塩川委員 必要な体制、予算の確保に努めていただきたいということです。

 EEZの募集区域の検討に当たっては、経産省が区域候補の検討を行う段階から環境省が関与する仕組みとすべきではないかと考えますが、その点はどうでしょうか。

○井上政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案に基づきまして、募集区域を指定しようとするとき、候補海域におきまして、経産大臣は風況や海底地盤等に関する調査を行いますが、環境大臣が海洋環境に関する調査を行うこととしておりまして、環境省が当初から関与する仕組みを法定化しております。

 この中で、洋上風力の案件形成を迅速に進めていくためには、両省の連携の下で、それぞれの調査を円滑に行うことが重要となります。

 このため、募集区域の候補について検討する段階から密に情報交換を行うなど、引き続き、環境省を始めとする関係省庁と密接に連携してまいりたいと考えてございます。

○塩川委員 そうしますと、環境省の環境保全の調査を踏まえて、経産省の事業可能性調査に基づく区域指定を変更するというのはあり得るということでよろしいですか。

○井上政府参考人 お答え申し上げます。

 そうした可能性も排除されないと考えております。

○塩川委員 大臣にお尋ねいたします。

 自民党の秋本真利衆議院議員の贈収賄事件もあったように、洋上風力発電は投資の規模も大きい、企業の利益追求が前面に出て、開発が優先をされ、環境保全が軽視される懸念もあります。環境や生物多様性への影響がある場合には、科学的な認識と予防的、順応的な取組の考え方に基づき、事業を見直すということでよろしいでしょうか。

○松村国務大臣 お答え申し上げます。

 本法案におきましては、環境省が事前に海洋環境調査を実施することによりまして、あらかじめ適切な環境配慮をした上で促進区域等を指定することといたしております。

 また、事業者におきましても、環境影響評価法に基づきまして、具体的な事業計画について環境影響評価を行い、それに対して環境大臣も必要な意見を述べることで、最大限予防的な対策を講じていくこととしておるところでございます。

 その上で、洋上風力発電事業におきましては、環境影響に関する知見が御指摘のように十分集積されているとは言えないため、実際の環境影響をモニタリングをいたしまして、重大な環境影響が判明した場合においては、事業者が、順応的な取組の考え方に基づきまして、追加的な環境保全措置を検討することが重要であると思っております。

 これらの取組を通じまして、洋上風力発電事業の環境影響に関する知見を集積するとともに、事業における適正な環境配慮を確保してまいりたいと考えております。

○塩川委員 是非、順応的な取組ということで、追加的な措置を行っていく、環境保全のために万全を期すという取組につながるような対応を求めるものであります。

 募集区域に係る、協議会に参加をする漁業関係者の範囲はどのように決めるんでしょうか。

○井上政府参考人 お答え申し上げます。

 法定協議会の構成員となる具体的な漁業関係団体等につきましては、当該協議会の設置前までに、水産庁への確認を踏まえて、しっかりと特定していきたいというふうに考えてございます。

○塩川委員 水産庁と相談しながらということです。

 全国組織の漁業関係団体にお話をお聞きしたところ、区域指定や事業計画について、関係する都道府県に対する情報提供を徹底してほしい、EEZ内では幅広い都道府県から漁師が来て漁を行っている、例えば千葉沖の海であっても青森から漁に来るなどということがある、沖合での漁は大臣許可となっているので、関係する県の範囲については水産庁が把握しているはずということでした。

 このような関係する都道府県に対する情報提供はどのように行っていくんでしょうか。

○井上政府参考人 お答え申し上げます。

 漁業との共生は大前提だと考えておりまして、経産大臣が募集区域の指定に向けてあらかじめ区域の状況を調査する、その調査に際しては、水産庁を通じまして、関係する都道府県の水産部局でありますとか漁業関係の全国団体にもアプローチし相談しつつ進めていくということとしておりまして、こうしたプロセスなどを通じて必要な情報を的確に提供していきたいというふうに考えております。

○塩川委員 最後に、大臣にお尋ねいたします。

 現行法に基づく促進区域での洋上風力は、海岸のすぐ近くに計画される事例が多いわけであります。こうした計画に対して、北海道や東北地方を始め各地で、地域住民の方から、健康被害や景観問題などを引き起こすとして反対運動も起きております。

 現行法では、促進区域の指定に関する合意形成の場である法定協議会に住民の参加が保障されておらず、地域住民の合意がないままに計画が進められている実態があります。例えば、署名運動を行う団体の代表の方から意見を聞くとか、署名の内容について協議会で議論をするといった、住民の声を反映をする、そういった改善策を図るべきではないのかと考えますが、大臣、お答えください。

○松村国務大臣 現行法におきましては、法定協議会の構成員といたしまして都道府県知事及び市町村長が規定をされておりまして、それぞれ、地域を代表して協議会において御発言いただいているものと承知をいたしております。また、その際、地域の中でどのように意見集約を行うかは、地方自治体の観点から、自治体の運営に委ねられていると考えております。

 その上で、地域代表である知事及び市町村長の意見も含めまして、協議会で協議が調った事項につきましては、協議会意見取りまとめという文書を作成をいたしまして、公募に参加する事業者はこの内容を踏まえた事業計画を作成することが求められているところでございます。

 また、地域によりましては、法定協議会のみならず、自治体が任意の検討会等を開催をしていただきまして、地域住民の方々の御意見をしっかりとお聞きし、拾い上げ、その御意見を踏まえまして協議会において発言することで、地域住民の意見を取りまとめに反映させている例もございます。例えば、秋田市におきましては秋田市の方が主催をしていただいておりますし、山形県においては山形県が主催をなさいまして、研究・検討会議、こうしたものが開かれております。

 こうした例も参考にいたしまして、各自治体と緊密に連携しつつ、協議会の進め方について改善を図ってまいりたいと考えております。

○塩川委員 制度的に地域住民の声がきちっと反映される仕組みが担保されていない、自治体独自でやっていますけれども、それの様々な問題点も指摘をされているところでありますので、地域住民の声をしっかりと反映をする、そういった計画、運営の在り方を整えていく、このことを強く求めて、質問を終わります。

【「しんぶん赤旗」掲載】額賀議長らの進め方強引/皇位継承会議で穀田氏批判

「しんぶん赤旗」5月24日・2面より

 衆参両院は23日、皇位継承などに関する全体会議を衆院議長公邸で開きました。日本共産党から小池晃書記局長、穀田恵二国対委員長、塩川鉄也衆院議員が出席しました。

 各党発言の冒頭で穀田氏は、会議の進め方について発言。額賀福志郎衆院議長が政府の有識者会議の報告に沿って「主な論点(案)」をつくり、同案に沿って毎週議論し、今国会中に結論を得るとの方針で進めていることについて、「極めて強引で乱暴なやり方だ」と批判しました。

 前回会議で各党・各会派から憲法に基づく議論の重要性、国会の付帯決議の要請など議論の進め方を巡ってもさまざまな意見が出されたにもかかわらず、議長が示した「論点(案)」で進めるのは、あまりにも各党・各会派の意見を無視するものだと指摘しました。その上で、この日法制局長が報告した「要点」は「論点(案)」に沿った一方的で恣意(しい)的なまとめ方だと強く批判しました。

 また、額賀衆院議長が会議は公開せず、会議録の公表は結論が出てからとしたことについて、穀田氏は「議論を進めていくうえで各党の発言を正確に把握することは当然の前提だ。会議の公開はこの問題について国民的な意見を反映していくうえで必要だ」と強調し、会議録の公開を強く要求。今国会中に結論を得るとしたことについても拙速すぎると批判し、「運営そのものについて各党・各会派の意見を丁寧に聞いて、合意を形成する努力が必要だ」と強調しました。

 各党・各会派からも拙速な議論の進め方などに異論が出されました。額賀議長は、進め方について「衆参両院正副議長4者で議論したい」と述べました。

【政治改革特別委員会】政治資金規正法改正/企業・団体献金は賄賂/全面禁止迫る

 政治資金規正法改正など自民党案、立憲民主党案、日本維新の会案の実質的な審議が始まりました。私は裏金事件の真相解明とともに、裏金の原資となった企業・団体による政治資金パーティー券購入も含め、企業・団体献金の全面禁止の実現を迫りました。

 私は、規正法は政治活動を国民の不断の監視と批判のもとに置き、国民の疑念を招くことがないよう公明正大に行うよう求めていると強調。自民党の裏金問題は「誰がいつから何のために行ったのか」と追及しました。

 自民案提出者の鈴木馨祐議員は「知る立場にはない」としか答えませんでした。

 私は、自民党の聞き取り調査報告書にも、裏金の経緯をただす質問項目がないと批判。裏金事件に関わった44人の衆院議員、参院29人の議員は政治倫理審査会への出席を拒否している「自民党は真相解明の努力をまったくやっていないことがはっきりした」と迫りました。

 鈴木氏は「(真相は)一定程度、解明されてきた」と強弁。

 私は「真相も明らかにできない自民党に抜本的な解決策ができるはずがない」と厳しく批判しました。

 私は「裏金の原資である政治資金パーティー収入は形を変えた企業・団体献金だ」と強調。自民党派閥のパーティー収入は1998年から99年に3・6倍に急増したと指摘し、「99年に派閥への企業・団体献金が禁止されたことをきっかけに、パーティー収入という形で企業・団体からの献金を受け取るようになったからだ」と告発しました。

 さらに「なぜ自民案には、企業・団体献金の禁止が入っていないのか」と追及。

 「(献金で)政治がゆがめられた指摘はない」「企業も政治参加の自由がある」と繰り返す鈴木氏に対し、私は「そもそも企業の政治献金は、政治を買収する賄賂だ。国民が政治献金するのは、主権者として、政治参加の権利そのもの。選挙権のない企業が献金するのは国民主権と相いれず、国民の参政権を侵害するものだ」と強調しました。

 私は、企業・団体献金禁止を盛り込んだ立民と維新両党にも「この認識はあるか」とただしました。

 立民の落合貴之議員は「賄賂性が高い。(参政権の侵害は)そういう捉え方もあると思う」と答弁。

 維新の青柳仁士議員は「賄賂という表現を使うかは別として、企業・団体献金が政策決定をゆがめる弊害はある」と答えました。

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裏金の本質は企業・団体献金/「抜け穴」残すか/ふさぐのか

「しんぶん赤旗」5月24日・3面より

政治改革特別委

 自民党派閥の裏金問題の本質は、政治資金パーティーという「抜け穴」を使って企業・団体から巨額の献金が自民党に流れ込み、政治がゆがめられてきたことです。23日の衆院政治改革特別委員会では、裏金事件の真相解明と政治資金規正法改正に向けた実質審議が開始。自民党案では「抜け穴」が温存され、金権腐敗の根を断つことはできないと、各党から厳しい追及が相次ぎました。

“大穴”を残す自民党案

 自民党案は、政治資金パーティー券購入者の公開基準を現行の「20万円超」から「10万円超」に引き下げるとしています。しかし、最大の問題である企業・団体のパーティー券購入という「抜け穴」は温存されたままです。

 岸田文雄首相はこの間、「大口購入者の公開など、政治資金パーティーの透明性を向上させることは国民の理解を得る上でも大変意義あるものだ」と言い訳し、企業・団体のパーティー券の購入禁止はかたくなに否定しています。

 公明党は公開基準を「5万円超」に引き下げるよう主張。同党の中野洋昌議員は23日の質疑で、「自民党案の早期提示を求めるなど議論をリードしてきた」とアピールしましたが、自民党同様に購入禁止には触れていません。

 しかし、パーティー券購入は圧倒的に企業・団体によるもので、その利益率は8~9割に及びます。これが、形を変えた企業・団体献金になっていることは明らかです。1990年代、金権腐敗事件が相次ぐ中で、「政治改革」が唱えられましたが、99年の政治資金規正法改定では、企業・団体による派閥への献金を禁止するのみで、「パーティー券の購入」が大穴として残されました。

 日本共産党の塩川鉄也議員は、98年から99年にかけて自民党派閥のパーティー収入が3・6倍に急増したことを指摘。「99年の改定をきっかけに、派閥のパーティー券収入という形で企業・団体からの献金を受け取るようになった。裏金問題の大本には企業・団体献金がある」と断じました。

 日本共産党は、企業・団体と個人を区別し、企業・団体のパーティー券購入を禁止した上で、個人がパーティー券を購入する場合には、公開基準を一般の寄付と同様に「5万円超」とするよう提案しています。

 立憲民主党は個人と企業・団体を区別せず政治資金パーティーそのものの禁止を提案。日本維新の会は、企業・団体献金の「抜け穴」として政治資金パーティーが使われてきたとして、企業・団体によるパーティー券の購入を禁止するとしています。

 各党の追及に対し、自民党の鈴木馨祐議員・党政治刷新本部座長は「全ての企業(献金)が悪か、そうではない」「企業にも政治参加の自由が保障されている」と繰り返すのみ。「抜け穴」をふさごうという姿勢は全くありません。

全面禁止求める共産党案

 自民党政治の金権腐敗の温床は企業・団体献金です。90年代の「政治改革」で、企業・団体献金は「廃止の方向に踏み切る」(細川護熙首相、93年8月)とされました。ところが「企業・団体による政治資金パーティー券の購入」とともに「政党・政党支部への献金」を認めるなど「抜け穴」をつくったのが自民党です。自民党には、政治をゆがめる企業・団体献金を温存し続けたことへの反省こそ必要です。

 しかし、岸田首相は裏金問題の発覚を受けてもなお、企業にも政治活動の自由の一環として「寄付の自由がある」などと主張。「企業・団体献金が政治をゆがめる」との指摘に対しても、さまざまな議論を重ねて政策をつくるので「企業の献金は政策を左右しない」と強弁しています。

 政治資金規正法の改正をめぐっても、自民党案には、肝心の企業・団体献金の禁止が盛り込まれていません。

 23日の質疑で、企業・団体献金の賄賂性について問われた自民党の鈴木議員は「さまざまな収入を確保することが政策立案における中立公正やバランスの確保につながる」と答弁。あくまで企業・団体献金の禁止は「考えていない」と強弁しました。

 一方、公明党は企業・団体献金について「議論する課題」としていますが、企業・団体献金の禁止を正面から求めようとしません。

 これに対し、日本共産党は89年から企業・団体献金全面禁止法案を提出。抜け穴も完全にふさぎ、いかなる企業・団体による寄付も禁止しています。

 塩川議員は、自民党が経団連からこの20年間で464億円もの献金を受けていると指摘。この間に経団連などが求める法人税の減税が繰り返されてきたとして「企業・団体献金は、政治を買収する賄賂であり、国民の参政権を侵害するものだ」と指摘しました。

 立憲民主党も企業・団体献金を禁止する法案を単独で提出。同党の柚木道義議員は、企業・団体献金について「(政治を)ゆがめてきたとみられている。廃止の検討を」と求めました。

 また、日本維新の会が提出した案も企業・団体献金禁止を盛り込んでいます。青柳仁士議員は「企業・団体からの献金が政策決定をゆがめる弊害がある」「例外なく禁止する立法措置を講じなければならない」と述べました。

 一方、日本共産党は企業・団体献金禁止法案とともに政党助成金を廃止する法案を参院に提出しています。

 塩川氏は、「主権者は国民であり、財政活動そのものも国民に依拠することこそ求められる」と訴えました。


「議事録」

第213回通常国会 令和6年5月23日(木曜日) 政治改革に関する特別委員会 第4号

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 まず最初に、自民党案の提出者にお尋ねをいたします。

 政治資金規正法の目的、基本理念との関係ですけれども、政治資金規正法は、政治活動の実態を国民の前に公開をし、いわばガラス張りの中において、国民の不断の監視と批判の下に置くこととしており、政治資金の公開はその最も重要な手段であります。

 規正法は、いやしくも国民の疑念を招くことのないように、公明正大に行うことを求めているのではありませんか。

○鈴木(馨)議員 規正法の理念として、政治活動に関する資金、そこを正しくきちんと報告書に記載をするということがこの法律の中で規定をされていると認識をしております。

○塩川委員 この政治資金の公開という重要な手段を行っていない、規正法の理念と全く反するのが自民党の裏金問題であります。

 そこで、この自民党の裏金問題について、誰がいつから何のために行ったのか、この点について明らかにしてもらえますか。

○鈴木(馨)議員 真相、実態の究明が極めて大事だという認識は共有をしております。その上で、今回のいわゆる不記載問題は、本当の意味であってはならないことでありますし、そこの点については真摯におわびを申し上げたいと思います。

 その上で、今回の収支報告書への不記載の問題については、先ほども申し上げましたが、我が党として、党役員を中心に、外部の弁護士を交えて、関係議員そして選挙区支部長等からヒアリングを行い、事実関係の把握、解明に努め、弁護士による報告書については公表しているところであります。

 先ほども申し上げましたが、やはり各議員において実態の解明に向けて説明責任を今後も果たしていくことは極めて重要だと考えておりますが、誰がいつから何のためにというところについては、私はそれ以上知り得る立場にないということから、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。

○塩川委員 じゃ、誰がいつから何のために始めたのか、自民党の提出者で分かっている方、答えられますか。

○鈴木(馨)議員 この提出者の中では、それを知り得る立場に我々一同ないということで、お答えについては差し控えさせていただきたいと思います。

○塩川委員 差し控えるも何も、知らないという話自身が、こんな審議はそもそも前提を欠いているんじゃないでしょうか。

 先ほど紹介があった自民党の聞き取り調査報告書というのも、これは質問項目を見ましても、この調査事項に、誰がいつから何のために行ったか、こういうことをただす質問項目そのものがないんですよ。これでは、自民党として裏金問題のそもそもについて調査をしていないということですね。

○鈴木(馨)議員 こうした聞き取りも含めて、外部の弁護士も交えてのヒアリングという中で、これは様々な聞き取りを行っていると承知をしております。その上で、報告書については公表されているということでございます。

○塩川委員 ですから、ヒアリングの聞き取り調査項目の中に、誰がいつから何のために行ったのかというのが入っていないんですよ。ということは、自民党が行った調査、その報告ですけれども、自民党として、誰がいつから何のために始めたのかということについては調べていないということになるんじゃありませんか。

○鈴木(馨)議員 その点につきましては、先般、予算委員会において岸田総理からも、こうした森総理に対する聴取、国民の関心を踏まえて、いつからこうしたシステムがスタートしたか等について直接お伺いをしましたということを、総理からも塩川先生に対して答弁を申し上げていると思います。

 そうした中で、総理からは、私自身、国民の皆さんの関心を踏まえて、森元総理に電話で聴取をいたしました、その上で、今回の事案について関係しているのかという点の確認はできなかったという答弁をしているところでございます。

 こういった様々な聞き取りについても、今後も様々な、真相究明、実態究明は極めて大事なことでありますから、そこについては、各関係の議員についてはそうした努力は必要だと思いますし、その点で、そういった真相究明に向けて党としても取り組んでいきたいと思います。

○塩川委員 この間、例えば、政倫審に弁明に出た幹部がいましたけれども、何も肝腎なことを語っていないじゃないですか。

 森さんにも電話したと言いますけれども、話した、やり取りした中身も総理の方から説明がなければ、同席者もいない、記録もない、こんなことでまともな調査と言えるのかというのは誰もが思うところであります。

 衆議院に対して四十四人、参議院でも二十九人、政倫審に出てほしいと自民党も含めて要求しているにもかかわらず、誰も出てこないという点でも、誰がいつから何のために始めたのか、この真相究明に全く後ろ向きだというのが自民党だということになります。

 岸田首相、自民党総裁は、自民党裏金問題について、真相解明の努力は続けなければならないと述べていますけれども、自民党としては真相解明の努力は全くやっていないということがはっきりしたと思いますが、改めていかがですか。

○鈴木(馨)議員 これまで党が行ったアンケート調査、先ほど先生からも御指摘がありましたが、あるいは弁護士も交えて行ったヒアリングの報告書、そして追加的に行ったヒアリング等々によりまして、事実関係は、十分ではないとの御指摘がありますけれども、一定程度解明をされてきているんだと思います。

 そういった中にあって、今後も実態解明に向けて、関係の議員、関係者においては、説明責任をしっかりと当事者が果たしていくことが重要であると考えております。

○塩川委員 一定程度解明といっても、何にも明らかになっていないじゃないですか。何の説明もしていないんですよ。これでどうして納得できるのか。

 真相も明らかにできない自民党に、抜本的な解決策ができるはずがありません。

 裏金の原資である政治資金パーティー収入は、形を変えた企業・団体献金であります。自民党の派閥のパーティー収入は、一九九八年から九九年にかけて、三・六倍に急増いたしました。それは、一九九九年に派閥への企業・団体献金が禁止されたことをきっかけに、派閥の政治資金パーティー収入という形で企業、団体からの献金を受け取るようになったからであります。

 裏金問題の大本には企業・団体献金があります。裏金問題の抜本的改革といいながら、なぜ自民党案には企業・団体献金の禁止が入っていないのですか。

○鈴木(馨)議員 先ほど来申し上げておりますように、やはり一連の政治改革、これはリクルート事件の後もそうですし、様々、これまで国会において真摯に取り組まれてきたと承知をしております。

 一番大事なことは、やはり特定の者のそうした金が政治をゆがめることがあってはならない、行政あるいは政策決定をゆがめることがあってはならない、これが一番の根幹の、改革をやらなくてはいけないその意識、認識であろうと思います。

 そういった中にあって、一つには、今回の事案のために政策決定あるいは行政がゆがめられた、癒着があった、こういった指摘は承知をしておりません。

 加えて、これまで様々申し上げておりますけれども、企業においても政治活動の自由、特に、これから日本においては、資本主義経済の中で、企業といえどもやはり政治参加の自由があり、政治参加をしていくべきであるという我々の考えの下で、今回、企業・団体献金を禁止をするということについては私どもとしては考えておりません。

○塩川委員 特定の企業のお金で政治をゆがめるようなことがあってはならないけれども、今回についてはそういう事例がないとかと言いますけれども、また、企業にも政治活動の自由があると言いますが、これはずっとその議論をやってきているんですよ。

 元々、リクルート事件などに端を発した九〇年代の政治改革のところについても、まさに当事者であります、三十年前、自民党総裁として政治改革の当事者だった河野洋平元議長は、この頃は企業献金が多いが、税制を始めとしていろいろな政策がゆがんでいる、庶民から企業の方に政策のウェートがかかって、企業献金が政策のゆがみを引き起こしているから、それをやめようというのが大きな声として起こったと述べているわけであります。

 ここで河野元自民党総裁が言っていることの意味するところというのは、そもそも企業・団体献金というのは政治をゆがめる、そういった政治を買収する賄賂性があるということと、それに伴って、国民の参政権を侵害をするんだ、この点が厳しく問われているということを申し上げていたわけであります。

 ですから、そもそも企業の政治献金は本質的に政治を買収する賄賂であって、営利を目的とする企業が個人をはるかに超える強大な財力で政治に影響を与え、自己の利益を図れば、政治は大企業、財界に向けたものになってしまうということであり、もう一点、国民一人一人が自ら支持する政党に寄附することは、主権者として政治に参加する権利そのもの、国民固有の権利であります。しかし、選挙権を持たない企業が献金することは、国民主権と相入れず、国民の参政権を侵害するものであります。

 自民党案の提出者にお尋ねしますが、この企業・団体献金についての認識ですけれども、河野元自民党総裁が述べているように、政治を買収する賄賂であり、国民の参政権を侵害するものという認識はお持ちですか。

○鈴木(馨)議員 以前、岸田総理も予算委員会で述べておりますが、それぞれ政治団体、これは政党あるいは政治家個人が関わるものでありますが、そこの収入については、多様な考え方、多様な出し手、様々な収入を確保することが、政策立案における中立公正やバランスの確保につながり、極めて重要なもの、そういった答弁をしております。

 まさにそうした政治、政策決定への特定の者の影響をどう排除するのか、その観点からすれば、やはり多様なそうした者による関与が極めて大事であろうと思っております。

 そういった中にあっては、以前、私どもで策定をした政治改革大綱、これは、当時、数か月をかけて策定されたものでありますが、その中でも、政党助成金とそして個人と企業、そのバランスの上でしっかりやっていくんだ、そういったことをそのときにも述べているところであります。

 どのようにして広い方からしっかりそういった形の政治資金を得ることができるのか、このことが極めて大事な課題というふうに認識を我々としてはしております。

○塩川委員 バランスの話をされました。個人の献金、企業の献金、また政党助成金、税金のバランスといいますけれども、この前も予算委員会でやりましたけれども、自民党の政治資金の三分の二は政党助成金なんですよ。極めてバランスを欠いている、官営政党と言われても仕方がないということであります。

 その上で、やはり主権者国民の立場での政治、国民主権ですから、財政活動そのものも、国民に依拠する財政活動こそ求められているわけであって、その基本が個人の献金、この活動をどれだけ貫くかということが一番の根幹にあります。その国民主権を侵害をするのがまさに賄賂性を持つ企業・団体献金であり、その禁止が国民の参政権を侵害するその大本を取り除く、そういうことになると考えますが、改めてお答えください。

○鈴木(馨)議員 全ての企業、団体が悪なのか、そういうことでは恐らくないんだろうと思います。そういった中で、どのように特定の者に偏らないのか、そのことが極めて大事だと思っております。

 企業にも政治参加の自由はある、団体にもある、そういった中で、どのようにしてその適切性をしっかり担保する、ある意味で、薄く広く、多くの多様な者に依拠する、そういった政治をつくっていくことができるのか、このことは極めて重要であろうと思っております。

○塩川委員 特定の者に偏らないと。特定の者において様々な贈収賄事件、汚職事件が起こった、これ自身も極めて重大ですけれども。

 例えば、経済団体の日本経団連が、それこそ企業・団体献金について、国民政治協会を通じて多額に自民党に献金、資金を提供しているわけであります。それ自身がそもそも政治をゆがめてきたんじゃないかというのが問われているわけで、消費税は増税をしろ、法人税は下げろ、そういう結果が、この二十年間で、基本税率で法人税が三〇が二三・二に下がり、消費税は五%が一〇%に上がる。この二十年間で自民党への献金額は四百六十四億円ですから、政治をゆがめる、国民主権を侵害をする、こういった企業・団体献金はきっぱり禁止をする必要があるということを重ねて申し上げておくものであります。

 その上で、立憲案提出者、また維新案提出者にお尋ねをいたします。

 まず、立憲案提出者にお尋ねしますが、今回の法案に企業・団体献金禁止を盛り込んだのはなぜなのか。今日やり取りをしましたように、企業・団体献金というのがやはり政治を買収する賄賂であり、国民の参政権を侵害するものなんだ、そのことについての認識についても併せてお答えください。

○落合議員 今も議論がされていますように、これまでも、多額の企業・団体献金が腐敗の原因だ、癒着構造の原因だということは、国会でも、そして様々なところでもずっと指摘がされてきました。

 やはり国民全体のための政策を実行していくためには、特定の企業、団体によって政治や政策決定がゆがめられることがないようにしていくことが必要であり、そういった議論の結果、一九九四年に法改正がされて、政治家個人に対するものがまず禁止されました。二〇〇〇年には資金管理団体も駄目ですよということになったわけですが、政党はオーケーということになり、いつの間にか、政治家一人一人が政党支部の支部長になって、実質的に政治家個人の団体に企業・団体献金が行われているということが行われ続けているわけです。

 また、今日も指摘されているように、政治資金パーティー自体が企業・団体献金の代替でもあるということで、やはり三十年近く議論されたこと、これがしっかり我々の法改正の中で実行されていないというものが問題だというふうに考えています。

 したがって、企業・団体献金は禁止をする、パーティー券の購入も禁止をする、そして個人献金中心のそういった政治とお金の在り方に変えていくということで本法律案を提出をいたしました。

○塩川委員 改めて立憲の提出者にお尋ねしますけれども、企業・団体献金についての認識として、その害悪の問題について、政治を買収する賄賂であり、そのことをもって国民の参政権を侵害するものだ、この点については同じ認識をお持ちでしょうか。

○落合議員 賄賂性が高いというふうに考えております。

○塩川委員 そのことを踏まえて、国民の参政権を侵害する、そこについてはいかがでしょうか。

○落合議員 そういった捉え方も一面ではあるかなというふうには考えます。

○塩川委員 では、維新案提出者にお尋ねいたします。

 法案に企業・団体献金禁止を盛り込んだのはなぜか。その企業・団体献金が政治を買収する賄賂であり、国民の参政権を侵害する、その点についての認識についてお尋ねをいたします。

○青柳(仁)議員 お答えします。

 まず、賄賂という表現を使うかどうかは別にして、企業、団体からの献金が政策決定をゆがめる弊害があるということは認識をしております。また、それについては、今国会で我が党会派の議員も徹底的に指摘をしてきたところであります。

 それから、平成六年に開始された政党助成制度も、企業・団体献金の廃止と一緒に議論されていたにもかかわらず、政党が受け取ることは例外的に認めるとする抜け穴がありまして、以前と変わらない運用がなされています。今こそ、企業・団体献金は、政党支部も含め、例外なく禁止する立法措置を講じなければならないと考えています。

 また、裏金問題では、パーティー券の販売が企業・団体献金の代わりとされていることも浮き彫りになっています。そこで、我が党の案では、企業、団体による政治資金パーティーの対価の支払いについても、献金と同様に禁止しております。

 なお、委員がおっしゃっていた企業・団体献金を本委員会で議論すべきであるということ、それから、自民党の案の中に、そもそもそれを含め廃止ということを我々の結論として出すべきであること、これは直接に自民党にも申し入れておりますし、我が党として、この委員会の中でも繰り返し申し上げさせていただいているということでございます。

○塩川委員 我が党は、一貫して企業・団体献金を受け取らず、企業・団体献金禁止を主張し、そのための法案を一九八九年から国会に提出し続けております。この通常国会の冒頭にも参議院に法案を提出しておりますので、是非とも御参考にしていただきたいと思います。

 我が党の案は、企業、団体による寄附を禁止するとともに、企業、団体によるパーティー券購入も禁止をするため、政治資金パーティー収入を寄附とみなす規定を設けるとしております。

 こういった法案の実現のために力を尽くしたいということを申し上げて、質問を終わります。

【内閣委員会】誘導音の信号機増やせ/視覚障害者安全な移動へ

 視覚障害者のための交通安全対策について質問しました。

 私は、視覚障害者付加装置(「ピヨピヨ」「カッコー」などの誘導音が出る信号機)とエスコートゾーン(横断歩道上の点字ブロック状の突起)の設置割合はそれぞれ全国の信号機の10・2%、1・5%にとどまっていると指摘。

 警察庁の早川智之交通局長は「まだまだ足らない」と認めました。しかし、設置予算は減らされているのが現状です。

 私は抜本的に設置数を引き上げるための予算措置を求めました。

 都道府県警が選定する視覚障害者の移動上の安全性を確保することが“特に必要であると認められる部分”がゼロの都道府県も存在するなど、選定箇所自体十分とは言えません。

 私が「視覚障害者からの要望があればさらに選定箇所を増やすべきだ」と求ると、早川局長は「“特に必要であると認められる部分”に限らず要望を踏まえて設置について検討していく」と答えました。

 「ピヨピヨ」「カッコー」の音が夜間早朝などには鳴らない設定のため、視覚障害者が事故に遭うケースも続いています。私は単純に音を切るのではなく、工夫した措置による対策を要求。

 松村祥史国家公安委員長は「指摘を重く受け止め警察を指導していきたい」と応じました。

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「議事録」

第213回通常国会 令和6年5月22日(水曜日) 内閣委員会 第15号

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 私は、今日は、視覚障害者の方の道路交通安全対策、特に交差点の交通安全対策について、松村国家公安委員会委員長にお尋ねをいたします。

 道路交通法の第七条は、道路を通行する歩行者等に対して、信号機の信号に従う義務を課しております。違反をすれば罰則を科すものとなっております。

 しかし、視覚障害者の方は、信号機の信号を視覚情報としては認識できませんので、そのままの信号に従うことは困難であります。視覚障害者の方が信号機の信号を認識できるように必要な設備を整備することは、道路交通管理者が直ちに行うべき仕事ではないのか。この点についてお答えください。

○松村国務大臣 委員御指摘のように、視覚障害者の方々は信号機の信号を認識することができないと認識をいたしておりまして、こうした方々が道路を安全かつ円滑に横断できるように交通安全施設を整備することは大変重要であり、警察として不断に取り組むべき課題であると認識をいたしております。

 具体的には、先生も聞かれたことがあるかと思いますが、ピヨピヨ、カッコー、こういった音により、信号が青であることをお知らせする音響信号機や、横断歩道に点字誘導ブロックをつけまして横断歩道であることを分かりやすくしたところのエスコートゾーンなどの整備を推進をしているところでございます。

 引き続き、視覚障害者の方々の道路横断の際の安全と円滑を確保するため、その御要望も踏まえまして、交通安全施設の整備を推進するよう警察を指導してまいりたいと考えております。

    〔委員長退席、中山委員長代理着席〕

○塩川委員 視覚障害者の方の交差点の安全対策も不断に取り組むということを強調されました。

 具体策として、ピヨピヨ、カッコーとエスコートゾーンのお話がありましたけれども、配付資料でも紹介をしているところであります。

 視覚障害者の方にとって必要な情報というのは、横断歩道の場所が分かること、信号機の信号が青か、これが音のシグナルとして分かるということ、また、渡るべき横断歩道の方向が分かるということが必要であります。

 そのときに、視覚障害者の団体の方の強い御要望は、最もこれらの情報の提供が可能な設備である、音響機能を持った視覚障害者用付加装置、今お話があった、いわゆるピヨピヨ、カッコーと、横断歩道における点字ブロックに当たるエスコートゾーンの普及であります。

 配付資料の左側がピヨピヨ、カッコーですが、この図でいうと、SPの二というのが手前の信号でカッコーと鳴って、横断歩道の向こう側においてはカカッコーと鳴く。カッコー、カカッコー、カッコー、カカッコーということですし、SPの三とSPの四でいえば、ピヨと、向こう側でピヨピヨと鳴る。そうしますと、こちらでピヨで向こうでピヨピヨですから、横断歩道の方角、渡る方向が明らかになる。こういうことが行われているのがピヨピヨ、カッコーであります。

 あわせて、エスコートゾーンは、横断歩道上に設置をする点字ブロック状の突起ということで、こういったことによって、皆さん、位置を把握をされ、横断歩道を利用されるということになります。

 ですから、このピヨピヨ、カッコーとエスコートゾーンを組み合わせれば、横断歩道の場所が分かり、信号機の信号が青かどうかも分かり、渡るべき横断歩道の方向が分かる。こういったことについて是非大きく進めることが必要だと思います。

 その際に、結構、主道路の方を横切るときにカッコーで、従道路を横切るときにはピヨピヨとかとあるんですが、ただ、全国では、都道府県警によって違いがあって、東西と南北だったりというのもあって、若干、不統一があるんですね。それぞれの県の中では統一はされているんでしょうけれども、遠くに移動されるような場合などは、違うなと思うようなこともあるので、その辺の工夫、改善も必要だということを申し上げておきたいと思います。

 そこで、全国の信号機数と視覚障害者用の付加装置、このピヨピヨ、カッコー、エスコートゾーンの設置数は幾つなのか、また、全国の信号機数に対するそれぞれの割合は何%か、お答えください。

○早川政府参考人 お答えいたします。

 令和四年度末現在で、全国に約二十万七千基の信号機がございます。このうち、約二万一千基にピヨピヨ、カッコーといった音が出る視覚障害者用付加装置が整備されております。また、全国に約三千か所のエスコートゾーンが整備されております。これらを全国の信号機数約二十万七千基で割りますと、その占める割合は、視覚障害者用付加装置は約一〇・二%、エスコートゾーンは約一・五%となります。

○塩川委員 ピヨピヨ、カッコーは一〇・二%、エスコートゾーンは僅か一・五%です。これは余りにも少な過ぎるんじゃないでしょうか。

○早川政府参考人 お答えいたします。

 警察におきましては、バリアフリー法に基づきまして、あるいはそれ以前から、こうした視覚障害者用付加装置あるいはエスコートゾーンの整備を進めているところでおります。まだまだ足らないところはございますが、その整備に努めてまいりたいと考えております。

○塩川委員 まだまだ少ないから整備に努めていきたいと言うんですけれども、予算がどうかということなんですよ。全体はまだまだ余りにも少な過ぎるということがありますけれども、このピヨピヨ、カッコーとエスコートゾーンの整備の事業費というのは増えているんでしょうか。過去五年間ぐらいの増減について示してください。

○早川政府参考人 お答えいたします。

 視覚障害者用付加装置とエスコートゾーンの整備に関しましては、国費により五割の補助を行っております。

 その補助金の予算額につきましては、各年度、増減はありますが、最近では約三億円から四億八千万円の間で推移をしております。例えばでありますが、令和元年度は、視覚障害者用付加装置は約三億三千万円、エスコートゾーンは約五千万円の計約三億八千万円、これは補助金の額でありますが、それから令和五年度は、視覚障害者用付加装置は約二億五千万円、エスコートゾーンは約二億三千万円の計約四億八千万円、それから令和六年度でありますが、視覚障害者用付加装置は約一億七千万円、エスコートゾーンは約一億四千万円の計約三億円となっているところでございます。

○塩川委員 配付資料の三枚目に、予算の推移で、各年度の当初予算額を出してあります。

 これで見てもらえば分かるように、ピヨピヨ、カッコーは、この五、六年で六・六億が三・三億に半分に減り、エスコートゾーンは、二三年度に向けては増えているんですけれども、二四年度、今年度の予算はまた大きく落ち込んでいるんですよね。

 全体の普及が少ないにもかかわらず予算を減らすというのは、全く逆方向だと思うんですよ。こんなことでいいんですか。

○早川政府参考人 お答えいたします。

 予算の関係でありますが、先ほど御答弁申し上げたとおり、補助金の予算額というのは年によって変動がございます。ただ、令和三年度から五年計画で、いわゆるエスコートゾーン、あるいは視覚障害者用付加装置の整備を行っておりまして、その計画目標というものを我々は持っているところでございます。それを達成するように努力していきたいと考えております。

    〔中山委員長代理退席、委員長着席〕

○塩川委員 予算が増えるどころか現状だと減っているという点について、抜本的な引上げこそ求められていると思います。

 松村委員長にお尋ねしますけれども、本当に、視覚障害者の方にとってみれば命に関わる情報なわけです。視覚によって情報が得られない、音を頼りにされている方々に、その音がないような状況で横断歩道を渡れというのは、本当に危険な状態にさらすことにもなりかねないといった点でも、必要な設備を設置をする。

 その点でも、一番求められているピヨピヨ、カッコーやエスコートゾーン、この抜本的な、設置を引き上げていく目標、そしてその財政措置、これこそ必要ではないかと思うんですが、委員長、お答えください。

○松村国務大臣 塩川委員におかれましては、この問題については数年前も御指摘をいただいて、山本国家公安委員長とのやり取りも、私、見させていただきましたが、しっかりとした目標を持って、その上で財源措置をやれというような御指摘があったかと思います。

 現在、そのことも踏まえまして、バリアフリー法の、基本法に基づきまして、私どもも、令和七年度末までに、音響信号機とエスコートゾーンを特に必要な箇所に一〇〇%整備することを目標に取組を進めているところでございます。まずは、この目標の達成に向けて取り組んでいくよう警察を指導してまいりたいと考えておりますし、具体的には、これまで、早川局長からも答弁がございましたが、令和三年度から始めました五か年の計画で、今二年が終了して、令和五年については今集計中でございますが、令和四年度末時点で、視覚障害者用の付加装置とエスコートゾーンの両者の整備を終えたのは五五・八%でございます。

 視覚障害者の方々の安全を確保することは重要であることは言うまでもございません。目標を達成するため、必要な予算を確保し、事業を推進していくように警察を指導してまいりたいと考えております。

○塩川委員 今お話しになったのは、バリアフリー法の基本方針に基づく、重点整備地区内の主要な生活関連経路を構成する道路のうちの、特に必要であると認められる部分についての計画であります。そういう意味では、非常に限られた範囲の中での達成状況で、二つ一緒にやっているのは半分ぐらいということですから、元々分母が小さいわけですよね。

 ですから、その選定箇所をやはり大きく増やしてもらうということがそもそも必要で、そういう点でも、この選定場所の基準に、視覚障害者からの要望や交通状況等を勘案して特に必要と認められる横断箇所については、信号機に音響機能を付加し、横断歩道にエスコートゾーンを設置するとしているので、視覚障害者からの要望があればこの選定箇所を更に増やす、こういうことをはっきりと示していただきたいと思うんですが、警察庁、いかがですか。

○早川政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘の、視覚障害者からの要望を考慮する場所というのは、バリアフリー法の中で、いわゆる音響式の信号やエスコートゾーンを整備をするというものでありまして、そういうことに関して、当然、その要望を踏まえて我々も必要箇所の検討を行っていきたいと考えていますし、バリアフリー法以外の場所につきましても、視覚障害者の方々の御意見、御要望を踏まえて、設置については検討してまいりたいと考えております。

○塩川委員 是非、視覚障害者の方の要望を踏まえた対策を求めたいと思います。

 それと、このピヨピヨ、カッコーにつきましても、夜間、早朝、音を切るということなんかも現にありまして、そのために横断の視覚障害者の方が亡くなられるという事故もこの間も続いております。そういう点でも、本当に音がまさに命に関わる情報なんだ、こういう観点で、こういった時間制限などについても、地域の住民の方々との話合い、同意も踏まえてですけれども、より工夫する措置によって、単純に音を切るということを行わない、こういう対策を是非とも工夫していただきたい。

 いろいろな知恵はありますので、その対策を是非求めたいということを一言委員長にお願いして、終わりたいと思います。

○松村国務大臣 御指摘も受け止めまして、しっかりと警察を指導してまいりたいと考えております。

○塩川委員 終わります。

【予算委員会】金権腐敗一掃のため企業・団体献金禁止、政党助成金廃止を

 自民党派閥の裏金問題について「自民党ぐるみの組織的犯罪行為だ。全容解明し、政治責任を明らかにして、金権腐敗の根を断つ抜本改革を実現すべきだ」と迫りました。

 裏金問題に深くかかわると報道される森喜朗元総理大臣について、私は、森氏が岸田総理からの電話で裏金のことを聞かれていないとインタビューで述べていると指摘し、「国民にウソをついたのか」とただしました。

 岸田総理は「森元総理が直接関連しているかどうか、確認することはできなかった」「森元総理への再聴取は考えていない」と答弁するのみ。

 私は「森氏との電話の中身は答えない。記録もない。同席者もいない。これで真相解明できるはずがない」と批判し、自民党総裁として森元総理に対して証人喚問に応じるよう求めよと迫りました。

 私は、自民党の政治資金規正法改正案が「肝心かなめの企業・団体献金の禁止がない」と批判。裏金の原資である派閥の政治資金パーティー収入について、「形をかえた企業・団体献金だ。なぜ禁止しないのか」と追及。

 岸田総理は、企業・団体献金を「全面的に禁止する理由はない」と強弁し、1970年の最高裁判決を持ち出し、「企業にも、憲法上の政治活動の自由の一環として寄附の自由を有する」、「多様な出し手による様々な収入を確保することは重要だ」と開き直りました。

 これに対し、私は「選挙権を持たない企業から多額の献金を受けとることは国民主権をないがしろにするものだ」「企業による献金は、本質的に賄賂だ」と強調し、財界本位に政治を歪める役割を果たしてきた歴史を告発。

 この20年間で、大企業が求める法人税減税は30%から23.2%に引き下げられる一方、消費税は5%から10%へ増税され、自民党への企業・団体献金は約464億円に上ると指摘。「企業・団体献金が賄賂となり、財界・大企業の利益を優先し、国民生活を顧みない政治腐敗を生み出しているのは明らかだ」と批判しました。

 また、私は、「企業・団体献金の全面禁止とともに、政党助成金制度が問われている」と提起。1990年代の「政治改革」は、企業・団体献金をなくす代わりに政党助成金を導入するとしましたが、いまだに「二重取り」を続けていると批判。

 制度導入以来、各党に支払われた政党助成金は約9250億円に上り、そのううち約4450億円が自民党に支払われています。自民党は、運営資金の63%、3分の2を税金に依存する「官営政党」になっていると指摘。

 私は「税金にどっぷり浸かっていることが自民党の堕落を生み出している」と厳しく批判し、金権腐敗政治を一掃するため、企業・団体献金の全面禁止と政党助成金の廃止を主張しました。

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「議事録」

第213回通常国会 令和6年5月20日(月曜日) 予算委員会 第18号

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 我が党のしんぶん赤旗の報道を端緒としました自民党の裏金問題は、まさに自民党ぐるみの組織的犯罪行為と言わなければなりません。その全容解明をし、政治責任を明らかにし、金権腐敗の根を絶つ抜本的改革を実現することが必要であります。

 四月、我が党の小池書記局長の質問に、岸田総理は、真相究明の努力は続けなければならないと述べましたが、その努力をしたのかが問われております。裏金問題に深く関わるとされている森元総理について、岸田総理は、直接電話をかける形で事情をお聞きした、しかしながら、引き続き森元総理の具体的な関与については確認できていないと述べておりましたが、その後の文芸春秋のインタビューによりますと、森元総理は岸田総理から裏金のことを聞かれていないという話であります。これでは国民にうそをついたということになりはしませんか。

○岸田内閣総理大臣 私は、森元総理に対する聴取、国民の関心を踏まえて、いつからこうしたシステムがスタートしたか等について直接お伺いいたしました。それを国会において私は申し上げているわけであります。

 これは週刊誌の記事一つ一つに……(発言する者あり)週刊誌、月刊誌、雑誌の記事の一つ一つについて申し上げることは控えますが、私自身、国会において確信を持って答弁をさせていただいています。是非こうした取組については国会においてもしっかり御理解いただきたいと思っておりますし、また、こうした事実の解明については、これから公判においても審理が行われます。こうした国会の、審理の状況も踏まえながら、事実の解明に向けて強い関心を持って臨んでいかなければならないと考えております。

○塩川委員 どっちが本当のことを言っているのかというのを明らかにしなくちゃいけないわけですよ。安倍派だった山本一太群馬県知事も、裏金事件については、森さんが知らないはずがないと発言をしております。

 森元総理の電話について、中身は答えない、記録もない、同席者もいない、こういったことでは真相解明ができるはずがありません。電話ではらちが明かないんですから、森元総理に対して自民党総裁として国会に証人喚問として出席を求めるべきではありませんか。

○岸田内閣総理大臣 先ほど申し上げたように、私自身、国民の皆さんの関心を踏まえて、森元総理に電話で聴取をいたしました。その上で、森元総理が今回の事案に直接関連しているかどうか、この点について事実として確認することはできなかったと申し上げております。

 こうしたことを踏まえますときに、私自身、再聴取等は考えていないわけでありますが、証人喚問等においては、当然のことながら、国会においてこれまでの経緯も踏まえて御判断されるものであると考えております。

○塩川委員 是非、森元総理に国会においでいただいて、しっかりと説明をしてもらうということこそ、自民党総裁として岸田総理が行うべき仕事だということを申し上げるものであります。それもしないということであれば、真相解明をする気がないと言われても仕方がありません。

 総理がこんなことだから、衆議院の裏金議員四十四人も、政治倫理審査会に本当に出てくるのかと。出席をするという話が一つも出てこないじゃありませんか。真相解明に蓋をする自民党では、抜本的改革もできるはずがありません。

 実際、岸田総理が政治と金の問題に対する抜本的解決策という自民党の政治資金規正法を見ても、肝腎要の企業・団体献金の禁止が入っておりません。裏金の原資である派閥の政治資金パーティー収入は、形を変えた企業・団体献金であります。

 自民党派閥のパーティー収入は、一九九八年から九九年にかけて三・六倍に急増いたしました。それは、一九九九年に派閥への企業・団体献金が禁止されたことをきっかけに、派閥の政治資金パーティー収入という形で企業、団体からの献金を受け取るようになったからであります。

 裏金問題の大本には企業・団体献金がある。なぜ自民党案に企業・団体献金の禁止が入っていないのか、お答えください。

○岸田内閣総理大臣 これも先ほどもお答えいたしましたが、政治団体の収入については、多様な考え方、あるいは多様な出し手による様々な収入を確保すること、これは、政策立案における中立性やバランスの確保において重要であると認識をしています。

 そして、過去の政治改革大綱ですとか、あるいは最高裁判決にも、法人などの寄附を禁止する理由はない、あるいは、企業は憲法上の政治活動の自由の一環として寄附の自由を有する、こうした判断もされています。全面的に禁止する理由はなく、しかし、透明性の確保によって信頼性を高めていく、こうした取組は重要であるということを自民党としては考え、この自民党案を作成した次第であります。

○塩川委員 多様な出し手の話がありましたけれども、そもそも、こういった、主権者である国民に依拠した財政活動こそ求められているときに、選挙権を持たない企業から多額の献金を受け取っていること自身が国民主権をないがしろにしているということが問われているんじゃないでしょうか。

 企業にも政治活動の自由があると言いますけれども、問われているのは企業献金の賄賂性の問題であります。実際には、寄附の自由の話ではなくて、賄賂政治の自由なのではないのか、このことが問われているわけであります。

 パネルを御覧ください。

 そもそも、企業の政治献金は、本質的に政治を買収する賄賂であります。リクルート事件など金権腐敗政治への国民の批判を受けて、財界団体の経団連は一九九九年に献金あっせんを中止しましたが、二〇〇三年に、露骨な政策買収である政党通信簿方式の企業献金を打ち出し、金も出せば口も出すと企業献金を復活しました。

 この二十年間で、大企業の求める法人税減税は基本税率で三〇%から二三・二%に引き下げられ、一方で、国民にツケを回す消費税は五%から一〇%へと増税されました。この間、自民党への企業・団体献金は四百六十四億円。まさに、こういった大企業は過去最高益が相次ぎ、巨額の内部留保が積み上がる一方で、国民は賃金も年金も上がらず、塗炭の苦しみの中にあります。

 企業・団体献金が賄賂となって財界、大企業の利益を優先し、国民生活を顧みないという政治の腐敗を生み出しているのは明らかではありませんか。

○岸田内閣総理大臣 先ほど、政策立案における中立性やバランスが大事だということを申し上げました。政治団体の収入という点においてもこのバランスは大事だと思いますが、そもそも、自民党の政策立案のプロセスを考えましても、一部の政治献金によって結果が左右されるというものではないと考えます。

 なぜならば、一つの政策をつくるに当たって、選挙区において、あるいは様々な国民の声の中で求められた課題について、必要であれば有識者や関係省庁の議論を積み重ね、自民党としても何日も議論を行った上で、他党とも協議を行い、国会での議論も行い、その上で法案等が成立する、このプロセスを考えても、一部の企業、団体の献金が全体の政策を左右する、賄賂性がある、こういった指摘は当たらないと考えています。

 そうした疑念を払拭するためにも、政治資金の透明性の確保、これは重要であると考えております。

○塩川委員 奥田経団連会長は、政治に口も出すが金も出すと、まさに政策を金で買うような話をしたことが問われている。

 政治改革というなら、もう一つ問われているのが政党助成金であります。

 自民党は、企業・団体献金はやめないまま政党助成金を受け取るという二重取りを続けていました。九千二百五十億円もの税金がばらまかれ、自民党はその半分の四千四百五十億円を懐に入れてきた。自民党の運営資金の六三%、三分の二が税金に依存する官営政党となっている。税金にどっぷりつかっていることが自民党の堕落を生み出しているのではないのか。

 我が党は、このような企業・団体献金の禁止、政党助成金の廃止、このことを是非とも今国会で実現すべきだ、このことを申し上げて、質問を終わります。

埼玉・所沢市/矢作いづみ市議と街頭宣伝

 所沢市内で、矢作いづみ市議と宣伝行動。

 暮らしが大変なときに自民党裏金問題はとんでもない!裏金の原資となった企業団体献金は、政治をゆがめる賄賂。今国会で禁止法案の実現を!

 大軍拡でなく、子ども子育て・暮らし応援の政治を!

 演説を聞いた女性は「自民党は解散。アメリカ言いなりやめて」。

治安維持法犠牲者国家賠償要求同盟から請願を受け、懇談

 治安維持法犠牲者国家賠償要求同盟の皆さんから、治安維持法犠牲者に国家賠償法の制定を求める請願を受け、懇談。

 国は、人道に反する悪法である治安維持法の犠牲者に謝罪し、賠償を行うこと。犠牲者の実態を調査し、その内容を公表することです。

 戦争する国づくりの過ちを繰り返さないためにも。

地域公共交通の充実・発展を/党埼玉県委・地方議員団の政府要請に同席

 党埼玉県委・地方議員団の地域公共交通の充実・発展を求める要請行動。

 コミュニティバスの減便・廃止や西武鉄道の6駅無人化など深刻。賃上げを始めとした運転手確保策、国の補助事業の増額、交通権の保障を求めました。

 地域公共交通計画に対する地方議会の論戦や要求運動に取り組むことを呼びかけ。


地域公共交通の充実を/埼玉の党が国交省に要請/塩川・伊藤・梅村氏ら参加

「しんぶん赤旗」5月15日・4面より

 埼玉県内で運転手不足を理由とした路線バスの減便・廃止や、各自治体が運行するコミュニティーバスの委託事業者の撤退表明が相次いでいる問題で、同県の日本共産党は14日、国土交通省に地域公共交通の充実・発展などを求め、888人の署名を提出しました。

 要請には、塩川鉄也衆院議員、伊藤岳参院議員、梅村さえこ衆院北関東比例予定候補、衆院小選挙区の秋山もえ(埼玉6区)、いのまた嘉直(同9区)、柿沼はるき(同11区)の各予定候補、県議、地方議員らが参加し、各地で起きている問題について訴えました。

 石島陽子・新座(にいざ)市議は、同市ではコミュニティーバス事業者が撤退を表明し、署名を集める中で市民から切実な声が寄せられているとして「国・県・市を挙げて地域公共交通を守るため、運転手の処遇改善補助制度を創設してほしい」と要望。伊藤はつみ県議は、地域内の乗り合いバス路線の赤字分の2分の1が対象経費となる、国の「地域内フィーダー系統補助」が足りていないとして増額を求めました。

 国交省の担当者は、運転手の賃上げのためには運賃・料金の値上げも必要だとの考えを示し、地域内フィーダー系統補助については「活用する自治体が増えているが、予算が増えていない」と回答。伊藤参院議員は「予算を増やすしかない」と求めました。

NHK日曜討論/企業・団体献金の全面禁止、政党助成金廃止、国会で議論を

 NHK「日曜討論」に出演し、自民党の裏金問題に端を発した政治資金の在り方について、各党議員と議論。

 私は、国会で、裏金問題の真相解明とともに、企業・団体献金の禁止、政党助成金の廃止を議論するよう主張しました。

 まず、政治資金規正法の改定をめぐる自公与党案について議題になりました。

 私は、「何より企業・団体献金の禁止が盛り込まれておらず、評価に値しない。裏金は、誰がいつから何のために始めたのか、何に使ったのか。真相解明をやる気が全くないものだ」と厳しく批判。

 再発防止をめぐっては「全ての政治団体の代表者(議員)に監督義務を明記するとともに、会計責任者が違反すれば、代表者も同等の刑に処することが必要だ」と主張しました。

 使途が不透明で問題になっている政策活動費について、私は「結局、何に使ったかを全く明らかにしていないのが問題だ。(広島の)河井選挙買収事件のように、選挙の裏金としてっ使った疑念は拭えない」と指摘。政策活動費の禁止を訴えました。

 裏金の原資となった政治資金パーティーをめぐっては、「形をかえた企業・団体献金だ」と指摘。「裏金問題の大元にある企業・団体献金の禁止こそ行うべきだ。企業・団体によるパーティー券購入も禁止することが、害悪を取り除く対策だ」と主張しました。

 自民党・鈴木氏は、与党案が「収支報告書不記載などの再発防止につながる」と主張したのに対し、各野党が批判。

 私は、政党は国民の支持を得て、国民からの浄財を集め、活動することが基本であり、わが党は実践しているとしたうえで、「企業献金は賄賂性をもつ。選挙権を持たない企業が多額の献金で政治に影響を与えることは国民主権と相いれず、国民の参政権を侵害するものだ」と強調。企業・団体献金の禁止とともに、政党助成金の廃止を重ねて訴えました。


企業・団体献金禁止/政党助成金廃止/国会での議論主張/NHK番組で塩川議員

NHKテレビから

「しんぶん赤旗」5月14日・2面より

 日本共産党の塩川鉄也衆院議員は12日のNHK「日曜討論」に出演し、自民党の裏金問題に端を発した政治資金のあり方について各党議員と討論を行いました。塩川氏は後半国会で、裏金問題の真相解明とともに、企業・団体献金の禁止、政党助成金の廃止を議論するよう訴えました。

 冒頭、政治資金規正法の改定をめぐる自公与党案が議題になりました。塩川氏は「何より裏金の原因になっている企業・団体献金の禁止が盛り込まれておらず、評価に値しない。誰がいつから何のために始めたのか、何に使ったのか。裏金問題の真相解明をやる気が全くない」と厳しく批判。再発防止をめぐっては「全ての政治団体の代表者(議員)に監督義務を明記するとともに、会計責任者が違反を行えば、代表者も同等の刑に処することが必要だ」と主張しました。

 使途の公開義務がなく、透明性が問題になっている政策活動費について、塩川氏は「結局、使途を全く明らかにしていないのが大問題だ。(広島の)河井選挙買収事件のように、選挙の裏金として使った疑念はぬぐえない」と指摘。政策活動費の禁止を訴えました。

 裏金の原資となった政治資金パーティーをめぐっては「形を変えた企業・団体献金だ」と指摘。「裏金問題の大本にある企業・団体献金の禁止こそ行うべきだ。企業・団体によるパーティー券購入も禁止することが害悪を取り除く対策だ」と提案しました。

 自民党の鈴木馨祐衆院議員が、与党案は「収支報告書不記載などの再発防止につながる」と主張したのに対し、野党は批判。塩川氏は、政党は国民の支持を得て、国民から浄財を集め、活動することが基本であり、日本共産党は実践しているとした上で「企業献金は賄賂性を持つ。選挙権を持たない企業が多額の献金で政治を左右するのは国民主権と相いれず、国民の参政権を侵害するものだ」と主張。企業・団体献金の禁止と政党助成金の廃止を重ねて訴えました。

さいたま市南区/太田窪でつどい

 さいたま市南区の太田窪でつどい。

 たくさんの質問、意見をいただきました。裏金問題での自民党内の動き、市民と野党の共闘の展望、マスコミの状況、子育て支援、教員不足、ガザ問題、若者にどう働きかけるかetc。

 東京新聞1面の梅村さえこ議員(当時)の質問記事も紹介し、北関東比例2議席を訴え。

オール埼玉 1区市民連合街頭宣伝/さいたま市

 オール埼玉 1区市民連合街頭宣伝。

 安保法制反対、立憲主義守れと市民と野党の共闘の前進に奮闘。

 埼玉の裏金議員は、大塚拓994万円、柴山昌彦896万円、中根一幸1860万円、三ツ林裕巳2954万円。ぜひ政治倫理審査会で弁明を。


憲法生かされる日本に/埼玉1区/市民と野党が街頭演説

「しんぶん赤旗」5月12日・6面より

 衆院埼玉1区の市民らでつくる「安保法制廃止・立憲主義回復をめざすオール1区連絡会」は11日、さいたま市のJR浦和駅東口で、市民と野党の共同街頭演説を行いました。

 同連絡会の原冨悟代表や、「オール埼玉総行動実行委員会」の小出重義実行委員長が、大軍拡に突き進む岸田政権を批判し、6月2日に同市の北浦和公園で行われる13回目のオール埼玉総行動への参加を訴え。埼労連の宍戸出事務局長があいさつし、連合埼玉の代表がメッセージを寄せました。

 野党から、日本共産党の塩川鉄也衆院議員、立憲民主党の三神尊志さいたま市議、社民党県連合の池田万佐代副代表があいさつしました。

 三神氏は「『新しい戦前』と言われるが、かつての戦前とは違い今は言論の自由があり、選挙で政治家を選ぶことができる。改憲を絶対に阻止しよう」と強調。池田氏は、国会で悪法が次々と通されようとしているとして「野党に力を貸してください。一緒に憲法が生かされる日本をつくりましょう」と呼びかけました。

 塩川氏は、4月の衆院3補選で野党の議席が増えたことで、政治倫理審査会で弁明していない自民党の裏金議員の審査申し立てを行うことができたとして「市民と野党共闘勝利の力だ。自民党政治を終わらせ、共闘の前進へ頑張ります」と訴えました。

オール埼玉 5区市民連合街頭宣伝に参加/さいたま市

 オール埼玉 5区市民連合街頭宣伝。山本ゆう子小選挙区予定候補と参加。

 衆院3補選は市民と野党の共闘が勝利。

 野党の議席増で、政倫審において裏金議員の申立てが可能に。

 世論調査で「政権交代を望む」という声が多数。国民生活を省みず、自らは裏金にどっぷり使っている自民党政治を終わらせよう!

【内閣委員会】公益法人法・公益信託法改正案可決/検査体制の拡充を求める

 公益法人法・公益信託法改正案を全会一致で可決しました。両改正案は、相次いだ公益法人による不正を背景にガバナンス強化や透明性の向上を図り、さらに公益活動に取り組みやすくするために財政規律の柔軟化や行政手続の簡素化などを図るものです。

 私は、政府は法人への立ち入り検査の重点化を図るとしているが、「現行の3年に一回行われている定期検査はどうなるか」と質問。

 内閣府の北川修公益法人行政担当室長は「頻度については再検討していく」と答弁しました。

 私は「監督体制を後退させるべきではない」として現行の頻度を維持するよう求めました。

 現在内閣府では2655の公益法人を監督し、検査要員は63人にとどまっています。今後公益信託の監督を含め行政需要の増加が見込まれることから、職員の増員が必要ではないかと提起。

 事務の効率化に言及しただけの加藤鮎子内閣府匿名担当大臣に対し、私が重ねて増員を求めると、「どうしても必要となれば要求をしていきたい」と応じました。

 私は、公益信託の受託者や管理人に対する報酬が不当に高額なものとならないよう求めると、加藤担当相は「ガイドラインなどで対応する」と答えました。

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「議事録」

第213回通常国会 令和6年5月10日(金曜日) 内閣委員会 第14号

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 公益法人法、公益信託法について質問をいたします。

 行政庁による監督について、まずお尋ねをいたします。

 内閣府が監督をする公益法人は現在幾つか、また、検査に当たる職員数は何人なのか、この点についてお答えください。

○北川政府参考人 事実関係でございますので、私からお答え申し上げます。

 内閣府では、令和六年五月一日現在、二千六百五十五法人の公益法人を所管しております。また、立入検査に当たる職員は、これは公益認定の審査業務等を兼務はしておりますが、令和六年四月一日現在で六十三人となっております。

○塩川委員 立入検査に従事する職員は、兼務ではありますけれども六十三人。これは二千六百五十五の法人との関係で立入検査を行うということになります。

 そこで、現行の立入検査の考え方について、政府として示しているものがあると聞いております。都道府県に対しても同様なことについて対応方を求めるといった趣旨についての案内もされているということですが、現行の立入検査の考え方について説明をしてもらえますか。

○北川政府参考人 申し上げます。

 現行の立入検査は、公益法人全体のガバナンス向上を促す観点から、おおむね三年を目途に全ての法人に対して行っております。

○塩川委員 おおむね三年を目途に全ての法人に対する立入検査が一巡するスケジュールで実施する、こういったことが考え方の文書では書かれているということでよろしいですか。

○北川政府参考人 委員おっしゃるとおりでございます。

○塩川委員 ガバナンスの向上を促すということで、全ての法人に立入検査を行うんだ、それは三年に一回のローテーションでということなんですけれども、このように、三年に一回、全ての法人に対して立入検査を行う、そうする理由、趣旨は何なのかについてお答えいただけますか。

○北川政府参考人 現行の公益法人制度は、二〇〇六年に、旧民法に基づく制度から、新しく、公益認定基準や認定委員会という枠組みの下の新しい制度として発足いたしました。

 ですので、新しい制度の周知徹底、定着を全法人に対して促していくという観点から、おおむね三年を目途に全ての法人に対する立入検査を行っておるものでございます。

○塩川委員 新しい制度の周知徹底という趣旨で、三年に一回、全ての法人に対する立入検査と。あわせて、この間、過去、公益法人の不祥事が多数発生したことを踏まえれば、三年に一回、全法人への立入検査を行うということは重要な活動だと思います。

 そこで、この間の委員会での政府答弁では、今後について、行政の事後チェックは今よりも実効的な強化を図っていくということですけれども、今後どのようなことを対応するのか。この点、説明してください。

○北川政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の制度改革では、公益法人の透明性やガバナンスを向上させるとともに、行政もしっかり事後チェックをしていく、こういうふうに総合的に取り組んでいこうとするものでございます。

 行政の事後チェックについて、具体的には、これまで、申し上げたとおり、一律的に、定期的な立入検査ということを重視しておりましたが、今後は、より重点化を図りまして、透明性の向上を前提として、内外からの通報を活用しまして、不適切事案の端緒をつかんだ法人に対しては、より機動的、集中的に立入検査等を行い、勧告、命令、認定取消しなどの監督措置を不適切な法人には果断に実施してまいるという、めり張りづけを強化していく考えでございます。

○塩川委員 透明性、ガバナンスの強化を法人の方に求めるということは、当然、今回の措置としてもあるわけですし、それに併せて行政の事後チェックも行うということですけれども、その際に、これまでの一律の事後チェックはもうやらないんだ、重点化を図るということで、不適正事案の端緒をつかんだ法人に対して機動的、集中的な立入検査を行うという説明なんですけれども、ということは、今行っている三年に一回という立入検査は今後は行わないということでしょうか。

○北川政府参考人 立入検査も、めり張りづけを強化していく方向で考えておりますが、これまでやってきたような定期的な立入検査も、それなりに公益法人の全体の底上げには有効でありますので、これをやめるということはございません。ただ、注力する割合というのを、少しめり張りを強化していった方がいいと考えております。やめるわけではございません。

○塩川委員 現行、内閣府が出している立入検査の考え方の文書では、先ほど確認したように、おおむね三年を目途に全ての法人に対する立入検査が一巡するスケジュールで実施する、全ての法人に三年に一度の立入検査を行うということを掲げているわけですよ。

 これは引き続きやるということでよろしいですか。

○北川政府参考人 機械的に三年に一巡するという、その頻度につきましては、重点化の方向で考えたいと思いますが、その重点化の考え方としましては、各法人において、不適切事案の発生するリスクに応じて、頻度や検査の内容にめり張りを立てて立入検査を実施していくことを考えております。

 定期的な検査というのをゼロに、廃止するというわけではございません。めり張りをつけていくという考えでございます。

○塩川委員 定期的な検査をなくすわけじゃない、めり張りをつけるというんですけれども、それは、三年に一回を、四年に一回とか五年に一回とかにするという趣旨なんですか。

○星野委員長 北川室長、明確に御答弁ください。

○北川政府参考人 申し訳ございません。

 お答え申し上げます。

 三年を、五年なのか六年なのか七年なのかというところは、私ども、認定委員会においてもまだ明確に定められてはおりませんが、頻度というのは再検討してまいる考えでございます。

○塩川委員 三年に一回について、それが頻度が下がる、五年か七年かみたいな話をするんですけれども。

 でも、先ほど答弁の中で、元々、三年に一回の立入検査というのは、新しい制度の周知徹底のためということをおっしゃっているわけですよ。今回、法改正するわけです。新しい制度を行うんですから、だったら、今回の法改正を踏まえた新しい制度の周知徹底を図るという点で、従来どおり三年に一回の頻度でやるので構わないんじゃないかと思うんですが。

○北川政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の改革による新しい制度を周知徹底、定着させていくための普及啓発活動や、法人に対する支援ということは、立入検査とは別の形で支援策は講じていって、普及啓発を図っていこうと考えております。

○塩川委員 立入検査そのものは書類が大変だというのは、泉田さんなんかの質問にもちょっと紹介されていましたけれども、そうはいっても、やはり法人に対してしっかりとガバナンスを発揮してもらいたい。本当に国民にとっての公益を果たせるような、そういった対応を行う上で必要な監督を行うことというのが求められているわけですから、そういう点でも、三年に一回の頻度というのは、その中身についていろいろ検討するとしてみても、全法人に対しての働きかけという機会はあってしかるべきではないかな。それが七年に一回とかになると、今回の趣旨でさえ十分徹底されるのかということを考えざるを得ません。

 現場でやり取りする中で周知徹底を図るという方が、よりリアルでというふうに思うわけですが、その点が非常に、法人側のガバナンスの強化、透明性の向上を図ってもらうんだということで、何か監督体制が後退するような印象にしか取れないんですけれども、そうは思いませんか。

○北川政府参考人 今回の制度改革では、行政による事後チェックもしっかりやっていく、強化していくという方向性がございますので、実効的な監督の体制というのが後退するものとは考えておりません。

○塩川委員 ちょっと問題がありそうなところはきちっと見るというのは当たり前の話であって、そういうところに必要な人手を図るということと同時に、全法人に対して、貴重なアドバイスの機会という点も含めたこういう立入検査というのはあってもいいのではないかという思いでおります。

 いずれにせよ、今後、こういう法改正、制度改正によって公益法人の数が増える、また公益信託の数も増えるということが見込まれているわけであります。必要な監督体制を図るということについては、そのためのマンパワーの確保も必要ではないのか。

 そこで、加藤大臣にお尋ねいたしますが、今後、公益信託も新たに担当することになります。そういう意味では、公益法人、公益信託を所管をする、そういう部局の体制において職員の増員も必要ではないのかと考えますが、大臣、お答えください。

○加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、公益法人、公益信託の信頼性を確保する上で、行政庁が実効的な監督を行うことは不可欠であります。

 内閣府におきましては、公益法人と公益信託に係る業務が一元化されることに伴う合理化や、DXの推進等による事務の効率化、こういったものを図りつつ、必要な体制整備が行われるよう、しっかりと取り組んでまいります。

○塩川委員 その必要な体制整備がどういうものかをお聞きしたいんですが。

○加藤国務大臣 繰り返しになりますけれども、公益法人と公益信託に係る業務が一元化されることに伴う合理化、一元化していくことによって合理化をしていくということでありますし、また、DXをしっかり推進をしていくことで事務の効率化、これを図ってまいります。

 そういった合理化や効率化をまず図っていくことで、しっかりとした体制の整備が行われるように取り組んでいきたいと考えております。

○塩川委員 二〇二三年の骨太方針の文章では、「公益社団・財団法人制度を改革するため、」「関連法案の提出とともに体制面を含め所要の環境整備を図る。」とあるんですよ。

 今の話だと、合理化、効率化の話ばかりなんですよね。体制面での環境整備という場合に、必要に応じてやはり増員を図るということだってあり得るわけですけれども、そういうことは行わないということなんでしょうか。

○北川政府参考人 大臣も申しましたが、合理化一辺倒というわけではなくて、やはり今回の制度改革で行政需要が増大する要素もございます。新しい公益信託に係る行政、監督の体制、人員というのは必要となってきます。それを、私どもも、組織の自己努力によって合理化で圧縮できる分には努めつつも、どうしても必要な増員というものがあれば、これは政府部内で調整して、しかるべく要求して調整してまいりたいと考えております。

○塩川委員 必要な要求があれば増員を図るということを政府内で検討していきたいと。大臣もそれでよろしいですよね。

○加藤国務大臣 むしろ応援をいただいているというふうに受け止めております。

 合理化、効率化をしっかり図った上で、どうしてもやはり必要ということになりましたら、要求をしていきたいと考えております。

○塩川委員 あわせて、行政庁として、国だけではなくて、都道府県、自治体の方もあります。こういった自治体の方においても、当然、行政需要が増大するということが見込まれるわけですので、大臣に重ねてお尋ねしますが、国の体制強化を図るとともに、自治体の体制強化のための地方財政措置を行う、こういうことを是非とも財政当局等に求めていくことが必要ではないかと思いますが、この点、どうでしょうか。

○加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 公益法人、公益信託の信頼性を確保する上で、国、地方を通じて実効的な監督を行うことは不可欠であります。

 地方公共団体におきましても、同じく、公益法人と公益信託業務が一元化されることに伴う合理化、また、DX推進等による事務の効率化を図りつつ、必要な体制の整備を進める必要があると考えております。

 内閣府として、地方公共団体の取組をしっかりと支援していきたい、このように考えております。

○塩川委員 是非、財政需要に見合う必要な地方財政措置を図る、こういう点で取り組んでいただきたいと思っております。

 重ねて加藤大臣にお尋ねしますが、公益信託について、今般の制度の見直しで信託財産や受託者の範囲を拡大することで、公益法人やNPO法人が美術品や歴史的建造物の維持管理を行うなど、多様な公益信託が生まれることを想定していると大臣は答弁をされております。

 法務省の法制審信託法部会の議論で、想定される信託事務の具体例として、美術館の運営や留学生向け学生寮の運営が挙げられておりますが、このような財産を信託する委託者は誰を想定しているのか。この点についてお答えください。

○加藤国務大臣 お答えを申し上げます。

 想定をされる委託者の例としましては、具体的には、美術品の収集家が、自分の死後も美術品が散逸しないよう、ノウハウを擁する人を受託者として一般に展示する公益信託を設定するですとか、相続人がおらず、自分では活用することができないアパートを持つ高齢者が、不動産会社を受託者として学生寮として活用する公益信託を設定する、こういった例が考えられます。

○塩川委員 不動産を公益信託できるようにするということで、今言ったような、美術品の収集家の方がそれを今後も活用できるような仕組みにならないか、また、高齢者の相続人のいない方における信託財産としての住居の提供、活用の仕方とか、こういうことが想定をされるということであります。

 そこで、最後に、公益信託において、様々な税の優遇措置も行われることになっております。公益信託において、受託者や信託管理人の報酬が不当に高額なものとならないような支払い基準というのを定めるべきではないのかと考えますが、大臣からお答えをいただきたいと思います。

○加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 公益信託に係る報酬が、当該公益信託の経理の状況その他の公益事務の内容等を考慮して、不当に高額なものとならないための支払い基準を定めているかを、行政庁において判断をいたします。信託報酬が不当に高額かは、信託事務の種類や内容、受託者の職務の内容、それから当該信託の規模などの事情を考慮していく必要がございます。

 今後、公益法人の報酬規制も参考にしつつ、具体的な基準の内容は、ガイドラインなどでできる限り明確化をしてまいります。

○塩川委員 時間が参りましたので、終わります。