第93回埼玉県中央メーデーに参加

 埼玉県中央メーデー。梅村さえこ参院埼玉選挙区予定候補、秋山もえ県議と出席、あいさつしました。

 今こそ、侵略戦争をしない証であり、紛争の平和的解決をめざす羅針盤である国連憲章と憲法9条の力を発揮した取り組みを行うとき。

 物価高騰は、異次元の金融緩和などアベノミクスの破綻を示すもの。貧困と格差拡大の新自由主義を転換し、消費税減税、賃上げ実現の強くて優しい経済の実現を!

あいさつ動画は→埼玉県中央メーデーYouTubeのLive配信

 

【内閣委員会】子どもコミッショナーは中核的義務/学校の全ての場面で子どもの権利保障が不可欠/子ども関連法案参考人質疑

 こども関連法案の参考人質疑を行い、質問に立ちました。

 意見陳述で、日弁連子どもの権利委員会の野村武司幹事は、政府案と与党案には含まれていない「子どもの権利擁護機関」(いわゆる子どもコミッショナー)について、「子どもの権利を促進・保護するものとして、子どもの権利条約締約国の中核的義務と位置付けられているもの」で、「政府から独立した組織が必要だ」と述べました。

 日本大学の末富芳教授は、こども施策として「児童手当、年少扶養控除、保育、教育、医療の無償化などをパッケージとして示していくことが必要だ」と強調しました。

 私は質疑で、与党は、こども基本法ができたとしても教育の現場に権利条約の意見表明権などは及ばないとしていることについて意見を求めました。

 野村氏は、法案で一番危惧したのはその点だとして「生徒指導や特別支援教育、いじめ問題の解決など、子どもが最も多くの時間を費やす学校の全ての場面で子どもの権利を保障し、最善の利益を守る観点から、学校教育を子ども政策に位置付けることは不可欠だ」と述べました。


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「議事録」

<第208通常国会 2022年4月28日 内閣委員会 第23号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 参考人の皆様には、貴重な御意見を賜り、本当にありがとうございます。
 最初に、四人の参考人の皆様に御質問をいたします。
 やはり、子供関連の法案ということで、子どもの権利条約、これが、今の政治、社会、どのように発揮をされているのかということが問われることだと思っております。
 その点で、日本においてこの子どもの権利条約の実施状況が不十分ではないのかと私は受け止めておりますが、そうお考えであれば、どのような分野で、どのような権利保障が不十分だとお考えか、この点についてお聞かせいただきたいということと、あわせて、今回、閣法で出しましたこども家庭庁設置法案、子どもの権利条約の四つの一般原則に係る部分の記述が任務等に書かれておりますが、子どもの権利条約という文言そのものはありません。これまで、子供施策に係る法律におきましても、子ども・若者育成支援推進法や児童福祉法には、子どもの権利条約の理念にのっとり、子どもの権利条約の精神にのっとりと書いているんですが、この子どもの権利条約という文言がこども家庭庁設置法案に入っていない点についてはどのようにお考えかということについて皆さんからお考えをお聞かせください。
○古賀参考人 ありがとうございます。
 私も、権利条約の内容については、かなりいろいろ盛り込まれているんだなということは読ませていただいて思っております。その言葉が入るか入らないかというのは、それぞれの政治的御判断だと思いますので、私は、絶対それが必要かということについてはそうでもないのではないかなと思っております。
 ただ、子供の意見表明権とか、それから多様なダイバーシティーを保障する部分とか、これはやはり必須の条件というふうに思っておりますので、私どもも、先ほど御紹介したように、有識者会議でも意見募集事業、これはネットを使ったりもしております。いろいろな媒体を使って子供の声を拾い上げるという形を取っております。こういった作業は、やはり今後も続けなきゃいけないし、必要だと思いますので、そういう子どもの権利条約の要素を一つ一つの事業に含み込んでやっていくという作業が必要だと思っております。
 以上です。
○土肥参考人 私も古賀参考人と同じ意見でして、子どもの権利条約という文言は入っていないかもしれませんが、子どもの権利条約に必要な要素はかなり盛り込まれている内容になっているのではないかというふうに考えています。
 その上で、これまで足りなかった部分という意味では、私の専門からいえば、意見表明に関しては、非常に日本の中では遅れていた部分ではないかというふうに思っていまして、こども家庭庁は非常に意見表明や参画ということを積極的に取り入れているのではないかというふうに考えておりますので、そこに期待をしている部分です。
○野村参考人 まず、子どもの権利条約が批准されて、それが我が国においてどこが不十分なのかという点ですけれども、これは、私、国連の予備審査にも参加していまして、その雰囲気は感じ取ってきていますけれども、基本的に総括所見に上がっていることということにはなりますが、何よりもずっと言われてきたのは、やはり子供の権利に関しての総合的な、包括的な法律がないということ。
 それから、私が先ほど発言させていただいた子供コミッショナーに当たるもの、コアオブリゲーションズというふうに国連子どもの権利委員会は言っていて、条約の一般的意見の二号でそれが言われ、十二号でも繰り返し言われている、しかも各国でこれを取りそろえてきている、これがないということが非常に大きな問題であるように思っています。
 ただ、本国会の中でこれが議論にのったということは、私はすばらしいことだと思っていて、いろいろな進化過程はあると思いますけれども、是非そういう観点から議論をしていただければというふうに思っています。
 そのほか、個別にはいろいろありますけれども、国連の議論に参加していて一番感じたのは、やはり暴力の問題、家庭での暴力、学校での暴力、体罰の問題というのは国連の子どもの権利委員会の委員の非常に大きな関心になっていて、日本では法制度も含めて禁止の方向に向かっているという報告があったんだけれども、国連子どもの権利委員会で言っている暴力の禁止というのは、スパンキングという言い方をしていましたけれども、軽くたたくことだって駄目だというふうに認識しているんだということを非常に強い調子で言われていたということは非常に印象的です。
 その他、緊急的に取るべき措置というのが、たしかパラグラフの最初の方に載っていたと思いますので、ちょっと思い出せませんが、そこにあるものということになろうかと思います。
 それから、今回の法案に、子どもの権利条約ですけれども、設置法についてどうかというのはなかなか判断がつきにくいところがあるんですけれども、ただ、設置法でも、子供の権利についての一般原則、四つのものというのは上がっているということは評価していますし、基本法についても、各党のものを見てみますと、基本的に子供の権利についての一般原則が上がっているということはすばらしいことかなというふうに思っています。
 それをどのように実現していくのかというのは、その法体系の問題と今後の取組ということになってきますので、こんなに前向きな議論がなされている国会というのは私は本当にすばらしいと思っていますので、是非、それを踏まえて議論をしていただければなというふうに期待として思っています。
 以上です。
○末冨参考人 まず、最初の御質問につきましてですが、塩川先生へのお答えとして申し上げたいのは、まず子供の生命、生存に関する権利の保障こそが最重要であるということです。コロナの前からこの国の貧困世帯のおよそ一割強は、三食満足に食べられない家庭です。
 あわせまして、昨年度内閣府が実施しました国として初めての子供の貧困調査では、逆境経験というものを聞いております。暴力、暴言だけではなく、自分は誰からも愛されていないなどのとても厳しい環境で生きている子供たちは、貧困世帯の場合およそ半数、そして、貧困ではない世帯でも一五%程度存在することが分かっています。
 親の所得状況にかかわらず、このように自分自身の生命や生存、そして尊厳が脅かされている状態こそ、この国の子供の権利の状況としては最も深刻なものであり、一番最初に解消されるべきものであるというふうに考えます。
 あわせまして、今次国会に提出されておりますこども基本法あるいはこども家庭庁設置法や立憲民主党法案、維新法案等につきましては、それぞれに、子供の権利を基盤とし、子供のための組織をつくるんだということをおっしゃっておられますけれども、やはり重要なのは、その組織において、子供を守り、子供と進むという具体の政策領域や国としての責任領域をどのように明示していくかということが重要であると思われます。その点についての議論を深め、よりよい法案としていただくことが皆様方に期待することです。
 以上です。
○塩川委員 ありがとうございます。
 次に、野村参考人と末冨参考人にお尋ねいたします。
 いわゆる子供コミッショナー制度の関係ですけれども、政府から独立をし、政府を監視、評価、制度改善を求める第三者機関、そして子供の権利侵害の相談・救済機関として、いわゆる子供コミッショナー制度が必要だと考えております。
 その点で、こども家庭庁設置法案や与党案などには、子供の権利を保障するための独立した監視機関が明記をされていない。この点についてどのようにお考えか、お聞かせください。
○野村参考人 ありがとうございます。
 先ほどの意見の中で申し上げましたが、コミッショナー制度ということを持つということが子どもの権利条約を批准している国のコアオブリゲーション、中核的な義務ということでありますので、これがあるとないということでは非常に大きな違いがあるというふうに考えています。
 いろいろな議論は承知していますけれども、監視だとか独立だとか勧告だとか意見表明だとかという非常に厳しい言葉が並んでいるがために、要らぬ予断とともに議論がなされていることが本当に心苦しく感じているんですけれども、今日意見を述べさせていただいたのは、実は、勧告であるとか意見だとか独立ということは、こういうことなんだということを事例をもって示したいなというふうに思いまして、自治体の事例でありましたけれども示させていただいたという次第です。しかも、我が国に経験がないかというと、地方分権の分野で実はこういうものもあるというのが先ほどの例ですけれども。
 いずれにせよ、少し離れた立場から子供の意見を届けて、それを子供の最善の利益に結びつけていく、それが救済であったり、制度改善であったり、あるいは広報啓発であったりという、その役割というのは、子どもの権利条約の観点からも非常に重要なものというふうに理解をしています。
 なので、前向きな議論を望んでいるということになります。
○末冨参考人 私のスライドの、また二十六ページを使って説明をさせていただきます。
 独立性という言葉が、確かに子供の権利擁護機関については非常に私もよく聞きました。そして、その点について心配をされる国会議員の方たちがいらっしゃることも確かであろうと存じます。
 民主主義と申しますのは、同じ意見を持つ人たちだけではなく、やはり違う立場に、あるいは子供たちのために違う視角からの光を当ててくださる方たちの御意見を大事にしなければなりません。
 そうしたことを鑑みて、私自身、子供コミッショナーについて真剣に議論を交わし、検討してまいりました。
 その結果、たどり着きましたのが二十六ページのこちらの諸原則になりますが、独立性だけではなく、様々なお考えのある国民の信頼と負託に応えるためには、やはり中立性や公平性の原則というものが必要になります。ただし、あわせて、子供自身の状況をよくするためには迅速性や専門性といった諸原理がある。そうした諸原理をきちんと実現していく、その際に何の原理原則が大事なのかということを決める場こそ、恐らく国会の機能ではないでしょうか。
 ただし、独立性につきましては、私自身は、教育委員会のいじめ隠蔽等に対しての国の役割を発揮する際に再度検討されることになるのではないかと予測しております。なぜならば、教育委員会も、政治的中立性を持ち、独立性を持つ行政委員会の一つだからです。こうしたいじめ隠蔽事件に対し国や地方が十分な機能を発揮する際に何が必要なのかという中で、改めて独立性に視点が当てられる場合もあろうかと存じますが、それは、個別の事例、そして国の司令塔機能の発揮といったものの中で、しっかり丁寧に検証されるべきであろうと思います。
 ただし、何より大事なのは子供の最善の利益です。
 以上です。御質問ありがとうございます。
○塩川委員 ありがとうございます。
 続けて、野村参考人と末冨参考人にお尋ねいたします。
 子どもの権利条約は、当然、子供に係る、子供施策に広く及ぶものです。もちろん、教育や学校教育の内容にも及ぶものでありますけれども。
 ただ、与党提出のこども基本法案、この間質疑をしてまいりまして、子どもの権利条約の四つの一般原則を掲げたこのこども基本法案については、学校教育の内容には踏み込まないという答弁です。そうしますと、学校教育の内容についてはこの法案が及ばないということですと、十分その役割を果たすことができるのかと受け止めたんですが、その点についてお考えをお聞かせいただけないでしょうか。
○野村参考人 ありがとうございます。
 今回の自民党、公明党提出の基本法案を拝見して、私が一番危惧したのはその点です。
 もちろん、学校現場における教育内容をどうするのかという問題等については、これは先生が、生き生きと伸び伸びと、子供に直接接して教育をしてもらう、そういう役割というのは十分果たしてもらわなければいけないということは当然ですけれども。
 しかしながら、例えば、生徒指導の在り方であるとか、あるいは教育確保法の分野の問題であるとか、あと特別支援教育の問題であるとか、あるいはもちろんいじめの問題であるとか、学校教育の周辺もありますけれども、学校教育の内容。つまり、子供を真ん中に置いて考えるということは、子供の生活場面、全生活場面において子供の権利保障をするということですから、子供が最も多くの時間を費やす学校の現場がそこから抜けてしまうということになると、それはこどもまんなかという話にはならないだろうというふうに思っています。
 ただし、教育法の様々な基本原則や原理があって、いろいろ難しい議論も当然あるのはもちろん承知はしているんですけれども、それを踏まえた上でも、子供の最善の利益あるいは子供の人権の観点からは、学校教育というのを子供施策の中にきちんと位置づけるということは、私は不可欠であろうというふうに考えています。
○末冨参考人 御質問ありがとうございます。
 こども基本法やこども家庭庁が学校教育に踏み込まないんだというような御心配があるということは承知しておりますし、私も懸念はしました。ただし、そのようなことは法の建前上もないというふうに考えております。
 なぜかと申しますと、既に、教育の世界では、本日御説明申し上げたように、子供の権利を前提として、九ページあるいは十ページにありますように、実際の教育政策や教育実践が行われつつあるからです。
 文部科学省も、では、子供の権利を無視しているかというとそういうことではなく、今議論されております生徒指導提要という例えば校則の根拠となっている方針においては、児童の権利条約が明記されております。すなわち、子供を権利の主体として位置づけ、子供の意見を表明することや尊重することも大事にしていこうねということが申し述べられております。
 なぜそのような議論になるのかと申しますと、与党案のこども基本法のすばらしいところは、日本国憲法の精神に基づくという一文が入っていることです。教育基本法の前文にも日本国憲法の精神に基づくという文言が入っており、当然のことながら、子供も権利の主体であり、基本的人権を持ち、主体的な国家及び社会の形成者として成長していくことが、この二つの法律に共通するものだと考えています。
 そうした日本国憲法の精神を基盤とするこの二つの法律は、対立するものではなく、相補いながら進んでいくものであり、文部科学省や関連する省庁の政策においても、教育政策か子供政策かではなく、両方とも大事にした実践が進むということを期待しております。
 こども家庭庁も、当然のことながら、そうした視点に立って、子供の最善の利益を実現するための司令塔として、子供の権利は大事ですよねということを全ての省庁にきちんと横串を通していってくださるものと期待をしております。
 御質問ありがとうございます。
○塩川委員 終わります。ありがとうございました。

【議院運営委員会】沖縄本土復帰50年決議/反対討論/党派を超えて地位協定改正を

 衆院本会議で、沖縄本土復帰50年の決議が賛成多数で可決。日本共産党は、反対しました。

 私は、本会議に先立つ議院運営委員会で、反対討論を行いました。

 決議が「外交努力による本土復帰に思いをいたす」と述べていることについて、復帰を実現させた最大の原動力は、基地のない平和な沖縄を切望した県民の島ぐるみのたたかいと本土の連帯だと指摘。県民の願いに反する沖縄返還協定を強行採決し、基地を存続させた政府・自民党の歴史的責任を覆い隠すことは許されないと強調しました。

 また、日本共産党が求めてきた「基地の整理縮小」「日米地位協定の改定」が盛り込まれていないと指摘。米軍基地由来の新型コロナの感染拡大や米軍犯罪など、県民の命と安全が脅かされ続けているとして、日米地位協定の改正に、党派を超えて取り組むよう主張しました。


討論の要旨は、以下の通りです

 私は、日本共産党を代表し、沖縄の本土復帰50周年に関する決議案に反対の討論を行います。

 第一は、決議案が、沖縄の歴史を歪めていることです。

 「外交努力による本土復帰の歴史に思いをいたし」としていますが、そもそも戦中戦後の沖縄の苦しみは、日本政府自身がつくりだしたものです。

 県民の4人に1人が犠牲になった苛烈な地上戦は、侵略戦争の末期、大本営による本土決戦を遅らせるための捨て石作戦が招いた結果です。その後の米軍統治が戦後27年の長期に及んだのも、サンフランシスコ講和条約第三条で沖縄が本土から切り離され、占領下に置き去りにされたことによるものです。70年前の今日、1952年4月28日は条約が発効した日であり、今なお「屈辱の日」として県民の記憶に刻まれています。

 条約の壁を乗り越えて、本土復帰を実現させた最大の原動力は、平和憲法の下で、基地のない平和な沖縄としての復帰を切望した県民の島ぐるみのたたかい、それと連帯した本土の運動にほかなりません。県民の願いに反する沖縄返還協定を強行採決し、基地を存続させた政府・自民党の歴史的責任を覆い隠すことは許されません。

 第二は、沖縄が直面する課題や県民の願いに向き合うものになっていないことです。
我が党は、与党が提示した原案に対し、県民の総意である「基地の整理縮小」と「日米地位協定の改定」を明記することを求めてきましたが、いずれも盛り込まれませんでした。

 それどころか、決議案は、SACO合意に基づく基地の統合や移転に全力で取り組むとした1997年の決議をふまえるとし、さらに「世界の平和と安定のための創造拠点」としての沖縄づくりを提起しています。

 これでは、政府が県民の民意を無視して強行する辺野古新基地建設や南西諸島への自衛隊配備を追認することになりかねません。

 米軍に治外法権的な特権を保障した日米地位協定の下で、米軍基地由来の新型コロナ・オミクロン株の感染拡大、米軍関係者による犯罪や米軍機の墜落、爆音、環境汚染など、県民の命と安全が脅かされ続けています。

 全国知事会の提言もふまえ、日米地位協定の改正に党派を超えて取り組むことを主張し、討論を終わります。

全建総連と党国会議員団の懇談

 党国会議員団は、全建総連(中西孝司委員長)と懇談。建設資材の価格高騰、納期遅延等に関する要望を受け、意見交換。

 木材の値上がりは深刻。給湯器は納品までに平均二か月以上、最大240日かかる例も。工務店の6割が価格転換できない。

 「木材の高騰、設備の納期遅れが大きく影響しており、支払いが先行するこの業界では資金繰りが難しい。国の支援策に期待したい」という声が上がっている。

 小池書記局長は「要望にしっかり応えたい。新自由主義の経済政策の根本的転換をはかっていきたい」と述べました。


資材高騰/支援切実/全建総連が共産党議員団と懇談

「しんぶん赤旗」4月29日・1面より

 全建総連の中西孝司委員長、勝野圭司書記長ら役員は28日、国会内で日本共産党国会議員団と懇談し、建設資材の価格高騰対策や建設労働者の処遇改善への協力を要請しました。

 中西委員長は、「木材、資材の高騰や設備機器の納入の遅れ、不足が続いている」と支援を要望。「若い人が入ってくる建設産業とするため建設キャリアアップシステムなどを活用しながら処遇改善をすすめたい」と強調しました。

 共産党の小池晃書記局長は、「物価高騰・国民生活防衛対策本部を立ち上げ、実態把握と政府要求に取り組んでいる。消費税増税による消費低下、物価高騰の深刻な被害を受ける建設職人、労働者の切実な要望を受け止め、力を合わせる」と発言。「問題の根本にある大企業優遇の新自由主義の矛盾に転換を求めながら、直面する課題に取り組みたい」と述べました。

 勝野書記長は、工務店アンケート結果を説明。支援策として、新築・リフォーム補助事業の延長・拡充▽実態把握と不当な価格引き上げなどへの対応▽ガソリン高騰への支援策▽事業復活支援金や無担保・無利息の特別貸付などの延長・拡充―などを要望しました。

 懇談では、高橋千鶴子衆院議員が「給湯器などが中小事業者にまわっていないのではないか」と質問し、全建総連は「大きな企業が設備機器の確保に優位になっている。適切な流通を監視、指導してほしい」と述べました。

 田村智子副委員長は、「物価高騰は長期におよぶと予想され、抜本対策を掲げ、消費税引き下げなどを求めていく」と強調しました。

 党国会議員団から3氏のほか、倉林明子副委員長、穀田恵二、塩川鉄也、宮本徹、本村伸子、宮本岳志、田村貴昭各衆院議員、武田良介、大門実紀史、山添拓、井上哲士各参院議員が出席しました。


全建総連・工務店アンケート/原価増/自社負担6割

「しんぶん赤旗」4月29日・8面より

 全建総連は、建材・住宅設備の価格高騰・納期遅延の影響に関する工務店アンケート調査を実施しました。

 3月~4月に35都道府県1097社(従業員4人以下が86.8%)から回答を集約。

 工事原価が上がったとの回答が96%にのぼりました。価格転嫁ができたのは40.3%にとどまり、一部または全部自社負担が59.7%でした。

 住宅設備の納期は、3月納品の給湯器は平均66.7日かかり、最大240日でした。

 売上減少が45.1%、利益減少が64.9%。「資金繰りが心配」41.3%、「すでに資金繰りがひっ迫」16.7%となりました。

 政策要望では、「税負担の軽減」62.1%、「値上がり分に対する消費者向け補助金」49.5%、「流通改善に向けた指導・支援」44.8%、「事業復活支援金の拡充」40.2%と続きました。

【内閣委員会】子どもの意見表明権を認めない文科省/子どもの権利条約の観点が欠落

 審議中のこども家庭庁設置法案、こども基本法案に関連して質問し、髪や下着の色まで指定する理不尽な校則の大本にある子供の意見表明権を認めない文部科学省の姿勢を批判しました。

 私は、「先生に囲まれ無理やり髪の毛に黒スプレーをかけられた」など、日本共産党プロジェクトチームが行った校則の実態調査の結果を紹介し、あまりにおかしいのではないかと質問。

 文科省は「合理的な範囲で校則を定められる」と答弁。

 私は、髪型や服装は人間の尊厳にかかわり、どう尊重するかが教育現場で抜け落ちていると指摘。国連子どもの権利委員会は2010年に日本政府に子どもの意見表明権を尊重するよう勧告をしたのに、政府は、校則の制定は「生徒個人に関わる事項とはいえず、意見を表明する権利の対象となる事項ではない」としていることについてただしました。

 文科省は、「意見表明権の対象としていない」と認めつつ、「校則の見直しに生徒が関わることは、校則を守る意識の醸成につながるなど教育的意義がある」と述べました。

 私は、子どもの意見表明権は、子ども自身に影響を及ぼす全てのことについて自由に意見を述べる権利だと強調し、子どもの権利条約批准時に当時の文部省が出した通知が、意見表明権に触れていないなど、子どもの意見表明権を認めない文科省の姿勢は一貫していると主張。

 子どもの権利条約の観点が欠落していると批判しました。


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「議事録」

<第208通常国会 2022年4月27日 内閣委員会 第22号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 今日は、最初に、与党提出のこども基本法案の提出者に御質問いたします。
 前回もお聞きした点ですけれども、こども基本法案と、子どもの権利条約、学校教育との関係についてであります。
 本会議で、こども基本法は学校教育も包含するのかという私の質問に、提出者の木原稔さんは、教育施策は憲法と教育基本法を頂点とする教育法体系の下で行われるものであることから、こども基本法には学校教育の内容に踏み込んだ規定を設けることはしなかったと答弁しました。
 一方で、先日、金曜日の質疑の答弁では、鈴木さんでしたか、子供施策の定義上、教育施策は子供施策に含まれる、子どもの権利条約の四原則に定めた本法案の子供施策に関する基本理念も学校教育に及ぶと言います。
 こども基本法は学校教育の内容に踏み込まないけれども、こども基本法の基本理念は学校教育に及ぶと言います。違いがよく分からないんですが、説明をいただけますか。
○木原(稔)議員 先日の本会議での私の答弁に対しての御質問をいただきました。
 御紹介いただいたとおり、子供施策の定義上、教育施策は子供施策に含まれることから、児童の権利に関する条約の四原則について定めた本法案の子供施策に関する基本理念もまた、当然、学校教育にも及ぶこととなるということを答弁させていただきました。
 その中で、じゃ、学校教育の内容は何かということとなると、学校教育における教育課程に関する事項のことであります。すなわち、学校教育法では、小学校、中学校、高等学校などの各段階について、それぞれ、教育の目的とそして目標というものが掲げられておりまして、これらに従って文部科学大臣が学習指導要領を定めることになっております。
 こうした事項について、まさに憲法と教育基本法を頂点とする教育法体系の下で行われるものであることから、こども基本法案の中で、学校教育の内容、換言すると、学校教育のカリキュラムに踏み込んだ規定は置かなかったということになります。
 以上です。
○塩川委員 学習指導要領、カリキュラムについては、こども基本法は踏み込まないということであります。そういうことでいいんですよね。
 その学習指導要領には、現状、子どもの権利条約については一言も書いていないということなんですが、この点は、それでいいのかなと思うんですが、いかがですか。
○木原(稔)議員 例えば、児童の権利に関する条約の発効をした際に、随分前ですけれども、平成六年に文部科学省が通知を出しておりまして、その通知は、一部ですけれども、ちょっと読み上げると、「学校教育及び社会教育を通じ、広く国民の基本的人権尊重の精神が高められるようにするとともに、本条約の趣旨にかんがみ、児童が人格を持った一人の人間として尊重されなければならないことについて広く国民の理解が深められるよう、一層の努力が必要であること。」とされているんですね。
 学校教育の内容自体は、先ほど申し上げたように、憲法と教育基本法を頂点とする教育法体系の中で定められているというところでありますけれども、その教育法体系の中でも、今申し上げた通知のように、児童の権利条約に関する条約の趣旨がこれまでも考慮されてきたところであり、そうした意味において、学校教育の内容に及ぶというふうに言えるのではないかなと私は理解しております。
○塩川委員 いや、説明がちょっともうひとつよく分からないんですけれども。
 もう一つの、この前の委員会での答弁ですけれども、子供施策の定義上、教育施策は子供施策に含まれる、子どもの権利条約の四原則に定めた本法案の子供施策に関する基本理念も学校教育に及ぶとあります。このこども基本法に掲げた子どもの権利条約の理念は学校教育に及ぶということなんですけれども、学校教育の内容にも及ぶということでいいんですか。
○木原(稔)議員 学校教育の内容には、だから、そこには踏み込まなかったという答弁をさせていただいたところでありまして。
 例えばですけれども、教育に対する何が内容で、何が内容でないかというところでいうと、これは事前に通告いただいていないですけれども、例えば、各学年に応じて、教科には教科書というものがあって、教科書というのは教科書検定制度というものがあります。例えば教科書検定の内容にまで、どの教科書を採択すべきだとか、この文章の記述はよくないとか、まさにこれは教育内容そのものでありますけれども、そういったことに踏み込むのではない。
 また一方で、例えば文部科学省が既にやっている政策でいうとGIGAスクール構想などがありますが、あれは、内容というよりも、教育の質の向上といいますか、ICTの発達した社会の中で、リモートでいかに子供たちにしっかりと教育していくか、また、このコロナ禍において学校の教育の質をいかに担保していくか。まさに、内容ではなくて教育支援そのもの。
 これは仮定の話ですけれども、もしGIGAスクール構想を文部科学省がやっていなかったとしたら、そうすると、私どものこども基本法などを通じて、憲法の二十六条の子供が教育を受ける権利、これを担保するために、質の向上を踏まえて、こういったGIGAスクール構想などを文部科学省に対して勧告をするというようなこともあるかもしれない。
 つまり、内容と内容でないものというのは、今具体例を例えば申し上げましたけれども、そういったことであります。
○塩川委員 子どもの権利条約の理念は学校教育の内容には及ばないという御答弁、学校教育の内容に、学習指導要領のことも例示としてお話がありました。
 この間、生徒指導提要の改訂作業が行われていまして、そこの中に、子どもの権利条約、四つの一般原則も書き込まれています。これについては、教職員のみならず、保護者、あるいは関係者、そして児童生徒についてもその理解が必要だとなっているわけであります。
 だとしたら、まさに権利の主体である児童生徒が子どもの権利条約について学ぶということが必要じゃないのか。そういった点で、学習指導要領が、現状、子どもの権利条約に触れていないというのはいかがか。今のこのこども基本法案のたてつけでいえば、そこについては踏み込まない、及ばないということになる、それでいいのかということなんですが。
○木原(稔)議員 こども基本法の「目的」の中には、「この法律は、日本国憲法及び児童の権利に関する条約の精神にのっとり、」ということを、こども基本法の中にはしっかり児童の権利に関する条約の精神のことをうたわせていただいており、そういった今回の基本法を通じて、今回設置されることとなるこども家庭庁を通じて、その理念をしっかりとこども家庭庁の中で実現していただくということになっていくのだというふうに理解しております。
○塩川委員 率直に言って、まさに子供の権利を保障するといったことを考えたときに、その権利が何たるものかということを学ぶ機会なしには、それを自らのものとすることができないわけであります。自らの権利を学ぶということは、他者の権利を学ぶということであります。子供の権利を学ぶということは、大人にも権利がある、そのことの中で子供自身の成長も保障されるということだと思います。そういう点での、このこども基本法案のたてつけについては、これでいいのかということは率直に思わざるを得ません。
 何か一言ありますか。
○木原(稔)議員 私どもとしては、既存の教育法体系があり、そしてその横に、このこども基本法という、また別の子供に関する基本法という一つの体系ができ、それがお互いにグラデーションするところもありますが、何よりも、こどもまんなか社会の中で、子供にとって一番よい環境は何かということを追求していくために、こういったこども基本法案を作らせていただいたところであります。
○塩川委員 グラデーションというお話がありましたけれども、そうすると、教育基本法、教育法体系とこども基本法というのは、グラデーションはあるけれども一定のすみ分けをしているということですかね。
○木原(稔)議員 すみ分けということが正しい使い方かどうかはちょっと今すぐに判断できませんが、でも、ある意味、教育の内容に関することなのか、それとも教育支援に関することなのか、そういう意味でいうと、教育ということではつながっているという意味で、すみ分けということも言えるのではないかなと思います。
○塩川委員 教育法体系に、この子どもの権利条約の基本理念、四つの原則などが本当に及ぶのかといった点についての懸念があるということを申し上げておきます。
 それで、それとの関係で、文科省にお尋ねいたします。校則の問題であります。
 我が党は、校則問題のプロジェクトチームをつくっておりまして、この間、中高生や保護者の方や教職員にアンケート活動を行ってきております。三千人の声を寄せていただきまして、「校則に言いたい! 中高生・親・教師三千人の声」、こういった本も出して、その中身について紹介をしているところであります。
 たくさんのアンケートを寄せていただきました。やはり、校則の問題で多かったのが、一つは頭髪関係と服装の関係であります。
 頭髪関係では、先生に囲まれて無理やり髪の毛に黒スプレーをかけられたとか、先生に前髪を切られたとか、なぜツーブロックが駄目なのかなど、そういう声も寄せられていますし、服装関係では、靴下の色とか長さを指定をするとか、スカートの長さを指定をするとか、下着の色を指定をするとか、こういった話というのは、大臣、率直におかしいと思いませんか。
○淵上政府参考人 お答え申し上げます。
 学校におきましては、その教育目標、教育目的を達成するために、必要かつ合理的な範囲内におきまして校則を定めることができる、こうされているというふうに承知をしておりますけれども、その校則の中身につきましては、絶えず、時代の状況ですとか社会の情勢、あるいは、子供たち、保護者の意向、地域の状況など、そういったものを踏まえながら、積極的に見直しをしていくということが大切かというふうに考えております。
○野田国務大臣 ちょっと通告でなかったので、個人的な意見になるかもしれませんが。
 私自身は、すごく厳しい校則の下で、小学校、中学校、高校を送りました。今、息子は本当に自由に、下着の色も靴下も関係ない公立の小学校に通っています。
 ただ、前回ここで議論になったときに、髪の毛を黒くするという、なぜそういうことをしなきゃいけなかったのかなというと、かつては、色の違いでやはり差別とかいろいろなことがあっちゃいけないので、配慮としてみんなと同じにしたという話もエピソードとして聞きましたが、うちの息子の場合はちょっと茶色いので、でも、やはり健康とか様々な育ちを考えたときには、これはちょっと我が家では厳しい話だな、そこはする必要はないんじゃないかなというような話をさせていただきました。
 それぞれ学校が責任を持って取り組んでいるので、子供の意見を聞いて、しっかりと、子供が本当に学校を楽しく過ごせるような、そして子供をしっかり守れるような校則というのを是非御検討いただければと願います。
○塩川委員 やはり、子供の生育過程もあるでしょうし、体調や健康状態なんかの影響も当然あったりするわけです。その上で、髪型とか服装というのは、やはりその人の基本的人権そのもの、ライフスタイルと深く関わるものだから、人間の尊厳に関わるものだ、ここをどう尊重するかということが教育の現場では求められていると思います。
 それで、子どもの権利条約の第二十八条第二項には、締約国は、学校の規律が児童の人間の尊厳に適合する方法で及びこの条約に従って適用されることを確保するための全ての適当な措置を取ると、校則の問題についても触れております。これを踏まえ、子どもの権利委員会の日本政府への勧告では、学校は児童の意見を尊重する分野を制限をしている、児童が学校において自らに影響を与えるあらゆる事柄について意見を十分に表明する権利を促進するための取組を、締約国、日本政府が強化することを求めておりました。
 しかしながら、この子どもの権利条約の日本政府の報告を見ると、学校においては、校則の制定、カリキュラムの編成等は、児童個人に関する事項とは言えず、第十二条一項で言う意見を表明する権利の対象となる事項ではないとしております。
 子供の意見表明権とは、子供自身に影響を及ぼす全てのことについて自由に意見を述べる権利があるということであります。校則の制定は子供に影響を及ぼす事項そのものであり、意見表明権の対象となることは明らかではありませんか。
○淵上政府参考人 児童の権利に関する条約に関します平成二十年、平成二十九年の我が国の政府報告におきましては、校則の制定に関して、学校においては、校則の制定、カリキュラムの編成等は、児童個人に関する事項とは言えず、第十二条一項で言う意見を表明する権利の対象となる事項ではないというふうにされておりますけれども、同じくこの報告書は、これに続きまして、しかし、児童の発達段階に応じて、校則の見直しに当たり、アンケートの実施や学級会、生徒会での討議の場を設けるなど、必要に応じて、児童の意見を尊重した学校運営を実施している旨の記述がされているところでございます。
 文部科学省としましては、校則の内容は日々の教育指導に関わるものでございまして、校則の制定や見直しの過程で児童生徒自身が関与するということは、自ら校則を守ろうとする意識の醸成につながり、身近な課題を解決するなどの教育的な意義があるというふうに考えておりますので、昨年六月の事務連絡におきましても、校則の趣旨や見直しの必要性などについて周知をいたしますとともに、先導的な取組事例をお示しをしているところでございます。
○塩川委員 十二条第一項をどういうふうに受け止めるのかという問題だと思うんです。
 例えば、ユニセフの子どもの権利条約ハンドブックでは、第十二条の子供の意見表明権について、このように紹介しています。子供は自分に関係のあることについて自由に意見を表す権利を持っています、その意見は子供の発達に応じて十分考慮されなければなりませんと述べています。
 子供の関わることについては、子供は自由に意見を表すことができる、関係者は子供の意見に耳を傾けよと求めているのが子どもの権利条約です。しかしながら、校則に係る子供の意見表明権を認めない文科省の立場というのが一貫をしている。
 そもそも、先ほど木原さんも紹介された一九九四年の事務次官通知の中に、校則は学校の責任と判断において決定されるべきもの、意見を表明する権利については、必ず反映されるということまでを求めているものではないとしていますが、ここには、子供は自分に関係のあることについて自由に自分の意見を表す権利を持っているということが触れられていないんです。
 自分に関係のあることについて、とにかく自由に自分の意見を表す権利を持っているということがこの意見表明権の第十二条ですけれども、何で事務次官の通知にはこの肝腎なことが触れていないんですか。
○淵上政府参考人 お答え申し上げます。
 児童の権利に関する条約の第十二条第一項に関しましては、先ほども申し上げましたように、校則の制定、カリキュラムの編成などにつきましては、児童個人に関する事項とは言えないので、十二条一項で言う意見を表明する権利の対象となる事項ではないというふうに解しているところでございますけれども、ただ、他方、校則の運用、見直しなどにおいて、子供たちの意見を聞くといったようなことは、先ほども申し上げましたとおり、教育的な意義も有するものでありますので、そうした取組をすることは望ましいというふうに考えているところでございます。
○塩川委員 校則について、子供が自由に意見を表す権利があるという子どもの権利条約の観点が欠落しているんじゃないのかということを申し上げて、質問を終わります。

埼玉・宮代町で演説会

 埼玉県宮代町で党演説会。

 敵基地攻撃能力の強化、軍事費倍加、武器輸出拡大など、自民党の軍事力強化の動きは重大。

 軍事対軍事の悪循環やめ、9条を生かした東アジアの平和外交を!

 燃油価格の引下げ、消費税減税、年金減額中止、賃上げ政策の前進を!

 化石燃料依存を脱却し、再エネ・省エネに本腰を入れるとき。

 参院選で比例5議席必ず!埼玉は梅村さえこさんへ!

【内閣委員会】こども家庭庁設置法案に「子どもの権利条約」なし/権利条約を正面に据えよ

 こども家庭庁設置法案と与党提出のこども基本法案について質問し、子どもの権利条約を正面に据えることが必要だと主張しました。

 私は、子ども・若者育成支援推進法や児童福祉法には「子どもの権利条約の理念(精神)にのっとり」という文言が規定されている。それなのに、「こどもまんなか社会」を目指す司令塔をうたうこども家庭庁設置法案に、子どもの権利条約の文言がないのは何故か、と質問。

 野田聖子少子化担当大臣は、「(閣議決定した)基本方針で明記している」と答弁。

 私は、閣議決定ではなく、法律で理念を据えることは当然の前提だと強調し、これまでのこども施策に関わる法律より後退したと言わざるを得ないと批判しました。

 私は、文科省が検討作業をしている生徒指導提要の改定試案には、子どもの権利条約の4原則(「生命、生存及び発達に対する権利」「子どもの最善の利益」「意見の表明・尊重」「差別の禁止」)が扱われており、同条約の理解は、教職員だけでなく、児童生徒・保護者・地域にとっても必須としていると確認したうえで、学習指導要領には「子どもの権利条約」の文言があるのかと質問。

 文科省は、ないことを認めました。

 私は、権利の主体である児童生徒の側が、子どもの権利条約そのものを学ぶ機会を位置付けないのはおかしいと追及。

 文科省は「広く周知し理解してもらうことが大切だ」としか述べませんでした。

 私は、学校教育に子どもの権利が及ばないことになりかねないと批判。

 野田大臣は「こども家庭庁の設置で穴の無いよう取り組んでいけると信じている」と述べました。


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「議事録」

<第208通常国会 2022年4月22日 内閣委員会 第21号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 こども家庭庁設置法案、それから与党提出のこども基本法案について質疑をいたします。
 一九九四年に批准をされました子どもの権利条約が日本の法制度にどのように位置づけられてきたかについて確認をしたいと思います。
 野田大臣にお尋ねしますが、条文に子どもの権利条約が盛り込まれた最初の法律は二〇〇九年の子ども・若者育成支援推進法と承知していますが、それでよろしいでしょうか。
○野田国務大臣 子ども・若者育成支援推進法においては、法律の目的として、児童の権利に関する条約の理念にのっとり、他の関係法律による施策と相まって子ども・若者育成支援施策を推進することとしております。
 児童の権利に関する条約の原則についても、法律の基本理念として、子供、若者が健やかに成長すること、個人としての尊厳が重んぜられ、不当な社会的取扱いを受けることがないようにするとともに、その意見を十分に尊重しつつ、その最善の利益を考慮すること等を明記してあります。
○塩川委員 今、子どもの権利条約の理念にのっとり、また四つの原則に則した部分の記述のところを紹介いただきました。
 そもそも、子どもの権利条約のこういう規定について法律に盛り込んだのがこの子ども・若者育成支援推進法ではないかと承知しているんですが、その点、確認したいと思うんですが、よろしいですか。
○野田国務大臣 そうです。
○塩川委員 一九九四年に批准された子どもの権利条約ですが、国内法の中に規定として盛り込まれたのがこの二〇〇九年の子ども・若者育成支援推進法が最初ということであります。
 ただ、今御説明いただいて、いわゆる四つの一般原則が法律の条文に盛り込まれているという趣旨でお答えいただいたのかなと思ったんですが、内閣府のホームページにあります子ども・若者育成支援推進法の説明資料を見ますと、いわゆる四つの原則については、第二条の差別の禁止、第三条、子供の最善の利益、第十二条、子供の意見の尊重は位置づけられておりますが、第六条の生命、生存及び発達に関する権利というのがホームページ上の説明資料では位置づけられていなかったんですが、そこはどういうことか分かりますか。
○笹川政府参考人 お答え申し上げます。
 子ども・若者育成支援推進法、これは第一条で「児童の権利に関する条約の理念にのっとり、」というふうに明言しておりますので、私どもといたしましては、これに尽きるというふうに思っております。ありがとうございます。
○塩川委員 子どもの権利条約の理念にのっとりと第一条であるから、そういう中で四つの原則は包含をしているという御説明ということであると思いますが、ただ、ホームページを見ますとそういった記載になっていないものですから、その点は何らか見直す必要は、お考えはありませんか。
○笹川政府参考人 お答え申し上げます。
 検討させていただきます。ありがとうございます。
○塩川委員 子どもの権利条約、その四つの一般原則とされています差別の禁止、差別のないこと、子供の最善の利益、子供にとって最もよいこと、生命、生存及び発達に対する権利、命を守られ成長できること、そして子供の意見の尊重、意見を表明し参加できることといった内容について、四つの原則としているわけであります。
 子ども・若者育成支援推進法は、「児童の権利に関する条約の理念にのっとり、」と目的に書き、四つの原則を掲げているということでありました。
 この子ども・若者育成支援法は、当初の法案には、つまり、閣法で出されているわけですけれども、麻生政権のときでしたが、閣法で出されたときには、子どもの権利条約は記述をされておりませんでした。修正協議の中で盛り込まれたということですけれども、そういうことでよろしいでしょうか。
○野田国務大臣 そうです。
○塩川委員 当時、自公政権が提出をした当初の法案、閣法、青少年総合対策推進法案には、子どもの権利条約の記述はありませんでした。
 青少年特別委員会で修正協議も行われて、野党の修正案提出者の民主党の吉田泉委員が修正の趣旨を述べておられますけれども、そこでは、憲法及び児童の権利条約の理念を反映させることとし、日本国憲法及び児童の権利条約の理念にのっとる旨を明示するとともに、子供、若者について、尊厳を重んじる、差別的取扱いを受けない、意見の尊重、最善の利益を考慮などの理念を明記することとしていると述べています。
 子どもの権利条約を位置づけることを求める市民と野党の働きかけによって盛り込まれたものということであります。
 こういった子ども・若者育成支援推進法は、権利条約の理念にのっとり、四つの原則も踏まえているわけですが、法律に書き込めばいいという話じゃなくて、実際それがどう実践されるのかという点で、この法律がやってきたことについての検証ということも行う必要がありますが、まずは出発点として、権利条約の様々な理念、一般原則、これをしっかりと国内法に位置づけるということは極めて重要であります。
 そういう点で、次に、児童福祉法についてお尋ねをいたします。
 この児童福祉法において、子どもの権利条約の内容というのはどのように盛り込まれているか、四つの一般原則は位置づけられているのか、この点についてお答えください。
○岸本政府参考人 お答えいたします。
 児童福祉法では、第一条におきまして、「児童の権利に関する条約の精神にのつとり、」との文言が明示的に盛り込まれているところでございます。
 その上で、同条におきまして、全て児童は、適切に養育されること、その生活を保障されること、愛され、保護されること、その心身の健やかな成長及び発達並びにその自立が図られることその他の福祉をひとしく保障される権利を有すること、また、第二条におきまして、全て国民は、児童が良好な環境において生まれ、かつ、社会のあらゆる分野において、児童の年齢及び発達の程度に応じて、その意見が尊重され、その最善の利益が優先して考慮され、心身ともに健やかに育成されるよう努めなければならないことについて規定しておりまして、御指摘の四つの一般原則の要素を含んでいるものというふうに考えております。
○塩川委員 第一条に、児童の権利条約の精神にのっとりとあり、この第一条部分、それから第二条部分で、成長及び発達、あるいは意見の尊重、最善の利益等々、四つの一般原則に係る要素を包含をしているということですが、ただ、差別の禁止という文言そのものはここの条文上はないわけですけれども、そこはどこでどのように読むということなんでしょうか。
○岸本政府参考人 お答えいたします。
 差別の禁止という文言ではございませんが、先ほど御説明申し上げました第一条の条文の中に、「その心身の健やかな成長及び発達並びにその自立が図られることその他の福祉を等しく保障される権利を有する。」というふうに書いてございまして、これが、差別なくひとしく扱われなければならないという考え方を盛り込まれているというふうに考えているところでございます。
○塩川委員 児童の権利条約の精神にのっとり、そういった趣旨にそもそも差別の禁止ということが想定される、含み得るということでよろしいですか。
○岸本政府参考人 お答えいたします。
 御指摘のような点に加えまして、文言としてそれを、「等しく保障される」というふうに書いていることで更にそういった趣旨を強調しているものというふうに考えているところでございます。
○塩川委員 児童福祉法におきましても、子どもの権利条約の精神にのっとりとあります。また、その条文を通じて四つの一般原則の要素を包含をしているというお話でありました。
 そこで、こども家庭庁設置法案についてですけれども、このこども家庭庁設置法案において、子どもの権利条約の内容はどのように盛り込まれているんでしょうか。この四つの一般原則はどのように位置づけられているのかについて、大臣、御説明ください。
○野田国務大臣 お答えします。
 昨年末に閣議決定したこども家庭庁の創設の考えを示した基本方針では、今後の子供政策の基本理念として、全ての子供の健やかな成長、ウェルビーイングの向上を掲げ、児童の権利に関する条約にのっとり、全ての子供が生命、生存、発達を保障されること、子供に関することは常に子供の最善の利益が第一に考慮されること、子供は自らに関係のあることについて自由に意見が言え、大人はその意見を子供の年齢や発達段階に応じて十分配慮すること、そして、全ての子供が個人としての尊厳が守られ、いかなる理由でも不当な差別的取扱いを受けることがないようにすることといった基本原則をいま一度社会全体で共有し、必要な取組を推進することが重要としています。
 これを踏まえて、設置法案では、こども家庭庁の任務として、子供の年齢及び発達の程度に応じ、その意見を尊重し、その最善の利益を優先して考慮することを基本として明記し、子供の健やかな成長及び子供のある家庭における子育てに対する支援や、子供の権利利益の擁護に関する事務を行うことを規定し、児童の権利に関する条約の四つの原則の趣旨を踏まえた内容としています。
○塩川委員 この任務のところで、「こどもの年齢及び発達の程度に応じ、その意見を尊重し、その最善の利益を優先して考慮することを基本とし、」というところが子どもの権利条約に係る部分ということで御紹介になったわけですけれども、ただ、この質疑で確認しましたように、子ども・若者育成支援推進法においても児童福祉法においても、子どもの権利条約の理念にのっとり、子どもの権利条約の精神にのっとり、こういったことがうたわれているんですが、このこども家庭庁設置法にはないんですよね。それはどういうことなんでしょうか。
○野田国務大臣 こども家庭庁設置法の、任務、第三条の中で、例えば、児童の権利に関する条約の四つの原則の、生命、生存及び発達に関する権利としては、「こどもの健やかな成長及びこどものある家庭における子育てに対する支援」ということになりますし、子供の最善の利益ということであれば、「その最善の利益を優先して考慮することを基本とし、」とありますし、そして、子供の意見の尊重というのは、「こどもの年齢及び発達の程度に応じ、その意見を尊重し、」とありますし、差別の禁止については、「こどもの権利利益の擁護に関する事務を行うことを任務とする。」ということで、四つの原則をしっかり入れてあります。
○塩川委員 先行するほかの法律においては、子どもの権利条約の精神にのっとり、子どもの権利条約の理念にのっとりとあるんですが、それがこのこども家庭庁設置法案にないのはなぜなんでしょうか。
○野田国務大臣 こども家庭庁設置法でありますので、その他の法律とは若干意を異にしている、御理解いただけると思います。
○塩川委員 ただ、先ほども、基本方針で、子どもの権利条約にのっとり子供の権利を社会全体で共有しましょうというお話をされているわけです。その際に、やはり国がこういった組織をつくるのであれば、その大原則として子どもの権利条約の理念にのっとりということがまずは掲げられるというのが筋だと思うんですけれども、そう思いませんか。
○野田国務大臣 繰り返しになりますけれども、こども家庭庁をつくる組織の法律の中身になりますので。でも、それはしっかり踏まえた上で、この任務の中に取り入れているというふうなことで進めているところです。
○塩川委員 ですから、子どもの権利条約にのっとり、子供の権利をしっかりと保障するということがこどもまんなか社会というのであれば、まずはしっかり法律の上でも位置づける必要があるんじゃないですかと。単なる組織の法律だから入れないというのはそもそもおかしな話であって、子どもの権利条約の理念にのっとりということを掲げるのはある意味当然じゃないかなと思うわけですが。
○野田国務大臣 繰り返しで恐縮ですけれども、これは設置法、こども家庭庁設置法で、そのこども家庭庁の中には、今委員がお話しされた子ども・若者育成支援推進法が所管されることになるので、そこはしっかりと担保されることになります。
○塩川委員 いや、それは、その中に含まれるということでしょうから。
 じゃ、こども家庭庁設置法と子ども・若者育成支援推進法との関係はどういうふうになるのか。
○野田国務大臣 こども家庭庁設置法は、あくまでも組織の在り方、任務がどういうものかということをお示しする法律で、条約の理念というのは、子ども・若者育成支援推進法のような理念法の中で書かれるということで、法律の性質の違いというか、役所をつくるための、設置するための内容の法律案ということでございます。
○塩川委員 だって、こどもまんなか社会、そういう社会をつくる上での司令塔をつくるというわけですよね。司令塔のときに、何を目標に、何を掲げてやるかという大原則というのがあるわけじゃないですか。そういったときに、もちろん憲法は当然そうでしょうけれども、国際法であります条約としての子どもの権利条約の理念にのっとりというのが掲げられるのがそもそも筋なんじゃないのかと思いますが、改めて、いかがですか。
○野田国務大臣 それに関しましては、昨年の閣議決定されたこども家庭庁の創設の考えを示した基本方針の中でしっかり明記されているということです。
○塩川委員 だから、閣議決定の基本方針で明記しても、法律で明記しなくてどうするんですか。まさに国会を通じて、審議を通じて、国民の皆さんに、まさに権利利益について関わるような法律にしていくわけですから、そういったときに、やはり法律の中に、子どもの権利条約の理念にのっとりということをしっかり据えるというのは当然の前提だと思うんですけれども、基本方針に書いたから、閣議決定でいいんですという話は違うんじゃないですか。
○野田国務大臣 何度も繰り返しになりますけれども、新しい組織をつくる、設置の在り方、任務とか、そういうことを記している法律で、その前提が、先ほど申し上げた閣議決定している基本方針の中で、児童の権利に関する条約にのっとってそういう設置をするということで、御理解いただければと思います。
○塩川委員 だって、そもそも、こどもまんなか社会をつくる、その司令塔といったときに、どういう理念を掲げてやるのかといった際に、まずはそこを、子どもの権利条約の理念にのっとりとうたうというのは当然過ぎる前提じゃないのか。違いますか。
○野田国務大臣 それについては、先ほど申し上げたように、任務の中にしっかりと権利条約の四原則は入れてあるということであります。
○塩川委員 四原則といっても、そう読めるのかというのは率直に思いますけれどもね、そこは。
 今まで、説明にあったように、子ども・若者育成支援推進法とか児童福祉法というのは、まずは、子どもの権利条約の理念にのっとり、子どもの権利条約の精神にのっとりというのがあるから、そこで四つの原則を担保しているという説明をしているじゃないですか。
 そういう点でも、子どもの権利条約の理念にのっとりと書いているということが、まさに基本となる理念を基にして子供施策を行うということになるんですから、そこを書くのは当然の前提、当たり前のことだと思うんです。改めて、いかがですか。
○野田国務大臣 基本方針でしっかりと、児童の権利に関する条約にのっとりということで、四原則をしっかり、児童の権利条約とうたわなくてもその中身をしっかり担保しているところが任務というところに当てはまると思います。
○塩川委員 閣議決定している基本方針には子どもの権利条約にのっとりと言っているのに、何で法律に、作るときにそれを入れなかったんですか。
○野田国務大臣 入れていないのではなく、任務規定にあります。
○塩川委員 だから、子どもの権利条約という文言がないですよねということを言っているんです。
○野田国務大臣 任務規定の中に四原則がしっかり書き込まれているので、その必要はないということです。
○塩川委員 いやいや、ですから、それで本当にそう読めるのかという話をしているわけで、ほかの、前の二つの法律の説明では、子どもの権利条約の理念にのっとり、精神にのっとりというのがあるからそれで担保しているという話であって、担保されないんじゃないですかということですけれども。
○野田国務大臣 先ほどの法律は理念法ですから、基本理念をしっかり書かれて、私たちは、その基本理念をしっかりと、四原則を任務の中に書き込んでいるということです。
○塩川委員 じゃ、子供施策の理念法というのはどこにあるんですか。
○野田国務大臣 先ほど委員がお話しされた子ども・若者育成支援推進法です。
○塩川委員 子ども・若者育成支援推進法が、子供施策全体をカバーしているという法律なんですか。
○野田国務大臣 それも含めて、これがまずは、子どもの権利条約、先ほど御説明されたとおりで、子供の政策の一つの法律となります。他にもいろいろ議員提案等々あるわけですけれども、それもやはりこども家庭庁が包含して、総合的に調整をかけて政策を遂行していくと。
○塩川委員 包含するのはこども家庭庁の方なんですから、子ども・若者育成支援推進法が包含しているわけじゃないわけで、そういう点でも、子どもの権利条約が位置づけられていないというのがこども家庭庁設置法の実態ではないのかということになりますと、これまで子どもの権利条約を掲げてきた法律に比べても、率直に言って後退しているんじゃないですかということを言わざるを得ません。
 子どもの権利条約があっても、貧困やいじめや虐待、自殺などの子供の現状が深刻なわけであります。でも、その権利保障をきちっと法律に規定することすらしないというのでは、そのような保障も、行うということにつながらないということを言わざるを得ません。
 そこで、与党提出のこども基本法についてお尋ねいたします。
 本会議で、こども基本法は学校教育も包含するのかという問いに、提出者の木原稔議員は、教育施策は憲法と教育基本法を頂点とする教育法体系の下で行われるものであることから、学校教育の内容に踏み込んだ規定を設けることはしなかったと答弁をいたしました。
 それを聞いて思ったのは、このこども基本法と教育基本法との関係というのはどうなるんでしょうか。教育施策は憲法と教育基本法を頂点とする教育法体系の下で行われる、学校教育の内容に踏み込んだ規定は設けなかったと。このこども基本法案と教育基本法との関係について少し説明をいただけませんか。
○鈴木(隼)議員 お答えいたします。
 子供に対する教育は、現行法上、憲法及び教育基本法を頂点とする教育法体系の下で行われており、これはこども基本法案が成立しても変わるものではないと考えております。
 子供の健やかな成長を支えるというこども基本法案が成立すれば、子供に対する教育においても子供の成長を中心に考えるという理念が明確となります。そして、これは、教育基本法一条に定める教育の目的に掲げる、心身ともに健康な国民の育成という目的と通ずる理念であると考えております。
○塩川委員 学校教育の内容との関係で、教育基本法とこのこども基本法案は、すみ分けというんですか、重なりがあるのか。その考え方はどうなっているんですか。
○鈴木(隼)議員 こども基本法案につきましては、子供施策を包含するものとして定めることとしています。一方で、そういう意味では、学校教育につきましても、法律の定義上、子供施策と位置づけることはできます。ただ、教育の内容につきましては、教育基本法を基とした法体系の中で検討されているものであるというふうに考えております。
○塩川委員 学校教育の内容については教育基本法というお話です。それで、教育施策は憲法と教育基本法を頂点とする教育法体系の下で行われるものであることから、こども基本法には、学校教育の内容に踏み込んだ規定を設けることはしなかったとしました。
 こども基本法の基本理念には、そもそも法案にも憲法と子どもの権利条約の理念にのっとりとうたい、基本理念の一号から四号で、いわゆる四つの原則に則しての規定が行われている、つまり、権利条約を理念として掲げている、それがこども基本法案という御説明であるわけですけれども、そうしますと、学校教育の内容を、こども基本法についてその規定を設けるということにならないとすると、こども基本法の基本理念に掲げている子どもの権利条約、そしてその四つの原則が学校教育には及ばないということになりはしませんか。
○鈴木(隼)議員 お答えいたします。
 本法案における教育施策の位置づけは、御指摘の本会議における答弁のとおりでございますが、先ほど、子供施策の定義上、教育施策は子供施策に含まれるものとなっております。したがいまして、児童の権利条約の四原則を定めた本法案の子供施策に関する基本理念もまた学校教育に及ぶこととなります。
○塩川委員 これは実際に現状がどうなっているのかということですけれども、大臣にお尋ねしますが、こども家庭庁設置法案の所掌事務には学校教育は入っていないということでよろしいですよね。
○野田国務大臣 入っておりません。
○塩川委員 子どもの権利条約を掲げる与党提出のこども基本法案と、こども家庭庁設置法案は、学校教育に関与しないということです。
 そこで、教育施策については子どもの権利条約の理念も反映されるという趣旨の御説明があったんですが、学校教育の内容については踏み込まないという答弁だったわけであります。そうしますと、文科省の、学校教育における子どもの権利条約に係る施策がどうなっているのか、この点を確認したいと思います。
 文科省にお尋ねしますが、子どもの権利条約について、教育施策にどのように位置づけて取り組んでいるのかについて御説明をください。
○岡村政府参考人 お答えいたします。
 文部科学省では、これまで、児童の権利に関する条約を踏まえ、人権教育の推進や、児童生徒が安心して学べる環境の整備などに取り組んでまいりました。具体的には、教育委員会の担当者を対象とする各種会議等を活用し、毎年度、条約の内容等の周知を含めた人権教育の推進に努めております。
 このほかにも、文部科学省におきましては、児童の権利に関する条約の趣旨も踏まえて、例えば、虐待や自殺防止のための相談体制の整備、いじめ防止のための取組の促進、学校における体罰をなくすための取組強化、教育費負担軽減に関する取組等を進めております。
 引き続き、条約の趣旨を踏まえ、これらの取組を進めてまいります。
○塩川委員 人権教育の推進をしている、子どもの権利条約の趣旨を踏まえて子供の権利保障についての様々な施策を行っているという御説明でした。しかし、それが学校教育の内容として本当に反映されているのか、子どもの権利条約そのものについてどうなっているのかということです、一般的に人権教育とかということではなくて。
 現在、文科省で作業中の生徒指導提要改訂試案では子どもの権利条約が扱われていると承知をしております。この生徒指導提要というのはそもそもどんなものなのかについて簡単に御説明をいただけますか。
○淵上政府参考人 文部省が作成しております生徒指導提要といいますものは、学校における生徒指導を行うに当たっての基本的な考え方などをお示しをしているものでございます。
○塩川委員 学校運営についての基本的な考え方を示すということで、要するに生徒指導に生かそうということですけれども、これはこれまでどのように活用されてきたかを説明してもらえますか。
○淵上政府参考人 生徒指導提要につきましては、現在の生徒指導提要は平成三十年に作成したものでございますけれども、この作成に当たりましては、有識者の方々を協力者として作成協力者に委嘱をして、その委員の先生方の御意見を受けながら作成をしているという状況でございます。
○塩川委員 平成三十年、前回作成をした生徒指導提要について、その中には子どもの権利条約に係る記述というのは入っていたんでしょうか。
○淵上政府参考人 失礼しました、先ほど平成三十年と申し上げましたが、現在の生徒指導提要は平成二十二年のものでございました。
 それで、お尋ねの、その中に児童の権利に関する条約に関する内容が盛り込まれているかということでございますが、現在の生徒指導提要には盛り込まれていないところでございます。
○塩川委員 それで、今検討作業中の生徒指導提要の改訂試案では、子どもの権利条約はどのように扱われているんでしょうか。
○淵上政府参考人 現在、生徒指導提要の改訂のための協力者会議で改訂に向けた検討を行っていただいているところでございますけれども、この協力者会議の場におきまして、委員の先生方から、児童の権利の理解を深めるため、児童の権利に関する条約について盛り込むよう御意見がございました。
 これを踏まえまして、本年三月の同会議においてお示しをしました改訂試案におきましては、児童の権利に関する条約の四つの原則などについて盛り込んだものを御提示をしているところでございます。
○塩川委員 四つの原則を盛り込んだものを提示をしているということです。
 済みませんが、この生徒指導提要の改訂試案で、教職員の児童の権利に関する条約についての理解を促すという、児童の権利条約に関する、条約についての規定ですけれども、この改訂試案を見ますと、児童生徒の基本的人権に十分配慮し、一人一人を大切にした教育が行われることが求められますということで、四つの原則を紹介しています。この四つの原則の該当部分を読み上げてもらえますか。
○淵上政府参考人 本年三月の協力者会議にお示しをしております改訂試案の四つの原則の該当箇所でございます。
 1差別の禁止。児童又はその父母若しくは法定保護者の人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治的意見その他の意見、国民的、種族的若しくは社会的出身、財産、心身障害、出生又は他の地位にかかわらず、いかなる差別もなしにこの条約に定める権利を尊重し、及び確保する。
 2児童の最善の利益。児童に関する全ての措置を取るに当たっては、公的若しくは私的な社会福祉施設、裁判所、行政当局又は立法機関のいずれによって行われるものであっても、児童の最善の利益が主として考慮されるものとする。
 3生命・生存・発達に対する権利。生命に対する児童の固有の権利を認めるものとし、児童の生存及び発達を可能な最大限の範囲において確保する。
 4意見を表明する権利。児童が自由に自己の意見を表明する権利を確保する。児童の意見は、その児童の年齢及び成熟度に従って相応に考慮される。
 こうした文言が現在盛り込まれているところでございます。
○塩川委員 今御紹介いただきましたように、この生徒指導提要の改訂試案では、子どもの権利条約の四つの原則について、こういう形での記載が行われています。
 その後に続く文面で、この四つの原則を踏まえて、「いじめや暴力行為は、児童生徒の人権侵害であるばかりでなく、進路や心身に重大な影響を及ぼします。教職員は、いじめの深刻化や自殺の防止を目指す上で、児童生徒の命を守るという当たり前の姿勢を貫くことが大切です。また、安全・安心な学校づくりは、生徒指導の基本であり、同条約の理解は、教職員、児童生徒、保護者、地域にとって必須だといえます。」と述べております。
 文科省にお聞きしますが、この子どもの権利条約の理解は、教職員、児童生徒、保護者、地域にとって必須ということですね。
○淵上政府参考人 平成六年に、児童の権利に関する条約を受けまして文部科学省として発出をした通知の中にも、「児童の人権に十分配慮し、一人一人を大切にした教育が行われなければならないことは極めて重要なことであり、本条約の発効を契機として、更に一層、教育の充実が図られていくことが肝要であります。このことについては、初等中等教育関係者のみならず、広く周知し、理解いただくことが大切であります。」というふうに述べているところでございまして、こうした考え方に立っているところでございます。
○塩川委員 この提要の改訂試案にあるように、子どもの権利条約の理解は、教職員、児童生徒、保護者、地域にとって必須だと考えているということでよろしいですね。
○淵上政府参考人 繰り返しになりますが、初等中等教育関係者はもちろん、それ以外の方々についても、広く周知し、理解いただくということが大切なことというふうに考えております。
○塩川委員 教職員の理解だけじゃなくて、やはり児童生徒の理解が必須だということで。
 それでは、必須とされている児童生徒に子どもの権利条約の理解を促す教育はどうなっているのか。学習指導要領には、子どもの権利条約の文言は記載されているんでしょうか。
○淵上政府参考人 お答えする前に、先ほど平成六年文部科学省がと申し上げましたけれども、平成六年文部省がでございました。失礼いたしました。
 お尋ねの、学習指導要領に子どもの権利条約の文言が規定されているかということでございますけれども、学習指導要領上、児童の権利に関する条約という文言は明記されておりませんけれども、関連する記載といたしましては、例えば、中学校の社会科、公民的分野におきまして基本的人権の尊重、中学校技術・家庭科の家庭分野におきまして幼児の生活と家族に関すること、また、高等学校公民科において人間の尊重と平等、個人の尊重、高等学校家庭科において、子供の生活と保育に関し、生涯にわたって家庭、家族の生活を支える福祉の基本的な理念などを扱うことを規定しております。
 さらに、高等学校の家庭科の学習指導要領の解説におきましては、児童の権利に関する条約などに示された児童福祉の理念について触れることなどが記述をされているところでございまして、こうしたことを踏まえて、関連の教科書におきましても記述が見られるところでございます。
○塩川委員 いろいろ人権に係るような教育があるというんですけれども、そもそも、子どもの権利条約の理念、また四つの一般原則、これそのものについては明記されていないという話でした。
 子どもの権利条約の理解は児童生徒にとっても必須というんですから、学習指導要領に子どもの権利条約の理念や四原則がないというのは不自然かな、位置づけたらいいのではないかと思うんですが、いかがですか。
○淵上政府参考人 お答え申し上げます。
 学習指導要領は教育課程の大綱的な基準でございますので、個別の、例えば児童の権利に関する条約などといった個別の文言については余り盛り込むことになじまないものでございますけれども、ただ、今申し上げましたように、中学校や高等学校の関係教科の中に関連する記述がございまして、例えば、中学校の家庭分野につきましては、全ての教科書におきまして、児童の権利に関する条約、また四つの権利の内容が盛り込まれているところでございますし、令和四年度から高等学校で使用されております全ての家庭科の教科書、これは必修科目でございますけれども、ここにおきましても児童の権利に関する条約に関する記載があるということでございまして、こうした教科書の記載を踏まえて各学校において取り扱われているところでございます。
○塩川委員 国際条約として子供の権利の一般原則を定めている子どもの権利条約は、共通の子供の権利に係る原則ですから、そういうのをしっかり学ぼうというのは、子供の権利を保障する上でも極めて重要だと思います。
 教職員の方には、生徒指導提要も活用して、今後、子どもの権利条約を理解した生徒指導を行うよう求めるわけですね。それなのに、権利の主体である児童生徒の側に、子どもの権利条約そのものを学ぶ機会を位置づけようとしないのはおかしな話じゃありませんか。
○淵上政府参考人 お答え申し上げます。
 繰り返しになりますけれども、中学校の社会科ですとか技術・家庭科、また高等学校の公民科あるいは家庭科といったところで関連する内容については学ぶこととなっておりますので、そうした内容を通じて、子供たちは人権に関する教育をしっかり学ぶこととなっているというふうに承知をしております。
○塩川委員 大臣、お尋ねしますが、所管外と言わずに、感想ということでも結構ですから、今言った点ですよね。
 学校におきまして、子どもの権利条約が非常に重要だ、これを学ぶことは必須だということを今度の生徒指導提要でうたっている。そういう際に、教職員の側は、このような生徒指導提要も活用して、子どもの権利条約を理解した生徒指導を行うとしているのに、権利の主体である児童生徒の側が子どもの権利条約そのものを学ぶ機会を位置づけようとしないというのはおかしい話じゃないかなと思いますが、いかがでしょうか。
○野田国務大臣 文科省が取り組んでいる、所管外ですけれども、こども家庭庁の立場からすると、子どもの権利条約と書いていないからとおっしゃったけれども、四原則はしっかり任務の中に書き込んであるので、そこを発信していくのは私たちの役所ですから、当然、子供政策全般を担う、総合調整をやる立場からすると、私たちの方からしっかり発信をしていく、子供にも、やはり子どもの権利条約を学ぶ、学んでもらう機会をつくっていくというのは私たちの立場だと思います。
○塩川委員 子供が一番時間を過ごすのが学校教育の現場、学校になるわけです。そこにおける子供の権利をどう保障するかというのは一番問われていることであって、今ずっとお聞きしましたように、このこども家庭庁設置法には、残念ながら、子どもの権利条約の理念にのっとりということが入っていないということがありましたし、学校教育については、こども基本法案についてはその中身を含まないというお話でもありました。
 そうしますと、学校教育に子どもの権利条約が及ばないということになりかねない、こういった事態というのは、これは子供の権利保障という観点からいっても極めて重大だと言わざるを得ませんが、改めて、一言、いかがでしょうか。
    〔委員長退席、平委員長代理着席〕
○野田国務大臣 そういうこともございますので、こども家庭庁を設置して、文科省の取組、また様々子供に関わる取組を総合調整して、私も、今日、塩川委員がおっしゃってくれたので、生徒指導提要の中身について知り得ることができたわけで、こども家庭庁ができることによって、そういうことの穴がないように取り組んでいけると信じています。
○塩川委員 終わります。

物価高騰・国民生活防衛対策本部会合/党国会議員団

 物価高騰・国民生活防衛対策本部開く。

 原油価格や物価の高騰により国民生活や中小事業者の経営は深刻です。喫茶店ではコーヒー豆が2割値上げ、銭湯はガス代が2割値上げ、中華料理屋はカニが手に入らず、食用油は2割高。新電力から電気を購入していた工場は、月額600万円の電気料金が1200万円になるという。

 現場に足を運び、切実な要望をつかむとともに、喫緊の課題に応える対策と抜本対策に取り組もうと確認。

埼玉県民大運動実行委員会の国会要請行動

 埼玉県民大運動実行委員会の国会要請行動に出席。

 ロシアのウクライナ侵略を糾弾、国際社会が結束して行動するように働きかけを。日本は非軍事の支援に全力を!

 「相手の中枢を攻撃するべき」といった敵基地攻撃や反戦デモ敵視、米軍と自衛隊とのデモ排除訓練など、海外派兵と国民抑圧、監視は一体。プーチンロシアと同じ。きっぱりやめよ。

 燃油、原材料、食料品、電気料金など、物価高騰は深刻な事態。補正予算の編成、消費税は5%に引下げを!

マイナンバー制度反対連絡会の団体代表者会議

 マイナンバー制度反対連絡会の団体代表者会議であいさつ。

 昨年、デジタル関連法が成立、デジタル庁が発足し、岸田政権の下でデジタル田園都市構想やデジタル臨時行政調査会が動き始めています。

 行政のデジタル化の動きを報告し、プライバシーの侵害、行政サービスの後退、マイナンバー制度の拡大、政官業癒着などの問題点を指摘。国民の暮らしと権利を守るために、世論と運動を広げていきたいと訴えました。

【内閣委員会】学校給食の無償化を国の施策で

 自治体による学校給食費の無償化を国の施策で行うべきと求めました。

 私は、文部科学省が2017年度に行った給食費無償化実施状況調査の結果について質問。

 文科省は、全国1740自治体のうち小・中学校両方で無償化を実施している自治体は76団体だと答えました。

 私は、完全無償化の自治体が、群馬県では調査時の8から14団体へ、山梨県では2から11団体に大きく増えていると強調。5年間で前進しており、実態を踏まえた対策が必要だとして実態調査を求めました。

 文科省は「現時点で調査する予定はない」と答えました。

 私は、「小・中学校の給食は義務教育の性質上、無償が適当だ」と主張。岸田文雄総理が子ども予算を倍増すると掲げたことにも触れ、「どういう施策を増やすのか」と質問。

 野田聖子少子化担当大臣は「給食費も含め、自殺や貧困など子どもの問題が顕在化した」と認めながら、「額や期限ありきではない」、給食費については文科省の取り組み、との答弁にとどまりました。


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「議事録」

<第208通常国会 2022年4月20日 内閣委員会 第20号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 今日は、まず学校給食費の無償化についてお尋ねをいたします。
 文科省に幾つか事実関係を確認の上で、野田大臣に子供関係予算の問題についてお尋ねをしたいと思っております。
 二〇一七年度の学校給食費の無償化等の実施状況というのを文科省が調査を行っております。その中で、小中学校とも無償化をしている自治体数及びその割合が幾らか、また、その他何らかの助成制度を実施をしている自治体数及びその割合について明らかにしていただきたい。うち群馬県における無償化等の実施状況がどうなっているのかについても併せてお答えください。
○淵上政府参考人 お答え申し上げます。
 御指摘の平成二十九年度に文部科学省が全国千七百四十自治体を対象に行いました実施状況の調査によりますと、小学校、中学校とも無償化を実施している自治体が七十六自治体、四・四%、小学校のみ無償化を実施している自治体が四自治体、〇・二%、中学校のみ無償化を実施が二自治体、〇・一%、一部無償化、一部補助を実施している自治体が四百二十四自治体、二四・四%となってございます。
 また、この調査で、群馬県三十五自治体の状況につきましては、小学校、中学校とも無償化を実施している自治体が八自治体、県内での割合は二二・九%、一部無償化、一部補助を実施している自治体が十三自治体、同じく県内の割合は三七・一%、無償化等を実施していない自治体が十四自治体、四〇・〇%という状況でございます。
○塩川委員 この学校給食費の無償化の実態調査を行うきっかけが何だったかについて教えてもらえますか。
○淵上政府参考人 平成二十九年度当時におきまして、その時点で、これまで文部科学省として、学校給食の無償化の全国状況ですとか、あるいはその導入の狙い、課題等を承知していないという状況がございましたので、その実態を把握するために調査を行ったというふうに承知しております。
○塩川委員 その前の年に経済財政諮問会議で議論になった、学校給食費の無償化が議題に上がった、それとの関係での調査ではないんですか。
○淵上政府参考人 お答え申し上げます。
 御指摘のございました平成二十八年の経済財政諮問会議で民間議員の方々から給食無償化の提案があったということは承知をしておりますけれども、そのことが直接この調査につながっているとは認識しておりません。
○塩川委員 民間議員の提案があって、その翌年に調査をしているということであります。
 それで、二〇一七年時点で完全無償化の自治体は全国で四・四、その他何らかの助成制度を実施している自治体数は二四・七%です。四分の一は何らかの助成を行っているんですが、これは二〇一七年時点で、今はかなり進んできているんですよね。
 群馬県で学校給食費の無償化の運動に取り組んでいる市民団体の方とも懇談をいたしました。この間、各自治体にも働きかけを行う中で、その数も増えていて、二〇一七年時点では、完全無償化が八自治体の二二・九、何らかの助成措置を行っているのが十三自治体で三七・一、合わせて六割の自治体ではそういう何らかの助成を行っているということですが、現在、群馬県では、三十五市町村中、八割以上の二十九自治体が学校給食費助成制度を実施をし、そして四割の十四自治体が完全無償化になっています。大きく前進をしております。文科省はこういう実態を御存じでしょうか。
○淵上政府参考人 お答え申し上げます。
 群馬県教育委員会に確認をいたしましたところ、令和三年九月一日時点で群馬県教育委員会が行った調査によりますと、県内三十五自治体のうち、小中学校とも無償化を実施している自治体が十二自治体、一部無償化、一部補助を実施している自治体が十六自治体というふうに聞いているところでございます。
○塩川委員 助成の仕組みがいろいろバージョンがあるものですから、そういうのを広く捉えると私が紹介したような数字になりますし、昨年の調査以降にも前進しているということもありますので、お話ししたような状況になっているわけであります。
 ほかにも、山梨県なども大分進んでいまして、二〇一七年時点では、完全無償化というのは二自治体、七・四%でしたが、現在は、完全無償化の自治体は二十七自治体中の十一自治体ということで、四割を超えると。大きく前進をしております。
 このように、実施自治体が増加をしているわけです。文科省として、改めて学校給食費の無償化等の実施状況について調査をする考えはありませんか。
○淵上政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほど申し上げましたように、平成二十九年度には、当時、文部科学省として、無償化の全国状況、あるいはその導入の狙い、課題等を承知していないという状況におきまして、その実態を把握するために調査を行ったところでございます。
 この調査においては、無償化等の状況のみならず、無償化に至った経緯、無償化を開始した目的、無償化による成果、無償化実施前後の課題等について把握をしたところでございます。
 文部科学省といたしましては、この調査におきまして必要な情報を把握をいたしまして、また、各給食実施者にもその情報を共有したところでございまして、現時点におきまして、これ以上の調査を網羅的に把握するという予定はないところでございます。
○塩川委員 五年間で実態がかなり前進をしているということはリアルに捉える必要があると思います。そういう点でも、五年もたっているわけですので、調査も行って、その実態を踏まえた対策に生かすということが必要だと思います。
 この学校給食費の無償化の問題ですけれども、少し古い話になりますが、一九八一年の四月の衆議院の文教委員会で、我が党の栗田翠議員が、一九五一年のユネスコの第十四回国際公教育会議、学校給食及び衣服に関する各国文部省に対する勧告第三十三号を紹介をしました。
 これへの文部省答弁は、この勧告の中で、学校給食について、その意義、役割の重要性が述べられている、これらは、やがて一九五四年に学校給食法ができます、それへの大きな刺激となったと受け止めているというものでした。
 つまり、学校給食法はユネスコ勧告に刺激をされて制定をされた、こういう経緯でよろしいでしょうか。
○淵上政府参考人 御指摘の昭和五十六年の衆議院文教委員会におきまして、当時の政府委員が、今委員が御指摘されましたような御答弁をされたことは承知をしております。
○塩川委員 学校給食法というのがユネスコの勧告に刺激をされて制定をされたということであります。
 そのユネスコ勧告には、義務教育ではできる限り家庭に補充的な出費を負わせるべきではないとしていることは承知をしておられますか。
○淵上政府参考人 お答え申し上げます。
 御指摘の、一九五一年に当時のユネスコと国際教育局におきまして採択をされました学校給食及び衣服に関する各国文部省に対する勧告第三十三号におきまして、義務教育においてはできる限り家庭に補充的出費を負わせるべきではないとされております。
 あわせて、同勧告におきましては、学校給食の完全無償が不可能な場合には父母による財政的負担が考慮される、その場合の負担は給食材料費を超える額とすべきではないと考えられるともされていると承知をしております。
○塩川委員 いずれにせよ、保護者の負担を軽減するという趣旨が述べられているわけで、その点でも、学校給食の無償化というのは大きな課題ということになります。
 学校給食は、学校給食法により、食育を行う教育課程の中に位置づけられております。小中学校の給食は、義務教育の性質上、無償化というのが適当ではありませんか。
○淵上政府参考人 お答え申し上げます。
 学校給食は、栄養バランスの取れた食事の提供により子供たちの健康の保持増進を図るとともに、食に関する指導を効果的に進めるための生きた教材としても大きな意義を有しており、その推進は非常に重要だと考えております。
 一方で、学校給食費の無償化につきましては、学校の設置者と保護者との協力により学校給食が円滑に実施されることが期待されるとの学校給食法の立法趣旨に基づき、各自治体において地域の実情に応じて御検討いただくことがふさわしいと考えております。
 なお、家庭の経済状況が厳しい児童生徒の学校給食費につきましては、生活保護による教育扶助や就学援助により支援を実施しているところでございます。
○塩川委員 義務教育の中における、まさに食育という教育課程に位置づけられている学校給食ですので、そういう意味でも、義務教育の性質上、無償化が適当だ、そういう点でも、この学校給食法の規定そのものを見直す必要がそもそもあるんじゃないのかというのが、今ではないのかということを訴えたいと思います。
 この学校給食費の無償化、先ほども言いましたように、二〇一六年の経済財政諮問会議でも議論になりました。民間議員から学校給食費無償化の提案があったということです。これはどういう趣旨で行われ、それに対して文科省としてはどのように対応したのかについてお聞きします。
○淵上政府参考人 御指摘の平成二十八年三月の経済財政諮問会議におきまして民間議員の方から学校給食費無償化の提案があったことについては承知をしておりますけれども、最終的に、同年六月に取りまとめられました経済財政運営と改革の基本方針二〇一六におきましては、学校給食関係の記載は盛り込まれていないものと承知をしております。
 いずれにしましても、文部科学省といたしましては、学校給食費の無償化につきましては、先ほど申し上げました学校給食法の立法趣旨に基づきまして、各自治体において地域の実情に応じて御検討いただくことがふさわしいと考えております。
○塩川委員 国政においても、政府内でもそういった検討も行われ、国会でもそういう議論もこの間行われてきているところであります。学校給食費の無償化に踏み出すときだ、そのための必要な法制度の整備を行うことが求められているということを申し上げます。
 それで、小中学校の学校給食費の無償化に必要な財源、額としては幾らぐらいを推計しているのか、お答えいただけますか。
○淵上政府参考人 お答え申し上げます。
 ちょっと今手元に正確な数字がないのでございますけれども、今現状、小学校、中学校の保護者の方が負担している食材費につきましては、およそ四千億程度だったかというふうに承知しております。
○塩川委員 学校給食がないところもありますので、そういったところでも実施、そこの無償化ということで考えれば、経済財政諮問会議の民間議員の無償化の提案の際に出されている数字では、約五千億円という試算も出されているところであります。そういった金額です。
 そこで、野田大臣にお尋ねしますけれども、岸田総理は子供予算の倍増を掲げております。この倍増で何をやるつもりなのか、どういうメニューを増やすのか、そこの点についてはどのようにお考えなんでしょうか。
○野田国務大臣 まず、額とか期限ありきではないと思っています。ようやくこの国会で子供政策、こども家庭庁設置法案、様々、基本法の法案の審議に入りまして、ややもするとこれまで主流になかった子供周りの、給食費もそうですけれども、そういうものの問題が顕在化してきました。特に、このコロナによって見えてきた数字は、やはり、子供の自殺が増加している、子供の貧困が増えている、一人親が苦しんでいる、虐待も増えている、不登校も増えている等々、実際に数字が見えてきています。そういうものにしっかりと寄り添って、誰一人取り残さない施策をするために必要なお金をしっかりつけていくというのが、これからの、私たちが今からやるべきことだと思っています。
○塩川委員 額や期限の問題ではないと言いますが、額は倍増しようと言っているわけですから、それをいつまでにというところがなかなか出てこないというのがこの間の議論でしたけれども。
 その場合、何を増やすとか、新しいメニューはこれを増やすとか、そういうのがやはり示され、議論される必要があるんだと思うんですけれども、そういう中に学校給食費というのも無償化という形で位置づけるというのは当然あり得ると思うんですが、そういう選択肢として排除されない、そういう課題ではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○野田国務大臣 先ほど文科省が答弁したように、そもそも文科省でお答えいただくべきことですけれども、まずは、やはり地方自治体の取組、今先生が御紹介されたような、そういうことを好事例として、こどもまんなか、子供のために何ができるかということを進めていただきたいと思います。
○塩川委員 そういう際に、国のイニシア、それは、ですから、法制度上の担保も当然ですけれども、財政上の支援もしっかり行う、こういうことを是非とも具体化をしていくときだと思っています。
 この間、そういう意味でも、無償化を実施している自治体の首長さんなどは、やはり地域振興のためということで取り組むとか、あるいは義務教育だからこそ無償にするんだということを訴えるとか、子育て世帯支援として行うという、地域の実情を踏まえた学校給食費の助成制度、無償化制度を実施しています。
 ですから、もちろん、自治体が先頭に立って住民の皆さんと一緒に実現をしていくという取組の課題ではあるわけですけれども、その際に、それを大きく前進させる上でも国の取組が必要だ、国の政策として学校給食費の無償化制度、助成制度を実施するときではないのか。このことについて、大臣として、改めて一言いかがでしょうか。
○野田国務大臣 重なるかもしれませんけれども、やはり子供政策、こどもまんなかということで、特に我が国は、少子化による人口減少が静かなる有事、国難と皆さんが議論される中、やはりそれをしっかり支えていくような、実現できるようなものをしっかり取り組んでいかなきゃならない、そんなふうに考えています。
○塩川委員 学校給食費の無償化は、住民の皆さんの運動を力に市民と自治体の共同の取組で前進をさせてきたものです。是非、先ほど言ったような、義務教育の無償化、子育て世帯の支援、地域振興策、少子化対策など多様な課題に応える取組でもありますので、国の予算にしっかりと位置づけるべきだということを申し上げておきます。
 残りの時間で、子どもの権利条約関連についてお尋ねします。
 子どもの権利条約の原則などが書かれた法律が幾つかありますけれども、一番早いのが子ども・若者育成支援推進法だと思いますが、それにおいて、子どもの権利条約はどのように盛り込まれているか、いわゆる四つの一般原則は位置づけられているのか、この点についてお答えください。
○野田国務大臣 子ども・若者育成支援推進法においては、法律の目的として、児童の権利に関する条約の理念にのっとり、他の関係法律による施策と相まって、子ども・若者育成支援施策を推進することとしております。
 また、児童の権利に関する条約の原則についても、法律の基本理念として、子供、若者が健やかに成長すること、個人としての尊厳が重んぜられ、不当な社会的取扱いを受けることがないようにするとともに、その意見を十分尊重しつつ、その最善の利益を考慮することと明記してあります。
○塩川委員 次に、児童福祉法、この間、改正も行われております。子どもの権利条約の内容はどのように盛り込まれているか、四つの一般原則は位置づけられているのか、この点についてお答えください。
○川又政府参考人 児童福祉法におきましては、第一条におきまして、「児童の権利に関する条約の精神にのつとり、」という文言が明示的に盛り込まれております。
 その上で、同条において、「全て児童は、」「適切に養育されること、その生活を保障されること、愛され、保護されること、その心身の健やかな成長及び発達並びにその自立が図られることその他の福祉を等しく保障される権利を有する。」、第二条におきまして、「全て国民は、児童が良好な環境において生まれ、かつ、社会のあらゆる分野において、児童の年齢及び発達の程度に応じて、その意見が尊重され、その最善の利益が優先して考慮され、心身ともに健やかに育成されるよう努めなければならない。」と規定されておりまして、御指摘の四つの一般原則の要素を包含していると考えております。
○塩川委員 時間が参りました。こども家庭庁設置法がどうなるかはまた次にお尋ねします。
 終わります。

【「しんぶん赤旗」掲載】経済安保/大企業の対応部署/「天下り」の受け皿に/役員・理事に経産省OB/塩川議員が追及

「しんぶん赤旗」4月20日・6面より

 2020年以降、大手企業が経済安全保障に対応する部署を相次いで設立しています。各社は経済産業省OBを担当役員や理事に起用。経済安保の専門部が「天下り」の受け皿と化しています。

 「経済安全保障法案」を審議する衆院内閣委員会で日本共産党の塩川鉄也議員は6日、「天下り」の実態を追及。政府側は経産省OBが再就職している事実を認めました。

 再就職先は三菱電機をはじめデンソー、NEC、パナソニック、富士通の5社です。いずれも経済安保に対応する部署を新設しています。

元・前長官ら

 三菱電機は、経産省資源エネルギー庁の元長官だった日下部聡氏を「経済安全保障統括室」の担当役員へ起用。日下部氏の後任を務めた前長官の高橋泰三氏も富士通が設けた「経済安全保障室」の役員に着任しています。デンソーと株式会社パナソニック総研が、いずれも経産省大臣官房付だった横尾英博氏と三又裕生氏を、NECが経済産業審議官を務めた石黒憲彦氏をそれぞれ抜てきしています。パナソニック総研は経済安保などの政策を扱うため21年4月に設立されたパナソニックの100%出資企業です。

経済安全保障法制準備室設置に係る看板掛けを行う岸田首相(中央)=2021年11月19日(首相官邸ホームページから)

 経済安保法案は4本柱で構成。政府が指定した「特定重要物資」の供給網強化や、軍事技術を含む先端技術の開発支援などを含みます。技術流出を防ぐため企業などに規制の網をかけつつ、同時に官民の軍事研究を推進する狙いです。先端技術をめぐり中国と覇権を争う米国に足並みをそろえています。

 法案は、138カ所もの事項を国会の審議を経ない政令や省令に委ねているため、規制の線引きが不透明です。どのような技術が規制対象になり得るかは、法案成立後に政府が具体化します。

政府とパイプ

 経産省OBを登用する背景には、政府とのパイプをつくることで経済安保に関する情報を収集し便宜を図ってもらう意図がにじみます。塩川議員は事実上の「天下り」だと問題視。経済安保政策の下で企業と政府の接点が広がると批判しました。

 本紙の取材に対し、三菱電機は10人強で構成された「経済安全保障統括室」を中心に輸出管理や開発、さらに人事など各部における経済安保のリスクを横断的に検討すると回答。社外的には「(経産省を含む)政府機関や経済団体などに対して情報収集をしていく」としています。

 富士通が新設した「経済安全保障室」は室長を含む4人体制で運営。室長は21年11月まで安全保障輸出管理に関する業務を担当していました。「経済安全保障上のさまざまな課題に対応するため、関連する部門に経済安全保障統括責任者を設置し、経済安全保障室とともに全社的に取り組みを行う」としています。

【本会議】こども家庭庁設置法案審議入り/子どもの権利侵害を推し進めてきた自民党政治を問う/憲法と子どもの権利条約の実現を

 政府提出のこども家庭庁設置法案と与党提出のこども基本法案が衆院で審議入りし、質問しました。

 私は、子どもの貧困、虐待、不登校、いじめ、自殺など子どもの権利侵害は深刻だと指摘。

 国連子どもの権利委員会からも、日本の子どもの社会支出がOECD加盟諸国平均より低いとの指摘や、貧困根絶のための資源配分を求める勧告が出されていること、また、教育についても高度に競争的な学校環境がいじめや不登校、自殺などを助長している懸念、教育制度の見直しを求める勧告が出されてきた。なぜ、この勧告を放置してきたのかと質問しました。

 岸田総理は「新型コロナの中で、少子化が深刻化し、子どもをめぐる課題は複雑化している」と原因をコロナにすり替え、「必要な取組は行ってきた」などと述べました。

 私は、憲法の基本的人権やこどもの権利条約の4原則「生命、生存及び発達に対する権利」「子どもの最善の利益」「子どもの意見表明・尊重」「差別の禁止」があるにも関わらず、自民党政治が教育でやってきたことは何か、と追及。教育基本法を改悪し、国家介入、愛国心や競争・管理教育を押し付けてきたと批判。

 権利条約批准時には、条約に反して、子どもの意見表明権を軽視する文部省通知(94年)まで出してきた。憲法と4原則を放置するだけでなく逆行してきたのが自民党政治だ。こうした政治が深刻な事態を招いたという反省はあるのかと迫りました。

 岸田首相は、生徒たちが主体的に取り組めるよう生徒指導や学習支援を行ってきた、校則は学校の責任、と述べ、深刻な現状に対する反省はありませんでした。

 私は、法案には子どもの権利条約という文言や、4原則の規定がなく、子どもの権利を保障するための独立した権利機関の設置もない。子どもの権利侵害を解決することにはならないと述べました。

 また、与党提出のこども基本法案の基本理念に4原則を盛り込むとしている一方で「子どもの養育は家庭が基本」としていることについて、子どもを守り育てるのは社会の責任であるということが、憲法と権利条約の精神だと強調。

 強調されるべきは国の責任で家庭への手厚い支援を行うことだとただしました。

 提出者である自民党の木原稔衆院議員は「養育は家庭が基本だとの認識を明記した」と答えました。

 私は、こども基本法案は教育も包含するのか、と質問。

 木原議員は「教育は、憲法と教育基本法を頂点とする教育法体系のもとで行われるものであるから、教育内容に踏み込んだ規定を設けなかった」と答え、こども基本法案は、教育内容に及ばないことを認めました。

 私は、あまりに少なすぎる子ども関係予算と子どもの権利を支える人の問題について「予算と人の確保こそが、子どもを支える活動をしている方たちの一番の願いだ。これにこたえず、組織を一本化するだけでは、問題の解決にはならないのではないかと強調しました。


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質問の要旨は以下の通りです

 私は、日本共産党を代表して、政府提出のこども家庭庁設置法案及び与党提出のこども基本法案について質問します。

 まず、子どもの実態をどう見るか。

 今、子どもの貧困は約7人に1人、ひとり親世帯の半分が貧困状態です。2020年度では、虐待の相談件数は20万件、不登校も20万件、いじめの認知件数は51万件にのぼり、いずれも大幅に増加しています。10代の死因で自殺が最多を占めるのはG7で日本だけです。

 総理。子どもの現状が深刻だという認識はありますか。

 国連子どもの権利条約を批准してから約30年、何故ここまで深刻なのか。政府はこれまで何をしてきたのですか。

 子どもの権利委員会からも、日本の子どもの社会支出が OECD 平均より低いことや貧困率が高いことへの深い懸念が出されています。貧困を根絶するための適切な資源配分を求める勧告とともに、労働の規制緩和等が賃金削減、賃金格差をもたらしていると指摘されています。

 また、教育については、高度に競争的な学校環境が、いじめ、精神障害、不登校、中途退学、自殺を助長している可能性があるとの懸念とともに、その悪影響を回避するため学校及び教育制度を見直すよう勧告が出されています。

 政府がこの勧告を放置してきたのは何故ですか。子どもの権利を大きく侵害してきたという認識はありますか。

 憲法は基本的人権を保障し、子どもの権利条約は「生命、生存及び発達に対する権利」、「子どもの最善の利益」、「子どもの意見の表明・尊重」、「差別の禁止」の4原則を掲げています。

 それなのに、自民党政治が教育で行ってきたことは何か。

 子どもが一番長い時間を過ごす学校で、学習内容の詰め込みを強化。「強制的な力」によって生徒を「服従」させることを推奨するような「生徒指導の手引き」を出し、管理教育を推進。子どもの権利条約の批准時には、条約に反するような94年文部省通知を発出。安倍政権下で、全国一斉学力テストの導入など、競争・管理教育を一層強化。さらに教育基本法を改悪して、教育への国家介入、愛国心や競争・管理教育を押し付けてきました。

 憲法と4原則を放置してきただけでなく、これに逆行してきたのが自民党政治ではありませんか。こうした政治が、今の深刻な事態を招いたという反省はあるのですか。

 これを改めるというなら、子どもの意見表明権を軽視し、理不尽な校則の温床となっている94年文部省通知は、ただちに撤回するべきではありませんか。

 今こそ、憲法の基本的人権と子どもの権利条約を実現する政治への大転換が必要です。

 法案がそうなっているのか問いたい。まずは子どもの権利に関わる問題です。

 政府は、こども家庭庁が、子どもの権利を保障し、健やかな成長を社会全体で後押しする「こどもまんなか」社会を目指す司令塔としています。では、こども家庭庁設置法案に、子どもの権利条約という文言や4原則の規定がないのは何故ですか。

 こども家庭庁は、子どもの権利条約に基づくものではないのですか。権利委員会の「勧告」は一元的な組織を求めていますが、何故、(こども家庭庁には)教育が含まれていないのですか。

 子どもの権利を保障するための独立した監視機関の設置もありません。

 これでは、新たな縦割りをもたらすだけで、子どもの権利侵害を解決することにはならないのではありませんか。

 閣法と合わせて出された与党提出のこども基本法案について質問します。

 「こども施策」の基本理念に子どもの権利条約の4原則を盛り込むとしています。

 それならば何故、基本理念に「子どもの養育は家庭が基本」と書き込むのですか。虐待や貧困など、家庭の中で苦しむ子どもたちが少なくありません。この規定は、苦しむ子どもや保護者をさらに追い詰め、一層孤立させることになります。

 子どもを守り育てるのは社会の責任であることが、憲法と子どもの権利条約の精神であり、強調されるべきは国の責任で家庭への手厚い支援を行うことではありませんか。

 こども基本法は、学校教育も包含するのですか。法案の目的に、幼児教育に関する規定はありますが、初等から高等教育の規定がないのは何故ですか。また、「こども大綱」に教育が含まれていないのは何故ですか。

 さらに基本理念に、「教育基本法の精神にのっとり教育を」とあります。この規定について衆院法制局は、「教育は教育基本法が基本であることを示すため」と説明しています。

 子どもの権利条約と矛盾する改定教育基本法が基本ということは、つまり、小学校、中学校、高校、大学の教育では、4原則は保障されないということになりませんか。

 次に、あまりに少なすぎる子ども関係予算と子どもの権利を支える人の問題です。

 国際的に見て最低水準の子どもに対する支出を抜本的に増やすことが必要です。

 例えば、野党が求めてきた給食費の無償化、医療費の無償化を行うのですか。

 また、貧困に苦しむ子どもや家庭に対し児童手当や児童扶養手当の抜本拡充を行うべきではありませんか。

 野党が求めてきた保育士や学童保育指導員の大幅な処遇改善を行うのですか。児童福祉の専門職員等の配置基準を改善するのですか。

 非正規が増加している教職員は、正規を基本とするのですか。

 予算と人の確保こそが、子どもを支える活動をしている方たちの一番の願いです。これにこたえず、組織を一本化するだけでは、問題の解決にはならないのではありませんか。

 以上、質問を終わります。

群馬・伊勢崎市議選告示/北島元雄・はせだ公子候補の応援に

 伊勢崎市議選告示。北島元雄・はせだ公子候補の応援に駆けつけました!

 党市議団はこの間、コロナ対策で無料のPCR検査、全業種対象の給付金を実現。第3子以降の学校給食費無料化制度の改善で対象者は6倍以上に。

 今の市政は、四つある保健センターの統合や五つの高齢者入浴施設を二つにするなど市民サービス後退を推進。おかしいことはおかしいと言える日本共産党の2議席が必要です!

 ロシアのウクライナ侵略を糾弾!国際社会の結束で暴挙をやめさせよう!憲法9条は、日本が侵略国とならない証であり、日本外交の羅針盤。

 深刻な物価高騰対策のために補正予算の編成を。消費税は減税、5%に引下げを!

【内閣委員会】安全よりビジネスを優先/規制緩和の道交法改正

 電動キックボードの規制緩和を盛り込んだ道路交通法改正案についてただしました。

 電動キックボードの事故が急増している中、法案は、現行の原付の交通ルール(免許必要、ヘルメット着用義務、車道通行)適用を、最高速度が時速20km以下の場合、自転車並として、免許不要、ヘルメット着用は努力義務、一部歩道通行可に緩和しようというものです。

 私は、この規制緩和が議論された会議の中で、警察庁が当初「電動キックボードと自転車とは異なる危険性がある」と発言していたと指摘。

 ところが、シェアリング事業者から事業成立のために「外国人の利用を進めるには免許不要」「ヘルメットの着用は任意」との要望を受け、規制緩和が決定しており、「ビジネスのために交通安全対策を後退させるのか」と追及。

 警察庁楠芳伸交通局長は「自転車と同様のルールとした」との答弁に終始しました。

 私は、免許を不要にして、現在の交通安全教育と同等の水準が確保できるのかと質問。

 二之湯智国家公安委員長は「官民協議会で教育の在り方を検討していく」とするのみで、確保できるとは答えませんでした。


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反対討論の要旨は以下の通り

 私は、日本共産党を代表して、道路交通法等改正案に反対の討論を行います。

 反対理由の第一は、電動キックボードに係る規制を緩和するものだからです。

 電動キックボードによる事故や違反が急増する中、本来求められるのは規制強化です。

 しかし、本案は、一定の最高速度以下なら免許を不要とし、自転車道や歩道の通行を認め、ヘルメット着用も任意とするものです。

 この議論の発端は、事業者による規制緩和要望です。規制のサンドボックス制度の計画認可のときの議論では、警察庁は、歩道は歩行者が安全に安心して通行できる区画で、車両の通行を認めるべきでない、手元でアクセルのみで加速できるものは自転車とは異なるリスクがあるとしていました。

 しかし、事業として成立させるためには規制緩和が必要だという事業者の声に押され、本案が提出されました。警察庁が守るべき道路交通の安全対策を後退させるものと言わなければなりません。

 第二は、レベル4の自動運転の問題です。

 東京パラリンピック選手村で自動運転の車両が人身事故を起こしたように、レベル4の自動運転車両においても、交通事故を起こす可能性があります。

 それにもかかわらず、事故を起こした際の救護義務や安全確保義務が緩和されています。本案は、特定自動運行主任者が乗車していなくても運行できるとしています。

 遠隔地にいる主任者は、事故時に現場での救護や二次災害を防ぐ安全確保措置を行うことができません。レベル4の自動運転の実施は時期尚早です。

 第三は、自動配送ロボット運行の問題です。

 自動配送ロボットは歩道を通行することも可能としていますが、車体の安全基準を行政が審査する仕組みもなく、運行も許可制ではなく届出制です。

 現在の技術水準で、歩行者との衝突などが起こらないとは言えず、また、遠隔操作であるため、トラブルへの即時対応もできません。運行の安全性が担保されているとは言えません。

 第四に、マイナンバーカードに固執し、普及したい政府が、国民の要求もないのに、マイナンバーカードと運転免許証の一体化を推し進めるものであり、認められません。
以上、企業利益を交通安全対策よりも優先させる本案に反対を申し述べ、討論を終わります。


「議事録」(質疑)

<第208通常国会 2022年4月15日 内閣委員会 第19号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 道路交通法改正案の質疑に当たりまして、まず二之湯国家公安委員長にお尋ねをいたします。
 この道路交通法改正案について、閣議決定の際の参考資料でもある法案要綱に三か所の間違いがありました。また、提案理由説明についても、先日の委員会の場で誤りが明らかになりました。極めて重大であります。国民に権利義務を課す法案の審議だからこそ、国民の代表機関である国会での慎重な審議、議決が求められます。その審議に付す法案及び関連資料に誤りがあってはなりません。誤りがあれば、直ちに国会、国民に報告をし、是正することが必要であります。
 今回の度重なる事態について、警察組織を監督する国家公安委員長としてどう受け止めておられるか、お尋ねします。
○二之湯国務大臣 要綱や提案理由説明の原稿に誤りがあったことを始め、警察庁の対応に不手際があったことは大変遺憾であり、おわびを申し上げたいと思います。今後、このような、同じような誤りが発生しないよう、警察庁を指導してまいります。
○塩川委員 警察庁が議員に対して道路交通法改正案の審議スケジュールの案のメモを出すなど、考えられない、あってはならないことなども起こっております。猛省を促すものであります。
 そこで、まず電動キックボードについてお尋ねをいたします。
 電動キックボードは、原付の交通ルールを適用し、免許必要、ヘルメット着用義務、車道通行ということでした。今回の法改正で、特定小型原動機付自転車としての電動キックボードについて、自転車と同様の交通ルールを適用し、免許不要、ヘルメット着用は努力義務、歩道通行可とするものであります。
 原付の交通ルールを適用していたものが自転車と同様の交通ルールということになりますと、これはやはり道路交通安全対策の後退になりはしないかと思いますが、この点についていかがでしょうか。
○二之湯国務大臣 現行の道路交通法では、電動キックボードは原動機付自転車に区分されまして、運転免許を必要とするなど、原動機付自転車としての交通ルールが適用をされておるわけでございます。
 一方、その使用実態を見ますと自転車並みの速度でしか走行しないものもございまして、一般的な原動機付自転車と同様に扱うことが必ずしも適当ではない場合も認められるわけでございます。
 そこで、性能上の最高速度や大きさが自転車と同程度のものを現行の原動機付自転車から切り出しまして特定小型原動機付自転車と定義して、そして自転車と同様の交通ルールを定めることとしたものでございます。
 また、性能上の最高速度が歩道通行を認められた電動車椅子と同様に時速六キロメートル以下に制御できるものについては、例外として歩道を通行することができることとしております。
 これらの改正案の内容は、道路交通法における原動機付自転車や自転車に関する規定の内容を踏まえつつ、特定小型原動機付自転車という車両の特性に応じて作成したものでございます。
○塩川委員 自転車と同様のルールを適用するんだという話ですけれども、自転車の場合に警察庁はこれまで車道の通行を原則としていました。電動キックボードの車道通行の必要性について、警察庁がこれまでどのように説明してきたかを確認したいと思います。
 規制のサンドボックス制度に基づく第三者委員会として、革新的事業活動評価委員会、現在の新技術等効果評価委員会ですけれども、この二〇一九年十月の第十回の委員会において警察庁は、歩道は車両の通行を認めるべきではないと述べていたが、それはどのような理由からか御説明ください。
○二之湯国務大臣 委員御指摘の委員会における警察庁の発言は、歩道は歩行者が安全に安心して通行できるよう区画された場所であり、原則として車両の通行は認めるべきではないというものでございまして、この考え方は現在も変わるものではございません。
 他方で、現行の道路交通法では、原動機を用いて自走するものであっても、性能上の最高速度が時速六キロメートル以下であることなどの基準を満たす電動車椅子については歩道を通行することができることとされております。
 特定小型原動機付自転車は車道通行が原則でありますが、このうち、性能上の最高速度が電動車椅子と同様に時速六キロメートル以下であることなどの要件を満たすものを特例特定小型原動機付自転車と定義し、例外的に歩道などを通行することができることとしたものでございます。
○塩川委員 車道の場合には自転車、歩道の場合には電動車椅子、この並びでという話ですけれども、ただ、この前も私も電動キックボードに乗りましたけれども、十五キロでしたかね、かなりスピードが出ますし、六キロだとなかなかふらふらということもありまして、その切替えをするんだというんですが、実際自転車も、歩道を通っちゃいけないというのに歩道を通っている例というのは多くて、それが事故にもつながっているわけですよね。同じようなことが起こるんじゃないのかという懸念というのは当然あるわけであります。
 また、手元でアクセルのみで加速できるというのは自転車とは異なる危険性があるということも、この場で警察庁が述べていたことであります。警察庁自ら、電動キックボードの歩道通行は認めるべきではないと述べていたのが、そのときの委員会でありました。
 自転車は原則車道走行だということについて、警察庁はどういう説明をしてきたんでしょうか。例えば、自転車安全利用五則とかに原則自転車は車道走行と書いてあるんじゃないでしょうか。
○楠政府参考人 お答えいたします。
 御指摘のとおり、自転車は車道が原則、歩道は例外という形で規定しているものと承知しております。
○塩川委員 自転車安全利用五則では、道路交通法上、自転車は軽車両と位置づけられています、したがって歩道と車道の区別のあるところは車道通行が原則です、罰則は三か月以下の懲役又は五万円以下の罰金、普通自転車が歩道を通行することができるのは歩道に普通自転車歩道通行可の標識等があるときだというふうに説明をしています。
 自転車の事故についてですけれども、過去五年間で、歩行者が死亡、重傷となるような自転車対歩行者の事故がどれだけの件数あって、そのうち歩道で発生している割合、人数がどのぐらいになるのかを教えてもらえますか。
○楠政府参考人 お答えいたします。
 平成二十九年から令和三年の間に自転車が第一当事者又は第二当事者となった自転車対歩行者の事故のうち、歩行者死亡あるいは重傷事故における衝突地点が歩道となっているものの割合は四〇%、件数は六百三十五件でございます。
○塩川委員 ですから、歩道は通っていけないよとなっている自転車ですけれども、歩行者と自転車の事故の四割が歩道で起こっているわけなんです。これは今の深刻な実態ですよね。
 今回の電動キックボードで、速度を、モードを切り替えるとかという話ですが、それがそもそも周知されるのか。自転車でも、原則車道通行となっているのが周知徹底されていない中で、こういった歩道での四割もの事故が起こっているという点を考えたときに、この電動キックボードでそういう徹底ができるのかという問題なんです。
 その上で、現行、電動キックボードは原動機付自転車の扱いですから、運転免許が必要となります。運転免許に関して、現行の電動キックボードの免許試験内容、講習内容について説明いただけますか。
○楠政府参考人 お答えいたします。
 現行の道路交通法におきまして、電動キックボードは主に原動機付自転車に区分されておりまして、その運転には原付免許などが必要とされております。
 原付免許の運転免許試験につきましては、視力等の適性試験のほか、運転に必要な知識に関する学科試験を行うこととされており、その内容につきましては、試験時間を三十分として、交通ルールなどに関する問題を四十八問出題し、正答率が九〇%以上の者を合格とすることとなっております。
 また、原付免許を受けようとする者につきましては三時間の原付講習を受けなければならないこととされておりまして、その内容につきましては、原動機付自転車の運転に関する実技訓練や視聴覚教材を用いた教育を行うものとなっております。
○塩川委員 ですから、適性試験、学科試験、また三時間の原付講習という形で、安全教育、道交法のルールをしっかりと身につけるという場を設けているわけであります。技能試験とか高速道路講習がないぐらいで、自動車免許と同様の内容であります。このような形で安全運転を確保する措置を取ってきたんですが、それでも事故が増加をしているのが電動キックボードであります。
 それなのに、事業者からは、外国人にも利用してもらいたいことから、免許保有義務を緩和してほしい、こういう要望が出されていると承知していますが、そのとおりでしょうか。
○楠政府参考人 お答えいたします。
 委員の御指摘は、二〇二〇年十月に開催されました第十七回革新的事業活動評価委員会での事業者からの要望のことを指しているのではないかと思いますけれども、その中では、例えば、ちょっと該当する部分を読み上げますが、具体的な要望ですけれども、先ほどからちょっと出ていたヘルメットの着用の部分です、これも、やはり事業化、特にそのインフラで将来的に持続可能なビジネスモデルとするためにはかなり大きいハードルになってくるので、ここを任意としたいと考えていますなどの要望があったものと承知しております。
○塩川委員 それはヘルメットの話なので、ちょっとこの後また聞きますけれども、要するに、免許保有義務を緩和してほしいというのは外国人の利用を進めたいというところが動機となっているという点に、安全確保措置が後退させられるというのは筋違いじゃないのかということを申し上げておきます。
 今回の法改正で運転免許はなくなるわけです。それで、販売者やシェアリング事業者に交通安全教育の努力義務を課すわけですが、これは、こういった運転免許の取得と同等の内容を確保できるんでしょうか。
○二之湯国務大臣 今回の改正案では、電動キックボードのうち、性能上の最高速度とそして大きさが自転車と同程度のものを特定小型原動機付自転車と定義いたしまして、その運転に免許を要しないこととされている自転車と同様の交通ルールを定めることといたしておるわけでございます。
 他方で、特定小型原動機付自転車の安全な利用を促進する観点からは、交通ルールを周知する機会を設けることが非常に重要であると考えております。
 警察といたしましては、事業者また関係省庁とで構成しております官民協議会において運転者に対する実効的な交通安全教育の在り方を検討していくこととしているほか、電動キックボードなどに関する交通ルールをまとめた資料を作成して、広く一般に広報啓発を実施することといたしております。
○塩川委員 事業者に努力義務を課すということで、これから決めるという話ですよ。ですから、具体的な担保も何もないという点でも、余りにも現状との落差が大き過ぎると言わざるを得ません。
 例えばネット販売の場合は、販売者はどのように購入者に対して交通安全教育を実施するんでしょうか。
○楠政府参考人 お答えいたします。
 まさに先ほど大臣から御答弁いただきました、そういったネット販売でする場合も含めまして、運転者に対する効果的な交通安全教育の在り方をどのようにするかということについて、事業者、関係省庁と組織した官民協議会で検討を進めていきたいというふうに考えておるところでございます。
○塩川委員 例えばメルカリのように、個人間の売買の場合に、この交通安全教育というのはどうなるんでしょうか。
○楠政府参考人 お答えいたします。
 個人間の売買というのもいろいろな場合があると思いますので、一概には申し上げられないと思います。
 ただ、その中で一つ、我々の方でいろいろ考えておりますのは、この特定小型原動機付自転車につきましては、ナンバープレートをつけていただく、そういう方向で検討いたしておりますので、譲渡するということになれば、それをつけ替えなければいけないというようなこともございますので、そういった窓口に御協力をいただいて安全教育に関する資料を配付する、そういったことも一つアイデアとしてはあるのではないかということで、あらゆる機会を捉えて、そういった利用される方に交通ルールに関する周知が行き渡るように工夫をしてまいりたいというふうに考えております。
○塩川委員 事業者ではないので、交通安全教育の努力義務すらかからないんですよ。紙を渡して終わり。これで本当に安全教育になるのかといった点でも何も決まっていない、事故が相次いでいる電動キックボードの安全運転対策について何の担保もない、これはやはり道路交通安全対策の後退だと言わざるを得ません。
 ヘルメットの着用についても、先ほど紹介があったように、事業者からは、実証期間中にリピート利用がなかった理由として、利用者から、ヘルメットが汚れていた、ぬれていた、雨の後、ヘルメットがぬれてしまい利用できなくなるケースが多発をした、駐輪場に電動キックボードが置いてあって、雨が降ってヘルメットの中に水がたまっているという写真まで紹介をして、事業として成立させるためにヘルメットの着用を任意化することが必要だと分かったと。それで、事業者は、持続可能なビジネスモデルとするためにはヘルメットの着用義務づけが大きいハードルになってくるので任意としたいと述べているということですよね。
○楠政府参考人 お答えいたします。
 先ほど私が読み上げさせていただきましたけれども、御指摘の評価委員会において事業者側からそういった指摘があったということでございます。
 ただ、今回の改正案におきまして、特定小型原動機付自転車につきましてはヘルメットの着用を努力義務というふうにいたしておりますが、これは、繰り返しになって恐縮ですけれども、電動キックボードのうち、性能上の最高速度と大きさが自転車と同程度のものを原動機付自転車から切り出して自転車と同様のルールを定めるというものでございまして、ヘルメットの着用についても、今回の自転車のヘルメットの着用の努力義務化と併せて努力義務とすることといたしたものでございます。
 いずれにいたしましても、警察といたしましては、着用促進に向けまして、しっかりと広報啓発を行ってまいりたいと思っております。
○塩川委員 広報啓発でそもそも済むのかという話であって、自分のビジネスのためにヘルメットの着用義務を外してくれというのでは道路交通安全対策を後退させる、それは、交通安全対策に対する規制緩和措置、こういったことを認めるのかというのが問われているわけであります。
 最後に、特定自動運行について、事故時の人命救助対策はどうするのか、自動運転の車に人が乗っていないという際に、事故時に人命救助対策は誰がどのように行うのか。同様に、高速道路上で乗務員なしの特定自動運行の車にトラブルがあって停止をした場合に、後ろから来る車に対して知らせる義務があるわけですよね、発炎筒とか三角板を置くとか。こういうのというのはどうなるんでしょうか。
○楠政府参考人 お答えいたします。
 まずは一つ目の、交通事故があったときの措置でございますけれども、今回の改正案では、遠隔監視を行う特定自動運行主任者を配置する義務を課すとともに、特定自動運行主任者が、交通事故が発生した場合に消防機関に通報するなど必要な対応をしなければならないこととし、これに違反した場合の罰則を設けております。
 また、その対応が適切に実施されることを担保するための基準を定めた上で、これを履行するための措置を計画に記載させて、都道府県公安委員会がこれを許可時に審査することといたしております。
 さらに、許可を受けて実施する特定自動運行におきまして交通事故があった場合には、必要に応じて警察署長が許可の効力の仮停止を行うほか、都道府県公安委員会が指示や許可の取消し等の行政処分を行うことといたしております。
 以上のような規定を設けることにより、人が乗車しない場合であっても安全な運行を確保できることと考えております。
 なお、改正案では、遠隔監視を行う特定自動運行主任者を配置する措置に代えて、特定自動運行用自動車に特定自動運行主任者を乗車させることも可能という制度になっております。
 それから二つ目の、高速道路でのトラブルの話だというふうに思いますけれども、今回の改正案では、現在の技術水準を踏まえまして、運転自動化レベル4に相当する運転者がいない状態での自動運転のうち、限定地域における遠隔監視のみの無人自動運転移動サービスを念頭に置いております。
 このようなサービスは、現状におきましては円滑な交通に支障を及ぼすおそれがある、これは具体的に申しますとスピードが出ないといったようなことも、技術的にはまだまだ課題があるというふうに承知しておりまして、そういったことを踏まえまして、特定自動運行による人又は物の運送が地域住民の利便性又は福祉の向上に資すると認められるものであることを許可基準として設けております。
 このような許可基準に適合するのであれば、限定地域における高速道路を一部利用した特定自動運行も排除するものではなく、対象になるとは考えておりますが、まだまだ技術的にはハードルが高いものではないかというふうに思っております。
 仮に高速道路におきまして自動運行が終了して停車した場合には……
○上野委員長 楠局長、時間が過ぎておりますので、簡潔にお願いします。
○楠政府参考人 はい。
 特定自動運行主任者が必要な表示をしなければならないなどの義務を課すこととして、これに違反した場合には罰則を設けることといたしております。具体的な方法としては、先ほど申し上げました特定自動運行主任者が乗車する場合のほか、あらかじめ特定自動運行主任者が自動車に搭載された表示装置を遠隔で作動させる、そういったことも含めて検討しているところでございます。
○塩川委員 遠隔操作の人が現場の人命救助対策に当たれないというのははっきりしているわけで、そういった安全対策が措置されないといった懸念は拭えないということを申し上げて、質問を終わります。