【「しんぶん赤旗」掲載】名称・目的は使途議論と不可分/日割り支給賛成も法案に反対/文通費に関する法案/塩川鉄也衆院議員に聞く

「しんぶん赤旗」4月15日・2面より

 衆院本会議で14日に可決された文書通信交通滞在費(文通費)に関する法案について、日本共産党の塩川鉄也衆院議員に聞きました。

  ――文通費について、国会でどんな議論がされているのでしょうか。

 塩川 今国会で、文通費に関する各党協議会がつくられ、文通費の「日割り支給、使途、公開、返納」についての議論を行っています。文通費は、国民の代表である国会議員の活動を支えて行政監視機能を果たし、議会制民主主義を支える上で必要な経費です。原資は税金ですから、国民の理解が必要です。使途や公開のあり方が問われています。

  ――今回の法案は文通費を日割り支給に改め、名称を「調査研究広報滞在費」に変更していますが、同法案についての日本共産党の考えは。

一括改正問題
 塩川 今回の法案で、文通費を日割り支給にすることには賛成です。しかし、名称と目的の変更をパッケージで改正することには同意できません。そのため、本法案には反対です。

 現行法は、当選、辞職などでその月の議員の在職日数が数日でも、当月分の文通費を支給することとしています。国民の理解を得られない不合理なものであり、日割り支給への法改正は当然の措置です。

 日割りは、29日の参院石川選挙区補選に間に合わせようというものです。しかし、文通費の使途や公開については協議会でも全く議論していません。

  ――「名称」「目的」の変更になぜ反対したのでしょうか。

変更順序が逆
 塩川 文通費の名称と目的は、文通費の使途と不可分のものです。使途や公開の在り方の議論に先んじて名称と目的を変更することは順序が逆です。

 現行の国会法は文通費の目的を「公の書類を発送し及び公の性質を有する通信をなす等のため」と規定しています。これを、「国政に関する調査研究、広報、国民との交流、滞在等の議員活動を行うため」と改めるのが今回の法案です。

 この新たな名称と目的の表記は、1966年の「議員歳費等に関する調査会答申」の文言に依拠したと説明されています。当時と今日では議員活動をめぐる環境は大きく変化しており、答申が根拠とした文通費の実態とは乖離(かいり)があります。

 また、「滞在」という名目は1993年に、「東京滞在への助成」として唐突に持ち出され追加されたものです。わが党は、在京議員に対しても「東京滞在」費を支給することは、国民から見て合理的説明がつかないとして反対しました。以来、国会予算審議の際に繰り返し見直しを求めてきました。この見直しの議論もないまま、名称と目的に「滞在」を残すことにはうなずけません。

  ――今後どのように議論されるのですか。

 塩川 与野党国対委員長は12日に、引き続き文通費の「使途、公開、返納」について議論し結論を得ることを確認しています。わが党としても、使途、公開、国庫返納のルールについて各党間の協議を重ね、実施に向けた結論を出すことを求めていきます。

経済安保法案に異議あり!院内集会

 経済安保法案に異議あり!院内集会に参加。

 科学技術の軍事研究化推進、学問の自由などを侵害するものであり、政府による企業介入を強化し、政官業の癒着を拡大する。

 経済、科学技術を軍事と一体化し、米国の安保戦略に日本を組み込むもの。

 参院での審議を通じ、問題点を明らかにし、世論と運動を広げ、廃案に追い込むたたかいに取り組みたい。


異議あり/経済安保法案/市民が集会/「敵つくり世界を分割」

「しんぶん赤旗」4月13日・15面より

田村・塩川氏参加

 市民、弁護士らによる「経済安保法案に異議ありキャンペーン」は12日、国会内で集会を開催し、同法案の危険性を伝え、反対の世論を広げようと呼びかけました。日本共産党の田村智子政策委員長と塩川鉄也国対委員長代理があいさつしました。

 田村氏は、国家安全保障のために経済や研究を「武器」として使うものだと指摘し、「国家間の懸案は外交努力でこそ解決すべきだ。経済で仮想敵国をつくり世界を分割していいのか、非常に問題だ」と批判。塩川氏は衆院での質疑で、人権や憲法9条の侵害の危険が明らかになったとして、(1)科学技術の軍事研究化(2)政府による企業への介入強化(3)政官業の癒着―の3点を強調しました。

 社民党の福島瑞穂党首とれいわ新選組の大石晃子衆院議員があいさつしました。

 井原聰・東北大名誉教授は、政府指定の機微情報に関わる研究者に罰則付き守秘義務が課せられる問題について、「軍事研究からの離脱やその情報公表の権利を定めたユネスコの勧告に反する」と指摘し、弁護士の海渡雄一氏は企業の経済活動を軍事の統制下に置き、「現代の国家総動員法にほかならない」と批判。元特許審議官の野村康秀氏は、秘密特許制度の導入が企業の合理的な経営判断を奪いかねないと警告しました。

栃木・下野市/ごのへ豊弘議員と街頭から訴え

 目前に迫った下野市議選。2期目をめざすごのへ豊弘議員の応援に駆けつけました!

 不当なリストラとたたかい全面解決を勝ち取った経験をもつ、ごのへ市議だからこそ、市民の暮らしに心を寄せ、豪雨災害の浸水世帯への支援の適用・創設や18歳までの子ども医療費の無料化を実現。

 党議席が空白だったときは、毎議会の質問者が3人程度だったのに、ごのへさん当選後、10人以上に増加。議会活性化に大きな力を発揮しました。

 物価高騰が国民生活を直撃。今こそ消費税減税を!年金引下げなど社会保障改悪の中止、大幅賃上げの実現を!大企業の内部留保課税で、賃上げの流れを作り出そう!

埼玉・春日部市議選告示で応援に

 春日部市議選(定数30、2減)告示。現有6議席確保めざし、うづき武彦・並木としえ・大野とし子・今尾やすのり・坂巻かつのり・木下みえ子候補当選のために全力!今尾・うづき・坂巻候補の応援に駆けつけました!

 党市議団は、18歳までの入院医療費無料化、第3子以降の学校給食費無料化、住宅リフォーム助成制度を実現。学校給食費の完全無償化、温水市民プール建設の願いは、一貫して要求を掲げてきた党の6議席でこそ!

 ロシアは侵略やめよ、国連憲章守れの国際世論と運動を!

 憲法9条は、日本がプーチンロシアのような侵略者にならないという証であり、紛争の平和的解決への取り組みの羅針盤。

 侵略戦争反対、反戦平和を貫いて100年、ソ連・ロシアの覇権主義と対決してきた日本共産党を伸ばしてください!

【内閣委員会】保育士等の賃上げ限定的/2割以上の自治体が手を挙げず/国の責任で将来にわたって交付税措置を

 岸田政権が看板政策として掲げる保育士や学童保育指導員などの給与を賃上げする処遇改善事業において、事業の活用に手を挙げない自治体が多数生じている問題を追及しました。

 私は、処遇改善事業の2021年度の申請状況について、申請をしていない自治体が、保育所等では376自治体(全自治体の2割近く)、学童保育では642自治体(全自治体の4割近く)に及ぶこと。また、申請をしている自治体でも公立施設を対象としているのは、保育所等では474自治体(全自治体の3割未満)、学童保育では338自治体(全自治体の2割未満)に留まっていることを確認。政府の評価を質しました。

 山際大志郎担当大臣が、22年度も申請ができるとして、現段階の評価は早いと答弁。

 答弁に対し私は、申請は21年度中に賃上げを実施したことが要件となっていることから、今後の申請は限定的だと指摘し、公立ではあまりに少ないと思わないかと追及。

 山際大臣は「他の公務員とのバランスを考えたうえで判断された可能性がある」などと述べるだけでした。

 私は、賃上げを進めるためには自治体の事情も踏まえた改善が必要だとして、自治体からヒアリングをせよと強調。

 山際大臣は「検証は必要」としつつ、「今はヒアリングをする段階ではない」と答えました。

 私は、自治体からは来年度以降の交付税措置に不安の声が上がっているとして、将来にわたって国の責任で保障せよと主張しました。


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「議事録」

<第208通常国会 2022年4月8日 内閣委員会 第17号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 今日は最初に、保育士、学童保育指導員の賃上げ政策の進捗状況についてお尋ねをいたします。
 月額三%、九千円の賃上げを図るという保育士・幼稚園教諭等処遇改善臨時特例事業の申請状況ですけれども、申請しなかった自治体数、申請した自治体数、申請した自治体数のうち公立施設を対象に含めて申請した自治体数がそれぞれ幾つかをお答えください。
○藤原政府参考人 お答え申し上げます。
 今般の保育士等の処遇改善に係る補助金でございますけれども、三月四日までに保育所、幼稚園等について申請があった市町村数、千四百五市町村となってございます。全市町村の数が千七百四十一でございますので、その時点で申請がなかった市町村数は三百三十六となっております。また、公立保育所について申請があった市町村数は四百七十四市町村となっております。
○塩川委員 全市町村のうち申請自治体は約八割です。二割近くが申請をしておりません。公立施設の申請は全自治体の三割に届かない。七割以上の自治体が申請していないということであります。
 続けて、放課後児童支援員処遇改善臨時特例事業の申請状況についても、同様に、申請しなかった自治体数、申請した自治体数、うち公立施設を対象に含めて申請した自治体数が幾つかを教えてください。
○藤原政府参考人 お答え申し上げます。
 放課後児童支援員等の処遇改善に係る補助金につきましては、同じく三月四日までに放課後児童クラブについて申請がありました市町村数で申し上げますと、千九十九市町村となっております。全市町村の数は千七百四十一でございますので、申請がなかった市町村数は六百四十二となっております。また、公立の放課後児童クラブについて申請があった市町村数は三百三十八市町村となっております。
○塩川委員 申請自治体数が全体の六割。四割近くが申請をしておりません。公立施設の申請は全自治体の二割に届かないということで、八割以上の自治体が申請していないということです。
 保育士や放課後児童支援員、それぞれ、都道府県別の特徴がどうなっているとかは分かりますか。
○藤原政府参考人 先ほどお答え申し上げました申請状況に係る市町村数でございますけれども、その時点までの令和三年度分の申請があった市町村数をお答え申し上げたわけです。
 この交付金の申請につきましては、市町村から国に対する申請につきましては、令和四年度に三年度分も含めて交付申請を行うことも可能としており、今後、追加で申請をする市町村もあるというふうに見込んでおります。
 このため、現時点で都道府県ごとの市町村数ですとか特徴について申し上げることは難しいかなというふうに考えております。
○塩川委員 現時点での都道府県別の実施自治体、都道府県別でいいですから、実施自治体の一覧表というのは、後でいいんですけれども、出していただけますか。
○藤原政府参考人 都道府県ごとの市町村数をというふうなお尋ねでございました。
 以前から御説明申し上げておりますように、この交付金の取扱いについて、例えば概算による申請も可能であるということ、それから四年度に三年度分も含めて交付申請を行うことも可能というふうな柔軟な取扱いをしております。
 こうした柔軟な取扱いをしているがゆえに市町村の状況は様々ございまして、概算による交付申請を行っている市町村もあれば、一定の時期までに各保育園等から補助金の申請があったものについてまず国に交付申請をし、残り分はまた改めてというふうな市町村もあれば、四年度に追加で国に申請しようというふうな市町村、様々あるように承知をしております。
 こういうふうな状況でございますので、三月四日の時点での申請状況について都道府県別の市町村数をお示しするということは差し控えたいと思っておりますが、まずは、四年度に三年度分も申請をするということができることになっておりますので、そちらの方の手続について、しっかり周知なり行っていきたいというふうに考えております。
○塩川委員 現時点の数字の確認をしたいので、その数字だけでも出してもらえないですかね。
○藤原政府参考人 今後、令和四年度の交付申請の受付を開始することとしておりまして、その申請が出そろうと考えられるのが五月末ぐらいかなというふうに考えております。四年度の交付の要綱を発出をし、その上で申請期限を設定をして、最終的な申請数の数が判明をするのが五月末頃までかなというふうに思っておりますので、おおむねそういった時期を想定をして、最終的な状況については何らかでお示しできるように考えていきたいというふうに思っております。
○塩川委員 現時点でもそういう数字を出してほしいというのは、重ねて要望をしておきます。
 それと、今後増えるという話もありましたけれども、今後増えるような事例というのは、どういう条件のところで増えるということになるんですか。
○藤原政府参考人 先ほどの御答弁の若干繰り返しになって恐縮ですが、今回のこの申請、市町村から内閣府に対する交付金の申請につきましては、概算の申請もオーケーですよというふうな取扱いですとか、それから、三年度と四年度に分けて申請をする、そのことも可能ですというやり方、それから、三年度は見送り、四年度にまとめて交付申請を行うというふうな市町村、様々お考えがあるやに聞いております。
 そういう意味では、四年度にまとめて申請をしようという市町村も残っているというふうに承知をしておりますので、そういった状況も踏まえて、全体としてどうなるかということをしっかり見ていきたいと思っております。
○塩川委員 実際、令和四年度も可能だという話ですけれども、その場合でも、私立施設でいえば、二月分からの賃金改善を年度内に実施をしている必要がある。それから、公立施設の場合には、二月からの賃金改善を行う条例案等を年度内、令和三年度内に議会に提出していることが要件なんですよね。
○藤原政府参考人 お答え申し上げます。
 委員御指摘のとおり、四年度にまとめて交付をするという柔軟な取扱いを認めておりますけれども、その前提としては、今般の経済対策、三年度の二月、三月分の改善を行っていただく、あるいは公立においては、時間がかかりますので、条例等を出していただくというふうなことを要件としているということは事実でございます。
○塩川委員 ですから、公立の場合でも条例案が昨年度内に措置されているという条件なんですよ。だから、今後増えるという見込みはないじゃないですか。そうですよね。
○藤原政府参考人 網羅的に私どもはその市町村を把握をしているわけではございませんけれども、三年度までに条例等を出されている中で、四年度において申請を考えるというふうなところもいらっしゃるとは聞いております。
 ただ、最終的にどういうふうな状況になるのかということがまだ把握はできておりませんので、四年度の申請の状況をしっかり踏まえる、また、四年度の申請について、できるということをしっかり周知をしていきたいというふうに考えております。
○塩川委員 民間の場合は、二月から賃上げをやっているということが前提ですから、そういうところは申請の対象になるわけですよ。公立の場合でいえば、昨年度内に条例等の手当てをするということですから、そういうところも当然申請ということがはっきり見えているわけで、今後増える見込みというのはない、実質はもうここで区切りという状況です。
 大臣にお尋ねします。
 政府は、経済対策として、こういった保育士などケア労働者の賃上げのための措置を行いました。こういったケア労働者の賃上げの施策が、率直に言って保育士や学童保育支援員というのが、実施状況というのが非常に限定的、公立の場合には本当に少ないといった、こういう取組の現状についてはどのように評価をしておられますか。
○山際国務大臣 これは、今、参考人の方からお話をさせていただいたとおりだというふうに認識しておりますが、まだ四年度に入って受付をしているというところでございますので、現段階で最終的な評価をするというのは少し早い、このように我々としては受け止めております。
○塩川委員 今言ったように、でも、自治体の場合では条例の手当ての話も当然出てくるわけで、それは今後増えるといっても本当に例外的な事例の話だと思うんですよ。そういうときに、答弁にもあったように、保育士の場合で公立での申請は三割に届かない、学童保育でいえば二割に届かない。公立の場合については余りにも少ないと思いませんか。
○山際国務大臣 これは、先生御理解いただいた上で御質問いただいていると思うんですが、やはり公立の場合は、身分が公務員ということになりますので、他の公務員、他の職種の公務員とのバランスというものも考えた上でこういう判断がされているという可能性は十分あると思います。
 だからこそ、一義的には各自治体の御判断にお任せをして申請をしていただきたいということをこれまでもやってまいりましたし、また、この制度の説明というものの努力はこれまで累次にわたって当局の方からしてきた上でこういう形になっているというふうに理解しております。
○塩川委員 そういう点でも、自治体の取組、それぞれに事情があるんだろうけれども、そういった事情も酌んで、更なる手だて、工夫をするということが必要じゃないか。賃上げを図るという点では、我々は当然それを求めているところですし、そういった点で何が課題かという話を自治体に対してヒアリングをする、そういったことは是非やってもらいたいと思うんですが、そこはどうでしょうか。
○山際国務大臣 実際には、今御答弁申し上げましたように、各自治体とのコミュニケーションというのはこれまでも図ってきたわけですね。その上で、今こういう状況になっている。
 ただし、岸田内閣として目指しているものは、やはり、公的部門にお勤めの皆様方の賃金を上げていくということをまず呼び水にして、日本の社会全体の賃上げを目指していこうということでございますから、当然、その効果というものに関して、どの程度あるかという検証は日々やっていかなきゃいけないと思っておりますし、その文脈から見たときに、必要なものがあるならば当然それはやっていかなきゃいけないと思ってございます。
 今この段階では、ヒアリングのようなものをする段階ではないと私たちは判断しておりますけれども、効果等々に関しては見ていきたいと思います。
○塩川委員 是非、現状で聞いてもらった方が今後の課題に生かせると思います。その点を求めるとともに、やはり、財政上の措置についての懸念というのはあるわけで、十月以降の地方交付税措置の話がありますけれども、来年度はどうなるのか、そういう不安だってあるわけです。賃上げに必要な財源について、交付税措置を維持していくとか、そういった国の責任でしっかり対応する、こういうことこそ必要じゃないかと思うんですが、財政措置についてはどうでしょうか。
○山際国務大臣 十月以降に関しましては、これも議員御案内のとおりでございますけれども、全世代型社会保障制度をどう考えていくかという文脈の中で、その問題意識というものはもう専門家の皆様方から提示されておりまして、やはり公的部門に働いていらっしゃる方々、特に介護士さんであるとか保育士さんであるとか、今の放課後児童クラブで働いていらっしゃる方も含めてですけれども、こういう方々が、全体の平均の賃金から比べたときにまだ賃金が低い状況にあるということ、これはもう問題として提起されておりますから、それを、二〇二〇年代という言葉が使われておりましたけれども、二〇二〇年代というのも、既に二〇二二年ですので、あと七、八年の間に集中的にその差を埋めていくということはやっていかなくてはいけないということは、もうこれは専門家の皆様方から御指摘されていることですから、それを踏まえて、十月以降の制度というものはしっかりと考えて、改正していくということになると思います。
○塩川委員 自治体に対する国の財政措置など改善も行って、対応が前に進むように、国のイニシアを取っていただきたいと思います。
 山際大臣、ありがとうございました。
○上野委員長 山際大臣におかれましては、御退席をお願いいたします。
○塩川委員 残りの時間で、デジタル庁の組織体制についてお尋ねします。
 数字の確認ですけれども、四月一日現在のデジタル庁の職員総数、また、うち民間の出身者数、そのうち常勤と非常勤の人数がどうなっているのか。まず、それをお答えいただけますか。
○山本政府参考人 お答えいたします。
 令和四年四月一日現在におきましてのデジタル庁の職員の数は約七百名となってございます。そのうち民間出身者の数は約二百五十人となっておりまして、うち常勤職員が二十七名、その他は非常勤職員となってございます。
 以上でございます。
○塩川委員 民間出身者の人数について、常勤、非常勤の別で、グループごとの数字というのは分かりますか。
○山本政府参考人 お答えいたします。
 恐れ入ります。グループごとの数字でございましょうか。
 グループごとの非常勤職員の数につきましては、四月一日現在での精査は、ちょっと今お答えをできるほどに精査できておりませんので、今担務の関係もございますので、御理解いただければ大変幸いでございます。
○塩川委員 是非、後で結構ですので、その数字をお願いします。
 それから、民間出身者の常勤職員が二十七名というお話がありました。昨年九月のデジタル庁発足時には一人、今年の一月一日時点では十人と承知をしております。
 この二十七人の選考採用方法ごとの内訳が分かるでしょうか。
○山本政府参考人 お答えいたします。
 令和四年四月一日現在におきます民間出身者の職員、常勤職員二十七名でございまして、採用形態は、デジタル監、内閣により任命されておりますけれども、これが一名、選考採用、任期付職員として採用している者が六名、あと官民交流によりまして受け入れておりますのが二十名、以上でございます。
○塩川委員 デジタル監を除いた任期付が六人、官民人事交流が二十人ということですけれども、こういった選考採用方法を取った理由というのは何でしょうか。
○山本政府参考人 お答えいたします。
 個別の採用についてはお答えを差し控えさせていただきたいと存じますけれども、基本的な考え方として、必要な職種、また人物を見て、また、官民交流であれば派遣元の御意向とも調整をしながら、適切な採用形態を取っておるものでございます。
○塩川委員 官民人事交流法に基づく官民人事交流ですけれども、デジタル庁の状況を報告が出ていますから見てみますと、例えば、自動運転のロードマップの作業である官民ITS構想・ロードマップ関連業務の仕事に自動車メーカー出身の方が就いている例などがあります。そうなりますと、こういうロードマップにおいて、自動車業界サイドのルール作りにならないだろうかといった懸念も浮かぶんですが、こういった点については、大臣はどのようにお考えですか。
○牧島国務大臣 委員御案内のとおり、デジタル庁では、全ての職員を対象に、入庁に際し、コンプライアンス基本方針に沿って行動すること、職務上知ることのできた秘密を漏えいしないこと、利益相反行為は行わないことなどについて定めた誓約書の提出を求めております。
 こうしたしっかりとしたコンプライアンスに基づいて、日々、それぞれ、デジタル庁の職員が業務に当たらせていただいているというふうに理解をしております。
○塩川委員 ただ、官民人事交流で見ても、交流元企業の業務に従事することや、交流元企業に対する許認可等の業務を行う官職に就くことは禁止をされているわけです。
 当該企業や業界団体の関わるルール作りなど企画立案の官職に就く規制はないわけで、やはり企画立案、ルール作りというところが一番の肝ですから、そこに関係業界、事業者の方が関わるというのは、ルール作りにおいて、特定の事業者、業界に有利な作業にならないのかといった懸念というのはあると思うんですが、その点についてはどうですか。
○上野委員長 牧島デジタル大臣、時間が過ぎておりますので、簡潔にお願いします。
○牧島国務大臣 はい。
 私どもは、有識者から構成される会議などの議事録の公表もオープンにしておりますし、こうした一つ一つの企画立案、組織としての必要性、有効性、公平性等を勘案して意思決定していくものでございます。
 職員個人の判断や考え方がそのまま制度化する仕組みにはなっていないというふうに理解しております。
○塩川委員 企画立案に関わる部門にそういった関係事業者があるというのは、ルールの妥当性そのものも疑わせるものとなる。こういった点での懸念を除くということが必要だということを申し上げて、終わります。

【本会議】科学技術の軍事化推進/経済安保法案が衆院通過/反対討論

 経済安全保障推進法案の採決を行いました。日本共産党とれいわ新選組が反対しましたが、他の会派の賛成多数で可決。採決に先立ち反対討論を行いました。

 討論の要旨は以下の通りです。


 反対理由の第1は、科学技術の軍事研究化を推進し、学問の自由などを侵害するということです。

 政府が指定する「特定重要技術」の研究開発のために設けられる「指定基金」に想定されているのは、2500億円もの「育成プログラム」です。その研究成果は、軍事技術として「将来的に防衛省の判断で活用されることはあり得る」と答えました。

 「指定基金」において必置とされている「協議会」は、政府から機微情報の共有など「伴走支援」が行われ、参加者に、罰則付きでの守秘義務を課しています。これまで研究開発において、このような罰則付きのやり方が設けられたことはありません。研究活動に大きな制約を持ち込むものです。

 東北大名誉教授の井原聰参考人は、競争的研究費を乱発すれば基礎研究がおろそかになると指摘し、「裾野の広い、自発的な研究土壌」でこそ人類の発展に寄与する学問が育つと訴えました。

 本案の官民技術協力は、これに反し、巨額の研究費で軍事転用可能なデュアルユース技術の強化を狙うものです。

 憲法9条に矛盾する特許出願非公開制度は、民生技術を軍事技術に吸収し戦争遂行に動員した、戦前の「秘密特許」制度の復活に他なりません。

 外国出願を禁じた「特定技術分野」の発明は、米国に対してのみ、防衛特許協定を理由に除外されます。軍事特許を日米の軍事力強化に役立てる新たな仕組みとなりかねません。

 さらに、本案の先に「セキュリティー・クリアランス(適性評価制度)」が検討されていることは重大です。政府の「秘密」保全だけでなく研究者・民間企業も対象とした秘密保護法制の拡大につながり、プライバシー・学問の自由の侵害、労働者の不利益取り扱いを含め深刻な人権侵害が生じかねない問題であり、認められません。

 第2に、政府による企業への介入を強化する問題です。

 基幹インフラの事業者に対し、設備導入などの際、納品業者・委託業者などを事前に届け出させ、政府が審査し勧告・命令まで行うとしています。また、「特定重要物資」の供給事業者に対しても、取引先などを記載した安定供給のための計画を提出させます。

 このようなやり方に、経済界からも懸念の声が上がっています。

 この間、「経済安保」の名の下、警視庁が大川原化工機社長ら3人を不当逮捕・長期拘留した冤罪事件を起こしています。「経済安保」を大義名分として、企業活動に対する恣意的な規制が拡大する懸念がぬぐえません。

 第3に、政官業の癒着の問題です。

 民間企業に対して、様々な規制とともに「安定供給確保支援法人基金」助成などの支援策を行うとしています。現時点で5000億円ともされる半導体大手TSMCのように特定企業への巨額支援が横行しかねません。

 また、本案は、重要な事項が138箇所も政省令にゆだねられており、国会の関与はわずか2箇所しかありません。「政府への白紙委任」と言えるものです。

 このことが、企業が政府とのパイプを得ようと、特別な働きかけをする契機となり、藤井敏彦・前経済安保法制準備室長の事件にもつながっています。「天下り」が横行することになります。政官業の癒着が避けられません。

 本案は、国家安全保障局(NSS)が、外交・防衛政策と並びで経済政策を国家安全保障の一つの柱としてつかさどるものとなります。その経済政策には住民監視・私権制限の土地利用規制法も位置付けられていることは看過できません。

 岸田総理は、年内策定予定の国家安全保障戦略に「経済安全保障を位置づける」と認めました。軍事・経済の両面で日本がアメリカの安保戦略に組み込まれるものとなることは明らかです。


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【「しんぶん赤旗」掲載】文通費日割支給/法改正には賛成/共産党が表明

「しんぶん赤旗」4月8日・2面より

 文書通信交通滞在費(文通費)をめぐる与野党協議会が7日、国会内で開かれました。事務局から日割支給とすることや名称を「調査研究広報滞在費」などに変更することが提案されました。日本共産党の塩川鉄也衆院議員は、日割支給の法改正には賛成だと表明しました。

 塩川氏は文通費の性格や名称変更に関しては、在京議員にも「滞在費」を支給することは国民から見て合理的説明が立たないと見直しを求めてきたと指摘。「なんの見直しもなく、そのまま名称や性格に『滞在費』と残すことには異論がある」と述べました。文通費の性格について1966年の調査会答申を使った整理が行われているとして「50年以上前の答申ではなく、今の使途を把握した整理を」と求めました。その上で「使途をはっきりさせた上で、名称や性格を位置付けるよう引き続き協議が必要だ」と主張。「まずは各党一致している日割で法制化を」と述べました。

 日本共産党の井上哲士参院議員は、66年の答申からネット環境や政党助成金の導入など状況は大きく変わっているとして、「現状の使途を認識した上で見直しが必要だ」と強調しました。

【内閣委員会】「国家安保戦略に経済安保を位置づける」岸田総理が答弁/経済安保法案/衆院委で可決、反対討論

 岸田文雄総理は、年内策定を進めている国家安全保障戦略で「経済安全保障を位置づける」と答弁しました。

 私は、経済政策を法華安全保障の一つの柱として外交・防衛政策と一体に運用するということだと批判しました。

 また、私は、科学技術の軍事研究化をすすめる問題で、政府から機微情報の共有など「伴走支援」が行われる「協議会」が軍事も含めた、政府のニーズ(要求)を研究者と結びつけるものかと追及。

 岸田総理は「指摘はあたらない」と述べながら、協議会が「防衛省も含めたすべての省庁に適用される」と答弁しました。

 また、私は、政官業癒着についても追及。三菱電機、富士通、NEC、デンソー、パナソニックと言った大手企業は経済安全保障関連の部署を相次ぎ設置。これら企業への5人の元経済産業省幹部職員の天下りがあり、サプライチェーン(供給網)関連での基金の事務局のみずほリサーチ&テクノロジーズにも元総務事務次官が天下りしていることを明らかにしました。

 私は、経済安保政策のもとで、政府の規制が拡大し、巨額補助金など支援策を拡充すれば、企業と政府の接点が拡大すると指摘。「癒着の拡大につながるのではないか」とただすと、小林担当大臣は「経済関係者に耳を傾けることは重要だ」と開き直りました。

 衆院内閣委員会は、経済安全保障推進法案の採決を行い、日本共産党とれいわ新選組が反対しましたが、他の会派の賛成多数で可決。私が反対討論を行いました。


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「議事録」

<第208通常国会 2022年4月6日 内閣委員会 第16号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 経済安全保障推進法案について質問いたします。
 この間、大手企業において経済安全保障に対応する部署を設けるということが続いていると、毎日新聞の報道等によって紹介がされておりました。三菱電機は経済安全保障統括室を設置するとか、デンソーや富士通、NECも経済安全保障室を設置するとか、パナソニックは経済安保やカーボンニュートラルの政策などに対応するパナソニック総研を設立するとか、続いております。
 これらの企業に経産省のOBが再就職をしたということですけれども、その再就職先と最終官職を明らかにしていただきたい。また、ほかにも経済安保担当という名目で再就職した事例があれば紹介していただけますか。
○片岡政府参考人 お答え申し上げます。
 毎日新聞の御指摘の記事につきましては承知をしてございます。
 この記事で触れられております五名の経産省OBの再就職先と最終官職でございますけれども、法律上、離職後二年間は再就職の届出を出すことになってございまして、それらを確認いたしましたところ、まず、日下部氏でございますけれども、最終官職は資源エネルギー庁長官、再就職先は、令和元年七月に三菱電機株式会社に再就職されております。二人目、高橋氏でございますけれども、最終官職は資源エネルギー庁長官、令和二年十一月に富士通株式会社に再就職されております。三人目、横尾氏でございますけれども、最終官職は経産省大臣官房付、平成二十九年十月に株式会社デンソーに再就職されております。四人目、石黒氏でございますけれども、最終官職は経済産業審議官、平成二十八年八月に日本電気株式会社に再就職されております。最後、三又氏でございますけれども、最終官職は経済産業省大臣官房付、令和三年四月に株式会社パナソニック総研に再就職されております。
 また、お尋ねの、経済安全保障担当という名目で経済産業省の本省庁課長相当職以上の離職職員が民間企業等に再就職した事例でございますけれども、保存されている届出等を確認しましたところ、該当する者は見当たらないということでございます。
○塩川委員 大臣にお尋ねしますけれども、このように、経済安全保障の担当室などを企業が設ける、そういったところに経産省OBなどがいわば天下りをするといったことについて、何で企業側はこういった経済安全保障担当部署にこういったOBを採用するのか、どのようにお考えでしょうか。
○小林国務大臣 それは、それぞれの企業が考えてやられていることだと考えますので、私の方から何かコメントをすることは控えたいと思います。
○塩川委員 政府は、この間、サプライチェーン関連の基金を造成してきました。サプライチェーン対策のための国内投資促進事業費補助金五千百六十八億円、ワクチン生産体制強化のためのバイオ医薬品製造拠点等整備事業二千二百七十四億円などがあります。これらの基金の基金設置法人である環境パートナーシップ会議及び受託事業者でありますみずほリサーチ&テクノロジーズへの国家公務員の再就職の状況について、分かれば教えてもらえますか。
○岡本政府参考人 お答えいたします。
 国家公務員法に基づきまして、職員のうち管理職職員であった者が離職後二年間に再就職した場合は、速やかに内閣総理大臣に再就職情報の届出を行うとともに、公表することとされているところでございます。
 これに基づきまして、平成三十一年一月から令和三年十二月までの三年間にあった届出につきまして確認いたしましたところ、御質問いただいた一般社団法人環境パートナーシップ会議への再就職の届出はゼロ件、みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社への再就職の届出は一件であり、離職時の官職は総務事務次官となっております。
○塩川委員 こういった受託事業者への総務事務次官の天下りの例などもあります。
 今後、基金の造成が行われて支援法人の在り方なども問われてくるときに、大臣、この経済安保政策の下、このように、今回の法案でも議論してきていますように、政府の規制が拡大をし、また、巨額補助金など支援策が拡充をすることで企業側と政府の接点が拡大する契機となる、これが天下りなども通じて癒着が拡大することにつながりはしないのか、こういう懸念についてはどう受け止めておられますか。
○小林国務大臣 お答え申し上げます。
 一般論としてまず申し上げれば、施策の実施に当たって、関係業界の意見などに耳を傾けるということは、私は必要なんだろうと思います。
 一方で、これは経済安保政策に限った話ではございませんが、当然、官民の癒着などの疑念を抱かれるようなことがあってはいけないわけでございまして、職員の職務の遂行に関しましては、国家公務員法の服務に関する規律を遵守することは当然だと考えます。その上で、こうした規律に違反した場合には、国家公務員法に基づく懲戒処分を受けるということによって公務の公正性を確保することになっているものと考えます。
 なお、この法案について申し上げますと、まず、措置の対象となる物資、事業、あるいは技術分野などにつきましては、有識者の意見を聞いて制度ごとに策定する基本指針において考え方を明らかにします。これらを定める下位法令の要件は、法律上、可能な限り明確化していきます。そして、政省令の策定に当たりましては、先ほどもありましたが、パブリックコメントの実施など、広く意見を聞く手続を設けていくなど、客観性、公平性の担保に配慮しておりまして、癒着につながるような判断が行われることはないと考えます。
○塩川委員 百三十八の政省令、当然、それを立案する過程があるわけであります。案を作ってパブリックコメント、その前の、まさに立案するその過程においてどういう関わりがあるのかということが問われてくるわけで、そういった際に、担当官庁のOBが当該企業にいるということが癒着の懸念ということにつながりかねないという疑念は拭えないわけですし、やはり、藤井敏彦元経済安保法制準備室長の特定企業との特別な関係を見ても、癒着の疑念が拭えないということを申し上げておきます。
 次に、基幹インフラの関係で何点かお尋ねをいたします。
 この法案におきまして、導入等計画の策定の件がありますけれども、この導入等計画には取引先の情報がどのように書き込まれることになるんでしょうか。
○小林国務大臣 お答え申し上げます。
 この基幹インフラに関する導入等計画書には、導入しようとする設備の概要に加えまして、設備の供給者や委託の相手先に関する事項などを記載をいたしまして、主務大臣に届けていただくこととしております。
 具体的な届出事項につきましては、今後、関係者からの意見も承った上で、各事業の実態に即しつつ、事業者負担なども考慮をいたしまして主務省令において定めることとなりますが、取引先の情報に関するものとしては、例えば、設備又は構成部品の供給者の名称、主な事務所の所在地ですとか、委託先や再委託先の名称、また主な事務所の所在地などを想定しているところでございます。
○塩川委員 特定重要設備の導入では、特定重要設備の供給者それから委託の相手方という答弁がありましたけれども、この特定重要設備の供給者及び特定重要設備の一部を構成する設備、機器、装置、プログラムの供給者、委託の方では委託の相手方及び再委託の相手方ということもあると思うんですが、この再委託の相手方というのはどこまで遡るというふうになるんでしょうか。
○小林国務大臣 お答え申し上げます。
 設備の部品などのサプライチェーンあるいは維持管理などの再委託先につきまして、どの範囲まで記載を求めることとするかという委員の御質問につきましては、事業ごとに実態が異なります。
 あらかじめ一律に定めることは適切でないことから、関係者から意見を聴取した上で、あくまで、事業者負担なども考慮をして、主務省令において対象を定めてまいりたいと考えます。
○塩川委員 デジタル関連なんかは本当に重層下請構造になっておりますので、そういった際にどこまで及ぶのかといったのは、事業者、当事者としては非常に懸念するところがあるということがあります。多くの取引先企業の情報を政府に提供することになるといった点での懸念というのもあるだろうと思います。
 そうしますと、やはり、基幹インフラ事業者や設備の供給者、維持管理委託業者等の経済活動が萎縮することにならないのか、このような懸念がありますが、この点はいかがでしょうか。
○小林国務大臣 お答え申し上げます。
 今回の法案におきましては、基本指針におきまして、特定社会基盤事業者の指定に関する基本的事項、また勧告及び命令に関する基本的事項について明示することに加えまして、特定社会基盤事業者その他の関係者との連携に関する事項として事業所管省庁におきまして事業者と密接な意思疎通を図っていくことを定めることとしておりまして、こうした取組を通じて事業者の予見可能性の確保に努めることとしております。
 また、勧告、命令の内容につきましても、調達先の変更に限らず、重要設備の検査や点検の実施など、事業ごとの実態を踏まえた適当な措置を求める予定でございます。
 こうした形で、規制の対象の検討、また制度の適用などの各場面におきまして、事業者の実態や負担に配慮しつつ、経済活動の萎縮につながるような無用の不安を生ずることのないよう政府として努めてまいりたいと考えます。
○塩川委員 事業所管省庁が事業者と密接な意見交換を行う、予見可能性を高める、これは裏返して言うと、かなり裁量的に対応されるんじゃないかという問題という点では、癒着の懸念のことにもつながってくるわけであります。
 その上で、基幹インフラの取組と、この間、サイバーセキュリティーにおける重要インフラへの対処があります。サイバーセキュリティーに係るという点では重なり合うところが当然あると思うんですけれども、基幹インフラへの対応とサイバーセキュリティーにおける重要インフラへの対応は、どのように違い、どのように重なっているのか、この点について御説明ください。
○小林国務大臣 委員御指摘のサイバーセキュリティー上の基幹インフラと今回の重要インフラとの関係についてでございますけれども、サイバーセキュリティーにおける重要インフラというのは、国民生活及び経済活動の基盤であって、その機能が停止し、又は低下した場合に国民生活又は経済活動に多大な影響を及ぼすおそれが生ずるものとされておりまして、サイバーセキュリティ基本法に基づいて、官民が一丸となって重点的に防護する必要があるとの認識の下で指定をされているものでございます。
 一方で、今回、この政府提出法案の基幹インフラに関する制度につきましては、国民生活及び経済活動の基盤となる役務の中でも、まず、国民の生存に必要不可欠で代替困難なもの、又は、国民生活、経済活動が依存する役務で、その利用を欠くことによって広範囲若しくは大規模な混乱などが生じるものを提供する事業を対象とすることを基本としておりますが、事業規模などの基準に該当する事業者が導入する重要設備を事前審査することから、規制対象となる事業者や設備が具体的に想定されない事業などは対象としていないところでございます。
 したがって、サイバーセキュリティーにおける重要インフラとこの法案における基幹インフラというものは、一部対象事業が異なるという関係になっております。
○塩川委員 一部異なるというと、大宗は重なり合っているということでしょうかね。
○小林国務大臣 大宗は重なっております。結構たくさんありますので一つ一つ申し上げることはいたしませんが、サイバーセキュリティーの重要インフラ、これは第四次行動計画にあるんですけれども、例えば電力、ガス、石油、水道等々、いろいろありまして、この法案で規定する事業としてもそれに相当する事業というものが規定されているところであります。
○塩川委員 そうしますと、経済安保に係る基幹インフラとサイバーセキュリティーに係る重要インフラと、重なる事業者というのは当然及ぶわけであります。そういった事業者にとっては負担が大きなものにならないのかという懸念というのがあるんですが、その点はどうでしょうか。
○小林国務大臣 今答弁申し上げたとおり、サイバーセキュリティーに関係する重要インフラと、十四分野ございますけれども、今回の法案における基幹インフラ事業とには、当然重なるところがあります。
 一方で、この法制の有識者会議からは、基幹インフラの役務の安定的な提供を確保するためには、「多層防御の考え方に立ち、引き続きサイバーセキュリティ対策を推進するとともに、設備の導入が行われる前にリスクを把握・排除する必要がある。」との提言をいただいたところであります。
 その上で、今回の基幹インフラに関する制度では、まず、規制対象を真に必要なものに限定します。二つ目として、事業実態などを十分踏まえた制度の整備、運用とする。三つ目として、政省令の策定に当たってはパブコメを実施するなど広く意見を聞く。四つ目として、事業所管省庁に相談窓口を設置をしてきめ細かい情報提供に努めるといった内容を基本指針において定めることとしておりまして、規制措置が事業者の方々にとって過度な負担とならないように政府として努めてまいりたいと考えます。
○塩川委員 そうはいっても、重なり合うような、様々な規制が積み重なっていくということですので、基幹インフラに係る規制と重要インフラに係る規制と重なる事業者にとっての大きな負担になる。
 一方で、こういった審査を通じて、政府が妨害行為のおそれがあると判断すれば審査が通らないといった点では、非常に、下請、取引先企業に対して選別、監視するような対応につながらないのかという点についてはいかがでしょうか。
○小林国務大臣 選別、監視することにはならないというのは先日答弁申し上げたとおりですけれども、この制度というのは、そもそも各業法ですとかあるいはサイバーセキュリティ基本法などに基づく各種の取組というのを前提にしつつ、それに上乗せする形で、外部からの妨害行為に対して、役務の安定的な提供の確保の観点から新たな制度を設けるものでございます。
 今申し上げましたとおり、基本指針で定める内容などによって、この規制の措置が事業者の皆様にとって過度な負担とならないように努めていきたいと考えます。
○塩川委員 最後に、経済安全保障に係る冤罪事件について取り上げます。
 スプレードライヤー、噴霧乾燥機を中国にある企業に不正に輸出したとして、警視庁は大川原化工機の社長ら三名を逮捕しました。無実の人を十一か月も長期勾留をした。しかし、起訴したものの、輸出が規制されている製品に当たることを立証できず、起訴取り消しとなりました。昨年十二月においては、東京地裁は、刑事補償計一千百三十万円を支払うことを決定しました。
 刑事補償というのは、身体拘束された人が無罪となったときの補償制度であります。裁判長も、関係記録によれば、仮に起訴内容について審理が続いた場合、無罪判決を受けるべきと認められる十分な理由があると述べたということであります。まさに冤罪事件であります。
 大臣、経済安保の名の下にこういった冤罪事件があっては決してならないと思いますが、その点はいかがですか。
○小林国務大臣 御指摘の事案については、この委員会でも紹介されたところで、承知をしておりますが、刑事事件の捜査、公判の在り方については所管外でございまして、お答えは控えたいと考えます。
 その上で、経済安保の取組を進める上では、企業の経済活動は原則自由であるとの大前提に立った上で、これを大きく阻害することがないようにすることが重要だと考えております。この法案の制度設計の際にも、安全保障の確保と自由な経済活動の両立を図ることが重要だと考えておりまして、それは累次答弁申し上げているとおりです。
 経済安保の推進の名の下に不当に企業活動に対する規制あるいは監視を広げるようなことがあってはならないと考えておりまして、この法案による制度を含め、適切に運用してまいります。
○塩川委員 百三十八項目の政省令、政府への白紙委任、様々な規制がある。経済安保の名の下で恣意的な規制が拡大をし、こういった冤罪事件が引き起こされる懸念が拭えないということを申し上げて、質問を終わります。

栃木・日光市議選告示/福田えつ子・福田みちお両候補の応援に

 日光市議選告示。多数激戦の中、現有2議席確保目指し、福田えつ子・福田みちお両候補の応援に!

 就学援助にメガネ購入費補助の実現や横根高原のメガソーラー建設計画中止など豊かな実績。下水道料金24%値上げなど市民しわ寄せの市政にきっぱり反対を貫く貴重な議席です。

 ロシアのウクライナ侵略を糾弾、即時撤退を求め、国際社会の一致した行動への働きかけを!

 物価高騰対策は、消費税減税こそ。食料品非課税を。社会保障改悪の中止、大幅賃上げを!

物価高騰・国民生活防衛対策本部の会合

 物価高騰・国民生活防衛対策本部会合開く。

 小池晃本部長は「コロナ禍に加え、ロシアのウクライナ侵略により、円安、物価高騰が深刻。政府の対応は限定的で、しかも年金0.4%引下げなど暮らし圧迫の政治を推進。抜本対策として補正予算編成を求め、消費税減税、コロナ対策抜本強化等、要求していきたい」と述べました。

 会合では、暮らし、農業、中小企業の実態を交流。消費税の食料品非課税措置や最低賃金の引き上げ、社会保障改悪の中止、生活保護費の引き上げ、インボイス導入中止など、対策内容について意見交換しました。

 現場の声を聞き取って、国会論戦や政府要請を行うことを確認。

【内閣委員会】行政の裁量権拡大し政官業の癒着招く/経済安保法案

 私は、経済安全保障法案に盛り込まれている「特定重要物資」の支援策で行政側の裁量権が広がることで「政官業の癒着をつくりだす構造だ」とただしました。

 法案は、民間事業者が指定重要物資の安定供給のため、新たに生産設備をつくったり、在庫を積み増したり、生産技術や代替物質の研究開発を行う際、新設の「安定供給確保支援法人基金」の助成を受けることが可能としています。

 私の質問に対し、政府はこの基金の規模や補助の上限などが未定であるとして明確にせず、重ねて支援法人の想定団体を質問したのに対し「技術的知見を有する団体。業界団体を想定」と認めました。

 私は、政府の判断で指定した特定重要物資に特別な支援おこなうことには、特別扱いの懸念がついてまわると批判しました。

 この間、政府はサプライチェーン関連の基金だけでも5~6千億円規模を造成。さらに、巨額の基金をつくり誘致した台湾の大手半導体企業TSMCの投資額は当初の8千億円から9800億円に増加しており、投資額の2分の1を助成するため補助金が増大する仕組みとなっています。

 私は、これらが新基金にスライドすることもあり得るかと質問。

 小林担当大臣は「区分経理することにしている」と答弁。

 私は、TSMCの事例のように、天井知らずの巨額の補助が行われることがあってはならないと強調しました。


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「議事録」

<第208通常国会 2022年4月1日 内閣委員会 第15号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 経済安全保障推進法案について質問をいたします。
 サプライチェーン、特定重要物資の関係でまずお尋ねいたします。
 供給確保計画において、取引先企業情報の記載についてお尋ねをいたします。
 法文の第九条第三項第八号に、「供給確保計画の作成者における当該特定重要物資等の調達及び供給又は使用の現状」とあります。現時点の取引先企業について、どのような情報を記載することになるのか。調達先や供給先、顧客の企業情報を全て提供するのか。その点について御説明ください。
○小林国務大臣 法案の第九条第三項第八号によって供給確保計画に記載していただく内容としましては、例えば、調達については、原材料をどの国から輸入しているのか、供給につきましては、どういった業種の企業が相手先かといったことが考えられます。
 これらは調達の現状などに関する情報の提供を求めるものでございまして、民間事業者が行おうとする安定供給確保のための取組に応じて、供給確保計画の認定に必要な限度で記載していただくものでございます。したがいまして、一律に、調達先や供給先、顧客の企業情報の全ての提供を求めることは想定しているところではございません。
○塩川委員 もう一つ、第九条第三項第三号で、取組の内容及び実施期間、これから何をやりますかというこの部分ですけれども、ここにおいて、取引先企業の情報についてはどのようなことを記載するようになるんでしょうか。
○小林国務大臣 この第三項第三号ですけれども、取組内容の説明に必要な限りにおきまして、例えば生産基盤の整備を取組の内容とする場合に、調達先として原材料の輸入相手国などを記載していただくことを念頭に置いたものでございます。例えば生産基盤の整備を取組の内容とする場合には、供給先として供給先企業の主たる業種を記載していただくことなどが考えられるところであります。
○塩川委員 これ以外に、供給確保計画において取引先の情報を記載するようなことというのはあるんでしょうか。
○泉政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほど大臣から申し上げましたとおり、第九条第三項第三号、こちらで記載をさせていただこうと考えてございます。
 それで、具体的にどこまで記載を求める必要があるのかというのは、今後、安定供給確保のための取組であることを確認するための必要性ですとか物資の特性なども踏まえて、詳細については今後検討していく、こういうことでございます。
○塩川委員 そういった供給確保計画を作る上でも、外部に過度に依存といった状況というのは誰がどのように判断するようになるのか。
○小林国務大臣 お答え申し上げます。
 外部に過度に依存している場合というのは、供給が特定少数国に偏っていて、現状の依存状況では供給途絶発生時に支障を来す場合というものを想定しているところでございます。
 具体的に、特定重要物資を指定するに当たりましては、内閣府及び物資所管省庁などが連携をして、例えば、特定国への依存度の大きさですとか、特定国の供給が途絶したときの他国からの代替確保の可能性ですとか、また、物資自体の代替可能性、国内での代替調達あるいは生産の容易性、そして、供給途絶が国民の生存又は国民経済、経済活動に与える影響、こうした観点から総合的に勘案いたしまして判断することを想定しているところでございます。
 今後、基本指針の策定に向けて、要件の詳細について更に検討を進めてまいりたいと考えます。
○塩川委員 政府に、この点では、政省令を含めて基本指針等お任せというところでもありますので、総合的に勘案するということも含め、政府の恣意的な判断がまかり通るようなことがあってはならないということを申し上げておきます。
 それから、本法案では、重要物資の安定供給確保のために、国内生産基盤の整備、供給源の多様化、備蓄、生産技術の開発、代替物資の開発など、民間事業者による多様な取組について物資の特性に応じて支援することとしています。
 特徴的なことでいいんですが、それぞれどのような支援を想定しているのか。
○小林国務大臣 お答え申し上げます。
 民間事業者の多様な取組につきまして、イメージを持って御審議いただくため、想定され得る支援内容を例示いたしますと、例えば、生産基盤の整備でございますと、供給能力向上のために新たな生産設備を整備すること、また、供給源の多様化でございますと、これまで特定の国に生産設備が集中していた場合などに、ほかの国に新たに生産設備を整備すること、また、備蓄でございますと、不測の事態に備えて在庫を積み増していくこと、そして、生産技術の開発や代替物資の開発でございますと、例えば研究開発や実用化の取組、こうした様々な取組に対する支援が想定され得るところでございます。
 いずれにしても、今後、安定供給確保が図れるように、具体的な支援の内容を更に検討してまいります。
○塩川委員 そういう意味では、かなり多様な支援ということにつながってまいります。
 一つ備蓄についてお尋ねしたいんですが、備蓄についてもこの法案で、例示としては新型インフル特措法についての備蓄の例示があるんですけれども、他の個別法でも備蓄を規定をしているものがあると思います。それがそもそもどのようなもので、今回の法案と、そういう備蓄を掲げて規定をしているような個別法との関係はどういうふうになるのか、その点、御説明いただけますか。
○小林国務大臣 お答え申し上げます。
 既存の個別法に基づいて備蓄を行っている例といたしましては、今委員からは新型インフル特措法に言及がございましたが、これについては、抗インフルエンザウイルス薬やインフルエンザワクチン、こうしたものを備蓄をしている。そのほかにも、例えば食糧法に基づきまして備蓄を行っている米、また石油備蓄法に基づいて備蓄を行っている石油、こうしたものが既存の法令の対象としては挙げられるところです。
 一方、この法案は、国民の生存や国民生活、経済活動にとりまして重要な物資の安定供給確保を図るための枠組みを業種横断的に措置するものでございますが、民間事業者に対する支援では安定供給確保が困難である場合に、国が前面に出ていく、国が自ら備蓄等の措置を講じることとしています。
 なお、国が主体となって備蓄を行う場合には、主務大臣が指定する法人に備蓄に必要な施設の管理を委託することも可能なたてつけとなっています。その際に、委員から御質問ございました、既存の法令等に基づいて既に備蓄を行っている物資につきましては、そもそも、この法案によって更なる安定供給確保のための措置の必要性を認める場合でなければ特定重要物資として指定することはございませんが、仮に当該物資を特定重要物資に指定することがあったとしても、既に備蓄を実施していることから、この法案に基づいて別途備蓄を行うことは基本的には想定していないところでございます。
○塩川委員 このスキームでは、備蓄については、民間事業者が重要物資の安定供給確保のためにその手段の一つとして備蓄を行うということと同時に、国としても備蓄を行う場合というのがあると。特別な対策を講じる必要がある特定物資について国自らが対策に乗り出す、その一つとして備蓄の話が出たんですが、ここで言っている、主務大臣が指定する法人への委託という場合のこの法人は、この法律で規定している安定供給確保支援法人とは別ですか。
○泉政府参考人 お答え申し上げます。
 法律の第四十五条に、施設管理委託者という規定がございます。したがいまして、第四十四条の方で、主務大臣が安定供給確保のために特別な措置というものを講じた場合に、それに対して、それを効果的に実施するために必要があると認めるときは、施設管理委託者として主務大臣が指定する法人というものに管理を委託することができる、こういうことでございます。
○塩川委員 この備蓄をめぐっては、例えば、過去、国家備蓄をめぐっての不正事件なども生じております。石油備蓄基地で使われる製品の受注でカルテルが結ばれたと公正取引委員会が認定をし、大手メーカー五社に対し排除措置命令が出された、こういった事例もあります。
 こういう国家備蓄をめぐる話として、このような不正が起こらないということが言えるんでしょうか。
○小林国務大臣 当然、これは認定をするときに計画をしっかりと出してもらいますから、それをしっかりと精査した上でやりますので、そういうことにならないように丁寧に検討していきたいと思います。
○塩川委員 国の関与が大きくなる中で、癒着が拡大する懸念というのも大きくなるということを指摘するものです。
 次に、安定供給確保支援法人についてですが、これはどのような業務を行うのか、また、具体的にはどのような団体を想定をしているのかについて御説明ください。
○小林国務大臣 お答え申し上げます。
 安定供給確保支援法人についてですけれども、事業者が行う特定重要物資の安定供給確保のための取組を支援することをその業務としております。
 具体的には、事業者が主務大臣の認定を受けた供給確保計画に沿って特定重要物資の安定供給確保に取り組むに際しまして、取組に必要な資金に充てる助成金の交付などの支援業務を行います。
 現時点ではいかなる法人が指定されるかは決まっておりませんが、特定重要物資に関する技術的知見を有する一般社団法人等を指定することを想定しておりまして、主務大臣が要件に合致するかどうかを客観的に審査をし、適切に判断していくことになるものと認識をしております。
○塩川委員 特定重要物資に係る技術的知見を有するような団体ということになると、そんなにたくさんあるわけではないと思うので、既存の団体なのか、例えば業界団体とか、そういうものが想定されるということでしょうか。
○泉政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほど大臣からお話ししましたとおり、指定されるかは現時点では決まっておりませんが、想定されるものとしては、業界団体等も想定される、こういうふうに考えてございます。
○塩川委員 そういう意味では、業界団体という話になりますと、やはりその業界団体との特別な関係も生ずるということにもなってまいります。
 それと、必ずしもその業界団体でなくても可能なのか。いわゆる特定業界の事業者によって構成される団体、業界団体でなくても、安定供給確保支援法人に指定されるということはあるわけですね。
○木村政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほど来大臣から御答弁をさせていただいておりますけれども、特定重要物資に関する技術的な知見を有する団体ということでございますので、一般的な業界団体に限定する仕組みとはしておらないところでございます。
○塩川委員 安定供給確保支援法人に基金を造成するとありますけれども、この安定供給確保支援法人基金には、例えば、それぞれなんでしょうけれども、どのぐらいの基金を積み上げるということを考えているのか、その場合に、助成金の交付なども行うわけですが、その助成金の場合の例えば補助率とか助成金の額の条件とか上限とか、そういうのは定めがあるんでしょうか。
○木村政府参考人 お答え申し上げます。
 特定重要物資は今後適切に決定をしていくということになってございますので、現時点におきまして、どのような規模の基金であるとか、あるいはその基金に基づく助成の条件等については決定しておらないということでございます。
 以上でございます。
○塩川委員 政府はこの間、サプライチェーン関連の基金を造成してきました。例えば、サプライチェーン対策のための国内投資促進事業費補助金五千百六十八億円とか、先端半導体の国内生産拠点の確保六千百七十億円とか、ワクチン生産体制強化のためのバイオ医薬品製造拠点等整備事業二千二百七十三億円とか、当委員会でもそういう答弁もあったところですけれども、こういった既存のサプライチェーン関連の基金と今回の安定供給確保支援法人の基金とは、仕組み的には同じようなものというイメージでいいのかな。
○泉政府参考人 お答え申し上げます。
 仕組み的にはとおっしゃいましたけれども、法律上は、第三十四条に安定供給確保支援法人基金という規定がございまして、これが何をするかと申しますと、安定確保支援業務について、これらの業務に要する費用に充てるための基金というふうに明記されてございます。
 したがいまして、この法律に基づいて実施される安定供給確保支援業務に要する基金、要する財源について基金を設けるということでございまして、そのための基金になる、こういうことでございます。
○塩川委員 例えば、去年、5G促進法の議論の中で半導体工場についての建設の基金の造成があったわけですけれども、先端半導体の国内生産拠点の確保という基金について言えば、これはNEDOが管理をしているわけですけれども、今回のように、既存のこういった補助金、例えば先端半導体のそういった基金というのがそのままこの安定供給確保支援法人の基金にスライドをするとか、若干入り繰りがあったとしても、そういうこともこれは想定されるということなんでしょうか。
○小林国務大臣 これについては、基本的には区分経理をすることにしておりますので、5G法で造成した基金が、こちらの方の、この法律の枠組みの基金にそのままスライドするということは想定しておりません。
○塩川委員 スキームとして今後の制度設計をどうするかという話ですので、なかなか踏み込んでの話にはならないところですけれども。
 安定供給確保支援独立行政法人ですけれども、これは、そもそも何で、どのような業務を担うのかについて、まず確認させてください。
○小林国務大臣 安定供給確保支援独立行政法人ですけれども、この独法の個別法で定める目的上、実施可能な範囲で、事業者が主務大臣の認定を受けた供給確保計画に沿って特定重要物資の安定供給確保に取り組むに際しまして、必要な資金に充てる助成金の交付などの業務を行うものであります。
 具体的には、個別法で定める目的上、生産基盤の整備、そして生産技術開発などを支援できる独法といたしまして、今委員から言及がございました、いわゆるNEDOのほか、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構、いわゆるJOGMEC、また国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所、いわゆる基盤研を別表に規定しておりまして、主務大臣がこれらの独法による支援が効果的と認める場合には安定供給確保支援独立行政法人に指定をして、安定供給確保のための業務を実施してもらうこととなります。
○塩川委員 それぞれ、この三つがどのような業務を担うのかという想定というか考え方があれば、教えてください。
○泉政府参考人 お答え申し上げます。
 別表に書いてございます三つの独立行政法人でございますけれども、これにつきましては、なぜこの三つが選ばれているのかと申し上げますと、物資の生産の事業を所管する大臣がまず所管する独法であることということ、そしてその上で、この三つの独法が物資の実用化段階における研究開発の知見を有すること、そしてさらに、民間事業者による生産基盤の整備に対する支援が可能な独法であること、こういった観点から、この三つの独法を選んでおる、こういうことでございます。
○塩川委員 それを踏まえて、例えば、NEDOが半導体を担当するとか、JOGMECはレアアースとか、基盤研については医薬品とか、そういう考え方というのはあるんでしょうか。
○小林国務大臣 そういうものも想定し得るところではございますが、これは繰り返しになりますけれども、特定重要物資を決めるプロセスというのは、この法案が通った後、政令等を含めて、基本方針、基本指針を含めて、検討していくことになりますので、この場で予断を持ってお答えすることは差し控えさせていただければと思います。
○塩川委員 現状、NEDOについて、先端半導体の国内生産拠点の確保という形での基金が造成されています。区分経理ということですから、今回の法律に基づいて、別途そういった基金をつくれば、別なくくりで、別な経理でということでつくるというお話ではあるんでしょうけれども。
 5G促進法の議論のときにもありましたが、TSMCとソニーの合弁会社が造る半導体工場、建設費が九千八百億円とも報道されておりまして、二分の一の補助ですから、上限がありませんので、ですから、当初四千億円と言われていたのが、建設費が膨らむというので、五千億円の補助とかということも言われているわけです。
 こういったTSMCの事例のように、今回の法案に基づくような基金の造成というのが、天井知らずの巨額の補助ということにはならないのか。そういうことについてはどうお考えなんでしょうか。
○木村政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほども御答弁させていただきましたけれども、重要物資の指定、これからでございます。基本方針、基本指針に沿った形で、適正な、基金に基づく助成条件、これも検討してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○塩川委員 既存のこのサプライチェーン関連の基金というのが、上限がないという基金なんかもあるものですから、そういった点で、どこまで膨らむのかといった危惧というのは当然浮かぶわけであります。
 政府の判断によって指定した特定重要物資に特別な支援を行うということには特別扱いの懸念がついて回る、そういう点での癒着の懸念ということは拭えないと思うんですが、この点についてはいかがでしょうか。
○木村政府参考人 お答え申し上げます。
 安定供給確保支援法人に対するガバナンスに関する御指摘だというふうに存じます。
 この安定供給確保支援法人の行います業務は、その内容を法律で明記させていただいておりますほか、実際に業務を行うに当たりましては、業務規程を主務大臣の認可事項としてございます。そして、毎年度の事業報告書等も法律事項といたしまして事業年度終了後の報告、公表を定め、その他、区分経理規定や帳簿の保存のほか、必要な場合の主務大臣の監督命令規定や指定の取消し規定等も整備しているところでございまして、これらの規定を通じまして業務の適正かつ確実な実施を確保してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○塩川委員 実際、補助金の額が大きく膨らんで、その中身について非常に裁量的なこと、過去、事件も起こってきたところを考えても、行政側の裁量権の広がりの中で政官業の癒着をつくり出す構図への懸念があることを指摘をして、今日は終わります。
 ありがとうございました。

【新聞「新埼玉」掲載】政党助成金制度は廃止を

新聞「新埼玉」4月号より

塩川鉄也の国会から埼玉から

 3月の倫理選挙特別委員会で、自民党の河井克行元法務大臣・案里夫妻の選挙買収事件に関連し、政党助成制度の廃止を呼びかけました。

 河井事件は、自民党本部から交付された政党助成金が買収の原資との疑いがあります。

 私は、1995年の政党助成制度導入以降の交付総額と受け取った政党数を質問。総務省選挙部長が「約8540億円、45政党」と答えだのに対し、「消えていった政党が37もある」と指摘。主要政党はどこも、政党助成金の依存率が7割から8割(国民87%・維新80%・立民77%・自民72%、2020年分)。これでは「国営政党」です。

 政党助成制度を導入したとき、企業・団体献金は禁止するとしていましたが、2020年の企業・団体献金や政治資金パーティー収入が200億円にも上る実態を示し、「こうした“二重取り”は厳しい批判が寄せられても仕方がない。わが党は、参院に政党助成法廃止法案を提出した。廃止の検討を各党に呼びかけたい」と訴えました。

(衆議院議員・党国会対策委員長代理)

【内閣委員会】経済安全保障法案・参考人質疑/井原参考人が軍事研究推進の危険を指摘

 経済安全保障法案の参考人質疑を行いました。

 井原聰(東北大名誉教授)参考人は、法案の「特定重要技術」と「特許の非公開制度」に多くの問題があると陳述しました。

 井原参考人は、「特定重要技術」の研究開発のために防衛省が研究者に「伴走支援」を行えば、「防衛・軍事研究推進になりかねない」と警鐘をならしました。

 私は、競争的研究費を乱発すれば基礎研究がおろそかになると、井原参考人が指摘していることを紹介。政府の基礎研究軽視の問題と研究者の育成について質問。

 井原参考人は「科学技術の基盤を育てなければ、社会課題に応える成果は生まれない」「自発性を育むには裾野の広い多様な研究の土壌が必要だ」と述べました。

 また、井原参考人が法案の特許非公開による研究発表の差し止めなどについて、戦前の秘密特許が平和憲法になじまず廃止されたことなど問題を指摘していることについて、私が質問。

 井原参考人は「特許制度は広く文化の問題だ。公開によって周りの研究者をはげますことになる」と述べました。

 他の参考人からも、佐橋亮(東大准教授)参考人は、法案が曖昧であるため、基幹インフラの防衛で「民間企業等の負担が大きい」、サプライチェーンについても「罰則をもって営業秘密を含む情報を要求することは好ましくない」と述べました。

 さらに、佐橋参考人は「若手研究者の研究環境が悪くなっている」と述べ、鈴木一人(東大教授)参考人も「理系だけでなく、文系の研究者も非常に苦労している」と訴えました。



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経済安全保障法案に対する井原東北大学名誉教授の陳述(要旨)/衆院内閣委参考人質疑

「しんぶん赤旗」4月1日付・4面より

 衆院内閣委員会が31日に行った参考人質疑での井原聰・東北大名誉教授の経済安全保障法案に対する陳述の要旨は以下の通りです。

 法案の内容は政省令で示され、国会での議論が担保されていません。民主的側面からの工夫が必要です。

 法案は、特定重要物資の安定供給などで「有事に備える」といいます。「有事」が何か語られず、国家安全保障戦略、防衛大綱、中期防衛整備計画との関係が不明なまま議論が進むことに非常に不安です。

 米国防高等研究計画局(DARPA)に似せた組織設立の議論まで進んでいます。米国の「経済安全保障」の肝は防衛問題であり、防衛・軍事上の優位性、不可欠性をどう強化するつもりか、法案からは読み取れません。

 法案は特定重要技術の研究開発のための大掛かりな「協議会」の設置を定めていますが、なぜ必要か不明です。防衛省が「伴走支援」すれば防衛・軍事研究推進になりかねません。

 「協議会」メンバーには守秘義務と罰則を科しており、「協議会」からの離脱が自由か否かは大きな問題です。ユネスコの「科学および科学研究者に関する勧告」に照らせば、研究者は自由な離脱や意見表明の権利と責任を罰則のために放棄しなければならなくなります。

 野依良治氏は「学術研究に従事する者が、自らの内在的動機に基づき行う研究は尊重されるべきであり、これにより全体として研究の多様性が確保されるのである」と提起しました。研究の多様性こそ基盤です。国立大学協会の調査では、40歳未満の若手研究者の約60%がパートタイマーであり、常勤の若手研究者の母数を増やすことが喫緊の課題です。

 法案が位置付けるシンクタンクによる「調査研究」が、人工知能(AI)で監視するような調査ならば、研究者が国家によって監視されかねません。

 特許制度は、科学や技術の発達だけでなく、学術研究体制や産業や文化の一部です。

 法案は秘密特許制度を導入し、事前審査を行うとしています。事前審査を忌避できる環境がつくられるのか、「特定重要技術」が軍民両用の場合、その特許が保全指定され産業化できない不利益を十全に補償されるのか、支払う側の国が損失額の査定を行うことで公正が保たれるのか、大きな問題が含まれています。

 公開を原則とする特許制度に軍事機密を持ち込むことは矛盾です。

 大学発ベンチャー・ビジネスがたくさん生まれ始め、特に宇宙・海洋、量子、電磁気、サイバー、センサー分野の先端分野での活動が盛んです。秘密特許や特定重要技術としての囲い込みが、この分野の成長を鈍化させることも危惧(きぐ)します。

 多くの問題を「特定重要技術」と秘密特許の問題に見ることができる。抜本的な見直しを求めます。


「議事録」

<第208通常国会 2022年3月31日 内閣委員会 第14号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 今日は、四人の参考人の皆様に貴重な御意見を賜り、ありがとうございます。
 最初に、四人の参考人の方全員にお尋ねをしたいと思っております。
 官民技術協力の関係で、先ほど鈴木参考人もちょっと触れておられましたが、セキュリティークリアランス、適性評価制度についてお尋ねしたいと思っています。
 小林大臣は、今後の検討課題の一つと答弁をしておられます。セキュリティークリアランス、適性評価制度については、その必要性を訴える声とともに、プライバシーの侵害や学問の自由の侵害、また、労働者の不利益取扱いといった問題が生じるのではないのかといった懸念の声もあります。
 このセキュリティークリアランス、適性評価制度への評価、課題ついて、それぞれお答えいただけないでしょうか。
○佐橋参考人 ありがとうございます。
 セキュリティークリアランスは、今回の法案が残した課題の一つであるというふうに私も理解しております。
 そういった中で、このセキュリティークリアランスというものは、今後、国際競争や、機微技術の取扱いに関して国際的な共同開発などに入るときに、民間でも非常に有用になってくると思います。
 ただ、このときに考えなくてはいけないのは、国際的に通用する枠組みにするということでありまして、そのためには、かなり、背景調査を含めた綿密な制度設計というのが必要になってきます。
 私は、もし導入するのであれば、本格的な導入、国際的に通用するものが必要であって、簡易的な形で導入するということではなく、そういったしっかりとした制度設計にしていただきたいと思っております。
○村山参考人 私の方は、国際共同技術開発プロジェクトにおける重要性というのをお話ししたいと思います。
 というのは、経済安全保障で、民間がある技術をいかに安全保障だとか国の安全に使うかというのは非常に重要なんですけれども、それを国際的にもやらなきゃならないと思います。そのときに、相手がセキュリティークリアランスが要ると言った場合、今は、政府からはいけるんですけれども、民間企業はいけないんですよね。だから、民間企業がいいものを持っていて、それを生かそうと思っても、セキュリティークリアランスをクリアできていないから参加できないということがあるということですね。だから、国際的にもそれをクリアできないと、日本の民間技術が使えない。
 実は、私の場合も、そういう会議に行った場合、セキュリティークリアランスがありませんので、やはり、出てくる資料が、おまえには見せないみたいなところが結構、黒塗りした部分しか見せられないということがあるんですよね。そうなると、やはり研究にも非常に支障を来すわけですから、国際的にそういうことをやるためには、やはり国際的な標準をクリアしておく必要があるかなというふうに思います。
○鈴木参考人 もう既に佐橋参考人それから村山参考人からお話しされたことと私も同意するところが多々ありますが、一つだけ。
 今回の法案でシンクタンクの設立が議論されておりますけれども、こういったところでの情報収集、そして、例えばアメリカでいうとランドですとかエアロスペース・コーポレーションといった、こうした政府にかなり近い政策提言をするシンクタンクも、やはりセキュリティークリアランスを持つことによって政府との情報交換ですとかそういったことを行っていて、それが結果的に政策提言につながっているというようなこともありますので、その点も含めてセキュリティークリアランスの問題というのは考えていくべきではないかというふうに考えております。
○井原参考人 私は、原則反対でございます。
 人権に関わるわけですが、当人だけではなくて、その背後に連なる関係者たちにも大きな影響を与えます。
 これは、御承知のように、企業と共同研究しているときに、特許で関わるようなそういう研究をするときに、隣にいる人とも口が利けないような、そういう環境というのは幾らでも、現状でもあるんですね。面白いというのはおかしな発言ですが、ドクター論文の審査のときに、白紙になっているんですよ。そういうので、何が学問、あるいは、その分野の研究が進むんだろうかと。
 これまでも、かなり際どい議論をしながらやってきたわけですね。だから、今ここで力と力というふうな形でこれを進めようとすると、どうしてもこういう問題で規制をしなきゃいけないという形になるので、私は、そうじゃなくて、国際協調的なそういう精神で、研究の分野でも大いにそういうことができるだろう、技術開発の分野でも、少なくても、そういう機微な議論にどれだけ関わったらいいのかということにもなるだろうと思います。
 以上です。
○塩川委員 ありがとうございます。
 次に、井原参考人にお尋ねをいたします。
 井原参考人は科学史、技術史が御専門ということで、日本の、政府の科学技術政策の問題についてお尋ねしたいんですが、井原参考人は、大学や研究機関の研究者の七割が非正規の短期雇用の下に置かれており、政府の競争的研究費を申請するために目先の成果に追われる研究者が多数いることを指摘をしておられます。政府が社会実装を目指す研究費を乱発すれば、基礎研究がおろそかになり、研究基盤が掘り崩され、日本の基礎科学がしぼんでいくと述べておられます。
 基礎研究を軽視をした政府のこの間の科学技術政策の実態、問題点についてお話をお聞きしたいと思います。
○井原参考人 ありがとうございます。
 実は、第三期科学技術基本計画のフォローアップをしたときに、当時の理工系大学院の海外調査、比較研究というのをやらせてもらったことがありますが、研究の基盤的なところがどれだけ大事かということで、そんな経験を持っているものですから、これはやはり、先ほどもちらっと出ていたようですが、科学技術基盤、ここを育てないと、こういう研究やこういう課題を解決してほしいんだという、そういう社会的な課題はいっぱいあると思うんですが、はい、これやって、これやってというふうな形で、うまい成果というのは基本的には生まれないだろう、そんなふうに思っています。
 そういう意味では、科学技術基本計画の中で、基盤研究をどう豊かにしていくか、そこのところはやはりもっと明瞭に提起しないといけないだろう。特に研究者の、今、先ほども委員が出されたように、全体の三割は常勤で、七割しか。常勤の先生がいない、物すごい多忙になっているわけですね。
 だから、そういう意味で、そこのところをどうやって底上げしていくかということがやはり科学技術政策の根幹になっていないといけないだろう。それが、何しろ、課題がこんなにあって、お金はこれだけつけましたから研究をやってくださいといっても、なかなか成果が上がるものではないというふうに考えております。
 以上です。
○塩川委員 ありがとうございます。
 続けて、井原参考人にお尋ねいたします。
 研究者の人材養成、人材育成のことですけれども、井原参考人は、科学技術の発展は、時の政府や企業等のためにのみ貢献するのではなく、人類の福祉と尊厳、人権を損なうことのない行動を研究者は求められている、協議会に囲い込み、各省庁が社会実装に向けて支援伴走する方式は人材養成にはならないと述べておられます。
 この法案での官民技術協力が人材養成にならないというのはどういうことか、本来、人材養成に必要なことは何なのか、この点についてお教えください。
○井原参考人 端的に言いますと、今回話題になっている、省庁が支援伴走するというふうな形で、何しろ研究を社会的実装に持っていこうというふうにけしかけている。私から見ると、お尻をたたいて、早く研究しろというふうにしか見えなくて、研究者の自発的なアイデアが、そういうところで、やはり豊かな土壌がないと、どうしても出なくなっちゃう、実りが少ないというふうなことですね。
 ここでちょっと野依さんの例を出させていただいて、やはり富士山の、裾野が広ければ高いものが当然できてくるわけで、その裾野を、どうやって多様な裾野をつくるかということが面白い研究や先端的な研究を生み出すポイントだというふうに思っています。
 そういうわけで、ここで強調されている、何しろ、私から見ると、尻をたたいて、早く研究せいという、そういうやり方では恐らく人材は、一つの特定の課題の研究の人材はできる、でも、それで終わりになる、私に言わせると、これは消耗品になっちゃうんじゃないか、そういう思いがしております。
 以上です。
○塩川委員 ありがとうございます。
 もう一問、井原参考人にお尋ねをいたします。
 特許制度の非公開の問題で、特許制度は科学や技術の発達の欠かせない制度として定着をしてきた、戦前の秘密特許は平和憲法になじまないとして廃止されたと述べ、法案の問題点として、特許非公開に関わる研究発表の差止め、技術開発の停滞を、配付されました資料の中でも指摘をしておられます。
 このような特許制度の非公開の仕組みについての問題点について、補足して御説明いただくことがあれば、お願いをしたいと思います。
○井原参考人 ありがとうございます。
 特許制度は、私もその資料に書いたとおりに、知的財産の問題、知財の問題だけではなくて、広く文化の問題だというふうに考えているんですね。
 御承知の方もいるかもしれませんが、そこに書いてあるように、アインシュタインが冷蔵庫のある種の特許を取っていた。知っている方もおられるかもしれませんが、物すごく幅の広い研究の中から、えっ、そんな実用的なことを彼は考えていたのと。そういうものだと思うんですね。彼なんかがそんな特許を取ってどうするのかというふうに思うわけですが、でも、研究というのはそういうものですから。
 ユニークな研究や何かが生まれてくる、それをやはり特許にして本人のプライオリティーや利益をきっちり守っていく、そのことが周りの人を励ましていく、そういう関係になっているわけで、それをやはり、特許は即公開ということで、あっ、もう特許を取られちゃっている、じゃ、次のところをやらなきゃと。でも、それが隠されていると、そこのところをやる人が出てくる。これは、戦時中、そうですよね。三本か四本、並行的に同じ研究がやられていた。そういうのをつくって競争に勝てますかという思いが私はして、やはり特許は公開が原則。
 だから、よく、秘匿しなきゃいけない、僕も理解できるんですが、それはもっと違う工夫が必要だろうと。それは、企業ではそうやってずっとやられている。ノウハウをどうやって仕込むか、そういう工夫をしないで、手軽にこれでと。それは、ますますそういう分野を狭くしていっちゃうということになりますので。そういうふうに考えます。
 以上です。
○塩川委員 ありがとうございます。
 それでは、佐橋参考人にお尋ねいたします。
 お話の中で、基幹インフラの防護のことがございました。必要性とともに、経済団体の負担が大きいというお話がございました。
 どのような負担が生じ得るのか、その点についての心配といいますか、懸念というか、現場の声なども含めて御紹介いただけないでしょうか。
○佐橋参考人 ありがとうございます。
 基幹インフラに関しては、結局のところ、ここに関しては事業者が負担をしなくてはいけないわけです。もちろん、事前相談などの機会はあるわけですが。ただ、やはり一番大きい負担感というのは、じゃ、どれを使ったらいいのかというのが明示されていないということに尽きるんだというふうに思います。
 ですが、そういったことは、結局は、事前相談の運用に関わってくるというふうに思っておりまして、各省庁が窓口で受けるというふうに承知しておりますけれども、その事前相談をかなり真剣に運用していくことで負担感の軽減につながるというふうには思います。
○塩川委員 時間が参りました。ありがとうございました。

【内閣委員会】経済安全保障法案/研究開発の情報保全に罰則導入を批判

 経済安全保障法案の「官民技術協力」についてただしました。

 私は、経済安全保障法案が「指定基金」として想定している「経済安全保障重要技術育成プログラム」(2021年補正予算で計上)において、成果の「公的利用」には軍事技術が含まれるのかと質問。

 小林鷹之担当大臣は「将来的に防衛省の判断で活用されることはあり得る」と答弁しました。

 その上で、これまで研究開発において、秘密保護法を除いて、機密情報の保全措置を求める法的枠組みはなく、罰則による担保がなかったことを確認。今回、踏み込んだ情報保全策について、罰則までもうけるやり方では、研究活動に大きな制約を持ち込むことになると批判しました。

 また、小林担当大臣が情報保全策に更なる策の追加を検討していることに関して、適正評価制度(政府保有の秘密情報の使用者に情報を扱う適性があるか判断)についても追及。

 小林担当大臣が「個人の情報に対する調査を含む」と答弁していることについて、私が、個人情報に対する調査とはどういうものか、とただすと、小林担当大臣は「秘密保護法を踏まえる」と明言しました。


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「議事録」

<第208通常国会 2022年3月30日 内閣委員会 第13号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 経済安全保障推進法案について質問いたします。
 今日は、官民技術協力の関連でお尋ねをいたします。
 最初に、大臣、デュアルユース技術というのはそもそも何なのか、この点について御説明をお願いいたします。
○小林国務大臣 お答え申し上げます。
 委員御質問のデュアルユース技術についてでございますけれども、必ずしも確固たる定義があるわけではございませんが、一般的には、民生にも軍事にも用いることが可能な技術を指すものと承知をしております。
 例えば、国際的な輸出管理の枠組み、ワッセナー・アレンジメントですけれども、このワッセナーのアレンジメントにおきましては、例えば、工作機械、半導体、コンピューター、こうした貨物ですとか、その関連技術がデュアルユースに含まれておりまして、一般的に幅広い概念であると理解しています。
 また、例えば、電車に乗る際のICカード、あるいは携帯電話に用いられる暗号技術につきましてもデュアルユースとして輸出管理の対象とされているなど、幅広い概念であるものと理解をしております。
○塩川委員 デュアルユース技術は、民生にも軍事にも用いられる技術。この点、昨年六月閣議決定の成長戦略実行計画におきまして、経済安全保障の推進の冒頭に、「経済成長と安全保障の両面から大きな可能性を有する、半導体、AI、量子、5G等のデュアルユース技術(軍事転用可能な民生技術)への関心が高まっている。」とあります。デュアルユース技術というのが、軍事転用可能な民生技術ということであります。
 補正予算で計上されました経済安全保障重要技術育成プログラムですけれども、これは、国のニーズを実現する研究プロジェクトを実施するとしております。説明では、「研究成果は民生利用のみならず、成果の活用が見込まれる関係府省において公的利用につなげていくことを指向。」とありますけれども、この公的利用には軍事技術が含まれるということでよろしいでしょうか。
○小林国務大臣 お答え申し上げます。
 経済安全保障重要技術育成プログラムですけれども、これは、経済安全保障の確保そして強化の観点から、委員今言及いただいたAI、量子、あるいは宇宙、海洋といった技術分野に関しまして、民生利用や公的利用への幅広い活用を目指して、先端的な重要技術の研究開発を進めるものでございます。
 また、このプログラムの開発対象となる先端的な重要技術は多義性を有しておりまして、その成果としては、具体的製品の開発、試作に至る前までの段階の様々な分野、用途への活用可能性を有する技術の創出を目標としているところでございます。
 したがいまして、防衛装備品を始めとする具体的製品の開発や、個別の政府インフラや防衛装備品などの特定のニーズのみを念頭に置いた研究開発を推進するものではございませんが、将来的に、例えば、得られた成果が、民間における用途のみならず、防衛省自らの判断によって活用されることはあり得ると考えております。
○塩川委員 防衛省の判断によって活用されることはあり得る。その点で、やはり、こういった研究プログラムにおいて、科学技術の軍事利用の側面が出てくるということであります。
 そこで、協議会についてお尋ねをいたします。
 経済安全保障重要技術育成プログラムについては、協議会の設置が必須となっております。また、ムーンショットなど国の資金により行われる特定重要技術の研究開発のプロジェクトについて、その資金を交付する関係府省の大臣が、研究開発の内容や進捗状況を踏まえ、研究開発に有用か、これまで提供できなかった機微な情報の共有等が適当と認められる場合に、特定重要技術開発基本指針に基づき協議会が設置をされる、こういう仕組みだということでよろしいでしょうか。
○小林国務大臣 その理解で正しいと思います。
○塩川委員 協議会では機微な情報の共有が行われるということになります。
 経済安全保障法制に関する有識者会議では、先端技術の実装を進める意味では、警察、海保、防衛といった政府部門の具体的なニーズを研究者と結びつけていくことが非常に重要との議論がありました。
 官民協議会は、防衛、軍事など政府側のニーズを研究者と結びつける場にもなるということでしょうか。
○小林国務大臣 官民協議会は、これまでも申し上げますとおり、政府からの、ある意味、一定の、協議会の構成員の方々の同意を得た上でですけれども、守秘義務がかかるということになっておりますので、そうした枠組みの中で、国のニーズというものを、しかるべき進捗状況などに応じて共有をしていくことになると想定しています。
○塩川委員 有識者会議にある、警察、海保、防衛といった国のニーズを研究者と結びつける場にもなるということであります。そういう意味では、科学技術の軍事利用の観点で、研究者を組み込む仕組みにもつながっていく。
 そこで、官民で情報の交換などを行う協議会では、その構成員に安全管理措置を設けるとともに、国家公務員並びの守秘義務を課して、罰則による担保を行うなどの技術流出対策の措置を講じるといいます。
 大臣、答弁でもおっしゃっておられたんですが、確認ですけれども、従来の研究開発では、秘密保護法を除き、政府が提供する機密性の高い情報に対して保全措置を求める法的枠組みはなく、守秘義務契約を締結する場合でも、罰則による担保はなかったということでよろしいでしょうか。
○小林国務大臣 委員の御理解でよろしいかと思います。
○塩川委員 そうしますと、罰則まで設けるやり方で、研究活動に大きな制約を持ち込むことになるんじゃないのか、こういう懸念が出てくるわけですが、その点はいかがでしょうか。
○木村政府参考人 お答え申し上げます。
 今回は、協議会に参加される構成員の方には、守秘義務を前提として、政府の持っております機微な情報を共有させていただくということでございますけれども、この罰則につきましては、主な情報提供者となることが想定されております政府職員とのバランス、これを確保するということとともに、企業や研究者の方が萎縮して本法案の協議会の枠組みへの参加をちゅうちょすることのないようにという両方の観点を踏まえまして、国家公務員と同等の罰則を伴う守秘義務を課させていただく、このような枠組みにさせていただいているところでございます。
 以上でございます。
○塩川委員 ですから、こういった罰則まで設けるやり方では、研究活動に大きな制約を持ち込むことになりはしないか、こういう懸念についてどうお答えされるのか。
○小林国務大臣 それは、何か協議会に自分の意思に反して入らなければいけないというものではなくて、あくまで、研究者代表の同意を前提に協議会というものが設けられます。
 今回、守秘義務を設けることによって、今答弁にもありましたけれども、機微な情報、それは、国のニーズだけではなくて、サイバーのインシデント情報、あるいは、これまで国がやってきた研究開発の成果、様々なそういう情報をしっかりと円滑に安心して共有できることによって、先端技術の官民の協力した形での育成というものが逆に進んでいくというメリットがあるというふうに考えまして、今回、こういう枠組みを設けた次第であります。
○塩川委員 今、基礎研究の予算がどんどん減らされる中で、こういった特定の目的に沿った、国のニーズに基づく、同意を前提にしてといいますけれども、そういったプログラムの予算が拡充をしていく。こういう点での研究活動への不自由さの懸念、公開でこそ学問研究は発展する、このことを申し上げておきます。
 次に、セキュリティークリアランス、適性評価制度の問題であります。
 小林大臣は、セキュリティークリアランスについて、今後の検討課題と答弁をされています。このセキュリティークリアランス、適性評価制度とはどのようなものか、御説明ください。
○小林国務大臣 委員の質問にお答え申し上げます。
 その前に、今委員がその前の質問で、研究開発の成果は公開をというふうなお話がありましたが、我々としても、この枠組みの中で、成果については公開を基本とするというふうに考えておりますので、その点は御理解いただければと思います。
 その上で、セキュリティークリアランスですけれども、いわゆるセキュリティークリアランスにつきましては、主要国を中心に、諸外国では、機微技術に関するものを含め、主として政府が保有する秘密情報の保全等の観点から、秘密情報へのアクセス資格を有することを決定する制度として導入されているものと承知をしております。
 我が国におきましては、特定秘密の保護に関する法律に基づいて、政府が保有する特定秘密の取扱いが見込まれる者に対しまして、第五章に適性評価とあるんですけれども、適性評価として、その者が特定秘密の取扱いの業務を行った場合にこれを漏らすおそれがないことについての評価が実施されていると承知をしております。
○塩川委員 今お答えいただきましたように、セキュリティークリアランス、適性評価制度は、政府が保有する機微情報、秘密情報を取り扱わせようとする者について、秘密情報を取り扱う適性を有するかを判断する制度であります。秘密保護法においては、特定秘密を漏えいするおそれがないと認められた者のみに特定秘密の取扱いの業務を行わせる適性評価制度が導入をされています。
 そこで、今回の経済安全保障の推進法案に係り、経済安全保障の取組として、政府は、このセキュリティークリアランスについてはどのような検討を行ってきたんでしょうか。
○小林国務大臣 お答え申し上げます。
 いわゆるセキュリティークリアランス制度につきましては、各国との共同研究などを民間部門も含めて進めていく上で、我が国でもクリアランスを取得できないかといった声があることは承知をしております。実際、この委員会の審議の場でも幾つかの党からそういう声もいただきました。
 他方、クリアランス制度につきましては、個人の情報に対する調査を含むものであって、こうした制度に対する国民の理解の醸成の度合い、そして海外においてクリアランスの取得を要請される具体的事例の検証などをまずは踏まえた上で、今後の検討課題の一つになり得るものと認識をしております。
 まず、今回のこの法案の中におきましても、技術流出対策の防止という観点からは、先ほど議論になっていたこの協議会の枠組みというものを設けさせていただいておりますけれども、お尋ねのセキュリティークリアランスにつきましては、これまでも海外の制度の状況について調査を行ってきたほか、現在、海外においてクリアランスの取得を要請される具体的事例の把握を行っているところでございます。
○塩川委員 海外の調査を行ってきたという点でのお話だったんですけれども、経済安全保障法制に関する有識者会議においては、このセキュリティークリアランスについてはどのような議論が行われたんでしょうか。
○小林国務大臣 お答え申し上げます。
 経済安保法制に向けた有識者会議、これは、十六回に及ぶ議論の中で、セキュリティークリアランスについて一部言及があったのは事実でございます。
 具体的には、特許非公開に関する分野別の検討会合におきまして、非公開とされた特許出願を取り扱う職員として、クリアランスを受けた者が関与するのが重要ではないかとの意見がございましたが、その後、この法制にクリアランスを含むべきとの議論にはならず、この有識者会議の提言にも含まれなかったことから、今回の法案には反映されていないところであります。
○塩川委員 このセキュリティークリアランスの政府における検討の状況ですけれども、有識者会議では盛り込むべきという議論にはならなかったという話ですけれども、経産省にお尋ねします。
 二〇一九年の経産省産構審通商・貿易分科会安全保障貿易管理小委員会の中間報告ですけれども、我が国の情報保全に係る制度としては、特定秘密保護法に基づく特定秘密やMDA秘密保護法に基づくMDA秘密があるが、これらに該当しない機微技術に係る情報については制度が不十分であるとして、機微技術に関する国際共同研究開発に我が国企業が参加できないという指摘もあり、産業保全に関する今後の対応について検討すべきとしております。
 この中で、セキュリティークリアランスについてはどのように記載をされておりますか。
○風木政府参考人 お答えいたします。
 御指摘の二〇一九年の中間報告でございますが、安全保障貿易管理小委員会における同年の有識者の御議論を取りまとめたものです。
 この中では、技術流出防止策だけで技術優位性を確保することには限界があり、機微技術情報を把握する取組や、技術優位性を伸ばし脆弱性を解消する取組も必要とされているところであります。
 その上で、日本が機微技術に関する国際共同研究開発のパートナーとして受け入れてもらえるよう諸外国との情報保全対策の同等性確保が必要とされており、セキュリティークリアランスを含む産業保全について、今後の対応について検討すべきと記載されているところです。
○塩川委員 セキュリティークリアランスを含む産業保全についての検討を行うという話です。
 機微情報の情報保全のため、セキュリティークリアランスを含む産業保全の対策を検討することを求めたといった中間報告でしたが、経産省としては、その後どのように対応されたんでしょうか。
○風木政府参考人 経済産業省においては、この報告書を出した後に、私どもが承知しているのは、二〇二〇年の統合イノベーション戦略の中に、一部、諸外国との連携が可能な形での重要な技術情報を取り扱う者への資格付与の在り方を検討すべき、こういう記載がされたと承知しております。
○塩川委員 統合イノベーション戦略二〇二〇で、「諸外国との連携が可能な形での重要な技術情報を取り扱う者への資格付与の在り方を検討。」とあります。
 この統合イノベーション戦略二〇二〇を踏まえて、政府としてはどのような検討を行ってきたんでしょうか。
○小林国務大臣 先ほどお答え申し上げましたけれども、このいわゆるセキュリティークリアランスにつきましては、海外の制度の状況について調査を行ってきたほか、現在、海外においてクリアランスの取得を要請される具体的事例の把握を行っているところであります。
○塩川委員 元々、政府での検討と同時に自民党としての検討をしてきているというのを承知をしております。二〇二一年五月の自民党新国際秩序創造戦略本部の骨太に向けた提言でも、セキュリティークリアランス制度を提案をしております。政府・与党内でセキュリティークリアランスの検討が積み重ねられてきたわけであります。
 そこで、大臣にお尋ねしますが、小林大臣は、セキュリティークリアランスとは個人の情報に対する調査を含むものと先ほども答弁をされました。個人情報に対する調査というのはどのようなものでしょうか。
○小林国務大臣 お答え申し上げます。
 私がいわゆるセキュリティークリアランスにつきまして個人の情報に対する調査を含むものと申し上げたのは、諸外国の例や我が国の特定秘密保護法に基づく適性評価制度を踏まえて、これら諸制度の調査が個人の情報に対するものを含むことから、あくまでも一般論として申し上げたものでございます。
 これまでも答弁申し上げておりますが、海外においてクリアランスの取得を要請される具体的事例の検証などをまずは踏まえる必要があると考えておりまして、現時点で、どのような調査を行うかといった具体的な検討には至っておりません。
○塩川委員 諸外国や特定秘密保護法の適性評価制度を踏まえての検討ということで、個人の情報に対する調査というのが、諸外国や特定秘密保護法の適性評価制度を踏まえたものというお話でした。
 そうしますと、秘密保護法の適性評価制度に準じてこの機微技術に関するセキュリティークリアランスを検討しているということでよろしいでしょうかね。
○小林国務大臣 今申し上げましたけれども、現時点で、どのような調査を行うかといったことも含めて、具体的な検討には至っていないということを申し上げたいと思います。
○塩川委員 秘密保護法の適性評価制度を踏まえたものということが前提といいますか、念頭に置いてということでよろしいですかね。
○木村政府参考人 お答え申し上げます。
 重ねて大臣から御答弁申し上げておりますけれども、セキュリティークリアランスについては、これまで海外の制度の状況について調査を行ってきましたほか、海外においてクリアランスの取得を要請される具体的な事例の把握を行っているところでございますので、その具体的な制度の在り方についてはいまだ検討はしておらないということでございます。
 以上でございます。
○塩川委員 内閣情報調査室のトップの内閣情報官を務め、また国家安全保障局長だった北村滋氏の著作に「情報と国家」というのがありますけれども、その中で、秘密保護法はあくまで国家内部に存する秘密の保全に主眼が置かれている、民間企業において生成された機微情報を保護する仕組みにはなっていない、今後民間事業者を対象とした機密取扱いの資格制度の導入が急がれることとなろうと書かれておりますが、このことは御承知でしょうか。
○小林国務大臣 このことというのは、済みません、どのことをおっしゃっているのか、明確におっしゃっていただければと思います。
○塩川委員 北村滋氏の「情報と国家」の中の記載において、秘密保護法はあくまで国家内部に存する秘密の保全に主眼が置かれている、民間企業において生成された機微情報を保護する仕組みには現行なっていない、今後民間事業者を対象とした機密取扱いの資格制度の導入が急がれることとなろうと書かれていることについては、承知はしておられるか。
○小林国務大臣 私自身も北村氏のその著書については拝読しておりますので、承知をしております。
○塩川委員 この方向で、いわば、秘密保護法の適性評価制度にとどまらず、民間事業者を対象とした適性評価制度の検討を行っていくというお立場ということで。確認です。
○小林国務大臣 先ほどから申し上げているとおり、海外においてクリアランスの取得を要請される具体的事例の検証などをまずは踏まえる必要があると思っておりまして、現時点で、どのような調査を行うかといったことを含めまして、具体的な検討には全く至っておりません。
○塩川委員 秘密保護法の適性評価制度を踏まえてというお話がありました。
 そこで、秘密保護法の適性評価制度における調査事項というのはどういうものなのかを説明してください。
○小林国務大臣 お答え申し上げます。
 適性評価のために調査する事項は、特定秘密保護法第十二条第二項に規定されております。全て明確に申し上げますけれども、まず、特定有害活動及びテロリズムとの関係に関する事項、二つ目として犯罪及び懲戒の経歴に関する事項、三つ目として情報の取扱いに係る非違の経歴に関する事項、四つ目として薬物の乱用及び影響に関する事項、五つ目として精神疾患に関する事項、六つ目として飲酒についての節度に関する事項、七つ目として信用状態その他の経済的な状況に関する事項、これらについて調査を行い、当該調査の結果に基づき、その者が特定秘密の取扱いの業務を行った場合にこれを漏らすおそれがないことについての評価を実施するものでございます。
○塩川委員 秘密保護法の適性評価制度における調査事項には、犯罪及び懲戒の経歴や薬物の乱用、影響に関する事項、飲酒についての節度に関する事項、精神疾患に関する事項、信用状態その他の経済的な状況に関する事項という点でいえば、非常にセンシティブな情報というのが含まれているわけであります。
 大臣は、クリアランス制度に対して、国民の理解の醸成の度合いなどを踏まえた上で、今後の検討課題の一つと述べておりますが、こういった非常にセンシティブな個人情報を調査事項とするということについて、やはり国民の懸念の声があるということはお考えでしょうか。
○小林国務大臣 正確に申し上げますと、今後の検討の課題になり得ると申し上げているところであります。
○塩川委員 実際に検討していく際に、こういった個人情報についての懸念の声が国民にあるということについては、念頭に置かれておられるでしょうか。
○小林国務大臣 例えばセキュリティークリアランスによる個人情報保護に関する懸念についてどう考えるかという形でお答えをさせていただきますと、諸外国の例を見ますと、いわゆるセキュリティークリアランス制度には個人の情報に対する詳細な調査が含まれておりまして、こうした制度に対する国民の理解の醸成の度合いを十分に検証する必要があると私は考えております。
 諸外国の例や特定秘密保護法の適性評価の調査項目を例とすれば、機微な情報にアクセスするポストへの異動や国際共同研究などを行うに先立ちまして、通常は上司などに報告義務のない犯歴、薬物やアルコールの依存症歴、また精神疾患、信用状態その他の経済的状況などのセンシティブな個人情報を報告させて調査することとなっておりまして、本人の同意を得るとはいえ、そうした調査に応じることとなることへの理解ですとか、あるいは、その評価対象者のみならず、関わりが深い家族や同居人についても特定有害活動やテロリズムとの関係について調査することへの理解、調査の結果、クリアランスが与えられなかった者が企業や研究機関内に生まれることへの理解などが社会一般に醸成される度合いというものを検証していく必要があるものと考えております。
○塩川委員 そういう点でも、家族や同居人への調査なども含めて行われるという点でも、このセキュリティークリアランスが、プライバシー侵害の重大な危惧が生じる、こういうことは拭えないということを申し上げておきますし、本人が不同意の場合ですとか、クリアランスが否定や撤回された場合の不利益取扱いの問題というのも当然あると思うんですね。そういったことなども視野に入っておられるのか。
○小林国務大臣 お答え申し上げます。
 特定秘密の指定及びその解除並びに適性評価の実施に関しまして統一的な運用を図るための基準におきまして、適性評価は、特定秘密の取扱いの業務を行った際に特定秘密を漏らすおそれがないことについての評価であり、人事評価又はその他の能力の実証を行うものではなく、人事評価のために適性評価の結果を利用等してはならないこととされております。特定秘密の保護以外の目的で利用されることは禁じられております。
 なお、適性評価の実施に同意しなかった者や、適性評価の結果、特定秘密を漏らすおそれがないと認められなかった者は、特定秘密を取り扱わない部署に配置換えされたり、特定秘密を取り扱う部署には配置されなかったりすることにはなりますが、これは特定秘密の保護のための措置であって、不利益な取扱いには当たらないと認識をしております。
○塩川委員 そこは異見のあるところだと思います。
 時間ですので終わりますが、セキュリティークリアランスは、今言った労働者の不利益取扱いなどの問題、プライバシーの侵害や学問研究の自由の侵害の問題が生じる。そういった秘密保護法、そもそもその前提となっている秘密保護法が、秘密の範囲は政府が決めて、国民には何が秘密かも秘密だ。国民の知る権利や報道の自由を奪う。今回の経済安全保障推進法案の官民技術協力は、経済安全保障推進法案において秘密保護法制を拡大することにつながる、そういう問題があるということを指摘をして、質問を終わります。

福島・宮城県沖地震災害対策本部会議

 福島・宮城県沖地震災害対策本部会議。

 被災地は、東日本大震災・東電原発事故以降、災害が連続しており、復旧・復興のための特別の対策が必要です。

 災害救助法に基づく住宅応急修理の柔軟な活用や被災事業者支援のグループ補助金適用、交通機関の復旧など急務です。

 これらの対策を政府に申し入れを行う予定です。