【内閣委員会】子どもの権利を保障する政治への転換を/子ども関連法案

 政府提出のこども家庭庁設置2法案と与党提出のこども基本法案の採決が行われ、両案は自民、公明両党などの賛成多数で可決されました。

 日本共産党とれいわ新選組は、両案に反対しました。

採決への討論は、以下の通り


 私は、日本共産党を代表して、子ども関連法案の討論を行います。

 国連子どもの権利条約を批准してから約30年。貧困、虐待、いじめ、不登校、自殺など、子どもの権利侵害は深刻です。

 このような中、子どもたち自らが意見表明権の重要性を述べ、子どもの権利擁護などの支援を行う方々の運動が広がっています。今回の法制定がこの期待に沿うものでなければなりません。

 今、必要なのは、子どもを権利の主体として明確に位置付け、憲法の基本的人権と、権利条約の4原則を保障する政治への転換です。その具体化のために、子どもが自由に意見を表明し、反映される権利を保障する仕組みとして、独立した立場で政府を監視・評価すると共に、子どもの意見表明を代弁し、個別の事案の相談・救済に対応する子どもコミッショナーは必要不可欠です。また、子どもを支える活動をしている方々の一番の願いである予算と人の確保が求められています。

 しかし、政府には、国の政策によって、子どもの権利を侵害してきたことへの反省がありません。だから、こども家庭庁設置2法案は、「子どもの権利条約」の文言すらなく、子どもコミッショナーもなく、予算と人の担保もありません。

 根本問題に手を付けず、理念も目的もなく組織をいじるだけでは、子どもの権利侵害を解決することにはつながらず、反対です。

 また、「閣法と相まって、子どもに関する取り組みの共通基盤」として提出された与党案についてです。基本理念に条約の4原則を盛り込んだとしていますが、不十分なだけでなく以下の問題があります。

 「養育は家庭が基本」との文言はこれまでの法令にはない規定で、家庭の責任を強調するものです。児童扶養手当や生活保護の改悪など子育て支援の後退を合理化する理由として家庭の養育責任が強調されてきました。この規定は、子どもと保護者にさらなる自助努力を強いるものです。そして、虐待や貧困、ヤングケアラーなど、家庭の中で苦しむ子どもたちが少なくない中で、苦しむ子どもや保護者をさらに追い詰め、一層孤立させることになり、看過できません。

 「教育基本法の精神にのっとり、教育を」とあえて書き込み、教育内容に権利条約の4原則が及ばない建付けにしています。過度な競争・管理教育、いじめ、不登校、理不尽な校則など、教育における深刻な子どもの権利侵害を脇に置くことは容認できません。

 さらに、与党案に盛り込まれた子どものデータ連携を推進する規定は、政府が、個人情報を民間企業の儲けの種として利活用する政策を推進している下で、子どもの個人情報集積を進め、プライバシー権の侵害やスコアリングなどによる権利侵害が生じる恐れを高めるものです。

 以上の理由により、与党案には反対です。

 また、維新提出の子ども育成基本法案には、閣法と同様の理由で反対です。立憲提出の子ども総合基本法案は、子どもコミッショナーを盛り込むと共に、子ども施策の予算の目標を明記しており、賛成とします。

 以上、申し述べ討論を終わります。


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【内閣委員会】子ども関連法案/子どもの権利擁護機関の設置と予算と人の抜本的拡充こそ

 こども関連法案について政府の姿勢をただしました。

 私は、政府が進める子どもデータベースについて、国は一元管理しないというが、自治体には情報を一元的に管理する仕組みを作るのかと質問。

 デジタル庁は、自治体が行う実証事業の計画の中には「一元管理という文言がある」と認めました。

 私は、さらに、自治体の情報管理システムの制度設計に国が関与するのかとただすとデジタル庁は「他の自治体へ横展開できるよう課題を整理する」と述べ、国が関与することを認めました。

 私は、行政機関が保有する個人情報は、公権力を行使して取得されたり、申請・届け出に伴い義務として提出されたりしたもので、目的外利用は禁止されていると強調。市民は個人情報の一元管理を拒否できるのか。どのような情報を収集、分析、対応策を行ったのか、本人が要求すれば開示するのかと質問。

 デジタル庁は、拒否や開示ができるとは答えず、歯止めも示しませんでした。

 私は、子どもの個人情報が「デジタルタトゥー」と言われるように刺青のように刻み込まれ、ラベリングされることを危惧する指摘もある。個人情報が本人の不利益になる利用がされないという保証があるのかが問われていると批判しました。

 私が、貧困、虐待、いじめ、不登校、自殺など子どもが置かれた深刻な実態について認識を質すと。

 岸田文雄首相は、「深刻に受け止めている」と答弁。子どもの貧困率が悪化していることや、OECD諸国との比較で子ども関連の支出が少ないことを認めました。

 私は、自民党政治が引き起こした問題が浮き彫りになったと指摘。こども家庭庁の設置は子どもの権利委員会の勧告を踏まえた措置かとただすと。

 岸田首相は「主体的に判断した」と述べるだけでした。

 私は、子どもの権利条約に基づいた施策を進める姿勢がないと批判。子どもの権利を擁護する子どもコミッショナーの設置と、予算と人の抜本的拡充こそ必要だと訴えました。

  岸田首相との質疑

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「議事録」

<第208通常国会 2022年5月13日 内閣委員会 第25号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 今日は、子供のデータ連携、子供データベースについてお尋ねをいたします。
 デジタル庁にお聞きしますが、国が一元的に子供の情報を管理するデータベースを構築することは考えていないと述べておりますけれども、自治体が一元的に情報管理をする、そういう仕組みをつくるということはあるんでしょうか。
○内山政府参考人 お答えいたします。
 今、子供に関する情報データ連携によりまして、困難を抱える子供たちを早期に発見してニーズに応じたプッシュ型の支援につなげること、これが重要と考えておりまして、関係府省とともに、デジタル庁では、副大臣プロジェクトチームで検討しております。
 これに関しまして、デジタル庁では、関係省庁と連携をしまして、七自治体において実証事業を行うこととしております。個人情報に配慮の上、地方公共団体で、教育、保育、福祉、医療等の子供に関するデータを分野を超えて連携することで、真に支援が必要な子供や家庭における個別のニーズに応じたプッシュ型の支援を実施する際の課題等を検証したいと考えてございます。
 この実証事業におきまして、七自治体が参加しているわけでございますけれども、プッシュ型の支援につなげる目的の範囲内で、それぞれの自治体において、分散している情報を集約した上で分析するところもあるというふうに承知をしているところでございます。
○塩川委員 分散している情報を集約するところもあるということですが、今例にも挙げております実証事業の自治体の取組について、デジタル庁が出している自治体の実証事業計画概要を見ますと、東京都の昭島市や愛知県のあいち小児保健医療センターの計画概要に子供データの一元管理とあるのは、そのとおりですね。
○内山政府参考人 お答えいたします。
 今御指摘のありましたように、今出していただいている提案段階の計画には、一元的にという文言が、昭島市や愛知県の計画に書かれていることは御指摘のとおりでございます。
 ただ、これはまさに、これから事業の取組を進めていく上で、それぞれの自治体において、個人情報にも配慮しながらどのように扱っていくかというのは、これからそれぞれの自治体で検討を進めていただくものというふうに考えてございます。
○塩川委員 自治体レベルにおいては、子供データの一元管理、こういう方向で進めるということになっております。
 その場合、自治体の情報管理システムのこのような制度設計に国も関わっていくということでよろしいでしょうか。
○内山政府参考人 デジタル庁では、地方公共団体におきます住民記録あるいは介護保険といった基幹業務システムについて、国が定める標準仕様書に準拠したシステムに移行する統一、標準化の取組を進めているところでございます。
 こうした取組を踏まえながら、先ほどの子供に関する各種データの連携による実証事業につきましては、システムの制度設計等につきましては、当然、自治体が提案した事業計画に基づいて取り組むものとしてございます。ただし、今後、他の自治体へも横展開できますように、国といたしましても、本実証事業を通じまして、データ項目の標準化、データの相互運用性の確保、転居等における情報連携等の課題に関して、参加自治体とともによく整理をしてまいりたいというふうに考えています。
○塩川委員 横展開できるようにということで、自治体の子供データの一元管理に国も関与をしていくということになります。
 この子供データベースなどで扱われる行政機関の個人情報は、それぞれの行政目的に基づき収集、保有しているものです。目的外利用は原則禁止です。それは、公権力を行使をして取得をしたり、申請、届出に伴い義務として提供する、そういう意味でも非常に慎重に扱わなければならない、そういう情報だということであります。任意で出しているわけじゃない。
 そういう点でも、副大臣会議でも、住民税の所得データを直接使用することは地方税法で原則禁止とされている、また、学習成績はセンシティブな情報だ、個人の資質や能力に関わるので学校外への共有については相当な抵抗感がある、こういう意見も出されているところであります。
 このような子供データの連携に関して、個人情報の保護に配慮と言っておりますけれども、何を行うのか、本人同意というのは取るのか、市民は行政による個人情報の一元管理を拒否できるんでしょうか。
○内山政府参考人 今、実証事業、まさに取り組んでいるところでございます。
 実証に参加する自治体が安全に安心してこの実証事業に取り組めるということが大事だと思っていまして、そういう意味では、連携するデータ項目、それとか、連携する目的は何か、あるいはデータを連携する部署、どの部署からデータを出してどの部署で受け取るのかといったようなこと、そして、データ連携に関する責任を負う部署はどこか、あるいは、個別の支援を最終的には目的としているわけでございますけれども、データを分析する過程では仮名、匿名加工ということも考えられないかといったようなこと、こうしたような個人情報保護に配慮する観点から、必要なことについて、実証に参加する自治体とともに、参加自治体に共通するようなことがないか、今後、早急に整理をしていきたいというふうに考えてございます。
○塩川委員 ビッグデータでの仮名化、匿名化の話は別途あるんですけれども、個人の、子供のデータが一元的に管理をされる、そういう際にこういったことについて拒否できるのかといったことについてのお答えはありませんでした。
 また、お尋ねしますが、どのような情報を収集しているか、収集した情報でどのような分析、対応策を行っているのか、こういったことについて、本人の要求があれば開示をする、こういう仕組みというのを考えるんでしょうか。
○内山政府参考人 それぞれの自治体のデータの扱い方につきましては、今実証に参加している自治体につきましても、それぞれ自治体の持たれている個人情報保護の審議会への諮問、あるいは個人情報保護条例の改正などの対応もされながら対応しているというふうに承知をしています。
 そうした意味で、先ほど、様々なデータを例えば一時的に分析のために収集をするということはあり得るというお答えをしましたけれども、それについて、それを一元管理というのかというのもございますし、そうした先生御懸念のようないろいろな御心配についても、これから実証事業の中でよく整理をさせていただきたいというふうに思ってございます。
○塩川委員 具体的な歯止めについての方向性も示されていないということであります。
 教育のデータ、子供データベースが、デジタルタトゥーと言われるように、非常に、入れ墨、刻み込まれてしまう、嫌なラベリングとなるような可能性、危惧という声というのもあるわけです。
 個人情報が本人の不利益になるような利用がされないという保証があるのかということが問われています。本人が望まない個人情報がどういう扱いになるのか明らかにされていない、そういう中で進んでいるということに強い危惧を覚えるものであります。個人情報で求められているのは、個人情報の利活用に突き進むことじゃなくて、自己情報コントロール権を始めとしたプライバシー権の拡充こそ必要であります。
 大臣にお尋ねいたします。
 困難を抱える子供たちのために求められているのは、子供施策の予算の抜本的拡充と人員体制の強化であります。基本方針にあるデジタル基盤を整備して行うプッシュ型の支援というのは、子供施策の現場の専門職員を増やさず、逆に人減らしのツールにならないのかという懸念も覚えるわけですが、この点、いかがお考えでしょうか。
○野田国務大臣 お答えいたします。
 昨年末に閣議決定した基本方針において、待ちの支援から、必要な子供や家庭に支援が確実に届くようプッシュ型支援、アウトリーチ型支援に転換すること、子供に関する教育、福祉等のデータ連携を進め、支援に活用することを掲げています。
 今、支援が必要な子供や家族ほど、SOSを発すること自体が困難であったり、相談支援の情報を知らないなどの課題があるわけです。施設型、来訪型の支援に来ることを待っていては、支援が必要な子供や家族にアプローチすることは難しいと私は考えています。
 そのため、地方自治体において、関係部局に分散管理されていることが多い子供に関する教育、福祉等のデータを連携させて、支援が必要な子供を発見し、プッシュ型の支援、アウトリーチ型の支援につないでいくことが必要であると考えています。その際、教育や福祉等のデータは国民究極のプライバシーであり、個人情報保護法令との整合性に加えて、国民の意識に沿った検討が必要だと考えています。
 こども家庭庁において、現在デジタル庁で実施している調査研究や実証事業の成果も踏まえつつ、個人情報の扱いやガイドライン等の策定も含めて、国民の理解を得ながら、データ連携の在り方についてしっかり検討を進めてまいります。
○塩川委員 お答えはありませんでした。
 やはり、教職員やスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、児童相談所職員など、子供に関わる専門職員を本当に増やすべきだ。この間、文科省がやっているようなSCやSSWについては目標を達成できなかったという経緯もあります。そういった点でも、自治体への財政支援もしっかり行うことを含めて本格的に前進をさせる、こういった取組こそ行うべきだ。それにふさわしい国の財政措置を求めて、質問を終わります。


<第208通常国会 2022年5月13日 内閣委員会 第25号>(岸田首相との質疑)

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 こども家庭庁設置法案について、岸田総理にお尋ねをいたします。
 今、子供の貧困は約七人に一人、一人親世帯の半分が貧困状態であります。二〇二〇年度では、虐待の相談件数は二十万件、不登校も二十万件、いじめの認知件数は五十一万件に上り、いずれも大幅に増加をしています。十代の死因で自殺が最多を占めるのは、G7で日本だけ。
 総理、子供の置かれている現状が深刻だという認識をお持ちですか。
○岸田内閣総理大臣 昨日ですが、現場の第一線で、子育てを含め、社会の様々な方々の支援を行っている民生委員、児童委員の皆様方と車座対話というのを行わせていただきました。その中で、今、新型コロナ禍の中、子育て世帯が孤立をしている、また、児童虐待、いじめ、さらには子供の貧困など、子供をめぐる課題が一段と複雑化している、そして多様化している、こうした様々な具体的な例を挙げて、指摘を受けてきました。
 こうした状況を考えますときに、人は国の礎でありますので、様々な深刻な状況、これはあってはならないことであると深刻に受け止めている次第であります。
○塩川委員 深刻に受け止めているということですが、子供の相対的貧困率、直近の二〇一八年で一三・五%ですが、しかしながら、この貧困率を明らかにしている最初の年となっている一九八五年は一〇・九%です。つまり、この三十年余りで子供の相対的貧困率は、一〇・九から一三・五、改善どころか悪化しているというのが実情ではありませんか。その認識をお持ちですか。
○岸田内閣総理大臣 子供の貧困率、今手元に資料がありますが、平成二十七年で一三・九%、平成三十年が一三・五%、国民生活基礎調査ということであります。こうした数字、これは重く受け止めなければならない数字であると認識をいたします。
○塩川委員 さらに、今、コロナ禍で、格差の拡大が強く懸念をされている。まさに貧困と格差が拡大をする、こういう中での子供の貧困の深刻さというのが改めて問われているときであります。
 三十年のこの経緯を見ても、相対的貧困率が改善どころか悪化をしたままだ、そこにそもそも、自民党政治の下、長期間放置をしてきたということが問われていると思います。
 その期間に、子どもの権利条約の取組もあったはずであります。子どもの権利条約の批准から約三十年、子どもの権利条約の批准に当たって、政府は、子どもの権利条約の内容について、現行国内法制によって既に保障されているとしてきました。そのことが、OECD諸国の中でも子供関連の社会支出が少ないなど、子供施策の遅れを生み出してきたのではありませんか。
○岸田内閣総理大臣 少子化対策あるいは子育て世帯への支援など、子供に関する施策については、これまでも政府として様々な取組を進めてきました。保育の受皿整備、幼児教育、保育の無償化、高等教育の無償化、あるいは、地域社会による子育て支援、多子世帯への支援を含む経済的支援、あるいは不妊治療の保険適用の開始などの妊娠、出産への支援、こうした様々な取組を進めてきたところです。
 そして、我が国の家庭関係社会支出の対GDP比、二〇一九年度で一・七三%、これは、米国の〇・六一%は上回るものの、OECD平均二・一との比較においては低い、こうした指摘があるのは十分承知をしています。
 いずれにせよ、これまでのこうした取組をしっかりと大事にしながら、今後とも、昨年策定した、こども政策の新たな推進体制に関する基本方針、これに基づいて政策を充実させていきたいと考えております。
○塩川委員 OECD諸国の中でも子供関連の社会支出が少ないということをお認めになった、そこに、自民党政治の果たしてきた問題、このことが浮き彫りとなっているということを正面から受け止めるべきであります。
 児童扶養手当の問題も先日取り上げましたが、母親の就労の大半が非正規雇用、低賃金となっている現状があるのに、就労による自立支援を名目にして、児童扶養手当の減額や一部支給停止規定を設けるなど、子育て世帯支援に逆行することを行ってきた、このことへの責任が厳しく問われていると思います。
 そういった点で、こども家庭庁設置法案において、子どもの権利委員会の勧告を踏まえて行った措置というのはあるんでしょうか。
○岸田内閣総理大臣 児童の権利委員会から、二〇一九年の政府報告審査の総括所見として、条約の実施に関連する全ての活動を調整するための調整機関の設置要請などの勧告があったこと、これは承知しておりますが、他方で、今回のこども家庭庁設置法案については、少子化が深刻化し、また、児童虐待、いじめ、子供の貧困など、子供をめぐる課題は一段と複雑化する中で、我が国として、こどもまんなか社会の実現に向けて専一に取り組む独立した行政組織が必要である、こうしたことを主体的に判断したものであると思います。
 いずれにせよ、児童の権利条約については、その趣旨も踏まえて、政府として、子供政策、主体的に進めていきたいと考えております。
○塩川委員 勧告は承知しているけれども、こども家庭庁の設置は主体的に判断したものだ、つまり、子どもの権利条約に基づき子供施策を進める、こういう姿勢が感じられないということがうかがえるわけであります。子どもの権利条約の内容について、現行国内法制によって既に保障されているという政府の立場が変わっていない、その点が問われているということを指摘しなければなりません。
 だからこそ、政府から独立した立場で政府を監視、評価するとともに、子供の意見表明を代弁をし、個別の事案の相談・救済機関として、いわゆる子供コミッショナー制度が必要だと考えますが、総理のお考えをお聞かせください。
○岸田内閣総理大臣 子供コミッショナーにつきましては、先ほども議論がありました。また、これまでも委員会で様々な議論が行われてきたと承知をしております。
 政府としては、こども家庭庁を創設することによって子供の権利利益の擁護に取り組んでいく方針でありますが、その際に、第三者機関であるこども家庭審議会等で、子供やあるいは子育て当事者、また有識者等の意見もしっかりと承り、公平性、透明性を確保しつつ、権利利益の擁護を図りながら、最善の利益を実現できるよう政策を進めていきたいと思います。
 あわせて、子供コミッショナー、子供の意見をしっかりと聞く、こうした観点から申し上げるならば、審議中の児童福祉法改正案においても、意見表明等支援事業、こうした新たな事業を設けることで対応していきたいとも考えております。
 以上です。
○塩川委員 コミッショナー制度についての取組の話はありませんでした。
 国連子どもの権利委員会は、独立した監視機関の仕組みについて、子供の権利を促進し、保護するものとして、条約締約国の中核的な義務として位置づけられている、このことも参考人質疑の中で参考人から述べられていたことを重く受け止めるべきであります。
 子供は権利の主体ではありますけれども、大人と同じような自己決定権が認められているわけではありません。だからこそ、自由に意見を表明し、反映される権利を保障する仕組みとして子供コミッショナーというのは必要不可欠ではないのか、このことを改めて総理に問いたいと思いますが、いかがですか。
○岸田内閣総理大臣 先ほども申し上げましたが、子供コミッショナーについては様々な議論が行われてきました。
 しかし、子供の声をしっかり聞くべきではないか、こういった指摘は大変重要な指摘だと受け止めた上で、その子供の声を、そして子育て世帯等当事者の方々の声をしっかり受け止める仕掛けとして、こども家庭審議会ですとか、あるいは児童福祉法改正案における意見表明等支援事業を新設するなど、こうした取組を政府としては用意をしていきたいと考えております。
○塩川委員 子供の意見表明権を保障する子供コミッショナーの設置、そして、子供を支える予算の抜本的拡充と、そのための人員の大幅増員、このことを強く求めて、質問を終わります。

党と後援会の決起集会/埼玉

 埼玉の党と後援会の決起集会。

 日本政治で、日本共産党こそ、ストップブーチンロシアの一番の力。憲法9条を生かす平和の羅針盤を示す。日本共産党の躍進こそ、アベノミクスを転換し、消費税減税をかちとり、やさしく強い経済をつくる一番の保障。

 党創立100年の参院選で、比例でいわぶち友・田村智子参院議員はじめ5議席の絶対確保、埼玉選挙区で梅村さえこさんの勝利を勝ち取ろう!

【内閣委員会】子ども関連法案/権利擁護の独立機関不可欠

 子どもの権利保障に必要不可欠な独立機関「子どもコミッショナー」制度の設置を避けた政府のこども家庭庁設置法案とこども基本法案の問題点をただしました。

 私は、国連・子どもの権利委員会が同機関の設置を勧告していることにもふれながら、政府による子どもの権利侵害や不作為があった場合に政府から独立した立場で政府を監視・評価する機関が必要だと強調。

 子どもの代弁者ともいわれる同機関は、子どもが自由に意見を表明し、反映される権利を保障する仕組みとしても必要不可欠だと主張しました。

 野田聖子担当大臣は「与野党の議論・提案を注視していく」「個別事案については第一義的には自治体が対応」などと答弁しました。

 私はまた、基本法案の「こどもの養育については、家庭を基本」に行うとの文言について、他の法令にも同じ文言があるのかと質問。

 提出者の勝目康衆院議員は「ない」と認めつつ、子どもの権利条約にも同趣旨の規定があると主張。

 私は、権利条約の記述は家族に対する公的支援を強調する文脈でのものだと指摘しました。

 これまでも児童扶養手当や生活保護制度の改悪など子育て支援の後退を合理化する理由として、自助努力を強いる「家庭の養育責任」が強調されてきた。子育てへの公的支援の拡充こそ求められており、『子どもの養育は家庭が基本』との規定はこれに逆行するものだと批判しました。


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「議事録」

<第208通常国会 2022年5月11日 内閣委員会 第24号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 最初に、こども家庭庁の組織の在り方の点について、また、子供コミッショナー制度について質問をいたします。
 これまでの答弁で、大臣は、こども家庭庁は、これまで各府省において別々に担われていた子供、子育て支援や少子化対策、児童虐待などの子供施策に関する総合調整権限を一元化して、子供や子育て当事者、現場の視点に立った強い司令塔機能を発揮すると答弁をしております。
 それでは、これまでの子供施策に係る総合調整権限とはどのようなものか、これまで機能していたのか、その点についてお答えください。
○野田国務大臣 お答えします。
 これまで、子供施策に関する総合調整権限は、青少年の健全な育成や子供の貧困対策については内閣府政策統括官において、子供、子育て支援や少子化対策については内閣府子ども・子育て本部において、そして、犯罪から子供を守るための対策については内閣官房において、児童性的搾取については国家委員会及び警察庁において、また、児童虐待については厚生労働省において、それぞれ別々に担われてまいりました。
 これまでも、内閣府、内閣官房、国家公安委員会及び警察庁、厚生労働省がそれぞれの観点から取り組んできたものと承知しているのですが、今般、政府提出法案においては、これまでの少子化の対処や子供、若者育成支援に加えて、子供のひとしく健やかな成長の実現に向けた基本的な政策についての規定を新たに設けます。これによって、これまで分散していた総合調整権限をこども家庭庁の下にまとめるとともに、広く子供の成長に関わる基本的な政策全般について一元的に担うことといたします。
 また、子供や若者から意見を聞く様々な取組を行うことで、子供や若者の意見を踏まえて、行政各部の統一を図るための企画立案、総合調整を行います。
 これらによって、こども家庭庁が、常に子供の視点に立って、子供の最善の利益を第一に考え、こどもまんなか社会の実現に向けて強い司令塔機能を発揮することができると考えております。
○塩川委員 それぞれ、これまでの期間における総合調整権限のお話がありました。それはそれで、それぞれ発揮をされていたかどうかという問題があるんですよね。
 その点で、先日、幼稚園型の認定こども園に係る幼児間性暴力について、我が党の本村議員が指摘をした事例があります。それに関してですが、幼稚園型の認定こども園の所管というのはどこになるんでしょうか。
○藤原政府参考人 お答え申し上げます。
 御質問ございました幼稚園型認定こども園は、御承知かと思いますけれども、認可施設である幼稚園が保育所的な機能を備えて、いわゆる認定こども園法に基づく認定を受けた施設となってございます。
 幼稚園型認定こども園につきましては、幼稚園としての認可権者である都道府県による指導助言が行われるほか、子ども・子育て支援法における特定教育・保育施設として、市町村による指導監査等が行われております。
 こういった幼稚園型認定こども園において何らかの問題事案が生じた場合には、一義的には園が適切な対応を行うということが求められるわけですが、その上で、問題事案の円滑な解決が図られるように、事案の内容や状況を踏まえて、都道府県と市町村とが、ただいま申し上げましたようなそれぞれの権限を踏まえて、連携しながら必要な対応、支援が行われているところでございます。
 一方、内閣府、国といたしましても、自治体からの求めや事案の内容や状況を踏まえまして、文部科学省と連携しながら、本件についても必要な助言等を行っているところでございます。
 引き続き、適切な助言に努めてまいります。
○塩川委員 国として、幼稚園型の認定こども園の所管というのはどこになるんですか。
○藤原政府参考人 お答え申し上げます。
 認定こども園法上の認定こども園ということですので、この認定こども園法は、内閣府、文部科学省、厚生労働省の三府省の共管になってございます。
○塩川委員 三府省の共管ということです。
 今、内閣府の子ども・子育て本部の話も出ましたけれども、内閣府の子ども・子育て本部は、内閣府設置法に基づき、子供、子育て支援のための基本的な政策、少子化の進展への対処に係る企画立案、総合調整権限を持つとしております。
 この子ども・子育て本部は、幼稚園型の認定こども園についても総合調整権限は及ぶんでしょうか。
○藤原政府参考人 現在、内閣府の子ども・子育て本部における総合調整権限の対象となっておりまして、実際、本件につきましても、内閣府を中心に文部科学省ともよく協力をいただきながら、自治体からの求めに応じた助言を図っているところでございます。
○塩川委員 子ども・子育て本部が、この認定こども園に係る件についても総合調整権限が及ぶと。今、自治体等への助言という話もされたところです。
 先日、幼稚園型の認定こども園に係る幼児間性暴力について本村議員が紹介をしましたが、保護者の方は、幼稚園や基礎自治体、愛知県の関係部局、また児童相談所などに相談をしてきたと。また、国の機関では内閣府や文科省や厚労省にも被害を訴えているけれども、子供への聞き取りや事実認定、被害幼児の救済や加害幼児への対応を誰が行うのか、この点について、たらい回しになっているという指摘がありました。
 総合調整権限を持つ子ども・子育て本部が関わりながら、たらい回しにされるような事態が生じているんじゃないでしょうか。
○藤原政府参考人 お答え申し上げます。
 御指摘のございました具体的な事案について、個別に御答弁申し上げることは差し控えたいと思いますが、現在、抽象的なお答えになって恐縮ですけれども、保護者の方に対して、保護者との面談を自治体の方から提案をしているという状況と伺っておりますし、そのことを我々も把握をしながら、適切に助言をしております。
 特に本件につきましては、内閣府を中心に、文部科学省あるいは厚労省にも連絡を取りながら、自治体への助言に努めているところでございまして、しっかりと助言を続けていきたいというふうに思っております。
○塩川委員 助言はしているということですけれども、解決はしていないんですよ。やはり、子供への聞き取りや事実認定を行う、被害幼児への救済、また加害幼児への対応、こういったことをしっかりと、誰がどういうふうにやるのか、そういう点が非常に曖昧にされている。そこで、総合調整権限があると言われても、それが発揮されているのかということが問われてくるわけであります。
 現行の子ども・子育て本部において総合調整権限があると言われるけれども、具体の事案を見たらたらい回しになっているといった場合に、今回、更に広げる格好で総合調整権限を発揮をするこども家庭庁を置くというんだけれども、そのこども家庭庁が、じゃ、ちゃんと総合調整権限というのが発揮できるんだろうかと率直に思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
○野田国務大臣 先ほどの答弁で、児童の性的搾取については国家公安委員会というのを、ちょっと、公安を抜かしてしまいましたので、訂正させてください。
 個別の案件については、今参考人が申し上げたように、差し控えますけれども、まずは、やはり一義的には地方自治体が取り組むべきことと思います。
○塩川委員 それで解決をしないから、国がしかるべき役割を果たす。そういうときに、総合調整権限がある子ども・子育て本部がちゃんと請け負うのかなと思うと、助言はしているというんだけれども解決をしていないという点では、これではやはりたらい回しのままじゃないのかという点で、総合調整権限の発揮そのものは必要な措置ではありますけれども、それで十分とするのかどうかというのがやはり問われているということであります。
 子どもの権利委員会は、この間の日本政府報告に対する勧告において、特に二〇一九年三月、第四回、第五回の日本政府報告に対する勧告で、分野横断的に、全ての活動を調整するための明確な任務及び十分な権限を有する適切な調整機関の設置を要請しています。
 大臣、お尋ねしますが、こども家庭庁は、子どもの権利委員会が勧告で求めている調整機関なんでしょうか。
○野田国務大臣 お答えします。
 児童の権利委員会から、二〇一九年の政府報告審査の総括所見において、条約の実施に関連する全ての活動を調整するための明確な任務及び十分な権限を有する適切な調整機関を設置するよう要請する旨の勧告があったことは承知しています。
 こども家庭庁は、子供の権利を保障し、誰一人取り残さず、健やかな成長を社会全体で後押しするために、常に子供の視点に立ち、子供の最善の利益を第一に考え、こどもまんなか社会の実現に向けて専一に取り組む新たな司令塔として創設するものであります。
 こども家庭庁は、外務省とも連携をして、児童の権利に関する条約に基づく児童の権利委員会への対応など、条約に関する取組を主体的に進めてまいります。
○塩川委員 いや、お答えいただいていないんですが。こども家庭庁は、子どもの権利委員会が勧告で求めている調整機関に当たるのかどうか。
○相川政府参考人 お答えいたします。
 ただいま大臣からお答え申し上げましたように、児童の権利委員会からの勧告については承知をいたしておりますが、我が国政府として、こどもまんなか社会の実現に向けて専一に取り組む独立した行政組織が必要であると主体的に判断したものでございます。
○塩川委員 だから、主体的に判断しているから、権利委員会の勧告に対応したという措置ではない、そういう話であります。
 元々、権利委員会を批准する段階でも、今の、現行のままでオーケーだよということで入ってきていますから、そういう点では非常に不十分な状況でいるというのが我々としての認識であります。
 その上で、子供の権利利益擁護のための総合調整機関であったとしても、政府による子供への権利侵害があるような場合、また、政府による子供の権利侵害に対する不作為があったような場合に、政府内部の機関でこれを取り扱うのには無理があるんじゃないのか。
 先ほど本村議員の事例で紹介をしたように、総合調整権限の機能を持つ子ども・子育て本部が関わりながら、たらい回しにされるような事態が生まれているわけです。
 大臣にお尋ねしますが、子どもの権利委員会の勧告では、先ほど言ったような調整機関の設置と一体に、全ての児童及び本条約の全ての分野を対象とする評価及び監視のためのメカニズムの設置、いわゆる子供コミッショナー制度の設置を要請しております。
 子供施策の総合調整機関とともに、子供施策を評価、監視するメカニズムである子供コミッショナーがセットで置かれることで、子供の権利を保障する役割を果たすことができるんじゃないでしょうか。
○野田国務大臣 いわゆるコミッショナーについては、本委員会で、今日もそうでございますが、与野党において様々な議論や提案がなされているということでございまして、私もその議論をしっかり注視してまいります。
 政府としては、子供の権利利益の擁護を任務とするこども家庭庁を創設することにしています。こども家庭庁においては、子供の視点に立って、こども家庭審議会などで子供や子育て当事者や有識者等の意見を聞くことにより、公平性、透明性を確保しつつ、子供の権利利益の擁護を図り、その最善の利益を実現できるよう、各省庁より一段高い立場から子供政策にしっかり取り組んでまいります。
 なお、個別事案の対応については、一義的には自治体において行われるものと考えているところです。
○塩川委員 こども家庭審議会の話がありましたけれども、こども家庭審議会というのは、審議会に応じて動くところですから。やはり、自らの発意で、政府から独立して動く子供コミッショナーとは違うものだということを指摘しなければなりません。
 参考人質疑でも、国連子どもの権利委員会は、独立した監視機関の仕組みについて、子供の権利を促進し、保護するものとして、条約締約国の中核的な義務として位置づけられているという指摘があったことは大事な点だと思っています。
 大臣に重ねてお聞きしますけれども、議論を注視するというのではなくて、政府としての考えはどうなのかということを問うているわけですから。
 政府の実施をした法制度などによって子供への権利侵害があった場合や、政府による子供の権利侵害に対する不作為があったような場合に、政府内で処理するというのは、これはまともにできるのかというのが問われるわけで、政府から独立した立場で政府を評価、監視する機関というのは必要じゃないでしょうか。
○野田国務大臣 先ほどと繰り返すことが多くなりますけれども、政府としては、子供の権利利益の擁護を任務とするこども家庭庁の創設をすること。こども家庭庁において、子供の視点に立って、こども家庭審議会、これは諮問だけではなくて自ら発意することもできますので、その場において子供や子育て当事者や有識者等の意見を聞くことによって、公平性、透明性を確保しつつ、子供の権利利益の擁護を図り、その最善の利益を実現できるように、各省庁より一段高い立場から子供政策にしっかり取り組んでまいります。
○塩川委員 子供コミッショナーは、政府から独立したというところが大きなポイントですので、そういった点でも、こども家庭審議会はそれに当たるものではないということもまた明らかであります。率直にこの問題についての、政府として、大臣としての見解が示されないというのは極めて残念であります。
 それでは、与党案の提出者、また立憲案の提出者にお尋ねをいたします。
 この子供コミッショナーのことですけれども、政府から独立した立場で政府を監視、評価する機関であるとともに、子供の意見表明を代弁し、個別の事案の相談・救済機関として、いわゆる子供コミッショナー制度が必要ではないかと考えますが、お答えください。
○勝目議員 お答え申し上げます。
 一般論といたしまして、行政組織について規定を置く際には、国家行政組織、その統治機構全体の中での位置づけ、あるいはその組織の所掌事務であるとか権限であるとか、あるいは構成員、こうしたものについて十分な議論が必要だ、このように考えております。
 御質問のいわゆる子供コミッショナーにつきましては、諸外国でそのような組織を設けている国、これがあるということは承知をしておりますけれども、その機能あるいは組織形態といったものは様々であります。このいわゆるコミッショナーという言葉が何を指すのかということにつきましても、我が国国内での議論というのは熟していないんじゃないか、こういう状況であると認識をしております。
 御指摘のありました、政府を監視するというこの仕組み、機能につきましては、まさに今御審議中でありますこども家庭庁設置法案によりまして、この役所が設置された場合におきましては、担当大臣が他省庁の子供施策に勧告する、その勧告権があるわけでございまして、この権限が十分に働くかということを注視をいたしたいと思っております。
 また、具体の権利侵害の相談、救済につきましても、これは設置法案の中で、こども家庭庁の任務として子供の権利利益の擁護というのが掲げられておりますし、また、所掌事務として、虐待の防止であるとか、いじめの防止等に関する相談体制整備といったものが規定をされているわけでございます。
 こうしたことを踏まえて、こども家庭庁の事務の実施状況、こうしたものを注意深く見守っていきたい、このように考えております。
○早稲田議員 子供コミッショナーについての御質問にお答えしたいと思います。
 立憲民主党案では、国に子供コミッショナーを設置することとしております。これは、子供の権利を守るためには、政府の外側から独立した立場で子供の権利擁護の状況を監視すること、いじめなどの重大な権利侵害事案があったときに必要な調査ができること、そして、その再発の防止等のために必要な勧告ができること、これらの点が重要であると考えております。
 加えて、立憲民主党案では、より子供に身近な立場からも、その権利の擁護を図るべく、子供の権利侵害に関する救済の申立てを受けてその解決を図ること等を所掌事務とする合議制の機関を全ての都道府県に設置することを義務づけるとともに、市町村は、これを設置することができるものとしています。そして、これらの機関は、相互に連携、協力するように努めなければならないとしております。
 このように、我々の案では、国や自治体に設置された機関が主体となって、必要に応じて連携や協力を行うことで、特定の自治体にとどまらず、全国的に子供の権利の擁護を図ることが可能となると考えております。
○塩川委員 与党案におきましては、残念ながら、子供コミッショナー制度を設けるものとなっていない。議論が熟していないというお話でしたけれども、ただ、やはり、この間の権利委員会の対応などをめぐっても、条約締約国の中核的な義務という位置づけの中で、数十か国でこういった措置が行われているということは、我々としてしっかり受け止める必要があると思っております。
 立憲案におきましては、子供コミッショナーの制度を国において設置もし、さらに、合議制の機関を都道府県でも必置をして、市町村でもその対応について求めていくという点では、個別の事案の救済という点でも積極的な役割を果たすものであると思っております。
 そこで、立憲案の提出者に、もう一点、関連してお尋ねしたいんですけれども、子どもの権利条約を本当に生かしていく上で、四つの一般原則がありますけれども、やはり、子供の意見表明権をしっかりと保障するというのが要のことだろうと思っています。子供の最善の利益を保障する上でも、もちろん、差別は許されない、成長、発達を保障する、そういう権利を求めると同時に、それを進める上でも、やはり、子供の意見表明権を保障するということが基本の点だと思っています。
 子供は権利の主体ではありますけれども、大人と同じような自己決定権を持つものではありません。だからこそ、自由に意見を表明し、反映される権利を保障する仕組みとして子供コミッショナーは必要不可欠ではないかと思いますが、立憲案の提出者のお考えをお聞かせください。
○早稲田議員 ありがとうございます。
 おっしゃるとおり、全ての子供について、その子供の年齢それから発達の程度に応じて、子供の意見を聞く機会及び子供が自ら意見を述べる機会を確保すること、その意見を十分に尊重することは大変重要なことだと思っております。
 児童福祉法の改正案につきましても、今度は意見表明支援ということの事業も新たに入りました。こうしたことも踏まえればなおさらのこと、この子供コミッショナーを国に、そしてまた自治体に設置をすること、この重要性が分かると思います。
 以上です。
○塩川委員 やはり、自由に意見を表明するということがあっての意見表明権という点を強調したいと思っております。
 それでは、残りの時間で、与党提出のこども基本法案について、基本理念に、子供の養育について家庭を基本として行うという条文の文言についてお尋ねします。
 他の法律で、このような条文の規定というのはあるんでしょうか。
○丹羽議員 お答えいたします。
 児童福祉法第三条の二におきまして、児童が家庭において心身共に健やかに養育されるよう、児童の保護者を支援しなければならないと定めた上で、ただし書におきまして、家庭での養育がかなわない場合には、家庭における養育環境と同様の養育環境等において児童が養育されるよう、必要な措置を講じなければならないと定めているところであります。
 この条文が追加された際の審議におきましては、家庭で養育を受けるということがまず第一、基本だろうということが厚生労働大臣から答弁されており、家庭を基本という文言こそないものの、児童の養育については家庭を基本として行うという趣旨の考えがございました。
○塩川委員 家庭を基本という文言というのはないと。それは他の法律にもないということはよろしいですか。
○丹羽議員 塩川先生おっしゃるように、家庭が基本ではないということで大丈夫でございます、文言はないということで。
○塩川委員 第一というのは第一義的責任という対応でのことだと思いますけれども、子供の養育について家庭を基本として行うという法律上の文言というのはないということです。
 そうしますと、子供の養育について家庭を基本として行うという、その意味はどういうことなんでしょうか。
○丹羽議員 児童の権利に関する条約の前文におきまして、同様の記述がございます。
 家族が児童の成長及び福祉のための自然な環境であるということにされておりまして、児童は家庭環境の下で幸福、愛情及び理解のある雰囲気の中で成長すべきであるとされております。
 御質問の中の、児童の権利に関する条約及び児童福祉法と同様の考えということで考えております。
○塩川委員 でも、権利条約の前文においては、家族というのは、社会においてその責任を十分に引き受けることができるよう必要な保護及び援助を与えられるべき対象だ、そちらにウェートがある書きぶりですよね。つまり、家族に対する公的支援の必要性を強調する文脈での記述になっているという点がポイントだと思います。
 しかし、子供の養育について家庭を基本として行うという趣旨と、そこは大きく違うんじゃないでしょうか。
○丹羽議員 趣旨は全く変わらずに、児童が家庭において心身共に健やかに養育されるよう、児童の保護者を支援しなければならないということが、家族に対する話でございまして、ただ、それにおいても、家庭で養育を受けるということがまず第一の、基本であろうと。児童の養育については家庭を基本として行うということを前にも厚生労働大臣が述べておりまして、そういった面におきましては、家庭の環境が保たれない場合は、しっかりと制度的に国として対応していくという内容になっております。
○塩川委員 第一と基本は違うんですよ。それは第一義なのか第一次なのか、これ自身も少し、権利条約の条文上はいろいろ議論はあるんでしょうけれども、基本という用語をなぜ使っているのかという点です。
 そういう点でいうと、やはり、子供の養育は家庭が基本だということを書くことによって、虐待や貧困、ヤングケアラーなど、家庭の中で苦しむ子供が少なくない中で、この条文の規定が、苦しむ子供や保護者を更に追い詰め、孤立させるということになりはしないのか、こういう懸念というのを持つんですが、いかがでしょうか。
○丹羽議員 もちろん、児童が家庭において、最近社会的な問題にもなっておりますヤングケアラーということは委員もおっしゃられましたけれども、このヤングケアラーとか、そういったことに陥らないように、今回のこの法案の中にも、社会全体として、子供の養育、成長を見守っていくというふうな内容でございます。
○塩川委員 家庭ということで、その下で傷ついた、そういった子供たちがあるということをしっかり見る必要があると思います。
 それと、やはり、家庭の養育責任の強調というのが家庭の自助努力を強いることにつながらないのかという危惧を持つんですが、その点はどうでしょうか。
○丹羽議員 この基本理念の第三条の五にもございます、子供の養育については、家庭を基本として行われ、父母その他の保護者が第一義的な責任を有するという認識の下、これらの者に対して子供の養育に関して十分な支援を行うとともに、家庭での養育が困難な子供にはできる限り家庭と同様の養育環境を確保することにより、子供が心身共に健やかに生育されるようにすることというふうに書いております。
○塩川委員 第一義的に、その後に社会的な支援の話が出てくるわけですけれども、その前段として基本という言葉が出てくる、その意味は何なのかというところが問われているわけです。
 私、その点で、家庭の自助努力を強いるということが問題になるということを先ほども述べましたが、これまで自民党は、例えば生活保護制度について、自助努力による生計の維持ができない者に対する措置ということを原点に実施するとして、生活保護給付水準の引下げを求め、実施してきたという経緯があります。
 児童扶養手当も同様であります。就労による自立支援を名目にして、児童扶養手当の減額や一部支給停止規定を設けるなどしてきました。
 母子家庭の母親の就労率は八割と極めて高い水準であるにもかかわらず、一人親家庭の貧困率は五割、OECD諸国で最悪水準であります。母親の就労の大半が非正規雇用で低賃金となっている現状があります。
 こういう現状をそのままにして、子供の養育は家庭が基本という規定は、母子家庭に自助努力として就労による自立を迫ることにつながるんじゃありませんか。
○丹羽議員 再度、このこども基本法の要領にもよりますけれども、基本理念におきまして、子供の養育について、家庭を基本として行われ、父母その他の保護者が第一義的に責任を有するという認識の下、これらの者に対して子供の養育に関して十分な支援を行うとともに、家庭での養育が困難な子供に対してはできる限りの支援を行うというふうにされております。
○塩川委員 これまで、児童扶養手当の改悪や生活保護制度の改悪など、子育て支援の後退を合理化する理由として、自助努力を強いる家庭の養育責任が強調されてきました。
 家庭に養育責任を迫るんじゃなくて、児童扶養手当を始めとした社会手当の抜本的拡充など、子育てへの公的支援を拡充することこそ求められている。子供の養育は家庭が基本という規定はこれに逆行するものだと指摘をして、質問を終わります。

埼玉・所沢駅東口/憲法記念日のリレートーク

 所沢駅東口で憲法記念日のリレートーク。

 若い家族連れなど、たくさんの人が憲法9条署名に協力してくれました。小学生のときに終戦を迎えたという女性は「兄を戦争で失った。所沢の空襲もひどかった。戦争は絶対だめ」と。

第93回埼玉県中央メーデーに参加

 埼玉県中央メーデー。梅村さえこ参院埼玉選挙区予定候補、秋山もえ県議と出席、あいさつしました。

 今こそ、侵略戦争をしない証であり、紛争の平和的解決をめざす羅針盤である国連憲章と憲法9条の力を発揮した取り組みを行うとき。

 物価高騰は、異次元の金融緩和などアベノミクスの破綻を示すもの。貧困と格差拡大の新自由主義を転換し、消費税減税、賃上げ実現の強くて優しい経済の実現を!

あいさつ動画は→埼玉県中央メーデーYouTubeのLive配信

 

【内閣委員会】子どもコミッショナーは中核的義務/学校の全ての場面で子どもの権利保障が不可欠/子ども関連法案参考人質疑

 こども関連法案の参考人質疑を行い、質問に立ちました。

 意見陳述で、日弁連子どもの権利委員会の野村武司幹事は、政府案と与党案には含まれていない「子どもの権利擁護機関」(いわゆる子どもコミッショナー)について、「子どもの権利を促進・保護するものとして、子どもの権利条約締約国の中核的義務と位置付けられているもの」で、「政府から独立した組織が必要だ」と述べました。

 日本大学の末富芳教授は、こども施策として「児童手当、年少扶養控除、保育、教育、医療の無償化などをパッケージとして示していくことが必要だ」と強調しました。

 私は質疑で、与党は、こども基本法ができたとしても教育の現場に権利条約の意見表明権などは及ばないとしていることについて意見を求めました。

 野村氏は、法案で一番危惧したのはその点だとして「生徒指導や特別支援教育、いじめ問題の解決など、子どもが最も多くの時間を費やす学校の全ての場面で子どもの権利を保障し、最善の利益を守る観点から、学校教育を子ども政策に位置付けることは不可欠だ」と述べました。


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「議事録」

<第208通常国会 2022年4月28日 内閣委員会 第23号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 参考人の皆様には、貴重な御意見を賜り、本当にありがとうございます。
 最初に、四人の参考人の皆様に御質問をいたします。
 やはり、子供関連の法案ということで、子どもの権利条約、これが、今の政治、社会、どのように発揮をされているのかということが問われることだと思っております。
 その点で、日本においてこの子どもの権利条約の実施状況が不十分ではないのかと私は受け止めておりますが、そうお考えであれば、どのような分野で、どのような権利保障が不十分だとお考えか、この点についてお聞かせいただきたいということと、あわせて、今回、閣法で出しましたこども家庭庁設置法案、子どもの権利条約の四つの一般原則に係る部分の記述が任務等に書かれておりますが、子どもの権利条約という文言そのものはありません。これまで、子供施策に係る法律におきましても、子ども・若者育成支援推進法や児童福祉法には、子どもの権利条約の理念にのっとり、子どもの権利条約の精神にのっとりと書いているんですが、この子どもの権利条約という文言がこども家庭庁設置法案に入っていない点についてはどのようにお考えかということについて皆さんからお考えをお聞かせください。
○古賀参考人 ありがとうございます。
 私も、権利条約の内容については、かなりいろいろ盛り込まれているんだなということは読ませていただいて思っております。その言葉が入るか入らないかというのは、それぞれの政治的御判断だと思いますので、私は、絶対それが必要かということについてはそうでもないのではないかなと思っております。
 ただ、子供の意見表明権とか、それから多様なダイバーシティーを保障する部分とか、これはやはり必須の条件というふうに思っておりますので、私どもも、先ほど御紹介したように、有識者会議でも意見募集事業、これはネットを使ったりもしております。いろいろな媒体を使って子供の声を拾い上げるという形を取っております。こういった作業は、やはり今後も続けなきゃいけないし、必要だと思いますので、そういう子どもの権利条約の要素を一つ一つの事業に含み込んでやっていくという作業が必要だと思っております。
 以上です。
○土肥参考人 私も古賀参考人と同じ意見でして、子どもの権利条約という文言は入っていないかもしれませんが、子どもの権利条約に必要な要素はかなり盛り込まれている内容になっているのではないかというふうに考えています。
 その上で、これまで足りなかった部分という意味では、私の専門からいえば、意見表明に関しては、非常に日本の中では遅れていた部分ではないかというふうに思っていまして、こども家庭庁は非常に意見表明や参画ということを積極的に取り入れているのではないかというふうに考えておりますので、そこに期待をしている部分です。
○野村参考人 まず、子どもの権利条約が批准されて、それが我が国においてどこが不十分なのかという点ですけれども、これは、私、国連の予備審査にも参加していまして、その雰囲気は感じ取ってきていますけれども、基本的に総括所見に上がっていることということにはなりますが、何よりもずっと言われてきたのは、やはり子供の権利に関しての総合的な、包括的な法律がないということ。
 それから、私が先ほど発言させていただいた子供コミッショナーに当たるもの、コアオブリゲーションズというふうに国連子どもの権利委員会は言っていて、条約の一般的意見の二号でそれが言われ、十二号でも繰り返し言われている、しかも各国でこれを取りそろえてきている、これがないということが非常に大きな問題であるように思っています。
 ただ、本国会の中でこれが議論にのったということは、私はすばらしいことだと思っていて、いろいろな進化過程はあると思いますけれども、是非そういう観点から議論をしていただければというふうに思っています。
 そのほか、個別にはいろいろありますけれども、国連の議論に参加していて一番感じたのは、やはり暴力の問題、家庭での暴力、学校での暴力、体罰の問題というのは国連の子どもの権利委員会の委員の非常に大きな関心になっていて、日本では法制度も含めて禁止の方向に向かっているという報告があったんだけれども、国連子どもの権利委員会で言っている暴力の禁止というのは、スパンキングという言い方をしていましたけれども、軽くたたくことだって駄目だというふうに認識しているんだということを非常に強い調子で言われていたということは非常に印象的です。
 その他、緊急的に取るべき措置というのが、たしかパラグラフの最初の方に載っていたと思いますので、ちょっと思い出せませんが、そこにあるものということになろうかと思います。
 それから、今回の法案に、子どもの権利条約ですけれども、設置法についてどうかというのはなかなか判断がつきにくいところがあるんですけれども、ただ、設置法でも、子供の権利についての一般原則、四つのものというのは上がっているということは評価していますし、基本法についても、各党のものを見てみますと、基本的に子供の権利についての一般原則が上がっているということはすばらしいことかなというふうに思っています。
 それをどのように実現していくのかというのは、その法体系の問題と今後の取組ということになってきますので、こんなに前向きな議論がなされている国会というのは私は本当にすばらしいと思っていますので、是非、それを踏まえて議論をしていただければなというふうに期待として思っています。
 以上です。
○末冨参考人 まず、最初の御質問につきましてですが、塩川先生へのお答えとして申し上げたいのは、まず子供の生命、生存に関する権利の保障こそが最重要であるということです。コロナの前からこの国の貧困世帯のおよそ一割強は、三食満足に食べられない家庭です。
 あわせまして、昨年度内閣府が実施しました国として初めての子供の貧困調査では、逆境経験というものを聞いております。暴力、暴言だけではなく、自分は誰からも愛されていないなどのとても厳しい環境で生きている子供たちは、貧困世帯の場合およそ半数、そして、貧困ではない世帯でも一五%程度存在することが分かっています。
 親の所得状況にかかわらず、このように自分自身の生命や生存、そして尊厳が脅かされている状態こそ、この国の子供の権利の状況としては最も深刻なものであり、一番最初に解消されるべきものであるというふうに考えます。
 あわせまして、今次国会に提出されておりますこども基本法あるいはこども家庭庁設置法や立憲民主党法案、維新法案等につきましては、それぞれに、子供の権利を基盤とし、子供のための組織をつくるんだということをおっしゃっておられますけれども、やはり重要なのは、その組織において、子供を守り、子供と進むという具体の政策領域や国としての責任領域をどのように明示していくかということが重要であると思われます。その点についての議論を深め、よりよい法案としていただくことが皆様方に期待することです。
 以上です。
○塩川委員 ありがとうございます。
 次に、野村参考人と末冨参考人にお尋ねいたします。
 いわゆる子供コミッショナー制度の関係ですけれども、政府から独立をし、政府を監視、評価、制度改善を求める第三者機関、そして子供の権利侵害の相談・救済機関として、いわゆる子供コミッショナー制度が必要だと考えております。
 その点で、こども家庭庁設置法案や与党案などには、子供の権利を保障するための独立した監視機関が明記をされていない。この点についてどのようにお考えか、お聞かせください。
○野村参考人 ありがとうございます。
 先ほどの意見の中で申し上げましたが、コミッショナー制度ということを持つということが子どもの権利条約を批准している国のコアオブリゲーション、中核的な義務ということでありますので、これがあるとないということでは非常に大きな違いがあるというふうに考えています。
 いろいろな議論は承知していますけれども、監視だとか独立だとか勧告だとか意見表明だとかという非常に厳しい言葉が並んでいるがために、要らぬ予断とともに議論がなされていることが本当に心苦しく感じているんですけれども、今日意見を述べさせていただいたのは、実は、勧告であるとか意見だとか独立ということは、こういうことなんだということを事例をもって示したいなというふうに思いまして、自治体の事例でありましたけれども示させていただいたという次第です。しかも、我が国に経験がないかというと、地方分権の分野で実はこういうものもあるというのが先ほどの例ですけれども。
 いずれにせよ、少し離れた立場から子供の意見を届けて、それを子供の最善の利益に結びつけていく、それが救済であったり、制度改善であったり、あるいは広報啓発であったりという、その役割というのは、子どもの権利条約の観点からも非常に重要なものというふうに理解をしています。
 なので、前向きな議論を望んでいるということになります。
○末冨参考人 私のスライドの、また二十六ページを使って説明をさせていただきます。
 独立性という言葉が、確かに子供の権利擁護機関については非常に私もよく聞きました。そして、その点について心配をされる国会議員の方たちがいらっしゃることも確かであろうと存じます。
 民主主義と申しますのは、同じ意見を持つ人たちだけではなく、やはり違う立場に、あるいは子供たちのために違う視角からの光を当ててくださる方たちの御意見を大事にしなければなりません。
 そうしたことを鑑みて、私自身、子供コミッショナーについて真剣に議論を交わし、検討してまいりました。
 その結果、たどり着きましたのが二十六ページのこちらの諸原則になりますが、独立性だけではなく、様々なお考えのある国民の信頼と負託に応えるためには、やはり中立性や公平性の原則というものが必要になります。ただし、あわせて、子供自身の状況をよくするためには迅速性や専門性といった諸原理がある。そうした諸原理をきちんと実現していく、その際に何の原理原則が大事なのかということを決める場こそ、恐らく国会の機能ではないでしょうか。
 ただし、独立性につきましては、私自身は、教育委員会のいじめ隠蔽等に対しての国の役割を発揮する際に再度検討されることになるのではないかと予測しております。なぜならば、教育委員会も、政治的中立性を持ち、独立性を持つ行政委員会の一つだからです。こうしたいじめ隠蔽事件に対し国や地方が十分な機能を発揮する際に何が必要なのかという中で、改めて独立性に視点が当てられる場合もあろうかと存じますが、それは、個別の事例、そして国の司令塔機能の発揮といったものの中で、しっかり丁寧に検証されるべきであろうと思います。
 ただし、何より大事なのは子供の最善の利益です。
 以上です。御質問ありがとうございます。
○塩川委員 ありがとうございます。
 続けて、野村参考人と末冨参考人にお尋ねいたします。
 子どもの権利条約は、当然、子供に係る、子供施策に広く及ぶものです。もちろん、教育や学校教育の内容にも及ぶものでありますけれども。
 ただ、与党提出のこども基本法案、この間質疑をしてまいりまして、子どもの権利条約の四つの一般原則を掲げたこのこども基本法案については、学校教育の内容には踏み込まないという答弁です。そうしますと、学校教育の内容についてはこの法案が及ばないということですと、十分その役割を果たすことができるのかと受け止めたんですが、その点についてお考えをお聞かせいただけないでしょうか。
○野村参考人 ありがとうございます。
 今回の自民党、公明党提出の基本法案を拝見して、私が一番危惧したのはその点です。
 もちろん、学校現場における教育内容をどうするのかという問題等については、これは先生が、生き生きと伸び伸びと、子供に直接接して教育をしてもらう、そういう役割というのは十分果たしてもらわなければいけないということは当然ですけれども。
 しかしながら、例えば、生徒指導の在り方であるとか、あるいは教育確保法の分野の問題であるとか、あと特別支援教育の問題であるとか、あるいはもちろんいじめの問題であるとか、学校教育の周辺もありますけれども、学校教育の内容。つまり、子供を真ん中に置いて考えるということは、子供の生活場面、全生活場面において子供の権利保障をするということですから、子供が最も多くの時間を費やす学校の現場がそこから抜けてしまうということになると、それはこどもまんなかという話にはならないだろうというふうに思っています。
 ただし、教育法の様々な基本原則や原理があって、いろいろ難しい議論も当然あるのはもちろん承知はしているんですけれども、それを踏まえた上でも、子供の最善の利益あるいは子供の人権の観点からは、学校教育というのを子供施策の中にきちんと位置づけるということは、私は不可欠であろうというふうに考えています。
○末冨参考人 御質問ありがとうございます。
 こども基本法やこども家庭庁が学校教育に踏み込まないんだというような御心配があるということは承知しておりますし、私も懸念はしました。ただし、そのようなことは法の建前上もないというふうに考えております。
 なぜかと申しますと、既に、教育の世界では、本日御説明申し上げたように、子供の権利を前提として、九ページあるいは十ページにありますように、実際の教育政策や教育実践が行われつつあるからです。
 文部科学省も、では、子供の権利を無視しているかというとそういうことではなく、今議論されております生徒指導提要という例えば校則の根拠となっている方針においては、児童の権利条約が明記されております。すなわち、子供を権利の主体として位置づけ、子供の意見を表明することや尊重することも大事にしていこうねということが申し述べられております。
 なぜそのような議論になるのかと申しますと、与党案のこども基本法のすばらしいところは、日本国憲法の精神に基づくという一文が入っていることです。教育基本法の前文にも日本国憲法の精神に基づくという文言が入っており、当然のことながら、子供も権利の主体であり、基本的人権を持ち、主体的な国家及び社会の形成者として成長していくことが、この二つの法律に共通するものだと考えています。
 そうした日本国憲法の精神を基盤とするこの二つの法律は、対立するものではなく、相補いながら進んでいくものであり、文部科学省や関連する省庁の政策においても、教育政策か子供政策かではなく、両方とも大事にした実践が進むということを期待しております。
 こども家庭庁も、当然のことながら、そうした視点に立って、子供の最善の利益を実現するための司令塔として、子供の権利は大事ですよねということを全ての省庁にきちんと横串を通していってくださるものと期待をしております。
 御質問ありがとうございます。
○塩川委員 終わります。ありがとうございました。

【議院運営委員会】沖縄本土復帰50年決議/反対討論/党派を超えて地位協定改正を

 衆院本会議で、沖縄本土復帰50年の決議が賛成多数で可決。日本共産党は、反対しました。

 私は、本会議に先立つ議院運営委員会で、反対討論を行いました。

 決議が「外交努力による本土復帰に思いをいたす」と述べていることについて、復帰を実現させた最大の原動力は、基地のない平和な沖縄を切望した県民の島ぐるみのたたかいと本土の連帯だと指摘。県民の願いに反する沖縄返還協定を強行採決し、基地を存続させた政府・自民党の歴史的責任を覆い隠すことは許されないと強調しました。

 また、日本共産党が求めてきた「基地の整理縮小」「日米地位協定の改定」が盛り込まれていないと指摘。米軍基地由来の新型コロナの感染拡大や米軍犯罪など、県民の命と安全が脅かされ続けているとして、日米地位協定の改正に、党派を超えて取り組むよう主張しました。


討論の要旨は、以下の通りです

 私は、日本共産党を代表し、沖縄の本土復帰50周年に関する決議案に反対の討論を行います。

 第一は、決議案が、沖縄の歴史を歪めていることです。

 「外交努力による本土復帰の歴史に思いをいたし」としていますが、そもそも戦中戦後の沖縄の苦しみは、日本政府自身がつくりだしたものです。

 県民の4人に1人が犠牲になった苛烈な地上戦は、侵略戦争の末期、大本営による本土決戦を遅らせるための捨て石作戦が招いた結果です。その後の米軍統治が戦後27年の長期に及んだのも、サンフランシスコ講和条約第三条で沖縄が本土から切り離され、占領下に置き去りにされたことによるものです。70年前の今日、1952年4月28日は条約が発効した日であり、今なお「屈辱の日」として県民の記憶に刻まれています。

 条約の壁を乗り越えて、本土復帰を実現させた最大の原動力は、平和憲法の下で、基地のない平和な沖縄としての復帰を切望した県民の島ぐるみのたたかい、それと連帯した本土の運動にほかなりません。県民の願いに反する沖縄返還協定を強行採決し、基地を存続させた政府・自民党の歴史的責任を覆い隠すことは許されません。

 第二は、沖縄が直面する課題や県民の願いに向き合うものになっていないことです。
我が党は、与党が提示した原案に対し、県民の総意である「基地の整理縮小」と「日米地位協定の改定」を明記することを求めてきましたが、いずれも盛り込まれませんでした。

 それどころか、決議案は、SACO合意に基づく基地の統合や移転に全力で取り組むとした1997年の決議をふまえるとし、さらに「世界の平和と安定のための創造拠点」としての沖縄づくりを提起しています。

 これでは、政府が県民の民意を無視して強行する辺野古新基地建設や南西諸島への自衛隊配備を追認することになりかねません。

 米軍に治外法権的な特権を保障した日米地位協定の下で、米軍基地由来の新型コロナ・オミクロン株の感染拡大、米軍関係者による犯罪や米軍機の墜落、爆音、環境汚染など、県民の命と安全が脅かされ続けています。

 全国知事会の提言もふまえ、日米地位協定の改正に党派を超えて取り組むことを主張し、討論を終わります。

全建総連と党国会議員団の懇談

 党国会議員団は、全建総連(中西孝司委員長)と懇談。建設資材の価格高騰、納期遅延等に関する要望を受け、意見交換。

 木材の値上がりは深刻。給湯器は納品までに平均二か月以上、最大240日かかる例も。工務店の6割が価格転換できない。

 「木材の高騰、設備の納期遅れが大きく影響しており、支払いが先行するこの業界では資金繰りが難しい。国の支援策に期待したい」という声が上がっている。

 小池書記局長は「要望にしっかり応えたい。新自由主義の経済政策の根本的転換をはかっていきたい」と述べました。


資材高騰/支援切実/全建総連が共産党議員団と懇談

「しんぶん赤旗」4月29日・1面より

 全建総連の中西孝司委員長、勝野圭司書記長ら役員は28日、国会内で日本共産党国会議員団と懇談し、建設資材の価格高騰対策や建設労働者の処遇改善への協力を要請しました。

 中西委員長は、「木材、資材の高騰や設備機器の納入の遅れ、不足が続いている」と支援を要望。「若い人が入ってくる建設産業とするため建設キャリアアップシステムなどを活用しながら処遇改善をすすめたい」と強調しました。

 共産党の小池晃書記局長は、「物価高騰・国民生活防衛対策本部を立ち上げ、実態把握と政府要求に取り組んでいる。消費税増税による消費低下、物価高騰の深刻な被害を受ける建設職人、労働者の切実な要望を受け止め、力を合わせる」と発言。「問題の根本にある大企業優遇の新自由主義の矛盾に転換を求めながら、直面する課題に取り組みたい」と述べました。

 勝野書記長は、工務店アンケート結果を説明。支援策として、新築・リフォーム補助事業の延長・拡充▽実態把握と不当な価格引き上げなどへの対応▽ガソリン高騰への支援策▽事業復活支援金や無担保・無利息の特別貸付などの延長・拡充―などを要望しました。

 懇談では、高橋千鶴子衆院議員が「給湯器などが中小事業者にまわっていないのではないか」と質問し、全建総連は「大きな企業が設備機器の確保に優位になっている。適切な流通を監視、指導してほしい」と述べました。

 田村智子副委員長は、「物価高騰は長期におよぶと予想され、抜本対策を掲げ、消費税引き下げなどを求めていく」と強調しました。

 党国会議員団から3氏のほか、倉林明子副委員長、穀田恵二、塩川鉄也、宮本徹、本村伸子、宮本岳志、田村貴昭各衆院議員、武田良介、大門実紀史、山添拓、井上哲士各参院議員が出席しました。


全建総連・工務店アンケート/原価増/自社負担6割

「しんぶん赤旗」4月29日・8面より

 全建総連は、建材・住宅設備の価格高騰・納期遅延の影響に関する工務店アンケート調査を実施しました。

 3月~4月に35都道府県1097社(従業員4人以下が86.8%)から回答を集約。

 工事原価が上がったとの回答が96%にのぼりました。価格転嫁ができたのは40.3%にとどまり、一部または全部自社負担が59.7%でした。

 住宅設備の納期は、3月納品の給湯器は平均66.7日かかり、最大240日でした。

 売上減少が45.1%、利益減少が64.9%。「資金繰りが心配」41.3%、「すでに資金繰りがひっ迫」16.7%となりました。

 政策要望では、「税負担の軽減」62.1%、「値上がり分に対する消費者向け補助金」49.5%、「流通改善に向けた指導・支援」44.8%、「事業復活支援金の拡充」40.2%と続きました。

【内閣委員会】子どもの意見表明権を認めない文科省/子どもの権利条約の観点が欠落

 審議中のこども家庭庁設置法案、こども基本法案に関連して質問し、髪や下着の色まで指定する理不尽な校則の大本にある子供の意見表明権を認めない文部科学省の姿勢を批判しました。

 私は、「先生に囲まれ無理やり髪の毛に黒スプレーをかけられた」など、日本共産党プロジェクトチームが行った校則の実態調査の結果を紹介し、あまりにおかしいのではないかと質問。

 文科省は「合理的な範囲で校則を定められる」と答弁。

 私は、髪型や服装は人間の尊厳にかかわり、どう尊重するかが教育現場で抜け落ちていると指摘。国連子どもの権利委員会は2010年に日本政府に子どもの意見表明権を尊重するよう勧告をしたのに、政府は、校則の制定は「生徒個人に関わる事項とはいえず、意見を表明する権利の対象となる事項ではない」としていることについてただしました。

 文科省は、「意見表明権の対象としていない」と認めつつ、「校則の見直しに生徒が関わることは、校則を守る意識の醸成につながるなど教育的意義がある」と述べました。

 私は、子どもの意見表明権は、子ども自身に影響を及ぼす全てのことについて自由に意見を述べる権利だと強調し、子どもの権利条約批准時に当時の文部省が出した通知が、意見表明権に触れていないなど、子どもの意見表明権を認めない文科省の姿勢は一貫していると主張。

 子どもの権利条約の観点が欠落していると批判しました。


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「議事録」

<第208通常国会 2022年4月27日 内閣委員会 第22号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 今日は、最初に、与党提出のこども基本法案の提出者に御質問いたします。
 前回もお聞きした点ですけれども、こども基本法案と、子どもの権利条約、学校教育との関係についてであります。
 本会議で、こども基本法は学校教育も包含するのかという私の質問に、提出者の木原稔さんは、教育施策は憲法と教育基本法を頂点とする教育法体系の下で行われるものであることから、こども基本法には学校教育の内容に踏み込んだ規定を設けることはしなかったと答弁しました。
 一方で、先日、金曜日の質疑の答弁では、鈴木さんでしたか、子供施策の定義上、教育施策は子供施策に含まれる、子どもの権利条約の四原則に定めた本法案の子供施策に関する基本理念も学校教育に及ぶと言います。
 こども基本法は学校教育の内容に踏み込まないけれども、こども基本法の基本理念は学校教育に及ぶと言います。違いがよく分からないんですが、説明をいただけますか。
○木原(稔)議員 先日の本会議での私の答弁に対しての御質問をいただきました。
 御紹介いただいたとおり、子供施策の定義上、教育施策は子供施策に含まれることから、児童の権利に関する条約の四原則について定めた本法案の子供施策に関する基本理念もまた、当然、学校教育にも及ぶこととなるということを答弁させていただきました。
 その中で、じゃ、学校教育の内容は何かということとなると、学校教育における教育課程に関する事項のことであります。すなわち、学校教育法では、小学校、中学校、高等学校などの各段階について、それぞれ、教育の目的とそして目標というものが掲げられておりまして、これらに従って文部科学大臣が学習指導要領を定めることになっております。
 こうした事項について、まさに憲法と教育基本法を頂点とする教育法体系の下で行われるものであることから、こども基本法案の中で、学校教育の内容、換言すると、学校教育のカリキュラムに踏み込んだ規定は置かなかったということになります。
 以上です。
○塩川委員 学習指導要領、カリキュラムについては、こども基本法は踏み込まないということであります。そういうことでいいんですよね。
 その学習指導要領には、現状、子どもの権利条約については一言も書いていないということなんですが、この点は、それでいいのかなと思うんですが、いかがですか。
○木原(稔)議員 例えば、児童の権利に関する条約の発効をした際に、随分前ですけれども、平成六年に文部科学省が通知を出しておりまして、その通知は、一部ですけれども、ちょっと読み上げると、「学校教育及び社会教育を通じ、広く国民の基本的人権尊重の精神が高められるようにするとともに、本条約の趣旨にかんがみ、児童が人格を持った一人の人間として尊重されなければならないことについて広く国民の理解が深められるよう、一層の努力が必要であること。」とされているんですね。
 学校教育の内容自体は、先ほど申し上げたように、憲法と教育基本法を頂点とする教育法体系の中で定められているというところでありますけれども、その教育法体系の中でも、今申し上げた通知のように、児童の権利条約に関する条約の趣旨がこれまでも考慮されてきたところであり、そうした意味において、学校教育の内容に及ぶというふうに言えるのではないかなと私は理解しております。
○塩川委員 いや、説明がちょっともうひとつよく分からないんですけれども。
 もう一つの、この前の委員会での答弁ですけれども、子供施策の定義上、教育施策は子供施策に含まれる、子どもの権利条約の四原則に定めた本法案の子供施策に関する基本理念も学校教育に及ぶとあります。このこども基本法に掲げた子どもの権利条約の理念は学校教育に及ぶということなんですけれども、学校教育の内容にも及ぶということでいいんですか。
○木原(稔)議員 学校教育の内容には、だから、そこには踏み込まなかったという答弁をさせていただいたところでありまして。
 例えばですけれども、教育に対する何が内容で、何が内容でないかというところでいうと、これは事前に通告いただいていないですけれども、例えば、各学年に応じて、教科には教科書というものがあって、教科書というのは教科書検定制度というものがあります。例えば教科書検定の内容にまで、どの教科書を採択すべきだとか、この文章の記述はよくないとか、まさにこれは教育内容そのものでありますけれども、そういったことに踏み込むのではない。
 また一方で、例えば文部科学省が既にやっている政策でいうとGIGAスクール構想などがありますが、あれは、内容というよりも、教育の質の向上といいますか、ICTの発達した社会の中で、リモートでいかに子供たちにしっかりと教育していくか、また、このコロナ禍において学校の教育の質をいかに担保していくか。まさに、内容ではなくて教育支援そのもの。
 これは仮定の話ですけれども、もしGIGAスクール構想を文部科学省がやっていなかったとしたら、そうすると、私どものこども基本法などを通じて、憲法の二十六条の子供が教育を受ける権利、これを担保するために、質の向上を踏まえて、こういったGIGAスクール構想などを文部科学省に対して勧告をするというようなこともあるかもしれない。
 つまり、内容と内容でないものというのは、今具体例を例えば申し上げましたけれども、そういったことであります。
○塩川委員 子どもの権利条約の理念は学校教育の内容には及ばないという御答弁、学校教育の内容に、学習指導要領のことも例示としてお話がありました。
 この間、生徒指導提要の改訂作業が行われていまして、そこの中に、子どもの権利条約、四つの一般原則も書き込まれています。これについては、教職員のみならず、保護者、あるいは関係者、そして児童生徒についてもその理解が必要だとなっているわけであります。
 だとしたら、まさに権利の主体である児童生徒が子どもの権利条約について学ぶということが必要じゃないのか。そういった点で、学習指導要領が、現状、子どもの権利条約に触れていないというのはいかがか。今のこのこども基本法案のたてつけでいえば、そこについては踏み込まない、及ばないということになる、それでいいのかということなんですが。
○木原(稔)議員 こども基本法の「目的」の中には、「この法律は、日本国憲法及び児童の権利に関する条約の精神にのっとり、」ということを、こども基本法の中にはしっかり児童の権利に関する条約の精神のことをうたわせていただいており、そういった今回の基本法を通じて、今回設置されることとなるこども家庭庁を通じて、その理念をしっかりとこども家庭庁の中で実現していただくということになっていくのだというふうに理解しております。
○塩川委員 率直に言って、まさに子供の権利を保障するといったことを考えたときに、その権利が何たるものかということを学ぶ機会なしには、それを自らのものとすることができないわけであります。自らの権利を学ぶということは、他者の権利を学ぶということであります。子供の権利を学ぶということは、大人にも権利がある、そのことの中で子供自身の成長も保障されるということだと思います。そういう点での、このこども基本法案のたてつけについては、これでいいのかということは率直に思わざるを得ません。
 何か一言ありますか。
○木原(稔)議員 私どもとしては、既存の教育法体系があり、そしてその横に、このこども基本法という、また別の子供に関する基本法という一つの体系ができ、それがお互いにグラデーションするところもありますが、何よりも、こどもまんなか社会の中で、子供にとって一番よい環境は何かということを追求していくために、こういったこども基本法案を作らせていただいたところであります。
○塩川委員 グラデーションというお話がありましたけれども、そうすると、教育基本法、教育法体系とこども基本法というのは、グラデーションはあるけれども一定のすみ分けをしているということですかね。
○木原(稔)議員 すみ分けということが正しい使い方かどうかはちょっと今すぐに判断できませんが、でも、ある意味、教育の内容に関することなのか、それとも教育支援に関することなのか、そういう意味でいうと、教育ということではつながっているという意味で、すみ分けということも言えるのではないかなと思います。
○塩川委員 教育法体系に、この子どもの権利条約の基本理念、四つの原則などが本当に及ぶのかといった点についての懸念があるということを申し上げておきます。
 それで、それとの関係で、文科省にお尋ねいたします。校則の問題であります。
 我が党は、校則問題のプロジェクトチームをつくっておりまして、この間、中高生や保護者の方や教職員にアンケート活動を行ってきております。三千人の声を寄せていただきまして、「校則に言いたい! 中高生・親・教師三千人の声」、こういった本も出して、その中身について紹介をしているところであります。
 たくさんのアンケートを寄せていただきました。やはり、校則の問題で多かったのが、一つは頭髪関係と服装の関係であります。
 頭髪関係では、先生に囲まれて無理やり髪の毛に黒スプレーをかけられたとか、先生に前髪を切られたとか、なぜツーブロックが駄目なのかなど、そういう声も寄せられていますし、服装関係では、靴下の色とか長さを指定をするとか、スカートの長さを指定をするとか、下着の色を指定をするとか、こういった話というのは、大臣、率直におかしいと思いませんか。
○淵上政府参考人 お答え申し上げます。
 学校におきましては、その教育目標、教育目的を達成するために、必要かつ合理的な範囲内におきまして校則を定めることができる、こうされているというふうに承知をしておりますけれども、その校則の中身につきましては、絶えず、時代の状況ですとか社会の情勢、あるいは、子供たち、保護者の意向、地域の状況など、そういったものを踏まえながら、積極的に見直しをしていくということが大切かというふうに考えております。
○野田国務大臣 ちょっと通告でなかったので、個人的な意見になるかもしれませんが。
 私自身は、すごく厳しい校則の下で、小学校、中学校、高校を送りました。今、息子は本当に自由に、下着の色も靴下も関係ない公立の小学校に通っています。
 ただ、前回ここで議論になったときに、髪の毛を黒くするという、なぜそういうことをしなきゃいけなかったのかなというと、かつては、色の違いでやはり差別とかいろいろなことがあっちゃいけないので、配慮としてみんなと同じにしたという話もエピソードとして聞きましたが、うちの息子の場合はちょっと茶色いので、でも、やはり健康とか様々な育ちを考えたときには、これはちょっと我が家では厳しい話だな、そこはする必要はないんじゃないかなというような話をさせていただきました。
 それぞれ学校が責任を持って取り組んでいるので、子供の意見を聞いて、しっかりと、子供が本当に学校を楽しく過ごせるような、そして子供をしっかり守れるような校則というのを是非御検討いただければと願います。
○塩川委員 やはり、子供の生育過程もあるでしょうし、体調や健康状態なんかの影響も当然あったりするわけです。その上で、髪型とか服装というのは、やはりその人の基本的人権そのもの、ライフスタイルと深く関わるものだから、人間の尊厳に関わるものだ、ここをどう尊重するかということが教育の現場では求められていると思います。
 それで、子どもの権利条約の第二十八条第二項には、締約国は、学校の規律が児童の人間の尊厳に適合する方法で及びこの条約に従って適用されることを確保するための全ての適当な措置を取ると、校則の問題についても触れております。これを踏まえ、子どもの権利委員会の日本政府への勧告では、学校は児童の意見を尊重する分野を制限をしている、児童が学校において自らに影響を与えるあらゆる事柄について意見を十分に表明する権利を促進するための取組を、締約国、日本政府が強化することを求めておりました。
 しかしながら、この子どもの権利条約の日本政府の報告を見ると、学校においては、校則の制定、カリキュラムの編成等は、児童個人に関する事項とは言えず、第十二条一項で言う意見を表明する権利の対象となる事項ではないとしております。
 子供の意見表明権とは、子供自身に影響を及ぼす全てのことについて自由に意見を述べる権利があるということであります。校則の制定は子供に影響を及ぼす事項そのものであり、意見表明権の対象となることは明らかではありませんか。
○淵上政府参考人 児童の権利に関する条約に関します平成二十年、平成二十九年の我が国の政府報告におきましては、校則の制定に関して、学校においては、校則の制定、カリキュラムの編成等は、児童個人に関する事項とは言えず、第十二条一項で言う意見を表明する権利の対象となる事項ではないというふうにされておりますけれども、同じくこの報告書は、これに続きまして、しかし、児童の発達段階に応じて、校則の見直しに当たり、アンケートの実施や学級会、生徒会での討議の場を設けるなど、必要に応じて、児童の意見を尊重した学校運営を実施している旨の記述がされているところでございます。
 文部科学省としましては、校則の内容は日々の教育指導に関わるものでございまして、校則の制定や見直しの過程で児童生徒自身が関与するということは、自ら校則を守ろうとする意識の醸成につながり、身近な課題を解決するなどの教育的な意義があるというふうに考えておりますので、昨年六月の事務連絡におきましても、校則の趣旨や見直しの必要性などについて周知をいたしますとともに、先導的な取組事例をお示しをしているところでございます。
○塩川委員 十二条第一項をどういうふうに受け止めるのかという問題だと思うんです。
 例えば、ユニセフの子どもの権利条約ハンドブックでは、第十二条の子供の意見表明権について、このように紹介しています。子供は自分に関係のあることについて自由に意見を表す権利を持っています、その意見は子供の発達に応じて十分考慮されなければなりませんと述べています。
 子供の関わることについては、子供は自由に意見を表すことができる、関係者は子供の意見に耳を傾けよと求めているのが子どもの権利条約です。しかしながら、校則に係る子供の意見表明権を認めない文科省の立場というのが一貫をしている。
 そもそも、先ほど木原さんも紹介された一九九四年の事務次官通知の中に、校則は学校の責任と判断において決定されるべきもの、意見を表明する権利については、必ず反映されるということまでを求めているものではないとしていますが、ここには、子供は自分に関係のあることについて自由に自分の意見を表す権利を持っているということが触れられていないんです。
 自分に関係のあることについて、とにかく自由に自分の意見を表す権利を持っているということがこの意見表明権の第十二条ですけれども、何で事務次官の通知にはこの肝腎なことが触れていないんですか。
○淵上政府参考人 お答え申し上げます。
 児童の権利に関する条約の第十二条第一項に関しましては、先ほども申し上げましたように、校則の制定、カリキュラムの編成などにつきましては、児童個人に関する事項とは言えないので、十二条一項で言う意見を表明する権利の対象となる事項ではないというふうに解しているところでございますけれども、ただ、他方、校則の運用、見直しなどにおいて、子供たちの意見を聞くといったようなことは、先ほども申し上げましたとおり、教育的な意義も有するものでありますので、そうした取組をすることは望ましいというふうに考えているところでございます。
○塩川委員 校則について、子供が自由に意見を表す権利があるという子どもの権利条約の観点が欠落しているんじゃないのかということを申し上げて、質問を終わります。

埼玉・宮代町で演説会

 埼玉県宮代町で党演説会。

 敵基地攻撃能力の強化、軍事費倍加、武器輸出拡大など、自民党の軍事力強化の動きは重大。

 軍事対軍事の悪循環やめ、9条を生かした東アジアの平和外交を!

 燃油価格の引下げ、消費税減税、年金減額中止、賃上げ政策の前進を!

 化石燃料依存を脱却し、再エネ・省エネに本腰を入れるとき。

 参院選で比例5議席必ず!埼玉は梅村さえこさんへ!

【内閣委員会】こども家庭庁設置法案に「子どもの権利条約」なし/権利条約を正面に据えよ

 こども家庭庁設置法案と与党提出のこども基本法案について質問し、子どもの権利条約を正面に据えることが必要だと主張しました。

 私は、子ども・若者育成支援推進法や児童福祉法には「子どもの権利条約の理念(精神)にのっとり」という文言が規定されている。それなのに、「こどもまんなか社会」を目指す司令塔をうたうこども家庭庁設置法案に、子どもの権利条約の文言がないのは何故か、と質問。

 野田聖子少子化担当大臣は、「(閣議決定した)基本方針で明記している」と答弁。

 私は、閣議決定ではなく、法律で理念を据えることは当然の前提だと強調し、これまでのこども施策に関わる法律より後退したと言わざるを得ないと批判しました。

 私は、文科省が検討作業をしている生徒指導提要の改定試案には、子どもの権利条約の4原則(「生命、生存及び発達に対する権利」「子どもの最善の利益」「意見の表明・尊重」「差別の禁止」)が扱われており、同条約の理解は、教職員だけでなく、児童生徒・保護者・地域にとっても必須としていると確認したうえで、学習指導要領には「子どもの権利条約」の文言があるのかと質問。

 文科省は、ないことを認めました。

 私は、権利の主体である児童生徒の側が、子どもの権利条約そのものを学ぶ機会を位置付けないのはおかしいと追及。

 文科省は「広く周知し理解してもらうことが大切だ」としか述べませんでした。

 私は、学校教育に子どもの権利が及ばないことになりかねないと批判。

 野田大臣は「こども家庭庁の設置で穴の無いよう取り組んでいけると信じている」と述べました。


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「議事録」

<第208通常国会 2022年4月22日 内閣委員会 第21号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 こども家庭庁設置法案、それから与党提出のこども基本法案について質疑をいたします。
 一九九四年に批准をされました子どもの権利条約が日本の法制度にどのように位置づけられてきたかについて確認をしたいと思います。
 野田大臣にお尋ねしますが、条文に子どもの権利条約が盛り込まれた最初の法律は二〇〇九年の子ども・若者育成支援推進法と承知していますが、それでよろしいでしょうか。
○野田国務大臣 子ども・若者育成支援推進法においては、法律の目的として、児童の権利に関する条約の理念にのっとり、他の関係法律による施策と相まって子ども・若者育成支援施策を推進することとしております。
 児童の権利に関する条約の原則についても、法律の基本理念として、子供、若者が健やかに成長すること、個人としての尊厳が重んぜられ、不当な社会的取扱いを受けることがないようにするとともに、その意見を十分に尊重しつつ、その最善の利益を考慮すること等を明記してあります。
○塩川委員 今、子どもの権利条約の理念にのっとり、また四つの原則に則した部分の記述のところを紹介いただきました。
 そもそも、子どもの権利条約のこういう規定について法律に盛り込んだのがこの子ども・若者育成支援推進法ではないかと承知しているんですが、その点、確認したいと思うんですが、よろしいですか。
○野田国務大臣 そうです。
○塩川委員 一九九四年に批准された子どもの権利条約ですが、国内法の中に規定として盛り込まれたのがこの二〇〇九年の子ども・若者育成支援推進法が最初ということであります。
 ただ、今御説明いただいて、いわゆる四つの一般原則が法律の条文に盛り込まれているという趣旨でお答えいただいたのかなと思ったんですが、内閣府のホームページにあります子ども・若者育成支援推進法の説明資料を見ますと、いわゆる四つの原則については、第二条の差別の禁止、第三条、子供の最善の利益、第十二条、子供の意見の尊重は位置づけられておりますが、第六条の生命、生存及び発達に関する権利というのがホームページ上の説明資料では位置づけられていなかったんですが、そこはどういうことか分かりますか。
○笹川政府参考人 お答え申し上げます。
 子ども・若者育成支援推進法、これは第一条で「児童の権利に関する条約の理念にのっとり、」というふうに明言しておりますので、私どもといたしましては、これに尽きるというふうに思っております。ありがとうございます。
○塩川委員 子どもの権利条約の理念にのっとりと第一条であるから、そういう中で四つの原則は包含をしているという御説明ということであると思いますが、ただ、ホームページを見ますとそういった記載になっていないものですから、その点は何らか見直す必要は、お考えはありませんか。
○笹川政府参考人 お答え申し上げます。
 検討させていただきます。ありがとうございます。
○塩川委員 子どもの権利条約、その四つの一般原則とされています差別の禁止、差別のないこと、子供の最善の利益、子供にとって最もよいこと、生命、生存及び発達に対する権利、命を守られ成長できること、そして子供の意見の尊重、意見を表明し参加できることといった内容について、四つの原則としているわけであります。
 子ども・若者育成支援推進法は、「児童の権利に関する条約の理念にのっとり、」と目的に書き、四つの原則を掲げているということでありました。
 この子ども・若者育成支援法は、当初の法案には、つまり、閣法で出されているわけですけれども、麻生政権のときでしたが、閣法で出されたときには、子どもの権利条約は記述をされておりませんでした。修正協議の中で盛り込まれたということですけれども、そういうことでよろしいでしょうか。
○野田国務大臣 そうです。
○塩川委員 当時、自公政権が提出をした当初の法案、閣法、青少年総合対策推進法案には、子どもの権利条約の記述はありませんでした。
 青少年特別委員会で修正協議も行われて、野党の修正案提出者の民主党の吉田泉委員が修正の趣旨を述べておられますけれども、そこでは、憲法及び児童の権利条約の理念を反映させることとし、日本国憲法及び児童の権利条約の理念にのっとる旨を明示するとともに、子供、若者について、尊厳を重んじる、差別的取扱いを受けない、意見の尊重、最善の利益を考慮などの理念を明記することとしていると述べています。
 子どもの権利条約を位置づけることを求める市民と野党の働きかけによって盛り込まれたものということであります。
 こういった子ども・若者育成支援推進法は、権利条約の理念にのっとり、四つの原則も踏まえているわけですが、法律に書き込めばいいという話じゃなくて、実際それがどう実践されるのかという点で、この法律がやってきたことについての検証ということも行う必要がありますが、まずは出発点として、権利条約の様々な理念、一般原則、これをしっかりと国内法に位置づけるということは極めて重要であります。
 そういう点で、次に、児童福祉法についてお尋ねをいたします。
 この児童福祉法において、子どもの権利条約の内容というのはどのように盛り込まれているか、四つの一般原則は位置づけられているのか、この点についてお答えください。
○岸本政府参考人 お答えいたします。
 児童福祉法では、第一条におきまして、「児童の権利に関する条約の精神にのつとり、」との文言が明示的に盛り込まれているところでございます。
 その上で、同条におきまして、全て児童は、適切に養育されること、その生活を保障されること、愛され、保護されること、その心身の健やかな成長及び発達並びにその自立が図られることその他の福祉をひとしく保障される権利を有すること、また、第二条におきまして、全て国民は、児童が良好な環境において生まれ、かつ、社会のあらゆる分野において、児童の年齢及び発達の程度に応じて、その意見が尊重され、その最善の利益が優先して考慮され、心身ともに健やかに育成されるよう努めなければならないことについて規定しておりまして、御指摘の四つの一般原則の要素を含んでいるものというふうに考えております。
○塩川委員 第一条に、児童の権利条約の精神にのっとりとあり、この第一条部分、それから第二条部分で、成長及び発達、あるいは意見の尊重、最善の利益等々、四つの一般原則に係る要素を包含をしているということですが、ただ、差別の禁止という文言そのものはここの条文上はないわけですけれども、そこはどこでどのように読むということなんでしょうか。
○岸本政府参考人 お答えいたします。
 差別の禁止という文言ではございませんが、先ほど御説明申し上げました第一条の条文の中に、「その心身の健やかな成長及び発達並びにその自立が図られることその他の福祉を等しく保障される権利を有する。」というふうに書いてございまして、これが、差別なくひとしく扱われなければならないという考え方を盛り込まれているというふうに考えているところでございます。
○塩川委員 児童の権利条約の精神にのっとり、そういった趣旨にそもそも差別の禁止ということが想定される、含み得るということでよろしいですか。
○岸本政府参考人 お答えいたします。
 御指摘のような点に加えまして、文言としてそれを、「等しく保障される」というふうに書いていることで更にそういった趣旨を強調しているものというふうに考えているところでございます。
○塩川委員 児童福祉法におきましても、子どもの権利条約の精神にのっとりとあります。また、その条文を通じて四つの一般原則の要素を包含をしているというお話でありました。
 そこで、こども家庭庁設置法案についてですけれども、このこども家庭庁設置法案において、子どもの権利条約の内容はどのように盛り込まれているんでしょうか。この四つの一般原則はどのように位置づけられているのかについて、大臣、御説明ください。
○野田国務大臣 お答えします。
 昨年末に閣議決定したこども家庭庁の創設の考えを示した基本方針では、今後の子供政策の基本理念として、全ての子供の健やかな成長、ウェルビーイングの向上を掲げ、児童の権利に関する条約にのっとり、全ての子供が生命、生存、発達を保障されること、子供に関することは常に子供の最善の利益が第一に考慮されること、子供は自らに関係のあることについて自由に意見が言え、大人はその意見を子供の年齢や発達段階に応じて十分配慮すること、そして、全ての子供が個人としての尊厳が守られ、いかなる理由でも不当な差別的取扱いを受けることがないようにすることといった基本原則をいま一度社会全体で共有し、必要な取組を推進することが重要としています。
 これを踏まえて、設置法案では、こども家庭庁の任務として、子供の年齢及び発達の程度に応じ、その意見を尊重し、その最善の利益を優先して考慮することを基本として明記し、子供の健やかな成長及び子供のある家庭における子育てに対する支援や、子供の権利利益の擁護に関する事務を行うことを規定し、児童の権利に関する条約の四つの原則の趣旨を踏まえた内容としています。
○塩川委員 この任務のところで、「こどもの年齢及び発達の程度に応じ、その意見を尊重し、その最善の利益を優先して考慮することを基本とし、」というところが子どもの権利条約に係る部分ということで御紹介になったわけですけれども、ただ、この質疑で確認しましたように、子ども・若者育成支援推進法においても児童福祉法においても、子どもの権利条約の理念にのっとり、子どもの権利条約の精神にのっとり、こういったことがうたわれているんですが、このこども家庭庁設置法にはないんですよね。それはどういうことなんでしょうか。
○野田国務大臣 こども家庭庁設置法の、任務、第三条の中で、例えば、児童の権利に関する条約の四つの原則の、生命、生存及び発達に関する権利としては、「こどもの健やかな成長及びこどものある家庭における子育てに対する支援」ということになりますし、子供の最善の利益ということであれば、「その最善の利益を優先して考慮することを基本とし、」とありますし、そして、子供の意見の尊重というのは、「こどもの年齢及び発達の程度に応じ、その意見を尊重し、」とありますし、差別の禁止については、「こどもの権利利益の擁護に関する事務を行うことを任務とする。」ということで、四つの原則をしっかり入れてあります。
○塩川委員 先行するほかの法律においては、子どもの権利条約の精神にのっとり、子どもの権利条約の理念にのっとりとあるんですが、それがこのこども家庭庁設置法案にないのはなぜなんでしょうか。
○野田国務大臣 こども家庭庁設置法でありますので、その他の法律とは若干意を異にしている、御理解いただけると思います。
○塩川委員 ただ、先ほども、基本方針で、子どもの権利条約にのっとり子供の権利を社会全体で共有しましょうというお話をされているわけです。その際に、やはり国がこういった組織をつくるのであれば、その大原則として子どもの権利条約の理念にのっとりということがまずは掲げられるというのが筋だと思うんですけれども、そう思いませんか。
○野田国務大臣 繰り返しになりますけれども、こども家庭庁をつくる組織の法律の中身になりますので。でも、それはしっかり踏まえた上で、この任務の中に取り入れているというふうなことで進めているところです。
○塩川委員 ですから、子どもの権利条約にのっとり、子供の権利をしっかりと保障するということがこどもまんなか社会というのであれば、まずはしっかり法律の上でも位置づける必要があるんじゃないですかと。単なる組織の法律だから入れないというのはそもそもおかしな話であって、子どもの権利条約の理念にのっとりということを掲げるのはある意味当然じゃないかなと思うわけですが。
○野田国務大臣 繰り返しで恐縮ですけれども、これは設置法、こども家庭庁設置法で、そのこども家庭庁の中には、今委員がお話しされた子ども・若者育成支援推進法が所管されることになるので、そこはしっかりと担保されることになります。
○塩川委員 いや、それは、その中に含まれるということでしょうから。
 じゃ、こども家庭庁設置法と子ども・若者育成支援推進法との関係はどういうふうになるのか。
○野田国務大臣 こども家庭庁設置法は、あくまでも組織の在り方、任務がどういうものかということをお示しする法律で、条約の理念というのは、子ども・若者育成支援推進法のような理念法の中で書かれるということで、法律の性質の違いというか、役所をつくるための、設置するための内容の法律案ということでございます。
○塩川委員 だって、こどもまんなか社会、そういう社会をつくる上での司令塔をつくるというわけですよね。司令塔のときに、何を目標に、何を掲げてやるかという大原則というのがあるわけじゃないですか。そういったときに、もちろん憲法は当然そうでしょうけれども、国際法であります条約としての子どもの権利条約の理念にのっとりというのが掲げられるのがそもそも筋なんじゃないのかと思いますが、改めて、いかがですか。
○野田国務大臣 それに関しましては、昨年の閣議決定されたこども家庭庁の創設の考えを示した基本方針の中でしっかり明記されているということです。
○塩川委員 だから、閣議決定の基本方針で明記しても、法律で明記しなくてどうするんですか。まさに国会を通じて、審議を通じて、国民の皆さんに、まさに権利利益について関わるような法律にしていくわけですから、そういったときに、やはり法律の中に、子どもの権利条約の理念にのっとりということをしっかり据えるというのは当然の前提だと思うんですけれども、基本方針に書いたから、閣議決定でいいんですという話は違うんじゃないですか。
○野田国務大臣 何度も繰り返しになりますけれども、新しい組織をつくる、設置の在り方、任務とか、そういうことを記している法律で、その前提が、先ほど申し上げた閣議決定している基本方針の中で、児童の権利に関する条約にのっとってそういう設置をするということで、御理解いただければと思います。
○塩川委員 だって、そもそも、こどもまんなか社会をつくる、その司令塔といったときに、どういう理念を掲げてやるのかといった際に、まずはそこを、子どもの権利条約の理念にのっとりとうたうというのは当然過ぎる前提じゃないのか。違いますか。
○野田国務大臣 それについては、先ほど申し上げたように、任務の中にしっかりと権利条約の四原則は入れてあるということであります。
○塩川委員 四原則といっても、そう読めるのかというのは率直に思いますけれどもね、そこは。
 今まで、説明にあったように、子ども・若者育成支援推進法とか児童福祉法というのは、まずは、子どもの権利条約の理念にのっとり、子どもの権利条約の精神にのっとりというのがあるから、そこで四つの原則を担保しているという説明をしているじゃないですか。
 そういう点でも、子どもの権利条約の理念にのっとりと書いているということが、まさに基本となる理念を基にして子供施策を行うということになるんですから、そこを書くのは当然の前提、当たり前のことだと思うんです。改めて、いかがですか。
○野田国務大臣 基本方針でしっかりと、児童の権利に関する条約にのっとりということで、四原則をしっかり、児童の権利条約とうたわなくてもその中身をしっかり担保しているところが任務というところに当てはまると思います。
○塩川委員 閣議決定している基本方針には子どもの権利条約にのっとりと言っているのに、何で法律に、作るときにそれを入れなかったんですか。
○野田国務大臣 入れていないのではなく、任務規定にあります。
○塩川委員 だから、子どもの権利条約という文言がないですよねということを言っているんです。
○野田国務大臣 任務規定の中に四原則がしっかり書き込まれているので、その必要はないということです。
○塩川委員 いやいや、ですから、それで本当にそう読めるのかという話をしているわけで、ほかの、前の二つの法律の説明では、子どもの権利条約の理念にのっとり、精神にのっとりというのがあるからそれで担保しているという話であって、担保されないんじゃないですかということですけれども。
○野田国務大臣 先ほどの法律は理念法ですから、基本理念をしっかり書かれて、私たちは、その基本理念をしっかりと、四原則を任務の中に書き込んでいるということです。
○塩川委員 じゃ、子供施策の理念法というのはどこにあるんですか。
○野田国務大臣 先ほど委員がお話しされた子ども・若者育成支援推進法です。
○塩川委員 子ども・若者育成支援推進法が、子供施策全体をカバーしているという法律なんですか。
○野田国務大臣 それも含めて、これがまずは、子どもの権利条約、先ほど御説明されたとおりで、子供の政策の一つの法律となります。他にもいろいろ議員提案等々あるわけですけれども、それもやはりこども家庭庁が包含して、総合的に調整をかけて政策を遂行していくと。
○塩川委員 包含するのはこども家庭庁の方なんですから、子ども・若者育成支援推進法が包含しているわけじゃないわけで、そういう点でも、子どもの権利条約が位置づけられていないというのがこども家庭庁設置法の実態ではないのかということになりますと、これまで子どもの権利条約を掲げてきた法律に比べても、率直に言って後退しているんじゃないですかということを言わざるを得ません。
 子どもの権利条約があっても、貧困やいじめや虐待、自殺などの子供の現状が深刻なわけであります。でも、その権利保障をきちっと法律に規定することすらしないというのでは、そのような保障も、行うということにつながらないということを言わざるを得ません。
 そこで、与党提出のこども基本法についてお尋ねいたします。
 本会議で、こども基本法は学校教育も包含するのかという問いに、提出者の木原稔議員は、教育施策は憲法と教育基本法を頂点とする教育法体系の下で行われるものであることから、学校教育の内容に踏み込んだ規定を設けることはしなかったと答弁をいたしました。
 それを聞いて思ったのは、このこども基本法と教育基本法との関係というのはどうなるんでしょうか。教育施策は憲法と教育基本法を頂点とする教育法体系の下で行われる、学校教育の内容に踏み込んだ規定は設けなかったと。このこども基本法案と教育基本法との関係について少し説明をいただけませんか。
○鈴木(隼)議員 お答えいたします。
 子供に対する教育は、現行法上、憲法及び教育基本法を頂点とする教育法体系の下で行われており、これはこども基本法案が成立しても変わるものではないと考えております。
 子供の健やかな成長を支えるというこども基本法案が成立すれば、子供に対する教育においても子供の成長を中心に考えるという理念が明確となります。そして、これは、教育基本法一条に定める教育の目的に掲げる、心身ともに健康な国民の育成という目的と通ずる理念であると考えております。
○塩川委員 学校教育の内容との関係で、教育基本法とこのこども基本法案は、すみ分けというんですか、重なりがあるのか。その考え方はどうなっているんですか。
○鈴木(隼)議員 こども基本法案につきましては、子供施策を包含するものとして定めることとしています。一方で、そういう意味では、学校教育につきましても、法律の定義上、子供施策と位置づけることはできます。ただ、教育の内容につきましては、教育基本法を基とした法体系の中で検討されているものであるというふうに考えております。
○塩川委員 学校教育の内容については教育基本法というお話です。それで、教育施策は憲法と教育基本法を頂点とする教育法体系の下で行われるものであることから、こども基本法には、学校教育の内容に踏み込んだ規定を設けることはしなかったとしました。
 こども基本法の基本理念には、そもそも法案にも憲法と子どもの権利条約の理念にのっとりとうたい、基本理念の一号から四号で、いわゆる四つの原則に則しての規定が行われている、つまり、権利条約を理念として掲げている、それがこども基本法案という御説明であるわけですけれども、そうしますと、学校教育の内容を、こども基本法についてその規定を設けるということにならないとすると、こども基本法の基本理念に掲げている子どもの権利条約、そしてその四つの原則が学校教育には及ばないということになりはしませんか。
○鈴木(隼)議員 お答えいたします。
 本法案における教育施策の位置づけは、御指摘の本会議における答弁のとおりでございますが、先ほど、子供施策の定義上、教育施策は子供施策に含まれるものとなっております。したがいまして、児童の権利条約の四原則を定めた本法案の子供施策に関する基本理念もまた学校教育に及ぶこととなります。
○塩川委員 これは実際に現状がどうなっているのかということですけれども、大臣にお尋ねしますが、こども家庭庁設置法案の所掌事務には学校教育は入っていないということでよろしいですよね。
○野田国務大臣 入っておりません。
○塩川委員 子どもの権利条約を掲げる与党提出のこども基本法案と、こども家庭庁設置法案は、学校教育に関与しないということです。
 そこで、教育施策については子どもの権利条約の理念も反映されるという趣旨の御説明があったんですが、学校教育の内容については踏み込まないという答弁だったわけであります。そうしますと、文科省の、学校教育における子どもの権利条約に係る施策がどうなっているのか、この点を確認したいと思います。
 文科省にお尋ねしますが、子どもの権利条約について、教育施策にどのように位置づけて取り組んでいるのかについて御説明をください。
○岡村政府参考人 お答えいたします。
 文部科学省では、これまで、児童の権利に関する条約を踏まえ、人権教育の推進や、児童生徒が安心して学べる環境の整備などに取り組んでまいりました。具体的には、教育委員会の担当者を対象とする各種会議等を活用し、毎年度、条約の内容等の周知を含めた人権教育の推進に努めております。
 このほかにも、文部科学省におきましては、児童の権利に関する条約の趣旨も踏まえて、例えば、虐待や自殺防止のための相談体制の整備、いじめ防止のための取組の促進、学校における体罰をなくすための取組強化、教育費負担軽減に関する取組等を進めております。
 引き続き、条約の趣旨を踏まえ、これらの取組を進めてまいります。
○塩川委員 人権教育の推進をしている、子どもの権利条約の趣旨を踏まえて子供の権利保障についての様々な施策を行っているという御説明でした。しかし、それが学校教育の内容として本当に反映されているのか、子どもの権利条約そのものについてどうなっているのかということです、一般的に人権教育とかということではなくて。
 現在、文科省で作業中の生徒指導提要改訂試案では子どもの権利条約が扱われていると承知をしております。この生徒指導提要というのはそもそもどんなものなのかについて簡単に御説明をいただけますか。
○淵上政府参考人 文部省が作成しております生徒指導提要といいますものは、学校における生徒指導を行うに当たっての基本的な考え方などをお示しをしているものでございます。
○塩川委員 学校運営についての基本的な考え方を示すということで、要するに生徒指導に生かそうということですけれども、これはこれまでどのように活用されてきたかを説明してもらえますか。
○淵上政府参考人 生徒指導提要につきましては、現在の生徒指導提要は平成三十年に作成したものでございますけれども、この作成に当たりましては、有識者の方々を協力者として作成協力者に委嘱をして、その委員の先生方の御意見を受けながら作成をしているという状況でございます。
○塩川委員 平成三十年、前回作成をした生徒指導提要について、その中には子どもの権利条約に係る記述というのは入っていたんでしょうか。
○淵上政府参考人 失礼しました、先ほど平成三十年と申し上げましたが、現在の生徒指導提要は平成二十二年のものでございました。
 それで、お尋ねの、その中に児童の権利に関する条約に関する内容が盛り込まれているかということでございますが、現在の生徒指導提要には盛り込まれていないところでございます。
○塩川委員 それで、今検討作業中の生徒指導提要の改訂試案では、子どもの権利条約はどのように扱われているんでしょうか。
○淵上政府参考人 現在、生徒指導提要の改訂のための協力者会議で改訂に向けた検討を行っていただいているところでございますけれども、この協力者会議の場におきまして、委員の先生方から、児童の権利の理解を深めるため、児童の権利に関する条約について盛り込むよう御意見がございました。
 これを踏まえまして、本年三月の同会議においてお示しをしました改訂試案におきましては、児童の権利に関する条約の四つの原則などについて盛り込んだものを御提示をしているところでございます。
○塩川委員 四つの原則を盛り込んだものを提示をしているということです。
 済みませんが、この生徒指導提要の改訂試案で、教職員の児童の権利に関する条約についての理解を促すという、児童の権利条約に関する、条約についての規定ですけれども、この改訂試案を見ますと、児童生徒の基本的人権に十分配慮し、一人一人を大切にした教育が行われることが求められますということで、四つの原則を紹介しています。この四つの原則の該当部分を読み上げてもらえますか。
○淵上政府参考人 本年三月の協力者会議にお示しをしております改訂試案の四つの原則の該当箇所でございます。
 1差別の禁止。児童又はその父母若しくは法定保護者の人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治的意見その他の意見、国民的、種族的若しくは社会的出身、財産、心身障害、出生又は他の地位にかかわらず、いかなる差別もなしにこの条約に定める権利を尊重し、及び確保する。
 2児童の最善の利益。児童に関する全ての措置を取るに当たっては、公的若しくは私的な社会福祉施設、裁判所、行政当局又は立法機関のいずれによって行われるものであっても、児童の最善の利益が主として考慮されるものとする。
 3生命・生存・発達に対する権利。生命に対する児童の固有の権利を認めるものとし、児童の生存及び発達を可能な最大限の範囲において確保する。
 4意見を表明する権利。児童が自由に自己の意見を表明する権利を確保する。児童の意見は、その児童の年齢及び成熟度に従って相応に考慮される。
 こうした文言が現在盛り込まれているところでございます。
○塩川委員 今御紹介いただきましたように、この生徒指導提要の改訂試案では、子どもの権利条約の四つの原則について、こういう形での記載が行われています。
 その後に続く文面で、この四つの原則を踏まえて、「いじめや暴力行為は、児童生徒の人権侵害であるばかりでなく、進路や心身に重大な影響を及ぼします。教職員は、いじめの深刻化や自殺の防止を目指す上で、児童生徒の命を守るという当たり前の姿勢を貫くことが大切です。また、安全・安心な学校づくりは、生徒指導の基本であり、同条約の理解は、教職員、児童生徒、保護者、地域にとって必須だといえます。」と述べております。
 文科省にお聞きしますが、この子どもの権利条約の理解は、教職員、児童生徒、保護者、地域にとって必須ということですね。
○淵上政府参考人 平成六年に、児童の権利に関する条約を受けまして文部科学省として発出をした通知の中にも、「児童の人権に十分配慮し、一人一人を大切にした教育が行われなければならないことは極めて重要なことであり、本条約の発効を契機として、更に一層、教育の充実が図られていくことが肝要であります。このことについては、初等中等教育関係者のみならず、広く周知し、理解いただくことが大切であります。」というふうに述べているところでございまして、こうした考え方に立っているところでございます。
○塩川委員 この提要の改訂試案にあるように、子どもの権利条約の理解は、教職員、児童生徒、保護者、地域にとって必須だと考えているということでよろしいですね。
○淵上政府参考人 繰り返しになりますが、初等中等教育関係者はもちろん、それ以外の方々についても、広く周知し、理解いただくということが大切なことというふうに考えております。
○塩川委員 教職員の理解だけじゃなくて、やはり児童生徒の理解が必須だということで。
 それでは、必須とされている児童生徒に子どもの権利条約の理解を促す教育はどうなっているのか。学習指導要領には、子どもの権利条約の文言は記載されているんでしょうか。
○淵上政府参考人 お答えする前に、先ほど平成六年文部科学省がと申し上げましたけれども、平成六年文部省がでございました。失礼いたしました。
 お尋ねの、学習指導要領に子どもの権利条約の文言が規定されているかということでございますけれども、学習指導要領上、児童の権利に関する条約という文言は明記されておりませんけれども、関連する記載といたしましては、例えば、中学校の社会科、公民的分野におきまして基本的人権の尊重、中学校技術・家庭科の家庭分野におきまして幼児の生活と家族に関すること、また、高等学校公民科において人間の尊重と平等、個人の尊重、高等学校家庭科において、子供の生活と保育に関し、生涯にわたって家庭、家族の生活を支える福祉の基本的な理念などを扱うことを規定しております。
 さらに、高等学校の家庭科の学習指導要領の解説におきましては、児童の権利に関する条約などに示された児童福祉の理念について触れることなどが記述をされているところでございまして、こうしたことを踏まえて、関連の教科書におきましても記述が見られるところでございます。
○塩川委員 いろいろ人権に係るような教育があるというんですけれども、そもそも、子どもの権利条約の理念、また四つの一般原則、これそのものについては明記されていないという話でした。
 子どもの権利条約の理解は児童生徒にとっても必須というんですから、学習指導要領に子どもの権利条約の理念や四原則がないというのは不自然かな、位置づけたらいいのではないかと思うんですが、いかがですか。
○淵上政府参考人 お答え申し上げます。
 学習指導要領は教育課程の大綱的な基準でございますので、個別の、例えば児童の権利に関する条約などといった個別の文言については余り盛り込むことになじまないものでございますけれども、ただ、今申し上げましたように、中学校や高等学校の関係教科の中に関連する記述がございまして、例えば、中学校の家庭分野につきましては、全ての教科書におきまして、児童の権利に関する条約、また四つの権利の内容が盛り込まれているところでございますし、令和四年度から高等学校で使用されております全ての家庭科の教科書、これは必修科目でございますけれども、ここにおきましても児童の権利に関する条約に関する記載があるということでございまして、こうした教科書の記載を踏まえて各学校において取り扱われているところでございます。
○塩川委員 国際条約として子供の権利の一般原則を定めている子どもの権利条約は、共通の子供の権利に係る原則ですから、そういうのをしっかり学ぼうというのは、子供の権利を保障する上でも極めて重要だと思います。
 教職員の方には、生徒指導提要も活用して、今後、子どもの権利条約を理解した生徒指導を行うよう求めるわけですね。それなのに、権利の主体である児童生徒の側に、子どもの権利条約そのものを学ぶ機会を位置づけようとしないのはおかしな話じゃありませんか。
○淵上政府参考人 お答え申し上げます。
 繰り返しになりますけれども、中学校の社会科ですとか技術・家庭科、また高等学校の公民科あるいは家庭科といったところで関連する内容については学ぶこととなっておりますので、そうした内容を通じて、子供たちは人権に関する教育をしっかり学ぶこととなっているというふうに承知をしております。
○塩川委員 大臣、お尋ねしますが、所管外と言わずに、感想ということでも結構ですから、今言った点ですよね。
 学校におきまして、子どもの権利条約が非常に重要だ、これを学ぶことは必須だということを今度の生徒指導提要でうたっている。そういう際に、教職員の側は、このような生徒指導提要も活用して、子どもの権利条約を理解した生徒指導を行うとしているのに、権利の主体である児童生徒の側が子どもの権利条約そのものを学ぶ機会を位置づけようとしないというのはおかしい話じゃないかなと思いますが、いかがでしょうか。
○野田国務大臣 文科省が取り組んでいる、所管外ですけれども、こども家庭庁の立場からすると、子どもの権利条約と書いていないからとおっしゃったけれども、四原則はしっかり任務の中に書き込んであるので、そこを発信していくのは私たちの役所ですから、当然、子供政策全般を担う、総合調整をやる立場からすると、私たちの方からしっかり発信をしていく、子供にも、やはり子どもの権利条約を学ぶ、学んでもらう機会をつくっていくというのは私たちの立場だと思います。
○塩川委員 子供が一番時間を過ごすのが学校教育の現場、学校になるわけです。そこにおける子供の権利をどう保障するかというのは一番問われていることであって、今ずっとお聞きしましたように、このこども家庭庁設置法には、残念ながら、子どもの権利条約の理念にのっとりということが入っていないということがありましたし、学校教育については、こども基本法案についてはその中身を含まないというお話でもありました。
 そうしますと、学校教育に子どもの権利条約が及ばないということになりかねない、こういった事態というのは、これは子供の権利保障という観点からいっても極めて重大だと言わざるを得ませんが、改めて、一言、いかがでしょうか。
    〔委員長退席、平委員長代理着席〕
○野田国務大臣 そういうこともございますので、こども家庭庁を設置して、文科省の取組、また様々子供に関わる取組を総合調整して、私も、今日、塩川委員がおっしゃってくれたので、生徒指導提要の中身について知り得ることができたわけで、こども家庭庁ができることによって、そういうことの穴がないように取り組んでいけると信じています。
○塩川委員 終わります。

物価高騰・国民生活防衛対策本部会合/党国会議員団

 物価高騰・国民生活防衛対策本部開く。

 原油価格や物価の高騰により国民生活や中小事業者の経営は深刻です。喫茶店ではコーヒー豆が2割値上げ、銭湯はガス代が2割値上げ、中華料理屋はカニが手に入らず、食用油は2割高。新電力から電気を購入していた工場は、月額600万円の電気料金が1200万円になるという。

 現場に足を運び、切実な要望をつかむとともに、喫緊の課題に応える対策と抜本対策に取り組もうと確認。