埼玉・越谷市後援会総会であいさつ

 越谷市後援会総会、オンラインであいさつ。

 オール埼玉総行動の小選挙区単位の宣伝など、越谷でも市民と野党の共同の取り組みを進めています。

 民青同盟がコロナ禍で経済的に困窮している学生への食糧支援行動に取り組むと、とても歓迎され、大学生活の不安や「こんな企画があれば参加してみたい」との声が寄せられたといいます。

 安全、迅速なワクチン接種、大規模な検査体制の強化、医療機関への支援とともに、事業者と生活困窮者の支援に全力を挙げるとき。臨時国会を開いて、補正予算を編成すべきです。

 オリンピックは中止して、コロナ対策に集中を!

オリンピックは中止して、コロナ対策に集中を/尾崎あや子都議と街頭演説

 東大和市内で、尾崎あや子都議と街頭演説。司会は上林市議。

 東京都は三日連続で一週間前の新規感染者数を上回り、リバウンドが懸念されますが、緊急事態宣言は解除。昨年もそうだったように、夏場は感染が広がる懸念があります。そんなときにオリンピックを行えば、さらに感染を拡大することにつながります。

 子どもたちは、修学旅行や宿泊行事は見合わせなのに、オリンピック観戦には行けというのはどういうことか!

 オリンピックは中止して、コロナ対策に集中を!

北関東ブロックいっせい宣伝/埼玉・北朝霞駅前

 北朝霞駅前で北関東ブロックいっせい宣伝行動に参加。山口公悦市議と一緒に訴え。

 土地利用規制法の対象施設となる陸自朝霞駐屯地。監視対象となる住民は約1万2500世帯、2万2100人に及ぶといいます。この法律は、土地・建物の利用を中止させることも可能。土地の売買、賃貸など不動産取引への影響も懸念されます。

 それなのに、対象区域、調査対象、調査内容、罰則対象など、どれもあいまいで際限なく広がり、政府に白紙委任するものです。

 プライバシー権、財産権を侵害する違憲立法は廃止しよう!

 オリンピックは中止し、コロナ対策に集中を!

平井大臣の“恫喝”発言問題/野党合同ヒアリング

 「平井大臣 問題発言 解明」野党合同ヒアリングに出席。

 IT総合戦略室会合での平井大臣の“恫喝”発言は、特定業者を排除し、又は優遇するものであり、官製談合防止法に抵触する疑いがある。

 IT室には、NECやNTTグループを始め、IT企業に在籍している社員が非常勤国家公務員として、多数勤務している。

 今回の事件で、改めて官民癒着が問われている。


官民癒着の温床に/デジタル相発言で野党ヒア/塩川氏指摘

「しんぶん赤旗」6月19日・2面より

 日本共産党や立憲民主党などは18日、国会内で野党合同ヒアリングを行い、内閣官房IT総合戦略室のオンライン会議(4月7日)での平井卓也デジタル改革担当相の発言は、官民癒着を生む構造的問題が根底にあると指摘し、事実関係をただしました。

 平井氏は同会議で、東京五輪・パラリンピックで導入予定のアプリの減額交渉に関わって、請負先の企業を「脅しておいた方がいい」などと幹部に指示していたことが判明。また、『週刊文春』(17日発売)は、デジタル庁の入退室管理に使う顔認証システムの導入をめぐり、自身と関係の近いベンチャー企業への発注を示唆する発言をしたと報じています。

 平井氏が会議の中で特定のベンチャー企業名を挙げたとただした野党の国会質問状に、平井氏側は「言及した事実はない」と回答。野党議員は、平井氏による「そのベンチャー」「そこの顔認証」との発言がどの企業を指すのか確認するよう求めました。

 日本共産党の塩川鉄也衆院議員は、オンライン会議に参加した職員の人数や役職を示すよう要求。内閣官房の担当者は「記録がない」などとして明らかにせず、会議に参加する職員の明確な基準も明らかにしませんでした。

 塩川氏は、IT室には出身企業に籍を置いたまま出身企業から給与補填(ほてん)も受けている非常勤職員が100人以上も在籍しており、特定企業の利益を優先するような「官民癒着の温床になる」と強調。今回のように特定企業を優遇・排除するような発言は、IT室の構成そのものが生み出しているのではないかと厳しく批判しました。

 

【議院運営委員会】東京・大阪など緊急事態宣言解除/夏は感染拡大リスク増/五輪中止を

 緊急事態宣言と「まん延防止等重点措置」の一部解除にあたり政府から事前報告を受け、質疑を行いました。

 私は、政府分科会の尾身茂会長が、今夏は宣言解除で東京の人流加速、夏休み、お盆、帰省による人流加速、変異株の影響、によって感染リスクが大きいと述べたと指摘。政府の認識を質しました。

 西村康稔経済再生担当大臣は、分科会で夏は感染が増えるとの強い指摘があったことをあげ、「昨年も感染が広がった。デルタ株もある」と感染拡大のリスクを認めました。

 私は、菅総理が「切り札」と位置付けるワクチン接種による集団免疫は、夏までには効果が見込めないのではないかと追及。

 西村大臣は「集団免疫とはならないだろう」と認めました。

 私は、このような夏に五輪を開催すれば、感染拡大を招くと強調。こどもの運動会、修学旅行は中止なのに、なぜ五輪だけ特別にやるのか」との国民の声にどうこたえるのか質しました。

 西村大臣は「理解いただけるように取り組む」と答えるのみ。

 は、国民の声に答えていないと批判し、五輪中止を求めました。

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「議事録」

<第204通常国会 2021年6月17日 議院運営委員会 第48号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 東京都の新規感染者は下げ止まり、増加の傾向すらあります。少なくとも東京では、緊急事態宣言は継続すべきだと考えます。
 そこで、昨日の厚労省アドバイザリーボード、また今日の分科会でも、東京都の人流について、このまま増加傾向が続くとリバウンドに向かうことが懸念され、警戒が必要としました。大臣はどう受け止めますか。
○西村国務大臣 本日の分科会でも、御指摘のように、後半の半分ぐらいは東京都をどういうふうに対応するかということで議論がなされました。御指摘のように、リバウンドについての強い懸念が示されたところであります。
 その上で、議論が最終的に集約されたのは、リバウンドに対して、それも想定しながら、強い措置を継続、強化していくこと、これは特に、ワクチン接種の加速と同時に、検査の拡充であったり、QRコードを活用することや下水のサーベイランス、下水によってチェックをしていくことですね、新たなこういった手法をしっかり徹底してやっていくべきこと、さらには、まさに感染再拡大の兆候があれば、ちゅうちょなく緊急事態宣言を発動すべきだということでございました。
 こうした分科会としての強い御意見をいただきましたので、しっかりと受け止めて、対策を引き続き継続、そして強化していきたいというふうに考えております。
○塩川委員 尾身会長は、オリンピックをやるかどうかにかかわらず、この夏は、宣言解除で東京の人流が加速する、夏休み、お盆、帰省で人流が拡大をする、そして変異株の影響、感染のリスクが大きいと述べております。西村大臣も同じ認識ですか。
○西村国務大臣 まさに、今後の様々なリスクについても本日議論がありましたし、基本的対処方針でも記載をしておるとおり、私自身もそのリスクについては認識をしているところであります。
 御指摘の夏休み、お盆、こうした人流の増加、それから季節性も今日かなり強く御指摘がありまして、夏はどこも、北半球は増えているんですね。実は、夏になると減るんじゃないかとありましたけれども、これは、暑いために冷房をかけて室内にいるということで、かなり感染が、昨年も広がったし、先進国各地、アメリカでも南部で特に昨年は広がったということが、今日も指摘がございました。
 こうしたリスク、そしてデルタ株についてのリスクも含めて、そういったことを認識しながら、感染拡大のリスクをしっかりと抑えていけるように対策を強化し、徹底していきたいというふうに考えております。
○塩川委員 先週の議運理事会で西村大臣は、夏までの集団免疫の効果は見込めないと私の質問に答えました。菅総理が切り札と言うワクチン接種による集団免疫は、夏までには効果が見込めないということではありませんか。
○西村国務大臣 先ほどお答え申し上げましたけれども、昨日までの時点で約二千七百万回の接種が進んでおります。さらに、今後、職域接種が進む中で、一日百万回程度の接種が進むということでありますと、一か月で、仮にの概算ですけれども、三十掛ける百万で三千万回プラスされるということで、約五千何百万回の接種が進む。七月末までには、高齢者、希望する方は全て打ち終わるということで、全自治体がそれを可能だということで回答があったと承知をしております。
 そうした中で、いわゆる発症予防、そして重症化の予防は、リスクのある高齢者が重症化することはかなりの程度抑えられるんではないかというふうに、これは専門家も含めて見ているところでございます。
○塩川委員 予防効果はある。集団免疫の効果が夏までには見込めるのかどうなのか。
○西村国務大臣 この集団免疫というのをどういうふうに定義するかはありますけれども、国民の六割、七割が免疫を持つということからすると、七月の段階では高齢者の全てが二回打ち終わるということでありますので、その段階では、恐らく数千万回ということでありますから、集団免疫ということには、六割、七割ということにはならないんだろうというふうに思います。
○塩川委員 イベント開催の人数要件について、緊急事態宣言や重点措置の場合は五千人、解除された場合は一万人まで認めるということです。感染拡大のリスクを高めることになりませんか。
○西村国務大臣 緊急事態宣言については、これまでも、解除後五千人の上限が一万人になるということにしてきておりました。その後に五〇%までなりますので、五万人の会場であれば二万五千人までなるということですが、蔓延防止等重点措置の場合は、五千人の下で進めてきたものが、解除されるといきなり五〇%だけの制限になりますので、そうすると五万人の会場なら二万五千人にいきなり上がってしまうということで、過渡期的、いわば段階的に緩和をしていくという観点から一万人という基準を今回導入したものでございます。
○塩川委員 元々、この緊急事態宣言、重点措置、五千人、その元をたどれば、昨年の夏の段階で五千人という人数要件を決めたわけであります。ただ、そのときには、アルファ株、ましてやデルタ株の影響などが考慮されない、そういう段階の五千人という数字だったのではありませんか。
○西村国務大臣 その後、緊急事態宣言の下でも、例えば、この四月、五月、六月も、プロ野球、Jリーグなど、五〇%、五千人の上限でやっていただいております。
 そうした中で、スタジアムで何か感染が拡大をした、クラスターが発生したということは報告を受けておりませんし、専門家の皆さんも、この五千人で何かリスクが高い、そういった評価は聞いておりません。
 今回、一万人という、いわば厳しくしているんですけれども、いきなり五〇%になるんではなく、一万人というのを一か月程度置いてから、更に状況を見て緩和するかどうかということを判断していくということで、この一万人という判断に当たっても、専門家の皆さんから満場一致で了解をいただいたところであります。
○塩川委員 このような夏に更に人の移動を拡大するオリンピックを開催すれば、一層の感染拡大を招く懸念があります。子供の運動会や修学旅行が中止になっているのに、何でオリンピックだけ特別にやるのか、こういう国民の声にどう応えますか。
○西村国務大臣 国民の皆さんの中には、様々な御意見、御心情を持っておられると思います。私どもとして、丁寧に御説明をしながら、感染のリスクをできる限り下げていく、このことに全力を挙げて、できる限り多くの方に御理解をいただけるように取り組んでいければというふうに考えております。
○塩川委員 オリンピックだけ特別扱いなのかという声に応えているとは思えません。
 菅総理は、国民の命と健康が守れないなら五輪をやらないと述べました。
 コロナ対策担当大臣として、総理に五輪の中止を進言すべきではありませんか。
○西村国務大臣 菅総理も、先般、国会で答弁されましたとおり、国民の皆さんの命と健康を守るのが最優先ということであります。そのことが第一ということは当然であります。
 感染リスクをできるだけ下げるべく、専門家の意見もしっかりと受け止めながら、対応していきたいと考えております。
○塩川委員 終わります。

街頭から国会報告/埼玉・JR浦和駅前

 浦和駅西口で国会報告の街頭演説会。伊藤岳参院議員、梅村さえこ衆院北関東比例予定候補と訴え。

 オリンピックは中止、コロナ対策に集中を!

 プライバシー権、財産権を侵害する住民監視の土地利用規制法案の強行採決に抗議。違憲立法は廃止しよう!

 今国会で、市民と野党の共闘は前進。入管法、放送法、貿易保険法を撤回させた。自民党改憲4項目は3年間、9国会にわたって審議を阻止した。国民投票法の実施を許さないたたかいを進めたい。

 今年度予算について、野党で抜本的な組み替え提案を行ったのは画期的。野党共同提出法案は今国会10本、この4年間では64本にのぼる。

 そして4月の国政3選挙では野党が全勝。

 この力をさらに広げて、総選挙で政権交代、野党連合政権の道を開こう!

 野党共闘の要となる共産党の躍進を!都議選で勝利を!

総選挙で審判を/国会前集会であいさつ

 総がかり行動実行委員会の国会前集会であいさつ。

 参議院本会議では、住民監視の土地利用規制法案の強行採決を狙った内閣委員長の解任決議案が議題に。

 区域指定もあいまい、規制対象行為もあいまい、調査対象は土地・建物を利用する全ての人など、全く政府に白紙委任の法案だ。

 政府審議会メンバーだった参考人も“様々な憶測を生む。条文で歯止めを考えないといけない”といわざるを得ない代物。きっぱり廃案しかない。

 衆議院では、内閣不信任決議案が否決された。オリパラは中止して、コロナ対策に集中を、というのが国民の声。コロナ対策に全力を挙げ、オリパラは中止、そして総選挙で審判を!

市民と野党の共闘前進を/茨城革新懇総会であいさつ

 茨城革新懇総会に出席。来賓として、二見伸明元運輸大臣・県市民連合共同代表、福島伸享元衆院議員、大内くみ子党県委員会副委員長・衆院北関東比例代表予定候補とともに、あいさつ。

 東海第二原発再稼働反対、廃炉を求めるたたかいなど、政治革新の要求に基づく共同が広がっています。

 菅政権打倒、野党連合政権めざす草の根の市民と野党の共闘を前進させよう!

尾崎あや子都議の応援に/都議選北多摩1区

 都議選間近。北多摩1区の尾崎あや子都議の応援に!

 尾崎都議の質問回数はトップクラス。北多摩1区では断トツの1位。

 豊洲新市場の謎の地下空間の第一発見者。ゼネコンとの不透明な契約を告発。都の公共事業入札監視委員長に都の元幹部が就くのは、監視される側が監視をするものであり、官民癒着をまねくと追及。小池都知事は、都のOB起用を辞めることを表明せざるを得ませんでした。

 中小企業小規模企業振興条例制定にあたって、「小規模企業」を入れるよう提案したのも尾崎都議でした。

 尾崎あや子さんが当選し、日本共産党が躍進した2013年以降、都の保育所予算は6倍、認可保育園は1.6倍に。都有地の活用、国有地、民有地購入補助の提案で都政を動かしてきました。

 都議会になくてはならない尾崎あや子都議の議席。何としても押し上げてください!

【議院運営委員会理事会】まん延防止一部解除へ/事前報告受け議論

 群馬、石川、熊本のまん延防止等重点措置の解除に当たって、西村大臣から事前報告を受け、議論。野党は、これまで通り、公開され、議事録も残る委員会での報告・質疑を求めましたが、理事会での報告となりました。

 私は、コロナワクチンの接種に関して、尾身茂・政府分科会会長が集団免疫の効果を得るのは夏よりも後になるとの見通しを示していることについて「西村大臣も同じ認識か」とただしました。

 西村大臣は、菅首相が述べた10~11月の希望者が全員接種できる段階になれば集団免疫の効果も考えられるが、7~8月までには見込めないと答弁。尾身氏と同様の認識を示しました。

 私は、オリパラの開催期間は、集団免疫の効果を見込めず、人流を大きく増やすことにもつながると指摘。オリパラ中止を決断すべきだと求めました。

【内閣委員会】宇宙資源法案/米国中心のルール作りに加担/国際ルール作りこそ

 民間事業者に宇宙資源の所有権を認めることを目的とした宇宙開発法案が10日の衆院本会議で、共産党を除く各党の賛成多数で可決しました。

 私は、9日の内閣委員会で、宇宙資源は人類の共同財産であり、国際ルール作りこそ優先すべきだと主張しました。

 国連の小委員会での宇宙資源に関する議論を確認。

 外務省赤堀大臣官房審議官は、「宇宙資源の利用を肯定する国から所有権を否定する国まで、各国の立場は様々だ」と答え、日本は宇宙資源の採取及び利用を認めるアルテミス合意の署名国としての立場から議論に参加していると述べました。

 アルテミス合意は、米国が主導して国連の枠外でまとめた政治的宣言です。私は、国際ルールが定まっていない中、宇宙資源の所有権を他国に先んじて認める国内法整備を進めることは、早い者勝ち競争になると強調。

 政府の宇宙基本計画では、安全保障面での日米宇宙協力の一層の強化を打ち出している。各国間で様々な議論が行われているときに、軍事面を含め米国と一体となった宇宙政策推進でよいのかと批判。国連のもとでのルールづくりを進めよと主張しました。


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「議事録」

<第204通常国会 2021年6月9日 内閣委員会 第31号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 提出されました宇宙資源探査開発法案について、提出者に質問をいたします。
 今回の法案の目的は、宇宙資源の所有権を認めるというものであります。宇宙条約など国際法では、月その他の天体から採取された資源の所有権に関する規定はあるんでしょうか。
○小林(鷹)委員 お答え申し上げます。
 宇宙条約には、宇宙資源の所有につきまして明示的な規定はございませんが、宇宙資源の所有について明示的に禁止する規定もございません。広く宇宙活動の自由を認めておりますこの宇宙条約の趣旨に鑑みれば、天体から採取した宇宙資源の所有は許容されていると解することができるものと考えております。
○塩川委員 禁止されていないと言いますけれども、そもそも、宇宙条約上に資源等についての規定がないということでの御答弁がありました。
 一方、月協定などでは、「月の表面又は地下若しくはこれらの一部又は本来の場所にある天然資源は、いかなる国家、政府間国際機関、非政府間国際機関、国家機関又は非政府団体若しくは自然人の所有にも帰属しない。」とあります。宇宙資源の所有権に関するルールそのものについての各国間の見解の一致はないという段階であります。
 次に、法の第五条には、「採掘等をした宇宙資源については、当該採掘等をした者が所有の意思をもって占有することによって、その所有権を取得する。」とあります。この「採掘等」とは「宇宙資源の採掘、採取その他これに類するもの」としておりますが、宇宙資源の所有権を認める場合、関連する採掘権、開発権などについてはこの法律ではどのように位置づけられるんでしょうか。
○大野委員 お答え申し上げます。
 御指摘の点につきましては、御指摘のとおり、法案第五条におきまして、許可に係る事業活動計画の定めるところに従い宇宙資源を採掘等をした者が所有の意思をもって占有すればその所有権を取得する旨を規定してございます。一方で、この法案においては、事業者の採掘権あるいは開発権については特段規定をしてございません。
 なお、本法案に基づいて所有権を取得するには、法案第三条により宇宙資源の探査及び開発の許可を受ける必要があるわけでございますが、しかし、この許可も、主として、事業活動の目的が平和的利用という宇宙条約の趣旨に適合するか、あるいは、活動期間や範囲が他国との国際協調の障害にならないか等を確認するために行われるものでございまして、この許可をもって事業者に宇宙資源の採掘権や開発権を与えるものではない。すなわち、基本的には、一定の場所について排他的な権利を与えるようなものではない、そういう規定を設けていないということでございます。
○塩川委員 所有権は認めますと。
 所有権を認める宇宙資源について採掘等が行われるといった場合に、当然、一定の場所、エリアを定めて、そこで採掘などを行う、それは当然開発を伴うということについて、採掘権、開発権などの規定がない中で、所有権というのはどうやって保障されるんですか。
○大野委員 一般的に、地球上、地表面であれば、当然、他者との利害調整の上で様々な権利を付与して、それで何か、例えば資源であるとか、あるいはほかの目的、そういったものに、この権利を与えることによって所有権を与えるということになるんだと思いますけれども、天体上では基本的に利害を調整するという必要が今ないわけでありますし、また一方で、調整するメカニズムというのが国際ルールとして定まっているわけでもない。すなわち、利用あるいは探査という、こういった宇宙の活動は、宇宙条約でも認められているとおり、基本的には自由が保障されているわけであります。
 したがいまして、一定の期間あるいは一定の場所で短時間、目的を達成するために必要な限りにおいてそれは認められ得るのではないかということでございますが、その上で、これから国際ルールをしっかりとつくっていくという議論が今進んでございますので、その流れもしっかりと見詰めてまいりたい、また、我々もしっかりと日本としてもルールづくりに参画をしていかなければならないと思ってございます。
○塩川委員 議論が進んでいるということであれば、その議論を待ってという整理の方がふさわしいのではないかということと、天体における利害調整の必要性はないとおっしゃいますけれども、ただ、月においても極において水資源というのは当然誰もが求めるところであるわけで、一番いいところというのはどこかという話になってくるわけです。
 そういうときに、そこでの所有権、水資源について所有権を認めるという場合に、当然、採掘をします、開発をしますと。その採掘権、開発権が定まっていない中で、同じ場所を求めるという国同士の利害調整というのは当然考えなくちゃいけないということになるわけですけれども、各国が宇宙資源の所有権、開発を進めた場合に、利害関係の調整というのはこの中ではないということでしょうか。
○浅野委員 お答え申し上げます。
 宇宙条約第九条においては、宇宙活動一般に関する国際的な調整に関して規定をしておりまして、宇宙活動に潜在的に有害な干渉を及ぼすおそれがあると信ずる理由があるときの国際協議について規定をしております。
 一方で、宇宙資源の開発、取得に係る利害調整の具体的な在り方につきましては、現在、国連等において国際的なルールづくりに向けた議論がまさに行われている状況であると承知をしております。
 このような状況下ですので、民間事業者による宇宙活動をしっかりと後押しすると同時に、他国の事業者との関係で紛争等が生じないように、適切な監督を及ぼすための法制度として本法案を提案させていただいたところであります。
 本法案においては、宇宙資源の探査、開発に関する事業活動が宇宙条約等に適合していることを許可の審査対象とした上で、許可があった場合には、事業活動計画の内容等を公表することにより、国際的な協調を図っているところでございます。
 また、国についても、国際的に整合の取れた制度の構築に努めるとともに、国際的な連携の確保のために必要な施策を講ずることについても規定をしており、他国との利害調整を図ることとしております。
 一方、一国の法制度にとどまらず、最終的には国際的なルールの整備が必要であるとの認識については、まさに我々も同じ認識を持っているところでございます。我々としても、本法案に基づく制度を基礎として、我が国が国際的なルールづくりを主導し、宇宙空間における法の支配の徹底を図ることが極めて重要であるものと考えております。
 以上です。
○塩川委員 利害関係の調整の仕組みはないということで、その在り方については国連のルールづくりが行われているという話でありました。その点、まさにそういう方向をどうするのかということが問われる中での国内法の整備になっているということです。
 宇宙資源の所有権を認める場合に、採掘等のために一定の期間、一定の空間を占有することが必要となりますが、これは、宇宙条約第二条にあります、宇宙空間は国家による取得の対象とはならないという規定に反することになりませんか。
○青柳委員 お答えいたします。
 宇宙条約第二条は、月その他の天体を含む宇宙空間が国家による取得の対象とならない旨規定しており、いずれの国も、宇宙活動のために、月その他の天体を含む宇宙空間の一部を一時的に占拠することをもって、宇宙空間の排他的利権、権利を主張することはできないとされております。
 一般論として、宇宙活動のための占拠は、その活動に必要な限りにおいて認められると解されており、様態や期間等はその具体的事例に応じて判断されるものと考えられます。
 なお、本法律案では、内閣総理大臣が許可を行うに当たり、事業活動の目的、期間、場所等が関係諸条約の実施に支障を及ぼすおそれがないことについても審査の対象としており、他国との関係において問題が生じないよう対処できるものと考えております。
○塩川委員 こういった在り方について、宇宙資源開発に関する国際ルールが現在未確定であります。国内法の優先ではなく、宇宙資源開発に係る国際ルールづくりこそ優先すべきだと考えます。
 国家間の利害調整について、国内法だけで担保することはできません。国際ルールが定まっていない中、宇宙資源の所有権を他国に先んじて認める国内法整備を進めることは、いわば早い者勝ち競争により、かえって紛争につながりかねないということを指摘せざるを得ません。
 国連でのルールづくりの話が答弁でもありました。
 外務省にお尋ねしますが、国連宇宙空間平和利用委員会、COPUOSの法律小委員会において、天体における資源開発をめぐるルールづくりの協議が始まっています。各国は宇宙資源開発についてどのような主張を行っているのか、日本政府はどのような主張をしているのか、御答弁を求めます。
○赤堀政府参考人 お答えいたします。
 御指摘の小委員会では、宇宙資源に関するものを含め、宇宙活動に関する国際ルールの在り方について議論が行われてきており、二〇一七年からは、宇宙資源の探査・開発・利用における潜在的な法的モデルという議題の下、宇宙資源の開発及び利用に関する国際的な枠組みやガイドライン等の必要性等について議論が行われております。
 現在行われている法律小委員会第六十会期においては、宇宙資源に関する非公式会合が開催され、宇宙資源の開発、利用に関するワーキンググループの設置に関する議論が進められております。
 宇宙資源の開発及び利用に関しては、アルテミス合意の署名国のように、宇宙条約に従った形で宇宙資源の利用を認めるべきだとの立場の国々から、月の資源に対する所有権を否定する月協定を支持する立場の国々まで、各国の立場は様々でございます。
 我が国も署名したアルテミス合意は、宇宙資源の採取及び利用について、宇宙条約に従い、安全かつ持続可能な宇宙活動を支援するために行われるべきとしており、日本政府としましては、アルテミス合意及びその他の関連する国際機関に沿う形で宇宙資源の利用を追求していくとの方針の下、議論に積極的に参加しているところでございます。
○塩川委員 今お話ありましたように、各国の立場は様々だということであります。政府の検討の中でも、宇宙ビジネスを支える環境整備に関する論点整理タスクフォースの宇宙資源関連活動に関する主な論点では、所有権を取得するまでの手続やそこから得られる利益の配分方法等について議論が高まることが想定されるとしております。
 例えば、利益の配分方法については、国連海洋法条約では、深海底の鉱物資源については、同条約に基づき設立された国際海底機構の承認、管理を通じて、金銭的利益その他の経済的利益の分配が行われることになっています。一方、スペース・ベネフィット宣言では、成果を直接配分するというのではなく、情報共有や技術移転に限るという方向性が示されております。
 宇宙資源開発に関して、各国で様々な議論が行われており、国際ルールづくりはこれから重要となってくる段階であります。その上で、日本政府は、二〇一九年、アメリカが主導するアルテミス計画に参画をしました。その際、安倍総理は、米国の新たな挑戦に強いきずなで結ばれた同盟国として参画すると述べました。
 宇宙事務局にお尋ねしますが、二〇二〇年には、米国を始めとする八か国のアルテミス合意に署名をしています。日本は、アルテミス合意に即した国際ルールづくりを進めるという立場ということですね。
○松尾政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほど先生から御指摘ございましたように、宇宙活動から得られる経済的利益の分配の考え方、これにつきましては、類似の事例とされました、国際機関による管理を行う方法、あるいは情報共有や技術移転などによる方法を含め、様々な考え方があるというふうに認識しております。
 政府として現時点で特定の考え方を決めているわけではございませんで、今後の宇宙資源に関する取組の実態も踏まえながら、先ほど先生もお話ございましたアルテミス合意の参加国など、関係国とも連携しながら、国連宇宙空間平和利用委員会等におきます国際的なルールづくりの議論に対応していきたいと考えております。
○塩川委員 アルテミス合意の署名国と連携をしてということであります。
 提出者にお尋ねしますが、今回の法案は、米国が主導するアルテミス計画及びアルテミス合意を念頭に、宇宙資源の所有権を認める国内法整備を行うものであります。政府の宇宙基本計画では、宇宙政策推進の基本的なスタンスとして、国家安全保障戦略を踏まえ、宇宙開発利用の推進に当たっては、中長期的な観点から国家安全保障に資するように配慮するとあります。また、国際宇宙協力の強化として、日米間においては、安全保障、民生宇宙利用、宇宙科学、探査等の全ての分野で包括的に連携し、日米同盟の強化に貢献するとあります。
 各国間で宇宙開発をめぐる様々な議論が行われているときに、軍事面を含め米国と一体になった宇宙政策推進でよいのか、国連のスキームを踏まえた国際ルールづくりこそ進めるべきではないのか、この点についてお答えください。
○小林(鷹)委員 お答え申し上げます。
 まず、今委員の方から、この法案がアルテミス合意を見据えたというお話があったんですけれども、結果としては時期が重なって、その相乗効果ということで、事実としてはそうなんですけれども、私たち起案者サイドの意図としては、アルテミス合意がある前から、こうした法案がやはり日本の宇宙産業の振興には絶対に必要だという思いを持って起案させていただいたという経緯は御理解いただきたいと思います。
 いただいた御質問につきましてお答えさせていただきますと、我々といたしましては、この法案の第七条第一項に規定しておりますとおり、国際的な枠組みへの協力を通じまして、各国政府と共同して国際的に整合の取れた宇宙資源の探査及び開発に係る制度構築に努めるなど、米国を含め、米国のみならず、各国と連携して宇宙政策を進めていくことが重要だと考えております。
 また、今委員御指摘の米国と一体という点につきましては、単にアメリカに合わせるということではなくて、あくまで我が国の国益という視点に立った上での連携をしていくことが重要だと考えております。昨年十月に我が国を含めてなされたアルテミス合意も、アメリカのほかに、既にこうした類似の法律を持っておりますルクセンブルクですとかUAEを含めてなされております。
 こうしたことを含めて、こうした国々とより対等な立場で国益にかなう議論を進めていくためにも、今、国内法の整備が必要だと考えております。
○塩川委員 今回、委員会提出という形について、私どもは同意をしておりません。そういう点で甚だ残念でありますし、討論の機会もこういう形でありませんので、最後に、討論的な発言をして終わりにしたいと思っております。
 本案の目的は、民間事業者に宇宙資源の所有権を認めることです。
 そもそも、宇宙資源は人類の共同財産です。宇宙条約第一条は、宇宙探査、開発の原則として、全ての国の利益のためにと定めており、宇宙資源の扱いは、一部の技術力を持つ宇宙開発先進国に限るのではなく、途上国からの同意も得た国際ルールに基づくべきです。そのため、現在、国連の宇宙空間平和利用小委員会でルールづくりが進められています。
 ところが、米国や中国などは、こうした国連での議論を無視し、国際ルールがないのをいいことに、早い者勝ちの宇宙資源獲得競争を繰り広げています。本案の提出者は、法律を先行的に作ることで国際ルールづくりを牽引すると言いますが、米国にくみして日本も早い者勝ち競争に参加しようということは明らかです。
 本案の背景には、月面での持続的な探査の実現を目指す米国主導のアルテミス計画があります。日本は、二〇一九年に、当時の安倍総理が、米国の新たな挑戦に強いきずなで結ばれた同盟国として参画すると述べて、アルテミス計画への参加を決定し、翌二〇二〇年には、米国など八か国のアルテミス合意に署名しています。
 本案は、米国主導の枠組みの中で、日本の宇宙関連産業を拡大させ、成長戦略としようとするものです。また、宇宙資源に関する国際ルールづくりに背を向け、米国中心のルールづくりに加担するものであり、反対です。
 日本の宇宙開発利用は、平和利用に限るとした一九六九年の国会決議の下、軍事利用を禁止してきました。ところが、二〇〇八年成立の宇宙基本法に我が国の安全保障に資するという規定が盛り込まれ、その下で、二〇二〇年の宇宙基本計画では、国際宇宙開発の強化として、日米間においては、安全保障、民生宇宙利用、宇宙科学、探査等の全ての分野で包括的に連携し、日米同盟の強化に貢献するとし、我が国の宇宙政策を日米同盟の強化に位置づけています。
 軍事面を含め、米国と一体になって宇宙政策を推進することは、宇宙の平和利用から一層逸脱するものであり、容認できないことを述べて、質問を終わります。

【内閣委員会】五輪中止を/集団免疫間に合わず/専門家が警鐘

 五輪・パラリンピック開催に専門家から感染拡大の強い懸念が出されていることをあげ、開催中止を求めました。

 私は、新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長が、五輪関係者の感染対策の重要性を指摘し、感染リスクなどに関する見解を国際オリンピック委員会(IOC)に伝えたいと述べていることをあげ、IOCは、専門家の見解を受け止める用意があるかと質問。

 内閣官房十時(ととき)内閣官房審議官は「提言が出されれば、IOCと共有する可能性はある」などと明確には答えませんでした。

 私は、五輪開催が国内外でコロナウイルスを広げることになりかねない。政府として五輪開催の判断基準を示すべきだと強調。尾身会長は、ワクチンによる集団免疫について、7月8月の段階では感染レベルが抑えられるという考えは早すぎると警鐘を鳴らしていると指摘し、政府の認識を質しました。

 河野太郎ワクチン接種担当大臣は「専門家が判断することだ」と答弁しなかったのに対し、私は、政府としての考えを持っていないのかと批判。オリパラ中止の決断をせよ、と主張しました。


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「議事録」

<第204通常国会 2021年6月9日 内閣委員会 第31号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 オリンピック・パラリンピックとコロナ対策について質問いたします。
 大臣は最後の質問になりますので、よろしくお願いします。
 オリンピック・パラリンピックの事務局の方にお尋ねしますが、大会関係者の行動管理の問題です。
 海外から来る大会関係者は、陰性証明書さえあれば入国後の待機はありません。検疫所が確保する宿泊施設での待機について、インドなど六か国については十日間の待機ですとか、また、その他の国でも、六日間の待機が三か国、三日間の待機が三十二か国ありますが、大会関係者については待機がありません。大丈夫でしょうか。
○十時政府参考人 お答え申し上げます。
 東京大会に参加する大会関係者の出入国に係る措置の在り方につきましては、四月二十八日に開催いたしましたコロナ調整会議において対策を取りまとめております。
 この中で、大会関係者につきましては、原則、入国後十四日間、宿泊施設で待機することとしておりますが、入国前の予定や入国後の活動内容などによって、入国後十四日以内に活動を開始しなければ大会の運営に支障がある場合には、定期的な検査、用務先の限定、受入れ責任者による監督などの厳格な行動管理、そして公共交通機関の不使用等を条件といたしまして、国内の方々と接触しないという措置を十分取って、防疫措置を講じた上で待機緩和を認めることとしております。
○塩川委員 ホテルの問題なんですけれども、大会組織委員会は、大会関係者の宿泊については、組織委員会のあっせんしたホテルのみならず、メディアを含めて、入国者が自己手配したホテルも全て組織委員会が把握をするとしています。
 組織委員会のあっせんしたホテル数、また入国者が自己手配したホテル数というのはどのぐらいなんですか。
○十時政府参考人 大会関係者の宿泊、ホテルについての御質問でございますが、現在、組織委員会において、引き続き、大会関係者の来日者数、人数を精査しておりまして、組織委員会があっせんするホテルについては調整中と承知をしております。また、関係者が自己手配しているホテルというのもございましたけれども、これらについても、情報の集約を図っているところでございまして、現時点では確定していないものと承知をしております。
○塩川委員 情報集約して、現時点で確定していないということですが、大会組織委員会は、これらのホテルについては全て、自治体とも連携した上で、組織委員会が監督者を置くなどして関係者の行動を管理するとしています。
 しかしながら、熊谷千葉県知事は、幕張とかに組織委員会が大量にホテルを予約をしているが、それが誰なのか、情報が共有されていないと報道で述べておられました。自治体と連携できていないんじゃないでしょうか。
○十時政府参考人 大会組織委員会と自治体の連携ということでございますが、様々な場面で事務的にも連絡を取るようにしていただいていると思いますが、大会関係者の宿泊につきましては、現在、組織委員会において、選手そして大会関係者のために会場周辺でホテルの手配を進めていると承知をしております。
 まだ、宿泊する関係者の数や配宿、宿の配分等について変動しているという状況だということで、組織委員会において具体的な情報を関係自治体に提供するため準備を進めているという段階だということでございまして、自治体の方とその点について十分情報が共有できていなかったということかと存じます。よろしくお願いいたします。
○塩川委員 ですから、おおよそどのホテルにどんな人が入るのかというのは既に示しているわけですよね。そういうことについて、千葉県だったら千葉県にしっかりとした説明が必要だと思うんですが、今後はどうされるんですか。
○十時政府参考人 今ほど申し上げましたように、現在、具体的な情報を整理しておりますので、早急に組織委員会と関係自治体で情報提供、情報共有を進めるように促してまいりたいと存じます。
○塩川委員 自己手配ホテルの入国者の方について、本当に行動の管理ができるのかという疑問があるんですが、この点はどうでしょうか。
○十時政府参考人 お答え申し上げます。
 選手や大会関係者につきましては、国内にお住まいの方々と交わらないようにするため、用務先については、大会運営に必要不可欠な用務先に限って、本邦活動計画書に事前に登録し訪問することができるということとしておりまして、この計画書に登録のない場所には外出することは禁止されております。
 また、宿泊施設は、組織委員会が管理するホテル又は地元自治体と協議の上で組織委員会が防疫措置が講じられているということを確認し登録したホテルに限定をいたしまして、組織委員会が管理者を置くなど、宿泊する関係者の行動を管理することとしております。
 こうした方針は、大会の主催者であるIOC、IPC、組織委員会が作成する、全ての大会関係者が遵守すべきルールを記したプレーブック第二版にも反映されておりまして、これらの実効性を担保するため、受入れ責任者が管理を行い、ルールに違反した場合には大会参加資格を剥奪することもあり得るとしております。
 政府としては、引き続き、安全、安心を最優先といたしまして、内外の感染状況等を注視しながら、東京都、大会組織委員会、IOCなどと緊密に連携いたしまして、大会に向けた準備を着実に進めてまいります。
○塩川委員 報道では、メディアですとかオリンピックファミリーについても入国後十四日間はGPSによる行動管理を行うというのがありましたが、これはそういうことなんでしょうか。
○十時政府参考人 お答え申し上げます。
 昨日開催されました大会組織委員会の理事会におきまして、橋本会長の方から、GPS等も活用しながら行動管理を図っていくという御発言があったということは承知しております。
○塩川委員 本当にできるのかというのもありますし、やる場合については非常に窮屈な話だなということも改めて思っております。
 尾身分科会会長は、バブルの中の関係者の感染対策も必要で、IOCや日本の組織委員会、政府、自治体が同じ目線、方向性で実施していくことが大事だ、IOCにも日本の状況を知ってもらい、理解してもらうことが大事だと、感染リスクなどに関する見解をIOCにも伝えたいと述べておられます。
 IOCには、このような専門家の見解を受け止める用意はあるんでしょうか。
○十時政府参考人 お答え申し上げます。
 大会組織委員会におきまして、コロナ対策、こちらはもちろん最優先の課題として取り組んでいただいております。IOC、IPCとも常日頃から、事務的、実務的に、コロナ対策の検討状況、準備状況について情報交換、情報共有をしておりまして、そういったタスクフォースといったものも設置をして、専門家も交えながら議論、検討しているところと承知をしておりまして、我が国における検討、準備の状況については、IOCともしっかり共有をしながら、準備に向けて着実に進めてまいりたいと考えております。
○塩川委員 いや、私がお聞きしたのは、コロナの対策の分科会の会長でもある尾身会長などが取りまとめる提言、見解について、IOCにはそういった見解を受け止める用意があるのかということなんですが。
○十時政府参考人 お答え申し上げます。
 委員御指摘の提言につきましては、そういった報道があることは承知をしておりますけれども、まだ具体的に出されているものではないと承知をしておりまして、その内容も明らかになっておりませんので、コロナ対策の検討に当たっては、従来から、政府、東京都、組織委員会と、様々な専門家の方々の知見も踏まえながら検討を進めさせていただいておりまして、そうした提言が出されるとなりましたら、その知見も活用しということで、IOCの方にも何らかの形で共有をしながら検討が進められるものと理解をしております。
○塩川委員 ですから、尾身会長などの提言が出された場合には、それはきちっとIOCに伝えますか。
○十時政府参考人 お答え申し上げます。
 ただいまも申し上げましたとおり、現時点におきまして、報道は承知しておりますけれども、提言なるものの具体的な内容について承知をしておりませんので、その中の具体的な知見として活用すべきものがあれば、組織委員会そして組織委員会を通じてIOCとも共有し、検討していくという可能性があると考えてございます。
○塩川委員 IOCの委員などが利用するホテルですけれども、この間、オリンピックファミリーについて、五つ星、四つ星ホテルのスイートルームを含む専用客室の提供を大会組織委員会として行っているということも示されているところであります。
 こういったIOC関係者が宿泊するホテルについては、大会特別料金で一括して契約しており、組織委員会がIOCとの契約に基づきその一部を負担しているということですが、この分担について見直しが進んで、IOCが全額負担する方向で調整されているという国会でのやり取りも承知しておりますが、IOCが全額負担することにはなったんでしょうか。
○十時政府参考人 お答え申し上げます。
 大会関係者用の宿泊施設については、大会の一年延期に伴う簡素化によってホテルの契約の見直しが行われるとともに、来日するIOC関係者の削減によって、当初予定していたIOC関係者向けの部屋数からは減少する見込みと聞いているところでございます。
 失礼いたしました。ちょっと御説明を間違えました。
 全額負担という御質問でございました。
 全額負担の件につきましては、先日の衆議院の厚生労働委員会で御答弁申し上げたところですけれども、組織委員会に確認いたしましたところ、IOC委員及び職員が宿泊するホテルについては大会特別料金で一括で契約をしておりまして、組織委員会はIOCとの契約に基づきその一部を負担することとなっておりましたけれども、その分担について見直しが進みまして、現在IOCが全額負担する方向で引き続き調整がなされていると伺っているところでございます。
○塩川委員 特段その後進展はないということですね。
 大会関係者に陽性者が出た場合、感染症対策センターと東京都の保健所が連携して対応するということですが、今でも大変な保健所業務に更に負担をかけることになりはしないか。
○十時政府参考人 アスリート等に感染者、疑い例が発生した場合の対応の仕組みといたしまして、コロナ対策調整会議で取りまとめました中間整理においては、地域の保健衛生機能を強化し、大会運営側との緊密な連携の下で対応できるよう、保健衛生の拠点を構築することが示されておりまして、さらに、四月二十八日に公表した追加的な対策におきましては、七月からの本格稼働に向けて、感染症対策センター、そして東京二〇二〇大会保健衛生支援東京拠点を設置し、その連携を図るというイメージが示されたところでございます。
 選手村等におけるアスリート等への積極的疫学調査については同拠点が対応いたしまして、アスリート等の健康観察や入院、搬送調整等は感染症対策センターと連携して対応するなど、地域の保健所に御負担をかけないように配慮されているものと伺っております。
 また、同拠点に配置される医師、保健師等のスタッフにつきましても、地域の保健所職員ではなく、主に東京都の職員が派遣されるものと伺っているところでございます。
 地域の保健衛生に支障を生じさせず、必要な体制を確保することは極めて重要でありまして、引き続き、東京都、組織委員会等と緊密に連携を図りながら、安全、安心な東京大会の実現に向けて準備を進めてまいります。
○塩川委員 オリンピック開催が国内外でのコロナウイルスを広げることになりかねません。オリンピック開催に当たっての判断基準を示すべきではありませんか。
○十時政府参考人 お答え申し上げます。
 国民の命と健康を守ることが政府としての責務であり、まずは緊急事態宣言を解除できるように政府として対策を徹底しているところと承知をしております。
 その上で、この夏の東京大会の開催に当たりましては、選手や大会関係者の感染対策をしっかり講じるとともに、国民の命と健康を守っていく、これが大会開催の前提であると考えているところでございます。
 こうした中で、具体的な感染対策といたしまして、アスリートや大会関係者については、アスリート等への毎日検査を始め、定期的な検査や厳格な行動管理、健康管理などの防疫上の措置を徹底するとともに、国内にお住まいの方々との接触を厳に回避することにより、大会関係者の感染を防止し、安全、安心な大会運営を確保することとしております。
 こうした方針はIOC、IPC、組織委員会が作成するプレーブック第二版にもしっかりと反映されておりますが、引き続き、本年七月の大会本番における具体的な運用も含めて、今後の感染状況等も踏まえつつ、更なる具体化、精緻化に向けた検討を進め、六月にも第三版を公表する予定で作業が進められております。
 いずれにいたしましても、政府としては、引き続き、安全、安心を確保することを最優先として、内外の感染状況等を注視しつつ、様々なスポーツイベントにおける感染対策の取組や専門的知見も踏まえながら、東京都や大会組織委員会、IOCなどと緊密に連携して、準備を着実に進めてまいります。
○塩川委員 判断基準を示さないまま突き進むということでは、国民の皆さんの不安を解消することはできないということを申し上げます。
 大臣にお尋ねします。
 尾身分科会会長は、七月とか八月の段階でワクチンの接種率が少し上がったとしても、個人のプロテクションはできるけれども、それによって感染のレベルが抑えられる、集団免疫みたいな考え方はとても早過ぎると、夏までに集団免疫の達成は困難との見通しを示しておりましたが、大臣も同じ認識でしょうか。
○河野国務大臣 私が命ぜられているのは、このワクチン接種に関する総合調整を担当せよということでございますので、いわば運び屋でございます。一月十八日に任命されてから今日まで、ワクチンのスケジュールにオリンピックは入っておりません、これは別ですということを繰り返し申し上げてまいりました。
 オリンピックについては、こうしたコロナ禍で安全にオリンピックを開催するためには、どういう条件で、どうやったら開催できるのかというところを組織委員会やIOCが検討されているというふうに思いますので、そこをしっかり見極めて、しっかり開催をしていただきたいというふうに思っております。
○塩川委員 オリパラの話はちょっとおいておいても、集団免疫の話です。ワクチンの接種がこの七月、八月とか進んだとしても、この夏の段階で集団免疫みたいな考え方はとても早過ぎると。つまり、夏までの集団免疫は難しいのではないのかという尾身会長のこういう認識については、大臣はどのように受け止めておられますか。
○河野国務大臣 集団免疫その他については、これは専門家が科学的に御判断されることだと思いますので、私から申し上げるべきものではないと思っております。
○塩川委員 ただ、運び屋といっても、まさに現場で取り組んでおられるお話ですから、そういった問題について、集団免疫の考え方などについて、当然、政府としての共通認識なりがおありなのではないのかと思うんですが、そういう点では、政府としては、そういうのを、そもそも集団免疫についての考え方を持っていないということなんでしょうか。
○河野国務大臣 そういうことについては、厚労大臣から恐らく御発言があるものと思います。
○塩川委員 現状はそういうふうになっていないというのが率直なところであります。
 感染拡大のリスクですとか医療提供体制への大きな負荷を考慮して、オリパラ中止の決断を是非とも総理に進言していただきたいということを申し上げて、質問を終わります。

【政治倫理・選挙特別委員会】特例郵便投票法案を可決/公正性に疑念/共産・立民反対

 自民・公明と維新が提出した新型コロナ感染の宿泊・自宅療養者に特例の郵便投票を認める法案を賛成多数で可決。日本共産党、立憲民主党は反対しました。

 質疑で、野党各党から郵便投票の公正性や濃厚接触者への対応がないことなど、懸念が相次ぎました。

 私は、この「特例郵便投票」が、現行の郵便投票とは前提が異なり、コロナ患者から請求あるまで選管は対象者を特定できず、突然感染し対象となった人が実際に投票できるのか、懸念があると指摘。

 投票者側からの2回のポスト投函を誰が行うのかただすと、日本維新の会の浦野靖人議員は、一人暮らしの自宅療養者であっても「家族・知人に依頼」するなどありえない答弁に終始。

 私は、知っている者だけが得をする制度にならないか疑念が残ると強調。また、この制度の根幹にかかわる「外出自粛証明書」の即時発行ができるのかと質問。

 感染症法上、証明書は後日発行することを認めており、保健所がひっ迫している中、厚生労働省が「即時発行は、外部委託も含め、全庁体制がなければ難しい」と述べていることを示し、証明書の即日発行が、保健所に更なる負担をかけることは明白だと批判しました。

 立憲民主党は、周知期間を3カ月にする修正案を提出しましたが、否決されました。

 私は、感染症リスクを減らし、投票権を保障するため、現行制度で、入院患者はその病院等での不在者投票、宿泊療養者は宿泊施設での期日前・不在者投票が、現に実施されていると指摘。自宅療養者も宿泊療養に切り替えれば投票することができ、コロナ対応としても、これがベストだと主張。この方法であれば、その時間その場にいれば投票でき、点字投票や代理記載も可能だと指摘し、この選挙執行にカネとヒトを手当てすることこそ、政治の責任だと強調しました。

※8日の朝、この法案の条文に誤りがあったことが報告され、予定していた衆院本会議での採決は見送られました。


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「議事録」<質疑>

<第204通常国会 2021年6月7日 政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会 第3号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 特例郵便投票法案について質問をいたします。
 コロナ感染者を含めて、全ての有権者の投票権を保障することは極めて重要であります。感染症のリスクを減らし投票権を保障するためにはどうしたらいいのか。入院の方は、その病院等での不在者投票があります。宿泊療養者は、宿泊療養施設での期日前投票、不在者投票が、実際、現に行われている対応であります。自宅療養者も、宿泊療養へ切り替えれば投票することは可能であります。このことを我が党は主張してまいりました。
 現に、四月の三つの国政選挙におきまして、宿泊療養施設では、期日前投票所と不在者投票記載所が設置をされ、投票が行われました。この方法を取れば、そのときその場にいれば投票が可能です。視覚障害者の方の点字投票や障害者への代理記載も可能です。また、投票日ぎりぎりに期日前、不在者投票を設置することで、投票日直前に感染した場合も投票が可能となります。
 総務省に確認しますが、このような宿泊療養施設での投票方式については今後も継続をすること、また、国政選挙は国負担で、地方選挙においても地方創生臨時交付金などで自治体に金の手当てもしっかりと行うということについて確認をしたい。
○森政府参考人 お答えをいたします。
 宿泊療養者につきましては、これまで、宿泊療養施設に期日前投票所や不在者投票記載場所を設置するなどして選管に対応していただいているわけでございますが、感染対応などにつきまして大変工夫して十分行っていただいてはおりますものの、それでもやはり、自治体の方からは、従事者等の感染の懸念のほか、総選挙などの大規模な選挙が行われる場合には、必要な従事者を確保しつつ、これまで以上の数の有権者や投票に対応することは困難である、こういった声が上がっておりまして、コロナ禍での選挙が実施された地域の一部の選管から、郵便等投票の導入要望が届いている、こういったところでございます。
 こうした実情も考慮されまして、本法案においては、宿泊療養者についても、自宅療養者と同様、特例郵便等投票の対象とすることとされていると理解をしておりまして、今後、本法案が成立した場合には、各選管の判断により、御指摘の宿泊療養施設への期日前投票所等の設置も、これは従前の財源手当ても含めまして可能ではございますけれども、ただ、宿泊療養者への対応は、特例郵便等投票による対応の方にシフトしていくのではないかというふうに考えているところでございます。
○塩川委員 それは、現在やっている仕組みそのものも後退させることになるという点では、今言いましたように、投票日ぎりぎりに期日前や不在者投票を設置をすることで、投票日直前に感染した場合も投票が可能なんです。こういう現行の制度をではもう後退させますというのは、本来取る方法じゃないということを言わざるを得ません。
 総務省の事務連絡が出されたことで、北海道やさいたま、長野は、実際に宿泊療養施設での期日前、不在者投票を行っています。六月二十日投票の静岡県知事選挙でも、宿泊療養施設内に期日前、不在者投票を設置をするという方針であります。
 現場での不安の声というのはよく分かるところであります。ですからこそ、総務省の事務連絡の文書の中では、選管事務の従事者は宿泊療養施設の現地スタッフでも可能だ、併任が可能だ、こういうことを既に事務連絡文書で出しているわけですよね。
 では、実際、そういうことで現場で使われているかといったら、そういう状況についても、そうはなっていないということも含めて、こういう取組について、まともに総括もしていない、検証もしていないという中で、この郵便投票にだけ切り替えるというのでは、かえって、感染者の皆さんの投票機会を後退させることにもなりかねないということを言わざるを得ません。
 現場ではグリーンゾーンとレッドゾーンの仕分などもしっかり既に行われているわけですから、こういう取組、努力の上に投票機会を確保するということは十分にできるということを言わざるを得ません。
 本案は、宿泊療養者にまで特例郵便投票を認める、宿泊療養施設での期日前投票、不在者投票の方法を投げ捨ててしまいかねない、これでは、投票権を保障できていた人にまで実害が及んでしまうということを言わざるを得ません。
 この現行制度での対応をやることこそが、感染リスクを減らし、感染者の投票権を保障する現実的な方法だ、この選挙管理に関わる金と人を手当てすることこそ、国の仕事、政治の仕事だということを強く申し上げておきます。
 提出者にお尋ねいたしますが、この特例郵便投票の公正の問題ですけれども、本案で重要な役割を持つ外出自粛要請の証明書の発行について、偽造などの規制、罰則というのはあるんでしょうか。
○佐藤(茂)議員 塩川委員の御質問にお答えをいたします。
 この外出自粛要請の証明書の発行について、偽造などの規制あるいは罰則はあるのかという御質問でございますが、ある行為にいかなる罰則が適用されるかは、証拠に基づき、個別具体の事案に応じて判断されるべきものでございます。
 その上で、今お尋ねの外出自粛要請の書面が偽造されたような場合には、例えば、公務所又は公務員の作成すべき文書を偽造したときに該当するとして刑法百五十五条の公文書偽造罪が適用されると考えております。これは罰則を伴います。
 また、偽造された外出自粛要請の書面を提示して投票用紙等を請求し、投票したような場合には、「詐偽の方法をもつて投票し又は投票しようとした」に該当するとして、公職選挙法二百三十七条二項の詐偽投票罪が適用されると考えております。これも、先ほど答弁もありましたので具体的に申し上げますと、二年以下の禁錮又は三十万円以下の罰金に処する、そういう罰則が伴っておりまして、このように罰則の適用もあり得ることから、不正に対するおそれは払拭できるものと私どもは考えております。
○塩川委員 今回のは特例法ですから、公選法の改正ではありません。そういう点でも、きちっと手当てがされているのかというのが問われるわけであります。
 現行の郵便投票は、事前に該当者であることの書類を添付をし、申請を行い、郵便投票証明書の交付を受けます。実際の選挙になって、この証明書を提示して、投票用紙、封筒を請求するという仕組みであり、このような複雑、厳格な手続をもって投票の公正性を担保しております。
 一方、本案の特例郵便投票は、コロナ患者等になるのも回復するのも日時が特定されているわけではないために、事前の郵便投票証明書の交付は必要ないとしています。そのため、選管側は、あらかじめ特例郵便投票者が誰であるのか、請求が来るまで判明せず、前提がそもそも異なるものです。
 だからこそ、本案の新たな仕組みの部分にはこの法律での規制が必要であるにもかかわらず、不正の規制がこの特例法で手当てをされておりません。不正の懸念が拭えないと言わざるを得ません。
 次に、特例郵便投票は、選管があらかじめ誰が投票対象者か特定できないため、事前に請求用紙を送付するといった方法はできません。投票者本人も、突如患者等になった際、特例郵便投票の制度を知っていなければ利用できない。
 提出者にお尋ねしますが、知っている人しか使えない制度にならないのか、この点についてお答えいただきたい。
○岩屋議員 塩川委員御指摘のとおり、十分な周知を行うことが極めて重要だと考えております。
 具体的には、選管と保健所が連携をいたしまして、特例郵便等投票の対象者に対して、つまり感染をした人に対しては、これから、保健所からもあるいは検疫からも外出自粛要請をするという文書がしっかり発行されることになるわけですけれども、その際に、この特例郵便投票の制度、そしてその手続を周知するチラシをその段階でお渡しをする、あるいは、各都道府県の宿泊、自宅療養者向けのホームページあるいは選挙の案内に関するホームページにおける周知などの対応によりまして、周知を図るものと考えております。
 都議選が近づいてきているわけでございますけれども、そこへ向かって、東京都の選管あるいは保健所から、そういう対応をしっかり行っていただくことによってこの制度を周知させることはできるというふうに考えているところでございます。
○塩川委員 ホームページでの周知といっても、自分がこの郵便投票を使える立場にあるのかということが、そもそも前提として分からないんですから、ホームページも確認しようがないわけであります。
 ですから、本案の施行期日が公布から五日と極めて短いというのも、こういった選挙制度においては極めて異例の話でありまして、お尋ねしますが、投票に関わる法改正で、例えば十八歳選挙権あるいは洋上投票、その際の施行日というのはどのぐらいだったんでしょうか。
○岩屋議員 御指摘の十八歳の選挙権につきましては、施行期日は公布の日から起算して一年を経過した日、そしてこれは、平成二十七年六月十九日に公布されて、平成二十八年六月十九日に施行されております。
 また、もう一つの洋上投票につきましては、施行期日は公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日とされておりまして、平成十一年八月十三日に公布され、平成十二年五月一日に施行されております。
 ただ、都議選は、言うまでもなく、有権者数一千百五十万人、このままいけば、コロナに感染したことによって投票ができないという人が少なからず出てくるということが想定をされているわけでございますから、この方々の投票権を確保するというのは立法府の責務ではないか、これを行わなければやはり立法府の不作為が問われることになるのではないかと我々は考えておりまして、短い期間ではありますが、しっかりと周知を行って、投票をできるような環境を整備していくことが責務ではないかと考えております。
○塩川委員 ですから、普通は一年なんですよ、周知期間というのは。それはやはり選挙権行使に関わる問題ですから、まさに選挙人、有権者、その立場に立って、必要なこういった周知の期間を設けるのは大前提、当然のことであります。都議選前提にやっているということ自身がおかしいということを言わざるを得ません。
 選挙権の行使の保障と選挙の公正の確保、これは両輪であって、この両方を追求する必要があります。同時に行わなければ、選挙そのものの正当性が揺らぐことになります。直前に迫った都議選でコロナ患者らの投票権を保障するというのなら、現行制度でできる対応を全力で工夫して、改善して行うことこそ、やるべきことではありませんか。
 実際に、自宅療養の方の対応についても、これまでの三つの国政選挙で取り組んだように、二つの療養施設があった場合には、ほかの施設からもう一つの、投票場所を設置したところに車の送迎移動なんかもやっているんですよ。その延長線上で考えれば、自宅療養者の方を宿泊療養施設の投票所に案内をする、こういう対応でも可能であるわけで、目の前に迫った都議選、既に実践例、具体例、取り組んでいるわけですから、こういう対応でこそ行うべきだ、そういうことで、都議選における選挙の公正の確保と同時に選挙権行使の保障をしっかりと行うことが必要だということを求めておくものであります。
 こういった特例郵便投票をめぐっては、保健所の負担の問題もあります。外出自粛証明書の即時発行が特例郵便投票においては必要となります。現状では、リアルタイムで発行できておりません。検疫所では証明書は発行していないということでありました。
 そもそも、現在リアルタイムで発行していないというのは、別にこれは保健所がやるべきことをやっていないということじゃないんです。つまり、この前の法改正のときに、後での発行でもいいというただし書がわざわざ条文にも盛り込まれる、保健所の業務の逼迫状況から、こういったリアルタイムで発行しなくてもいいという配慮まで入っていたのがこれまでの経緯だったわけであります。
 提出者にお尋ねしますが、厚生労働省は、外出自粛証明書の即時発行は外部委託も含めた全庁体制がなければ難しいと述べており、証明書発行が保健所業務に負担をかけることを認めておりました。証明書がない場合の情報提供も対応を迫られる保健所に更なる負担をかけることになる本案が保健所の負荷になるという認識は、お持ちではありませんか。
○佐藤(茂)議員 塩川委員の御質問にお答えをいたします。
 地域の最前線で、この現下のコロナ禍において住民の命と健康を守る仕事に従事されている保健所の皆様に敬意を表しますとともに、今お尋ねの保健所の業務が逼迫しているのは、私ども提出者としても承知をしております。
 しかし、特例郵便等投票制度を創設することによって、保健所に新たな種類の事務を課すものではございません。すなわち、特例郵便等投票においては、保健所が出す外出自粛要請等に係る書面を提示して投票用紙等を請求することとされております。もっとも、新型コロナの患者に対しては、既に、感染症法施行規則により、文書で外出自粛要請等の通知をすることとされておりまして、今後も法令にのっとった対処をお願いするというものでございます。
 また、緊急事態宣言下のような緊急の対応が求められる場合には、保健所においてタイムリーに文書による通知をすることが困難なことも御指摘のとおり考えられます。その場合であっても、保健所においては患者に関する情報はリスト化されていることから、保健所から選管に対し、その情報を提供することで確認するという方法も今回の特例法案では用意をしているところでございます。
 いずれにせよ、本法案の実施によって保健所における事務負担が増大するということにならないように、政府においてできる限りの支援を行うように提出者としては求めてまいりたいと思っております。
○塩川委員 事務負担が増えることははっきりしているんですよ。そもそも、リアルタイムで発行しなくていいと法改正の中で入っているわけですから、それを、リアルタイムの対応を求めれば当然負担が増えることになりますし、情報提供もあるんだと言いますけれども、そのこと自身が保健所へ負担をかけることになるわけです。
 実際に今、保健所の現場が本当に大変だというのは、五月の七日付で、全国保健所長会が全国衛生部長会と連名で、厚労省に指定難病の更新申請事務に関する緊急要望を出しております。
 この中では、コロナ対応を優先して他の業務を大幅に縮小した業務運営を余儀なくされている、指定難病の更新申請事務については、六月の実施を延期して、コロナの確実な終息を待って再開することを要望するというように、指定難病の更新申請事務という重要なそういった保健所の事務そのものも先に延ばしてくれ、こういう対応を求めるように、保健所の業務が逼迫をしていることは明らかじゃありませんか。
 逼迫している保健所に負担をかけるということは、コロナ対応に支障をもたらすことになるのは明らかだということを言わざるを得ません。
 特例郵便投票では、投票者側から二回のポスト投函が必要となります。提出者にお尋ねします。ポストの投函は誰が行うんでしょうか。宿泊療養者は宿泊療養施設のスタッフが行うのか、独り暮らしの自宅療養者の方は選管が回収するのか。依頼された人がポスト投函をしなかった場合の罰則とかはあるんでしょうか。
○浦野議員 お答えいたします。
 自宅療養者は、患者であることから、感染症法上、感染拡大防止、病状急変リスクの観点から、ポストまでであっても外出しないことを求められており、自宅療養者の投票については、感染防止策を講じた上で、同居人や知人等に依頼してポストまで投函してもらうことを考えております。
 なお、当該同居人が濃厚接触者である場合であっても、ポストへの投票の投函は不要不急の外出には当たらず、同居人がマスク等の感染防止策を講じた上で投函することは可能と考えています。
 また、宿泊療養者については、宿泊療養施設の職員等に代わりに投函いただくように、都道府県の保健福祉部局等と選挙管理委員会との間で調整されることを期待をしております。
 なお、独居の自宅療養者は、同居人に投函してもらうことができないため、家族、知人などに依頼して投函してもらうことが考えられます。
 依頼された人がポストに投函をしなかった場合についてということですけれども、証拠に基づき、個別具体の事案に即して判断されるところではありますが、その行為が故意に行われたと認められれば、投票、その他関係書類を抑留し、毀壊し又は奪取したに該当するとして、公職選挙法二百二十九条の罰則が適用されると考えております。
○塩川委員 独り暮らしの方に、家族、知人に頼むといっても、そもそもそういうことが可能なのかどうかということが問われているんですよ。そういう何らの担保もないような格好でこれを進めるということ自身がおかしいということを言わざるを得ません。
 この法案そのものについては、濃厚接触者はどうするのかということについても、その保障が示されていないということがあります。公的な外出自粛要請という点では自宅療養者と同じであるにもかかわらず、一線を引かざるを得ないということであります。
 もう時間が終わってしまいましたけれども、問題点は多々あります。こういった問題について、一時間十五分の審議で終わりにするということ自身がおかしいということを言わざるを得ません。こういった問題について、徹底解明を更に行うべきだということを強く申し上げて、質問を終わります。


***反対討論の要旨は、以下の通りです***

 最初に、民主主義の根幹である選挙制度に関わる法案を、わずか1時間15分の委員会審議で採決しようなど、言語道断です。
 
コロナ感染者を含め、すべての有権者の投票権を保障することは、大原則です。感染症のリスクを減らし、投票権を保障する方法を考えなければなりません。

 現行制度により、入院者はその病院等での不在者投票、宿泊療養者は宿泊施設での期日前投票・不在者投票が、総務省の事務連絡に基づき、実際に行われています。この対応がベストな方法であり、こうした現行制度での選挙執行にカネとヒトを手当てすることこそ、政治の責任だと考えます。

 自宅療養者も宿泊療養へ切り替えれば投票することができ、コロナ対応としても、ベストです。

 濃厚接触者は、現行制度での工夫した対応が現実的ですが、新たな制度の設置も視野に入れることは理解できます。しかし、本案は、公的な外出自粛要請という点では同じである濃厚接触者への対応が全くなく放置しており、無責任と言わざるを得ません。

 本案は、問題点が山積しています。

 第1に、本案の「特例郵便投票」は、現行の郵便投票が「身体に重度の障害がある」という明確な理由であらかじめ登録しておくのとは、まったく前提が異なる制度です。

 選管は感染者から請求があるまで対象者を特定できず、突然感染し対象となった方が実際に投票できるのか、懸念があります。また、投票者側から2回のポスト投函を、誰が行うのか明確になっていません。これでは、知っている者だけが得をする制度にならないかと疑念が残ります。

 さらに、「外出自粛要請の証明書」の偽造などの規制がないことが明らかになり、不正の恐れが払しょくできない制度です。

 第2に、保健所への負担の問題です。外出自粛証明書の即時発行は、特例郵便投票の対象者の特定、投票用紙請求の期限という、この制度の根幹に関わるものです。しかし、現状は即時発行しておらず、証明書がない場合の情報提供も含めて、保健所にさらなる負担をかけることは明白です。

 ひっ迫している保健所に、これ以上負担をかけることは、コロナ対応に支障をもたらすことになります。

 第3に、施行日を「公布から5日」とし、周知期間があまりにも短いという問題です。投票に関わる新しい制度には、一定の周知期間が不可欠です。

 これらの問題を払拭せず、拙速に特例郵便投票を推し進め、現に行われている方法を投げ捨てることは許されません。現行では、その時間その場にいれば投票でき、点字投票や代理記載も可能であり、現行制度で投票できていた方たちが投票できなくなる実害が及ぶことは看過できません。

 選挙権行使の保障と選挙の公正は両輪であり、同時に確保されなければ、選挙そのものの正当性が揺らぐことになります。

埼玉・志木市長選挙告示で応援に

 志木市長選挙告示。みんなの志木市をつくる会の中山ともみ候補の応援に!

 全国に先駆け、市独自で行ってきた小学校25人学級を廃止し、税金を完納していない世帯を子ども医療費無料化制度の対象外にするなど、市民に冷たい市政。こんな市政を変えたいと、立候補を決意した中山ともみさんを市長に押し上げたい!

 コロナ対策に全力をあげるとき。生活困窮者への給付金の支給を!国内外の感染拡大が危惧されるオリパラは中止を!

 違憲立法の土地利用規制法案は廃案に!

【内閣委員会】警察の交通事故負傷者数統計/実態と乖離/交通安全政策の信頼性損なう

 警察の交通事故統計の負傷者数が実態と乖離している問題を追及しました。

 交通事故に関する統計は、警察庁による交通事故統計と、損害保険料率算出機構による自賠責保険の統計の二つがあります。(下図・クリックで拡大)

 死亡者数は継続してほぼ一致していますが、負傷者数は06年以降乖離が大きくなり、19年には自賠責保険約106万に対し、警察統計は約46万と半分以下になっています。

 乖離が生じているのはなぜかと質問。

 警察庁高木勇人交通局長は「自賠責保険では、人身事故として警察に届出がなされなかったものでも、実際に負傷したことが確認できれば支払いを行うため」と答弁。

 私は、負傷者数の実態を反映しているのは警察の統計ではなく、自賠責の統計だと事実上認めるものだと追及。

 内閣府難波健太大臣官房審議官は「指摘は承知している」として、最新の交通安全基本計画では、目標を「死傷者数」から「重症者数」に変更したと答えました。

 私は、これまでの警察統計の検証が必要だと強調。交通安全基本計画で初めて死傷者数の目標を立てて以降乖離が生じており、交通事故犯罪に詳しい青野渉弁護士が「警察が人身事故扱いを回避しようとしている」と告発していることに触れ、政府目標達成のために交通事故統計を意図的に操作したのではないかという疑念がある。これに基づいて作成された交通安全政策の信頼性を損なうものだと批判しました。

 小此木八郎国家公安委員長は、乖離が生じている背景について「把握に努めるよう警察を指導する」と検証する考えを示しました。

 私の質問に対し、交通安全問題に取り組む市民団体からは「取り上げていただき感謝申し上げる。現実と乖離すると、科学的な評価や政策提言に大きな負の影響を与える」との声がよせられました。


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「議事録」

<第204通常国会 2021年6月4日 内閣委員会 第30号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 銃刀法改正案について質問します。
 法令改正に基づくクロスボウの所持禁止や許可制の導入、経過期間における措置等については、是非積極的な広報啓発に努めていただきたいと思いますし、国民の皆さんに十分に周知することが非常に重要だと考えております。どのように取り組むお考えか、この点についてお聞かせください。
○小此木国務大臣 改めまして、改正法において、クロスボウによる危害の防止を図るため、クロスボウの所持許可制の導入等の措置を講ずることとしておりますが、改正法の円滑な施行を図るためには、まずもって国民の方々への改正内容の周知を図ることが必要と認識しております。
 警察においては、改正法の公布後速やかに、広く国民に対し、ホームページ、SNS、ポスター等により、今回の法改正によってクロスボウの所持が原則禁止され許可制となること等を周知すること、現にクロスボウを所持している方に対し、業界団体等からも協力を得て、施行日から六か月以内に許可の申請や廃棄等の処分をするよう呼びかけることとしており、円滑な施行に向け警察を指導してまいりたいと存じます。
 また、クロスボウの廃棄に当たっては、警察に持ち込んでいただければ無償で廃棄を行うこととする予定であり、この点もしっかり周知するよう警察を指導してまいります。
○塩川委員 クロスボウを実際に入手する経路というのは、多くはインターネット上とされております。このインターネット上の取引の取締り、監視をどうしていくのか、クロスボウの輸入に係る審査、検査体制の強化が必要ではないか、この点について御説明をいただきたい。
○小此木国務大臣 インターネットを通じたクロスボウの入手が多い中、インターネット上の不正流通をいかに防ぐかは重要な点であると考えています。
 まず、今回の改正においては、クロスボウの不正な流通を防止するため、クロスボウを販売する者は、クロスボウを購入しようとする者から所持許可証の提示を受けた後でなければクロスボウを譲り渡してはならないとしております。警察としては、このような規制の実効性を確保するため、サイバーパトロールあるいは一般の方々からの情報提供を通じ、インターネット上で違法な取引が行われていないか、不断の状況把握に努め、違法な取引が認められれば厳正な取締りを行うこととしております。
 また、クロスボウの輸入に関しては、改正法の施行後、クロスボウを輸入しようとする者は、関税法により、税関に対し所持許可証等クロスボウを適法に所持することができる者であることを証明する書類を提示しなければ輸入が許可されないこととなります。
 クロスボウの違法な流通の阻止を図るため、税関等の関係機関との連携を一層強化するよう警察を指導してまいります。
○塩川委員 しっかりとした対応を求めたいと思います。
 関連して、警察行政の信頼性の問題についてお尋ねをいたします。道路交通の人身事故統計の負傷者数が実態と大きく乖離しているのではないかという問題であります。
 資料をお配りいたしました。警察と自賠責の交通事故統計ということで、死亡の場合と負傷の場合とのグラフを出してあります。
 交通事故統計について見た場合に、青が自賠責で、赤が警察庁の統計ですけれども、左側の死亡の方を御覧いただきますように、ほぼ一致しています。左下に注記があるように、警察庁と損害保険料率算出機構のそれぞれの数字というのは、暦年、会計年度の違いも含めて若干の差異は当然ありますけれども、死亡の例を見ていただきますように、ほぼ対応しているわけです。ですから、同じようなカウントをされているということはここで見ていただけると思うんです。
 一方、右側の負傷の事例を見ますと、二〇〇六年ぐらいまでは大体同じような傾向であったわけです。二〇〇六年では、自賠責の百十九万に対して警察の方は百十万、九万の開きだったのが、二〇〇七年以降大きく乖離をして、二〇一三年ぐらいですと、自賠責が百二十六万に対して警察が七十八万、四十八万の開きがあります。さらに、直近の二〇一九年で見ると、自賠責が百六万で警察の方が四十六万、その差が六十万にも開いております。
 このように、交通事故統計の負傷者数は大幅に減少し五十万人以下にもなっておりますが、一方で自賠責の数字は百十万前後ということで、このような統計数値の大きな乖離が生じているのはなぜなのかについて御説明いただきたい。
○高木政府参考人 警察庁の交通事故統計では、令和元年度中の自動車等による交通事故負傷者数は四十三万一千四十六人でありました。
 一方、自動車損害賠償責任保険、いわゆる自賠責保険は、自動車等の運行によって人の生命又は身体が害された場合に交通事故の被害者等に支払われる保険であると承知しておりますけれども、令和元年度中の傷害による損害への自賠責保険支払い件数は、損害保険料率算出機構が公表している統計によれば、百一万八千二百七十四件となっております。
 警察の交通事故統計におきましては、交通事故によって被害者が負傷したことが認定できたものを負傷者数として計上しているのに対し、自賠責保険の支払い件数については、損害保険料率算出機構の資料によれば、人身事故だけでなく物件事故として警察に届出がなされたものなどを含め、保険金を支払った件数が集計されているものと承知をしております。
 また、同資料によれば、交通事故が発生した場合、基本的には、人身事故又は物件事故として警察に届出がなされるところ、自賠責保険では、人身事故として警察に届出がなされなかったものであっても、実際に負傷が確認された場合には支払いを行うことが必要であり、近年、このような支払いの占める割合が増加しているとのことでありまして、このような統計数値の集計上の違い及び自賠責保険の支払いの動向のため、統計数値の差が大きくなっているものと考えております。
○塩川委員 ですから、自賠責の場合であれば、実際に負傷していればこういった形での請求も行う、それで支払いが出るわけですから、実質的にはこちらの方が負傷者に対応する数字として見て取る数字だろうと思うんです。それが警察の場合には、人身事故として届け出られればそうだけれども、物件事故のところは含まないとなっていますから、今の答弁にあったように、自賠責の場合には、物件事故の場合であっても、負傷している場合については支払いを行うわけですから、負傷者数をカウントするのであれば、その実態は自賠責の支払い件数で見るのが実態に近い、実態を反映をしているということが言えると思います。
 こういうのは、政府の第十一次交通安全基本計画の策定に当たってのパブリックコメントでも、加藤久道氏の著作なども紹介をして、政府統計が、二〇〇七年以降、実際の人身事故の一部を統計に加えず、隠れ人身事故をもたらしているのではないかと指摘をしております。
 今回の、四月からスタートしています新しい基本計画についての専門委員会議が昨年も行われておりますけれども、その資料でも、「軽傷者数について、自動車損害賠償責任保険審議会において、人身事故として警察に届出がなされなかったものであっても、実際負傷したことが確認された場合、自賠責の保険金支払いを行っており、近年、このような支払いが増加している、との指摘がある。」今答弁した中身と同じですけれども、という指摘であります。
 つまり、負傷者数については、自賠責保険の支払い件数の方が実態を反映しており、警察の交通事故統計は実態を反映していないのではないのか。ですから、本当は負傷者数はこんなに大きく減っていないんじゃないのか。この点についてはどうですか。
○高木政府参考人 警察におきましては、交通事故発生時に負傷が認められず物件事故として届出があったものにつきましても、事故当事者に対して、後日負傷が判明した場合には警察に届け出るよう必要に応じて教示するなど、適正な交通事故の取扱いに努めているところでございます。
 また、人身事故として認定するに当たっては、医師の診断に基づいて傷害の程度を判断するなど、正確性の確保に努めているところでございます。
○塩川委員 診断書のあるなしという話をするんですけれども、実際に、自賠責での支払いというのは、そういう実態を反映して、負傷しているということで行われているわけですから、こんなに開きがあるのはどう考えてもおかしいんですよ。大臣はそれをおかしいと思いませんか。こういったことについて大きな乖離がある。
 現状は、この警察の統計を使って、基本計画に基づく死傷者数の減少とかの目標をカウントしているわけです。そうしますと、こういう乖離を承知しながら政府の目標が達成していると本当に言えるのか、こういったことも問われるわけで、率直にこういったことについて何らの検証もしないでいいのかということが問われるんですが。
 この点、じゃ、内閣府、まずどうですか。
○難波政府参考人 お答えします。
 人身事故として警察に届出がなされなかったものであっても、実際に負傷したことが確認された場合、自賠責の保険金が支払われている、近年このような支払い件数が増加しているという御指摘については承知をしております。
 交通安全基本計画を策定するに当たりまして、内閣府では、道路交通分野の統計としては、これまで警察庁のものを用いております。
 本年三月に決定した第十一次計画における目標値の設定におきましては、従来用いておりました死傷者数に代えまして、命に関わり優先度が高いと考えられます重傷者数に関する目標値を設定することとしたところでございます。
 新しい交通安全基本計画の下で、関係省庁と緊密に連携を図りながらしっかりと取り組んでまいりたいと存じます。
○塩川委員 人身事故でなくても、実際に負傷している場合については自賠責の支払いをしているということですから、負傷者数のカウントは自賠責の方が実態に合っているということを認めているということですよね。そういう延長線上で、今度の計画は目標そのものを変えちゃったわけですよ。死者と負傷者を足した死傷者数はもうやめちゃって、重傷者数ということに置き換えるということなんです。
 これはこれで、もちろん障害を残すような場合も当然ありますから、こういうのを少なくしていくというのを目標で掲げるというのは道理のあることだと思いますけれども、これまでのこの死傷者数の削減という政府の目標の基礎的な統計となっている警察の負傷者数が余りにも実態と乖離しているのでないかという問題については、これはしっかりと検証することが必要だと思います。
 その点で、警察庁として、警察官が被害者に診断書を提出しないように勧め、人身事故扱いしないケースが増えているんじゃないのか、こういう指摘もあるんですが、この点についてはどうですか。
○高木政府参考人 警察におきましては、交通事故発生時において、交通事故当事者の身体に交通事故に起因する明らかな負傷が認められた場合はもとよりでありますけれども、明らかな負傷はないものの、事故の状況や当事者の言動等から負傷のおそれがあると認められる場合には、人身事故としての捜査を行うべく、当事者に対して負傷の有無を確認を行い、診断書の提出の協力を求めるなど、適正な捜査による事案の解明に努めているところでございます。
○塩川委員 実態をお聞きすると、交通犯罪に詳しい弁護士の青野渉氏によりますと、警察署の交通事故対応として、被害者から警察に診断書が提出されると人身事故の扱いになるが、診断書が提出されなければ物件事故として扱われるということで、最近は、警察官が診断書を提出しないように被害者に促すことが多いという。負傷した被害者に対し、診断書を出すなら事情聴取があるので、警察署に来て事情聴取に対応してもらいますとか、警察で人身事故扱いしなくても交通事故証明書は出ますし、自動車保険は出ますよとか、相手を処罰したいわけではないでしょうとか、診断書を出すとデメリットがあり、診断書を出さなくてもデメリットがないかのような説明をしているということであります。
 小此木国家公安委員長にお尋ねします。
 被害者は、軽傷であれば、わざわざ仕事を休んで警察署まで出向きたいと思う被害者は少ないし、自動車保険も支払われることが通常ですから、あえて人身事故扱いしなくてもデメリットはないことが多い。その結果、警察統計上の人身事故の負傷者数が激減している。しかし、こういう数字をもって政府の計画の政策目標の基本的な統計に使っているということは大きな問題があったということではありませんか。
○小此木国務大臣 警察において適正な捜査による事案の解明に努めているところでありまして、交通安全基本計画における死傷者数の削減目標に合わせるために人身事故としての取扱いを回避するなどということはありません。
 もとより、交通事故を認知した場合には、適切に捜査を行って事案を解明し、その結果を交通事故統計に正確に反映させるべきことは当然であると考えています。
 一方で、自賠責保険の支払いに当たっては、例えば、軽微な負傷が後日判明したような場合には、保険会社等において、交通事故に遭われた方の手続的な負担にも配慮して、警察への人身事故の届出がなされていなくても保険の支払いが行われるケースが増えているとも聞いております。警察の交通事故統計と自賠責保険の支払い件数に差が生じてきた理由については、このような自賠責保険の支払いの動向によるものと考えられますが、具体的にはどのような背景があるのか、関係省庁とも連携して把握に努めるよう警察には指導してまいります。
 いずれにしても、交通事故捜査を適正に行うとともに、交通事故の実態をしっかりと把握、分析し、交通事故のない社会を目指してまいりたいと存じます。
○塩川委員 是非検証してもらいたいと思います。
 そういう点で、何で人身事故扱いを警察が回避しようとするのかという点について、青野弁護士は、一つは、人身事故に係る膨大な書類作成事務を軽減したいんじゃないか、二つ目には、検察庁が軽傷の事案は不起訴にするため、わざわざ労力をかけて捜査する手間を省きたいとか、三つ目には、統計上の数値を下げることが政府目標達成につながるからではないかと指摘をしております。
 これまで交通安全基本計画では、以前から死者数削減の目標を立ててきましたが、二〇〇六年の第八次交通安全基本計画で初めて死傷者数の削減目標を立てました。死傷者数を百万人以下にするということだった。その目標の立て方自身は必要なことだと思いますけれども、この死傷者数の目標を立てたのが二〇〇六年で、そのため、二〇〇七年以降、目標に合わせるように負傷者数が減少していき、自賠責の傷害件数と大きく乖離するようになったのは、冒頭で紹介したグラフで見ていただいたとおりであります。
 つまり、警察が、このような政府の基本計画の死傷者数の削減目標に合わせて人身事故を回避する、こういう対応を取るようになっていたのではないのか。この点について、内閣府、警察庁の認識をただしたい。
○難波政府参考人 目標設定の考え方について御説明を申し上げます。
 第八次の計画の策定当時、交通事故の発生件数、負傷者数は増加の一途をたどっておりまして、平成十六年には、発生件数が九十五万二千七百二十件、負傷者数は百十八万三千六百十七人と過去最悪を記録したところでございます。
 そういった状況に鑑みまして、交通事故そのものの減少、また死傷者数の減少にも一層積極的に取り組むといった観点から、死傷者数について目標値を設定するということにしたところでございます。
○高木政府参考人 先ほど申し上げましたとおり、警察におきましては、適正な捜査による事案の解明に努めているところでありまして、御指摘のような、交通安全基本計画における死傷者数の削減目標に合わせるために交通事故事件捜査において人身事故としての取扱いを回避するというような対応は行っていないところでございます。
○塩川委員 まあ、やっていないからやっていませんという話だけでは納得いかないわけで、大臣、検証するとおっしゃいましたので、是非やっていただきたい。
 この交通事故統計を意図的に操作したんじゃないかという疑念が湧く話ですので、警察庁の対応は法律違反のおそれがある。事故の捜査結果に納得できない被害者にとって大きな不利益となる問題であり、誤った統計に基づいて作成された政府の交通安全政策の信頼性を損なうものだ。徹底した検証、総括を求めて、質問を終わります。