【内閣委員会】児童手当の削減やめよ/大企業・富裕層の優遇税制見直せ

児童手当の削減に反対

 児童手当から一定の所得以上の人を外す児童手当法改定案について質問しました。

 私は、政府が少子化対策の財源として社会全体で負担する『安定財源』を検討するとしていることに触れ、消費税増税かと質問。

 坂本哲志少子化担当相は「消費税に限らず検討する」と否定しませんでした。

 私は、子育て支援の財源は、改正案にある児童手当の削減のような子育て世代への給付減や消費税増税で行うべきではない。大企業・富裕層優遇税制の見直しで確保せよと強調。児童手当の削減に反対しました。

放課後児童支援員の配置基準参酌化の影響を追及

 さらに、放課後児童支援員の配置基準が「従うべき基準」から「参酌基準」に緩和された問題を追及。支援員の配置がゼロであるクラブ数を質問しました。

 厚生労働省の大坪寛子審議官は、参酌化前は「ゼロ」で、参酌化後は「711か所、全体の2%」と増加している実態を認めました。

 私は、関係者が危惧していた事態が現実化したと指摘。子どもの安全性確保に支障が生じる事態だと批判。

 大坪氏は「市町村に安全対策の計画を立てるよう求めている」と自治体任せの姿勢を示しました。

 私は、支援員が経験を蓄積し、子どもと安定的に継続して関わりを持つために必要なのは、支援員が就労を継続できる条件整備・処遇改善だと強調。参酌基準化の撤回を求めました。


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「議事録」

<第204通常国会 2021年4月9日 内閣委員会 17号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 おとといに続きまして、児童手当法附則改正の検討規定についてお尋ねをいたします。
 財源の在り方の検討とはどのような検討を行うのかというおとといの質問に対して、附則改正の検討規定部分を読み上げただけで、具体的なことは何も答弁しなかったところでした。
 改めてお尋ねしますが、財源の在り方についてどのような検討を行うのか、具体的に説明をしていただけますか。
○嶋田政府参考人 この検討規定につきましては、今後の少子化の状況を始め、子ども・子育て支援に関する施策の実施状況や、子供、家庭への影響等もよく注視しながら、少子化の進展への対処に寄与する観点から検討してまいりますということでございますが、じゃ、具体的にどのような財源とかどういう内容かということでございますが、現時点で具体的な財源を想定しているわけではございません。
 ただ、財源確保の在り方については、これは様々な御意見があるものと承知しているところでございます。
○塩川委員 現時点で想定しているわけではないという話でした。
 そこで大臣にお尋ねしますが、少子化社会対策大綱では、「更なる少子化対策の充実・強化」の項目で、「今般、消費税の引き上げにより確保した二兆円規模の恒久財源を子供や子育て世代に大胆に投資し、保育の受け皿の大幅な整備、幼児教育・保育の無償化、真に経済的支援が必要な子供たちを対象とした高等教育の修学支援などを実現した。少子化の進展が国民共通の困難であることに鑑み、更に強力に少子化対策を推し進めるために必要な安定財源の確保について、国民各層の理解を得ながら、社会全体での費用負担の在り方を含め、幅広く検討を進めていく。」とあります。
 ここで言う安定財源とは何なのかについて御説明いただけますか。
○坂本国務大臣 総合的な少子化対策を進めていくための財源確保の方策につきましては、様々な議論があると承知しております。
 少子化社会対策大綱にも示されておりますとおり、必要な安定財源の確保につきましては、国民各層の理解を得ながら幅広く検討を進めていく必要があると考えております。
 将来世代の負担増を招くことがないように、必要な安定財源を確保しながら、少子化対策を全体として確実に進めてまいります。
○塩川委員 幅広く検討という話でした。
 しかし、ここの大綱の文章の流れを見ても、その前段に、消費税の引上げで二兆円の財源を確保したということがありますので、当然、消費税の増税というのも選択肢としてあるのか、この点についてはどうですか。
○坂本国務大臣 財源確保の方策につきましては、消費税に限らず、様々な議論があるものと承知しております。
 将来世代の負担増を招くことがないよう、必要な安定財源を確保しながら、少子化対策を全体として確実に進めてまいります。
○塩川委員 消費税に限らず幅広くという話ですから、消費税増税も否定されておられません。やはり、逆進性の強い不公平税制である消費税で行うというのはふさわしくないということを申し上げておきます。
 続けて、令和三年度の財政制度審議会の建議ですけれども、少子化対策の安定財源の確保として、このように述べています。社会保険制度においては、妊娠、出産、子育てに関する現金給付がかねてから存在している、少子化対策は、賦課方式を取る我が国の社会保険制度の持続性の確保や将来の給付水準の向上につながるものであることを踏まえると、医療保険制度を含め、保険料財源による少子化対策への拠出を拡充するという考え方も、将来的課題として検討する余地がある、少子化対策の安定財源確保の在り方については、税財源のみならず、こうした考え方も含め幅広く検討を行っていくべきである、このようにあります。
 ここで述べている、医療保険制度を含め、保険料財源による少子化対策への拠出を拡充するという考え方というのは、どういうものでしょうか。
○宇波政府参考人 お答え申し上げます。
 今御議論いただきましたとおり、少子化対策大綱にもうたっておりますけれども、少子化対策を推進するに当たっては、将来の子供たちに負担を先送りすることのないよう、安定的、恒久的な財源を確保することが重要であるというふうに考えてございます。
 これまでも、今御指摘のあった消費税の引上げ、あるいは事業主拠出金の追加拠出などによって安定財源を確保しながら、少子化対策を推進してきたところでございます。
 財政当局といたしましては、将来的な課題として、こうした中で、例えば、我が国の社会保険制度において、妊娠、出産、これは出産育児一時金あるいは出産手当金でございますが、あるいは、子育てとして育児休業給付金などに関する現金給付が社会保険制度においてかねてより存在していることも参考にしながら、将来的な課題として、少子化対策の財源確保の在り方として、税財源のみならず保険料財源も含めて幅広く検討することが適当であるというふうに考えてございます。
 いずれにいたしましても、税財源あるいは保険料財源、事業主拠出金あるいは制度の見直しなど、将来の子供たちに負担を先送りすることのない形で恒久的な財源を確保しつつ、少子化対策を推進することが重要であるというふうに考えてございます。
○塩川委員 財政審の建議において、消費税でもなく、また事業主の拠出金でもなく、その他ということも書いていなくて、保険料による少子化対策の安定財源だけを取り上げているというのはどういう意味なんですか。
○宇波政府参考人 財政審の建議でございますので、そういう意味では、財務省が事務方としてこれに何かの解釈を加えることは難しいわけでございますが、財政当局といたしましては、保険料財源だけを何か殊更に申し上げているわけではなくて、繰り返しになりますが、税財源、保険料財源、事業主拠出金あるいは制度の見直しなど、将来の子供たちに負担を先送りすることのない形で恒久的な財源を確保することが重要であって、その財源の在り方については幅広く検討することが必要であるというふうに考えてございます。
○塩川委員 財政審の議論を見ての、この建議に至る過程で事前に事務方が用意したペーパーの中に、この文言そのものが入っているんですよ。ですから、事務方が用意をした文書どおりのが建議に盛り込まれているんです。
 もちろん、その他の財源もということはありながらも、しかし、ここでの具体的な例示そのものは、特出しで社会保険の制度。医療保険を始めとしてという言い方ですから、公的な保険制度を念頭にということで、だけとは言いません。これを特出ししている理由は何ですか。
○宇波政府参考人 財政審の建議におきましても、保険料財源による少子化対策への拠出を拡充するという考え方も、将来的課題として検討する余地があるというふうに考えているわけでございます。
 幅広くいろいろな財源の在り方を検討する必要があるという趣旨で、これを事務方の方は記述しているわけでございますけれども、財源の在り方としては、将来の子供たちに負担を先送りすることのないようにするということ、それから恒久的な財源を確保していくという、この二点が大事でありまして、財源の在り方としては、先ほどから御答弁申し上げているように、幅広く検討する必要があるというふうに考えてございます。
○塩川委員 幅広く検討するという話ですから、公的医療保険だけではなくて、公的な介護保険ですとか公的年金保険とか、あるいは雇用保険などの社会保険方式を組み合わせるといったことなども当然念頭にはあるということになるんでしょうかね。
○宇波政府参考人 先ほど例示で申し上げました社会保険制度におきましても、出産育児一時金は、これは医療保険制度における仕組みでございます。それから、育児休業給付については、これは雇用保険制度における仕組みであります。それから、現在、児童手当の財源の一部あるいは保育所等運営費の財源の一部には事業主拠出金が充てられているということでございますので、保険料という形式でも、また様々なものがあるというふうに考えております。
 現在そういう形になっておりますので、こうしたことも参考にしつつ、幅広く検討する必要があると考えております。
○塩川委員 かつて自民党内では、こども保険ということで、公的年金保険に付加するような形での提案などもあったところです。それが消費税増税分の使い道の変更という格好で立ち消えになったという経緯もありますから、そういう意味では、そういった幅広い検討の中にはいろいろなメニューもあってということだと思います。
 今回の児童手当の削減については、やはり、今回の措置のように、子育て支援の財源を子育て世代間でのやりくりで行うことはやるべきではないということを申し上げ、また、逆進性の強い消費税増税は認められない、行うのであれば、大企業、富裕層優遇税制の見直しで確保すべきではないかと。大臣にお答えいただきたい。
○坂本国務大臣 子育て世代に対します支援といたしましては、これまでも、幼児教育、保育の無償化などを行っており、さらに今般、不妊治療の助成の拡充や新子育て安心プランの実施によります待機児童の解消などを行いまして、子育て世帯全体への支援を充実させてまいりたいというように思っております。
 このうち、待機児童問題につきましては、四年間で十四万人分の保育の受皿を整備することで最終的な解決を図るということといたしました。この運営に毎年度必要とする追加費用約一千四百億円につきましては、社会全体で子育てを支援していくとの大きな方向性の中で、今般の児童手当の見直しにより生じる財源等に加え、私自身も経済界に何度も足を運びまして、企業の方からも一千億円を追加拠出していただき、所要額を確保しているところであります。
 総合的な少子化対策を進めていくための財源確保の方策については、富裕層への課税に限らず、様々な議論があると承知しています。引き続き、少子化社会対策大綱に基づきまして、必要な安定財源を確保しながら、少子化対策を全体として確実に進めてまいります。
○塩川委員 今、国際的にも法人税の引下げ競争は見直そうという流れが大きく広がっております。アメリカやイギリスでは、行き過ぎた法人税減税を改め、引上げをするという取組も始まっております。アマゾンのベゾスCEOが法人税引上げを歓迎すると述べたということも話題になっておりました。これなどもいろいろ企業としてのスタンスも当然あるんでしょうけれども、日本においてもやはり法人税、特に大企業への優遇税制を見直すべきでありますし、低過ぎる金融所得課税も引き上げて、こういったものを少子化対策などの財源にしっかり充てていく、これこそ行うべきではないかと考えますが、改めてお聞かせください。
○坂本国務大臣 それぞれの国にそれぞれの考え方があると思いますけれども、必要な安定財源を確保しながら、少子化対策を全体として進めていきたいというふうに考えております。
○塩川委員 低所得者の方を含む国民に負担増を強いるような消費税増税は認められませんし、こういった応能負担に沿った税制の改革を行う中での子育て財源の確保を求めていくことを改めて申し上げるものであります。
 次に、学童保育についてお尋ねいたします。
 学童保育において、放課後児童クラブ運営指針にもあるとおり、学童保育の指導員である放課後児童支援員には、その職務に当たって専門性が求められていると思いますが、この点について確認をいたします。
○大坪政府参考人 お答え申し上げます。
 先生御指摘のとおりでして、放課後児童支援員につきましては、お子様の発達段階に応じました主体的な遊びや生活が可能となりますように、自主性ですとか社会性及び創造性の向上などを職務としていることから、専門性が求められるところでございます。
 このため、国が定めております放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準、これは省令でございますが、この中で、放課後児童支援員につきましては、保育士等の基礎資格に加えまして、都道府県知事等が行う研修を修了したものではならないというふうにしております。
 こういった形で、厚生労働省といたしましては、質が担保されますように、放課後児童支援員に対する研修により支援員の質の向上を図るなどを行っているところでございます。
○塩川委員 答弁にありましたように、放課後児童支援員には放課後児童クラブを運営する上で必要となる専門性が求められるということであります。
 そこで、第九次地方分権一括法により、放課後児童クラブの職員に関する基準が、従うべき基準から参酌基準に改正をされました。どのような改正だったのかについて説明してください。
○大坪政府参考人 お答え申し上げます。
 先生御指摘の第九次地方分権一括法により改正されましたクラブの職員に関する人員配置、資格要件でございます。
 これは、当該基準が今まで従うべき基準であったことによりまして、様々地方から、実態に合わせていろいろ、例えば児童が少ない場合に、二人配置しなければいけないということになっておりますと、児童が少ない放課後ですとか、また夕方、土日、こういったときに必ずしも二人要らないのではないかといった地域からのお声をいただきまして、二年間の検討を経まして、ここを自治体の方で責任と判断に基づいてお考えをいただく参酌基準という形にしたところでございます。
○塩川委員 職員に関する基準ということで、放課後児童支援員を二人以上配置をする、ただ、うち一人を除いて補助員の代替可という要件もあるということですから、実質一人は必ず支援員を置くというのが基準となっていたわけでありますが、それが自治体においての判断に委ねるという中身になっているということです。
 そこで、やはり現場からは、まさに専門性が求められている支援員の配置基準を後退させるというのは、子供たちの環境を考えても、安心、安全を損なうものではないのかという強い批判の声が上がっているところであります。
 自治体のいろいろな都合はあるわけですけれども、この間、条例の改正も行われてきたと思うんですが、参酌化に伴う自治体による条例の改正状況はどうなっているのかを御説明ください。
○大坪政府参考人 お答えを申し上げます。
 厚生労働省では、元々、放課後児童クラブの実施状況を毎年調査を行っております。それに加えまして、今回、参酌化が図られまして条例改正があったことを踏まえまして、その状況を併せてお調べをしております。
 これが、昨年九月三十日現在ということで調査の結果が出ておりますが、人員配置、資格要件に係る基準の参酌化につきまして、そもそも、放課後児童クラブを設置しているところが全市町村千七百四十一のうち千六百二十三ございます。条例改正を行ったところが五百七十五か所、三五・四%ということを確認をしております。そのうち、放課後児童支援員の研修修了要件の経過措置を延長する改正、これが最も多うございまして、五百六十の自治体、三四・五%に当たります。それ以外ですと、人員に関する改正を行ったところが三十二自治体、二%。改正を行った自治体の人口規模は小さいところが多いような傾向がございました。これが調査の結果でございます。
○塩川委員 今紹介がありましたように、放課後児童支援員に係る認定資格研修修了要件の経過措置の延長というのが五百六十か所とか、放課後児童支援員の員数に関する改正が三十二か所とかいうお話がありました。
 そこで、この調査で、放課後児童支援員の人数について、規模別での調査なども行っております。令和元年、二〇一九年において、まず放課後児童クラブの支援の単位数の全数が幾つかという話と、そのうち放課後児童支援員数がゼロ名というクラブというのはあるのか、分かりますか。
○大坪政府参考人 お答えを申し上げます。
 放課後児童クラブの令和二年七月現在のクラブの数が二万六千六百二十五か所、先生、単位数でお尋ねがございましたので、三万四千五百七十七単位ということでございます。
 もう一つお尋ねがございました。放課後支援員の数が規模別にゼロであるところというお尋ねがあったかと思いますが、そこは、市町村の条例基準に基づく放課後児童支援員がゼロとなっている支援の単位数が七百十一か所で全体の二%、国が定めておりました設備運営基準を満たす放課後児童支援員数がゼロとなっている支援の単位数が一千二百九十九か所で全体の三・八%というふうに承知をしております。
○塩川委員 今のは令和二年の数字で、その前の年の、令和元年の数字が分かればと思ったんですが、分かりますか。
○大坪政府参考人 お答え申し上げます。
 令和元年のお尋ねでございましたので、クラブの数で申し上げますと二万五千八百八十一か所、単位数で申し上げますと三万三千九十でございました。
○塩川委員 その上で、放課後児童支援員数がゼロというところは幾つか。
○大坪政府参考人 これは令和元年ということでよろしいでしょうか。令和元年、恐れ入ります、ちょっと規模別で今即座に足し合わせていないのですけれども、令和二年でしたら、先ほど申し上げた市町村の基準ですと、七百十一か所で二%……(塩川委員「規模別のゼロのところ」と呼ぶ)そうなんです。規模別を、ゼロのところを全部足し上げるのにちょっと今時間を要するものですから……(塩川委員「ゼロのところはゼロでしょう」と呼ぶ)はい、そうです。令和元年は参酌基準になる前ですね。施行前はゼロか所ということになります。
○塩川委員 ですから、全国で三万以上のクラブの単位がある中で、参酌基準の前の令和元年度においては、放課後児童支援員数がゼロというクラブの単位というのはゼロなんですよ。それが令和二年になると七百十一ということになってきます。
 実施規模で見ても、もちろん小さいところでもゼロというところはあるんですが、七十一人以上という大規模のクラブにおいても、放課後児童支援員数がゼロ名というところが三十三もあるんですよね。これは、子供の安全性確保に支障が生じるような事態が生まれているんじゃないでしょうか。
○大坪政府参考人 お答え申し上げます。
 先生御指摘のとおり、令和二年四月一日から参酌基準ということにしておりますので、その段階で、これまでゼロであったところから、幾つかのところがそういった事案が生じているということは承知をしております。
 この調査結果に基づきまして、まずは、一義的には、地方が条例により定めているものではございますので、各自治体において、自治体の十分な責任と判断により、地域の実情に応じて適切な対応を取っていただくことが一義的には筋論でございますが、今回の調査結果を踏まえまして、事業をいかなる体制で運営する場合でも、やはり子供の安全の確保、こういったところに支障がないのかどうか、最大限留意するということが必要であるというふうに考えております。
 市町村においては、こういう安全確保の対策はどう取られているかということを、国の方としても計画を立てるようにということを求めているところでもございまして、放課後児童支援員や補助員に対する研修の推進ですとかこういった調査の結果などをお知らせすることで、また安全性の、質の確保というものに努めてまいりたいというふうに考えております。
○塩川委員 先ほどの答弁の中でも、児童が少ないような場合に二人要らないんじゃないのかという話がありました。でも、実態は、七十一人以上のクラブでもゼロというところが三十三もあるんですよ。要は、児童が少ないところだけではなく、大規模クラブにおいてもこういうゼロという事態が生まれているんですよね。
 この地方分権一括法の議論が行われたとき、私、質問もしましたけれども、そのときに、厚労省の説明は、人員配置基準の参酌化に当たって、登録児童数が少ない場合、地域の人口が少ない場合など、地域の特性によっては継続的にクラブの運営が難しい状況が生じているということを理由にしていたんです。
 だけれども、実態は、小規模クラブだけの話じゃなくて、七十一人以上という大規模クラブでも放課後児童支援員がゼロという状況になっている。これは、厚労省としても、私は元々認めていませんけれども、厚労省が容認したという実情、条件と比べても、余りにも食い違っている事態ではありませんか。
○大坪政府参考人 お答え申し上げます。
 先生御指摘のとおり、これは、令和二年四月一日に改正をされました後に、九月三十日現在の時点ということで調査をかけさせていただきまして、厚生労働省としても、その結果を確認させていただいたところでございます。
 これにつきましては、先ほど申し上げましたように、地方自治体の一定の責任の下においての判断とはいえ、安全対策などにも十分留意をしていただきたいというふうにも申し上げておりますところですので、この結果をまた自治体の方にお示しをしながら、安全対策の確認など、また、改正内容が遵守されているかどうか、こういったことを、自治体ともよく連携を図ってまいりたいというふうに考えております。
○塩川委員 実態把握は当然しっかりやっていただきたいわけですけれども、しかし、参酌基準化によって、子供たちの安全を整える環境であるこの支援員の配置そのものが大きく後退している、この事態が、まさに危惧が指摘されていたことがそのまま現実のものとなっているということで、看過できない事態だ。こういう事態を改めるという立場で厚労省は対応すべきじゃありませんか。
○大坪政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほど来申し上げておりますように、先生の御指摘のとおり、安全性の確保、質の担保がなされているかどうかということを、市町村とも共に連携して、確認をしてまいりたいというふうに考えております。
○塩川委員 こういったように、実際に支援員の配置がかえって後退するという事態というのを放置することはできません。
 そもそも、専門性が求められているというこの支援員の仕事について、やはり、それにふさわしい処遇が行われていない。この間、保育士の問題も取り上げてまいりましたけれども、学童クラブの指導員、放課後児童支援員についても同様のことが言えるわけであります。
 厚労省として、こういった指導員が経験を蓄積をし、子供と安定的に継続して関わりを持つために必要なのは、指導員が就労を継続できる条件整理、処遇改善ではないのか。お答えください。
○大坪政府参考人 お答え申し上げます。
 御指摘のとおり、処遇、待遇を改善するということは、人材を確保する意味でも、適切な、安定的な運営を図る上でも極めて重要だというふうに考えております。
 そのため、厚生労働省といたしましては、これらの支援員の方々が長期にわたって安定的に就業できるように、処遇改善ですとか労働環境の整備ということに努めてまいったところでございます。具体的に申し上げますと、平成二十九年度より、放課後児童クラブの勤続年数ですとか研修実績などに応じました処遇改善の経費を補助いたします放課後児童支援員キャリアアップ処遇改善事業、これを実施をしておりまして、これまで適宜、月額は引上げを行ってきたところでございます。
 また、それ以外でも、育成支援の周辺業務を行う方たちの配置をすることで業務の改善を図る、こういったことの必要な経費の補助なども行ってきたところでございまして、こうした政策を通じまして、放課後児童クラブの安定的な運営が図れるように努めてまいりたいというふうに考えております。
○塩川委員 元々処遇が低いものですから、キャリアアップと言われても、キャリアアップに行く前に、今の処遇では食べていけない、暮らしていけないということで継続できないというところの実態こそ改善しなければならない。そういう意味でも、抜本的な処遇改善が求められているということです。
 坂本大臣、是非、この点で、受け止めをお聞きしたいと思います。
○坂本国務大臣 厚労省の動きをしっかりフォローアップしていきたいと思います。
○塩川委員 今、坂本大臣は地方分権一括法の担当ですね。第九次の地方分権一括法で行われたのがこの参酌基準化なんですよ。こういう状況でいいのかというのが問われているんじゃないでしょうか。
 この参酌基準化によって、緊急時の対応に困難が生じたり一人一人に丁寧な対応が困難となる、そういった支援員の配置が大きく後退をするという事態が全国で生まれている。このこと自身が大きな問題となっている。子供たちの様子を本当に理解することを困難にするような参酌基準化がもたらした支援員の配置の後退、これをつくった参酌基準はやめるべきじゃありませんか。
 従うべき基準にしっかり戻していく、国として、こういった学童クラブにおける安全を確保するような対策をしっかり行う、参酌基準はやめるべきだということを大臣から是非取り組んでいただきたい。いかがですか。
○坂本国務大臣 厚労省の方としても、放課後児童支援員や補助員に対する研修の推進、そして活動内容に関する質の向上のための評価の推進、さらには好事例の普及、展開、放課後児童クラブを巡回し育成支援の質の向上を図るアドバイザーの市町村への配置、さらには育成支援の周辺業務を行う職員の配置等々を行うことというふうに私としては承知しております。
○塩川委員 いや、厚労省が想定しているよりも、実際に、大規模クラブなんかでも支援員が配置をされないような事態が生まれているという点では、この参酌基準化がこういった学童クラブにおける安全対策を損なうような実態になっているということを指摘しているわけですから、この参酌基準化そのものを見直すということを行うべきときじゃないのか。参酌基準化はやめるべきだ、この点についてお答えください。
○坂本国務大臣 厚労省にいろいろ話を聞いてみたいというふうに思います。
○塩川委員 じゃ、厚労省、一言。
○大坪政府参考人 お答え申し上げます。
 こういった育成の現場というのは、やはり地元の市町村の現状ですとか御意見ということが非常に重要なんだろうというふうに思っておりますので、これが、地方分権の中で御提言いただくものが全て悪いということではないと思っておりまして、この制度の中でいかに安全性を、質を確保しながら自治体の方での安定的な運営が行っていけるか、こういったことを自治体とともに連携しながら考えていきたいというふうに考えております。
○塩川委員 質の確保が損なわれているから見直せと申し上げて、質問を終わります。

【議院運営委員会】東京・京都・沖縄、まん延防止措置/第4波の危機感で/変異株検査抜本的強化を

 「まん延防止等重点措置」を東京、京都、沖縄の3都府県に適用するにあたって政府から事前説明を受け、質疑を行いました。

 私は、新型コロナの感染状況について、西村康稔担当大臣が事前説明のなかで「非常に強い危機感を持っている」と述べたのに対し、菅義偉首相は5日の参院決算委員会にて「現時点において、第4波といった全国的な、大きなうねりとまではなっていません」と述べていると指摘。菅総理と西村大臣の間で認識にずれがあるとして「いまや第4波に入りつつあるという強い危機感を持って対策に臨むべき局面だ」と強調しました。

 また、大阪、兵庫などで感染力が強い変異株の感染者が増加しているとして、「変異株検査の大幅な引き上げが必要だ」と指摘。

 西村大臣は「すべてが変異株に置き換わるということを頭に置きながら対策を強化していきたい」と述べました。

 私は、東京オリンピック・パラリンピックの実施は感染の再拡大や変異株の影響の拡大につながり、医療従事者にさらなる負担を強いることになると指摘。中止を含め開催の是非を検討すべきだ、と迫りました。

 西村大臣は「実効的なコロナ対策の検討を進めていく」と述べ、応じませんでした。


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「議事録」

<第204通常国会 2021年4月9日 議院運営委員会 25号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 西村大臣は、冒頭の国会報告におきまして、全国的に新規感染者数の増加が続いており、変異株の感染も広がっている、非常に強い危機感を持っていると述べられました。
 この間の国会審議でも、例えば六日の参議院内閣委員会で西村大臣は、コロナの感染状況について、必ず波は起こる、ゼロにはできない、何度でも起こる、次の波が来ていると述べておりますが、一方で、菅総理は、五日の参議院の決算委員会での答弁で、現時点において第四波といった全国的な大きなうねりとまではなっていませんと述べております。
 菅総理と西村大臣の間で認識にずれがあるのではないか。今や第四波に入りつつあるという認識で対策に臨むべき局面ではありませんか。
○西村国務大臣 お答えを申し上げます。
 連日、菅総理には私も報告を行っておりますし、この感染状況、病床の状況など、厚労省からも報告がございますし、厚労大臣からもありますので、その状況認識は全く一致をしているところであります。
 総理がおっしゃられたのは、まさに緊急事態宣言の発出になるような、全国的かつ急速な蔓延のおそれの段階、ここには至っていないということを述べられたものと理解をしております。
 昨日も今日も総理とも話しておりますけれども、まさにまた次の波が来つつある中で、この波を大きな波にこれ以上しないために、抑えるために、今回、蔓延防止等重点措置を講じるということとしておりますので、認識は全く一致をしているところであります。
 何としても大きな流行にならないように、全力を挙げて取り組んでいきたいと考えております。
○塩川委員 総理の答弁が、非常に強い危機感、これをうかがえないようなメッセージになるということでは本末転倒だと言わざるを得ません。
 次に、大阪、兵庫など、従来よりも感染力が強い変異株の感染者の増加傾向が続き、変異株が主体となってきております。変異株の検査の大幅な引上げが必要ではありませんか。
○西村国務大臣 御指摘のように、この変異株、PCR検査の、いわゆるスクリーニング検査と呼んでおりますが、これを早期に全陽性者数の四〇%程度に拡大することとしているところであります。
 現在、関西圏においては、例えば神戸市などでも六割ぐらい検査をしておりますし、それ以外の都道府県でも、陽性者の数が少ないところは全数やったりしておりますが、そもそも検体の量も必要ですので、全てが全てできない場合もございますけれども、しかし、それぞれの地域でこの検査の比率を上げているところであります。
 関西圏では、もう既に変異株の割合は、昨日、兵庫県は九割というふうに、置き換わってきているという報告もありました。首都圏でも、一割程度だったものが更に上がっていく、やがては全てこの変異株に置き換わっていくもの、早晩置き換わるというふうに専門家の皆さんから御指摘をいただいているところであります。
 いずれにしましても、感染力も強いし、また、比較的若い世代も重症化するリスクがあるという報告もありますので、全てが変異株に置き換わるということを頭に置きながら、対策を更に徹底、強化していきたいというふうに考えております。
○塩川委員 政府は、三月二十五日に聖火リレーをスタートさせるなど、オリンピック・パラリンピックの準備を進めております。しかし、オリンピック・パラリンピックの実施は、感染の再拡大、変異株の影響の拡大につながり、コロナ感染症治療、ワクチン接種に尽力している医療機関、医療従事者に更なる負担を強いることになりかねません。
 コロナ対策に全力を挙げるときであります。オリンピック・パラリンピックの中止を含めて、開催の是非について、東京都、組織委員会、IOCなどと協議、検討すべきときではないでしょうか。
○西村国務大臣 お答え申し上げます。
 東京大会におけるコロナ対策につきましては、国、東京都、大会組織委員会、そして感染症の専門家等によるコロナ対策調整会議において、実効的な対策の検討を進めているところであります。昨年十二月に中間整理をまとめられまして、それを踏まえて具体的な検討を進め、必要な対策を着実に実施することとしております。
 また、三月二十日に開催された五者協議、これにおきまして、海外からの観客受入れを断念することで合意をしております。また、国内も含めた観客の上限については、引き続き四月中に基本的な方向性を示すということで確認をされたと承知をしております。
 私の立場でも、感染拡大を抑えて、国民の命と健康を守ることを最優先に取り組んできておりますけれども、引き続き、主催者であるIOCやIPC、また東京都、組織委員会と緊密に連携をしながら、安心して開催できるように対応していきたいというふうに考えております。
○塩川委員 時間が参りましたので、終わります。

【内閣委員会】保育士の給与上げて/子育て支援めぐり参考人

 子ども・子育て支援法と児童手当法の改定案についての参考人質疑が行われました。

 鹿児島大学の伊藤周平教授は、子ども・子育て支援法自体が消費税10%への増税を前提としたもので、待機児童対策の財源として児童手当から一定所得以上の人を外す本案も、消費税増税か社会保障費削減かの2択を迫る流れのものだと指摘。「消費税と保育の財源をリンクさせるのはやめるべきだ」と強調し、必要な予算は大企業や富裕層への優遇税制を改めて確保すべきだと主張しました。

 私は、常勤保育士の確保について質問。

 子どもの貧困問題が専門の阿部彩東京都立大学教授は「保育の質が子どもの貧困にとっても大事だ。待遇改善が一番だ」と答え、伊藤氏は「国が公定価格に算定している保育士の給与水準が低すぎる。国が財源を投入して公定価格を引き上げるしかない。また、(保育士の)配置基準を変え、人を増やさないといけない」と答えました。

 また、私が、自治体が関与しない企業主導型保育事業について聞いたのに対し、伊藤氏は、保育の実施について自治体が責任を負う公的保育制度を守ることが重要だとして「企業主導型保育事業は廃止すべきだ」と述べました。


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「議事録」

<第204通常国会 2021年4月8日 内閣委員会 16号>

○塩川委員 日本共産党の塩川です。
 今日は、四人の参考人の皆様に貴重な御意見を賜り、本当にありがとうございます。
 最初に、四人の皆様に同じ質問をさせていただきます。
 新子育て安心プランの中で、短時間勤務の保育士の活躍促進ということが書かれております。保育士の確保の問題のところですけれども、待機児童が存在する市町村において各クラスで常勤保育士一名必須との規制をなくし、それに代えて二名の短時間保育士で可とするというものです。
 厚生労働省も、常勤保育士の確保が原則だということをはっきりと述べているわけですが、こうなると、やはり保育の質の低下が懸念をされます。背景にあるのが、常勤保育士の確保が困難となっていることであります。この常勤保育士の確保が困難となっている要因は何なのかについて、皆様からお考えをお聞かせください。
○秋田参考人 御質問ありがとうございます。
 常勤保育士が困難な理由のまず一つは、離職率が高いということにあります。つまり、保育士になっても定着しないということです。
 それはなぜかということを考えますと、一つは、処遇が一般の通常の年齢層よりも数万低いというような、今かなりキャリアアップ等で改善が図られていてもまだ低いことや、社会的な評価というものが、先ほど学校の先生の話がありましたけれども、そういう専門家であるにもかかわらず社会的な評価がまだまだ低く、託児的な発想に、社会の方たちがそういう仕事として見ているというようなことによって離職率が高い。
 それから、一旦辞めたとしても、戻ってくるかといえば、非常に厳しい労働環境であったために、もう一度、一回離職した人が再就職をするというような割合も低い。つまり、M字カーブで、自分の子供の子育ての間、一旦例えば退職したとしても、その後また復帰するというようなことが、支援はされていますけれども、現実には上がってこない。それはやはり、労働環境が悪いという、その悪循環が生じている。結局、離職すれば人手が足りなくなるので、誰かがそれをカバーするというような形が喫緊で起こります。それが厳しい職場というものをつくってきているというようなところが大きな要因ではないかと思います。
 今、キャリアアップを始めていますけれども、やはり保育士の資格というものが、続けていくとそれによって、展望というんでしょうか、専門家として成長していく、そういうキャリアラダーという階梯が十二分にまだ保障されていないというようなところも大きな要因ではないかというふうに思います。キャリアアップはその一歩ではありますけれども、まだまだやはり、ほかの看護婦、看護師とか、そういう人たちの職に比べて、そうしたキャリアラダーも見えにくい。
 そして、やりがいというよりも、常に命と向き合ってやっている職業でありますので、その辺りの仕事の大変さとの関係があるのではないかというふうに思っております。
 以上です。
○阿部参考人 私は保育の専門家ではないので、ここはあくまでも一般論かというふうに思いますけれども、保育の質が貧困の子供に対して非常に重要だというのは、ほかの参考人と全く同感です。ですけれども、やはり保育の質というのは人が大事。そのときに、実は、アメリカの子供の貧困対策の中で一番費用対効果が高かったものの一つが、教員の給与の賃上げでした。
 ですので、やはり、先ほどの秋田先生もおっしゃったように、待遇を改善するということがまず一番大事なのではないかなというふうに思います。
○吉田参考人 実は、昨年、私、厚労省の、保育の現場・職業の魅力向上検討会の副座長をしてございまして、今お尋ねをいただいた件のど真ん中に関わる検討をしてございました。
 今、秋田先生からもおっしゃったように、人材確保は大変困難である、これは事実でございますが、一つは、やはり処遇が必ずしもよくなかった、あるいは職場環境、労働環境が厳しかった、あるいは職場の人間関係等、いろいろ問題があったというふうに言われてございますが、では、どうすればいいのかということで、私自身は二つの視点があると思っていまして、一つは離職率を下げる、もう一つは定着率を上げる、これは似て非なるものだと思っています。
 離職率、離職するというのは、もうこんな大変な仕事で安い給料でやっていられるかという話ですから、離職率を下げるためにはマイナス面を減らす、つまり、今まで十分でなかった処遇を上げる、あるいは残業をさせない、持ち帰りの仕事はさせない、福利厚生を充実させる等々で、今までのマイナスをなくしていくことによって離職率を下げることは可能だろう。
 しかし、では、それで定着するかというと、そうではなくて、よりいい仕事を長くやり続けるためには、仕事を通して、この保育の世界で私はいろいろな研修の機会に恵まれて専門家として成長できたという、成長できる職場であること、あるいは、その職場の先輩、後輩を含めて、お互いに専門家同士で支え合って学び合っていけるんだという職場であること、そしてもう一つは、そういうふうに学び、成長したことが子供の育ちに非常に役に立って、私は貢献できているんだと実感できる職場であること、そして最後に、そういったことが職場の同僚や園長や保護者や、もっと言えば地域社会の方から認められ、評価されるという職場になれば、当然これは辞めない、定着をすると思っていますので、離職を食い止めるということと定着を促すという両面で、私は、職員の質、量の確保を図るべきだと思っております。
 ちなみに、常勤保育士に対して短時間勤務保育士の問題がございましたが、これもいろいろな多様な側面がございますので、私が現場で聞いている中では、非常にいい職場で職員が辞めない、そうすると、かなり高齢化をしていく、高齢化をして体力的に自信はないけれども、保育の仕事は好きだし続けたい、給料も、私はもう年も取って息子も成長したから高い給料は要らない、では、むしろ私は短時間勤務にしてください、朝から一日中働き続けてシフトに入ることは大変ですという方が少なからずいらっしゃることも事実ですので、その短時間保育についても、いろいろな側面があるということも御理解いただけると、プラスの面もあるんだというふうに考えております。
 以上です。
○伊藤参考人 御質問の、パート化につながる規制緩和は絶対私は反対です、今回のやつも。短時間保育士を入れればいいという問題ではないです。ちゃんと常勤保育士で専門性を持って対処すべきだと思います。
 なぜ保育士の処遇が改善できないかというのは、私の資料の七ページのところにも書いてありますが、一言で言えば、国が公定価格に算定している保育士の給与基準額が低過ぎるからです。だから、そこを増やすしかないと思います。
 そして、八時間労働なんですけれども、保育所の開設時間は、十一時間というような長いところもありますし、八時間労働でやると、もうほとんど子供にかかりっ切りで、記録とか計画の策定とかはできません。つまり、国のそういう算定基準が、だから、あと、記録とか保育計画の作成というのはサービス残業になっちゃいますね。労働基準法上もこれは違法じゃないかと私は思うんですが。だから、国の基準が低過ぎる、国がちゃんと財源を投入して公定価格を引き上げるしかないんじゃないかなと思っています。
 だけれども、先ほど言いましたように、それをやるためには消費税を上げなきゃいけないとか、別の社会保障給付を削るとか、そういうことをやっているから上がらないので、まず基準、それとあと配置基準ですね。人をやはり増やさないと駄目だと思うんです。
 御承知かもしれませんが、そこに書いてありますが、四歳児、五歳児の国の配置基準は三十対一です。三十人の四歳児を一人で見るんですか、保育士。めちゃくちゃですよね。これもちゃんと改善して、だから、ほとんど自治体は、これではとてもできないというので、七ページのそこにも書いてありますが、全国の平均では国基準の一・九倍の保育士を配置しています。そうしないとできない。
 だから、まず基準を上げること、そして保育士の給与基準の公定価格を引き上げること、これがまず最大の解決の道だと思います。
 以上です。
○塩川委員 ありがとうございます。
 続けて伊藤参考人にお尋ねいたします。
 伊藤参考人は、公的保育の大切さ、自治体の保育実施義務の重要性を指摘をされました。
 今、企業主導型保育事業が広がり、いろいろな課題も出されているところであります。自治体の保育実施義務のいわば外にあるこの企業主導型保育事業について、どのように評価をされておられますか、お聞かせください。
○伊藤参考人 企業主導型については、非常に、市町村の責任というか、市町村から離れたところであって、不正受給も多いし、なかなか、開設しても、開設できないとかいうことも多いので、私は廃止すべきだと思っています。
 本来は、やはりこういった小規模、まあ、小規模保育事業自体は、今、認定こども園も含めて、そういったもの自体は市町村に実施責任がないので、それも含めて、企業主導型をまず廃止した上で、認定こども園や小規模保育、更に保育所、そこに市町村が保育実施責任を持つ形にして、児童福祉法の二十四条二項ですが、そこを改正した上で市町村の実施責任というのを明記した上で、こういった規制緩和はやるべきじゃないです、やはりこれは子供の命が懸かっていますから。
 今回の無償化でも認可外保育施設なんかが対象になりましたけれども、やはり認可外保育施設だとどうしても、保育士の資格がなくてもいいわけですから、別にあってもということだけれども、やはり、子供の体の状態とか発達を知らない人が保育していく中で、事故が多発しています。
 企業主導型もそうなんですけれども、一部、できないことはないんです。私の大学の組合でつくっていた認可外保育施設が企業主導型になったんですけれども、そういう使い道はないことはないんだけれども、やはり保育については自治体が保育実施責任を持つような形にして、どんな施設であれ、それがやはりベストだろうというふうに考えております。
 以上です。
○塩川委員 ありがとうございます。
 続けて伊藤参考人にお尋ねいたします。
 今回の児童手当法改正で、特例給付の対象から一定の所得以上の者を外すとしております。日本の家族関係予算は主要国の対GDP比の家族関係支出と比較をしても少ない下で、児童手当の削減は行うべきではない、子育て世帯間のやりくりでこういう対象というのはおかしいと思っております。
 そこで、こういった子育て関連の予算の財源をどのように確保すべきなのか、この点についてのお考えをお聞かせください。
○伊藤参考人 ありがとうございます。
 財源の確保については、私の最後の方で述べていますが、基本的に、逆進性が強い消費税はやるべきではないと思います。
 つまり、消費税でやると、先ほども言いましたように、保育士の待遇を改善するためには消費税を上げなきゃいけない、消費税が上がるのは嫌だから保育士の待遇改善はなされないという悪循環に陥ってしまうので、やはり所得税や法人税の累進性を強化して、消費税も、現段階では、私はもう消費税を廃止すべきだと思っているんですけれども、五%に下げるなりした上で、やはり所得税や法人税の累進性を強化すればいいんだろうと思います。
 特に、先ほどもお話がありましたが、高額所得者については金融所得が非常に多くて、その部分は分離課税で非常に安い税率なんですね。それを総合課税にするとか、あるいは法人税の租税特別措置とかを順次廃止していくとか、そういう形でちゃんと、お金がある人やもうかっているところ、そこから取れば、先ほど言いましたように、社会手当は、手当という給付は平等に、お金がある人からはそういった税金や保険料をたくさん取るという、それを財源を確保していくことで私は十分できると思うんですね。それがやはり所得再分配に当たると思うんです。消費税でやれば所得再分配じゃないです、それは。逆分配ですから。
 社会保障の本来の制度の在り方は所得再分配なので、やはりこれは、法人税や所得税の累進性を強化していく、あるいはそういった優遇措置を廃止していくことで私は十分確保できると思いますし、不公平税制を考える会なんかですと、四十何兆円ぐらい、そういう不公平税制をなくすことで、累進性を強化することで新たな財源が確保できるということなので、それを子育て支援に回していくということは十分可能ではないかなと思います。
 以上です。
○塩川委員 時間が参りました。
 ありがとうございました。

【議院運営委員会理事会】国家公務員法改正案、国会提出へ/検察官特例は削除

 坂井学内閣官房副長官は、国家公務員の定年を65歳に引き上げる国家公務員法改正案を近日中に閣議決定し、国会に提出したいと報告しました。

 昨年の国会で廃案となった法案には
(1)検察官について65歳定年後の勤務延長を認める
(2)63歳の役降り後も引き続き検事総長等として勤務することを認める
―――との特例がもりこまれていました。

 私がこの2点についてただし、坂井官房副長官は削除を表明しました。

 また、私は、特例規定のもとになったのは、黒川弘務東京高検検事長(当時)の勤務を延長する閣議決定をするにあたって、検察官に国家公務員法の定年規定を適用できるとする違法な解釈変更を行ったことが問題の発端であったと指摘。法案の出し直しにあたって「検察官には国家公務員法の勤務延長の規定は適用されない」と明確に書き込み、違法な解釈変更の穴を埋めるべきだと主張しました。

 坂井氏は「そのとおりだ」と述べ、適用除外の規定を設ける方向を示しました。

 昨年の国会では、「検察庁法改正案に抗議します」と多くの国民から批判の声が巻き起こりましたが、今回の法案出し直しは、黒川氏の勤務延長を決めた閣議決定の誤りを事実上認めたものです。

 

【内閣委員会】保育士は常勤が原則/短時間置き換え撤回を

 子ども・子育て支援法と児童手当法の改定案の審議。1クラスに1人常勤保育士を置くとの規制をなくし「2名の短時間保育士で可」とする規制緩和の撤回を求めました。

 私は、保育士は子どもと密接に関わり、保護者との連携を十分に図るために「常勤が原則」だと確認。

 厚生労働省の大坪寛子審議官は「指摘の通りだ」と認めました。

 私は、保育士が次々に入れ替わる短時間勤務による細切れ保育では、保育士の負担が増えて質の低下が免れない。子どもの安心・安全な環境の確保にもつながらない、と批判。

 大坪審議官は「常勤が望ましい」としつつ、「常勤が確保できるまでの暫定措置だ」と正当化しました。

 私は、保育士不足の根本原因は、仕事量や責任の重さに見合った処遇が実現していないことだと強調。全産業平均と比べて月11万円低い保育士の賃金水準について、達成時期も明示して改善策を進めるべきだ、と追及。

 内閣府の嶋田裕光統括官は「最終的には全産業平均を目指したい」とする一方、達成時期は答えませんでした。

 私は、常勤保育士を短時間勤務に置き換える措置は、かえって保育士の処遇改善を妨げる、として同措置の撤回を要求。コロナ禍で奮闘する保育士等への慰労金の支給、全額国費での頻回・定期のPCR検査を行うよう主張しました。


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「議事録」

<第204通常国会 2021年4月7日 内閣委員会 15号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 子ども・子育て支援法、児童手当法に関連して質問いたします。
 最初に、保育所等におけるコロナ対応の問題ですけれども、保育所などは、コロナの緊急事態宣言の下でも、社会の安定の維持の観点から仕事の継続が求められた、そういう職場であります。看護師や医師の方の子供を受け入れ続けるなど、命と暮らしを守るために取り組んでこられました。
 コロナ対応には大きな負担がかかるということで、例えば、横浜の保育問題協議会の調査では、おもちゃの消毒に大変時間がかかるということが取り上げられておりました。半数以上の保育園で、おもちゃの消毒に一時間以上、二時間近くかかる、また二時間以上という保育園も三割に達したということであります。感染予防対策の徹底など、強い緊張感の中で保育サービスなどを提供してきたと。
 大臣、こういった保育園における感染症対策での大変な大きな努力の実態、こういうことについては御承知でしょうか。
○坂本国務大臣 一部、様々な情報もございましたので、聞き及んでいることは事実でございます。
○塩川委員 大変な御努力をされておられます。そういったコロナ禍の中で、保育士の方が感染の不安と向き合いながら保育に従事をしております。こういった、子供と接することが働きがいとなっている保育士の方にとって、子供との接触が感染リスクにつながるというのは大変強いストレスであります。
 保育所を始めとして、子ども・子育て支援施設で働く職員の方に慰労金の支給を行うべきではないのか、こういうことについてお答えいただきたいと思います。
○大坪政府参考人 お答え申し上げます。
 先生御指摘のように、保育所で働いている皆様方は、御自分の健康管理に加えまして、感染防止に取り組んで、保育の提供、これを継続していただいていることに、大変感謝を申し上げているところでございます。
 このために、慰労金という形ではないのですけれども、施設が職員の皆様に対して、今先生がおっしゃいましたような業務時間外の消毒、清掃等を行った場合の業務外の手当、また、感染を防ぐために職員の皆様が購入されました消毒薬等々、こういったものに対する補助を行っているところでございまして、こうした取組を通じまして、きめ細かい支援を続けてまいりたいというふうに考えております。
○塩川委員 今やっているというのは、あくまでも消毒等の感染症の防止対策の範囲内でしかありません。そういったことではなくて、この間、医師や看護師の方、医療従事者の方への慰労金なども行われてきている、そういった際に、まさに、そういった方々の子供たちも保育をする、そういう意味では、本当に日常的に社会を維持していく上で不可欠な組織でもありますこういった保育所における保育士の皆さんに、しっかりとコロナ対応の慰労金を出すということは極めて重要だと思いますけれども、大臣の方から、その点、お答えいただけますか。
○坂本国務大臣 私の方から云々ということはなかなか言えませんけれども、厚労省の判断にお任せしたいというふうに思います。
○塩川委員 是非、子ども・子育て支援全体を前に進めていく上でも、今のコロナ禍で本当に求められる、そういう措置を直ちに行ってもらいたい。野党は、保育士の方も含めた慰労金法案も提出をしているところであります。是非、政府・与党としても受け止めて、実現のために力を発揮していただきたいと思います。
 それから、保育所において、保育現場は子供が生活をする場でありますし、子供と触れ合うことが職員の仕事であります。そういう点でも、子供と家族、職員の健康を守り保育を維持するためにも、保育所を対象にした職員への頻回、定期的なPCR検査を社会的検査として実施することが必要ではないかと思いますが、この点についてお答えいただきたい。
○大坪政府参考人 お答え申し上げます。
 クラスターが保育所において例えば発生した場合には、これはもちろん、保健所の判断、御指導の下で行政的な検査が行われるということになっております。
 また一方で、保育所は、高齢者施設ですとか医療機関等々と異なりまして、必ずしも重症化しやすいというエビデンスがあるわけではないということから、感染者がまだ発生していない段階で、一斉に定期的に検査を行うという対象にはしていないところでございます。
 ただ一方で、感染症が多数発生している地域で、現に感染が発生した施設ですとか店舗等とかに限らず、地域の関係施設を一斉に検査する、こういった場合には、当然ながら保育所もその対象になり得るというふうに考えております。
○塩川委員 安心、安全を確保するということが何よりであるわけであります。そういった際に、職員の方が、地域での生活もあり、そして園での仕事があるといった際に、職員の方を中心にした頻回で定期的な検査というのは、これは高齢者の入院、入所施設でも同様でありますけれども、非常に意義のあることだと思います。
 こういう取組を行うことによってしっかりと感染症対策に備えていく、この必要性はあると思うんですが、改めて。
○大坪政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほど来申し上げたことと重複して恐縮でございますけれども、一斉に定期的に行うというには、やはり感染しやすいですとか重症化しやすいといったエビデンスに基づくものではないかというふうに考えておりますので、今回、保育所が必ずしもそうしたエビデンスがあるという見解はいただいておりませんことから、このような対応をしております。
○塩川委員 是非実施を求めたいと思いますし、感染が蔓延している地域においてという話もありました。そういう点でも、社会的検査を行う場合に、これは感染症法で、自治体の仕事ということだったら、自治体の財政措置、それに対して国が二分の一補助というスキームですけれども、しかし、自治体がお金を出すというところに、やはり、財政上の事情があってなかなか踏み出せない、社会的検査を十分にやれないということがあるわけです。そういう点でも、知事会などについても、その点での改善策というのは要望がされております。
 地方創生臨時交付金が使えるじゃないかなんということもありますが、直接充てることはできないわけですよ。そういう点でも、国が直接手当てをする形でこういった社会的検査ができる、こういうスキームというのは是非考えられるべきだと思いますが、改めてその点についてお聞きします。
○大坪政府参考人 お答え申し上げます。
 そういったスキームを活用するかどうかということも科学的なエビデンスですとか地域の実情に応じて判断されるものだというふうに考えておりまして、今時点におきましては、必ずしも保育所がそうした対象になり得るという見解は持っていないというところでございます。
○塩川委員 いや、今の話は、まあ保育所も当然念頭にありますけれども、それにとどまらず、社会的検査を自治体が行うといった際に、財政措置として国が直接その費用を持つということを行うべきではないのかということを求めているんですが。
○大坪政府参考人 大変失礼いたしました。
 感染の蔓延の状況、そういったところを踏まえて、国の負担率、こういったところは都度検討されるものだというふうに考えております。
○塩川委員 いや、国の負担率というか、国の負担率って、意味がよく分からないんですが。
○大坪政府参考人 先ほど先生の御質問の中で、例えば、感染症予防事業の負担金ですとか、地方創生臨時交付金の算定の対象となる、こういったときに都道府県の負担分というものが発生するということを御指摘いただいたのかなというふうに思いましたので、そのように答弁させていただきました。
○塩川委員 都道府県の負担分、都道府県が自ら負担するというたてつけになっている、その部分を、例えば、震災復興特別交付税という形で、交付税措置によって自治体の財源にしていくということになれば、その自治体の二分の一の部分を手当てできる、こういう交付税措置でやるということはあるんじゃないかと思うんですが、その点、地方創生臨時交付金が直接の担当でもありますし、それとは違って、今言った交付税措置なども考えたらどうかという点ではどうですか。
○坂本国務大臣 私の立場としては、地方創生臨時交付金の単独事業分、これを活用していただきたいというふうに思いますし、復興交付税措置の場合には、私が答えることではありませんけれども、別途、住民税あるいは所得税から財源をつくってまいりましたので、そこから充てられていたんだろうというふうに思います。
○塩川委員 財源、手当ての話は、それはそれとして考える話であります。今でいえば、富裕層や大企業の優遇税制を見直せという声も広がっているところですから、そういったことを含めて、自治体における社会的検査が進むようなスキームというのを是非考えるべきだ、具体化すべきだということを申し上げておきます。
 次に、新子育て安心プランに関連してお尋ねをいたします。
 この新子育て安心プランの中に、短時間勤務の保育士の活用促進ということが挙げられております。待機児童が存在をする市町村において、各クラスで常勤保育士一名必須との規制をなくし、それに代えて二名の短時間保育士で可とするという話であります。
 そこでお尋ねしますが、三月十九日付で厚労省が事務連絡の文書を出しております。その中にも、最低基準上の保育士定数は常勤の保育士をもって確保することが原則としておりますが、このように、常勤の保育士をもって確保することが原則としている理由は何かについて御説明ください。
○大坪政府参考人 お答え申し上げます。
 保育の質の確保の上で最低基準として定められているものは、これまで多くの議論の経過を経まして一定程度定まっているものがございますので、そういったところがまずは最低基準としては一応の原則であるという観点から、そのような通知で発出をさせていただいたところでございます。
○塩川委員 最低基準の原則の話でしたけれども、この短時間勤務の保育士の導入については、一九九八年からということで、通知、事務連絡文書が出されています。そこを見ますと、「保育の基本は乳幼児が健康、安全で情緒の安定した生活ができる環境の中で、健全な心身の発達を図ることであり、また、保育所の利用が一般化する中で従来にもまして保育士の関わりは重要であるばかりでなく、保護者との連携を十分に図るためにも、今後とも最低基準上の保育士定数は、子どもを長時間にわたって保育できる常勤の保育士をもって確保することが原則であり、望ましい」としています。
 つまり、子供との関わりとの関係でも、保護者との連携を十分に図るという点でも常勤の保育士が必要だということを言っている、そういうことでよろしいですか。
○大坪政府参考人 先生の御指摘のとおりでございます。
○塩川委員 ですから、一人一人の子供と接する上でも、また、その保護者の方と日常的に、家庭での生活を含めて、子供たちの様子をしっかりと情報共有、連携をしていく、子供を慈しむということでの十分なコミュニケートを図っていくという点でも、常勤の保育士が必要だということであります。
 保育所の保育指針には、「保育所の役割及び機能が適切に発揮されるように、倫理観に裏付けられた専門的知識、技術及び判断をもって、子どもを保育するとともに、子どもの保護者に対する保育に関する指導を行うもの」であるとされています。
 このことは、保育士は、子供の発達を支援し、健康や安全を確保し、保護者への相談支援などを行うといった保育の専門職として重要な役割を担っているということを示しているということでよろしいですね。
○大坪政府参考人 お答え申し上げます。
 先生の御指摘のとおりだというふうに認識をしております。
○塩川委員 専門職として重要な役割を果たしてきたのが保育士であり、その専門性を発揮をする上で、常勤の保育士を配置することは当然の措置であります。
 この間、保育は長時間化が進んでおります。その点でも、働き方の在り方そのものを見直すことが求められておりますけれども、子供の長時間保育ということも進んでいるところです。
 その一方で、職員配置の最低基準は改善されないままということで、保育所の運営において、短時間勤務のパート保育士が欠かせないという現実があります。子供が一日の大半を過ごす保育所で、保育士が次々と入れ替わる細切れ保育では、パート保育士も常勤保育士も共に負担が増えて、保育の質の低下は免れないのではないのか、この点についてお答えください。
○大坪政府参考人 お答え申し上げます。
 先生御指摘のとおり、保育士について、長時間の常勤の保育士がいることが望ましいということの考え方には変わりはございませんが、一方で、保育所の中で空き定員があるにもかかわらず常勤の保育士がいないことによって児童をお預かりすることができない、それによって待機児童が発生する、こういった事態が生じていることも事実でございます。そのために、市町村がやむを得ないと認める場合に限って、常勤の保育士が確保されるまでの暫定的な措置として、今回、このような通知を出させていただいたというところでございます。
 一方で、先生がおっしゃいますように、保育の質が低下してよいのか、そこは細切れになってよいのかと。それは全くそうではございませんで、この通知の中では、保育の質を確保する際の留意すべき事項として、一貫した保育の提供が必要であるということ、そのために、共同の指導計画や記録の作成、引継ぎ時間の確保、また、日によって異なる短時間勤務の保育士を配置しないこと、そういった様々細かい留意事項をこの通知の中に一緒に記載をさせていただき、自治体にお示しをしているところでございます。
○塩川委員 ですから、共同の指導計画ですとか引継ぎをちゃんとというのは、まさに細切れだからこそそうならざるを得ないということであって、これは子供たちにとってみても、一日の大半を過ごす保育所の中で保育士が次々と替わっていくという状況になります。これは、子供たちにとっての安心、安全な環境の確保につながらないんじゃないでしょうか。
○大坪政府参考人 お答え申し上げます。
 必ずしもその形が望ましいというふうに申し上げているのではなくて、先ほど申し上げましたように、空き定員があるにもかかわらず常勤保育士が見つからないことでお子様を預かれない、そういうことで待機児童が発生している地域に限った暫定的な措置ということで御理解をいただければというふうに考えております。
○塩川委員 暫定的な措置だ、市町村がやむを得ないと判断した場合に行うことなんだと。ただ、それはやはり保育の質の低下の懸念や、細切れ保育と言われた、子供たちにとっても負荷がかかるような、そういう保育になりかねないという懸念は当然承知をしているということでよろしいですか。
○大坪政府参考人 お答え申し上げます。
 したがいまして、そういったことがないようにという意味で、同じ通知の中でかなりきめ細かい留意事項をお示ししているところでございます。
○塩川委員 そもそも、なぜ常勤の保育士の確保が困難なのか。この点についてはどのように把握をしておられますか。
○大坪政府参考人 お答え申し上げます。
 保育に関しまして、様々、自治体の御意見ですとか、アンケートなどを行っておりますが、保育士の確保の現状といたしましては、やはり、仕事量が多いのではないか、また、再就職をするに当たりましても、勤務時間が長い、例えば雇用形態が非常勤であれば再度就職することができるといったようなアンケートが多数見受けられます。これは、東京都の保育士実態調査報告、こういったところからもうかがい知れる状況でございます。
 したがいまして、そういった長い時間の勤務というのがなかなか難しくなっている中で、保育士の確保をどのようにやっていくかといったことも行政の中で検討を様々積み重ねているところでございます。
○塩川委員 仕事量が多い、勤務時間が長い、こういう長い時間の勤務が常勤の保育士としての勤務を難しくしている、非常勤なら再就職できるという言い方でしたけれども、でも、常勤の保育士の長時間労働というところがそもそも問題であって、保育士不足の根本的な原因は、仕事量や責任の重さに見合った処遇が実現していないからではないか。その点はどうですか。
○大坪政府参考人 お答え申し上げます。
 保育士の方々の処遇改善、これはもうずっと長らく御指摘をいただいているところでございまして、これまでにもその待遇を改善するような政策は様々取ってきておるところでございます。
 今後とも、引き続き、また、民間賃金との比較などを踏まえながら検討を続けてまいりたいというふうに考えております。
○塩川委員 いや、認識の話をお聞きしているので。
 長時間労働、仕事量が多い、そういった実態がありながら、そういった仕事量や責任の重さに見合った処遇が実現していないことが保育士不足の根本的な要因ではないか。その点について。
○嶋田政府参考人 保育士などの処遇改善は、大変重要な課題であるというふうに認識しております。これまでも、平成二十五年度以降、月額四万四千円に加えまして、平成二十九年度から、技能、経験に応じた月額最大四万円の処遇改善を実施してきているところでございまして、高い使命感と希望を持って保育の道を進んだ方が長く働くことができるように、引き続き必要な支援を着実に実施してまいりたいと思っています。
 また、厚生労働省におきまして、保育士の業務負担の軽減とか、あるいは勤務環境の改善を図るということのために、保育業務のICT化や保育補助者の雇い上げの支援などに取り組んでいるというふうに承知しているところでございます。
○塩川委員 いや、ですから、処遇改善とか業務負担の軽減等を行ったということなんですが、その前提というか、なぜそれをするのかといえば、仕事量や責任の重さに見合った処遇が実現していないということが保育士不足の根本的な要因ではないのかということにお答えいただきたいんですが。
○坂本国務大臣 保育士の配置の改善につきまして、子ども・子育て支援の質の向上のメニューといたしまして、三歳児に対しましては、配置を二十対一から十五対一に改善するための加算を平成二十七年度から実施をしているところであります。それから、一歳児そして四、五歳児は未実施でございますけれども、一歳児に係る職員配置につきましては六対一を五対一に改善する、四、五歳児に係る職員配置につきましては三十対一を二十五対一に改善するということでございますけれども、このことにつきましては、各年度の予算編成におきまして必要な財源の確保に努めてまいりたいというふうに思っております。
 引き続き、保育士の確保に向けまして総合的に取り組んでまいります。
○塩川委員 これはこれで、この後また質問しようと思いますけれども、保育士不足の根本的な原因は何なのかということを端的に言ってほしいということなんです。
○木原委員長 厚生労働省大坪審議官、端的にお願いをいたします。
○大坪政府参考人 お答え申し上げます。
 先生御指摘の処遇改善といいますか、賃金格差というところも一つの課題だというふうにも思っておりますし、また、労務の過多、これについては、先ほど御答弁がありましたように、様々な工夫で、ICT化を図るなど、また、ほかの補助の方を入れるなど、様々な対策を取っているところでございます。
○塩川委員 賃金格差の問題、また業務における負担が非常に大きいというお話でありました。その点は長時間労働という側面にも当然つながってまいります。重大な問題だということです。
 今日の議論にもありましたけれども、賃金格差という点で、保育士の賃金と全産業平均の賃金では月収換算でどれだけのギャップがあるのか、簡単に御説明いただけますか。
○嶋田政府参考人 厚生労働省の調査を基に算出した保育士の年収は、全産業平均と比べまして、令和元年度で百三十七万円の差がございます。
 処遇改善に取り組み始めた平成二十五年度と比べますと、六年間で全国平均で約五十四万円増加しておりまして、一定程度、処遇改善の効果は出ているというふうに考えております。ただ、男女の全産業平均の年収につきましては、勤続年数による差がありますことから、単純に比較したり目標にしたりすることはちょっと困難でございますけれども、こういった差も念頭に入れながら、引き続き着実に支援を実施してまいりたいというふうに考えております。
○塩川委員 十一万円の差があるということです。保育士と全産業平均では月収換算で賃金に十一万円のギャップがある、この賃金格差の解消が必要だということで取組をやってきているという話ですが、保育士の賃金水準の引上げが必要なときに、政府として、保育士の賃金についてはどのような水準に持っていこうと考えておられるのか、そこを教えてください。
○嶋田政府参考人 処遇の改善ということで引き続き継続的に取り組んでいるところでございますが、ただ、目標につきましては、やはり、先ほども申しましたように、勤続年数に差がありますとか、ちょっと単純な目標設定はなかなか難しいのではないかということでございます。
 いろいろな産業の差分とかそういったことも参考にしながら、保育という現場が高い使命感と希望を持って働ける道になるように、着実な支援を進めてまいりたいというふうに考えております。
○塩川委員 いろいろ、勤続年数の話等もありました。そういうのを織り込んだ上でも、全産業平均との関係で、いつまでに例えば全産業平均にたどり着くとか、目標とか達成時期とか、そういうものというのは持たないんですか。
○嶋田政府参考人 いつまでにという、なかなかそこの部分は断言することはできませんけれども、いずれにしましても、そういう差があるということを念頭に置きながら、その幅を縮めていきたいということで、必要な支援を実施してまいりたいというふうに考えております。
○塩川委員 保育士の賃金改善の目標ですとか、その達成時期というのを持たずに改善策を進めることができるのか。その点、どうですか。
○嶋田政府参考人 保育士の処遇改善につきましては、女性が保育士であるケースが多うございますので、まず、女性の全産業平均との差がなくなるように、安定的な財源確保を併せて取り組んでいくこととしているところでございます。
 ただ、最終的には、やはり男女の全産業平均というのを目指していきたいというふうには考えているわけでございます。
○塩川委員 男女差別の根幹は賃金格差ですから、女性の賃金との関係で保育士の賃金を比較するような、そういうやり方自身がおかしいということを申し上げておきたい。全産業平均との関係でも、しっかりと目標を持って、達成時期も明示をして改善策を進めることが必要だということであります。
 そういうときに、常勤保育士に代えて、短時間のパート保育士に置き換えるという措置は、常勤保育士の処遇改善を妨げるものになりませんか。
○大坪政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほど来の答弁と繰り返しになりますが、常勤の保育士が確保できる場合には、もちろんそれが望ましい姿でありまして、それに代えて短時間の保育士を置いてよいとしているものではございません。ですので、そういったところは望ましい姿というものを確保することに努めていただくことがまず第一かというふうに考えております。
○塩川委員 ですから、常勤保育士が確保できるような賃金水準というのを行うことこそ必要でありますし、長時間労働の解消という点でも、やはり保育士の配置基準の問題というのは避けて通れないということであります。
 この職員の配置基準の見直しのところ、先ほど坂本大臣からも先駆的に御説明をいただきましたけれども、今年度から、小学校において順次三十五人学級を実現をしていく取組となりました。三十五人以下ということであれば、二十五人程度の学級ということにもなるでしょう。一方で、保育所等の四歳児、五歳児の配置基準については、三十人に保育士一人という状況です、先ほどの大臣の説明もありましたけれども。
 この三十人に保育士一人というのは七十年前と同じ基準をそのまま引っ張ってきているという点でも、安全、安心で質の高い保育を保障するために、職員の配置基準の改善、職員の大幅な増員を図る、こういったところで大きく踏み出す必要があるということで、改めてお答えいただけますか。
○坂本国務大臣 先ほどの繰り返しになりますけれども、四歳、五歳児に係ります職員配置、三十対一を二十五対一に改善していく、あるいは、一歳児に係る職員配置について、六対一を五対一に改善していく、この配置改善につきましては、各年度の予算編成において必要な財源の確保に努めてまいりたいと思っております。
○塩川委員 じゃ、例えば、四歳児、五歳児を二十五対一にするというのはいつできそうなんですか。
○坂本国務大臣 毎年度の予算編成において必要な財源を確保するように努めながら、実現に向けて努力をしていきたいというふうに思います。
○塩川委員 いや、いつというのはどうでしょうか。
○坂本国務大臣 そこまで明確にお答えすることは今できません。
○塩川委員 壁に貼り出しているだけだと、それは現場にしてみれば、そんなのは納得いく話ではありませんので。こういった点で大きく踏み出すということが極めて重要だ、そういうときに、この常勤保育士に代えて短時間のパート保育士に置き換える措置というのは、かえって常勤保育士の処遇改善を妨げるものになる、このことを指摘せざるを得ません。
 それと、保育士の資格を持たない保育補助者の活躍促進を掲げて、勤務時間三十時間以下という補助要件を撤廃をする、これはどうなんでしょうか。保育現場の、保育士の処遇改善につながると言えるのか、この点はどうですか。
○大坪政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほど来、先生から、保育士の確保が難しい原因は何であるかというお尋ねもございまして、勤務の状況ですとか労働の過多、また、様々御指摘をいただいたところでございます。
 その中で、国といたしましては、配置基準の必要となる保育士の配置、これは維持した上で、保育士の業務負担をいかに軽減していくか、こういったことを様々検討を重ねてきたところでございまして、その中の一つといたしまして、保育補助者という方の雇い上げを補助、支援をしているというところでございます。
○塩川委員 今、活用状況、実績はどんなふうになっていますか。
○大坪政府参考人 大変申し訳ございません。ただいま数字を持ち合わせておりませんので、また改めて御報告させていただきたいと思います。
○塩川委員 おととしこのやり取りをしたときに非常に少なかったということもありましたけれども、この活用が進んだとしても、実際に常勤の保育士の方が、一人一人の子供たちの生活の状況をきちっと記録にとどめるような作業というのは、どうしてもやはり保育に従事をしているということによって成り立っていることというのは大変大きくあります。
 やはり、保育士の処遇改善、労働実態などを改善することを通じて保育の専門性を生かした仕事につなげていく、こういうことにこそ力を入れるべきだ、その方向での取組が求められていると思います。こういった新子育てプランにおける短時間保育士の配置については、これは取りやめるべきだということを申し上げておきます。
 それから、残りの時間で、児童手当法の改正の特例給付の一部廃止の問題ですけれども、日本の家族関係予算が主要国の対GDP比の家族関係支出と比較して少ない実態を見たときに、児童手当の削減というのはおかしいんじゃないのかと率直に思います。この点について、まずお答えください。
○坂本国務大臣 子育て世代に対する支援といたしましては、これまでも幼児教育、それから保育の無償化などを行ってまいりました。
 さらに、今般、不妊治療助成の拡充や新子育て安心プランの実施によります待機児童の解消などを行いまして、子育て世帯全体への支援を充実させてまいりたいと考えております。
 これまでの取組によりまして、我が国の家族関係社会支出の対GDPは、平成二十五年の一・一四%から平成三十年には一・六五%まで、着実に上昇をしております。
 このうち、待機児童問題につきましては、四年間で十四万人の保育の受皿として整備をすることとしたものでございます。この運営に毎年度必要となる追加費用が約一千四百億円でございまして、それにつきましては、社会全体で子育てを支援していくという大きな方向性の中で、今般の児童手当の見直しによりまして生じる財源等に加え、私も経済界に足を運びまして、企業から一千億円を追加拠出していただき、所要額を確保したところでございます。
 年収一千二百万円相当以上の方に対する月額五千円の特例給付の見直しにつきましては、このような総合的な少子化対策を進める中で、長年の課題であります待機児童問題の最終的な解決を図るものでありまして、全体のバランスを考えた上での措置であるということを御理解いただきたいというふうに思います。
○塩川委員 児童手当法の附則の改正で検討規定があります。そこに「財源の在り方」というふうに書いてあるんですけれども、やはりどこから財源を持ってくるのかという議論は極めて重要であります。
 そういったときに、この法案における附則の検討規定における財源の在り方の検討というのは、どのようなことを検討するということなんでしょうか。
○嶋田政府参考人 お答えいたします。
 改正法案では附則に検討規定を設けまして、子供の数等に応じた児童手当の効果的な支給及びその財源の在り方や支給要件の在り方について検討することとしております。
 これは、児童手当については、多子世帯等に給付を求めるという拡充の御意見や重点化の御意見がある中で、財源確保の具体的方策と併せてこれらは検討していく必要があるということから、このような検討規定を設けているところでございます。
 検討の際には、少子化の状況を始めまして、子ども・子育て支援に、それぞれ、ほかの施策の実施状況でありますとか子育て家庭への影響等もよく注視しながら、少子化の進展への対処に寄与する観点から検討を深めたいというふうに考えているところでございます。
○塩川委員 具体的な話は何にもありませんでしたので、続きは次回に行いたいと思います。
 終わります。

【本会議】デジタル法案衆院通過/共産党反対/個人情報を成長戦略に利用

 デジタル関連5法案が衆院本会議で、それぞれ自民、公明両党などの賛成多数で可決し、衆院を通過しました。日本共産党は全てに反対しました。

 私は反対討論で、行政が特定の目的のために集めた個人情報を『もうけのタネ』として利用し、成長戦略や企業の利益につなげようとするものだ、と批判しました。

 同法案は行政が個人情報を集積し、企業等に開放して「利活用」しやすい仕組みにするものです。

 今後、参院での審議となります。

 反対討論の要旨は、以下のとおりです。


 本案は、行政が個人情報を集積し、企業等に開放して「利活用」しやすい仕組みにしようというものです。行政が特定の目的のために集めた個人情報を「儲けのタネ」として利用し、成長戦略・企業の利益につなげようとするものです。

 反対理由の第一は、プライバシー侵害の問題です。

 本案は、個人情報保護法制の一元化で、自治体の個人情報保護条例に縛りをかけ、都道府県・政令市にオープンデータ化(匿名加工制度)を義務化し、オンライン結合(情報連携)の禁止は認めないとしています。保護の仕組みを切り捨て、個人情報保護を求める住民に応えた自治体の独自策を掘り崩すものです。

 また、政府の「マイナポータル」を入り口に、さらに個人情報を集積しようとしており、情報連携に歯止めがないことが浮き彫りとなりました。

 本案は、マイナポータル利用に必要なマイナンバーカードを、スマホに搭載可能とするなど「利便性」を強調していますが、健康保険証のマイナンバーカード利用を半年先送りしたことをみても、個人情報漏えいの懸念はぬぐえません。

 デジタル庁が整備し、統括・監理する全国的なクラウドの仕組み(ガバメントクラウド)も、システムの巨大化がさらなる下請けを生みだします。集積した情報は攻撃されやすく、一度漏れた情報は、取り返しがつきません。

 ガバメントクラウドへのデジタル庁からのアクセスについても、法的な根拠を示さず、設計は検討中だとして、まったく不透明なものです。

 この間、個人情報保護法をデータ利活用法に改悪してきたがゆえに生じた問題が、LINE社の問題としてあらわになっています。個人情報は個人の人格尊重の理念の下に慎重に取り扱われるべきであり、プライバシー権は憲法が保障する基本的人権です。今求められているのは、情報の自己コントロール権を保障する仕組みです。

 第二に、地方自治の侵害の問題です。

 現行の「自治体クラウド」でも、カスタマイズ(仕様変更)を認めないことが問題となっています。本案の「情報システムの共同化・集約の推進」によって、自治体は国がつくる鋳型に収まる範囲の施策しか行えないことになりかねません。

 また、強力な権限をもつデジタル庁は、国の省庁にとどまらず、自治体、準公共部門に対しても、重点計画、整備方針の策定、予算配分や勧告権を使って、口を挟むことができるようになります。監督権限を強化する個人情報保護委員会も、自治体の条例づくりに口を挟めるようになっています。

 第三に、国民生活への影響についてです。

 本案では、個人の預貯金口座のマイナンバー紐づけなどを盛り込んでいます。もともと、経団連などの要望のままに導入されたマイナンバー制度は、消費税増税を前提にしたもので、国民の所得・資産・社会保障給付を把握し、国民への徴収強化と社会保障費の削減を進めるためのものです。マイナンバー制度は廃止すべきです。

 行政のデジタル化を口実に、窓口の減少、紙の手続の廃止といった、対面サービスを後退させる事例が、相次いでいます。迅速簡便なデジタル手続きを生かすとともに、住民の多面的な行政ニーズに応える対面サービス・相談業務を拡充し、住民の選択肢を増やしてこそ利便性の向上につながります。

 最後に、官民癒着の問題です。

 デジタル庁は、約500人のうち100人以上を民間出身の非常勤職員としています。企業に籍を置いたまま、給与補てんを受けて働くことになり、特定企業に都合のよい政策の推進やルール作り、予算執行など、官民癒着がさらに拡大する恐れがあります。官邸と財界などの意向をスピーディーにストレートに反映させる組織であるデジタル庁は、必要ありません。


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橋本いわお町議と街頭から訴え/栃木・塩谷町

 25日投票の塩谷町議選。橋本いわお町議の応援に駆けつけました!

 県内で初めて、窓口払いなしの高校卒業までの医療費助成制度を実現し、住宅リフォーム助成制度を創設・拡充する先頭に立ってきました。

 橋本いわお町議は、国保税や介護保険料、水道料金の値上げなど住民の負担増に対して、きっぱり反対を貫いてきました。なくてはならない議席です。

佐野市議選告示で応援に/栃木

 佐野市議選告示。現職のつるみ義明候補と新人の滝田よう子候補で、現有2議席確保に全力!

 大型物流拠点整備事業は見直し、高すぎる国保税引き下げ、高校卒業までの医療費無料化、PCR検査体制の抜本的強化を!

 病床削減推進法案、高齢者医療費二倍化法案に、ノーの審判を!

【内閣委員会】「LINE」膨大な情報を集積/開示請求「対応適切か」

 無料通信アプリ「LINE」の不適切な情報管理の問題を取り上げました。

 LINEは、利用者のアプリ起動日時、滞在時間、検索結果、利用者間でどのような交流をしているか、クリックした情報、位置情報を送信許可していなくても推定した位置情報など、膨大な個人情報を集めています。

 私は、LINE社に自らの情報の開示請求を行う場合、連絡先の電話番号などの宛先も公開されておらず、問い合わせフォームがあるだけで、どうやって開示請求すればいいか難しい状況で、利用者に多くの負担と困難を強いる仕組みになっていると指摘。個人情報保護法で定められた手続きに照らし「LINE社の対応は適切か」とただしました。

 個人情報保護委員会の福浦事務局長は「LINE社にわかりやすくなるよう働きかける」と答弁。

 また、平井デジタル担当大臣は「個人情報保護委員会において適切な対応が必要だ」と述べました。

 LINE社は、政府・自治体の行政サービスでも利用されており、私は行政独自の個人情報もLINEで集積されていると指摘。

 私が、政府・自治体のLINE利用状況の調査結果を確認すると、加藤官房長官は「利用状況は精査中」「ガイドラインを早期に示すための検討を開始したところ」と答えました。

 私は、プライバシー権よりもデータ活用を優先してきた個人情報保護法制の転換こそ必要だ、と主張しました。


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「議事録」

<第204通常国会 2021年4月2日 内閣委員会 14号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 デジタルに関連して、最初にLINE社の問題について質問いたします。
 政府と自治体のLINEの利用状況の調査を行っていると思うんですけれども、その調査の状況はどうか、NISC及び総務省の方からお答えください。
○山内政府参考人 お答えいたします。
 今、内閣サイバーセキュリティセンターにおいて、政府機関におけるLINEの利用状況について調査を行っております。報告は先週の二十四日までに出すようにということを依頼いたしまして、今、受領したところでございます。
 ただ、この利用状況調査については少し精査が必要かと思っておりまして、今、中身の調査をしておりますので、現時点で内容についてのコメントは差し控えさせていただきます。
○阿部政府参考人 お答えいたします。
 総務省では、今回の事案を受けまして、地方公共団体に対して、三月十八日付でLINEの利用に係る現状を確認し、その結果を三月二十六日までに総務省に確認するよう依頼したところでございます。現在、地方公共団体からの報告について精査を進めているところでございます。
○塩川委員 加藤官房長官にお尋ねします。
 官房長官は記者会見でも、個人情報や機密情報などを扱うLINEサービスの利用を停止をしている、関係省庁によるタスクフォースを立ち上げ、各利用主体による判断の参考となるガイドラインを早期に策定するといったことを述べておられますが、現時点で何が問題となっていると認識をしているのか、この点についてお答えいただけますか。
○加藤国務大臣 今説明もあったと思いますが、政府と自治体でのLINE社のサービスの利用状況、これは今確認をさせていただいているところであります。
 また、個人情報保護委員会より、先週の二十六日にLINE社の報告を受けて一定の評価が示される一方で、十分な検証ができなかった部分は精査を継続するとされているところであります。
 それを踏まえて、政府では、政府機関等での機密性を要するLINE社のサービスの利用については一旦停止した上で、タスクフォースを立ち上げ、その利用の態様や法令に基づく検討結果も踏まえ、各利用主体による判断の参考になる考え方を示すための検討を開始する一方で、個人情報や機密性を要する情報を取り扱わない場合には、個人情報保護等の管理上の懸念が一定程度払拭されたと判断し、その利用を許容するということを申し上げたところであります。
 LINE等のソーシャルメディアサービスは、行政からの情報発信など積極的な広報活動を目的に行政でも広く利用されているものでありますが、利便性を維持しつつ、やはり安全性を確保していく必要があるということで、そういった観点からしっかりと検討を進めていきたいというふうに思います。
○塩川委員 利便性とともに安全性ということで、個人情報や機密情報を取り扱っているということもあります、その際に判断の参考となる考え方を示すということでありましたが、報道もされていますガイドラインを作るということについて、このLINE利用に当たってのガイドラインの作成というのは、いつまでに、どのようなものを作るとお考えなんでしょうか。
○加藤国務大臣 政府機関等におけるLINE社のサービスの適切な利用を図るため、先日、三月二十九日、関係省庁によるタスクフォースを立ち上げ、政府機関等による判断の参考となる考え方、ガイドラインを早期に示すための検討を開始したところであります。
 ガイドラインは、政府機関等の各主体がLINE社のサービスを利用するに当たって確認すべき事項、またLINE社との契約に盛り込むべき事項などを具体的に示したいと考えており、策定はできるだけ速やかに行いたいと考えています。
○塩川委員 このLINE社において、政府、自治体、様々利用が行われている、そういう点では、非常に個人情報の収集もそういう中で行われております。
 例えば、厚生労働省は、ホームページに自殺防止に取り組む民間団体の相談窓口を掲載し、利用を呼びかけてきた、このことについての報道もありました。LINEを活用していた団体については、LINEを取りやめ、他の手段に切り替えてもらうことをまずは行っているということですが、この自殺防止に取り組んでいる民間団体の方のコメントとして、相談内容には家族にも知られたくない事情も含まれ、情報が漏れないことが一番大事、SNSの安全性を国が徹底して調査してほしい、このようにありますが、国の対応として、こういった点についての調査、またふさわしい対応策を行っていくということでよろしいでしょうか。
○山内政府参考人 お答え申し上げます。
 扱っているデータ、今委員御指摘のとおり個人情報等も含むかと思いますが、適切に管理をされているということは非常に重要でございます。今回のガイドラインで、先ほど長官のお答えにもありましたが、そういうところをしっかりとガイドラインの中に盛り込んで、適切な在り方というのをお示しをしたいというふうに思っております。
○塩川委員 LINE社は、この間、自治体と様々なパートナーシップの契約も結んでいるということで、例えばLINEのスマートシティ推進パートナープログラム、こういったことで、自治体と連携をして行政サービスの提供を可能にする、こんな取組も行っているとお聞きしておりますし、LINEペイを使ってマイナンバーカードを用いた公的個人認証サービス、これに対応するサービスをスタートさせるという話にもなります。
 こういった行政情報もLINEに集積をするという状況については把握をしておられるんでしょうか。
○山内政府参考人 お答え申し上げます。
 今精査中でございますけれども、いろいろ、決済の手段でございますね、そういうもので使うのはないのではないかと思っております。ただ、ちょっと現状、本当にそういうものがないかどうかも確かめておりますので、それを今精査中ということでございます。
○塩川委員 決済にも使うようなサービスもこの春にスタートしようかといったLINE社としての告知などもあったと承知をしております。実態の把握をお願いしたいと思いますが。
 個人情報の適切な管理というのは重要だという話がありました。そういう点で、LINE社のプライバシーポリシーなどを見ますと、大量の個人データを取得することが書かれております。
 そこには、当社は、お客様が当社サービスをいつ、どのように利用したかを自動的に取得します、取得する情報には、当社が提供する各アプリを起動した日時、各サービスでの滞在時間、アプリ内で利用した検索結果、購入した追加サービス、閲覧、タップしたコンテンツや広告など、各種機能の利用状況が含まれますとか、コンテンツの投稿相手、データ形式、投稿日時など、お客様が相手との間でどのように交流しているかについての外形的な情報もサーバーに記録をされますとか、当社は、お客様が位置情報の送信を許可されていない場合でも、IPアドレスなどのネットワーク情報からお客様のおおよその位置を確定することがありますなど、膨大な個人データがLINEに集まっているという状況がある。
 こういった状況については、個人情報保護委員会などは把握をしておられますね。
○福浦政府参考人 LINE社がどの情報をどれだけ収集しているかという詳細については、私ども把握をいたしておりません。
○塩川委員 プライバシーポリシーに書いてある話ですから、それは承知しているわけですよね。
○福浦政府参考人 プライバシーポリシーの記載の内容については当然把握いたしておりまして、そのポリシーが本人にとって分かりやすい表現になっているかどうか、そういう観点での私どもの検証といいますかというのは行っているところでございます。
○塩川委員 分かりやすい表現になっているかというのを検証を行っているということです。
 そこで、個人情報保護委員会の事務局にお聞きしますが、こういった集積された個人データについて、情報開示を求めるとしたらどうするのか。個人情報保護法において、本人情報の開示請求手続はどのような仕組みになっているんでしょうか。
○福浦政府参考人 お答え申し上げます。
 個人情報保護法上、個人情報取扱事業者は、本人からの請求を受け付ける方法としまして、開示請求の申出先、開示請求に際して提出すべき様式などを定めることができまして、本人は、当該方法に従って開示請求を行わなければならないということとなってございます。
 また、事業者は、本人に対しまして、開示請求に関し、その対象となる保有個人データを特定するに足りる事項の提示を求めることができます。
 さらに、事業者は、開示請求に応じる手続を定めるに当たりまして、本人に過重な負担を課すものとならないように配慮しなければならないとされております。
 なお、開示請求に応じる手続を定めた場合、個人情報取扱事業者は、当該手続につきまして、本人の知り得る状態に置かなければならないというふうにされてございます。
○塩川委員 じゃ、実際にLINE社における本人情報の開示請求手続というのはどういうふうになっているのか、分かりますか。
○福浦政府参考人 お答え申し上げます。
 LINE社におきましては、同社のプライバシーポリシーにおきまして保有個人データの開示請求の手続を規定しているものと承知をいたしております。
 そのプライバシーポリシーによれば、まず、公開プロフィール、LINEID、電話番号、メールアドレス等の情報については、LINE社のアプリにおいて本人が自ら確認できるようになっているものと承知をいたしております。
 他方、これら以外の情報の開示手続につきましては、アプリ上で確認することができず、同社のプライバシーポリシーからコンタクトフォームと題するウェブページにアクセスをし、同社に連絡をして問い合わせる形態となっているというふうに承知しております。
○塩川委員 実際に私もちょっと操作してみて手続をしてみたんですが、なかなか大変でした。
 今説明がありましたように、プライバシーポリシーで「パーソナルデータに対するお客様の選択肢」というところを見て、パーソナルデータの開示と記載してある、そこに書いてあるのを見ると、問合せのコンタクトフォームに行くということなんですが、そこはあくまでも一般的な問合せのフォームでしかないんですよ。情報の開示を求めるなんというクリックなんかもないんですよね。
 ですから、そういう意味では非常に戸惑うことですし、どうやって情報を開示すればいいのか難しい。こういったLINE社の対応というのは適切なものなんでしょうか。
○福浦政府参考人 開示請求手続につきましては、事業者による個人情報の取扱いの透明性の確保という観点、さらに本人関与の機会の確保という観点から、本人にとって分かりやすいことが重要だというふうに認識をいたしております。
 LINE社の開示請求手続につきましては、電話番号、メールアドレス等以外の情報はアプリ上示されず、その開示請求手続につきましては、問合せフォームによる照会を経て本人に知らされることになるというふうに承知をいたしておりまして、当委員会といたしまして、今後、本人にとって分かりやすい手続になるように、LINE社に働きかけてまいります。
○塩川委員 本人情報の開示請求手続というクリックももちろんないわけですし、開示請求を求める際の連絡先として、LINE社の方の電話番号とか問合せのメールなども公開していないんですよね。そういうのは承知していますか。
○福浦政府参考人 いずれにしましても、本人にとって分かりやすいという点が重要でございますので、そういう観点から、私どもとしては、LINE社の方に、分かりやすくなるように働きかけてまいります。
○塩川委員 いや、いずれにしましてもではなくて、知っているのかということを聞いたんです。LINE社の電話番号とか問合せのメールとか、そういうのが記載があるのかないのかというのは。
○福浦政府参考人 そういう点も含めまして調査中でございまして、現在、詳細については、まだ私としては把握していないということでございます。
○塩川委員 是非把握をしていただきたい。必要な是正を求めるものです。
 平井大臣にお尋ねします。
 こういったLINE社の個人情報の開示の手続というのは本当に適切なものなのかと率直に思うんですが、大臣としての受け止めをお聞かせください。
○平井国務大臣 先ほどから答弁があったとおり、開示請求は個人情報の取扱いの透明性を高めるものであり、また、個人情報に対する適切な本人の関与の観点からも非常に重要な仕組みだと思います。したがって、個人情報保護法に基づいて、事業者において適切に対応していただくとともに、個人情報保護委員会においても必要に応じて適切な対応が行われることが必要だと考えております。
○塩川委員 適切な対応が必要だという話でした。
 個人データに関して、LINE社の対応は、利用者に非常に多くの負担と困難を強いる仕組みにしているわけです。ですから、そういう点で、こういう状況が起こっているという問題について、政府の個人情報保護委員会の対応がどうなのかということも問われると思います。本人同意において丸ごとの同意を求めるということは、この前も当委員会でただしました。個人情報の開示にも手続上の多くの問題があるということも、今の点で政府も認めざるを得ませんでした。
 削除を求めても実際応じてもらえるかどうかも分からないということを含めて、こういうことが容認されているような国の法制度、ガイドラインは不十分だとは、大臣、思いませんか。
○平井国務大臣 LINE社に限らず、SNS、多くの皆さんがただで使っているものに関して言えば、全て同様に感じています。
 ここはやはり、本人にとって分かりやすい、過度な負担にならないもの。さっきの話を聞いておりますと、問合せフォームがたどり着くのが大変だと。アプリ上でそういうことがすぐできるSNSもほかにあるわけで、プラットフォーマーそれぞれ、いろいろと競争もこれからなさっていくという意味において、そこは改善されていくべきだ、そのように思います。
○塩川委員 いや、そういうことが放置されているような今の国の法制度、ガイドライン、これを見直す必要があるんじゃないのか。個人情報を守る、あるいは自己情報コントロール権をしっかりと確立をしていく、そのことを脇に置いて、利活用を推進するという事業者の都合を優先するその仕組みとして、改めるべき点をしっかり改める必要があるんじゃないでしょうか。
○平井国務大臣 このようないろいろなプラットフォーマー、SNS等々に関して言えば、広く多くの国民に使われるという観点から、今の個人情報の扱いのみならず、セキュリティーの問題、全部含めて、やはり安全で安心な状態にあるべきだ、そのように思います。
 その意味で、個人情報保護委員会、今回のいろいろな国民の不安というものに対応して適切に対応される、そのように思っております。
○塩川委員 プライバシー権よりも利活用を優先するような個人情報保護法制の転換こそ必要だということを申し上げておきます。
 それと、デジタル改革関連法案におきまして、この間の質疑で、窓口サービス、紙の手続をなくすものではないということを大臣はずっと答弁もされていたわけですが、ただ、デジタル改革関連法案のワーキンググループの作業部会取りまとめの中には、中長期的には完全なデジタル化に向けた対応が必要だという記述があります。窓口サービス、書面での手続はなくならないという平井大臣の答弁とそごがあるのではないかと思うんですが。
○平井国務大臣 御指摘の資料は、基本方針を定めるに当たっての作業部会の取りまとめにおける民間のデジタル化支援についてのパートにおいて、事業者が行う行政手続等を念頭に、中長期的には完全なデジタル化に向けた対応が必要であり、そのために必要な支援を行うことなどを記載したものであります。
 これは、あくまでも中長期的な方向性を示したものでありまして、これまでも答弁してきたとおり、様々な事情によりすぐにデジタル化に対応できない利用者がおられることも事実であり、そのことは我々非常に重視をしております。
 今般のデジタル改革が目指すものは、人に優しいデジタル化であり、そういった方々にデジタル化を押しつけるようなことは適切ではなく、当面は、デジタル手続と紙の手続を併用しながら、デジタル化の利便性の向上を国民に実感していただきつつ、紙からデジタルへの転換を図っていくことが重要だと考えています。
○塩川委員 迅速、簡便なデジタルの手続と同時に、やはり多様な要望、ニーズに応えられるような窓口の手続、紙の手続も、しっかり選択肢を増やすということが重要だという点で、前橋市の例を取り上げました、マイタクの話。大臣も前橋市の事例についてヒアリングしたいとおっしゃっておられましたが、どうだったか。
○平井国務大臣 担当者を通じてヒアリングを行いまして、報告を受けました。
 前橋市においては、運転免許証を自主返納された高齢者の方々等がタクシーを利用する場合に運賃を補助するサービス、いわゆるマイタク事業を実施してきたものと承知しております。
 マイタクの利用に当たり、従来は紙の利用券を用いる方式とマイナンバーカードを用いる方式の二つの方式を利用者が選択できる仕組みとしていたところですが、利用者からは、紙の利用登録証と利用券の二種類の持ち歩きが不便であること、一方で、マイナンバーカードであれば、一枚で済み便利であること。タクシー事業者からは、紙の利用券は割引額の計算に伴う事務負担が利用者数の増加に伴って大きくなってきたこと、一方で、マイナンバーカードの場合は、タブレットで読み取ることで自動化され、乗降もスピーディーにできること。前橋市にとっては、紙の利用券は確実な本人確認ができず、不正利用の課題や回数確認の事務手続の負担が増加したこと、一方で、マイナンバーカードは、確実な本人確認が可能で、回数確認が自動で可能であり、市の事務負担も減ること等の、紙の利用券を用いる方式についての課題、マイナンバーカードを用いる方式の有用性が明らかになってきたというふうに聞いております。
 そこで、前橋市においては、令和三年四月からは新規登録者はマイナンバーカード利用のみとし、令和四年四月からはマイナンバーカード利用に限定することとされたものと聞いています。
 前橋市が実施したアンケート調査によると、マイナンバーカードを用いる方式でマイタクを利用した方の多くが便利であると感じているとのことから、マイナンバーカードを取得して実際に使っていただければ、その利便性を実感いただけるものと思われます。
 今後とも、マイナンバーカードの利便性をしっかりと周知するとともに、取得環境の充実に向けて取り組んでいくことが重要であると考えております。
○塩川委員 紙の手続を打ち切る理由にはならない、そういう選択肢をしっかり残すことが必要だということを改めて申し上げます。
 官房長官に、法案の誤りの点について。
 こういった誤りが相次いだのはなぜなのか。その点で、効率化重視の民間手法が行政に持ち込まれて、国民の権利義務に係る業務だという意識が公務員に希薄になったんじゃないのか。その点でも、デジタルの手続というのが、トライ・アンド・エラーの文化、間違えば直せばいい、こういうのが権利義務に係る重要な認識を後退させるような問題につながったんじゃないか。この点について、お考えをお聞かせください。
○加藤国務大臣 先ほど議運の委員会でもお話をさせていただきましたけれども、行政においてデジタル化そのものの取組、これは業務の効率化を図るものであり、職員がその持てる力を十二分に発揮し、行政サービスの質の向上につなげ、国民生活の利便性を向上させるためにも重要と考えております。
 ただ、今回こうした誤りがあり、今の時点で把握しているものとして報告を受けているものとしては、人員体制とかシステムに関連する誤りとか、あるいは意識の低さ等々が報告をされているところでありますが、御指摘のような規範意識等々が今回の誤りにつながっている、こういうことは承知をしておりません。
 各職員は真摯に職務に当たっていただいているというふうには考えておりますけれども、しかし、今回こうした事例、ミスが出てきているわけでありますから、しっかりと内容を分析をして、その上で、必要な体制の整備を含めて、再発防止にしっかりと取り組んでいきたいと考えております。
○木原委員長 塩川君、申合せの時間が来ております。
○塩川委員 しっかりとした分析、検証をお願いしたいと思います。
 終わります。

【議院運営委員会】法案誤り/相次いだ原因を指摘

 今国会への政府提出法案のうち、23法案1条約で計134カ所の条文・関係資料の誤りがあった前代未聞の事態。何が問題だったのか、原因は何か、政府の姿勢を追求しました。

 私は、今回の誤りが政府提出法案の4割、法案提出した府省庁の8割になるとして、特定省庁の問題ではなく政府全体の問題だと指摘。

 国民に権利義務を課す法律で誤りは許されない。ましてや罰則にかかる条文の誤りは決してあってはならないと述べ、感染症法の条文誤りが罰則の部分であったことを強調。

 誤りを直ちに国会・国民に報告しなかったとして、「国民の権利保障の点からも、議会制民主主義の観点からも、深刻な事態だ」と指摘しました。

 その上で、誤りが相次いだ原因について
1)効率化重視の民間手法が持ち込まれた
2)実務を担ってきた公務員が減り、公務員削減の負の影響が出てきた
3)菅政権が拙速に政策を推進した
4)大本に、公文書の改ざん・隠ぺい・虚偽答弁など、安倍政権以来の驕りがあり、官僚にも浸透した
―――と4点を指摘。

 加藤官房長官は、この指摘にまともに答えず「ミスが再び起こらない対策を講じたい」と述べました。


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「議事録」

<第204通常国会 2021年4月2日 議院運営委員会 22号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 今回、二十三法案、一条約に誤りがありました。政府提出法案の四割に誤りがあり、法案提出府省庁中八割で誤りがあったことになります。特定省庁の問題ではなく、政府全体の問題であります。
 国民に権利義務を課す法律案に誤りは許されません。ましてや、罰則に係る条文の誤りは決してあってはならない。感染症法の条文誤りは罰則に係る部分であり、断じて許されません。その認識を伺います。
 また、国民に権利義務を課す法律だからこそ、制定に当たって国民の代表の機関である国会での慎重な審議、議決が求められます。法案、参考資料の誤りについては、直ちに国会、国民に報告することが必要であります。しかし、その報告を放置し、法案審議中の国会にも報告しなかったことは、国民の権利保障という点でも、議会制民主主義の観点からも、極めて深刻な事態だと言わざるを得ません。
 官房長官の認識を伺います。
○加藤国務大臣 今国会で御審議いただいた新型インフルエンザ特措法等改正法案のうち、感染症法の改正部分について、条文及び参考資料に誤りがあったところであります。特に、御指摘のあるように、国民の皆さんの権利義務に関わる罰則に係る条文に誤りがあったこと、そして、その誤りが担当者に認識された段階で速やかに国会及び国民の皆さんに報告がなされていなかったこと、これは大変重く受け止めているところであります。
 感染症法の誤りについては、三月の全省庁における今国会提出法案の総点検の中で、厚労省において、成立済みの新型インフル特措法の感染症法改正部分の法案提出時の条文に誤りを発見し、報告がなされたところであります。
 これを受け、一連の過程の確認を厚生労働省で行ったところ、条文の誤りについて、一月の法案の修正作業の土壇場のタイミングで、衆議院法制局の指摘で担当者の一部が認識をしていた、しかしながら、局内幹部に共有されるに至っていなかったということが明らかになりました。当該担当者は法案審議に向けた対応あるいは衆議院修正案への対応等行う中で局内幹部への報告に至らなかったと聞いておりますが、担当者の認識も甘く、報告するという意識が希薄だったのではないかという指摘、これは免れないと受け止めております。
 いずれにせよ、結果的に修正されているとはいえ、提出法案の条文に誤りがあったこと、そして、その誤りが担当者に認識された段階で、省内に認識の共有がなされず、速やかに報告等適切な対応がなされなかったこと、これはあってはならないというふうに考えており、こうした点も含めて、このプロジェクトチームにおいてしっかりと検討していき、万が一、誤り等が起きた場合にも、組織内で速やかに共有され、適切な対応が取れるなど、体制の整備も図っていきたいというふうに考えております。
○塩川委員 なぜこのような誤りが相次いだのか。
 第一点、効率化重視の民間手法が行政に持ち込まれ、国民の権利義務に係る業務だという意識が公務員に希薄になったのではないか。行政のデジタル化も、間違ったら直せばいいといった、間違いを容認する安易な風潮を生じさせたのではないか。
 また、規範意識を保持し実務を担ってきた公務員が減ってきているのではないか。公務員削減の負の影響が出ているのではないか。
 また、デジタル関連法案やコロナ対策の特別措置法等、菅政権が拙速に政策を推進したことがこのような誤りの要因となっているのではないか。
 そして、大本には、公文書の改ざん、隠蔽、虚偽答弁といった安倍政権以来の政権のおごりがあり、それが官僚にも浸透した結果ではないのか。
 以上、この点についてお答えいただきたい。
○加藤国務大臣 行政におけるデジタル化等による業務の効率化でありますけれども、こうした効率化を図ることは、職員がその持てる力を十二分に発揮し、行政サービスの質の向上につなげ、国民生活の利便性を向上させるためにも重要であると考えているところであります。
 また、今回、誤りの原因として、先ほど申し上げた、人員体制、システムに関連する誤り、認識の問題等が指摘をされているところでありますが、職員間に規範意識の低下、おごりが生じているといったことによってこうしたミスが生じているということは承知をしておらず、担当職員においては真摯に職務に当たっているものと考えております。
 また、公務員削減の負の影響との御指摘でありますが、政府においても、一律に定員を削減しているものではなく、必要な部局には必要な体制整備を行っているところであります。
 御指摘のデジタル改革関連法案については、政府としても、喫緊の課題であるデジタル化についてもスピード感を持って対応するなど、いずれも社会的なニーズに的確に応えるべく、必要な法案を今国会に提出する準備を進めたものであり、拙速という認識は私どもは持っていないところであります。
 しかし、いずれにしても、今回こうした誤りがあったということ、これは真摯に受け止め、原因を究明し、そして、今後の、こうしたミスが再び起こらない、こうした対策をしっかりと講じていきたいというふうに考えております。
○塩川委員 誤りが決して繰り返されないということを強く求めて、質問を終わります。

【「しんぶん赤旗」掲載】デジタル関連法案の危険/衆院論戦で明らかになった問題点/塩川鉄也議員に聞く

「しんぶん赤旗」4月2日・3面より

「個人情報の保護」が欠落

 菅義偉首相肝いりのデジタル関連法案について、政府・与党は2日の衆院内閣委員会での採決を狙っています。日本共産党の塩川鉄也議員にこれまでの論戦で明らかになった法案の問題点を聞きました。

本人の同意もなく「利活用」

 この法案は、デジタル化を利用して、あらゆるデータを集積しながら、行政が持つ膨大な個人情報を企業などが「利活用」しやすい仕組みにしようというものです。

 最大の問題は、個人情報の保護という観点が欠落していることです。プライバシー権を侵害するような内容となっています。

 個人情報保護法制には、2015、16年の法改悪で、匿名加工などをすれば、個人情報を本人の同意なく第三者に提供できる制度が設けられています。

 3月24日の衆院内閣委員会と総務委員会の連合審査では、日本共産党の本村伸子議員が、独立行政法人の住宅金融支援機構から民間の住信SBIネット銀行へ、年収・家族構成・職業・郵便番号など約118万人分の加工された個人情報が、住宅ローンのAI(人工知能)審査モデルの構築のために、本人の同意もなく提供されていた実態を明らかにしました。個人が特定されかねない情報です。

 今回の法案は、こうした個人情報の「利活用」をさらに促進するために、民間、国の行政機関、独立行政法人をそれぞれ対象とした三つの個人情報保護法を一元化し、自治体が独自に制定する保護条例にも縛りをかけるものです。

 特に問題となるのが、匿名加工した個人情報の利活用案の募集を都道府県や政令市に義務付ける「オープンデータ化」と、自治体の条例による個人情報のオンライン結合(情報連携)の禁止を認めないことです。

 現在、条例で匿名化条項をもっている自治体はわずかです。一方、多くの自治体の条例では、オンライン結合による個人情報の提供を原則禁止しつつ、必要な場合は各自治体の審議会などに諮問する規定を設けています。これらがデータの利活用を求める企業等にとって面倒な仕組みだというのです。

 法案の内容は、行政が特定の目的のために集めた個人情報を企業の「もうけのタネ」として利用し、成長戦略につなげようとするもので、個人情報保護を求める住民に応えた自治体独自の取り組みを掘り崩すものでしかありません。

プライバシー権は基本的人権

 個人情報は個人の人格尊重の理念の下に慎重に取り扱われるべきであり、プライバシー権は憲法が保障する基本的人権です。

 就職情報サイト「リクナビ」が就活生の閲覧記録を分析し、内定辞退率を本人の同意なく採用企業に販売していた問題のように、現在の社会では、本人の知らないところで個人情報がやりとりされ、ビッグデータやAIを利用したプロファイリング(人物像の推定)やスコアリング(点数化)によって、個人の人生に大きな影響を与える事態を引き起こしていることがあらわになっています。今求められているのは、情報の自己コントロール権を保障する仕組みです。

自治体の独自の施策を抑制

 デジタル関連法案では、(1)国や自治体が事務処理に使う情報システムの「共同化・集約」(2)マイナンバー制度の情報連携等の拡大(3)個人情報保護法制の一元化(4)強力な権限をもつデジタル庁の設置―という四つのツールを使って、さらにデータを集積し利活用を推進しようとしています。

 関連法案の中心をなすデジタル社会形成基本法案では、国と自治体の「情報システムの共同化・集約の推進」を掲げ、デジタル庁が整備し統括・監理する全国的なクラウドの仕組み(「ガバメントクラウド」)を、全省庁だけでなく全国の自治体に使わせようとしています。総務委員会で審議する情報システム標準化法案と相まって、自治体の業務内容を国のシステムに合わせていく問題をはらんでいます。

 現在、総務省が推進し複数の自治体が共同で使っている「自治体クラウド」でも、住民の多様なニーズに応えるためのカスタマイズ(仕様変更)を認めないことが問題になっています。例えば富山県上市町(かみいちまち)の町議会では、「3人目の子どもの国保税免除」などを求めた町議の提案を、「自治体クラウド」を使っていることを理由に、システムの仕様変更はできないと町長が拒否したことがあります。

 こうした事例を示して追及した私の質問(3月12日、内閣委)に、平井卓也デジタル改革担当相は「自治体の政策判断を制約するものではない」と答弁しています。しかし、政府は昨年「カスタマイズを無くすことが重要」とした方針を閣議決定しており、カスタマイズを抑えた自治体に助成金を出す仕組みまでつくっています。自治体独自の施策の抑制につながることは目に見えています。

なりふり構わずマイナンバー拡大

 マイナンバーカードを健康保険証として利用する仕組みの3月下旬からの本格運用は、患者の情報を確認できないといった根本的なトラブルにより、半年間先送りされました。マイナンバーカードで何でもできれば便利なのか、いま一度立ち止まって考えるべきです。

 いま国は、政府が管理・運営しているウェブサイト「マイナポータル」を入り口として、行政だけでなく民間サービスも含めた個人情報の連携を進めようとしています。

 このサイトの利用にはマイナンバーカードのカギ機能が必要となるため、その普及策をなりふり構わず打ち出しているのです。法案では、このカードの機能のスマホへの搭載を可能とすることも盛り込んでいます。

 3月19日の私の質問に、平井大臣は、マイナポータルは「個人情報保護法やマイナンバー法に提供の根拠となる具体の規定があるわけではない」と認めながらも、マイナポータルを通じて行政機関から本人に提供された個人情報の民間事業者への提供は、国民が望めば「どんどん広がっていく」と拡大が当然であるかのように答弁し、連携が歯止めなく拡大する危険性があらわになりました。

デジタル庁で官民癒着拡大の恐れ

 法案で設置をうたうデジタル庁は、データ利活用を強力に進めるための司令塔で、国の省庁にとどまらず、補助金を出している自治体、医療機関、教育機関といった準公共部門に対しても予算配分やシステムの運用について口を挟むことができるようになることも明らかになっています。

 政府は発足時の人員約500人のうち100人以上を民間出身者とし、兼業・副業・リモートワークも可能としていますが、これでは、特定企業に都合のよいルール作りや予算執行など、さらに官民癒着が広がる恐れがあります。このような組織は必要ありません。

 菅首相は、行政のデジタル化で「住民サービスの向上を徹底していく」と述べています。しかし実際には、デジタル申請のみとした持続化給付金などでは支援を受けられない事業者が多数生まれました。自治体を含め、デジタル化を口実に窓口を減らしたり、紙の手続きを取りやめ、対面サービスを後退させる事例が相次いでいます。

 手続きの簡便化にデジタル化を生かすとともに、住民の多面的な行政ニーズに応える対面サービスを拡充し、住民の選択肢を増やしてこそ利便性の向上につながります。

【内閣委員会】デジタル関連5法案/反対討論/委員会で可決

 デジタル関連5法案が採決され、それぞれ自民・公明などの賛成多数で可決となりました。

 衆院本会議の採決は、来週6日が予定されています。

 反対討論の要旨は以下の通りです


 本案は、行政が個人情報を集積し、企業等に開放して利活用しやすい仕組みにしようというものです。行政が特定の目的のために集めた個人情報を「儲けのタネ」として利用し、成長戦略や企業の利益につなげようとするものです。

 反対理由の第一は、プライバシー侵害の問題です。

 個人情報保護法制の一元化で、自治体の個人情報保護条例に縛りをかけ、都道府県・政令市にオープンデータ化を義務化し、オンライン結合の禁止は認めないとしています。保護の仕組みを切り捨て、個人情報保護を求める住民に応えた自治体の独自策を掘り崩すものです。

 また、政府の「マイナポータル」を入り口に、さらに個人情報を集積しようとしており、情報連携に歯止めがないことが浮き彫りとなりました。

 デジタル庁がつくるガバメントクラウドは、システムの巨大化がさらなる下請けを生みだします。集積した情報は攻撃されやすく、一度漏れた情報は、取り返しがつきません。

 ガバメントクラウドへのデジタル庁からのアクセスについても、法的な根拠を示さず、設計は検討中だとして、まったく不透明なものです。

 今求められているのは、情報の自己コントロール権を保障する仕組みです。

 第二に、地方自治の侵害の問題です。

 現行の「自治体クラウド」でも、カスタマイズを認めないことが問題となっています。本案の「情報システムの共同化・集約の推進」によって、自治体は国がつくる鋳型に収まる範囲の施策しか行えないことになりかねません。

 また、強力な権限をもつデジタル庁は、国の省庁にとどまらず、自治体、準公共部門に対しても、予算配分やシステムの運用について口を挟むことができるようになります。監督権限を強化する個人情報保護委員会も、自治体の条例づくりにも口を挟めるようになっています。

 第三に、国民生活への影響についてです。

 本案では、個人の預貯金口座のマイナンバー紐づけなどを盛り込んでいます。もともと、経団連などの要望のままに導入されたマイナンバー制度は、消費税増税を前提にしたもので、国民の所得・資産・社会保障給付を把握し、国民への徴収強化と社会保障費の削減を進めるためのものです。マイナンバー制度は廃止すべきです。

 行政のデジタル化を口実に、窓口の減少、紙の手続きの廃止といった事例が、実際に起こっています。今必要なのは、住民の多面的な行政ニーズに応える対面サービスを拡充し、住民の選択肢を増やしていくことです。

 最後に、デジタル庁は、約500人のうち100人以上を民間出身の非常勤職員としています。企業に籍を置いたまま、給与補てんを受けて働くことになり、特定企業の利益を優先するような政策の推進や特定企業に都合のよいルール作り・予算執行など、さらに官民癒着が広がる恐れがあります。このようなデジタル庁は、必要ありません。


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【議院運営委員会】まん延防止等重点措置、初の適用/事業者支援「国が直接行え」

 新型コロナ対応の緊急事態宣言に準じた対応が可能な「まん延防止等重点措置」を宮城、大阪、兵庫の1府2県に適用するにあたって政府から事前報告を受け、質疑を行いました。

 私は、3月上旬以降に全国的に新規感染者数が増加するもとで、検査体制の充実が重要だと強調。
1)高齢者施設や障害者福祉施設などへの頻回の社会的検査
2)モニタリング検査数の引き上げ
3)変異株検査数の大幅な引上げ
――を要求しました。

 また、持続化給付金を打ち切るなど、国による事業者への直接支援制度が何もなくなると批判。持続化給付金の再支給など、国の直接支援を直ちに行うべきだと迫りました。

 西村康稔担当大臣は「影響が出てくる事業者への支援策を検討している」と答弁。

 私は、厚生労働省のアドバイザリーボードでの変異株に関する医療提供体制や公衆衛生体制を早急に検討すべきだとの意見を紹介し、対応を求めました。

 西村大臣は「変異株に最大限警戒する」と述べました。


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「議事録」

<第204通常国会 2021年4月1日 議院運営委員会 21号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 最初に、検査体制の強化についてお尋ねをいたします。
 コロナ感染状況は、宮城県、大阪府、兵庫県にとどまらず、全国の新規感染者数は、三月上旬以降、増加が続いております。検査体制の拡大が重要であります。
 高齢者施設、医療機関や障害福祉施設などへの頻回、定期的な社会的検査の実施、モニタリング検査数の引上げ、変異株の検査の大幅な引上げが必要ではないか。モニタリング検査数は、平均で千件程度という状況でありますので、どう増やしていくのか。この点についてお答えをいただきたい。
○西村国務大臣 御指摘のように、まず、症状がある方が迅速に検査を受けられるということが大事であります。宮城県仙台市でややこれが滞っておりましたので、ドライブスルー方式などで改善を図ってきているところであります。さらに、御指摘のように、高齢者施設での従事者の検査、これも引き続き頻回に行うということで、今日の対処方針にもお示しをしたところであります。
 さらに、モニタリング検査でありますが、これまで約二万一千五百件のキットを配付しまして、回収できた分が、大体一週間ぐらい遅れて回収されてきまして検査結果が出ますので、一万一千五百人分回収をして、陽性者七件ということであります。
 感染が落ち着いているところでは陽性率は非常に低いので、これで上がってくるのを見つけるという意味で、活発に活動しておられる方が多いであろう空港とか、駅とか、繁華街とかで検査を行ってまいりますが、今は、感染が再拡大がもう見られていますので、そういう地域では、むしろ、どこに感染源があるかということを特定するためにこのモニタリング検査を使っていきたい。行政検査などで、感染が出ている地域の、工場とか、作業所とか、密になるような場所のあり得るような場所、こういった場所で、協力を得ながら、あるいは若い人たちが多い大学、こうしたところの協力を得ながら、質、量共にモニタリング検査も増やしていきたいというふうに考えているところでございます。
○塩川委員 次に、コロナ禍の事業者支援についてであります。
 持続化給付金が打ち切られ、一月から三月の損失を補う一時支援金も、四月以降の損失の落ち込みには対応しておりません。国による事業者への直接支援の制度は何もなくなります。全国知事会は、緊急事態宣言対象地域外の地域や営業時間短縮要請の対象となった飲食業以外の業種においても、緊急事態宣言の副次的効果により厳しい影響が生じていると指摘をしております。
 持続化給付金の再支給、要件緩和、企業規模に応じた支給額の引上げを行うべきではないか、お答えください。
○西村国務大臣 まず、飲食店など時短要請に応じていただいた方々には、引き続き、協力金でしっかりと支援をしていきたいと思いますし、規模に応じた仕組みに改善を図ることとしたいと、現在、最終的な詰めを行っているところでございます。
 そして、既に緊急事態宣言で影響を受けた方々への一時支援金六十万円という仕組みがございますけれども、今回、蔓延防止等重点措置によって影響を受ける事業者も出てこられると思いますので、そういった方々への支援策についても、今、早急に検討をしているところでございます。
 同時に、三十四人の知事から、私にも要請をいただきました。感染が収まっている地域に協力金などの仕組みがないものですから、そうした地域への飲食店や観光施設への支援をお願いしたいということで相談がありました。
 国交省におきまして、感染が落ち着いている地域、いわゆるステージ2以下のところで、都道府県が行います県民に対する県内旅行の割引支援、これを、五千円の割引支援、そして、その旅行中に飲食あるいは土産物屋さん、こういったものに使えるクーポンなどで二千円、一人当たり、一泊当たり七千円を上限に補助する仕組みを創設いたしました。
 こうした仕組みを通じて、様々な影響があると思いますので、しっかりと支援をしていきたいと思いますし、新年度の予算で五兆円の予備費も計上させていただいておりますので、そうした活用も含めて、機動的に必要な対策を講じてまいりたいというふうに考えております。
○塩川委員 地方創生臨時交付金の拡充はしっかりやると同時に、国の直接支援制度、これは、今、直ちに行うべきだと申し上げたい。
 昨日の厚労省のアドバイザリーボードの会合におきまして、「変異株に関する入院時の扱いや退院基準等医療提供体制や公衆衛生体制での取組の在り方について早急に検討が必要。」と指摘をしております。どう対応するのか、お答えください。
○西村国務大臣 まさに、アドバイザリーボードで、変異株に対する脅威がかなり大きくなってきている状況、また、感染力がかなり高いという分析が示され、また、本日の議論におきましても、この変異株に対する最大の警戒感を持って取り組むようにという御指摘もいただいているところであります。
 そして、アドバイザリーボードで指摘をされた、二度のPCR検査の陰性確認を求めることなどで入院期間が延びることなどの課題の指摘もあったところでありますし、大阪や神戸からも、私自身に直接、変異株の方を個室に入れる、あるいは、今の二回のPCR検査が陰性でないと退院できないなど、元気な方もおられる中で、結果的に病床の逼迫につながっているという御指摘もいただいておりますので、このことについては厚労省において退院基準等の見直しを早急に検討するものというふうに承知をしております。本日の対処方針にもこの旨を記載させていただいているところであります。
 いずれにしましても、変異株への対応、最大限警戒をしながら、そして他方で、エビデンスに基づいて適切な対応をして、病床の逼迫など何としても避けられるように対応していきたいというふうに考えております。
○塩川委員 終わります。

【内閣委員会】デジタル庁/多数の民間企業在籍の非常勤を登用/官民癒着の疑念

 デジタル庁に多数の民間企業在籍者が非常勤職員として勤務するのは官民癒着を生むと追及しました。

 私は、デジタル庁の母体である内閣官房IT総合戦略室に、民間企業に在籍したまま非常勤職員として勤務している職員数を質問。

 政府は、「LINE」社、ヤフー、ソフトバンク、NEC、富士通、日立、NTTデータなど、大手IT企業社員を含め100人程度在籍していると明らかにし、さらに非常勤職員は「兼業」も「出身企業からの給与補てん」も受けられることを認めました。

 菅義偉総理大臣が「疑念が生じないよう入札のルールを作っている」と答弁したのに対し私は、IT室は政府のデジタル政策を作る司令塔だと指摘、入札の問題ではない。企業に都合のよいルールが作られるのではないかと批判しました。

 菅総理は答弁に立てず、平井卓也デジタル改革担当相は、ベンダーとして大型案件に関わった経験は重要だと答え、政府方針の作成に一人の職員が関わることで方針が変わることは基本的にはないと正当化しました。

 私は、官民人事交流法では民間企業の職員が国の機関で働く時は「公務の公正性確保」のため企業からの給与補てんを禁じていることや、カジノ管理委員会事務局で「国民の疑念を払しょく」するためカジノ関係事業者出身の非常勤職員を常勤化したと指摘。デジタル庁では勧告権や予算の一括計上と予算配分などIT室より一層権限が強化されるのに、100人以上の民間企業出身者を非常勤職員として登用しようとしている。官民癒着の批判は免れないと強調しました。


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「議事録」

<第204通常国会 2021年3月31日 内閣委員会 13号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 デジタル関連法案について菅総理に質問いたします。
 午前中でも質疑をしてきたところですけれども、デジタル庁の創設に当たって、その母体の一つとなるのがIT総合戦略室であります。このIT室には百人以上の民間企業出身者がおり、その多くが、民間企業に在籍をしたまま、非常勤国家公務員として勤務をしております。
 人事院所管の官民人事交流法では、民間企業に籍を置いたまま国の機関で働くときは、出身元企業で働くことや給与の補填を禁じております。その理由は、公務の公正性を確保するためであります。
 しかし、このIT室の民間企業から出向している非常勤職員は、在籍企業からの給与の補填を禁じられておりません。これでは、データの利活用でもうける企業に都合のよいルールや予算執行が行われるのではないかといった、公務の公正性の確保に疑念が生ずるのではありませんか。
○菅内閣総理大臣 民間人材の活用に当たっては、公務の公正性に疑念を抱かれることがないよう十分注意することが必要だというふうに思っています。
 このため、IT総合戦略室では、非常勤職員が過去二年間属していた事業者について、当該非常勤職員が関係する調達案件には入札できない、こうしたルールを設けることで、公務の公正性が損なわれることがないよう運用している、そのように承知をしています。
○塩川委員 入札制限のお話がありましたけれども、しかし、このIT室というのは、まさに政府全体のIT政策、デジタル政策についての司令塔として企画立案、総合調整を行います。つまり、様々なデジタルについてのルールをつくるところなんです。だから、入札の話ももちろんあるんだけれども、それをおいておいても、そもそも、デジタル政策に関わるIT室に、民間企業出身者の人が民間企業に在籍をしたまま仕事をしていたら、これは公務の公正性に疑念が生ずるんじゃありませんか。
○菅内閣総理大臣 今申し上げましたように、疑念が生じないように、入札できないルールをつくって対応しているということです。
○塩川委員 入札の話をしているわけではありません。まさに、デジタル政策をつくるという、企画立案、総合調整、それに関わるこのIT室に民間企業出身者がいるとなれば、まさにそのルールにおいて、民間企業に都合のいいルールをつくることになるんじゃないのか、その点の歯止めは何かあるんですかとお聞きしているんです。
○平井国務大臣 優れた専門性を持っている人材が、常勤、非常勤、兼業、副業といった多様な働き方を通じて様々な形で社会全体のデジタル化の推進に関わっていくような環境を用意することが非常に重要だと思っています。
 このため、常勤、非常勤といった雇用形態や働き方については、募集職種の職務内容や個人の働き方のニーズ等も踏まえて、多様な選択肢を柔軟に提供していきたいと考えています。
 そして、先ほど総理から説明がありましたとおり、入札には大変厳しいルールを適用しておりますし、これは、兼業した場合、まだ兼業を認めていない企業というのも多数あって、実は働きたいけれども働けないというケースもあります。そういう中で、兼業も認める企業との間で我々がうまく条件が折り合った場合には、そういうことで来ていただけるということになります。
 いずれにしましても、疑念を抱かれないようにするということは当然ですし、やはり国家公務員としての義務がいろいろかかってまいりますので、ある意味、これからそういう有為な能力を持っている方々に働いていただいて、疑念が生じないように更に我々は努力をしていきたい、そのように思います。
○塩川委員 今、平井大臣、もう午前中のやり取りもしたわけですけれども、兼業も認めるという話になるんですよね。
 そうしますと、官民人事交流法では、民間企業に在籍をしたまま官の方に来たときには、その出身元企業では働きません、出身元企業からは給与はもらいませんというルールなんです。それは、公務の公正性の確保のために行うわけなんですね。
 だけれども、非常勤の国家公務員だと民間企業からお金をもらっているわけですよ。そうなれば、非常勤の国家公務員、年収でいえば二百万とか三百万。それ以上に、圧倒的多数の部分が民間企業から給与をもらったら、これは、企画立案、総合調整というIT室において、出身元の企業に都合のいいルールに関わるといった疑念は晴れないんじゃないんですかと聞いているんです。そこのところを、総理、お答えいただけませんか。
○木原委員長 平井大臣。(塩川委員「総理、総理に」と呼ぶ)平井大臣の答弁に対する追加ですので。
○平井国務大臣 民間の非常勤職員を受け入れることで公務の公正性に疑念が抱かれることがないように十分留意することは当然必要です。
 民間から採用された職員についても、その採用方法にかかわらず、公正な職務の遂行、維持、職務専念義務の確保、公務の信用保持の観点から、守秘義務、信用失墜行為の禁止など、国家公務員法の服務に関する規定が適用されます。これはもう先ほどもお話しさせていただきました。
 総理からあったように、こうした規定に加えて、在籍又は過去二年間に属していた事業者については、当該非常勤職員が妥当性評価及び助言を行う調達案件には入札できない、政府情報システムの受注実績のある企業の出身者はその担当としないといったルールを設けて運用しているということであります。
 ですから、デジタル庁は、民間の人材を確保するにも、そういうことに配慮しているがために、実は簡単ではないということでございます。
○塩川委員 企画立案の問題なんですよね。
 ですから、総理、伺いますけれども、新たに発足するデジタル庁というのは、多くの非常勤の国家公務員が勤務することを前提にしております。民間企業の身分のままデジタル庁で働くということで、この企画立案、総合調整を担うデジタル関連予算を執行するデジタル庁に民間企業在籍者が多数勤務することになれば、官民癒着が問われることになりませんか。
○菅内閣総理大臣 デジタル庁には民間から百名規模の高度な専門人材を迎えて、国、地方、民間の人材が新しい発想でマネジメントを行い、成果を出してまいりたいと思っています。
 デジタル庁における民間人材の確保に当たっては、原則公募による採用を進めるとともに、公務の公平性に疑念を抱かれることがないように十分留意することが必要だというふうに認識しています。
 具体的には、委託などの手続に係るルールづくりについて透明性を確保する、民間企業と利害関係者が相反する際には職員を当該業務から隔離する、こうしたことを行った民間人材の活用により、公務の公正性が損なわれないようにしっかりと進めていきたい、こう思います。
○木原委員長 塩川君、申合せの時間が来ております。
○塩川委員 やはり、出向元の企業から給与を受け取っているということになれば、行政がゆがめられるという指摘は免れないということを申し上げて、質問を終わります。

デジタル関連法案/与党が採決を提案/徹底審議を要求

 データの利活用を目的として個人情報の保護をないがしろにするデジタル関連法案を審議している衆院内閣委員会の理事懇談会が本日開かれ、与党が31日の委員会採決を提案しました。

 日本共産党、立憲民主党などの野党は質疑終局・採決に反対。理事懇では31日に首相出席の質疑1時間を含む計5時間の質疑を行う日程だけが決まりました。

 理事懇では、デジタル関連法案資料の45カ所の誤りや、既に成立した改定感染症法の修正前の条文の間違いについて、政府から経過説明・再発防止策の説明が行われました。

 私は、デジタル関連法案資料の誤りについて、平井デジタル担当大臣が全容把握を指示したとしているが、国会への報告については指示していないことや、感染症法改定案の条文の間違いは罰則に関わる部分であることを指摘。法案の間違いについての質疑を行うべきだと主張しました。

 また、デジタル関連法案について、論点は多岐にわたり審議は全く尽くされていないと指摘。採決に反対するるとともに、徹底審議を求めました。