▼2018年通常国会の取り組み▼【1】安倍首相国政私物化 森友・加計学園問題(1)森友学園公文書改ざん/11閣僚に認識ただす(3月30日、内閣委員会)(2)加計学園問題(3)内閣人事局の廃止要求/幹部人事一元管理を批判(3月30日、内閣委員会)

【1】安倍首相国政私物化 森友・加計学園問題
(1)森友学園公文書改ざん/11閣僚に認識ただす(3月30日、内閣委員会)
 学校法人「森友学園」との国有地取引に関する決裁文書の改ざんについて11閣僚の認識をただし、徹底した真相究明を求めました。

 公文書改ざんにより、国会の国政調査権を冒とくし、行政監視機能を妨害した認識はあるか、と問いました。

 野田聖子総務相、加藤勝信厚労相、小此木八郎国家公安委員長、福井照沖縄・北方相、松山政司1億総活躍相、梶山弘志地方創生相、鈴木俊一五輪相は、国会の求めに対して改ざんした公文書を出したのは重大な問題だとの認識を示しました。

 一方、菅義偉官房長官は「結果として国会審議を混乱させた」「行政への信頼を揺るがしかねない事態」と述べるだけ。わたしが5回にわたって追及しても、まともに答えませんでしたが、各大臣の答弁を聞いてようやく「そのような認識だ」と答弁しました。

 茂木敏充経済再生相も、3回目の質問に「(各大臣と)同じ認識だ」と答えました。上川陽子法務相はこれまで「答弁を差し控える」としていましたが、初めて「重大な問題」と答えました。

 森友公文書の一部を保有し、問題の当事者である国土交通省の石井啓一大臣は、他の大臣と同様に「大きな問題だ」と述べるにとどまりました。

(2)加計学園問題
1)柳瀬氏「首相案件」発言問題(4月11日、内閣委員会)
 「加計学園」の獣医学部新設は「首相案件」だとする柳瀬唯夫首相秘書官(当時)の発言が新たに明らかになった問題で、菅義偉官房長官にただしました。

 同学部新設は「首相案件」だという発言は、文部科学省の内部文書にある「総理のご意向」との藤原豊内閣府国家戦略特区担当審議官(当時)の発言とも、非常に符合する。安倍首相の関与を「否定できるか」とただす。

 菅氏は「すでに国会で総理が答弁したとおりだ」として、関与を認めませんでした。

 利害関係者による審議や議決への参加を排除する国家戦略特区会議の基本方針に反して、加計孝太郎理事長を「腹心の友」とする安倍首相が、同学園の学部新設を決めた同会議の議長を務めてきた。藤原氏らが国家戦略特区の手法を提案したのは、安倍首相自身が国家戦略特区を「私自身が進み具合を監督する」制度として「強い政治力を用いて進める」と表明してきた。総理自身が進み具合を監督するために、国家戦略特区に切り替えたのが真相ではないかと追及しました。

2)加計学園問題/内閣官房も調査へ/官房長官が答弁(4月18日、内閣委員会)
 学校法人「加計学園」の国家戦略特区での獣医学部新設(愛媛県今治市)をめぐり、柳瀬唯夫・元首相秘書官が「本件は、首相案件」と発言したとする県職員作成の面談記録について、菅義偉官房長官は、内閣官房でも存否を調査すると表明しました。

 官房長官がこれまで所在調査を指示していたのは、内閣府、文部科学省、農林水産省、厚生労働省のみでした。

 愛媛県の記録では、内閣府地方創生推進室次長たった藤原豊氏の「要請の内容は総理官邸から聞いており」との発言も記されている。官邸が主導したのかが問われている。内閣官房での記録の存否をはっきりさせ、官邸が主導したか徹底究明すべきと要求。

 菅官房長官は「農水省以外の関係省庁では確認できなかった。内閣官房は(確認)していない。(調査を)致したい」と述べました。

3)菅長官を追及/愛媛県知事の反論に答えず(5月11日、内閣委員会)
 菅義偉官房長官は、加計学園疑惑をめぐる柳瀬唯夫元首相秘書官の答弁を「真実ではない」と批判した中村時広愛媛県知事のコメントや新たな県の公表文書について「コメントする立場にない」と繰り返し答弁。わたしは、真相解明に背を向けていると批判しました。

 菅長官は、内閣官房に同県の面会記録が残されているかについて「調査の結果、確認できなかった」と答弁。学園との面会を繰り返した柳瀬氏への「慎重に行動すべきだった」との指摘には「その通りだと思う」と述べました。

4)政府に反証責任ある/愛媛新文書/加計疑惑を追及(5月25日、内閣委員会)
 加計学園の獣医学部設置をめぐり愛媛県が提出した新文書についてただしました。

 新文書には加計孝太郎理事長と安倍首相が2月25日に面談し、獣医学部構想に首相が「いいね」とコメントしたという記録がある。首相は入邸記録を確認したがなかったと説明しましたが、入邸記録は「遅滞なく廃棄」する扱いになっています。

 そこで、2015年2月25日の入邸記録が残っているのかと質問。

 内閣官房の原邦彰審議官は「廃棄しているので確認できなかった」と答えました。
 愛媛県側は文書で記録を明らかにしているのに、官邸は記録がない。これは説得力がない。菅義偉官房長官に新文書の確認を求めると「愛媛県の文書に政府としてコメントしない」と従来の答弁を繰り返しました。

 わたしは、国政調査権に基づいて出された公文書だと重みを持って受け止めよ。物証を含め反証を示すべきだ――と重ねて求めました。

 記録がないのなら、関係者に証言してもらうしかない。新文書には3月24日にも柳瀬氏と加計学園が面会した記録があり、参考人質疑での柳瀬氏の証言と食い違いがある。柳瀬氏、加計理事長の証人喚問を求めました。

(3)内閣人事局の廃止要求/幹部人事一元管理を批判(3月30日、内閣委員会)
 「森友学園」への国有地処分に関する公文書改ざんの背景に官邸による幹部人事一元管理があるとして、内閣人事局の廃止を求めました。

 幹部職員任用は同局が一元管理し、最終的に首相と官房長官、各閣僚が「任免協議」で決定。内閣官房は、「官職の適性」と「採用昇任等基本方針」が同協議での判断基準だと説明しています。

 「官職の適性」とは何かとの質問に、内閣官房は「個々の具体的な官職に必要な能力」だと説明。

 それでは客観的な基準とは言えない。任用の過程がブラックボックスだ。総理や官房長官の恣意的な人事運用になりかねない。

 また、同方針にある「縦割り行政の弊害排除」について、同局設置時の担当閣僚だった稲田朋美氏が「岩盤規制」は省庁縦割りが原因だとして、「規制を排除した官僚」を登用する仕組みを求めたことを示し、「これが内閣人事局か」と質問。

 内閣官房は「そのようなこともある」と認め、菅義偉官房長官は「政権が掲げる改革政策に協力する公務員を登用するのは当然だ」と開き直りました。

 官邸による幹部人事の一元管理は、安倍晋三首相夫妻の「お友だち」を特別扱いし、財界要求の規制緩和を推進する官僚機構をつくる。憲法が規定する『全体の奉仕者』としての公務員制度を壊す内閣人事局は廃止すべきだ。