▼2020通常国会の取組み▼【3】黒川検事長定年延長・検察庁法改定問題 (1)権力分立の破壊招く/検察庁法改定 (2)黒川氏処分/訓告ありきのお手盛り (3)黒川氏、カジノ解禁推進/法務事務次官時代

【3】黒川検事長定年延長・検察庁法改定問題
(1)権力分立の破壊招く/検察庁法改定本会議、4月16日
 私は、発端は安倍政権が1月に黒川弘務東京高検検事長の定年を、検察庁法の63歳退官の規定を踏みにじり延長させる閣議決定をしたことだ、と指摘。戦後、日本国憲法のもとで制定された検察庁法が退官年齢を定めたのは、検察官人事への政治の恣意的な介入を阻止し、検察官の独立性確保のためだと強調した。

 検察庁法の立法趣旨や『国公法の定年制度は検察官に適用されない』とのこれまでの政府見解に照らして閣議決定が違法であることは明らかだ。昨年10月に確定していた改正案は、検察官の定年退官を65歳に引き上げ、63歳からは役職につかないというものだったのに、違法な閣議決定につじつまを合わせるため検察官の役職定年に例外を設け、内閣が認める時は63歳を超えても、さらには退官年齢(65歳)を超えても検事長などのまま勤務させることができるという抜け穴まで設けたもので許されない。黒川氏の定年延長を決めた閣議決定と検察庁法改定案は撤回すべきだと求めた。

 菅義偉官房長官は、閣議決定も法案も撤回の必要はないと強弁した。

(2)黒川氏処分/訓告ありきのお手盛り内閣委員会、5月27日
 私は、法務省の調査結果では、黒川氏が5月1日、13日での賭けマージャンを認める一方、「朝日」「産経」は4月にも複数回行っていたと公表していると指摘。黒川氏に、4月の件は確認したか、とただした。

 法務省の保坂和人審議官は、「3年前から月1~2回程度賭けマージャンを行っていた」としか答えなかった。

 私は、法務省が訓告とした対象事実は5月1日と13日の2回だけだと指摘。4月の複数回が反映されずに処分している、と批判。

 また、『週刊文春』で元ハイヤー運転手が、黒川氏が7~8年前に賭けマージャンをしたとの証言について、黒川氏に確認したかを質問。

 保坂審議官は、本人確認はしたとは答えなかった。

 きわめてずさんな調査だ。限定した条件の中でしか調査せず、それを受けての訓告だ。結局、訓告に収まるような調査しか行っていない。その上、処分が決定されたプロセスに関して森雅子法相は「内閣と協議した」と述べている点について、内閣とは具体的に誰か、と質問。法務省は一切明らかにしなかった。

 私は、菅義偉官房長官に対して処分に関する過程で説明を受けたかを質問すると、菅官房長官は「ない」と答弁。

 私は、幹部人事の職責は官房長官が持っている。にわかに信じがたい。これらの経過について報告するよう求めた。

(3)黒川氏、カジノ解禁推進/法務事務次官時代内閣委員会、5月29日
 賭けマージャンを認めて辞職した黒川弘務前東京高検検事長が、法務事務次官時代に安倍政権が強行したカジノ合法化を推進していた問題を追及。

 『時評』2017年9月号のインタビューで黒川氏が休日の過ごし方を聞かれ「海外に行った際には個人的な観点でIR(カジノを中核とする統合型リゾート)を視察する」「職業上の関心もかねて」と述べている。黒川氏がインタビュー直前の17年4~5月に、有名なカジノ施設があるシンガポールに海外出張している。IRを視察していたのか、とただした。

 法務省の山内由光審議官が「訪問先にカジノ施設は含まれていない」と答えたのに対し、私は、3日間の日程の中で、1日目は先乗りで何の日程も入っていない。2日目も3日目も夕方で日程が終わっている。カジノを訪れていたのではないかが問われると主張。

 17年前後はカジノ解禁の議論が進んでいた時だ。賭博・カジノを合法化する解釈変更を法務省が追認したのも黒川事務次官の時であり、「邸肝いり」のカジノ合法化に汗をかいたのがギャンブル好きの黒川氏だったのではないか、と迫った。

 法務省が、立案作業などに「必要な協力を行ってきた」としか答えなかったのに対し、私は、黒川氏がカジノ合法化に関わった経緯の資料を出すよう要求した。