【内閣委員会】こども家庭庁設置法案に「子どもの権利条約」なし/権利条約を正面に据えよ

 こども家庭庁設置法案と与党提出のこども基本法案について質問し、子どもの権利条約を正面に据えることが必要だと主張しました。

 私は、子ども・若者育成支援推進法や児童福祉法には「子どもの権利条約の理念(精神)にのっとり」という文言が規定されている。それなのに、「こどもまんなか社会」を目指す司令塔をうたうこども家庭庁設置法案に、子どもの権利条約の文言がないのは何故か、と質問。

 野田聖子少子化担当大臣は、「(閣議決定した)基本方針で明記している」と答弁。

 私は、閣議決定ではなく、法律で理念を据えることは当然の前提だと強調し、これまでのこども施策に関わる法律より後退したと言わざるを得ないと批判しました。

 私は、文科省が検討作業をしている生徒指導提要の改定試案には、子どもの権利条約の4原則(「生命、生存及び発達に対する権利」「子どもの最善の利益」「意見の表明・尊重」「差別の禁止」)が扱われており、同条約の理解は、教職員だけでなく、児童生徒・保護者・地域にとっても必須としていると確認したうえで、学習指導要領には「子どもの権利条約」の文言があるのかと質問。

 文科省は、ないことを認めました。

 私は、権利の主体である児童生徒の側が、子どもの権利条約そのものを学ぶ機会を位置付けないのはおかしいと追及。

 文科省は「広く周知し理解してもらうことが大切だ」としか述べませんでした。

 私は、学校教育に子どもの権利が及ばないことになりかねないと批判。

 野田大臣は「こども家庭庁の設置で穴の無いよう取り組んでいけると信じている」と述べました。


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「議事録」

<第208通常国会 2022年4月22日 内閣委員会 第21号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 こども家庭庁設置法案、それから与党提出のこども基本法案について質疑をいたします。
 一九九四年に批准をされました子どもの権利条約が日本の法制度にどのように位置づけられてきたかについて確認をしたいと思います。
 野田大臣にお尋ねしますが、条文に子どもの権利条約が盛り込まれた最初の法律は二〇〇九年の子ども・若者育成支援推進法と承知していますが、それでよろしいでしょうか。
○野田国務大臣 子ども・若者育成支援推進法においては、法律の目的として、児童の権利に関する条約の理念にのっとり、他の関係法律による施策と相まって子ども・若者育成支援施策を推進することとしております。
 児童の権利に関する条約の原則についても、法律の基本理念として、子供、若者が健やかに成長すること、個人としての尊厳が重んぜられ、不当な社会的取扱いを受けることがないようにするとともに、その意見を十分に尊重しつつ、その最善の利益を考慮すること等を明記してあります。
○塩川委員 今、子どもの権利条約の理念にのっとり、また四つの原則に則した部分の記述のところを紹介いただきました。
 そもそも、子どもの権利条約のこういう規定について法律に盛り込んだのがこの子ども・若者育成支援推進法ではないかと承知しているんですが、その点、確認したいと思うんですが、よろしいですか。
○野田国務大臣 そうです。
○塩川委員 一九九四年に批准された子どもの権利条約ですが、国内法の中に規定として盛り込まれたのがこの二〇〇九年の子ども・若者育成支援推進法が最初ということであります。
 ただ、今御説明いただいて、いわゆる四つの一般原則が法律の条文に盛り込まれているという趣旨でお答えいただいたのかなと思ったんですが、内閣府のホームページにあります子ども・若者育成支援推進法の説明資料を見ますと、いわゆる四つの原則については、第二条の差別の禁止、第三条、子供の最善の利益、第十二条、子供の意見の尊重は位置づけられておりますが、第六条の生命、生存及び発達に関する権利というのがホームページ上の説明資料では位置づけられていなかったんですが、そこはどういうことか分かりますか。
○笹川政府参考人 お答え申し上げます。
 子ども・若者育成支援推進法、これは第一条で「児童の権利に関する条約の理念にのっとり、」というふうに明言しておりますので、私どもといたしましては、これに尽きるというふうに思っております。ありがとうございます。
○塩川委員 子どもの権利条約の理念にのっとりと第一条であるから、そういう中で四つの原則は包含をしているという御説明ということであると思いますが、ただ、ホームページを見ますとそういった記載になっていないものですから、その点は何らか見直す必要は、お考えはありませんか。
○笹川政府参考人 お答え申し上げます。
 検討させていただきます。ありがとうございます。
○塩川委員 子どもの権利条約、その四つの一般原則とされています差別の禁止、差別のないこと、子供の最善の利益、子供にとって最もよいこと、生命、生存及び発達に対する権利、命を守られ成長できること、そして子供の意見の尊重、意見を表明し参加できることといった内容について、四つの原則としているわけであります。
 子ども・若者育成支援推進法は、「児童の権利に関する条約の理念にのっとり、」と目的に書き、四つの原則を掲げているということでありました。
 この子ども・若者育成支援法は、当初の法案には、つまり、閣法で出されているわけですけれども、麻生政権のときでしたが、閣法で出されたときには、子どもの権利条約は記述をされておりませんでした。修正協議の中で盛り込まれたということですけれども、そういうことでよろしいでしょうか。
○野田国務大臣 そうです。
○塩川委員 当時、自公政権が提出をした当初の法案、閣法、青少年総合対策推進法案には、子どもの権利条約の記述はありませんでした。
 青少年特別委員会で修正協議も行われて、野党の修正案提出者の民主党の吉田泉委員が修正の趣旨を述べておられますけれども、そこでは、憲法及び児童の権利条約の理念を反映させることとし、日本国憲法及び児童の権利条約の理念にのっとる旨を明示するとともに、子供、若者について、尊厳を重んじる、差別的取扱いを受けない、意見の尊重、最善の利益を考慮などの理念を明記することとしていると述べています。
 子どもの権利条約を位置づけることを求める市民と野党の働きかけによって盛り込まれたものということであります。
 こういった子ども・若者育成支援推進法は、権利条約の理念にのっとり、四つの原則も踏まえているわけですが、法律に書き込めばいいという話じゃなくて、実際それがどう実践されるのかという点で、この法律がやってきたことについての検証ということも行う必要がありますが、まずは出発点として、権利条約の様々な理念、一般原則、これをしっかりと国内法に位置づけるということは極めて重要であります。
 そういう点で、次に、児童福祉法についてお尋ねをいたします。
 この児童福祉法において、子どもの権利条約の内容というのはどのように盛り込まれているか、四つの一般原則は位置づけられているのか、この点についてお答えください。
○岸本政府参考人 お答えいたします。
 児童福祉法では、第一条におきまして、「児童の権利に関する条約の精神にのつとり、」との文言が明示的に盛り込まれているところでございます。
 その上で、同条におきまして、全て児童は、適切に養育されること、その生活を保障されること、愛され、保護されること、その心身の健やかな成長及び発達並びにその自立が図られることその他の福祉をひとしく保障される権利を有すること、また、第二条におきまして、全て国民は、児童が良好な環境において生まれ、かつ、社会のあらゆる分野において、児童の年齢及び発達の程度に応じて、その意見が尊重され、その最善の利益が優先して考慮され、心身ともに健やかに育成されるよう努めなければならないことについて規定しておりまして、御指摘の四つの一般原則の要素を含んでいるものというふうに考えております。
○塩川委員 第一条に、児童の権利条約の精神にのっとりとあり、この第一条部分、それから第二条部分で、成長及び発達、あるいは意見の尊重、最善の利益等々、四つの一般原則に係る要素を包含をしているということですが、ただ、差別の禁止という文言そのものはここの条文上はないわけですけれども、そこはどこでどのように読むということなんでしょうか。
○岸本政府参考人 お答えいたします。
 差別の禁止という文言ではございませんが、先ほど御説明申し上げました第一条の条文の中に、「その心身の健やかな成長及び発達並びにその自立が図られることその他の福祉を等しく保障される権利を有する。」というふうに書いてございまして、これが、差別なくひとしく扱われなければならないという考え方を盛り込まれているというふうに考えているところでございます。
○塩川委員 児童の権利条約の精神にのっとり、そういった趣旨にそもそも差別の禁止ということが想定される、含み得るということでよろしいですか。
○岸本政府参考人 お答えいたします。
 御指摘のような点に加えまして、文言としてそれを、「等しく保障される」というふうに書いていることで更にそういった趣旨を強調しているものというふうに考えているところでございます。
○塩川委員 児童福祉法におきましても、子どもの権利条約の精神にのっとりとあります。また、その条文を通じて四つの一般原則の要素を包含をしているというお話でありました。
 そこで、こども家庭庁設置法案についてですけれども、このこども家庭庁設置法案において、子どもの権利条約の内容はどのように盛り込まれているんでしょうか。この四つの一般原則はどのように位置づけられているのかについて、大臣、御説明ください。
○野田国務大臣 お答えします。
 昨年末に閣議決定したこども家庭庁の創設の考えを示した基本方針では、今後の子供政策の基本理念として、全ての子供の健やかな成長、ウェルビーイングの向上を掲げ、児童の権利に関する条約にのっとり、全ての子供が生命、生存、発達を保障されること、子供に関することは常に子供の最善の利益が第一に考慮されること、子供は自らに関係のあることについて自由に意見が言え、大人はその意見を子供の年齢や発達段階に応じて十分配慮すること、そして、全ての子供が個人としての尊厳が守られ、いかなる理由でも不当な差別的取扱いを受けることがないようにすることといった基本原則をいま一度社会全体で共有し、必要な取組を推進することが重要としています。
 これを踏まえて、設置法案では、こども家庭庁の任務として、子供の年齢及び発達の程度に応じ、その意見を尊重し、その最善の利益を優先して考慮することを基本として明記し、子供の健やかな成長及び子供のある家庭における子育てに対する支援や、子供の権利利益の擁護に関する事務を行うことを規定し、児童の権利に関する条約の四つの原則の趣旨を踏まえた内容としています。
○塩川委員 この任務のところで、「こどもの年齢及び発達の程度に応じ、その意見を尊重し、その最善の利益を優先して考慮することを基本とし、」というところが子どもの権利条約に係る部分ということで御紹介になったわけですけれども、ただ、この質疑で確認しましたように、子ども・若者育成支援推進法においても児童福祉法においても、子どもの権利条約の理念にのっとり、子どもの権利条約の精神にのっとり、こういったことがうたわれているんですが、このこども家庭庁設置法にはないんですよね。それはどういうことなんでしょうか。
○野田国務大臣 こども家庭庁設置法の、任務、第三条の中で、例えば、児童の権利に関する条約の四つの原則の、生命、生存及び発達に関する権利としては、「こどもの健やかな成長及びこどものある家庭における子育てに対する支援」ということになりますし、子供の最善の利益ということであれば、「その最善の利益を優先して考慮することを基本とし、」とありますし、そして、子供の意見の尊重というのは、「こどもの年齢及び発達の程度に応じ、その意見を尊重し、」とありますし、差別の禁止については、「こどもの権利利益の擁護に関する事務を行うことを任務とする。」ということで、四つの原則をしっかり入れてあります。
○塩川委員 先行するほかの法律においては、子どもの権利条約の精神にのっとり、子どもの権利条約の理念にのっとりとあるんですが、それがこのこども家庭庁設置法案にないのはなぜなんでしょうか。
○野田国務大臣 こども家庭庁設置法でありますので、その他の法律とは若干意を異にしている、御理解いただけると思います。
○塩川委員 ただ、先ほども、基本方針で、子どもの権利条約にのっとり子供の権利を社会全体で共有しましょうというお話をされているわけです。その際に、やはり国がこういった組織をつくるのであれば、その大原則として子どもの権利条約の理念にのっとりということがまずは掲げられるというのが筋だと思うんですけれども、そう思いませんか。
○野田国務大臣 繰り返しになりますけれども、こども家庭庁をつくる組織の法律の中身になりますので。でも、それはしっかり踏まえた上で、この任務の中に取り入れているというふうなことで進めているところです。
○塩川委員 ですから、子どもの権利条約にのっとり、子供の権利をしっかりと保障するということがこどもまんなか社会というのであれば、まずはしっかり法律の上でも位置づける必要があるんじゃないですかと。単なる組織の法律だから入れないというのはそもそもおかしな話であって、子どもの権利条約の理念にのっとりということを掲げるのはある意味当然じゃないかなと思うわけですが。
○野田国務大臣 繰り返しで恐縮ですけれども、これは設置法、こども家庭庁設置法で、そのこども家庭庁の中には、今委員がお話しされた子ども・若者育成支援推進法が所管されることになるので、そこはしっかりと担保されることになります。
○塩川委員 いや、それは、その中に含まれるということでしょうから。
 じゃ、こども家庭庁設置法と子ども・若者育成支援推進法との関係はどういうふうになるのか。
○野田国務大臣 こども家庭庁設置法は、あくまでも組織の在り方、任務がどういうものかということをお示しする法律で、条約の理念というのは、子ども・若者育成支援推進法のような理念法の中で書かれるということで、法律の性質の違いというか、役所をつくるための、設置するための内容の法律案ということでございます。
○塩川委員 だって、こどもまんなか社会、そういう社会をつくる上での司令塔をつくるというわけですよね。司令塔のときに、何を目標に、何を掲げてやるかという大原則というのがあるわけじゃないですか。そういったときに、もちろん憲法は当然そうでしょうけれども、国際法であります条約としての子どもの権利条約の理念にのっとりというのが掲げられるのがそもそも筋なんじゃないのかと思いますが、改めて、いかがですか。
○野田国務大臣 それに関しましては、昨年の閣議決定されたこども家庭庁の創設の考えを示した基本方針の中でしっかり明記されているということです。
○塩川委員 だから、閣議決定の基本方針で明記しても、法律で明記しなくてどうするんですか。まさに国会を通じて、審議を通じて、国民の皆さんに、まさに権利利益について関わるような法律にしていくわけですから、そういったときに、やはり法律の中に、子どもの権利条約の理念にのっとりということをしっかり据えるというのは当然の前提だと思うんですけれども、基本方針に書いたから、閣議決定でいいんですという話は違うんじゃないですか。
○野田国務大臣 何度も繰り返しになりますけれども、新しい組織をつくる、設置の在り方、任務とか、そういうことを記している法律で、その前提が、先ほど申し上げた閣議決定している基本方針の中で、児童の権利に関する条約にのっとってそういう設置をするということで、御理解いただければと思います。
○塩川委員 だって、そもそも、こどもまんなか社会をつくる、その司令塔といったときに、どういう理念を掲げてやるのかといった際に、まずはそこを、子どもの権利条約の理念にのっとりとうたうというのは当然過ぎる前提じゃないのか。違いますか。
○野田国務大臣 それについては、先ほど申し上げたように、任務の中にしっかりと権利条約の四原則は入れてあるということであります。
○塩川委員 四原則といっても、そう読めるのかというのは率直に思いますけれどもね、そこは。
 今まで、説明にあったように、子ども・若者育成支援推進法とか児童福祉法というのは、まずは、子どもの権利条約の理念にのっとり、子どもの権利条約の精神にのっとりというのがあるから、そこで四つの原則を担保しているという説明をしているじゃないですか。
 そういう点でも、子どもの権利条約の理念にのっとりと書いているということが、まさに基本となる理念を基にして子供施策を行うということになるんですから、そこを書くのは当然の前提、当たり前のことだと思うんです。改めて、いかがですか。
○野田国務大臣 基本方針でしっかりと、児童の権利に関する条約にのっとりということで、四原則をしっかり、児童の権利条約とうたわなくてもその中身をしっかり担保しているところが任務というところに当てはまると思います。
○塩川委員 閣議決定している基本方針には子どもの権利条約にのっとりと言っているのに、何で法律に、作るときにそれを入れなかったんですか。
○野田国務大臣 入れていないのではなく、任務規定にあります。
○塩川委員 だから、子どもの権利条約という文言がないですよねということを言っているんです。
○野田国務大臣 任務規定の中に四原則がしっかり書き込まれているので、その必要はないということです。
○塩川委員 いやいや、ですから、それで本当にそう読めるのかという話をしているわけで、ほかの、前の二つの法律の説明では、子どもの権利条約の理念にのっとり、精神にのっとりというのがあるからそれで担保しているという話であって、担保されないんじゃないですかということですけれども。
○野田国務大臣 先ほどの法律は理念法ですから、基本理念をしっかり書かれて、私たちは、その基本理念をしっかりと、四原則を任務の中に書き込んでいるということです。
○塩川委員 じゃ、子供施策の理念法というのはどこにあるんですか。
○野田国務大臣 先ほど委員がお話しされた子ども・若者育成支援推進法です。
○塩川委員 子ども・若者育成支援推進法が、子供施策全体をカバーしているという法律なんですか。
○野田国務大臣 それも含めて、これがまずは、子どもの権利条約、先ほど御説明されたとおりで、子供の政策の一つの法律となります。他にもいろいろ議員提案等々あるわけですけれども、それもやはりこども家庭庁が包含して、総合的に調整をかけて政策を遂行していくと。
○塩川委員 包含するのはこども家庭庁の方なんですから、子ども・若者育成支援推進法が包含しているわけじゃないわけで、そういう点でも、子どもの権利条約が位置づけられていないというのがこども家庭庁設置法の実態ではないのかということになりますと、これまで子どもの権利条約を掲げてきた法律に比べても、率直に言って後退しているんじゃないですかということを言わざるを得ません。
 子どもの権利条約があっても、貧困やいじめや虐待、自殺などの子供の現状が深刻なわけであります。でも、その権利保障をきちっと法律に規定することすらしないというのでは、そのような保障も、行うということにつながらないということを言わざるを得ません。
 そこで、与党提出のこども基本法についてお尋ねいたします。
 本会議で、こども基本法は学校教育も包含するのかという問いに、提出者の木原稔議員は、教育施策は憲法と教育基本法を頂点とする教育法体系の下で行われるものであることから、学校教育の内容に踏み込んだ規定を設けることはしなかったと答弁をいたしました。
 それを聞いて思ったのは、このこども基本法と教育基本法との関係というのはどうなるんでしょうか。教育施策は憲法と教育基本法を頂点とする教育法体系の下で行われる、学校教育の内容に踏み込んだ規定は設けなかったと。このこども基本法案と教育基本法との関係について少し説明をいただけませんか。
○鈴木(隼)議員 お答えいたします。
 子供に対する教育は、現行法上、憲法及び教育基本法を頂点とする教育法体系の下で行われており、これはこども基本法案が成立しても変わるものではないと考えております。
 子供の健やかな成長を支えるというこども基本法案が成立すれば、子供に対する教育においても子供の成長を中心に考えるという理念が明確となります。そして、これは、教育基本法一条に定める教育の目的に掲げる、心身ともに健康な国民の育成という目的と通ずる理念であると考えております。
○塩川委員 学校教育の内容との関係で、教育基本法とこのこども基本法案は、すみ分けというんですか、重なりがあるのか。その考え方はどうなっているんですか。
○鈴木(隼)議員 こども基本法案につきましては、子供施策を包含するものとして定めることとしています。一方で、そういう意味では、学校教育につきましても、法律の定義上、子供施策と位置づけることはできます。ただ、教育の内容につきましては、教育基本法を基とした法体系の中で検討されているものであるというふうに考えております。
○塩川委員 学校教育の内容については教育基本法というお話です。それで、教育施策は憲法と教育基本法を頂点とする教育法体系の下で行われるものであることから、こども基本法には、学校教育の内容に踏み込んだ規定を設けることはしなかったとしました。
 こども基本法の基本理念には、そもそも法案にも憲法と子どもの権利条約の理念にのっとりとうたい、基本理念の一号から四号で、いわゆる四つの原則に則しての規定が行われている、つまり、権利条約を理念として掲げている、それがこども基本法案という御説明であるわけですけれども、そうしますと、学校教育の内容を、こども基本法についてその規定を設けるということにならないとすると、こども基本法の基本理念に掲げている子どもの権利条約、そしてその四つの原則が学校教育には及ばないということになりはしませんか。
○鈴木(隼)議員 お答えいたします。
 本法案における教育施策の位置づけは、御指摘の本会議における答弁のとおりでございますが、先ほど、子供施策の定義上、教育施策は子供施策に含まれるものとなっております。したがいまして、児童の権利条約の四原則を定めた本法案の子供施策に関する基本理念もまた学校教育に及ぶこととなります。
○塩川委員 これは実際に現状がどうなっているのかということですけれども、大臣にお尋ねしますが、こども家庭庁設置法案の所掌事務には学校教育は入っていないということでよろしいですよね。
○野田国務大臣 入っておりません。
○塩川委員 子どもの権利条約を掲げる与党提出のこども基本法案と、こども家庭庁設置法案は、学校教育に関与しないということです。
 そこで、教育施策については子どもの権利条約の理念も反映されるという趣旨の御説明があったんですが、学校教育の内容については踏み込まないという答弁だったわけであります。そうしますと、文科省の、学校教育における子どもの権利条約に係る施策がどうなっているのか、この点を確認したいと思います。
 文科省にお尋ねしますが、子どもの権利条約について、教育施策にどのように位置づけて取り組んでいるのかについて御説明をください。
○岡村政府参考人 お答えいたします。
 文部科学省では、これまで、児童の権利に関する条約を踏まえ、人権教育の推進や、児童生徒が安心して学べる環境の整備などに取り組んでまいりました。具体的には、教育委員会の担当者を対象とする各種会議等を活用し、毎年度、条約の内容等の周知を含めた人権教育の推進に努めております。
 このほかにも、文部科学省におきましては、児童の権利に関する条約の趣旨も踏まえて、例えば、虐待や自殺防止のための相談体制の整備、いじめ防止のための取組の促進、学校における体罰をなくすための取組強化、教育費負担軽減に関する取組等を進めております。
 引き続き、条約の趣旨を踏まえ、これらの取組を進めてまいります。
○塩川委員 人権教育の推進をしている、子どもの権利条約の趣旨を踏まえて子供の権利保障についての様々な施策を行っているという御説明でした。しかし、それが学校教育の内容として本当に反映されているのか、子どもの権利条約そのものについてどうなっているのかということです、一般的に人権教育とかということではなくて。
 現在、文科省で作業中の生徒指導提要改訂試案では子どもの権利条約が扱われていると承知をしております。この生徒指導提要というのはそもそもどんなものなのかについて簡単に御説明をいただけますか。
○淵上政府参考人 文部省が作成しております生徒指導提要といいますものは、学校における生徒指導を行うに当たっての基本的な考え方などをお示しをしているものでございます。
○塩川委員 学校運営についての基本的な考え方を示すということで、要するに生徒指導に生かそうということですけれども、これはこれまでどのように活用されてきたかを説明してもらえますか。
○淵上政府参考人 生徒指導提要につきましては、現在の生徒指導提要は平成三十年に作成したものでございますけれども、この作成に当たりましては、有識者の方々を協力者として作成協力者に委嘱をして、その委員の先生方の御意見を受けながら作成をしているという状況でございます。
○塩川委員 平成三十年、前回作成をした生徒指導提要について、その中には子どもの権利条約に係る記述というのは入っていたんでしょうか。
○淵上政府参考人 失礼しました、先ほど平成三十年と申し上げましたが、現在の生徒指導提要は平成二十二年のものでございました。
 それで、お尋ねの、その中に児童の権利に関する条約に関する内容が盛り込まれているかということでございますが、現在の生徒指導提要には盛り込まれていないところでございます。
○塩川委員 それで、今検討作業中の生徒指導提要の改訂試案では、子どもの権利条約はどのように扱われているんでしょうか。
○淵上政府参考人 現在、生徒指導提要の改訂のための協力者会議で改訂に向けた検討を行っていただいているところでございますけれども、この協力者会議の場におきまして、委員の先生方から、児童の権利の理解を深めるため、児童の権利に関する条約について盛り込むよう御意見がございました。
 これを踏まえまして、本年三月の同会議においてお示しをしました改訂試案におきましては、児童の権利に関する条約の四つの原則などについて盛り込んだものを御提示をしているところでございます。
○塩川委員 四つの原則を盛り込んだものを提示をしているということです。
 済みませんが、この生徒指導提要の改訂試案で、教職員の児童の権利に関する条約についての理解を促すという、児童の権利条約に関する、条約についての規定ですけれども、この改訂試案を見ますと、児童生徒の基本的人権に十分配慮し、一人一人を大切にした教育が行われることが求められますということで、四つの原則を紹介しています。この四つの原則の該当部分を読み上げてもらえますか。
○淵上政府参考人 本年三月の協力者会議にお示しをしております改訂試案の四つの原則の該当箇所でございます。
 1差別の禁止。児童又はその父母若しくは法定保護者の人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治的意見その他の意見、国民的、種族的若しくは社会的出身、財産、心身障害、出生又は他の地位にかかわらず、いかなる差別もなしにこの条約に定める権利を尊重し、及び確保する。
 2児童の最善の利益。児童に関する全ての措置を取るに当たっては、公的若しくは私的な社会福祉施設、裁判所、行政当局又は立法機関のいずれによって行われるものであっても、児童の最善の利益が主として考慮されるものとする。
 3生命・生存・発達に対する権利。生命に対する児童の固有の権利を認めるものとし、児童の生存及び発達を可能な最大限の範囲において確保する。
 4意見を表明する権利。児童が自由に自己の意見を表明する権利を確保する。児童の意見は、その児童の年齢及び成熟度に従って相応に考慮される。
 こうした文言が現在盛り込まれているところでございます。
○塩川委員 今御紹介いただきましたように、この生徒指導提要の改訂試案では、子どもの権利条約の四つの原則について、こういう形での記載が行われています。
 その後に続く文面で、この四つの原則を踏まえて、「いじめや暴力行為は、児童生徒の人権侵害であるばかりでなく、進路や心身に重大な影響を及ぼします。教職員は、いじめの深刻化や自殺の防止を目指す上で、児童生徒の命を守るという当たり前の姿勢を貫くことが大切です。また、安全・安心な学校づくりは、生徒指導の基本であり、同条約の理解は、教職員、児童生徒、保護者、地域にとって必須だといえます。」と述べております。
 文科省にお聞きしますが、この子どもの権利条約の理解は、教職員、児童生徒、保護者、地域にとって必須ということですね。
○淵上政府参考人 平成六年に、児童の権利に関する条約を受けまして文部科学省として発出をした通知の中にも、「児童の人権に十分配慮し、一人一人を大切にした教育が行われなければならないことは極めて重要なことであり、本条約の発効を契機として、更に一層、教育の充実が図られていくことが肝要であります。このことについては、初等中等教育関係者のみならず、広く周知し、理解いただくことが大切であります。」というふうに述べているところでございまして、こうした考え方に立っているところでございます。
○塩川委員 この提要の改訂試案にあるように、子どもの権利条約の理解は、教職員、児童生徒、保護者、地域にとって必須だと考えているということでよろしいですね。
○淵上政府参考人 繰り返しになりますが、初等中等教育関係者はもちろん、それ以外の方々についても、広く周知し、理解いただくということが大切なことというふうに考えております。
○塩川委員 教職員の理解だけじゃなくて、やはり児童生徒の理解が必須だということで。
 それでは、必須とされている児童生徒に子どもの権利条約の理解を促す教育はどうなっているのか。学習指導要領には、子どもの権利条約の文言は記載されているんでしょうか。
○淵上政府参考人 お答えする前に、先ほど平成六年文部科学省がと申し上げましたけれども、平成六年文部省がでございました。失礼いたしました。
 お尋ねの、学習指導要領に子どもの権利条約の文言が規定されているかということでございますけれども、学習指導要領上、児童の権利に関する条約という文言は明記されておりませんけれども、関連する記載といたしましては、例えば、中学校の社会科、公民的分野におきまして基本的人権の尊重、中学校技術・家庭科の家庭分野におきまして幼児の生活と家族に関すること、また、高等学校公民科において人間の尊重と平等、個人の尊重、高等学校家庭科において、子供の生活と保育に関し、生涯にわたって家庭、家族の生活を支える福祉の基本的な理念などを扱うことを規定しております。
 さらに、高等学校の家庭科の学習指導要領の解説におきましては、児童の権利に関する条約などに示された児童福祉の理念について触れることなどが記述をされているところでございまして、こうしたことを踏まえて、関連の教科書におきましても記述が見られるところでございます。
○塩川委員 いろいろ人権に係るような教育があるというんですけれども、そもそも、子どもの権利条約の理念、また四つの一般原則、これそのものについては明記されていないという話でした。
 子どもの権利条約の理解は児童生徒にとっても必須というんですから、学習指導要領に子どもの権利条約の理念や四原則がないというのは不自然かな、位置づけたらいいのではないかと思うんですが、いかがですか。
○淵上政府参考人 お答え申し上げます。
 学習指導要領は教育課程の大綱的な基準でございますので、個別の、例えば児童の権利に関する条約などといった個別の文言については余り盛り込むことになじまないものでございますけれども、ただ、今申し上げましたように、中学校や高等学校の関係教科の中に関連する記述がございまして、例えば、中学校の家庭分野につきましては、全ての教科書におきまして、児童の権利に関する条約、また四つの権利の内容が盛り込まれているところでございますし、令和四年度から高等学校で使用されております全ての家庭科の教科書、これは必修科目でございますけれども、ここにおきましても児童の権利に関する条約に関する記載があるということでございまして、こうした教科書の記載を踏まえて各学校において取り扱われているところでございます。
○塩川委員 国際条約として子供の権利の一般原則を定めている子どもの権利条約は、共通の子供の権利に係る原則ですから、そういうのをしっかり学ぼうというのは、子供の権利を保障する上でも極めて重要だと思います。
 教職員の方には、生徒指導提要も活用して、今後、子どもの権利条約を理解した生徒指導を行うよう求めるわけですね。それなのに、権利の主体である児童生徒の側に、子どもの権利条約そのものを学ぶ機会を位置づけようとしないのはおかしな話じゃありませんか。
○淵上政府参考人 お答え申し上げます。
 繰り返しになりますけれども、中学校の社会科ですとか技術・家庭科、また高等学校の公民科あるいは家庭科といったところで関連する内容については学ぶこととなっておりますので、そうした内容を通じて、子供たちは人権に関する教育をしっかり学ぶこととなっているというふうに承知をしております。
○塩川委員 大臣、お尋ねしますが、所管外と言わずに、感想ということでも結構ですから、今言った点ですよね。
 学校におきまして、子どもの権利条約が非常に重要だ、これを学ぶことは必須だということを今度の生徒指導提要でうたっている。そういう際に、教職員の側は、このような生徒指導提要も活用して、子どもの権利条約を理解した生徒指導を行うとしているのに、権利の主体である児童生徒の側が子どもの権利条約そのものを学ぶ機会を位置づけようとしないというのはおかしい話じゃないかなと思いますが、いかがでしょうか。
○野田国務大臣 文科省が取り組んでいる、所管外ですけれども、こども家庭庁の立場からすると、子どもの権利条約と書いていないからとおっしゃったけれども、四原則はしっかり任務の中に書き込んであるので、そこを発信していくのは私たちの役所ですから、当然、子供政策全般を担う、総合調整をやる立場からすると、私たちの方からしっかり発信をしていく、子供にも、やはり子どもの権利条約を学ぶ、学んでもらう機会をつくっていくというのは私たちの立場だと思います。
○塩川委員 子供が一番時間を過ごすのが学校教育の現場、学校になるわけです。そこにおける子供の権利をどう保障するかというのは一番問われていることであって、今ずっとお聞きしましたように、このこども家庭庁設置法には、残念ながら、子どもの権利条約の理念にのっとりということが入っていないということがありましたし、学校教育については、こども基本法案についてはその中身を含まないというお話でもありました。
 そうしますと、学校教育に子どもの権利条約が及ばないということになりかねない、こういった事態というのは、これは子供の権利保障という観点からいっても極めて重大だと言わざるを得ませんが、改めて、一言、いかがでしょうか。
    〔委員長退席、平委員長代理着席〕
○野田国務大臣 そういうこともございますので、こども家庭庁を設置して、文科省の取組、また様々子供に関わる取組を総合調整して、私も、今日、塩川委員がおっしゃってくれたので、生徒指導提要の中身について知り得ることができたわけで、こども家庭庁ができることによって、そういうことの穴がないように取り組んでいけると信じています。
○塩川委員 終わります。

物価高騰・国民生活防衛対策本部会合/党国会議員団

 物価高騰・国民生活防衛対策本部開く。

 原油価格や物価の高騰により国民生活や中小事業者の経営は深刻です。喫茶店ではコーヒー豆が2割値上げ、銭湯はガス代が2割値上げ、中華料理屋はカニが手に入らず、食用油は2割高。新電力から電気を購入していた工場は、月額600万円の電気料金が1200万円になるという。

 現場に足を運び、切実な要望をつかむとともに、喫緊の課題に応える対策と抜本対策に取り組もうと確認。

埼玉県民大運動実行委員会の国会要請行動

 埼玉県民大運動実行委員会の国会要請行動に出席。

 ロシアのウクライナ侵略を糾弾、国際社会が結束して行動するように働きかけを。日本は非軍事の支援に全力を!

 「相手の中枢を攻撃するべき」といった敵基地攻撃や反戦デモ敵視、米軍と自衛隊とのデモ排除訓練など、海外派兵と国民抑圧、監視は一体。プーチンロシアと同じ。きっぱりやめよ。

 燃油、原材料、食料品、電気料金など、物価高騰は深刻な事態。補正予算の編成、消費税は5%に引下げを!

マイナンバー制度反対連絡会の団体代表者会議

 マイナンバー制度反対連絡会の団体代表者会議であいさつ。

 昨年、デジタル関連法が成立、デジタル庁が発足し、岸田政権の下でデジタル田園都市構想やデジタル臨時行政調査会が動き始めています。

 行政のデジタル化の動きを報告し、プライバシーの侵害、行政サービスの後退、マイナンバー制度の拡大、政官業癒着などの問題点を指摘。国民の暮らしと権利を守るために、世論と運動を広げていきたいと訴えました。

【内閣委員会】学校給食の無償化を国の施策で

 自治体による学校給食費の無償化を国の施策で行うべきと求めました。

 私は、文部科学省が2017年度に行った給食費無償化実施状況調査の結果について質問。

 文科省は、全国1740自治体のうち小・中学校両方で無償化を実施している自治体は76団体だと答えました。

 私は、完全無償化の自治体が、群馬県では調査時の8から14団体へ、山梨県では2から11団体に大きく増えていると強調。5年間で前進しており、実態を踏まえた対策が必要だとして実態調査を求めました。

 文科省は「現時点で調査する予定はない」と答えました。

 私は、「小・中学校の給食は義務教育の性質上、無償が適当だ」と主張。岸田文雄総理が子ども予算を倍増すると掲げたことにも触れ、「どういう施策を増やすのか」と質問。

 野田聖子少子化担当大臣は「給食費も含め、自殺や貧困など子どもの問題が顕在化した」と認めながら、「額や期限ありきではない」、給食費については文科省の取り組み、との答弁にとどまりました。


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「議事録」

<第208通常国会 2022年4月20日 内閣委員会 第20号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 今日は、まず学校給食費の無償化についてお尋ねをいたします。
 文科省に幾つか事実関係を確認の上で、野田大臣に子供関係予算の問題についてお尋ねをしたいと思っております。
 二〇一七年度の学校給食費の無償化等の実施状況というのを文科省が調査を行っております。その中で、小中学校とも無償化をしている自治体数及びその割合が幾らか、また、その他何らかの助成制度を実施をしている自治体数及びその割合について明らかにしていただきたい。うち群馬県における無償化等の実施状況がどうなっているのかについても併せてお答えください。
○淵上政府参考人 お答え申し上げます。
 御指摘の平成二十九年度に文部科学省が全国千七百四十自治体を対象に行いました実施状況の調査によりますと、小学校、中学校とも無償化を実施している自治体が七十六自治体、四・四%、小学校のみ無償化を実施している自治体が四自治体、〇・二%、中学校のみ無償化を実施が二自治体、〇・一%、一部無償化、一部補助を実施している自治体が四百二十四自治体、二四・四%となってございます。
 また、この調査で、群馬県三十五自治体の状況につきましては、小学校、中学校とも無償化を実施している自治体が八自治体、県内での割合は二二・九%、一部無償化、一部補助を実施している自治体が十三自治体、同じく県内の割合は三七・一%、無償化等を実施していない自治体が十四自治体、四〇・〇%という状況でございます。
○塩川委員 この学校給食費の無償化の実態調査を行うきっかけが何だったかについて教えてもらえますか。
○淵上政府参考人 平成二十九年度当時におきまして、その時点で、これまで文部科学省として、学校給食の無償化の全国状況ですとか、あるいはその導入の狙い、課題等を承知していないという状況がございましたので、その実態を把握するために調査を行ったというふうに承知しております。
○塩川委員 その前の年に経済財政諮問会議で議論になった、学校給食費の無償化が議題に上がった、それとの関係での調査ではないんですか。
○淵上政府参考人 お答え申し上げます。
 御指摘のございました平成二十八年の経済財政諮問会議で民間議員の方々から給食無償化の提案があったということは承知をしておりますけれども、そのことが直接この調査につながっているとは認識しておりません。
○塩川委員 民間議員の提案があって、その翌年に調査をしているということであります。
 それで、二〇一七年時点で完全無償化の自治体は全国で四・四、その他何らかの助成制度を実施している自治体数は二四・七%です。四分の一は何らかの助成を行っているんですが、これは二〇一七年時点で、今はかなり進んできているんですよね。
 群馬県で学校給食費の無償化の運動に取り組んでいる市民団体の方とも懇談をいたしました。この間、各自治体にも働きかけを行う中で、その数も増えていて、二〇一七年時点では、完全無償化が八自治体の二二・九、何らかの助成措置を行っているのが十三自治体で三七・一、合わせて六割の自治体ではそういう何らかの助成を行っているということですが、現在、群馬県では、三十五市町村中、八割以上の二十九自治体が学校給食費助成制度を実施をし、そして四割の十四自治体が完全無償化になっています。大きく前進をしております。文科省はこういう実態を御存じでしょうか。
○淵上政府参考人 お答え申し上げます。
 群馬県教育委員会に確認をいたしましたところ、令和三年九月一日時点で群馬県教育委員会が行った調査によりますと、県内三十五自治体のうち、小中学校とも無償化を実施している自治体が十二自治体、一部無償化、一部補助を実施している自治体が十六自治体というふうに聞いているところでございます。
○塩川委員 助成の仕組みがいろいろバージョンがあるものですから、そういうのを広く捉えると私が紹介したような数字になりますし、昨年の調査以降にも前進しているということもありますので、お話ししたような状況になっているわけであります。
 ほかにも、山梨県なども大分進んでいまして、二〇一七年時点では、完全無償化というのは二自治体、七・四%でしたが、現在は、完全無償化の自治体は二十七自治体中の十一自治体ということで、四割を超えると。大きく前進をしております。
 このように、実施自治体が増加をしているわけです。文科省として、改めて学校給食費の無償化等の実施状況について調査をする考えはありませんか。
○淵上政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほど申し上げましたように、平成二十九年度には、当時、文部科学省として、無償化の全国状況、あるいはその導入の狙い、課題等を承知していないという状況におきまして、その実態を把握するために調査を行ったところでございます。
 この調査においては、無償化等の状況のみならず、無償化に至った経緯、無償化を開始した目的、無償化による成果、無償化実施前後の課題等について把握をしたところでございます。
 文部科学省といたしましては、この調査におきまして必要な情報を把握をいたしまして、また、各給食実施者にもその情報を共有したところでございまして、現時点におきまして、これ以上の調査を網羅的に把握するという予定はないところでございます。
○塩川委員 五年間で実態がかなり前進をしているということはリアルに捉える必要があると思います。そういう点でも、五年もたっているわけですので、調査も行って、その実態を踏まえた対策に生かすということが必要だと思います。
 この学校給食費の無償化の問題ですけれども、少し古い話になりますが、一九八一年の四月の衆議院の文教委員会で、我が党の栗田翠議員が、一九五一年のユネスコの第十四回国際公教育会議、学校給食及び衣服に関する各国文部省に対する勧告第三十三号を紹介をしました。
 これへの文部省答弁は、この勧告の中で、学校給食について、その意義、役割の重要性が述べられている、これらは、やがて一九五四年に学校給食法ができます、それへの大きな刺激となったと受け止めているというものでした。
 つまり、学校給食法はユネスコ勧告に刺激をされて制定をされた、こういう経緯でよろしいでしょうか。
○淵上政府参考人 御指摘の昭和五十六年の衆議院文教委員会におきまして、当時の政府委員が、今委員が御指摘されましたような御答弁をされたことは承知をしております。
○塩川委員 学校給食法というのがユネスコの勧告に刺激をされて制定をされたということであります。
 そのユネスコ勧告には、義務教育ではできる限り家庭に補充的な出費を負わせるべきではないとしていることは承知をしておられますか。
○淵上政府参考人 お答え申し上げます。
 御指摘の、一九五一年に当時のユネスコと国際教育局におきまして採択をされました学校給食及び衣服に関する各国文部省に対する勧告第三十三号におきまして、義務教育においてはできる限り家庭に補充的出費を負わせるべきではないとされております。
 あわせて、同勧告におきましては、学校給食の完全無償が不可能な場合には父母による財政的負担が考慮される、その場合の負担は給食材料費を超える額とすべきではないと考えられるともされていると承知をしております。
○塩川委員 いずれにせよ、保護者の負担を軽減するという趣旨が述べられているわけで、その点でも、学校給食の無償化というのは大きな課題ということになります。
 学校給食は、学校給食法により、食育を行う教育課程の中に位置づけられております。小中学校の給食は、義務教育の性質上、無償化というのが適当ではありませんか。
○淵上政府参考人 お答え申し上げます。
 学校給食は、栄養バランスの取れた食事の提供により子供たちの健康の保持増進を図るとともに、食に関する指導を効果的に進めるための生きた教材としても大きな意義を有しており、その推進は非常に重要だと考えております。
 一方で、学校給食費の無償化につきましては、学校の設置者と保護者との協力により学校給食が円滑に実施されることが期待されるとの学校給食法の立法趣旨に基づき、各自治体において地域の実情に応じて御検討いただくことがふさわしいと考えております。
 なお、家庭の経済状況が厳しい児童生徒の学校給食費につきましては、生活保護による教育扶助や就学援助により支援を実施しているところでございます。
○塩川委員 義務教育の中における、まさに食育という教育課程に位置づけられている学校給食ですので、そういう意味でも、義務教育の性質上、無償化が適当だ、そういう点でも、この学校給食法の規定そのものを見直す必要がそもそもあるんじゃないのかというのが、今ではないのかということを訴えたいと思います。
 この学校給食費の無償化、先ほども言いましたように、二〇一六年の経済財政諮問会議でも議論になりました。民間議員から学校給食費無償化の提案があったということです。これはどういう趣旨で行われ、それに対して文科省としてはどのように対応したのかについてお聞きします。
○淵上政府参考人 御指摘の平成二十八年三月の経済財政諮問会議におきまして民間議員の方から学校給食費無償化の提案があったことについては承知をしておりますけれども、最終的に、同年六月に取りまとめられました経済財政運営と改革の基本方針二〇一六におきましては、学校給食関係の記載は盛り込まれていないものと承知をしております。
 いずれにしましても、文部科学省といたしましては、学校給食費の無償化につきましては、先ほど申し上げました学校給食法の立法趣旨に基づきまして、各自治体において地域の実情に応じて御検討いただくことがふさわしいと考えております。
○塩川委員 国政においても、政府内でもそういった検討も行われ、国会でもそういう議論もこの間行われてきているところであります。学校給食費の無償化に踏み出すときだ、そのための必要な法制度の整備を行うことが求められているということを申し上げます。
 それで、小中学校の学校給食費の無償化に必要な財源、額としては幾らぐらいを推計しているのか、お答えいただけますか。
○淵上政府参考人 お答え申し上げます。
 ちょっと今手元に正確な数字がないのでございますけれども、今現状、小学校、中学校の保護者の方が負担している食材費につきましては、およそ四千億程度だったかというふうに承知しております。
○塩川委員 学校給食がないところもありますので、そういったところでも実施、そこの無償化ということで考えれば、経済財政諮問会議の民間議員の無償化の提案の際に出されている数字では、約五千億円という試算も出されているところであります。そういった金額です。
 そこで、野田大臣にお尋ねしますけれども、岸田総理は子供予算の倍増を掲げております。この倍増で何をやるつもりなのか、どういうメニューを増やすのか、そこの点についてはどのようにお考えなんでしょうか。
○野田国務大臣 まず、額とか期限ありきではないと思っています。ようやくこの国会で子供政策、こども家庭庁設置法案、様々、基本法の法案の審議に入りまして、ややもするとこれまで主流になかった子供周りの、給食費もそうですけれども、そういうものの問題が顕在化してきました。特に、このコロナによって見えてきた数字は、やはり、子供の自殺が増加している、子供の貧困が増えている、一人親が苦しんでいる、虐待も増えている、不登校も増えている等々、実際に数字が見えてきています。そういうものにしっかりと寄り添って、誰一人取り残さない施策をするために必要なお金をしっかりつけていくというのが、これからの、私たちが今からやるべきことだと思っています。
○塩川委員 額や期限の問題ではないと言いますが、額は倍増しようと言っているわけですから、それをいつまでにというところがなかなか出てこないというのがこの間の議論でしたけれども。
 その場合、何を増やすとか、新しいメニューはこれを増やすとか、そういうのがやはり示され、議論される必要があるんだと思うんですけれども、そういう中に学校給食費というのも無償化という形で位置づけるというのは当然あり得ると思うんですが、そういう選択肢として排除されない、そういう課題ではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○野田国務大臣 先ほど文科省が答弁したように、そもそも文科省でお答えいただくべきことですけれども、まずは、やはり地方自治体の取組、今先生が御紹介されたような、そういうことを好事例として、こどもまんなか、子供のために何ができるかということを進めていただきたいと思います。
○塩川委員 そういう際に、国のイニシア、それは、ですから、法制度上の担保も当然ですけれども、財政上の支援もしっかり行う、こういうことを是非とも具体化をしていくときだと思っています。
 この間、そういう意味でも、無償化を実施している自治体の首長さんなどは、やはり地域振興のためということで取り組むとか、あるいは義務教育だからこそ無償にするんだということを訴えるとか、子育て世帯支援として行うという、地域の実情を踏まえた学校給食費の助成制度、無償化制度を実施しています。
 ですから、もちろん、自治体が先頭に立って住民の皆さんと一緒に実現をしていくという取組の課題ではあるわけですけれども、その際に、それを大きく前進させる上でも国の取組が必要だ、国の政策として学校給食費の無償化制度、助成制度を実施するときではないのか。このことについて、大臣として、改めて一言いかがでしょうか。
○野田国務大臣 重なるかもしれませんけれども、やはり子供政策、こどもまんなかということで、特に我が国は、少子化による人口減少が静かなる有事、国難と皆さんが議論される中、やはりそれをしっかり支えていくような、実現できるようなものをしっかり取り組んでいかなきゃならない、そんなふうに考えています。
○塩川委員 学校給食費の無償化は、住民の皆さんの運動を力に市民と自治体の共同の取組で前進をさせてきたものです。是非、先ほど言ったような、義務教育の無償化、子育て世帯の支援、地域振興策、少子化対策など多様な課題に応える取組でもありますので、国の予算にしっかりと位置づけるべきだということを申し上げておきます。
 残りの時間で、子どもの権利条約関連についてお尋ねします。
 子どもの権利条約の原則などが書かれた法律が幾つかありますけれども、一番早いのが子ども・若者育成支援推進法だと思いますが、それにおいて、子どもの権利条約はどのように盛り込まれているか、いわゆる四つの一般原則は位置づけられているのか、この点についてお答えください。
○野田国務大臣 子ども・若者育成支援推進法においては、法律の目的として、児童の権利に関する条約の理念にのっとり、他の関係法律による施策と相まって、子ども・若者育成支援施策を推進することとしております。
 また、児童の権利に関する条約の原則についても、法律の基本理念として、子供、若者が健やかに成長すること、個人としての尊厳が重んぜられ、不当な社会的取扱いを受けることがないようにするとともに、その意見を十分尊重しつつ、その最善の利益を考慮することと明記してあります。
○塩川委員 次に、児童福祉法、この間、改正も行われております。子どもの権利条約の内容はどのように盛り込まれているか、四つの一般原則は位置づけられているのか、この点についてお答えください。
○川又政府参考人 児童福祉法におきましては、第一条におきまして、「児童の権利に関する条約の精神にのつとり、」という文言が明示的に盛り込まれております。
 その上で、同条において、「全て児童は、」「適切に養育されること、その生活を保障されること、愛され、保護されること、その心身の健やかな成長及び発達並びにその自立が図られることその他の福祉を等しく保障される権利を有する。」、第二条におきまして、「全て国民は、児童が良好な環境において生まれ、かつ、社会のあらゆる分野において、児童の年齢及び発達の程度に応じて、その意見が尊重され、その最善の利益が優先して考慮され、心身ともに健やかに育成されるよう努めなければならない。」と規定されておりまして、御指摘の四つの一般原則の要素を包含していると考えております。
○塩川委員 時間が参りました。こども家庭庁設置法がどうなるかはまた次にお尋ねします。
 終わります。

【「しんぶん赤旗」掲載】経済安保/大企業の対応部署/「天下り」の受け皿に/役員・理事に経産省OB/塩川議員が追及

「しんぶん赤旗」4月20日・6面より

 2020年以降、大手企業が経済安全保障に対応する部署を相次いで設立しています。各社は経済産業省OBを担当役員や理事に起用。経済安保の専門部が「天下り」の受け皿と化しています。

 「経済安全保障法案」を審議する衆院内閣委員会で日本共産党の塩川鉄也議員は6日、「天下り」の実態を追及。政府側は経産省OBが再就職している事実を認めました。

 再就職先は三菱電機をはじめデンソー、NEC、パナソニック、富士通の5社です。いずれも経済安保に対応する部署を新設しています。

元・前長官ら

 三菱電機は、経産省資源エネルギー庁の元長官だった日下部聡氏を「経済安全保障統括室」の担当役員へ起用。日下部氏の後任を務めた前長官の高橋泰三氏も富士通が設けた「経済安全保障室」の役員に着任しています。デンソーと株式会社パナソニック総研が、いずれも経産省大臣官房付だった横尾英博氏と三又裕生氏を、NECが経済産業審議官を務めた石黒憲彦氏をそれぞれ抜てきしています。パナソニック総研は経済安保などの政策を扱うため21年4月に設立されたパナソニックの100%出資企業です。

経済安全保障法制準備室設置に係る看板掛けを行う岸田首相(中央)=2021年11月19日(首相官邸ホームページから)

 経済安保法案は4本柱で構成。政府が指定した「特定重要物資」の供給網強化や、軍事技術を含む先端技術の開発支援などを含みます。技術流出を防ぐため企業などに規制の網をかけつつ、同時に官民の軍事研究を推進する狙いです。先端技術をめぐり中国と覇権を争う米国に足並みをそろえています。

 法案は、138カ所もの事項を国会の審議を経ない政令や省令に委ねているため、規制の線引きが不透明です。どのような技術が規制対象になり得るかは、法案成立後に政府が具体化します。

政府とパイプ

 経産省OBを登用する背景には、政府とのパイプをつくることで経済安保に関する情報を収集し便宜を図ってもらう意図がにじみます。塩川議員は事実上の「天下り」だと問題視。経済安保政策の下で企業と政府の接点が広がると批判しました。

 本紙の取材に対し、三菱電機は10人強で構成された「経済安全保障統括室」を中心に輸出管理や開発、さらに人事など各部における経済安保のリスクを横断的に検討すると回答。社外的には「(経産省を含む)政府機関や経済団体などに対して情報収集をしていく」としています。

 富士通が新設した「経済安全保障室」は室長を含む4人体制で運営。室長は21年11月まで安全保障輸出管理に関する業務を担当していました。「経済安全保障上のさまざまな課題に対応するため、関連する部門に経済安全保障統括責任者を設置し、経済安全保障室とともに全社的に取り組みを行う」としています。

【本会議】こども家庭庁設置法案審議入り/子どもの権利侵害を推し進めてきた自民党政治を問う/憲法と子どもの権利条約の実現を

 政府提出のこども家庭庁設置法案と与党提出のこども基本法案が衆院で審議入りし、質問しました。

 私は、子どもの貧困、虐待、不登校、いじめ、自殺など子どもの権利侵害は深刻だと指摘。

 国連子どもの権利委員会からも、日本の子どもの社会支出がOECD加盟諸国平均より低いとの指摘や、貧困根絶のための資源配分を求める勧告が出されていること、また、教育についても高度に競争的な学校環境がいじめや不登校、自殺などを助長している懸念、教育制度の見直しを求める勧告が出されてきた。なぜ、この勧告を放置してきたのかと質問しました。

 岸田総理は「新型コロナの中で、少子化が深刻化し、子どもをめぐる課題は複雑化している」と原因をコロナにすり替え、「必要な取組は行ってきた」などと述べました。

 私は、憲法の基本的人権やこどもの権利条約の4原則「生命、生存及び発達に対する権利」「子どもの最善の利益」「子どもの意見表明・尊重」「差別の禁止」があるにも関わらず、自民党政治が教育でやってきたことは何か、と追及。教育基本法を改悪し、国家介入、愛国心や競争・管理教育を押し付けてきたと批判。

 権利条約批准時には、条約に反して、子どもの意見表明権を軽視する文部省通知(94年)まで出してきた。憲法と4原則を放置するだけでなく逆行してきたのが自民党政治だ。こうした政治が深刻な事態を招いたという反省はあるのかと迫りました。

 岸田首相は、生徒たちが主体的に取り組めるよう生徒指導や学習支援を行ってきた、校則は学校の責任、と述べ、深刻な現状に対する反省はありませんでした。

 私は、法案には子どもの権利条約という文言や、4原則の規定がなく、子どもの権利を保障するための独立した権利機関の設置もない。子どもの権利侵害を解決することにはならないと述べました。

 また、与党提出のこども基本法案の基本理念に4原則を盛り込むとしている一方で「子どもの養育は家庭が基本」としていることについて、子どもを守り育てるのは社会の責任であるということが、憲法と権利条約の精神だと強調。

 強調されるべきは国の責任で家庭への手厚い支援を行うことだとただしました。

 提出者である自民党の木原稔衆院議員は「養育は家庭が基本だとの認識を明記した」と答えました。

 私は、こども基本法案は教育も包含するのか、と質問。

 木原議員は「教育は、憲法と教育基本法を頂点とする教育法体系のもとで行われるものであるから、教育内容に踏み込んだ規定を設けなかった」と答え、こども基本法案は、教育内容に及ばないことを認めました。

 私は、あまりに少なすぎる子ども関係予算と子どもの権利を支える人の問題について「予算と人の確保こそが、子どもを支える活動をしている方たちの一番の願いだ。これにこたえず、組織を一本化するだけでは、問題の解決にはならないのではないかと強調しました。


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質問の要旨は以下の通りです

 私は、日本共産党を代表して、政府提出のこども家庭庁設置法案及び与党提出のこども基本法案について質問します。

 まず、子どもの実態をどう見るか。

 今、子どもの貧困は約7人に1人、ひとり親世帯の半分が貧困状態です。2020年度では、虐待の相談件数は20万件、不登校も20万件、いじめの認知件数は51万件にのぼり、いずれも大幅に増加しています。10代の死因で自殺が最多を占めるのはG7で日本だけです。

 総理。子どもの現状が深刻だという認識はありますか。

 国連子どもの権利条約を批准してから約30年、何故ここまで深刻なのか。政府はこれまで何をしてきたのですか。

 子どもの権利委員会からも、日本の子どもの社会支出が OECD 平均より低いことや貧困率が高いことへの深い懸念が出されています。貧困を根絶するための適切な資源配分を求める勧告とともに、労働の規制緩和等が賃金削減、賃金格差をもたらしていると指摘されています。

 また、教育については、高度に競争的な学校環境が、いじめ、精神障害、不登校、中途退学、自殺を助長している可能性があるとの懸念とともに、その悪影響を回避するため学校及び教育制度を見直すよう勧告が出されています。

 政府がこの勧告を放置してきたのは何故ですか。子どもの権利を大きく侵害してきたという認識はありますか。

 憲法は基本的人権を保障し、子どもの権利条約は「生命、生存及び発達に対する権利」、「子どもの最善の利益」、「子どもの意見の表明・尊重」、「差別の禁止」の4原則を掲げています。

 それなのに、自民党政治が教育で行ってきたことは何か。

 子どもが一番長い時間を過ごす学校で、学習内容の詰め込みを強化。「強制的な力」によって生徒を「服従」させることを推奨するような「生徒指導の手引き」を出し、管理教育を推進。子どもの権利条約の批准時には、条約に反するような94年文部省通知を発出。安倍政権下で、全国一斉学力テストの導入など、競争・管理教育を一層強化。さらに教育基本法を改悪して、教育への国家介入、愛国心や競争・管理教育を押し付けてきました。

 憲法と4原則を放置してきただけでなく、これに逆行してきたのが自民党政治ではありませんか。こうした政治が、今の深刻な事態を招いたという反省はあるのですか。

 これを改めるというなら、子どもの意見表明権を軽視し、理不尽な校則の温床となっている94年文部省通知は、ただちに撤回するべきではありませんか。

 今こそ、憲法の基本的人権と子どもの権利条約を実現する政治への大転換が必要です。

 法案がそうなっているのか問いたい。まずは子どもの権利に関わる問題です。

 政府は、こども家庭庁が、子どもの権利を保障し、健やかな成長を社会全体で後押しする「こどもまんなか」社会を目指す司令塔としています。では、こども家庭庁設置法案に、子どもの権利条約という文言や4原則の規定がないのは何故ですか。

 こども家庭庁は、子どもの権利条約に基づくものではないのですか。権利委員会の「勧告」は一元的な組織を求めていますが、何故、(こども家庭庁には)教育が含まれていないのですか。

 子どもの権利を保障するための独立した監視機関の設置もありません。

 これでは、新たな縦割りをもたらすだけで、子どもの権利侵害を解決することにはならないのではありませんか。

 閣法と合わせて出された与党提出のこども基本法案について質問します。

 「こども施策」の基本理念に子どもの権利条約の4原則を盛り込むとしています。

 それならば何故、基本理念に「子どもの養育は家庭が基本」と書き込むのですか。虐待や貧困など、家庭の中で苦しむ子どもたちが少なくありません。この規定は、苦しむ子どもや保護者をさらに追い詰め、一層孤立させることになります。

 子どもを守り育てるのは社会の責任であることが、憲法と子どもの権利条約の精神であり、強調されるべきは国の責任で家庭への手厚い支援を行うことではありませんか。

 こども基本法は、学校教育も包含するのですか。法案の目的に、幼児教育に関する規定はありますが、初等から高等教育の規定がないのは何故ですか。また、「こども大綱」に教育が含まれていないのは何故ですか。

 さらに基本理念に、「教育基本法の精神にのっとり教育を」とあります。この規定について衆院法制局は、「教育は教育基本法が基本であることを示すため」と説明しています。

 子どもの権利条約と矛盾する改定教育基本法が基本ということは、つまり、小学校、中学校、高校、大学の教育では、4原則は保障されないということになりませんか。

 次に、あまりに少なすぎる子ども関係予算と子どもの権利を支える人の問題です。

 国際的に見て最低水準の子どもに対する支出を抜本的に増やすことが必要です。

 例えば、野党が求めてきた給食費の無償化、医療費の無償化を行うのですか。

 また、貧困に苦しむ子どもや家庭に対し児童手当や児童扶養手当の抜本拡充を行うべきではありませんか。

 野党が求めてきた保育士や学童保育指導員の大幅な処遇改善を行うのですか。児童福祉の専門職員等の配置基準を改善するのですか。

 非正規が増加している教職員は、正規を基本とするのですか。

 予算と人の確保こそが、子どもを支える活動をしている方たちの一番の願いです。これにこたえず、組織を一本化するだけでは、問題の解決にはならないのではありませんか。

 以上、質問を終わります。

群馬・伊勢崎市議選告示/北島元雄・はせだ公子候補の応援に

 伊勢崎市議選告示。北島元雄・はせだ公子候補の応援に駆けつけました!

 党市議団はこの間、コロナ対策で無料のPCR検査、全業種対象の給付金を実現。第3子以降の学校給食費無料化制度の改善で対象者は6倍以上に。

 今の市政は、四つある保健センターの統合や五つの高齢者入浴施設を二つにするなど市民サービス後退を推進。おかしいことはおかしいと言える日本共産党の2議席が必要です!

 ロシアのウクライナ侵略を糾弾!国際社会の結束で暴挙をやめさせよう!憲法9条は、日本が侵略国とならない証であり、日本外交の羅針盤。

 深刻な物価高騰対策のために補正予算の編成を。消費税は減税、5%に引下げを!

【内閣委員会】安全よりビジネスを優先/規制緩和の道交法改正

 電動キックボードの規制緩和を盛り込んだ道路交通法改正案についてただしました。

 電動キックボードの事故が急増している中、法案は、現行の原付の交通ルール(免許必要、ヘルメット着用義務、車道通行)適用を、最高速度が時速20km以下の場合、自転車並として、免許不要、ヘルメット着用は努力義務、一部歩道通行可に緩和しようというものです。

 私は、この規制緩和が議論された会議の中で、警察庁が当初「電動キックボードと自転車とは異なる危険性がある」と発言していたと指摘。

 ところが、シェアリング事業者から事業成立のために「外国人の利用を進めるには免許不要」「ヘルメットの着用は任意」との要望を受け、規制緩和が決定しており、「ビジネスのために交通安全対策を後退させるのか」と追及。

 警察庁楠芳伸交通局長は「自転車と同様のルールとした」との答弁に終始しました。

 私は、免許を不要にして、現在の交通安全教育と同等の水準が確保できるのかと質問。

 二之湯智国家公安委員長は「官民協議会で教育の在り方を検討していく」とするのみで、確保できるとは答えませんでした。


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反対討論の要旨は以下の通り

 私は、日本共産党を代表して、道路交通法等改正案に反対の討論を行います。

 反対理由の第一は、電動キックボードに係る規制を緩和するものだからです。

 電動キックボードによる事故や違反が急増する中、本来求められるのは規制強化です。

 しかし、本案は、一定の最高速度以下なら免許を不要とし、自転車道や歩道の通行を認め、ヘルメット着用も任意とするものです。

 この議論の発端は、事業者による規制緩和要望です。規制のサンドボックス制度の計画認可のときの議論では、警察庁は、歩道は歩行者が安全に安心して通行できる区画で、車両の通行を認めるべきでない、手元でアクセルのみで加速できるものは自転車とは異なるリスクがあるとしていました。

 しかし、事業として成立させるためには規制緩和が必要だという事業者の声に押され、本案が提出されました。警察庁が守るべき道路交通の安全対策を後退させるものと言わなければなりません。

 第二は、レベル4の自動運転の問題です。

 東京パラリンピック選手村で自動運転の車両が人身事故を起こしたように、レベル4の自動運転車両においても、交通事故を起こす可能性があります。

 それにもかかわらず、事故を起こした際の救護義務や安全確保義務が緩和されています。本案は、特定自動運行主任者が乗車していなくても運行できるとしています。

 遠隔地にいる主任者は、事故時に現場での救護や二次災害を防ぐ安全確保措置を行うことができません。レベル4の自動運転の実施は時期尚早です。

 第三は、自動配送ロボット運行の問題です。

 自動配送ロボットは歩道を通行することも可能としていますが、車体の安全基準を行政が審査する仕組みもなく、運行も許可制ではなく届出制です。

 現在の技術水準で、歩行者との衝突などが起こらないとは言えず、また、遠隔操作であるため、トラブルへの即時対応もできません。運行の安全性が担保されているとは言えません。

 第四に、マイナンバーカードに固執し、普及したい政府が、国民の要求もないのに、マイナンバーカードと運転免許証の一体化を推し進めるものであり、認められません。
以上、企業利益を交通安全対策よりも優先させる本案に反対を申し述べ、討論を終わります。


「議事録」(質疑)

<第208通常国会 2022年4月15日 内閣委員会 第19号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 道路交通法改正案の質疑に当たりまして、まず二之湯国家公安委員長にお尋ねをいたします。
 この道路交通法改正案について、閣議決定の際の参考資料でもある法案要綱に三か所の間違いがありました。また、提案理由説明についても、先日の委員会の場で誤りが明らかになりました。極めて重大であります。国民に権利義務を課す法案の審議だからこそ、国民の代表機関である国会での慎重な審議、議決が求められます。その審議に付す法案及び関連資料に誤りがあってはなりません。誤りがあれば、直ちに国会、国民に報告をし、是正することが必要であります。
 今回の度重なる事態について、警察組織を監督する国家公安委員長としてどう受け止めておられるか、お尋ねします。
○二之湯国務大臣 要綱や提案理由説明の原稿に誤りがあったことを始め、警察庁の対応に不手際があったことは大変遺憾であり、おわびを申し上げたいと思います。今後、このような、同じような誤りが発生しないよう、警察庁を指導してまいります。
○塩川委員 警察庁が議員に対して道路交通法改正案の審議スケジュールの案のメモを出すなど、考えられない、あってはならないことなども起こっております。猛省を促すものであります。
 そこで、まず電動キックボードについてお尋ねをいたします。
 電動キックボードは、原付の交通ルールを適用し、免許必要、ヘルメット着用義務、車道通行ということでした。今回の法改正で、特定小型原動機付自転車としての電動キックボードについて、自転車と同様の交通ルールを適用し、免許不要、ヘルメット着用は努力義務、歩道通行可とするものであります。
 原付の交通ルールを適用していたものが自転車と同様の交通ルールということになりますと、これはやはり道路交通安全対策の後退になりはしないかと思いますが、この点についていかがでしょうか。
○二之湯国務大臣 現行の道路交通法では、電動キックボードは原動機付自転車に区分されまして、運転免許を必要とするなど、原動機付自転車としての交通ルールが適用をされておるわけでございます。
 一方、その使用実態を見ますと自転車並みの速度でしか走行しないものもございまして、一般的な原動機付自転車と同様に扱うことが必ずしも適当ではない場合も認められるわけでございます。
 そこで、性能上の最高速度や大きさが自転車と同程度のものを現行の原動機付自転車から切り出しまして特定小型原動機付自転車と定義して、そして自転車と同様の交通ルールを定めることとしたものでございます。
 また、性能上の最高速度が歩道通行を認められた電動車椅子と同様に時速六キロメートル以下に制御できるものについては、例外として歩道を通行することができることとしております。
 これらの改正案の内容は、道路交通法における原動機付自転車や自転車に関する規定の内容を踏まえつつ、特定小型原動機付自転車という車両の特性に応じて作成したものでございます。
○塩川委員 自転車と同様のルールを適用するんだという話ですけれども、自転車の場合に警察庁はこれまで車道の通行を原則としていました。電動キックボードの車道通行の必要性について、警察庁がこれまでどのように説明してきたかを確認したいと思います。
 規制のサンドボックス制度に基づく第三者委員会として、革新的事業活動評価委員会、現在の新技術等効果評価委員会ですけれども、この二〇一九年十月の第十回の委員会において警察庁は、歩道は車両の通行を認めるべきではないと述べていたが、それはどのような理由からか御説明ください。
○二之湯国務大臣 委員御指摘の委員会における警察庁の発言は、歩道は歩行者が安全に安心して通行できるよう区画された場所であり、原則として車両の通行は認めるべきではないというものでございまして、この考え方は現在も変わるものではございません。
 他方で、現行の道路交通法では、原動機を用いて自走するものであっても、性能上の最高速度が時速六キロメートル以下であることなどの基準を満たす電動車椅子については歩道を通行することができることとされております。
 特定小型原動機付自転車は車道通行が原則でありますが、このうち、性能上の最高速度が電動車椅子と同様に時速六キロメートル以下であることなどの要件を満たすものを特例特定小型原動機付自転車と定義し、例外的に歩道などを通行することができることとしたものでございます。
○塩川委員 車道の場合には自転車、歩道の場合には電動車椅子、この並びでという話ですけれども、ただ、この前も私も電動キックボードに乗りましたけれども、十五キロでしたかね、かなりスピードが出ますし、六キロだとなかなかふらふらということもありまして、その切替えをするんだというんですが、実際自転車も、歩道を通っちゃいけないというのに歩道を通っている例というのは多くて、それが事故にもつながっているわけですよね。同じようなことが起こるんじゃないのかという懸念というのは当然あるわけであります。
 また、手元でアクセルのみで加速できるというのは自転車とは異なる危険性があるということも、この場で警察庁が述べていたことであります。警察庁自ら、電動キックボードの歩道通行は認めるべきではないと述べていたのが、そのときの委員会でありました。
 自転車は原則車道走行だということについて、警察庁はどういう説明をしてきたんでしょうか。例えば、自転車安全利用五則とかに原則自転車は車道走行と書いてあるんじゃないでしょうか。
○楠政府参考人 お答えいたします。
 御指摘のとおり、自転車は車道が原則、歩道は例外という形で規定しているものと承知しております。
○塩川委員 自転車安全利用五則では、道路交通法上、自転車は軽車両と位置づけられています、したがって歩道と車道の区別のあるところは車道通行が原則です、罰則は三か月以下の懲役又は五万円以下の罰金、普通自転車が歩道を通行することができるのは歩道に普通自転車歩道通行可の標識等があるときだというふうに説明をしています。
 自転車の事故についてですけれども、過去五年間で、歩行者が死亡、重傷となるような自転車対歩行者の事故がどれだけの件数あって、そのうち歩道で発生している割合、人数がどのぐらいになるのかを教えてもらえますか。
○楠政府参考人 お答えいたします。
 平成二十九年から令和三年の間に自転車が第一当事者又は第二当事者となった自転車対歩行者の事故のうち、歩行者死亡あるいは重傷事故における衝突地点が歩道となっているものの割合は四〇%、件数は六百三十五件でございます。
○塩川委員 ですから、歩道は通っていけないよとなっている自転車ですけれども、歩行者と自転車の事故の四割が歩道で起こっているわけなんです。これは今の深刻な実態ですよね。
 今回の電動キックボードで、速度を、モードを切り替えるとかという話ですが、それがそもそも周知されるのか。自転車でも、原則車道通行となっているのが周知徹底されていない中で、こういった歩道での四割もの事故が起こっているという点を考えたときに、この電動キックボードでそういう徹底ができるのかという問題なんです。
 その上で、現行、電動キックボードは原動機付自転車の扱いですから、運転免許が必要となります。運転免許に関して、現行の電動キックボードの免許試験内容、講習内容について説明いただけますか。
○楠政府参考人 お答えいたします。
 現行の道路交通法におきまして、電動キックボードは主に原動機付自転車に区分されておりまして、その運転には原付免許などが必要とされております。
 原付免許の運転免許試験につきましては、視力等の適性試験のほか、運転に必要な知識に関する学科試験を行うこととされており、その内容につきましては、試験時間を三十分として、交通ルールなどに関する問題を四十八問出題し、正答率が九〇%以上の者を合格とすることとなっております。
 また、原付免許を受けようとする者につきましては三時間の原付講習を受けなければならないこととされておりまして、その内容につきましては、原動機付自転車の運転に関する実技訓練や視聴覚教材を用いた教育を行うものとなっております。
○塩川委員 ですから、適性試験、学科試験、また三時間の原付講習という形で、安全教育、道交法のルールをしっかりと身につけるという場を設けているわけであります。技能試験とか高速道路講習がないぐらいで、自動車免許と同様の内容であります。このような形で安全運転を確保する措置を取ってきたんですが、それでも事故が増加をしているのが電動キックボードであります。
 それなのに、事業者からは、外国人にも利用してもらいたいことから、免許保有義務を緩和してほしい、こういう要望が出されていると承知していますが、そのとおりでしょうか。
○楠政府参考人 お答えいたします。
 委員の御指摘は、二〇二〇年十月に開催されました第十七回革新的事業活動評価委員会での事業者からの要望のことを指しているのではないかと思いますけれども、その中では、例えば、ちょっと該当する部分を読み上げますが、具体的な要望ですけれども、先ほどからちょっと出ていたヘルメットの着用の部分です、これも、やはり事業化、特にそのインフラで将来的に持続可能なビジネスモデルとするためにはかなり大きいハードルになってくるので、ここを任意としたいと考えていますなどの要望があったものと承知しております。
○塩川委員 それはヘルメットの話なので、ちょっとこの後また聞きますけれども、要するに、免許保有義務を緩和してほしいというのは外国人の利用を進めたいというところが動機となっているという点に、安全確保措置が後退させられるというのは筋違いじゃないのかということを申し上げておきます。
 今回の法改正で運転免許はなくなるわけです。それで、販売者やシェアリング事業者に交通安全教育の努力義務を課すわけですが、これは、こういった運転免許の取得と同等の内容を確保できるんでしょうか。
○二之湯国務大臣 今回の改正案では、電動キックボードのうち、性能上の最高速度とそして大きさが自転車と同程度のものを特定小型原動機付自転車と定義いたしまして、その運転に免許を要しないこととされている自転車と同様の交通ルールを定めることといたしておるわけでございます。
 他方で、特定小型原動機付自転車の安全な利用を促進する観点からは、交通ルールを周知する機会を設けることが非常に重要であると考えております。
 警察といたしましては、事業者また関係省庁とで構成しております官民協議会において運転者に対する実効的な交通安全教育の在り方を検討していくこととしているほか、電動キックボードなどに関する交通ルールをまとめた資料を作成して、広く一般に広報啓発を実施することといたしております。
○塩川委員 事業者に努力義務を課すということで、これから決めるという話ですよ。ですから、具体的な担保も何もないという点でも、余りにも現状との落差が大き過ぎると言わざるを得ません。
 例えばネット販売の場合は、販売者はどのように購入者に対して交通安全教育を実施するんでしょうか。
○楠政府参考人 お答えいたします。
 まさに先ほど大臣から御答弁いただきました、そういったネット販売でする場合も含めまして、運転者に対する効果的な交通安全教育の在り方をどのようにするかということについて、事業者、関係省庁と組織した官民協議会で検討を進めていきたいというふうに考えておるところでございます。
○塩川委員 例えばメルカリのように、個人間の売買の場合に、この交通安全教育というのはどうなるんでしょうか。
○楠政府参考人 お答えいたします。
 個人間の売買というのもいろいろな場合があると思いますので、一概には申し上げられないと思います。
 ただ、その中で一つ、我々の方でいろいろ考えておりますのは、この特定小型原動機付自転車につきましては、ナンバープレートをつけていただく、そういう方向で検討いたしておりますので、譲渡するということになれば、それをつけ替えなければいけないというようなこともございますので、そういった窓口に御協力をいただいて安全教育に関する資料を配付する、そういったことも一つアイデアとしてはあるのではないかということで、あらゆる機会を捉えて、そういった利用される方に交通ルールに関する周知が行き渡るように工夫をしてまいりたいというふうに考えております。
○塩川委員 事業者ではないので、交通安全教育の努力義務すらかからないんですよ。紙を渡して終わり。これで本当に安全教育になるのかといった点でも何も決まっていない、事故が相次いでいる電動キックボードの安全運転対策について何の担保もない、これはやはり道路交通安全対策の後退だと言わざるを得ません。
 ヘルメットの着用についても、先ほど紹介があったように、事業者からは、実証期間中にリピート利用がなかった理由として、利用者から、ヘルメットが汚れていた、ぬれていた、雨の後、ヘルメットがぬれてしまい利用できなくなるケースが多発をした、駐輪場に電動キックボードが置いてあって、雨が降ってヘルメットの中に水がたまっているという写真まで紹介をして、事業として成立させるためにヘルメットの着用を任意化することが必要だと分かったと。それで、事業者は、持続可能なビジネスモデルとするためにはヘルメットの着用義務づけが大きいハードルになってくるので任意としたいと述べているということですよね。
○楠政府参考人 お答えいたします。
 先ほど私が読み上げさせていただきましたけれども、御指摘の評価委員会において事業者側からそういった指摘があったということでございます。
 ただ、今回の改正案におきまして、特定小型原動機付自転車につきましてはヘルメットの着用を努力義務というふうにいたしておりますが、これは、繰り返しになって恐縮ですけれども、電動キックボードのうち、性能上の最高速度と大きさが自転車と同程度のものを原動機付自転車から切り出して自転車と同様のルールを定めるというものでございまして、ヘルメットの着用についても、今回の自転車のヘルメットの着用の努力義務化と併せて努力義務とすることといたしたものでございます。
 いずれにいたしましても、警察といたしましては、着用促進に向けまして、しっかりと広報啓発を行ってまいりたいと思っております。
○塩川委員 広報啓発でそもそも済むのかという話であって、自分のビジネスのためにヘルメットの着用義務を外してくれというのでは道路交通安全対策を後退させる、それは、交通安全対策に対する規制緩和措置、こういったことを認めるのかというのが問われているわけであります。
 最後に、特定自動運行について、事故時の人命救助対策はどうするのか、自動運転の車に人が乗っていないという際に、事故時に人命救助対策は誰がどのように行うのか。同様に、高速道路上で乗務員なしの特定自動運行の車にトラブルがあって停止をした場合に、後ろから来る車に対して知らせる義務があるわけですよね、発炎筒とか三角板を置くとか。こういうのというのはどうなるんでしょうか。
○楠政府参考人 お答えいたします。
 まずは一つ目の、交通事故があったときの措置でございますけれども、今回の改正案では、遠隔監視を行う特定自動運行主任者を配置する義務を課すとともに、特定自動運行主任者が、交通事故が発生した場合に消防機関に通報するなど必要な対応をしなければならないこととし、これに違反した場合の罰則を設けております。
 また、その対応が適切に実施されることを担保するための基準を定めた上で、これを履行するための措置を計画に記載させて、都道府県公安委員会がこれを許可時に審査することといたしております。
 さらに、許可を受けて実施する特定自動運行におきまして交通事故があった場合には、必要に応じて警察署長が許可の効力の仮停止を行うほか、都道府県公安委員会が指示や許可の取消し等の行政処分を行うことといたしております。
 以上のような規定を設けることにより、人が乗車しない場合であっても安全な運行を確保できることと考えております。
 なお、改正案では、遠隔監視を行う特定自動運行主任者を配置する措置に代えて、特定自動運行用自動車に特定自動運行主任者を乗車させることも可能という制度になっております。
 それから二つ目の、高速道路でのトラブルの話だというふうに思いますけれども、今回の改正案では、現在の技術水準を踏まえまして、運転自動化レベル4に相当する運転者がいない状態での自動運転のうち、限定地域における遠隔監視のみの無人自動運転移動サービスを念頭に置いております。
 このようなサービスは、現状におきましては円滑な交通に支障を及ぼすおそれがある、これは具体的に申しますとスピードが出ないといったようなことも、技術的にはまだまだ課題があるというふうに承知しておりまして、そういったことを踏まえまして、特定自動運行による人又は物の運送が地域住民の利便性又は福祉の向上に資すると認められるものであることを許可基準として設けております。
 このような許可基準に適合するのであれば、限定地域における高速道路を一部利用した特定自動運行も排除するものではなく、対象になるとは考えておりますが、まだまだ技術的にはハードルが高いものではないかというふうに思っております。
 仮に高速道路におきまして自動運行が終了して停車した場合には……
○上野委員長 楠局長、時間が過ぎておりますので、簡潔にお願いします。
○楠政府参考人 はい。
 特定自動運行主任者が必要な表示をしなければならないなどの義務を課すこととして、これに違反した場合には罰則を設けることといたしております。具体的な方法としては、先ほど申し上げました特定自動運行主任者が乗車する場合のほか、あらかじめ特定自動運行主任者が自動車に搭載された表示装置を遠隔で作動させる、そういったことも含めて検討しているところでございます。
○塩川委員 遠隔操作の人が現場の人命救助対策に当たれないというのははっきりしているわけで、そういった安全対策が措置されないといった懸念は拭えないということを申し上げて、質問を終わります。

【「しんぶん赤旗」掲載】名称・目的は使途議論と不可分/日割り支給賛成も法案に反対/文通費に関する法案/塩川鉄也衆院議員に聞く

「しんぶん赤旗」4月15日・2面より

 衆院本会議で14日に可決された文書通信交通滞在費(文通費)に関する法案について、日本共産党の塩川鉄也衆院議員に聞きました。

  ――文通費について、国会でどんな議論がされているのでしょうか。

 塩川 今国会で、文通費に関する各党協議会がつくられ、文通費の「日割り支給、使途、公開、返納」についての議論を行っています。文通費は、国民の代表である国会議員の活動を支えて行政監視機能を果たし、議会制民主主義を支える上で必要な経費です。原資は税金ですから、国民の理解が必要です。使途や公開のあり方が問われています。

  ――今回の法案は文通費を日割り支給に改め、名称を「調査研究広報滞在費」に変更していますが、同法案についての日本共産党の考えは。

一括改正問題
 塩川 今回の法案で、文通費を日割り支給にすることには賛成です。しかし、名称と目的の変更をパッケージで改正することには同意できません。そのため、本法案には反対です。

 現行法は、当選、辞職などでその月の議員の在職日数が数日でも、当月分の文通費を支給することとしています。国民の理解を得られない不合理なものであり、日割り支給への法改正は当然の措置です。

 日割りは、29日の参院石川選挙区補選に間に合わせようというものです。しかし、文通費の使途や公開については協議会でも全く議論していません。

  ――「名称」「目的」の変更になぜ反対したのでしょうか。

変更順序が逆
 塩川 文通費の名称と目的は、文通費の使途と不可分のものです。使途や公開の在り方の議論に先んじて名称と目的を変更することは順序が逆です。

 現行の国会法は文通費の目的を「公の書類を発送し及び公の性質を有する通信をなす等のため」と規定しています。これを、「国政に関する調査研究、広報、国民との交流、滞在等の議員活動を行うため」と改めるのが今回の法案です。

 この新たな名称と目的の表記は、1966年の「議員歳費等に関する調査会答申」の文言に依拠したと説明されています。当時と今日では議員活動をめぐる環境は大きく変化しており、答申が根拠とした文通費の実態とは乖離(かいり)があります。

 また、「滞在」という名目は1993年に、「東京滞在への助成」として唐突に持ち出され追加されたものです。わが党は、在京議員に対しても「東京滞在」費を支給することは、国民から見て合理的説明がつかないとして反対しました。以来、国会予算審議の際に繰り返し見直しを求めてきました。この見直しの議論もないまま、名称と目的に「滞在」を残すことにはうなずけません。

  ――今後どのように議論されるのですか。

 塩川 与野党国対委員長は12日に、引き続き文通費の「使途、公開、返納」について議論し結論を得ることを確認しています。わが党としても、使途、公開、国庫返納のルールについて各党間の協議を重ね、実施に向けた結論を出すことを求めていきます。

経済安保法案に異議あり!院内集会

 経済安保法案に異議あり!院内集会に参加。

 科学技術の軍事研究化推進、学問の自由などを侵害するものであり、政府による企業介入を強化し、政官業の癒着を拡大する。

 経済、科学技術を軍事と一体化し、米国の安保戦略に日本を組み込むもの。

 参院での審議を通じ、問題点を明らかにし、世論と運動を広げ、廃案に追い込むたたかいに取り組みたい。


異議あり/経済安保法案/市民が集会/「敵つくり世界を分割」

「しんぶん赤旗」4月13日・15面より

田村・塩川氏参加

 市民、弁護士らによる「経済安保法案に異議ありキャンペーン」は12日、国会内で集会を開催し、同法案の危険性を伝え、反対の世論を広げようと呼びかけました。日本共産党の田村智子政策委員長と塩川鉄也国対委員長代理があいさつしました。

 田村氏は、国家安全保障のために経済や研究を「武器」として使うものだと指摘し、「国家間の懸案は外交努力でこそ解決すべきだ。経済で仮想敵国をつくり世界を分割していいのか、非常に問題だ」と批判。塩川氏は衆院での質疑で、人権や憲法9条の侵害の危険が明らかになったとして、(1)科学技術の軍事研究化(2)政府による企業への介入強化(3)政官業の癒着―の3点を強調しました。

 社民党の福島瑞穂党首とれいわ新選組の大石晃子衆院議員があいさつしました。

 井原聰・東北大名誉教授は、政府指定の機微情報に関わる研究者に罰則付き守秘義務が課せられる問題について、「軍事研究からの離脱やその情報公表の権利を定めたユネスコの勧告に反する」と指摘し、弁護士の海渡雄一氏は企業の経済活動を軍事の統制下に置き、「現代の国家総動員法にほかならない」と批判。元特許審議官の野村康秀氏は、秘密特許制度の導入が企業の合理的な経営判断を奪いかねないと警告しました。

栃木・下野市/ごのへ豊弘議員と街頭から訴え

 目前に迫った下野市議選。2期目をめざすごのへ豊弘議員の応援に駆けつけました!

 不当なリストラとたたかい全面解決を勝ち取った経験をもつ、ごのへ市議だからこそ、市民の暮らしに心を寄せ、豪雨災害の浸水世帯への支援の適用・創設や18歳までの子ども医療費の無料化を実現。

 党議席が空白だったときは、毎議会の質問者が3人程度だったのに、ごのへさん当選後、10人以上に増加。議会活性化に大きな力を発揮しました。

 物価高騰が国民生活を直撃。今こそ消費税減税を!年金引下げなど社会保障改悪の中止、大幅賃上げの実現を!大企業の内部留保課税で、賃上げの流れを作り出そう!

埼玉・春日部市議選告示で応援に

 春日部市議選(定数30、2減)告示。現有6議席確保めざし、うづき武彦・並木としえ・大野とし子・今尾やすのり・坂巻かつのり・木下みえ子候補当選のために全力!今尾・うづき・坂巻候補の応援に駆けつけました!

 党市議団は、18歳までの入院医療費無料化、第3子以降の学校給食費無料化、住宅リフォーム助成制度を実現。学校給食費の完全無償化、温水市民プール建設の願いは、一貫して要求を掲げてきた党の6議席でこそ!

 ロシアは侵略やめよ、国連憲章守れの国際世論と運動を!

 憲法9条は、日本がプーチンロシアのような侵略者にならないという証であり、紛争の平和的解決への取り組みの羅針盤。

 侵略戦争反対、反戦平和を貫いて100年、ソ連・ロシアの覇権主義と対決してきた日本共産党を伸ばしてください!

【内閣委員会】保育士等の賃上げ限定的/2割以上の自治体が手を挙げず/国の責任で将来にわたって交付税措置を

 岸田政権が看板政策として掲げる保育士や学童保育指導員などの給与を賃上げする処遇改善事業において、事業の活用に手を挙げない自治体が多数生じている問題を追及しました。

 私は、処遇改善事業の2021年度の申請状況について、申請をしていない自治体が、保育所等では376自治体(全自治体の2割近く)、学童保育では642自治体(全自治体の4割近く)に及ぶこと。また、申請をしている自治体でも公立施設を対象としているのは、保育所等では474自治体(全自治体の3割未満)、学童保育では338自治体(全自治体の2割未満)に留まっていることを確認。政府の評価を質しました。

 山際大志郎担当大臣が、22年度も申請ができるとして、現段階の評価は早いと答弁。

 答弁に対し私は、申請は21年度中に賃上げを実施したことが要件となっていることから、今後の申請は限定的だと指摘し、公立ではあまりに少ないと思わないかと追及。

 山際大臣は「他の公務員とのバランスを考えたうえで判断された可能性がある」などと述べるだけでした。

 私は、賃上げを進めるためには自治体の事情も踏まえた改善が必要だとして、自治体からヒアリングをせよと強調。

 山際大臣は「検証は必要」としつつ、「今はヒアリングをする段階ではない」と答えました。

 私は、自治体からは来年度以降の交付税措置に不安の声が上がっているとして、将来にわたって国の責任で保障せよと主張しました。


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「議事録」

<第208通常国会 2022年4月8日 内閣委員会 第17号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 今日は最初に、保育士、学童保育指導員の賃上げ政策の進捗状況についてお尋ねをいたします。
 月額三%、九千円の賃上げを図るという保育士・幼稚園教諭等処遇改善臨時特例事業の申請状況ですけれども、申請しなかった自治体数、申請した自治体数、申請した自治体数のうち公立施設を対象に含めて申請した自治体数がそれぞれ幾つかをお答えください。
○藤原政府参考人 お答え申し上げます。
 今般の保育士等の処遇改善に係る補助金でございますけれども、三月四日までに保育所、幼稚園等について申請があった市町村数、千四百五市町村となってございます。全市町村の数が千七百四十一でございますので、その時点で申請がなかった市町村数は三百三十六となっております。また、公立保育所について申請があった市町村数は四百七十四市町村となっております。
○塩川委員 全市町村のうち申請自治体は約八割です。二割近くが申請をしておりません。公立施設の申請は全自治体の三割に届かない。七割以上の自治体が申請していないということであります。
 続けて、放課後児童支援員処遇改善臨時特例事業の申請状況についても、同様に、申請しなかった自治体数、申請した自治体数、うち公立施設を対象に含めて申請した自治体数が幾つかを教えてください。
○藤原政府参考人 お答え申し上げます。
 放課後児童支援員等の処遇改善に係る補助金につきましては、同じく三月四日までに放課後児童クラブについて申請がありました市町村数で申し上げますと、千九十九市町村となっております。全市町村の数は千七百四十一でございますので、申請がなかった市町村数は六百四十二となっております。また、公立の放課後児童クラブについて申請があった市町村数は三百三十八市町村となっております。
○塩川委員 申請自治体数が全体の六割。四割近くが申請をしておりません。公立施設の申請は全自治体の二割に届かないということで、八割以上の自治体が申請していないということです。
 保育士や放課後児童支援員、それぞれ、都道府県別の特徴がどうなっているとかは分かりますか。
○藤原政府参考人 先ほどお答え申し上げました申請状況に係る市町村数でございますけれども、その時点までの令和三年度分の申請があった市町村数をお答え申し上げたわけです。
 この交付金の申請につきましては、市町村から国に対する申請につきましては、令和四年度に三年度分も含めて交付申請を行うことも可能としており、今後、追加で申請をする市町村もあるというふうに見込んでおります。
 このため、現時点で都道府県ごとの市町村数ですとか特徴について申し上げることは難しいかなというふうに考えております。
○塩川委員 現時点での都道府県別の実施自治体、都道府県別でいいですから、実施自治体の一覧表というのは、後でいいんですけれども、出していただけますか。
○藤原政府参考人 都道府県ごとの市町村数をというふうなお尋ねでございました。
 以前から御説明申し上げておりますように、この交付金の取扱いについて、例えば概算による申請も可能であるということ、それから四年度に三年度分も含めて交付申請を行うことも可能というふうな柔軟な取扱いをしております。
 こうした柔軟な取扱いをしているがゆえに市町村の状況は様々ございまして、概算による交付申請を行っている市町村もあれば、一定の時期までに各保育園等から補助金の申請があったものについてまず国に交付申請をし、残り分はまた改めてというふうな市町村もあれば、四年度に追加で国に申請しようというふうな市町村、様々あるように承知をしております。
 こういうふうな状況でございますので、三月四日の時点での申請状況について都道府県別の市町村数をお示しするということは差し控えたいと思っておりますが、まずは、四年度に三年度分も申請をするということができることになっておりますので、そちらの方の手続について、しっかり周知なり行っていきたいというふうに考えております。
○塩川委員 現時点の数字の確認をしたいので、その数字だけでも出してもらえないですかね。
○藤原政府参考人 今後、令和四年度の交付申請の受付を開始することとしておりまして、その申請が出そろうと考えられるのが五月末ぐらいかなというふうに考えております。四年度の交付の要綱を発出をし、その上で申請期限を設定をして、最終的な申請数の数が判明をするのが五月末頃までかなというふうに思っておりますので、おおむねそういった時期を想定をして、最終的な状況については何らかでお示しできるように考えていきたいというふうに思っております。
○塩川委員 現時点でもそういう数字を出してほしいというのは、重ねて要望をしておきます。
 それと、今後増えるという話もありましたけれども、今後増えるような事例というのは、どういう条件のところで増えるということになるんですか。
○藤原政府参考人 先ほどの御答弁の若干繰り返しになって恐縮ですが、今回のこの申請、市町村から内閣府に対する交付金の申請につきましては、概算の申請もオーケーですよというふうな取扱いですとか、それから、三年度と四年度に分けて申請をする、そのことも可能ですというやり方、それから、三年度は見送り、四年度にまとめて交付申請を行うというふうな市町村、様々お考えがあるやに聞いております。
 そういう意味では、四年度にまとめて申請をしようという市町村も残っているというふうに承知をしておりますので、そういった状況も踏まえて、全体としてどうなるかということをしっかり見ていきたいと思っております。
○塩川委員 実際、令和四年度も可能だという話ですけれども、その場合でも、私立施設でいえば、二月分からの賃金改善を年度内に実施をしている必要がある。それから、公立施設の場合には、二月からの賃金改善を行う条例案等を年度内、令和三年度内に議会に提出していることが要件なんですよね。
○藤原政府参考人 お答え申し上げます。
 委員御指摘のとおり、四年度にまとめて交付をするという柔軟な取扱いを認めておりますけれども、その前提としては、今般の経済対策、三年度の二月、三月分の改善を行っていただく、あるいは公立においては、時間がかかりますので、条例等を出していただくというふうなことを要件としているということは事実でございます。
○塩川委員 ですから、公立の場合でも条例案が昨年度内に措置されているという条件なんですよ。だから、今後増えるという見込みはないじゃないですか。そうですよね。
○藤原政府参考人 網羅的に私どもはその市町村を把握をしているわけではございませんけれども、三年度までに条例等を出されている中で、四年度において申請を考えるというふうなところもいらっしゃるとは聞いております。
 ただ、最終的にどういうふうな状況になるのかということがまだ把握はできておりませんので、四年度の申請の状況をしっかり踏まえる、また、四年度の申請について、できるということをしっかり周知をしていきたいというふうに考えております。
○塩川委員 民間の場合は、二月から賃上げをやっているということが前提ですから、そういうところは申請の対象になるわけですよ。公立の場合でいえば、昨年度内に条例等の手当てをするということですから、そういうところも当然申請ということがはっきり見えているわけで、今後増える見込みというのはない、実質はもうここで区切りという状況です。
 大臣にお尋ねします。
 政府は、経済対策として、こういった保育士などケア労働者の賃上げのための措置を行いました。こういったケア労働者の賃上げの施策が、率直に言って保育士や学童保育支援員というのが、実施状況というのが非常に限定的、公立の場合には本当に少ないといった、こういう取組の現状についてはどのように評価をしておられますか。
○山際国務大臣 これは、今、参考人の方からお話をさせていただいたとおりだというふうに認識しておりますが、まだ四年度に入って受付をしているというところでございますので、現段階で最終的な評価をするというのは少し早い、このように我々としては受け止めております。
○塩川委員 今言ったように、でも、自治体の場合では条例の手当ての話も当然出てくるわけで、それは今後増えるといっても本当に例外的な事例の話だと思うんですよ。そういうときに、答弁にもあったように、保育士の場合で公立での申請は三割に届かない、学童保育でいえば二割に届かない。公立の場合については余りにも少ないと思いませんか。
○山際国務大臣 これは、先生御理解いただいた上で御質問いただいていると思うんですが、やはり公立の場合は、身分が公務員ということになりますので、他の公務員、他の職種の公務員とのバランスというものも考えた上でこういう判断がされているという可能性は十分あると思います。
 だからこそ、一義的には各自治体の御判断にお任せをして申請をしていただきたいということをこれまでもやってまいりましたし、また、この制度の説明というものの努力はこれまで累次にわたって当局の方からしてきた上でこういう形になっているというふうに理解しております。
○塩川委員 そういう点でも、自治体の取組、それぞれに事情があるんだろうけれども、そういった事情も酌んで、更なる手だて、工夫をするということが必要じゃないか。賃上げを図るという点では、我々は当然それを求めているところですし、そういった点で何が課題かという話を自治体に対してヒアリングをする、そういったことは是非やってもらいたいと思うんですが、そこはどうでしょうか。
○山際国務大臣 実際には、今御答弁申し上げましたように、各自治体とのコミュニケーションというのはこれまでも図ってきたわけですね。その上で、今こういう状況になっている。
 ただし、岸田内閣として目指しているものは、やはり、公的部門にお勤めの皆様方の賃金を上げていくということをまず呼び水にして、日本の社会全体の賃上げを目指していこうということでございますから、当然、その効果というものに関して、どの程度あるかという検証は日々やっていかなきゃいけないと思っておりますし、その文脈から見たときに、必要なものがあるならば当然それはやっていかなきゃいけないと思ってございます。
 今この段階では、ヒアリングのようなものをする段階ではないと私たちは判断しておりますけれども、効果等々に関しては見ていきたいと思います。
○塩川委員 是非、現状で聞いてもらった方が今後の課題に生かせると思います。その点を求めるとともに、やはり、財政上の措置についての懸念というのはあるわけで、十月以降の地方交付税措置の話がありますけれども、来年度はどうなるのか、そういう不安だってあるわけです。賃上げに必要な財源について、交付税措置を維持していくとか、そういった国の責任でしっかり対応する、こういうことこそ必要じゃないかと思うんですが、財政措置についてはどうでしょうか。
○山際国務大臣 十月以降に関しましては、これも議員御案内のとおりでございますけれども、全世代型社会保障制度をどう考えていくかという文脈の中で、その問題意識というものはもう専門家の皆様方から提示されておりまして、やはり公的部門に働いていらっしゃる方々、特に介護士さんであるとか保育士さんであるとか、今の放課後児童クラブで働いていらっしゃる方も含めてですけれども、こういう方々が、全体の平均の賃金から比べたときにまだ賃金が低い状況にあるということ、これはもう問題として提起されておりますから、それを、二〇二〇年代という言葉が使われておりましたけれども、二〇二〇年代というのも、既に二〇二二年ですので、あと七、八年の間に集中的にその差を埋めていくということはやっていかなくてはいけないということは、もうこれは専門家の皆様方から御指摘されていることですから、それを踏まえて、十月以降の制度というものはしっかりと考えて、改正していくということになると思います。
○塩川委員 自治体に対する国の財政措置など改善も行って、対応が前に進むように、国のイニシアを取っていただきたいと思います。
 山際大臣、ありがとうございました。
○上野委員長 山際大臣におかれましては、御退席をお願いいたします。
○塩川委員 残りの時間で、デジタル庁の組織体制についてお尋ねします。
 数字の確認ですけれども、四月一日現在のデジタル庁の職員総数、また、うち民間の出身者数、そのうち常勤と非常勤の人数がどうなっているのか。まず、それをお答えいただけますか。
○山本政府参考人 お答えいたします。
 令和四年四月一日現在におきましてのデジタル庁の職員の数は約七百名となってございます。そのうち民間出身者の数は約二百五十人となっておりまして、うち常勤職員が二十七名、その他は非常勤職員となってございます。
 以上でございます。
○塩川委員 民間出身者の人数について、常勤、非常勤の別で、グループごとの数字というのは分かりますか。
○山本政府参考人 お答えいたします。
 恐れ入ります。グループごとの数字でございましょうか。
 グループごとの非常勤職員の数につきましては、四月一日現在での精査は、ちょっと今お答えをできるほどに精査できておりませんので、今担務の関係もございますので、御理解いただければ大変幸いでございます。
○塩川委員 是非、後で結構ですので、その数字をお願いします。
 それから、民間出身者の常勤職員が二十七名というお話がありました。昨年九月のデジタル庁発足時には一人、今年の一月一日時点では十人と承知をしております。
 この二十七人の選考採用方法ごとの内訳が分かるでしょうか。
○山本政府参考人 お答えいたします。
 令和四年四月一日現在におきます民間出身者の職員、常勤職員二十七名でございまして、採用形態は、デジタル監、内閣により任命されておりますけれども、これが一名、選考採用、任期付職員として採用している者が六名、あと官民交流によりまして受け入れておりますのが二十名、以上でございます。
○塩川委員 デジタル監を除いた任期付が六人、官民人事交流が二十人ということですけれども、こういった選考採用方法を取った理由というのは何でしょうか。
○山本政府参考人 お答えいたします。
 個別の採用についてはお答えを差し控えさせていただきたいと存じますけれども、基本的な考え方として、必要な職種、また人物を見て、また、官民交流であれば派遣元の御意向とも調整をしながら、適切な採用形態を取っておるものでございます。
○塩川委員 官民人事交流法に基づく官民人事交流ですけれども、デジタル庁の状況を報告が出ていますから見てみますと、例えば、自動運転のロードマップの作業である官民ITS構想・ロードマップ関連業務の仕事に自動車メーカー出身の方が就いている例などがあります。そうなりますと、こういうロードマップにおいて、自動車業界サイドのルール作りにならないだろうかといった懸念も浮かぶんですが、こういった点については、大臣はどのようにお考えですか。
○牧島国務大臣 委員御案内のとおり、デジタル庁では、全ての職員を対象に、入庁に際し、コンプライアンス基本方針に沿って行動すること、職務上知ることのできた秘密を漏えいしないこと、利益相反行為は行わないことなどについて定めた誓約書の提出を求めております。
 こうしたしっかりとしたコンプライアンスに基づいて、日々、それぞれ、デジタル庁の職員が業務に当たらせていただいているというふうに理解をしております。
○塩川委員 ただ、官民人事交流で見ても、交流元企業の業務に従事することや、交流元企業に対する許認可等の業務を行う官職に就くことは禁止をされているわけです。
 当該企業や業界団体の関わるルール作りなど企画立案の官職に就く規制はないわけで、やはり企画立案、ルール作りというところが一番の肝ですから、そこに関係業界、事業者の方が関わるというのは、ルール作りにおいて、特定の事業者、業界に有利な作業にならないのかといった懸念というのはあると思うんですが、その点についてはどうですか。
○上野委員長 牧島デジタル大臣、時間が過ぎておりますので、簡潔にお願いします。
○牧島国務大臣 はい。
 私どもは、有識者から構成される会議などの議事録の公表もオープンにしておりますし、こうした一つ一つの企画立案、組織としての必要性、有効性、公平性等を勘案して意思決定していくものでございます。
 職員個人の判断や考え方がそのまま制度化する仕組みにはなっていないというふうに理解しております。
○塩川委員 企画立案に関わる部門にそういった関係事業者があるというのは、ルールの妥当性そのものも疑わせるものとなる。こういった点での懸念を除くということが必要だということを申し上げて、終わります。

【本会議】科学技術の軍事化推進/経済安保法案が衆院通過/反対討論

 経済安全保障推進法案の採決を行いました。日本共産党とれいわ新選組が反対しましたが、他の会派の賛成多数で可決。採決に先立ち反対討論を行いました。

 討論の要旨は以下の通りです。


 反対理由の第1は、科学技術の軍事研究化を推進し、学問の自由などを侵害するということです。

 政府が指定する「特定重要技術」の研究開発のために設けられる「指定基金」に想定されているのは、2500億円もの「育成プログラム」です。その研究成果は、軍事技術として「将来的に防衛省の判断で活用されることはあり得る」と答えました。

 「指定基金」において必置とされている「協議会」は、政府から機微情報の共有など「伴走支援」が行われ、参加者に、罰則付きでの守秘義務を課しています。これまで研究開発において、このような罰則付きのやり方が設けられたことはありません。研究活動に大きな制約を持ち込むものです。

 東北大名誉教授の井原聰参考人は、競争的研究費を乱発すれば基礎研究がおろそかになると指摘し、「裾野の広い、自発的な研究土壌」でこそ人類の発展に寄与する学問が育つと訴えました。

 本案の官民技術協力は、これに反し、巨額の研究費で軍事転用可能なデュアルユース技術の強化を狙うものです。

 憲法9条に矛盾する特許出願非公開制度は、民生技術を軍事技術に吸収し戦争遂行に動員した、戦前の「秘密特許」制度の復活に他なりません。

 外国出願を禁じた「特定技術分野」の発明は、米国に対してのみ、防衛特許協定を理由に除外されます。軍事特許を日米の軍事力強化に役立てる新たな仕組みとなりかねません。

 さらに、本案の先に「セキュリティー・クリアランス(適性評価制度)」が検討されていることは重大です。政府の「秘密」保全だけでなく研究者・民間企業も対象とした秘密保護法制の拡大につながり、プライバシー・学問の自由の侵害、労働者の不利益取り扱いを含め深刻な人権侵害が生じかねない問題であり、認められません。

 第2に、政府による企業への介入を強化する問題です。

 基幹インフラの事業者に対し、設備導入などの際、納品業者・委託業者などを事前に届け出させ、政府が審査し勧告・命令まで行うとしています。また、「特定重要物資」の供給事業者に対しても、取引先などを記載した安定供給のための計画を提出させます。

 このようなやり方に、経済界からも懸念の声が上がっています。

 この間、「経済安保」の名の下、警視庁が大川原化工機社長ら3人を不当逮捕・長期拘留した冤罪事件を起こしています。「経済安保」を大義名分として、企業活動に対する恣意的な規制が拡大する懸念がぬぐえません。

 第3に、政官業の癒着の問題です。

 民間企業に対して、様々な規制とともに「安定供給確保支援法人基金」助成などの支援策を行うとしています。現時点で5000億円ともされる半導体大手TSMCのように特定企業への巨額支援が横行しかねません。

 また、本案は、重要な事項が138箇所も政省令にゆだねられており、国会の関与はわずか2箇所しかありません。「政府への白紙委任」と言えるものです。

 このことが、企業が政府とのパイプを得ようと、特別な働きかけをする契機となり、藤井敏彦・前経済安保法制準備室長の事件にもつながっています。「天下り」が横行することになります。政官業の癒着が避けられません。

 本案は、国家安全保障局(NSS)が、外交・防衛政策と並びで経済政策を国家安全保障の一つの柱としてつかさどるものとなります。その経済政策には住民監視・私権制限の土地利用規制法も位置付けられていることは看過できません。

 岸田総理は、年内策定予定の国家安全保障戦略に「経済安全保障を位置づける」と認めました。軍事・経済の両面で日本がアメリカの安保戦略に組み込まれるものとなることは明らかです。


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