官邸の人事介入恒常化の検察庁法改定案/審議入り強行で抗議の記者会見

 官邸の人事介入を恒常化する検察庁法改定案について、与党が内閣委員会での審議入りを強行。検察の独立性を侵し、権力分立の原則を踏みにじる暴挙に断固抗議し、野党共同で記者会見。

 定年引き上げの国家公務員法改正案に、憲法違反の検察官勤務延長の検察庁法改定案をセットで行うことは許されない。

 野党は検察庁法改定案は切り離して審議すべきと要求したが、与党は拒否。森法務大臣の出席要求も拒否。与党だけで勝手に日程を決めて審議を強行した。

 新型コロナウイルス感染症対策に最優先で取り組むべきときに、「火事場泥棒」的に国家権力の私物化をはかる法案強行は、断じて認められない!


検察庁法改定案/与党が審議入り強行/コロナの最中に/野党、抗議し欠席

「しんぶん赤旗」5月9日付・1面より

 自民、公明などの与党は8日、衆院内閣委員会で、検察人事に内閣が露骨に介入する仕組みが盛り込まれた検察庁法改定案を含む国家公務員法等改定案の審議入りを強行しました。野党議員は、与野党の合意がないままの委員会開催と検察庁法改定案の審議入り強行に抗議し委員会を欠席しました。

衆院内閣委

 野党側はこれまで、検察庁法の改定は憲法の要請に基づく三権分立にかかわる問題だとして、国家公務員法改定案と検察庁法改定案の切り離しを要求。検察庁法を所管する森雅子法相の出席を求めてきました。

 ところが、与党側はこれらを拒否。与野党の合意がないままに委員長職権で委員会を開催し、改定案の審議入りを強行しました。

 野党の内閣委員は同日、そろって記者会見し、日本共産党の塩川鉄也議員と、立憲民主党、国民民主党などの共同会派の大島敦(国民民主党)、今井雅人(無所属)両議員が抗議を表明しました。

 塩川氏は、同改定案が昨年段階ではなかった検察官の勤務延長を突如盛り込んだ点について、この改定の出発点は、官邸に近いとされる黒川弘務東京高検検事長の勤務延長の閣議決定にあると指摘。「憲法の基本原則である三権分立と司法権の独立を脅かし、官邸の意のままになる検察人事を行い、その勤務延長にあわせようとするのが今回の法改定だ」と批判しました。

 その上で、「審議を強行するのは、道理のない法改定についてまともに説明することができないことを認めたのと同然だ」と強調。「新型コロナ感染症対策に全力を挙げるべきときに、火事場泥棒的に悪法を強行する安倍政権の姿勢が厳しく問われる」と抗議しました。

 大島氏は、森法相の出席が不可欠な法務委員会との連合審査を与党が拒否していることについて「そういう姿勢では審議できない」と批判。今井氏は「協議が調わないなかで理事懇を開き、委員会を職権でやるのは非常に問題だ」と強調しました。

緊急事態宣言延長など/衆参予算委で集中審議を/野国連開く

 野党国対委員長連絡会開く。

 5月11日に衆参予算委で緊急事態宣言延長などについて、安倍首相を質す集中審議を求めることを確認。

1)野党の事業者家賃支援法案を踏まえ、与野党協議会で成案を得ることをめざす
2)5月11日に、授業料半額、生活費支援の法案提出をはかる
3)雇用調整助成金の増額、手続き改善の法案作成に取り組むことで一致。

 これらを推進するためにも、二次補正予算案編成を求めていくことに。

【議院運営委員会】緊急事態宣言延長/2次補正予算直ちに/財政支援を

 政府が新型コロナウイルス感染拡大に対する「緊急事態宣言」を31日まで延長するにあたって、西村康稔経済再生担当相による事前報告をうけ、質疑。政府による「緊急事態宣言」延長をうけ長期・長丁場にわたることが予想される感染症対策の見通しについてただした。

 まず、政府が感染症とのたたかいについて「長期戦」(安倍晋三首相、3月28日の記者会見)、「長丁場」(政府専門家会議の提言、1日)との見解を示したが、どのくらいの期間かをただした。

 西村康稔経済再生担当相は、ワクチンの完成と集団免疫を例に挙げ「1年なのか、2年なのか。かなり時間がかかるというのが専門家の共通認識だ」と答弁しました。

 私は、しっかりとした見通しを示せるかどうかというのが、国民の理解と協力を得る上でも極めて重要、と強調。

 その上で、長丁場に対応する医療提供体制の確保の整備目標と実施状況について質問。

 西村担当相は、「空き病床なども活用し5万床を確保する」、軽症者の宿泊療養のために「4月30日時点で1万3000室を確保した」と答えるにとどまりました。

 暮らしと営業、医療機関への財政措置をしっかりと行う2次補正予算案の編成をただちに求めたい。


衆議院TV・ビデオライブラリから見る


「議事録」

<第201通常国会 2020年5月4日 議院運営委員会 26号>

○塩川委員 四月七日に始まり、十六日に全国に拡大した緊急事態宣言が、更に五月三十一日まで延長されます。国民が将来の見通しを知りたいと思っております。
 専門家会議の三月十九日の提言では、短期的収束は考えにくく長期戦を覚悟する必要があると述べ、安倍総理も、この闘いは長期戦を覚悟する必要があると述べています。
 五月一日の政府専門家会議の提言では、感染症への対応については長丁場を覚悟しなければならないと述べ、きょうの会議では、西村大臣も、感染症への対策が長丁場となると発言をしています。
 この長期戦、長丁場という感染症対策を講じるべき期間というのはどのくらいの期間という見通しなんでしょうか。お答えください。

○西村国務大臣 この新型コロナウイルス感染症というのは本当に難しいウイルスでありまして、無症状のまま、ずっとこのウイルスを持ち続ける人もいるというふうに専門家から伺っております。そして、八割の方は、無症状のまま、そのままウイルスが消えていくわけでありますが、しかし、その途中でもうつしてしまうことがある。
 非常に難しいウイルスでありまして、これは、ワクチンができるまで、あるいは集団免疫、みんなが免疫を持つということで、なかなか難しいことだと思いますので、かなり時間がかかるというのが専門家の共通した認識だと思います。ワクチンができるまで、一年でできるのか二年かかるのか、そういったことにもよってくるんだろうというふうに思います。
 今やるべきは、大きな流行を抑えることでありまして、大きな流行ができると医療が逼迫して命を救えなくなるわけであります。大きな流行を抑えるために、今、国民の皆様に御無理をお願いして、自粛をやって、今それがようやく、オーバーシュートすることなく、下降傾向、減少傾向に来たわけであります。もう一段の努力で、この大きな波は早期に収束させることができていく。そうすると、あとは、小さな波、小さな山はできます。これは、わかりませんから、どこかでできますけれども、それは、クラスター対策であったり、かかっても病院でしっかり治療を受けられる、そういう体制をつくるということであります。
 したがって、長くつき合っていかなきゃいけないということで、新しい生活様式、接触機会を減らしたり、消毒をしたり、さまざまな提案が専門家からなされているところでございます。その新しい生活様式への移行をなだらかに進めていくことが大事だというふうに認識をいたしております。

○塩川委員 かなり時間はかかる、ワクチンの話を例に挙げて、一年、二年という話もありました。
 五月一日の政府専門家会議では、英米の研究機関の論文を引用しまして、ワクチンの話ですとか集団免疫の話などを例に挙げて、一年以上にわたる対策の必要性を予想しているということを紹介しています。そういう点では、政府も、西村大臣も、長丁場とおっしゃる場合には、一年以上にわたる対策が必要だ、そういう認識の上で対策をとるということでよろしいでしょうか。

○西村国務大臣 私に与えられた責務は、国民の皆様の命をお守りすること、そして暮らしをお守りする、その両方であります。命が大事だと言われる方もおられると思います。何より経済、暮らしが大事だから早く活動させてくれと言われる方もおられます。その両方の御意見をよくお聞きしながら、そして調整しながら、両方をしっかりとお守りしていくのが私の責任だというふうに思っております。
 そうした中で、命を守るためには、新しい生活様式で、できるだけ感染しないような、リスクを減らすような取組もしていただきつつ、段階的に社会経済の活動のレベルを引き上げていく、今回延長をする中で、特定都道府県においてはそうした活動のレベルを地域の状況に応じてですけれども上げていこうということでありますので、両方しっかり守っていくという責任を果たしていきたいというふうに思っております。

○塩川委員 やはり、しっかりとした見通しを示せるかどうかというのが国民の皆さんの理解と協力を得る上でも極めて重要だと思っています。
 そういう点での長丁場に備えて、医療提供体制の確保が極めて重要だと考えます。
 病床数、重症者や中等症者の区分でどのぐらい確保するのか、軽症者等の宿泊療養施設の室数に関する整備目標と整備状況はどうなっているのか、その点で、見える化ということも提言の中でも紹介されていますが、どういう指標で見える化を図ろうとしているのか、この点について御説明ください。

○西村国務大臣 御指摘のように、医療提供体制をしっかり整備すること、守っていくこと、これは最重要課題だというふうに思っております。
 治療に必要な病床として、感染症指定医療機関の病床を最大限導入するほか、その他の医療機関における御指摘の空き病床なども活用して、五万床を超える病床を確保することとしております。
 そしてまた、軽症者の宿泊療養を原則とする上で、その確保が重要であります。既に、四月三十日の時点で、一万三千室を利用可能な状況に確保しているところでございます。
 宿泊施設側との連絡調整など、政府もサポートしているところでありますが、厚労省において、さまざまなデータを整備して見える化に向けて努力が進められているというふうに認識をいたしております。

○塩川委員 暮らしと営業、医療機関への財政措置をしっかり行う、二次補正を直ちにということを求めて、質問を終わります。

生活と営業、医療支援を/GO TOキャンペーン削減/補正予算組み替え提出

 野党共同で補正予算の組み替え動議を提出。

①生活と営業支援のために、事業者への持続化給付金の倍増、事業者家賃への支援、雇用調整助成金の改善、地方創生臨時交付金の追加。

②医療支援のために、緊急包括支援交付金の改善、医療機関支援給付金の創設。

③GO TOキャンペーン予算の削減。

 予算委で否決されたが、今後の取り組みとして引き続き要求していく。

10万円支給/不十分な点は今後の予算措置を/衆議院で補正予算可決

 衆議院で補正予算可決。求められているのは、医療崩壊させないこと、暮らしと営業を守り抜くこと。

 しかし、医療支援の予算は一けた足りない。接触制限の要請に対する補償の見地がない。抜本的な予算増額が必要だ。イベント事業者、学生への支援も欠かせない。

 「GO TOキャンペーン」や本予算の軍事費などは見直し、新型コロナ対策に集中すべき。

 国民の声に押されて、政府が一律10万円の支給に転換した予算となった。不十分な点については今後の予算措置を求め、本補正予算に賛成した。

事業者家賃や学生の支援/緊急事態宣言の延長で集中審議を/野国連

 野国連開く。

 補正予算成立後の対応として、野党が共同提出した「事業者家賃支払い支援法案」について、与野党協議を申し入れることを確認。

 また、学費や奨学金、生活費など学生支援を行う施策の提案準備を行うことで一致。

 5月6日期限の緊急事態宣言の延長等、政府の対応を踏まえて、予算委員会集中審議を求めることに。

新型コロナ自粛要請対策など/政府への要請に回答

 新型コロナ自粛要請などに関連して、北関東ブロックではこの間、塩川議員・梅村候補を先頭に、政府などへの要望を各地で聞き取ってきました。寄せられた要望を梅村候補がまとめ、塩川議員室が政府に要請。その回答が23日に届きました。

<要請は>
・農水省宛へは、ブランド牛の価格低下の対策や技能実習生が来日できない問題。
・国土交通省宛は、観光業の業績被害への支援。
・厚生労働省宛は「非派遣型」販売員の休業補償。貸し付け窓口の混雑緩和策。
・内閣府宛は学童保育への財政支援。
―――など合わせて15項目。

<回答は>
・子育て・保育では、学童保育が臨時休業させた場合の保護者への返却支援を補正予算に計上。保育所・幼稚園が臨時休園した場合も開所したとみなして給付金を支給し、マスクや消毒液の購入経費を50万円上限で補助。
・乳幼児検診の延期対策については、地域ごとの状況を踏まえ延期処置や感染防止対策を講じた上で継続は可能であることを通知している。
・農水省関係では、牛マルキン生産者負担の実質免除。農協系の融資返済猶予について、農家の実情に応じるよう繰り返し要請。小中学校への和牛肉提供などの支援事業を補正予算に処置。来日できない外国人技能実習生の影響について、他産業からの受け入れ支援を補正予算に盛り込む。
―――など。詳しい回答は、党各県委員会に送付しました。

 いま政府・国会内でも感染防止のため、接触を極力少なくしようと文書で提出して、文書で回答する形式をとっています。

コロナ対策の補正予算案/27日本会議で質疑/議運理事会

 議運理事会開く。

 西村官房副長官が出席し、新型コロナウイルス感染症対策の補正予算案と関連法案(国税・地方税)を27日に国会提出すると説明。

 理事会では、27日に本会議で補正予算案の政府財政演説と質疑を行うことを決めました。


補正・関連法案27日審議入りへ/衆参議運委理

「しんぶん赤旗」4月24日付・2面より

 西村明宏官房副長官は23日、衆参の議院運営委員会理事会に出席し、新型コロナウイルス感染症対策を盛り込んだ2020年度補正予算案と関連法案を27日に国会に提出すると説明しました。

 これを受け、両院の議運委理事会は、27日の衆参本会議で補正予算案の財政演説と質疑を行うことを決めました。日本共産党は衆院で笠井亮議員、参院で田村智子議員が本会議質問に立つ予定です。

 また、23日、衆参予算委員会はそれぞれ理事懇談会を開き、衆院予算委員会を28日と29日午前に、参院予算委員会を29日午後と30日にそれぞれ開き、補正予算案を質疑する日程を固めました。

家賃負担支援策の検討を/野党国対委員長連絡会

 野党国対委員長連絡会開く。

 事業者の家賃負担に対する支援策を政府与野党協議会で検討するよう、与党に呼び掛けることを確認。

 5月6日の緊急事態宣言の期間後の政府対応について、国会への事前報告、質疑を求めることで一致。安倍首相の出席を要求。


「家賃支援」など調整/野国連/補正組み替えを確認

「しんぶん赤旗」4月23日付・2面より

 日本共産党、立憲民主党と国民民主党などの共同会派は22日、国会内で野党国対委員長連絡会を開き、休業補償やPCR検査拡充などのための2020年度補正予算案の組み替え案や、休業で家賃支払いが困難になっている飲食店などを救済するための法案について政策担当者間で早急に調整することを確認しました。

 また、補正予算案について、与党側が29日の休日も含めて審議し月内成立を求めていることに協力するとともに、5月中に予算委員会集中審議をセットで要求していくことで一致しました。

 1人10万円の給付金について、自民党が「国会議員は受け取らない」と表明していることに対して、立憲民主党の安住淳国対委員長は「原則各自の判断だが、国会議員も受け取って、社会還元、医療機関への寄付などにあてるようにしたい」と述べました。

 日本共産党の穀田恵二国対委員長は「給付金は新型コロナウイルス感染対策として、すべての人を対象にしている。受け取るかどうかを問題にすることは国民の中に分断を持ち込むものだ。すべての人が遠慮なく受け取れるようにする必要がある」と発言しました。

【「しんぶん赤旗」掲載】埼玉/コロナ雇い止め相談会場 塩川・梅村氏/弁護士と懇談

「しんぶん赤旗」4月19日付・首都圏版より

 日本共産党の塩川鉄也衆院議員と梅村さえこ衆院北関東比例予定候補は18日、全国一斉の「コロナ災害を乗り越えるいのちとくらしを守るなんでも相談会」の埼玉県の会場を訪れ、相談員らから話を聞きました。

 会場では、弁護士や司法書士、労働問題の専門家らが新型コロナウイルスの影響による雇い止めや暮らしの問題について、電話で相談に応じていました。

 相談活動を行っていた猪股正弁護士は、「シングルマザーで子どもは学校が休校になっているが、学童保育に預けるのも感染が不安。仕事を休むしかないが、職場が認めてくれず、無収入となっている」(医療機関で働く女性)などの相談があったと紹介。政府が国民1人あたり現金10万円を給付するとしていることについて「申告した人に給付するという話もあるが、それだと滞る。とにかく早く届くようにしてほしい」と話しました。

 塩川氏は「一番支援が必要な立場の弱い人に支援が届いていない現状があります。休業補償とともに、働かざるをえない業種への支援などに向けて、頑張ります」と応じました。

 塩川、梅村両氏は同日、埼玉県労働組合連合会の尾形佳宏幹事とも懇談。尾形氏は新型コロナの影響で、女性や非正規労働者から雇い止めなどの相談が寄せられていると話しました。

【議院運営委員会】自粛と一体で補償を/緊急事態宣言全国拡大

 政府が新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言の対象地域を全国に拡大する方針を示したことを受け、西村康稔経済再生担当相から説明を聞き、各党が質疑。

 私は、緊急事態宣言の区域を全国に拡大する理由は何かとただしました。

 西村担当相は、地方での感染拡大や都市部から地方への移動が感染拡大につながっている状況、人と人の接触の8割削減が十分にいき届いていないこと、地方の医療体制が不十分なことなどを判断理由にあげました。

 私は、対象を拡大する判断基準のデータを明らかにするよう要求。

 西村氏は「データは後ほど提出する」と答えました。

 私は、全国に移動の自粛や営業の自粛を要請するのであれば、自粛と一体で補償を行うことが必要だ。補償をすることが感染防止に最も効果的だと求めました。

 西村氏は補償に踏み込んでいない政府の対策を述べるにとどまりました。


「議事録」

<第201通常国会 2020年4月16日 議院運営委員会 22号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 最初に、緊急事態宣言発出に当たっての判断基準のことなんですけれども、七都府県の区域指定の際の判断基準、累積感染者数ですとか、感染者が倍化する時間、感染経路が不明の感染者の割合、主にこの三つの指標を踏まえて総合的に判断するということだったんですが、この七都府県への区域指定の場合と今回の全国への拡大の際の判断基準というのは、同じなんでしょうか、違うんでしょうか。

○西村国務大臣 緊急事態宣言を発出すべき区域につきましては、これは政治家が恣意的に判断するべきものではございませんので、専門家の皆さんが一定のデータを見ながら判断をされてきております。感染者の数、あるいはその倍化するスピード、クラスターの状況、感染経路がわからない数の動向、医療体制の状況、それから地域の経済関係、生活圏、こういったことを判断しながらされておるところであります。
 今般全国に拡大したのは、こうした状況も踏まえつつ、地方での感染拡大の状況、それから都市部、特に七都府県から、都市部から地方に、北海道であったり沖縄であったり、ほかの県にも移動して、そのことが感染拡大につながっているというような状況の判断、そして、先ほど御質問もありましたけれども、八割削減がなかなか十分に行き届いていない点、それから地方の医療体制、こうしたことを含めて専門家の御判断をいただき、今般このような措置をとろうとしているところでございます。

○塩川委員 要するに、七都府県への緊急事態宣言の発動の要件、判断基準と、全国に広げた場合の判断基準、要件は同じなのか、違うのか。

○西村国務大臣 専門家の皆さんがそれぞれの県のデータを細かく分析されておられます。そうした中で、先ほど申し上げたようなさまざまな国内感染の状況、その地域の感染の状況、データをもちろん見ながらでありますけれども、それに加えて、三月二十日、二十一日、二十二日の三連休がやはり人の移動を招き、そのことで二週間後に感染者数が大幅にふえている、そうしたことも踏まえて、今般、ゴールデンウイーク、大型連休を控える中で、県を越えての人の移動、あるいは観光地への人の移動を大幅に削減しなきゃいけない、そうした御判断をいただき、今般、そうした措置をとろうとするものでございます。

○塩川委員 違いがよくわかりません。
 そのデータを開示いただきたい。特に倍化時間ですとか孤発例について、後刻で結構ですので、そのデータをお示しいただけますか。そのお約束だけ。

○西村国務大臣 今般も判断基準のさまざまなデータを見ておりますので、専門家がごらんになっていますので、そうしたデータにつきましては後ほど提出をさせていただきたいと思います。

○塩川委員 緊急事態宣言の区域を全国とする理由について、都市部から人の移動による感染拡大、クラスターの広がりということがある、大型連休前に外出自粛を求めたいということですけれども、そうであれば、営業自粛への補償が必要ではないのか。自粛要請を全国に広げるということであれば、外出先について、事業者の方、イベントなどについての補償を行うというのが最も効果的だと考えますが、この点はいかがでしょうか。

○西村国務大臣 国民の外出自粛をそれぞれの県でお願いをしてきております。また、私どもからもお願いをしてきている中で、さまざまな事業者の皆さん方が大変厳しい状況になっておられること、切実な声を伺っております。何とか踏ん張っていただけるように、そして、その事業の継続、雇用、生活を守れるように、全力を挙げて支援をしていきたいと考えております。
 特に、もう既に無利子無担保の融資制度があり、さまざまな支援策も講じておるところでありますけれども、さらに、補正予算を提出させていただきまして、その中で、持続化給付金という形で、中小企業の皆さんには二百万円、個人事業主の方々には百万円の給付を行うことによってしっかりと支えていきたいと考えておりますし、それぞれの都道府県におきましては地方創生の臨時交付金一兆円を盛り込む予定にしておりますので、これも活用いただいて、地域の経済そして住民の生活をしっかり守っていけるように万全を期していきたいというふうに考えております。

○塩川委員 給付金の一人十万円の給付と、今回の緊急事態宣言の全国への拡大、この二つについての関連はどうなんでしょうか。

○西村国務大臣 一律十万円の給付につきましては、引き続き、与党間、そして与党と政府の間で調整が進んでいるものというふうに理解をいたしております。

○塩川委員 終わります。

【本会議】権力分立の破壊招く/検察庁法改定

 最大の問題は憲法の基本原理である権力分立を破壊する検察庁法改正案を入れ込んだことだ―― 内閣による検察人事への介入を恒常化する検察庁法改定案を含む国家公務員法等改定案が、衆院で審議入りし、質疑にたちました。

 私は、発端は安倍政権が1月に黒川弘務東京高検検事長の定年を、検察庁法の63歳退官の規定を踏みにじり延長させる閣議決定をしたことだ、と指摘。戦後、日本国憲法のもとで制定された検察庁法が退官年齢を定めたのは、検察官人事への政治の恣意的な介入を阻止し、検察官の独立性確保のためだと強調しました。

 検察庁法の立法趣旨や『国公法の定年制度は検察官に適用されない』とのこれまでの政府見解に照らして閣議決定が違法であることは明らかだ。昨年10月に確定していた改正案は、検察官の定年退官を65歳に引き上げ、63歳からは役職につかないというものだったのに、違法な閣議決定につじつまを合わせるため検察官の役職定年に例外を設け、内閣が認める時は63歳を超えても、さらには退官年齢(65歳)を超えても検事長などのまま勤務させることができるという抜け穴まで設けたもので許されない。黒川氏の定年延長を決めた閣議決定と検察庁法改定案は撤回すべきだと求めました。

 菅義偉官房長官は、閣議決定も法案も撤回の必要はないと強弁しました。

衆議院TV・ビデオライブラリから見る


検察庁法改定案、国家公務員法改定案への質問の要旨は以下の通りです。

 新型コロナウイルス感染症対策について野党は一貫して、全国民に10万円の給付金支給をと求めてきました。所得制限を設けず、ただちに給付金支給に踏み出すべきです。

 国家公務員法等改正案の最大の問題は、憲法の基本原理である権力分立を破壊する検察庁法改正案を入れ込んでいることです。コロナ対策に全力を尽くすべきさなかに火事場泥棒的に押し通すことなど許されません。

 発端は、安倍政権が1月31日、黒川弘務東京高検検事長の定年を、検察庁法の規定をふみにじり、国公法の勤務延長制度を根拠として延長させる閣議決定にあります。これは、1981年以来、「国公法の定年制度は検察官に適用されない」とする政府見解を投げ捨てるものです。

 そもそも検察庁法が検察官の退官年齢を定めたのは、検察官が強大な権限を持っていることから、その人事への政治の恣意(しい)的な介入を阻止し、検察の独立性を確保するためです。

 重大なのは、この違法な黒川氏の定年延長の閣議決定による解釈変更につじつまを合わせるために検察庁法を「改正」しようとしていることです。

 昨年10月に内閣法制局の審査を完了していた改正案は、検察官の定年退官を65歳に引き上げ、63歳からは役職につかないというものでした。ところが法案は、検察官の役職定年に例外を設け、内閣が認めるときは、退官年齢も超えて検事長や次長検事などのまま勤務させることができるという抜け穴まで設けたのです。

 「桜を見る会」や前法相への家宅捜索が問題になる中で提出されたのを見ても、政権の保身を図るためであることは明らかです。検察官を官邸に従属させ、刑事司法の独立と公正、権力分立を脅かす国家権力私物化は断じて認められません。

 国公法改正案は、国家公務員の定年を60歳から段階的に65歳に引き上げます。60歳を超える職員の給与を7割に引き下げるとしていますが、根拠を示せない給与の切り下げは、地方公務員などの定年延長のあしき先例になりませんか。

 総人件費抑制政策の下での定年延長は、給与引き下げと新規採用抑制によるいびつな年齢別構成を生み出すことになります。同政策は撤回すべきです。


「議事録」

<第201通常国会 2020年4月16日 本会議 19号>

○塩川鉄也君 日本共産党を代表し、質問します。(拍手)
 冒頭、新型コロナウイルス感染症対策について伺います。
 日本共産党を始め野党は、一貫して、全ての国民に十万円の給付金支給を求めてきました。今や、与党幹部からも同じ要求が出されています。
 安倍総理が述べたという、方向性を持って検討するとは、どういうことですか。所得制限を設けず、全ての国民に十万円の給付金支給に直ちに踏み出すべきではありませんか。官房長官の答弁を求めます。
 議題の国家公務員法等改正案の最大の問題は、憲法の基本原理である権力分立を破壊する検察庁法改正案を入れ込んだことです。コロナ感染症対策に全力を尽くすべきさなかに火事場泥棒的に押し通そうなど、断じて許されない暴挙であります。
 発端は、安倍政権が、本年一月三十一日、黒川弘務東京高検検事長の定年について、検察庁法の満六十三歳退官の規定を踏みにじり、国家公務員法の勤務延長制度を根拠として延長させる閣議決定を行ったことです。
 この閣議決定は、一九八一年に国家公務員に定年制度を導入して以来、国公法の定年制度は検察官に適用されないと一貫して示してきた政府見解を投げ捨てるものであり、断じて許されません。
 そもそも、戦後、日本国憲法のもとで制定された検察庁法が検察官の退官年齢を定めたのは、検察官が起訴権限を独占し、時に総理大臣の訴追も行うという強大な権限を持っていることから、検察官人事への政治の恣意的な介入を阻止し、検察の独立性を確保するためです。このことは、一九四七年の法制定時から明確にされています。
 検察庁法の立法趣旨、国公法の政府見解に照らして、黒川氏の定年延長の閣議決定が違法であることは明らかです。
 重大なのは、この違法な解釈変更につじつまを合わせるため、検察庁法を改正しようとしていることです。
 昨年十月に内閣法制局の審査を完了していた改正案は、検察官の定年退官を六十五歳に引き上げ、六十三歳からは役職につかないというものでした。
 ところが、法案は、検察官の役職定年に例外を設け、内閣が認めるときは、六十三歳を超えて、さらには退官年齢も超えて、検事長や次長検事などのまま勤務させることができるという抜け穴まで設けました。
 まさに、内閣による検察人事への露骨な介入を恒常化するもので、許されません。
 安倍総理自身が桜を見る会の問題で刑事告発され、広島地検による前法務大臣らへの家宅捜索のさなかに提出されたことを見ても、本案が政権の保身を図るためのものであることは明らかであります。
 検察官を官邸に従属させ、刑事司法の独立と公正、権力分立を脅かす、国家権力の私物化であり、断じて認められません。
 黒川検事長の定年延長を決めた閣議決定及び検察庁法改正案は撤回すべきではありませんか。官房長官の答弁を求めます。
 次に、国公法改正案についてです。
 本案は、国家公務員の高齢期職員の活用を図り、年金受給年齢との接続のため、六十歳の定年を段階的に六十五歳へと引き上げるとしています。
 六十歳を超える職員の給与を七割に引き下げるとしていますが、政府が給与七割の根拠としている厚労省調査は、再雇用が八割を占めるデータをもとにしています。雇用が継続する定年延長後の給与について、再雇用を参考にするのは、根拠となり得ないのではありませんか。
 きちんとした根拠を示せない給与の切下げは、地方公務員や民間企業の労働者が定年延長した場合、あしき先例になりはしませんか。
 背景には、公務の人員と給与の削減を推進してきた総人件費抑制政策があります。このもとでの定年延長は、給与引下げと新規採用抑制によるいびつな年齢別構成を生み出すことになります。総人件費抑制政策は撤回し、定員管理を柔軟に運用し、必要な定員を確保する仕組みに改めるべきではありませんか。
 また、本法案には、能力や実績に基づいた人事評価を徹底し、給与に適切に反映することを求める附則が盛り込まれました。このような人事評価制度の徹底は、内閣人事局による幹部職員人事の一元管理と相まって、全体の奉仕者としての公務員制度をゆがめ、時の政権にそんたくする公務員を生み出す仕組みになるのではありませんか。
 答弁を求め、質問を終わります。(拍手)

【内閣委員会】新型コロナ/緊急事態宣言の根拠データ/西村大臣が示す

 西村康稔担当大臣は私の質問に答え、新型コロナウィルスの感染者数の倍増する時間(倍加時間)と感染経路をたどれない「孤発例」の割合について、「緊急事態宣言」発令の7都府県と北海道・愛知・京都の数値を、政府として初めて明らかにしました。

 西村担当相が答弁した緊急事態宣言時の今月7日時点での7都府県の倍加時間と孤発例割合は次の通りです。また、宣言が出されなかった3道府県の数値も明らかにしました。

▽東京=倍加時間5日、孤発例割合68%
▽大阪= 同 6・6日、同48%
▽埼玉= 同 5・4日、同54%
▽千葉= 同 11・5日、同39%
▽神奈川=同 5・9日、同59%
▽兵庫= 同 11・5日、同33%
▽福岡= 同 2・9日、同72%
▽北海道=同 51・6日、同61%
▽愛知= 同 23・5日、同27%
▽京都= 同 4・9日、同33%

 政府対策本部は、累計の感染者数とともに、「倍加時間」や「孤発例」割合を、緊急事態宣言発令の判断材料にしたとしています。

 感染拡大防止対策への国民の理解と協力を得るためには科学的根拠と情報開示は不可欠です。


衆議院TV・ビデオライブラリから見る


「議事録」

<第201通常国会 2020年4月15日 内閣委員会 7号>

○塩川委員 地域経済にかかわって、新型コロナウイルス感染症に関して何問か、大臣、お尋ねします。
 緊急事態宣言が発動、発出をされました。その緊急事態宣言の発動の判断要素、判断材料として、倍加時間、あるいは感染経路が不明の感染者数、孤発例と言っているそうですけれども、これについて、緊急事態宣言を公示をした七都府県がどういう数字なのか、また、累積の感染者数も多い北海道、京都、愛知ではそれぞれどうなっているのかについてお示しください。

○西村国務大臣 御指摘のように、緊急事態宣言を判断するに当たっては、専門家の皆さんは、それぞれの地域の患者数に加えて、倍加していくそのスピード、拡大のスピードですね、それとクラスターの状況、それから、感染源がわからない、いわゆる孤発例と言われている、リンクが追えない感染者の数、こういった感染の状況、あわせて、医療体制とか地域の経済圏、生活圏、特性、こういったものも見て、さまざまな分析をされているところであります。
 御指摘の北海道、愛知、京都でありますけれども、北海道は、直近七日の倍加時間、これは緊急事態宣言を発出した時点のものでありますけれども、五十一・六日で、感染経路不明が六一%、愛知県は二十三・五日が倍加期間で、経路不明は二七%、京都府は四・九日でありますが、感染経路不明が三三%であったところでございます。

○塩川委員 済みません、七都府県の数字もお願いできますか。

○西村国務大臣 東京都が五日で、不明が六八%、大阪府は六・六日で四八%、埼玉県は五・四日で五四%、千葉県は十一・五日で三九%、神奈川は五・九日で五九%、兵庫県は十一・五日で三三%、福岡県は二・九日で七二%という数字であります。

○塩川委員 そういう数字を見ますと、やはり具体的な根拠を示して緊急事態宣言の発動をしていくという、数値をぜひ明らかにしていただきたい。
 ですから、七都府県だけでいいのかという議論も当然ありますし、七都府県でいいのかといった点も含めて、お話しになったような累積感染者数もそうですけれども、倍加時間やクラスターの状況や孤発例、それから、お話しになった医療体制や地域の生活圏、経済圏を踏まえての発動といった点を総合的に判断してということでありますけれども、こういう数字を明らかにすることによって多くの皆さんが緊急事態宣言の意味をしっかりと把握をするといった点では、ぜひとも国民の理解と協力を得るための科学的根拠と情報開示が不可欠だということを申し上げたい。
 この点で、宣言の解除とかコロナ終息の判断要素としても極めて重要だという点で、しっかりやはり緊急事態宣言の発動の段階でそのことを明らかにしてほしいと思います。
 その上で、もう一点お聞きしたいのが、四月十一日のコロナの対策本部会議で安倍総理が、夜の繁華街においての感染の確認を踏まえて、緊急事態宣言発出地域のみならず、強い自粛要請を行うことを求めるということがありました。
 その際に、こういった繁華街の接客を伴う飲食店について、行かないでくださいねという要請なんですけれども、それと同時に、そういうクラスターが発生する懸念がある、そういった繁華街の接客を伴う飲食店等について、休業してもらうということが効果的ではないのか。であれば、安心して休業できるように休業補償を行うということが、まさにこの政府の要請とかみ合った形で行う点になる。この点についての大臣のお考えをお聞かせください。

○西村国務大臣 御指摘のように、外出自粛を全都道府県で、今、特に夜の繁華街については自粛していただくようにお願いしているところでございまして、飲食店におかれましては大変厳しい状況にあるというふうに認識をいたしております。
 そのために、政府としても、こうした事業者に対して全力を挙げて支援をしていきたいというふうに考えておりまして、補正予算の中で、中堅・中小企業は二百万円、これは幅広くいろいろな事業者に使っていただくようにというふうに今制度設計しております、個人事業者も百万円を上限に、フリーランスの方など含めて対応もしていきたいと思っておりますが、まさに過去に例のない現金給付を行うこととしておりますし、無利子、無担保の融資の拡充、あるいは非正規も含めて、また、業種を問わず雇用調整助成金の拡充、それから固定資産税、ことしはもう払わなくていいということでありますので、そういった措置、あるいはさまざまな社会保険料、その他の税の延納措置、こういった措置を通じて、全力を挙げて地域における飲食業を支援してまいりたいというふうに考えておりますし、また、地方自治体に対して、地方創生臨時交付金一兆円と緊急包括支援交付金一千四百九十億円を盛り込もうと考えております。
 地域の事情に応じて、それぞれの地域の経済を支える中小企業の皆さんへの支援を、こうした資金も活用していただきながら自由度を持って行っていただけるように、制度設計を具体的に進めていきたいというふうに考えているところでございます。

○塩川委員 外出自粛、休業要請によって損失をこうむっている事業者、個人に対して、しっかりと生活と営業を支える補償を行うことが最も感染症の拡大防止対策につながるということを申し上げて、質問を終わります。

【内閣委員会】独占禁止法特例法案に反対/地銀に合併圧力

 地域銀行の合併などを独占禁止法の適用から外す特例法案の質疑・採決が行われ、自民、公明などの賛成多数で可決されました。日本共産党は反対しました。

 銀行の合併は、独禁法に基づき、不当な金利引き上げや貸し渋り・貸しはがし等利用者に不利益をもたらさないよう、公正取引委員会が判断を行っています。

 私は、政府の未来投資会議で公正取引委員会委員長が「経営統合は市場における競争が実質的に制限される場合があり・・・消費者や事業者に対するサービス水準の低下につながる恐れがある」と述べていたと指摘。

 公取委の粕渕功経済取引局長は、「独禁法の適用範囲縮小は慎重な判断が必要」としつつ、法案には理解を示しました。

 私は、金融庁による銀行経営維持の観点からの合併判断とは違い、利用者利益を守る立場からの独禁法に基づく合併判断・対応が必要と主張しました。

 また、地方の金融機関の経営悪化について、アベノミクスを支える日銀の金融緩和政策によるマイナス金利が、銀行の収益悪化をもたらした根本原因だと強調しました。

 西村康稔経済再生担当大臣は「日銀が適切に判断しており、それぞれの地域経済に効果があった」「安倍政権の経済政策が地銀を追い込んでいるわけではない」などと答弁。

 私は、地域経済の立て直しに失敗し続けてきた政府に責任が問われている、と批判しました。

衆議院TV・ビデオライブラリから見る


「議事録」(質疑)

<第201通常国会 2020年4月15日 内閣委員会 7号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 独禁法特例法案について、地域銀行の合併に関して質問いたします。
 最初に、公正取引委員会にお尋ねをいたします。
 独占禁止法は、株式保有や合併等の企業結合により競争を実質的に制限することとなる場合には、その企業結合を禁止しております。この理由は何なのかについて、簡単に御説明いただけますか。

○粕渕政府参考人 お答え申し上げます。
 独占禁止法におきましては、いわゆる一定の取引分野における競争を実質的に制限することとなる企業結合、これは禁止をされております。
 これは、この禁止されていることにつきましては、利用者の選択肢が実質的に制限される、こういうようなことが生じるおそれがあるということから、企業結合、このようなものについて、そのようなものに該当する場合には禁止するということにされているものでございます。

○塩川委員 今御答弁ありましたように、利用者の選択肢が制限される。経営統合というのが、市場における競争が実質的に制限される場合があり、消費者や事業者に対するサービス水準の低下につながるおそれがあるということだということで、それでよろしいでしょうか。

○粕渕政府参考人 お答え申し上げます。
 繰り返しになりますけれども、独禁法におきましては、一定の取引分野における競争を実質的に制限することとなる企業結合、これが禁止されております。
 その趣旨につきましては、一つには、このような利用者の選択肢が実質的に制限されることになる、こういう懸念があるものですから、企業結合が禁止されるという場合があるというものでございます。

○塩川委員 西村大臣にお尋ねします。
 今回の独禁法特例法案は、主務大臣の認可を受けて行う地域銀行の合併等には独禁法の規定は適用しないという法案であります。
 地域銀行の経営統合、合併について、ガイドラインの見直しなど、独禁法を適用する措置をとるのではなくて、独禁法を適用除外する今回の特例法という形で措置をしたその理由は何なのかについてお答えください。

○西村国務大臣 今も公取委から答弁がありましたけれども、独禁法というのは非常に重い法律でございます。
 今回、地域における基盤的なサービスを維持する、地域住民の利便性の向上にも資するということを目的としながら、一方で、不当な不利益が利用者に対して生じないということを前提としてこの法律をつくるものでございます。
 まさに、公正な競争を担保するという重い法律の例外を設けるということで、十年という時限的な措置もしているところであります。こうした時限的措置を恒久法である独禁法本体に位置づけることはなじまないとの判断のもと、独禁法本体は改正することとはしておらず、また、独禁法上、競争を実質的に制限するような合併等については認められないこととされておりますので、ガイドラインの見直しでは対応できない場合が生じ得るということでありまして、こうした考えのもとで、人口減少下における地域の基盤サービス維持という政策目的を達成すべく、特例法を制定することは必要というふうに判断したものでございます。

○塩川委員 ガイドラインの見直しでは対応できないというお話でしたけれども、公正取引委員会にお尋ねします。
 法案が提出される前の、二〇一九年四月三日の未来投資会議において、杉本公正取引委員会委員長は、経営統合は、場合によっては市場における競争が実質的に制限される場合がある、消費者や事業者に対するサービス水準の低下につながることになるおそれがあると述べておりました。
 公正取引委員会は、地域銀行の経営統合、合併については独禁法上の判断が必要だとしていたのではありませんか。

○粕渕政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほど申しましたとおり、独占禁止法は、利用者の選択肢が実質的に制限されることとなる企業結合を禁止しているところでございまして、一般論として申し上げますと、独禁法に特例を設けることによってその適用範囲が縮小されることについては、慎重な判断が必要というように考えております。
 一方、本法案につきましては、人口減少等に伴う経営悪化が進むなど、現下の地銀や乗り合いバスをめぐる状況に鑑み、地域における基盤的なサービスを維持するという政策目的の達成に向けて提出されたものと承知しております。
 そのような基盤的サービスを維持するために経営統合が不可欠であると事業所管官庁が判断するのであれば、かかる判断を尊重する仕組みとして、利用者に対して不当な不利益が生じることがないということを前提として独占禁止法の適用を除外することについては、公正取引委員会としても十分に理解のところだというように考えておるところでございます。

○塩川委員 独禁法の適用の範囲を縮小するということについては慎重にという話でありますが、ただ、基盤的サービスの維持という政策目的があって、事業官庁、主務官庁の判断で、不利益がないということ、こういうことを前提に適用除外ということはあり得るという説明であります。
 しかし、杉本委員長は、その未来投資会議で続けて、構造的な需要の減少により、複数の地方銀行による競争の維持が困難として、経営統合により地域における地方銀行が例えば一行となるような場合にも、金融制度の所管官庁である金融庁が金融というインフラ的サービスの維持のために統合が不可欠と判断するのであれば、そういった判断を取り上げながら独禁法上の判断を行っていくということも可能と述べていたわけです。
 金融庁による銀行経営の維持、それによるサービスの維持という観点からの経営統合判断があったとしても、公正取引委員会として、利用者利益の観点から独禁法上の判断を行うということは必要だとしていたのではありませんか。

○粕渕政府参考人 お答え申し上げます。
 繰り返しになりますけれども、一般論として申し上げますと、独禁法に特例を設けることによってその適用範囲が縮小されることについては、慎重な判断が必要であるというように考えております。
 一方、本法案につきましては、主務大臣が、認可に際して公正取引委員会に協議することとされております。
 公正取引委員会におきましては、この協議において、競争当局としての知見や専門性に基づいて、合併等により競争がなくなることにより利用者に不当な不利益が生じることがないかどうかという観点を中心に意見を述べることとなっております。
 また、認可後におきましても、利用者に不当な不利益が生じることなどの問題が生じた場合には、公正取引委員会は、主務大臣に対して是正命令を行うよう請求することができるとされております。
 本法案におきましては、このような公正取引委員会に対する協議等を通じて、地域における基盤的サービスの維持とともに、利用者の利益の確保を図るものとされておりまして、このような制度の枠組みの中で独禁法の適用を除外するということにつきましては、公正取引委員会としても十分理解できるものだというように考えております。

○塩川委員 公取委の協議、そういう中に、話がありましたけれども、そこに企業結合については入ってこないわけですよ。
 ですから、企業結合の禁止といった独禁法上のそういう立場から、企業結合によっての利用者への不利益が及ばないように、企業結合の観点から、利用者利益を守っていく、そういう独禁法上の判断を行うということは、金融庁のサービスの維持とは違う角度から担保するということがそもそも必要なんじゃないのか。
 そういう仕組みとして、金融庁とは別に、公正取引委員会が企業結合という立場から、利用者利益を守るという立場で対応するということが必要なんじゃないですか。

○粕渕政府参考人 お答え申します。
 繰り返しになりますけれども、本法案におきましては、認可に際して公正取引委員会に協議することとなっております。
 公正取引委員会は、この協議におきまして、公正取引委員会としての知見あるいは専門性に基づいて、合併等により競争がなくなることによって利用者に不当な不利益が生じることがないのかどうか、こういう意見を申し上げることができることとなっております。
 そういう意味で、私どもとしては、このような公正取引委員会に対する協議を通じて利用者の利益の確保等が図られるものというふうに考えているところでございます。

○塩川委員 大臣にお尋ねしますが、経営統合、合併は、市場における競争が実質的に制限される場合があり、消費者や事業者に対するサービス水準の低下につながることになるおそれがあります。利用者利益の観点に立てば、経営統合という手法だけではなく、経営統合以外の手法も残すことが必要であります。
 今回の法案は、地域銀行の経営統合を優先する立場から、経営統合以外の手法を退けるものであり、そのことにより競争が実質的に制限され、消費者、事業者の選択肢が事実上失われる事態が生ずる懸念が拭えないと思いますが、その点、いかがでしょうか。

○西村国務大臣 地域銀行は、人口減少など構造的な変化や地域経済のそうした変化に直面しておりまして、まさに貸出しの利ざやも、以前から比べると低下傾向にある。足元では、顧客向けサービス、利益で約半数が赤字になるなど、経営の厳しさを増している中であります。まさに地銀においては、新しいビジネスのモデルを模索をしている状況だというふうに思っております。
 地域における基盤的サービスを維持する観点から今回の特例法を提出に至ったものでありますけれども、地銀においては、本法案の活用も選択肢として考えていただいて、できるだけ早期に持続可能なビジネスモデルの確立に向けた取組を進め、将来にわたって、地域における、持続的にサービスを提供していただきたいというふうに考えているところであります。

○塩川委員 地方における構造変化に直面をしている、そういう中で利ざやの低下傾向ですとか地域銀行の経営が非常に悪化をしているという話がありましたけれども、そういう点でいえば、そもそも安倍政権のもとで地域金融機関の収益が急激に悪化をしているわけです。アベノミクスを支えるための日銀の金融緩和政策で金利がマイナスまで下がり、国債の運用や貸出しで十分な利益が確保できなかった、これがその地域銀行の経営悪化の要因なんじゃないですか。
 その点についてはどのようにお考えですか。

○西村国務大臣 金融政策におきましては、日本銀行におきまして適切に判断をされて取り組まれていると思います。特にこの間の大胆な金融緩和は、日本経済をデフレから脱却すべく、それぞれの地域も経済を活性化してきた、そうした効果はあったものというふうに理解をしております。
 安倍政権においても、一極集中是正に向けてさまざまな施策を講じてきているところであります。地域においては、人口減少という大きな変化に直面する中で、この金融緩和によって、もちろん利ざやが減少していること、これは当然そうでありますけれども、いわば人口減少の中で、むしろこの地銀が新しいビジネスモデルを構築をしていく、それをむしろ背中を押しているような面もあると思います。これは、持続的にサービスを維持してもらうために、さまざまな知恵を働かせながらビジネスモデルをつくっていく、その今過程にあるというふうに思っております。
 そういう意味で、安倍政権の経済政策が何か地銀を追い込んでいるわけではなくて、経済全体の変化の中で、地域銀行がそれぞれ新しいビジネスモデルを模索しなきゃいけない、模索している、そういう状況にあるというふうに認識をいたしております。

○塩川委員 異次元の金融緩和のもとで、地域銀行における収益がやはり確保できなくなっているということは明らかであります。
 新しいビジネスモデルを探せという話ですけれども、この間、金融庁は、金融システムリポートなどを通じて地域金融機関の経営危機をあおり、銀行の合併や人件費などのリストラ、人材紹介など他業への展開を迫ってまいりました。本法案もその一環と言わざるを得ません。
 金融庁は、地域銀行の本業の利益の悪化の原因を、企業数や人口の減少等、構造的な要因による貸出需要の減少と言っていますが、これはもう二十年前から言ってきた話であって、地域経済の立て直しに失敗し続けてきた今の政府の責任が問われているということです。
 独禁法に抜け道を設けて、地域銀行に経営統合の圧力をかける方法は間違っているということを申し上げておきます。


「議事録」(反対討論)

<第201通常国会 2020年4月15日 内閣委員会 7号>

○塩川委員 日本共産党を代表し、独禁法特例法案に反対の討論を行います。
 独禁法は、公正かつ自由な競争を促進することで一般消費者の利益を確保するとともに、国民経済の民主的で健全な発達を促進することを目的としています。
 銀行の経営統合、合併について言えば、不当な金利引上げや、貸し渋り、貸し剥がし、手数料引上げで利用者に不利益をもたらすことがないよう、公正取引委員会が判断を行っています。
 本案は、金融庁に監督権限を与え、モニタリングし、是正措置を行い、利用者への不当な不利益を回避できるとしています。しかし、取引銀行が一つしかない状況で、中小零細業者、地域住民は、銀行が決めた融資金利や各種金融サービスの手数料などを受け入れざるを得ない懸念が生まれます。この懸念は公取自身も認めていたことであり、公正取引委員会として、独禁法上の判断を行うことが必要だとの見解を示していたのです。しかし、官邸の未来投資会議での議論を受け、法案が提出されました。
 本案は、地銀の経営統合を優先することで他の手法を退け、競争が実質的に制限されるものです。消費者、事業者の選択肢が事実上失われかねません。これでは利用者へのサービス水準の低下や不利益をもたらすことは否定できません。
 この間、金融庁は、地域金融機関の経営危機をあおり、経営統合のメリットを並べ立て、人件費や店舗統廃合などのリストラ、人材紹介など他業への展開を迫るなどといった政策を進めています。この方向が失敗だということは、二十年前に金融機関の経営統廃合を強引に進めた小泉・竹中路線を見れば明らかです。
 またもや、地銀合併を進めても、資金需要の減少や低金利などといった構造的な課題は抜本的に解決せず、地域経済の問題を先送りしているだけです。地方経済の立て直しに失敗し続けてきた自民党政権のツケを中小・小規模事業者、地域住民や銀行労働者に押しつけることは認められません。
 地方の金融機関が収益が悪化した根本原因は、アベノミクスを支える日銀の金融緩和策によりマイナス金利となり、銀行の本業である貸出しなどで利益が確保できなくなったことにあります。いわばアベノミクスによる犠牲をこうむっているのです。
 このような異常な金融緩和政策を続けておきながら、銀行の生き残り策として独禁法の抜け穴を設けて地域銀行の統廃合の圧力をかけるという法案には反対を表明し、討論を終わります。