【内閣委員会】成年被後見人「欠格条項」を一括削除/障害者の権利制限の見直しを

 成年被後見人の権利制限適正化法案が全会一致で可決しました。

 この法案は、障害者などが成年後見を利用しているだけで、公務員等の職業や資格取得などから、一律に排除する規程(欠格条項)を190近くある法律から一括して削除し、個別に試験や面接などで審査する規程を盛り込むものです。

 この法案により、障害者にとって雇用機会の拡大につながるのか確認すると。

 宮腰担当大臣は「成年後見を利用していることのみをもって、職を失うことがなくなる」と答えました。

 私が、弁護士や司法書士など専門家の後見人に、幅広い権限・裁量が与えられていることで、「本人や家族の意向が実現しない」、「親族が後見人になれず、(後見人の)交代も難しい」という声を紹介すると。

 法務省の筒井審議官は「課題は認識している。制度の在り方についても検討したい」と答弁。

 最高裁の手島家庭局長は「親族の身近な支援者がいる場合にはその人を後見人に選任すること、状況の変化などに応じた柔軟な交代や追加専任が望ましい」との認識を示しました。

 ニーズや課題、状況の変化を把握する役割を担う「中核機関」の設置は79自治体にとどまっている。国が予算措置や人員配置への取り組みを行うべきだと強調しました。

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「議事録」

<第198通常国会 2019年05月17日 内閣委員会 17号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 成年被後見人権利制限適正化法案について質問いたします。
 まず、宮腰大臣に質問をいたします。
 この法案は、成年被後見人等が成年被後見人等であることを理由に不当に差別され不利益をこうむらないようにする、そのための法案ということであります。この間も、被保佐人である元大阪府吹田市臨時職員の方や元警備員の方が職を失った件が係争中ですが、本案が成立をすると、被後見人等の職が失われる、こういうことが減っていく、このようなものになるんでしょうか。

○宮腰国務大臣 今回の法案は、平成二十八年五月施行の成年後見制度の利用の促進に関する法律に基づき成年後見制度を利用している方々の人権が尊重され、不当な差別をされないよう、いわゆる欠格条項を適正化することを目的としております。
 議員御指摘の、地方公務員や警備員を始めとする多くの資格等に係る欠格条項の存在により、同程度の判断能力であっても、成年後見制度を利用している人のみが各種の資格、職種等から一律に排除され、能力を発揮する機会が失われていることが問題となっております。
 今回見直される資格等につきましては、成年後見制度を利用していることのみをもって、資格等の取得時に排除されることや職を失うことがなくなります。今回の改正により、成年後見制度を利用する方々が、そうでない方々と同じようにその能力を発揮し、社会に参画することが促進されることになるというふうに考えております。

○塩川委員 入り口で排除されるようなことはない、また、成年後見を使った人が失職するようなこともないという中身だということであります。
 その点でも、今、この間、政府の障害者雇用の水増し問題が大問題となったわけであります。内閣人事局も担当し、公務員制度も担当している宮腰大臣ですので、障害者雇用促進法改正案が衆議院で可決をされ、参議院で審議が行われようとしております。こういうときにこの法案の審議が行われているという点でも、入り口で排除されていた障害者にとって雇用機会が拡大することになる。ぜひとも、今回の法改正を契機として、公務における障害者雇用がふえるという取組につなげていただきたいと思うんですが、大臣からぜひ御答弁をいただきたいと思います。

○宮腰国務大臣 今回、障害者雇用に関する法改正も進んでいるわけでありますけれども、また、政府における障害者雇用の達成に向けた取組もスタートしております。いろいろな意味で、障害者の方々、公務員ということに限らずでありますけれども、まずは、国あるいは地方自治体がしっかりとその責務を果たしていくということが大事であると思っております。
 今回のこの法律、一律に排除するということをやめるということでありますので、いろいろな意味で、公務員を志す方々が自分の能力によって、各種の資格、職種等からこれまで一律に排除されてきたものが、それがなくなるということでありますので、今ほど申し上げたように、能力を発揮し、社会に参画することが促進をされるということになろうかと思っております。

○塩川委員 ぜひ、そういう方向で、国を始めとして、しっかりと雇用をふやす機会になっていく、社会参加を促進するものにしていくということを求めたいと思っております。
 それで、今回の法案は成年後見制度利用促進法に基づいてつくられているわけですが、この利用促進法の附帯決議に、障害者権利条約第十二条の趣旨に鑑み、成年被後見人等の自己決定権が最大限尊重されるよう現状の問題点の把握に努め、それに基づき、必要な社会環境の整備等について検討を行うこととあります。
 この附帯決議に基づき、政府はどのように措置をしてきたのか、大臣にお尋ねをいたします。

○宮腰国務大臣 御指摘の附帯決議におきましては、「障害者の権利に関する条約第十二条の趣旨に鑑み、成年被後見人等の自己決定権が最大限尊重されるよう現状の問題点の把握に努め、それに基づき、必要な社会環境の整備等について検討を行うこと。」とされております。
 この成年後見制度利用促進法に基づきまして、平成二十九年三月に閣議決定されました成年後見制度利用促進基本計画におきましては、「第三者が後見人になるケースの中には、意思決定支援や身上保護等の福祉的な視点に乏しい運用がなされている」といった現状の問題点が指摘されております。
 こうした問題点につきまして、基本計画では、「後見人による財産管理の側面のみを重視するのではなく、認知症高齢者や障害者の意思をできるだけ丁寧にくみ取ってその生活を守り権利を擁護していく意思決定支援・身上保護の側面も重視し、利用者がメリットを実感できる制度・運用とすることを基本とする。」こととしておりまして、こうした考え方に基づき、制度の運用の改善が進められているものと承知をいたしております。

○塩川委員 意思決定支援、身上保護、制度の運用改善を図っていくということでの答弁がありました。
 法務省でしょうか、お尋ねしますが、この利用促進法では、被後見人の権利制限、欠格条項に関する法律の見直しについては規定をしておりましたが、後見人の側の包括的かつ幅広い権限については見直しの対象とはなっておりませんでした。このような後見人の幅広い権限、裁量の見直しに係る制度改正を行う必要があるのではないかと考えますが、この点についてはどのような対応をされておられるのか。

○筒井政府参考人 お答えいたします。
 御指摘がありましたとおり、現行の成年後見制度に対しては、本人の行為能力を画一的、包括的に制限するのではなく、本人の能力に応じて必要最小限の範囲で制限すべきであるといった意見などがあることは承知しておるところでございます。
 個々人の能力に応じたきめ細やかな対応を可能とするといった観点や、可能な限り本人の意思決定を尊重し、これを支援するといった観点からは、成年後見制度のうち、現状では利用が少ない保佐及び補助についての利用を促進することが重要であり、平成二十九年三月に閣議決定されました成年後見制度利用促進基本計画におきましても、「認知症の症状が進行する高齢者等について、その時々の判断能力の状況に応じ、補助・保佐・後見の各類型間の移行を適切に行う。このため、その時々の心身の状況等に応じた見守り等、適切な権利擁護支援を強化する。」こととされているところでございます。
 法務省といたしましては、基本計画に基づく運用面における改善の状況などを踏まえつつ、成年後見制度のあり方について検討してまいりたいと考えております。

○塩川委員 保佐や補助の利用とか運用面の改善の話はありましたが、このあり方についての検討という点で、やはり、制度そのものを見直していく、こういうことが課題なんだという認識があるのかについて、もう一度お答えください。

○筒井政府参考人 お答えいたします。
 御指摘がありましたように、基本計画に基づく運用面における改善の状況などを踏まえた上で、成年後見制度のあり方についても検討してまいりたいと考えております。

○塩川委員 意思決定支援を主とし、代行決定は最後の手段とする、そういう制度となるよう、障害者権利条約第十二条を踏まえた制度改正を進めていくことを求めたいと思います。
 次に、士業後見人に対し幅広い裁量が与えられていることで、本人や親族の意向が実現しないといった声が上がっておりますが、この点についてはどのように対応をしておられるのか。

○八神政府参考人 お答え申し上げます。
 平成二十九年三月に閣議決定をされました成年後見制度利用促進基本計画では、今後の施策の目標として、後見人等が利用の意思をできるだけ丁寧に酌み取ってその生活を守り権利を擁護していく意思決定支援や身上保護を重視し、利用者がメリットを実感できる制度、運用とすることを掲げております。
 このため、厚生労働省では、平成二十九年三月に、障害福祉サービス等の提供に係る意思決定支援ガイドライン、また、平成三十年六月には、認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドラインを策定をしたところでございます。
 加えて、後見人等による意思決定支援のあり方に関しては、平成三十年三月に大阪意思決定支援研究会が、意思決定支援を踏まえた成年後見人等の事務に関するガイドラインを作成し公表しているなどといった、地域における独自の取組も始まっております。
 こうした取組も踏まえまして、最高裁判所の呼びかけにより、最高裁判所、厚生労働省、専門職団体において、後見人等が本人の特性に応じた適切な配慮を行うことができるよう、後見人等による意思決定支援のあり方についての指針の策定に向けて協議を行うこととしております。
 また、厚生労働省におきましては、本年度に国庫補助事業として、後見人等の意思決定支援の研修のあり方等に関する研究事業を実施することとしております。

○塩川委員 大臣も答弁で触れられておりましたけれども、意思決定支援や身上保護等の福祉的な視点に乏しい運用がなされている、そういう指摘がある、こういうのもしっかりと受けとめた上での対応を求めていくものです。
 関連して、最高裁にお尋ねしますが、親族が後見人になれず、交代も難しいといった声も関係者の方から寄せられています。この点についてはいかがでしょうか。

○手嶋最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。
 成年後見制度の利用者から、親族が必ずしも後見人に選任されるとは限らないことや、後見人に不正行為等がない限り、一旦選任された後見人は解任することができないことについて、利用者がメリットを実感できる制度、運用への改善を求める御意見があるということは承知しているところでございます。
 成年後見制度利用促進基本計画では、身上監護や本人の意思決定支援の側面も重視し、本人の利益保護のために最も適切な後見人を選任することができるようにするための方策を検討することとされております。
 この趣旨を踏まえまして、まず、最高裁判所において、後見制度の重要な担い手であります弁護士、司法書士及び社会福祉士が所属する各専門職団体と、基本計画を踏まえた後見人の選任のあり方などについて議論を行ってまいりました。
 専門職団体との間では、後見人の選任につきましては、事務処理上の課題の専門性や不正防止の必要性等も考慮した上で、後見人となるにふさわしい親族等の身近な支援者がおられる場合には、これらの身近な支援者を後見人に選任することが望ましいこと、それからまた、後見人の交代に関しましては、本人のニーズや課題、状況の変化などに応じて柔軟に後見人の交代や追加選任を行うことなどの基本的な考え方について、認識の共有に至ったところでございます。
 このことにつきましては、各家庭裁判所に対しまして、今後の運用の参考とするために情報提供を行いました。
 今後、各家庭裁判所におきまして、後見人の選任のあり方について、基本計画における指摘や最高裁判所と専門職団体との間で共有された基本的な考え方を踏まえ、更に検討が進められた上で、各裁判官が、個別具体的な事案に応じ、本人の利益保護のために最も適切な後見人を選任していくことになるものと理解しております。

○塩川委員 今の答弁、また基本計画でも触れられていますけれども、本人のニーズ、課題や状況の変化等に応じて柔軟に後見人の交代や追加選任を行うということですが、この本人のニーズ、課題や状況の変化をどのように把握をするのか、この点についてはどうなんでしょうか。

○手嶋最高裁判所長官代理者 その点につきましては、今、基本計画で提唱されておりますような中核機関とネットワークが完成されました暁には、親族後見人とそれを支えるネットワークにおいて適切にニーズ等を把握し、それを踏まえた適切なフィードバックが家庭裁判所の方にもいただけるものというふうに承知しておりますが、それまでの過渡期におきましては、さまざまな工夫で聴取をしていく、把握していくしかないかなというふうに考えているところでございます。

○塩川委員 このネットワーク、その中核となる中核機関の果たす役割は大きいということで、そういう点でも、その担い手としての市町村、その中核機関の役割をどう発揮をしていくのかといったことの前向きの取組なしには、こういった対応も実際には困難ということでもあるわけです。
 それから、重ねて最高裁にお尋ねしますが、費用負担が大きいという声があります。後見人等の報酬について、専門職団体との議論ではどういうやりとりがされたのかについて示してください。

○手嶋最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。
 後見人の報酬につきましては、個別の事案におきまして、当該事案における諸事情を考慮し、各裁判官が判断すべき事項でございますので、最高裁判所から何らかの基準や運用指針を示し、これに沿った一律の運用がされるという性質のものではございません。
 もっとも、後見人の報酬のあり方というのは、とりもなおさず、後見人の選任に当たりまして、後見人に何を期待し、後見人がその役割をどう果たしたのかの評価にかかわるものでございまして、後見人の選任のあり方とも密接に関連する重要な事項であるというふうに考えております。
 そのため、最高裁判所は、先ほど申し上げました、基本計画を踏まえた後見人の選任のあり方の協議とあわせて、各専門職団体と報酬のあり方についても議論を行ってまいりました。
 この議論の中で、専門職団体からは、まず、個別の事案における後見人の事務の負担を適切に評価し、それに見合う報酬を付与すべきであること、また他方で、その前提となる家庭裁判所への後見事務の報告につきまして過度に煩雑にならないようにすべきであること、また、本人の財産が少なく、本人の財産から報酬を支出することができない事案が現状において相当数に上っておりまして、成年後見制度利用支援事業における報酬助成制度の充実が不可欠であること、こういった意見が出されております。

○塩川委員 専門職団体からは、報酬の見直しには利用支援事業の拡充が不可欠、報酬支援の観点が大事だという指摘があったということでよろしいですね、そこは。

○手嶋最高裁判所長官代理者 そのとおりでございます。

○塩川委員 政府の方に伺います。
 厚労省でしょうか、政府として、こういった費用負担が大きいという声にどう応えるのか、この点についてお聞きします。

○八神政府参考人 お答え申し上げます。
 介護保険制度や障害福祉制度におきましては、成年後見制度利用支援事業として、成年後見制度の利用が必要と判断される低所得の高齢者や障害者に対して、申立て経費や成年後見人への報酬等を助成をしてございます。
 厚生労働省といたしましては、全国会議の場などで当該事業を周知するなど、成年後見制度利用支援事業の支援が必要な方が全国どこにお住まいでも支援を受けられるよう、引き続き市町村に働きかけてまいりたいと考えております。
 また、今御紹介ありましたが、最高裁においては、本人の利益保護のために最も適切な後見人を選任することができるようにするため、後見報酬の見直しも検討されていると聞いておりますので、見直しの考え方、具体的な報酬額及び対象者などについて情報共有をさせていただきながら、実施状況等を踏まえつつ、必要に応じて検討してまいりたいと考えております。

○塩川委員 市町村における成年後見制度利用支援事業、こういう実施を促すということになってくるでしょうけれども、この成年後見制度利用支援事業は、障害者関係でも、また高齢者関係でも、実際の実績というのは非常に限られているわけですよね。それは何でなのかというのについて、説明いただけますか。

○八神政府参考人 お答え申し上げます。
 まず、自治体における財政上の制約があることはもとより、また、地域によっては需要が少なかったり、制度の担い手が不足しているといった実情があるというふうに承知をしてございます。

○塩川委員 利用実態の地域での差も当然あるんでしょうけれども、やはり財政上の制約というところはしっかり、ちょっと踏まえておく必要があるだろうと思います。
 そこで、先ほども出たネットワークの関連ですが、成年後見制度利用促進基本計画において権利擁護支援の地域連携ネットワークづくりが位置づけられていますが、済みません、この地域連携ネットワークづくりの意義、役割について簡単に説明してもらえないでしょうかね。

○八神政府参考人 お答え申し上げます。
 地域ネットワークの意義ということでございますが、成年後見制度の広報、相談、利用促進、家庭裁判所への後見人候補者の推薦や、担い手の確保、また、後見人の支援といった機能を担うというものでございます。

○塩川委員 それは具体的に指すと機能のところですけれども、要は、従来の保健、医療、福祉の連携だけではなくて司法も含めた連携の仕組みを構築するというところが重要だと認識しているんですが、そういうことでよろしいですか。

○八神政府参考人 お答え申し上げます。
 そのとおりでございます。

○塩川委員 その担い手となるのがネットワークの中核となる中核機関で、市町村の直営や又は委託の形で行われるわけですが、なかなか市町村にすると司法との御縁が非常に少ないという点で、そういったネットワークづくりというのはポイントになるんだろうと考えます。
 そこで、成年後見制度利用促進基本計画において、中核機関の役割というのはどのように位置づけられているんでしょうか。

○八神政府参考人 お答え申し上げます。
 成年後見制度利用促進基本計画におきましては、今後の施策の目標として、全国どの地域においても、必要な人が制度を利用できるよう地域体制の構築を図るということにしております。各地域において、成年後見制度の広報、相談、親族後見人や市民後見人等の支援等を担う中核機関の整備を推進をしております。
 中核機関とは、基本計画におきまして、「専門職による専門的助言等の支援の確保や、協議会等の事務局など、地域連携ネットワークのコーディネートを担う中核的な機関」とされており、成年後見制度利用促進の推進役でございます。具体的には、成年後見制度の広報、相談、利用促進、後見人支援といった機能を担うというところでございます。

○塩川委員 地域連携ネットワークのコーディネート役、この成年後見制度の利用促進に当たっていく上での推進役という重要な役割ですが、実際のその中核機関の設置状況は極めて少ないわけで、この中核機関設置においての課題は何なのかについて御説明いただけませんか。

○八神政府参考人 お答え申し上げます。
 中核機関を未設置の千六百六十二自治体に対しまして、設置に向けた主な課題というのをお尋ねをしたところ、回答が多かった課題は、行政における予算確保、委託予定先機関との調整、行政内部における合意形成、専門職団体、家裁との調整、委託予定先機関における人員確保であり、主に予算、組織、人材が課題であるということがわかったところでございます。

○塩川委員 最後に、大臣にお尋ねします。
 今言ったように課題が挙げられているわけです、予算、組織等の課題ということで。
 私も幾つかの自治体にお話を伺いました。数人のスタッフの方が、兼務の業務に新たに追加された仕事として、成年後見制度に取り組んでいると。人員体制の苦労というのをしっかり受けとめるべきだと思いました。業務に当たる十分な知識経験を有した職員を継続して確保することが課題だと訴えておられました。市内に専門家が少ない、家裁との連携にも課題があるというお話もありましたし、財政措置でいえば、交付税措置はあるけれども、中核機関となるようなセンターの運営費用に関する補助メニューがないんだと。こういった要望にしっかり応える必要がある。
 ぜひとも、成年後見制度の利用促進のための予算措置、人員配置、こういうことにどう取り組むのかについて、大臣のお考えをお聞かせください。

○宮腰国務大臣 成年後見制度につきましては、成年後見制度利用促進法の施行及び基本計画の策定により、厚労省、法務省、最高裁を始めとして、各省庁等が連携して総合的、計画的にその利用促進に向けて取り組んでいるところであります。
 内閣府といたしましても、成年被後見人等に係る欠格条項について、今回の法改正によりまして、一律の排除ではなく、審査をした上でという形にさせていただくわけでありまして、利用促進の一環として欠格条項の適正化を行うということにいたしております。
 予算の問題については、いろいろなところで同じような問題がありまして、例えば消費者行政の問題、見守りネットワークの推進ということで今展開をしておりますけれども、例えば、県なり市町村なりに自主財源として交付税措置で、消費者庁ができる前に九十億であったものを二百七十億積んでいる、お渡しをしているということになっているわけでありますが、自主財源としてそれを活用していただけない自治体が数多いということで、実は、一月から三月にかけて全四十七都道府県をキャラバンで回ってまいりました。
 そういう中で、消費者行政の重要性について各都道府県の理解をいただき、また都道府県の方からも市町村に相談窓口の設置、相談員の配置を働きかけていただくなど、いろいろ努力をしていただくというお話を伺ってきたところでありますけれども、なかなか、例えばこれは二分の一の地方財政措置ということで、予算措置は講じられることになっていると思うんですけれども、やはり、都道府県なり市町村においての成年後見制度に対する理解、これをしっかりと深めていただくということが何よりも重要ではないかなというふうに考えております。

○塩川委員 効果的な地方財政措置と同時に、やはり予算そのものをしっかりと手当てをしていくということが改めて重要だということを申し上げて、質問を終わります。

八ッ場ダム/代替地安全対策、地滑り対策で国交省ヒアリング

 公共事業チェック議員の会が、八ッ場あしたの会の「八ッ場ダム代替地安全対策及び地滑り対策についての公開質問書」を踏まえ、国交省にヒアリングを実施。伊藤祐司群馬県議も出席しました。

 当初の安全対策を大きく変更したのに、その理由について、まともな説明がありません。あまりにもひどい。再度、説明資料を要求しました。

 ダムに水を貯めると地滑りを引き起こす懸念があります。災害を誘発する危険なダムは要りません。

前橋市日本共産党後援会の国会見学であいさつ

 前橋市日本共産党後援会のみなさんが国会見学。正門前で記念写真。その場でごあいさつしました。

 県議選では酒井ひろあき県議の当選に力を発揮してもらいました。今度は参院選です。衆参同日選挙も取り沙汰されています。

 国会での野党共闘の取り組みを紹介し、国政選挙でも定数1人区の候補者一本化、共通政策づくりを進め、安倍政権与党と維新などの補完勢力を少数に追い込むために、一緒に頑張りたいと訴えました。

【内閣委員会】信号機の音は命に係わる情報/視覚障害者の交通安全対策を

 視覚障害者の交通安全対策の強化を求めました。

 昨年12月、豊島区で視覚障害者男性が車にはねられ死亡した事故現場では、音響式信号機(ピヨピヨ、カッコー)がありながら、夜間から早朝は鳴らない設定になっていました。 

 全国で20万機ある信号の設置状況について確認すると。音響式信号機は1割の約2万機、横断歩道上に点字ブロックがあるエスコートゾーンは2000カ所で1%しか整備されていないことが警察庁の答弁で明らかになりました。(資料左下、クリックで拡大)

 警察庁は「地域住民の生活環境への影響を勘案し(設置を)判断している」「スマホで信号表示を知るシステムを開発した」と述べました。

 音響式信号機は
(1)横断歩道の場所
(2)信号の色
(3)横断歩道の方向がわかるもの
 視覚障害者のための音は、騒音ではなく命に係る情報だ。早朝夜間も信号機の音を切るのではなく音量調整など工夫して24時間対応にすべきだ。

 道路交通法7条が歩行者は信号に従う義務を課し、罰則も科している。信号を認識できなければ、その指示に従うこともできない。9割の信号で視覚障害者が認識できない状況を、警察は放置するのか――と質問。

 山本国家公安委員長は「視覚障害者の方の安全確保は我々の大きな責務。予算確保に努めたい」と答弁しました。

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「議事録」

<第198通常国会 2019年05月15日 内閣委員会 16号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 今もお話に出ましたけれども、大津における保育園児が被害を受ける交通事故、本当に痛ましい事故が起こって、ある意味で、歩行者にかかわる事故の問題、また生活道路における交通事故の問題というのが大きな課題になっていると認識をしております。
 そこで、交差点や生活道路など、歩行者の交通安全対策について、きょうは質問をいたします。
 最初に、視覚障害者の方の歩行時の交通安全対策についてお尋ねをいたします。
 このことについては、例えば、二〇一五年の十月に徳島市で、視覚障害者の男性が盲導犬を連れて歩道のない道路を歩いていたところ、道路から資材置場に入ろうとした、バック中の、後退中のトラックにはねられて、男性と盲導犬が死亡するという事故がありました。トラックの運転手が後方の安全確認を怠ったことに加えて、トラックにバック時に警報音を鳴らす装置が設置をされていたんですが、その電源が切られていて警報音が鳴らない状態だったということでした。
 また、昨年の十二月七日の早朝において、豊島区の駒込駅前にあります交差点、そこで視覚障害者の男性が道路を横断中にワゴン車にはねられて死亡いたしました。事故現場には音響式信号機がありましたが、午後七時から午前八時の時間帯は音が鳴らないように設定をされていたわけなんです。信号機は赤だったんです。しかし、視覚障害者の方は赤ということがわからなかった。いつも車の移動で把握するんですけれども、早朝、未明の時間ですから、車はほとんど通っていないということで判断が難しかったんだろうと思いますけれども、赤ということに気づかずに横断をしていてはねられたということなんです。
 これは警察庁に基本の話としてまずお聞きしたいんですけれども、このように視覚障害者の方にとっては歩行時の音というのはまさに命にもかかわる重要な情報ではないのかと思うんですが、その点についての認識をお伺いします。

○北村政府参考人 お答えを申し上げます。
 視覚に障害のある方々が交差点等におきまして安全に横断できる、また安全に通行できるということは極めて大切なことであると認識いたしております。
 警察におきましては、交差点の信号機に、例えば音響式信号機といいますが、横断時に音が出る信号機でありますとか、視覚に障害のある方々が押した場合に、白い押しボタン箱があるのを御存じかと存じますが、そういうボタンを押した場合に青時間が延長されるというような機能のある信号機の整備などを行い、またバリアフリー法の中での経路等に着目した、そういう安全施設の整備というものを行っているところでございます。

○塩川委員 音響式信号機というものもあるんだという話ですけれども、そこでちょっと数字の確認で教えてほしいんですが、そもそも全国に信号機というのは何カ所、何基あるのか。そのうち、今の答弁にありました音響式の信号機、音響機能のある信号機の数というのは幾つぐらいなのか。あわせて、いわゆる点字ブロックなんですけれども、横断歩道には点字ブロックというのがあるわけですよね。エスコートゾーンというのをつくることはできるわけですけれども、このエスコートゾーンというのは、では、全体の信号機のうち、どのぐらいの数、設置をされているのか。その三つについて説明いただけますか。

○北村政府参考人 お答えを申し上げます。
 全国の信号機の数でございますが、平成二十九年度末におきまして、信号機の整備数は約二十万八千基となってございます。このうち、信号が青である時間、歩行者用の信号が青である時間帯に音を出して知らせる、先ほど申し上げましたが、視覚障害者用付加装置がついているものが約二万基、全体の一割程度あるということでございます。この視覚障害者用付加装置のほかに、その他、音響機能による支援を行う装置が約四千基、また先ほど申し上げましたが、横断時間の延長機能による支援を行う装置が約八千基の信号機に付加、付加機能があるということでございます。
 また、お尋ねのありましたエスコートゾーン、横断歩道にバリアフリー対応といたしまして、点字誘導ブロックを敷いてその上を目の不自由な方が通れるようになっているものでございますが、このエスコートゾーンが整備されている交差点が約二千三百カ所ございますので、全体の信号機の交差点の一%強ということになるかと存じます。

○塩川委員 資料をお配りさせていただきました。一番後ろの四枚目のところにバリアフリー対応型信号機等の整備状況というのを都道府県別の数字で紹介がされております。一番左側にあるように、信号機の基数、合計では二十万基余り、それに対して音響機能のついているものは二万基強ということで、一番右側のエスコートゾーンは二千カ所余りですから、音響機能のついた信号機は全体の一割、横断歩道における点字誘導ブロックに相当するエスコートゾーンは一%ということで、極めて少ないわけです。
 私は、大事なことは何かと思っているんですけれども、視覚障害者の方にとっては、まずは横断歩道の場所がわかるということなんです。横断歩道があるかどうかということがまず認識ができるかどうか。その上で、その信号機が赤か青なのか、このことを確認できるということであり、さらには、横断歩道がどちらに行くのかということを、その横断歩道の方向がわかるということが極めて重要なわけです。その際に、音声が重要な情報となっているということであります。
 警察庁にお尋ねしますが、道路交通法の第七条においては、歩行者にも信号機の信号に従う義務を課している、また、これに違反すれば罰則もある、そういうものだと承知しておりますが、その点について確認したいと思います。

○北村政府参考人 お答えをいたします。
 道路交通法第七条におきましては、道路を通行する歩行者又は車両等は、信号機の表示する信号又は警察官の手信号等に従わなければならないという規定がございます。また、この規定に対する違反につきましては、第百二十一条におきまして罰則規定があるところでございます。

○塩川委員 山本国家公安委員長にお尋ねいたします。
 今答弁がありましたように、道路交通法の第七条において、歩行者などが信号機の信号に従う義務を課している、違反すれば罰則も科せられるといった際に、視覚障害者の方が信号機の信号を認識することができなければ、そもそも、その指示に従うこともできないわけなんです。ですから、視覚障害者の方が信号機の信号を認識する、このような機器の整備を行うということは、これは道路交通の管理者のいわば最低限の責任、責務ではないかと考えますが、お答えをいただきたい。

○山本国務大臣 お答えいたします。
 警察におきましては、道路を横断する視覚障害者の方々の利便性、それから安全性等を向上するため、各種施策を実施し、信号のある交差点における安全確保に努めているところでございます。
 具体的には、視覚障害者用付加装置等の整備を推進しているところでございますけれども、今後とも、従来からの取組や、新しく開発したスマートフォンにより信号の表示を音声で提供するシステムの整備を行い、視覚障害者の方が信号のある交差点を安全に横断できる環境を整備するように、警察をしっかりと指導してまいりたいと思っております。

○塩川委員 そもそも現状についての認識をお尋ねしたいんですけれども、二十万基の信号機に対して音響式の信号機というのは一割なんですよ。ですから、道交法の第七条できちっと信号機の信号を守りなさいと求めているのに、九割のところでは、視覚障害者の方がそのままでは認識できないといった状況になっているわけなんです。
 こういう現状を放置をするのかといったところが問われているんですが、もう一度お答えいただきたい。

○山本国務大臣 先ほど交通局長からも答弁させましたけれども、まさに視覚障害者の方々に判断できるような信号機をつくっていくということは極めて重要であるというふうに思っております。
 交通安全施設等の整備事業に関する国庫補助ですけれども、昨年度に比べて十億円の増額がなされたということでございまして、我々としても、全力を挙げてその予算獲得に取り組み、そして、交通安全施設等の整備事業に必要な体制を整えてまいりたいというふうに思っておるところでございます。

○塩川委員 抜本的な対策が必要だと。欧米諸国など、特にヨーロッパなどでは、歩行者に対しての交通安全対策をかなり進めて、この後お聞きしますけれども、速度抑制や交通量抑制などの対策も物理的な措置として行っているわけなんです。
 その際に、交差点における、やはり、このような音響つき信号機を設置をするということは、これは、法律で義務を課している以上、義務を課す側が当然整備しなければいけない最低限の責務だといった認識で事に当たる必要があるんだと。そのことについて、改めてお答えいただけませんか。

○山本国務大臣 もちろん、警察側といたしましては、歩行者の安全、特に視覚障害者の皆様方の安全を確保するということは極めて重要であり、それは我々の大きな責務である。その責務を果たすために、日々、予算も含めてでありますけれども、しっかりとした体制を整えていく、そういう覚悟を持って、これからも対応してまいりたいというふうに思っております。

○塩川委員 音響式信号機を抜本的にふやすといった点で、例えば目標を持って、いつまでに、どれだけ普及する、整備をする、そういうことは、持ちませんか。

○山本国務大臣 目標を持つということは大変重要なことだというふうに考えておりますけれども、これもまた、整備をしていく、まだ一割しかできておりませんから、あとの九割をどういうふうに迅速に対応していくかということ、これは我々にとって大きな課題であるというふうに考えております。

○塩川委員 ですから、課題ですから、どうするのかということなんですが、どうするんですか。

○山本国務大臣 今ほども申し上げましたけれども、しっかりと予算確保に努めて、そして、その結果として、早くにその責務を果たせるように、我々としては努力をしてまいりたいと思っております。

○塩川委員 そういう点でも、目標を持って整備計画をつくるということは強く求めたいと思っております。
 その上で、先ほど、冒頭で御紹介をいたしました豊島区の事故の事例ですけれども、夜間については音響信号機の音をとめるという対応になっているわけなんです。それは、近隣の住民の方への配慮ですとか、その辺の合意の話というのは当然あるんですが、しかし、先ほど言ったように、音で信号を判断するといったことを考えても、視覚障害者の団体の方などは、二十四時間対応をぜひやっていただきたいという強い要望があるわけですが、この点についてはどのように対応されるのか。

○北村政府参考人 お答え申し上げます。
 委員御指摘のとおり、音響式信号機の設置につきましては、視覚障害者の方々の御要望、必要性があります一方で、付近住民の方々の御理解が必要でございます。
 警察におきましては、その稼働時間、あるいは音量、ボリュームの大きさというものにつきまして、交差点ごとに、地域住民の方々の生活環境への影響、また視覚障害者の方の通行の状況等を勘案しながら判断しているところでございますけれども、私ども警察庁といたしましては、視覚障害者の方々が安全に道路を利用できる環境の整備、これが重要でございますので、できる限り、可能な限り、付近住民の方々の御理解が得られる形で都道府県警察を指導してまいりたいと考えております。
 また、先ほど、大臣の方から御説明ございましたけれども、街頭で大きな音が鳴るというものに加えまして、視覚障害者の方が手元に持つスマートフォンによりまして、視覚障害者の方々の手元で信号の表示を音声で知ることができるというシステムを新たに開発したところでございまして、今年度から整備を行ってまいりたい、そういう事業化を進めてまいりたいと考えてございます。

○塩川委員 スマホのお話があったんですけれども、これは、スマホ対応の信号機というのはどれぐらい設置されているんでしょうか。

○北村政府参考人 お答え申し上げます。
 現在は、設置はされておりません。開発して、今年度から導入してまいろうということでございまして、平成三十一年度におきましては、三つの県におきまして、七十四カ所、三千万円の補助事業で実施をし、その機能についての検証を進めて、さらなる整備につなげてまいりたいと思ってございます。

○塩川委員 検証作業中ということで、現状ではないと。そういった新たな対応というのは、いろいろ研究もし、工夫もしていくということは必要だろうと思います。
 同時に、スマホの場合でも、手元で音が鳴るというんですよ。だけれども、視覚障害者の方は、信号機の渡る方向などは、その信号機から音が出ることによって、交差点と認識もできる、渡る方向というのも認識できると。よくピヨピヨ、カッコーの話がありますけれども、ピヨピヨ、カッコーのピヨピヨも、手前で鳴っているのと向こうで鳴っているのを変えるとかという、カッコーを含めて、いろいろ工夫して警察もやっているわけですよね。しかし、手元で鳴ると、それがわからないんですよ。
 そういったニーズも含めて、視覚障害者の方の要望をしっかり受けとめた対応というのをぜひとってもらいたいと思いますし、この音響式信号機についてですが、視覚障害者の方のための音というのは、騒音じゃありません、命にかかわる音なんです。そういった点でも、いろいろな地域では、例えば五段階の音の調整もしながら工夫したりもしているんですよ。全く切る必要はないんじゃないのか、全く切ってしまうということなしでも対応できるんじゃないか、これはいろいろやりようはあると思うんですけれども、そういう工夫はできるんじゃないですか。

○北村政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほど答弁の中でも、稼働時間、音量について交差点ごとにと申し上げましたのは、ただいま委員御指摘のとおり、音を消す時間帯がなるべく少ないようにということでありますとか、あるいは音量を下げてでも運用できるようにということで地元の住民の方々の御理解を得ようという努力は進めているところでございまして、こうした努力につきましては継続してまいる必要があると考えてございます。

○塩川委員 関連して、シグナルエイドという発信受信装置があるわけです。ですから、手元にそういう装置を持っていると、押すことによって、信号機の音が出る、あるいは区役所の場所が確認できる。こういったシグナルエイドに対応する音響式信号機の設置というのをぜひ進めてほしいという要望も寄せられておりますが、この点についてはどうでしょうか。

○北村政府参考人 お答え申し上げます。
 シグナルエイドにつきましては、信号機の青時間が延長できるというものが基本的な機能となってございます。一部には、それに対応して音声が鳴るような設定に変わる、押しボタンを押したのと同じような形になるというものもございますが、こうしたものも含めまして、視覚障害者の方々の安全な通行の確保ということを進めていくことは大事であると考えてございます。

○塩川委員 ぜひ、その普及を図るということで取り組んでいただきたい。
 最後に視覚障害者の関係のことでお尋ねしたいのは、こういった障害者の声を道路交通安全対策にしっかりと反映できる、そういう仕組みというのを具体的にやっていただきたい。その点で、山本大臣の方からも旗を振っていただいて、障害者の声を道路交通安全対策に反映できる、そういう仕組みをしっかりとつくり、対応していく、その点についてお答えいただけないでしょうか。

○山本国務大臣 委員おっしゃるように、視覚障害者の方々に対しても交通安全という観点から我々警察としてできることは全てやっていく、そんな気持ちを持って、これからも対応してまいりたいというふうに思っております。

○塩川委員 次に、生活道路における歩行者の安全確保対策の抜本的な強化を求めたいと思っております。
 山本大臣にお尋ねします。現在、春の全国交通安全運動の実施中でありますけれども、大津における事故というのは、歩行者の交通安全対策の抜本的な強化を求めるものであります。そういう点でも、交差点ですとか、通学路や生活道路の安全対策の必要性、まさに重要になっていると思いますが、この点についての大臣の認識を伺います。

○山本国務大臣 先日の大津での事故は、本当に痛ましいことになりました。二歳の園児の方が二人お亡くなりになりまして、御冥福をお祈りしたいと思いますし、また、負傷された方々の一日も早い回復をお祈り申し上げたいと思います。
 我が国の交通死亡事故、まさに、諸外国に比べますと、歩行者が犠牲になるということが大変多くなっておりまして、この対応、交通事故防止というものが極めて重要な課題であるというふうに認識をいたしております。
 今、春の交通安全運動というようなお話がございましたけれども、我々といたしましても、歩行者が犠牲となる交通事故を防止するために、交通安全教育や広報啓発、それから、指導取締り、交通安全施設の整備等々、実施してきたところでございますけれども、依然として、交差点やあるいは通学路において幼児や児童を含む歩行者が危険にさらされている現状を重く受けとめているところでございます。
 今後、関係機関、団体と連携しつつ、歩行者の安全を守るための取組、これを強力に推進するよう、警察を指導してまいりたいと思っております。

○塩川委員 今大臣の答弁にありましたように、日本は、欧米主要国に比べて、歩行者が犠牲となる事故が大変多いという大きな特徴があるわけです。
 資料の一枚目に、国別、状態別の高齢者の三十日以内の死者数についてのグラフを載せました。左側が歩行中で、左から二番目が自転車乗用中ですけれども、そういった死亡事故というのが、日本でいえば、合わせて五〇・九%と。それに対して、フランスは合計で二〇・八%、ドイツは二七・二%、イギリスは三〇・五%、アメリカは一八・二%ということで、歩行中、自転車乗用中の死者数が欧米主要国は二割から三割台なのに、日本は五割を超えているということで、極めて高い。歩行中、自転車乗用中の死亡事故の割合は、G7で最下位だということも紹介をされているところです。
 あわせて、下のグラフですけれども、生活道路における交通死亡事故件数の推移ですけれども、車道の幅員が五・五メートル未満、車がやっとすれ違えるような、歩行者がよけなくちゃならないような、そういう道路を生活道路としていますけれども、この生活道路においての事故を見たときに、もちろん全体とすれば死亡事故件数は減っている。しかし、その中で、生活道路とその他の道路を切り分けると、全体に占める生活道路の割合というのが、緑の折れ線グラフにあるように、傾向としてずっと高まっている。つまり、生活道路における事故というのが全体の中に占める割合がどんどんどんどん高まっているという現状にあるわけなんです。
 そういう点でも、生活道路における交通死亡事故が、このグラフでいえば、二〇〇六年の一四・八%が、二〇一八年一六・七%と上がってきているという点で、生活道路に対する対策というのが極めて重要だということを指摘せざるを得ません。
 そこで警察庁にお尋ねしますが、このような生活道路における人口当たりの事故件数の特徴について説明をしていただきたい。

○榊政府参考人 お答えを申し上げます。
 幅員五・五メートル未満の道路を対象に、人口十万人当たりの事故発生件数を年代別に集計をいたしますと、平成二十九年の死傷事故件数については小学生が最も多く、人口十万人当たり二十五・二件、死亡事故件数につきましては七十五歳以上の高齢者が最も多く、人口十万人当たり〇・四四件となってございます。

○塩川委員 資料の二枚目に、そのことを示すグラフを紹介しておきました。
 死傷事故件数では小学生が飛び抜けて多いんですね。あわせて、死亡事故ではやはり高齢の方、七十五歳以上の方が大変高いという点でも、子供や高齢者が歩行中の事故というのは極めて高いということが、ここにも見てとることができるわけです。
 そこで、交通安全対策を担当する宮腰大臣にお尋ねをいたします。
 政府は、交通安全対策基本法に基づき、交通の安全に関する総合的、長期的な施策の大綱である交通安全基本計画を作成し、各種施策を行っております。
 交通安全基本計画では、特に我が国では、欧米諸国と比較して交通事故に占める歩行者の割合が高くなっており、歩行者の安全確保を図ることが重要であると指摘をしております。
 生活道路の安全性を高めるという施策というのは道路交通安全施策の中でも最優先、最重点の課題ではないのか、この点についての大臣の認識をお伺いします。

○宮腰国務大臣 御指摘のとおり、我が国における交通事故死者数に占める歩行者あるいは自転車の割合は、一・五倍から二倍、欧米諸国と比較して高くなっております。このことを踏まえまして、現行の基本計画では、議員御指摘のとおり、「人優先の交通安全思想の下、歩道の整備等により歩行者の安全確保を図ることが重要である。」としております。
 その意義は、基本計画が、人命尊重の理念に基づき、交通事故がもたらす大きな社会的、経済的損失をも勘案して、究極的には交通事故のない社会を目指しているということにあります。
 生活道路を含めまして、今後とも、基本計画を踏まえ、関係省庁と連携しつつ、歩行者の安全にかかわる施策を推進してまいりたいというふうに考えております。

○塩川委員 歩行者の安全確保策を重視をして取り組むということが必要だという点で、高齢者や子供たちの安全確保のために生活道路の交通安全対策が極めて重要で、対策としては、車両の速度を抑制する、車両の量そのものを、交通量を抑制する、歩車分離と言われるような、歩行空間をしっかりと確保する、交差点対策をしっかりと行うということが中心的な話だろうと思っております。
 そういうのも、やはり一つは車両の速度の抑制というのが重要だというのは、衝突時の自動車の走行速度が歩行者にとって致命傷となる、そういった傾向というのはどういうときなのか、この点について確認したいと思います。

○北村政府参考人 お答え申し上げます。
 平成二十三年三月に警察庁における検討委員会が出しました報告書がございますけれども、その中では、自動車の走行速度が時速三十キロメートルを超えると歩行者が致命傷を負う確率が急激に高まる結果となっているというふうにされてございます。

○塩川委員 答弁にありましたように、資料の二枚目にWHOを出典とするグラフがあります。三十キロを境にして致命傷を受ける確率が非常に高まるという点で、速度抑制をしっかり図る。その場合に、その速度抑制というのを交通規制だけではなくて物理的なデバイスによって、物理的な手段によって確保するということがあわせて重要なわけです。
 そういう意味でも、きょうはもう時間がないのでこれ以上質問はできないわけですが、ハンプとか狭窄といった、資料の三枚目に紹介しているような、こういう物理的なデバイスをしっかりと設置をする。私は、そういった点でも予算の使い方を変えるべきだ、大型公共事業としての道路をどんどんつくるといったことを見直して、こういった生活道路についての交通安全対策に振り向けていく、安倍麻生道路なんかもうきっぱりとやめて、こういった生活道路の交通安全対策の予算措置を行えということを求めて、質問を終わります。

【「しんぶん赤旗」掲載】改定子ども・子育て支援法/“無償化”うたうが多くの危険

「しんぶん赤旗」5月11日付・3面より

 幼児教育・保育を一部「無償化」する改定子ども・子育て支援法が10日、参院本会議で成立しました。幼児教育・保育の「無償化」は、安倍晋三首相が2017年の総選挙前に選挙目的で打ち出したもので、今年10月からの実施を狙う消費税率10%への引き上げを財源としています。安倍政権は、幼児教育・保育の「無償化」をうたい、宣伝しようとしていますが、その中身は、子どもの権利を保障するためのものではなく、今後の無償化や保育施設の拡充を進める際にも消費税増税が迫られかねないなど、数多くの危険を含んでいます。

消費税増税痛みさらに

 消費税には、低所得者ほど重くのしかかる逆進性があり、経済的困難に苦しむ世帯をより一層追い詰める悪税です。そのうえ、保育料は所得に応じて傾斜配分されており、住民税非課税の一人親世帯などの保育料は免除されているため、低所得者層には「無償化」の恩恵は極めて限定的か全くなく、消費税増税による痛みだけが押し付けられることになります。

 さらに、安倍政権は幼児教育・保育の「無償化」の財源を消費税増税に求めているため今後、無償化や保育施策の拡充を進めるために、さらなる増税が迫られかねません。

 すべての子どもに、良質な幼児教育・保育を費用の負担なく提供するというなら、その財源は所得税や法人税などの応分負担で、公正な税制によって賄われる必要があります。

保育最低基準掘り崩す

 「無償化」の対象施設から、認可外保育施設の最低基準を満たさない悪質な施設も排除していないことも大問題です。安心・安全な保育の最低基準を掘り崩しかねません。

 安倍政権が2016年からスタートさせた企業主導型保育事業は、保育士のいっせい退職や定員割れによる閉園、助成金の不正受給などが相次ぎ発生し、政府でさえ「量の整備に重点が置かれ過ぎ、質の確保への意識が必ずしも十分ではなかった」(宮腰光寛少子化対策担当相、4月3日の衆院内閣委での日本共産党の塩川鉄也議員への答弁)と認めざるをえないほど、破たんが明らかになっています。

 ところが、改定法では、企業主導型保育事業よりもさらに緩い基準である認可外保育施設の基準さえ満たさない施設も、5年間の経過措置期間中は補助の対象となっています。

 7日の参院内閣委員会での参考人質疑では、保育事故で生後5カ月の娘を亡くした当事者から「基準に満たない施設や事業は『保育』として適切ではない」「保育内容の差をそのままにして全てを無償化の対象とすれば、国が『どれも同様に安全だ』とお墨付きを与えることになる」など疑問の声があがりました。

 保育制度は、政府・与党によって規制緩和路線が推し進められた結果、質・量ともに深刻な課題を抱えています。とりわけ、待機児童を解消するための認可保育所の整備、保育士の配置基準や処遇の改善は待ったなしの課題です。そうした課題に真正面から向き合わず、選挙目当ての「無償化」を無理やり優先させるだけでは、矛盾は拡大するだけです。

 日本共産党は、保育の質・量を確保しながら、保護者の負担軽減を進めるよう提案しています。

公的保育制度の後退に

 改定法では、「無償化」にかかる市町村の負担割合が対象施設によって異なります。私立保育所は国から2分の1補助が出るのに対し、公立保育所は市町村の10割負担となります。これでは、公立保育所が多いほど自治体の負担が増えることになります。

 保育経験を長年積み重ねてきた公立保育所は、研修や相談先、手のかかる困難事例の受け入れなど、保育の質を確保する上で重要な役割を果たしています。また、自治体の指導監督や巡回指導の人材の供給源としても欠かすことができません。

 ところが、公立保育所の運営費が一般財源化された2004年以降、公立保育所の施設数は激減。公立保育所に勤務する保育士数も過去14年間で8割に減少しています(グラフ)。このうえ、「無償化」でさらに市町村の負担を増やせば、民営化がさらに加速し、自治体が保育に責任をおう公的保育制度が後退することは避けられません。

給食実費化で現場混乱

 今回の「無償化」によって、これまで教育保育給付に含まれていた食材費が、公的給付から外されて実費徴収の対象となります。

 保育の現場からは「給食もおやつも保育の一環で、なぜここだけ切り出して『実費徴収』なのか」と批判の声が上がっています。さらに事務処理の負担も保育現場に押し付けられます。未納が起きるリスクも、それぞれの保育所が背負うことになりかねません。

 日本共産党の田村智子議員は9日の参院内閣委員会で、「施設や保育士の事務負担の重さが保育士不足の要因の一つと認めながら、何ら手当てをしないということは納得できない」と追及。しかし、宮腰担当相は「丁寧に周知説明を行い、円滑な実施に努める」というだけでまともに答弁できませんでした。

【「しんぶん赤旗」掲載】ドローン禁止拡大/基地の実態隠す悪法許されぬ

「しんぶん赤旗」5月11日付・2面・主張より

 小型無人機ドローンの飛行禁止の範囲を米軍や自衛隊の基地などにも広げる「ドローン飛行禁止法」改定案が衆院を通過し、来週にも参院での審議が始まろうとしています。改定案の狙いは、米軍や自衛隊に対するメディアの取材や市民らによる監視活動を規制することです。報道の自由や国民の知る権利を著しく侵害する法案は容認できません。

国民の知る権利侵害

 2016年制定のドローン飛行禁止法は、首相官邸や国会議事堂などの周辺上空をドローンが飛行することを禁止しました。今回の改定案は、飛行禁止の対象施設に「対象防衛関係施設」として米軍や自衛隊の基地などを加えます。

 「対象防衛関係施設」は防衛相が指定し、同施設の敷地・区域とその周囲おおむね300メートルの地域上空を飛行禁止にします。「テロ対策」が口実ですが、ドローンの飛行を一律に禁止していることからメディアの取材などを制限しようという狙いは明らかです。

 改定案の国会提出をめぐっては、全国の新聞社や通信社などが加盟する日本新聞協会が「立法化に強く反対」するとした意見書を政府に提出(2月8日)し、「特に、国内法が適用されない米軍への取材活動は大きく制約され、当局の発表に関する真偽の検証もできなくなる恐れが強く、国民の知る権利が大きく損なわれる」と強調していました。

 テレビやラジオの放送局が加盟する日本民間放送連盟も「実質的な報道規制につながるおそれがある」と「憂慮」を表明する意見書を発表しています。(同15日)

 重大なのは、飛行禁止の対象が自衛隊は陸上の施設なのに対し、米軍は施設にとどまらず提供水域・空域も含まれることです。日本共産党の塩川鉄也衆院議員の質問に防衛省が明らかにしました(4月12日、衆院内閣委員会)。まさに米軍のための「特別法」です。

 とりわけ、全国の米軍専用基地面積の7割が集中し、広大な提供水域・空域が存在する沖縄は、影響が深刻です。

 沖縄の地元紙・琉球新報(4月14日付)は「名護市の辺野古新基地建設現場は米軍キャンプ・シュワブと周辺の提供水域に囲まれ、報道機関のドローンは近寄れなくなる」と指摘します。さらに、埋め立て区域の護岸付近から汚水が漏れ出している様子を市民団体がドローンによる撮影で確認したことなどに触れ、「ドローン撮影を封じれば工事の進捗(しんちょく)や基地建設による環境破壊などの実態を隠すことになる」と批判しています。

 沖縄県などの自治体が、災害時の被害状況の確認や救助活動のためにドローンを飛ばすことも妨げられることになりかねません。

米軍の要求に応えて

 政府は、「対象防衛関係施設」の管理者(基地司令官など)の同意があればドローンの飛行は可能だとしています。しかし、キャンプ・シュワブなど米軍基地上空でのドローンの飛行禁止は、17年11月にハリス米太平洋軍司令官(当時)が小野寺五典防衛相(同)に直接要請したものであることが複数のメディアで報じられています。飛行の禁止を求めている米軍が同意を与えるはずがありません。

 米軍の要求に従い、基地の実態を国民の目から覆い隠そうとする悪法は撤回しかありません。

ハンセン病家族訴訟/差別・偏見の解消へ恒久対策の実現を/原告団・弁護団と懇談

 ハンセン病家族訴訟原告団・ハンセン病家族訴訟弁護団と日本共産党国会議員団の懇談会に出席。

 原告の方の訴えをお聞きしました。国の誤った政策がもたらした差別と偏見によって、つらい思いをしてきたと言います。家族と切り離されて暮らすつらさ、家族がばらばらにされたつらさを抱えて生きてきました。原告となることが家族のきずなを取り戻すということなのだと思いました。

 原告団のみなさんは、国の間違った隔離政策が、ハンセン病家族らに対しても違法な人権侵害だったことの責任を認め、謝罪すること、名誉回復措置と損害賠償を行うことを求めています。また、差別・偏見の解消に向けた取り組みや家族関係回復に向けた施策、継続的な協議といった恒久対策を要求しています。その実現のために力を合わせたい。


ハンセン病/国は責任を/家族訴訟原告団/党国会議員団に支援要請

「しんぶん赤旗」5月10日付・3面より

差別、偏見の被害訴え

 ハンセン病患者の子やきょうだいというだけで、国の誤った強制隔離政策によって深刻な差別、偏見を受けた元患者の家族が、国に謝罪や損害賠償を求めて裁判をたたかうハンセン病家族訴訟の原告団、弁護団は9日、国会内で日本共産党国会議員団と意見交換をしました。

 6月28日の熊本地裁での判決言い渡しを控え、国の加害責任を断罪する判決を勝ち取った上で控訴断念をめざす20人の原告が参加。宮里良子さん(75)=仮名=は、判決後の支援などを求める全面解決要求書を議員団に手渡し、「隔離と差別で、両親と一緒に暮らすことができませんでした。私たちはいつまでも差別を受けたくありません」と語り、国に責任を認めさせるため、ともにたたかってほしいと訴えました。

 匿名の原告3人が人生を狂わされた被害を語りました。沖縄の60代女性原告は、長兄の発病をきっかけに、仲が良かった友達から無視され、学校や地域で居場所をなくしたことを告白。夫にさえ死別するまで兄のことを隠し続けるしかなかった自分を今でも責め続けていると涙ながらに訴え、「こうした思いは私たちの代で終わりにしなければなりません」と話しました。

 共産党から穀田恵二、赤嶺政賢、塩川鉄也、畑野君枝、田村貴昭、清水忠史各衆院議員、井上哲士、仁比聡平、辰巳孝太郎、山添拓各参院議員が出席。18年前のハンセン病国賠訴訟で弁護団の一員だった仁比氏は、原告の勇気と決意に応え、「政治が解決の責任を果たすため全力を尽くしたい」とのべました。

 高橋千鶴子衆院議員、倉林明子、武田良介両参院議員の各秘書も出席しました。

米軍横田基地/外周道路建設工事現場を視察

 米軍横田基地の外周道路建設工事現場。国道16号に面した、基地の北西の部分に当たります。今日は休工で、重機やダンプカーが盛土の掘削場所に並べて置かれていました。

 ここの土砂が所沢通信基地に運び込まれています。一日120台、一年間にわたって搬出、搬入が行われます。

 横田基地では、外周道路工事とCV22オスプレイ施設の2期整備工事が一体で進められようとしています。特殊作戦部隊の拠点として、基地機能強化が行われていることは重大です。

埼玉・所沢/憲法記念日のリレートークに参加

 所沢駅東口で憲法記念日のリレートーク。所沢革新懇・「守ろう憲法・オール所沢」連絡会・野党共闘8区の会が毎年共催で実施しています。

 辺野古新基地建設阻止、オスプレイの配備撤回、米軍所沢通信基地への横田基地残土搬入の中止、日米地位協定の抜本改定を!

 入間基地、朝霞駐屯地での自衛隊海外派兵部隊化やめよ、海外で戦争する国づくりの9条改憲ストップを!

 憲法を生かす政治を実現しよう!

憲法記念日の宣伝行動/埼玉・川口駅、浦和駅前で訴え

 憲法記念日の宣伝行動。川口駅と浦和駅で、梅村さえこ前衆院議員・参院比例予定候補、伊藤岳参院埼玉選挙区予定候補、党市議団と一緒に訴えました。

 公文書の改ざん、統計偽装などによる国政私物化の安倍政治は、日本国憲法と相容れません。

 公文書とは「健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源」(公文書管理法第1条)です。統計とは「国民が合理的な意思決定を行うための基盤となる重要な情報」(統計法第1条)です。国民主権・民主主義を掲げる憲法をないがしろにする安倍政権が、憲法も私物化する改憲をめざしていることは断じて認められません!

 野党共闘の原点は、安倍政権が破壊した立憲主義を取り戻すことです。市民と野党の共闘を前進させ、参院選で安倍自公政権を退陣に追い込み、新しい政治を実現しよう!


安倍9条改憲阻止へ/各地で宣伝
塩川議員、梅村・伊藤岳参院予定候補/“危険な暴走”止める/埼玉

「しんぶん赤旗」5月8日付・首都圏版より

 日本共産党埼玉県委員会は3日、川口、さいたま両市で憲法記念日街頭演説を行い、塩川鉄也衆院議員や梅村さえこ参院比例予定候補、伊藤岳参院埼玉選挙区予定候補、党市議らが訴えました。

 梅村氏は、消費税増税反対の運動が安倍政権を追い詰めていると指摘し、「増税するなら、くらしに困っている庶民ではなく、アベノミクスで大もうけした人たちに応分の負担を。この声を全国津々浦々から広げていこう」と呼びかけました。

 伊藤氏は、安倍首相が改憲の理由として、自衛隊員の募集に自治体が協力しないことを挙げていることを批判し、「憲法に自衛隊を書き込もうとし、自衛隊員を集めるために若者の名簿の提供を自治体に強要する。徴兵制にもつながる危険な暴走が始まった」と強調しました。

 塩川氏は、参議院で野党共闘の原点となる安保法制=戦争法廃止法案を野党共同で提出したことなどを報告。「憲法をないがしろにする政治を改めようという国民の運動が野党共闘を前進させる力となったことは間違いない。この流れを大きく広げていこう」と訴えました。

 さいたま市での街頭演説に足を止め、家族3人で声援を送った女性=久喜市=は「消費税増税反対です。頑張ってほしい」と話しました。

 

埼玉県中央メーデーのパレードに参加

 埼玉県中央メーデーのパレードに参加。

 市民と野党の共闘を前進させよう!

 国会では、野党共闘の原点となった安保法制廃止法案を参議院に提出。そして、参院選候補者の一本化とともに、共通政策協議を開始。

 衆院補選の教訓を生かし、参院選に向けて、市民と野党の共闘を前進させ、安倍自公政権退陣の審判を下そう!

埼玉県中央メーデーで連帯のあいさつ

 埼玉県中央メーデーで、党を代表して連帯のあいさつ。

 うそとごまかし、国政私物化の安倍自公政権にさよならをしよう!

 長時間労働合法化の「働かせ方改悪」の具体化阻止。中小企業支援と一体に時給1500円以上、全国一律最賃制を。8時間働けば普通に暮らせる社会の実現を!

 消費税10%増税は今からでも中止できる。大企業と富裕層に応分の税の負担を!

 辺野古新基地建設阻止、普天間無条件撤去。オスプレイの訓練中止、配備撤回を。日米地位協定の抜本改定を!

 入間基地、朝霞駐屯地など、自衛隊の海外派兵部隊化を進める基地強化やめよ!

 海外で戦争する国づくりをすすめる9条改悪を許さず、憲法を活かす政治を実現しよう!


第90回メーデー/労働者の団結守りぬく/埼玉

「しんぶん赤旗」5月2日付・首都圏版より

 第90回埼玉県中央メーデーは1日、さいたま市の北浦和公園で開かれました。1700人が参加し、「働くものの団結で生活と権利を守ろう」と集会とデモを行いました。

 あいさつした伊藤稔実行委員長(埼労連議長)は、4月末に沖縄県の普天間基地や辺野古新基地建設現場に行ったと語り、現地の人たちが分断を乗り越えてたたかっていると報告。「私たちも労働者を分断する攻撃から、労働者の団結を守りぬくためにたたかってきた。勝利の秘訣(ひけつ)は、できるだけたくさんの人と手をつなぐことです」と述べました。

 日本共産党から、塩川鉄也衆院議員、伊藤岳参院埼玉選挙区予定候補らが参加。あいさつした塩川氏は「参院選に向けて市民と野党の共闘を大きく前進させ、安倍自公政権を退陣に追い込みましょう。新しい時代をつくるのは、市民の力です」と訴えました。

 埼玉弁護士会の黒田典子副会長、蕨市の頼高英雄市長、「オール埼玉総行動」の小出重義実行委貝長もあいさつしました。

 県内の私立小学校教員の男性(37)=さいたま市浦和区=は「職場でも長時間労働の人は多い。もっと教員を増やして余裕をもって子どもに向き合えるようにしてほしい」と話しました。

 

【新聞「新埼玉」掲載】安倍政権と対峙する「野党共闘の司令塔」

新聞「新埼玉」5月号より

 野党国会対策委員長連絡会(野国連)は、国会における野党共闘の司令塔です。会議には、立憲民主党、国民民主党、日本共産党、社会保障を立て直す国民会議、自由党、社会民主党の6野党・会派の国対委員長が出席。私も国対委員長代理として参加し、安倍政権と対峙する方針を練り上げています。

 被災者を傷つける桜田大臣の暴言に対しては、ただちに辞任を要求。安倍麻生道路に対する塚田国交副大臣の「そんたく発言」追及のために野党合同ヒアリングや現地調査を実施。また、辺野古新基地建設現場への合同調査を行い、沖縄3区補選の勝利をサポート。

 大阪12区補選の結果は、残念で悔しい思いでいっぱいですが、数十人の野党議員が駆けつけ、次につながるたたかいとなりました。さらに参議院では、野党共闘の原点となった安保法制廃止法案を共同提出しました。

 参院選に向けて、市民と野党の共闘を前進させ、安倍政権退陣の審判を下しましょう!

所沢市要請の土壌汚染調査なしで持ち込み/米軍所沢通信基地の残土堆積場所

 米軍所沢通信基地の残土堆積場所です。横田基地から運び込まれた残土は一部、ブルーシートに覆われています。入り口には散水車。

 所沢市が要請した国による土壌汚染調査も行わず、持ち込まれています。

 横田基地内の盛土の由来は何かと防衛省に聞いても、未だに「調査中」。

【内閣委員会】デジタル推進を口実にした行政サービス後退を批判

 行政の手続を原則オンライン化し「紙からデジタルへ」移行させる、デジタル手続法案についてただしました。

 マイナンバーカードを利用しコンビニでの住民票写し交付が可能になったことを理由に、東京都北区や練馬区で区民事務所分室や出張所が全廃となった。政府は、国民にデジタルを使いこなせと煽るだけで、ITやデジタルの対応が困難な人には、従来の窓口での対面による事務手続きがなくなることで利便性の後退が懸念される。

 また、富山県上市町議会では、日本共産党町議が「3人目の子どもの国保税の均等割りの免除、65歳以上の重度障害者の医療費窓口負担の償還払いを現物給付へ」と提案したのに対し、町長が、国が導入をすすめる「自治体クラウド」(複数自治体で情報システムを共有化し標準化)を採用しているため「町独自のシステムのカスタマイズはできない」と答弁している。

 総務省が自治体に「システムのカスタマイズ抑制等に関する基本方針」を通知していることは「地方自治の侵害」だ。自治体クラウド導入で、システムに業務を合わせるようになっており、住民の多様なニーズに応えることを棚上げにし、住民サービスの拡充の妨げになっている。

 総務省の佐々木審議官は「議会、首長が同意し、住民サービスの向上をするためのカスタマイズをしてはいけないという助言はしていない」と答えました。

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「議事録」(質疑)

<第198通常国会 2019年04月26日 内閣委員会 15号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 デジタル手続法案について質問をいたします。
 まず大臣に伺いますけれども、この法案は、行政手続に関する事務に用いる情報を書面からデジタルデータに転換をするものです。平井大臣も答弁の中で、紙からデジタルに移行するというふうに述べておられました。そうしますと、今後は、この行政手続に関する事務、業務においては紙は使わないということになるんでしょうか。

○平井国務大臣 本法案は、行政手続の利便性の向上を図り国民の負担を軽減するために国の行政機関に対してオンライン化の義務を課すものであり、紙による手続を否定し、申請者に対してオンライン申請を義務づけるものではありません。
 他方で、私はIT政策担当大臣として、全ての国民の皆さんにデジタルの利便性を実感していただき、将来的には行政サービスを全てデジタルで完結させる方向に向かわせたいとは考えております。
 このために、本法案においては、申請等に係る添付書類の省略やオンラインによる手数料の納付を可能とすることによりオンライン申請の利便性を向上させるとともに、高齢者等もデジタル技術を活用し、その恩恵を受けることができるようにするためのデジタルデバイド対策を講ずることとしています。
 このような取組を通じて、全ての利用者にとって利便性の高い行政サービスを実現しつつ、紙からデジタルへの転換を図っていくということであって、その場で全ての紙をなくすということを目的にしているわけではございません。

○塩川委員 紙を否定し、オンライン申請を義務づけるものではない、同時に、デジタルで手続が完結する、そういうものに向かっていきたいというお話です。
 それで、デジタルについては、やはり利便性の向上の面は当然あるわけですし、同時に、デジタルをめぐっては、セキュリティーの問題、あるいは議論にもなっているような個人情報保護の問題、またデジタルデバイドの問題も問われているわけです。ここに対しての対応策が実際どうなのかということが問われてくるわけであります。
 そういったときに、利便性の向上ということであれば、申請者、利用者にとって、デジタルも紙も両方使えるという状態が望ましいんじゃないかと思うんですが、どうでしょうか。

○平井国務大臣 ですから、国民との接点のところのインターフェースは、要するに、いきなりデジタルに全部踏み込んで、それにストレスを感じるような方々がたくさんいるようでは困るわけですね。ですから、そこらあたりを本当にうまく考えていかなきゃいけないし、デジタルにする場合には、そこにサポートする人たちがやはりいること。本来はデジタルも紙も一緒なんですけれども、結局デジタルの方が便利なのに、デジタルを便利だと感じない方々もいらっしゃると思うんです。そこのところをどのようにサポートすれば、一度やってしまえば必ずデジタルの方が便利だと感じていただける方がふえると思いますので、そこらあたりを社会全体で進めていくような、サポートする体制を総務省の方で御検討いただいているというふうに承知しております。

○塩川委員 ですから、サポートする人がいてデジタルの利用が進むようにするというのはわかるんですけれども、紙の利用も残すといったことは、それはもうなくなっちゃうということなんですか。

○平井国務大臣 紙を一気になくすというようなことは現実には非常に難しいと思います。
 今、例えば、ETCで高速道路を乗っていますけれども、どうしてもキャッシュで払いたいという人がいれば、払えるわけですよね。そのかわり、それは非常に不便だというふうに私は思います。
 ですから、これも、要するに、手続の種類にもよるんですが、必ず電子化で完結できるものを全てすぐにやるということではございません。

○塩川委員 でも、紙を残すということはないわけですね。

○向井政府参考人 この法律は、原則、オンラインを義務づけてはおりますけれども、紙をなくせということは一言も書いていないということでございまして、この法律上、紙の扱いについては触れられておりません。現状、今、手続自体は、オンラインは一部入っているにしても、紙のない手続というのはほぼないはずですが、その状態がどういうふうになっていくかというのは今後の社会の流れによって変わっていくものだと思いますけれども、今大臣の答弁にもありましたように、いきなりすぐに紙の手続がなくなるなんということはおよそ考えられないということでございますし、そんなことをすれば、恐らく、私どもとしても、やはりそういういろいろな批判が、耐えられないものだというふうに思います。
 こういうのは、やはり基本的には、国民の利便性の感覚というのが時代とともに変わっていくのに合わせてデジタルと紙というのを変えていく。現状は、私どもは、国民の感覚に比べてデジタルが余りにも進んでいない、政府部門は、というふうに考えております。

○塩川委員 すぐに紙をなくすということではない、将来的にはその方向に行くわけですけれども。そういう点でも、デジタルの活用も紙の活用も両方できるというのが、選択肢としても利用者の利便性にとっては望ましいのではないのか。
 そういうことを踏まえた上で、では、実際、政府はデジタルデバイド対策を行うということですが、先ほど大臣はサポートする人が必要というふうに言いましたけれども、デジタルがふえて、利用者に対してどういう取組を行うということなんでしょうか。

○向井政府参考人 いろいろな取組があろうかと思いますが、大臣が例示として挙げられましたのは、いわゆるデジタルサポーターと申しますか、以前はデジタル民生委員という言い方をしておりましたけれども、今、民生委員がいろいろな高齢者のサポートをしているようなこともございますけれども、そういうふうなまさにイメージだと考えていただきたいんですけれども、例えば、地域地域で、そういう中で、デジタルの能力にすぐれた方が、高齢者で疎い方にサポートしていくとかいうのもありますし、実は、マイナンバー制度で、マイナンバーの関係ではございますけれども、自治体にそういうタブレットを配りまして、それで、自治体の方で、例えば窓口でそういうデジタルデバイドの方の支援ということも考えられると思いますし、これらにつきましてはやはりいろいろな創意工夫をもってできるだけ支援していく。
 その上で、手続だけではなくて、やはりいろいろなデジタルのデバイスがございますので、スマホとか、そういうふうなものについてもなれ親しんでいっていただくと、そういうデジタルの恩恵というものが国民にできるだけ広く広がっていくというふうな、そういうふうなことにつながればいいなというふうに考えております。

○塩川委員 地域地域でサポートするということについて、国が何かやるというんじゃなくて、自治体とか、あるいは市民団体の方、そういった方にお願いするということなんでしょうかね。

○向井政府参考人 今の総務省の事業は国の予算で地域に支援をするということでございまして、実際にやるのは地域でございますけれども、国の予算でやるというふうなことであります。また、私どもがやっております、先ほどのタブレットの配付というのは国の予算でやっております。

○塩川委員 そうすると、経済的事情でIT機器が持てないという方に対しては、そのIT機器を配るという政策になるんですか。

○向井政府参考人 IT機器を配置しているのは自治体に配置しているので、個人に配置することにはなかなかならないと思います。ただ、いろいろな施策の中で、いろいろなケース・バイ・ケースにおいて考えられるというふうには思います。
 それが、デジタルデバイドというのが例えば公的な事業にかかわるような人だったら、それは例えばそういう人に対してもそういうふうな支援をするということも、個人とは言えませんけれども、そういうシステムに対する支援ということもあろうかとは思いますけれども、それらについてやはりケース・バイ・ケースで考えるべきものだと思います。

○塩川委員 ですから、経済的事情でIT機器を取得できないような人について、デジタルで手続してくださいというのは困難だと思うんですが、そういったデジタル機器の入手が経済的事情で困難な人に対してはIT機器を配るということはあるんですか。そういった方々はどうするんですか。

○向井政府参考人 お答えいたします。
 基本的には、やはり自治体の窓口とか、そういうところに置くというのが基本になろうかと思います。それを更に超えてどういうふうにやっていくかというのはやはりケース・バイ・ケースで考えますけれども、一律にそういうのを配るというふうなことにはなかなかならないのではないかと思います。

○塩川委員 そうすると、いずれにしても、自治体の窓口に行くという手続でいえば紙の手続と基本は同じになってくる話で、それはそういうことですよね。

○向井政府参考人 一般的には、デジタルと対面というふうな対比で物がしゃべられますけれども、実は、対面でもデジタルと紙がありますし、遠隔でもデジタルと紙があります。遠隔の場合の紙というのは郵送です。
 それで、対面は、基本的には、今、ほとんどの場合、紙で行われていますけれども、先ほどの答弁で申し上げましたとおり、例えば、マイナンバーカードでピッとやることによりまして、住所、氏名とかが全部相手先のファイルに入りますので、したがって、そういう、紙で一々書いて出す、窓口に行って出すというのではなくて、窓口のところでデジタルということも十分にあり得るということは考えられます。
 そういう意味でのデジタルに、来ていただくというのが便利なのかどうかという問題はとりあえずはおいておいて、まず、考え方としては、対面か、来るか来ないかがデジタル、書面ではなくて、それぞれに書面とデジタルがあって、それをデジタル化していくことも大事だというふうに思います。
 その上で、そういうデジタルデバイドについては、今おっしゃったような、例えば低所得で買えないというふうな方に関してどうするかについては、むしろ、デジタルの問題として捉えるのか、それとも低所得者に何をするかという問題として捉えるか、両方あろうかと思いますけれども、必ずしも、デジタルの方から捉えた場合に、じゃ、一律に全部配れというふうにはなかなかならないのではないかと思います。

○塩川委員 まあ、そういうことなんでしょう。
 ですから、基本は、デジタルに習熟していただきたいということでの働きかけをしようというのが今の政府のデジタルデバイドの対策ということになるわけです。ですから、私の方は紙も残した方がいいんじゃないかと思うわけですけれども、今の政府の施策的には、デジタルデバイドに、習熟してください、国民にデジタルを使いこなしてくださいということを求めるということです。
 ですから、今、遠隔と対面の話がありましたけれども、郵送はわかるんですけれども、遠隔という点ではね。でも、対面の場合というのの重要性というのは、この間強調されているというのは、要は、単なる手続だけじゃなくて、それそのものが、相談もしたいということも含まれているわけですよね、行政手続そのものを全部習熟しているわけではないので。それをデジタルでやるかどうか以前に、その手続そのものについてどうなっているのかといったことについて、やはり相談もしたいということも含めての窓口の意味合いがあるといった際に、デジタルの場合でそれがどういうふうに対応できるのかという問題というのは出てくるだろうと思います。
 ですから、デジタル対応が困難な人にとっては、従来の書面、あるいは窓口での対面による事務手続が今後はずっとなくなっていくということによる利便性の後退が懸念をされるということで、窓口の話でいったときにも、この間、自治体の窓口がどんどん減らされているという問題もあるんですよね。それが、コンビニ等でマイナンバーカード利用による住民票の写しの交付が可能となったといったことを理由にというか口実にというか、自治体の窓口が減らされている例というのが出てくるわけです。
 例えば、東京都の北区は、マイナンバー制度の導入による各種証明書のコンビニ交付サービスの開始を理由に、二〇一八年九月末に七つの区民事務所分室の全廃を行いました。戸籍や住民票、印鑑証明などの発行や各種収納事務を取り扱い、年間事務処理件数は十万件に及ぶというこの分室の廃止は、区民サービスの重大な後退ということで批判が寄せられております。
 我が党の区議会議員の八巻区議などが紹介していますが、王子の区民事務所は、年度がわりの繁忙期、この時期というのは五時間待ちとかになる、そのために、近くにある滝西分室が廃止となるとさらなる混雑が予想される、そういう事態になるということで、北区はマイナンバーカードを使えばコンビニで住民票などを取得できると宣伝していますが、高齢者や障害者などがコンビニでマイナンバーカードを使いこなすのは大変だということも批判が出ています。
 総務省として、こういった批判をどう受けとめておられますか。

○北崎政府参考人 お答えいたします。
 コンビニ交付は、全国のコンビニで、平日、休日を問わず早朝から深夜まで、住民票の写しなど各種証明書を手軽に取得することができるサービスでありまして、住民の利便性の向上のみならず、行政コストの削減にも資するツールとして、平成二十二年二月からサービスを開始したものでございます。今日まで、当該サービスの導入団体及び証明書の交付の枚数は年々増加しておりまして、交付する証明書の範囲についても徐々に拡大してきているところでございます。
 コンビニ交付の導入に当たって、従来の窓口事務との役割分担をどのように考えるかは、当該市区町村において適切に判断されているものと考えておりますが、総務省としては、コンビニ交付サービスの利便性等のさらなる向上を図りつつ、一層の普及を推進してまいりたいと考えております。

○塩川委員 コンビニと役所の窓口の役割分担という話じゃなくて、やはり窓口が減っているということが住民サービスの後退になっているといったところが問われているわけで、その点については、今のお答えでは説明になっていないわけです。
 同じように練馬区でも、二〇一七年三月から、十一カ所あった区の出張所が廃止をされました。出張所に続いて、いろいろな手続の文書の自動交付機も廃止ということで、我が党の区議団によりますと、区は、郵便局での証明書の交付やマイナンバーカードを使ったコンビニ交付で利便性が向上したと正当化をしていますが、区議団が実施をしました区民アンケートでは、約四割の区民の方から、出張所の廃止で不便になったという声が上がっているわけです。
 自治体では、行政手続のデジタル化を理由に、行政サービス、窓口サービスなどの利便性が後退する事態が起きていることで、こういったことが国で起きないということが言えるんでしょうか。

○平井国務大臣 このデジタルガバメントの推進というのは、要するに、利用者中心の行政サービスを実現するためであって、効率化による人員削減を目的としたものではありません。
 委員のお話を聞いておりますと、委員は、デジタル化のメリットということを認めた上で、その使い方に問題があるというふうにお話しになっているんだと思います。ですから、デジタルがだめだとはおっしゃっていない。そうであれば、そこのところは一緒なんですが、それから先のアプローチのやり方だと思います。
 逆に言うと、デジタルの恩恵を本当に全ての人に届けられない、つまり、デジタルにアクセスできないというようなハンディが、逆にそれが問題だと私は思うんです。
 結局、そういうケースの場合、私、地元の自治会で、スマートフォンを持っていない方々にその場で頼まれて、何人か、スマートフォンでマイナンバーカードの申請を私がその場でやってあげました。そうしたら、それは便利。彼らは所有していたわけではありません。たまたま私がそこにスマホを持っていて、彼らが通知カードを持っていたという状況の中で、そういうことも実現すると。
 つまりは、そういうものを所有するということではなくて、デジタルサービスの入り口にアクセスするということだと思うんです。その機会をできるだけふやしていくために、社会全体で協力していきましょうというのが、基本的なデジタルデバイド解消のための方向だと思いまして、平たく言えば、助け合っていこうねということ、それを基本にしたいというふうに考えているわけでございます。

○塩川委員 そうはいっても、このデジタル手続法を通じて行政の効率化を図るという面があるわけですよね。そういう点がこういった形であらわれているんだといった点を指摘しているわけです。利便性の向上といった点が、実際には行政の効率化ということが前面に出ることによって、結果とすれば利便性の後退になっているんじゃないのか、こういうことが国でも同様に起きる懸念はないのかといった問題というのは、これは論点として重要な問題だと考えています。
 ですから、デジタルは、基本は、習熟してくださいと求めるという点でいえば、自己責任を求めるような形であるわけで、窓口における対面業務の重要性を改めて認識すべきだということを申し上げたいと思います。
 それで、今回の法案では、デジタルを活用した行政の推進のため、情報システム整備計画を作成するとしています。これのポイントは何でしょうか。これまでのデジタル・ガバメント実行計画や各府省デジタル・ガバメント中長期計画とどこが違うんでしょうか。

○向井政府参考人 お答えいたします。
 今回の、まさに情報システム整備計画は、より具体的に、こういう事務のこういう手続について、情報システムをこういうふうな感じで整備して、いついつまでにするというふうなものでございまして、より細かく、しかも、BPRとかあるいは手法とかを細かく定めたようなものになるというふうに想定してございます。

○塩川委員 オンライン整備の義務や添付書類撤廃などを法定化をする、そういう中身を盛り込んでいくということですかね。同時に、府省別の計画とは違って、内閣総理大臣が作成する、実際にはIT室が担当するということで、府省縦割りを排すといった趣旨があると承知しているんですが、よろしいですか。

○向井政府参考人 縦割りを排すという意味で、御指摘のとおりでございます。

○塩川委員 内閣官房のIT室が全体を統括をするということで、政府全体の総合調整機能を持つ内閣官房、政府CIOを中心とするIT室において、政府における情報システム調達に係る予算の要求から執行までを一元的に管理するといったことも、ことしの二月のデジタル・ガバメント閣僚会議でも出されているところです。ですから、予算についての要求、執行までを一元的に管理をする、そういう仕組みになっていくということでしょうか。

○向井政府参考人 お答えいたします。
 現在まさに、官房長官をヘッドに、官房長官の指示を受けて、内閣官房を中心に、各府省集まって検討しているところでございますけれども、方向性といたしましては、先生の御指摘のとおり、これまでばらばらに予算に計上し、ばらばらに予算を執行していたというところが、やはり、これまでのシステム構築でいろいろなものが標準化できなかった理由の一つではないか、大きな原因ではないかというふうに考えております。
 もちろん、どこまで計上し、どこまで執行していく、執行というのも、具体的な執行までやるのかというのはさすがに難しいとは思っておりますけれども、ほとんど、例えば仕様書を作成するところまでは少なくとも内閣官房で相当のコントロールをきかせる必要があると思っておりまして、そうすることによりまして、調達が一元化して効率化するというのは、費用を削減する、安く、いいものを調達できるとともに、システムの標準化とかそういうものも進めていけるのではないかというふうに考えております。

○塩川委員 附則の第九条の検討条項にそういう中身が入っているということですので、そういう趣旨として承知をしているところです。IT室が予算の要求から配分まで一元的に管理することになります。
 そこで、大臣に伺いたいんですが、おとといの質疑で指摘をしましたように、IT室には営利企業から給与補填を受けている出向者が多数在籍をしておられるわけです。私、そういう点でも官民癒着の批判は免れないわけで、この公務の公正性の確保に疑念のあるIT室で予算の要求から執行まで一元的に管理することには重大な懸念を覚えるんですが、大臣はどのようにお考えでしょうか。

○平井国務大臣 前回も答弁をさせていただいておりますが、公務の公正性に疑念を抱かれることがないように十分に留意する必要があって、今回、新しい取組ですし、それぞれ職員が入りますと調達制限にも入りますし、企業も必ずしもハッピーではないんですね。
 それでも、今、全体のシステムを変えていかなきゃいけないということなので、このような形で我々が一元化を受けて、もともと各省庁がちゃんとした調達をできているんだったら、こんなことはしていないわけです。ですから、このサイロに陥った調達というものが国民にとって大きなマイナスなので、ここは、初めてのやり方ですけれども一元化して、そして、新しい知見を持った人たちにも協力してもらって、この窮地を乗り切りたいというような取組だと考えていただければと思います。

○塩川委員 公務の公正性の確保に疑念が生じないようにというんですが、今私が指摘しているように、給与補填というやり方そのものが疑念を生じているわけで、そういった問題をおいたまま、じゃ、信頼してくださいというふうにならないということであります。実際、この間、情報システム予算が増額の一途をたどっているわけで、IT室が司令塔となって、情報システム整備の計画や予算要求、執行の一元的な管理が行われることで、この官民癒着の疑念が一層深まるということを指摘せざるを得ません。
 そこで、次に自治体の関係なんですが、今回の法案は、地方自治体にも紙からデジタルへの転換を求めるというものになるということでよろしいでしょうか。

○向井政府参考人 これまでの答弁でもございましたように、国は義務、自治体につきましては努力義務というふうになってございます。

○塩川委員 努力義務ということです。
 法文の第五条第一項には、「国の行政機関等は、情報システム整備計画に従って情報システムを整備しなければならない。」とあります。自治体は、この規定に基づき講ずる措置に準じて、必要な措置を講ずるよう努めなければならないと第五条第四項でなっています。
 そうしますと、自治体に対して、国の情報システム整備計画に準じるような計画の作成を求めていくということになるんでしょうか。

○向井政府参考人 お答えいたします。
 官民データ活用計画と似たような構造になっておりますけれども、いずれにしても、自治体には努力義務というのがかかっておりますので、それについては自治体が努力していただくということになりますけれども、当然のことながら、国はサポートする必要があると思っておりまして、私どもとしては、各自治体にそういう計画をつくっていただけるような環境をつくるとともに、助言等のお手伝いをさせていただきたいというふうに思っています。

○平井国務大臣 このデジタル手続法案においては、地方公共団体については、先ほど話がありましたとおり、オンライン化を義務化せず、それぞれの事情や能力を踏まえてオンライン化を進めていけるように努力義務というふうにしているんですが、地方公共団体に対する支援策については、現在でも、例えば自治体クラウド導入に対する交付税措置、自治体のシステムの共同利用化を前提とした業務改革に対する補助金の交付等を実施しているところであります。
 また、デジタル技術を積極的に活用して先進的な取組を行っている地方自治体の取組を積極的に横展開し、全国的に広げていくことも、我が国全体の、地方自治全体のデジタル化を効率かつ効果的に進めるためには、有効な手段の一つというふうに考えています。
 このような事例も参考にしながら、今後、政府として積極的に取り組む地方自治体を厚く支援することにより、地方のデジタル化を進めてまいりたいと考えております。

○塩川委員 私が聞いているのは、国の情報システム整備計画に準じて、自治体にも計画の作成というのをつくってくださいよと求めるんでしょうかということなんです。

○向井政府参考人 法律上、努力義務はございますので、私どもとしては、そういう法律上、努力義務があることを示した上で、自治体に、つくっていく、そういう努力をしていただけるようにお願いしていくということだと思います。

○塩川委員 総務省でもいいんですけれども、では、どういう計画をつくってくださいというふうになるんでしょうかね。

○向井政府参考人 国に準じてということでございますので、まず、国の計画をつくった上で、何らかのひな形を示すような形で、こういうふうなものというのは一応お示しした上でつくっていただくというふうな、そういうふうな手続になるのではないかと想定されます。

○塩川委員 先ほど大臣の答弁の中にも自治体クラウドの話がありました。いろいろな共同利用についての補助金というのがあるんですが、複数の自治体でシステムを統合して使用するといった事例なんかが既に進んでいるわけです。
 この自治体クラウドの導入についてお聞きしますが、国は、自治体のデジタル化を進めるために、複数の自治体で情報システムを共有し、標準化する自治体クラウドの導入を推進しています。
 骨太方針二〇一八には、「自治体クラウドの一層の推進に向け、各団体はクラウド導入等の計画を策定し、国は進捗を管理する。」とあります。ですから、国の情報システム整備計画に準じて各自治体はクラウド導入計画の策定ということを、国として促していくということになるんですか。

○佐々木政府参考人 地方自治体において情報化、デジタル化を進めるためには、クラウドは極めて有効な手法だと考えております。また、クラウドをすることによって共同化も非常に容易に取り組むことができるということで、これまでも自治体においてクラウド化、特に共同の自治体クラウド化をお願いする、そういうことを財政的な支援も含めて行ってきたところでございます。

○塩川委員 ですから、骨太方針に、クラウド導入計画の策定を自治体に求め、国が進捗を管理するとあるものだから、今回の法案に言う国の計画に準じて自治体によろしくというのは、このクラウドの導入計画も含むんですか。

○佐々木政府参考人 法案自体の中身についてはIT室に確認していただきたいとは思うんですが、今回の計画というのは、これまでのクラウド計画とは違うものでございます。今回、国が制定するやり方、国が取り組むやり方に準じてということですので、その準じるという側面において違ってくるということだろうと考えております。

○塩川委員 内閣官房にお聞きしますが、要するに、クラウドが自治体にお願いするという計画の中に入らないということですか。

○向井政府参考人 現状、それは未定でございます。

○塩川委員 未定ということですから、骨太方針では、そういう形で計画をつくってくださいよ、国が進捗状況をきちっと管理するというふうになっているわけです。そういった点でも、自治体に自治体クラウドの導入計画をどんどん進めようという姿勢がここにあらわれています。
 それで、政府のIT戦略では、クラウド導入市区町村が平成二十九年度末で一千団体を達成したので、平成三十五年度末までにクラウド導入団体数について約千六百団体となるよう取り組むとしています。国が音頭をとって自治体のクラウド導入を促進してきました。
 そこでお尋ねしますが、自治体クラウドについてはさまざまな批判があります。例えば、富山県上市町の場合ですけれども、我が党の町会議員さんが三人目の子供の国保税の均等割の免除、また六十五歳以上の重度障害者の医療費窓口負担の償還払いを現物給付にと具体的な提案を議会で行ったところ、町長が、自治体クラウドを採用しており町独自のシステムのカスタマイズはできないということで、できませんという答弁を行ったということなんです。
 ですから、自治体クラウドによって、行政の仕事内容をシステムに合わせることとなり、自治体独自の行政サービスの提供が阻害されているんじゃないでしょうか。

○佐々木政府参考人 御指摘された富山県上市町における議会でのやりとりということは、同町のホームページにおいて確認したところでございます。
 同町長の議会答弁そのものについての個別のコメントは差し控えさせていただきたいのですが、総務省としては、クラウドについても、パッケージソフトに対するカスタマイズは行わないことを原則とすべきという基本方針を、助言という形で示しております。
 ただ、その方針の中では、住民サービスの維持向上等の観点からパッケージ機能による対応では不十分である場合であって、カスタマイズ以外の代替措置で対応することが困難であるなどの事由がある場合には、カスタマイズを行うこともやむを得ないという助言をさせていただいているところでございます。
 カスタマイズそのものにつきましては、むしろ、効率化の原則とか共同処理のメリットを出す意味でできるだけ控えた方がいいというのは当然ですが、個々の具体的なケースにおいて、どうしてもカスタマイズしないとそういう住民サービスの向上ができない、いけないという場合には当然許容されているというふうに総務省としては助言しているところでございます。

○塩川委員 ですから、今言ったのも、カスタマイズ以外の代替措置がない場合にはカスタマイズ、これを変更するということがあるという話なんですけれども、でも、それは、今言ったような、三人目の子供さんが生まれたときに、均等割がかかるわけですよ、人頭税みたいなものですから、あれは。家族がふえたら、均等割、一人何万円を払うというのは、家族が生まれて、お祝いじゃなくて、ペナルティーをかけるような制度ですから、これはおかしいという話になるわけで、そういった措置がとれないんですかというものについて、いや、カスタマイズを抑制していますからという話というのはおかしい。
 かわりの措置をとるというんだけれども、そもそもそういう減免の措置をとればいいわけで、それが妨げられるということ自身が、自治体のまさに住民自治を発揮をする、住民の福祉の増進を図るという自治体の本来の業務に大きな障害をもたらすものと言わざるを得ません。
 今の答弁にもありましたけれども、総務省は、自治体に対して、地方公共団体の自治体クラウド導入における情報システムのカスタマイズ抑制等に関する基本方針という通知を発出しています。ですから、そこの中で、地方公共団体の情報システムについては、現在、複数団体で共同利用する自治体クラウドの取組を推進しているが、情報システムにカスタマイズを加えようとすれば、団体間の調整が必要となり、その結果、自治体クラウドの導入を阻害する要因となるほか、追加的な情報システム経費の発生や情報システムの稼働の不安定化というリスクにもつながるとして、パッケージソフトに対するカスタマイズは行わないことを原則とすべきと求めているわけです。
 地方クラウドを推進する国がカスタマイズを抑制することを求めていることは、私は地方自治の侵害だと言わざるを得ません。この自治体クラウドによって、業務の効率化を優先して、システムに業務を合わせるようになっているわけです。ですから、住民の多様なニーズに応えることを棚上げをして、住民サービス拡充の障害になっている。そういった点でも、本来、多様な地域に多様な自治体が存在しているわけで、この自治体クラウドはその自治体の多様性を損なうものとなっているという点は極めて重大だと言わざるを得ません。
 この点について、総務省、どうですか。

○佐々木政府参考人 委員御指摘の論点については、カスタマイズの中身の定義の問題だと思います。
 我々として、地方自治体が、議会、首長が同意して、住民サービスの向上をしたいという判断をした場合に、そのカスタマイズ、それに伴うシステムの改修を行ってはいけないという助言はしていないところでございます。

○塩川委員 複数の自治体で自治体クラウドをつくってくださいと促して、地方財政措置も行っているわけです。その結果として、多様な自治体の多様性が損なわれるような事態になっていること自身が大問題だと言わざるを得ません。
 市区町村における情報システム経費というのは、今どのぐらいになるんでしょうか。

○佐々木政府参考人 総務省において実施した調査では、平成二十九年度当初予算における全市区町村の情報システムの経費は四千七百八十六億円となっております。
 今後、こうした調査を継続し、その推移を把握してまいりたいと考えております。

○塩川委員 平成二十九年度当初予算における市区町村の情報システム経費は四千七百八十六億円と。これは、把握したのはこれが初めてということで、今後把握していくと。
 今後ふえる見込みということでしょうかね。

○佐々木政府参考人 現時点で、ふえるか減るかということは、私は答えることができませんが、IT化を進めるということについては、ITの設備投資を行うということでもございますので、その経費の中身を分析してみて、維持管理に要するコストを効率化する。ただし、IT化の推進に要する経費はどんどん進めていくということもあろうかと思っております。
 ただ、今後どうなるかは、この時点で私がどうだということは、今、言える状況にはございません。

○塩川委員 国の場合、この四年間は、整備も運用もどんどんどんどん、ずっとふえているわけですよね。ですから、そういった点で、この先どうなるのかといったときに、自治体においても、国が自治体クラウド導入の計画を各団体に策定することを求め、その進捗を管理するということが骨太方針に出ているわけですから、こういった方針を徹底する上で、こういった自治体クラウドを促進する、結果とすると情報システム経費が膨らんでいくという点でも、IT室の批判も行いましたが、新たなIT公共事業といったことも問われてくるのではないのかということを指摘しておくものです。
 それで、続いて、AIに係る諸課題についてお尋ねをいたします。
 大臣にお聞きしますが、IT戦略の文書の中に、AI技術の研究開発と社会実装の項があります。そこでは、AIが生み出す成果の品質基準を設けるか否か、AIが現在の労働産業構造にどのような影響を与えるか、AIの下す判断の倫理上の扱い、そして、AIの判断結果に対する責任の所在など、今後、AIの社会実装が進むに伴い生じると思われるさまざまな課題についても、今後、検討していくことが必要であるとしています。
 このようなAIに係るさまざまな課題について、大臣、どのように認識しておられるかもぜひお聞きしたいし、どこでどのような検討を行っているのかについて教えていただけますか。

○平井国務大臣 今、まさにAIは、世界各国が投資をして、競争状態、開発イノベーションで競争状態にあるんですが、我々日本の立ち位置は、やはり倫理とか基本原則をちゃんと踏まえた上で、今回のAIというのは社会実装を伴うものなので、そこは日本流にきっちりやりたいというのが基本スタンスです。
 その上で、AIの社会実装の重要性に鑑みて、昨年策定されたIT戦略において、AI活用の重要性と今後必要となる検討課題を提示しています。
 具体的には、AIがもたらす倫理上の課題については、人間中心のAI社会原則会議において、AIの品質基準や高付加価値サービスへの構造転換などに関する社会実装に向けたさまざまな課題については、AI戦略に関する有識者会議において、AI判断結果に対する責任の所在については、例えば自動運転における事故時の責任に関しては、IT総合戦略本部のもとの道路交通ワーキンググループなど、各分野において検討が進められています。
 引き続きこれらの会議等で議論を進めまして、高齢化社会が進む我が国において、国民が安心して生活できるよう、AIの社会実装をしていきたい、そのように考えています。

○塩川委員 それぞれの分野で検討が進んでいるというお話です。自動運転の話ですとか倫理上の扱いなど、人間中心のAI原則のその場での議論の話にもありました。
 やはりAIをめぐっては、この間、報道も随分ふえていますし、最近の日経を見ると、その記事がずっと続いているものですから、おもしろく読んでいるところです。
 アリペイの話なんかもありましたが、アリペイAIによる信用力スコアというのが、融資ですとか与信ですとか、住居の賃貸とか、裁判などにも、さまざまな場面で使われているなんということも言われているところです。日本でも、ソフトバンクが新卒採用のエントリーシートの評価にAIのプロファイリングを用いるということなんかもされておりました。
 そこでお尋ねしたいんですが、大臣も紹介されました統合イノベーション戦略推進会議決定の人間中心のAI原則では、
 AIは、社会を良くするために使うことも可能であれば、望ましくない目的達成のために使われたり、無自覚に不適切に使われたりすることもありうる。
と指摘をしています。
 人間に期待される能力、役割について記述をしているわけですが、
 AIの長所・短所をよく理解しており、とりわけAIの情報リソースとなるデータ、アルゴリズム、又はその双方にはバイアスが含まれること及びそれらを望ましくない目的のために利用する者がいることを認識する能力を人々が持つことが重要である。なお、データのバイアスには、主として統計的バイアス、社会の様態によって生じるバイアス及びAI利用者の悪意によるバイアスの三種類があることを認識していることが望まれる。
 こういった、AIに係る、人間にそれをどう理解をするのかといったことが問われているという課題があるんですが、このことについて大臣はどのようにお考えかというのと、こういったバイアスが問題となるような事例というのは、どんなものが具体的に挙げればあるのか、その点を御紹介いただけますか。

○平井国務大臣 データのバイアスによって人々の差別につながる事例については、人間中心のAI社会原則の検討会議においても、人種や肌の色によって、年齢等の認識率、精度に大きな開き、誤差があったという事例が紹介されていると承知しています。
 また、ある企業の人材採用システムの学習データが、男性中心の応募者や合格者のデータにより学習されたものであったことから、男性の方が採用に適した人材であると判断したという例が報道されていると承知しています。
 まず、人々の差別や不利益をこうむらないようにするための最も基本的かつ重要な打ち手は教育ではないかと我々考えておりまして、人間中心のAI社会原則において、教育、リテラシーの法則、データにバイアスが含まれることや使い方によってはバイアスを生じさせる可能性があるということなどを理解することの必要性があるというふうに思います。
 それを受けて、現在検討中のAI戦略では、全ての国民が、デジタル社会の読み書きそろばんとして、数理、データサイエンス、AIに関するリテラシーを身につけるための教育改革について検討しています。
 加えて、技術的な対策として、AI戦略では、収集するビッグデータの偏りや誤りなどを検知して品質保証に資する基盤技術の確立や、データ品質を担保するための指標や測定方法等に関する国際基準の提案について取り組む方向で検討しています。
 日本は、AI倫理原則というものを今まで主導してきたし、これからも、その価値観を共有する国々と一緒になって進めていきたいというふうに考えます。
 AIをこれから実装するときに、今後、AIに振り回されたり、こんなはずじゃなかったというような社会にならないように、そこは原則をきっちりつくってから社会実装を進めるべきだと考えています。

○塩川委員 今大臣が紹介されたのはきょうの日経新聞でちょうど出ていましたけれども、みずほ銀行がソフトバンクと共同出資をしたジェイスコアの記事が出ていたわけですけれども、個人向けの融資の判断にAIを用いる業務を開始したところ、年収や職業など他の条件が同じでも、性別を男性から女性にするだけでスコアが下がるという指摘があった。結果として、いろいろ悩んだんだけれども、性別の影響を弱める修正に踏み切ったと。
 要するに、AIの側には、では本当に因果関係があるのかというのはわからないわけですよね。そこのところが今言ったバイアスの問題として出てくるというのは、これは、そういったバイアスがあるよという認識を我々がしっかり身につけるということはもちろん重要だと思います、教育の話、リテラシーの話なんですけれども、いや、そもそもそれだけでいいのかという問題も問われてくるんだと思うんですよね。
 そういった影響についてどうしていくのか。この点は、もう既にアメリカの問題なんかも紹介されていましたけれども、どうするんですか。

○平井国務大臣 AIが社会の大きな話題になるというのは、これで三回目なんですね。第三次AIブームと言っていいのかと思います。ただ、前回の二回と違うのは、相当いろいろなものが進んだ、AIに関して。ディープラーニングであったり、テキストでもそうです。
 そういう状況の中で、一方で、社会実装しているところはもうしているんですね。AIというものの定義の範囲が、例えば、出店するときの最適化とか売上予測とか、要するに、今言っているAIという言葉の範囲が物すごく広くなっているんです。そういうことを考えると、社会実装というのは、もうとめられる状態では全くありません。
 ですから、日本は、人間生活に大きく影響する使い方のものに関して誤らないように、社会原則そして倫理の問題を、リーダーシップをとりながら取りまとめていきたい。これは、世界的に、日本が問題提起して取りまとめていきたいと考えています。

○塩川委員 やはりディープラーニングは転機だと思いますけれども、ビッグデータそしてAIという形で、それが、日本の場合にはIoTも含めてこれを活用しようということを戦略としているわけですけれども、やはり問われているのは、AIによって、さまざまな差別、不利益が生じ得るといった問題が出てくるわけです。
 これも、だから、つい最近の日経の報道で、アメリカのロサンゼルス市警は、二〇一一年から使用している犯罪予測システムについて、データの使い方を見直すということを明らかにしたということでした。AIが過去の捜査情報を分析し、犯罪を起こしやすい人物や地域を示した。犯罪は一部で減ったけれども、黒人などへの過剰な取締りにつながったと指摘をされた。過去の捜査に人種差別の影響があり、差別を再生産したと批判を呼んだわけです。ですから、アメリカでは、ビッグデータに基づくAIプロファイリングが、マイノリティーに対する差別や排除を助長するという認識も広がっているところです。
 ですから、その点で、今大臣がお話しになったのが、人間中心のAI原則の話をされました。企業や民間などについても、そういった見地でしっかり取り組んでくださいよという働きかけをする、G20もありますから、これも国際的にも示していきたいということなんですけれども、要は、そういうレベルでいいのかというところが問われているんじゃないでしょうか。
 実際、そういったバイアスによって、不当な差別や不利益をこうむることがないような取組をどうしていくのか、これは真剣に考える必要があると思うんですが、どうでしょうか。

○平井国務大臣 その問題には、十分に我々は問題意識を持っておりまして、有識者の皆さんと議論しながら、また各国の方々も、こちらに来られると私も面談しますけれども、やはり、AIの社会実装とその影の部分、データのバイアスの話というのは共通の問題意識です。
 ですから、これはやはり、話し合いながらルールを決めていくというのが望ましい方向だと私は思っております。

○塩川委員 その点では、やはり、プライバシー確保をどう図るかというところでのルールづくりが問われているんだと思うんです。
 統合イノベーション戦略推進会議決定の人間中心のAI原則でも、原則を幾つか並べて、そのうちの一つの「プライバシー確保の原則」では、「AIを前提とした社会においては、個人の行動などに関するデータから、政治的立場、経済状況、趣味・嗜好等が高精度で推定できることがある。これは、重要性・要配慮性に応じて、単なる個人情報を扱う以上の慎重さが求められる場合があることを意味する。パーソナルデータが本人の望まない形で流通したり、利用されたりすることによって、個人が不利益を受けることのないよう、」「パーソナルデータを扱わなければならない。」とあります。
 その方策の一つとして、「本人が実質的な関与ができる仕組みを持つべきである。」という指摘をしているんですが、これはやはり、個人情報保護法の改正を含めてしっかりとした対応をとる必要があるんじゃないかと思うんですが、大臣、もしお考えあれば。

○平井国務大臣 個人情報保護法の改正は私の所管ではありませんが、人間中心のAI社会原則においては、プライバシーの確保のために必要な関係者間の基本的な共通認識として、「パーソナルデータを利用するAIは、当該データのプライバシーにかかわる部分については、正確性・正当性の確保及び本人が実質的な関与ができる仕組みを持つべきである。」とされています。「実質的な関与」とは、例えば、パーソナルデータを保有する者が、個人からの請求に応じてその利用を停止したり、媒体から消去することなどが考えられます。
 パーソナルデータは、その重要性、要配慮性に応じて適切な保護をされる必要がありますが、具体的な関与の方法については、今後、企業実務の観点も考慮しつつ、利活用と保護のバランスを図りながら、政府と産業界が一体となって、各利用分野の個別事情に応じてきめ細やかに検討される必要があると考えているところでございます。

○塩川委員 個人情報保護法所管の個人情報保護委員会にお尋ねしますが、今、三年ごとの見直しの検討を行って、つい先日、昨日ですか、中間整理を出したところです。その議論の中でも、こういった個人情報保護をめぐる国内外の動向でEUのGDPRの例を紹介して、忘れられる権利、また、プロファイリングに関する規定などを紹介していたところです。
 ぜひ、こういった忘れられる権利などをしっかりと規定することが必要だと思うんですが、この点でGDPRはどう対応しているのか、日本の個人情報保護法、今、この中間整理ではどうしようと思っているのか、それを教えてもらえますか。

○其田政府参考人 お答え申し上げます。
 お尋ねのありましたEUのGDPRにおきましては、消去権について第十七条で規定しているというふうに承知をしております。具体的には、個人データが収集された目的等との関係で必要がなくなった場合、データ主体が同意を撤回し、かつ、その取扱いのための法的根拠がほかに存在しない場合など一定の場合には、データ主体が自己に関する個人データを消去させる権利を持ち、また、データの管理者が個人データを消去すべき義務を負うものと承知をしております。
 一方で、我が国の個人情報保護法でも、個人データの取扱いに係る本人の関与等について一定の規定が設けられております。
 具体的には、第二十九条において、保有個人データの内容が事実でないときは、本人は、個人情報取扱事業者に対し、内容の訂正、追加又は削除を求めることができる。
 また、三十条一項におきまして、第十六条の利用目的に関する規定に違反しているとき、又は、十七条の規定に違反して不正に取得されている場合には、本人は、個人情報取扱事業者に対し、利用停止等を求めることができるとされております。
 さらに、第十九条において、個人情報取扱事業者は、個人データを利用する必要がなくなったときは、当該個人データを遅滞なく消去するよう努めなければならないとされております。
 先ほど御指摘をいただきました、昨日公表いたしました個人情報保護法のいわゆる三年ごと見直しに係る検討の中間整理におきまして、利用停止等を含む個人情報に関する個人の権利のあり方についても個別検討項目として取り上げております。
 忘れられる権利や利用停止権につきましては、現行の個人情報保護法上、利用停止や消去の請求ができる場合が、不正取得等、一定の場合に限定されておりますけれども、消費者の声として対象の拡大について要望が強いということも踏まえまして、今後、実務の観点も考慮しながら検討してまいりたいと思います。

○塩川委員 時間が参りましたので終わりますが、委員会の議論でも、今回の見直しの中で個人の権利のあり方についての重要課題は削除、利用停止だと思う、消費者側からは自分の個人情報を事業者が削除、利用停止しないことへの強い不満があると。今も紹介がありましたけれども、そういった点で、忘れられる権利の拡大を図るべきだと指摘をしているわけです。しかし、四月二十五日付の日経報道では、企業にデータの完全削除を強いる忘れられる権利などは導入を先送りした、これは、背景にあるのは、経団連が一連の規制強化には慎重な検討が必要だとする声明を発表した、こういうことも例示をしています。
 プライバシーの権利保障などの個人情報保護よりも企業利益を優先する、こういうことがあってはならないということを申し上げて、質問を終わります。


「議事録」(反対討論)

<第198通常国会 2019年04月26日 内閣委員会 15号>

○塩川委員 私は、日本共産党を代表して、デジタル手続法案に反対の討論を行います。
 本案は、行政の手続や業務に用いる情報を紙からデジタルデータへと転換し、オンライン化を原則として、利便性の向上、行政の効率化を図るというものです。
 しかし、利便性向上というものの、障害者や高齢者などデジタルを使いこなすことが困難な条件や環境にある人、経済的事情でIT機器が利用できない人などへの具体的な対策は、デジタルに習熟せよと求めるものです。従来の書面、窓口での対面による手続がなくなっていくことによる利便性後退の懸念は拭えません。
 実際、マイナンバーカードの利用拡大を理由に窓口を廃止する自治体の事例もあります。住民にとって行政サービスが後退する事態が生じており、デジタル転換による行政の効率化を口実に、同じようなことが更に広がることになりかねません。
 今回の法案は、地方自治体に対して努力義務を課しています。この間、政府は、一番身近な行政サービスの窓口である自治体に対して、マイナンバーカード導入に伴うデジタル化や複数の自治体でシステムを共有し標準化する自治体クラウドの導入を推進してきました。
 自治体クラウドによって、システムに行政の仕事内容を合わせることが目的となり、自治体独自のサービスが抑制されている事態があることも明らかとなりました。地方自治体の多様性をなくし、自治体の自立性を失わせることは、住民の福祉の増進を図ることを基本とした地方自治体の住民自治、団体自治を侵害するものと言わなければなりません。
 さらに、行政手続オンライン化に必要となるマイナンバーカードについて、政府は、マイナンバーカードのICチップを使うときは暗証番号が必要になるから、ほかの人には使えないと宣伝しておきながら、暗証番号入力を要しない方式で利用できる方法を入れ込み、更に通知カードを廃止して、マイナンバーカードへの移行を促進しています。
 政府が幾ら宣伝しても、国民の不安は拭えず、利便性もないことから、普及率がいまだ一割という状況で、マイナンバーカード制度は失敗しているのは明らかです。
 マイナンバーそのものの問題点もさることながら、このようにして、国民にマイナンバーカードを押しつけるやり方はやめるべきです。
 以上、申し述べ、反対討論を終わります。