【内閣委員会】フリーランス取引適正化法案/全会一致で可決

 フリーランスの取引適正化と就業環境を整備する「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律案」が、衆院内閣委員会で、全会一致で可決されました。

 フリーランスという働き方は報酬の支払い遅延や一方的な契約内容の変更などのトラブルが多発する一方、法的保護が弱いことが問題とされてきました。

 わが党はこの間、労働者性を拡張・適用してフリーランスを保護することを求めてきました。

 質疑で「労働者性があいまいなフリーランス就業者は、労働者でありながら企業に自営業者に偽装される場合や、従属性のある自営業者にされる場合がある」と指摘。「本案が偽装雇用の背中を押すようなやり方になってはいけない」として、労働者として保護の対象を拡大するよう訴えました。

 後藤茂之担当大臣は「必要な場合は、既存の法律で保護される」との答弁に留まりました。

 私は、取引の適正化についても、長時間労働を強いる納期や締め切りの規制を設けることも必須だと述べ、「フリーランス保護においても、業種業界ごとにガイドラインを制定し、運用する必要がある。所管省庁と業界が協議して、ふさわしいルール作りを促す働きかけをぜひやってほしい」と求めました。

衆議院TV・ビデオライブラリから見る


「議事録」

<第211回通常国会 2023年4月5日 内閣委員会 第10号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 フリーランス法案について質問をいたします。
 今回の法案の策定過程におきまして、そもそもフリーランスに対しての保護をどういうふうに行っていくのかといった制度の検討が行われてきたわけですけれども、この法案については、労政審には報告だけで、議論が行われておりませんでした。
 昨年九月の労政審雇用環境・均等分科会において、労働者代表委員が、労働側として唐突感、違和感があるとして、世界的には、新たな就業形態に対応した法的保護に関しては、労働者性を認める方向で保護を図っていこうという取組が進んでおり、日本でも労働者性の早急な見直しは必須であり、労政審で検討すべきだと述べておりました。
 大臣、お尋ねしますけれども、このフリーランスの対応につきまして、労働者性の拡張についての見直しを行うことは必須ではないかと考えますが、いかがでしょうか。
○後藤国務大臣 使用者に対し立場が弱い労働者が劣悪な環境で働くことがないように、労働基準法は、事業又は事務所で使用される者で、賃金を支払われる者を保護すべき労働者と定義した上で、使用者が遵守しなければならない労働条件の最低基準を定め、罰則をもって担保をいたしております。
 その上で、労働者の具体的な判断基準を明確にする観点から、それまでの裁判例等を基にしました判断基準を定めまして、労働者として保護されるべき者か否かを実態を勘案して総合的に判断しております。
 いわゆるフリーランスと呼ばれる方でありましても、実態を勘案して総合的に判断した結果、労働者性があると判断されれば、労働基準法等に基づいて労働者として必要な保護を図っていく。また、フリーランスの労働者性の判断基準については、令和三年三月に策定したガイドラインにより周知を図ってきております。
 一方で、労働基準法による労働者の範囲を拡大することによりまして、フリーランスを労働基準法上の労働者として、発注事業者に使用者と同様の義務を課すことにつきましては、発注事業者に過大な義務を課すことになりかねないといった法制的な課題、フリーランスへの発注控えにつながり、就業機会の縮小を招く可能性があるなど、課題が多いと考えております。
 一方で、我が国でフリーランスが直面しているトラブルについて見ますと、事業者間取引において見られるものが多く、また、ハラスメントなどのトラブルについても取引上の力関係に由来しているものと考えることができることから、本法案は、取引適正化等を図る法制として立案し、対策を講じたものでございます。
○塩川委員 フリーランス・トラブル一一〇番の相談で、この間、社員からフリーランスに変更される事例が増えているという話もされております。事務とか営業とかマッサージとかスポーツインストラクターとかなどが多いということですが、雇用契約を業務委託契約に変更する、雇用契約にしたらもうからないからとうそぶくような企業もあったということであります。
 このようなトラブルに対しては、契約の形式にとらわれず、実態判断をして労働者保護をかけると言っておりますが、実際には、労基署にかけ合っても、契約の形式が委託であれば門前払いされてしまうケースが少なくない。
 こういった現状、実態を踏まえた場合に、このような今起こっている問題に対処できるように、労働者性の拡張の議論を行うべきではありませんか。
○後藤国務大臣 労働基準法等の適用については、業務委託や請負等の契約の名称にかかわらず、実態を勘案して総合的に判断することになっておりますし、いわゆるフリーランスと呼ばれる方であっても、こうした判断の結果、労働者と認められる場合には、今回の新法とは関係なく、労働基準法等の適用をしてまいります。
 引き続き、労働基準監督署においてもこうした取扱いの徹底を図るとともに、フリーランスの労働者性の判断基準に関するガイドラインの周知徹底を図りまして、労働基準法等による保護が適切に行われるように努めてまいりたいと思います。
○塩川委員 実態を勘案してといっても、そうなっていない実態というのも現にあるわけですから、そういった点におきましても、この一九八五年の労基法上の労働者性の判断基準がいわば古くて狭いといった点が今問われているわけで、その見直しが必要であります。
 ILOにおいては、労働者性が曖昧な就業者は、本来は労働者でありながら、企業が故意に自営業者に偽装する場合、いわゆる偽装雇用と、従属性のある自営業者、従属的自営業者に分かれ、偽装雇用については誤分類の修正、従属的自営業者には一定の保護を提供する必要があるとしています。
 ですから、この両面での法的措置が必要なんじゃないのか。つまり、従属的自営業者についての一定の保護、今回のフリーランス法案としてそういう対処というのは必要なものと考えています。同時に、やはり偽装雇用になるような今の現状というのが率直に言ってあったときに、労働者性の拡張、こういった議論が法的措置も含めて必要ではないのか。改めてお尋ねします。
○後藤国務大臣 偽装雇用と考えられるようなケースについては、実態判断として、法律的な形式は別として、そこはしっかりと労働基準法等の適用をしていくということで、そういった意味での対応は今後ともしっかりと進めてまいりたいと思います。
○塩川委員 JILPTのフリーランスの労働基準法上の労働者性に関する調査を見ましても、労働者性が高いとか中程度というのを合わせると七一・九%、七割以上が労働者に近い働き方をしているという傾向が示されております。まさにそういう労働者に近い働き方をしているという実態があるといった点でも、フリーランスの保護は労働者性の適用を広げる方向を検討、具体化をすべきだということを重ねて求めたいと思いますが、改めて、いかがでしょうか。
○後藤国務大臣 重ねて同じ答弁では恐縮なんでありますけれども、基本的には、労働者性の認められる方について言えば、それは、どんな法律形態であろうとも、労働者として必要な保護をしていくわけでありますけれども、労働者の範囲を拡大することによって、フリーランスを労働基準法上の労働者として、発注事業者に使用者と同様の義務を課すことについては、法制的な課題、例えば、雇用関係において見られるような使用従属関係があるとは言えないために、発注事業者に対して使用者と同様の義務を課すことができるのかどうかといったような課題をしっかりと整理する必要がありますし、また、フリーランスへの発注控えにつながり、就業機会の減少を招く可能性があることなども課題としてあるというふうに思っております。
 そうした観点から、今回の取引法に基づく対応という形で検討をいたしております。
○塩川委員 この間、政府として、多様な働き方といった形で、偽装雇用を背中を押すようなやり方になっては決してならないわけで、そういった点での政府の対応がこの点でも極めて不十分だということを言わざるを得ません。改めて、労働者性の拡張、これはしっかりと宿題として行うべきだということを強く求めておきます。
 その上で、実態として、労働基準法や労働契約法、労働組合法が定める労働者に当たるフリーランスについては、この法律の制定をもって、こういった労働関係諸法令による救済が否定されるようなことがあってはならないと思いますが、改めて確認をいたします。
○後藤国務大臣 これはもう先生がおっしゃるとおりであります。
 今回の法律を作ることによって、フリーランスの取引法による規定で十分だというようなことにならないように、実際に、労働基準法等の適用については、業務委託とか請負とかの契約の名称にかかわらず、総合的に判断をして、しっかりと適用を図っていく。引き続き、労働基準監督署においてもこうした取扱いの徹底を図るとともに、フリーランスの労働者性の判断基準に関するガイドラインの周知徹底を図って、労働基準法等による保護が適切に行われるように努めてまいりたいと思います。
○塩川委員 法案に関わって何点かお尋ねをいたします。
 やはりフリーランスで働く方々の報酬が余りにも低いといった点も問われてまいります。その点で、最低報酬規制、こういった仕組みを設ける必要があるのではないのかという点であります。
 この間、政府として具体化している取組の中で、自営型テレワークのガイドラインなどもあります。そこにおきましては、例えば、最低賃金を一つの参考として自営型テレワーカーの報酬を決定することも考えられるとあります。
 従事者の報酬の最低規制を図る、こういった工夫というのが行われる必要があるのではないのかと思いますが、お答えください。
○後藤国務大臣 本法案では、いわゆるフリーランスを保護する観点から、下請代金法では規制対象にならない資本金一千万円以下の小規模な発注事業者であっても、フリーランスに委託を行う場合には発注書面の交付等の義務を課すことといたしております。
 他方、事業者間取引における契約自由の観点からは、原則として、事業者取引に対する行政の介入は最小限にとどまるべきであるということに加えまして、小規模な発注事業者に対して過剰な義務を課した場合には、発注事業者が義務履行に係る負担を避けようとして特定受託事業者と取引することを避ける、いわば発注控えが生じること、財政基盤が脆弱な発注事業者も多く、義務が負担となり経営に支障を来すことも懸念されることから、規制内容はできるだけ限定することが適当であるというふうに考えております。
 さらに、特定受託事業者の役務や成果物は多種多様であることから、一律の最低報酬を定めることは困難であるとも考えられます。
 したがって、本法案において、特定受託事業者の最低報酬に係る規制を盛り込んでおりません。
○塩川委員 業種、業態は多種多様で、一律の最低報酬を定めるのは困難という話もありました。
 そういう際にも、やはり業種、業態においてはいろいろな工夫もできることだろうと思ってはいます。お話を伺っている中では、例えば音楽家の方々の組合などにおきましては、演奏における時間、そこに最低時給というのを設けて、テレビ局の各局と交渉して協定を結んでいるといった格好での最低報酬のルール作りなどが行われているわけであります。
 そういった現場で行っている取組も含めて、しっかりとやはり、労働者でいえば最低賃金に相当するような、こういったことを担保できるようなフリーランスにおける最低報酬規制というのは考えられるべきだと思っております。
 もう一つ、長時間の作業時間を強いる納期や締切りの規制の問題であります。
 この点も、自営型テレワークのガイドラインなどでは、成果物の納期については、作業時間が長時間に及び健康を害することがないように設定をすること、その際、通常の労働者の一日の所定労働時間の上限八時間を作業時間の目安にする、こういうことなんかも示されているところであります。
 こういった長時間の作業時間を強いるような働かされ方を一定規制をする、そういう仕組みづくりというのが必要ではないでしょうか。
○後藤国務大臣 フリーランスの方についても、今先生御指摘のように、働き過ぎにより健康を害することのないように配慮をすることは非常に重要なことだと思います。
 この点、現在、厚生労働省では、個人事業者等に対する安全衛生対策のあり方に関する検討会を開催しまして、その中で、フリーランスの方々の作業時間が長時間に及び健康を害することのないようにすることも議論していると聞いております。この有識者検討会における検討結果も踏まえて、厚生労働省において適切な対応が取られていくものと考えております。
○塩川委員 やはり長時間労働を強いる、健康にも支障を来すような、そういった働かされ方がなくなるような仕組みづくりというのは必須ということを改めて強調しておきます。
 今回のフリーランス法案、審議をしていて、当然、広く適用する、そういった多様な業種、業態の中において、業種横断的な規制という点では一定の制約というのは出てくるわけですけれども、やはり業種、業態に対応したような様々な工夫をする必要があるんじゃないのか。
 そういう点では、下請取引の適正化におきましては、業界、業種ごとにガイドラインを策定をして、遵守状況のフォローアップですとか、ガイドラインの改定なども行われてきております。今回のフリーランス保護においても、業種、業態ごとにこういったガイドラインを設ける、それで運用していく、そういったことは必要なことではないかと思うんですが、この点についてはどうでしょうか。
○後藤国務大臣 下請取引適正化の取組においては、今御指摘もあったように、業種別の取引実績等を踏まえた対応が有効でありますことから、各業所管省庁において、下請法や独禁法の違反事例やベストプラクティス等についてまとめたガイドラインを作成して、業界に遵守を呼びかけているわけであります。
 他方で、フリーランスについては多種多様な業態が想定されることから、今回の法案が成立すれば、その施行後の状況等を分析し、まずは業種別の課題、例えば映画産業だとか食品産業だとか、そうした課題の把握にまず努めることとしたいと考えています。
○塩川委員 結構、所管省庁と、それから関連する業界団体などが協議をされて、今、映画の話ですとか食品の話がありましたけれども、芸能関係者、あるいはウーバーのようなデリバリーの話、あるいは一人親方ですとか放送コンテンツ、それぞれの所管省庁が、関連する業界、フリーランスの方と協議をして、そういった点でのふさわしいルール作りを行っていく。こういうところは更に踏み込んできちっと行っていく。だから、関係の所管省庁がしっかりと対応するといったことを促す働きかけを是非やっていただきたいと思うんですが、改めて、いかがでしょうか。
○後藤国務大臣 いわゆるフリーランスについて言えば、大変に、取引、その実施される状況については多種多様で、実態についても今後把握していく必要があるというふうに思いますけれども、今御指摘されたような問題意識を持ってしっかりと分析をしていきたいと思います。
○塩川委員 業種ごとの標準契約書を作る、こういったことなんかも含めて、実際に有効に運用される、そういう取組につなげることを改めて求めて、質問を終わります。

松本ひろかず県議候補と訴え/埼玉・春日部市

 春日部市内2ヵ所で、松本ひろかず県議候補と訴え!

 教員時代、市民と力をあわせて、中学校給食を実現。市議として、第3子の給食無料化を実現。今度は県政で給食費無料化の実現を!

 秋山文和県議の議席を引き継ぐ松本ひろかず候補の勝利で、国保税引下げ、補聴器購入補助、市内に児童相談所の実現を!

ばばひろし県議候補と訴え/埼玉・越谷市

 南越谷駅前でばばひろし県議候補と訴え!

 学童保育指導員と会計事務所勤務の経験を活かし、子育て応援、中小企業支援の街づくりに全力!

 学校給食費ゼロ、子どもの国保税ゼロ、高校卒業までの医療費ゼロの実現を!

 消費税5%、インボイス導入中止!

 戦争呼び込む大軍拡ストップ、戦争させない政治を!

大沢あや子県議候補と訴え/群馬・前橋市

 群馬県議選、高崎市内で大沢あや子候補と訴え!

 党県議団事務局長として、子ども医療費無料化、学校給食費無料化の運動を支えてきた。伊藤ゆうじ県議の議席を引き継がせてください!

 相馬原・新町・吉井の各駐屯地は、基地強じん化の予算を計上。戦争呼び込む大軍拡でなく、戦争させない政治こそ!

酒井ひろあき県議候補と訴え/群馬・前橋市

 群馬県議選、前橋市内で酒井ひろあき候補と訴え!

 県議12年、子ども医療費無料化制度拡充に全力。ついに18歳までの無料化を実現!今度は学校給食費の無料化を!

 政府の子育て支援政策に欠落している大学学費の引下げを!

 酒井候補の勝利で、大軍拡のために教育費を削る岸田政権に、ノーの審判を!

小林その子県議候補と訴え/群馬・伊勢崎市

 群馬県議選、伊勢崎市内で小林その子候補と訴え!

 小学校や特別支援学校の教員を37年。「誰もが幸せになれる社会を」と全力!

 県議会の自・公・リベラルは、学校給食費の無償化を求める請願を棚上げ。日本共産党の前進こそ学校給食費の無償化の一番の力。

 伊勢崎から小林その子候補を押し上げてほしい!

野村せつ子候補県議と訴え/栃木・宇都宮市

 栃木県議選、野村せつ子候補と訴え!

 被災者支援に全力の野村候補。関東東北豪雨災害で栃木県の住宅応急修理がゼロ件という県の姿勢を批判。

 この間マニュアルをつくらせ、台風19号豪雨災害では2657件の適用へと大きく改善。

 田川・姿川の調節池整備、河川整備の前倒しにも貢献。

 なくてはならない議席。

県議選告示/もりやひろ子候補と訴え/埼玉・川越市

 埼玉県議選告示、川越でもりやひろ子候補と訴え!

1)コロナ禍、保健所職員の増員を要求。知事は「こんな働き方をさせて心苦しい」と反省、保健所関係職員93名の増員に。
2)県立盲学校の雨に濡れる渡り廊下を改修。
3)川越特別支援学校の増築を実現。
4)自民党の妨害を打ち破り、太陽光発電補助金復活へ。

県議選告示/いのまた嘉直候補と訴え/埼玉・狭山市

 埼玉県議選告示、狭山市駅でいのまた嘉直候補と訴え!

 日本に戦火を呼び込む大軍拡にノーの審判を!

 入間基地では
1)攻撃されることを前提にした基地強化予算210億円
2)火薬庫新設に対する住民説明なし
3)C2輸送機への長距離ミサイル搭載計画など
戦争準備が進む。

 軍事一辺倒ではなく、平和の外交こそ!

県議選告示/城下のり子候補の応援に/埼玉・所沢市

 埼玉県議選告示、城下のり子候補の応援に!

 所沢保健所廃止に賛成した党や知事の応援を受けた候補ばかりの中で、保健所存続を求め続けた共産党の議席こそ、所沢保健所復活の一番の力!学校給食費はゼロに!

 大軍拡ストップ、東アジアに平和の枠組みづくりを進める日本共産党の城下のり子候補の勝利を!

【内閣委員会】輸送機にミサイル搭載計画/戦火もたらす大軍拡撤回を

 自衛隊の輸送機にミサイルを搭載する計画が進んでいることを暴露。「憲法上保有できないとしてきた他国に脅威を与える攻撃的な兵器に他ならない」と強く批判しました。

 岸田内閣の進める防衛力整備計画において、スタンドオフミサイルの輸送機搭載システム等を開発・整備することが明記されています。その一端として、防衛装備庁は今年2月に「C-2輸送機用誘導弾等発射システムの開発に係るデータ取得役務」の公募を行いました。C2輸送機からスタンドオフミサイルを発射する容器を空中に投下された際にどのように落下するか等のデータを収集分析することが予定されています。

 私は、米空軍が開発中の「ラピッド・ドラゴン」について提示。

資料・クリックで拡大

 防衛省は「そういった諸外国の取組も調査する」と答弁。

 輸送機を改造することなく攻撃機化することができるものであり、極めて重大です。

 また、入間基地の火薬庫新設について質問。

 政府は「既存の火薬庫地区における立て替えであり住民説明を行う予定はない」と答弁。

 私は、実際には現行と異なる場所に作られることを示し、「民家との距離も変更される。地元住民への説明は最低限の責務」と迫りました。

衆議院TV・ビデオライブラリから見る


「議事録」

<第211回通常国会 2023年3月29日 内閣委員会 第9号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 岸田政権は、安保三文書に基づき、敵基地攻撃能力の保有とともに、五年間で四十三兆円の大軍拡を計画をしております。二〇二七年度にはGDP比二%、十一兆円に達する措置を講ずることを明記をしております。福祉や教育、暮らしを圧迫するこのような大軍拡は認められないと申し上げておきます。
 このような大軍拡を推進する防衛力整備計画では、早期、遠方から攻撃できるスタンドオフ防衛能力の保有を掲げ、大量のスタンドオフミサイルを導入しようとしております。
 さらに、防衛力整備計画では、スタンドオフミサイルの発射プラットフォームの更なる多様化のための研究開発を進めるとともに、スタンドオフミサイルの運用能力向上を目的として、輸送機搭載システム等を開発整備するとあります。
 このスタンドオフミサイルに係る輸送機搭載システムというのはどのようなものなのか。防衛装備庁は、C2輸送機用誘導弾等発射システムの開発に係るデータ取得役務の契約希望者の募集を行っている。何を行うんでしょうか。
○茂木政府参考人 お答え申し上げます。
 スタンドオフ防衛能力の強化におきましては、それを発射しますプラットフォームを更に多様化することによりまして、相手方に一層複雑な対応を強い、我が国への侵攻をより効果的に阻止、排除することが重要でございます。
 こうした観点から、今般策定いたしました防衛力整備計画におきましては、航空自衛隊の輸送機からスタンドオフミサイルを発射することが可能となる輸送機搭載システムを開発整備することとされております。
 このため、令和五年度予算におきましては、当該システムの実現可能性等について調査研究を実施するために、輸送機搭載システムに関します調査研究経費といたしまして約三十六億円を計上させていただいているところでございます。
 お尋ねのC2輸送機用誘導弾等発射システムの開発に係るデータ取得役務と申しますのはその一環でございまして、専門的な知見を有する事業者からデータ収集、分析の技術的な支援を得まして、防衛省といたしまして必要な各種試験データの収集、分析を実施するものでございます。
 具体的に申し上げます。航空自衛隊の主力輸送機でございますC2輸送機から、スタンドオフミサイルを発射する容器のようなものを空中に投下いたします。そうした環境を風洞の中で模型を用いまして模擬いたしまして、その容器が投下された際にどのように落下するか等に係るデータを収集、分析することを予定しているものでございます。
 以上でございます。
○塩川委員 輸送機について、スタンドオフミサイルを搭載、発射するシステムの実現可能性の調査研究を行っていくということです。
 輸送機ということでいえば、航空自衛隊の入間基地、美保基地、また小牧基地にありますが、輸送機のC2とC130が配備されております。
 先ほどC2の例示がありましたけれども、C2とともにC130についてもスタンドオフミサイル発射システムの調査研究を行っていくんでしょうか。
○茂木政府参考人 お答えいたします。
 先ほどお尋ねがございましたC2輸送機用誘導弾等発射システムの開発に係るデータ取得役務におきましては、まさにその題名にございますように、C2を対象にいたしまして、模型を用いて各種試験データの収集、分析を実施することといたしております。
 したがいまして、C130輸送機、先ほど御指摘ございましたけれども、この輸送機を対象にいたしましたデータの収集、分析というものは、今のところ予定しているところではございません。
 その上で、付言させていただきますけれども、防衛力整備計画において開発整備することとされております輸送機搭載システムにつきまして調査研究を実施する、今そういう段階でございますので、今後これをどういう機体に搭載するかということにつきましても調査研究の中で具体的に検討されていくものでございます。
 したがいまして、現時点でC130輸送機への搭載の可能性自体を排除するものではないということは付言させていただきたいと考えております。
 以上でございます。
○塩川委員 C2は対象で、C130も排除されるものではないということであります。
 資料を配付させていただきました。アメリカでは、米空軍とロッキード・マーチン社が、輸送機からスタンドオフミサイルを投下、発射できるシステムであるラピッドドラゴンの開発を進めております。先ほど説明があったように、パレットに載せて、これを投下をして、そこからスタンドオフミサイルがエンジンを吹かせて飛んでいくということになるわけであります。C130やC17輸送機での実用化を図っております。
 調査研究に当たっては、このような米軍のラピッドドラゴンなども参考にするということでしょうか。
○茂木政府参考人 お答え申し上げます。
 米国のロッキード・マーチン社が米軍の輸送機C130等から長射程のミサイルを発射するためのシステムとされますラピッドドラゴンなるシステムの開発を進めているということは、私どもも承知をしておるところでございます。
 令和五年度から実施いたします輸送機搭載システムに関する調査研究におきましては、模型を用いて各種試験データの収集、分析を実施するほかに、ラピッドドラゴンといった諸外国の取組につきましても調査をいたしまして、今後の検討の資を得るべく努力してまいる予定でございます。
○塩川委員 米軍のラピッドドラゴンについても調査研究を行っていくということであります。
 物資や人員を運ぶことを目的とした輸送機が、改造することなく攻撃機化するということです。攻撃機能を持たない輸送機を攻撃機化するという点で、極めて重大であります。
 米軍の場合では、C130なら十二発、C17は三十六発ものJASSM、スタンドオフミサイルの搭載、運用可能だということも報道ではありましたけれども、このラピッドドラゴンで使用するスタンドオフミサイルは、どういうミサイルを想定しているんでしょうか。
○茂木政府参考人 お答え申し上げます。
 米国のラピッドドラゴンシステムにつきまして、私どもは開発の担当部局でもございませんので、このシステムがどういうミサイルを対象にしているのかということについて確定的にお答えすることは困難ではございますけれども、公刊情報で聞いている限りにおきましては、JASSMと言われるミサイルを搭載して運用することを目指して開発中だと聞いております。
 他方、私ども防衛省の方で今後調査研究していく輸送機搭載システムでございますけれども、まさに、令和五年度から二年かけまして、実現可能性も含めて調査研究をする段階でございまして、この成果を得られた後、開発への移行の適否などを判断していく、こういう段階でございますので、現段階でどういうミサイルを搭載するのかということにつきまして申し上げる段階にはないということを御理解いただきたいと思います。
○塩川委員 スタンドオフミサイルを搭載、発射をするシステムということですから、この間、一連の爆買いの中に、スタンドオフミサイル、たくさんメニューがそろっているわけです。
 米軍の場合については、JASSM―ERと言われる、射程が千キロと言われる長距離のミサイルを運用するということでの研究開発が行われているわけですけれども、当然、スタンドオフミサイルにはトマホークなども含まれるわけです。
 日本における研究開発においては、JASSMとかトマホークとか、選択肢としてはどれを選ぶか、特定のものを排除しているわけではないということでしょうか。
○茂木政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほど御説明いたしましたとおり、輸送機搭載システムから発射する具体的なスタンドオフミサイルにつきましては、今後の調査研究の中で具体的に検討されるものでございますので、現時点でお答えすることは困難でございますが、トマホークに関して申し上げれば、このミサイルはイージス艦に搭載することを計画しているものでございますので、このC2等、輸送機搭載システムに搭載することは今のところ念頭にあるわけではございません。
○塩川委員 この五年間、防衛力整備計画上の話ですので、その先というのはまたその先の検討でしょうから、そこでトマホークが排除されているわけではないということがあると思います。
 JASSMなどの長距離ミサイルを輸送機に搭載、発射するとなれば、広範囲が射程に入ります。政府が憲法上保有できないとしてきた、他国に脅威を与える攻撃的な兵器にほかなりません。過去、トマホークは、イラクやアフガニスタンなどでの対テロ先制攻撃戦争で米国が繰り返し使用してきた兵器であります。スタンドオフ防衛能力は、先制攻撃につながる敵基地攻撃能力の保有そのものだという点で、撤回を強く求めるものです。
 もう一つ指摘をしたいのが、火薬庫の新設の話であります。
 防衛省は、大量に導入するスタンドオフミサイル等の保管を想定した弾薬庫を、今後十年間で百三十棟建設する計画であります。防衛省は、火薬庫新設について、これまで地元説明を行ってまいりましたが、来年度の防衛省予算には入間基地の火薬庫新設も盛り込まれております。この入間基地の地元である狭山市や入間市、地元住民に説明はするんでしょうか。
○杉山政府参考人 お答えいたします。
 令和五年度予算においては、入間基地内において、既存の火薬庫の建て替えに係る経費を計上しておりまして、昨年十二月、関係する自治体、埼玉県入間市、狭山市でございますが、関係する自治体に対しまして、入間基地における令和五年度予算案の主要事業の内容として説明させていただいたところでございます。
 また、今回の火薬庫の整備につきましては、新たな用地取得を伴うものではなく、既存の火薬庫地区における建て替えであることから、現時点においては住民説明を行う予定はありませんが、引き続き、関係する自治体を通じ、様々な形で情報提供をさせていただく考えでございます。
○塩川委員 火薬類取締法では、火薬庫設置に当たっては、民家から離して設置するための保安距離が定められております。
 入間基地の火薬庫新設について、建て替えと言い換えているわけですけれども、建て替える場所というのは、現行の場所とは異なる場所に建て替えるわけですよね。それはそれでよろしいですか。
○杉山政府参考人 現在のもの、既存のものがありまして、代替として別な火薬庫地区に建てまして、既存のものを解体といいますか、撤去するということになります。
○塩川委員 ですから、ほかの場所に造るんですよ。そうしますと、民家からの保安距離が変わってくるわけなんです。そうなれば、こういった保安距離の要件との関係でも、地元住民の皆さんに説明するというのは行うべき最低限の責務ではないでしょうか。
 敵基地攻撃能力保有と一体に、スタンドオフ防衛能力の強化とかミサイルの大量保有のための火薬庫の新増設などが行われております。そういう点でも地元説明というのは不可欠であります。
 官房長官にお尋ねしますけれども、スタンドオフ防衛能力の開発や配備が進められ、また、そのための火薬庫の新設などが大量に見込まれております。政府は、このような敵基地攻撃能力の保有について、相手国の報復攻撃で日本に大規模な被害が生じる可能性も完全に否定できないと予算委員会でも述べております。日本に戦禍をもたらすことになるようなスタンドオフ防衛能力推進、大軍拡は撤回をすべきではありませんか。
○松野国務大臣 お答えをさせていただきます。
 今般、政府としては、スタンドオフ防衛能力等の自衛隊の能力を活用して反撃能力を保有することとしました。
 反撃能力保有の目的は、相手に攻撃を思いとどまらせる抑止力であり、これにより、武力攻撃そのものの可能性を低下させることができると考えています。
 このように、反撃能力は国民の命や暮らしを守り抜くためのものであり、御指摘のように、日本に戦禍をもたらすものではないと考えております。
○塩川委員 他国に脅威を与えるような攻撃的な兵器にほかならない、専守防衛の原則を投げ捨てるような軍拡はやめるべきだと申し上げて、質問を終わります。

【議運委員会】政治資金適正化委員会は必要ない/指名に反対

 衆議院本会議で、政治資金適正化委員会委員の指名が行われました。

 本会議に先立つ議院運営委員会で、私は「政治資金監査」制度・適正化委員会は不必要であると指摘し、指名に反対しました。

発言の内容は以下↓のとおりです。


 政治資金適正化委員会は、「国会議員関係政治団体」の収支報告に「プロの目を通す」として導入した「政治資金監査」制度において、監査マニュアル策定、「登録政治資金監査人」の登録や研修などを行っています。

 この制度が「収支報告の適性の確保」にまったく意味をなさないものであることを、昨年秋、更迭となった寺田稔・前総務大臣みずから、明らかにしました。

 寺田氏の後援会が亡くなっている方をそのまま会計責任者としていても、この監査では「問題なし」。領収書の宛名の追記疑惑があっても、寺田氏は「法律上は問題ない」と強弁。適正化委員会のQ&Aで「望ましくない」としている、顧問税理士が関係5団体すべての監査人であることを指摘されても、寺田氏は「好ましいかどうかはケースバイケース」と発言。現職の所管大臣が、適正化委員会のQ&A等が無意味であるかのような発言をしていたのです。

 他にも、不明朗支出や白紙領収書の問題、河井元法務大臣夫妻が有罪となった巨額選挙買収事件など、制度導入後も相次いでおり、この制度が意味をなさないことを露呈しています。

 そもそも、この制度は「監査」の名に値しないものです。

 対象となるのは、届出された「国会議員関係政治団体」のみ。収支報告書と領収書などをつきあわせ、形式的な「適正」を確認するだけ。収入・繰越残高については監査の対象外。領収書に改ざんの形跡があっても、監査人に調査権限なし。違法な支出があっても、使途の妥当性を評価するものではない。これのどこが「監査」なのでしょう。

 さらに、適正化委員会の報告によって、収支報告書の形式上の適正すら確認できていない実態も明らかとなっています。

 加えて、この制度の導入により、収支報告書の公開期限を遅らせたことで、前年の報告書が11月末にならなければ、国民の監視にさらされないことも問題です。

 わが党は、「監査人のチェックを受けたという“お墨付き”を得ようとするものに他ならない」と制度導入に反対しましたが、実際の運用からも、制度が不必要であることは明白です。

 政治資金は、政治団体がその収支を公開し、国民の不断の監視と批判の下におき、国民の判断に委ねることが基本です。収支はそのまま、速やかに公開すればいいのであって、適正化委員会は必要ありません。

 以上、政治資金適正化委員会の委員の指名に反対の意見を表明します。

【内閣委員会】医療提供体制拡充に逆行/岸田首相を追及

 感染症対策の司令塔をうたう「感染症危機管理統括庁」の新設などを盛り込んだ新型インフルエンザ等対策特別措置法等改正案が、衆院内閣委員会で、自民、公明、維新、国民の賛成多数で可決されました。日本共産党は反対しました。

 私は質疑で、新型コロナウイルスによる死亡者数が過去最大となっている中で、医療機関への公的支援を縮小する計画の政府に対し「いくら司令塔を作っても、やっていることが間違っていれば何の意味もない」と批判しました。

 私は、コロナの死亡者数が第6波から第8波にかけて急増しているのは深刻な事態だと追及。

 岸田文雄首相は「重く受け止めている。オミクロン株によって感染拡大したことが要因だ」との考えを示しました。

 私は、医療ひっ迫が起こり、入院加療など必要な医療が受けられない事態となったことは重大だと指摘し、医療機関の受け入れ態勢の拡充こそ求められているなかで政府が行っているのは病床確保料や診療報酬の縮小で、「コロナに対応する医療機関を支える措置を後退させるもので、やっていることが逆さまだ」と批判しました。

 岸田首相は「5類感染症への変更に伴って、幅広い医療機関でコロナの患者に対応する医療体制に段階的に移行する」と答弁したのに対し、私は「段階的に医療機関への支援を後退させるということだ」と批判し「医療ひっ迫を繰り返さないよう、支援策を維持拡充せよ」と強調しました。

衆議院TV・ビデオライブラリから見る


「議事録」<質疑>

<第211回通常国会 2023年3月29日 内閣委員会 第9号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 新型コロナウイルス感染症の感染者数の増大、それに伴って死亡者数が非常に増えております。波ごとに見ますと、第五波で死亡者の方は二千八百六十五人、第六波で九千七百九十六人、第七波で一万三千五百二十二人、第八波で二万一千四百二人と大幅に増加をしております。特に第六波から第八へと死亡者数が急激に増加をしております。
 総理、深刻な事態ではないでしょうか。
○岸田内閣総理大臣 まず、新型コロナ感染拡大に際して亡くなられた方々の御家族の皆様方に心よりお悔やみを申し上げます。
 その上で、深刻な事態ではないかということですが、内容について今分析をしているところでありますが、いずれにせよ、多くの死亡者が発生したということについては、政府として重く受け止めなければならないと考えています。
 これまでのところ、新型コロナの人口当たりの死亡者数、これはOECD諸国の中でも非常に低い水準に抑えられると承知しておりますが、第六波から第七波にかけて、死亡者の急増については、増加の要因について、感染力が強いオミクロン株の流行により感染が拡大し、さらに、高齢者において基礎疾患の悪化により亡くなられるケースが多くなったことから、死亡者数が増える傾向になっていると承知をしております。
 要は、感染者の数が感染力の強いオミクロン株によって増えた、そのことによって、高齢者の方、あるいは基礎疾患や合併症を持っておられる方、こういった方々の死亡が増えた、こうしたことであると分析をしておるところであります。
○塩川委員 重く受け止めているということで、なぜ死亡者数が増えたのかといった分析のところについては、オミクロンで感染力が強いことで感染者が増加をし、そういう中で高齢者、基礎疾患を抱える方などについての死亡者数が増加をしたというお話でありました。
 でも、元々、医療へのアクセスがどうだったのかというのが問われているわけであります。死亡者数が増加をしたのは、感染者数が大幅に増加をしたことで、医療の逼迫が起こって、入院加療など必要な医療が受けられない事態となったからではありませんか。
○岸田内閣総理大臣 医療へのアクセス、病床の確保等については、昨年来、何段階にも分けて医療の充実に努めてきた。一昨年の夏の医療逼迫を念頭に、病床の数あるいは発熱外来に対するアクセスなど様々な工夫を加えて体制を充実させてきた、こうしたことでありました。感染者数、大幅に増えたわけですが、そうした感染者数の増加に対しても医療体制をしっかり備えていかなければならない、こういった体制の努力はしてきたところであります。
 しかし、オミクロン株については、感染力は非常に強いものの、例えば、自治体からの報告によれば、デルタ株流行期と比べて八十歳以上の致死率が四分の一以下となっているなど重症化が低下しているといった科学的な知見も示されています。
 それだけ感染者の数が多かったからして、こうした死亡者が増えたと認識をしておるところであります。
○塩川委員 致死率が低下をしたとしても、死亡者数が急激に増加をしているところが問題なわけですよね。そういう点では、この間、体制を充実させてきたと言うけれども、それでも死亡者数は急激に増加をしたんです。
 それがそもそもどうだったのかの検証も必要ですけれども、この先の話でいえば、第九波もあります。医療機関の受入れ体制の拡充こそ必要なのに、政府が行っているのは、病床確保料の補助上限や診療報酬特例の重症者対応分を半分に減らすなど、現在のコロナ対応の医療機関を支える措置を後退をさせるものであります。やっていることが逆さまではありませんか。
○岸田内閣総理大臣 コロナ対応については、御案内のとおり、五月から感染症法上の分類変更を予定しております。五類感染症への変更に伴って、幅広い医療機関で新型コロナの患者に対応する医療体制に段階的に移行を進めるとともに、引き続き、重症化リスクのある高齢者等に重点を置いた対応を行ってまいりたいと考えています。感染拡大が生じても、必要な医療が提供されるよう取り組んでまいります。
○塩川委員 幅広い医療機関で対応する、そういう体制にシフトするということも言っているわけですけれども、全国自治体病院協議会の小熊豊会長らは、縮小された病床確保料や診療報酬特例では経営的に成り立たず、コロナ対応から撤退せざるを得ないと考える民間病院が出てくる、そうなれば公立病院のコロナ対応に負荷がかかり、公立病院も診療制限という悪循環に陥ると危惧をしております。医療機関への支援が縮小すれば、かえって担い手は減るということを言わざるを得ません。
 しかも、五月の五類移行後は感染者数や死亡者数はリアルタイムでは明らかにされなくなります。毎日の報道などによると、コロナの死亡者数は最短でも死亡から二か月後という話でありました。これでは機敏に適切な対応が取れなくなってしまうのではありませんか。
○岸田内閣総理大臣 五類感染症への変更については様々な御指摘があるということは承知しておりますが、だからこそ、有識者会議において、段階的に移行することが重要である、こういった点が強調されていると認識をしております。
 段階的に体制を移行していくことによって、感染拡大が生じても、必要な医療が提供されるよう取り組んでまいりたいと考えております。
○塩川委員 段階的に必要な医療支援を後退させるということですから、幾ら司令塔をつくっても、やっていることが間違っていれば何の意味もありません。
 医療逼迫を繰り返さないために、必要な支援策を維持、拡充する政策への転換を求めて、質問を終わります。

<反対討論>
 私は、日本共産党を代表して、新型インフルエンザ等対策特別措置法等改正案に反対の討論を行います。

 新設される内閣感染症危機管理統括庁は、現行の内閣官房コロナ室を、内閣官房長官の下の組織として法定化するものです。

 「庁」の名称を付けていますが、内閣府におかれた金融庁等のような外局ではなく、これまでに例のない「統括庁」であり、行政ラインはコロナ室と同じように官房長官の下にあります。統括庁に置かれる役職のトップの内閣感染症危機管理監は内閣官房副長官から指名し、内閣感染症危機管理監補は内閣官房副長官補から指名するとされており、実質的に現行のコロナ室と変わりません。

 統括庁は、岸田総理が総裁選で掲げた「健康危機管理庁」に合わせて、庁の名前ありきで、組織の名前を架け替えるものだと言わざるを得ません。

 そもそも、インフル特措法は、憲法で保障された基本的人権を制限する私権制限を行うにも関わらず、私権制限の起点となる緊急事態宣言やまん延防止等重点措置を出す要件があいまいで、人権侵害に対する救済措置や経済的措置に対する補償もないという根本問題があります。

 私権制限に関わっては、東京都が2021年にインフル特措法に基づいて行った飲食店への時短命令に対し、東京地裁で違法だとの判決が出されています。特措法は私権制限を伴うものであり、人権侵害に対する救済措置や経済的措置に対する補償の法定化を欠いたままの法改正は認められません。

 合わせて、インフル特措法の運用を含め、政府がコロナ対策を政権の都合で科学的知見を無視して行ってきたことは重大です。全国一斉休校、アベノマスク配布、GoToキャンペーンの延長、濃厚接触者の待期期間の短縮、いずれも専門家の意見を聞かずに行われたものです。

 コロナの感染症法上の5類移行についても、厚生労働省の専門家会議は、医療提供体制の確保が必要との意見であるにもかかわらず、政府は医療機関や高齢者施設への公的支援を縮小する方針です。

 インフル特措法では、有識者が「総理に意見を述べる」場として新型インフル等対策推進会議の設置を規定し、そのもとには分科会が政令で設置されています。にもかかわらずメンバーが会議を開きたいと言っても開いていないのが実態です。

 政府が政策決定を行う際には科学的知見を踏まえるのが当然です。政権にとって都合の悪い知見を遠ざけるやり方は、市民に政府のコロナ対策への不信と混乱をもたらし、感染対策を困難にします。

 以上、これまでの感染症対策への反省と改善もないままに、政治的なパフォーマンスを行うにすぎない本案には反対であることを申し述べ、討論を終わります。

子育て応援3つのゼロ実現を/茨城・石岡市で演説会

 石岡市の演説会で、小松とよまさ市議と訴え!

 住宅・店舗リフォーム助成制度を実現するとともに、122億円という複合文化施設のPFI計画の問題点を追及、白紙に戻させました。なくてはならない議席です。

 学校給食費ゼロ、18歳までの医療費・国保税ゼロ、学校統合に伴う通学バス料金ゼロの実現を!

【内閣委員会】深刻な高齢者施設での留め置き/公的支援の拡充で医療提供体制確保を

 新型コロナの5類移行に伴って医療機関への公的支援を縮小しようとする政府に対し、医療提供体制が不十分である実態を示し、方針を撤回するよう主張しました。 

 私は、コロナの6波以降、高齢者の死亡者数が大幅に増加していると指摘し、高齢者施設が大半を占める社会福祉施設の療養者数について確認。

 厚生労働省は各波のピーク時の人数について「第5波197人、第6波6,110人、第7波15,725人、第8波16,509人」と答えました。

 私は、東京都高齢者福祉施設協議会の調査で、入院が必要として入院調整した陽性者のうち、入院できたのは34%、入院できなかったのが66%にのぼっていると指摘し、「陽性者の施設内療養(留め置き)が感染拡大と死亡者数の増加につながっている」と迫りました。

 厚労省は「高齢者の陽性者や死亡者数が増加しているのは事実だ」と答えたのに対し、私は「入院が必要な人が入院できない実態は重大だ」と強調。

 5類移行に伴う医療機関と高齢者施設に対する財政措置について「現行の措置を減らしたうえで若干の加算をするだけだ。これまでより拡充されるものではない」と批判し、「公的支援を拡充してこそ医療提供体制を確保できる」と主張しました。

衆議院TV・ビデオライブラリから見る


「議事録」

<第211回通常国会 2023年3月22日 内閣委員会 第8号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 前回の質疑で、過去の感染の波、第六、第七、第八波と、死亡者数が大幅に増えていることを指摘をいたしました。コロナ感染による死亡者に占める七十歳以上の高齢者の割合が非常に高いということで、第六波以降は九割以上となっているということであります。オミクロン流行の第六波以降、高齢者の死亡者数が極めて増加をしているということは重大であります。そこで、高齢者施設の感染状況がどうなっているのかについて確認をしたいと思います。
 厚労省にお尋ねしますが、高齢者施設におけるクラスターの発生件数は波ごとで見た場合にはどういう状況になっているのかを教えてください。
○鳥井政府参考人 お答え申し上げます。
 厚生労働省では、地方自治体のプレスリリース等を基に、同一の場で二名以上の感染者が出たと報道等がされている事案の件数を集計いたしております。
 お尋ねにつきましては、政府として、第何波という定義又はその期間を定義はしておりませんけれども、基本的に、一日当たりの陽性者数が最大になった月の前後一か月を含む三か月を一つの波と仮定した場合における、それぞれの波における高齢者施設におけるいわゆるクラスターの件数につきましては、二〇二一年三月からのいわゆる第四波は五百四十八件、いわゆる第五波は二百七十六件、いわゆる第六波、二〇二二年の一月からでございますけれども、三千二百四十四件、いわゆる第七波、二〇二二年七月からの第七波は六千六百六十二件、それから、二〇二二年十月からの第八波は八千九百二十三件と集計してございます。
○塩川委員 クラスターの発生件数、第六波で三千件以上、第七波で六千六百、第八波では約九千件ということで、非常に増加をしているわけであります。
 そういったクラスターの発生によって施設内での感染者が非常に増えているという懸念があるわけですが、高齢者施設内の感染者が病院逼迫に伴い入院できずに施設内療養となる留め置き、これに伴う高齢者施設での療養者数というのは波ごとにはどのぐらいになっているのかについてお答えください。
○大坪政府参考人 お答え申し上げます。
 高齢者施設における療養者数のお尋ねでありますが、入院治療が必要な方はもちろん入院をしていただくわけでありますが、高齢者施設等で療養していただく場合もあることから、高齢者施設についての充実、補助も行ってきたわけであります。
 先生お尋ねの数字につきましては、厚生労働省では、週に一度、調査日時点の入院者数と療養者数について各都道府県から報告をいただいております。その調査の中では、高齢者施設ということで取っている数字ではないんですけれども、社会福祉施設等というところで、その他の障害施設等も含まれた療養者数として把握をしております。
 こういった社会福祉施設における療養者数については、先ほど参考人から申し上げたとおり、一日当たりの陽性者数が最大になった月の前後一か月を含む三か月を一つの波というふうに仮定をした場合の数字で申し上げますと、第二波のときには三十三名、第三波で六百三名、第四波で三百六十九名、第五波、百九十七、第六波で六千百十名、第七波で一万五千七百二十五名、第八波のときのピークが一万六千五百九名という状態でございます。
○塩川委員 高齢者施設を含む社会福祉施設、大半が高齢者施設ではあるわけですけれども、このように大変療養者数が増えております。これは単に、軽度だから療養者として施設にとどまっているということではなくて、病院の逼迫状況の影響も反映をしているということも見なければなりません。社会福祉施設の大半を占める高齢者施設で留め置きが大きく増加をしているということに強い懸念を覚えるわけです。
 ちなみに、このような高齢者施設、社会福祉施設でのコロナ感染の死亡者数というのが波ごとにどうなっているのかというのは、これは厚労省としては把握をしているんでしょうか。
    〔神田(憲)委員長代理退席、委員長着席〕
○鳥井政府参考人 お答え申し上げます。
 コロナ感染症の死亡者の施設ごとの数字については把握してございません。
○塩川委員 是非把握をしていただきたいと思っています。
 例えば、京都府では、第六波から第八波のコロナ死者のうち高齢者施設内で亡くなっていた人が一六・五%に上っていたということがあります。ですから、本当に、重篤なのに入院加療ができずに施設内で亡くなられる方というのがかなりの割合いらっしゃるということでした。
 東京都高齢者福祉施設協議会の調査では、入院が必要として入院調整した感染者のうち、入院できたのは三四%、入院できなかったのは六六%に上ったとのことであります。施設内療養により施設内での感染者数が増加する傾向にあると指摘をしております。死亡者数で見ると、入院先で死亡した人が二十五人で、施設内での死亡が三十六人と、施設内が多くなっているということであります。
 このように、感染者の施設内療養、留め置きというのが感染拡大、そして死亡者数の増加につながっているのではないのかと思うんですが、厚労省はいかがですか。
○鳥井政府参考人 お答え申し上げます。
 最近の感染拡大や死亡者数増の要因というお尋ねでございますけれども、専門家による分析によりますと、いわゆる第八波の感染拡大につきましては、やはり感染者のうち八十代以上の高齢者の占める割合がそもそも高いことや、新型コロナやウイルス感染をきっかけとする併発疾患や合併症の増悪により死亡する高齢者が増加しているということ、それから、冬場は併発疾患や合併症が悪化する時期であるといったことなどが死亡者数の増加につながっていると分析をいただいているところでございます。
 ただ、いずれにいたしましても、最近の高齢者の感染者数や死亡者数が増加しているということは、先ほど申し上げましたとおりでございますので、あるいは、クラスターが多く発生しているというのも事実でございますので、このために、引き続き、高齢者を始めとするハイリスク者に重点を置いた対策というものが必要でありまして、これに引き続き取り組んでまいりたいと考えております。
○塩川委員 入院が必要な人にちゃんと入院できるような体制こそ求められているのに、それが伴っていないということが施設内での死亡者の増加につながっているという点が極めて重大で、この感染拡大期において、重症化リスクのある高齢者に入院加療ができる体制が伴っていなかったんじゃないのかというのが問われていると思うんですが、そこはどうですか。
○大坪政府参考人 お答え申し上げます。
 先生御指摘の、高齢者においての療養でありますけれども、入院が必要な方に関しては、高齢者に限らず入院がされるということが当然であろうかと、適切な入院体制を確保するということは重要であると思っております。
 その一方で、高齢者の方に限らずではありますけれども、療養の場所として、自宅であったりですとか、宿泊施設であったり高齢者施設であったりといったところで療養していただく場合も今般あったということであります。
 今後、五類に見直しをされた後におきましても、先生御指摘のとおり、感染される方が増えるということによる影響は極めて大きいわけでありますので、高齢者施設におきましては、まず陽性者が発生した場合の周囲の者への検査ですとか集中的な検査、これは五類以降も続けることとしておりまして、そういった感染対策のほか、往診やオンラインによる診療や相談、こういった協力医療機関の事前の確保、また、高齢者施設へ職員を派遣する派遣元医療機関への補助、加えて、必要な体制を確保した上で施設内療養を行う高齢者施設への補助、こういったことを手厚くサポートする中で、様々な場を活用して療養を提供するといった体制を確保したいと考えております。
○塩川委員 大臣に質問する時間がなくて残念ですけれども、今話があったんですけれども、五類見直し以降について、財政支援は、医療機関に対しても高齢者施設に対しても、現行の財政措置を減らした上で若干の加算をするだけで、これまでより拡充されるものではありません。これまでの公的支援を後退させず、拡充してこそ、医療提供体制を確保できる、公的支援の縮小、削減方針は撤回をすべきだということを申し上げて、質問を終わります。