登園自粛の認可外保育所/保育料の返還を

 登園自粛の認可外保育所において保育料の返還を求める政府申し入れに同席。

 梅村さえこ前衆議院議員が呼び掛けて、保護者や地方議員が参加。

 同じように登園自粛を行っているのに、無認可というだけで、保育料の返還を認めないのはおかしい。地方創生交付金を使えるといっても、自治体任せでは地域格差が生じます。

 国の要請による登園自粛に対しては、国がしっかりと対応すべきです。


認可外にも支援を/関係者ら保育料返還求める

「しんぶん赤旗」5月30日付・5面より

 新型コロナウイルスの感染拡大で保育園への登園自粛を求められた保護者に対して、認可外保育園や幼稚園の保育料返還を求めて保育関係者らが29日、内閣府、厚生労働省、文部科学省に対して要請を行いました。日本共産党の塩川鉄也、宮本徹の両衆院議員が同席しました。

 参加者は“認可保育園では国の要請で登園しなかった分の保育料は返還される。差別せず認可外も返還してほしい”との保護者の声を紹介しました。

 保育園経営側として横浜保育問題協議会の紺野広巳さんは、「持ち出しで返還している認可外施設もあるが、経営状況は相当厳しい。地域の保育の受け皿がつぶれる」と国の支援を求めました。

 「一律で要請したのだから、子どもに線引きすることも自治体で差がでることも問題」(塩川議員)、「登園自粛を求めたのは政府。返還の方向性を政府が通知するのが筋だ」(宮本議員)と指摘しました。

 日本共産党の梅村さえこ子どもの権利委員会責任者は「コロナ禍で感染予防にみんなが努力している。特別の手だてを」と指摘。参加者は「認可に入りたくても入れないケースも多い。子どもたちを差別するようなことはしないで」と求めました。

 厚労省少子化総合対策室の担当者は「地方創生臨時交付金でまずは自治体で努力していただきたい。認可外は企業として雇用調整助成金の活用を」とのべました。

 要請には、日本共産党の鳥羽恵、竹腰連の両さいたま市議、党ジェンダー平等委員会の坂井希事務局長らが参加しました。

【内閣委員会】黒川氏、カジノ解禁推進/法務事務次官時代

 賭けマージャンを認めて辞職した黒川弘務前東京高検検事長が、法務事務次官時代に安倍政権が強行したカジノ合法化を推進していた問題を追及しました。

 『時評』2017年9月号のインタビューで黒川氏が休日の過ごし方を聞かれ「海外に行った際には個人的な観点でIR(カジノを中核とする統合型リゾート)を視察する」「職業上の関心もかねて」と述べている。黒川氏がインタビュー直前の17年4~5月に、有名なカジノ施設があるシンガポールに海外出張している。IRを視察していたのか、とただしました。

 法務省の山内由光審議官が「訪問先にカジノ施設は含まれていない」と答えたのに対し、私は、3日間の日程の中で、1日目は先乗りで何の日程も入っていない。2日目も3日目も夕方で日程が終わっている。カジノを訪れていたのではないかが問われると主張。

 17年前後はカジノ解禁の議論が進んでいた時だ。賭博・カジノを合法化する解釈変更を法務省が追認したのも黒川事務次官の時であり、「邸肝いり」のカジノ合法化に汗をかいたのがギャンブル好きの黒川氏だったのではないか、と迫りました。

 法務省が、立案作業などに「必要な協力を行ってきた」としか答えなかったのに対し、私は、黒川氏がカジノ合法化に関わった経緯の資料を出すよう要求しました。


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「議事録」

<第201通常国会 2020年5月29日 内閣委員会 15号>

○塩川委員  残りの時間で、黒川弘務元東京高検検事長に関するカジノ賭博問題について質問をいたします。武田大臣にぜひよく聞いていただきたいんですが。
 週刊文春の記事では、黒川さんのカジノ好きは有名でした、韓国やマカオだけでなく、ヨーロッパのカジノにまで、出張の仕事が終われば遊びに行っていた、かなりの好き者ですと述べています。週刊文春でも取り上げている雑誌「時評」二〇一七年九月号に黒川事務次官のインタビューが掲載されています。質問者の、次官は休日などはどのように過ごされていますかという質問に対して、大型犬を飼っているので、車に乗せてあちこちにドライブや旅行に出かけていますね、また、海外に行った際には、個人的な観点でIRを視察するなどもしています、日本でもIR法の議論が本格化し、法務省の施策も依存症対策など複数の分野にかかわりますので、職業上の関心も兼ねて(笑)と述べているわけです。
 法務省にお尋ねしますが、当時法務事務次官だった黒川氏は、職業上の関心も兼ねてIRを視察していたんでしょうか。
○山内政府参考人 記録を確認させていただきましたが、黒川前東京高検検事長によります海外出張におきまして、カジノ施設を訪問先として含むものはございませんでした。
○塩川委員 このインタビュー記事にもあるように、週末の過ごし方の話で、犬の散歩はわかりますよ、だけれども、海外に行ったときにIRに行くというのが週末の過ごし方というところに驚きを覚えるわけです。
 今、海外出張の話がありましたけれども、このインタビュー記事が二〇一七年の八月ですけれども、その直前の二〇一七年四月三十日から五月五日にかけて、黒川事務次官は海外出張をしています。どこに行きましたか。
○山内政府参考人 黒川前東京高検検事長、平成二十九年四月三十日から五月三日までのことでございますが、法務事務次官であった当時でございますが、シンガポール共和国に出張に行っております。それは、国際仲裁に関してシンガポールの政府要人と意見交換などを行ったものでございます。ただ、そのとき、その海外出張における訪問先には、カジノ施設、これは含まれておりません。
○塩川委員 公式日程の話しかされませんから。この日程で三日間もシンガポールに泊まっているんですよ。日程の一日目は先乗りで、何の予定も入っていません。二日目の方には二つの日程だけで、もう夕方はあいています。三日目についても、夕方で行事は終わっているわけですよね。
 こういったように、シンガポールには有名なIR、カジノであるマリーナ・ベイ・サンズやリゾート・ワールド・セントーサがあります。黒川氏は、職業上の関心も兼ねてシンガポールのIR、カジノを視察していたのか、このことが問われるわけであります。
 そこでお聞きしたいのは、黒川氏がインタビューに答えた二〇一七年前後というのはまさにカジノ解禁の議論が進んでいたときであります。安倍政権肝いりで、二〇一六年十二月にカジノ解禁法案が強行採決をされました。二〇一七年八月、このインタビューが行われた時期でもありますが、IR推進会議取りまとめでカジノ実施の制度設計が決定されました。そして、二〇一八年七月にカジノ実施法案が強行採決をされた。
 この間、黒川氏は一六年七月から一九年まで事務次官を務めています。これまで違法とされていた賭博、カジノを合法化をする解釈変更を法務省が追認したのも黒川事務次官のときだったわけであります。官邸の肝いりのカジノ合法化に汗をかいていたのがギャンブル好きの黒川氏だったということになるんじゃないですか。
○保坂政府参考人 お答えします。
 ちょっと、御質問の趣旨があれでしたけれども、法務省がIRの関係で、これまで、政府としての立案作業においては、必要な協力を省としてあるいは刑事局としてもさせていただいております。
 我が法務省刑事局といたしましては、刑法を所管しています、賭博罪が規定されている刑法を所管しておりますので、IR整備法の立案過程においてその観点、つまりIR推進法の附帯決議で示されたいわゆる八要素というのがございますけれども、その観点から、その趣旨に沿った制度設計がなされているかどうかということから必要な協力を行ってきたものでございます。
○塩川委員 今まで、法務省は違法性の阻却の要件を挙げて、それは無理なんですとなっていたんですよ。それをひっくり返したというのがあのカジノ解禁法だったわけで、その審議に法務省として手をかしていたのが黒川事務次官だ、ギャンブル好きの黒川さんのもとでギャンブルが推進されたということを言わざるを得ません。
 黒川氏のカジノ合法化にかかわった経緯について資料の提出を求めると同時に、安倍政権の国政私物化に手をかすこういう官僚の特別扱いをやめて、検察庁法改正案は撤回をし、黒川氏の検事長勤務延長の閣議決定を撤回することを求めます。
 その上で、もう一つ。
 過去五年間において、一般職公務員が賭博で懲戒処分された事例は、人事院によると、平成二十七年に五人、平成二十九年に五人であります。平成二十七年の懲戒処分は法務省の事例と承知をしています。どういう事件だったのか、法務省として調査報告の作成とか全国的な横展開の再発防止策をとったのか、この点についてお答えください。
○西山政府参考人 お答えいたします。
 委員御指摘のとおり、法務省職員につきましては、平成二十七年一月に、福岡刑務所の職員五名につきまして、免職、停職、減給又は戒告とした例がございます。
 具体的には、多数回にわたり、賭客として野球、サッカーの試合を対象に多額の現金をかける賭博を行ったほか、現金一千六百万円以上をかける賭博の胴元となるなどして利益を図った職員を免職、多数回にわたり、賭客として野球、サッカーの試合を対象に現金一千万円以上をかける賭博を行ったほか、現金百六十万円以上をかける賭博の胴元となるなどとして利益を図った職員を停職六月、多数回にわたり、野球、サッカーの試合を対象に現金六百万円以上をかける賭博を行った職員を停職三月、複数回にわたり、野球、サッカーの試合を対象に現金約百五十万円をかける賭博を行った職員を減給一月百分の二十、三回にわたり、野球の試合を対象に現金十三万円をかける賭博を行った職員を戒告とした例があるものと承知をいたしております。(塩川委員「法務省の調査報告、再発防止策はどうなっているの」と呼ぶ)
 この処分にかかわります調査は当然行っております。また、対策、防止策はとられたものと承知しております。(塩川委員「報告書を出したのか」と呼ぶ)
○松本委員長 ちょっと勝手にやらないで。一度席に帰ってください。
 塩川鉄也君、質問してください。
○塩川委員 いや、さっきの質問、調査報告、全国展開するような再発防止策、行ったのか。
○西山政府参考人 本件につきましては、福岡刑務所を監督する法務省矯正職員及び地方支分部局である福岡矯正管区職員による特別監査を実施し、再発防止に必要な措置をとったということでございます。
○塩川委員 調査報告書をつくっていないんですよ。かかわる福岡とかあの範囲の再発防止策しかしていなくて、全国展開していないんですよね。こういった重大な事件に対して、法務省として調査報告も行わなければ再発防止策についても示していない。
 このとき、職員の不祥事事件を取り扱う官房長は誰かといえば黒川氏であります。黒川氏そして法務省は賭博に甘い官庁だと言わざるを得ない、このことを指摘をして、質問を終わります。

【内閣委員会】信号機撤去は見直せ/設置に予算措置を

 信号機撤去計画の見直しと、信号機設置に必要な予算措置を求めました。

 警察庁は信号機設置指針と信号機合理化等計画(2019~23年度)を策定し、老朽信号機の更新費用を抑制しています。これに基づき都道府県警察が撤去が妥当と判断した信号機が2883機あります。(19年末時点)

 広島市や滋賀県高島市では小学校通学路の信号機が撤去対象となり、保護者や党市議らの住民運動で撤去を見直させた。歩行者優先の原則が順守されず、信号機なしでは安全に横断できない現状がある。通学路の信号撤去はやめるべきだ。

 武田良太国家公安委員長は、地域住民の理解を得ることが重要だと述べ「十分に周知が図られるべき」と答えました。

 また私は、撤去計画そのものが住民に知らされていないと批判。

 警察庁の北村博文交通局長は周知不足の指摘に反省しなければならないと述べ、自治会や学校を通じて住民や保護者らに説明するなどの手だてを尽くすと答えました。

 私は、信号機設置指針が撤去を進め、新設を抑制する障害ともなっていると批判。指針の見直しと予算確保が必要だと強調しました。

↑ 質問で使用した配布資料(クリックで拡大します) ↑

 警察庁は「信号機合理化等計画」(2019年度~23年度)を都道府県警察に対して出し、老朽信号機の更新費用抑制のために、信号機を削減するよう求めています。警察庁は設置の必要性を重点的に点検する信号機を少なくとも3割程度選定(全国で約6万機)するとし、都道府県警察は2019年末時点で16,841機の点検を行い、その内2,883機の信号機の撤去が妥当としています。

 質問で使用した配付資料は、都道府県警察が警察庁に報告した「信号機合理化等計画」を基に塩川事務所で作成しました。

 質問では、広島市や滋賀県高島市では小学校の通学路の信号機が撤去対象となり保護者や党市議らの住民運動で撤去の見直しをさせたことを指摘し、「通学路の信号撤去はやめるべきだ」と迫りました。また、信号機撤去計画の見直しと、信号機の設置に必要な予算をつけることを求めました。


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「議事録」

<第201通常国会 2020年5月29日 内閣委員会 15号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 今回の道路交通法改正案には賛成であります。
 きょうは、警察庁が進める信号機合理化等計画についてお尋ねをいたします。
 警察庁は、政府インフラ長寿命化計画に基づき、二〇一五年三月に警察庁インフラ長寿命化計画を策定しました。その中で信号機の適切な管理を位置づけ、二〇一五年十二月に信号機設置指針を策定しました。これらを踏まえ、警察庁は二〇一九年三月に、信号機合理化等計画、一九年度から二三年度までの五年間を期間とする計画策定を求める通達を出して、全国の都道府県で信号機の撤去計画が策定されています。
 そこで、警察庁にお尋ねします。
 信号機の今の総数、それから信号機設置指針の基準に基づき、二〇一九年十二月末時点の点検箇所数、そのうち撤去が妥当と考えられる信号機数はそれぞれ幾つか、お答えください。
○北村政府参考人 お答えを申し上げます。
 平成三十年度末時点で、全国において二十万八千二百五十一基の信号機が整備されております。
 警察庁におきましては、信号機の計画的な更新が行われるよう、都道府県警察に対して、設置当時から交通実態が大きく変化するなど、信号機設置の指針に照らしてその設置の合理性について重点的に点検を行う必要性の高い信号機の選定を求めました。先ほどお話もありました、昨年三月でございます。その結果でございますが、令和元年末時点におきまして、全国で六万六百十八基が選定されており、そのうち一万六千八百四十一基について点検が行われてございます。
 その点検結果でございますが、撤去や移設をすることが妥当であると報告を受けております信号機が二千八百八十三基ございます。そのうち、令和元年度中に撤去や移設が計画されていた信号機は六百四十六基となってございます。
 なお、過去の信号機の撤去数は、平成二十八年度が五百三十八基、平成二十九年度が六百九十八基、平成三十年度が六百七十五基となってございます。
○塩川委員 今答弁にありましたように、多数の信号機の撤去計画が立てられています。
 資料をお配りしました。
 全国の二十万八千二百五十一に対して、実際に点検をしている箇所数が一万六千八百四十一。その一万六千八百四十一に対して、撤去、一部移設とかというのはありますけれども、撤去が妥当とされる信号機が二千八百八十三もあるということなんです。都道府県ごとで見ていただくと、皆さんの御地元にもこういうところがあるかもしれません、ぜひお聞きいただければと思いますが。
 こういった撤去計画が立てられている場所では、その中には、小学生の通学路となっている横断歩道の信号機も撤去対象となっています。この通学路となっている横断歩道の信号機を撤去対象にするというのは、これは住民の理解が得られないんじゃないでしょうか。こういった通学路の信号機の撤去はやめるべきじゃないのかと思いますが、国家公安委員長、武田大臣、いかがですか。
○武田国務大臣 さまざまな声が届いているのは確かでありますけれども、信号機の設置も、これは交通規制の手段の一つであり、交通実態に的確に対応するとともに、地域住民の理解を得ることが重要だと考えております。
 そこで、各都道府県警察におきましては、それぞれの都道府県の将来を見据えた持続可能な交通安全施設等のあり方について、部外の有識者等を招いて検討を進めているところであります。このような検討の結果等も踏まえ、全体としての信号機の設置の合理化の必要性について各地域における理解を深めるとともに、個別の信号機の移設や撤去についてもそれぞれの地域において十分に周知が図られるべきもの、このように考えております。
○塩川委員 いや、そんな周知されていないんですよ。
 例えば、広島市中区白島地区では通学路の信号機の撤去計画があった、あるいは私がお聞きした滋賀県の高島市でも通学路の信号機の撤去計画が示されて、住民の皆さんにほとんど伝わっていなかったと。そういった際に、いや、それは困るという地域住民の方の運動と我が党の議員の働きかけで、そういう撤去計画を見直しをさせてきたという経緯があります。
 歩行者優先の原則や横断歩道の一時停止が遵守されていないもとで、信号機がなければ道路を安全に横断できない現状があります。こういったときに、やはり通学路の信号機は残してくれという当然の要求が地元からあれば、それをしっかりと受けとめて、その住民の声に応えるということが必要じゃないですか。それは約束してもらえますか。
○北村政府参考人 お答え申し上げます。
 個別の案件におきまして住民への周知が足りないものがあるという御指摘につきましては、私どももしっかりと向き合っていかなければならないと反省いたしてございます。
 先ほど御説明にもありました昨年三月の通達におきましても、いたずらに必要性のある信号機の撤去、移設を求めるものではない、撤去等に当たっては、地域住民や道路管理者等の関係者と十分に調整を行うこと、特に地域住民に対しては、信号機の必要性が低下した状況や撤去後の安全性について説明を行うなどしてその理解を求めることと指示しているところでございまして、その趣旨、不徹底でありますれば更に徹底してまいるように努めてまいりたいと考えております。
○塩川委員 率直に言って、そういうのが徹底されていない現状というのがあるんです。
 というのも、撤去がどこで行われるのかという計画そのものが知らされていないんですよ。ですから、実際に信号機の撤去計画を各都道府県警でつくった場合に、どこが撤去の対象となるのか、こういうことが知らされなければ意見の上げようがないじゃないですか。その辺が極めて不徹底だという実態があるわけです。
 ですから、都道府県警の方で、各警察署でそういう計画をつくった場合では、それが住民に知らされていないことが一番の問題で、該当地域でチラシを配布をして、通学路であれば保護者の方のエリアに学区単位できちっとチラシを届けるとか、その場合の意見を聞く住民の説明会を行うとか、あるいは、当然やらなくちゃいけないのは、例えば警察のホームページ上に、こことここはこの合理化計画で撤去の対象としていますけれども御意見を下さいとか、こんなことは最低限やるべきことで、こういう説明責任を具体的に果たす必要があるんじゃないですか。
○北村政府参考人 お答え申し上げます。
 一部繰り返しにはなりますけれども、撤去等に当たりましては、地域住民また道路管理者等の関係者と十分に調整を行うこと、特に地域住民に対しては、信号機の必要性が低下した状況でありますとか撤去後の安全性について説明を行うなどしてその理解を求めることとしておりますので、そういうことが十分に行われていないことのないように、我々も心していく必要があると考えてございます。
○塩川委員 その周知の方法はどうするんですかと聞いているんですよ。
○北村政府参考人 お答え申し上げます。
 地域のそれぞれの状況に応じまして異なると存じますので一概に申し上げることはできませんけれども、先ほどお話のありましたような、通学路となっているところにおきまして信号機を撤去するということであれば、学校を通じまして保護者の方々にも御連絡を差し上げるということになると存じますし、特定の施設、例えば高齢者の方々が利用される福祉施設の前の信号機を撤去するということになれば、そこの利用者の方々にも御理解をいただけるように、そういう施設の関係者を通じてのお話をさせていただくということもあると存じます。また、地域の代表者としての自治会というようなものがあればそういうところを通じての周知を図る、あるいは御意見を承るということもあると存じますが、これもまた一概に誰に対してということはなかなか線引きは難しいものと存じますけれども、そういう理解を得るため、周知するための手だてを尽くしていかなければならないと考えてございます。
○塩川委員 この点でも、きちっと周知徹底を図るということは最低限の行うべきことだと思います。
 やはり、そもそも、こういった合理化計画が求められるというのは、もちろん老朽更新での費用の増大が当然あるわけですけれども、一律に減らすということを前提の計画の立て方はおかしい。そういう点では、この警察庁が示している信号機の設置指針というのがいわば撤去を優先するという仕組みになっていると同時に、信号機を新しくつくる、必要なところに信号機を新設するという点での障害ともなっているという点で、信号機設置指針の見直しを求めると同時に、武田国家公安委員長、信号機設置に係る事業費が全国的に減少傾向にある、必要な予算の確保が必要じゃないのか、この点について御答弁をお願いします。
○武田国務大臣 交通規制というものを適切に行い、交通の安全と円滑を確保するためには、信号機、道路標識、道路標示等の交通安全施設を適切に設置、管理することが重要だと考えております。
 国において半額を補助しています特定交通安全施設等整備事業につきましては、令和二年度当初予算として二百二十一億円、これは対前年度比八・一%、十六億円ふえました、を計上しているところでありますけれども、今後も、交通の安全と円滑を図るために、必要な予算が確保されるよう努めてまいりたいと考えております。
○塩川委員 必要な予算の確保と同時に、この信号機設置指針の見直しを強く求めるものです。

【内閣委員会】黒川氏処分/訓告ありきのお手盛り

 賭けマージャンをした黒川弘務前東京高検検事長の「訓告」処分にいたる法務省調査について追及し、法務省と内閣の協議の経過を明らかにするよう求めました。

 私は、法務省の調査結果では、黒川氏が5月1日、13日での賭けマージャンを認める一方、「朝日」「産経」は4月にも複数回行っていたと公表していると指摘。黒川氏に、4月の件は確認したか、とただしました。

 法務省の保坂和人審議官は、「3年前から月1~2回程度賭けマージャンを行っていた」としか答えませんでした。

 私は、法務省が訓告とした対象事実は5月1日と13日の2回だけだと指摘。4月の複数回が反映されずに処分している、と批判しました。

 また、『週刊文春』で元ハイヤー運転手が、黒川氏が7~8年前に賭けマージャンをしたとの証言について、黒川氏に確認したかを質問。

 保坂審議官は、本人確認はしたとは答えませんでした。

 きわめてずさんな調査だ。限定した条件の中でしか調査せず、それを受けての訓告だ。結局、訓告に収まるような調査しか行っていない。その上、処分が決定されたプロセスに関して森雅子法相は「内閣と協議した」と述べている点について、内閣とは具体的に誰か、と質問。

 法務省は一切明らかにしませんでした。

 私は、菅義偉官房長官に対して処分に関する過程で説明を受けたかを質問すると。

 菅官房長官は「ない」と答弁。

 私は、幹部人事の職責は官房長官が持っている。にわかに信じがたい。これらの経過について報告するよう求めました。

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「議事録」(質疑)

<第201通常国会 2020年5月27日 内閣委員会 14号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 きょうは、黒川弘務東京高検検事長のかけマージャン問題に関連して質問をいたします。
 法務省に最初にお尋ねしますが、法務省は、週刊文春の記事の真偽につき、関係する報道機関の公表内容の確認及び黒川検事長本人からの事情聴取といった調査を行った調査結果を報告しています。この調査結果では、五月の一日と五月十三日に、かけマージャンを行ったことを認めています。また、約三年前から月一、二回程度、かけマージャンを行っていたことを認めています。
 そこで、お尋ねしますが、一方で、朝日新聞社員についての朝日新聞の公表においては、五月一日と十三日だけではなく、四月十三日と二十日にも、かけマージャンを行っていたことを認めています。産経新聞社員について、産経新聞は、新型コロナウイルスによる緊急事態宣言が出された四月七日以降で、五回程度、かけマージャンを行っていると認めています。つまり、五月の二回を除くと、四月に複数回、かけマージャンを行っていた。
 こういったことについては、黒川氏に確認をされましたか。
○保坂政府参考人 法務省におきまして、処分を行う前に行いました調査といたしまして、今委員からも御紹介がございましたが、過去のかけマージャンに関しまして聴取して調査をした結果、三年前から月に一、二回程度ということが認定されたということでございます。
 今、各報道機関から公表された内容というのがございましたが、いずれにしても、我々の調査におきましては、具体的な日付を特定してのものには至っておりませんので、その複数回、三年前から月に一、二回程度あったという点で、報道機関が公表した内容と矛盾するようなものではないというふうに考えておるところでございます。
○塩川委員 いや、ですから、朝日も産経も、四月に複数回、かけマージャンを黒川さんと一緒にやっていましたと認めているじゃないですか。そのことについて確認はしていないんですか。
○保坂政府参考人 繰り返しで恐縮ですが、黒川氏からの聴取した結果につきましては、三年前から月に一、二回程度行っていたということでございます。それで、日付が特定できる形で確認されたのが、五月一日ごろと五月十三日ごろというのが我々の調査した内容であり、その結果でございます。
○塩川委員 朝日ですと、四月の十三日と二十日にも、かけマージャンを行っていたと認めているんです。四月十三と二十日について、黒川さんはかけマージャンをやっていましたというのは確認しなかったんですか。
○保坂政府参考人 先ほど申し上げましたように、その処分をする前提として、処分をする前に行った調査の結果、確認できたのは、三年前から月に一、二回程度、かけマージャンを行っていたということと、五月一日ごろと五月十三日ごろに行ったということでございます。
○塩川委員 いや、産経新聞、朝日新聞は、具体的に四月のかけマージャンを認めているんですよ。だけれども、この調査結果、検討結果というのは、四月分のかけマージャンの日程について何ら書いていないんですよ。そして、この結果を踏まえた訓告においても、事実関係として、五月一日と十三日の二回にわたり、金銭をかけてマージャンを行ったというだけで、四月の日程が書いていないじゃないですか。
 つまり、訓告においては、四月での複数回のかけマージャンということが反映されないで訓告をしているということですね。
○保坂政府参考人 先ほど申し上げましたように、日付が特定してのかけマージャンということでいいますと、五月一日と五月十三日でございますが、三年前から月に一、二回程度という事実を認定いたしまして、この事情を考慮した上で今回の措置を相当としたものでございます。
 御指摘の報道にございますような、例えば四月に二度マージャンを行ったということもあり得るということも考慮した上で、今回の措置を相当としたものでございます。
○塩川委員 それはおかしいんじゃないですか。訓告は、五月一日と十三日の二回のかけマージャンのことしか書いていないんですよ。四月の話もなければ、三年前からも毎月複数回やっているというのは、何にも書いていないじゃないですか。おかしいんじゃないですか。
○保坂政府参考人 私どもで公表させていただいています職責の検討結果につきましては、その直接の処分対象事実といたしましては、五月一日ごろ及び十三日ごろの二回にわたってのかけマージャンということでございますが、その職責を検討する中で、その事実、その機会以外にも、金銭をかけたマージャンについては、日付を特定した形での事実の認定には至らなかったが、三年前から月に一、二回程度、金銭をかけたマージャンを行っていたことが認められるとした上で、以上によれば、その前記行為というのはまことに不適切であったという評価をしているところでございます。
○塩川委員 いや、訓告に至る事実経過として、四月のことは書いていないでしょう。三年前からということも書いていないんですよ。五月の二回という事実認定で訓告にしているんです。三年前からと言うけれども、訓告には何にもそこは書いていないんですよ。それでどうしてまともな訓告という処分、訓告という処分そのものはまともじゃないけれども、こういう訓告という形になるんですか。
 皆さんの事実経過も含めて、これでは納得いく説明になっていないんじゃないですか。
○保坂政府参考人 法務省が五月二十一日付で、その日付の書面でございますが、検討結果という書面を、今、私はこの手元に持っておるわけでございますが、そこにおきまして、調査結果を踏まえた職責のあり方ということを検討している項がございます。
 今私が読み上げましたのは、五月一日ごろ及び五月十三日ころ以外の機会における金銭をかけたマージャンについては、具体的な日付を特定しての事実の認定には至らなかったものの、記者A、記者B及び記者Cとともに、約三年前から月一、二回程度、金銭をかけたマージャンを行っていたことが認められるという記載がございます。二ページのところでございます。その上で、以上によれば、黒川検事長による前記行為はまことに不適切であったと認められるというふうに記載がございます。
○塩川委員 訓告には何にも書いていないんですよ。訓告には五月の二回しか書いていない、事実認定として。それがおかしいと言っているんです。そもそも、訓告ということ自身が納得のいく処分ではないわけですけれども。
 三年前からということが事実経過として調査結果、検討結果の中にも書かれているわけですけれども、でも、週刊文春の記事の真偽について調査したというのであれば、週刊文春には、ハイヤーの運転手さんの話として、七、八年前に、かけマージャンを黒川氏が行っていたということを認める指摘があるわけですよ。
 三年前じゃなくて、七、八年前はどうだ、こういうことについてははっきりと確認されているんですか。
○保坂政府参考人 繰り返しで恐縮でございますが、黒川氏のかけマージャンにつきましては、先ほど申し上げた調査の結果、過去のマージャンでございますが、三年前から月一、二回程度ということを認定した上で、それをも加味して処分を決めたものでございます。
 御指摘の報道にございます、七、八年前のマージャンというのが確かに報道にはございますが、元ハイヤーの運転手の方の証言ということでございますけれども、その方を特定することは困難でございますし、また、その方が直接そのマージャンを見たというわけでもない、かつ、七、八年前に金銭をかけたマージャンがあったといたしましても、この処分を変更するような事情ではないということでございますので、私どもとしては、それを更に調査するということは必要ではなかろうと考えておるところでございます。
○塩川委員 いや、ハイヤーの運転者さんを特定しなくても、皆さんの調査手法として、週刊文春の記事の真偽につき、黒川検事長本人からの事情聴取といった調査を行うというふうになっているわけですよ。だから、聞いたのかどうか。
○保坂政府参考人 私どもの調査した結果につきましては、その書面に記載したとおりの結果でございまして、その認定された結果の事実は、三年前から月に一、二回程度行っていたというものでございます。
○塩川委員 調査したと言えないんですよ。調査したと言えないんです。極めてずさんな調査だ。限定した条件の中で調査をしている。それさえやっていないというのが、この法務省の調査結果、検討結果、それを受けた処分である訓告だという点でも、全く納得のいくものじゃありません。
 結局、訓告におさまる範囲になるような調査しか行っていない。こういう対応では国民の理解は得られないということは、強く指摘をせざるを得ない。
 そこで、こういった訓告の処分に当たって、内閣の関与の問題であります。
 法務省は訓告が相当と考え、検事総長は訓告が相当であると判断したということですが、その前提として、法務省は、内閣への協議、報告を行っています。五月二十五日の参議院の決算委員会で、森大臣は、法務省において調査をする過程において、当然、内閣にもその旨報告をし、協議をしている、当然、任命権者は内閣でありますので、黒川検事長の調査結果等について協議をするのは当然です、事務的に調査の経過について、途中経過等も報告をし、協議をしていたと述べています。
 つまり、訓告という決定をする前に、その過程において協議、報告を内閣に対して行っていたということを森法務大臣は答えているわけですけれども、法務省にお聞きしますが、法務省が調査をする過程において、内閣への協議、報告を行っていると言いますが、調査の過程において協議、報告を行っている相手方の内閣というのは、具体的に誰なんですか。
○保坂政府参考人 改めて、ちょっと時系列も含めて御説明させていただければと思いますが、黒川氏の処分につきましては、法務省として、調査結果を踏まえて、訓告が相当であると考えました。それで、検事長の監督者であります検事総長に対して、法務省が行った調査結果とともに、法務省としては訓告が相当と考える旨を伝えまして、検事総長におきましても、訓告が相当であると判断したものでございます。
 したがいまして、黒川氏の訓告という処分内容を決定いたしましたのは、あくまで法務省と検事総長でございます。
 そして、それを任命権者である内閣に報告いたしましたところ、法務省としての決定に異論がない旨の回答を得ました。そこで、改めて検事総長に対して、訓告が相当であることを伝えまして、検事総長から訓告の措置がなされたものでございます。
 その上で、総理に対しては、最終的に、調査結果及びこれを踏まえて処分したこと、及び辞意が表明されたのでこれを了解したことを法務大臣から報告いたしまして、法務省の対応について了承を得たというのが経過でございます。
 法務省及び検事総長が処分を決定するまでの過程におきまして、先ほど委員からも言及がございましたが、法務省から内閣に対して、事務的に、調査の結果の報告、先例の説明、処分を考える上で参考となる事情の報告等を行ったところでございます。
 まず、法務大臣が二十二日の記者会見で、内閣において決定された旨の発言をしましたが、これは、法務省及び検事総長が訓告が相当と決定した後に内閣に報告したところ、その決定に異論がない旨の回答を得たことを申し上げてございまして、今委員が御指摘ございました二十五日の参議院決算委員会における法務大臣の、内閣と協議したという答弁につきましては、法務省と検事総長が処分を決定するまでの過程で、先ほど申し上げました、法務省から内閣に対して、事務的に、調査の経過等の報告を行ったことを申し上げたものでございます。
 その上で、委員お尋ねのその経過等の報告を申し上げた部署につきましては、これは個別の人事のプロセスに関するものでございますので、今申し上げた以上の詳細については差し控えさせていただきたいと存じます。
○塩川委員 全く余計な説明をして、時間だけ潰させる、とんでもない。
 私は、別に報告じゃなくて、協議の話を聞いているんですよ。調査をする過程において、内閣にも協議をしている。内閣と協議しているんですよ。協議の相手として誰なのかということを聞いているんです。
 もう一回、個別の人事のプロセス云々という話じゃ納得できるものじゃないですから、どこの組織なのか、機関なのか、担当者なのか、はっきり答えてください。
○保坂政府参考人 委員からは、今、協議をしたということでございましたけれども、法務大臣が二十五日の参議院決算委員会で申し上げたその協議をしたということの意味につきましては、法務省と検事総長が処分を決定するまでの過程において、法務省から内閣に対して、事務的に、調査経過の報告等を行ったことを申し上げたものでございます。
 それをどの部署で行われたかということにつきましては、先ほど申し上げたとおり、個別の人事プロセスに関するものでございますので、詳細については差し控えさせていただければと思います。
○塩川委員 全く説明になっていません。これは、途中経過についても協議をしていたと言っているんですよ、二十五日に。その説明が何にもないじゃないですか。
 先ほどの衆議院の法務委員会で黒岩議員が質問されていましたけれども、この協議をしている相手方の内閣とは誰なのかというのについて、内閣のしかるべき窓口と協議、内閣のしかるべき担当者と協議ということで言いましたけれども、これは、内閣官房のしかるべき担当者、しかるべき窓口ということですか。
○保坂政府参考人 今申し上げたように、詳細についてはお答えを差し控えさせていただきたいと思います。もしそのような答弁がなされていたとすれば、しかるべき担当ということになろうかと思います。
○塩川委員 一番の問題じゃないですか。どういうふうに官邸が関与していたのかといった際に、この問題について誰が関与したのか。内閣官房の職員、例えば、内閣総務官の担当とか、内閣人事局の担当とか、官房副長官とか、そういう具体的な官職を含めて明らかにするということなしに、国民の理解は得られないですよ。そんないいかげんな答弁で済ますわけにいかない。もう一回。
○保坂政府参考人 繰り返しで恐縮でございますが、法務省から内閣に対して、事務的に報告等を行ったということでございまして、これ以上の詳細については差し控えさせていただければと思います。
○塩川委員 国民に真実を語らないということ自身が問われる問題です。
 じゃ、ちょっと角度を変えて聞きますけれども、内閣が任命権者となっている人事について、処分の手続を行うときには、これは内閣においては誰が担当するのか。これは、内閣官房審議官、教えてもらえますか。
○大西政府参考人 失礼をいたします。お答えを申し上げます。
 任命権を内閣が有する者につきまして、国家公務員法に基づく懲戒処分を行うという場合につきましては、通常、所属長として、所属省庁の長として行政事務を分担管理されております国務大臣が処分案の閣議請議を行いまして、閣議において懲戒処分を決めることといたしております。
 こういう閣議請議が行われる場合につきましては、窓口となりますのは、私ども内閣官房の内閣総務官室ということになってございます。
○塩川委員 閣議請議がかかる、閣議にかかる案件であれば内閣総務官室ということになるので、そうならないような案件、今回の場合においても、当然、内閣が懲戒処分の権限を持っている、一方で、法務大臣が監督上の措置として、今回のように訓告とかを行っている。
 懲戒処分なのか、訓告という監督上の措置なのか、この辺をどういうふうにすり合わせるのかということは、当然、内閣側と法務省側で調整が必要なわけです。
 そういった調整、すり合わせをする、そういう手続というのはどうなっていますか。
○大西政府参考人 失礼いたします。お答えを申し上げます。
 先ほど申し上げましたように、そうした閣議請議があった場合には内閣官房内閣総務官室で承るわけでございますが、今回の場合には、法務大臣からそうした閣議請議が行われませんでしたので、閣議の手続を行う内閣総務官室といたしましては、法務省からは特段お話はなかったということでございます。
○塩川委員 いや、事前の協議という話、この処分に至る調査の過程において、内閣と協議をしていたと言っているわけですよね。その場合に、実際に、内閣での懲戒処分、一方で、法務省での訓告とかの監督上の措置、その辺をどうすり合わせるのかということは当然必要なわけですけれども、その手続のルールはどうなっているか。
○大西政府参考人 先ほどの答弁に、繰り返しになるところもあろうかと思いますけれども、御容赦をいただければと思います。
 内閣と法務省の個別のやりとりにつきましては、人事のプロセスの詳細でございまして、法務省の審議官からも御答弁がございましたのと重なるところもございますけれども、答弁は差し控えさせていただきたいと思います。
○塩川委員 こんなやりとりでは、納得いくものになりません。
 官房長官にお尋ねしますが、官房長官は、この黒川氏の処分について、法務省あるいは検事総長として訓告ということでの対応をするといったことについて、官房長官として、この黒川さんの処分について協議あるいは報告を受けたか、そうであれば、それはいつかについて教えていただけますか。
○菅国務大臣 まず、黒川氏の処分については、法務省と検事総長において必要な調査を行った上で、訓告が相当であると判断をし、処分を決定したものというふうに承知をしています。
 この黒川氏処分の内容についてでありますけれども、私に対して大臣から報告があったのは、たしか当日の夕方だったと思います。そこで、法務省及び検事総長において訓告と決定をした、そうした報告がありましたので、それについて理解をしたということであります。
○塩川委員 大臣から報告を受けた、当日の夕方という話ですけれども、内閣官房の事務を統括しているのは官房長官であります。ですから、こういった黒川氏の処分の問題について、法務省と内閣が調査の過程で協議をしているといったことについて、官房長官のもとに、法務省から協議、報告を受けていた内閣官房のスタッフから、途中経過について説明を受けたことはありませんか。
○菅国務大臣 ありません。
○塩川委員 そのまま受け取るということは、我々としてはできない。
 それは、この一連の幹部人事のプロセスの話があります。前も少し議論したことがありましたけれども、大臣が任命権者である幹部職員の任命に当たっては、幹部人事一元管理における任免協議等に関し、内閣として適切に対応するため、人事検討会議が行われています。内閣官房長官及び三人の副長官を構成員として内閣官房長官が開催をする会議です。
 検事長の任命権者は内閣であって、所管大臣ではありませんが、同様のスキームとして、内閣が任命権者となるような幹部人事について、このような処分にかかわるような案件は、官房長官が御担当になっているんじゃありませんか。
○菅国務大臣 通常の人事の中ではその検討会議等も行いますけれども、今回は全くそうしたことも行っていません。
○塩川委員 これは、具体的に、内閣とそれから法務省の間でこの処分のあり方について協議というのが実際に行われているというような森大臣の答弁があったわけですから、そういったことについて、当然のことながら、この人事に係る職責として官房長官がお持ちでありますので、そういった点での関与が全くなかったということはにわかに信じがたいわけで、そういう点でも、法務省から、あるいは内閣官房の担当者から、こういった経過についての報告がどうだったのか、こういったことについてぜひ当委員会に提出をいただきたい。委員長にお取り計らいをお願いします。
○松本委員長 後ほど、理事会にお諮りいたします。
○塩川委員 終わります。

【内閣委員会】個人情報守られない/保護法改定案に反対

 私は、個人情報保護法改定案の反対討論で、審議中に、改定案では就活生の内定辞退率を算出して採用企業に販売したリクナビ問題のような事例が起きないと答弁できなかったと指摘。個人の権利・利益が守られるものになっていないと批判しました。

 また、個人情報の利活用を進める新制度である「仮名加工情報」は、法律上の保護の対象である個人情報も含まれるにもかかわらず、本人同意なしの利活用を可能とし、権利侵害があっても利用停止すら求められない。保護が伴わない利活用では、プライバシー侵害の恐れが高まり、認められない。

 安倍政権は各種法制定で個人情報をもうけの種にした成長戦略を行い、経団連など経済界の身勝手な要望を優先し、個人の権利保障はないがしろにしたと指摘。プライバシーを守る権利は基本的人権。必要なことは、『忘れられる権利』など本人が個人情報をコントロールできる仕組みにすることだ。

 個人情報保護法改定案は28日の衆院本会議で、採決。自民党、公明党などの賛成多数で可決しました。日本共産党は反対。個人情報を一元管理する都市をつくる「スーパーシティ法」が成立するなど、安倍政権は企業が個人情報を利活用しやすい仕組みをつくっています。

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「議事録」(反対討論)

<第201通常国会 2020年5月27日 内閣委員会 14号>

○塩川委員 私は、日本共産党を代表して、個人情報保護法改正案に反対の討論を行います。  昨年、リクナビが就活生の閲覧履歴等から内定辞退率を算出し、採用企業に販売していた問題が社会に強い衝撃を与えました。このような中で提案された本案ですが、審議の中で、この改正により今後リクナビ問題のような事例は起きないと政府は答弁できなかったのです。  また、政府は、違法、不当な行為を助長、誘発するおそれがある方法での個人情報の利用禁止や、個人の権利又は正当な利益が害されるおそれがある場合に利用停止請求権を認めること等を追加したことで、個人の権利を拡大したと説明します。しかし、そのおそれとは何か、基準を一切示しませんでした。本案では、個人情報の消去、利用停止権、いわゆる忘れられる権利からはほど遠いもので、実質的に個人の権利利益が守られるものになっておらず、反対です。  また、本案にはさらなる個人情報の利活用を進める新制度が盛り込まれています。新設の仮名加工情報は現行の匿名加工情報よりも加工水準が低く、法律上の保護の対象である個人情報と規定されるものも含まれます。にもかかわらず、仮名加工情報であれば本人の同意なしに利活用を可能としており、権利侵害があった場合でも利用停止すら求めることができず、保護の対象とならないのです。個人情報の保護が伴わない利活用は、プライバシーの侵害のおそれが高まるものであり、認められません。  安倍政権は、この間、各種法制定により個人情報の利活用に邁進し、個人情報をもうけの種にした成長戦略を行ってきました。経団連や新経連の、正当な事業活動を阻害する、現行制度のもとでの自主的対応で十分であるといった要望を優先し、国民が求める個人の権利保障はないがしろにしてきたのです。  ペナルティーを見ても、EUのGDPRは数十億円とまさに桁違いであり、日本が極端に貧弱であることは明白です。しかも、これらグローバルな日本企業がEU向けにサービスを提供する場合は、当然GDPRを遵守しているわけで、全く身勝手な要望と言わざるを得ません。  GAFAなど巨大IT企業は、利用者データを集積し、プロファイリング、スコアリングすることで、ターゲティング広告などに利用する等、巨万の富を上げています。このような緩い保護、事業者への甘い規制では、巨大IT企業から個人の権利利益を守ることはできません。  個人情報は個人の人格尊重の理念のもとに慎重に取り扱われるべきものであり、プライバシーを守る権利は憲法が保障する基本的人権です。今最も必要なのは、忘れられる権利も含め、本人が個人情報をコントロールできる仕組みにすることです。  以上、申し述べ、討論を終わります。

国会前集会であいさつ/国民大運動実行委員会

 国民大運動実行委員会の国会前集会であいさつ。

 コロナ対応があって、2カ月ぶりの国会前集会。でもこの間も国民の声が確実に政治を動かしてきた。

 コロナ対応でも、自粛と補償は一体だと、暮らしと営業を守る支援策の改善を実現してきた。

 検察庁法改定案の撤回という国民の声が今国会採決先送りへと政府与党を追い込んできた。

 安倍改憲をめぐって、これまで自民党の改憲4項目の審議を行わせなかった。改憲手続き法案の採決強行を許さないために全力をあげたい。

国会要請行動で国会情勢報告/埼玉県民大運動実行委員会

 埼玉県民大運動実行委員会の国会要請行動で国会情勢報告。

 検察庁法改定案の今国会採決先送りは、国民の声が政治を動かした結果。

 昨日の内閣委理事懇談会で、西村官房副長官は「法案は撤回しない」、与党は次期国会の成立目指して法案の継続審議手続きの検討を表明。政府与党はあきらめていません。

 野党結束し、国民の世論と運動と力を合わせて、検察庁法改定案の撤回、黒川氏の定年延長の閣議決定のために全力をあげます。

【議院運営委員会】緊急事態全国で解除/医療機関へ補償必要/減収で経営深刻

 政府が新型コロナウイルス感染拡大に対する「緊急事態宣言」を全国で解除するにあたって西村康稔経済再生担当相による事前報告をうけ、質疑。

 受診抑制やコロナウイルス対応などによる減収によって医療機関は6・7月にも経営破綻しかねない深刻な経営状態にある。コロナ感染の再拡大に備え、そして医療崩壊を決して起こさせないために昨年比の減収分に対して補償することが絶対に必要だ。

 西村担当相が「診療報酬や包括支援交付金に加え必要な措置を取っていく」と従来の答弁にとどまった。

 私は、日本医師会による要請ではコロナ対応で1兆6千億円、通常の医療を継続するために2兆5千億円の支援を求めている。診療報酬の増額と包括支援交付金3千億円プラスアルファの予算では全く足りない、と重ねて抜本的な予算措置を求めました。

 西村担当相は「2次補正予算で対応していきたい」と繰り返し、正面から答えませんでした。

 また私は、文化芸術事業への支援について、自粛要請に協力し、感染防止に大きな貢献をしてきた関係者に対して、経費負担に対する補償もいまだに行われていない。演劇・音楽・映画3団体による「文化芸術復興基金」の創設の要請が出されている。売り上げ減少、経費増大に対する補てんをしっかりと行うことが国の責務だ、と主張しました。


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「議事録」

<第201通常国会 2020年5月25日 議院運営委員会 33号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 緊急事態宣言解除に際して、第二波、第三波に備えた医療提供体制の整備が極めて重要であります。
 ところが、受診抑制による医療機関の減収は一割から二割に及び、六、七月にも経営破綻しかねない深刻な事態にあります。
 コロナ感染再拡大に備え、そして医療崩壊を決して起こさせない、そのために、昨年比の減収分に対して補償することが絶対に必要ではないか。加えて、医療機関は、コロナ対応の病床確保に当たって、大量の空床の確保や、感染防護具、医療スタッフへの危険手当などが必要になります。コロナ対応については上乗せの措置を行う、こういうことが必要ではないのか。
 この点について、お答えをお願いします。
○西村国務大臣 御指摘のように、小さな波は必ず起こってきますので、それを大きな波にしないよう全力を挙げていきたいと思いますが、万が一のときにも、医療提供体制、命をお守りするということに全力を挙げていきたいと思います。
 そうした中で、空床を長期にわたって確保し続けることは、他の疾病に対する医療提供も必要となってきますので、限界もございます。
 各地域において、都道府県において、医療提供体制の全体の整備を進めるための対策の協議会を設置していただいたり、あるいは、患者搬送や病床の調整を行う患者受入れ調整本部、こうしたものを設置していただいております。
 こうした組織を通じて、コロナ患者がふえてきた場合に、都道府県における病床や宿泊療養施設の確保などを行っていくこととなりますが、国としても、こうした県の取組をしっかりサポート、調整していきたいというふうに思っております。
 その上で、さまざまな医療の体制を確保していく上で、これまでも診療報酬上の特例措置も講じてきておりますし、包括支援交付金で支援も行ってきておりますけれども、更に万全を期すために、二次補正においても、医療提供体制を守っていくということで、必要な予算を確保していきたいというふうに考えております。
○塩川委員 医療機関がコロナ対応の病床を確保するとたくさんの空床を維持しなくちゃならない、そういった状況を、二波、三波に備えてしっかりと対応できるような支援策ということを考えたときに、一般的にも経営が非常に困難になっている、そういったときに、全日本病院協会の猪口会長は、二桁のマイナスが続くと、この先病院をどう経営できるのか想像もできない、第二波、第三波に適切に対応するためにも、国には制度的に病院を支えることを考えてもらいたいと訴えておられます。
 診療報酬の増額では減収分補填にはなりません。日本医師会が試算した医療機関への支援額について、コロナ対応で一兆六千億円が必要だとしています。通常の医療機関の医療を継続するためには、二兆五千億円は必要だとしています。診療報酬の特例措置ですとか、国の包括支援交付金三千億円プラスアルファの予算では全く足りないんじゃないかと思いますが、いかがですか。
○西村国務大臣 医療機関の経営が大変厳しくなっていること、切実な声を医師会からも伺っております。また、全国の大学病院などでも大変厳しい状況にあることを伺っております。こうした医療機関の経営を支援していくために必要な予算も含めて、二次補正予算でしっかりと対応していきたいというふうに考えております。
○塩川委員 抜本的な財政措置を強く求めます。
 次に、文化芸術団体の要望ということですけれども、二月のイベント自粛要請以降、コンサートやライブ、スポーツ競技、展示会などを中止して感染防止に大きな貢献をしてきた関係者に対して、経費負担に対する補償もいまだ行われておりません。文化芸術関係者は、宣言解除後も、引き続き、活動規制、営業規制がかかっております。
 文化、芸能、スポーツ、イベントが持つ文化的、社会的機能の大きさに鑑み、特別の経済支援を早急に行うとともに、事業継続への多様な支援を当事者の要望も踏まえて行うことを強く求めたいと思いますが、いかがでしょうか。
○西村国務大臣 まさに私たちの社会の基盤をなすと言ってもいいと思うんですけれども、この文化芸術事業、そして、心にいろいろなゆとりを与えてくれ、生活を潤わせてくれるさまざまなイベント、こうしたものをしっかりと全力で守り抜いていかなきゃいけないというふうに考えております。
 このため、これまでも、こうした事業者に対して最大二百万円、そしてフリーランスの方も含めて個人事業主の方に百万円の持続化給付金をお届けしているわけでありますけれども、一日も早くお届けをしたいというふうに考えておりますし、こうした文化芸術、さまざまなイベント、今後、段階的に経済活動を引き上げていく中で、ゴー・トゥー・キャンペーンによってその費用の一定程度を補助していくわけであります。タイミングとして、そろそろ準備に入りたいというふうに考えているところでございます。
○塩川委員 五月二十二日、演劇、音楽、映画、三団体による文化芸術復興基金創設の要請というのは、文化芸術団体の公演や上映やライブなどを行うことに伴う売上げ減少、経費増大に対して補填することを目的にしています。この売上げ減少、経費増大に対する補填をしっかりと行う、このことが国の責務だと強く求めて、質問を終わります。

【「しんぶん赤旗」掲載】埼玉/赤字1億円/医療体制強化を/塩川・伊藤・梅村氏ら院長らと懇談

「しんぶん赤旗」5月24日付・4面より

 日本共産党の塩川鉄也衆院議員、伊藤岳参院議員、梅村さえこ衆院北関東比例予定候補と埼玉県議団は23日、川口市の埼玉協同病院を訪ね、増田剛院長らと新型コロナウイルスによる経営への影響について懇談しました。柳下礼子、村岡正嗣、秋山もえの各県議が参加しました。

 同病院の増永哲士事務長は、入院や外来患者の減少や健診の中止などで収益が減り、4月決算では1億円以上の赤字だったと説明し、緊急の支援が必要だと訴えました。

 増田院長は「日本はこれまで病院経営をギリギリのところに追い込んできた中で今回の新型コロナ問題が起きた。本来は何かが起きた時に対応できる医療体制が必要で、この問題をきっかけに、日本の社会保障政策を変えるべきです」と話しました。

 塩川氏は「病院の減収分を補填するとともに、感染の第2波などに備えるための医療体制の強化が必要ですね」と応じ、伊藤氏は「要望を国会や県議会に届けます」と述べました。

 塩川、伊藤、梅村の各氏らは同日、県内の別の民間医療機関とも懇談。「新型コロナ対応のために病床を空けており、経営が厳しい」などの声が寄せられました。

【内閣委員会】個人の情報守れるか/法改定案を批判

 個人情報保護法改定案についてただしました。

 昨年発覚した、就職情報サイト・リクナビが就活生の閲覧記録を分析し、内定辞退率を本人の同意なく採用企業に販売していた問題。

私は、個人情報を分析し、評価・選別を行うプロファイリングから、同改定案で個人の権利を守れるのかと質問。

 衛藤晟一個人情報保護担当相が「権利利益を害するおそれがある場合」も本人が事業者に利用停止請求等が可能になると答弁。

 私は答弁に対し、利用停止が可能になる「おそれ」の要件が不明確で、しかも「おそれ」があると第一義的に判断するのは事業者であり、実効性がないと批判しました。

 また、「忘れられる権利」やプロファイリング規制などが必要だと強調しました。


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「議事録」

<第201通常国会 2020年5月22日 内閣委員会 13号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 個人情報保護法改正案について質問します。
 まず最初に、当委員会の審議でも大きな議論となった黒川東京高検検事長の人事の問題について、内閣の一員としての衛藤大臣に質問をいたします。
 衛藤大臣、この黒川弘務東京高検検事長が、かけマージャンをしていたことを認め、辞表を提出し、政府としてもそのことを決定しました。安倍内閣は、余人をもってかえがたい、公務に重大な支障を来すとして、東京高検検事長である黒川氏の定年を延長する閣議決定を行いました。このような閣議決定を行った内閣の一員として、その責任が問われていると思いますが、大臣はどのように受けとめておられますか。
○衛藤国務大臣 昨日、総理からも、法務省、検察庁において人事の請議がなされたわけだが、最終的には内閣として決定するので、当然責任があるとの発言をされておられますとおり、私も、内閣の一員として、責任の一端は当然あると考えております。
○塩川委員 責任があるというのでも、言葉だけで言われても困るわけで、かけマージャンで同席をしていた新聞記者の発言でも、報道を見れば、緊急事態宣言が出ていた四月にも二回、五月と合わせると四回、金銭をかけて黒川氏とマージャンをしていた。四人は、この三年間に月二、三回程度の頻度でマージャンをしていたという話であります。
 緊急事態宣言の期間は、まさに、この国会で、当委員会で、検察庁法の審議が行われていたときであります。黒川氏がかけマージャンを行った五月の十三日というのは、直前に与党が法案の採決を提案をし、緊迫した情勢の中で審議が行われ、検察官定年延長の要件について、武田大臣がまともに答弁できずに審議が中断した、そういうさなかの日だったわけであります。
 検察官として全く前例のない定年延長を強行し、その法的根拠を説明できずに、法律の解釈変更までしてごり押しをし、さらには、法律そのものさえ後づけで書きかえようとした。その人事の結果がかけマージャンかよというのが問われているんじゃないでしょうか。
 かけマージャンは賭博罪に問われます。黒川氏が法務事務次官だったときに、カジノの違法性を阻却をする決定を行って、そのもとでカジノ法案が国会に提出をされ、強行された。こういう経緯もある中で、カジノのうさん臭さを明らかにするものではないでしょうか。
 こんな人物を、閣議決定までして、なぜ東京検事長にしたのか、その点についてはいかがですか。
○衛藤国務大臣 なぜと言われましても、これは人事のことでございまして、とりわけ、また法務・検察にかかわる人事のことでありますから、私からコメントできることはありません。
○塩川委員 内閣の一員としての責任があるとおっしゃっているわけですから、そのことも含めてしっかりと受けとめるべきであります。
 そもそも安倍総理の任命責任が問われる話であり、法案の撤回、閣議決定の撤回を求めたい。
 この間、安倍内閣においては、日銀の人事、NHKの人事、内閣法制局の人事、そして検察庁の人事など、人事権行使を通じて、国政の私物化が問われるような問題がある。こういったことをきっぱりと改めさせる、これこそ国民の声だということをしっかりと受けとめるべきだ、このことを申し上げ、法案について質問をいたします。
 大臣、個人情報保護を考えた際に、やはり、この間、GAFAやBATなどと言われるデジタルプラットフォーマー、この巨大なデジタルプラットフォーマーの経済社会への影響力が大変大きくなっている。こういったデジタルプラットフォーマーの影響力の大きさについて、政府として、大臣としてはどのように認識、評価をしておられるのか、この点についてまず伺います。
○衛藤国務大臣 委員御指摘のとおり、GAFAやBATのようなデジタルプラットフォーマーの経済社会への影響力は大変大きく、また、近年、増していると考えています。
 こういった事業者は、個人情報の利活用をそのビジネスの中核としていると認識しており、個人情報保護委員会を担当する大臣としては、個人情報が適正に取り扱われ、個人の権利利益が保護されているかという観点からも関心を持っているところでございます。
○塩川委員 大変そういう個人情報の利活用をビジネスの中核にしているという企業等、事業者ということで、そういう点では、域外適用の問題なんかも当然今回の措置としてあるわけですけれども、その巨大さというのは大変大きなものがあるわけであります。
 二〇一八年のデータで見ても、売上げだけで見ても、グーグルが十三兆円、アマゾンが二十三兆円、アップルが二十六兆円、フェイスブック五千六百億円。また、利用者数でも、実際公表しているデータそのものが非常に限られているわけですけれども、フェイスブックの利用者を見ても、全世界で月間二十六億人とか、国内においては、二〇一七年の数字で二千八百万人とか、大変大きな利用者があって、そういう中での膨大な個人情報の集積、集中が行われている。それをもとにしたプロファイリングやスコアリングなどを始めとした、ターゲティング広告などを含めたさまざまなビジネスモデルとして収益を上げる。そういうときに個人の権利保護がどうなっているのかというのは、まさに焦点の問題だと思います。
 個人の尊厳に係るプライバシー権、みずからの情報をコントロールする権利が侵害される危惧が高まっているときに、このような権利侵害の危険性について、権利保護が適切に実施されてきたのかが問われております。
 そこで、このような個人情報の利活用のビジネスモデルがプライバシーを侵害する、そういう懸念が顕著にあらわれた事例の一つがリクナビ問題ではないでしょうか。
 リクルートキャリアは、就活生の閲覧履歴などを分析をし、約九万人分の内定辞退率をスコア化し、採用企業一社当たり四百万円から五百万円で内定辞退率を販売していたということであります。しかも、その学生らの内定辞退率を購入したのが、トヨタや三菱電機を始めとする名立たる大企業三十五社だったということも、社会に大きな衝撃を与えました。
 リクナビや購入企業らは、選考に利用することはなかったと主張しているが、それを信用しろというのは、なかなかにわかにそんなことは受けとめられないというのが多くの方の受けとめではないでしょうか。
 リクナビ問題が、学生たちの就職活動、人生に不利益をもたらす影響を与えてしまった可能性というのは否定しようがない。こうした個人情報を評価、格付をするスコアリングやプロファイリングなどに対して、個人の権利を守るための規制が強く求められています。
 そこで、お尋ねしますが、EU、GDPRでは、異議申立ての権利など、プロファイリング規制やデータの消去権、忘れられる権利などを基本的な人権として確立をしております。改正案は、プロファイリングをどのように規制しているのか、また、忘れられる権利を保障するものなのか、この点について、大臣、お答えください。
○衛藤国務大臣 ただいま御指摘いただきましたプロファイリング、忘れられる権利に関しては、今回の改正において、利用停止、消去等の要件の緩和、不適正利用の禁止、第三者提供記録の開示、提供先において個人データとなることが想定される情報の本人同意等といった規律を導入することとさせていただきました。
 これらの規律は、個人情報に係る個人の権利利益を保護してほしいという個人からの要請に相当程度従うものというぐあいに考えているところでございます。
○塩川委員 個人情報保護法は、不正取得があった場合や権利侵害のおそれがある場合など、利用停止の条件は狭く設定をされています。その点で、GDPRでは、本人が同意を撤回した場合や、データの収集が目的に照らして必要なくなった場合など、消去権、忘れられる権利を広く認めている、こういう違いがあるということをしっかりと見ておかなければいけないと思います。
 次に、改正案の三十条では、権利利益を害するおそれがある場合に利用停止を認めておりますが、そのおそれというのは何なのか、また、十六条の二では、不当な行為を助長するおそれがある方法で個人情報を利用することを禁止するとありますが、そのおそれとは何か、この点について、大臣、お答えください。
○衛藤国務大臣 本法案によりまして新たに禁止することといたしました、不当な行為を助長し又は誘発するおそれがある場合について、例えば、違法な行為を営む業者に個人情報を提供することが想定されます。
 また、利用停止等の請求の対象となる本人の権利又は正当な利益が害されるおそれがある場合としては、例えば、本人の意思に反して事業者がダイレクトメールを繰り返し送付している場合等が考えられます。
○塩川委員 おそれは何かといった場合に、その定義の話じゃなくて、例えば、例えばの話になっているわけなんです。
 法律上の要件が不明確だ、また、利用停止を求めても、そのおそれがあるかどうかを第一義的に判断するのは事業者となっている、この点でも、法律の実効性が担保されていないと言わざるを得ません。
 それで、リクナビの経緯を見ても、二〇一九年当時にリクナビが掲載していた利用規約には、行動履歴等を分析、集計し、採用活動補助のための利用企業等への情報提供のために利用すると書かれていただけで、内定辞退率を算出して採用企業に提供することなど、まさか想像できないということだったわけであります。これでは、やはり利用停止を求める以前に権利利益が害されるおそれがあることを知りようもない、このことを指摘をせざるを得ません。
 次にお尋ねしたいのが、内定辞退率を採用企業に提供するというリクナビのような行為は、学生の就職活動に不利な影響を与えるおそれがあります。
 リクナビのような事例は、十六条の二で禁止する不当な行為を助長するおそれとして禁止されるんでしょうか。
○衛藤国務大臣 法は遡及適用されるものではないため、過去の事案について仮定の当てはめを行うことは適切ではないと思いますが、その上で、一般論として申し上げれば、法令に違反することを認識しているような場合において、違法行為を助長し又は誘発するような個人情報の取扱いを行うことは、不適正な利用に該当する場合があるものと考えております。
○塩川委員 やはりリクナビの問題で具体的にどうなのかということをしっかりと検証することが必要だと思います。
 リクナビの問題では、約九万五千人の内定辞退率が算出され、採用企業に提供されております。そのうち約二万六千人は、第三者提供の同意を得ていなかったと問題となりました。しかし、残りの約七万人は、内定辞退率の第三者提供に同意したと言えるのか。こうしたわかりにくい同意取得が問題ではないのかと言わざるを得ません。
 現行法では、利用目的は通知又は公表すればよいとしておりますが、プロファイリング等も含めて、個人情報を取得、利用する際は事前に本人の明確な同意をとる、こういう仕組みにするべきではないかと考えますが、大臣、いかがでしょうか。
○衛藤国務大臣 御指摘のとおり、リクナビ問題においては、個人データの第三者提供に係る説明が明確ではなかったという問題がありました。そのため、本人が同意に係る判断を行うために必要とされる合理的かつ適正な範囲の内容を明確に示すことを今回求めたものであります。
 また、本事案を踏まえまして、本法案においては、本人関与のない個人情報の収集方法が広まることを防止するため、出し手側では個人データでなくても、受け手側で個人データとなることが想定される場合は、本人同意を前提とするなどの規律を課すことといたしました。実効性を得られるように、運用についても我々は頑張ってまいりたいというように思っております。
○塩川委員 企業は、個人情報の利活用について、本人にわかるような説明をしていないわけです。事前に本人の明確な同意を得る、そういう仕組みこそ最も担保をするということを指摘をしておきたいと思います。
 それで、今回の改正で利用停止を拡大したといいますが、そもそも個人情報の定義が狭いのではないかという問題があります。
 閲覧履歴等を保存するクッキー等は、個人情報の保護対象となっておらず、事業者には説明責任がなく、権利侵害のおそれがあっても利用停止を求められない。閲覧履歴等を分析すれば、病歴や思想、信条など、要配慮個人情報であっても、本人の同意なく取得、推測し、利活用できる、この点が法律の抜け穴となっている。
 大臣、このような問題について、GDPRのように、保護の対象とすべきではないでしょうか。
○衛藤国務大臣 現行法でも、事業者が閲覧履歴などのクッキー等を特定の個人を識別できる形で取り扱っている場合は個人情報となり、個人情報保護法上の規律に服することになります。
 今回の改正では、それに加えて、個人関連情報に関する規律を導入をし、提供元では個人データに該当しないものの、提供先において個人データになることが想定される情報について、あらかじめ本人の同意を取得することを求めるということにさせていただきました。
○塩川委員 第三者提供の一部の規制ということですけれども、逆に言えば、第三者提供の一部しか規制しないということであります。クッキーが個人情報に該当しないと整理をしている以上、事業者は説明責任を負わないし、利用停止に応じる義務もない。これでは保護につながらないと言わざるを得ません。
 そもそも、日本の個人情報保護法のペナルティーについては、非常に弱いということも指摘をされてきているわけです。やはり抑止力を働かせていく、そういう点で、アメリカなどもそうですけれども、GDPRのペナルティーと比べて、日本の個人情報保護法の罰則というのは極めて不十分ではないのかと思いますが、大臣はいかがですか。
○衛藤国務大臣 御指摘のとおり、GDPRでは、法違反の場合には、制裁金として、二千万ユーロ、約二十四億六千万とか、又は、世界全体における年間売上総額の四%のいずれか高い方を上限として制裁金を課せられることがあるというぐあいに承知をいたしております。
 一方、今回の我が国での改正では、昨今の違反事案の増加等の事由を踏まえまして、罰則の法定刑を引き上げることとしたものであります。
 例えば、法人と個人の資金格差等を勘案して、法人に対してはより重い罰金刑を科せられるようにしております。法人に対して、一億円以下の罰金を科すものというぐあいにいたしております。個人の場合は、委員会の命令に対する違反行為があった場合は、一年以下の懲役又は百万以下の罰金というぐあいになっております。
 これは、GDPRに比すれば軽いんじゃないかということも言われますけれども、我が国の類似する他の経済事犯と同等のレベルでありまして、妥当なものではないかというぐあいに考えております。
○塩川委員 いや、日本国内のペナルティーとの関係でそれなりの水準という話じゃなくて、やはり国際的に、まさにGAFA、BATなどが問われているような、グローバルな経済活動を行っているようなデジタルプラットフォーマーを想定したときに、GDPRに比べて、GDPRのお話があったように、今、二十四億円とか世界の売上げの四%とかになっている。それに対して、日本が、新たにつけ加えたにしてみても、法人に対して一億円というのは余りにも小さ過ぎるんじゃないかというのは、そのGDPRとの比較でそうは思いませんか。
○衛藤国務大臣 御指摘の中で、当然、我々は、グローバルスタンダードの観点から、OECDプライバシーガイドライン等の共通の考え方を示しております。
 そういう中で、EUのGDPRについて言えば、当委員会で、個人情報保護法に基づき、個人情報の保護のレベルが日本と同等であるものというぐあいに今作業を行っているところでございまして、そういう中で、昨年一月に欧州委員会において、GDPRの規律に照らして、我が国の個人情報保護法の規律が十分なレベルの保護をやっているかどうかとか、そういういろいろな個人データのまた越境移転に関する認定の決定を行っているということで、今、努力をしているところでございまして、交流も入れて、盛んにお互いの検討をし合っているところでございます。
 まずはここからいって、そして、国際的なレベルに、グローバルスタンダードにするためにどうやっていけばいいのかということについて、ともに考えていきたいというぐあいに思っております。
○塩川委員 権利保護や制度について整合性という話でしょうけれども、そもそも、想定されるのは、グローバルな経済活動をやっているデジタルプラットフォーマーなんですよ。そういうのに対して、やはり、一方はペナルティーをしかるべくかける、それに対して軽過ぎる、このアンバランスということ自身が問題となってくるんじゃないのかということを言わざるを得ません。
 このような、利用停止を拡大したとか罰金を引き上げたとか、いろいろ言いますけれども、どれも極めて不十分なものであります。
 安倍政権がデジタル市場のルール整備を掲げていますが、デジタルプラットフォーマーなどによるプロファイリングなどを通じたプライバシーの侵害のリスクに対して、率直に言って、この程度の個人情報の保護制度では十分だと言えないと率直に思いますが、大臣はいかがですか。
○衛藤国務大臣 情報通信技術の大変な進歩の中で、そして、GAFAのような巨大プラットフォーマーが活動している、あるいは、中国においてもそういうグループがありますけれども、そういう中で、日本は、今、やはりこの個人情報の保護とそれから利活用ということをちゃんとやっていかなければ全体に乗りおくれるということで、おくれてきた部分を今回取り戻すべく、改正法を施行しましたし、また、そういう中で、日本の立場として主張すべきものを主張していきながら、グローバルスタンダードをつくり上げることの一角を担ってまいりたいというように思っています。
 そういう意味では、こういう交流も続けながら、そして、保護も確実にできるという立場をつくってまいりたいというぐあいに思って、今、懸命に努力している最中でございます。
 そういう中で、大きな一歩として今回の改正案があると位置づけています。引き続き、必要なものの検討はしてまいらなければいけないというぐあいに自覚しているところでございます。
○塩川委員 そうはいっても、極めて不十分な中身になっている。事前のいろいろな協議の中では課題となっていたものについても、それを盛り込まないといった法案に向けての動きもありました。
 そういう点で、経団連や新経済連盟など経済界から、正当な事業活動を阻害することが強く懸念されるなど、国民の権利保護の拡大を抑制する強い要請があったというのが背景としてあるんじゃないでしょうか。安倍政権が成長戦略にデジタル市場のルール整備を位置づけて、個人情報保護委員会が財界の要求を優先したために、本改正案は極めて不十分なものとなったということを言わざるを得ません。
 そもそも、経団連が権利保障の拡大に反対する資格はない。リクナビから内定辞退率を購入していたのは、経団連の主要な役員企業だった。しかも、学生への謝罪はおろか、購入していたことを隠し通していた企業もあったわけであります。現行法の規制がいかに守られていないかは、購入企業三十五社に行政指導を行った個人情報保護委員会が一番よく知っているはずで、それにもかかわらず、こういった経済界の要求を丸のみする委員会の姿勢が余りにも情けない、個人の権利を軽視している大企業にこそ、しっかりとした権利保障を求める規制、ルールづくりが必要だ、このことを申し上げて、質問を終わります。

【議院運営委員会】緊急事態「近畿」解除/医療機関へ財政措置を

 政府が新型コロナウイルス感染拡大に対する「緊急事態宣言」を近畿3府県で解除するにあたって西村康稔経済再生担当相による事前報告をうけ、各党が質疑。

 私は、新型コロナ感染拡大の第2波・第3波に備え、しっかりした医療提供体制の整備拡充、医療機関への抜本的な財政措置を求めました。

 安倍晋三首相が14日の対策本部会議で「2次補正予算で医療体制に関する包括支援交付金を全額国費で負担するとともに、大幅な積み増しを行う」と述べた。政府は5万を超す病床を確保するとしているが、5万の病床確保に対応した金額の積み増しをするのか、とただした。

 西村担当相が「5万床確保を目指し、予算で対応したい」などと述べた。

 私は、コロナ対応の病床確保は空き病床の長期の保持が求められ、減収で経営が圧迫される。3万、5万床確保するなら、必要な財政措置なしにはやっていけない。日本医師会が重症者1人400万円など受け入れ病院への具体的な補助試算額を示し、2次補正予算での7・5兆円の確保を要望している。こうした声に応える金額が積み上がっているのかが問われていると追及。

 西村担当相は、1次補正予算の包括支援交付金1490億円に積み増しする」と答えた。

 私は、医療機関はこれではやっていけないと声をあげている。現場の声に応え、医療機関への抜本的な財政支援を行うべき、と強く求めました。


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「議事録」

<第201通常国会 2020年5月21日 議院運営委員会 31号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 医療提供体制についてお尋ねをいたします。
 第一の波が落ちついてきているかもしれませんが、それよりも更に高い第二波、第三波もあり得る、そういう事態に備えて、しっかりとした医療提供体制の整備拡充が必要だと考えます。
 地域医療崩壊を招かないためにも、医療機関への抜本的な財政措置が不可欠です。
 安倍総理は、五月十四日の対策本部会議で、二次補正予算の編成について、ウイルスとの長期戦を闘い抜くことができるよう、医療体制に関する包括支援交付金を全額国費による負担とするとともに、大幅な積み増しを行うと述べています。
 西村大臣にお尋ねしますが、この大幅な積み増しというのは、幾つの病床数に対応した積み増しというふうに想定しているんでしょうか。
○西村国務大臣 医療の提供体制をしっかり守っていくことは非常に大事だと思っております。
 病床数の確保につきましては、収束への道筋を確かなものとして、そして、再度感染が拡大した際にも万全を期していくため、全ての命をお守りするために大変大事なことであります。現時点で、医療機関と調整の上、約三万床の病床の確保を見込んでいるところであります。
 第二次補正予算におきましては、包括支援交付金、医療の体制整備のために使えるこの交付金を全額国費による負担とするとともに、大幅な積み増しを行うことで、病床の確保を含めた医療の現場が抱える課題の解決を強力に支援することといたしております。
 ぜひ、この包括支援交付金も活用していただきながら、国民の命を守る、そのために必要な病床確保に全力を挙げていきたいというふうに考えているところであります。
○塩川委員 医療機関は三万床確保したといっても、それで経営的に非常に困難に陥っている状況があります。
 政府とすれば、総理や、あるいは西村大臣もお答えになっているように、コロナ患者に必要な病床として五万を超える病床を確保するとしています。医療機関の医療崩壊を防ぐための経営支援も含めて、この五万の病床確保に対応した金額としての積み増しということなんでしょうか。
○西村国務大臣 今、入院しておられる患者さんの数は三千名程度になってきております。そして、確保できているものが今三万床ございます。そして、いざというときに備えて、総理が発言されましたように、五万床確保を目指していくということであります。
 そして、今は何より、こうした重症の患者さんを守ることが、まだ三千人おられますので、こうした方々の命をお守りすることが大事でありますので、そのために必要な対策を二次補正予算でしっかりとやっていきたいというふうに考えているところであります。
○塩川委員 確保すべき必要な病床数を示すことのないまま、金額だけあるということですか。
○西村国務大臣 既に三万床確保いたしております。これは医療機関ともう調整が済んでいるものでありまして、人材とか機材なども含めて、いざというときに対応できるものとして確保しております。
 さらに、万が一のときに備えて五万床を目指して確保していこうというものでありまして、現時点で必要なことを、医療機関に空き床の部分であるとかさまざま負担もおかけしておりますので、そうしたことも含めて、しっかりと予算で対応していきたいというふうに考えているところであります。
○塩川委員 コロナ対応の病床確保というのは、空き病床を長期にわたって保持することが求められ、そのことで大きな減収となり経営を圧迫する。だから、三万とか五万を確保するとしたら、それを確保するための必要な財政措置なしには生きていけない。
 だから、日本医師会でも、受入れ病院に対して、重症者四百万とか、中等症者二百万とか、軽症者百万円の補助といった具体的な試算額を示しているわけで、診療報酬での手当てとともに、具体的な減収補填措置などを含めた財政措置が必要だ、それに見合うような金額が積み上がっているのかということが問われているので、そういうものになっていると言えるんですか。
○西村国務大臣 重症化させないこと、そして、重症化してもその方の命をお守りすること、これが何より大事だというふうに考えております。
 こうした医療提供体制を確保するために、既に、診療報酬において重症の患者さんに対する診療報酬倍増、それから、御指摘の空き床確保についても、この一千四百九十億円の包括交付金の中で、ICUに対して一日当たり九万七千円とか、人工呼吸器の病床については四万一千円とか、また、それ以外についても一万六千円を上限として補助を行うこととしております。
 二次補正予算で、更にこの包括交付金を大幅に積み増しすると同時に、全額国費負担とするということで、必要な医療提供体制、命をお守りするために必要な予算はしっかりと確保していきたいというふうに考えております。
○塩川委員 必要な経費を補償する、その金額になっていないのが現場の声で、医療機関はこれではやっていけないということで声を上げているわけですから、それに応えた財政措置を行うべきです。
 コロナ対応を行っていない医療機関でも、診療抑制により大きな減収となって経営を圧迫しているわけで、日本医師会の政府への申入れでも、二次補正予算で七・五兆円の確保を要望した。このぐらいの規模で医療機関への財政支援を行うべきだ、このことを申し上げて、質問を終わります。

【内閣委員会】必要な病床数ただし、医療機関支援求める

 新型コロナウイルス患者の入院受け入れ病床数についてただしました。

 ピーク時の入院患者数は政府の計算式による試算で全国約22万人に上る一方、18日時点で都道府県が受け入れ可能と想定する病床数(確保想定病床数)は約3万にとどまっている。大きな乖離(かいり)があるが、22万床をめざし国が支援するのか、とただしました。

 西村康稔経済再生相は「大きな山が来る時に備えて病床を確保しておくことが大事だ」としつつ、具体的な病床数は述べませんでした。

 私は、医療機関への経営支援や包括支援交付金の抜本的な増額を要求。

 西村氏は「2次補正予算で交付金を大幅に増額し、国が全額負担する形にする」と述べました。

新型コロナウイルス感染症入院患者受入病床数
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シナリオに基づくピーク時の医療提供体制の整備について
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「議事録」

<第201通常国会 2020年5月20日 内閣委員会 12号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 きょうは、西村大臣に、厚労省からも来ていただいて、新型コロナウイルス感染症対策の入院患者の受入れ病床数についてお尋ねをいたします。
 政府の基本的対処方針を見ますと、病床の確保について、都道府県は、ピーク時の入院患者の受入れを踏まえて、必要な病床数を確保することとあります。都道府県は、ピーク時の入院患者の受入れを踏まえて、必要な病床数を確保すると。このピーク時の入院患者というのはどういうものなのかについて、まず厚労省、教えてもらえますか。

○吉永政府参考人 お答え申し上げます。
 ピーク時の入院患者の受入れにつきましては、三月六日に事務連絡を発出しておりまして、算定の仕方を各都道府県にお示ししているところでございます。
 この考え方は、武漢における感染の状況を踏まえまして、公衆衛生の対策が十分にとられなかった場合にどの程度感染者がふえるのかということを、ある意味最悪に近いような状況になるかと思いますけれども、そういう中で必要な数というものをお示ししているものでございます。
 都道府県としては、その計算式に基づいて、その地域の実情に応じた必要な病床数を考えていただく、こういう趣旨でお示ししているものでございます。

○塩川委員 三月六日付の事務連絡文書に、ピーク時において一日当たり新型コロナウイルス感染症で入院治療が必要な患者数のことを指すということであります。
 もちろん、最悪の事態を想定してとか、一定の想定があった中でのこの計算式だと思いますけれども、基本的対処方針でも書かれているピーク時の入院患者数というのは、全国ベースで見ると何人ぐらいになるんでしょうか。

○吉永政府参考人 お答え申し上げます。
 私どもとして計算式としてお示ししてございますけれども、具体的な数字につきましては、地域におきます状況というものを考えまして、公表は差し控えさせていただいているところでございます。

○塩川委員 いや、基本的対処方針そのものにピーク時の入院患者が書いてあって、計算式も事務連絡で示しているわけじゃないですか。もちろん、都道府県がそれぞれ計算して、その計算式での数値をお持ちだと思うんですけれども、別に、それを積み上げるだけで、公表できないという理屈がわからないんですけれども。
 もう一回、数字を出してもらえればと思うんですが。

○吉永政府参考人 繰り返しで恐縮でございますが、計算式そのものは、それに当てはめれば数字が出るというものでございます。委員がお示ししていただいているような資料の中にも、日医総研が計算しているものがついてございますが、それに類したものになろうかと思いますが、国としては、あくまでも参考値の算式の前提として計算式をお示ししているものでございまして、実際の必要数というものは、各都道府県の中で、その地域の実情に応じて判断していただくということを考えてございますので、そういう意味も含めまして、公表は差し控えさせていただいているというところでございます。

○塩川委員 今答弁ありましたように、配付資料の一枚目に、新型コロナウイルス感染症入院患者受入れ病床数というのがありまして、右から二つ目の欄が、政府が示している数式、計算式に基づくピーク時入院患者数を日医総研が試算をしたもので、まさに米印の三が先ほど言っていた計算式ですけれども、それに類したものとおっしゃったように、この数字というのがピーク時の入院患者という数になります。ですから、これは、単純に積み上げれば二十二万人を超えるというような大きな数にはなってくるわけです。
 そこで、基本的対処方針では、病床の確保について、都道府県は、ピーク時の入院患者の受入れを踏まえて、ピーク時の入院患者というのは、今言った二十二万という数字になるわけですけれども、その受入れを踏まえて必要な病床数を確保することとあるんですけれども、この対処方針に言う必要な病床数というのは何を指すんでしょうか。

○吉永政府参考人 お答え申し上げます。
 ピーク時における算定の仕方ということは先ほども御答弁させていただいたとおりでございますが、それを念頭に置きつつ、その地域の実情を踏まえて、都道府県において最大限このくらいの数字が必要だろうということを求めていただいた数字になるかと思っております。

○塩川委員 それは、配付資料の一枚目に書いてあるもので見ますと、左側に病床数というのがあります。入院患者の受入れ確保病床数ということで、実際に、これは注釈の米印の一を見ても、各都道府県が医療機関と調整を行い、確保している病床数というものです。
 米印の二というのが、入院患者受入れ確保想定病床数ということで、都道府県が見込んでいる病床数ということになっているんですけれども、基本的対処方針で言っている必要な病床の確保という、その必要な病床数というのは、ここで言う入院患者受入れ確保の想定病床数を指しているのかどうか、その点についてお答えください。

○吉永政府参考人 お答え申し上げます。
 お示しいただいております、入院患者受入れ確保病床数及び入院患者受入れ確保想定病床数でございますけれども、委員御指摘のとおり、確保病床数の方につきましては、既に医療機関と都道府県の方で話ができていまして、既にあいているか、あるいは、仮に入院している方がいらっしゃったとしても、その方を別の病床に移すことでコロナの患者を受け入れることができるということが、ある意味、確約されているものでございます。
 想定病床数につきましては、まだそこまで確約はできていないけれども、事実上、その調整ができるだろうというふうに都道府県で思っているということで、現時点において、入院患者のための病床として都道府県が想定しているというものだと思っております。
 お手元にお配りいただきました資料につきましては、五月十五日時点で都道府県から御報告いただいたものを厚生労働省で取りまとめたものでございますが、これはあくまで五月十五日時点の数字ということになりますので、必ずしもピーク時における必要数とは一致はしていないというふうに考えているものでございます。

○塩川委員 そうすると、ピーク時の必要な病床というのはどのぐらいになるということなんですか。

○吉永政府参考人 各都道府県において必要数を求めていただくということでございますが、それについて詳細に積み上げているというものは私どもとしても持ってはおりませんけれども、私どもとしては、五万床を目途に病床を確保していくということでやってございますので、更に上積みをしていくということで、都道府県について調整を図っていきたいというふうに考えているところでございます。

○塩川委員 その五万床というのは、安倍総理、西村大臣も引用されていましたけれども、五万床確保を目指してやっている、感染症病床だけじゃなくて、一般の病床についても含めて空床のところを積み上げていくといった中での五万床と言っているものなんですかね。それが必要な病床数と対応しているということか。

○吉永政府参考人 必要な病床数につきましては、ピーク時の数字というものはもちろん必要になるわけですが、当面の蔓延の状況を踏まえまして、感染の状況を踏まえまして、当面どのくらい確保していくとかということが一つメルクマールになるだろうと思っておりますが、現時点において、五万床を確保していくということを目標としてふやしていくということで考えているというところでございます。

○塩川委員 でも、五万床というのは、都道府県から聞き取っていないですよね。医療機関からの積み上げの数でしょう。

○吉永政府参考人 五万床につきましては、感染症指定医療機関におきます、感染症病床以外のものを含めた病床数、あいている病床数をベースに組み立てたものでございますので、少なくともそれくらいについては確保できるということで、最低限、その数字を目標としているという状況でございます。

○塩川委員 でも、そうすると、各県が必要とする、見積もるピーク時の必要な病床数がこの五万に対応するという関係が全然見えてこないんですけれども。だって、GMISで積み上げているという話もこの五万の場合には聞いていますけれども、都道府県の積み上げと言えるんですか。

○吉永政府参考人 お答え申し上げます。
 GMISで、感染症指定医療機関におきますあいている病床というものについては、現時点で大体五万床ほどというふうになってございますけれども、必ずしもそういうことではございませんで、その地域地域で、病院にいらっしゃる患者の方はコロナの方だけではございませんので、コロナの方にどのくらいの病床を当てはめていく、それ以外の病気の方をどういう形で調整していくのかということも含めて、全体として都道府県の中でどういう病床を確保していくのか。
 もちろん、ピークのときのことも想定しつつということになりますが、現時点の状況の中で、例えば、コロナのために病床を完全にあけてしまえば、その部分についての病床が、ほかの治療が必要な方についての病床が減ってしまいますので、そういうバランスの中で、現時点でこういった数字になっているというところについて御理解いただければと考えます。

○塩川委員 戻して、もともとコロナ対応の病床という点でいえば、一枚目にある一覧表にある入院患者の受入れ確保病床数、これはもう医療機関と調整の上の数を積み上げたものですし、想定病床数の方については、見込みではあるけれども、事実上調整ができるだろうと想定しているという、見込みのという数字の積み上げが三万六百三十九ということなんですけれども、これは、ピーク時の入院患者数が二十二万、それに対して、今、確保として見込んでいる想定病床数というのが三万というと、それ自身も大きな差があるんですよね。
 これは、更に積み上げていくということで位置づけて取り組んでいるものということでいいんでしょうか。ピーク時に向けてということで。

○吉永政府参考人 お答え申し上げます。
 厚生労働省といたしましては、現在の病床数で十分足りているかどうかということについて、各都道府県については、更に病床を確保するようにという形で累次お願いしているところでございます。
 現時点ではかなり感染者数も減ってまいりましたけれども、一時におきましては、やはりなかなか入院できなかったような方もいらっしゃいますので、そういう意味で、やはり病床を確保していくということは非常に重要なことだと考えてございます。
 そういう中で、都道府県の中では、必要な病床数を設定しつつ、現在の感染の状況を踏まえてということになりますが、更に必要な病床数について考えていただきたいということでございます。
 これは必ずしも病床に限った話ではございませんで、軽症者向けのホテルなどの宿泊療養についても同様でございまして、そういうような全体のパッケージの中で、今後、もし万が一、コロナが再流行するような場面があるとした場合についても、きちんと対応できるような体制を組んでいきたいというふうに考えているところでございます。

○塩川委員 もちろん、軽症者に対しての療養施設の確保、これも重要です。同時に、重症者や中等症者についての医療機関の病床数の確保。そういう点でも、重症者の場合でいえば、ECMOだとかICUだとか人工呼吸器とか、必要な機器なども当然求められるわけで、それをどういうふうに積み上げて確保していくかというところでの医療機関の御努力をお願いし、それに対して必要な、人的な、財政的な支援をしっかり行うということが必要で、その点でも、どこまで積み上げるということで行うのかということが確認したいんですよね。
 ピーク時の入院患者数について言えば二十二万となっているんだけれども、現状、コロナ対応で想定している病床数というのが三万なわけです。そうすると、割合からしても一四%にすぎないわけで、乖離が非常に大きいんじゃないかなと思うんですが、その点はどうでしょうか。

○吉永政府参考人 繰り返しの答弁で恐縮でございますが、ある意味、武漢を前提といたしまして、公衆衛生上の対策がとれなかったときのシナリオとして、この程度になる可能性があるんだということでお示ししたものが先ほどの計算式の考え方でございます。
 その中で、公衆衛生上の対策も十分とっていくということ、また、地域における医療提供体制はさまざまでございますので、そういう中で、都道府県の中で必要な病床を確保してほしいということも繰り返し依頼しているところでございまして、そういう中で、各都道府県において必要数を設定していただきつつ、状況に応じた形で病床を確保していただきたいということを、今後とも引き続き都道府県に依頼をしていきたいというふうに考えているところでございます。

○塩川委員 ですから、問いとしてはもとに戻るんだけれども、ピーク時の入院患者としては今言ったような二十二万というのを持ちながら、それを踏まえて都道府県が必要な病床を確保することとなっているわけですよ。その場合に、都道府県が持つべき必要な病床というのはどのぐらいなのかというのが見えてこないんだけれども、それはどうなっているんですか。

○吉永政府参考人 繰り返しで恐縮でございますが、私どもとして三月六日の通知で各都道府県に依頼しておりますのは、この計算式に基づいた、ピーク時のものに基づいた形での必要数の算定という形でございます。それに基づいた形で必要な体制を組んでいただきたいということでございます。
 現時点の一万七千あるいは三万という数字で十分かどうかというのももちろんあるわけでございますし、私どもとしても、引き続き、都道府県に対しては、各都道府県において必要な体制について組んでいただきたいということを依頼してまいりたいというふうに考えているところでございます。

○塩川委員 西村大臣に、今のやりとりを踏まえてお聞きしたいんですが、基本的対処方針に、病床の確保については、都道府県は、ピーク時の入院患者の受入れを踏まえて、必要な病床を確保することとある。ピーク時の入院患者というのが全国でいえば二十二万何がしということでいうと、この必要な病床は、今、想定確保が三万ですから、大きな乖離があるわけですよね。それは、都道府県としては二十二万を目指してやってもらうという構えで国としては支援を行うということでしょうか。

○西村国務大臣 お答えを申し上げたいと思いますけれども、この二十二万という、計算をして足し上げるとそのぐらいの数字になるという前提で申し上げれば、二十二万床というのは、何もこの対策を打たずに、これは三月の早い段階ですから、このままほっておくとそのぐらいにピーク時になりますよ、だから、対策をしっかり打ってこれをおくらせるということ、ピークをおくらせる、そして山をできるだけ小さくする、対策を打ってですね。その間に医療提供体制をしっかりと確保して命をお守りする、それをしっかりやりましょうということで、これは計算するとこのぐらいになり得ますよということをお示ししていますので、二十二万に必ずしもなるということではありませんから、一定の前提を置いて試算をするとそうなるということですので、二十二万ないから非常に心配だということではありませんので、まず、そこはぜひ御理解をいただきたいと思います。
 その後、対策を打って、ちょっとピーク時の数字が必ずしも、その後入院した方と退院した方の数が必ずしも正確じゃないんですけれども、今回の大きな流行の山は、恐らく一万数千人ぐらいが、ピーク時はそのぐらいの入院患者の方がおられたんじゃないかと思うんです。正確には厚労省から答えていただければと思いますけれども、現時点で、入院されている方は三千名強で、そして一万七千床は確保してあります、それからさらに、いざというときは三万床まで確保していますので、現時点で、何か逼迫して大変だという状況ではない。
 東京も、一時期、二千床確保で、千八百人台まで患者の数がいった時期がありました。これは大変逼迫した状況でありましたけれども、今は、三千三百確保して、千人強ぐらいまで入院されている方は数が減ってきましたので、かなり余裕が出てきたというふうに思っております。
 ですので、今の時期に、もう一度また大きな山が来るときに備えて、しっかりと医療の中の、医療機関同士の連携も図っていただきながら、いざというときに確保できる病床をしっかりと押さえておくということが大事だというふうに考えております。

○塩川委員 ワクチンもない、有効な治療薬もない中では一定の長期戦、長丁場を考えなくちゃいけないといった際に、そういう備えと同時に、ここで一旦は少し抑え込んだかもしれないけれども、当然、第二波、第三波というのも想定しておられる。その場合に、医療提供体制がこの第一波の備えだけで十分だったのかという話も当然出てくるわけで、第二波が、より大きな波だった、山が来るといったことも想定しなくちゃいけない。その場合に、現状の医療提供体制として、確保しているのが一万七千とか、それに対して想定確保数が三万というので足りるのかというのが出てくるわけですよね。
 その場合に、どこまでそれを積み上げていこうとしているのか、そこが何か見えてこないんですけれども、第二波でより大きな波が来るといった場合に備えて、どこまでこの一万七千あるいは三万を積み上げていこうとしておられるのか。そこはどういうふうになっているんですか。

○西村国務大臣 以前に総理からも発言がございましたけれども、万が一の急増に備えて五万床ぐらいまでは、いざというときに備えてしっかりと調整を進めておいて、いざというときにはそこが使えるようにしようじゃないかということを総理からも御発言いただいたところでありますが、現在時点では三万を確保しておりますし、現実に、もうしっかりとすぐ使えるのは一万七千もありますし、患者さんの数は今三千人強だと思いますので、入院されている方ですね、ですので、今は心配ない。
 おっしゃるように、第二波が来て、大きな波になることもありますので、それに備えて、今申し上げたようなことをしっかりと備えていこうということでありますし、あわせて、防護服とか、N95のマスクとか、サージカルマスクとか、ガウンとか、こういったものも含めてしっかりと確保する。今、もう供給、かなり整ってきましたけれども、これも、より確実なものとして、国民の皆さんの命をしっかりとお守りするということに全力を挙げていきたいというふうに考えております。

○塩川委員 そうすると、第二の波がより大きいという想定もある場合に、五万でいける、そういう対応ということなんですか。

○西村国務大臣 今、大きな波を、終息までもう少しのところまで来ていますので、何とか終息させたいと思っております。その上で、その後、小さな波が恐らく起こると思います、どこに潜んでいるかわからない性質のウイルスですので。それをしっかり探知して、クラスター対策をやってしっかりと封じ込めていくことによって、大きな波はつくらないという方針で臨んでいきたいと思いますが、しかし、いざというときにはしっかりと病床を確保できるように、体制を今の時期に整えて、命をお守りするということに全力を挙げていきたいというふうに考えております。

○塩川委員 これは、都道府県ごとで見ると、結構その想定の確保数のばらつきがあるんですよね。人口規模でいっても差がある。その背景には、やはり医療資源の現状があって、医療資源が少ないところは、なかなか想定確保数そのものも大きく持てないという事情なんかもあると思うんです。そういう点でも、波が、全国と同時に、地域ごとで大きな差もあるといった際に、やはりしっかりとした医療提供体制を確保する、そういう点での国の支援が重要ですし、何よりも財政支援の話があります。
 最後に、この財政支援についてお尋ねいたしますけれども、当然のことながら、コロナの病床確保数、当然ほかの、ワンフロアが全部コロナ用になれば、四十あるところを十しかコロナで使わない、それ以外のベッドについての手当ても必要ですし、また、当然のことながら、経営そのものも、患者さんそのものも少なくなって落ち込み、感染防護具も必要であります。そういった点での財政措置について、今、本気でやらないと医療機関そのものが立ち行かなくなるという声も現に出ているわけです。
 千四百九十億円では一桁足りないという声も、当然医療関係者から出ていますから、抜本的にこういう医療機関への財政支援を行うという点で、政府としての取組を聞かせていただきたい。

○西村国務大臣 一次補正予算で千四百九十億円、今御指摘ございました包括交付金で支援をしつつ、また、診療報酬においても、重症者の手当てに関して倍増する、増額するなど、さまざまな手当てを行っているところでありますけれども、さらに、二次補正予算において、この包括支援交付金を大幅に増額し、また、国が全額負担をするという形でしっかりと地域の医療機関を支援していこうということを含めて、補正予算の中でも財政的にしっかりと体制を整えて応援をしていきたいというふうに考えております。

○塩川委員 終わります。ありがとうございました。

【予算委員会】保健所弱化浮き彫り/参考人「今後議論を」

 予算委の参考人質疑。私は、コロナ危機のなかで医療機関の経営がひっ迫しているとして、財政的に支援する必要性について質問。

 尾身氏は「医療機関は懸命の努力をしてベッドを確保している。医療経営的に大変困難な状況にあることは間違いないので、国から財政的支援をお願いしたい」と答えました。

 また、私は、保健所数が大幅に減少した。保健所活動の科学的根拠を支える診断・検査機能が大きく劣化してきたのではないか、と質問。

 尾身氏は「保健所が大規模な検査をすることを前提にした仕組みになっておらず、人員も削減されてきた」と述べ、新しい感染症の流行に対応する検査体制がとられていなかったと指摘。「感染が収束した時に、これからどうするか、しっかりと議論すべきだ」とのべました。

 さらに、私は地方衛生研究所の体制強化について質問。

 脇田氏は「地方衛生研究所では、感染症だけでなくさまざまな業務を担っており、配置転換も頻繁で、検査対応は大変だ。感染症の流行に対しては、地方衛生研究所の検査ネットワークが非常に重要なので、強化していく必要がある」と答えました。

政府の諮問委員会の尾身茂会長
政府の諮問委員会の尾身茂会長
専門家会議の脇田隆字座長
専門家会議の脇田隆字座長

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「議事録」

<第201通常国会 2020年5月20日 予算委員会 24号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 新型コロナウイルス感染症対策に関する参考人質疑に貴重な御意見をいただき、本当にありがとうございます。
 私は、新型ウイルス感染症対策専門家会議の提言に基づいて、きょうは質問をさせていただきます。
 何よりも、緊急事態宣言の解除については、その判断基準として、当然、一つは感染が落ちつくということと、やはり医療提供体制をしっかりと整備するということが必要であります。
 この点で、まず座長の脇田参考人にお尋ねをいたしますが、当然第二波も想定をされます。そういったときに、この医療体制の整備の必要性、今、何をしっかりとやっていくことが必要なのか。このことについて、お考えをお聞かせいただけないでしょうか。

○脇田参考人 お答えいたします。
 医療提供体制ですけれども、今回の流行でわかりましたことは、やはり患者さんのトリアージといいますか、その症状によりまして、重症の方はしっかりと治療を提供することが必要であり、そして軽症の方は、最初は自宅ということもありましたけれども、施設の療養でしっかり経過を見ていただく。中には症状が変化するという方もいらっしゃいますので、施設の療養においても、医師あるいは看護師がしっかりとその経過を見ることができるような体制をつくっていくということであろうというふうに思います。
 ただ、医療が十分に提供できる体制であれば、そういった軽症の方も病院で療養するということもあり得るんだろうというふうに思いますので、地域において、そういった、柔軟に医療を提供できるような体制、つまり、患者さんが急にふえてくるような局面になれば、そういった施設的な療養というものも行っていくということになります。
 それから、患者さんがふえてくれば、当然、重症者の方がふえてきます。これはもう一定の割合でふえてきますので、そういった方に対応できるようなICUの病床の拡張、あるいは人工呼吸器、あるいはECMO、そういったものの拡張というもの。それは、機械をそろえるだけではなくて、やはり機械を扱う人員が必要になりますので、そういったところもしっかりと準備をしていくということが重要だと考えております。

○塩川委員 ありがとうございます。
 尾身参考人にも伺います。
 この提言の中では、今後の患者急増に対応可能な体制の確保と述べておられます。
 この現状の体制において、まだまだ不十分、こういう認識なのかどうか、その辺について、必要な対策等ありましたら教えてください。

○尾身参考人 お答えいたします。
 四月のあの緊急事態宣言を出す前のあたりについては、これは医療の現場の、専門委員会の中でも実際に患者さんを診ている臨床医がおりますので、彼らの生の声だと、あのころは本当に、こういう言葉、悪夢を見ているようだと。患者さんがどんどん来て、ベッドがあふれ返って、これはどうしたらいいかという強い危機感を持ったというのを、もう何度も臨床科の先生方は我々にそういう実感をシェアしていただきました。
 この間、本当に都道府県、各関係者の、医療関係者の努力で少しずつベッドのあきというのか余裕が出てきて、まだまだ十分な余裕というところではできませんけれども、我々が把握している限りでは、重症化の人、それから一般の患者さんも含めて、ベッドが一〇〇%を超えてどうしようもないという状況は今のところ脱していると思うんですけれども、また何かがあればまた満杯になって、そういうことで、やはり余裕を持って。
 そういう中では、今までの努力に加えて、保健所の業務も、それから、ベッドがどのぐらいあいているというのも、実はこれをモニターするというのは、言うはやすし行うは極めて、なぜかと言うと、患者さんは動きますから、きょう中症だった人が重症ということで、このモニターをすることが極めて難しいんです。
 そういう意味では、医療の現場もそれから保健所なんかも、そろそろITをもう少し活用して、今までは、例えば保健所なんかも手書きでファクスでやっている、そういうことですけれども、だんだんとこれからはITを活用して、しかもスタンダードなフォーマットをつくってやるということが少しずつ、今、厚生省の方もそれを考えて指導し始めているので、ぜひその方を加速、速度を速めてやっていただければと思います。

○塩川委員 ありがとうございます。
 尾身参考人に重ねてお尋ねしますが、医療機関がしっかりとコロナ対策で頑張っていただいて、本当に大変な御努力の中にあると思っております。そういった際にも、医療機関の経営そのものも今非常に圧迫をするような状況にあります。そういう点では、空きベッドを確保することが必要だ、そうなればワンフロア全部あけなくちゃいけない、実入りが入らない、そういう点での経営の困難さもありますし、必要な医療機器を調えることや、また、感染防護具などについても、当然、必要な経費が上がってまいります。
 そういう点でも、今、本当に経費が大変で、国の包括支援交付金一千四百九十億円、一桁足りないんじゃないのかという切実な声もあるものですから、こういった医療機関への財政支援についてのお考えをお聞かせいただけないでしょうか。

○尾身参考人 お答えいたします。
 実は、医療機関は、民間であろうが公的医療機関であろうが、今、各都道府県等からの要請があって、ベッドを少し確保してくれないかということで、懸命な努力をして、日本の医療者は本当に真摯に、この困難な、そういうことで、今いる患者さんをあけてベッドを確保しているわけですよね。
 そういう中で、医療経営的には、これは民間、それから規模にかかわらず、日本の医療機関が大変経営的には困難な状況にあることはもう間違いないと思いますので、そういう意味では、先生おっしゃるように、国の方から財政的な支援をぜひ医療機関にはお願いしたいというのが私どもの願いでもあります。

○塩川委員 ありがとうございます。
 続けて、脇田参考人にお尋ねいたします。
 専門家会議の提言において、保健所の体制強化を強調していることに注目をいたしました。保健所の体制の現状についてどのように認識をしておられるのか、お示しいただけないでしょうか。

○脇田参考人 ありがとうございます。
 保健所の体制に関しましては、今回の新型コロナウイルス対策の非常に大きな役割を保健所が担っているわけですね。最初のPCR検査の相談窓口であったり、それから、検査のところで検体を輸送したりとか、そういったところにもありますし、それから、もし感染者がその地域で出ますれば、その濃厚接触者の調査に入るというところも保健所が全て担う。それから、もちろん、地域からの相談の電話も毎日あるという、その対応もしなければならないというようなことで、非常にさまざまな業務が保健所に集中をしているということになっております。
 ですので、専門家会議としましても、なるべく保健所の業務の負荷を減らすことができないかということで、検査体制にしても、医師会の先生方にお願いをして、今までの帰国者・接触者外来、相談センター、外来という流れのほかに、地域の外来とそれからPCR検査センターの流れというものをお願いして、なるべく保健所の業務が減るような形でそこをお願いできないかということを言ってまいりました。
 それから、先ほど尾身先生のお答えの中にもありましたけれども、ICTの活用ですね。こちらも保健所の業務を軽減するために非常に重要なところだと思っております。
 以上になります。

○塩川委員 ありがとうございます。
 尾身参考人にもその点をお尋ねしたいと思うんですが、この間、保健所数は、一九九二年度の八百五十二カ所をピークにずっと減り続けております。二〇二〇年度では四百六十九カ所と承知をしております。大幅に減少しています。もちろん、保健所の業務は多様にありますし、また、地域保健センターの役割なども当然あるんですけれども、保健所活動の科学的根拠を支える診断、検査機能というのが大きくやはり劣化してはいないのか、そういう懸念を覚えるんですけれども、現場にいらっしゃって、どのようにお感じでしょうか。

○尾身参考人 お答えいたします。
 先生の御質問は、検査のキャパシティーが劣化したのではないかということだと思うんですけれども、実は、今、PCR等検査についても、保健所に求められているのは基本的にはいわゆる行政検査というふうに言われていて、そういうことで、このような大規模な検査をするということを前提にした仕組みになっていないんですよね。そういう中で今回も、今だんだんと各界の努力のもとでキャパシティーがふえてきていますが、当初は本当に、そういう今までの経緯もあって、人員も削減されているし、もともとそういうことを期待されていなかったということもあって、当初なかなか、医師が判断しても必要な検査ができなかったということでありましたので、これは、今いろいろなところで関係者が努力して、少しずつ改善していますけれども、これはまた、こうした感染が収束したときには、少しみんなで大きな目から評価をして、これからどうすべきかというのをしっかりと後で議論すべきテーマの一つだと思っております。

○塩川委員 ありがとうございます。
 脇田参考人にお尋ねしますが、この専門家会議の提言では、保健所とともに、「地域保健に関する総合的な調査及び研究を行う地方衛生研究所の体制強化にも努めるべきである。」と強調しております。
 この地方衛生研究所の体制強化、その意義はどのようなものか教えていただけますでしょうか。

○脇田参考人 お答えいたします。
 地方衛生研究所は、自治体に設置されている、いわば感染研と同じような検査能力を持った研究所でございます。
 日ごろより感染研と地方衛生研究所は連携をいたしまして、日本におけるさまざまな感染症の検査のネットワークを構築しています。今回も、新型コロナウイルスの流行に当たりまして、感染研で開発しました検査キットを地方衛生研究所に配付をして、全国の検査体制を整えたということになります。
 一方で、地方衛生研究所におきましては、感染症だけではなくて、さまざまな業務を担っています。環境の検査ですとか食品の検査ですとか、さまざまな業務がございまして、感染症に必ずしも多くの人員がいるわけではなくて、配置転換も頻繁に行われるということですので、非常に業務が逼迫しておりますところに今回の流行が来たということですので、地方衛生研究所ではこの検査対応が非常に大変であるということを伺っています。
 ですから、やはり、こういった感染症の流行に対しては、こういった地方衛生研究所の検査ネットワークというのが日本の検査体制に非常に重要ですので、そこを強化していくということが重要であるというふうに考えています。

○塩川委員 ありがとうございます。
 脇田参考人にお尋ねします。
 そういう点で、地方衛生研究所、地方の体制と同時に、国立の感染症研究所、これが、この間、人員や予算などもずっと減ってきているという状況がありまして、今考えるに、やはりここをしっかりと体制の強化が必要ではないのか。
 国立感染症研究所のあり方について、所長としてのお考えもお聞かせいただきたいと思います。

○脇田参考人 お答えいたします。
 なかなか自分のところの研究所の予算のこと等を申し上げるのは難しいんですけれども、ただ、感染研の成り立ちというものが、そもそも病原体の研究部が集まってできているという、ラボ中心、研究室中心の研究所であります。
 ただ、こういった感染症の流行に対しては、疫学の調査能力、それから、こういった感染症危機対応といった専門の部門の充実ということが非常に求められるということを考えておりまして、従前からそれは厚労省にもお願いをして、そういった機能強化をお願いをしておりました。
 ちょうど今年度、新たな感染症危機管理研究部門ということを設立していただきましたけれども、やはりそういった疫学それから感染症危機対応の能力を今後も高めていくべきだというふうに、今回の流行を踏まえて、ますますその意を強くしているところでございます。

○塩川委員 時間が参りました。ありがとうございました。

検察庁法改定案/継続審議ではなく撤回を/内閣委員会理事懇談会

 内閣委員会理事懇談会開く。検察庁法改定案について、与党は「(次期国会に向けて)継続手続きをお願いしたい」「ここで議論する話でもないので(国対間の)与野党協議で」などと発言。私は「国民の理解は得られていない。継続審議ではなく撤回せよ」と要求。立国社も「我々も撤回を求める」と発言。

 今国会での審議は行わせず、採決断念に追い込みました。市民の声が政治を動かしました。野党が結束してたたかった成果でもあります。

 コロナ対策にこそ全力をあげるとき。火事場泥棒のような検察庁法改定案は撤回を!市民と力を合わせて全力でがんばります。

新型コロナ対策/埼玉県関係国会議員と大野埼玉県知事の懇談会

 新型コロナウイルス感染症対策に関して、埼玉県関係国会議員と大野埼玉県知事との懇談会。日本共産党から伊藤参院議員と私が出席。

 大野知事から、感染状況や対策の現状と国への要望について報告があり、意見交換。

 PCR検査や医療提供体制の拡充、雇用の維持と事業の継続への支援、学びの保障の拡充など、国に抜本的な財政措置を求めていくことが必要だ。