衆議院議長の中国親善訪問議員団・4日目

 大島衆議院議長中国訪問団4日目。西安から深圳(しんせん)へ。

 王偉中・深圳市党委書記との会見。深圳は北京、上海、広州に次ぐ中国四大都市の一つ。香港に隣接し、経済特区指定で外資メーカーの誘致などで発達。今は、ハイテク製造業やインターネット・サービス産業も急速に成長。インターネット関連企業のテンセント、世界有数のICT企業のファーウエイなど深圳市が発祥の企業が多数あります。

 日本から416社が進出。つくば市などと友好都市を結んでいます。

 世界有数のICTソリューション・プロバイダーであるファーウエイを訪問。

 通信インフラ設備に始まって、スマートフォンなどの通信端末製造を加え、トラックの隊列走行など高度な通信技術を使った他企業とのコラボによる課題解決型の事業展開を進めています。社員の平均年齢が28歳。優秀な人材を採用して活力を維持するとともに、能力主義に基づく社員の入れ替わりも多いといいます。

 スタンフォード大学で学んだ3人組が創業したベンチャー企業、柔宇科技を訪問。

 センサー技術で評価され、新たに0.01ミリという薄さのフレキシブルディスプレイを開発。創業6年で50億ドルの市場価値を持つ会社になったと言います。フレキシブルディスプレイを活用した商品開発が目下の課題のようです。

 ちなみに、経済特区である深圳市は規制が緩く、例えば公道での自動運転も可能だとのこと。事故の例は「わからない」ということですが、先の国会で議論となったサンドボックスがすでに実践されています。

 壁にはユニークな文字盤の時計。

衆議院議長の中国親善訪問議員団・3日目

 大島衆院議長中国訪問団3日目。北京から西安へ。唐の時代、空海(弘法大師)が真言密教を学んだ青龍寺を訪問。日中が協力して再建されました。四国4県の協力で空海記念碑が境内に建てられています。日本との交流の場となっています。

 西遊記で知られる玄奘三蔵法師がインドから持ち帰った仏教典を保存するために建立された大雁塔(慈恩寺)や秦の始皇帝の陵墓を守る兵馬俑博物館を訪問。

 唐の都の長安など、西安は3000年の歴史を持つ都市であり、阿倍仲麻呂の記念碑など日本との関わりが深い。

 胡和平・陝西省人代常務委主任(陝西省党委書記)と会見。日中交流の取り組みについて懇談。

衆議院議長の中国親善訪問議員団・2日目

 大島衆議院議長訪中団2日目。王晨全人代常務委員会副委員長との会見。

 今年は日中平和友好条約40周年。議会間交流を豊富で稔りあるものにすることを確認。この間、衆議院と全人代は、日中議会交流委員会を重ね、今年で10回目となります。昨年の会合の中国側団長が王晨副委員長でした。私も3回連続で出席していますが、回を重ねるごとに、相互理解を深める機会となっています。

 環境保護団体が行政訴訟を起こせるなど、中国の環境規制の進展を実感したり、日本のカジノ推進法について中国側から質問が出て、日本側から賛否両論の意見表明を行うなど、活発な議論になっています。

 李克強首相と会談で、北京・中南海の会見場へ。

 大島衆院議長と李克強首相との会見。西日本豪雨災害、中国南部の水害と、それぞれの被災について、お見舞いの言葉が交わされました。

 日中平和友好条約40周年にあたって、恒久的な平和の実現について交流しました。

 中国社会科学院との懇談会。中国における社会科学分野の最高学術機構とされる政府系シンクタンクです。

 社会科学院の研究者は、朝鮮半島情勢について「高い関心を持っている。朝鮮半島の非核化、半島の平和構築、平和的な解決が必要。非核化のプロセスが穏やかに進むことを望む。北東アジアは”生きている化石”。課題は核問題だけではない。しかし今、構造的な変化が起きている。ただしプロセスは長期になる」と述べていたのが印象的でした。

 大島衆院議長と栗戦書・全人代常務委員会委員長(中国の国会議長)の会談。

 栗委員長は、日本軍国主義が引き起こした戦争の時代を振り返ることで、平和、友好の大切さがわかると指摘。大島議長は「先の大戦への深刻なる反省とおわびをもって、未来に向かっていきたい」と応えました。

 栗委員長は、日中の議会について、ハイレベルの交流とともに、専門委員会や議員間の交流を拡大したいと述べ、大島議長は栗委員長の訪日を招請しました。

 横井駐中国大使公邸で、日本企業関係者と懇談。

 「中国のカントリーリスクについて、どう受け止めているか」との質問に、「反腐敗運動で、袖の下の要求は激減した。知的財産権侵害の問題も、今や中国自身が守るべき知的財産権が増えているので、中国側も知的財産権を重視している」と説明。

 中国人が北海道の水源林を買い占めているといった話については「悪意をもった土地、不動産の買収という例はない」と回答。

 横井大使は「日本の技術への再評価や訪日観光客の増加によって、中国の対日観は変わってきている」と述べていました。

中国国会の要人との会見や企業訪問、地方視察/衆議院議長の中国親善訪問議員団

 大島衆議院議長中国親善訪問議員団の一員として北京へ。中国の国会である全人代の招待を受けたものです。張志軍全人代常務委員会委員の出迎えを受け、その後横井駐中国大使から中国の現況について説明を受けました。

 25日までの日程で、栗戦書・全人代常務委員会委員長、李克強・国務院総理との会見や中国企業訪問、地方視察などを予定しています。

 ネット通販の中国大手である京東集団(ジンドン・グループ)本社を訪問。電子商取引、金融、物流といった事業を一体的に行い、4億人にサービスを提供していると言います。ネットで注文して6時間で配達するサービスもあるとのこと。

 すべて電子決済の無人コンビニの運営やドローンや無人運搬車の開発など、実験的な取り組みを行っています。

 中国でネット通販が急速に普及しているのは、サービスの多様化、安い価格などの利便性の向上があります。一方で、宅配などの物流コストが農村出身者の安い人件費によって支えられている面もあるようです。

 

埼玉・飯能市/日本共産党のつどい

 飯能市で日本共産党のつどい。

 本気の野党共闘でこそ、安倍政権を退陣に追い込めます。

 米本土やドイツ、イタリアで行っている米軍への訓練規制を日本でも実現して、オスプレイの訓練中止、配備撤回を実現しようと呼びかけました。

西日本豪雨災害被災者救援募金の訴えと国会報告/埼玉・西武鉄道飯能駅前

 飯能駅前で西日本豪雨災害被災者救援募金の訴えと国会報告。

 被災者支援よりもカジノを優先する政治は間違っています。国政私物化、悪法強行の安倍政権を告発するとともに、市民と野党の共闘が前進した国会について報告しました。

 募金へのご協力、ありがとうございます。

通常国会が事実上閉会/党国会議員団総会で志位委員長があいさつ

 党国会議員団総会で志位委員長があいさつ。182日間の通常国会が事実上閉会となります。

 志位委員長は、モリカケ疑惑の追及、働き方改革法案やカジノ法案の危険性の暴露など論戦で国会をリードしたこと、国会共闘を支え、前進させたことなど、党国会議員団の果たした役割の大きさを強調しました。

安倍内閣は総辞職を/総がかり行動実行委員会の国会行動

 国会正門前で行われた総がかり行動実行委員会の「安倍内閣は総辞職を!」国会行動。
猛暑の中、たくさんの方が駆けつけていました。

 立憲民主党、国民民主党、無所属の会、日本共産党、社会民主党、沖縄の風の代表があいさつ。日本共産党は山下副委員長です。被災者支援、災害復旧よりもカジノ法案審議を優先するなどとんでもない!

 自民党による党利党略の参院選挙制度法案も許せません!「安倍政権は退陣!退陣!」のコールが響き渡ります。

 

【本会議】国会の権威を失墜/野党が古屋衆院議運委員長解任案/賛成討論

 日本共産党、立憲民主党、国民民主党、無所属の会、自由党、社民党の6野党・会派は、古屋圭司衆院議院運営委員長(自民党)が安倍政権の悪法強行に加担し、自身の政治資金パーティー収入の過少申告疑惑でも説明していないとして、同委員長解任決議案を衆院に共同提出。本会議で賛成討論に立ちました。

 今国会で問われたのは安倍政権による改ざん、ねつ造、隠ぺいなど、民主主義の土台を根底から突き崩す異常事態に対して、国会が政府監視機能を果たすかどうかだ。古屋氏が疑惑解明に背を向け、国会をぼうとくする安倍政権に追従し、国会の権威を失墜させた。

 古屋氏の職権による本会議開会などが20回に及び、重要法案を与党単独の質疑で進め、野党の質疑権を奪ってきた。「働き方」一括法、カジノ実施法案、自民党の党利党略の参院選挙制度改定など、最初から最後まで職権による強行運営で、政府・与党いいなりで悪法の審議促進に手を貸した責任は重大だ。また過少申告疑惑では、議会運営の要を担う議運委員長が、国民と国会に納得のいく説明をしないのは、民主主義の健全な発展に、極めて重大な問題をもたらす。

 決議案は自民、公明両党などの反対で否決されました。

賛成討論の要旨は以下の通りです。


 第一に、今国会の運営で問われたのは、安倍政権がひきおこした改ざん、ねつ造、隠ぺい、圧力、セクハラ、シビリアン・コントロールの崩壊という、わが国の民主主義の土台を根底から突き崩す異常事態に対して、国権の最高機関である国会が政府監視の機能を果たすかどうかでありました。

 とりわけ、国会に対し、改ざん、ねつ造された資料が提出され、虚偽の答弁がおこなわれた疑惑を解明し、国会審議の前提を回復することが、国民の負託を受けた国会の果たすべき使命でありました。

 ところが古屋委員長は、疑惑の解明にふたをする安倍政権・与党に唯々諾々と従い、森友学園公文書改ざん事件の解明を拒否し、加計学園「首相案件」事件の究明に背を向け、イラクや南スーダンの自衛隊日報の隠ぺい問題も放置したのであります。

 一国の総理が、国会で虚偽の答弁を行い、公文書の改ざんが放置されるなら、およそ議会制民主主義は成り立ちません。

 議院運営委員長という国会運営の要の職にありながら、国会を冒涜する安倍政権に追従し、国会の権威を失墜させてきた、古屋委員長の責任は極めて重いと言わざるを得ません。

 第二に、古屋委員長は、与野党の合意に基づく公正円満な運営を幾度となく踏みにじり、政府・与党いいなりで、悪法の強行に加担してきたことであります。

 今国会の総予算議決の本会議建てに始まり、委員長職権が20回に及んだことに、そのことがはっきりと示されています。

 子ども・子育て支援法は、本会議の趣旨説明・質疑を与党単独で行い、委員会審議も与党単独で行い、本会議採決も与党単独で強行し、野党の審議権を一切奪って法案を強行可決したのであります。この前代未聞の暴挙に、本会議の職権開会で加担した古屋委員長の責任は免れません。

 さらに、今国会の安倍政権の目玉法案であった「働き方改革」法案は、法案の出発点の労働時間調査のねつ造が発覚し、法案の根底が崩れているにも関わらず、本会議を職権で開き、与党だけで質疑を行い、野党の本会議質疑権を奪ったのであります。

 終盤国会では、多くの国民が反対しているカジノ実施法案の審議入りを進めるため、古屋委員長は、カジノ法案の露払いとなったギャンブル依存症対策法の委員会付託を強行しました。そして、カジノ法案の本会議質疑も強行し、本会議採決も強行したのであります。

 昨日は、すべての野党が反対している中で、職権で本会議を開き、自民党による「党利党略」の極みである参院選挙制度法の採決を強行しました。最初から最後まで職権で本会議建てし、数々の法案を、委員会へ強行付託し、悪法の審議促進に手を貸した古屋委員長の責任は重大であります。

 第三に、古屋委員長が、自らの政治資金パーティー収入の過少申告疑惑について全く説明できないことであります。政治資金規正法は、議員活動が国民の疑惑を招くことのないよう、事実を記載し、政治資金の収支を公開することで、「国民の不断の監視と批判の下に行われ」、これを「もって民主政治の健全な発達に寄与すること」を目的しています。

 議会運営の要の任を担い、他の議員の模範となるべき古屋委員長が、国民と国会に納得のいく説明を行わないことは、民主主義の健全な発展に、極めて重大な問題をもたらすものと言わざるを得ません。

 このように、悪法の成立に加担し、議会制民主主義を踏みにじって恥じない古屋委員長は、もはやその職責を果たし得ないことは明白であります。

カジノ法案/野党合同ヒアリング

 カジノ法案・野党合同ヒアリングに出席。

 参議院の審議で、政府が「カジノ事業者から給料を貰って、その身分のまま、カジノ管理委員会で働くことはない」と答弁したことについて質問。

 「非常勤職員であれば、カジノ企業に在籍し、カジノ企業から給料を貰っていても、カジノ管理委員会で働くことができるのではないか?」と聞くと、否定できませんでした。

 民間の知見を活かすと言って、カジノ企業の社員がカジノ規制のルールをつくることになりかねません。

党国会議員団の西日本豪雨災害対策本部会議に出席

 西日本豪雨災害対策本部会議に出席。各地の被災状況と被災者の要望を交流。

 土砂の除去、避難所の改善、住宅の確保、住宅再建支援、農業・中小企業支援策など、過去の災害対策も踏まえて取り組みを具体化しました。


「しんぶん赤旗」7月19日付・2面より

被災地の声届けよう/共産党対策本部が会合

 西日本を中心とする豪雨災害による被害拡大が明らかになっている中で、日本共産党国会議員団の「2018年7月豪雨災害対策本部」(本部長・小池晃書記局長)は18日、国会内で会合を開きました。

 事務局長の仁比聡平参院議員が、現地調査を踏まえ各地の状況を報告。岡山県倉敷市で民間の賃貸住宅を借り上げた「みなし仮設住宅」の提供が始まりましたが、「通勤エリア内や隣接する自治体などのコミュニティー内で入居を希望する被災者もいる」などの課題を挙げました。

 また、災害救助法に基づく、土砂など「障害物の除去」への補助の対象期間(災害発生の日から10日以内)を延期できることが自治体に十分周知されていないことも明らかになりました。

 政府が仮設住宅の入居対象者に「半壊」世帯を含む方針を示しましたが、災害救助法に基づき住宅を応急修理(補助上限約58万円)した場合は対象外としています。出席議員から、「実際には、修理したくても業者が見つからない。修理までの一定期間、仮設住宅入居を認めるべきだ」「何としても突破したい」との声が上がりました。

 小池氏は「各省庁への要請や国会質問、閉会中審査で、被災地の声を届けるために力を合わせ頑張りましょう」と述べました。

【「しんぶん赤旗」掲載】原発・防災など予算要望/共産党/北関東4県が政府に

「しんぶん赤旗」7月20日付・首都圏版より

 日本共産党の北関東ブロック事務所と埼玉、茨城、群馬、栃木の各県党委員会は18日、合同で来年度予算編成に対する政府要請を行いました。塩川鉄也衆院議員と梅村さえこ前衆院議員・参院比例予定候補、伊藤岳、大内くみ子、伊藤たつやの各参院選挙区予定候補らも参加しました。

 内閣府と原子力規制委貝会に対しては、東海第2原発(茨城県東海村)の20年の運転延長を認めるべきではないと要請。事故が起きた際の周辺約100万人の非現実的な避難計画について、「要支援者」の避難には7000台のバスが必要なのに、県内には4000台しかなく、運転手の確保も困難だとする茨城県の事例などを伝え、「延長は無責任で絶対に受け入れられない。命を重視した真剣な検討・審査を」と重ねて求めました。

 災害対策では、内閣府に、被災者生活再建支援制度の水害への適用拡大を要望。水害は家が水没するという独自の問題かあると指摘し、実態を踏まえ被害者に寄り添った制度にするよう求めました。担当者は、「今後の災害も含め慎重に検討しなければならない」と回答しました。

 児童扶養手当の支給について、厚生労働省は、2020年1月に現在の年3回(4ヵ月ごと)から、年6回(2ヵ月ごと)に改善すると明らかにしました。

【本会議】参院選挙制度の改定強行/審議不十分、抜本改革先送り

 自民党提案の最悪の党利党略の参院選挙制度(公職選挙法)改定案は衆院本会議で、自民、公明によって可決、成立が強行されました。

 日本共産党、立憲民主党、国民民主党、無所属の会など全野党が反対。日本共産党を代表して、わたしが反対討論。

 選挙制度が国民の参政権、議会制民主主義の根幹にかかわる問題であり、十分な審議もせず押し通すやり方は、国民の理解を得られず、選挙制度改革のあり方として許されない。参院に続き衆院でも、特別委員会で自公と委員長が質疑を打ち切り、討論省略、採決を強行したことに強く抗議しました。

 過去2回、抜本改革を先送りし続けてきたのが自民党です。15年公選法改定で「抜本的な見直し」について「必ず結論を得る」と付則に明記していたにもかかわらず、今回の案も安倍晋三首相が「臨時的な措置」と認めたように「抜本改革」でないことは明らかで、抜本改革を先送りする自民党は責任ある政党とはいえない。

 合区により立候補できない自民党候補を救済するため、比例代表に「特定枠」(政党が当選順位を決定する拘束名簿式を一部に採用)を持ち込むことは到底、国民の理解を得られない。ほぼ全てを「特定枠」にすることが可能で、政党ごとに「非拘束」「ほぼ拘東」の名薄が混在する選挙になる。「特定枠」の候補者への個人名投票も認められることで、1万票で当選する候補もいれば、50万票で落選する人も生まれる。矛盾だらけの梓定枠導入は有権者に混乱を招くだけで、認められない。

反対討論の要旨は、以下の通りです。


 選挙制度の改革は、国民の参政権の問題であり、議会制民主主義の根幹にかかわる問題であって、主権者国民に開かれた議論が不可欠であります。しかし、昨日の倫理選挙特別委員会で、参議院に引き続き、自民・公明両党と委員長が、質疑を打ち切り、討論を省略し、採決を強行しました。とくに、本案に対し七割が反対との世論調査が出ているのに、十分な審議を行わず押し通そうとするやり方は、国民から理解を得られず、選挙制度改革の在り方としても許されるものではありません。厳しく抗議するものです。

 今回の参院選挙制度改革は、2009年の最高裁判決が投票価値の平等の観点から「仕組み自体の見直し」を提起したことを、発端としています。わが党は、現行制度を抜本的に見直し、多様な民意が正確に反映される比例代表を中心とした選挙制度にすべきと提起し、各党の合意を形成する努力を続けてきました。ところが、自民党は、12年は「4増4減」で糊塗し、15年にも「2合区10増10減」で先送りしたのです。

 15年改定では「抜本的な見直しについて引き続き検討を行い、必ず結論を得るものとする」と附則に明記されました。

 にもかかわらず、本案が「臨時的な措置」であると安倍総理が認めているように、「抜本改革」でないことは明らかです。ところが、自民党は、本案が「抜本的な見直しの一つ」と強弁し、しかも「憲法改正こそが、抜本的な改正である」と答弁しました。とんでもありません。

 最高裁判決は投票価値の平等を求めたのであって、憲法改正を求めたのではありません。改憲を口にし、抜本改革を先送りする自民党は、およそ責任ある政党とは言えません。

 とりわけ重大なのは、比例代表へ「特定枠」を持ち込むことです。これは、合区によって立候補できない現職候補者の救済という自民党の都合に合わせた「党利党略」の案であり、到底、国民の理解を得られないものです。

 この「特定枠」について、「活用するのは政党の判断」であって「基本的には、国民が当選順位を決定する非拘束名簿式を維持する」と答弁していますが、ほぼすべてを「特定枠」にすることも可能となっています。政党によって「非拘束名簿」であったり「ほぼ拘束名簿」であったりという選挙となるのです。さらに、「特定枠」候補者への個人名投票も認めていることで、1万票で当選する候補者もいれば、50万票でも落選することになります。

 このような矛盾だらけの「特定枠」導入は、有権者に混乱を招くだけであって、断じて認められません。

 以上、反対討論を終わります。

【議院運営委員会理事会】古屋議運委員長の過少申告疑惑/国民が納得できる説明を

 古屋圭司議院運営委員長(自民)は、政治資金パーティーの収入を実際より少なく申告した疑惑(7月17日付朝日新聞報道)をめぐり、今日の議運理事会で、経過と事実関係を書面で報告しました。

 書面では、報道されたパーティー券販売数を記したノートの存在を認める一方、記事内容とは違う点も確認されたとして、さらに調査をすすめると説明。

 日本共産党など野党は「説明責任を果たしていない」と批判し、関連資料の提出を含め、国民が納得できる明確な説明を求めました。

 書面では「ノートは事務所の政治資金パーティー券を販売した秘書がパーティー券の配布先及び配布枚数を規則したもの」と説明。実際の購入枚数とされる赤ボールペンで丸のついた数字について「赤丸で囲まれた数字と通帳などへの個々の入金額が一致しないものがある」「『赤丸数字=販売枚数』ではないケースが確認できた」と強調しています。

 野党は、赤丸数字と販売枚数で一致するものは何件あるのか、一致するものを足し上げていった結果、収支報告書の申告金額は過少になるのではないかと追及。

 古屋委員長は、弁護士・専門家に調査を依頼しており、調査を進めないと答えられないと述べるにとどまりました。

 わたしは、国会運営を担う議運委員長には高い倫理性が求められる。疑惑を明らかにしていない議運委員長の下で、「新たな日程を協議するわけにはいかない――と表明しました。

 しかし、与党と古屋委員長、野党の反対を押し切り、職権で今日の本会議開会を決めました。

【政治倫理・選挙特別委員会】参院選挙制度・自民党案/抜本改革に値せず

 自民党の参院選挙制度改定案が、今日の委員会で、野党の反対を押し切り強行採決され、自民・公明の賛成により可決しました。

 この日の理事会で、共産・立憲民主・国民民主・無所属の会の4会派は、議会制民主主義の土台である選挙制度の問題の徹底審議を強く求めました。

 与党は、質疑終局・討論省略で採決に持ち込もうと動議を提出。審議続行を求める意見に耳を貸さない平沢勝栄委員長(自民)に対し、野党は不信任決議案を提出しましたが、与党などの反対で否決されました。

 野党の質疑は始まったばかり。十分な審議が必要だ。多数党が自らに都合のよい制度に変えることを強行すれば、議会制民主主義を壊すことになり、到底許されない。

 採決に先立ち、自民党案は抜本改革に値せず、自党の候補者を救済するための党利党略だ――と追及しました。

 2009年最高裁判決を発端とした参院選挙制度改革は、12年・15年の公選法改定で自民党等が抜本改革を先送りしてきましたが、15年改定の附則で「抜本的な見直し」について「必ず結論を得る」と盛り込んでいました。

 今回の案は、安倍首相が「臨時的な措置」と認めており抜本改革に当たるのかただすと――自民党提案者は「(合区解消のための)憲法改正が抜本的見直しだ。今回、(改憲なしでの)最善の策を示した」と答弁。

 わたしは、最高裁は改憲を求めておらず、附則をないがしろにした自民党は責務を果たしていないと批判。自民党案は抜本改革に値しない――と強調しました。

 比例代表選挙に導入する「特定枠」(政党が当選順位を決定する拘束名簿式を一部に採用)について、提案者は「活用するかは政党の判断」、「基本的には(国民が当選順位を決定する)非拘束名簿式を維持する」と答弁。

 これは、各党がバラバラな方式では有権者に混乱をもたらす。特定枠人数と当選者数によっては10万票で落選する一方、1千票でも当選する制度で、国民の理解は得られない。

 合区により選挙区で立候補できない候補者の救済という「自民党の都合」に合わせたものだ――と批判しました。


「議事録」
<第196通常国会 2018年07月17日 政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会 6号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 今回の参議院の選挙制度法案について質問をいたします。
 そもそも、今回の参議院選挙制度改革の発端は何だったのか、このことを振り返れば、二〇〇九年九月、最高裁判決が、格差が五倍前後に達している参議院選挙区定数配分規定について、投票価値の平等の観点から仕組み自体の見直しを提起したということがあります。しかしながら、自民党などによって抜本改革は先送りをされて、一二年に四増四減、一五年に二合区十増十減という糊塗策がとられてきたわけであります。
 二〇一五年の改正法の附則では、「選挙区間における議員一人当たりの人口の較差の是正等を考慮しつつ選挙制度の抜本的な見直しについて引き続き検討を行い、必ず結論を得るものとする。」と入っておりました。
 提出者の方にお尋ねをいたします。この本案というのは、参議院選挙制度の抜本改革として提案をしたということなんでしょうか。

○石井(正)参議院議員 お答えを申し上げます。
 今回の私どもが提案いたしました法案でございますけれども、御案内のとおり、格差の是正を図りつつ、また一方で、地方からの国政にその声を届けてほしいという切実なる強い御要望、これに応えるということから、今回、比例選挙の方におきまして特定枠という方式を導入していこう、こういったことで全体として地方の声にも応えていこう、多様な民意にも応えていこう、こういう考え方でございます。
 もちろん、私ども自民党といたしましては、憲法改正によって、各都道府県から少なくとも一人の代表を選出するということ、これは憲法改正によるしかない、現行の最高裁判決等を踏まえますと、このような考えを持っているところでございますが、御案内のとおり、なかなかこの憲法改正の問題が、皆様方のもとで、憲法審査会、自由な討議がまだ入っていないという状況でございます。
 そういった中におきまして、時間的な余裕は、約一年後に迫っております参議院選挙、こういったことを考えました場合に、今回、今のような、冒頭申し上げましたような内容で法案を提出させていただきまして、現下の、今の法律改正によってこの問題をこれから解決していこうという意味におきましては、最善の、法律改正によっては最善の方策の一つである、このように私どもは考えまして、提案をさせていただいているところでございます。

○塩川委員 二〇一五年の改正法の附則にあるような、抜本的見直しということで出されたということは、そのとおりなんですか。

○石井(正)参議院議員 二十七年改正法附則にあります抜本的見直しに当たるのかというお尋ねでございますけれども、私どもといたしましては、この抜本的な改正、見直しに当たる、一つの考え方である、このように考えまして、提案をさせていただいております。

○塩川委員 しかしながら、安倍総理は、六月二十七日の党首討論で、本改正案は臨時的な措置と述べているわけなんですよね。党の総裁が臨時的な措置と言っているのに、抜本的な見直しだというのは非常に整合性がつかない話だと思うんですけれども、これは、抜本的な見直しなのか臨時的な措置なのか、その辺はどうなんですか。

○石井(正)参議院議員 お答えを申し上げます。
 党首討論におきまして臨時的な措置という御答弁があったということにつきましては、先ほど私が御説明申し上げましたとおり、憲法改正というものが我が党といたしましては抜本的な、各都道府県から少なくとも一人選出という意味におきましては抜本的な改正になる。しかしながら、現下のような状況でございますので、そこに至るまでの間の、今回、法律改正によっては最善の策ということでありますけれども、そういった、全体としては次善の策になろうということで、総理としては臨時的な措置、このような御答弁をされたもの、私どもはそのように理解をしております。

○塩川委員 そもそも、最高裁は憲法改正を求めていないわけですよ、現行制度下において抜本的な見直しということを求めているわけですから。そういう際に、この現行憲法下での抜本的な改革の案があるのかということを聞いているんですが、お話を聞くと、最善策だという言い方をするけれども、安倍総理・総裁の発言にもあるように、臨時的な措置ということでは、自民党として、現憲法下での抜本改革の案を持っていないということを示しているんじゃないんですか。
    〔委員長退席、橋本委員長代理着席〕

○石井(正)参議院議員 お答えいたします。
 私どもといたしましては、先ほど来御答弁申し上げておりますとおりの憲法改正、このことこそが抜本的な現下の地方の声に応える改正である、このように考えるものでございますけれども、現下のような状況でございまして、こういった中で今回の案を提出したということでございます。
 憲法改正をしないで、現下の法改正の中でほかに方法がないかというようなお尋ねでございますけれども、私どもとしましては、その法律改正という中において考え得る最も最善の案という形において提案をさせていただいた次第でございます。

○塩川委員 埼玉選挙区定数二をふやすということにおいて格差是正を図るという措置にあるわけですけれども、しかし、この間の過去の法改正と同等の話であって、それがやはりあくまでも当座の対策でしかなかったということを言っても、これはどう考えても、前回の附則で言っているような抜本的見直しに当たるとは考えられないという点でも、その責務を果たしていないというのがこの自民党案だということを言わざるを得ません。
 法律の附則に抜本的見直しを必ずという検討事項が入っているにもかかわらず、改憲を前提とした合区解消案に固執し続けていたことは、法律をないがしろにしたものだ、最高裁が求めているものとも違うと言わざるを得ません。
 参議院において二〇一〇年秋より行われてきた各党による協議で、我が党は、選挙制度を考える上で最も重要なことは、多様な民意を正確に議席に反映させることとの基本的な見地に立って、当時、西岡議長が当初提示をしました総定数維持、ブロックごとの比例代表制をたたき台として議論すべきだと提案をし、各党の合意を形成する努力を続けてまいりました。
 我が党の提案というのは、基本的考え方として、投票価値の平等実現を目指す抜本改革案とする、また、多様な民意が正確に議席に反映する制度とする、さらには、参議院の立法、行政チェック機能を弱め、民意を削る定数削減を行わない、こういう立場に立って、議員定数は現行の総定数二百四十二を維持し、全国十ブロックの比例代表制、非拘束名簿式とすることを提案をしています。
 私は、こういった最高裁の判決の要請も踏まえ、また前回の改正法の附則による抜本的見直しということであれば、こういった案こそ検討されるべきだと思うんですが、この自民党案の提出者の方に、こういった案こそ抜本的見直しとして検討すべきではないのか、この点についてお尋ねをいたします。

○岡田(直)参議院議員 先ほどから申し上げております参議院における各派の選挙制度専門委員会において、私どもは、確かに、我々が目指す選挙制度の憲法改正による合区解消、一県から少なくとも三年ごとに一人ということを申し上げてはまいりましたけれども、それに、憲法改正に固執をしていたということは必ずしもございませんで、例えば、都道府県単位を尊重しながら、そうすると、大規模県、人口の多いところ、大都市圏、そういったところに格差が広がって不満を生じる、そういうことのために、複数の候補者に、そうした大都市圏の有権者の方々に複数の投票を可能とする、そういう制限連記というあり方も提起をして、これも真剣に検討をしたところであります。
 当時の参議院の第二会派でありました民進党もこうしたお考えをお持ちでありまして、第一会派、第二会派で何とか接点が見出せないかというような議論もしたことがございます。各派の合意形成に努めてまいったわけでございまして、必ずしも憲法改正に固執をしたということはありませんし、やはり時間的あるいは政治状況を見まして今回は見送るという決断をしたことでございますので、御理解をいただきたいと思います。

○塩川委員 今回の自民党案というのは抜本的な見直しと言えないということをみずから語るような中身だと考えます。
 選挙制度は、民主主義の土台であります主権者国民の代表の選び方や国民の参政権のあり方を決めるものであり、十分な議論を重ね、合意を得る努力を尽くす必要があることは誰もが認めるところであります。多数党がみずからに都合のよい制度に変えることを強行すれば、議会制民主主義を壊すことになるわけです。多数の力で押し切ることは許されません。最大党である自民党の責任が厳しく問われていることを申し上げたい。
 その上で、特定枠についてお尋ねをいたします。
 本案では、比例代表選挙において政党等が優先的に当選人となるべき候補者に順位をつけて名簿に記載する特定枠を盛り込んでおります。
 お尋ねしますが、そもそも現行の非拘束名簿方式というのはどういう制度なのか、有権者が当選する順位を決める、有権者に委ねる、こういう制度だったのではなかったかと考えますが、お聞かせください。

○磯崎参議院議員 お答えさせていただきたいと思います。
 委員おっしゃるように、現行の非拘束名簿式、これが導入されたときの経緯からすれば、顔が見える選挙あるいは国民が当選者を決定できる、こういう趣旨で今の非拘束名簿式が導入をされたというふうに認識をいたしております。

○塩川委員 顔が見える選挙、国民が当選者を決める選挙というお話であります。
 では、本案はどうなのか。この特定枠の人数は、候補者とする者のうち一部の者となっており、この一部というのが全部ではないということで、いわばほぼ全てを特定枠にすることが可能だ、これは参議院の審議の中でも、答弁者、提出者の方もお認めになっていることであります。
 ですから、政党が順位を拘束した候補者を、例えば二十人の名簿登載者のうち十九人まで登載できる、こういう仕組みとなっているということでよろしいですね。
    〔橋本委員長代理退席、委員長着席〕

○磯崎参議院議員 お答えいたします。
 今委員御指摘のとおり、今回の法の中では、名簿の中の一部に特定枠を導入することができるということでございますので、全てでなければ法律上は否定をされるわけではないということでございます。
 ただ、この特定枠、まず、活用するのかどうなのか、何名特定枠として名簿登載をするのか、どういう方を登載をするのかということについては、各政党等の判断に任されているということでございます。

○塩川委員 各政党の判断ということです。
 そうしますと、例えば二十人のうち十九人を特定枠にする、二十人のうち一人を特定枠にする、あるいはゼロにするということもあるわけで、そうしますと、実質的に、有権者から見ると、政党ごとに、非拘束名簿式の投票を求める政党や、実質ほとんどが拘束となるような、そういう政党を選んでもらうことになるのか、非拘束なのか拘束なのか、こういうのが政党によってばらばらだといったことで選挙に臨むということは、有権者に大きな混乱をもたらすことになりはしませんか。

○磯崎参議院議員 お答えをさせていただきたいと思います。
 冒頭委員が御質問をされましたとおり、この非拘束名簿式、このメリットというのは、先ほど答弁させていただきましたように、顔が見える選挙、国民が当選者を決定できる、こういうメリットを持つということでございます。
 他方、今回導入をいたしました特定枠、これはやはり、現代において民意が非常に多様化をしている、細分化をしている、こういった中で、少数の有為な人を国政に送りたい、こういうニーズがあるのも事実だろうというふうに思っておりますので、それぞれ制度にはメリットがあるんだろうというふうに思っております。
 そういった意味では、私どもの提案の趣旨としては、あくまでも非拘束名簿式、これを補完する形で比例名簿の一部に特定枠を導入をしようということでございますので、基本的には非拘束名簿式を維持をしていくというのが考え方でございます。
 したがいまして、私どもとしましては、御指摘のように、政党ごとに非拘束名簿とほぼ拘束名簿が混在する選挙にはならない、そのように考えております。

○塩川委員 いや、そうであれば、例えば数を限るとか割合を限るとか、そういう提案もあっていいと思うんですけれども、一部ということで、実質的にはほとんど全てを拘束にする、特定枠にするということも可能とする制度にする意味がわかりません。
 先ほども言ったように、政党がそれぞれ選択をするという場合には、有権者にすればどういう違いがあるのかというのがそもそもわからない。有権者を混乱させるような制度でどうして国民の理解が得られるのか、その点についてもう一度お答えいただけませんか。

○磯崎参議院議員 お答えさせていただきたいと思います。
 まさに、この拘束名簿式を、先ほど申し上げましたように、活用するのかどうなのか、何名活用するのか、どういった方をこの名簿登載者として登載をしていくのか、これはまさに各政党の御判断に委ねられるということでございます。
 したがいまして、有権者としては、例えば拘束名簿、特定枠のあり方、そういったものも含めて有権者は御判断をされるということもあるのではないかなというふうに思っておりますので、逆に、政党の選択肢をふやしていくということに今回の意味もあるのではないかな、そのように思っております。

○塩川委員 それは国民から見て本当にわかるのかという疑念というのは拭えないわけであります。
 ちょっと具体的に聞きますけれども、例えば二十人の名簿登載者がある、そういう政党があった場合に、そのうち特定枠は四人とした場合に、実際に当選した人が四人だったということになります。そうしますと、非拘束名簿式の選挙であるにもかかわらず、当選者は全て拘束の人だけになる、こういうことも起こり得るということですよね。非拘束名簿式なのに特定枠の候補者のみ当選をして、これで非拘束名簿登載の候補者が当選しないということでは、これは非拘束名簿式と言えるんでしょうか。

○磯崎参議院議員 お答えをさせていただきたいと思います。
 まさに、今回特定枠を導入して、今のようなことが発生をする可能性は否定できないというふうに思っております。
 非拘束、特定枠以外の名簿に登載された方については、政党に投票するのかあるいは個人名で投票するのか、これはどちらもあるわけでございますし、特定枠についても、特定枠の個人名を書くことも政党名を書くことも両方あり得るということでございます。
 ただ、やはり、カウントの仕方につきましては、特定枠に登載された名簿の個人名を書いた場合には、政党の当選者を確定する、そのことだけに票が活用されるということでございますので、結果的に、先ほど言われたような結果になることもあり得るということかと思います。
 ただ、やはり、特定枠に掲載されていないそのほかの名簿登載者につきましては、その順位を決定するために個人の名前で投票するという、そのことの意味が失われるわけではございませんので、結果的にそうなるということはあろうかと思いますけれども、根本的なものを失わせるものではないだろう、そのように思っております。

○塩川委員 非拘束名簿式を補完する拘束特定枠というお話でしたけれども、でも、実際の当選者が拘束の特定枠の人のみということになりますと、非拘束名簿式の、まさに顔が見える、そういった選挙のあり方、国民が当選者を決める、そういう選挙のあり方そのものが否定されることになりはしませんか。

○磯崎参議院議員 お答えいたします。
 そのことも踏まえて、重ね重ねということになりますが、名簿、特定枠を活用するかどうなのか、何名なのか、これは政党がまさに判断をするということでございますので、政党の選択肢をふやすという意味での判断に委ねていくということかと思います。

○塩川委員 非拘束名簿式というあり方そのものが問われる制度だと言わざるを得ません。
 今お話の中で、特定枠の候補者についての投票との関係で、政党の投票と個人名の投票のお話がありました。特定枠の候補者に個人名の投票を認めるというのはなぜなんでしょうか。

○磯崎参議院議員 お答えさせていただきたいと思います。
 これは、先ほど来お話が出ておりますとおり、今回特定枠を導入することで選挙の制度が複雑になるのではないか、こういう御指摘がございました。
 特に、今回、例えば、特定枠の名簿に掲載された方については、これは本人の、例えば投票ができない、政党名だけ、特定枠に掲載されていない非拘束の人については政党名でも個人名でもいいということになると、やはりこれはより複雑な選挙制度になるということになろうかと思いますし、更に言えば、基本的には特定枠は個人名を書いても順番に影響がないわけでございますので、政党名だけに絞るということも可能かと思いますけれども、今申し上げましたように、より複雑になるということを避けるということが一つの意味としてはあるというふうに認識をいたしております。

○塩川委員 いや、有権者から見たら奇々怪々の仕組みになるんじゃないでしょうか。
 特定枠の人の中で、例えば、仮に千票だった人がいた場合に、その後の非拘束の名簿の登載者の候補者が十万票とっても、今言ったように四人までしか当選しないような仕組みだとしたら、十万とるような非拘束の人は当選に届かず、千票の人がもちろん特定枠ということで当選するということになると、これは、はたから見たら納得が得られるような仕組みになるんだろうかと思うんですが。

○岡田(直)参議院議員 先ほど後藤議員からもこうした特定枠の候補の性格についての御質問がございましたし、今、塩川先生からもいただいております。
 非拘束名簿式というのは、先ほど申し上げたように、顔の見える、個人を選ぶ選挙。そうしますと、個人名を書いてもらうための選挙というのは甚だ激烈であります、全国回ってですね。しかし、それではやはり酌み取ることのできない、少数派というか、ある意味マイノリティーというか、あるいは社会的弱者という方々もいらっしゃると思うんです。
 例えば、島根、鳥取、高知、徳島というのは、これはもう人口的なマイノリティーというか、絶対的な人口減少地域ということで、これも含めて、我が党はそれを想定しておりますけれども、ほかの党には、いろいろな、なかなか今までの非拘束式の比例選挙では当選し得ないような方を拘束名簿式に入れる、それがゆえに、先ほども申し上げたように、比例四増というのは、現状の非拘束名簿式に大きな影響を与えることなく、こうした新しい、自由度の高い、そして、選挙に必ずしも強いとは言えないけれども、これはぜひ国会で働いてもらいたい、そういう方々を特定枠に入れる、こういうことを構想しているもので、両者の性格が違うということを御理解を賜りたいと存じます。

○塩川委員 いや、私が聞いているのは、百歩譲ってそういう話があったとしても、特定枠の候補者について個人名を書く必要があるのかという話なんですよ。
 今言ったように、有権者から見れば顔が見える選挙で、その有権者が当選者を決めるような仕組みと言われているのに、実際には、得票数で大きな差がある、非拘束の人の方がたくさんとっているのに、特定枠であるがゆえに個人票が少なくても当選するというのは、有権者から見たらわかりにくいんじゃないのかということと、その特定枠の中でも順番がついているわけですけれども、一番の人が十票で、二番の人が一万票とかという場合だってあり得るわけですよ。特定枠の中でも得票数の実際に順位との逆転が起こるような場合も起こるわけで、こういうのというのは有権者から納得が得られるんでしょうか。

○磯崎参議院議員 お答え申し上げたいと思います。
 まず、特定枠の中の票ということにつきましては、これは特定枠の候補者の個人票というのは、あくまでも政党の当選者の人数を決めるためのみに活用されるということでございます。
 ただ、やはり有権者にとってみれば、そこのところの、事前に制度としての説明をきちんとしておく必要はあるんだろうなというふうに思っておりますが、あくまでも特定枠につきましては、あらかじめ順番が決まっておりますので、本人の得票数にかかわらずその順番に当選をしていく。この制度の趣旨ということにつきましては、やはりきちんと導入に当たりまして説明をしていく必要はあるんだろうというふうに思っております。

○塩川委員 いや、個人名の投票を行う意味があるのかという話なんですよ。有権者は、だって理解できないじゃないですか。

○古賀(友)参議院議員 お答え申し上げます。
 特定枠、非特定枠、いずれも基本的に、比例代表選挙は政党を選択する選挙であるというこの原則は変わらないわけでございます。
 その上で、したがいまして、特定枠につきましては政党に対する得票で当選が決まっていく、非特定枠につきましては個人名で党内の当選順位が決まっていくということでございますけれども、特定枠候補に有権者が投票をした場合に、これを死票化してしまうのは不都合である、こういった考えから、特定枠候補者に対して国民が投票してしまった場合でも、これは政党への得票として認めましょう、こういったことで今回の制度設計がなされている、このように理解しているところでございます。
 以上でございます。

○塩川委員 私が聞いている、名簿順位と得票順位が異なった結果が出た場合に有権者の意思と反することになるんじゃないのかといったことについてのお答えにはなっておりません。今聞いただけでも、矛盾が多い、有権者の理解が得られない制度だと思います。
 こういった特定枠を導入する契機となっているのが、この間の答弁にもありましたけれども、合区問題に対応するということで、自民党案の提出者の方は、合区の対象となっている人材は国政上有為な人材と言い得る、こういった人材の当選の機会を高めることを可能とするべく特定枠を利用することは可能であると考えているということで、合区で立候補できなかった人を比例に回し、優先的に名簿登載するために定数も四増し、現職候補者の救済という、自民党の都合に合わせたというのがこの特定枠の導入だというのが率直なところだと思いますが、そういうことですね。

○岡田(直)参議院議員 特定枠については、さまざまな活用法、あるいは活用しないという選択肢もあるところでありますけれども、我が党以外にも、合区対象県にそうした特定枠の候補者を立てるということはあり得ると思います。
 しかし、それは、何党何党の代表を出すという意味ではなくて、まさに地方六団体が、また多くの県議会が求めているように、その地域の代表者を、代弁者を、国政に声を届ける人を立ててくれる、そうした手法というものを今回我々は御提案を申し上げているので、これはいずれかの党に有利になるとか不利になるとか、そういうものではございません。自民党の議席が必ずしもふえないというのは先ほど後藤先生も御指摘になったとおりでありますし、これは価値中立的な、そうした法案であるということを御了承願いたいと存じます。

○塩川委員 現職候補者救済という側面は否めないということと、更にお尋ねしたいのが、自民党の提出者は法案の趣旨説明で、全国的な支持基盤を有するとは言えないが国政上有為な人材又は民意を媒介する政党がその役割を果たす上で必要な人材を当選させることが目的と答弁していました。
 この国政上有為な人材というのが合区の現職候補者の救済の面があるわけですけれども、もう一つの方の、政党が役割を果たす上で必要な人材というのはどういう人を指しているんですか。

○岡田(直)参議院議員 これは各党の御判断に委ねたいところでございますが、一つ、選挙区では酌み取れない、御党も二県合区には御反対というふうに存じておりますけれども、そうした地域の民意をこの全国比例の特定枠という制度で、事実上、やはり地域をよく知り、そして活動できる、そういう方を、しかも全国民の代表者として、全国比例の議員として進出可能になる、そういう制度を考えているところでございます。

○塩川委員 お答えいただいていないんですけれども、政党が役割を果たす上で必要な人材、今言ったような話もあるかもしれませんが、しかし、自民党として、政党が役割を果たす上で必要な人材という理屈で、例えば自民党の参議院幹部を特定枠に入れる、こういうことも可能ということなんですか。

○平沢委員長 岡田君、時間が来ていますので、簡潔にお願いします。

○岡田(直)参議院議員 はい。
 そういうことは現在想定しておりません。

○平沢委員長 塩川君、時間が来ました。

○塩川委員 党利党略、御都合主義、露骨なお手盛りという批判というのは当然のことであって、更に徹底審議を通じてこの問題を明らかにしていきたい、このことを申し述べて、質問を終わります。