▼2018年通常国会の取り組み▼【6】火山噴火対策(1)火山観測・研究者足りぬ/高齢化が深刻(2月9日、予算委員会)(2)大規模火山噴火による降灰被害対策(4月11日、内閣委員会)

【6】火山噴火対策
(1)火山観測・研究者足りぬ/高齢化が深刻(2月9日、予算委員会)
 12人の死傷者を出した草津白根山の本白根山をはじめ、日本には111の活火山があるのに、火山の観測・研究に従事する「火山の主治医」(研究者)が足りない――火山の主治医の高齢化と若手研究者が不足している実態を告発した。

 火山の主治医は、2016年時点で45人、うち40歳以下は7人。火山の観測・研究体制が掘り崩されている大問題だ。

 林芳正文科相は「次世代火山研究・人材育成総合プロジェクト」で人材育成をしている、
「政府の各関係機関などに、なるべく、できる範囲で年齢構成に偏りがでないような取組を促していきたい」と答えた。

 小此木八郎防災担当相は「主治医・専門家の育成は一つの課題。今後協議・研究する」と答弁。

 そもそも国立大学法人化後の運営費交付金の削減が、人件費削減につながり、民間資金獲得が困難な基礎研究である火山研究体制にしわ寄せとなっている。予算確保が必要だ。

(2)大規模火山噴火による降灰被害対策(4月11日、内閣委員会)
 火山噴火による降灰は、わずかな堆積でも被害は深刻だ。その認識を問いました。

 小此木八郎内閣府防災担当大臣は「移動手段が限定される。迅速な救助活動・交通対策など降灰時の対応力の向上を図っていくことが重要」と答えました。

 わたしは、『大規模火山災害対策への提言(2013)』の中で、国に対し、降灰対策の指針を作るよう求めている。その措置状況について質問。内閣府は「これから検討を進める」と答弁。

 5年も経っているのにまだ作っていない、と批判すると。内閣府は「今年度から富士山を想定した降灰対策の調査検討を行う」と答えました。

 大規模噴火のおそれのある火山は浅間山など他にも想定される。富士山に限定するのはおかしい。広域の降灰被害については、国の責任で、人もお金も出して対策するべきだ。

▼2018年通常国会の取り組み▼【5】くらし 子ども子育て支援法案・学童保育・ネットフリマ(1)子ども子育て支援法案についての集中審議(4月4日、内閣委員会)(2)学童保育指導員の処遇改善(4月4日、内閣委員会)(3)ネットフリマ規制なし/古物営業法改定案を批判(4月13日、内閣委員会)

【5】くらし 子ども子育て支援法案・学童保育・ネットフリマ
(1)子ども子育て支援法案についての集中審議(4月4日、内閣委員会)
 子ども子育て支援法案は、与党の審議・採決強行によって、野党の質疑は一度も行われませんでした。野党の要求により、子ども子育て支援法に関する集中審議が実現しました。

 わたしは、法律案要綱の誤りについて追及。子ども子育て支援法改正案の法律案要綱において、「市町村子ども・子育て支援事業計画」と記載すべきところを「市町村子ども・子育て支援計画」としていたことについて、誤りではないかと質問。

 松山大臣は「可能な限り簡素化し、わかりやすく説明するということだったが、そうなっていないという指摘は真摯に受け止めたい」と答弁。

 わたしは「誤りを誤りと認めない政府の態度が、国会と政府の信頼関係を損ない、国民の政府不信を大きくするものとなっている。いまからでも誤りを認め反省すべきだ」と指摘しました。

 また、2016年度からスタートした企業主導型保育事業について質問。児童育成協会の立ち入り調査で、職員の配置や保育内容について改善すべき事項が多数あることを確認。保育士の人数が足りていない時間帯があるとか、昼寝の際にうつぶせ寝にさせたままだった、給食のアレルギー対応のマニュアルがなかったなど問題点が指摘されています。

 認可外であり、保育所よりも職員資格等の面で緩和されているとか、設置や運営に市町村の関与が少ない。企業主導型保育事業は、保育料が応能負担ではない。低所得者世帯が利用できない可能性があるなど問題点を指摘しました。

(2)学童保育指導員の処遇改善(4月4日、内閣委員会)
 指導員の高い専門性に見合った処遇改善が必要だ。厚生労働省が行っている「処遇改善事業」「キャリアアップ処遇改善事業」の市町村における利用実績が20%に届いていない理由について問うと、厚労省の成田裕紀・大臣官房審議官は、財政上の理由などをあげました。

 松山政司・少子化対策担当相は「処遇改善は大変重要。(財政上の支援措置は)今後の検討課題としたい」と答弁しました。

 地方分権改革の中で、職員の配置基準について「従うべき基準」から「参酌基準」への緩和を検討していることは、専門性に見合った処遇改善の取り組みに逆行するものだと批判し、政府の認識を問いました。 

 成田氏は「安全性などの一定の担保が必要」、松山担当相は「質の確保は重要だ」と答弁しました。 

 職員の配置基準は国が自治体を縛っているものではない。子どもたちの安全を確保するために、国民が行政を縛っているのであり、それを後退させるのは許されない。

(3)ネットフリマ規制なし/古物営業法改定案を批判(4月13日、内閣委員会)
 社会問題化している「フリマアプリ」による盗品売買の問題を取り上げました。

 2012年に登場した「メルカリ」などのネットフリマは、「ヤフオク」などのネットオークション(個人対個人取引)に匹敵する市場となっており、さらに拡大すると予測されています。

 警察庁の山下忠雄生活安全局長は、ネットオークションでの盗品処分が、12年の2552件から13年の1164件に半減していたことを明らかにしました。

 わたしは、落札期日まで取引が確定しないネットオークションに対し、ネットフリマは買い手が応じれば取引が成立し手軽に換金できる傾向があり、盗品売買がネットフリマに流れていると考えるのが自然だ、と指摘。

 そのうえで、同庁の「有識者会議」では検討されていたネットフリマへの法規制を古物営業法改定案に盛り込まなかった理由を質問。

 山下局長は「新しいビジネスの芽を法規制で摘むなとの意見が出て、自主規制に任せることになった」と説明しました。

 有識者委員にネットフリマ大手「楽天」の役員がおり、楽天が入っているから自主規制になったと言われても仕方がない。

▼2018年通常国会の取り組み▼【4】地域振興 TPP・PFI・ホンダ狭山工場閉鎖問題(1)TPPの論戦(2)PFI法案の審議(3)ホンダ狭山工場閉鎖/大企業の社会的責任棚上げの産業政策を批判(4月6日、内閣委員会)

【4】地域振興 TPP・PFI・ホンダ狭山工場閉鎖問題
(1)TPPの論戦
1)日米交渉/国民に打撃/TPP11がベースに(5月16日、内閣委員会)
 関税撤廃などを盛り込んだ環太平洋連携協定(TPP)加盟11か国による新協定「TPP11」について、米国からはTPP11をベースに日米二国間協議でさらなる追加措置が求められる危険があると指摘しました。

 トランプ米大統領が「アメリカ第一」の立場から、「TPPに戻りたくない」「二国間協議がいい」と明言しているもとで、安倍首相が日米の新たな経済協議の枠組みをつくることで合意したことは、きわめて重大。日米二国間交渉のゆくえを中心にただした。

 トランプ大統領がTPPから離脱し、貿易協定は二国間交渉で進める意向を示したことで、日本の麻生太郎副総理と米国のペンス福大統領の経済対話、茂木敏光TPP担当大臣とライトハイザー通商代表部(USTR)代表の新協議機関(FFR)の創設を積み上げてきた。

 FFRで取り上げる課題は何かと質問。茂木担当大臣は「日米の関心事を出し合っていく。できるだけ具体的なテーマで議論したい」と答えました。

 すでに日米経済対話で、USTRが今年3月末に公表した2018年「外国貿易障壁報告書」に示された要求項目が議論され、具体的な措置もとられている。

 「外国貿易障壁報告書」では「(BSE問題は解消したとして)牛肉市場の完全な開放」を求めている。米国のBSE調査は1%未満だ。食の安全基準を犠牲にしてよいのかが問われている。国民の安全を損なうやり方は認められない。

 TPP,TPP11、日米二国間交渉が日本経済と国民生活に大打撃を与えることは必至だ。

2)参考人質疑 本質は多国籍企業の利益追求と参考人指摘(5月17日、内閣委員会)
 米国を除く11力国の環太平洋連携協定(TPP11)の関連法案について参考人質疑が行われ、政府の作成したTPPの影響試算の評価について質問しました。

 鈴木宣弘東大教授は「影響試算は、これだけの影響が出るからこれだけの対策が必要だという順序で進めなければいけない。政府の試算は“影響がないように対策するから影響がない”と計算している。対策を検討するための試算になりえない」と指摘しました。

 わたしはまた、TPP11で多国籍企業が投資先国を提訴するISDS条項など22の「有害条項」が「凍結」された効果を尋ねました。

 NPO法人アジア太平洋資料センターの内田聖子共同代表は「有害条項は22条項以外にも、食の安全や金融サービス等、非常に多くある。TPPの危険性は基本的に変わっていない」と答えました。

 わたしは、そもそもTPPは日米のグローバル企業の利益追求のためではないかと聞きました。

 鈴木教授は「ご指摘の通り、アメリカのグローバル企業が自分たちがもうけられるルールをアジア・太平洋地域に広げたい、これが端的なTPPの本質だ。日本のグローバル企業にとっても同じこと。アジアで直接投資を展開できる。グローバル企業の利益は増えるが、現地の人は安く働かされる。国内の人々は安い賃金で働くか失業する」と説明しました。

3)TPP11関連法案強行で反対討論(5月23日、内閣委員会)
 11力国による環太平洋連携協定(TPP11)関連法案が、自民、公明、維新の賛成多数で可決。反対討論に立ちました。

 山際大志郎委員長が職権で委員会の質疑を短時間で打ち切り、採決を強行したことに厳しく抗議。野党は、公聴会、関係委員会との連合審査、テーマ別審議などを要求してきました。TPP11が経済と国民生活にどのような打撃を与えるのか、などの国民に問題点を明らかにすべき国会の責務を果たしたとは到底言えない。

 もともとTPPは2年前の国会で国民の厳しい批判にさらされ、審議中に米国が離脱したにもかかわらず、政府・与党が採決を強行したものだと指摘。TPP11でも、関税・非関税措置の撤廃や、重要農産物の除外などを求めた「国会決議」に反する実態がそのまま生きており、認められない。

 また、4月の日米首脳会談で新たな経済協議の枠組みをつくることで合意したことは重大だ。米国に際限ない譲歩を迫られ、自由貿易協定(FTA)に行きつく。日本経済と国民生活に大打撃を与える。

 参考人質疑に出席した鈴木宣弘東大教授が、TPPで日本のグローバル企業の利益は増える一方、国内の人々は低賃金で働くか、失業すると明言した。世界の流れは、各国の食糧主権と経済主権を尊重した平等互恵の貿易と投資のルールづくりだ。

4)「経済・食料主権を侵害」本会議で反対討論(5月24日、本会議)
 米国を除く11力国が署名した環太平洋連携協定(TPP11)関連法案の採決が衆院本会議で強行され、自民党、公明党、維新の会の賛成で可決されました。日本共産党、立憲民主党、国民民主党、無所属の会、自由党、社民党は反対しました。

 TPP11は、TPPを丸ごと組み込んだものであり、国会決議に真っ向から反する。経済主権や食料主権を侵害するもので、断じて認められない――と反対討論しました。

(2)PFI法案の審議
1)PFI/優遇措置なしには成り立たず/制度見直せ(5月9日、内閣委員会)
 民間資金を活用して公共施設の整備促進をはかる「PFI法」改定案では上下水道事業について、民間が運営する「コンセッション制度」を導入した際に自治体の財政負担を軽減する措置などが盛り込まれています。

 PFI法が1999年に成立して以降、法改正を重ね、PFI事業者に金融支援するファンド創設や、専門ノウハウを持つ公務員の派遣制度などが導入されてきた。PFI事業者への優遇措置のオンパレードだ。法目的で、民間ノウハウ・資金の活用で効率的に社会資本を整備するとしているが、結局は優遇措置なしには成り立たないのがPFIの実態ではないかと質問。

 梶山弘志地方創生担当大臣は「PFI導入にはハードルがあり、その解消のための法改正だ」と述べました。

 総務省によるPFIを実施した自治体アンケート調査報告(2011年)では、7割以上が「今後予定はない」と回答していた。「一度やってもう懲りた」というのが自治体の声だ。こうした声に反して政府は、PFI導入の優先的検討を自治体に求める指針を出すなど、国が目標を決めて、自治体に押し付けている。

 梶山大臣は「PFIの導入はそれぞれの自治体が適切に判断することだ」と述べるに留まりました。

 わたしは「国が目標を決めて、自治体などに強く要請し、優遇措置を次から次へと打ち出さないと成り立たないのがPFI事業だ。抜本的に見直すべきだ」と強調しました。

2)PFI法改定反対/地方自治侵害と地元企業参入の妨げに(5月11日、内閣委員会)
 民間のノウハウと資金を活用して公共事業の整備促進をはかる「PFI法」改定案を採決し、賛成多数で可決。日本共産党は反対しました。

 昨年からPFI事業の中止を含む大幅な見直しを行っている愛知県西尾市で、二年前の市議会に提出されたPFI事業の「提案書」が墨塗りだらけだったこと、西尾市が行った「PFI事業検証報告書」の中で「民間事業者の著作権意匠権が絡むことで、情報開示が制限された」と述べている。住民自治の観点から重大な問題だ。PFIが事業者の都合を優先するがために起こる情報開示の後退だ。

 梶山弘志地方創生担当相は「適切な情報公開が重要」と述べるに留まりました。

 水道事業へのPFIコンセッション方式導入を進める静岡県浜松市が、内閣府からの全額補助で行った調査報告書の中で、コンセッション方式導入によって、地元事業者が排除されれば安定的・継続的な水道事業への障害となる懸念を指摘している、と質問。 

 梶山大臣は「もっともな指摘だ」と認めました。

 日本PFI・PPP協会作成の「PFI選定代表企業ランキング」では、ランキング上位は大手ゼネコンばかりで、上位10社だけで全体の35%を占める。結局、PFI事業は大企業の参入を促進し、地元企業を排除する仕組みとなっている。

 梶山大臣は「PFI導入は自治体の判断だ」と述べました。

 PFI事業は、地方自治を侵害し、地元企業の参入を妨げ、住民サービスの後退につながると批判した。

(3)ホンダ狭山工場閉鎖/大企業の社会的責任棚上げの産業政策を批判(4月6日、内閣委員会)
 ホンダ狭山工場の閉鎖が計画され、2021年度をめどに、寄居工場に集約するとしています。わたしは「寄居工場に行ける人ばかりではない」など不安の声が上がっていると指摘。

 厚生労働省は「狭山工場の約4600人の従業員の中には様々な事情で転勤できない方もいる」と認めました。

 ホンダは昨年10月に工場集約について記者発表して以降、まったく説明を行っていない。地域にきちんと説明するのはホンダが果たすべき最低限の責任だ。

 茂木敏充経済再生相は、「個別企業の経営判断について、コメントは控えたい」と述べました。

 ホンダが積み増した内部留保は国内4位の7兆4800億円に達している。黒字経営のホンダがなぜ、狭山工場を閉鎖しなければならないのか。多国籍企業の利益と、国民、地域経済の利益は一致しない。地域未来投資促進法で個別の企業へ支援を特化させるなど、大企業の社会的責任を棚上げし、産業集積、産地振興を投げ捨てているのが安倍政権の地域産業政策であることを批判しました。

▼2018年通常国会の取り組み▼【3】「働き方改革」批判/裁量労働制拡大 財界要求に応えた安倍首相の責任は重大(2月26日、予算委員会)

【3】「働き方改革」批判
裁量労働制拡大 財界要求に応えた安倍首相の責任は重大(2月26日、予算委員会)
 「働き方改革」法案に盛り込まれる裁量労働制の拡大について、「労使を交えた議論を経ている」などと繰り返す首相。 

 わたしは、労政審(労働政策審議会)でも労働者代表委員が“長時間労働を招く”と厳しく反対していたと指摘。裁量制の拡大が、首相が議長を務めた「産業競争力会議」という労働者の代表が一人もいない会議体で基本的な枠組みが議論され、それを閣議決定した上で労政審に持ち込まれた方針であることを明らかにし、労働者代表の懸念意見が顧みられなかったのは首相が裁量労働制拡大の結論ありきの決定をしたからだと批判しました。

 2013年の経団連の提言に裁量労働制拡大の要求があり、産業競争力会議でも経団連会長から「使い勝手のいい形に」との要求があった。首相は経営者・財界の要求には耳を傾けトップダウンで労働規制緩和を推進している。 

 第2次安倍政権発足以降、自民党への企業献金が大幅に増えている。その財界の利益を優先して労働者の命と健康をないがしろにすることなど許されない。

▼2018年通常国会の取り組み▼【2】カジノ問題(1)カジノ法廃止法案/4野党が共同提出(2017年12月6日)(2)ギャンブル依存症対策基本法案の審議(3)カジノ法案の論戦

【2】カジノ問題
(1)カジノ法廃止法案/4野党が共同提出(2017年12月6日)
 日本共産党、立憲民主党、自由党、社民党の野党4党が、刑法が禁じた賭博を合法化するカジノ解禁推進法(特定複合観光施設〔TR〕地域整備推進法)を廃止する法案を衆院に共同提出しました。

 安倍政権と自民・公明・維新の3党は昨年12月にカジノ解禁推進法を強行したのに続いて、同推進法を具体化する「カジノ実施法」の制定を狙っています。ギャンブル依存症の多発など社会に害悪をもたらすだけのカジノに反対して、各地で集会などが行われ、カジノ誘致を許さない共同が広がっています。

 廃止法案の提出者には、日本共産党からは笠井亮政策委員長とわたしが名を連ねました。

(2)ギャンブル依存症対策基本法案の審議
1)カジノ解禁で依存増/対策法相いれない(5月23日、内閣委員会)
 ギャンブル依存症対策基本法案に関し、自民・公明・維新案と立民・無所属の会・自由・社民案の両案について質問。

 自民、維新は2016年に提出されたカジノ推進法に賛成しました。政府提出のカジノ実施法案に対しても、政府と自民、公明、維新が一体となって、成立に向けて強引な国会運営を推し進めています。

 法案の目的について「依存症を減らすためのものか」と質問。

 法案の提案者である岩屋毅衆院議員(自民)は「おっしゃる通りだ」と答弁しました。

 カジノを解禁すれば、依存症を増やすことになるのではないかと追及。

 岩屋氏は「(カジノ実施法案には)依存症を最小化する仕組みが入っている」と答え、依存症が増えることを否定できませんでした。

 わたしは、依存症対策とカジノ解禁は相いれない、と批判した。

 また、立民・無所属の会・自由・社民案の提出者に対し、共産党が共同提出しているカジノ解禁推進法廃止法案についての態度を確認。

 初鹿明博衆院議員(立民)は「廃止法案を提出した。新たな依存症者を増加させることを進めるべきでない」と述べ、中川正春衆院議貝(無所属の会)は「賛成していく」とカジノ解禁推進法廃止の立場を明確にしました。

2)ギャンブル依存症対策法案、参考人質疑/予防が重要/事業者規制を(5月24日、内閣委員会)
 意見陳述で、日本弁護士連合会カジノ・ギャンブル問題検討ワーキンググループ事務局長の三上理氏は「ギャンブル依存症対策として、依存症の進行の防止や回復ももちろん大切でありやらなければならないことだが、一番大切なことは予防であり、新たに依存症者を生み出さないことだ」と述べました。

 公益社団法人ギャンブル依存症問題を考える会代表理事の田中紀子氏は「依存症対策予算は6.1億円(2018年度)。そのうち民間団体への支援は1800万円しかない。民間団体は大きな役割を果たしているが、あまりにも公的支援が少ない」と述べました。

 わたしは、カジノを解禁すれば、新たな依存症者を増やすことにつながるのではないか――と質問。

 三上氏は「依存症対策について法律を作って、対策を進めていこうというときに、新たにカジノを作って、新たな依存症の人を増やしていくというのは非常に大きな矛盾だ。カジノが経済対策として効果があるという意見があるが、カジノの儲けは負けた人のお金であり、人の不幸をもとにした経済政策には反対だ」と述べました。

 さらに、依存症対策には、ギャンブル事業者への規制が必要ではないか――と質問。

 三上氏は「予防として一番大切なことは、時間的・場所的にいつでもどこでもギャンブルが身近にある状況を変えることだ。公営ギャンブルやパチンコなど、すべてのギャンブルを対象にした入場制限や自己申告・家族申告の制限などに加え、パチンコの出店規制も必要だ」と述べました。

3)事業者の規制こそ(5月24日、内閣委員会)
 ギャンブル依存症対策基本法案に関し、立民・無所属の会・自由・社民案について質問し、依存症対策に必要なものは射幸性の抑制や広告の規制など事業者そのものに対する規制強化だと主張しました。

 同法案は、カジノ解禁の具体化と一体の自民・公明・維新案と、カジノ推進反対の立民・無所属の会・自由・社民案の両案が審議されています。

 わたしが4野党・会派案と自公維案の最大の違いを尋ねると――法案提出者の初鹿明博衆院議員(立民)は、射幸性の抑制や入場制限などの措置を講ずる内容の検討規定を設けたことだと説明しました。

 検討規定にある「ギャンブル関連事業者の広告宣伝の在り方」について、現状認識と規制のあり方をただすと。

 初鹿氏は、パチンコなどへの依存に対する注意喚起は業界任せであり、駅や電車など公共の場で大量広告されているのが現状だと発言。広告の時間帯や量、場所について規制する必要があると答えました。

 依存症対策に必要なことは、射幸性の抑制や広告の規制、立地規制など依存症の発生を防止するギャンブル事業そのものへの規制強化だ。とくに依存症の大半を占めるパチンコに対する規制強化を進めるべきだ。ましてや、新たにギャンブルを広げることになるカジノ解禁は断じて認められない。

4)ギャンブル依存症対策法案の反対討論(5月25日、内閣委員会)
 パチンコなどが身近な日本には依存症を疑われる人が320万人おり、国が社会的課題として対策を行うことが必要だ。依存症対策には新たな依存症者を生みださないことが必要だ。

 法案の提出者が「依存症者を減らすことが法案の目的だ」と述べるとともに、「カジノ解禁が新たな依存症者を増やす」ことを認めている。新たなギャンブルであるカジノの解禁を認めることは矛盾している。にもかかわらず、法案の提出会派はカジノ推進法を強行し、今国会に提出されているカジノ実施法案に対しても政府と一体に推進を図ってきたことは極めて重大だ。カジノ解禁とギャンブル依存症対策はまったく相いれないものであり、法案には賛成できない。

 ギャンブル依存症対策として必要なのは、射幸性の抑制や入場・購入制限、広告の規制などの義務付けと、パチンコの賭博性を規制することだ。ましてカジノの解禁などもってのほかだ。

(3)カジノ法案の論戦
1)カジノ、国民多数は反対/石井カジノ担当大臣、答弁立てず(5月30日、内閣委員会)
 IR(カジノを中核とする統合型リゾート)を解禁するカジノ実施法案の質疑に立ち、「国民はカジノ解禁を認めていない」と、民意を無視してカジノ解禁を推進する政府の姿勢を追及しました。

 今国会でカジノ実施法を成立させる「必要はない」71%(「朝日」4月14・15日調査)などの直近の世論調査結果がある。国民多数がカジノに反対している理由は何だと考えるか――と何度もただしたが、石井啓一IR担当相は答弁に立とうとしませんでした。

 国民の反対はカジノが依存症・経済破綻・地域社会の荒廃をもたらす懸念があるからだ。

 石井担当相は「カジノばかりに焦点があたっている」と、反対世論はIRの全体像への“無理解”によるものだと居直り、カジノ解禁を進める理由を「わが国を観光先進国に引き上げる原動力になる」と述べました。

 IRの推進は「抑止すべきギャンブルを奨励するものになる」「そもそもギャンブルは抑止・抑制すべきものではないか」とただしました。

 石井担当相は「現行法上、カジノ行為は刑法で禁じられている」と認めました。

 カジノ合法化で、新たなギャンブル依存症が増えることを認めるか――とただしても、石井担当相は「明確にお答えできない」と答弁を避けました。

 国民多数はギャンブルによる『経済振興』に明確に反対している。

2)負の影響の検討必要/参考人質疑(5月31日、内閣委員会)
 刑法が禁じる賭博場を解禁するカジノ実施法案を審議している衆院内閣委員会で、参考人質疑を行いました。参考人の陳述から、「カジノの負の影響が検討されていない」「地方創生の効果はのぞめない」など、同法案の問題点が多面的に明らかにされました。法案に賛成する美原融大阪商業大学教授は「カジノは健全な成人が自己責任で楽しむものだ」などと主張しました。

 反対の立場から鳥畑与一静岡大学教授は「カジノの高収益と『世界最高水準のカジノ規制』とは矛盾する」「カジノは人の不幸を最大化することで収益をあげる」と述べました。

 日本弁護士連合会の新里宏二カジノ・ギャンブル問題検討ワーキンググループ座長は、同法案をめぐり国民的な議論が尽くされていないこと、カジノの負の影響が検討されていないことなどをあげ、「カジノ解禁には反対する」と語りました。

 わたしは、カジノ事業者が客に賭け金を貸し付ける「特定資金貸付業務」について参考人に質問。

 美原氏は「金融機能を認めないとVIP客(高額をかける客)が来なくなる」と発言。

 鳥畑氏は「借金ができることで歯止めがきかなくなる」と述べ、新里氏は「貸金業法のルールとは別にカジノ事業者の貸金の仕組みをつくり、二重のルールで多額の貸し付けが起きる」と指摘しました。

 わたしがカジノの運営事業者についてたずねたのに、鳥畑氏は「経験があるということから当然海外の事業者が入ってくる」として、米国のカジノ運営企業ラスベガス・サンズのビジネススタイルを紹介し、「カジノ売り上げの35%前後は確実に海外に流出する」と答えました。

 立憲民主党の阿部知子議員が世界のカジノの動向をたずねたのに対し、鳥畑氏は「世界中のカジノ市場が縮小する中で海外のカジノ資本は新市場として日本進出に躍起になっている」と答弁。阿部氏は「日本の高齢者がカモネギのようにされるのに反対しなければならない」と語りました。

3)カジノ事業者の金貸し批判(6月1日、内閣委員会)
 カジノ実施法案がカジノ事業者による賭博資金貸し付けを認めていることについて、多重債務やギャンブル依存症を助長するものだ――と追及しました。

 同法案は、カジノ事業者が客に賭博資金を貸し付ける「特定資金貸付業務」を認め、外国人客のほか日本人でも、事前に一定額を預託した者には場内で賭博資金を貸し付けるとしています。

 深刻な多重債務問題を契機に2006年に行われた貸金業法の抜本改正で、過剰貸し付け抑制策として総量規制(借入を年収の3分の1までに制限)が導入されました。

 わたしは、今回の賭博資金貸し付けで、貸金業法の枠外に新たな貸金制度をつくる理由をただしました。

 中川真IR推進本部事務局次長は貸金業法の総量規制を理解しているとしながら、「カジノ事業者は貸金業法の事業者ではない」と答えました。

 在日米国商工会議所が意見書で「金融サービスの提供」を「不可欠」と求めていた。日本への進出をねらう、カジノ事業者の要求に応えたものだ。

 石井啓一IR(統合型リゾート)担当相は「(今後定める預託金を)簡単に預託できる額にはせず富裕層に限定する」と答えました。

 カジノで会社の資金106億円を失った大王製紙元会長の事例でカジノ事業者からの借り入れがのめり込みのきっかけになった。対策を講じるというが制度設計が大問題だ。カジノ事業者の貸付業務は多重債務・依存症問題を助長する。

4)カジノ面積規制緩和/海外事業者が要求(6月1日、内閣委員会)
 カジノ実施法がIR(カジノを中核とする統合型リゾート)施設内に置くカジノの面積規制が法案段階で緩和された背景となった資料の提出を求めました。

 法案の準備段階で、政府のIR整備推進会議「取りまとめ」では「依存症予防等の観点から…相対的な位置づけのみではなく、上限値(絶対値)でもカジノ施設の面積の規制を設けるべきである」とされていました。ところが2月から始まった与党協議で突然、絶対値の制限がとりはらわれました。この結果、IR施設全体を大きくすれば、いくらでも大きなカジノがつくれる仕組みとなりました。

 当初のカジノ面積規制案に米国のカジノ大手ラスベガス・サンズの会長が「われわれが望んでいたようなIRを実現できない」と強い不満を表明していた。海外のカジノ事業者の要求を優先したのか――と追及。

 中川真・IR推進本部事務局次長は「立地地域や規模が未確定なためだ」と答えました。

 根幹にかかわる問題だ。政策変更の経緯を明らかにし、与党協議の審議内容や政府提出資料などを開示すべきだと要求しました。

5)米国がカジノ法案要求/首相に撤回迫る(6月1日、内閣委員会)
 与党が今国会での成立を狙うカジノ実施法案を審議している内閣委員会で、安倍晋三首相への質疑を行いました。わたしは、賭博であるカジノを収益エンジンにするIR(統合型リゾート)を経済政策に掲げることを国民は受け入れていない――として、同法案の撤回を強く求めました。

 同法案は2016年12月の国会で自民、公明、維新が強行成立させたカジノ解禁推進法を受け、政府の責任でカジノの運営解禁を定めるもの。成立すれば日本国内で、依存症、多重債務、地域社会の荒廃をもたらすことが懸念されるカジノが解禁されます。

 わたしは、直近の世論調査でカジノ解禁「反対」が「賛成」を圧倒していることをあげ、首相の認識をただしました。

 安倍首相は「(IRが)日本の成長戦略に資する経済効果を有することについてイメージの共有が道半ばだ」とのべ、カジノ解禁に執着する態度をとりました。

 わたしは、17年2月の日米首脳会談でトランプ米大統領が首相にたいして米国の巨大カジノ企業名を示したとされる報道(「日経」同6月10日付)を示し、事実を確認。

 首相は「トランプ大統領からそんな話はなかった」と答えました。

 さらに、この首脳会談当日の全米商工会議所・米日経済協議会共催の朝食会に米大手カジノ企業のトップが出席している。日本のカジノについての要望をきいたのではないか――と追及しました。

 首相は、自身が、成立したばかりのカジノ解禁推進法を紹介し、課題解決に協力すると意見があったことを認めました。

 ギャンブル依存症対策として検討されたIR施設内のカジノ面積規制が、米カジノ企業の意向に沿って緩和された疑いがある。米国側の要望などの資料提出を要求。カジノ企業の要求ではなく国民の声を聞け――と法案撤回を求めました。

6)カジノ規制機関が推進側に/金も人もカジノ事業者任せ(6月8日、内閣委員会)
 カジノ実施法案の質疑。カジノの規制機関として置かれる「カジノ管理委員会」が「カジノ推進機関」になる危険性を追及しました。石井啓一IR(統合型リゾー卜)担当相は否定できませんでした。

 政府は、カジノ管理委員会は組織として独立性を有すると説明しています。

 わたしは、カジノ管理委員会とIR推進側の官庁の人事交流は規制するのか――とただしました。

 石井担当相は管理委員会事務局の職員について「他省庁との人事交流に制限はない」と答弁。

 原子力規制庁では職員が原子力利用推進側の行政組織に配置転換するのを禁止する「ノーリターンルール」があるのに、カジノ管理委員会に同様の規定がないことをただすと、石井担当相はIR推進省庁と管理委員会の「行政目的は対立するものではない」と答えました。

 信じられない答弁だ。これではカジノを規制・管理するどころか、推進の立場でカジノを拡大することになる。

 さらに、カジノ管理委員会事務局にカジノ事業者を入れることを質問すると、石井日当相は「カジノを管理するためにはカジノの実態を知っている人を任用することもありうる」と述べ、委員会室から驚きの声があがりました。

 カジノ管理委員会の独立性は確保されておらず、経費はカジノ事業者が負担し、規制の仕組みはカジノ事業者の方が精通しており、事業者との人的結合もあり得る。カネも人もノウハウ(必要な知諏)も事業者に依存することになる。規制ではなく推進機関になりかねない。法案の徹底審議を求めました。

7)カジノ実施法案強行するな/内閣委員長解任決議案討論(6月14日、本会議)
 カジノ実施法案の衆院内閣委員会での採決強行を狙う与党に、日本共産党、立憲民主党、国民民主党、無所属の会、自由党、社民党の野党5党1会派は結束して対抗しました。野党が提出した山際大志郎内閣委員長(自民)解任決議案は衆院本会議に上程され、与党と日本維新の会などの反対で否決されました。

 わたしは賛成討論で、山際氏が、公文書改ざん問題は「民主主義の根幹を揺るがす」と言いながら徹底究明に背を向け、政府与党の言いなりでTPP(環太平洋連携協定)11関連法案など悪法の成立に加担してきた。カジノ実施法案は、わずか18時間の審議の中で、カジノ事業者による客への資金貸し付けが依存症や多重債務者の拡大につながることや、カジノを規制する管理委員会の事務局にカジノ事業者が入ることなど重大な問題が明らかになった――と指摘。

 カジノ法案の背景にあるのは、日本国民をターゲットに狙う米国カジノ企業の要求だ。議会制民主主義を踏みにじる運営を続ける委員長の解任は当然だ。

8)カジノ法案強行採決/野党は一致して抗議(6月15日、内閣委員会)
 衆院内閣委員会で、自民、公明、維新が、カジノ実施法案を強行採決しました。

 わずか1分間の強行劇でした。内閣委員会冒頭、立憲民主党の森山浩行議員が「審議継続の動議を提出します」と発言。山際大志郎委員長はそれには取り合わず、自民党議員の合図で与党と維新の議員が3回、起立と着席を繰り返しました。野党議員の抗議の声で何も聞き取れない中、山際委員長は退席。

 その直後に、日本共産党、立憲民主党、国民民主党、無所属の会、自由党の野党4党1会派の委員は、山際委員長に質疑続行を申し入れ。

 わたしは、重大な問題点のある法案の徹底審議は国民の声だ――と求めました。

 これに先立つ衆院本会議では、野党5党1会派が提出したカジノ法案担当の石井啓一大臣(公明)に対する不信任決議案が議題となり、日本共産党の宮本岳志議員が賛成討論。自民、公明、維新の反対で否決されました。

9)カジノ実施法案/「廃案しかない」と本会議討論(6月19日、本会議)
 刑法が禁じる民間賭博場=カジノを解禁するカジノ実施法案が衆院本会議で、野党の反対を押し切って採決され、自民、公明、維新の賛成多数により可決し、参院に送付されました。日本共産党など5野党・1会派は反対しました。

 わたしは反対討論で、国民の圧倒的多数が法案に反対していると強調。内閣委員会で与党側が野党の審議継続の動議を無視し、定例日での質疑まで拒否して、わずか18時間の審議で採決した。法案内容を国民に知らせずに押し切ろうという政府・与党の姿勢は、議会制民主主義の蹂躙(じゅうりん)だ。

 カジノは民間企業が私的利益のために開設するもので、公益を目的に認められた公営競技とは全く違う。世界で最も深刻な日本のギャンブル依存症者をさらに増やすものだ。

 政府が「世界最高水準のカジノ規制」をいいながら、当初想定していたカジノ面積の上限規制を外したほか、公営ギャンブルやパチンコでは認められていない客への金の貸し付けをカジノ企業には認めている。さらに、カジノ規制のために新設される「カジノ管理委員会」が、経費負担も事務局もカジノ業者に依存するものだ。カジノ推進機関になりかねない。

 貸し付け解禁や面積拡大を要求してきたのが米国のカジノ企業だ。まさに米国カジノ企業による、カジノ企業のためのカジノ事業法案、廃案しかない。

▼2018年通常国会の取り組み▼【1】安倍首相国政私物化 森友・加計学園問題(1)森友学園公文書改ざん/11閣僚に認識ただす(3月30日、内閣委員会)(2)加計学園問題(3)内閣人事局の廃止要求/幹部人事一元管理を批判(3月30日、内閣委員会)

【1】安倍首相国政私物化 森友・加計学園問題
(1)森友学園公文書改ざん/11閣僚に認識ただす(3月30日、内閣委員会)
 学校法人「森友学園」との国有地取引に関する決裁文書の改ざんについて11閣僚の認識をただし、徹底した真相究明を求めました。

 公文書改ざんにより、国会の国政調査権を冒とくし、行政監視機能を妨害した認識はあるか、と問いました。

 野田聖子総務相、加藤勝信厚労相、小此木八郎国家公安委員長、福井照沖縄・北方相、松山政司1億総活躍相、梶山弘志地方創生相、鈴木俊一五輪相は、国会の求めに対して改ざんした公文書を出したのは重大な問題だとの認識を示しました。

 一方、菅義偉官房長官は「結果として国会審議を混乱させた」「行政への信頼を揺るがしかねない事態」と述べるだけ。わたしが5回にわたって追及しても、まともに答えませんでしたが、各大臣の答弁を聞いてようやく「そのような認識だ」と答弁しました。

 茂木敏充経済再生相も、3回目の質問に「(各大臣と)同じ認識だ」と答えました。上川陽子法務相はこれまで「答弁を差し控える」としていましたが、初めて「重大な問題」と答えました。

 森友公文書の一部を保有し、問題の当事者である国土交通省の石井啓一大臣は、他の大臣と同様に「大きな問題だ」と述べるにとどまりました。

(2)加計学園問題
1)柳瀬氏「首相案件」発言問題(4月11日、内閣委員会)
 「加計学園」の獣医学部新設は「首相案件」だとする柳瀬唯夫首相秘書官(当時)の発言が新たに明らかになった問題で、菅義偉官房長官にただしました。

 同学部新設は「首相案件」だという発言は、文部科学省の内部文書にある「総理のご意向」との藤原豊内閣府国家戦略特区担当審議官(当時)の発言とも、非常に符合する。安倍首相の関与を「否定できるか」とただす。

 菅氏は「すでに国会で総理が答弁したとおりだ」として、関与を認めませんでした。

 利害関係者による審議や議決への参加を排除する国家戦略特区会議の基本方針に反して、加計孝太郎理事長を「腹心の友」とする安倍首相が、同学園の学部新設を決めた同会議の議長を務めてきた。藤原氏らが国家戦略特区の手法を提案したのは、安倍首相自身が国家戦略特区を「私自身が進み具合を監督する」制度として「強い政治力を用いて進める」と表明してきた。総理自身が進み具合を監督するために、国家戦略特区に切り替えたのが真相ではないかと追及しました。

2)加計学園問題/内閣官房も調査へ/官房長官が答弁(4月18日、内閣委員会)
 学校法人「加計学園」の国家戦略特区での獣医学部新設(愛媛県今治市)をめぐり、柳瀬唯夫・元首相秘書官が「本件は、首相案件」と発言したとする県職員作成の面談記録について、菅義偉官房長官は、内閣官房でも存否を調査すると表明しました。

 官房長官がこれまで所在調査を指示していたのは、内閣府、文部科学省、農林水産省、厚生労働省のみでした。

 愛媛県の記録では、内閣府地方創生推進室次長たった藤原豊氏の「要請の内容は総理官邸から聞いており」との発言も記されている。官邸が主導したのかが問われている。内閣官房での記録の存否をはっきりさせ、官邸が主導したか徹底究明すべきと要求。

 菅官房長官は「農水省以外の関係省庁では確認できなかった。内閣官房は(確認)していない。(調査を)致したい」と述べました。

3)菅長官を追及/愛媛県知事の反論に答えず(5月11日、内閣委員会)
 菅義偉官房長官は、加計学園疑惑をめぐる柳瀬唯夫元首相秘書官の答弁を「真実ではない」と批判した中村時広愛媛県知事のコメントや新たな県の公表文書について「コメントする立場にない」と繰り返し答弁。わたしは、真相解明に背を向けていると批判しました。

 菅長官は、内閣官房に同県の面会記録が残されているかについて「調査の結果、確認できなかった」と答弁。学園との面会を繰り返した柳瀬氏への「慎重に行動すべきだった」との指摘には「その通りだと思う」と述べました。

4)政府に反証責任ある/愛媛新文書/加計疑惑を追及(5月25日、内閣委員会)
 加計学園の獣医学部設置をめぐり愛媛県が提出した新文書についてただしました。

 新文書には加計孝太郎理事長と安倍首相が2月25日に面談し、獣医学部構想に首相が「いいね」とコメントしたという記録がある。首相は入邸記録を確認したがなかったと説明しましたが、入邸記録は「遅滞なく廃棄」する扱いになっています。

 そこで、2015年2月25日の入邸記録が残っているのかと質問。

 内閣官房の原邦彰審議官は「廃棄しているので確認できなかった」と答えました。
 愛媛県側は文書で記録を明らかにしているのに、官邸は記録がない。これは説得力がない。菅義偉官房長官に新文書の確認を求めると「愛媛県の文書に政府としてコメントしない」と従来の答弁を繰り返しました。

 わたしは、国政調査権に基づいて出された公文書だと重みを持って受け止めよ。物証を含め反証を示すべきだ――と重ねて求めました。

 記録がないのなら、関係者に証言してもらうしかない。新文書には3月24日にも柳瀬氏と加計学園が面会した記録があり、参考人質疑での柳瀬氏の証言と食い違いがある。柳瀬氏、加計理事長の証人喚問を求めました。

(3)内閣人事局の廃止要求/幹部人事一元管理を批判(3月30日、内閣委員会)
 「森友学園」への国有地処分に関する公文書改ざんの背景に官邸による幹部人事一元管理があるとして、内閣人事局の廃止を求めました。

 幹部職員任用は同局が一元管理し、最終的に首相と官房長官、各閣僚が「任免協議」で決定。内閣官房は、「官職の適性」と「採用昇任等基本方針」が同協議での判断基準だと説明しています。

 「官職の適性」とは何かとの質問に、内閣官房は「個々の具体的な官職に必要な能力」だと説明。

 それでは客観的な基準とは言えない。任用の過程がブラックボックスだ。総理や官房長官の恣意的な人事運用になりかねない。

 また、同方針にある「縦割り行政の弊害排除」について、同局設置時の担当閣僚だった稲田朋美氏が「岩盤規制」は省庁縦割りが原因だとして、「規制を排除した官僚」を登用する仕組みを求めたことを示し、「これが内閣人事局か」と質問。

 内閣官房は「そのようなこともある」と認め、菅義偉官房長官は「政権が掲げる改革政策に協力する公務員を登用するのは当然だ」と開き直りました。

 官邸による幹部人事の一元管理は、安倍晋三首相夫妻の「お友だち」を特別扱いし、財界要求の規制緩和を推進する官僚機構をつくる。憲法が規定する『全体の奉仕者』としての公務員制度を壊す内閣人事局は廃止すべきだ。

【新聞「新埼玉」掲載】「オール沖縄」と連帯してオスプレイ配備の撤回を

新聞「新埼玉」9月号より

塩川鉄也の“国会から埼玉から”

 墜落事故を繰り返す危険なオスプレイが県内各地を飛行し、米軍所沢通信基地では着陸訓練まで行いました。米軍は今後も訓練することを否定していません。病院や住宅団地のすぐ隣で軍事訓練を行うなどとんでもない。

 多くの市民が抗議の声をあげる中、所沢市は、所沢通信基地への米軍機の飛来中止を国に要請しました。また全国知事会は、国に「米軍基地負担に関する提言」を提出。日米地位協定を抜本改定し、航空法などの国内法の適用を米軍に求めるものです。ドイツやイタリアなど海外では、米軍もその国の法律を守るというのは当たり前のことです。

 米軍の横暴を許さないという翁長雄志沖縄県知事の訴えが全国知事会を動かし、今回の提言につながりました。「オール沖縄」と全国のたたかいが一体となって、国と米軍を追い詰めています。オスプレイの訓練中止、配備撤回を実現しましょう。そして何としても沖縄県知事選勝利を勝ち取りましょう。

【「しんぶん赤旗」掲載】オスプレイの配備撤回を

「しんぶん赤旗」8月31日付・首都圏版より

駆けある記/塩川鉄也 衆院議員
「オスプレイの配備撤回を」

 墜落事故を繰り返す危険なオスプレイが10月1日から東京都にある米軍横田基地に配備されることが発表されました。すでに自衛隊木更津駐屯地(千葉県木更津市)の整備拠点化が進められ、横田基地周辺や富士山など首都圏各地で訓練飛行が行われています。

 病院や学校、住宅地の中にある米軍所沢通信基地(埼玉県所沢市)でも着陸訓練を実施しました。許せません。

 いま市民の運動が自治体を動かし、自治体が国に働きかける動きが広がっています。所沢市は、所沢通信基地への米軍機の飛来中止を国に要請しました。市民からのオスプレイの飛来情報を受けた自治体か国に問い合わせ、抗議する活動も生まれています。

 全国知事会は、日米地位協定を抜本改定し、航空法などの国内法の適用を米軍に求める提言を国に提出しました。

 米軍の横暴を許さないという「オール沖縄」と翁長雄志沖縄県知事の訴えが全国知事会を動かし、今回の提言につながりました。

 オスプレイの訓練中止、配備撤回を実現しましょう。そして沖縄知事選で、翁長知事の遺志を継ぐ玉城デニー氏の勝利を勝ち取りましょう。

国公労連定期大会に出席し、あいさつ

 国公労連(岡部勘市委員長)定期大会に出席、あいさつ。国公労連の活動に敬意。

 自然災害対応、国民生活を守る公務公共サービスの充実が必要です。それを支える国公労働者の労働条件の改善は不可欠の課題。

 長時間労働の是正、非常勤職員の常勤化の実現を。総人件費抑制政策を転換し、新たな定員合理化計画の阻止、総定員法の廃止など抜本的見直しが必要です。

 安倍9条改憲ストップ、沖縄県知事選で翁長氏の遺志を継ぐ玉城デニー氏の勝利を勝ち取ろう!


「しんぶん赤旗」8月31日付・5面より

行政民主化と権利回復/国公労連、定期大会始まる

 日本国家公務員労働組合連合会(国公労連)の定期大会が30日、東京都内で始まりました。

 あいさつした岡部勘市委員長は、西日本豪雨の一日も早い復旧・復興に全力をあげようと訴えました。人事院勧告は、これまでの賃下げをカバーするには不十分な一方、粘り強いたたかいで定員削減を上回る時限定員措置を実現させるなど、貴重な成果をあげていると強調しました。

 職員の健康や公務・公共サービスに重大な支障を及ぼす定員削減計画の阻止に向け、たたかいの強化と組織拡大を呼びかけました。

 森友加計問題や障害者雇用の水増し問題など相次ぐ不祥事に共通するのは、「公務員制度と人事権を通じて、一部の権力者が行政と公務員を統制・私物化していることではないか」と指摘。「公正で民主的な公務員制度の確立をめざす提言」の実現を求めて。行政の民主化と公務員の権利回復をめざす運動を呼びかけました。

 改憲発議を許さないため、安倍9条改憲に反対する「3000万人署名」の目標達成を強調。沖縄県知事選で「オール沖縄」の玉城デニー候補勝利への支援を呼びかけました。

 運動方針案を提案した鎌田一書記長は、「提言」を基軸とした国民本位の公務員制度の確立をめざす運動を強調。行政の民主化や体制拡充を訴えるシンポジウムの開催や署名行動などで共同を広げようと訴えました。

 国際労働機関(ILO)からも勧告されている公務員の労働基本権回復や、大幅賃上げの実現、定年延長による高齢期の雇用安定、超過勤務の実効ある規制――などの取り組みを訴えました。

 日本共産党の塩川鉄也衆院議員らが来賓あいさつしました。

【議院運営委員会】衆院でも障害者雇用の水増し/雇用確保の仕組みを提案

 議院運営委員会庶務小委員会・図書館運営小委員会において、衆院事務局・国会図書館事務局から、障害者雇用に関して報告がありました。

 衆院事務局は2017年度に10人、18年度は16人。国会図書館は17年度18年度それぞれ10人の水増しがあったことを明らかにしました(障害者雇用で短時間労働者は0.5人で計算されます)。

 水増しが生じた理由について「障害者雇用促進法に定める障害者雇用の対象範囲の解釈に誤りがあった」と説明しました。

 わたしは、障害者の雇用を確保する採用の仕組みを考えることが必要だ。大本には公務員削減がある。定員管理の在り方を含めた見直しが必要だ――と指摘。

 向大野新治・衆院事務総長は「障害者の選考採用や国会内のバリアフリー化を検討したい」と述べました。

被災者支援策の周知、不十分なら新たな支援策を/党豪雨災害対策本部会議

 日本共産党豪雨災害対策本部会議。各地の被災状況の報告とこの間の取り組みについて交流。

 被災に対するダム放流の影響や土砂災害対策の問題点について調査を行い、対応策を講じることにしています。

 みなさんから寄せられた義援金を被災自治体に届けたことが報告され、今後は農協など被災した地域の団体にも届けることに。

 この間実現してきた被災者支援策の周知、実施をはかるとともに、不十分であれば新たな支援策もつくろうと確認しました。


「しんぶん赤旗」8月29日付・2面より

支援制度周知徹底を/豪雨災害/共産党対策本部が会合

 日本共産党国会議員団の「2018年7月豪雨災害対策本部」が28日、国会内で会合を開き、本部長の小池晃書記局長らが現状を報告し、今後の課題を話し合いました。

 発災から50日が過ぎても、岡山、広鳥、愛媛を中心に2千人以上が避難所で暮らすなど被災者の生活をどう立て直すのかが切実な課題となっています。

 党は19日に、広島市安芸区に被災者支援センターを闘設。被災者訪問の活動の中で『被災者生活再建支援法の支援額では不十分」「新築でローン返済もできない」など切実な要望が出されています。

 愛媛県でも県委員会内にセンターを設置。岡山県でも倉敷市真備に開設する準備が進められています。

 党中央に寄せられている豪雨災害対策募金は21日時点で7860万円を超え、すでに5000万円以上を被災地に届けています。自冶体に加え、今後は農協、漁協、商工会、病院なども含めて送り先を検討しています。

 小池氏は、民有地に入り込んだ土砂を公費で撤去できることなど、被災者や被災地が活用できる制度がまだまだ知られていないとして「周知徹底がなされるような活動を強めていきたい」と語りました。

 各地で視察や懇談を重ねる議員から、使える補助金が徹底されていない問題や、ダムの放流問題、観光の風評被害などが報告され、引き続き支援を強めるとともに論戦で政府に対応を求めていくことを確認しました。

学校エアコンの早期設置を文科省に要請/埼玉・松伏町

 埼玉県松伏町の「小・中学校の普通教室へエアコンの早期設置を求める会」が文科省に要請行動。伊藤岳参院埼玉選挙区予定候補、吉田俊一・平野千穂町議と一緒に同席しました。

 竹内真由美代表は「教室が暑すぎて気分が悪くなったという子どもの声も寄せられている。来年夏に間に合うようにエアコン設置の補助金を前倒しで実施してほしい」と求めました。

 文科省は「勉強できるいい環境が必要。エアコン設置の予算確保は重要。でも今年度の予算はすべてなくなってしまった。補正予算があれば予算獲得に努力したい」と説明。私は「文科大臣も猛暑対策は緊急の課題と認識している。そもそも学校施設環境改善交付金を当初予算で削減してきたことが問題だ。予備費の活用も含め、ただちに財政措置を講じるべきだ」と要求しました。

 財政力の弱い自治体でも、エアコン設置が来年夏に間に合うように、国が必要な地方財政措置をとることを強く求めます。


「しんぶん赤旗」8月29日付・首都圏版より

埼玉県松伏町・学校エアコン/補助金前倒し支給を/塩川氏ら/文科相あて要望書

 埼玉県松伏町の「小・中学校の普通教窒ヘエアコンの早期設置を求める会」は28日、林芳正文部科学相あてに、エアコン設置のための国の補助金の前倒し支給などを求める要望書を提出しました。日本共産党の塩川鉄也衆院議員、伊藤岳参院埼玉選挙区予定侯補、吉田俊一、平野干穗両町議が同席しました。

 会の武内真由美代表は丶今年の記録的な猛暑のなかで、子どもたちが劣悪な環境での学習を強いられていることを告発し「来年の夏にはエアコンを便えるような補助金の支給を」と求めました。

 平野氏は、松伏町は財政規模が小さく、エアコン設置のためには国の補助金に頼らざるをえないとして「来年度の予算で補助金か認められたとしても、来年の夏には間に合わない。早い時期のエアコン設置か必要」と訴えました。

 文科省の担当者は、エアコン設置補助のための今年度の予算はすべてなくなっていると説明。「補正予算が組まれるかどうかはわからないが、あらゆる機会をとらえて予算獲得へ頑張りたい。みなさんが大きな声をあげていただくと、より効果がある」と述べました。

 塩川氏は、菅義偉官房長官が7月、猛暑対策に言及したことに触れ「緊急の課題として、政府の財政措置を」と求めました。

【「しんぶん赤旗」掲載】閉会中審査一致して要求/5野党1会派「全容を明らかに」

「しんぶん赤旗」8月29日付・1面より

 野党5党1会派は28日、国対委員長会談を開き、中央省庁などで障害者の雇用率が水増しされていた問題について、衆参の厚生労働委員会での閉会中審査を要求することを確認しました。日本共産党からは塩川鉄也国対副委員長が出席しました。

 会談では、障害者の雇用率水増し間題は中央省庁や地方自冶体、国会におよぶ問題となっており、閉会中審査で全容を明らかにしていくことが必要だとの認識で一致。国政の大きな課題となっており、与野党国対委員長会談を開き、今後の対応を検討することを与党側に求めることも確認しました。

 会談後、立憲民主党の汢元清美国対委員長は、自民党の森山裕国対委員長と会談し、閉会中審査等を要求しましたが、森山氏は消極的な姿勢を示しました。会談後、森山氏は「今の時点で全てが明らかになっているわけではない。一定のことか分かっていないと無駄な会議になってしまう」などと語りました。

セクハラ町長はただちに辞任を/群馬・みなかみ町で演説会

 群馬県みなかみ町で日本共産党演説会。星野かずひさ前町議、伊藤たつや参院群馬選挙区予定候補と訴えました。

 セクハラ町長はただちに辞任すべきです。セクハラは女性に対する暴力であり、重大な人権侵害です。その地位を利用して相手を意のままにしようとする権力の濫用です。町政の混乱と停滞を打開しましょう!

 学校給食費の無料化、国保税や介護保険料・利用料の負担軽減をめざします。40億円の財政調整基金の一部を活用すれば実現できます。日本共産党の星野かずひさ候補を押し上げてください!

前橋市/日本共産党を語るつどい

 前橋市内で日本共産党を語るつどい。小林ひさ子市議も参加。

 「前橋上空の米軍機の低空飛行訓練はひどい」「税金が高すぎる」など、質疑や意見交換。「3000万人署名に取り組む中で、自民支持者の中でも安倍首相批判の声が広がっていることを実感した」という報告もありました。

 足を踏み出すことで変化が生まれます。