東日本入国管理センター/自殺や自傷行為が相次いでいる問題で法務省ヒアリング

 茨城県牛久市にある東日本入国管理センターで、自殺や自傷行為が相次いでいる問題について、党牛久市議団と法務省ヒアリング。

 施設における医療体制の改善、地元自治体への情報提供などが求められます。

 大本には、外国人の人権保障に問題があり、難民認定に消極的な国の姿勢があります。

 この間、この問題を取り上げてきた藤野保史議員のスタッフも同席しました。

 


「しんぶん赤旗」5月22日付・5面より

入管施設/人道配慮を/共産党市議ら管理局に要請

 在留資格がない外国人らを収容する東日本入国管理センター(茨城県牛久市)でインド国籍の30代男性が4月に自殺したことをきっかけに収容者にハンガーストライキが発生したことをめぐり、日本共産党の利根川英雄、鈴木かずみ、遠藤のり子の各牛久市議は21日、法務省入国管理局に対し人道上の配慮や施設の環境改善などを申し入れました。日本共産党の塩川鉄也衆院議員が同席しました。

 利根川市議らは、日本の入管施設の長期収容をめぐり、国連の拷問禁止委員会が懸念を表明していると指摘。夜間の医療体制の強化や、心理カウンセラーの確保、事件などが発生した際の地元自治体への報告体制を整えるよう要請しました。同局警備課の徳井一之法務専門官は「改善すべきは改善する。ご指摘の点は検討したい」と笞えました。

 塩川議員は「国会質問でも、医療面に不十分さがあることなどが明らかになっている。日本は、難民認定の手続きや外国人の人権保障に問題がある。しっかり対応してもらいたい」と述べました。

 


 

「しんぶん赤旗」5月22日付・5面より

今すぐ処遇改善せよ/茨城・入管施設前/市民が抗議行動

 茨城県牛久市にある東日本入国管理センター前で20日、入管行政に対する抗議が行われました。市民有志が呼びかけ、県内だけでなく東京などから50人が参加し、「人権守れ」「まともな医療を」とスピーチしました。

 施設の前で参加者が、英語で「Stop Long Detention」(長期収容やめろ)などとコールすると、施設のなかから「ありがとう」と日本語で応答がありました。

 行動を呼びかけた、茨城県つくぱ市に住む男性(42)は、「収容されている人の処遇改善はもちろん、難民申請中の人も含めて原則すべての人を収容するという姿勢を改めるべきです。解決するまで、何度でもこの場所に来ます」と訴えました。

 東京都世田谷区から参加した方は、この問題をニュース報道で知り、「黙ってはいられない。多くの人に知ってほしい」と、東京・渋谷ハチ公前でひとり、スタンディングもしたといいます。「すぐに収容所の環境を改善してほしい。命がかかっています。実現するまで声をあげ続けます」

さいたま市学童保育連絡協議会総会であいさつ

 さいたま市学童保育連絡協議会総会であいさつ。子どもたちを真ん中に、学童保育の量と質の拡充のためにがんばります。

 国は「地方分権改革」の一つとして、学童保育の指導員配置基準を自治体の裁量に任せるものに後退させようとしています。

 「国が地方をしばる基準をなくすんだ」といいますが、とんでもない。

 子どもの安全を確保し、豊かな保育を保障する職員の配置基準は、国民、保護者が国、自治体をしばっている基準です。その基準を勝手に変えさせるわけにいきません。

TPP11協定批准反対/国会前アクションで国会報告

 議員会館前で行われている「TPP11協定批准反対」国会前アクションで、緊迫した国会情勢を訴えました。
 
 TPP協定の本会議採決強行に抗議。同時に、TPP推進の責任者である茂木大臣に対する不信任決議案を野党共同で提出したことを報告。そのため内閣委員会でのTPP関連法案の本日の採決強行に待ったがかかりました。来週から新たに動き出します。
 

「しんぶん赤旗」5月19日付・1面より
 
TPP廃案にさせよう/全国食健連座り込み/議員会館前
 
 自民、公明、希望、維新の各党が、米国を除く11ヵ国による環太平洋連携協定(TPP11)批准案の衆院通過を強行した18日、「国民の食糧と健康を守る運動全国連絡会」(全国食健連)は、衆院第2議員会館前で抗議の座り込みをしました。
 
 舘野豊事務局長が「食と農業を守るたたかいを広げ、安倍政権を退陣に追い込もう」と主催者あいさつしました。
 
 外務委員会と本会議での強行に対し、参加者は「強行採決絶対反対」「審議は不十分。強行は許せない」「TPPをみんなで止めよう」とコールしました。
 
 参加者がマイクを握り、離農が相次ぐ農村の実態、農業への影響試算のデタラメさ、ISDS(投資家対国家紛争解決)条項の危険性などに触れ、「徹底審議を」と訴えました。
 
 日本共産党の紙智子参院議員、塩川鉄也衆院議員、立憲民主党の衆参両院議員が連帯あいさつ。
 
 全農協労連の砂山太一委員長は、「私たちの運動で廃案に追い込もう」と呼びかけました。
 
 この日の抗議は、働き方改悪法案に反対する「雇用共同アクション」と共同でおこなわれました。
 

野党合同緊急院内集会/異常事態の内閣委を報告

 安倍暴走政権に「怒!」野党合同緊急院内集会で異常事態の内閣委報告。
 
 日本経済と国民生活に大打撃を与えるTPP関連法案をわずか14時間の政府質疑で強行採決しようとする政府与党に厳しく抗議。なぜ採決を急ぐのか。
 
 TPPの危険性を国民に知らせたくないからであり、カジノ実施法案を今国会で押し通そうとしているから。
 
 断じて許すことはできません。市民と野党の共闘で悪法を廃案に追い込むために全力を挙げます!
 

「しんぶん赤旗」5月19日付・2面より
 
6野党党・会派が緊急院内集会/安倍政権打倒・新潟知事選勝利を
 
 日本共産党、立憲民主党、国民民主党、無所属の会、自由党、社民党は18日、「安倍暴走政権に『怒!』野党合同緊急院内集会」を開き、一致結束して安倍政権打倒をめざす決意を表明しました。
 
 冒頭、国会全体の情勢を報告した国民民主党の泉健太国対委員長は、改ざん前の決裁文書全文を18日までに提出するとした約束をほごにし、23日に先延ばしし、悪法を押し通そうとする政府・与党を批判。「与党に対峙(たいじ)し、みんなで声をあげて国民に訴えよう」と強調しました。
 
 続いて、悪法とのたたかいについて担当議員が発言しました。
 
 「働き方改革」一括法案について立憲民主党の吉田統彦衆院議員は、厚労省の労働時間調査で2割超の「異常値」が明らかとなったことをあげ、「普通だったら撤回だ」と強調。衆院厚労委での採決が23日にも狙われていると指摘し、「(野党が)一丸となって対応していく」と強調しました。
 
 TPP協定と関連法案について、日本共産党の塩川鉄也衆院議員が発言。衆院外務委での協定採決を厳しく批判し、同内閣委でもわずか14時間の審議で関連法案の採決を強行する動きを報告しました。
 
 塩川氏は、政府・与党が採決を急ぐ理由は「日本経済や国民生活に関わる重大な中身を国民に知られたくないからだ」と指摘。しかも、後ろに控えるカジノ実施法案の今国会成立も狙っていると述べ、「野党が国民と結束すれば政府与党の暴挙を許さない力を発揮できる」と訴えました。
 
 加計疑惑について、無所属の会の江田憲司衆院議員が報告。「加計問題は完全に黒だ」と断言し、「加計孝太郎さんと安倍昭惠(首相)夫人の国会招致がなければ国民は納得しない」と力を込めました。
 
 新潟県知事選(24日告示、6月10日投開票)について、自由党の森ゆうこ参院議員が報告。「柏崎刈羽原発再稼働は認められない」と強調し、安倍首相の意向で動く与党候補に負けられないと述べ、野党が結東して池田ちかこ候補を勝利させようと呼びかけました。
 
 最後に社民党の吉川元幹事長の音頭で、安倍政権打倒と新潟県知事選勝利に向けて「ガンバロー」を三唱しました。

【議院運営委員会】ギャンブル依存症対策法案の内閣委員会付託に反対

 自民・公明は、野党の反対を押し切り、ギャンブル依存症対策法案の内閣委員会付託を強行しました。私は、議院運営委員会で反対の意見表明を行いました。

 ギャンブル依存症対策法案の内閣委員会付託の強行は、審議入りしたばかりのTPP11整備法案の質疑打ち切りを意味するものであり、引き続くカジノ実施法案の審議強行を図ろうとするものであり、反対であることを述べました。

【内閣委員会】本質は多国籍企業の利益追求と参考人指摘

 米国を除く11力国の環太平洋連携協定(TPP11)の関連法案について参考人質疑が行われ、政府の作成したTPPの影響試算の評価について質問しました。

 鈴木宣弘東大教授は「影響試算は、これだけの影響が出るからこれだけの対策が必要だという順序で進めなければいけない。政府の試算は“影響がないように対策するから影響がない”と計算している。対策を検討するための試算になりえない」と指摘しました。

 わたしはまた、TPP11で多国籍企業が投資先国を提訴するISDS条項など22の「有害条項」が「凍結」された効果を尋ねました。

 NPO法人アジア太平洋資料センターの内田聖子共同代表は「有害条項は22条項以外にも、食の安全や金融サービス等、非常に多くある。TPPの危険性は基本的に変わっていない」と答えました。

 わたしは、そもそもTPPはなんのために行われるのか?として、日米のグローバル企業の利益追求のためではないかと聞きました。

 鈴木教授は「ご指摘の通り、アメリカのグローバル企業が自分たちがもうけられるルールをアジア・太平洋地域に広げたい、これが端的なTPPの本質だ。日本のグローバル企業にとっても同じこと。アジアで直接投資を展開できる。グローバル企業の利益は増えるが、現地の人は安く働かされる。国内の人々は安い賃金で働くか失業する」と説明しました。

 
 
 
 

「議事録」
第196通常国会 2018年05月17日 内閣委員会 17号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 参考人の皆様には、私どもの視野を広げ、また、それぞれの課題を掘り下げる貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございます。
 最初に中川参考人に、TPP11における凍結項目について、なぜ凍結をされたのかについてお尋ねをいたします。
 ISDSの対象を絞り込むことや政府調達に係る労働条件など、米国が強く要求し日本も同調したものの一部が凍結をされたと述べておられましたが、このような凍結項目が決められたのは参加国のどんな事情があったのか、お願いします。

○中川参考人 お答えいたします。
 TPP11の交渉プロセスについては、情報が十分公開されておりませんので、私、その間の個々の項目が決まった事情については、率直に申し上げて通じておりません。
 今から申し上げるのは推測でありますけれども、郵便独占に係る急送便サービスの義務でISDS、これはISDSでやはり投資受入れ国として訴えられることを想定して、それは嫌だという抵抗感というのはあるわけですね。
 日本の立場としては、特に、世界じゅうでグローバルに投資を展開するということでありますので、投資受入れ国で、ISDSがなければ、受入れ国の国内裁判所で紛争を解決してもらうということになるわけですけれども、投資受入れ国の国内裁判所が果たして中立公正な判断をしてもらえるかどうかということに対する懸念もあるということで、アメリカと同調してISDSを主張したわけであります。これに対して、受入れ国として抵抗があったということだろうと承知しております。
 知的財産権関係のルール分野は多いと思いますけれども、これはかなりアメリカが主張し、また、日本もそれに同調して高水準の知的財産権保護を主張したわけですから、現行法から見て、受け入れるためにはたくさんの法律改正をしなければいけない国というのが、先進国であるニュージーランドを含めてTPP11の締約国の中にありましたので、それを少し猶予してほしいということだったんだろうと理解しております。

○塩川委員 ISDSや知的財産権の関係についてのお話がありました。
 内田参考人にお尋ねをいたします。
 TPP11における二十二の凍結項目について、内田参考人が、TPPの有害条項の代表格と述べておられます。今お話も出ましたけれども、知的財産権の規定も多数あるわけですし、ISDSの問題もあります。
 では、TPP11で有害性が除去されたと言えるのかということと、当然、国内法整備との関係でも問題はないのかということがあるわけですが、この点で、知的財産権、医薬品の特許関係についてお考えのところをまずお聞かせいただけないでしょうか。

○内田参考人 ありがとうございます。
 まず、凍結項目について、二十二に絞られたわけですが、その背景には多数あったと思います。
 プロセスは私も承知しておりませんが、途上国側、新興国側からすれば、とりわけ医薬品の特許関連、これに関しては、交渉の時点から非常に反対の声が強くありました。大筋合意をした二〇一五年十月のアトランタでの交渉、私も現場に毎回行っていますのでおりましたが、ここで最後の最後までもめ込んだのが、バイオ医薬品という、新しい生物製剤、医薬品の特許をめぐる規定でした。
 なぜ、これに途上国、新興国は反対するのかといえば、これはとてもシンプルです。命にかかわるからです。途上国では、アメリカの製薬会社が要求するレベルで特許権を強化してしまえば、もちろん、国内法を変えるとかそういうテクニカルな問題はたくさんあったんですが、受け入れられない理由はそうではありません。それが自国の国民の命に直結する問題だからです。
 今、どのメガFTAであれ、二国間であれ、この知的財産、とりわけ医薬品の特許をめぐる問題というのは大変な対立を生み出しているマターです。RCEPでもそうです。
 私、きょう、資料の中で、一番最後のページに、十五ページに写真をつけさせていただきました。これは、RCEP交渉、昨年の七月にインドのハイデラバードで行われたときに私も行きましたけれども、これはTPPと関係ないじゃないかと思われるかもしれませんが、関係あるんです。
 日本政府及び韓国政府は、RCEPの中でも、TPPと同じようなレベルの特許権保護、つまり、WTOのTRIPs協定というものがありまして、それよりももっと保護強化をしよう、つまり、医薬品会社の利益をもっと高めよう、そういうWTOより以上のものを提案しているということがリーク文書でわかりつつあります。このことにインドの人々は非常に抵抗していて、ちょっとショッキングなバナーですけれども、日本と韓国は人々の命をもてあそぶな、こういう厳しい批判というものもあります。
 ですから、こういう形で、ルールを高めたという、企業側からすれば利益なのでしょうが、一方、それは、公衆衛生とかさまざまな公共政策、それから気候変動への対応など、いわゆる国際市民社会が重要としている価値とは非常に対立的になっているということがありますので、日本としては、このあたりを、TPPがいいんだというだけでは、やはり他のアジアの国々、世界の人々に対しての責任という観点からは非常に問題があると思っております。

○塩川委員 そういう意味でも、非常に命にかかわる問題だということで、極めて重要、重大だと思います。
 その点で、いや、そうはいっても、この有害条項は凍結しているんだという話があるんですけれども、それが本当にそうなのか、その点についてはどうでしょうか。

○内田参考人 済みません、簡潔に。
 まず、有害条項と評したのは、今言ったような、その国々の公共政策だとか公衆衛生だとか人権とか、それから環境保護政策、こういうものにとって有害だという条項という意味です。これは、二十二の条項以外にも、私からすれば、まだ多数、TPPの中にはあります。逆に言えば、たった二十二個しか凍結されなかったのかというふうに思っております。
 ですから、仮に二十二が凍結されたとしても、先ほど来あるような食の安全のものだとか、それから金融のサービス、国有企業等々、まだまだ我々からすれば問題な条項というのが非常に多く埋め込まれております。ですから、このTPPの危険性というのは、若干は解消されたけれども、基本的には変わっていないというふうに思っております。
    〔委員長退席、石原(宏)委員長代理着席〕

○塩川委員 続けて内田参考人にお聞きしたいのはISDSの件ですけれども、先ほど、EUはISDSを否定したという話もありました。
 TPP11で、先ほども出た凍結項目としてISDSの話も出てくるわけですけれども、TPP11において、ISDS条項のいわば危険性というのは払拭されたのかということについてお聞かせいただけないでしょうか。

○内田参考人 ISDSは、現時点で累積して、特に九〇年代、二〇〇〇年以降、約七百六十件ほど、世界じゅうでさまざまなケースがあります。そのほとんどは、先進国政府の企業が途上国政府を訴えるという構図が基本的なパターンであります。
 ですから、TPPの中では、先ほど中川参考人からもあったように、主に途上国、新興国の政府がやはり提訴の危険というものを重々わかっているわけですね、みんな。ですから、凍結として要求したのだろうと思っております。
 その意味では、私は、凍結項目におけるISDSの、一部の縮小ですけれども、これは、途上国政府がやはり辛うじてTPPの中で奪い返したぎりぎりの線だったんだろうと思っております。
 日本にとってはどうかといえば、特段の変化はありません。これは、たしか凍結の中で、投資の定義というところで中央政府というところに限っていたと思いますけれども、逆に日本が訴えられなくなるじゃないかという声が、日本の企業が途上国政府を訴えるツールがなくなったんじゃないかという意見がありますけれども、逆に訴えられるリスクが減ったかといえば、特段減ってはいないというふうに思っております。

○塩川委員 ありがとうございます。
 次に、鈴木参考人にお尋ねいたします。
 TPP11の影響試算のことについてお尋ねしたいんですが、政府は二〇一七年末にTPP11の影響についての試算を出しましたけれども、これは本当に国内対策の検討に使えるのか、恣意的ではないのかという意見をお聞きするわけですけれども、鈴木参考人のお考えをお聞かせください。

○鈴木参考人 私の資料の四ページにもございますように、この影響試算というのは、本来は、これだけの影響が出るということをまず計算して、であるから、どれだけの対策が必要かという順序で進めなきゃいけないはずですが、それを、影響がないように対策をするから影響はないということで計算しておりますので、これは対策を検討するための影響試算にはなり得ないということだと思います。
 例えば農産物の価格が十円下がったら、そのためにそれを相殺するだけの政策はやるから生産量も所得も変わらないんだという計算方法でございます。それでは本当の影響というのは見えない。もしそれを正当化するのであれば、その十円下がったときにどういう対策をやるからその十円が相殺されて生産量と所得が変わらないのかについての根拠を示さないといけない。
 そういう意味で、まず、対策を入れ込んだ影響試算ではなくて、対策をしなければどういうことが起きるのかという純粋の影響というものを示してから議論すべきである、これが基本的な視点ではないかというふうに考えております。

○塩川委員 その場合、その対策をしなければどのような影響が出るのか、これをきちっと出すことが必要だというお話ですけれども、こういう点について政府に出せという要求をするのは当然のことでありますが、同時に、識者の方から、そういう、対策をしなければどういう影響が出るのかという試算というのは、何らかお示しできるものがあればお示しいただけないでしょうか。

○鈴木参考人 私どもでは、TPP12のときに独自の影響試算をして、政府試算とは全く違う、七倍の数字、一兆六千億円の被害が出るという数字を出しました。これは、基本的にはTPP11になっても変わらない、あるいはそれ以上であると考えなきゃいけない。つまり、TPP11をやるということはTPP12以上の内容を結果的に受け入れるわけですから、少なくとも、TPP12のときの打撃が出るということをまず踏まえる必要が出てくる。
 ですので、改めてTPP11だけを切り取って影響試算をすることも可能ではありますが、私はそれを今のところはやっていません。それは今のような理由からでございます。

○塩川委員 ありがとうございます。
 もう一点お聞きしたいのが、TPPがそもそも何のために行われるのか。TPPの本質について、やはりアメリカのグローバル企業の要求、便宜供与の問題があるという話、鈴木参考人もおっしゃっておられます。そういう点についてのお考えと、あわせて、このTPPというのは日本のグローバル企業のアジア等における利益追求にも応えるものとなっているのではないのかと思うんですが、そのこともあわせてお答えいただけないでしょうか。

○鈴木参考人 御指摘のとおり、アメリカのグローバル企業、先ほど来出ています製薬会社さんとかが、人の命を縮めても自分たちがもうけられるようなルールをアジア太平洋地域に広めたい、これが端的なTPPの本質ですね。まさにグローバル企業、それが政治家とお友達になって、お友達企業への便宜供与と世界の私物化という現象が起こっている。極端に言えばそういうことだと。
 それは日本のグローバル企業にとっても同じことで、おっしゃるとおりでございます。日本の企業が、あるいは小売企業がアジアに行って、直接投資が更に自由化されれば、どんどん展開できる。それによって日本のグローバル企業の経営陣の利益もふえます。しかし、現地の人たちは安く働かされる。そして、日本の国内では、国内の人々が結局安い賃金で働くか、あるいは失業して、例えばベトナムの方々の賃金は日本の二十分の一から三十分の一ですから、そういう方々が更にふえる、あるいは企業が出ていく。
 いずれにしましても、グローバル企業の経営陣にとってのメリットは、それは日米ともにあることは間違いない。しかし、それが一般国民の九九%の方々の生活をプラスにするかというと、それは逆行してしまう。ここをどのように調整できるのかということが問われているんじゃないかというふうに思います。

○塩川委員 終わります。ありがとうございました。

【「しんぶん赤旗」掲載】TPP関連案きょう採決狙う/衆院内閣委/与党が提案

 「しんぶん赤旗」5月18日付・2面より

 衆院内閣委員会理事会が17日開かれ、与党側が18日の委員会で米国を除く環太平洋連携協定(TPP11)関連法案の採決と、IR(カジノ)実施法案の審議の前提と与党が考えているギャンブル依存症対策法案の審議入りを提案しました。野党側は拙速な採決には応じられないと拒否し、引き続き協議することになりました。

 野党側は、TPP11関連法案について十分な審議が必要だと主張。財務、厚労、文科、農水、経産、外務の各委員会と連合審査を行うことや、農業や食の安全、知的財産権などテーマ別の集中審議を行うこと、中央公聴会、地方公聴会、参考人質疑など国民の声を聞くこと、さらなる首相出席質疑を行うことを求めました。

 日本共産党の塩川鉄也議員は「日本経済や国民生活にかかわるTPP11関連法案の審議を打ち切り、さらにカジノ実施法案の審議強行を図ろうというものであり、採決は絶対に認められない」と主張しました。

 TPP関連法案は18日午前の内閣・農水連合審査を経て午後の質疑後に採決が強行されるおそれがあります。

 TPP11承認案については、衆院外務委員会で18日に1時間の質疑をしたうえで採決することが決まっており、衆院本会議での採決が狙われています。

【内閣委員会】日米交渉/国民に打撃/TPP11がベースに

 関税撤廃などを盛り込んだ環太平洋連携協定(TPP)加盟11か国による新協定「TPP11」について、米国からはTPP11をベースに日米二国間協議でさらなる追加措置が求められる危険があると指摘しました。

 トランプ米大統領が「アメリカ第一」の立場から、「TPPに戻りたくない」「二国間協議がいい」と明言しているもとで、安倍首相が日米の新たな経済協議の枠組みをつくることで合意したことは、きわめて重大。日米二国間交渉のゆくえを中心にただした。

 トランプ大統領がTPPから離脱し、貿易協定は二国間交渉で進める意向を示したことで、日本の麻生太郎副総理と米国のペンス福大統領の経済対話、茂木敏光TPP担当大臣とライトハイザー通商代表部(USTR)代表の新協議機関(FFR)の創設を積み上げてきた。

 FFRで取り上げる課題は何かと質問。

 茂木担当大臣は「日米の関心事を出し合っていく。できるだけ具体的なテーマで議論したい」と答えました。

 すでに日米経済対話で、USTRが今年3月末に公表した2018年「外国貿易障壁報告書」に示された要求項目が議論され、具体的な措置もとられている。

 「外国貿易障壁報告書」では「(BSE問題は解消したとして)牛肉市場の完全な開放」を求めている。米国のBSE調査は1%未満だ。食の安全基準を犠牲にしてよいのかが問われている。国民の安全を損なうやり方は認められない。

 TPP,TPP11、日米二国間交渉が日本経済と国民生活に大打撃を与えることは必至だ。

衆議院TV・ビデオライブラリから見る


「議事録」

<第196通常国会 2018年05月16日 内閣委員会 16号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 TPP整備法案について質問をいたします。
 本来であれば、二つの常任委員会に置かれた協定と整備法案ですから、しっかりと深めた議論をする上では一体の議論の場も必要なんですよ。そういったこともなしに、それぞれの委員会でそれぞれでやってというふうにはならないということはまず最初に申し上げておきますし、また、十本の法案との関係でいっても、対応する役所も五つもあるわけで、関係委員会との連合審査を含めた、複数の大臣を並べたしっかりとした議論を行うのも当たり前のことであって、こういったことについて、しっかりとした審議の場を保証しないという中での議論の進め方というのは極めて重大だということを冒頭申し上げ、徹底審議、慎重審議を行うべきことを申し上げておくものであります。
 その上で、四月の日米首脳会談において、トランプ大統領が、アメリカ第一の立場から、一方的な鉄鋼、アルミニウムの輸入制限を行いながら、TPPに戻りたくない、二国間協議がいいと明言をしているもとで、安倍総理が、日米の新たな経済協議の枠組みをつくることで合意したことは極めて重大であります。
 そこで、日米二国間交渉に関連して、まずお尋ねをいたします。
 外務省にお聞きしますが、この整備法案の本会議での我が党の笠井亮議員の質問に対して安倍総理は、米側は二国間ディールに関心を有していると承知しておりますと二回答弁をしていました。
 トランプ大統領が二〇一七年一月に大統領に就任した後、米国USTRに対して、一月二十三日付で大統領覚書、TPP交渉及び協定からの米国の離脱を発出しております。そこでは、個別の国と直接一対一、又は二国間、今後の貿易協定を交渉していく考えであると述べています。
 トランプ大統領が一対一で取引を行うと書くその政治的意図について、日本政府は具体的にどのように認識ないし分析しているのか、この点についてお答えください。

○岡本大臣政務官 今委員御指摘いただきましたように、さまざまなところで大統領はコメントしていらっしゃるので、米側が二国間ディールに関心を有していることは十分に承知をしておりますけれども、その手のうちまで私ども分析する立場にはございません。
 先ほど来議論になっておりますように、我が国といたしましては、TPPこそが日米両国にとって最善の策だというふうに考えておりますので、この立場を踏まえて今後も議論を推進してまいりたいと考えております。

○塩川委員 トランプ大統領が二国間ディールに関心を置いているということであります。
 覚書でトランプ大統領は、米国がTPP署名国として離脱し、かつ米国が永続的にTPP交渉から離脱することを指示したわけです。
 本年のダボス会議において初めてトランプ大統領から米国がTPPに参加する可能性について言及があったということですけれども、このアメリカ・トランプ大統領の立場として、日本との一対一取引、ディールというその姿勢というのは一貫しているんじゃないですか。

○岡本大臣政務官 トランプ大統領が一対一のディールということに興味を有していることは、先ほど来、認識しているということを申し上げたとおりでありますけれども、これまでの両国間の議論の中でさまざまな議論をともにしていこうというふうに合意ができておりまして、先ほど来、茂木大臣もおっしゃっておりましたけれども、その会話は二国間であっても、私どもが最も最善と考えておりますのはTPPであることは間違いございませんので、その立場を踏まえた議論をこれからも進めてまいりたいと考えております。

○塩川委員 二国間の話も出ました。二〇一七年二月十日の日米首脳会談共同声明は、米国がTPPを離脱した点に留意し、両首脳は、これらの共有された目的を達成するための最善の方法を探求することを誓約した、これには、日米間で二国間の枠組みに関して議論を行うこと等を含むとあるわけです。
 この二国間の枠組みというのには、麻生副総理とペンス副大統領の経済対話、またライトハイザーUSTR代表と茂木大臣による貿易通商問題の新協議機関、この設置は当然入るものと考えますが、それでよろしいでしょうか。

○岡本大臣政務官 この二国間の枠組みにつきましては、今委員御指摘をいただきましたように、先般の日米首脳会談で茂木大臣並びにライトハイザー通商代表との間で合意をいたしました自由で公正かつ相互的な貿易取引のための協議、いわゆるFFRを開始するということも含まれているというふうに思いますし、加えまして、これまで議論となっておりました麻生副総理とペンス副大統領の間で行われてきております日米経済対話、もう既に昨年の四月、十月、二回行われておりますけれども、このことも含まれておるというふうに考えております。

○塩川委員 二国間の枠組みとしているものに、日米経済対話そして今回のFFRも入るということです。
 安倍総理は、二〇一六年にトランプ氏が大統領に当選するという機会で、国会ではTPPの審議を行っていたところでしたけれども、米国抜きのTPPは意味がないとしながら、二〇一七年に日米二国間枠組みを約束し、ペンス副大統領・麻生副総理の経済対話を創設し、二〇一八年でも、ライトハイザー・茂木新協議機関、FFRの創設を行ったということです。
 ことし四月の日米首脳会談でトランプ大統領が、私は二国間交渉を好むと発言をしております。トランプ氏のこのような発言の裏には、安倍総理が大統領覚書を踏まえて、いわば日本側からみずから進んで日米間協議の創設を約束してきた、そういう積み上げがあったからじゃありませんか。

○岡本大臣政務官 今御指摘のある、いわゆる麻生副総理とペンス副大統領の日米経済対話におきましても、また、先般合意されました茂木大臣とライトハイザー通商代表とのFFRに関しましても、二国間の協議ではありますけれども、決して先方が一方的に何かを押しつけるようなことではありません。
 麻生・ペンス会談におきましては、三つの大きな目的を共有して、その三つの目的というのは、貿易及び投資のルールと課題に関する共通戦略、二つ目には経済及び構造政策分野での協力、そして三つ目には分野別協力の三つの柱に議論をするということで合意をしております。
 また、先般の茂木大臣とライトハイザー氏のFFRにつきましても、これは決して、事前協議をやるですとかというような類いのものではありません、FTAの交渉と位置づけられるものでもありません。あくまでも、この場でお互い相互利益にかなうものを議論していこうということで、私どもは、その中でもTPPが最も双方の利益にかなうと考えておりますので、そのことを強調してまいりたいと考えております。

○塩川委員 私がお尋ねしたのは、結局、こういった二国間協議というのは、日本側の提案で行われているというのが経緯じゃないですか。

○茂木国務大臣 四月の日米首脳会談、私も同席をさせていただきまして、自由で公正かつ相互的な貿易取引のための協議、FFRと呼ばれているものを立ち上げることにしたわけでありますが、これは、R、レシプロカル、まさに相互が利益になるような協議をしようということで合意をしたものでありまして、どちらかから持ちかけて、どちらかが渋々受けた、こういう形ではないというものであります。
 そして、二国間でしますのは協議です、基本的に。二国間の協定をするということではない、このように今考えておりまして、先ほど来申し上げておりますように、我々は、日米両国にとってもTPPが最善であると考えておりますし、ほかのTPP参加国についても同じ思いを持っていると考えているわけであります。
 そういった中で、例えばTPP12のときも、TPP12、このマルチの交渉を進めながら、日米間は並行交渉、こういうのも行ったわけでありまして、グッドディール、いい取引をしたいという米側の思いはあって当然でありまして、そこの中でどういった交渉をしていくかということに今後なっていくと考えております。

○塩川委員 TPPの議論のときでも、マルチと同時にやはりバイでどんなことが行われていたかということに重大な関心を国民は持っていたわけであります。麻生・ペンス経済対話などは総理がみずから提案したということをおっしゃっておられたわけですし、そういった経緯というのを踏まえての動きということが言えるわけです。
 安倍総理はもちろん、米国がTPPに戻ってきてほしいと期待感を寄せている。ただ、トランプ大統領は、かなりよい条件を得る必要があるとか、多国間交渉よりも二国間交渉の方が好きだと主張して、TPPに入らないとか、ハードルを高くしているわけです。
 結局、このトランプ大統領の一対一の取引、ディールの不変の姿勢に総理の方が迎合してつなぎとめているというのが事の経緯じゃないのかということを指摘せざるを得ません。
 ことし四月の十二日に、トランプ大統領がライトハイザーUSTR代表とクドロー国家経済会議委員長に対し、米国が有利な条件でTPP復帰を検討するとのことでしたが、トランプ大統領は、TPPへ復帰しても、あるいはしなくても、日米間の協議、一対一の取引は今後も行われることになるということが言えるだろうと思っています。
 茂木大臣にお尋ねしますが、先ほどちょっとダブるように答弁がありましたけれども、ライトハイザーUSTR代表と茂木大臣による新協議の設置、FFRについて、日米経済対話との関連、またその違いというのはどういうものなのかについて御説明いただけますか。

○茂木国務大臣 FFR、これは、私とボブ・ライトハイザー通商代表の間で行われる、恐らくラリー・クドローも絡んでくるとは思うわけでありますが、日米双方の利益となるように、日米間の貿易や投資を更に拡大させ、公正なルールに基づく自由で開かれたインド・太平洋地域における経済発展を実現する、こういう目的で行われるわけでありまして、ある意味、日米経済対話、これはかなり幅広い分野を扱っておりまして、完全にそれの一部というわけではありませんが、そこの中の特定の分野にフォーカスをして協議を進める、そして、その協議の経過、結果等につきましては、適時これを、麻生副総理、ペンス副大統領のもとで行われている日米経済対話に報告する、こういう全体の枠組みになっております。

○塩川委員 先ほど岡本さんの方のお答えにもありましたように、日米経済対話は三つの柱で、貿易・投資や経済構造、また分野別の協議、そういうのに対して、FFRについては、日米間の貿易投資を更に拡大させていくという目的で、今大臣がおっしゃったように、幅広い分野の一部ということではないけれども、特定分野にフォーカスをしているという話でした。
 その結果は日米経済対話に報告をするということですけれども、そうなると、ここで、特定分野にフォーカスするとはいうんですけれども、議題、課題として、そうはいっても、関税措置や非関税措置、全分野を視野に入れて相手側の、双方と言ってもいいんでしょうか、その関心事項、つまり、関税措置、非関税措置の全分野を視野に入れた交渉のテーブルということにはなっていくんじゃないですか。

○茂木国務大臣 まさに、FFR、これから協議が始まるわけですから、そのTORにつきましては、今後、両国側で調整をしていくということになるんですが。
 若干、先ほどの私の答弁の中で具体的な分野にフォーカスをすると申し上げましたが、先ほど申し上げたように、日米間の貿易・投資、さらに、公正なルールに基づく自由で開かれたインド・太平洋地域をつくっていくためにどうしたらいいか、こういう脈絡で申し上げましたので、フォーカスの仕方が単純に日米間に限定されたもの、こういうことではないということは御理解ください。

○塩川委員 インド、太平洋という視野はあるよという話ということだと思いますが。
 そこで、取り上げるテーマの話をお聞きしたわけで、お答えになっていないんですが、例えば日米二国間で行うようなそういった協議の課題として、この間も議論になっているような自動車とか、医薬品や医療機器とか、牛肉とか食品添加物とか、金融・証券、知的財産、国民皆保険、こういうものも議論の対象になるというふうに考えてよろしいんですか。

○茂木国務大臣 具体的な議論の対象はどういう分野になってくるか。まさにこれは、今後、日本もそうでありますし、アメリカ側も、それぞれ関心を持っている項目は何なのか、こういったことを出し合う中で決まっていく、そのように考えておりまして、できるだけ具体的なテーマについて協議をしたい、こんなふうに思っておりますが、まさに今、それが進んでいるプロセス、始まったところだ、このように考えております。

○塩川委員 双方の関心を持っている項目を出し合う、アメリカ側が関心を持っている項目も出してもらうという話で、そういう点では、TPPの日米の懸案交渉で論点になっている項目も紹介したわけですが、一昨年のTPPの国会審議でも、市民団体が懸念をしているそういう課題というのも、当然のことながら、アメリカ側の関心ということであれば上がってくるという話になるわけです。
 ライトハイザー通商代表は、ことし一月のワシントンの米商工会議所の講演で、日本との経済関係について、いつかはFTAを結びたいと思うと語っていました。こうした流れを見ても、二国間協議というのは、アメリカが狙うFTAに一段と踏み込むということにならざるを得ないんじゃないかと思うんですが、この点についてはいかがですか。

○茂木国務大臣 その講演の内容を今つまびらかに私も記憶しておりませんが、時点はいずれにしてもことしの一月、まさにFFRが立ち上がる前でありますし、いつかはという問題でありますから、そういった願望をその時点においてはお持ちになったのかもしれません。

○塩川委員 これは、ですから、引き続きの関心であることには変わりがないと思います。
 答弁にもありましたように、米国側の関心を持っている項目を出し合う、そういう場としてFFRでの議論があるといったときに、米国側の要求の具体を見てみたいと思うんですが、トランプ大統領とライトハイザーUSTR代表のもとで、二〇一八年USTR外国貿易障壁報告書がことしの三月末に公表されました。一部ではありますけれども、米国の要求がリアルにわかる資料であります。
 外務省にお尋ねしますが、まず、このUSTR外国貿易障壁報告書に対して、これまで日本政府はどのように回答、対応してきたのか。このことについて説明してもらえますか。

○岡本大臣政務官 今御指摘のありました米国の報告書は、米国の一九七四年通商法に基づきまして、毎年行政府から議会に提出されているものでありまして、米国から見て、貿易相手国に対する関心事項についての報告書でございます。
 私ども、相手方の報告書でございますので、その内容につきまして、私どもが一々何か戦略を持って行動を起こすということはいたしておりません。

○塩川委員 一々行動を起こすことはないというお話でしたけれども、文書で米側に、そういった中身、回答について渡したということもありますよね。

○岡本大臣政務官 二〇一六年に、文書で先方に出したことはございます。

○塩川委員 ですから、そういうふうに回答を返しているということは現にやっているわけですよね。それはもう文書で出しているわけです。
 昨年四月に立ち上げた日米経済対話ですけれども、このUSTR外国貿易障壁報告書を踏まえて何らかの議論をしたんだと思うんですけれども、その中身はいかがですか。

○岡本大臣政務官 具体的な中身について、ここで全部つまびらかにすることはできませんけれども、米国が、我が国との貿易におきまして、自動車分野等について興味を有していることがございまして、そのことについての議論等はしているというふうに承知をしております。

○塩川委員 ですから、日米経済対話においても、このUSTR外国貿易障壁報告書を踏まえて議論を行っている、今、自動車分野でというお話もありました。
 昨年の十月においての議論では、それ以外にも、例えば、アイダホ産のポテトチップ用バレイショに対する輸入停止措置を解除する、こういうことも話し合われたと承知していますが、それでよろしいですか。

○岡本大臣政務官 議論はいたしました。

○塩川委員 具体的に措置したのではありませんか。

○岡本大臣政務官 アイダホ産のジャガイモの輸入の解禁はしております。

○塩川委員 ですから、ことしの三月に出したこの二〇一八年のUSTR外国貿易障壁報告書でも、二〇一七年、日本は、アイダホ州産のポテトチップ用バレイショに対する十年に及ぶ輸入停止措置を解除したと。これは、ですから、日米経済対話の議論を踏まえての措置ということがここにも書き込まれているということです。
 ですから、二国間のこういったディールという流れの中での日米経済対話において、このUSTRの外国貿易障壁報告書を踏まえた議論が行われ、また、具体的な解除措置なども行われているという流れというのが出てくるわけです。
 そこで、茂木大臣にお聞きしますが、そうすると、今後は、このFFRにおいてUSTR外国貿易障壁報告書に基づく対日要求の議論を行うということにもなりますね。

○茂木国務大臣 米側の関心事項、これは米側において今後示されるんだと思っております。
 その文書に書いてあることをそのまま要求されるのか、そこの中でフォーカスを絞っていろいろな議論をしたいというのか、また違ったテーマについて議論をしたいというのか、これは米側の立場だ、こんなふうに思っておりますが。
 何にしても、いわゆる協定の枠組みをつくるわけではない。さまざまな協議というのはあるわけでありますし、例えば、TPPをまとめるに当たっても、各国との間で、サイドレター、こういったものも交換しております。これは二国間のディールなんです、三国間でやることもありますけれども。こういったディールというものは当然さまざまな交渉の中で出てくるものだと思っておりますけれども、それ自体が通商の枠組みをつくるというのとはイコールではないということは御理解ください。

○塩川委員 ただ、協定までいかない過程においても当然ディールもあって、具体的な要望に応えるという流れというのがある。バレイショの話なんかは、そういうことで出てきているわけであります。
 そういう意味でも、今大臣お答えになったように、こういったUSTRの関心事項を書いた報告書の中身も当然議題に上っていくFFRになるということは、今お話しされたとおりだと受けとめました。
 そこで、具体的な、このUSTR外国貿易報告書に基づく要求と、それに対する日本政府の対応についてお尋ねしたいんですが、厚生労働省にお尋ねします。
 この報告書、日本関連部分の三番目に牛肉及び牛肉製品が挙げられています。米国の牛にはBSEの危険性があります。TPPの入場料として、二十カ月の月齢を三十カ月齢に緩めるということもかつて行われたわけですが、この報告書において、USTRは、全ての月齢の牛肉及び牛肉製品を受け入れ、市場を完全に開放するよう働きかけていくとしております。
 これは、日本政府、厚生労働省としてどのように受けとめているんですか。こういう要求を受け入れるんですか。

○宇都宮政府参考人 お答えいたします。
 今委員御指摘のように、USTRの外国貿易障壁報告書におきまして、米国は引き続き、OIEにおける米国の評価と整合させるべく、日本が全ての月齢の米国産の牛肉及び牛肉製品の輸入を認めるよう主張していると承知しているところでございます。
 厚労省といたしまして、BSE対策につきましては、国内、国外の双方でBSEが発生するリスクは低下したということで、国内の検査体制、輸入条件といった対策全般につきまして、食品安全委員会の科学的な評価結果に基づいて、必要なリスク管理措置の見直しを行ってまいりました。
 米国を含みますBSE発生国から輸入される牛肉の月齢制限撤廃につきましては、科学的に対応することが必要でございまして、昨年四月、食品安全委員会におきまして、現在、月齢条件を三十カ月齢以下としている、米国産に限らず、米国産を含む十三カ国産の牛肉につきまして、新たな知見等を踏まえた、輸入条件の月齢を更に引き上げた場合の科学的な審議を進めることとされたところでございます。
 現在、食品安全委員会におきまして、評価に必要な資料を提出した、これも米国に限りませんが、米国を含みます三カ国につきまして審議が行われてございまして、厚生労働省としては、食品安全委員会の科学的なリスク評価結果に基づいて対応していくこととしているところでございます。

○塩川委員 科学的審議というんですけれども、もともと、このTPP交渉の入場料として、二十カ月齢を三十カ月齢に緩めた。あれも、科学的な審議といっておいてやって、まともな、それが妥当な審議だったのかということがまさに根本から問われていたわけですよね。今回も、同じ理屈で同じことを繰り返すのでいいのかというのが問われるわけです。
 アメリカは、BSEの検査率は一%未満で、ほとんど検査されていません。屠畜段階でのしっかりした特定危険部位の除去もしっかりと行われていないということもされています。二十四カ月齢のBSE感染牛も出ているという話もあり、食の安全基準を犠牲にしていいのかということがやはり大もとから問われている。
 食の安全基準は、各国の独自性があって当然じゃないですか。そういうものを全部横並びにするということ自身に、やり方として、それがルールだというやり方は国民の安全を損なうものだということを言わざるを得ません。
 最後に、大臣にお尋ねしますけれども、米国抜きのTPP11というのは、日本が国際的に約束した市場開放や規制緩和の到達点であります。米国との二国間協議は、この到達点に立って、より大幅な譲歩を求める米国には、それが新たな出発点となるんじゃないのか。TPP11が規制緩和の到達点、それを土台にして、更に出発点として大幅な譲歩を求める、これが二国間協議にならざるを得ないのではありませんか。

○茂木国務大臣 必ずしも私はそのような認識を持っておりません。

○塩川委員 TPP11は、日本がTPPで国際公約をした関税撤廃と非関税障壁撤廃の到達点であります。TPP11をベースに米国からは譲歩を迫られて、また、TPP11の発効後は、再交渉条項で加盟国からさらなる措置を求められない、そういうことは断言できますか。

○茂木国務大臣 いずれにしても、我が国として、国益に反するような合意を行うつもりはございません。

○塩川委員 それで、過去、さまざまな貿易交渉においてアメリカの要求を丸のみしてきたという経緯というのは、忘れるわけにはいきません。
 このTPP、TPP11、そして日米二国間交渉が日本経済と国民生活に大打撃を与えることは必至であります。TPP交渉での、こういった譲歩した到達点をスタートとしてさらなる譲歩を重ねるような、こういったことはきっぱりとやめるということを求め、質問を終わります。

群馬/館林邑楽日本共産党後援会総会で講演

 館林邑楽日本共産党後援会総会で講演。安倍首相の国政私物化の実態を告発、新たな変化を作り出してきた野党共闘の現状を紹介しました。

 キーパーソンの国会招致や裁量労働制拡大を撤回させた取り組み、原発ゼロ基本法案の国会提出など、市民と野党の共闘が政治を動かしています。

 質疑では、オスプレイの横田基地配備も話題に。以前に比べて米軍機が頻繁に、それも低空で飛ぶようになってきたといいます。

 日本の法律が適用除外の米軍による横暴勝手な訓練飛行は許せません。せめてドイツ、イタリア並みの規制の実現を!

埼玉土建労組定期大会に出席し、あいさつ

 埼玉土建労組定期大会に出席し、あいさつしました。

 埼玉土建(斎藤顕委員長)は、賃上げ、労働条件の改善、建設アスベストなど、建設労働者の暮らしと権利を守る要求運動に取り組んできました。

 アスベスト問題の国とメーカーの責任は明らかです。早期全面解決、救済基金制度の創設を実現しよう。

 憲法9条守れと署名レンジャーを募って3000万人署名達成のために力を尽くしています。

【内閣委員会】PFI法改定反対/塩川議員/地方自治侵害と地元企業参入の妨げに

 民間のノウハウと資金を活用して公共事業の整備促進をはかる「PFI法」改定案を採決し、賛成多数で可決。日本共産党は反対しました。
 
PFIによる情報公開後退/地方自治の侵害
 採決に先立つ質疑で、昨年からPFI事業の中止を含む大幅な見直しを行っている愛知県西尾市で、二年前の市議会に提出されたPFI事業の「提案書」が墨塗りだらけだったこと、西尾市が行った「PFI事業検証報告書」の中で「民間事業者の著作権意匠権が絡むことで、情報開示が制限された」と述べている。住民自治の観点から重大な問題だ。PFIが事業者の都合を優先するがために起こる情報開示の後退だ。
 
 梶山弘志地方創生担当相は「適切な情報公開が重要」と述べるに留まりました。
 
地元企業参入の障害に
 水道事業へのPFIコンセッション方式導入を進める静岡県浜松市が、内閣府からの全額補助で行った調査報告書の中で、コンセッション方式導入によって、地元事業者が排除されれば安定的・継続的な水道事業への障害となる懸念を指摘している、と質問。
 
 梶山大臣は「もっともな指摘だ」と認めました。
 
 日本PFI・PPP協会作成の「PFI選定代表企業ランキング」では、ランキング上位は大手ゼネコンばかりで、上位10社だけで全体の35%を占める。結局、PFI事業は大企業の参入を促進し、地元企業を排除する仕組みとなっている。
 
 梶山大臣は「PFI導入は自治体の判断だ」と述べました。
 
 PFI事業は、地方自治を侵害し、地元企業の参入を妨げ、住民サービスの後退につながると批判した。
 
質問で使用した資料↓クリックで拡大
 

<第196通常国会 2018年05月11日 内閣委員会 15号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 PFI法改正案について質問をいたします。
 きょうは、具体の事例も紹介しながら、自治体におけるPFI事業の現状について、問題点についてお尋ねをいたします。
 内閣府にお尋ねしますけれども、愛知県の西尾市は、計画をしていたPFI事業について、中止を含む抜本的な見直しを行っております。この事例について、内閣府は承知をしておられますか。

○石崎政府参考人 西尾市のPFI事業は、平成二十三年四月に合併した四市町の公共施設の統廃合と再整備、維持管理の計三十二事業を一括してPFI方式により民間企業に委託するものであったこと、また、大手建設企業を入れず、事業主体を地元中心の運営企業で構成する方式だったことなどの特色を持った事業として、平成二十八年六月に契約されたものと認識してございます。
 しかしながら、二十九年六月に市長の交代を受け、三十二事業のうち十事業を取りやめるなど、PFI事業としては維持しつつも、大幅な見直し方針を打ち出したというふうに承知してございます。

○塩川委員 今紹介してもらいましたように、三十二事業一括ですとか大手の建設企業を入れないとか、そういう特徴がある西尾市方式PFI事業と言われていたものですけれども、市民の大きな声もあって変更になっている。
 この西尾市方式PFI事業については、大規模な一括方式なのに、短期間の募集期間のため、一社のみの応募で競争なしに決まったことや、計画内容が明らかにされず、計画の問題点を指摘しても事業者は見直しをしようとしなかったこと、地元企業によるSPCといいながら建設工事は市外の大手任せだったことなど、多くの批判が寄せられました。
 西尾市は、PFI事業に対する市民の批判の声を受けて、中止を含むPFI方式の大幅な見直しに着手をいたしました。
 資料をお配りしております。二枚目を先にごらんいただきたいんですが、これは、西尾市は、ことしの三月に「西尾市方式PFI事業 検証報告書・見直し方針」をまとめております。その中で、アンダーラインを引いたところを引用しますが、
  市の保有する情報は、民間事業者の著作権意匠権などが絡むことで、これまでのように一存で開示判断できるものが限られるようになり、公文書開示請求への対応が問題となった。さらに事業が進むに従って、市の内部でも事業の全容を把握しているのはごく一部の職員となり、議会への対応、説明が不十分だとされた。その結果、それが情報隠しであり事業の実施経緯が不透明だと批判が高まり、住民訴訟が提起されるまでの事態となった。
こういう背景があって、市長選挙もあって、市長がかわると、大きな抜本的な見直しにもつながったというのが背景であります。
 大臣にお尋ねしますけれども、住民が主人公というのが自治体です。その自治体の事業でありながら事業者の都合を優先して、情報開示が後退をし、住民の不信を拡大することとなった。こういうPFI事業というのは住民参加を妨げるものとなっているんじゃないのかと率直に思いますけれども、大臣はいかがですか。

○梶山国務大臣 御指摘のように、情報の開示不足について、西尾市が平成三十年三月に公表した「西尾市方式PFI事業 検証報告書・見直し方針」において、民間事業者の著作権や意匠権などが絡むことで公文書開示請求への対応が問題となった旨が記載されていることは、承知をしているところであります。
 このような点も原因の一つとして、西尾市は、三十二事業のうち十事業を取りやめるなど、PFI事業の大幅な見直し方針を打ち出したものと認識をしております。
 当該PFI事業の推進に当たっては、西尾市議会において一定の議論がなされた上で、議会において必要な手続を経て実施されたものと考えておりますが、一般論として言えば、PFI事業も他の事業と同様の判断基準のもと、情報公開制度に基づいた適切な情報の開示がなされるべきものと考えております。

○塩川委員 適切な情報の開示がなされるものというお話がありましたけれども、大臣のお話の中にもあったように、西尾市議会で一定の議論があって実施をされたということですが、資料の一枚目をごらんください。これは、西尾市が二〇一六年の市議会六月定例会に提出をした西尾市方式PFI事業の提案書の一部であります。つまり、PFI事業者が出した提案書について、墨塗りで、こういう形で出しているということであります。
 市は、この議会にPFI事業の契約議案と債務負担行為額を約百九十八億円に再設定する議案を提出しましたが、その際の説明資料であります。事業者が出したものについて、市が墨塗りをして出さざるを得なかったというものになっているわけです。
 PFI事業者の要求によって多数の黒塗りとなっております。左側が「構成企業・協力企業各社の役割と特徴」と、項目は全て墨塗りになっておりますし、右側の「事業スキーム図」も墨塗りばかりとなっています。
 この図の西尾市の下に特別目的会社、SPCの構成がありますけれども、この右側のところ、墨塗りになっているというのは、建設を請け負う事業者の部分が書かれていたわけですけれども、この建設工事の受注企業が書かれていたところも墨塗りです。
 これは、PFI事業者は地元企業ということで建設工事を受注するんだという話をしていたんですけれども、地元企業といっても、西尾市の事業者じゃなくて愛知県内が地元だということで、実際には名古屋市の事業者がこれを受注するという運びになっていたということでもあったわけで、こういうものでまともな審議ができるのかということだと思うんですよ。
 ですから、私は、こんなことになるというのも、このPFI事業に伴う情報開示の後退、これがまさに問題となっている具体の事例だと思うんですけれども、改めていかがでしょうか。

○梶山国務大臣 委員御指摘のような地元企業の参入という点では、東日本大震災から、災害時の対応ということで、大変やはり重要なことであると思っております。ほかの市町村においても、そういった点を考慮しながらいろいろな事業についても入札等を行っていると思っております。
 ただ、この西尾市の例に関しましては、やはりコンセッション対象事業をどう選んでいくかとか、そういう課題が今後もまた残ってくると思いますし、適切な情報開示のもとに行われるべきであると私自身は考えております。

○塩川委員 結局、PFI事業者に包括的に絵を描いてもらうということですから、それが企業秘密にかかわるような話となって、実際にこういう非開示がどんどんどんどんふえていく。ですから、PFI事業に伴うようなこういう情報開示の後退という点が、私は、自治体の住民が主人公となるべきその仕事が、その住民にも知らされないままどんどんどんどん進められることになっているというのが、この西尾市で計画がひっくり返るということにつながったということを重く受けとめるべきだと思うんです。
 あわせてもう一つ指摘をしたいのが、資料の三枚目であります。
 これは、浜松市ですけれども、「浜松市公共下水道終末処理場(西遠処理区)運営事業 公共施設等運営権実施契約書」であります。これの一番上の部分を見ていただくと、この契約書の第五十条は、「反対運動及び訴訟等」とありまして、アンダーラインの引いているところを読みますと、「運営権設定対象施設の存在自体に対する近隣住民の反対運動や訴訟等により、事業期間の変更、本事業の中断・延期及び運営権設定対象施設の物理的破損等が発生した場合であって、かかる事象に起因して運営権者に増加費用又は損害が発生した場合、市は、当該増加費用又は損害について補償するものとする。」となっているわけであります。
 内閣府は、こういった事例を承知しておられますか。

○石崎政府参考人 今御指摘いただきましたとおり、この浜松市の公共下水道終末処理場運営事業の契約書におきまして、契約書の五十条に、今御指摘いただきましたように、運営権の設定対象施設の存在自体に対する近隣住民の反対運動、訴訟等によりこの事業計画の変更その他が起きましたときには、市が当該増加費用又は損害について補償するものとすると条文があることは承知してございます。

○塩川委員 こういうコンセッションの施設ができる、その運営のあり方の問題をめぐって、例えばそれが中断とか延期をするというような場合があったときに、住民の声で、そういうことというのは当然あり得るわけですよ。そういった際に、本来対象となるべき事業者の責任ではなくて市の方にツケ回しをする、こういう規定というのが本当にまかり通っていいのかと率直に思うわけですね。
 こういった契約項目を設けているようなPFI契約というのは、ほかにもあるんですか。

○石崎政府参考人 他の契約事例をつぶさに把握しているわけではございませんが、施設本体を設置し運営すること自体に直接起因して、要するに、その事業の運営とかでなく、施設本体自体の原因に起因して近隣対策が必要となった場合に自治体が負担するとされている例はほかにもあるというふうには認識してございます。

○塩川委員 後でそういう事例も紹介してもらいたいと思いますけれども。
 大臣にお尋ねします。
 やはり、いろいろな施設をつくる際に、住民の皆さんのいろいろな意見があるわけですよ。そういった際に、ある意味、こういう形で、コンセッション方式でやるという場合であっても、当然のことながら、その際に市が責任を持つのは当然ですけれども、でも、当該事業者が進めるわけですから、その当該事業者のさまざまな責任を市の方にツケ回しをするというやり方というのは、住民の要求に背を向けるPFI事業者の姿勢をいわば容認するものということでは極めて重大だと思いますが、大臣の率直な受けとめをお聞きしたい。

○梶山国務大臣 コンセッション事業は、施設を公共が所有した上で、官と民が役割分担をしつつ行うものであります。
 事業の実施に際して生じるリスクや損害については、管理者側と民間事業者の間でどのように分担をしていくかについて、当事者同士の契約で決まっていくものでありまして、これまでの議論でも、いろいろなリスクがあるということを、やりとりをしてきたわけでありますが、浜松市の下水道コンセッションの実施契約書によると、御指摘の点については、運営権設定対象施設の、先ほど来申し上げていますけれども、存在自体そのもの、施設そのものに対する近隣住民の反対運動や訴訟等の場合について規定されていることから、施設の所有者である浜松市がリスクを負うことについても一概に否定をできるものではないと考えております。

○塩川委員 いや、実際、リスクは自治体に、それでもうけは事業者にといった形では、そもそも、やはりこのあり方そのものが問われると率直に言わざるを得ません。
 PFI事業というのが住民や議会への情報開示を後退させて、市議会と住民による行政監視を損なうものとなっている事例は今取り上げたところですし、PFI事業者の利益を優先して住民要求に背を向けるものとなっているという点で、住民自治、地方自治の障害となっているということを言わざるを得ません。
 もう一つ指摘をしたいのが、地元企業参入との、PFI事業の関係であります。
 PFI事業が地元企業参入の妨げになるという懸念の声があります。先ほどの西尾市のPFI事業においても紹介しましたように、建設工事は地元企業と言っていたのに、実際には、西尾市の事業者ではなくて愛知県内の事業者が、地元企業だといって名古屋市の大手事業者が受注することになっていた。これまで公共事業を請け負ってきた市内業者からも反対の声が上がっていると聞いております。
 資料の四枚目をごらんいただきたいんですが、これは、浜松市上下水道部が作成をしました、浜松市水道事業へのコンセッション導入可能性調査業務報告書であります。
 この導入可能性調査は、内閣府の上下水道コンセッション事業の推進に資する支援措置に基づき、国の全額補助で実施をされたものと承知しておりますが、そのとおりですか。

○石崎政府参考人 御指摘のとおりでございます。

○塩川委員 国が全部お金を出してつくった、その報告書ということになるわけです。
 アンダーラインを引いたところを見ていただきますと、この報告書の「コンセッション方式実施における利点、課題」を見ると、「経営・料金」の項目で、「利点」として、「単年度予算主義など制約がある公共調達ルールから、民間の調達ルールで行うこととなるため、調達の自由度が拡がり、調達に関する工数や経費(発注価額)の低減に繋がる。」と述べています。これは、コストダウンになるという利点として述べているわけですけれども。
 しかし、それぞれ自治体においては、国もそうですけれども、官公需法というのがあって、官公需法に基づき、中小企業への発注を優先するというスキームというのはつくっているわけですよね。そういう取組を行っている地方自治体も多数あるわけであります。
 そうしますと、こういったことをメリットとしているということになると、官公需法に基づく地元中小企業への優先発注といった自治体独自の地域振興策とそごが生じる、こういうことになりはしませんか。

○石崎政府参考人 どのような形で地元企業に対して配慮していくかという、各公共団体でいろいろなことをお考えいただいているというふうに認識してございます。
 PPP、PFI事業自体も、幅広い分野や地域に根づくためには、また、それぞれの地域に合った事業の展開を図るためには、地域の町づくりを担う地域の企業、金融機関がどのように関与していくか、よく検討することが必要だと認識してございます。
 このため、これまで実施されているPPP、PFI事業においては、地元事業者が参画しやすくするための取組として、地方公共団体の判断により、事業者選定に当たって、例えば、代表企業に市内工事の受注実績があることを義務づけたり、構成員に市内企業を含むことを義務づけ又は加点したり、地元企業の活用に関する提案を採点上有利に扱う手法を実施するなどの例があるというふうに承知してございます。
 このような取組につきましては、内閣府においても、公共団体や地域の民間事業者が集まる会議の場等を通じて周知を行ってございます。

○塩川委員 いや、でも、実際にこういったスキームを利点としている以上は、地元中小企業への発注というのはこれに逆行するものというふうにならざるを得ない。
 そういった懸念もここでは指摘をしているわけで、お隣の「課題」のところを見ていただくと、アンダーラインを引いたところにありますように、「公共事業を担う以上、民間事業者自身の業務の繋がり(受発注関係者の企業体としての安定)のみを考えるのではなく、広く公共事業全体の安定性・継続性を視野に入れた業務への取組み姿勢の醸成が必要となる。」「地元事業者とのネットワーク形成の方策を検討する必要がある。」。
 つまり、外からPFI事業者が入ってきますといったときにどうするのかということが課題となっているということで、つまり、PFI事業者が外から自分の系列、下請企業を連れてきて、これまで業務を担ってきた地元事業者を排除することになれば、安定的、継続的な水道事業への障害となる懸念を指摘をしている。
 これは非常にもっともな指摘だと思うんですが、大臣もそう思われますか。

○梶山国務大臣 委員御指摘のとおり、もっともな指摘だと思っております。
 このコンセッションを進めていく上で、例えば水道の件でありますけれども、公益性、特に、安全、安定供給、料金ということを考えなければならないということと、一方で、今度は受注側でありますけれども、まずは大きな企業に関してはリスクの分担の、先ほど来の議論があると思います。あとは、地元の企業がこれまでどおりしっかりと地域のインフラ維持のために受注ができるかどうかということになるかと思いますので、そういった点も含めて、災害協定等を結ぶとかさまざまな支援の協力なども含めて、総合加点方式であるとかそういったことも含めて、ネットワークの形成に努力をしてもらいたいと考えているところであります。
 そういったことも含めて、それぞれのコンセッション事業についてしっかりと応援をしてまいりたいと思っております。

○塩川委員 もっともな指摘という話がありました。
 ただ、浜松市では、既に下水道事業においてヴェオリアが参入をしております。現場の話で聞きますと、地元業者の仕事というのは、設備の据置きとか植栽の植えかえとかいう話で、管路について入れないという話なんかも聞いています。
 資料の五枚目をごらんいただきたいんですが、この同じ報告書で「想定されるリスクと対応方針案」のところがあります。「運営権者に起因するリスク」ということで、線の引いてあるところを見ていただくと、「地元事業者の経営困難」と。
 つまり、先ほど言ったように、大手が入ってきて、外から自分の下請とか系列を連れてくるような場合に地元の事業者の仕事が減ってしまうという意味で、そのために、「運営権者の発注選別や過度のコスト削減要求により地元事業者の経営が悪化した場合」という想定をしている表になっています。
 これを見ますと、結局、運営権者に起因するリスクなんだけれども、この負担はどちらがとるのかというと、市の方になっているんですよ。これは先ほどもちょっと指摘をしたことですけれども、運営権者に起因するリスクなのに、そのリスクが市の負担となっているというのはおかしいんじゃないですか。どうですか、大臣。

○石崎政府参考人 これは浜松市の水道事業ということで、要するに、現在、これから検討していくという事業、下水道事業じゃございませんで、これから検討していく水道事業の導入可能性調査の中での検討でございますので、この報告書を踏まえて浜松市がどのように検討するかというのはまさしくこれからの御判断、浜松市の御判断なんだろうというふうに考えてございます。

○塩川委員 さっき大臣が、安定的、継続的な水道事業の障害となるという指摘については、もっともだというお話をされました。
 だけれども、ここにあるようなリスク分担の話にしますと、結局は、地元でこれまでずっと取り組んでこられた、そういった事業者が排除されるような場合についても、それはもうPFI事業者の責任でなくて市の方で受け持ってくださいよ、リスクを負担してくださいという話というのは、これは通る話じゃないなと率直に思うんです。こういう枠組みで検討を進めるという話になるということになると、これは重大な事態につながるんじゃないのか。
 浜松市は南海地震など大規模災害の備えが必要であり、その際に誰がライフラインの復旧を担うかといえば、地元の事業者の方であります。地元事業者を排除することになりかねない、こういったPFI事業ということでは、安定的、継続的な水道事業の障害にやはりなるんじゃありませんか。

○梶山国務大臣 これは、下水道ではなくて上水道に関して今検討をしているということでありまして、市も十分その点は意識していると私自身は聞いております。
 国内企業が、事業の中心となる企業として参入すること、中心となる企業と連携して事業を実施する協力会社に参入することは、国内にコンセッション方式を広く用いるために、これからも先例として非常に重要なことであると思っております。そのために、地元に密着した事業の提案を行った事業グループを高く評価するなど、国内企業の参加を促す工夫は有効と考えられております。
 事業者選定に当たっては、地元企業の参画、地域住民雇用を評価項目に加えて審査を行った結果、地元企業を構成員に含むグループが選定をされているということであります。
 内閣府では、このような取組事例の周知を積極的に行うとともに、地域の関係者が集う地域プラットホームの形成を支援することにより、より多くの国内企業また地元企業がマーケットに参加できるように後押しをしてまいりたいということでして、これに関しては今検討を行っているということでして、先ほど来、繰り返しになりますが、市も十分に意識した上でこういった話合いも進められていると聞いております。

○塩川委員 もちろん、これは上水道の話ですから、検討ということでの報告書になっているわけですけれども、既に下水道ではヴェオリアが参入しているわけで、上下水道一体にという話なんかもいろいろ出ているわけですよ。
 そういった際に、この報告書そのものが、やはり地元企業が排除されることになるんじゃないかという懸念を指摘する。それはもっともだとおっしゃる。それはやはり、安定的、継続的な水道事業という観点では重要だと大臣もおっしゃるわけですから。
 しかし、それにそぐわないような方向に行くんじゃないのかというのが、やはりこのPFI事業の問題点ではないのかということを指摘しているわけであります。
 要は、PFI事業そのものが、地元事業者へのこれまでの協力を行っていく仕組みを大きく変えるものになってしまうのだというのは、資料の六枚目に紹介をいたしましたが、日本PFI・PPP協会が作成していますPFI年鑑二〇一七年版に掲載している「PFI受注 選定代表企業ランキング」に基づき、グラフをつくりました。
 左の表にありますように、大林や大成、清水、東洋食品、鹿島等々、ランキング上位というのは、大手ゼネコンを始めとした大企業ばかりであります。上位十社だけで、まさに全国のPFI事業の選定の数にすると三五%、三分の一を超えるということになっています。
 大臣、お尋ねしますけれども、結局PFI事業というのは、PFIという形態で一括、包括的にということになれば、結果として、大手の参入を促進をし地元企業を排除する、こういう仕組みにならざるを得ないんじゃないかと考えますが、いかがですか。

○梶山国務大臣 ノウハウという点で、大手企業も評価をされるべき点があると私は思っております。
 ただ、この中で全てが地方を除外した形になっているかということは、一つ一つまた詳細に見ていかなければならないと思いますが、コンソーシアムを組んでかなりの数の議論をしているということも含めて、地元の理解も得られなければこういったことはなかなか進められないということもあり、そういった点に留意をしながら、これからも進めてまいりたいと思っております。

○塩川委員 地元の理解といいながら、西尾市の事例とか浜松市の事例を紹介したように、地元の声や住民の要求に背を向けるようなスキームが出ているという点でも、私は、率直に言って、PFIというあり方そのものが問われている制度だということを言わざるを得ません。
 こういったPFI事業は、おととい質問したように、自治体の方も一回やって懲りたという状況のときに、国の方が、いや、もっと検討してくれ、優先的に検討してくれ、こういうことで旗を振っている。いわば国が主導して推進しているのがPFIだということになるわけで、自治体に強く要請をし、優遇措置を次から次へと打ち出さないと成り立たないのがPFI事業ということです。
 国交省にお尋ねしますが、上水道のコンセッションのモデル事業をつくるということですけれども、浜松市の上下水道次長という人は国交省からの出向者ではありませんか。

○石田政府参考人 お答えさせていただきます。
 市の方の上下水道部次長につきましては、当省の水管理・国土保全局の下水道部下水道企画課の課長補佐をした者が、現在出向してその任についております。

○塩川委員 国交省の下水道部の水道企画課課長補佐を務めた方が、今浜松市で旗を振っているということですよね。
 国交省が進める新下水道ビジョン加速戦略というのがありますが、重点項目の第一に官民連携の推進を挙げております。トップセールスの継続的な実施ということになっているわけですが、ここにあるように、国が金も出して人も出して、音頭をとって推進しなければ成り立たないのがPFI事業じゃないのか。浜松市は国が進める上下水道PFI事業のための実験場じゃないといった声なんかも上がっているわけであります。
 大臣、ちょっと率直に、こういった、結局、人まで送って進めているのがPFIと。これは自治体にとってどうなのかと率直に思うんですが。

○梶山国務大臣 いろいろな形で支援をしております。人的な支援、これは多分、PFIを進めるという決定のもとに、こういう人材が欲しいという場合もあるかと思います。そして、財政面の支援もそうですし、情報面での支援、技術面での支援ということもさせていただいております。
 いずれ、やはりその自治体においても財政上のリスクを、ずっと将来のリスクというものを考えながら、取り入れるかどうかというのは自治体の判断であります。そういった中で、今、導入する時点でどれだけの支援ができるかということを国が考えながらしているということであります。

○塩川委員 国が旗を振らないと進まないというのが今の率直な現状であって、地方自治を侵害し、地元企業の参入を妨げ、大企業が地方の仕事を奪うことにつながるのがPFI事業です。
 今まで以上に国が自治体にPFI推進を押しつけて、水道の公共性や公益性を侵害し、住民サービスの後退につながるPFI事業を推進するものとなる本改正案は認められないということを述べて、質問を終わります。


「議事録」(反対討論)

<第196通常国会 2018年05月11日 内閣委員会 15号>

○塩川委員 私は、日本共産党を代表して、PFI法改正案に対して反対の討論を行います。
 きょうの質疑でも明らかにしたように、PFI事業は、地方自治を侵害をし、地元企業の参入を妨げ、大企業が地方の仕事を奪うことにつながり、住民サービスの後退につながるものであることを強く指摘をいたしました。
 本法案について、反対理由の第一は、政府が地方自治体に対し、より一層PFI推進を押しつける仕組みをつくるものだからです。
 新たに法定化されるPFI事業に関するワンストップ窓口と、内閣総理大臣が公共施設等の管理者に対しPFI事業に関する報告の徴収と勧告を行える仕組みの創設で、政府が窓口で事業者から要望を聞き取り、それをもとに政府が自治体に回答を迫ることが可能となります。
 また、本案によって、基本方針に新たな事項が追加されることになりますが、この内容について、内閣府は、地方公共団体に対しPFI事業を優先的に検討するよう求める趣旨だと説明しています。
 本案は、政府の自治体へのPFI押しつけを強化するもので、住民のための公共サービスをゆがめられる懸念が強いと言わざるを得ません。
 第二の理由は、地方自治法が定める指定管理者としての利用料金と、指定管理者の指定手続規制を緩和し、議会のチェック機能と住民の関与を後退させるものだからです。
 PFIや指定管理者制度は、公共サービスなどを民間事業者が営利目的に行うものであり、その事業が住民全体の福祉につながるかどうかは、議会や住民が自律的に検討することが必要不可欠です。
 こうした観点から、地方自治法では、指定管理者の利用料金の設定には自治体の長の承認を求め、指定管理者の指定手続には議会の議決が必要と定めています。本案はこれを後退させるものであり、反対です。
 第三の理由は、公が責任を持って提供すべき生活の基盤である上下水道に、コンセッション方式を推進するため、国の負担で補償金を免除するものだからです。
 安倍政権は、今国会に提出した水道法改正案で、水道事業におけるコンセッション方式の拡大を狙っており、本案は、上下水道事業においてコンセッション方式を導入する自治体への動機づけとして、国からの貸付金の補償金を免除することで、それを後押しするものです。
 水道事業は、憲法二十五条に基づく国民の生存権、命にかかわるサービスです。民間事業者の営利が優先されるコンセッション方式に適さないことは明らかであり、コンセッション方式の推進は認められません。
 なお、修正案は本案の問題点を解消するものになっていないため、賛成できません。
 以上、討論を終わります。

【内閣委員会】菅長官を追及/愛媛県知事の反論に答えず/真相解明に背

 菅義偉官房長官は、加計学園疑惑をめぐる柳瀬唯夫元首相秘書官の答弁を「真実ではない」と批判した中村時広愛媛県知事のコメントや新たな県の公表文書について「コメントする立場にない」と繰り返し答弁。私は、真相解明に背を向けていると批判しました。

 柳瀬氏は参考人招致された10日、2015年4月2日に官邸で学校法人「加計学園」幹部と面会したと認める一方、同県や今治市職員の同席は「記憶がない」と主張し、同県の面会記録も一部を否定。中村知事は、「(県には面会記録)改ざんの余地はない」「県の信頼を損ねる発言があった」と批判。面会時に交換したという柳瀬氏の名刺や県側の発言メモを新たに公表しました。

 新たな証言や資料により政府への疑念が深まっている。この事態を放置するのか。きちんと答えるべきだ。真相解明に努めるのは政府の当然の責務だ。柳瀬氏の証人喚問、中村知事の参考人招致を求めました。

 菅長官は、内閣官房に同県の面会記録が残されているかについて「調査の結果、確認できなかった」と答弁。学園との面会を繰り返した柳瀬氏への「慎重に行動すべきだった」との指摘には「その通りだと思う」と述べました。

衆議院TV・ビデオライブラリから見る


「議事録」

<第196通常国会 2018年05月11日 内閣委員会 15号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 昨日の柳瀬唯夫元首相秘書官の参考人質疑を踏まえて、菅官房長官、また関係の役所にお尋ねをいたします。
 官房長官、お尋ねしますけれども、きのうの柳瀬氏のさまざまなやりとりを通じて、加計学園側と面会をしたという話がありました。二〇一五年の二月から三月が一回、四月二日が二回、六月の時期に三回目と。もともと会ったのは、二〇一三年五月の総理の別荘、河口湖におけるバーベキューのときに加計の理事長また事務局の方とお会いしたという経緯が述べられたわけであります。
 ですから、いわばそういった、加計学園と繰り返し、官邸で三回も会っている、また、特区関係の面会というのは民間は加計学園だけだといったことも非常に驚きを持って受けとめられたわけで、率直に、加計学園優遇が際立つ、特別扱いが拭い切れないという声というのは当然上がっているわけです。
 このような、特定事業者と繰り返し首相秘書官が面会をする、これはやはり、官邸勤めの人間として、こういう特定の事業者と繰り返し面会をするということは、本来慎重に行うのが普通ではありませんか。率直にお伺いします。

○菅国務大臣 通告になかったものですから、詳細について私は申し上げる立場ではありませんけれども、ただ、慎重にというのは、そうだと思います。

○塩川委員 記者会見でもそういう趣旨でおっしゃっておられたというふうに承知はしております。
 そういった加計学園の特別扱いという問題について、やはり非常に疑問が持たれるということがありますし、加えて、昨日の質疑の中で浮き彫りとなったのが、加計学園との面談について安倍総理に一切報告していなかったということもあったわけであります。
 その点では、安倍総理が加計学園が事業者だということを知った時期がまさに焦点になってきているわけで、私は、その点で、官邸の職員の仕事のあり方として、総理の秘書官としての仕事のあり方として、そういった問題について総理に報告しないということは普通考えられないと思うんですけれども、その点、官房長官はそのように思いませんか。

○菅国務大臣 先ほど梶山担当大臣が阿部委員に対して答えておられましたけれども、それは内容によりけりじゃないでしょうか。

○塩川委員 いや、その点で、この首相秘書官は総理の命を受けて事務を補助するということで、その安倍総理が主導する国家戦略特区、そういう中でも、獣医学部の新設のことについても強調されておられたと。それにかかわる案件について報告しないということはあり得ないんじゃないのかなと率直に思うんですが、いかがですか。

○菅国務大臣 本人は報告していないと言われていたんじゃないでしょうか。

○塩川委員 それが極めて疑念が浮かぶところで、本当のことを語っているのかということがまさに問われてくる問題だということであります。
 あわせて、あのような柳瀬氏の発言を受けて、一方の当事者であります愛媛県側で、中村時広知事が記者会見などで述べておるのも報道されております。
 県職員が作成した面会記録の一部を否定したことについては、県職員は一言一句を漏らさずに報告したい気持ちで、ありのままを書いている、改ざんの余地はない、時折、県の信頼を損ねる発言があったのは残念だというふうに述べておりました。また、県職員三人はメーンテーブルに柳瀬氏側の三人と向かい合って座っていた、柳瀬氏と名刺も交換をし、しっかりと県の立場を発言をしているということで、名刺と発言メモを公表したということであります。
 そうしますと、柳瀬氏の発言と愛媛県側の主張が大きく食い違っているわけです。そういったときに、まさに政府の中心となる官僚の発言と愛媛県側の発言が食い違っているわけで、政府の信頼も問われているといったときに、政府の信頼が問われるような事態をこのまま放置するのかということが問われていると思うんですけれども、その点についてはいかがですか。

○菅国務大臣 県の作成した文書、そして県の発表されたこと、私は承知をしておりませんでした。
 先ほど夕刊を見たわけでありますけれども、そういう中で、そうした地方自治体のことに対して、一つ一つに政府としてコメントする立場ではないと思います。

○塩川委員 いや、でも、そういって大きく食い違っているのを放置するのかということだと思うんですよ。そこが問われているんじゃないですか。
 であれば、やはり政府の方からしっかりと、疑念ということであれば、それを晴らすという積極的な対応こそ必要だと思うんですけれども、そういうことはお考えにならないですか。

○菅国務大臣 詳細について承知していません、きょう国会中でありましたから。
 それで、地方自治体が国に対して一つ一つ、いろいろなことを言ったことについて、そこはコメントはすべきじゃないということを、私、先ほど記者会見でも質問されて、申し上げてきました。

○塩川委員 国側、政府側の元首相秘書官が発言したということに対して、県の方がそれは事実と違うと言ったんですから、まさに出発点は政府の側の発言なんですよ。政府の側の発言に対して県の方がそれは違うと言っているんですから、その違うという点について明らかにするというのは、政府の方にその責任は返ってくるんじゃないですか。政府の方としてきちっと答えるということこそ、筋じゃありませんか。

○菅国務大臣 地方自治体が言われたこと、地方自治体の文書、さらに、きょう、知事がですか、コメントを発出したのは。そうしたことについて、私自身、詳細は承知していませんでした。そして、先ほど、記者会見で質問されるということで、事前レクを受けました。
 そういう中で、政府の立場としてはコメントは差し控えたい、このように申し上げてきたところです。

○塩川委員 もともと経緯を言えば、愛媛県が備忘録として作成をした首相案件という文書が出てきて、その中身について、知事としてはこれを認めるということで、そのことを改めて契機として柳瀬氏の発言が問題となって、昨日の参考人質疑になったわけで、そうしたら、その参考人質疑での柳瀬さんの発言について、やはり事実と違うという話ですから、そういう意味ではやりとりになっているんですよ。
 今度は、やはり改めて、こういった中村知事の対応に対して、政府として責任を持って答えるということに努めるのが今本当に求められているんだと思うんですが、改めていかがですか。

○菅国務大臣 知事が発言をされたことに対して政府の立場でコメントは、やはり控えたいと思います。

○塩川委員 その政府の姿勢のあり方そのものが、政府の信頼を大きく損なうものと言わざるを得ません。
 改めて、柳瀬さんについて事実関係をただすという点での証人喚問は必要だと思いますし、中村知事にもお越しいただいて参考人としてお答えいただく、そういう場をぜひ設けるべきだと思います。
 この点について、委員長、お取り計らいいただきたいと思います。

○山際委員長 後ほど理事会で協議いたします。

○塩川委員 それでは、今やりとりしました愛媛県が作成した首相案件とされる文書についてですけれども、先日のこの委員会で、関連する省、文科省や農水省、厚労省などの調査についての発表がされたときに、内閣官房についてそれを行っていなかった、調査をするという官房長官の答弁がありました。
 内閣官房内の調査はどうなったでしょうか。

○菅国務大臣 さきの委員会において、塩川委員からの御質問に対し、私より、愛媛県が作成したとされる文書の有無について、内閣官房において調査を行う、こう申し上げました。そして、私から、事務の副長官に対して、事務方に対し指示をし確認を行わせましたけれども、御指摘の文書については確認できなかったという報告を受けています。

○塩川委員 確認できなかったというんですけれども、調査の範囲はどういうところになっているんでしょうか。

○原政府参考人 調査を行いましたのが事務方でございますので、私の方からお答え申し上げたいと思います。
 愛媛県作成文書及びそれに伴うメール等の文書が保存されていないかについて、平成二十七年四月からこれまでに国家戦略特区に関連性のある部署に在職した関係のある者に対し、確認調査を行ったところでございます。

○塩川委員 平成二十七年四月以降現在まで、国家戦略特区にかかわる職員。その国家戦略特区にかかわる職員というのはどういう範囲なのかを教えてほしいんですけれども。

○原政府参考人 お答え申し上げます。
 内閣官房副長官補室、それから官邸の関係者ということであり、百名程度ということでございます。

○塩川委員 内閣官房副長官補室、本室と分室もあると思うんですけれども、それは三人の副長官補の全部の本室及び分室ということを言っているのか、それ以外のところ、例えば内閣総務官室ですとか、ちょっと具体的にもう少し説明してください。

○原政府参考人 お答え申し上げます。
 内閣官房副長官補室関係は、補室の本室、それから戦略特区にかかわりがあるということで、広い意味で、まち・ひと・しごと創生本部の事務局、それから日本経済再生総合事務局、それから官邸におきましては、関係の総理秘書官、長官秘書官、それから総理補佐官担当等々でございます。

○塩川委員 総理秘書官、それと官房長官の秘書官もということですね。
 この間、柳瀬氏も説明しておられましたけれども、あの二〇一五年四月二日の際に二人が同席していました、それについては文科省と農水省から出向された内閣官房の職員の方と。それはそういうことだと思うんですけれども、それはそれでいいですか。

○原政府参考人 その方も含まれているということでございます。

○塩川委員 ですから、二〇一五年の四月以降で在籍をしていた文科省、農水省、厚労省からの出向者については確認をしたんですか。

○原政府参考人 お答え申し上げます。
 確認いたしてございます。

○塩川委員 総理秘書官は聞いたということですけれども、その総理秘書官のスタッフについても確認をされたんですか。

○原政府参考人 お答え申し上げます。
 関係する職員については、確認しているところでございます。

○塩川委員 メール等の電子媒体については、個人のファイルとかの確認はされたということですか。

○原政府参考人 お答え申し上げます。
 共有フォルダ等について確認を行っております。なお、個人フォルダについても、本人の承諾を得た上で、確認をしているところでございます。

○塩川委員 例えば、出向された方が内閣官房からもとの省に戻る、大体二年ぐらいでローテーションで戻る、そういう戻っている方についても、今言った対応をされておられるということですか。

○原政府参考人 お答え申し上げます。
 戻った職員についても、確認してございます。

○塩川委員 改めて精査をしたいと思います。
 ないという可能性ももちろんあるわけですけれども、事の次第についてやはり官邸、内閣官房が大きな役割を果たしているということは明らかですから、こういったことについて真相解明に努めるということは政府の当然の責務であります。
 こういった、加計学園の特別扱いが際立っている、首相案件という疑念が拭えない中では、国政私物化が問われているこの問題についての徹底解明が必要だということを申し上げて、質問を終わります。

李克強中国首相の大島議長表敬訪問/共産党を代表して同席

 李克強中国首相が大島議長を表敬訪問。党を代表して同席しました。

 今年は日中友好条約40周年。李首相は「相互理解を深める良い機会。議会間交流、国民的な交流が深まることを願っています」と述べました。

 大島議長は、7月に訪中し、栗戦書全人代常任委員長を訪問することを明らかにしました。