八潮市の道路陥没事故に対して、予備費の支出/工事費用の半分である45億円

 この間、党国会議員団は、八潮市の下水道管破損に伴う道路陥没事故について、下水道事業の大規模化を自治体に押し付けてきた国の責任を追及してきました。水の使用を控えるなど被害を被った流域住民に下水道料金という形で、復旧工事の費用を負担させるのではなく、国が責任をもって財政措置を行うべきだと要求してきました。

 政府は18日、予備費の支出を決定。八潮市の道路陥没事故に対して「緊急下水道管路改築事業」として、工事費用の半分である45億円を充てることとしました。また、30年以上経過した大口径管の全国調査を行い、調査結果を踏まえ緊急改築を行う予算措置もとることになりました。

 伊藤岳参議院議員の予算委での質問などが大きな力を発揮しました。改築だけでなく、修繕にも国費を充てるなど、さらなる改善の取り組みを要求していきます。

【本会議】「能動的サイバー防御法案」審議入り/憲法と国際法踏みにじる

 政府が国民の通信情報を常時監視し、必要と判断すれば警察・自衛隊がサーバーに侵入し、監視し、その機器を使用できなくする「能動的サイバー防御法案」が18日、衆院本会議で審議入りしました。私は、憲法が保障する「通信の秘密」やプライバシー権を侵害し、国際法違反の先制攻撃にあたりうるサイバー攻撃に踏み込むものであり「憲法と国際法を踏みにじる重大な法案だ」と批判しました。

 私は、政府が送受信者の同意なく通信情報を取得できるようにしている点について、「なぜ、政府が個人の通信情報を勝手に取得できるのか」と追及。個人特定をさけるため「非識別化」しても政府の判断で復元可能となっていることなどをあげ、「通信の秘密、プライバシー権の侵害そのものだ」と批判しました。

 石破茂首相は「通信の秘密に対する制約は、必要やむを得ない限度に留まる」と侵害することを認めたうえで「サイバー攻撃を防ぐという高い公共性のため」と正当化しました。

 私は、警察・自衛隊が疑わしいと判断した機器に侵入・監視し、その機器を使用不能にするとされている「アクセス・無害化措置」は、まさにサイバー攻撃であり、これが裁判所の令状なしに可能となることは「警察権の濫用を防止する令状主義を形骸化する」と強調。これを外国のサーバーに行えば、主権侵害となり「違法な先制攻撃とみなされる危険がある」と警告しました。石破首相は「具体的な状況に応じて判断する必要があり、一概にお答えするのは困難」と弁明しました。

 私は、事態のエスカレーションを招き、本格的な武力衝突を引き起こす危険性についても指摘。安保法制などに基づいて、米国が軍事行動を取る相手国に対して、日本が「無害化措置」に踏み切れば、日本の側から戦端を開くことになると警告しました。

 さらに、自衛隊は在日米軍をサイバー攻撃から警護するとしているが、「サイバー攻撃だと判断するのは米国だ。実質的に米軍指揮下で自衛隊がサイバー攻撃を行うことになる」と追及しました。

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以下、本会議質問の全文です。
――――――――――――――――――――――――――
 私は、日本共産党を代表して、いわゆる「能動的サイバー防御」法案について質問します。
 本法案は、安保3文書に基づき、政府が国民の通信情報を常時収集・監視し、サイバー攻撃やその疑いがあると判断すれば、警察・自衛隊がサーバー等に侵入し、監視し、その機器を使用できなくする措置を取ろうとするものです。
 国民の「通信の秘密」やプライバシー権を侵害し、先制攻撃に当たり得るサイバー攻撃に我が国が踏み込むもので、憲法と国際法をふみにじる重大な法案です。
 第一に、「通信の秘密」と「プライバシー権」についてです。
法案は、サイバー攻撃の実態把握のためと言って、送受信者の同意なく、政府が電気通信設備から通信情報をコピーできるとしています。なぜ、個人の通信情報を政府が勝手に取得できるのですか。
 政府は、国内同士の通信は対象ではないとし、国民への権利侵害である通信情報の取得を最小限にとどめるかのように言いますが、海外のサーバーを介する通信は取得・分析の対象となります。検索サービスやSNSをはじめ、インターネット上の通信は国内で完結しないものが多くあります。結局、広範な国民の通信情報が取得されることになるのではありませんか。
 取得した情報はメールアドレスなど個人特定に繋がる情報も含まれているのではありませんか。個人特定を避けるため「非識別化措置」を行うと言いますが、政府の判断で復元可能と規定しており、これは個人情報に当たるのではありませんか。
 さらに、取得した情報は、外国政府など第三者提供も可能です。そもそも個人情報は、必要以上に収集しないこと、目的外利用や第三者提供は事前に本人同意を得ることが大原則です。これらをことごとく無視する重大な法案ではありませんか。また、国民が自らの通信情報の収集・利用を拒否し、消去などを請求する規定はこの法案のどこにあるのですか。
 この法案は、憲法が保障する「通信の秘密」、プライバシー権の侵害そのものではありませんか。
 電気やガス、公共交通、通信などといったインフラ事業者に対し、導入した電子計算機の製品名の届出やインシデント報告を罰則付きで課し、さらに通信情報を政府へと提供させる協定を結びます。協定は同意を前提としていますが、事業者には協議に応じる義務を課しており、実質的な強制ではないですか。提供される情報には、「営業の秘密」も含まれるのではありませんか。
 日米ガイドラインは、自衛隊や在日米軍が利用する重要インフラ・サービスへのサイバー攻撃に日本が主体的に対処することを明記しています。これを具体化し、日米軍事一体化に民間企業・従業員を動員するものではありませんか。
 外国政府への情報提供は、どのような場合を想定しているのですか。サイバー空間における脅威や脆弱性に関する情報を共有することを明記した日米ガイドラインを具体化し、米国、同盟国・同志国に提供するものではありませんか。
 第二に、法案における「アクセス・無害化措置」は、警察・自衛隊が疑わしいと判断した機器に侵入し、監視し、その機器を使用できなくする等の措置を行うものです。まさにサイバー攻撃にあたるのではないですか。
 どうして「アクセス・無害化措置」が、裁判所の令状なしに、第三者機関の承認で可能となるのですか。警察権の濫用を防止する令状主義を形骸化するものではありませんか。
 外国のサーバー等に対しても侵入し、監視し、その機器を使用できなくする等の措置を行うとしていますが、そうした行為は主権侵害にあたるのではありませんか。誤って「アクセス・無害化措置」を行った場合の国家責任は誰がどのようにとるのですか。被害の回復・補償はどうするのですか。
 国際法上の違法性を阻却できるような措置に限って実施すると言いますが、そのような理解は、慣習国際法はおろか、国連の政府専門家会合などにおいても意見は一致していないのではありませんか。
 自国領域での外国政府によるあらゆるサイバー行動を主権侵害とみなす国があるもとで、日本がその国の同意なく、しかもその疑いだけで「アクセス・無害化措置」にふみきれば、違法な先制攻撃とみなされる危険があるのではありませんか。
 外国政府を背景とする主体による高度に組織的・計画的な攻撃が行われた場合には、内閣総理大臣が自衛隊に通信防護措置を命じることができるとしていますが、自衛隊がそのような措置にふみきることが、事態のエスカレーションを招き、本格的な武力衝突を引き起こす危険についてどう認識しているのですか。いわゆるグレーゾーン事態や安保法制に基づく重要影響事態などで、米国が軍事行動をとる相手国に対し日本が無害化措置にふみきれば、日本の側から戦端を開くことになるのではありませんか。
 自衛隊が在日米軍をサイバー攻撃から警護するとしていますが、サイバー攻撃だと判断するのは米軍ではないですか。米軍の判断を基に自衛隊が無害化措置を行うことになり、実質的に米軍指揮下で自衛隊がサイバー攻撃を行うことになるのではありませんか。断じて容認できません。
 以上、質問を終わります。


サイバー法案審議入り/憲法と国際法踏みにじる/塩川氏が批判/衆院本会議

「しんぶん赤旗」3月19日・1面より

 政府が国民の通信情報を常時監視し、必要と判断すれば警察・自衛隊がサーバーに侵入・監視し、その機器を使用できなくする「能動的サイバー防御法案」が18日、衆院本会議で審議入りしました。日本共産党の塩川鉄也議員は、憲法が保障する「通信の秘密」やプライバシー権を侵害し、国際法違反の先制攻撃に当たり得るサイバー攻撃に踏み込むものであり「憲法と国際法を踏みにじる重大な法案だ」と批判しました。(質問要旨4面)

 塩川氏は、政府が送受信者の同意なく通信情報を取得できるようにしている点について、「個人の通信情報をなぜ勝手に取得できるのか」と追及。個人情報を避けるため「非識別化」しても政府の判断で復元可能となっていることなどをあげ、「通信の秘密、プライバシー権の侵害そのものだ」と批判しました。

 石破茂首相は「『通信の秘密』に対する制約は必要やむを得ない限度にとどまる」と、侵害することを認めた上で、「サイバー攻撃を防ぐという高い公共性のため」などとして正当化しました。

 塩川氏は、警察・自衛隊が疑わしいと判断した機器に侵入・監視し、その機器を使用不能にするとされている「アクセス・無害化措置」は、まさにサイバー攻撃であり、これが裁判所の令状なしに可能となることは「警察権の乱用を防止する令状主義を形骸化する」と指摘。これを外国のサーバーに行えば主権侵害となり「違法な先制攻撃とみなされる危険がある」と警告しました。首相は「具体的な状況に応じて判断する必要があり、一概にお答えするのは困難」と弁明しました。

 塩川氏は、事態のエスカレーションを招き、本格的な武力衝突を引き起こす危険性についても指摘。安保法制などに基づいて、米国が軍事行動をとる相手国に対する「無害化」措置に踏み切れば、日本の側から戦端を開くことになると警告しました。

 さらに、自衛隊は在日米軍をサイバー攻撃から警護するとしているが、「サイバー攻撃だと判断するのは米国だ。実質的に米軍指揮下で自衛隊がサイバー攻撃を行うことになる」と追及しました。


衆院本会議/能動的サイバー防御法案/塩川議員の質問(要旨)

「しんぶん赤旗」3月19日・4面より

 日本共産党の塩川鉄也議員が18日の衆院本会議で行った能動的サイバー防御法案に対する質問(要旨)は次の通りです。

 本法案は、安保3文書に基づき政府が国民の通信情報を常時収集・監視し、サイバー攻撃やその疑いがあると判断すれば、警察・自衛隊がサーバー等に侵入し、監視し、その機器を使用できなくする措置を取るものです。国民の「通信の秘密」やプライバシー権を侵害し、先制攻撃に当たり得るサイバー攻撃にわが国が踏み込むもので、憲法と国際法を踏みにじる重大な法案です。

 第一に、「通信の秘密」と「プライバシー権」についてです。同法案は、送受信者の同意なく、政府が電気通信設備から通信情報をコピーできるとしています。政府は国内同士の通信は対象外としますが、海外のサーバーを介する通信は取得・分析の対象としています。検索サービスやSNSなどインターネット上の通信は国内で完結しないものが多く、結局広範な国民の通信情報が取得されることになるではありませんか。

 取得した情報には個人情報も含まれるのではありませんか。そして、外国政府など第三者への提供も可能です。必要以上に収集せず、目的外利用や第三者提供は事前に本人同意を得るという個人情報保護の大原則をことごとく無視するものです。国民が自らの通信情報の収集・利用を拒否し、消去などを請求する規定はどこにあるのか。通信の秘密、プライバシー権の侵害そのものではありませんか。

 インフラ事業者などに対し、通信情報を政府へと提供させる協定を結びます。事業者に協議に応じる義務を課しており、実質的な強制ではないですか。

 日本と米国がサイバー空間における脅威に関する情報共有を明記した日米ガイドラインを具体化し、米国などに取得した情報を提供するものではありませんか。

 第二に、「アクセス・無害化措置」は、警察・自衛隊が機器に侵入し、監視し、その機器を使用できなくする等の措置を行うものです。まさにサイバー攻撃にあたるのではないですか。外国のサーバー等も対象としており、日本がその国の同意なく「アクセス・無害化措置」に踏みきれば、違法な先制攻撃とみなされるのではありませんか。

 外国政府を背景とする主体による攻撃には、内閣総理大臣が自衛隊に通信防護措置を命じるとしますが、自衛隊がそのような措置に踏み出すことが、事態の悪化を招き、本格的な武力衝突を引き起こす危険についてどう認識していますか。安保法制に基づく重要影響事態などで、米国が軍事行動をとる相手国に対し日本が無害化措置に踏みきれば、日本から戦端を開くことになるのではありませんか。自衛隊が在日米軍をサイバー攻撃から警護するとしていますが、米軍の判断を基に自衛隊が無害化措置を行うことになり、実質的に米軍指揮下で自衛隊がサイバー攻撃を行うことになるのではありませんか。断じて容認できません。


2025とくほう・特報/能動的サイバー防御法案/違憲で危険 廃案を

「しんぶん赤旗」3月29日・3面より

 衆院で審議中の能動的サイバー防御法案。個人情報の監視・収集による憲法21条が保障する「通信の秘密」の侵害、疑わしい外国サーバーに侵入し無害化する国際法違反の先制攻撃、それを担う警察や自衛隊の権限拡大など、問題だらけの姿が浮かび上がっています。

「通信の秘密」侵害する

 18日の衆院本会議で日本共産党の塩川鉄也議員は、この法案が送受信者の同意なく広範な国民の通信情報を監視する仕組みで、個人情報の中身を分からないよう非識別化(IPアドレスなど機械的情報)にしても政府の判断で復元できると指摘し、「通信の秘密、プライバシー権の侵害そのもの」と追及しました。石破茂首相は「通信の秘密に対する制約が公共の福祉の観点から必要やむを得ない限度にとどまる」と侵害を認めつつ正当化しました。

 法案は、サイバー被害防止の必要性を問わず、電気・ガス・水道・鉄道・航空などの基幹インフラ事業者や電気通信事業者が政府と協定(当事者協定)を結べば、事業者と通信する市民の情報を政府に提供する仕組みになっています。

 斎藤裕弁護士(日弁連前副会長)は「通信の秘密を制限する必要性がない場合にも結べる当事者協定に基づいて個人情報を提供できる制度は、憲法21条違反といえます」と指摘します。

 さらに「全ての通信情報利用について、被害防止の目的以外には通信情報は利用できないが、サイバー防御のための捜査や起訴などでの利用は禁止されていません。裁判所の令状なしで通信情報を捜査に利用することになると、憲法35条の令状主義に違反します」と批判します。

令状なしの警察権拡大

 侵入・無害化措置を実行するため、警察官職務執行法(警職法)を改定します。「警職法は職務質問などあくまで任意で強制捜査に至らない職務を定めたもので、令状なしでやれるわけです。その改定によってサイバー空間を監視して侵入・無害化するという強制的な権限を警察に与えるやり方には大いなる疑問があります」と斎藤さん。

 「警察の権限を無限に拡大する法案で、かなり危機感があります」。大垣警察署市民監視違憲訴訟をたたかった原告の近藤ゆり子さんは語ります。この訴訟は公安警察が風力発電事業に反対して市民運動を行う市民の個人情報を長期に収集し、民間企業に提供していた事件です。名古屋高裁は昨年9月、表現の自由やプライバシー権を侵害する違憲行為だとする原告の訴えを認めて情報の抹消と損害賠償を岐阜県に命じ、判決は確定しています。

 近藤さんが知人に風力発電事業について「知らん顔はできないのでは、と感じています」とメールした内容を把握した大垣警察がその翌日、「近藤が動き出す気配がある」と民間企業に電話連絡したことを裁判所は事実認定しています。

 近藤さんは「公安警察は裁判所がどういう規則に基づいてやっているのかと聞いても沈黙を通しました。まさに無法地帯です。私たちが警察を監視し規制する法律をつくる運動をしようと思っていた矢先に真逆の法案がでてきたことに正直驚きました」と話します。

米軍と一体の先制攻撃

 警察や自衛隊が常時監視に基づいて疑わしいと判断した外国のサーバーに侵入して未然に使用不能にする措置は、相手から攻撃を受けていないのに行う先制攻撃と同じで、国際法違反の主権侵害です。

 この措置について石破首相は「仮にサーバー所在国の領域主権の侵害に当たり得るとしても、その違法性を阻却できる場合がある」と答弁しました。主権侵害の違法性を阻却できる「緊急避難の法理」には「急迫性」「唯一の手段」「重大な損害をもたらさない」という要件が必要です。それは首相も認めています。

 斎藤さんは「問題はそのような要件を踏まえた表現が条文にないことです。急迫性についていえば“そのまま放置すれば重大な危害が発生する”というのが条文の表現で、『そのまま』なら1年後かも10年後かもしれず、急迫性の要件を満たしていません。これでは要件を満たさない無害化措置が行われるリスクがあります」と指摘します。

 これらの措置は第三者機関の承認を得ることになっています。しかし、「承認を得るいとまがない」場合は事後通知でよいとされ、形骸化しかねません。

 法案は2022年末に閣議決定された国家安全保障戦略など安保3文書に基づき、「サイバー安全保障分野での対応能力を欧米主要国と同等以上に向上」することを目指しています。防衛力整備計画ではサイバー専門部隊4千人、サイバー要員2万人と体制の大幅な拡充を掲げています。

 背景には米国の要求があります。デニス・ブレア元米国家情報長官は「サイバー戦において米国の同盟国の中で最も弱いのは日本」で、サイバー空間で諜報活動を行う権限を持っていない(『正論』同年6月号)として能動的サイバー防御を求めてきたのです。

 法案には、在日米軍のコンピューターを守るための侵入・無害化措置をとる権限を自衛隊に与えています。衆院内閣委員会で防衛省は米国が使用するコンピューターについて「わが国の防衛力を構成する重要な物的手段に相当すると評価し、警護の対象にする」と答弁しました。衆院本会議で塩川議員は「判断するのは米軍」「実質的に米軍の指揮下で自衛隊がサイバー攻撃を行うことになるのではないか」とただしました。

外交交渉 何より不可欠

 井原聰東北大学名誉教授は「自衛隊と米軍が情報を共有し、米軍の指揮下で一体となって対応することになると、日本の情報が全部筒抜けになる危険がある。先制攻撃を受けた国が反撃してくる懸念もある。サイバー防御は必要ですが、こんな危険な法案ではなく、今の法体系に基づく取り組みで不備が起きたら、政府が支援を進めることが必要で、何よりも外交交渉が不可欠です」と語ります。

 衆院の審議ではサイバー人材の育成と確保を求める質問が相次ぎ、サイバー安全保障分野での対応能力の向上に向けた有識者会議でもその重要性が強調されました。「これは法律をつくらなくてもできるはずなのに、首相も検討をいうだけで具体策はありません。サイバー防御には人材育成が決定的で、それをやらずにわざわざ人権や主権を侵害する法案を通そうというのはおかしい」と斎藤さん。

 「警察に強大な権限を与えて市民を監視し他国にサイバー攻撃を仕掛ける法案は戦争準備のためです。なんとしても食い止め、廃案にしたい」。近藤さんの言葉に力がこもります。


「議事録」

第217回通常国会 令和7年3月18日(火曜日)本会議 第9号

○塩川鉄也君 私は、日本共産党を代表して、いわゆる能動的サイバー防御法案について質問します。(拍手)

 本法案は、安保三文書に基づき、政府が国民の通信情報を常時収集、監視し、サイバー攻撃やその疑いがあると判断すれば、警察、自衛隊がサーバー等に侵入し、監視し、その機器を使用できなくする措置を取ろうとするものです。国民の通信の秘密やプライバシー権を侵害をし、先制攻撃に当たり得るサイバー攻撃に我が国が踏み込むもので、憲法と国際法を踏みにじる重大な法案であります。

 第一に、通信の秘密とプライバシー権についてです。

 法案は、サイバー攻撃の実態把握のためといって、送受信者の同意なく、政府が電気通信設備から通信情報をコピーできるとしています。なぜ、個人の通信情報を政府が勝手に取得できるのですか。

 政府は、国内同士の通信は対象ではないとし、国民への権利侵害である通信情報の取得を最小限にとどめるかのように言いますが、海外のサーバーを介する通信は取得、分析の対象となります。検索サービスやSNSを始め、インターネット上の通信は国内で完結しないものが多くあります。結局、広範な国民の通信情報が取得されることになるのではありませんか。

 取得した情報は、メールアドレスなど個人特定につながる情報も含まれているのではありませんか。個人特定を避けるため非識別化措置を行うといいますが、政府の判断で復元可能と規定しており、これは個人情報に当たるのではありませんか。

 さらに、取得した情報は、外国政府など第三者提供も可能です。そもそも、個人情報は、必要以上に収集しないこと、目的外利用や第三者提供は事前に本人同意を得ることが大原則です。これらをことごとく無視する重大な法案ではありませんか。また、国民が自らの通信情報の収集、利用を拒否し、消去などを請求する規定は、この法案のどこにあるのですか。

 この法案は、憲法が保障する通信の秘密、プライバシー権の侵害そのものではありませんか。

 電気やガス、公共交通、通信などといったインフラ事業者に対し、導入した電子計算機の製品名の届出やインシデント報告を罰則つきで課し、さらに、通信情報を政府へと提供させる協定を結びます。協定は同意を前提としていますが、事業者には協議に応じる義務を課しており、実質的な強制ではないですか。提供される情報には、営業の秘密も含まれるのではありませんか。

 日米ガイドラインは、自衛隊や在日米軍が利用する重要インフラ、サービスへのサイバー攻撃に日本が主体的に対処することを明記しています。これを具体化し、日米軍事一体化に民間企業、従業員を動員するものではありませんか。

 外国政府への情報提供は、どのような場合を想定しているのですか。サイバー空間における脅威や脆弱性に関する情報を共有することを明記した日米ガイドラインを具体化をし、米国、同盟国、同志国に提供するものではありませんか。

 第二に、法案におけるアクセス・無害化措置は、警察、自衛隊が疑わしいと判断した機器に侵入し、監視し、その機器を使用できなくする等の措置を行うものです。まさにサイバー攻撃に当たるのではないですか。

 どうしてアクセス・無害化措置が、裁判所の令状なしに、第三者機関の承認で可能となるのですか。警察権の濫用を防止する令状主義を形骸化するものではありませんか。

 外国のサーバー等に対しても侵入し、監視し、その機器を使用できなくする等の措置を行うとしていますが、そうした行為は主権侵害に当たるのではありませんか。誤ってアクセス・無害化措置を行った場合の国家責任は、誰がどのように取るのですか。被害の回復、補償はどうするのですか。

 国際法上の違法性を阻却できるような措置に限って実施するといいますが、そのような理解は、慣習国際法はおろか、国連の政府専門家会合などにおいても意見は一致していないのではありませんか。

 自国領域での外国政府によるあらゆるサイバー行動を主権侵害とみなす国がある下で、日本がその国の同意なく、しかも、その疑いだけでアクセス・無害化措置に踏み切れば、違法な先制攻撃とみなされる危険があるのではありませんか。

 外国政府を背景とする主体による高度に組織的、計画的な攻撃が行われた場合には、内閣総理大臣が自衛隊に通信防護措置を命じることができるとしていますが、自衛隊がそのような措置に踏み切ることが、事態のエスカレーションを招き、本格的な武力衝突を引き起こす危険について、どう認識しているのですか。いわゆるグレーゾーン事態や安保法制に基づく重要影響事態などで、米国が軍事行動を取る相手国に対し日本が無害化措置に踏み切れば、日本の側から戦端を開くことになるのではありませんか。

 自衛隊が在日米軍をサイバー攻撃から警護するとしていますが、サイバー攻撃だと判断するのは米軍ではないでしょうか。米軍の判断を基に自衛隊が無害化措置を行うことになり、実質的に米軍指揮下で自衛隊がサイバー攻撃を行うことになるのではありませんか。断じて容認できません。

 以上、質問を終わります。(拍手)

    〔内閣総理大臣石破茂君登壇〕

○内閣総理大臣(石破茂君) 塩川鉄也議員の御質問にお答えいたします。

 サイバー対処能力強化法案に基づく通信情報の取得、分析と通信の秘密との関係についてでございます。

 サイバー対処能力強化法案に基づく通信情報の利用は、通信当事者の同意によらない場合であっても、国、基幹インフラ事業者等の重要な機能がサイバー攻撃により損なわれることを防ぐという高い公益性があること、他の方法によっては実態の把握、分析が著しく困難である場合に限って通信情報の利用を行うこと、一定の機械的な情報のみを自動的な方法により選別して分析すること、独立性の高いサイバー通信情報監理委員会が審査や検査を行うことなどから、通信の秘密に対する制約が公共の福祉の観点から必要やむを得ない限度にとどまる制度としております。

 なお、分析の対象となる機械的な情報が個人情報に該当する場合には、外部提供の制限を含めて、個人情報保護法の規定も適切に遵守する必要があり、法令の規定に基づき、適切に業務を行ってまいります。

 基幹インフラ事業者との協定等についてでございますが、サイバー対処能力強化法案では、基幹インフラ事業者との間で行う協定の締結について、当事者の一方が協議を求めた場合には、正当な理由がない限り、その相手方は協議に応じなければならないとしておりますが、協定の締結はあくまでも任意でございまして、政府が基幹インフラ事業者に対して協定の締結を強制することはございません。

 また、この法案では、基幹インフラ事業者に対し、一定の電子計算機を導入した場合の届出や、サイバーセキュリティーインシデントが発生した場合の報告を義務づけることといたしており、これらの中に事業者の営業秘密に該当する情報が含まれ得ることは否定できませんが、この法案では、同時に、政府が取得した情報に係る安全管理措置を講じなければならないことや、関係業務に従事する職員等の守秘義務についても規定をいたしておりまして、守秘義務に違反した場合の罰則につきましては、国家公務員法の守秘義務規定の違反よりも重い罰則を定めることといたしております。

 さらに、協定に基づき取得した通信情報やインシデント報告等を分析した情報を政府からほかの企業等に提供する際には、営業秘密に該当する情報を削除するなど、事業者の権利利益に十分配慮をいたしてまいります。

 今般の法制と日米ガイドラインの関係についてでございますが、サイバーセキュリティーは日米同盟の基盤の一つでございますが、サイバー対処能力強化法案及び整備法案は、国家安全保障戦略を踏まえ、我が国全体のサイバーセキュリティーの強化を目的として我が国として主体的に判断して整備するものであり、日米ガイドラインを具体化したものではなく、日米軍事一体化に民間企業、従業員を動員するものではございません。

 また、サイバー対処能力強化法案の規定により、政府が取得した通信情報を外国政府又は国際機関に提供することができるのは、我が国に対する一定の重大なサイバー攻撃による被害を防止する目的の達成のために必要があると認めるときに限定されており、その必要性を、その都度、主体的に判断をいたしてまいります。

 アクセス・無害化措置といわゆるサイバー攻撃との関係等についてのお尋ねです。

 アクセス・無害化措置は、警察庁長官等の指揮により、比例原則に基づき、目的を達成するために必要最小限度の措置として行われるものであり、措置の対象となるサーバー等に、物理的被害や機能喪失等、その本来の機能に大きな影響が生じることは想定いたしておりません。そのため、御指摘のような、措置の対象となる機器を使用できなくするといったサイバー攻撃には当たらないものでございます。

 アクセス・無害化措置は、刑事責任の追及に結びつく作用を有するものではなく、重大な危害の防止という極めて公益性の高い目的の下で実施するものであり、制約される権利の程度は合理的かつ必要な最小限度にとどまることなどから、過去の判例に照らしましても、裁判所の令状は要しないと考えられます。

 加えて、適正手続の観点から、アクセス・無害化措置を講じるに当たり、サイバー通信情報監理委員会の事前承認等を得ることといたしており、令状主義の形骸化といった御指摘は当たりません。

 アクセス・無害化措置と国際法との関係についてでございますが、国や重要インフラ等に対する安全保障上の懸念を生じさせる重大なサイバー攻撃のおそれがある場合や、そのような重大なサイバー攻撃が発生した場合に、我が国がその攻撃元となっている国外に所在するサーバー等に対して必要な措置を取りますことは、国際法上も一定の状況において許容されているものと認識しております。

 個別のアクセス・無害化措置に関する国際法上の評価については、それぞれの具体的な状況に応じて判断されるため、一概にお答えすることは困難でございますが、このような措置につきましては、そもそも国際法上禁止されていない合法的な行為に当たる場合や、仮にサーバー所在国の領域主権の侵害に当たり得るとしても、その違法性を阻却できるような場合があり、こうした点に関し、国連憲章全体を含む既存の国際法がサイバー行動にも適用されることは、国連における議論を通じて確認されておるところでございます。

 我が国が国外に所在するサーバー等に対して誤った措置を行った場合の対応につきましても、それぞれの具体的な状況に応じて判断する必要があり、一概にお答えすることは困難ですが、アクセス・無害化措置を国際法上許容される範囲内で行うのは当然のことでございます。これを確保する観点から、措置の実施主体は、警察庁長官又は防衛大臣を通じて、あらかじめ外務大臣と協議しなければならないことといたしております。

 アクセス・無害化措置が違法な先制攻撃とみなされる危険性等についてでございますが、今回整備するアクセス・無害化措置は、そもそも、国連憲章や日本国憲法第九条に規定する武力の行使と評価されるものではなく、違法な先制攻撃とみなされるようなものではありません。

 今回のアクセス・無害化措置は、公共の秩序の維持の観点から、警察権の範囲内で、攻撃サーバー等にアクセスして不正プログラムを無害化する措置等を想定しております。措置の対象となるサーバー等に、物理的被害や機能喪失等、その本来の機能に大きな影響を生じさせることは想定をいたしておりません。また、外国に所在する攻撃サーバー等の無害化措置を行います際にも、そもそも国際法上禁止されていない合法的な行為に当たる場合や、仮にサーバー所在国の領域主権の侵害に当たり得るとしても、その違法性を阻却できるような措置に限って実施することとなります。

 その上で、国際法上許容される範囲で措置を行うことを確保するため、措置の実施主体が、あらかじめ外務大臣との協議を行うことといたしております。措置の適法性を確保する観点から、警察庁長官等の指揮を受けるとともに、原則としてサイバー通信情報監理委員会の承認を受けることともいたしております。

 このような制度的仕組みを総合的に踏まえれば、自衛隊がアクセス・無害化措置を実施しても、事態のエスカレーションを招くようなものではなく、日本の側から戦端を開くことになるなどといった御指摘は当たらないと考えております。

 また、我が国に所在する米軍が使用する特定電子計算機の平素からの警護につきましては、要請の判断主体は米軍でございますが、当該要請に基づく自衛隊による警護の実施に当たりましては、国際情勢や米軍の状況等を踏まえ、防衛大臣がその必要を判断するものであり、アクセス・無害化措置に当たっても防衛大臣の指揮を受けることになるため、日本が米軍の指揮下に入るといった御指摘は当たりません。

 以上でございます。(拍手)

【政治改革に関する特別委員会】「企業・団体献金は禁止を」参考人質疑

 衆院政治改革特別委員会は、企業・団体献金に関して、参考人質疑を行い、私が質問に立ちました。

 小林節氏(慶應大学名誉教授)は「企業献金は本質において買収であるから、露骨に公共の福祉に反し、禁止すべきだ」と陳述。私は「企業・団体献金は、国民の参政権を侵害するものではないか」と質問。小林氏は「金持ちか有力者が、法人のカネを持って、権力を持っている側に献金、結果的に大企業に有利な税制が行われている。本来1人1票のはずのものが、これでは昔の制限選挙と同じで、歴史に逆行する」と述べました。

 また、私は、90年代の「政治改革」において、政治家個人への企業・団体献金を禁止としながら、政党支部とパーティー券購入という2つの穴が空いたと指摘。「当時から、このような議論があったのではないか」と質問したのに対し、当時、細川総理秘書官を務めていた成田憲彦氏(駿河台大学名誉教授)は「当然予見されていた」、「当時から、当然懸念があった」と説明しました。

 さらに私は、政治資金の公開について、質問。昨年の法改定による収支報告書「要旨」廃止について、中北浩爾氏(中央大学教授)は、「後々、検証可能性を損なう。避けていただきたい」と昨年の審議でも指摘したと述べ、「思いは全く変わっていない」と強調。その上で、今回の自民党案が、要旨を廃止したまま、一部の収支報告書の高額寄附だけを公表することについて、収支報告書の無期限公開の必要性を述べました。

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企業献金は歴史に逆行/塩川氏に参考人禁止主張/衆院政治改革特委

「しんぶん赤旗」3月19日・2面より

 衆院政治改革特別委員会は17日、企業・団体献金に関して参考人質疑を行い、日本共産党の塩川鉄也議員が質問に立ちました。

 小林節・慶応大学名誉教授は「企業献金は本質において買収であるから、露骨に公共の福祉に反し、禁止すべきだ」と陳述しました。塩川氏は「企業・団体献金は、国民の参政権を侵害するものではないか」と質問。小林氏は「金持ちか有力者が、法人のカネを持って、権力を持っている側に献金し、結果的に大企業に有利な税制が行われている。本来1人1票のはずのものが、これでは昔の制限選挙と同じで、歴史に逆行する」と述べました。

 また、塩川氏は、1990年代の「政治改革」において、政治家個人への企業・団体献金を禁止としながら、政党支部とパーティー券購入という二つの穴が開いたと指摘。「当時から、このような議論があったのではないか」と質問したのに対し、当時、細川護熙首相秘書官を務めていた成田憲彦・駿河台大学名誉教授は「当然予見されていた」、「当時から、当然懸念があった」と説明しました。


「議事録」

第217回通常国会 令和7年3月17日(月曜日)政治改革に関する特別委員会 第8号

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 四人の参考人の皆様、今日は貴重な御意見を賜り、ありがとうございます。

 最初に、中北参考人にお尋ねをいたします。

 冒頭の意見陳述の中で、公開の徹底のお話をされておられました。その中で、公開期間の三年から無期限への延長をということでお話があり、その点、研究上も有用だということもコメントとしてあったところは、そのとおりだと思っております。

 そもそも、収支報告書の要旨の問題について、その公表義務について、これが削除をされるということがこの間行われたわけですけれども、このことについてはどのようにお考えになっておられるのかについて教えていただけないでしょうか。

○中北参考人 お答え申し上げます。

 昨年、参議院に維新の推薦で参考人として出席させていただきました。その際にも申し述べたように、要旨の廃止ということは、後々、検証可能性というのを損なってしまうということになりますので、研究者の端くれとして、これはどうにか避けていただけないかという話をさせていただきました。その思いは全く変わっておりません。

 確かにコストはかかるかもしれないけれども、この点については、与野党しっかり議論していただければというふうに個人的には思っております。

 以上でございます。

○塩川委員 ありがとうございます。

 そうしますと、自民党の公開強化法案というのが、一階、二階、三階というお話がありましたけれども、一階、二階部分というのが、三年でそもそも公表はなくなってしまう、これまであった要旨も作らないということになると、この三階建てそのものが成り立つのかといった点でも、こういった要旨の廃止の問題をそのままにしたこの自民党の案についてどうお考えなのか、お聞かせください。

○中北参考人 お答え申し上げます。

 今お話にあったように、一階部分、二階部分があって三階部分があるということになりますので、仮にデジタル情報による提出が幅広い形で義務づけられ、そしてデータベースとして記録され、その上に例えば公開強化法案みたいな三階建てがあるということになっておりますので、そもそも論として、やはり、公開期限の三年というところに今決まっているところをどうするのか。それが、もちろん、公開期限がかなり無期限とかになってくれば要旨の問題がそもそも発生しないわけでありますので、こういったところをトータルに考えていく。

 その一方で、これまでの公開の在り方については、個人名、住所が特定される、ずっとさらされ続ける、こういった問題もありましたので、こういったところ全体で、与野党で協議をしていただきたいというふうに考えております。

○塩川委員 ありがとうございます。

 次に、谷口参考人にお尋ねをいたします。

 意見陳述のところで、企業・団体献金を受ける政党支部の限定のお話がございました。その際に、一九九三年の十月二十日の山花大臣の答弁を引用されたところですけれども、これはちょうど我が党の東中光雄議員の質疑における山花大臣の答弁と聞いております。その際、山花大臣が、今ある県本部とか支部、総支部の数よりは少なくなることが常識的な流れということを答弁では言っておられましたけれども、我が党の東中議員は、都道府県や市町村単位でつくることができるじゃないか、そうなれば、全部数え上げれば三千六百八十一にもなるし、二つ以上の市町村単位や都道府県単位でもつくることができるから、更に、いわば無数につくることができるということが可能だということを取り上げていたところです。

 ですから、当時から、このように数千の政党支部をつくって、そこから政治家個人が企業・団体献金を受け取るという抜け道ができることは明らかだったのではないかと考えますが、その点についてはいかがでしょうか。

○谷口参考人 御指摘のとおりかと存じます。更につけ加えるのであれば、参議院の側では、今度は自民党の関根則之議員から同様の質疑がなされておりまして、そこでもやはり、これは山花大臣ではなく佐藤観樹自治大臣であったかというふうに記憶をしておりますが、やはり同様の答弁がなされた。この二つの答弁によって穴が空いてしまったというのが私の認識でございます。

○塩川委員 ですから、政治家個人への企業・団体献金を禁止と言いながら、当時から、こういった政党支部を通じてということで穴が空いていたという話であります。

 その点、成田参考人にこの点でお尋ねしたいんですけれども、この三十年前の政治改革の議論において、こういった、政党支部を通じた政治家個人への企業・団体献金へという抜け道、こういうことが想定されていたのではないかと考えるわけですが、この点についてはいかがでしょうか。

○成田参考人 先ほど、規正法の二十一条の四で政党支部が政党である法的仕組みを申し上げました。これは、細川内閣で実際に成立した法律ですが、考え出したのは自民党で、その前に、自民党法案が出たときにそういう仕組みを導入しまして、それで細川内閣でもその仕組みを受け継いだ、こういうことです。

 それで、自民党側の事情は、要するに、政党助成なり献金を受けるのが本部だけだと、地方議員が困るというんですね。それで、地方議員の資金を手当てをするためにどうしても政党支部が必要になるという考え方でした。今後検討されるときにも、地方議員の資金をどうするかということをやはり同時にクリアしていく必要があるんじゃないかというふうに考えております。

 当時から、政党支部がいろいろ使われるということは当然予見されておりました。

○塩川委員 ありがとうございます。

 それともう一つ、実際のパーティーについてですけれども、九〇年代にこのパーティーの仕組み、収支報告にも明らかにするような、そういうことが行われたわけですけれども、それが実際には企業・団体献金の迂回路として使われるような、そういう実態というのがあったわけであります。実質、政治資金パーティー、自民党の場合など、八割ぐらいが企業、団体からというのは、これまでの収支報告書の公開の経緯を見ても、見て取れるわけです。

 そういった点で、九〇年代における政治改革において、政治家個人への企業・団体献金は禁止したといっても、実際には政党支部を通じて穴が空き、また、パーティー券収入という形を通じても穴が空いている、そういったことが、当時からそういう議論はあったのではないかと思うんですが、その点について、成田参考人はいかがでしょうか。

○成田参考人 当時から当然、そういう懸念はございました。

 それで、パーティーにつきましては、しかし、その前は大変無秩序で、誰でも、個人であろうと、誰であろうともパーティーをやることができて、非常にパーティーが乱立しましたので、政治改革、これは細川内閣だけではありません、その前のいわゆる緊急政治改革、与野党合意でやった部分が多いんですけれども、パーティーを秩序立てるという意味で政治団体がやるとか、それから、最初は五十万以上、細川内閣は五万超でしたけれども、自民党との合意で二十万超を公表するというような、一応秩序はつくりました。

 ただ、正直申し上げて、一遍に全ての蛇口を止めるわけにはいかないということでパーティーは許されたわけですが、その後、当然そういうものは整理されていくべきだというふうに考えられていた、少なくとも連立政権ではそういうふうに考えていたということでございます。

○塩川委員 ありがとうございます。

 小林参考人にお尋ねをいたします。

 小林先生がお書きになったものの中で、経済力がある人たちの政治的影響力を強める企業・団体献金自体が、一人一票という民主主義の大前提に反する、法律で全面禁止するべきだと述べておられました。

 企業・団体献金というのが、国民の参政権、選挙権を侵害するものではないのか、このように私は考えますが、小林参考人の御意見を伺いたいと思います。

○小林参考人 全く明白なことなんですけれども、要するに、民主主義というのは、全ての人間が対等であるという前提で、そして、生身の自然人の持っている実力で議論し合って、投票を重ねながら調整していく。そこに、自然人の道具にすぎない法人をつくることができる、あるいは管理することができる、いわば金持ちか有力者が、更に法人の金を持って、大体、共産党に献金する大企業はないと思うんですけれども、権力を持っている側に献金して、そして、結果的に大企業に有利な税制が現に行われているというようなことじゃないですか。これは細かな立証は要らないと思うんですね。

 そういう意味で、結局は、本来ワン・マン・ワン・ボートのはずのものが、要するに、お金持ちはプラスアルファの力を持って、これじゃ昔の制限選挙と同じで、歴史に逆行するということを申し上げたわけであります。

 以上です。

○塩川委員 ありがとうございます。

 続けて小林参考人に伺いますが、日本経団連が政策評価というのを政党に対して行っております。拝見すれば、そのメインが自民党であることは当然明らかなわけですけれども、こういった政策評価に基づいて企業に政治献金の呼びかけを行っている、日本経団連の政策評価に基づく企業献金の会員企業などへの呼びかけという、この在り方についてはどのように受け止めておられるでしょうか。

○小林参考人 もちろん、経団連も許されている公的存在で、それは、政治に対して政策評価するのは、これまた正当な権利だと思うんですね。

 ただ、それに従って、企業に額まで割り振っていますよね。これは余計なことでありまして、要するに、我々にとって有利な政策をして、そうでない人も世の中にはいっぱいいるわけですよ、有利な政治をしてくれた方たちに、じゃ、まさにお礼のためにお金を献上する、こんなのは全く、お代官様と御用商人の世界ですよ。こういう構造が今国民に飽きられて、いろいろな政治的変動が起きているじゃないですか。

 ですから、ここはきちんとした方がいいと私は思います。

 以上です。

○塩川委員 ありがとうございます。

 もう一問、小林参考人にお尋ねをいたします。

 昨年の法律の改定で、外国人、外国法人等によるパーティー券購入を禁止したわけですけれども、一方で、日本法人で五年以上上場している外資系企業については企業・団体献金禁止の対象から除外するということがこの間行われてまいりました。

 これはやはり、外国人等の献金は国家主権に関わると言いながら、特例を設けて献金もパーティー券購入も温存してきた。日本法人で五年以上上場している外資系企業をこういう企業・団体献金禁止の対象から除外をするといった対応については、どのように受け止めておられるでしょうか。

○小林参考人 自民党らしくないと私は思うんですけれどもね。

 まさに今、トランプのおかげで戦国乱世状態になっているじゃないですか、世界が。国家主権ということで、非常にきちんと言ってきたのは自由民主党だと思うんですね。私はそれは賛成なんです。そういう意味で、どの国でも、外国の政治的介入というのはよろしくないというのが当たり前の話じゃないですか。主権国家なんですから、国民主権国家なんですから。

 だから、そういう意味では、そこは何か別の動機が入っちゃったのかなと。例えば、でも、お金を下さるからいいわ、この人たちは、であったとしたら、誠に日本国として情けないことだと思います。

 以上です。

○塩川委員 時間が参りましたので、終わります。

 ありがとうございました。

日本共産党埼玉視覚障がい者・関係者後援会のつどい

 高額療養費上限額引き上げ「凍結」は、世論と運動が政治を動かした。

 ぜひとも撤回を!社会保障改悪を許さないたたかいを広げよう!

 社会保障の拡充は、健全な経済成長の土台になるもの。   

 生計費非課税、応能負担の原則に立った税財政の転換を!

【政治改革に関する特別委員会】石破総理の商品券配布問題、自民党の金権腐敗体質を批判

 私は、議論の前提として石破茂総理の商品券配布問題に言及し「寺院党の金権腐敗体質が問われている」と批判。政治資金の公開を後退させた法改悪をそのままにして、企業・団体献金は「禁止より公開」を主張する自民党の矛盾を指摘しました。

 私は、商品券配布について石破総理の「政治活動に関する寄附ではない」との理屈は通用しないと指摘し、「総裁が所属議員に商品券をばらまいたことに国民の理解が得られると思うか」と自民党提案者を追及。小泉進次郎議員は「得られないと思う」と答弁しました。

 私は、商品券を受け取った自民党1期生議員に率先して事実を明らかにするよう要求するとともに、政治改革特別委員会へ総理の出席を求めました。

 自民党が提出している法案は、現行の毎年の収支報告書の公開を1階部分、2027年から始まる収支報告書の一部のデータベース化を2階部分としたうえで、3階部分として一部の収支報告書の高額寄附だけを公表するとしています。

 私は「1階と2階部分の収支報告書そのものは、3年後に廃棄・削除され、一部の高額寄附しかわからなくなることが、なぜ公開の強化なのか」と批判。

 昨年の法改定で、寄附者の氏名や寄附額、項目ごとの収入・支出額等を記載した収支報告書「要旨」を廃止したことを批判し、「要旨廃止の撤回が必要だ」と強調し、報告書は、そのまま速やかに公開し、公的に永久に残すべきだと主張しました。

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自民金権腐敗を批判/塩川氏、事実解明を要求/衆院政治改革特委

「しんぶん赤旗」3月15日・2面より

 衆院政治改革特別委員会が14日開かれ、日本共産党の塩川鉄也議員は、議論の前提として石破茂首相の商品券配布問題に言及し「自民党の金権腐敗体質が問われている」と批判しました。政治資金の公開性を後退させる法改悪をそのままにして、企業・団体献金の「禁止より公開」を主張する自民党の矛盾を指摘しました。

 塩川氏は、商品券配布は「政治活動に関する寄付ではない」との首相の理屈は通用しないと指摘し、「(自民党)総裁が所属議員に商品券をばらまいたことに国民の理解が得られると思うか」と同党法案提案者の小泉進次郎議員を追及。小泉氏は「得られないと思う」と答えました。塩川氏は、商品券を受け取った自民党1期生議員に率先して事実を明らかにするよう要求するとともに、首相の出席を求めました。

 自民が提出した法案は、現行の毎年の政治資金収支報告書の公開を1階部分とし、2027年から始まる報告書の一部データベース化を2階部分とした上で、3階部分として一部の収支報告書の高額寄付だけを公表するとしています。

 塩川氏は「1、2階部分の収支報告書そのものは3年後に廃棄・削除され、ごく一部の高額寄付しか分からないことが、なぜ公開の強化なのか」と批判。昨年の法改定で、寄付者の氏名や寄付額、項目ごとの収入・支出額などを記載した収支報告書「要旨」を廃止した改悪を批判し、「要旨廃止の撤回が必要だ」と強調。報告書は公的に永久に残すべきだと主張しました。


「議事録」

第217回通常国会 令和7年3月14日(金曜日)政治改革に関する特別委員会 第7号

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 政治資金規正法の審議に当たって、その前提となる問題について自民党の提出者にお尋ねいたします。

 石破総理が三月三日、自民党の一期生衆議院議員十五人との会食に先立ち議員の事務所に商品券を渡していた問題であります。石破総理は、会食のお土産代わりに家族へのねぎらいなどの観点から私自身の私費、ポケットマネーで用意をした、政治活動に関する寄附ではなく政治資金規正法上の問題はない、また、私の選挙区に住んでいる人はいないので公職選挙法にも抵触しない、法的には問題がないと認識していると言っております。

 政治資金規正法第二十一条の二では、何人も公職の候補者の政治活動に関して寄附をしてはならないとあります。政策活動費の議論でも注目となった条項でありましたが。石破総理は政治活動に関する寄附ではないと言っておりますが、自民党総裁から所属議員の事務所に届けており、議員になるまで何年も苦労したことへの慰労の意味と言っておいて、政治活動ではないという理屈は通用しないんじゃないでしょうか。その点についてはどのように受け止めておられますか。

○小泉(進)議員 先ほど、源馬委員のときは追加で通告をいただいておりました。今、塩川先生の件については通告を受けておりませんが、先ほど申し上げたとおり、今この委員会の裏側で、参議院で総理御自身が答弁に立って質問を受けていると思います。そういった形で、これから石破総理がしっかりと説明を果たされるものと考えております。

○塩川委員 総理自身が説明を果たされると。同時に自民党としてどう考えるのかということが問われているわけであります。それは特に国民との関係でどうなのか。

 報道によれば、一期生議員十五人に十万円ずつ配ったということであれば合計百五十万円ですし、十万円もの商品券をお土産代わりというのは庶民には考えられない金銭感覚であります。物価高に苦しむ国民の理解を得られると言えるのか。昨年の総選挙で示された民意は、裏金事件の当事者である自民党に厳しい審判を下しました。石破総理・総裁が所属議員に商品券を配っていたということについて国民の理解が得られると考えるのか。ここの点についてはいかがでしょうか。

○小泉(進)議員 得られないと思っていますし、得られないと総理自身も改めて感じたからこそ、昨夜、深夜でありましたけれども、おわびも含めて会見されたと私は理解をしております。

○塩川委員 国民の理解が得られないという話です。そういう点で、いわば出し手の総理・総裁なわけですけれども、併せて受け手、もらった一年生議員の問題があるわけであります。当委員会にも受け手側の自民党の一期生議員は六人所属しているということであります。返却したから終わりという話ではなくて、当事者として事実関係を明らかにすべきだ。

 小泉議員にお尋ねしますが、当委員会に所属している一年生議員は率先して事実関係を明らかにしてもらう、まさに政治改革特で政治資金規正法の議論をしているわけですから、そういったことが求められているんじゃありませんか。

○小泉(進)議員 石破総理が説明をしていますけれども、やはり総理がまずは説明をすることだと私は思います。

 そして、もらったというふうに今、塩川先生はおっしゃいましたけれども、選挙に初当選して間もなく、今回のことに率直に一回生の皆さんは困惑したんじゃないでしょうか。その中で、最終的には自主的に返す、こういった判断をされた、これが私は事実だと聞いております。そして、個々に今、記者の方からの質問などもあって、こういったことだったけれども返しました、こういったことをそれぞれ述べているとも承知しております。

 ですので、今回、そういったことも含めて、総理・総裁が行ったことでありますから、今総理・総裁が率先して説明をしている、私はそのことだと理解をしています。

○塩川委員 十五人、この委員会でも六人。しかし、先ほど二人の方が質問もされましたけれども、そのことについては何の弁明もされませんでした。私は、やはりしっかりと明らかにしていくことが必要だと。報道によると、こうやってもらった議員の中には、お土産を逸脱していたのではないのかということで返却した者もいるという回答もあったということですから、そういう点では、認識がどうだったかということも、この場で明らかにしてもらうということは必要なのではないのか。その点について、しかるべき当事者の弁明を求めたいと思っております。

 総理がまずは説明すべき、当然のことでありますけれども、政治改革特として、こういう問題についてきっちりその点も議論をする必要がある。ポケットマネーと言うけれども本当にそうなのかということもありますし、ほかの会合でも商品券を配っているということも会見の中で述べておられたということでありますので、誰に配ったのか、選挙区内で配ったことはないのか、こういったことも含めてしっかりと明らかにしてもらう。

 委員長、是非、石破総理に当委員会でこの問題についてしっかりとただす、その機会を設けていただきたい。お取り計らいをいただきたいと思います。

○渡辺委員長 後刻、理事会で協議をします。

○塩川委員 この問題を始めとして、自民党の金権腐敗体質の問題というのが厳しく問われている。裏金問題がまさにそのことであるわけですけれども、真相解明がいまだに行われておりません。政治活動に関する寄附でなければ政治資金規正法に何ら抵触しないというような、今回の商品券の問題もそういう開き直りでは通らないということを言わざるを得ません。

 その上で、自民党の提出者にお尋ねしますが、企業・団体献金は禁止よりも公開だということでの話であります。趣旨説明で、政治資金の公開については、一階部分として収支公開の制度があり、毎年全ての政治団体の収支報告書が公開されている、二階部分として、昨年成立した収支報告書のデータベース化によって、政党本部、政治資金団体、国会議員関係政治団体の収支報告書について検索可能なデータベースが構築されると述べておりました。確認したいんですけれども、自民党が言う一階部分と二階部分の収支報告書というのは三年間で廃棄、削除されるということになりますか。

○長谷川(淳)議員 お答えいたします。

 まず、政治資金の収支公開制度の在り方につきましては、個人の寄附などについては個人の氏名あるいは住所が記載されるわけでございますので、まずプライバシーの保護の要請と、もう一方では何より政治活動の透明性確保、この両者の要請のバランスが適切に図られることが重要であると考えております。

 そのようなバランスの中で、昨年の通常国会そして臨時国会で成立した法律の施行後においては、今ほど来申し上げているとおり、二階部分であります収支報告書のデータベース、これは、収支報告書は公表された後三年を経過する日までの間公開されることになる。これは新しい規正法の二十条三項そして第五項に記載のとおりでございます。したがいまして、収支報告書の公開年限と同じような取扱いにあると承知しております。

○塩川委員 ですから、三階建ての建物と思っていたら、一階、二階部分というのがそれこそいつの間にか消えてしまうような、そういう構造というのが今の自民党の公開の仕組みの中身だということであります。

 自民党が言います三階部分は、政党関係政治団体に対する対象寄附、対象寄附関連事項を総務大臣が公表するということですけれども、具体的にどのような形式になるんでしょうか。

○長谷川(淳)議員 お答えいたします。

 公開強化法案では、総務大臣が毎年三月三十一日までに企業、団体が、政党関係政治団体と定義させていただいています、それに対してした寄附について、政党ごとに、まず寄附の総額、さらに、年間合計で一千万を超える寄附をした企業、団体の寄附につきまして、その寄附をした企業、団体の名称及び寄附の年間合計額、そして、受け手の方でございますけれども、その寄附を受けた政党関係政治団体ごとに、その政党関係政治団体の名称、その受けた寄附金額の合計額、これを公表することを義務づけることを提案させていただいています。

 具体的な公表の形式等につきましては公表の事務を担うこととなる総務省において法施行までに検討されるものと考えておりますけれども、ホームページにおいて分かりやすい形式で行われることが望ましいものと考えております。

 以上です。

○塩川委員 例えば、政党、政治資金団体、国会議員政治団体の二〇二七年の収支報告書における年間合計一千万円を超える企業・団体献金の一覧は、二〇二九年の三月に公表されるというタイミングになると思います。ですから、二〇二七年の収支報告書についても大分先の公表ということもありますし、しかも一階部分、二階部分の収支報告書そのものは三年後には廃棄、削除されてしまって、ごく一部の収支報告書の高額寄附しか分からないということで、どうして公開の強化になるのかということであります。

 一千万円を超えるような企業・団体献金についての公開関係ですけれども、総務省にお尋ねします。現在、総務省が収支報告書の要旨を公表する際に報道資料などを作成しておりますが、それはどのような内容でしょうか。

○新田政府参考人 お答え申し上げます。

 総務省においては、毎年、総務大臣届出分の収支報告書の定期公表を行う際に、併せまして、収支の概況、項目別内訳、政党本部の収支の状況などを一覧にしました報道資料を作成し、公表いたしてございます。

 また、併せましてお求めがあれば、総務大臣届出分に限りますが、政党及び政治資金団体などに対する年間百万円を超える寄附者の内訳、年間二千万円を超える寄附をした法人などに関して、集計を行い、提供することを可能といたしております。

○塩川委員 報道資料、プレスに対する資料として、また、求めがあればその他の方に対しても、政党、政治資金団体に対する年間百万円を超える寄附者の内訳ですとか年間二千万円を超える寄附をした法人等の一覧等について提供しているということであります。

 ですから、日本医師連盟や郵政政策研究会など、企業、団体、政治団体ごとに寄附先とともに金額を一覧にしている、こういう資料を、もちろん総務大臣分だけですけれども、データベースがない現在も作成しているわけであります。また、その一か月後には、総務大臣届出団体と都道府県選管の届出団体を合算して収支の内訳を公表しております。ですから、企業・団体献金全体のうち九六%を自民党と国民政治協会が受け取っていることも分かるわけであります。現在でも、今回の法案で自民党が言っているような三階部分については、類似の資料は総務省が作成をしているというのが現状の実態であります。

 お尋ねしますけれども、昨年通常国会で成立した法改定で収支報告書の要旨の廃止をしてしまいました。こんなことで、今回の三階部分の公表というのが要旨の代替にそもそもなるんでしょうか。

○長谷川(淳)議員 お答えいたします。

 そもそも、収支報告書の要旨についてでございますけれども、現行法においても、収支報告書をインターネットで公表する場合には収支報告書の要旨を公表する義務がない旨が定められております。この規定に基づいて、現在、四十七都道府県中四十道府県において収支報告書の要旨が既に廃止をされている現状でございます。インターネットで公表された収支報告書は誰でも容易に閲覧、保存できますことから、総務省、各都道府県選挙管理委員会の選択に委ねられていた収支報告書のインターネット公表について、義務化することに併せて要旨の公表を廃止したものと理解しています。

 その上で、今回、公開強化法案で新たに三階部分として、政治資金の出し手である企業、団体について総務大臣が多額の寄附をマクロ的に概況を整理して公表することに伴いまして、委員御指摘のように、要旨そのものの代替ではございませんけれども、政治資金制度を所管する総務大臣が、個々の政治収支報告書の要旨では一覧性を持っておりません、その一覧性を持たない要旨では分からない情報について整理して公表することによって、我が方が主張しています禁止ではなく公開の趣旨にのっとって、国民の皆さんによる不断の監視と批判に一層資するものと考えております。

○塩川委員 一部の高額寄附者の名前を一覧でという、そこだけを取り出して、でも政治資金全体の流れについては、これは過去分をそっくり、収支報告書も三年で消すし、要旨そのものももう作らなくなる。本気で公開強化というのであれば、要旨の義務づけを廃止したことそのものを改めてきちっともう一回やるべきじゃありませんか。それこそ公開強化じゃありませんか。

○長谷川(淳)議員 お答えいたします。

 要旨の公表を廃止したことが公開性の後退ではないかという御指摘でございますけれども、先ほど来申し上げていますが、収支報告書をインターネットで公表する場合にはそもそも要旨を公表する必要がないということが定められている中で、今現状は四十道府県において廃止をされておる現状でございます。

 もし仮にこれを復活させることになりましたら、収支報告書から情報を抽出し公報に載せる、様々な業務負担量がかかるわけでございます。そうした実務面での業務負担のことも考えた上で、現状はインターネット公表の義務化に伴いまして要旨を廃止するという整理をされたものと理解しています。

○塩川委員 でも、今まで官報、公報で公表するという手続を取ってきたわけですよ。それ自身がまさに政治資金規正法の立場で、国民の不断の監視と批判の下に置く、その精神に立った対応そのものであるわけで、そういった点でも、要旨の廃止を前提にした上で一部の公開の強化というのは全く成り立たないと言わなければなりません。政党、政治資金団体、国会議員政治団体に限ったデータベース掲載の範囲内で名寄せをして、高額寄附のみを翌々年の三月に公表するということが公開の強化にならないというのははっきりしているんじゃありませんか。

○長谷川(淳)議員 お答えいたします。

 要旨の廃止につきましては、繰り返しでございますけれども、仮に復活した場合には相当な業務負担がかかるということを考えますと、実務に当たる都道府県選管等々の意見も踏まえ、各党各会派で慎重に議論すべきだというふうに考えています。

 その上で、今回、一階部分による全ての団体の政治資金収支報告書の公表、二階部分におけるインターネット公表とデータベース化、さらに、三階建て部分におきます企業・団体献金の出し手、一千万超ということで基準を出させていただいていますが、先ほど来議論がありますように、個人献金の総額の一つの基準として一千万以内というのがございます、それを超える企業・団体献金について一覧性ある形で政治資金制度を所管する総務省がいわゆる公定力を持って公表することについて、公開性、透明性が一層強まるものと考えております。

○塩川委員 民主主義のコストとよく言いますけれども、まさに政治資金規正法、その公開をしっかり担保するところに必要なお金をかけるというのは当然のことだと思います。当委員会で選管の皆さんに来ていただいた際にも体制が非常に脆弱だという訴えがあったわけでありますから、そういうところにこそしっかりとお金をつけるべきだ。要旨の廃止や収支報告書の情報公開請求の制限など、公開の改悪を行ったまま透明性、公開性を一層強化するというのは矛盾している話でありまして、要旨廃止の撤回、収支報告書の保存、公開の延長こそが必要だ。収支報告書はそのまま速やかに公開し、公的に永久に残すということで企業・団体献金の禁止を進める、そういう取組のために力を尽くすものであります。

 時間が参りましたので、終わります。

日本学術会議「特殊法人」化反対集会

 わが党から小池書記局長、井上参院議員らと参加。

 会員候補6名の任命拒否に反省も説明もしないまま、学術会議の独立性、自立性を侵害する法案の提出は断じて許せない。

 高額療養費上限額引き上げ撤回を求める運動のように、国民世論と国会論戦で断念に追い込もう!


学術会議法案の撤回を/学者・市民ら16団体、署名提出

「しんぶん赤旗」3月14日・1面より

 日本学術会議の法人化法案に反対する署名を呼びかけている学者や弁護士、市民らがつくる16団体は13日、内閣府に2万2792人の署名を提出しました。同日、国会内で記者会見と集会を開き、法案は学術会議の解体をめざすものだとして撤回を求める声明を発表しました。

 政府は7日に、学術会議を国の機関から外して特殊法人とする法案を閣議決定。首相が任命する監事や評価委員が活動状況を確認するなどと規定し、学術会議を政府の統制下に置こうとする内容です。

 反対署名はオンラインで2月に始めたもの。学術会議元会長の広渡清吾東大名誉教授は「学術会議について市民運動で署名を集めるということはかつてなく歴史的に大きな意味がある。日本の市民と科学者の明確な意思表示だ」と強調し、「必ず廃案に追い込もう」と呼びかけました。

 本田由紀東大教授は、法人化で政府方針に従わなければ予算を削られる仕組みになった国立大の惨状に言及し「同じことを学術会議にやろうとしている」と告発。駒込武京大教授は内閣府による経済や軍事的観点からの「知の囲い込み」に危惧を表明し、法案は「国の民主的意思決定システムを破壊するものだ」と指摘しました。

 科学ジャーナリストの榎木英介氏は、理系研究者にも危機感をもってほしいと訴え、赤井純治新潟大名誉教授は、法案が成立すれば「日本の学術は終わってしまう」と危機感を表明。核兵器廃絶を求める「パグウォッシュ会議」元評議員の小沼通二慶応大名誉教授がメッセージを寄せました。

 日本共産党の小池晃書記局長は「こんな無法を許したら民主主義国家ではない」として廃案に追い込む決意を表明。井上哲士参院議員、塩川鉄也衆院議員、社民党、れいわ新選組の議員も連帯のあいさつをし、立憲民主党の議員や秘書も参加しました。署名の呼びかけ団体が取り組みを報告しました。

【政治改革に関する特別委員会】金権腐敗政治一層のため企業・団体献金禁止と政党助成金廃止を

 衆院政治改革特別委員会は、企業・団体献金について各党による自由討議を行いました。

 私は、昨日、日本共産党が2法案を提出したことを述べ、企業・団体献金禁止と政党助成金廃止が金権腐敗政治の一掃になると主張しました。

 私は、「禁止より公開」と主張している自民党案が、一部の政治資金収支報告書分だけ、「名寄せ」して、翌々年3月に高額寄附のみ、公表することが、なぜ公開の強化になるのかと指摘。

 そもそも、昨年6月の法改定により、収支報告書「要旨」を廃止したことで、「収支報告書そのものは3年で廃棄され、要旨もなくなれば、過去にさかのぼって政治資金の流れが全く見えなくなる」と批判。

 自民党案の「高額寄附だけ、一部の収支報告書だけ、公表したからと言って、要旨の代替になるわけない」と強調し、要旨廃止の撤回、収支報告書の保存・公開の延長を主張しました。

 企業・団体献金を禁止しても「個人献金へ迂回する」との意見に対し、私は、迂回献金、寄附者を偽って収支報告書に記載することは、現行法においても違法行為であると反論。

 共産党案は、政党など全ての政治団体において企業・団体献金の受け取りを禁止していること、企業・団体などのあらゆる「寄附の斡旋」を禁止していることをあげ、「抜け穴の付け入る余地はない」と述べました。

 政党助成金を巡り、依存率の高さから「官営政党、税金丸抱え政党でいいのか」との自民党の発言に、塩川議員は「ならば、政党助成制度を見直すべきだ」と強調しました。

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企業・団体献金禁止 政党助成金廃止を/衆院特委/金権腐敗政治一掃へ塩川氏

「しんぶん赤旗」3月14日・2面より

 衆院政治改革特別委員会は12日、企業・団体献金について各党による自由討議を行いました。日本共産党の塩川鉄也議員は、11日に日本共産党が2法案を提出したことを述べ、企業・団体献金禁止と政党助成金廃止が金権腐敗政治の一掃になると主張しました。

 塩川氏は「禁止より公開」と主張している自民党案について、一部の政治資金収支報告書分だけ「名寄せ」して、翌々年3月に高額寄付のみ公表するものだとして、なぜ公開の強化になるのかと指摘。そもそも、昨年6月の法改定により、収支報告書「要旨」を廃止したことで、「収支報告書そのものは3年で廃棄され、要旨もなくなれば、過去にさかのぼって政治資金の流れが全く見えなくなる」と批判。自民党案で「高額寄付だけ、一部の収支報告書だけ公表したからと言って、要旨の代替になるわけがない」と強調し、要旨廃止の撤回、収支報告書の保存・公開の延長を主張しました。

 企業・団体献金を禁止しても「個人献金へ迂回(うかい)する」との意見に対し、塩川氏は、迂回献金、寄付者を偽って収支報告書に記載することは、現行法においても違法行為であると反論。共産党案は、政党など全ての政治団体において企業・団体献金の受け取りを禁止し、企業・団体などのあらゆる「寄附のあっせん」を禁止していることをあげ、「抜け穴の付け入る余地はない」と述べました。

 政党助成金をめぐり、依存率の高さから「官営政党、税金丸抱え政党でいいのか」との自民党の発言に、塩川氏は「ならば、政党助成制度を見直すべきだ」と強調しました。


「議事録」

第217回通常国会 令和7年3月12日(水曜日)政治改革に関する特別委員会 第6号

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 まず、政治資金の公開についてです。

 禁止より公開との考え方である自民党によれば、一階部分が毎年の収支報告書の公開、二階部分が一部の収支報告書のデータベース構築、三階部分が自民党の公開強化法案による一部の収支報告書の高額寄附の公表だということです。二〇二七年から政党、政治資金団体、国会議員関係政治団体に限ったデータベース作成が決まっています。その範囲内で名寄せして、翌々年の三月に高額寄附だけを公表するということがどうして公開の強化になるのでしょうか。

 そもそも、昨年、通常国会で成立した法改定で、収支報告書要旨を廃止しています。要旨は、全ての政治団体を対象に、寄附者の氏名や寄附額、項目ごとの収入、支出額など、収支報告書の根幹部分を記載したもので、公開期限はありません。収支報告書そのものは三年で削除され、要旨もなくなれば、過去に遡って政治資金の流れが全く見えなくなります。自民党案の三階部分にも公開期限はありませんが、高額な企業・団体献金だけ、一部の政治団体の分だけ、それを公表したからといって、要旨の代替になるわけがありません。要旨廃止の撤回、収支報告書の保存、公開の延長こそが必要です。収支報告書はそのまま速やかに公開し、公的に永久に残すべきです。

 次に、企業・団体献金の禁止に抜け穴があるのではないかという点についてです。

 企業・団体献金を禁止しても個人献金や形を変えた迂回が発生するとか、形式的には個人献金の形を取りながらその内実は企業・団体献金である可能性を一切排除することは現実的に考えて不可能だという意見が述べられました。そもそも、現行法においても、迂回献金、寄附者を偽って収支報告書に記載することは虚偽記載であり、違法行為そのものです。

 日本共産党が提出している企業・団体献金全面禁止法案では、抜け穴のつけ入る余地がない理由は二つあります。

 第一に、政党、政治資金団体、企業、労働組合、その他の政治団体、全ての政治団体において企業や労働組合等の団体からの献金を受けることを禁止しています。政治団体を抜け道にして企業、団体が政党などに献金することはできません。抜け道になり得ません。

 第二に、企業や労働組合等による政治活動に関する寄附だけでなく、あらゆる寄附のあっせんも禁止をしています。よって、企業や労働組合等がその従業員や組合員等から寄附を集めて政治団体に提供することもできません。この点も抜け穴ではありません。

 その上で、指摘しておきたいのは、業界団体や労働組合などが政治団体をつくり構成員の強制加入や強制還付を行っているなら、思想、信条の自由の侵害であり、許されるものではありません。

 次に、政党の政治資金の在り方についてです。

 政党は、何よりも国民の中で活動し、国民の支持を得て、その活動資金をつくることが基本でなければなりません。この三十年間、収入の七割から八割を政党助成金に依存し、政党助成金目当ての新党の設立と解散が繰り返されてきました。官営政党、税金丸抱え政党でいいのか、民主主義にとって果たしてよいことなのかとの指摘が自民党から述べられました。

 そうであるなら、政党助成制度の見直しを考えるべきではありませんか。日本共産党は、思想、信条の自由や政党支部の自由を侵す憲法違反の制度であるとして創設に反対するとともに、一貫して政党助成金の受取を拒否しています。民主主義を壊す極めて有害な税金の使い方は許されません。

 昨日、日本共産党は、企業・団体献金禁止法案と政党助成法廃止法案を参議院に提出しました。企業・団体献金は禁止して個人献金を中心とし、政党助成金を廃止することが金権腐敗政治の一掃となります。

 以上、発言を終わります。

栃木県内のPFAS汚染対策に関して、栃木県党が国に要請

 昨年11月以降、宇都宮市・下野市・真岡市で暫定指針値を超えるPFASが検出。

 検査や対策などへの財政措置や水質基準強化を求めた。

 宇都宮駐屯地で昨年11月に112ng/lという検査結果が出ていたのに公開してこなかったのは重大。

 汚染の実態解明を。

【しんぶん赤旗掲載】高額療養費で集中審議を/野党衆参合同国対「経緯ただせ」

「しんぶん赤旗」3月12日・2面より

 石破茂首相が高額療養費制度の負担上限額引き上げの「凍結」を表明したことについて、日本共産党、立憲民主党、日本維新の会、国民民主党、れいわ新選組、有志の会は11日、衆参合同の国対委員長会談を開き、対応を協議しました。衆院予算委員会の集中審議を13日に開き、首相から予算案の衆院通過直後に方針を変更した経緯の説明を求め、質疑を行うことを求める方針を確認しました。

 私は「石破首相自身が予算委で凍結に至った経緯と今後の対応を含めて説明すべきだ。しっかり首相をただす必要がある」と主張しました。

 会談では、与党から高額療養費の負担引き上げの凍結を予算案修正ではなく予備費で対応する案が出ていることについても協議。予備費について規定した憲法87条と財政法24条違反であり「認められない」との認識で一致しました。

 日本共産党の井上哲士参院国対委員長は「予備費は災害など予見し難い予算の不足に充てるための経費だ」と指摘。「政府・与党は国民世論を災害と思っているのか。きちんと修正で処理すべきだ」と強調しました。

 立民の斎藤嘉隆参院国対委員長は「国会法に基づきルール通り粛々と進めていくべきだ。何も難しいことは言っていない」と述べました。

【政治改革に関する特別委員会】企業・団体献金について各党意見表明

 企業・団体献金の在り方について、各党が意見表明を行いました。

 私は「政治の歪みをただし国民主権を貫くためにも、企業・団体献金の禁止が必要だ」と主張しました。

 私は、自民党の裏金問題の真相解明がいまだ行われていないと指摘。自見党と企業の癒着で政治を歪めた数々の事例をあげ、企業・団体献金に固執している自民党を批判。

 金権腐敗政治一層のため「企業・団体献金全面禁止」と「政党助成廃止」を主張し、「日本共産党は主張するだけでなく、自ら実行している」と述べました。

 私は、政治資金は主権者である国民の浄財で支えられるものであり、国民一人ひとりの政党への寄附は選挙権・投票権と結びついた「国民固有の権利だ」と指摘。
一方、企業・団体献金は本質的に政治を買収する賄賂であり、「営利を目的とする企業が巨額のカネのtからで政治に影響を与えれば、政治は大企業・財貨に向けたものになる」と述べました。

 「選挙権を持たない企業の献金は国民主権と相いれず、国民の参政権を侵害するもの」と強調。

 自民党が企業献金を正当化する際に持ち出す1970年の最高裁判決は、企業献金の弊害を認め、禁止する立法を否定していないと指摘し、この判決にしがみつくのは「国民の権利侵害の実態から目をそらし、立法府が積み重ねてきた議論を無視するものだ」と批判しました。

 私は、企業献金を全面禁止し「政党支部への献金」「パー券購入」という二つの抜け道を塞ぐよう主張しました。

 また、私は、政治資金は「国民の不断の監視と批判の下に」おくべきだとして、「収支報告書は公的に永久に残し、速やかにそのまま国民に公開すべきだ」と強調しました。

 この日の委員会で、立憲民主党、日本維新の会、れいわ新選組、有志の会も企業・団体献金禁止を主張。

 自民党は「公開強化法案」などを示し、公明党と国民民主党は献金額の上限を設けるなど、いずれも企業・団体献金を温存する姿勢を示しました。

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企業・団体献金禁止を/衆院特委/塩川議員が意見表明

「しんぶん赤旗」3月11日・2面より

 衆院政治改革特別委員会が10日開かれ、企業・団体献金に関し、各党が意見を表明しました。日本共産党の塩川鉄也議員は「政治のゆがみをただし国民主権を貫くためにも禁止が必要だ」と主張しました。

 塩川氏は、自民党派閥の裏金事件の真相解明はいまだ行われていないと指摘。自民党と企業の癒着で政治をゆがめた数々の事例を挙げ、企業・団体献金に固執している自民党を批判。金権腐敗政治一掃のため「企業・団体献金全面禁止」と「政党助成法廃止」を主張し、「日本共産党は主張するだけでなく、自ら実行している」と述べました。

 塩川氏は、政治資金は主権者である「国民の浄財」で支えられるものであり、国民一人ひとりの政党への寄付は選挙権・投票権と結びついた「国民固有の権利だ」と指摘。一方、企業・団体献金は本質的に政治を買収する賄賂で、「営利を目的とする企業が巨額のカネの力で政治に影響を与えれば、政治は大企業に向けたものになる」と述べました。

 「選挙権を持たない企業の献金は国民主権と相いれず、国民の参政権を侵害する」と強調。自民党が企業献金を正当化する際に持ち出す1970年の最高裁判決は、企業献金の弊害を認め禁止する立法を否定していないと指摘し、同判決にしがみつくのは「国民の権利侵害の実態から目をそらし立法府が積み重ねた議論を無視するものだ」と批判しました。

 塩川氏は、企業献金を全面禁止し「政党支部への献金」「パー券購入」という二つの抜け道をふさぐよう主張しました。

 また塩川氏は、政治資金は「国民の不断の監視と批判の下に」おくべきだとして、「収支報告書は公的に永久に残し、速やかにそのまま国民に公開するべきだ」と強調しました。

 立憲民主党、日本維新の会、れいわ新選組、有志の会も企業・団体献金禁止を主張。自民党は「公開性強化法案」などを示し、公明党と国民民主党は献金額の上限を設けるなど、いずれも企業・団体献金を温存する姿勢を示しました。


「議事録」

第217回通常国会 令和7年3月10日(月曜日)政治改革に関する特別委員会 第5号

○塩川委員 日本共産党を代表して、意見表明を行います。

 自民党の主要派閥が、政治資金パーティーを通じて組織的に大規模に長期間にわたり、収支報告書の不記載、虚偽記載という政治資金規正法違反の犯罪行為を行ってきたことは、自民党政治の底知れない腐敗構造を露呈したものです。その中でも、長期に強権的な政治を進めてきた安倍派を支えていたのが巨額の裏金だったことは許し難いことです。しかも、この裏金づくりを誰がいつ始めて何に使ってきたのか、いまだに真相解明が行われていません。

 日本共産党は、金権腐敗政治の一掃のため、企業・団体献金全面禁止法案と政党助成法廃止法案を今国会も参議院に提出する予定です。同時に、日本共産党は、主張するだけでなく、企業・団体献金も政党助成金も受け取らないことを自ら実行しています。

 裏金事件に国民の批判と怒りが沸き起こり、企業・団体献金は禁止せよが国民の声です。しかし、自民党はこうした国民の声に耳をかさず、企業・団体献金に固執しています。

 自民党と企業との癒着によって政治がゆがめられた事例は枚挙にいとまがありません。この十年を見ても、河井夫妻の大規模選挙買収事件、秋元氏のカジノ汚職事件、吉川氏の鶏卵汚職事件、甘利氏のUR口利き疑惑、安倍氏の桜を見る会問題など、政治と金をめぐる疑惑が続出しています。自民党の腐敗政治と自浄能力のなさを見ても、全く反省の色が見えません。

 政治資金は、主権者である国民の浄財で支えられるものです。国民一人一人が自ら支持する政党に寄附することは主権者として政治に参加する権利そのもの、国民の代表を選ぶ選挙権、投票権と結びついた国民固有の権利です。

 一方、企業・団体献金は、本質的に政治を買収する賄賂です。営利を目的とする企業が個人をはるかに超える巨額の金の力で政治に影響を与え、自己の利益を図れば、政治は大企業、財界に向けたものになってしまうことは明らかです。選挙権を持たない企業の献金は国民主権と相入れず、国民の参政権を侵害するものです。

 石破総理を始め自民党は、企業献金を正当化する際、一九七〇年の最高裁判決を持ち出しますが、この判決は、企業・団体献金の弊害を認め、その対策は立法政策にまつべきと述べており、企業・団体献金を禁止する立法を否定していません。今なおこの判決にしがみつくのは、国民の権利を侵害している実態から目をそらし、立法府が積み重ねた議論を無視するものです。

 また、昨年の法改定で、外国人、外国法人等によるパーティー券購入を禁止としながら、日本法人で五年以上上場している外資系企業を禁止の対象から除外しています。外国人等からの献金は国家主権に関わるといいながら、特例を設け、献金もパーティー券購入も温存したことは容認できません。

 政治のゆがみを正し、国民主権を貫くためにも、企業・団体献金の禁止が必要です。政党支部への献金、政治資金パーティー券の購入という二つの抜け道を塞ぐことこそ行うべきです。

 政治資金は、国民の不断の監視と批判の下に置くべきものです。政治資金の収支をチェックするのは、第三者機関ではなく国民です。現行の政治資金監査制度の導入後も事件、問題が相次いでおり、収支報告書の形式上の適正すら確認できていないのが実態です。お墨つきを与えるだけの監査制度を残し、更に屋上屋を重ねて第三者機関で監視するなど、隠れみのでしかありません。

 この間の、政治資金の公開を後退させる改悪を行ったまま公開強化というのはまやかしです。収支報告書は公的に永久に残すこと、速やかにそのまま国民に公開することこそ徹底すべきです。

 以上、発言を終わります。

【皇位継承の在り方に関する全体会議】「男系男子の養子縁組、国民の理解を得られない」と主張

 衆参両院の皇位継承の在り方に関する全体会議が衆院議長公邸で行われ、政府の有識者会議の報告書が提案している「皇統に属する男系男子を養子に迎えること」を論点にして意見交換しました。

 私は「天皇は男系男子によって継承されるべきということが『不動の原則』になっている」と批判。多様な性を持つ人で構成される日本国民の象徴である天皇を男性に限定する合理的理由はなく、男女平等を掲げる日本国憲法の趣旨に反するとして「女性天皇を認めることは憲法の条項と精神に照らして合理性を持つ。女系天皇も同じ理由から認められるべきだ」と主張しました。

 皇位継承資格を女性にも認めることは2005年の有識者会議の報告書が提案していますが、今回の報告書は女性天皇の検討を棚上げし、皇統に属する男系男子を養子縁組で皇族とすることを提案しています。

 私は「事実上、女性天皇を否定するものだ。すでに75年以上も日本国民として過ごしてきた旧皇族の子孫から国民の権利を奪い、『皇統の継承』と称して600年遠い血筋をさかのぼるなど、国民の理解は得られない」と指摘しました。

 私は、「男系男子を不動の原則とした議論ではなく、『女性天皇』等について正面から検討すべきだ」と強調しました。


天皇 男性限定の理由ない/皇位継承全体会議/塩川氏が主張

「しんぶん赤旗」3月12日・2面より

 衆参両院は10日、皇位継承のあり方に関する全体会議を衆院議長公邸で開き、政府の有識者会議の報告書が提案している「皇統に属する男系男子を養子に迎えること」を論点に意見交換しました。

 日本共産党の塩川鉄也国対委員長は「天皇は男系男子によって継承されるべきということが『不動の原則』になっている」と批判。多様な性を持つ人で構成される日本国民の象徴である天皇を男性に限定する合理的理由はなく、男女平等を掲げる日本国憲法の趣旨に反するとして「女性天皇を認めることは憲法の条項と精神に照らして合理性を持つ。女系天皇も同じ理由から認められるべきだ」と主張しました。

 皇位継承資格を女性にも認めることは2005年の有識者会議の報告書が提案していますが、今回の報告書は女性天皇の検討を棚上げし、皇統に属する男系男子を養子縁組で皇族とすることを提案しています。塩川氏は「事実上、女性天皇を否定するものだ。すでに75年以上も日本国民として過ごしてきた旧皇族の子孫から国民の権利を奪い、『皇統の継承』と称して600年も遠い血筋をさかのぼるなど、国民の理解は得られない」と指摘しました。

 塩川氏は、男系男子を不動の原則とした議論ではなく、「女性天皇などについて正面から検討すべきだ」と強調しました。

入間市議選告示

 日本共産党は安東よし子・佐藤ただし・たやま雅子の現有3議席実現をめざします。

 たやま雅子候補の応援に。

 学校給食費の無償化、公共施設統廃合計画の見直しを公約。

 高額療養費上限額引き上げ「凍結」は重要。ぜひとも撤回を!

 大軍拡ストップ、平和と暮らしを守る日本共産党を大きく!

 

 


埼玉・入間市議選/安道氏・佐藤氏・たやま氏立候補

「しんぶん赤旗」3月11日・4面より

 埼玉県入間市議選(定数22、立候補26人)が9日告示(16日投票)され、日本共産党の安道よし子(68)、佐藤ただし(65)=以上現=、たやま雅子(61)=新=の3氏が現有議席確保をめざし立候補しました。

 3候補は第一声で、学校給食費の無償化や学校・公民館などの統廃合計画見直し、国民健康保険税の引き下げなどを訴えました。

 塩川鉄也国対委員長・衆院議員、伊藤岳参院議員が応援に駆け付けました。


安心の市へ3候補/埼玉 入間市議選が告示

「しんぶん赤旗」3月11日・10面より

 9日告示(16日投票)された埼玉県入間市議選(定数22)に現有議席確保をめざし立候補した、日本共産党の安道よし子(68)、佐藤ただし(65)=以上現=、たやま雅子(61)=新=の3候補は第一声で、全員当選へ決意を語りました。

 3候補は、現市政とオール与党の市議会が耐震性不足を理由に市民会館を閉鎖したまま再開せず、学校・公民館の統廃合計画や介護が必要な高齢者のタクシー利用助成の廃止を進めてきたことを批判。学校給食の無償化や国民健康保険税の引き下げ、西武鉄道の駅無人化撤回などの実現で、「子育て世代も高齢者も、障害者も安心して生きられる入間市をつくります」と訴えました。

 塩川鉄也国対委員長・衆院議員、伊藤岳参院議員、城下のり子県議らが応援演説。塩川氏は、石破自公政権は社会保障に冷たい一方、航空自衛隊入間基地の強靱(きょうじん)化など大軍拡を進めてきたとして「国民・市民の暮らしと平和を守る先頭に立って頑張る共産党の3議席の実現を」と呼びかけました。

 市議選には、共産党3、公明党4、国民民主1など計26人が立候補。各候補の第一声に国会議員などが応援に駆けつけ、大激戦となっています。

関東地方の主な米軍・自衛隊施設に関する2025年度予算案について(2025年3月7日)

関東地方の主な米軍・自衛隊施設に関する2025年度予算案の内容が明らかになりました。

詳細は以下の通りです。
1.米軍施設(横田飛行場、所沢通信施設、大和田通信所、厚木海軍飛行場)

横田飛行場提供施設整備

歳出ベース40億5000万円

契約ベース41億4500万円

消防署、倉庫(給油機器)、整備用格納庫(C130)、ユーティリティ(給水・給電・給汽)の老朽更新。
厚木海軍飛行場提供施設整備

歳出ベース29億4200万円

契約ベース22億3400万円

汚水排水施設、雨水排水施設、車両工場改築、ユーティリティ(給水)。

所沢通信施設及び大和田通信所に関係する経費は要求していない。

2.陸自駐屯地(朝霞・大宮・相馬原・新町・吉井・宇都宮・北宇都宮・勝田・土浦・霞ヶ浦・古河・朝日・習志野・木更津)及び空自基地(百里・熊谷・立川・横田・府中・入間)における「施設整備費」

朝霞駐屯地 約21億円

隊舎等建替等。概算要求で計上した倉庫・工場建替は先送りに。

(資料)陸上自衛隊朝霞駐屯地における部隊改編について(クリックするとPDFで表示されます)

大宮駐屯地 約3億円
昇降機改修等。概算要求で計上した大宮化学学校における特定物質(毒ガス)分析施設の新設工事は先送り。
相馬原駐屯地 約2億円
通信網の整備。光ケーブル埋設。
新町駐屯地 約0.5億円
通信網の整備。光ケーブル埋設。
吉井分屯地 約1億円
通信網の整備。光ケーブル埋設。概算要求で計上した管理棟老朽更新は先送り。
宇都宮駐屯地 約3億円
通信網の整備。光ケーブル埋設。
北宇都宮駐屯地 約25億円
格納庫の整備等。UHヘリ格納庫の建替工事。
勝田駐屯地 約1億円
通信網の整備等。光ケーブル埋設。
土浦駐屯地 約12億円
実習場の整備等。3Dプリンター実習施設の整備。
霞ヶ浦駐屯地 約3億円
通信網の整備。光ケーブル埋設。
古河駐屯地 計上なし
概算要求で計上した基地内の倉庫建替に伴うボーリング調査経費は、24年度補正予算に前倒し。
朝日分屯地 約1億円
通信網の整備。光ケーブル埋設。
習志野駐屯地 約17億円
庁舎の整備等。
木更津駐屯地 約1億円

空調整備等。概算要求で計上したCH47ヘリの格納庫整備の調査経費は先送り。

(資料)陸上自衛隊木更津駐屯地における部隊改編について(クリックするとPDFで表示されます)

百里基地 約109億円

アラート格納庫のえん体化42億円。航空機隠ぺい用施設の整備29億円。分散パッドの整備1億円。

(資料)航空自衛隊百里基地に関する令和7年度予算案の主要事業について(クリックするとPDFで表示されます)

熊谷基地 約9億円
ボイラー施設の整備等。老朽更新。
横田基地 約1億円
局舎等の改修等。既存施設改修の調査工事。
府中基地 約53億円

宇宙航空団の編成に伴う庁舎の新設。隊舎の改修等

 

 

 

 

(資料)航空自衛隊府中基地に関する令和7年度予算案の主要事業について(クリックするとPDFで表示されます)

入間基地 約79億円

局舎建替(地下化含む)の基本設計、庁舎整備の基本設計等。概算要求で計上していた災害対処拠点地区(地下連絡道)の整備経費は、西武鉄道との調整に時間を要したため、先送り。

 

 

 

 

(資料)航空自衛隊入間基地に関する令和7年度予算案の主要事業について(クリックするとPDFで表示されます)

3.陸上総隊隷下の部隊(司令部および司令部付隊、第一空挺団、第一ヘリ団、中央即応連隊、特殊作戦群、中央特殊武器防護隊、対特殊武器衛生隊、国際活動教育隊、中央情報隊、システム通信団、水陸機動団、電子作戦隊)及びその他の主な部隊に係る予算(装備品等)

陸上総隊司令部及び司令部付隊(朝霞) 計上なし
 
第一空挺団(習志野) 約25億円
13式空挺傘300式、特殊降下傘30式、小銃1千丁、防護服等。
第一ヘリ団(木更津) 約8億円
航空機用整備装置、工具等。
中央即応連隊(宇都宮) 約4億円
トラック等車両更新15両。
特殊作戦群(習志野) 約8億円
「内容は公表できない」
中央特殊武器防護隊(大宮) 約0.0億円
化学剤検知用備品。
対特殊武器衛生隊(三宿) 約0.4億円
生物剤対処用機材。
国際活動教育隊(駒門) 約0.7億円
トラック5両更新。
中央情報隊(朝霞) 計上事業なし。
 
システム通信団(市ヶ谷) 約0.0億円
燃料缶。
水陸機動団(相浦) 約51億円
水際地雷原対処装置2式、小銃等。
電子作戦隊(朝霞) 約116億円
ネットワーク電子戦システム(NEWS)。
大井通信所(ふじみ野市) 約5億8000万円
保全警備システム(監視カメラ・電気室)の整備4000万円。施設の整備5億4000万円。概算要求で計上していた保全警備システムの整備経費の一部6500万円を24年度補正予算に前倒し。
防衛医科大学校(所沢) 約324億円
医薬備品の整備等約34億円、患者に要する医療費約51億円、インフラ等整備費(施設整備)約58億円、学校の機能を維持する経費(維持管理費)約181億円(大学内システム更新等)。防衛医学研究センター備品費5500万円。外傷・熱傷・事態対処医療センター備品費約1.8億円(ICUベッド2式等)。
航空医学実験隊(入間) 約2億円
今年度末に、航空医学実験隊及び航空安全管理隊を廃止し、これらの機能を統合した航空医学安全研究隊を新編。予算は航空医学安全研究隊の事業を計上。機材、消耗品費、移動費等。
航空機動衛生隊(小牧) 約6億円
小牧基地から入間基地に移転するための庁舎建設5.9億円(令和9年度末までに移転の予定)、訓練機材1230万円。
警戒航空団第二飛行群(電子飛行測定隊及び電子作戦隊)(入間) 約496億円
電波情報収集機(RC-2)の取得。
陸自化学学校(大宮) 486万円
訓練用化学剤353万円、消耗品・図書類16万円、旅費・宿泊費117万円。

 

【内閣委員会】下水道の民間委託押し付けやめよ

 私は、埼玉県八潮市で発生した下水道破損に伴う道路陥没事故について、下水道の維持管理の困難さに着目した財政支援を求めるとともに、民間委託を推進するウォーターPPPを押し付ける政府を追及しました。

 私は、国土交通省が設置した対策検討委員会の家田仁委員長が、今回の事故の影響は激甚災害に相当するような重大な事態だと指摘するとともに、下水道の維持管理の困難さについて、▽常に上流から水が流れていて止めることが困難で、かつ迂回路を持たない▽地下の構造物の点検は人が入ることが難しい▽周辺の地盤の状況も不確定要素が大きい、などを挙げていることを紹介。復旧工事に対する補助嵩上げや下水道事業に対する特別の財政措置が必要だと強調しました。国土交通省は「しっかり支援できるよう検討していく」と従来通りの答弁に留まりました。

 私は、国が汚水管の改築に係る国費支援に関して、27年度以降、ウォーターPPP導入を決定済みであることを要件化するとしていることに対して「PPPを導入しなければ国の交付金を出さないなどという脅しのようなやり方は許されない」と批判。伊東良孝内閣府特命担当大臣は「一理あるなという思いだ」と述べつつ、具体策については答えませんでした。

 私は22年から上工下水道一体での官民連携事業が行われている宮城県では、運営権者は更新投資を378億円、人件費等を183億円削減する提案をしていると指摘。民間の利益追求のために安全のコストが削減されることになるとして「PPPの押し付けはやめよ」と主張しました。

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「議事録」

第217回通常国会 令和7年3月7日(金曜日)内閣委員会 第5号

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 埼玉県八潮市の下水道破損に伴う道路陥没事故に関連して、ウォーターPPP等について伊東大臣にお尋ねをいたします。

 トラックドライバーの救出に御尽力をいただきたいと思います。陥没事故現場のすぐ下流にあります中川流域の下水道処理施設は、全国に二千二百ある下水道事業の中で九番目に大規模で、破損により、下水道を利用する百二十万人の住民の方の生活に深刻な影響が出ました。

 国交省にお尋ねします。

 国交省の対策検討委員会では、政策研究大学院大学の家田仁委員長が、百二十万人という人数は一つの大都市、これが非常に長期にわたって影響を受けているというのは、自然災害でいえば激甚災害に相当するような重大な事態だと述べておられます。

 検討委員会の議論では、事故発生など緊急時における財政支援なども検討すべきという意見も出されております。八潮市の下水道復旧工事に対して、補助かさ上げなど、国が特別の財政支援を行うべきではありませんか。

○松原政府参考人 お答え申し上げます。

 国土交通省では、救助活動や下水道の応急復旧が速やかに進むよう、専門家による技術的助言を行うとともに、陥没箇所の水位を低下させるため排水ポンプ車を配備するなどの支援を行っているところです。

 復旧に向けましては、埼玉県が設置した復旧工法検討に関する有識者委員会に国土交通省の職員も参加するなどの技術的支援を行っておるところでございます。また、財政支援につきましても、復旧工事の内容などを踏まえつつ、しっかり支援できるよう検討してまいります。

○塩川委員 しっかり支援できるよう検討すると。その中身を具体的に示してもらいたいと思います。

 家田委員長は、下水道というのは上流から水が流れてくる、ほとんど止めることができない、しかも迂回路を持っていない、また、地下に設けられている構造物の点検は非常に難しい、中に人が入ることが難しいし、構造物の周辺の地盤の状況も不確定要素が大きいと指摘しておられます。硫化水素発生による施設の腐食という問題もあるわけであります。

 道路やトンネル、鉄道、河川施設といった他のインフラと大きく異なるのが下水道事業であります。このような下水道事業の更新に対する特別な財政措置ということを考える必要があるのではないのか、この点についても国交省にお尋ねします。

○松原政府参考人 お答え申し上げます。

 地下に埋設されている下水道は、老朽化が進行していることから、計画的な施設の更新や長寿命化を着実に実施するため、予防保全型メンテナンスへの転換を加速することが重要であると認識しております。

 そのため、国土交通省では、点検、調査に関する技術の開発など技術的支援に取り組むとともに、地方公共団体に対し、下水道ストックマネジメント計画の策定を求めた上で、この計画に位置づけられた施設の点検、調査や、その結果に基づく計画的な改築更新などの重要な対策について財政支援を行っているところです。

 また、国土強靱化実施中期計画の策定方針では、下水道の老朽化対策について、埼玉県八潮市での道路陥没事故も踏まえて検討することが位置づけられており、今回のような大規模な事故の再発を防止することができるよう、実施中期計画に必要な施策を盛り込むべく調整を進めてまいります。

 引き続き、今回の道路陥没事故も踏まえ、必要な技術的、財政的支援を行い、強靱で持続可能な下水道システムの構築に取り組んでまいります。

○塩川委員 下水道は他のインフラにはないような特殊性を持っている、そういった下水道事業に対する独自の財政措置というのは必要だ。当然、今回の八潮市における下水道破損の事故に伴う特別の財政措置を国として行うことを強く求めるものであります。

 伊東大臣にお尋ねします。

 下水道事業に関して、国は民間委託の推進を図り、PPP、PFI事業の推進を図ってきました。今回の事故に関する埼玉県の国への要望書では、「現在、国が推進しているウォーターPPPについては、インフラの長期に渡る更新に目途がつくまでは、慎重に検討していただくようお願いします。また、下水道に対する国の財政的支援については、ウォーターPPPを前提条件としない制度設計を再考いただくようお願いします。」と、国によるウォーターPPPの推進に対して慎重な対応を求めております。

 国は、汚水管の改築に係る国費支援に関して、ウォーターPPP導入を決定済みであることを令和九年度以降に要件化するとしております。ウォーターPPPを導入しなければ国の交付金は出さないなどという脅しのようなやり方は許されない。ウォーターPPPの押しつけはやめるべきではありませんか。

○伊東国務大臣 今回の事故、恐らく想像するに、下水道の破損、漏れたところから水が流れ出し、それが周りを浸食して拡大していったもの、このように思うところであります。

 もう少し一体的、計画的、広範囲にきちっとした流量あるいは流れる形を想像して行っていれば、もう少し違ったかなという思いがするところでありますけれども、今回は、そういった面では、老朽化する下水道施設、設備の中で、やはり一部の破損あるいは老朽化からこれが大きく進展してしまったと思うところでありまして、本当はもう少し大規模に、きちっとした形で整備計画をされるべきもの、私はそういうふうな受け止め方をしたところであります。

 ですから、国がウォーターPPPに最終的に地方公共団体が責任を持つことを前提にして今度事業を進めるということであろうかと思いますので、その点、私から見ますと、それもまた一理あるところもあるなという、そんな思いをちょっとしているところでもあります。

 いずれにいたしましても、国土交通省等々としっかり打合せをしながら、どこかが破損しても、流れても、流出しても、それが止めどもなく拡大してしまうようなことのないような計画の立て方、工事の在り方、これを研究していかなければという、そんな思いをしているところであります。

○塩川委員 県の要望に一理あるなというお話であれば、これはやはりウォーターPPPについて見直してほしいというこの県の要望を正面から受け止めるべきだと。

 埼玉県は、県議会の答弁でも、PPPの導入に当たっては、モニタリングや情報開示、災害時の対応など様々な課題があると、PPPに関する懸念を述べてきたところであります。

 ウォーターPPPの先進事例として、宮城県では二〇二二年四月から、上水道、工業用水と下水道一体のコンセッション方式でのPFI事業が行われております。宮城県はこれにより約一〇%のコストが削減できるとしていますが、本当にそれで削減されるものは何なのか。

 事業者の提案は、二十年間で上工下水道の更新投資を三百七十八億円削減し、人件費等を百八十三億円削減するというものであります。修繕費を百一億円増やして設備の延命化を図るということですが、安定した運営と維持管理に欠かせない設備更新や人件費を大幅にカットをすれば、安全性の後退は避けられない。

 民間の利益追求のために安全のためのコストが削減されるということになるのではありませんか。

○伊東国務大臣 両方とも、二つの考え方があると思います。

 一つは、計画的あるいは大規模的に整備をして、つなぎがきちっとなされていること、あるいは、場当たり的に、その地域地域、小さく小さく工事が行われて、継ぎ足しで行われてきているようなところ、これはいずれにしても、そういうところでの脆弱性というのは指摘されるのではないかなと思うところでもありまして、それらを含めて、やはりしっかりした見直しをしていかなければならないのではないか、このように思うところであります。

○塩川委員 二十年間の契約で、終わったら、ぼろぼろになった施設が押しつけられるだけだ、こんなことでは県民、市民の暮らしは守れないという点でも、問題だらけのPFIは、押しつけはきっぱりとやめるべきだということを申し上げて、質問を終わります。