予算の衆院通過は、少数与党の自公がこれまでの政治を変えないまま、一部野党の取り込みをはかったもの。
大軍拡と大企業優遇はそのままに、医療費4兆円削減など認められない。
二つのゆがみを正すとともに、国民要求実現のために全力を挙げます!
東日本大震災の津波被害で高台移転した住宅が山林火災で損害を被る事態に。
避難者への情報提供、住宅支援、わかめ漁など生業支援、被災者生活再建支援法の適用・制度拡充などただちに。
大船渡火災 支援が必要/共産党が対策本部設置、初会合
日本共産党は3日、「大船渡山林火災対策本部」(本部長・小池晃書記局長、事務局長・岩渕友参院議員)を設置し、国会内で初会合を開きました。田村智子委員長も参加しました。高橋千鶴子本部長代理・前衆院議員がオンラインで、2日に党岩手県議団、大船渡市議団、陸前高田市議団らと現地に入り、調査した被災地の現状や国への要望などを報告しました。現地に支援センターを設置し、募金を呼びかけます。(募金への協力のお願い2面)
小池氏は「住民は津波被害に続いて山林火災に遭い、非常に深刻で苦しい状況に陥っている。大規模な支援が必要だ」と話しました。
高橋氏は、火災面積が3日現在、2100ヘクタールまで拡大していると説明。1896世帯4596人(人口の14%)に避難指示が出ていると述べ、被災者の最大の要求は「情報がほしい」「わが家はどうなっているのか」というもので、「国の対応が求められている」と報告しました。また、「空いている災害公営住宅は四十数件あるので高齢者などを優先してほしいが、その数では当然足りないので民家の空き家の活用など検討が必要」と指摘。「津波被害の後の山林火災で2度目の住宅再建ができるかどうか、再建支援がうけられるのか、二重ローンとならないようにしてほしい」と強調しました。
「大船渡山林火災緊急募金」へのご協力を訴えます/日本共産党中央委員会/2025年3月4日
「しんぶん赤旗」3月4日・2面より
2月26日に発生した岩手県大船渡市での山林火災によって、甚大な被害が発生しています。避難指示は、3月1日現在、1896世帯4596人(人口の14%)にもおよんでいます。3月3日現在で、焼失面積は2100ヘクタール、建物被害は掌握できないほどです。総務省消防庁は、今回の焼失面積は、これまでに日本で発生した山林火災を上回るものとしています。
日本共産党は、被災されたみなさまに心からのお悔やみとお見舞い申し上げ、救援・救命活動や要望の聞き取りなどの活動に全力をあげるとともに、全国のみなさんに、緊急募金へのご協力を訴えます。
お預かりした救援募金は、日本共産党の政治活動のための資金と区別し、全額を被災者救援、被災自治体のために活用します。
募金は、下記で受け付けています。
【郵便振替】
口座番号 00170―9―140321
加入者名 日本共産党災害募金係
「払込取扱票」通信欄に「大船渡災害募金」などを必ずご記入ください。手数料はご負担願います。
日本共産党、立憲民主党、日本維新の会、国民民主党、れいわ新選組、有志の会の6党・会派は28日、国対委員長会談を開き、自民党裏金事件を巡る旧安倍派会計責任者の松本淳一郎氏の参考人聴取を受け、証言とこれまでの旧安倍派幹部らの発言に食い違いがあるとして、塩谷立、西村康稔、下村博文、世耕弘成の旧安倍派幹部4氏の国会招致が必要だとの認識で一致しました。
私は、真相解明のため4氏の旧安倍派幹部の証人喚問が必要だと強調。さらに、松本氏が裏金づくりが20年以上前から行われていた可能性があったと証言したとして、「20年以上前の清和研会長だった森喜朗元首相の証人喚問が必要だ」と主張しました。
2025年度予算案審議について私は、予算案修正をめぐる自民・公明・維新の3党合意は大きな問題があると指摘。社会保障の公費負担を28年度までに1・1兆円削減するとした政府の「改革工程」や、国民医療費の総額の4兆円削減を盛り込んでいることをあげ、「国民生活を脅かすことになりかねない極めて重大な中身であり、十分な議論をすることが必要だ」と強調しました。
私は、昨年12月に米軍所沢通信基地で発生した火災について、地元の埼玉西部消防組合が米軍の要請で消火活動に従事したものの火災原因の調査を行うことができない実態を告発、地位協定の抜本的改定を求めました。
私は、近隣の美原中学校において休み時間中煙を吸わないように校舎に戻る、下校の際は同基地を避けるなど「地域住民の生活に多大な影響を及ぼしかねない火災だった」と指摘。消防法に基づけば原因究明は自治体消防の責務であるのに「鎮火に当たった地元自治体消防が火災原因究明に関与できないのはおかしい」と迫ったのに対し、村上誠一郎総務大臣は「日米地位協定に基づき、立入りについては米側の個別同意が必要と承知」と述べるにとどまりました。
同基地のほかにも近隣の朝霞キャンプや大和田通信所など、米軍基地と地元消防の間で消防相互応援協定を締結しているケースがありますが、その内容は必ずしも公表されているわけではありません。
私は「地元の住民の暮らし・安全を守るためにも、火災原因の究明に地元消防が関与する仕組みをつくることが必要」と協定の公表、米軍特権を認めている日米地位協定の抜本改定を強く求めました。
「議事録」
第217回通常国会 令和7年2月27日(木曜日)予算委員会第二分科会 第1号
○塩川分科員 日本共産党の塩川鉄也です。
今日は、まず、埼玉県八潮市の下水道破損に伴う道路陥没事故について質問をいたします。
現地におけるトラックドライバーの方の救出に是非とも御尽力をいただきたい。また、陥没事故現場のすぐ下流にあります中川流域の下水道処理施設は、全国に二千二百ある下水道事業の中で九番目という大規模な施設であります。下水道を利用する百二十万人の住民生活に深刻な影響が出ました。事故現場周辺の住民の方は、下水の臭いや工事の騒音にも悩まされております。上流部では、下水の河川への放流が継続をし、流域住民の生活環境を害するものとなっております。
このような大規模施設で下水道管の破損が起きれば住民に多大な負担がかかることが明らかになりました。この間、国が下水道事業の広域化を推進してきたのに、大規模施設に着目した点検基準を定めていなかった責任は重大であります。
また、国が下水道事業への公営企業会計の適用を推進したため、下水道事業は、住民による受益者負担の原則に基づき、独立採算で運営をされております。事故の復旧工事の費用を、下水道料金という形で迷惑を被っている住民に負担を転嫁することがあってはならない。
そこで、まず国交省にお尋ねをします。埼玉県は、八潮市における道路陥没事故に係る中央幹線復旧対策工事の事業費四十億円、それ以外に、応急復旧に十・五億円の経費としております。埼玉県から国への要望書においては、応急復旧及び本復旧に対し、国からの財政的支援を要請しておりますが、これにどう応える考えでしょうか。
○松原政府参考人 お答え申し上げます。
国土交通省では、救助活動や下水道の応急復旧が速やかに進むよう、現地に専門家を派遣するとともに、陥没箇所の水位を低下させるため排水ポンプ車を派遣するなど、最大限の支援を行っています。
また、復旧に向けては、復旧工法の検討に関して埼玉県が設置した有識者委員会に国土交通省の職員も参加するなど、関係機関と連携して取組を進めているところでございますが、財政支援については、復旧工事の内容などを踏まえつつ、しっかりと支援できるよう検討してまいります。
○塩川分科員 改築においては、これは社会資本整備交付金の交付、そういう対象にもなるということは、それでよろしいでしょうか。
○松原政府参考人 繰り返しになりますが、復旧工事の内容などを踏まえながら、しっかり支援できるよう検討してまいります。
○塩川分科員 改築の場合は交付金の補助対象にはなる。
○松原政府参考人 一般論として申し上げれば、改築に関する交付金の措置というのがございます。
○塩川分科員 また、この場合、改築に当たるかどうかというところも含めてあると思うんですけれども、実際には、改築ではなく修繕という形で対応する場合もあるかもしれない。でも、そういった修繕については現行交付金の対象外だというふうに聞いているんですが、こういった大規模な施設の破損が生じているといった点についても、将来に向けては、予防保全の観点からも、これはやはり修繕についても補助対象とする、そういうことが実際の対応を迅速に行うことにつながるんじゃないのか、予防保全の観点からも、修繕も補助対象とする、そういうことも考えるべきではないかと思いますが、いかがですか。
○松原政府参考人 まずは、本件に関する財政支援についてしっかり支援できるよう検討を進めてまいりたいと考えております。
○塩川分科員 国交省が検討委員会を立ち上げました。政策研究大学院大学の家田仁先生が委員長をされておりますが、家田委員長が、その会議の場で、百二十万人という人数は一つの大都市、これが非常に長期にわたって影響を受けているというのは、自然災害でいえば激甚災害に相当するような重大な事態だと述べておられました。
そういう点でいえば、復旧工事に対して、そういう意味では、激甚災害相当というのであれば、補助のかさ上げを行うとか、こういった国としての特別な財政支援をこの際きちんと考え、具体化をすべきではありませんか。
○松原政府参考人 本件について、まだ復旧工法の検討なども進めているところでございますし、そうした内容も踏まえながら、まずは、本件についてどうやって支援できるのか、そこのところをしっかり検討していきたいと考えております。
○塩川分科員 特別な事態、事例ということで、県から国への、財政的な支援が具体的に要望されているわけですから、それにどう応えるのかということについては、県ともよく連携もしながらということでありますけれども、しかるべき対処を求めたいと思っております。
実際に、こういった下水道管の事故において、下水の排出を抑制してほしいという県からの要請があるわけであります。ですから、飲食店など、事業者の方への影響も大変大きなものがありました。
お近くのラーメン屋さんなどでは、いろいろ料理を提供するにしてみても、どうしても水洗いが必要になるような油を使用する料理とかというのを控えなくちゃならない。県の下水道自粛要請に応えて、鍋や皿を洗うのに大量の水が必要ないため物などについては、こういうのは控える、注文については申し訳ないけれどもとお断りをするということなんかも含めて、事業者の方々に大きな影響が出ているわけであります。
こういった営業に影響を受けた事業者への補償が必要ですが、この点については、国としてはどう対応されるのか。
○松原政府参考人 営業に影響を受けた事業者への支援についてのお尋ねにつきましては、国土交通省としてはコメントを差し控えさせていただければと思います。
国土交通省としては、復旧工事に向けた財政支援について、しっかり支援できるよう検討してまいりたいと考えております。
○塩川分科員 村上大臣、どうでしょうか。
実際、事業者の方がいろいろな影響を受けている、補償が必要じゃないかという声というのは上がっているわけです。
この前、県議会でも、埼玉県側からは、こういった損失の補填については、全容がある程度明らかになり次第速やかに予算を含めて適切に対応していきたいと述べているそうですけれども、是非、国としても、しかるべき支援、対応策を考えていただきたいと思うんですが、大臣のお立場でお答えできることがあれば。
○村上国務大臣 我々としましては、復旧に要する経費につきましては、下水道の道路の建設改良費に対して下水道事業債を活用する場合には、いろいろな地方交付税措置等を講じているんですが、その事故における損失については、我々の管轄ではないような気がしますので、ちょっとコメントは差し控えたいと思います。
○塩川分科員 具体的な損失の補償などについて、やはり目配りをしていくということは必要じゃないかなと思うんですが、その辺のお考えだけでも。
○村上国務大臣 私も法学部出身ですが、法的な因果関係が例えば総務省に対してあるのかどうかという面では、私は今のこの事件においてはないような気がしますので、そこら辺はまた別の担当の方でお考えいただけたらと思います。
○塩川分科員 後でも少しやり取りしますが、やはり、企業会計に移行する、そういったことについて総務省が促してきたという経緯の中で、広域化も行われた中での大規模なこういった破損が生じている、そういう経緯なども含めて、国全体としても、しかるべき補償に当たっての対処が必要ではないのかということは申し上げておきます。
今、若干お答えもあったんですけれども、大臣に重ねて伺いますが、埼玉県から国への要望書では、今回の応急復旧及び本復旧に際しては、関係地方公共団体の負担も多大になることから、一般会計の負担が生じる場合は、地方交付税による財政措置など、地方公共団体及び住民負担の軽減を図るよう要請をしておりますが、これにどうお応えいただけるでしょうか。
○村上国務大臣 先ほどちょっと触れましたけれども、復旧に要する経費につきましては、総務省におきまして、下水道の道路の建設改良費に対しましては、下水道事業債を活用する場合、その元利償還金の一部に地方交付税措置を講じております。
今後とも、埼玉県と連携して、この地方財政措置の活用について対応していきたい、そういうふうに考えております。
○塩川分科員 国の責任も問われる今回の下水管事故について、その負担を国が責任を持って対処すべきだということを申し上げておきます。
続けて国交省にお尋ねしますが、下水道事業に関して、国は民間委託の推進を図り、PPP、PFI事業の推進を図ってきております。
今回のこの事故に当たっての埼玉県の国への要望書では、現在、国が推進しているウォーターPPPについては、インフラの長期にわたる更新にめどがつくまでは、慎重に検討していただくようお願いします、また、下水道に対する国の財政的支援については、ウォーターPPPを前提条件としない制度設計を再考いただくようお願いしますと、国によるウォーターPPPの推進に対して慎重な対応を求めております。
国は、汚水管の改築に係る国費支援に関して、ウォーターPPP導入を決定済みであることを令和九年度以降に要件化するとしております。つまり、ウォーターPPPを導入しなければ国の交付金は出しませんよという脅しのようなやり方、これは許されるものではありません。このようなウォーターPPPの押しつけはやめるべきではありませんか。
○松原政府参考人 お答え申し上げます。
人口減少が進み、自治体の下水道事業を担う職員の方々が減少などする中で、ウォーターPPPという官民連携の取組は、地方公共団体が最終的な責任を持つことを前提に、民間の人材や技術力の活用によりまして、下水道施設の維持管理や更新を長期的観点から効果的に進められるなどのメリットがあり、下水道の基盤強化に向けた有効な施策であると認識しております。
そのため、国土交通省におきましては、下水道事業を将来にわたって持続可能なものとするために、委員御指摘ございました、令和九年度以降、防災・安全交付金などを活用した下水道管の改築に当たって、ウォーターPPPの導入を決定済みであることを交付要件とし、その導入促進を図っているところでございます。
地域の実情に即したウォーターPPPの推進が下水道施設の更新の加速化や下水道事業の持続性の向上につながるよう、引き続き、自治体の御意見などを伺いながら、よりよい制度づくりに努めてまいります。
○塩川分科員 PFIを含むPPPの事業に当たって、元々その発祥のイギリスなどでも、もうPFI事業についてはやめましょうと大きな見直しの議論が起こっているときに、周回遅れでこれを進めようとしているのが日本の事業でありますから、こういう点について、今、こういった具体の事項にも関わる要望が県からも上がっているようなときに、見直しこそ必要であります。
埼玉県は、県議会における答弁でも、PPPの導入に当たっては、モニタリングや情報開示、災害時の対応など様々な課題があると、PPPに関する懸念を述べております。
国交省にお尋ねしますが、ウォーターPPPの一つである管理・更新一体マネジメント方式では、契約時に見積もった工事費や維持管理費を削減できた場合などに削減分をシェアするプロフィットシェアの導入を掲げております。これは、民間の利益追求によって、安全のためのコスト、維持管理費の削減、それがもうけになる、こういった安全のためのコストが削減されることになりはしないのか、こういうことを覚えるわけですが、その点についてはいかがでしょうか。
○松原政府参考人 お答え申し上げます。
官民連携を導入した場合でも、下水道管理者は地方公共団体でございまして、地方公共団体が事業の最終責任を負った上で実施することとされておりまして、民間事業者が提供するサービス内容や水準、災害対応等の安全、安心に関する役割分担といった管理運営の内容については、契約で明確に規定することとなっております。
また、地方公共団体は、民間事業者が契約に従い適正かつ確実にサービスを提供しているか、実施状況を定期的にモニタリングすることとしております。モニタリングの結果、求める基準を満たさない場合には、地方公共団体が民間事業者に対して速やかに改善の指示などをすることも可能でございます。
なお、官民連携の取組につきましては、これまで大きな問題は生じていないと聞いておりまして、事業が適切に実施されているものと認識しているところでございます。
○塩川分科員 契約に基づいて、元の基準について妥当かどうかのモニタリングをするというんですけれども、その元の基準そのものが妥当だったのかということが、是正するというのができないというのがPFI、PPP事業の問題点であるわけで、初期設定について問題があったときに、じゃ、それをしかるべく是正できるのかといったことで、民間の利益との関係でもその点が非常に課題となっているところであります。
官民連携のPFI、PPP事業のメリットとして、民間の人材や技術力の活用ということがありますけれども、自治体側にそういった技術継承が困難になるんじゃないのかという懸念の声があるわけですよ。
埼玉県も検討会議を行っておりますが、これまで、ウォーターPPPを含めた検討を行う会議において、委員の方の意見としても、ウォーターPPPを導入し始めると埼玉県の中にノウハウが残らなくなってしまうのではないか、例えば十年間発注して、民間企業も営利目的でやっているので、そこで何か問題があったとき、やはり違う事業者に委託したいとなったときに、県の方にノウハウが残らないとなかなか苦しいことになる、事業者を別に変えようと思ったときに、自治体側にノウハウ、技術、技能、蓄積がなければ、そういった新たに切り替えることについても困難さが伴うという意見も出ておりましたし、ウォーターPPPについては、他の地方公共団体でも技術継承がしっかりできるかというところが大きな懸念として挙げられている、このように危惧の声が上がっているわけであります。
このような、PPPなど民間委託が進むことで自治体における技術継承が困難となるのではないか、こういう危惧については、国としてはどのように受け止めておられますか。
○松原政府参考人 ウォーターPPPについては、自治体の技術系職員を始めとした下水道事業を担う方々が減少する中で、下水道の基盤強化に向けた有効な施策であると認識しておるところでございます。
また、官民連携においても、地方公共団体が責任を持って下水道事業を適切に行うために、議員御指摘のとおり、地方公共団体職員の技術承継は重要だと考えております。
官民連携の事例におきましては、先ほども申し上げたモニタリングの実施により、民間事業者が提供するサービス内容や水準が契約どおりに適切に行われているのかを確認するほか、地方公共団体の職員が運営状況などについて民間事業者と定期的に打合せや報告徴収を行っております。
さらに、地方公共団体の職員の方が民間事業者による事業運営に関する研修に参加し、技術やノウハウの共有を図る取組や、民間に委託する処理区を限定して、地方公共団体の職員が事業を行う部分を残すなどによりまして、地方公共団体における技術承継のための工夫をしていると承知しております。
国土交通省といたしましては、持続可能な下水道事業に向けまして、職員の技術継承の重要性やその事例について、ガイドラインなどで地方公共団体に周知、情報提供してまいります。
○塩川分科員 しかし、実際に下水道事業における職員数というのは大幅に減ってきているというのがこれまでの推移であります。
大臣にお尋ねいたしますが、下水道事業において国が広域化、民間活用を推進したことによって、下水道事業に従事する職員数は大幅に削減をされてきました。下水道職員数は、一九九五年の約四万七千人から、二〇二三年には約二万七千人へと激減をしております。埼玉県においても、二〇〇四年の二百四十八人から二〇二四年の二百二十九人へとの減少もあります。こういったことが下水道事業の維持管理や技術、技能継承を困難にしてきているのではないのか。その背景に、地方行革指針などを踏まえた、総務省が自治体職員における技能労務職員の正規採用の抑制や業務の民間委託を進めたことが今回のような事故の遠因となっているのではないのか。ここの点について、大臣、お答えください。
○村上国務大臣 御承知のように、埼玉県八潮市における今回の道路陥没事故につきましては、事故原因に係る調査が進められているというふうに承知しております。
また、技能労務職員を含む自治体の定員につきましては、各自治体において、行政の合理化、能率化を図るとともに、行政課題に的確に対応できるよう、地域の実情を踏まえつつ、適正な定員管理に努めていただくことが重要と考えております。
一方で、下水道事業については、事業に従事する職員数が減少傾向にある中で、将来にわたり持続可能な経営を確保するための取組を進めることが全国的な課題となっております。
このために、総務省としましては、中長期的な経営の基本計画である経営戦略を適切に策定、改定しながら、計画的に組織、人材の強化を図りつつ、業務効率化にも取り組むよう自治体に助言してまいったところであります。引き続き適切に対応してまいりたい、そういうふうに考えております。
○塩川分科員 技能労務職員については、民間水準と比べると給与も高いからそれを下げろとか民間委託をしろとか、これを推進してきたのは総務省であるわけですから、その結果としてこういった下水道職員の現場の職員数の減少にもつながっているし、そのことが技術、技能継承を困難にして、実際の建設のときにいたようなスタッフが今はほかの部署に移って、維持管理に従事するような専門職員が減らされて、実際配置がされていないとかいう現場の実態を踏まえたときにも、こういった技能労務職員を減らすようなそういったリストラを進めてきた国の姿勢というのは厳しく問われる。こういったことを大本から改めて、必要な職員を配置する地方財政措置というのを求めたいと思っています。
下水道事業におけるウォーターPPPの推進が、民間の利益追求によって安全のためのコストが削減をされる、また、自治体における技術継承が困難となる、さらには、情報開示の後退によって監視機能の低下といった重大な危惧が生じる。宮城県の問題などでもそのことが指摘をされております。こういった国の交付金を脅しの材料にしたウォーターPPPの押しつけはやめるべきだということを申し上げておきます。
残りの時間で、米軍所沢通信基地内の火災問題についてお尋ねします。
昨年十二月二十日午後一時過ぎ、米軍所沢通信基地内で火災が発生し、埼玉西部消防組合の消火活動により午後三時過ぎに鎮火をしましたが、基地内の約一ヘクタールの草地が焼損しました。火災は、基地北側中心部から美原中学校東のアンテナ周辺まで広がり、西側フェンスに沿った歩道部分まで焼け広がりました。
美原中学校では、休み時間中、煙を吸わないように校舎に戻るとか、下校の際は米軍通信基地を避けるなどの対応が取られ、市民生活にも大きな影響がありました。
米軍の要請により、埼玉西部消防組合が基地内に立ち入り消火活動を行いましたが、火災原因の究明に自治体消防は関与しておりません。地域住民の生活に多大な影響を及ぼしかねない火災だったのに、鎮火に当たった地元自治体消防が火災原因究明に関与できないのはおかしいのではないのか、総務大臣としてお答えください。
○村上国務大臣 米軍の所沢通信施設につきましては、地元消防当局である埼玉西部消防局と米軍横田基地との間で消防相互応援協定を締結し、万が一の火災等の発生に備えているものと承知しております。
今般の火災においても当該協定に基づき消火活動が行われたものと認識しておりまして、火災の原因究明についてでありますが、日米地位協定において合衆国側は、その施設・区域内において、それらの設定、運営、警護及び管理のための必要な全ての措置を取ることができることとされております。
日米地位協定の解釈につきましては所管外でありますので、日米地位協定の規定に基づき、在日米軍施設・区域への立入りについては、原則として米側の個別の同意が必要となるというふうに承知しております。
以上であります。
○塩川分科員 本当に地域にまで影響を及ぼしそうな、そういった火災であるにもかかわらず、実際に、それも消火活動を行ったのは自治体消防であるわけです。消防法に基づけば、当然、この火災原因の究明というのは自治体消防の責務として行われているわけなのに、米軍基地内であるがゆえに、その原因究明も自治体消防として明らかにすることができない。これは余りにもおかしいのではないのかということで。
過去にも、一九九〇年にもぼやがあって、それを受けて基地のフェンスに、下の方に消防ホースの貫通孔を作ったということもあったそうですから、米軍基地内には消火設備もないわけで、外務省、米軍基地内の火災の鎮火に当たった地元自治体消防が火災原因究明に関与する仕組み、必要じゃありませんか。
○熊谷政府参考人 お答え申し上げます。
日米地位協定第三条の1に基づきまして、米国は、在日米軍施設・区域内におきまして、それらの設定、運営、警護及び管理のため必要な全ての措置を取ることができるとされております。在日米軍施設・区域への日本側の立入りにつきましては、原則として米側の個別の同意が必要となるということでございます。したがいまして、地元自治体の消防当局による立入り、あるいは原因調査が一概に認められるものではないということでございます。
もっともでございますが、施設・区域の使用に当たりましては、在日米軍は、日米地位協定第三条の3に従いまして、公共の安全に妥当な考慮を払うという必要がございます。
外務省といたしましても、地元の自治体の御意向も踏まえつつ、関係省庁とも連携して、米側と緊密に協力してまいる所存でございます。
○塩川分科員 米軍基地内だと口が挟めないというのが前提になっている地位協定、その下で、地域住民が影響を受けかねない火災についても、その原因の究明について自治体消防が責任を持って行うことができない、これは余りにもおかしいということについて、結局、地位協定ですからという回答だけでは、これでは納得がされない。
例えば、二〇一五年八月に、米陸軍相模原補給廠内の倉庫において爆発を伴う火災が発生しました。事故現場は酸素ボンベ等が保管をされていた場所で、相模原市の消防局は、在日米陸軍からの依頼に基づき、消防隊員を出動させたわけであります。相模原市議会は、在日米陸軍に対して、原因究明に当たっては、最終的な調査結果を発表する前においても、適時適切な情報提供に努めることなどを要請しておりました。その後、在日米陸軍立会いの下、同市職員が基地内に立ち入り、酸素ボンベの保管場所や保管状況を現場確認しております。少なくとも、このような地元自治体の関与を保障すべきだ。
防衛省にお尋ねしますが、米軍と米軍基地所在自治体消防との間で消防相互応援協定が締結されている例があります。米軍所沢通信基地と埼玉西部消防組合は、消防相互応援協定を締結しておりますが、公表しておりません。横浜市や岩国市など、協定文書を公表しているところもあります。埼玉県内にある米軍基地である大和田通信所や、また、キャンプ朝霞など、全国の米軍基地と地元消防との消防相互応援協定はどうなっているか、明らかにしていただきたい。所沢通信基地の協定を始め、協定内容を公表すべきではありませんか。
○森田政府参考人 お答え申し上げます。
米軍基地と地元消防との消防相互応援協定につきまして、防衛省として網羅的に把握しているわけではございませんけれども、お尋ねの大和田通信所、キャンプ朝霞につきましては、地元の消防当局である朝霞地区一部事務組合と横田基地との間で消防相互応援協定が締結されているということを確認しております。
その上で、お尋ねの所沢、あるいは大和田、キャンプ朝霞に係る消防相互応援協定につきましては、米側に確認をしたところ、本協定は二者間で保有するものであり、公表を念頭に置いたものではない旨の回答があり、また、消防当局の方からも同様の認識が示されたところでございます。
このことから、防衛省からはその内容を明らかにすることができないことについては御理解願いたいと存じます。
○田所主査 申合せの時間が経過しましたので、御協力をお願いします。
○塩川分科員 明らかにしている、公表している自治体もあるわけですよ。そういった点においても、やはり地元の住民の暮らし、安全を守るためにも、こういった火災原因の究明に地元消防が関与する仕組みをつくることが必要ですし、そもそも、米軍特権を認めている日米地位協定の抜本改定を求めて、質問を終わります。
私は、埼玉県八潮市で発生した下水道道路陥没事故の復旧工事への財政支援と、営業に影響を受けた事業者への補償を求めると共に、下水道事業を民間にゆだねる「ウォーターPPP(官民連携)」の押し付けをやめるよう政府に迫りました。
私は国土交通省に設置された「下水道等に起因する大規模な道路陥没事故を踏まえた対策検討委員会」の家田仁委員長が「120万人が長期にわたって影響を受けているのは、自然災害でいえば激甚災害に相当するような重大な事態だ」と述べていることを指摘し、「国が下水道事業の広域化を推進してきたのに、大規模施設に着目した点検基準を定めていなかった責任は重大だ」と批判。復旧工事への財政支援を求めました。
村上誠一郎総務大臣は「下水道の建設改良費に対して地方交付税措置を講じている」と述べ、国土交通省は「一般論として、『改築』に対する交付金措置はある。財政支援を行えるよう検討していく」と答えました。
私は「予防保全の観点から『改築』だけでなく『修繕』も対象とすべきではないか」と追及。国交省は「まずは本件に対する財政支援をしっかり検討していく」と答えるに留まりました。
私は埼玉県から国に出されている要望書の中で「下水道事業に対する国の財政支援については、ウォーターPPPを前提条件としない制度設計を求める」としていることを紹介し、PPP/PFIには民間の利益追求による安全のためのコスト削減や、自治体における技術継承が困難になる、情報開示の後退による監視機能の低下、などの問題点があると指摘。「PPPの押し付けはやめよ」と主張しました。
国交省は「令和9年度以降、防災安全交付金などを活用した下水道管の改築にあたってウォーターPPP導入を決定済みであることを交付要件とすることで導入促進を図っている」と拒否しました。
私は、国の地方行革指針により下水道事業に従事する職員数が減り「維持管理や技術継承を困難にしている」として、PPPなどの民間委託方針を撤回し、必要な職員を配置する地方財政措置が必要だと主張しました。
下水道にPPPを強制/衆院予算委分科会/塩川議員が批判
日本共産党の塩川鉄也議員は27日の衆院予算委員会分科会で、埼玉県八潮市で発生した下水道破損に伴う道路陥没事故の復旧工事などへの財政支援や、営業に影響を受けた事業者への補償を求め、下水道事業を民間に委ねる「ウオーターPPP(官民連携)」の押しつけをやめるよう政府に迫りました。
塩川氏は、国土交通省の検討委員会の家田仁委員長が「120万人が長期にわたって影響を受けているのは激甚災害に相当するような重大な事態だ」と述べていると指摘し、「国が下水道事業の広域化を推進してきたのに、大規模施設に着目した点検基準を定めていなかった責任は重大だ」と批判。復旧工事への財政支援を求めました。
村上誠一郎総務相は「下水道の建設改良費に対して下水道事業債を活用する場合、地方交付税措置を講じている」と答弁。国交省は「一般論として改築に対する交付金措置はある。財政支援を行えるよう検討していく」と答えました。
塩川氏は「下水道に対する国の財政支援についてはウオーターPPPを前提条件としない制度設計を」と求める埼玉県の要望書を紹介し、▽民間の利益追求による安全のためのコストの削減▽自治体における技術継承が困難▽情報開示の後退による監視機能の低下―などの問題点を指摘し、「押しつけはやめよ」と批判しました。国交省は「2027年度以降、下水道の改築にあたってウオーターPPP導入を決定済みであることを交付要件としている」と拒否しました。
塩川氏は、国の地方行革指針により下水道事業に従事する職員数が減り「維持管理や技術継承を困難にしてきている」とし、民間委託方針を撤回し、必要な職員を配置する地方財政措置を行えと主張しました。
「議事録」
第217回通常国会 令和7年2月27日(木曜日)予算委員会第二分科会 第1号
○塩川分科員 日本共産党の塩川鉄也です。
今日は、まず、埼玉県八潮市の下水道破損に伴う道路陥没事故について質問をいたします。
現地におけるトラックドライバーの方の救出に是非とも御尽力をいただきたい。また、陥没事故現場のすぐ下流にあります中川流域の下水道処理施設は、全国に二千二百ある下水道事業の中で九番目という大規模な施設であります。下水道を利用する百二十万人の住民生活に深刻な影響が出ました。事故現場周辺の住民の方は、下水の臭いや工事の騒音にも悩まされております。上流部では、下水の河川への放流が継続をし、流域住民の生活環境を害するものとなっております。
このような大規模施設で下水道管の破損が起きれば住民に多大な負担がかかることが明らかになりました。この間、国が下水道事業の広域化を推進してきたのに、大規模施設に着目した点検基準を定めていなかった責任は重大であります。
また、国が下水道事業への公営企業会計の適用を推進したため、下水道事業は、住民による受益者負担の原則に基づき、独立採算で運営をされております。事故の復旧工事の費用を、下水道料金という形で迷惑を被っている住民に負担を転嫁することがあってはならない。
そこで、まず国交省にお尋ねをします。埼玉県は、八潮市における道路陥没事故に係る中央幹線復旧対策工事の事業費四十億円、それ以外に、応急復旧に十・五億円の経費としております。埼玉県から国への要望書においては、応急復旧及び本復旧に対し、国からの財政的支援を要請しておりますが、これにどう応える考えでしょうか。
○松原政府参考人 お答え申し上げます。
国土交通省では、救助活動や下水道の応急復旧が速やかに進むよう、現地に専門家を派遣するとともに、陥没箇所の水位を低下させるため排水ポンプ車を派遣するなど、最大限の支援を行っています。
また、復旧に向けては、復旧工法の検討に関して埼玉県が設置した有識者委員会に国土交通省の職員も参加するなど、関係機関と連携して取組を進めているところでございますが、財政支援については、復旧工事の内容などを踏まえつつ、しっかりと支援できるよう検討してまいります。
○塩川分科員 改築においては、これは社会資本整備交付金の交付、そういう対象にもなるということは、それでよろしいでしょうか。
○松原政府参考人 繰り返しになりますが、復旧工事の内容などを踏まえながら、しっかり支援できるよう検討してまいります。
○塩川分科員 改築の場合は交付金の補助対象にはなる。
○松原政府参考人 一般論として申し上げれば、改築に関する交付金の措置というのがございます。
○塩川分科員 また、この場合、改築に当たるかどうかというところも含めてあると思うんですけれども、実際には、改築ではなく修繕という形で対応する場合もあるかもしれない。でも、そういった修繕については現行交付金の対象外だというふうに聞いているんですが、こういった大規模な施設の破損が生じているといった点についても、将来に向けては、予防保全の観点からも、これはやはり修繕についても補助対象とする、そういうことが実際の対応を迅速に行うことにつながるんじゃないのか、予防保全の観点からも、修繕も補助対象とする、そういうことも考えるべきではないかと思いますが、いかがですか。
○松原政府参考人 まずは、本件に関する財政支援についてしっかり支援できるよう検討を進めてまいりたいと考えております。
○塩川分科員 国交省が検討委員会を立ち上げました。政策研究大学院大学の家田仁先生が委員長をされておりますが、家田委員長が、その会議の場で、百二十万人という人数は一つの大都市、これが非常に長期にわたって影響を受けているというのは、自然災害でいえば激甚災害に相当するような重大な事態だと述べておられました。
そういう点でいえば、復旧工事に対して、そういう意味では、激甚災害相当というのであれば、補助のかさ上げを行うとか、こういった国としての特別な財政支援をこの際きちんと考え、具体化をすべきではありませんか。
○松原政府参考人 本件について、まだ復旧工法の検討なども進めているところでございますし、そうした内容も踏まえながら、まずは、本件についてどうやって支援できるのか、そこのところをしっかり検討していきたいと考えております。
○塩川分科員 特別な事態、事例ということで、県から国への、財政的な支援が具体的に要望されているわけですから、それにどう応えるのかということについては、県ともよく連携もしながらということでありますけれども、しかるべき対処を求めたいと思っております。
実際に、こういった下水道管の事故において、下水の排出を抑制してほしいという県からの要請があるわけであります。ですから、飲食店など、事業者の方への影響も大変大きなものがありました。
お近くのラーメン屋さんなどでは、いろいろ料理を提供するにしてみても、どうしても水洗いが必要になるような油を使用する料理とかというのを控えなくちゃならない。県の下水道自粛要請に応えて、鍋や皿を洗うのに大量の水が必要ないため物などについては、こういうのは控える、注文については申し訳ないけれどもとお断りをするということなんかも含めて、事業者の方々に大きな影響が出ているわけであります。
こういった営業に影響を受けた事業者への補償が必要ですが、この点については、国としてはどう対応されるのか。
○松原政府参考人 営業に影響を受けた事業者への支援についてのお尋ねにつきましては、国土交通省としてはコメントを差し控えさせていただければと思います。
国土交通省としては、復旧工事に向けた財政支援について、しっかり支援できるよう検討してまいりたいと考えております。
○塩川分科員 村上大臣、どうでしょうか。
実際、事業者の方がいろいろな影響を受けている、補償が必要じゃないかという声というのは上がっているわけです。
この前、県議会でも、埼玉県側からは、こういった損失の補填については、全容がある程度明らかになり次第速やかに予算を含めて適切に対応していきたいと述べているそうですけれども、是非、国としても、しかるべき支援、対応策を考えていただきたいと思うんですが、大臣のお立場でお答えできることがあれば。
○村上国務大臣 我々としましては、復旧に要する経費につきましては、下水道の道路の建設改良費に対して下水道事業債を活用する場合には、いろいろな地方交付税措置等を講じているんですが、その事故における損失については、我々の管轄ではないような気がしますので、ちょっとコメントは差し控えたいと思います。
○塩川分科員 具体的な損失の補償などについて、やはり目配りをしていくということは必要じゃないかなと思うんですが、その辺のお考えだけでも。
○村上国務大臣 私も法学部出身ですが、法的な因果関係が例えば総務省に対してあるのかどうかという面では、私は今のこの事件においてはないような気がしますので、そこら辺はまた別の担当の方でお考えいただけたらと思います。
○塩川分科員 後でも少しやり取りしますが、やはり、企業会計に移行する、そういったことについて総務省が促してきたという経緯の中で、広域化も行われた中での大規模なこういった破損が生じている、そういう経緯なども含めて、国全体としても、しかるべき補償に当たっての対処が必要ではないのかということは申し上げておきます。
今、若干お答えもあったんですけれども、大臣に重ねて伺いますが、埼玉県から国への要望書では、今回の応急復旧及び本復旧に際しては、関係地方公共団体の負担も多大になることから、一般会計の負担が生じる場合は、地方交付税による財政措置など、地方公共団体及び住民負担の軽減を図るよう要請をしておりますが、これにどうお応えいただけるでしょうか。
○村上国務大臣 先ほどちょっと触れましたけれども、復旧に要する経費につきましては、総務省におきまして、下水道の道路の建設改良費に対しましては、下水道事業債を活用する場合、その元利償還金の一部に地方交付税措置を講じております。
今後とも、埼玉県と連携して、この地方財政措置の活用について対応していきたい、そういうふうに考えております。
○塩川分科員 国の責任も問われる今回の下水管事故について、その負担を国が責任を持って対処すべきだということを申し上げておきます。
続けて国交省にお尋ねしますが、下水道事業に関して、国は民間委託の推進を図り、PPP、PFI事業の推進を図ってきております。
今回のこの事故に当たっての埼玉県の国への要望書では、現在、国が推進しているウォーターPPPについては、インフラの長期にわたる更新にめどがつくまでは、慎重に検討していただくようお願いします、また、下水道に対する国の財政的支援については、ウォーターPPPを前提条件としない制度設計を再考いただくようお願いしますと、国によるウォーターPPPの推進に対して慎重な対応を求めております。
国は、汚水管の改築に係る国費支援に関して、ウォーターPPP導入を決定済みであることを令和九年度以降に要件化するとしております。つまり、ウォーターPPPを導入しなければ国の交付金は出しませんよという脅しのようなやり方、これは許されるものではありません。このようなウォーターPPPの押しつけはやめるべきではありませんか。
○松原政府参考人 お答え申し上げます。
人口減少が進み、自治体の下水道事業を担う職員の方々が減少などする中で、ウォーターPPPという官民連携の取組は、地方公共団体が最終的な責任を持つことを前提に、民間の人材や技術力の活用によりまして、下水道施設の維持管理や更新を長期的観点から効果的に進められるなどのメリットがあり、下水道の基盤強化に向けた有効な施策であると認識しております。
そのため、国土交通省におきましては、下水道事業を将来にわたって持続可能なものとするために、委員御指摘ございました、令和九年度以降、防災・安全交付金などを活用した下水道管の改築に当たって、ウォーターPPPの導入を決定済みであることを交付要件とし、その導入促進を図っているところでございます。
地域の実情に即したウォーターPPPの推進が下水道施設の更新の加速化や下水道事業の持続性の向上につながるよう、引き続き、自治体の御意見などを伺いながら、よりよい制度づくりに努めてまいります。
○塩川分科員 PFIを含むPPPの事業に当たって、元々その発祥のイギリスなどでも、もうPFI事業についてはやめましょうと大きな見直しの議論が起こっているときに、周回遅れでこれを進めようとしているのが日本の事業でありますから、こういう点について、今、こういった具体の事項にも関わる要望が県からも上がっているようなときに、見直しこそ必要であります。
埼玉県は、県議会における答弁でも、PPPの導入に当たっては、モニタリングや情報開示、災害時の対応など様々な課題があると、PPPに関する懸念を述べております。
国交省にお尋ねしますが、ウォーターPPPの一つである管理・更新一体マネジメント方式では、契約時に見積もった工事費や維持管理費を削減できた場合などに削減分をシェアするプロフィットシェアの導入を掲げております。これは、民間の利益追求によって、安全のためのコスト、維持管理費の削減、それがもうけになる、こういった安全のためのコストが削減されることになりはしないのか、こういうことを覚えるわけですが、その点についてはいかがでしょうか。
○松原政府参考人 お答え申し上げます。
官民連携を導入した場合でも、下水道管理者は地方公共団体でございまして、地方公共団体が事業の最終責任を負った上で実施することとされておりまして、民間事業者が提供するサービス内容や水準、災害対応等の安全、安心に関する役割分担といった管理運営の内容については、契約で明確に規定することとなっております。
また、地方公共団体は、民間事業者が契約に従い適正かつ確実にサービスを提供しているか、実施状況を定期的にモニタリングすることとしております。モニタリングの結果、求める基準を満たさない場合には、地方公共団体が民間事業者に対して速やかに改善の指示などをすることも可能でございます。
なお、官民連携の取組につきましては、これまで大きな問題は生じていないと聞いておりまして、事業が適切に実施されているものと認識しているところでございます。
○塩川分科員 契約に基づいて、元の基準について妥当かどうかのモニタリングをするというんですけれども、その元の基準そのものが妥当だったのかということが、是正するというのができないというのがPFI、PPP事業の問題点であるわけで、初期設定について問題があったときに、じゃ、それをしかるべく是正できるのかといったことで、民間の利益との関係でもその点が非常に課題となっているところであります。
官民連携のPFI、PPP事業のメリットとして、民間の人材や技術力の活用ということがありますけれども、自治体側にそういった技術継承が困難になるんじゃないのかという懸念の声があるわけですよ。
埼玉県も検討会議を行っておりますが、これまで、ウォーターPPPを含めた検討を行う会議において、委員の方の意見としても、ウォーターPPPを導入し始めると埼玉県の中にノウハウが残らなくなってしまうのではないか、例えば十年間発注して、民間企業も営利目的でやっているので、そこで何か問題があったとき、やはり違う事業者に委託したいとなったときに、県の方にノウハウが残らないとなかなか苦しいことになる、事業者を別に変えようと思ったときに、自治体側にノウハウ、技術、技能、蓄積がなければ、そういった新たに切り替えることについても困難さが伴うという意見も出ておりましたし、ウォーターPPPについては、他の地方公共団体でも技術継承がしっかりできるかというところが大きな懸念として挙げられている、このように危惧の声が上がっているわけであります。
このような、PPPなど民間委託が進むことで自治体における技術継承が困難となるのではないか、こういう危惧については、国としてはどのように受け止めておられますか。
○松原政府参考人 ウォーターPPPについては、自治体の技術系職員を始めとした下水道事業を担う方々が減少する中で、下水道の基盤強化に向けた有効な施策であると認識しておるところでございます。
また、官民連携においても、地方公共団体が責任を持って下水道事業を適切に行うために、議員御指摘のとおり、地方公共団体職員の技術承継は重要だと考えております。
官民連携の事例におきましては、先ほども申し上げたモニタリングの実施により、民間事業者が提供するサービス内容や水準が契約どおりに適切に行われているのかを確認するほか、地方公共団体の職員が運営状況などについて民間事業者と定期的に打合せや報告徴収を行っております。
さらに、地方公共団体の職員の方が民間事業者による事業運営に関する研修に参加し、技術やノウハウの共有を図る取組や、民間に委託する処理区を限定して、地方公共団体の職員が事業を行う部分を残すなどによりまして、地方公共団体における技術承継のための工夫をしていると承知しております。
国土交通省といたしましては、持続可能な下水道事業に向けまして、職員の技術継承の重要性やその事例について、ガイドラインなどで地方公共団体に周知、情報提供してまいります。
○塩川分科員 しかし、実際に下水道事業における職員数というのは大幅に減ってきているというのがこれまでの推移であります。
大臣にお尋ねいたしますが、下水道事業において国が広域化、民間活用を推進したことによって、下水道事業に従事する職員数は大幅に削減をされてきました。下水道職員数は、一九九五年の約四万七千人から、二〇二三年には約二万七千人へと激減をしております。埼玉県においても、二〇〇四年の二百四十八人から二〇二四年の二百二十九人へとの減少もあります。こういったことが下水道事業の維持管理や技術、技能継承を困難にしてきているのではないのか。その背景に、地方行革指針などを踏まえた、総務省が自治体職員における技能労務職員の正規採用の抑制や業務の民間委託を進めたことが今回のような事故の遠因となっているのではないのか。ここの点について、大臣、お答えください。
○村上国務大臣 御承知のように、埼玉県八潮市における今回の道路陥没事故につきましては、事故原因に係る調査が進められているというふうに承知しております。
また、技能労務職員を含む自治体の定員につきましては、各自治体において、行政の合理化、能率化を図るとともに、行政課題に的確に対応できるよう、地域の実情を踏まえつつ、適正な定員管理に努めていただくことが重要と考えております。
一方で、下水道事業については、事業に従事する職員数が減少傾向にある中で、将来にわたり持続可能な経営を確保するための取組を進めることが全国的な課題となっております。
このために、総務省としましては、中長期的な経営の基本計画である経営戦略を適切に策定、改定しながら、計画的に組織、人材の強化を図りつつ、業務効率化にも取り組むよう自治体に助言してまいったところであります。引き続き適切に対応してまいりたい、そういうふうに考えております。
○塩川分科員 技能労務職員については、民間水準と比べると給与も高いからそれを下げろとか民間委託をしろとか、これを推進してきたのは総務省であるわけですから、その結果としてこういった下水道職員の現場の職員数の減少にもつながっているし、そのことが技術、技能継承を困難にして、実際の建設のときにいたようなスタッフが今はほかの部署に移って、維持管理に従事するような専門職員が減らされて、実際配置がされていないとかいう現場の実態を踏まえたときにも、こういった技能労務職員を減らすようなそういったリストラを進めてきた国の姿勢というのは厳しく問われる。こういったことを大本から改めて、必要な職員を配置する地方財政措置というのを求めたいと思っています。
下水道事業におけるウォーターPPPの推進が、民間の利益追求によって安全のためのコストが削減をされる、また、自治体における技術継承が困難となる、さらには、情報開示の後退によって監視機能の低下といった重大な危惧が生じる。宮城県の問題などでもそのことが指摘をされております。こういった国の交付金を脅しの材料にしたウォーターPPPの押しつけはやめるべきだということを申し上げておきます。
残りの時間で、米軍所沢通信基地内の火災問題についてお尋ねします。
昨年十二月二十日午後一時過ぎ、米軍所沢通信基地内で火災が発生し、埼玉西部消防組合の消火活動により午後三時過ぎに鎮火をしましたが、基地内の約一ヘクタールの草地が焼損しました。火災は、基地北側中心部から美原中学校東のアンテナ周辺まで広がり、西側フェンスに沿った歩道部分まで焼け広がりました。
美原中学校では、休み時間中、煙を吸わないように校舎に戻るとか、下校の際は米軍通信基地を避けるなどの対応が取られ、市民生活にも大きな影響がありました。
米軍の要請により、埼玉西部消防組合が基地内に立ち入り消火活動を行いましたが、火災原因の究明に自治体消防は関与しておりません。地域住民の生活に多大な影響を及ぼしかねない火災だったのに、鎮火に当たった地元自治体消防が火災原因究明に関与できないのはおかしいのではないのか、総務大臣としてお答えください。
○村上国務大臣 米軍の所沢通信施設につきましては、地元消防当局である埼玉西部消防局と米軍横田基地との間で消防相互応援協定を締結し、万が一の火災等の発生に備えているものと承知しております。
今般の火災においても当該協定に基づき消火活動が行われたものと認識しておりまして、火災の原因究明についてでありますが、日米地位協定において合衆国側は、その施設・区域内において、それらの設定、運営、警護及び管理のための必要な全ての措置を取ることができることとされております。
日米地位協定の解釈につきましては所管外でありますので、日米地位協定の規定に基づき、在日米軍施設・区域への立入りについては、原則として米側の個別の同意が必要となるというふうに承知しております。
以上であります。
○塩川分科員 本当に地域にまで影響を及ぼしそうな、そういった火災であるにもかかわらず、実際に、それも消火活動を行ったのは自治体消防であるわけです。消防法に基づけば、当然、この火災原因の究明というのは自治体消防の責務として行われているわけなのに、米軍基地内であるがゆえに、その原因究明も自治体消防として明らかにすることができない。これは余りにもおかしいのではないのかということで。
過去にも、一九九〇年にもぼやがあって、それを受けて基地のフェンスに、下の方に消防ホースの貫通孔を作ったということもあったそうですから、米軍基地内には消火設備もないわけで、外務省、米軍基地内の火災の鎮火に当たった地元自治体消防が火災原因究明に関与する仕組み、必要じゃありませんか。
○熊谷政府参考人 お答え申し上げます。
日米地位協定第三条の1に基づきまして、米国は、在日米軍施設・区域内におきまして、それらの設定、運営、警護及び管理のため必要な全ての措置を取ることができるとされております。在日米軍施設・区域への日本側の立入りにつきましては、原則として米側の個別の同意が必要となるということでございます。したがいまして、地元自治体の消防当局による立入り、あるいは原因調査が一概に認められるものではないということでございます。
もっともでございますが、施設・区域の使用に当たりましては、在日米軍は、日米地位協定第三条の3に従いまして、公共の安全に妥当な考慮を払うという必要がございます。
外務省といたしましても、地元の自治体の御意向も踏まえつつ、関係省庁とも連携して、米側と緊密に協力してまいる所存でございます。
○塩川分科員 米軍基地内だと口が挟めないというのが前提になっている地位協定、その下で、地域住民が影響を受けかねない火災についても、その原因の究明について自治体消防が責任を持って行うことができない、これは余りにもおかしいということについて、結局、地位協定ですからという回答だけでは、これでは納得がされない。
例えば、二〇一五年八月に、米陸軍相模原補給廠内の倉庫において爆発を伴う火災が発生しました。事故現場は酸素ボンベ等が保管をされていた場所で、相模原市の消防局は、在日米陸軍からの依頼に基づき、消防隊員を出動させたわけであります。相模原市議会は、在日米陸軍に対して、原因究明に当たっては、最終的な調査結果を発表する前においても、適時適切な情報提供に努めることなどを要請しておりました。その後、在日米陸軍立会いの下、同市職員が基地内に立ち入り、酸素ボンベの保管場所や保管状況を現場確認しております。少なくとも、このような地元自治体の関与を保障すべきだ。
防衛省にお尋ねしますが、米軍と米軍基地所在自治体消防との間で消防相互応援協定が締結されている例があります。米軍所沢通信基地と埼玉西部消防組合は、消防相互応援協定を締結しておりますが、公表しておりません。横浜市や岩国市など、協定文書を公表しているところもあります。埼玉県内にある米軍基地である大和田通信所や、また、キャンプ朝霞など、全国の米軍基地と地元消防との消防相互応援協定はどうなっているか、明らかにしていただきたい。所沢通信基地の協定を始め、協定内容を公表すべきではありませんか。
○森田政府参考人 お答え申し上げます。
米軍基地と地元消防との消防相互応援協定につきまして、防衛省として網羅的に把握しているわけではございませんけれども、お尋ねの大和田通信所、キャンプ朝霞につきましては、地元の消防当局である朝霞地区一部事務組合と横田基地との間で消防相互応援協定が締結されているということを確認しております。
その上で、お尋ねの所沢、あるいは大和田、キャンプ朝霞に係る消防相互応援協定につきましては、米側に確認をしたところ、本協定は二者間で保有するものであり、公表を念頭に置いたものではない旨の回答があり、また、消防当局の方からも同様の認識が示されたところでございます。
このことから、防衛省からはその内容を明らかにすることができないことについては御理解願いたいと存じます。
○田所主査 申合せの時間が経過しましたので、御協力をお願いします。
○塩川分科員 明らかにしている、公表している自治体もあるわけですよ。そういった点においても、やはり地元の住民の暮らし、安全を守るためにも、こういった火災原因の究明に地元消防が関与する仕組みをつくることが必要ですし、そもそも、米軍特権を認めている日米地位協定の抜本改定を求めて、質問を終わります。
選挙ポスターに品位保持規定を盛り込む公職選挙法改正案を可決しました。
昨年の都知事選を受け、この改正案は、公営掲示板の選挙ポスターに関し、品位を損なう内容を記載してはならないとし、候補者の氏名記載を義務化、営業宣伝した場合の罰則を規定しました。
私は、今検討すべきは、選挙運動の規制強化ではなく自由の拡大だと主張。「国民が主権者として、自らの代表を選び、政治に積極的に参加し、選挙に気軽に多面的に参加できるよう、複雑な公選法を抜本的に見直すべきだ」と強調しました。
私は、現行法においても選挙管理委員会が常に選挙の啓発と周知徹底を図ることが規定されており、日常的に広く選挙違反事例などを周知することで、選挙を弄ぶ行為をさせないことにつながると指摘。
その上で、選管の役割は重要だと述べ、選挙に関する経費を確認。総務省の笠置選挙部長は、選挙啓発にかかる予算について1996年度は約23億円、2021年度は約1億円であると答弁。私は「あまりにも減額されすぎている」と批判し、法案提出者に見解を問いました。
自民党の鈴木英敬議員は「額の多寡だけでは判断できない」としながら「少ないと言わざるを得ない」と認めました。
私は、選管の人員不足についても取り上げ、「選挙権・参政権は国民主権・議会制民主主義の根幹をなすもの。選挙に関する経費と人員を大きく増加すべきだ」と強調しました。
今日の委員会では、いわゆる候補者カーの規格やいわゆる候補者ポスターの大きさを統一する公選法改正案も、全会一致で可決しました。
公選法改正案が可決/衆院委/共産党など賛成多数/抜本的見直し 塩川氏が要求
「しんぶん赤旗」2月26日・2面より
選挙ポスターに品位保持規定を新設する公職選挙法改正案が25日の衆院政治改革特別委員会で、自民、立憲民主、日本共産党などの賛成多数で可決されました。
昨年の都知事選をうけ改正案は公営掲示板の選挙ポスターに関し、品位を損なう内容を記載してはならないとし、候補者の氏名記載を義務付け、営業宣伝した場合には罰金を科すと規定しています。
日本共産党の塩川鉄也議員は質疑で、今検討するべきは、選挙運動の規制強化ではなく自由の拡大だと主張。国民が主権者として、自らの代表者を選び、政治に積極的に参加し、選挙に気軽に多面的に参加できるよう、複雑な公選法を抜本的に見直すべきだと強調しました。
現行法においても選挙管理委員会が常に制度の啓発と周知徹底を図ることが規定されており、日常的に広く選挙違反事例などを周知することで、選挙をもてあそぶ行為をさせないことにつながると述べました。
塩川氏は選管の役割は重要だと指摘し、選挙に関する経費を確認。総務省の笠置隆範選挙部長は、選挙啓発にかかる予算が1996年度は約23億円、21年度は約1億円だと答弁。塩川氏は「減額され過ぎている」と述べ、法案提出者に見解を問いました。自民党の鈴木英敬議員は「額の多寡だけでは判断できない」としながら「少ないと言わざるを得ない」と認めました。
塩川氏は、選管の人員不足についても取り上げ、「選挙権・参政権は、国民主権・議会制民主主義の根幹をなすもの。選挙に関する経費と人員を大きく増加すべきだ」と訴えました。
同委では、いわゆる候補者カーの規格や、いわゆる候補者ポスターの大きさを統一する公選法改正案も、全会一致で可決されました。
「議事録」
第217回通常国会 令和7年2月25日(火曜日)政治改革に関する特別委員会 第4号
○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
公選法改正案について質問いたします。
まず、都知事選のポスター問題に関連してですけれども、都知事選の結果を見ましても、選挙を弄ぶ者に対して有権者は賢明な判断をされたと受け止めております。
現行では、ポスターは公営掲示板にしか貼れません。選挙期間に入ると、候補者名が入ったビラやポスターというのは極端に減るというのが日本の選挙であり、だから公営掲示板にいわゆるプレミア感がつくという状況になる。こうした規制を撤廃すれば公営掲示板の希少価値はなくなり、いわゆる選挙ビジネスなるものも成り立たないと言えると思います。今検討すべきは、規制を強化して選挙を特別な一部の人だけのものにするのではなく、主権者である国民、有権者の選挙権行使のために選挙運動の自由を拡大すべきだと考えますが、提出者からお答えをいただきたい。
○鈴木(英)議員 塩川議員にお答えをいたします。
委員御指摘のとおり、選挙運動や政治活動、なるべく規制や制限を設けることなく候補者が自由に活動することができる環境を担保していくということが望ましい、その基本的な方向性については共感をするところであります。
その上で、昨年七月の東京都知事選挙は、ポスター掲示場に、品位を著しく欠くもの、選挙と関係のない営業宣伝用と思われるものなど、選挙運動のために使用されるものと言い難いポスターが掲示される問題が生じ、選挙の適正な実施が阻害される事態が起こっています。
そこで、本法案は、このような最近における選挙運動用ポスターをめぐる状況に鑑み、政治活動、選挙運動の自由にも配慮しながら選挙の適正な実施の確保に資するための措置を講ずるものであり、必要かつ合理的な制限であると思料します。
○塩川委員 基本的な考え方をまず伺ったわけですが、国民、有権者が主体的に選挙や政治に関わりやすくする、国民、有権者の自由な選挙活動を妨げている規制をなくす、国民が主権者として自らの代表を選び、政治に積極的に参加をし、選挙に気軽に多面的に参加できるよう、複雑な現行公選法を抜本的に見直すことが必要だ、この機会にその議論を大きく前に進めていくべきだと考えております。
都知事選で問題となった卑わいなポスターは、都条例で警告、撤去されました。東京十五区補選での妨害行為は、公選法の選挙の自由妨害罪が適用されました。絶対に許されない行為には現行法で厳格に対応するのが筋であります。
一方で、捜査機関による違法行為の取締りだけを強化すればよいのか。
この点で、公選法の第六条第一項では選挙管理委員会による常時啓発、周知徹底を明記しております。選挙が公明かつ適正に行われるように、選管はあらゆる機会を通じて有権者の政治常識の向上に努める常時啓発を行うとともに、特に投票方法や選挙違反など選挙に関する情報を有権者に周知させなければならないとあります。逐条解説によれば、単に告示等の管理行為を的確に執行するというだけでなく、あらゆる機会を通じてその周知を図らなければならないとあります。候補者だけでなく広く有権者に、選挙とは何か、どういう行為が選挙違反かということを日常的に周知することが、選挙を弄ぶような行為をさせないことにもつながると考えます。
提出者にお尋ねしますが、今回の事案も受けて、選管の常時啓発、周知徹底の重要性、その課題をどう受け止めておられますか。
○鈴木(英)議員 塩川議員に御答弁いたします。
委員御指摘のとおり、選挙に関する啓発、周知、これは極めて重要であるというふうに考えております。
我々提出者としましても、現在も所要の額が確保された上で適切に一定の啓発、周知が執行されていると承知しておりますけれども、今後とも時代に即した不断の改善や工夫がなされ、効果的な常時啓発、周知徹底が行われることを期待するものです。
私が三重県知事時代に三重県選挙管理委員会は、全国の中でもかなり早い方だったと思いますけれども、AIチャットボットを入れて質問しやすいように、県民の皆さんとか有権者の皆さんが質問とか疑問を解消しやすいような、そんな工夫も三重県選挙管理委員会はやっておりましたので、時代に合わせて不断の改善をしっかりしながら常時啓発、周知徹底を行っていきたいと思います。
○塩川委員 常時啓発、周知徹底が極めて重要、所要の額が確保されているのではないのかという話もありましたけれども。
そこで、総務省に確認をいたします。選管の役割は極めて重要であります。そのための経費がどうなっているのか。選挙啓発に係る予算の推移で、一九九六年と二〇二一年の額を比較するとそれぞれ幾らになるのかについて御説明ください。
○笠置政府参考人 お尋ねの選挙啓発に係る予算額でございます。常時啓発関係で申し上げますと、一九九六年度、平成八年度でございますが、明るい選挙推進費として二十三億八千百四十七万円、二〇二一年度は、令和三年度でございますが、名称がちょっと変わってございますが、参加・実践等を通じた政治意識の向上に要する経費といたしまして一億一千七百六万円となってございます。
○塩川委員 二十三億が一億円余りということで、大きく金額が減少している。これは、具体的にはどんなものが減ったということなんでしょうか。
○笠置政府参考人 手元に資料はございませんので確定的なものを申し上げることはできませんけれども、明るい選挙推進協議会といった団体がございますが、そうした団体への支援といったものを平成八年度はやっておったわけでございますが、他団体への補助といったものの予算額が減ってきているということがございまして、だんだん減ってきているということだと思います。
○塩川委員 常時啓発や周知徹底の重要性ということに鑑みても余りにも減額され過ぎているんじゃないのかと思うんですが、その点、総務省はどうか。また、提出者はどうお考えか。
○笠置政府参考人 確かに、平成八年度の二十三億に比べますと、現状といいますか、令和三年度で一億二千万弱ということでございますが、こちらにつきましては、通常の啓発予算というのは徐々に減ってきておったわけでございますが、たしか平成二十八年に、十八歳選挙権といったものが出た際に高校一年生に対して副読本といいますか副教材といったものを配付しようということで、下がってきていたものを、平成二十七年以降少し、盛り返したと言ったら表現があれかもしれませんけれども、盛り返して一億数千万円の台になってございます。この中でも、限られた財源の中でございますが、知恵を絞りながら啓発に努めてまいりたいというふうに考えてございます。
○鈴木(英)議員 おっしゃっていただいたように、選挙の公正な管理、執行、あるいは選挙に関する啓発、周知、これは大変重要であります。そのために必要な予算、人員はしっかり確保しなければならないというふうに思っていますが。
予算については今お話があったところで、必要な予算というのは幾らなのか、額が多ければいいということでもないし、先ほど私はAIチャットボットの話をしましたが、効果的な周知啓発がちゃんとできる予算を、必要な予算を確保するということが大事だと思いますので、テクノロジーの進展、そういうことなどを踏まえながら所要の額をしっかり確保することが大事だと思います。
○塩川委員 二十三億が一億はどうかというのは率直なところなんですが、それは少ないとお考えですか。
○鈴木(英)議員 繰り返しになりますけれども、額の多寡だけではなかなか判断できないものの、感覚的にはまあ少ないなと言わざるを得ないのかなと思いますけれども、額だけでは判断できないというのが我々の考えであります。
○塩川委員 まあ少ないなという受け止めは、そのとおりだと思いますが。
国政選挙の執行経費について見れば、二〇一三年の基準法改定により大幅に引き下げられて、この間、我が党は経費基準を引き上げよと要求してきた中で、若干の微増にはなっていますけれども、全体に引き下げられてきた影響は大変大きいものがあります。総務省にもう一点確認で、国政選挙の執行経費基準法で、ポスター掲示場の経費の基準というのは二〇〇七年の基準以降どういう傾向にあるのか。この点について御説明ください。
○笠置政府参考人 執行経費基準法におけますポスター掲示場の基準額でございますが、こちらは、掲示場一か所当たりの所要額につきまして、各種統計資料や実際の選挙の執行状況などを踏まえて定めているところでございます。
例えば、区画数九以上十三未満の掲示場を市が設置する場合の基準額について申し上げますと、二〇〇七年度、平成十九年度は一万五千七百五十円、二〇一三年度、平成二十五年度でございますが、こちらが一万五千二百二十五円、二〇一六年度、平成二十八年度、二〇一九年度、令和元年度でございますが、いずれも一万五千六百六十円、二〇二二年度、令和四年度につきましては一万七千五十円となってございます。
○塩川委員 全体として下がってきて、この間少し持ち直してきているという状況ですけれども。
この辺は、例えば、区画数が多いような部分では増額となっているんだけれども、区画数が少ないような場合には減額の状況というのも一方であるわけであります。そういった点で、東京都の選管が今回の都知事選で公営掲示板の区画についてクリアファイル対応をしたということについても、これは都知事選ですから国政選挙の執行経費基準法の対象ではありませんけれども、全体として、経費負担削減、コスト抑制、そういう中での問題が背景にあるのではないのか。こういう点には留意をする必要があると考えております。このように政治と金の話になりますと民主主義のコストという話をされるわけですが、こういった啓発費や選挙経費こそ、きちんとお金をかけるべきものだと考えております。選挙に係る経費は十分に確保すべきだということを申し上げておきたいと思います。
もう一点、選管の体制、人員の問題であります。全国の都道府県選管や市町村選管の人員は少なく、兼任や非正規が増えていると聞きます。
私が受け取っております全国市区選挙管理委員会連合会の資料によれば、二〇一七年四月末時点で、人口四十万人以上の市では平均して選管職員が十人ほどおり、専任職員だけの自治体がほとんどですが、人口五万人未満になると選管職員数は平均三人ほどで、多くの自治体が兼任職員だけとなっています。総務課や議会事務局のスタッフの方が兼務をしていると。今、それから八年が経過しているので、更に状況は悪くなっていると考えております。総務省がこういう実態を把握してほしいということも資料でも要求しているわけですが、なかなか現場の方が大変だということで、そういった実態そのものが現時点でどうなっているのかがリアルに分からないという状況がある。こういったことについてもしっかりと把握をする、その上での対策が必要ではないのか。
これは、先日、参考人質疑でも人員不足の指摘がありました。兵庫県選管の永田参考人は、人員の方も確かに足らないと、人員の増加を要望されておられました。また、元選挙部長の大泉参考人は、ベテラン職員が減って公選法の知識、プラスアルファの知識を備えた職員がちゃんといるようにしなければいけないと述べておりました。
特に、二〇一〇年代には、現憲法下でなかった開票不正が三回も起きております。選管が関わった選挙不正の事件、こういった開票不正以外にも、投票用紙の交付ミスなど、選挙事務ミスも激増しております。実際の選挙実務を担う市町村選管ではいわばぎりぎりのところで頑張っておられて苦労もしておられるという状況が、そこにも見えてくると思います。当然、ミスをしようと思ってやっているわけではありませんので、そういうことを本当に除くような、活動の上でも必要な職員の配置、増員が求められていると思っています。
そこで、提出者にお尋ねをいたしますが、選挙の正当性、公正性を担保するためにも選挙事務に従事する人員が十分に確保されるべきだと考えておりますが、お考えをお聞かせいただきたい。
○鈴木(英)議員 塩川議員に答弁いたします。
私の選挙区も十五の市と町、五市十町ありますけれども、一番大きいところで人口十二万程度でありますので、ほかは一万数千人とか一万を切っているところもあります。そういう中で、まさに塩川議員御指摘のような兼任で少人数でやっている選管の実情はありまして、現場における人員の不足感というのは極めて高いというふうに思っております。ですので、おっしゃっていただいた適正な管理、執行、また常時の啓発や周知、そういう観点からも必要な人員をしっかり確保していくことが重要であるというふうに考えております。
○塩川委員 この間、選挙権年齢の引下げやネット選挙運動の開始や小選挙区の区割りの変更など、選挙執行業務は大きく増えているという状況にあります。また、選管には政治資金の収支報告書に係る業務もあるわけであります。選管の役割はますます大きくなっている現状にある、そういうときに、選挙権、参政権が国民主権、議会制民主主義の根幹を成すものであって、民主主義の土台を決める選挙制度は国民の参政権に関わる重要な課題であるときに、この選挙に関する経費と人員を大きく確保する、増加させていく、このことが必要だということを強調しておきたいと思います。
最後に、兵庫県知事選の二馬力選挙に関連して、そもそも他人を応援する二馬力選挙というのはあってはならないことであります。選挙運動にビラは何枚とか、ポスターは何枚とか、選挙カーは何台、政見放送はなどなど公選法では規制をしております。それを、ある候補者が二倍可能だということは認められないというのは当然のことであります。ただし、立候補の規制や候補者の発言内容の規制を行うということは参政権の保障や選挙の自由の点から問題があると考えています。このような問題点となっている二馬力選挙について、参考人質疑でも参考人の方から、どの選挙運動が二馬力選挙と言えるか判断しにくいという話がありました。
提出者にお尋ねをいたします。兵庫県知事選は、連日のマスコミ報道など、注目された中での選挙でありました。今におきましても、県議会においての議論なども関連して行われているところであります。どんな事態が起こったのか、しっかりとした検証が必要だと考えますが、この点についての考えをお聞かせいただきたい。
○鈴木(英)議員 塩川議員に答弁させていただきます。
兵庫県知事選挙につきましては、議員から御指摘の点も含め、様々な課題などが指摘をされていたものであります。したがいまして、それを踏まえて、どういうような対応をしていくべきなのか、それについてしっかりと各党各会派で議論をさせていただきたいというふうに思っております。
○塩川委員 現行の公選法は、選挙運動を包括的に禁止して、例外的に許容するという体系になっています。そのため、選挙の主体が候補者、政党となり、選挙運動を行うための手段や方法が厳しく制限され、複雑で、いわばプロでなければ選挙運動ができないような仕組みとなっている。
こういったときに、ネット上とリアル上の選挙運動に落差が大きいということも問題であります。文書図画の規制の自由化や戸別訪問の解禁、立会演説会の復活等も見直すべきであります。さらに、被選挙権年齢の引下げ、供託金の引下げ、選挙期間の見直しも必要であります。政治活動に関して言えば、規制が設けられていること自体に問題があります。是非とも、附則に検討条項がありますけれども、書かれている例示もありますが、選挙運動規制全般にわたって検討を行っていくということが必要ではないのか。この点について最後に提出者にお答えいただいて、終わりにしたいと思います。
○鈴木(英)議員 委員御指摘の抜本的に見直すということについて、御指摘いただいたように、改正案の附則三項で検討、必要に応じ措置というふうに書いておりますので、委員の御指摘の点につきましても各党各会派において議論をしていくということになると思います。
○塩川委員 終わります。
北茨城民報を毎週発行、毎議会質問で、市民の声を市政に届けてきた鈴木やす子市議の議席はなくてはならない議席。
国政でも、カネで動く政治を終わらせ、暮らしの困難を打開し、安心とゆとりを。
地方選勝利へ党国会議員奔走/北茨城市/“生活守る鈴木氏”/塩川氏
茨城県北茨城市議選(定数19、3月16日告示・23日投票)の勝利に向けて日本共産党は24日、同市内で演説会を開き、8期目を目指す鈴木やす子市議(68)が決意を語りました。塩川鉄也衆院議員・国対委員長が応援演説。高橋誠一郎参院茨城選挙区候補や、飯田美弥子弁護士らが訴えました。
塩川氏は、日米首脳会談ではトランプ米大統領にすり寄り、軍事費を増やし軍事力を強化していくという石破茂首相の姿勢を批判し、正面から追及しているのが共産党だけという国会の様子を紹介。国会では「日米同盟絶対」の政府にしっかりと意見し、地方議会では市民の立場で、ひたむきにがんばる共産党の役割を強調し、3月の市議選勝利で、参院選での比例5議席獲得をと呼びかけました。
鈴木氏は、7期26年を振り返り、据え置いていた介護保険料が昨年35%値上げになった時、市民の目線で反対したことを紹介し、国保税引き下げなどの政策を訴え「市民生活を守ることに全力を尽くしたい」と語りました。
高橋氏は、大津漁協の不当解雇撤回訴訟の支援に奮闘してきた鈴木氏の存在を紹介し「たたかうところに共産党ありで、北茨城市にかけがえのない議席だ」と訴えました。
私は「国民・有権者の自由な選挙運動を妨げている規制をなくし、国民が主権者として自らの代表を選び、政治に気軽に多面的に参加できるよう、複雑な現行法を見直す抜本的な見直しが必要だ」と主張しました。
昨年の都知事選では過去最多の56人が立候補し、ポスター掲示場の区画が足りず、一部のポスターがクリアファイルで掲示されました。
私は、立候補の公平からの問題があると同時に、「有権者に候補者の情報や政策がきちんと伝わったと言えるか」と質問。
東京都選管事務局の織田選挙課長は「法令の範囲内で最善の策を講じた」と述べました。一方、元総務省選挙部長の選挙制度実務研究会の大泉会長は、掲示板の区画は全員部あるべきだとし、「(選管には)候補者が平等に争える環境を整えることが求められる」と述べました。
また、私は、選挙の公正性を担保するためにも、選挙事務に従事する選挙管理委員会の人員の拡充が欠かせない、と強調。
兵庫県選管の永田委員長は、人員不足で昨年の知事選でも苦労したと述べ「今後増やしていかなければならない」と増員を要望しました。
大泉氏は「公選法の知識を十分に備えたベテラン職員が減ってきている」と現状を危惧しました。
複雑な公選法 見直せ/衆院特委/塩川議員、選管増員求める
「しんぶん赤旗」2月21日・2面より
衆院政治改革特別委員会は20日、選挙運動について参考人質疑を行い、日本共産党の塩川鉄也議員が質疑に立ちました。塩川氏は「国民・有権者の自由な選挙活動を妨げている規制をなくし、国民が主権者として自らの代表を選び、政治に積極的に参加し、選挙に気軽に多面的に参加できるよう、複雑な現行法を見直す抜本的な見直しが必要だ」と主張しました。
過去最多の56人が立候補した昨年の都知事選ではポスター掲示板の区画が足りず、一部のポスターがクリアファイルで掲示されました。塩川氏は、立候補の公平から問題があると同時に「有権者に候補者の情報や政策がきちんと伝わったと言えるのか」と質問。東京都選挙管理委員会事務局の織田祐輔選挙課長は「法令の範囲内で最善の策を講じた」と述べましたが、元総務省選挙部長で選挙制度実務研究会の大泉淳一会長は、掲示板の区画は全員分あるべきだとし、「(選管には)候補者が平等に争える環境を整えることが求められる」と述べました。
塩川氏は、選挙の公正性を担保するためにも、選挙事務に従事する選挙管理委員会の人員の拡充が欠かせないと指摘。兵庫県選管の永田秀一委員長は、人員不足で昨年の県知事選挙でも苦労したと述べ、「今後、増やしていかなければならない」と増員を要望しました。大泉氏は「公選法の知識を十分に備えたベテラン職員が減ってきている」と現状を危惧しました。
同委では自民、立憲民主党などが同日提出した、選挙ポスターに品位保持規定を設ける公選法改定案などの趣旨説明が行われました。
「議事録」
第217回通常国会 令和7年2月20日(木曜日)政治改革に関する特別委員会 第3号
○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
参考人のお三方には貴重な御意見を賜り、ありがとうございます。
最初に、三人の参考人の皆さんにそれぞれお答えいただきたいと思います。
日本の公職選挙法ですけれども、べからず法と言われますように、立候補や選挙運動に様々な規制が設けられており、民主主義や国民の参政権の保障の点から重大な問題があると考えております。選挙運動を包括的に禁止して、例外的に許容するという体系になっております。そのため、選挙の主体が候補者、政党となり、選挙運動を行うための手段や方法が厳しく制限され、複雑で、いわばプロでなければ選挙運動ができないような仕組みになっている現状です。
だからこそ、国民、有権者が主体的に選挙、政治に関わりやすくする、国民、有権者の自由な選挙活動を妨げている規制をなくす、国民が主権者として自らの代表を選び、政治に積極的に参加をし、選挙に気軽に多面的に参加できるよう、複雑な現行公選法を抜本的に見直すことが必要だと考えますが、それぞれのお考えをお聞かせください。織田参考人、永田参考人、大泉参考人の順番でお願いをいたします。
○織田参考人 先ほども申し上げたとおり、選挙管理委員会の一員でございまして、公職選挙法に基づき執行しております。また、大変申し訳ございませんが、諸先輩方に比べて、私、まだ浅いものでございますので、全体像を把握できていない部分もあるかもしれません。
ただ、いろいろと勉強して、選挙を執行していく中で、公職選挙法もいろいろ過去に見直しが行われ、インターネット選挙についてもガイドラインが出るなど、時代に即しての見直しというのが行われてきているというところを我々も感じ取っているところでございます。
先ほどと繰り返しになりますけれども、時代にそぐわない部分というのは、昨今のSNSを始めとしたインターネットの普及に対しては、非常にスピードが速いので、追いかけている部分もあると思いますので、是非先生方のお力で、必要な見直しがあれば是非していただき、また、その運用がしっかりとできるように、具体的な事例、対象となるものを明示いただければありがたいというふうに考えてございます。
○永田参考人 今回、SNSを発信した候補者なんですが、これの立候補を認めないようにしたらどうかというような、そんな意見もあったんですけれども、我々としましては、立候補の届出に必要な書類をちゃんとそろえて出してくれば受理せざるを得ないというようなことになっていますので、内面的なことで、例えば他の候補を応援するために出るんだというようなことは、我々としてもちょっと分かりませんので、その辺も含めまして、立候補をどういうふうに制限するかということは非常に難しい問題だ、そのように考えておるところでございます。
しかし、そういうことにつきましても、今回の選挙ではいろいろな方から批判もいただきましたし、そういう中で我々もしっかりとそれを受け止めて今後対応していきたいというふうに思っているところでございますが、現行法ではそれがやはり限界があると思うんですよ。ですから、やはり法の整備をしっかりしていただいて、我々は条例を制定、おとつい本会議が始まっていますけれども、そこでもいろいろな意見の開陳がなされておりますし、我々としてもちゃんとした選挙ができるようにということで、県としても例えば今回の補正予算の中でも一千万ほどの補正を積むということで、知事からそういう提案も出されております。
ですから、そういうようなことも含めまして、我々独自として兵庫県としても条例としてどういうことをしたらいいかということをずっと検討して、大学の先生とか弁護士の方とか四人ほど入っていただいてそういう検討委員会も設けておりまして、その中でいろいろな、今後どういうふうな形で選挙ができるのかというような話合いを今していただいているところですので、まだ具体的な形のものが出ていませんが、しかし、今、定例の県議会も開かれていますので、そういう中でおいおいそういう回答が出てくるんじゃないかな、そのように思っておりますし、また、そういうふうにしていかないと今後の選挙にプラスにならないというふうに思っていますので、まずそういう方向づけに我々も一生懸命努力したいと思っております。
○大泉参考人 今の選挙法が制限だらけではないかということで、いろいろ御批判があることは十分承知しております。
教科書的になってしまいますけれども、選挙運動に制限が課せられているのは、財力の差によって力が変わってきてはいけないということとか、金のかからない選挙制度にするためにこういうふうになっていたんだと説明されておりますし、それぞれの候補者あるいは政治団体などの持っている資源が違う、人がたくさんいるところもあれば、お金がたくさん、たくさんはないかもしれませんけれども、お金でやるのを面倒が見られるというようなところがある、いろいろな中での、その均衡を取ったところで現在の公選法があるんじゃないか。ただ、ちょっと古い時代にできたものではございますけれども、そういうもので今の公選法があるんじゃないかと認識をしております。
その中で、SNS、インターネットによる選挙運動は、そこは風穴を空けてほぼ自由になったわけでございますけれども、今度は逆に今回のような規制の必要性が語られてきているようなところもありますので、そこら辺は最終的には全てを含めて国会、立法府の中でお決めいただければ一番いいんじゃないかと思います。
○塩川委員 ありがとうございます。
次に、都知事選のポスターに関連して織田参考人と大泉参考人にお尋ねいたします。
都知事選において、ポスター掲示板の区画が足りない、クリアファイルによって掲示をするということが起こりました。事前に区画が足りないということは指摘をされていたところですけれども、このような対応になったということで、そうしますと、元々アクリル板という話も報道で聞きましたけれども、それがクリアファイルになったというような経緯として説明を聞きましたが、立候補の公平の点からいった場合にやはり差があったんじゃないのか、有権者に候補者の情報や政策がきちんと伝わったと言えるのか、その点についてお考えをお聞かせください。
○織田参考人 ポスター掲示場の外周区画を活用したということにつきましては、今御指摘にあったものというのは、先ほど私の説明には入っていなかった内容もございましたけれども、端的に言いますと、候補者数が大幅に増加した理由としては、特定の団体が候補者を大量に立てようとしたというところも大きく影響してございます。その立てる数については、古くは、最初は二百と言ったり、百と言ったり、五十と言ったり、その後も二転三転して数字が変わる中で実際の候補者の名前が出ない、ただのつかみ数字だけを弄した、そういうようなお話で聞きました。また、別の団体も五十名くらいの候補者を立てるというような情報もありまして、選管としましては、ありとあらゆる情報をしっかりと吟味して備えてまいったところでございます。
また、SNSで事実に基づかないような情報が流布されておりますけれども、実際に増設をする判断ができる段階では、それを超えるというような情報は我々は知り得なかった。その後になってしまったことによって、緊急避難措置としてああいった用品を使った対応をしたというところでございます。
そして、一般の有権者の方々に対してそれが情報としてどのように捉えられたかというところにつきましては、緊急避難措置であるということで、全く同じような態様で貼られたというふうには、裁判の判決の中でも、そこまでは言えないかもしれないというようなお話をいただいております。
ただ、そもそもポスター掲示場というのは、ポスターを貼れる人と貼れない人がいる、そういったものをちゃんと皆さんが平等に貼れるようにするということで備えられた、そういう設備でございますので、逐条解説の中でも、同じ一面にポスターを貼ることができるようにというような表現になっております。そこをしっかりと担保するという形で我々としては外周区画というものを設置させていただいた、そして、下地となるような用品を用意して少しでも遜色ないように見えるようにということをやりましたので、法令の範囲内で、ぎりぎり許容される範囲内の最善の策を取ったというふうに考えてございます。
○大泉参考人 今、織田参考人から大変な御苦労があったというふうに伺いました。ただ、御苦労を顧みずに言いますと、一般的に言えば、公選法の建前といいますのは、候補者が同様な条件で争うということになります、それを求められていると思いますので、そういう意味ではポスター掲示場は全員の分がなければいけないのかなと思っております。今、裁判になって判断を受けておりますが、また上告されているようでございますので、そういう中で、緊急避難であったかもしれませんけれども、基本的には候補者が平等に争えるように環境を整えていくのがまた求められるのかなと思っております。
○塩川委員 ありがとうございます。
選管が公正な選挙を確保する、また候補者の選挙活動の自由も保障していく、それをもって有権者の参政権を保障する、そういう取組で日常的な活動も大変重要だと思っております。そういう点での選管による日常的な啓発の活動ですとか周知徹底の重要性というのが大変求められているところであります。
そこで、お三方に、一言ずつで結構ですけれども、選挙の正当性や公正性を担保するためにも、管理や執行や啓発に係る経費と選挙事務に従事する人員を十分に確保すべきだと考えております。特に、人員の面でいきまして、都道府県選管がどれだけの体制かというのもありますし、市町村選管などはなかなかこれは人の確保も困難だということも聞いております。そういった選管における人員の確保の現状というのはどんな課題があるのか。我々としては、それをより拡充することこそ選挙をしっかりとしたものとしていく上でも欠かせないと思っているんですが、その点についてお考えをお聞かせいただけないでしょうか。順番でお願いいたします。
○織田参考人 人員の配置というのはなかなか難しいものでございまして、行政委員会でございますけれども、基本的には行政組織の一部ということで、全体の人員配置の考え方等も踏まえて配置されているものというふうに存じております。
今お話があったように、例えば区市町村の選管においては、専任の職員がいるところ、専任プラス兼任がいるところ、ほぼ全員兼任になっているところ、そういったところは様々でございます。それはやはり年間の中で選挙又はその選挙に関わる事務に従事するというボリュームにもよりますので、一概には言えないことかなというふうに考えてございます。
選挙の執行だけではなくて、政治団体の管理であるとか、都道府県であればそういったこともやっておりますし、一般の有権者の方に対する啓発などもやっておりますので、そういった業務量に応じて必要な人員が配置されるものと考えてございます。
○永田参考人 私どもの選挙で、今回は急な選挙だったものですからね。ですから、元々人員が足らないというか、ふだんは、別に選挙を毎日やっておるわけでもありませんので、人員の方も確かに足らないというふうに、私どももそのように認識をしております。しかし、今回の場合はそこへもってきて急な選挙ということになりましたので、誠に対応に苦労したんですが、しかし、そういう中でも、今回、人員のある程度の増加を私どもとしてしまして、一応、今回の選挙に対応したということになるんですが。
全般的に言いますと、おっしゃるとおり本当に選挙管理委員会の委員というのは数が少なくて足りないというので、これはやはり今後何らかの形で増やしていかないといけないんじゃないか、そういう認識を私どもはしているところでございます。
○大泉参考人 今お二人の参考人からあったとおりが現状だと思いますし、私どもも、耳に入ってくる話は、選挙がいつもあるわけではないのでなかなか人員的に確保するのは難しいというような話は入ってまいります。また、特に最近では昔たくさんいたようなベテランの職員が大分減ってきて、人事ローテーションでなかなか難しくなってきているというようなお話も聞きますので、公選法の知識、プラスアルファの知識を備えた職員がちゃんといるようにしなければいけないと考えております。
そういう中で、私どもの一般社団法人も選管からの質問の受付先みたいになっておりまして、そういう中で一助を、少しでもお助けになればというふうに活動しております。
○塩川委員 執行経費基準法の議論もありますので、参考にさせていただきたいと思います。
本当にありがとうございました。
大口径の下水道の点検は一部にとどまっている。
総点検、原因究明を求めるとともに、点検基準の不備や広域化・独立採算の下での職員削減問題、復旧工事への財政措置等を質す。
職員削減含め原因究明を/八潮陥没/党国会議員団国交省聞き取り/ 緊急点検 埼玉3カ所で異常
下水道管の破損が原因とみられる埼玉県八潮市の道路陥没事故を受けて発足した日本共産党国会議員団「老朽インフラ対策チーム」(責任者・伊藤岳参院議員)は19日、全国の大型下水道管を対象にした緊急点検の結果について国土交通省の担当者に聞き取りました。伊藤氏と堀川あきこ(同チーム事務局長)、塩川鉄也の両衆院議員、井上哲士参院議員が出席しました。
国交省が自治体に要請した緊急点検は、7都府県(東京、埼玉、千葉、神奈川、大阪、兵庫、奈良)で行われ、計419キロの管路の1702カ所を目視やカメラで調べました。その結果、埼玉県内の計3カ所に異常が見つかりました。
議員らに対し、国交省の担当者は「マンホールの付近ではない場所は目が届いていない」と説明。補完的に実施した路面下空洞調査は、地表から1・5~2メートルまでを調査するのが技術的に限界だとして「2メートルよりも深いところは調査できていない」と述べました。
八潮市の陥没事故は、大規模な下水処理場に近い中川流域下水道の幹線で発生しました。1983年に整備された下水道管(直径4・75メートル)の上部が破損したとみられます。
塩川氏は「処理場の近傍にある大口径の下水道管の点検が見逃されてきたのではないか」と指摘し、伊藤氏は「下水道の維持・管理に従事する自治体の職員が削減されてきた問題を含め、しっかりと原因究明の議論をしてほしい」と求めました。
同席した日本自治体労働組合総連合(自治労連)の内田みどり中央執行委員は、下水道管の老朽化による漏水事故などが全国各地で起きているとして「国は下水道の広域化と民間の活用を言い続けてきたが、方向転換を考えてほしい」と要望しました。
「しんぶん赤旗」2月18日・2面より
衆参両院は17日、皇位継承のあり方に関する全体会議を衆院議長公邸で開き、「女性皇族の婚姻後の配偶者及び子の身分」に論点を絞り、意見交換しました。
日本共産党の小池晃書記局長は、政府の有識者会議の報告に沿って論点を絞るやり方を批判。「男系男子による継承を不動の原則」とした議論の進め方に大きな問題があると指摘しました。
その上で、「憲法の規定に照らせば、多様な性をもつ人々によって構成されている日本国民の象徴である天皇を男性に限定する合理的理由はない。女性だから天皇になれないというのは、男女平等を掲げる日本国憲法の精神に反する」として、「女性天皇について正面から検討すべきだ」と主張しました。
小池氏は「女性天皇の議論を棚上げしたまま、皇族の数を確保するとの理由で、女性皇族を婚姻後も皇族の身分にとどめおくための議論をするのは全く筋が違う」と指摘。さらに、国会の付帯決議が挙げている「安定的な皇位継承の確保や女性宮家の創設等」の課題をも棚上げした議論だと批判しました。
日本共産党から、田村智子委員長と私も出席しました。