政府が提出した皇室典範改定案の採決が衆院本会議で強行され、自民党と中道改革連合、日本維新の会、国民民主党、参政党などの賛成多数で可決しました。日本共産党などは反対しました。
私は議院運営委員会で反対を表明し、天皇の制度は憲法の条項と精神に基づいて広く国民的議論をすべき問題だとして、わずか3時間の質疑での採決強行に強く抗議しました。
憲法は天皇の地位は「主権の存する日本国民の総意に基く」としており、ほとんどの世論調査で女性天皇を認めるべきが多数だと指摘。男系男子での継承を不動の原則とし「旧宮家」の一般国民である男子を皇族の養子に迎えるとする法案は「『国民の総意』に背く」と断じました。
さらに、法案には、皇位継承全体会議参加の衆参13会派のうち5会派が反対し「立法府の総意」ではないと強調。政府は皇族数確保策といいながら、養子の子の男子に皇位継承権を認める規定を盛り込んでおり「国会と国民を愚弄(ぐろう)するやり方だ」と批判しました。
また、多様な性を持つ人々で構成される国民の「統合の象徴」である天皇を男性に限定する合理的理由はどこにもないと指摘し、女性天皇、女系天皇の問題を正面から議論すべきだと提起しました。多様な性を持つ国民の「統合の象徴」と憲法が定める天皇を男性に限定する合理的な理由はないと主張し、「なぜ女性ではダメなのか。なぜ男系男子にこだわるのか」とただしました。
木原稔官房長官は「男系継承が古来例外なく維持されてきたことの重みなどを踏まえ」現典範は男系男子による継承を規定しているなどと答弁しました。
私は、日本国憲法の第2条は、戦前の大日本帝国憲法にあった、男系男子を意味する「皇男子孫」が継承するという文言を削除したと指摘。1946年の憲法制定議会で当時の金森徳次郎国務大臣は削除した理由について、「男女の区別については法律問題として自由に考えてよろしいという立場」と答弁しており、「女性天皇の検討も議論もせずに、女性天皇の道を閉ざす高市政権の姿勢は、80年前の議論からも後退している」と批判。政府や自民党は「歴史と伝統」と強調するが、現憲法では旧憲法の「万世一系」「神聖ニシテ侵スベカラズ」という天皇主権は否定されたと指摘。「男系男子」固執の姿勢は「家制度」で男子を産むことを強制し、女性を苦しめてきた日本社会の姿と重なり、女性差別を助長すると批判しました。
法案は、現天皇との共通の祖先が約600年前までさかのぼる「旧宮家」からの養子に生まれた男子が天皇になれる一方、現天皇の子の女性皇族やその子は天皇になれない仕組みです。
私は、女性皇族は天皇になる資格がないのに皇室行事を担う皇族数確保のためだけに皇室を離れられないと指摘。女性・女系天皇の道を閉ざす法案は撤回すべきだと要求しました。
私は、法案が養子の対象とする旧11宮家は47年に自らの意思で皇籍を離脱し一般国民となった人々だと指摘。現典範にのっとり皇室を離れた人の子孫を皇族に戻すため、養子禁止規定を覆すことは大きな矛盾だと追及しました。また、旧11宮家の男系男子と今の天皇は「いったい何親等の隔たりがあるのか」と質問。宮内庁の緒方禎己次長は「36から38親等の隔たりがある」と答えました。
私は、600年前の室町時代までさかのぼる遠い血筋の人を養子にするのは、2005年の政府有識者会議の報告書が広く国民の理解と支持を得るのは困難だと否定していると強調しました。さらに、一般国民として生まれ育ってきた旧宮家の人々を特別な身分である皇族にすることは、「憲法14条1項が否定した門地による差別に抵触する」と強調。そのうえ、法案は旧宮家の男系男子の子孫を将来にわたり養子候補とするもので、準皇族ともいうべき新たな特別身分をつくるものだと批判しました。
男系男子による皇位継承に固執する皇族養子は矛盾だらけだとし、「かつての家制度のもとで男の子を産むことを強制し、多くの女性たちを苦しめてきた日本社会の姿と重なる」と指摘。「現在の日本社会における女性差別を助長するものだ」と批判しました。
私は同日の衆院内閣委員会で、養子縁組が行われる際に第三者の関与やマッチングのルールがあるのかをただしました。木原官房長官は決めていないと答弁。私は、政治家などが養子縁組に関与し、天皇の制度の政治利用を引き起こすことに危惧を示しました。
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「国民の総意」背き審議3時間/皇室典範改定案 衆院通過/塩川氏が反対
「しんぶん赤旗」7月11日・1面より
政府が提出した皇室典範改定案の採決が10日の衆院本会議で強行され、自民党と中道改革連合、日本維新の会、国民民主党、参政党などの賛成多数で可決しました。日本共産党などは反対しました。(関連2面・全文4面)
共産党の塩川鉄也議員は同日の衆院議院運営委員会で反対を表明し、天皇の制度は憲法の条項と精神に基づいて広く国民的議論をすべき問題だとして、わずか3時間の質疑での採決強行に強く抗議しました。
憲法は天皇の地位は「主権の存する日本国民の総意に基く」としており、ほとんどの世論調査で女性天皇を認めるべきが多数だと指摘。男系男子での継承を不動の原則とし「旧宮家」の一般国民である男子を皇族の養子に迎えるとする法案は「『国民の総意』に背く」と断じました。
また、多様な性を持つ人々で構成される国民の「統合の象徴」である天皇を男性に限定する合理的理由はどこにもないと指摘しました。
政府や自民党は「歴史と伝統」と強調するが、現憲法では旧憲法の「万世一系」「神聖ニシテ侵スベカラズ」という天皇主権は否定されたと指摘。「男系男子」固執の姿勢は「家制度」で男子を産むことを強制し、女性を苦しめてきた日本社会の姿と重なり、女性差別を助長すると批判しました。
さらに、法案には、皇位継承全体会議参加の衆参13会派のうち5会派が反対し「立法府の総意」ではないと強調。政府は皇族数確保策といいながら、養子の子の男子に皇位継承権を認める規定を盛り込んでおり「国会と国民を愚弄(ぐろう)するやり方だ」と批判しました。
「旧宮家」は戦後、自ら皇籍を離れた人々で、養子を禁じる現皇室典範を覆して養子にするのは矛盾だと指摘。一般国民として生まれ育った人々を特別な身分の皇族にすることは憲法が禁じる「門地による差別」に抵触すると述べ、「旧宮家」の男系男子の子孫を養子候補とする新たな特別身分をつくるものだと批判しました。
法案は、現天皇との共通の祖先が約600年前までさかのぼる「旧宮家」からの養子に生まれた男子が天皇になれる一方、現天皇の子の女性皇族やその子は天皇になれない仕組みです。
塩川氏は、女性皇族は天皇になる資格がないのに皇室行事を担う皇族数確保のためだけに皇室を離れられないと指摘。女性・女系天皇の道を閉ざす法案は撤回すべきだと要求しました。
皇室典範改定/「男系男子」固執やめよ/塩川氏「女性差別助長する」/衆院議運委
「しんぶん赤旗」7月11日・2面より
日本共産党の塩川鉄也議員は10日の衆院議院運営委員会で質問に立ち、男系男子による皇位継承を不動の原則にし、養子皇族の男子に天皇になる資格を与える皇室典範改定案は矛盾だらけであることを明らかにしました。
塩川氏は、女性天皇、女系天皇の問題を正面から議論すべきだと提起。多様な性を持つ国民の「統合の象徴」と憲法が定める天皇を男性に限定する合理的な理由はないと主張し、「なぜ女性ではダメなのか。なぜ男系男子にこだわるのか」とただしました。
木原稔官房長官は「男系継承が古来例外なく維持されてきたことの重みなどを踏まえ」現典範は男系男子による継承を規定しているなどと答弁しました。
塩川氏は、日本国憲法の第2条は、戦前の大日本帝国憲法にあった、男系男子を意味する「皇男子孫」が継承するという文言を削除したと指摘。1946年の憲法制定議会で当時の金森徳次郎国務大臣は削除した理由について、「男女の区別については法律問題として自由に考えてよろしいという立場」と答弁しており、「女性天皇の検討も議論もせずに、女性天皇の道を閉ざす高市政権の姿勢は、80年前の議論からも後退している」と批判しました。
法案が養子の対象とする旧11宮家は47年に自らの意思で皇籍を離脱し一般国民となった人々だと指摘。現典範にのっとり皇室を離れた人の子孫を皇族に戻すため、養子禁止規定を覆すことは大きな矛盾だと追及しました。また、旧11宮家の男系男子と今の天皇は「いったい何親等の隔たりがあるのか」と質問。宮内庁の緒方禎己次長は「36から38親等の隔たりがある」と答えました。
塩川氏は、600年前の室町時代までさかのぼる遠い血筋の人を養子にするのは、2005年の政府有識者会議の報告書が広く国民の理解と支持を得るのは困難だと否定していると強調しました。さらに、一般国民として生まれ育ってきた旧宮家の人々を特別な身分である皇族にすることは、「憲法14条1項が否定した門地による差別に抵触する」と強調。そのうえ、法案は旧宮家の男系男子の子孫を将来にわたり養子候補とするもので、準皇族ともいうべき新たな特別身分をつくるものだと批判しました。
男系男子による皇位継承に固執する皇族養子は矛盾だらけだとし、「かつての家制度のもとで男の子を産むことを強制し、多くの女性たちを苦しめてきた日本社会の姿と重なる」と指摘。「現在の日本社会における女性差別を助長するものだ」と批判しました。
塩川氏は同日の衆院内閣委員会で、養子縁組が行われる際に第三者の関与やマッチングのルールがあるのかをただしました。木原官房長官は決めていないと答弁。塩川氏は、政治家などが養子縁組に関与し、天皇の制度の政治利用を引き起こすことに危惧を示しました。
「女性天皇なぜダメ?」質問見て思わず拍手
「しんぶん赤旗」7月11日・2面より
日本共産党の塩川鉄也議員が10日の衆院議員運営委員会で行った皇室典範改定案への質問をテレビなどで視聴した人たちから、電話やメールなどで党本部に相次ぎ感想が寄せられています。
三重県の男性は「大変素晴らしかった。感動しました。塩川さんの言う通り、女性天皇を認めるべきです」と強調。テレビで視聴しながら思わず拍手をしたという女性は「なんで女性天皇ではだめなんですか? という率直な質問が良かった。そうそう、そこが聞きたいと感じた」と感想を寄せました。
中道改革連合、国民民主党、チームみらいなどの議員に続き、塩川氏の質問を視聴したという男性は「塩川議員だけが、日本国憲法を基本中の基本に質問していた」と指摘。埼玉県の女性は「本当に細かく調べていて、科学的な質問だった。これが共産党のいいところ」と述べました。
皇室典範改定 衆院で強行/「国民の総意」を踏みにじる暴挙
「しんぶん赤旗」7月11日・2面より
衆院議院運営委員会は10日、皇室典範改定案をわずか3時間の審議で採決し、本会議に緊急上程しました。法案はその日のうちに衆院を通過しました。男系男子による皇位継承を「不動の原則」とする法案を、与野党の全体会議で積み重ねられてきた議論を踏みにじる形で提出し、成立ありきで強行する暴挙です。
天皇の制度は、憲法の条項と精神に基づき、国民的合意のもとで慎重に検討されるべき重大な問題です。憲法1条が定めるとおり、天皇の地位は「主権の存する日本国民の総意に基く」ものであり、拙速な議論は許されません。
女性天皇閉ざす
しかし、政府が提出した改定案は、旧宮家の男系男子を養子として皇室に迎える内容を盛り込む一方で、女性天皇の可能性を閉ざしています。女性・女系天皇を支持する世論が多数を占める中、これを押し通すことは「国民の総意」を踏みにじるものです。
しかも、衆参正副議長のもとで設置された全会派参加の全体会議では、「皇族数の確保」を主眼に議論が行われており、「皇位継承」については議題から切り離されていました。ところが、政府の提出した改定案に、皇位継承に関わる仕組みが突如、盛り込まれたことで、「立法府の総意」は完全に崩されました。自民党内からも「国会の総意にも基づかない内容であれば、憲法の精神に反することになりはしないだろうか」(船田元・衆院議員)との異論が出ています。
国民的議論こそ
中道改革連合は、採決にあたり付帯決議案に「女性天皇の是非や女性宮家創設の検討」を盛り込むよう修正を求め、与党は応じませんでした。それでも、中道は「将来の皇位継承の在り方について、立法府の検討を先取りしたり縛る趣旨ではない」との政府答弁を理由に「一定の担保が得られた」(小川淳也代表)として賛成へと転じました。
しかし、党内から「付帯決議の解釈について良い答弁が得られたとしても、男系男子に固執している改正案に1ミリも変化は生じない」(西村智奈美副代表)との批判が噴出し、本会議で採決を退席する議員も出ました。参院では立憲民主党が反対方針を固めており、およそ「立法府の総意」とは言いがたい状況です。
このまま成立を許せば、将来に大きな禍根を残すことになります。政府は法案を撤回し、国民的議論に立ち返るべきです。
皇室典範改定案/塩川議員の発言/衆院議院運営委
「しんぶん赤旗」7月11日・4面より
日本共産党の塩川鉄也議員が10日の衆院議院運営委員会で行った、皇室典範改定案に対する発言は次の通りです。
皇室典範改定案に反対の発言を行います。
第一に、天皇の制度の問題は、憲法の条項と精神に基づいて、広く国民的な議論をすべき問題であるにもかかわらず、本日わずか3時間の質疑で採決を強行しようとしていることに強く抗議するものです。
日本国憲法第1条は、天皇の地位は「主権の存する国民の総意に基く」としていますが、高市政権が提出した皇室典範改定案は「国民の総意」を得ているとは到底いえません。
どの世論調査でも女性天皇を認めるべきという意見が多数です。にもかかわらず、法案が男系男子による皇位継承を不動の原則とし、旧宮家の一般国民である男子を皇族の養子に迎える案を進めようとしていることに、国民は疑問の声をあげています。
朝日新聞の社説は「立法府の総意でも国民の総意でもない、わきおこる異論や批判を顧みない姿は、極めて異常である」とし、読売新聞の社説は「数を頼んで一気呵成(かせい)に成立を図るといった乱暴な行為は許されない」と反対をかかげ、毎日、日経の全国紙や多くの地方紙、歴史学、憲法などの専門家からも批判の声が噴出しています。
国民の反対、懸念の声を無視して、「国民の総意」に背くものといわねばなりません。
第二に、日本国憲法のもとで、多様な性をもつ人々によって構成されている日本国民の統合の「象徴」である天皇を、男性に限定する合理的理由はどこにもありません。女性天皇を認めることは、日本国憲法の条項と精神にてらして合理性をもつものです。
政府や自民党は「わが国の歴史と伝統」を強調しますが、戦前の大日本帝国憲法の「万世一系ノ天皇之ヲ統治ス」「天皇ハ神聖ニシテ侵スベカラズ」という天皇主権は否定され根本的に転換しています。日本国憲法第2条は、皇位を世襲のものとしていますが、戦前の「皇男子孫」継承は削除され、戦前とは大きく変わっています。
にもかかわらず、男系男子による皇位継承を不動の原則として固執する政府の姿勢は、かつての「家制度」のもとで、男の子を産むことを強制し、多くの女性たちを苦しめてきた日本社会の姿と重なるものです。現在の日本社会における女性差別を助長するものといわねばなりません。
第三に、政府は今回の法案は立法府の総意にもとづくといますが、全体会議に参加した衆参13会派のうち5会派が反対しており、「立法府の総意」ではありません。
しかも、政府は、皇位継承の問題とは切り離した皇族数の確保策といいながら、養子の子の男子が皇位継承資格を持つとする規定を盛りこみました。国会と国民を愚弄(ぐろう)するやり方であり、断じて許されません。
法案の「旧宮家」の男系男子を皇族の養子に迎える案は矛盾に満ちています。
対象とする旧宮家は80年前、現典範にもとづき自らの意思で皇籍を離れた人々であり、皇族の養子を禁止する現行の皇室典範の規定を覆してまで養子とすることは大きな矛盾です。旧宮家だからといって、一般国民として生まれ育ってきた人々を特別な身分である皇族にすることは、憲法14条1項が否定した「門地による差別」に抵触します。旧宮家の男系男子の子孫を将来にわたって養子候補とし、準皇族ともいうべき新たな特別身分をつくるもので憲法に反します。
しかも、旧宮家と今の天皇との共通の祖先は約600年前の室町時代までさかのぼります。はるか遠い血筋の男系男子の養子の男子には天皇になる資格を与える一方で、今の天皇の子である女性皇族やその子は天皇になる資格を与えないものです。
こうした養子縁組案は2005年の政府有識者会議の報告書で、「国民の理解と支持、安定性、伝統のいずれの視点から見ても問題点があり、採用することは極めて困難である」と否定されています。
さらに、法案は、女性皇族が結婚後も皇室から離れられないことを原則としています。女性皇族は天皇になる資格がないのに、皇室の行事を担うのに必要な皇族数を確保するためだけに皇族として拘束される、まさに「2級皇族」のような扱いをするものといわねばなりません。
今回の法案の本質は、女性天皇・女系天皇の道を閉ざそうというものであり、到底容認できません。
日本共産党は、本案を撤回し、あらためて有識者、憲法学者などの参考人の意見を聴取し、国民の声を聞く公聴会、広く国民的な議論を行い、「国民の総意」を形成する努力をすることこそ国会の責務であることを強調し、反対の発言をおわります。
「議事録」
第221回特別国会 令和8年7月10日(金曜日)議院運営委員会 第34号
○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
日本共産党は、天皇の制度の問題は、日本国憲法の条項と精神に基づき議論、検討すべきだと発言してまいりました。
日本国憲法第一条は、天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であって、この地位は、主権の存する国民の総意に基づくと明記しております。今回政府が提出した皇室典範改定案は、国民の総意に基づくものとなっているのかが問われます。
政府案の内容は、八十年前に皇族を離れた旧宮家の男系男子の子孫を養子に迎えて、その子が男子なら天皇になる皇位継承権を持たせるものであります。
世論調査では、女性天皇を認めるべきという声が多数であります。女性天皇の議論は棚上げにして、天皇は男系男子により継承されるべきということを不動の原則にして男系男子養子案を進めていることに、国民は疑問の声を上げているのではないでしょうか。
官房長官にお尋ねいたします。政府は、この法案に国民の総意は得られると考えておられるんですか。
○木原国務大臣 今回の皇室典範の改正につきましては、先日、六月十日でありましたが、国会において、衆参両院正副議長の下、立法府の総意として議論の取りまとめが行われたところであります。そこでは、今上陛下から秋篠宮皇嗣殿下、次世代の悠仁親王殿下という皇位継承の流れをゆるがせにしてはならないことについては、立法府としてもこれを確認する、その上で、議論の取りまとめを基に法制化することを求めるとされているところでございました。政府としては、この立法府の総意に忠実に法案を作成したものでございます。
○塩川委員 立法府の総意といいますけれども、全体会議に参加している十三会派のうち五会派が反対しており、到底立法府の総意と言えるものではありません。
朝日新聞の世論調査では、養子縁組をできるようにする法整備を急ぐ必要はないが七一%で、急ぐべきだの一九%を大きく上回りました。読売新聞では、皇室典範の議論が十分だったとする回答は三九%にすぎません。今日の朝日新聞の社説では、改定案が国民の総意を得たとは到底言えない、立法府の総意も逸脱している、沸き起こる異論や批判を顧みない姿は極めて異常である、このままの成立は許されないと指摘し、全国紙の読売、毎日、日経も慎重な議論を求めております。
国民の総意に支えられるべき天皇の制度について、国民の疑問や懸念を無視することは許されないと思います。
そもそも、やり方が問題であります。官房長官は提案理由を皇族数の確保のためと説明しましたが、実際の法案は、養子により皇族となった養子皇族男子は皇位継承資格は有しないとする一方、養子皇族男子の子や孫においては皇位継承資格を有する、つまり、養子の子孫は天皇になれると規定しております。
官房長官にお尋ねしますが、これは全体会議では一切説明がなかったことであります。政府が法案にした段階で突如盛り込まれたものであります。これは率直に言って国民と国会を愚弄するようなやり方ではありませんか。
○木原国務大臣 まず、養子の子孫については、取りまとめに記述がないことから、現行の皇室典範に基づいて判断することとなります。養子の男子孫は生まれながらの皇族でありますから、現行の皇室典範第一条及び第二条が適用され、皇位継承資格を有することとなります。
その上で、現時点における所要の規定整備として、養子皇族男子の子孫の皇位継承順位について、皇室典範第三十八条第六項で、実方の系統によるとの解釈を規定いたしました。これは、例えば、複数の方がおられた場合に順序に紛れが生じないようにするという趣旨であり、創設的な規定ではないということでございます。
また、これによりまして、附則第六条の規定に基づく立法府における将来の検討をしたり、これを縛るような趣旨ではないというのもこれまで説明をしてまいりました。
なお、全体会議では議論がなかったというようなことで今御質問がありましたが、六月二十五日の全体会議において、政府側から、改正以外の部分については現在の皇室典範の解釈どおりになるという旨は説明をさせていただいているところでございます。
○塩川委員 六月二十五日の全体会議の話がありました。その際に、福島みずほ議員が、要綱の養子皇族男子の子孫の皇族としての地位は実方の系統によるものとするとの記述について、養子の子供は皇位継承を持つということかと質問したのに対し、山崎内閣府参与は、実方の話につきましては現行法の解釈としてどうなるかということだろうと思っておりましてと、明確に答えておりませんでした。こういう説明で立法府の総意とはなりようがないと言わなければなりません。
本来、有識者や憲法学者などの参考人、また国民の声を広く聞く公聴会など、国民的な議論を行うべき問題であります。そもそも国民の総意に基づく天皇の制度はどうあるべきなのか、大いに国民的な議論をやる必要があります。
日本共産党は、女性天皇、女系天皇の問題を正面から議論すべきだと繰り返し述べてまいりました。主権者である国民の総意に基づく日本国民統合の象徴の地位にある天皇を男性に限定しているという現状を正すことは、国民の中での両性の平等、ジェンダー平等を発展させる上でも意義ある改革になると思うからであります。
憲法第一条は、天皇を日本国民の統合の象徴としております。多様な性を持つ人々によって構成されている日本国民の統合の象徴である天皇を男性に限定する合理的な理由はどこにもありません。女性天皇を認めることは、日本国憲法の条項と精神に照らして合理性を持つと考えます。
官房長官にお尋ねいたします。なぜ女性では駄目なのか。なぜ男系男子にこだわるのか。
○木原国務大臣 まず、安定的な皇位の継承を維持するということは、これは国家の基本に関わる極めて重要な事柄でございます。
現行の皇室典範第一条においても、男系継承が古来例外なく維持されてきたことの重みなどを踏まえ、「皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する。」と規定されているものと考えているところであります。
令和三年の政府の有識者会議の報告においても、皇位の継承という国家の基本に関わる事柄については、制度的な安定性が極めて重要、また、今上陛下、秋篠宮皇嗣殿下、次世代の皇位継承資格者としての悠仁親王殿下がいらっしゃることを前提に、この皇位継承の流れをゆるがせにしてはならないとされておりまして、政府としては、この報告を尊重しているところであります。
したがって、今委員の御指摘については、そのような考えの下で今回の改正とさせていただいております。
○塩川委員 男系男子にこだわる理由について、男系男子が古来継承されてきたという点を述べておられます。我が国の歴史と伝統を踏まえてという話でありますが。天皇の制度の議論で大事なことは、日本国憲法と戦前の大日本帝国憲法の下での天皇制とは根本的な違いがあるということであります。
官房長官に確認でお聞きしますが、戦前の大日本帝国憲法においては、第一条で「大日本帝国ハ万世一系ノ天皇之ヲ統治ス」と規定しているように、戦前においては天皇が統治権を有する主権者だった、これはよろしいですね。
○木原国務大臣 大日本帝国憲法下、明治憲法下ではそのような規定だと存じております。
○塩川委員 その天皇主権の根拠というのは、憲法に付された上諭が「国家統治ノ大権ハ朕カ之ヲ祖宗ニ承ケテ之ヲ子孫ニ伝フル所ナリ」と述べているように、天皇が神であるとする天孫降臨神話に基づき、天皇の祖先、皇祖皇宗から受け継がれたことによるものとされたわけであります。
一方で、戦後の日本国憲法についてですけれども、このような戦前の天皇制を転換し、憲法の規定では、天皇の地位は、主権の存する日本国民の総意に基づくとしたものです。この点もよろしいですね。
○木原国務大臣 現行憲法、日本国憲法下ではそのような規定と存じます。
○塩川委員 戦前戦後、根本的な転換が行われた。
日本国憲法の第二条は、皇位は世襲のものとしておりますが、戦前の大日本帝国憲法にあった男系男子による継承を意味する皇男子孫が継承するという文言は削除されております。憲法制定議会で金森徳次郎国務大臣は、この憲法二条について、なぜ皇男子孫を省いたのかとの質問に対してどのように答弁をしておられますか。
○末永政府参考人 お答えいたします。
昭和二十一年七月八日の衆議院帝国憲法改正案委員会におきまして、金森国務大臣は、憲法の建前としては、皇男子、すなわち男女の区別につきましての問題は、法律問題として自由に考えてよろしいという立場に置かれるわけであります、実際どうなるかということはこれからの問題でありますと答弁しております。
○塩川委員 今答弁がありましたように、戦後の憲法制定議会において、金森担当大臣は、男女の区別については法律問題として自由に考えてよろしいという立場を述べておりました。女性天皇の問題は今後なお研究を重ねたいということの答弁ということで触れてあります。
率直に言って、高市政権においてはまともにこのような検討も議論もありません。女性天皇の道を閉ざそうという姿勢は八十年前の議論からも後退しているということを言わざるを得ません。
そこで、なぜ養子なのかということについてお尋ねします。
法案が養子の対象としている旧十一宮家とはどういう方々か。一九四七年に皇籍を離脱し、一般国民となった方々であります。当時の片山哲首相は、一国民として国家の再建に努めたいという御意思を表明せられると報告し、離脱した宮家は、現行の皇室典範第十一条第一項にのっとり、自らの意思により皇室会議の議を経て皇室の身分を離れた。このように、皇室典範の十一条に基づいて自らの意思で皇室の身分を離れた方々ということについてはよろしいですね。
○木原国務大臣 養子縁組の対象は、いわゆる旧十一宮家の男系男子孫であります。これは、昭和二十二年に皇籍離脱された旧十一宮家の男性皇族が現行憲法及び皇室典範の下で皇位継承資格を有していたことに依拠するものでございます。
さらに、養子の対象者となるのは、旧十一宮家の方々の昭和二十二年の皇籍離脱がなければ、歴史にたらればはありませんが、もしそういうことがなければ、現在も皇位継承資格を有していたはずの方々でございます。
○塩川委員 自らの意思により皇室の身分を離れたということはよろしいですね。
○木原国務大臣 先ほど、当時の皇室会議の議長であられた片山哲内閣総理大臣のお言葉がありましたが、皇族のうちから、終戦後の国内国外の情勢に鑑み、皇籍を離脱し、一国民として国家の再建に努めたいという御意思を表明せられる向きがあり、宮内省におきましても、事情やむを得ないところとして、その御意思の実現を図ることとなりと説明した上で、あわせて、新憲法公布後に制定せられました新皇室典範により、新憲法施行後に実現せられることとなったと説明されたと承知しております。
○塩川委員 皇室典範第十一条第一項に基づき自らの意思で皇族の身分を離れた、そういった方々は、その子孫も皇族には戻れないというのが現行法の体系だったわけであります。その点を改めるのが今回の中身ということにもなります。
現行法の規定を変えてまで旧十一宮家を皇族に戻すというのが今回の法案ですが、この旧十一宮家の方々と今の天皇との共通の祖先は、約六百年前の室町時代まで遡る遠い血筋の方々であるとされておりますが、一体何親等の隔たりがあるのか、この点についてお答えください。
○緒方政府参考人 お答えいたします。
いわゆる旧十一宮家は、北朝第三代崇光天皇の皇子、栄仁親王から始まる伏見宮の系統でありますが、今から五百九十八年前の正長元年、西暦一四二八年に、伏見宮の彦仁王、後の後花園天皇でありますが、皇位を継承したときに系譜が枝分かれしたものと承知しております。
昭和二十二年に皇籍離脱された皇族男子の方々は、今上陛下とは三十六親等から三十八親等の隔たりがあるものと承知しております。
○塩川委員 三十六親等から三十八親等の隔たりがある。男系男子に固執することで、六百年前の室町時代まで遡る遠い血筋の人を探し出して養子にする、これに対して広く国民の理解と支持を得るのは困難ではないのか。
二〇〇五年の政府有識者会議の報告においても、これらの方々を広く国民が皇族として受け入れることができるか懸念される、皇族として親しまれていることが過去のどの時代よりも重要な意味を持つ象徴天皇の制度の下では、このような方策につき国民の理解と支持を得ることは難しいと述べております。
こういう点についても、二〇〇五年の報告書は、養子について、国民の理解と支持、安定性、伝統のいずれの視点から見ても問題点があり、採用することは極めて困難であると否定していたわけであります。こういった問題について検討が行われていないということが大問題だと言わなければなりません。
旧宮家だからといって、一般国民として生まれ育ってきた人々を特別な身分である皇族にすることは、憲法十四条の一項が否定した門地による差別に抵触するということも言わなければなりません。皇族養子というのは矛盾だらけであります。にもかかわらず、男系男子による皇位継承を不動の原則として固執をする政府の姿勢こそが問われる問題であります。
かつての家制度の下で、男の子を産むことを強制し、多くの女性たちを苦しめてきた日本社会の姿と重なります。現在の日本社会における女性差別を助長するものとも言わなければなりません。はるか遠い血筋の男系男子の養子の男子には天皇になる資格を与える一方で、今の天皇の子である女性皇族やその子には天皇になる資格を与えないというのが本法案の本質であります。到底国民の理解は得られないと言わなければなりません。
本案を撤回し、改めて有識者、憲法学者などの参考人の意見を聴取し、国民の声を聞く公聴会を行う、パブリックコメントを行う、こういったことを行うべきであります。広く国民的な議論を行い、国民の総意を形成する努力をすることこそ国会の責務だと申し上げて、質問を終わります。
○塩川委員 私は、日本共産党を代表して、皇室典範改正案に反対の発言を行います。
第一に、天皇の制度の問題は憲法の条項と精神に基づいて広く国民的な議論をすべき問題であるにもかかわらず、本日、僅か三時間の質疑で採決を強行しようとしていることに強く抗議をするものです。
日本国憲法第一条は、天皇の地位は、主権の存する国民の総意に基づくとしていますが、高市政権が提出した皇室典範改正案は、国民の総意を得ているとは到底言えません。
どの世論調査でも、女性天皇を認めるべきという意見が多数です。にもかかわらず、法案が男系男子による皇位継承を不動の原則とし、旧宮家の一般国民である男子を皇族の養子に迎える案を進めようとしていることに、国民は疑問の声を上げています。
朝日新聞の社説は、立法府の総意でも国民の総意でもない、沸き起こる異論や批判を顧みない姿は極めて異常であるとし、読売新聞の社説は、数を頼んで一気呵成に成立を図るといった乱暴な行為は許されないと反対を掲げ、毎日、日経の全国紙や多くの地方紙、歴史学、憲法などの専門家からも批判の声が噴出しています。
国民の反対、懸念の声を無視して、国民の総意に背くものと言わねばなりません。
第二に、日本国憲法の下で、多様な性を持つ人々によって構成されている日本国民の統合の象徴である天皇を男性に限定する合理的理由はどこにもありません。女性天皇を認めることは、日本国憲法の条項と精神に照らして合理性を持つものです。
政府や自民党は我が国の歴史と伝統を強調しますが、戦前の大日本帝国憲法の「万世一系ノ天皇之ヲ統治ス」「天皇ハ神聖ニシテ侵スヘカラス」という天皇主権は否定され、根本的に転換しています。日本国憲法第二条は皇位を世襲のものとしていますが、戦前の皇男子孫継承は削除され、戦前とは大きく変わっています。
にもかかわらず、男系男子による皇位継承を不動の原則として固執する政府の姿勢は、かつての家制度の下で、男の子を産むことを強制し、多くの女性たちを苦しめてきた日本社会の姿と重なるものです。現在の日本社会における女性差別を助長するものと言わねばなりません。
第三に、政府は今回の法案は立法府の総意に基づくといいますが、全体会議に参加した衆参十三会派のうち五会派が反対しており、立法府の総意ではありません。
しかも、政府は、皇位継承の問題とは切り離した皇族数の確保策といいながら、養子の子の男子が皇位継承資格を持つとする規定を盛り込みました。国会と国民を愚弄するやり方であり、断じて許されません。
法案の旧宮家の男系男子を皇族の養子に迎える案は矛盾に満ちています。対象とする旧宮家は、八十年前、現典範に基づき自らの意思で皇籍を離れた人々であり、皇族の養子を禁止する現行の皇室典範の規定を覆してまで養子とすることは大きな矛盾です。
旧宮家だからといって、一般国民として生まれ育ってきた人々を特別な身分である皇族にすることは、憲法十四条一項が否定した門地による差別に抵触します。旧宮家の男系男子の子孫を将来にわたって養子候補とし、準皇族ともいうべき新たな特別身分をつくるもので、憲法に反します。
しかも、旧宮家と今の天皇との共通の祖先は、約六百年前の室町時代まで遡ります。はるか遠い血筋の男系男子の養子の男子には天皇になる資格を与える一方で、今の天皇の子である女性皇族やその子は天皇になる資格を与えないものです。
こうした養子縁組案は、二〇〇五年の政府有識者会議の報告書で、国民の理解と支持、安定性、伝統のいずれの視点から見ても問題点があり、採用することは極めて困難であると否定されています。
さらに、法案は、女性皇族が結婚後も皇室から離れられないことを原則としています。女性皇族は天皇になる資格がないのに、皇室の行事を担うのに必要な皇族数を確保するためだけに皇族として拘束される、まさに二級皇族のような扱いをするものと言わねばなりません。今回の法案の本質は、女性天皇、女系天皇の道を閉ざそうというものであり、到底容認できません。
日本共産党は、本案を撤回し、改めて有識者、憲法学者などの参考人の意見を聴取し、国民の声を聞く公聴会、広く国民的な議論を行い、国民の総意を形成する努力をすることこそ国会の責務であることを強調し、反対の発言を終わります。
「議事録」
第221回特別国会 令和8年7月10日(金曜日)内閣委員会 第25号
○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
午前中に続いて、皇室典範改正案について官房長官にお尋ねいたします。
今回の皇室典範の改正案は、現行法の規定を変えて、旧十一宮家の子孫を皇族に戻すというものであります。男系男子に固執をして、六百年前の室町時代まで遡る遠い血筋の人を養子にするということは、二〇〇五年の有識者会議の報告において、「これらの方々を広く国民が皇族として受け入れることができるか懸念される。皇族として親しまれていることが過去のどの時代よりも重要な意味を持つ象徴天皇の制度の下では、このような方策につき国民の理解と支持を得ることは難しい」と述べていたわけですが、こういったことの検討が何らなされていないという点が極めて問題だと思います。
官房長官にお尋ねします。
旧宮家の方だからといって、一般国民として生まれ育ってきた人々を特別な身分である皇族にすることは、憲法十四条一項が否定した門地による差別に抵触するのではないのか。その上、法案は、旧宮家の男系男子の子孫を将来にわたって養子候補とする恒久法であります。血筋がつながっている以上、子々孫々の男子は皇族になる可能性を持ちます。準皇族ともいうべき新たな特別身分をつくるようなものではありませんか。
○木原国務大臣 今般の皇室典範改正案につきましては、衆参正副議長による議論の取りまとめに沿って、忠実に法案を作成したという前提でございます。
その上で、憲法ですが、第十四条において法の下の平等を定める一方で、第二条においては皇位は世襲のものとし、また、第五条及び第四条第二項において摂政や国事行為の委任の制度を設けている。そういったことから、これらの制度を円滑に運用することは憲法自体の要請するものと考えているところでございます。
また、皇族の数が減少している現状に鑑み、天皇の御活動を支える皇族の数の確保というのは喫緊の課題と考えられます。このような状況において、皇室典範第十五条の特例として、皇統に属する方を、皇室の制度を担っていただくために、新たに皇族になることができることとすることは、これは憲法が禁止しているものとは解されないのではないかと考えます。
その上で、皇族に属する方のうち、いずれの方を養子の対象者とするかについては、憲法第一章の規定やこれまでの養子を禁じてきた趣旨などを踏まえて適切に定めることが法律である皇室典範に委任されているものと解されます。
日本国憲法及び現行の皇室典範の施行後も皇族の身分を有していた皇族男子の子孫である男系男子を養子の対象者とすることが、御指摘のような、憲法第十四条の規定に反するものとは考えておりません。
○塩川委員 特例として新たな皇族をつくるという仕組みであります。旧宮家の男系男子の子孫を将来にわたって養子候補とする恒久法ということであるわけで、この法案が成立をしたら、法律上で養子の対象とされる旧十一宮家の男系男子の子孫の方々、一般国民として生活している方々ですけれども、こういった旧宮家の男子の子孫の方々をどのように把握をしていくのか、どのように扱うのか、何かリストアップをするのか。その辺の扱いについてはどのようになるんでしょうか。
○末永政府参考人 お答えいたします。
政府におきましては、養子の対象者になる方につきましては、プライバシーの問題であるとか、現行規定では養子が禁止されているということを踏まえて、慎重な対応が必要であるという認識から、これまで把握はしておりませんでした。
養子の縁組といいますのは、自由意思に基づいた養親と養子の縁組でございますので、政府として調査をして何か圧力をかけるようなことになってもいけませんので、慎重な対応が引き続き必要だというふうに考えております。
○塩川委員 具体的に把握をするかどうかというのはおっしゃらないわけですけれども、実際に養子候補となる、恒久法、その対象となる旧宮家の男系の子孫の方々について、将来皇族にもなり得る方という意味で、品位の保持などということで、こういった旧宮家の子孫の方に対して特別な処遇を国として行うということはないんでしょうか。
○木原国務大臣 御指摘のような、品位を保つなどというような目的を持っていわゆる旧宮家の方々に対して何か国が特別な処遇を行うというようなことは想定はしていないところでございます。
○塩川委員 養子制度についてもう一つお聞きしたいのが、養子縁組が行われる際に、自由意思だというのが政府参考人答弁でありました。そうしますと、実際調える上で、その当事者、養親と養子となり得る方々のお二方が当事者でというのは実際なかなかハードルがあるような場合に、当然、第三者が関与するということというのはあるんでしょうか。その際に、そういったいわゆるマッチングについての何らかのルールというものはあるんでしょうか。
○木原国務大臣 養子縁組という制度でございますが、これは一般に行われるものと同じく、養親となる皇族と養子となるいわゆる旧十一宮家の男系男子孫の双方の自由な意思に基づく合意が前提となります。また、婚姻と同様に、養子縁組について、その成立に至るまでの今委員の御指摘のあったような決められたマッチングのルールとかプロセスというのが現在あるわけではございません。
○塩川委員 要するに、養子縁組に力をかすような、そういった第三者の方というのは特段どういう方という決めはなくて、限定はないということでしょうか。
○末永政府参考人 お答えいたします。
今ほど御答弁ございましたように、決められたプロセスがあるわけではございませんので、そうしたことも決めているわけではございません。
○塩川委員 第三者の関わりについて決めているものがないということになりますと、例えば、そういった取り持つような第三者の方というのは政治家の方もいらっしゃる、そういうことというのも排除されていないということですか。
○木原国務大臣 決められたプロセスというのがありませんので、この改正案が成立後に、様々な、宮内庁としてお手伝いはさせていただくことになると思いますが、例えば、皇族男子の婚姻の例であるとか、明治典範でもこれは禁止されていたわけですが、それ以前には養子縁組などの例があったというふうに聞いております。そういったことも参考にしながら、今後、宮内庁において検討されるものだというふうに承知をいたします。
○塩川委員 決められたプロセスがないということですから、政治家の関与というのも排除はされないということであります。
このことについては、識者の方なども、皇位継承のルールに人間の意思を介在させる養子制度には無理があるということを指摘しておられます。人間の意思を介在させる養子制度というのは、皇位継承という天皇の制度の政治利用を引き起こすおそれがあるんじゃないでしょうか。
○木原国務大臣 今申し上げましたように、養親となる皇族と養子となる十一宮家の男系男子孫の、その双方の自由な意思に基づく合意が前提となりますので、今委員の御懸念のような、政治が関与するような懸念というのは、これは当たらないというふうに思っております。
○塩川委員 いや、当事者同士は自由意思ということがありますけれども、その背景として政治家が関与することによって、結果として天皇の政治利用、こういうことになりはしないのかということは排除されないんじゃないですか、問題となるんじゃないですか。
○木原国務大臣 双方の自由な意思に基づく合意が前提でございますので、そのようなことは想定をしておりません。
○塩川委員 当然、結果として自由意思でとなるわけですけれども、その前段として政治家も関わるような形で行われた際に、それはやはり天皇の政治利用につながるようなこと、そういう危惧、おそれというのは拭えないんじゃないかなと率直に思うんですが、改めて、いかがですか。
○木原国務大臣 委員の御懸念は理解はできないことはないですけれども、しかし、そのようなことはないというふうに考えております。
○塩川委員 大変、養子制度というのは矛盾だらけだと思います。にもかかわらず、男系男子による皇位継承を不動の原則として固執をする政府の姿勢こそが問題であって、かつての家制度の下で男の子を産むことを強制し、多くの女性たちを苦しめてきた日本社会の姿と重なるものです。現在の日本社会における女性差別を助長するものだということも指摘をしなければなりません。
そこで、改定案は、女性皇族が結婚後も皇室から離れられないことを原則としています。男性皇族は天皇になる資格があるがゆえに皇族として拘束をされますが、一方、女性皇族は、天皇になる資格がないのに、皇室の行事を担うのに必要な皇族数を確保するためだけに皇族として拘束をされることになる。これは率直に言って二級皇族のような扱いではないのか、こういう声もありますが、いかがでしょうか。
○木原国務大臣 まず、委員が二級皇族ということを言われましたが、大変、私は、それは恐れ多い、不遜な発言ではないかなと思います。
その上で、現行の皇室典範第十一条第一項においては、男性、女性を問わず、年齢十五年以上の内親王、王及び女王は、その意思に基づき、皇室会議の議により、皇族の身分を離れることができることとされております。
女性皇族の身分保持制度については、皇族数確保の具体的方策として、衆参正副議長による議論の取りまとめに沿って法制化したものでありますので、六月十五日、これは全体会議がございましたが、その法律案の要綱を御説明した際にも、衆参正副議長より、取りまとめに沿ったものであるとの御判断をいただきました。
今般の改正によって皇族の男女の間でその位置づけに差別が生じるといった指摘は当たらないと考えます。
○塩川委員 同じ皇族なのに男女の違いによって扱いに違いがあるということになるのは当然でありますので、こういった指摘というのもうかがえる話だと思います。
今回の法案は、女性皇族を天皇にする道を閉ざし、女性皇族の配偶者や子を皇族にすることを閉ざすための、そういう布石と言わなければなりません。到底、国民の理解を得られないということを申し上げて、質問を終わります。