【内閣委員会】生成AIの学習目的で著作物無断学習/法規制を/市民の権利と文化を守れ

 私は、AI事業者による著作権侵害について質しました。 

 私は、2018年の著作権法改悪によって、AIの学習目的であれば、原則権利者の許諾なく著作物の収集を行うことが認められているもとで、AI事業者による許諾無しでの収集が横行していると指摘。日本新聞協会から「AI事業者に対し、報道コンテンツを生成AIに利用する場合は、許諾を得るよう繰り返し求めているが、改善がみられないままサービスは拡大の一途を辿っている」「ガイドライン等のソフトローでは対応しきれない状況だ」との意見が出されていることを示し、「無断学習を認める著作権法を改正し、事前に権利者の許諾を得ることを必須とすべきだ」と質問しました。文化庁は「まずは事例の集積や諸外国における検討状況などを踏まえながら検討していく」と法改正には触れませんでした。

 私は、「AIを推進する法案を出す一方で、何かあれば当事者で裁判をやってくれということでは、政治の責任を果たしているとは言えない」と強調。AIの学習目的での知的財産の侵害は、イラストや俳優・声優の「声」など他分野に及ぶとして、「知的財産を保護せず生成AIの推進だけを推し進めれば、コンテンツ再生産のサイクルは機能しなくなる。この問題は、権利者に留まらず市民の権利や文化に取り返しのつかない不利益をもたらす問題だという認識はあるか」と追及。

 城内実内閣府特命担当大臣は「法、技術、契約の適切な組み合わせにより対応していくことが必要だ」と答弁。私は、それで対応できていないのが現状だと批判。著作権法には、著作者が自らの著作物がAIの学習データに使われているかを確認する開示請求権すらないと指摘し、「AI事業者に対しデータセットの開示を義務付けるべきだ」と主張。城内大臣は「開示が必要となる場合があることは認識している」としつつ「法案に基づく指針で対応していく」と述べるに留まりました。

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「議事録」

第217回通常国会 令和7年4月16日(水曜日)内閣委員会 第14号

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 AI推進法案について質問します。

 今日は、まず、AIによるプロファイリング、またスコアリングの問題について質問をいたします。

 二〇一九年に、リクナビを運営するリクルートキャリアが、就活生のサイト閲覧履歴などの情報をAIで分析し、約九万人の内定辞退率をスコア化し、本人同意なく採用企業に販売していたことが大問題となりました。企業によるAIを用いたプロファイリング、スコアリングの利用実態が明らかになった事件の一つであります。このことが、学生たちの就職活動、人生に不利益となる影響を与えてしまった可能性は否定しようがないと思います。

 時事通信が主要企業百社に行った調査結果によると、採用活動でAIを導入する企業は約三割に上っておりますが、雇用や採用選考は人生を左右するような重大な判断であり、労働者や採用希望者に不利益がもたらされることがないよう、極めて慎重な対応が必要であります。

 質問します。

 AIによる評価、分析のバイアスについてお聞きします。

 政府が取りまとめた人間中心のAI原則では、AIに関するバイアスにはどのようなものがあると記載をしておりますか。

○渡邊政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいまの人間中心のAI社会原則は二〇一九年三月に策定されたものでございますけれども、この中では、書いてあることをそのまま申し上げますけれども、AIの長所、短所をよく理解しており、とりわけAIの情報リソースとなるデータ、アルゴリズム、又はその双方にはバイアスが含まれること、これらを認識する能力を人々が持つことが重要とされております。

 また、データのバイアスには主として三つございまして、一つは統計的なバイアス、二つ目は社会の態様によって生じるバイアス、三つ目はAI利用者の悪意によるバイアス、この三種類があることを認識していることが望ましいというふうにされております。

○塩川委員 そのようにAIによるバイアスの指摘があるところです。

 実際、アメリカのアマゾンは、開発したAIを活用した人材採用システムに女性を差別する機械学習の結果が判明をし、運用を取りやめたという例もあります。AIが学習したデータが男性が大半である過去十年間の応募者データであり、男性の応募者の方が有望、女性は低く評価すると学習してしまったために起こったと報じられています。

 また、AIには、判断の過程や根拠が不透明であるブラックボックス化という問題もあります。

 お尋ねしますが、AI事業者ガイドラインでは、ブラックボックス化の事例としてどのような事例を紹介していますか。

○渡邊政府参考人 お答え申し上げます。

 AI事業者ガイドライン、これは総務省と経済産業省が策定しているものでございますけれども、これの本体というよりは別添になりますけれども、別添に記述がございますので、読み上げをさせていただきます。

 「AIの判断のブラックボックス化に起因する問題も生じている。とあるクレジットカードにおいて、同じ年収を有する男性及び女性に対して、女性の方が利用限度額が低いとの報告がSNS上で広がった。この問題に対し、金融当局が調査を実施し、クレジットカードを提供した企業に対してアルゴリズムの正当性の証明を求めた。しかし、企業はアルゴリズムの具体的な機能及び動作について説明することができなかった」という記述がございます。

○塩川委員 説明することができなかった。AIの利用には、バイアスやブラックボックス化という差別や不利益につながる深刻な問題があるということであります。

 国内でも、既にAIによる人事評価が問題となっています。

 その一つが日本IBMでありまして、日本IBMが人事評価と賃金決定にAIを導入したことに対して、同社の労働組合でありますJMITU、労働組合IBM支部が、AIの学習データやAIが表示するアウトプットの内容などの開示と説明を求めたところ、同社はこれを拒否しました。

 労働組合は、不当労働行為である不誠実交渉だ、支配介入に当たるとして、二〇二〇年に東京都労働委員会に救済を申し立てました。四年の交渉を経て、二四年八月、ようやく事業者側がAIによる評価項目を全開示することなどで和解をしたということであります。

 労働組合は声明で、社会の様々な領域でAIの利用が進む一方、社会に残る差別をAIが学習して再現したり、判断過程がブラックボックス化して理解不能に陥るなどの弊害が指摘されている、企業が人事管理にAIを利用する場合、公正性と透明性の確保が課題となるが、法規制は進んでおらず、個々の労働者の努力には限界があると指摘をしています。

 また、組合の中央執行委員長は東京新聞のインタビューに、当時はAIが何を考慮するのか全く明らかにされず、どのような根拠で判断するかも見えない、そしてその結果も知らされないという状態だった、もしかしたら組合員であることが影響するかもしれないと問題点を指摘しておりました。

 ここでお尋ねしますが、AIによる評価、分析は、バイアスがかかるという問題や、その過程や根拠がブラックボックスである問題があります。採用選考や人事評価などにAIを用いる事業者に対し、AIのデータセットやアルゴリズム、AIによる評価結果やその根拠を開示する義務を課すべきではありませんか。

○渡邊政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案では、AIのデータセットですとかアルゴリズム等の開示を求める規制は想定をしておりません。

 他方で、本法案に基づいて国が指針を整備していく予定でございますけれども、そのときに、広島AIプロセスの国際指針等の国際規範に準拠するということを考えております。

 それによりますと、AIのライフサイクル全般、このライフサイクルというのは開発から活用までの全ての段階ということでございますけれども、そこにおけるリスクを特定して軽減するため適切な措置を講じるということが指針の中には書いてございまして、その適切な措置には多様なテストというのが含まれまして、そのテストのために、AI開発者はデータセット等に関するトレーサビリティーを可能にするよう努めるべきという記述がこの国際指針の中にございます。この趣旨を、是非、私どもとしては、指針の中に反映していきたいと思います。

 指針には罰則はございませんけれども、先日来の御審議のとおり、違法行為に対して適用される既存の法律と今回のAI法案とを組み合わせて対応してまいりたいというふうに考えております。

○塩川委員 指針でという話ですけれども、それでいいのかという問題であります。

 この日本IBMのケースでは、労働組合の皆さんが頑張って、四年間の運動を通じて和解に至ったけれども、ほかの事例もそうなるとは限りません。この日本IBMの問題でも、背景にはアメリカの本社が進める三千九百人の人員削減の計画があるんです。AIがリストラツールに使われる懸念もあります。そこに法的規制がないのでは労働者の権利を守ることはできないのではないのか、このことが問われていると思います。

 大臣にお尋ねします。

 EUではAI法を作り、雇用や人事、採用選考などでAIを利用することをハイリスクと位置づけ、第三者機関による適合性審査などを義務づけております。日本企業がEUで活動する場合には、当然、AI法に基づきこの適合性審査などを受ける義務を負うわけで、日本ではそれがないという点でのダブルスタンダードになるわけです。EUでできることは是非この日本でもやってもらったらいいじゃないか、国内でもEUと同等の義務づけを求める、そういう措置が必要ではないでしょうか。

○城内国務大臣 お答えします。

 私も、塩川委員御指摘のとおり、こういったAIが巨大企業の経営者の安直なリストラツールになるようなことがあってはならないというふうに思います。

 それを踏まえてお答えしますが、EUのAI法では、確かに、御指摘のとおり、AIをリスクに基づき四つのランクに分けまして、最上位から二段階目にハイリスクなAIシステムを設定いたしまして、この段階のAIシステムを扱う事業者には基準遵守義務が課されている状況というふうに伺っております。

 先ほどの今井委員からの御指摘も踏まえて御答弁したことと重なりますけれども、雇用や人事、採用選考の在り方につきましては、我が国においては、AIに特化したものではないものの、厚生労働省のガイドライン等において一定の考え方が示されております。その上で、例えば男女雇用機会均等法では、雇用管理の各ステージにおきまして性別を理由とする差別が禁止されているなど、既存法による一定の取組もございます。

 ここがちょっと重要だと思うんですが、国によってやはりその歴史や文化、そういった社会的背景などが異なるため、その結果、各国の制度体系というのは全部一緒ではなくて異なっているということでありますので、繰り返しになりますけれども、我が国としては、既存法、そしてソフトローを適切に組み合わせてリスクに対応することを基本としながら、本法案の第十六条にございます情報収集や調査、指導、助言、情報提供等を通じて必要な対応を図っていくということを考えております。

○塩川委員 人権で国によって違いがあってはならないと思います。

 AIによるプロファイリングやスコアリングが、バイアスやブラックボックス化の問題があり、差別や不利益をもたらす危険があるわけです。分野によっては、禁止することも含めて、AIによる評価を拒否する権利、評価を開示し、その根拠を説明する義務、第三者機関による審査と監視などの規制、不利益を受けた際の救済措置などが必要だということを申し上げておきます。

 続いて、著作権保護についてお聞きします。

 二〇一八年の著作権法改正に盛り込まれた権利制限規定によって、AIの学習目的であれば、原則、著作物の収集を権利者の許諾なく行うことが認められております。このため、AI事業者によって、ネット上で公表されている新聞記事やイラストなどの著作物が権利者の許諾なく収集される事態となっております。

 文化庁に聞きます。

 日本新聞協会は、二〇二五年一月に、新聞協会はAI事業者に対し、報道コンテンツを生成AIに利用する場合は許諾を得るよう繰り返し求めているが、改善が見られないままサービスは拡大の一途をたどっていると意見を出しております。政府としてはどのように対応したでしょうか。

○中原政府参考人 文化庁におきましては、クリエーター等の権利者からの懸念のお声を受けまして、AIと著作権の関係につきまして議論を行いまして、令和六年三月に、AIと著作権に関する考え方についてを取りまとめたところでございます。特に、AIと著作権に関するクリエーター等の権利者の懸念を払拭する観点から、AI学習のための著作物の利用であっても、いわゆる著作権法第三十条の四の要件を満たさず、権利者から許諾を得ることが必要な場合があり得ることなどをお示ししております。

 文化庁におきましては、この考え方につきまして、セミナーなどを通じて周知啓発を行うとともに、文化庁において設けられております相談窓口等を通じた著作権侵害に対する具体的な事例の集積を行っているところでございます。

 こうした周知啓発や事例の集積、そしてAIやこれに関する技術の発展、諸外国における検討状況などの進展等を踏まえながら、必要に応じた検討を続けてまいりたいと存じます。

○塩川委員 周知啓発でいいのかという問題であります。

 新聞協会からは、この間の政府の対応について、現状では機能しているとは言い難い、そもそも現行の法体系が生成AI時代に沿ったものとは言い難いとの指摘がされております。ですから、新聞協会は、AI事業者による自主的な取組や、ガイドライン等のソフトローでは対応し切れない状況を打開するため、著作権法の改正を含め、生成AI時代に沿った法整備を出すべきだと指摘をしております。

 無断学習を認める著作権法を改正し、事前に権利者の許諾を得る、こういったことを必須とする、そういった改正が必要ではありませんか。

○中原政府参考人 AIと著作権に関する考え方を発出以降、先ほど御説明を申し上げました相談窓口などの設置のほかに、令和六年四月以降は、関係当事者間の適切なコミュニケーションを推進しまして、AIの適正な開発及び利用の環境を実現する観点から、AIの学習における望ましい著作物の利用方法などについて関係当事者間で情報共有を図る場を創設しまして、情報交換などにも取り組んでおります。こうした中で、民間事業者の取組の例としても、クリエーターがAIを活用して創作活動を行う例や、権利者への対価還元に向けた取組も出てきているところでございます。

 そして、先ほどの相談窓口に寄せられた例としましては、自身が作成したイラストがAIを利用して改変されたですとか、学習用データとして収集されて、いわゆる海賊版サイトに自身の画像が無断で転載されたなどといった御相談をいただいておりまして、これらは考え方において想定されていたものでありまして、著作権侵害として対応可能な例であるというふうに考えております。

 まずは、こうした周知啓発や事例の集積、AIやこれに関する技術の発展、そして諸外国における検討状況などの進展等を踏まえながら、必要に応じた検討を続けてまいりたいと存じます。

○塩川委員 コミュニケーション、情報共有といっても、それ自身が、相手の事業者がそれを受けない、特に海外の事業者はそういう対応を行わないという実態があるわけで、新聞協会の指摘を重く受け止めるべきであります。

 前回の個人情報の問題でも同様でしたが、AIの研究開発、活用を推進する法案を出す一方で、著作権や個人情報の問題があれば、結局、当事者が裁判をやってくれということでは、政治の責任を果たしているとは言えないということです。

 チャットGPT―4oの画像生成機能でのジブリ風の加工の話も、著作権法違反に当たる可能性がある、こういう問題もありますし、俳優や声優の声が本人の同意なしに生成AIによって加工され、利用されている実態もありますが、声は著作権の対象外ということで事実上放置されているということもあります。これに対して、俳優、声優の方たちからは、声の肖像権の設立を求める声明も出されております。

 大臣にお尋ねします。

 知的財産を保護せず、生成AIの推進だけを推し進めれば、コンテンツ再生産のサイクルは機能しなくなる。例えば、報道機関が縮小すれば市民の知る権利が後退することにつながるように、この問題は、権利者の問題にとどまらず、市民の権利や文化に取り返しのつかない不利益をもたらす、こういう問題だという認識はお持ちでしょうか。

○城内国務大臣 塩川委員御指摘のとおり、AIの研究開発や活用の推進を図っていく中にあっても、やはり知的財産が適切に保護されることで新たなコンテンツが継続的に創作される環境を実現することが、知る権利あるいは文化の発展を守っていく上で極めて重要であります。

 その上で、例えば、信頼できるAI開発者の下に良質なデータが集められ、それを用いてより高度なAIが開発、提供されることで、新たなコンテンツ創作活動につながる好循環を実現することが理想だと考えております。

 このため、令和六年五月に公表いたしましたAI時代の知的財産権検討会の中間取りまとめでは、そのような好循環を生み出すための方策として、法、技術、契約、この三つの手段の適切な組合せにより、AIに関する懸念や知的財産権の侵害リスクに対応していくことが必要である旨が示されているところであります。

 政府としても、新たなコンテンツの創作活動につながる、今申し上げました好循環が生み出せるよう、各主体が適切に対応していくことを求めてまいります。

○塩川委員 法、技術、契約、これでは対応ができていないという現状があるということであります。

 著作者の保護のためにも、市民の権利や文化を守るためにも、AI事業者に責任を果たさせる法整備が必要だと考えます。現状では、著作権法には、著作者が自らの著作物が学習データに使われているのかを確認する開示請求権も明記されておりません。

 最後に大臣にお尋ねしますが、この法案で、AI事業者に対しデータセットの開示を義務づけるなど、法整備を行う必要があるのではありませんか。

○城内国務大臣 お答えします。

 知的財産としての適切な保護や対価還元の要否を権利者において確認するために、学習いたしましたデータセットにどのような情報を用いているかについて、AI事業者からの開示が必要となる場合があることは認識しているものであります。

 データセットを含めたAIの透明性確保の在り方は非常に重要な観点であると考えておりますので、本法案第十三条に基づきましてAIの適正な研究開発及び活用のために新たに策定する指針におきまして、データセットに係る情報提供などAIに関する透明性を確保するための内容を、ここにしっかりと盛り込んでまいる考えであります。

 いずれにしましても、しっかりと対応してまいります。

○塩川委員 プロファイリング、スコアリング、また著作権保護の立場からも、ルール作り、法整備が必要だということを申し上げて、質問を終わります。

【内閣委員会】AIが人を評価・選別するプロファイリング/差別・不利益の危険/法規制を

 私は、AI推進法の質疑に立ち、AIが人を評価、選別するプロファイリングとスコアリングの問題を追及しました。

 私は、米アマゾンが開発したAIを活用した人材採用システムに女性を差別する欠陥が見つかった事例を示し、AIには差別や不利益につながるバイアスがあると指摘。また、AIには判断の過程や根拠がブラックボックス化する問題があるとして、政府が把握している具体例を質問。内閣府は「あるクレジットカードにおいて、同じ年収であっても女性の方が利用限度額が低い傾向があるとの疑いに対し、企業はそのアルゴリズムについて説明することができなかった」と答えました。

 私は、時事通信が主要企業100社に行った調査によると、採用活動でAIを導入する企業は約3割に上っていることを紹介し、「雇用は人生を左右する重大な判断であり、労働者に不利益がもたらされることがないよう極めて慎重な対応が必要だ」と強調。日本IBMでは会社側が人事評価と賃金決定にAIを導入したことに対し、労働組合がAIによる評価内容の開示を求めたところ、会社側が拒否をしたことを示し、「法的規制がないのでは労働者の権利を守ることはできない」と批判。EUではAI法を作り、雇用や人事採用選考などでAIを利用することをハイリスクと位置づけ、第三者機関による適合性審査などを義務付けているとして、「国内でも同等の措置を義務付けるべきだ」と主張しました。

 城内実内閣府特命担当大臣が「既存法とソフトローを組み合わせて対応していく」と答えたのに対し、私は、日本IBMの問題の背景には米本社の人員削減計画があるとして「AIがリストラツールに使われる懸念もある。人権が国で違いがあってはならない」と強調しました。

衆議院TV・ビデオライブラリから見る


「議事録」

第217回通常国会 令和7年4月16日(水曜日)内閣委員会 第14号

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 AI推進法案について質問します。

 今日は、まず、AIによるプロファイリング、またスコアリングの問題について質問をいたします。

 二〇一九年に、リクナビを運営するリクルートキャリアが、就活生のサイト閲覧履歴などの情報をAIで分析し、約九万人の内定辞退率をスコア化し、本人同意なく採用企業に販売していたことが大問題となりました。企業によるAIを用いたプロファイリング、スコアリングの利用実態が明らかになった事件の一つであります。このことが、学生たちの就職活動、人生に不利益となる影響を与えてしまった可能性は否定しようがないと思います。

 時事通信が主要企業百社に行った調査結果によると、採用活動でAIを導入する企業は約三割に上っておりますが、雇用や採用選考は人生を左右するような重大な判断であり、労働者や採用希望者に不利益がもたらされることがないよう、極めて慎重な対応が必要であります。

 質問します。

 AIによる評価、分析のバイアスについてお聞きします。

 政府が取りまとめた人間中心のAI原則では、AIに関するバイアスにはどのようなものがあると記載をしておりますか。

○渡邊政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいまの人間中心のAI社会原則は二〇一九年三月に策定されたものでございますけれども、この中では、書いてあることをそのまま申し上げますけれども、AIの長所、短所をよく理解しており、とりわけAIの情報リソースとなるデータ、アルゴリズム、又はその双方にはバイアスが含まれること、これらを認識する能力を人々が持つことが重要とされております。

 また、データのバイアスには主として三つございまして、一つは統計的なバイアス、二つ目は社会の態様によって生じるバイアス、三つ目はAI利用者の悪意によるバイアス、この三種類があることを認識していることが望ましいというふうにされております。

○塩川委員 そのようにAIによるバイアスの指摘があるところです。

 実際、アメリカのアマゾンは、開発したAIを活用した人材採用システムに女性を差別する機械学習の結果が判明をし、運用を取りやめたという例もあります。AIが学習したデータが男性が大半である過去十年間の応募者データであり、男性の応募者の方が有望、女性は低く評価すると学習してしまったために起こったと報じられています。

 また、AIには、判断の過程や根拠が不透明であるブラックボックス化という問題もあります。

 お尋ねしますが、AI事業者ガイドラインでは、ブラックボックス化の事例としてどのような事例を紹介していますか。

○渡邊政府参考人 お答え申し上げます。

 AI事業者ガイドライン、これは総務省と経済産業省が策定しているものでございますけれども、これの本体というよりは別添になりますけれども、別添に記述がございますので、読み上げをさせていただきます。

 「AIの判断のブラックボックス化に起因する問題も生じている。とあるクレジットカードにおいて、同じ年収を有する男性及び女性に対して、女性の方が利用限度額が低いとの報告がSNS上で広がった。この問題に対し、金融当局が調査を実施し、クレジットカードを提供した企業に対してアルゴリズムの正当性の証明を求めた。しかし、企業はアルゴリズムの具体的な機能及び動作について説明することができなかった」という記述がございます。

○塩川委員 説明することができなかった。AIの利用には、バイアスやブラックボックス化という差別や不利益につながる深刻な問題があるということであります。

 国内でも、既にAIによる人事評価が問題となっています。

 その一つが日本IBMでありまして、日本IBMが人事評価と賃金決定にAIを導入したことに対して、同社の労働組合でありますJMITU、労働組合IBM支部が、AIの学習データやAIが表示するアウトプットの内容などの開示と説明を求めたところ、同社はこれを拒否しました。

 労働組合は、不当労働行為である不誠実交渉だ、支配介入に当たるとして、二〇二〇年に東京都労働委員会に救済を申し立てました。四年の交渉を経て、二四年八月、ようやく事業者側がAIによる評価項目を全開示することなどで和解をしたということであります。

 労働組合は声明で、社会の様々な領域でAIの利用が進む一方、社会に残る差別をAIが学習して再現したり、判断過程がブラックボックス化して理解不能に陥るなどの弊害が指摘されている、企業が人事管理にAIを利用する場合、公正性と透明性の確保が課題となるが、法規制は進んでおらず、個々の労働者の努力には限界があると指摘をしています。

 また、組合の中央執行委員長は東京新聞のインタビューに、当時はAIが何を考慮するのか全く明らかにされず、どのような根拠で判断するかも見えない、そしてその結果も知らされないという状態だった、もしかしたら組合員であることが影響するかもしれないと問題点を指摘しておりました。

 ここでお尋ねしますが、AIによる評価、分析は、バイアスがかかるという問題や、その過程や根拠がブラックボックスである問題があります。採用選考や人事評価などにAIを用いる事業者に対し、AIのデータセットやアルゴリズム、AIによる評価結果やその根拠を開示する義務を課すべきではありませんか。

○渡邊政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案では、AIのデータセットですとかアルゴリズム等の開示を求める規制は想定をしておりません。

 他方で、本法案に基づいて国が指針を整備していく予定でございますけれども、そのときに、広島AIプロセスの国際指針等の国際規範に準拠するということを考えております。

 それによりますと、AIのライフサイクル全般、このライフサイクルというのは開発から活用までの全ての段階ということでございますけれども、そこにおけるリスクを特定して軽減するため適切な措置を講じるということが指針の中には書いてございまして、その適切な措置には多様なテストというのが含まれまして、そのテストのために、AI開発者はデータセット等に関するトレーサビリティーを可能にするよう努めるべきという記述がこの国際指針の中にございます。この趣旨を、是非、私どもとしては、指針の中に反映していきたいと思います。

 指針には罰則はございませんけれども、先日来の御審議のとおり、違法行為に対して適用される既存の法律と今回のAI法案とを組み合わせて対応してまいりたいというふうに考えております。

○塩川委員 指針でという話ですけれども、それでいいのかという問題であります。

 この日本IBMのケースでは、労働組合の皆さんが頑張って、四年間の運動を通じて和解に至ったけれども、ほかの事例もそうなるとは限りません。この日本IBMの問題でも、背景にはアメリカの本社が進める三千九百人の人員削減の計画があるんです。AIがリストラツールに使われる懸念もあります。そこに法的規制がないのでは労働者の権利を守ることはできないのではないのか、このことが問われていると思います。

 大臣にお尋ねします。

 EUではAI法を作り、雇用や人事、採用選考などでAIを利用することをハイリスクと位置づけ、第三者機関による適合性審査などを義務づけております。日本企業がEUで活動する場合には、当然、AI法に基づきこの適合性審査などを受ける義務を負うわけで、日本ではそれがないという点でのダブルスタンダードになるわけです。EUでできることは是非この日本でもやってもらったらいいじゃないか、国内でもEUと同等の義務づけを求める、そういう措置が必要ではないでしょうか。

○城内国務大臣 お答えします。

 私も、塩川委員御指摘のとおり、こういったAIが巨大企業の経営者の安直なリストラツールになるようなことがあってはならないというふうに思います。

 それを踏まえてお答えしますが、EUのAI法では、確かに、御指摘のとおり、AIをリスクに基づき四つのランクに分けまして、最上位から二段階目にハイリスクなAIシステムを設定いたしまして、この段階のAIシステムを扱う事業者には基準遵守義務が課されている状況というふうに伺っております。

 先ほどの今井委員からの御指摘も踏まえて御答弁したことと重なりますけれども、雇用や人事、採用選考の在り方につきましては、我が国においては、AIに特化したものではないものの、厚生労働省のガイドライン等において一定の考え方が示されております。その上で、例えば男女雇用機会均等法では、雇用管理の各ステージにおきまして性別を理由とする差別が禁止されているなど、既存法による一定の取組もございます。

 ここがちょっと重要だと思うんですが、国によってやはりその歴史や文化、そういった社会的背景などが異なるため、その結果、各国の制度体系というのは全部一緒ではなくて異なっているということでありますので、繰り返しになりますけれども、我が国としては、既存法、そしてソフトローを適切に組み合わせてリスクに対応することを基本としながら、本法案の第十六条にございます情報収集や調査、指導、助言、情報提供等を通じて必要な対応を図っていくということを考えております。

○塩川委員 人権で国によって違いがあってはならないと思います。

 AIによるプロファイリングやスコアリングが、バイアスやブラックボックス化の問題があり、差別や不利益をもたらす危険があるわけです。分野によっては、禁止することも含めて、AIによる評価を拒否する権利、評価を開示し、その根拠を説明する義務、第三者機関による審査と監視などの規制、不利益を受けた際の救済措置などが必要だということを申し上げておきます。

 続いて、著作権保護についてお聞きします。

 二〇一八年の著作権法改正に盛り込まれた権利制限規定によって、AIの学習目的であれば、原則、著作物の収集を権利者の許諾なく行うことが認められております。このため、AI事業者によって、ネット上で公表されている新聞記事やイラストなどの著作物が権利者の許諾なく収集される事態となっております。

 文化庁に聞きます。

 日本新聞協会は、二〇二五年一月に、新聞協会はAI事業者に対し、報道コンテンツを生成AIに利用する場合は許諾を得るよう繰り返し求めているが、改善が見られないままサービスは拡大の一途をたどっていると意見を出しております。政府としてはどのように対応したでしょうか。

○中原政府参考人 文化庁におきましては、クリエーター等の権利者からの懸念のお声を受けまして、AIと著作権の関係につきまして議論を行いまして、令和六年三月に、AIと著作権に関する考え方についてを取りまとめたところでございます。特に、AIと著作権に関するクリエーター等の権利者の懸念を払拭する観点から、AI学習のための著作物の利用であっても、いわゆる著作権法第三十条の四の要件を満たさず、権利者から許諾を得ることが必要な場合があり得ることなどをお示ししております。

 文化庁におきましては、この考え方につきまして、セミナーなどを通じて周知啓発を行うとともに、文化庁において設けられております相談窓口等を通じた著作権侵害に対する具体的な事例の集積を行っているところでございます。

 こうした周知啓発や事例の集積、そしてAIやこれに関する技術の発展、諸外国における検討状況などの進展等を踏まえながら、必要に応じた検討を続けてまいりたいと存じます。

○塩川委員 周知啓発でいいのかという問題であります。

 新聞協会からは、この間の政府の対応について、現状では機能しているとは言い難い、そもそも現行の法体系が生成AI時代に沿ったものとは言い難いとの指摘がされております。ですから、新聞協会は、AI事業者による自主的な取組や、ガイドライン等のソフトローでは対応し切れない状況を打開するため、著作権法の改正を含め、生成AI時代に沿った法整備を出すべきだと指摘をしております。

 無断学習を認める著作権法を改正し、事前に権利者の許諾を得る、こういったことを必須とする、そういった改正が必要ではありませんか。

○中原政府参考人 AIと著作権に関する考え方を発出以降、先ほど御説明を申し上げました相談窓口などの設置のほかに、令和六年四月以降は、関係当事者間の適切なコミュニケーションを推進しまして、AIの適正な開発及び利用の環境を実現する観点から、AIの学習における望ましい著作物の利用方法などについて関係当事者間で情報共有を図る場を創設しまして、情報交換などにも取り組んでおります。こうした中で、民間事業者の取組の例としても、クリエーターがAIを活用して創作活動を行う例や、権利者への対価還元に向けた取組も出てきているところでございます。

 そして、先ほどの相談窓口に寄せられた例としましては、自身が作成したイラストがAIを利用して改変されたですとか、学習用データとして収集されて、いわゆる海賊版サイトに自身の画像が無断で転載されたなどといった御相談をいただいておりまして、これらは考え方において想定されていたものでありまして、著作権侵害として対応可能な例であるというふうに考えております。

 まずは、こうした周知啓発や事例の集積、AIやこれに関する技術の発展、そして諸外国における検討状況などの進展等を踏まえながら、必要に応じた検討を続けてまいりたいと存じます。

○塩川委員 コミュニケーション、情報共有といっても、それ自身が、相手の事業者がそれを受けない、特に海外の事業者はそういう対応を行わないという実態があるわけで、新聞協会の指摘を重く受け止めるべきであります。

 前回の個人情報の問題でも同様でしたが、AIの研究開発、活用を推進する法案を出す一方で、著作権や個人情報の問題があれば、結局、当事者が裁判をやってくれということでは、政治の責任を果たしているとは言えないということです。

 チャットGPT―4oの画像生成機能でのジブリ風の加工の話も、著作権法違反に当たる可能性がある、こういう問題もありますし、俳優や声優の声が本人の同意なしに生成AIによって加工され、利用されている実態もありますが、声は著作権の対象外ということで事実上放置されているということもあります。これに対して、俳優、声優の方たちからは、声の肖像権の設立を求める声明も出されております。

 大臣にお尋ねします。

 知的財産を保護せず、生成AIの推進だけを推し進めれば、コンテンツ再生産のサイクルは機能しなくなる。例えば、報道機関が縮小すれば市民の知る権利が後退することにつながるように、この問題は、権利者の問題にとどまらず、市民の権利や文化に取り返しのつかない不利益をもたらす、こういう問題だという認識はお持ちでしょうか。

○城内国務大臣 塩川委員御指摘のとおり、AIの研究開発や活用の推進を図っていく中にあっても、やはり知的財産が適切に保護されることで新たなコンテンツが継続的に創作される環境を実現することが、知る権利あるいは文化の発展を守っていく上で極めて重要であります。

 その上で、例えば、信頼できるAI開発者の下に良質なデータが集められ、それを用いてより高度なAIが開発、提供されることで、新たなコンテンツ創作活動につながる好循環を実現することが理想だと考えております。

 このため、令和六年五月に公表いたしましたAI時代の知的財産権検討会の中間取りまとめでは、そのような好循環を生み出すための方策として、法、技術、契約、この三つの手段の適切な組合せにより、AIに関する懸念や知的財産権の侵害リスクに対応していくことが必要である旨が示されているところであります。

 政府としても、新たなコンテンツの創作活動につながる、今申し上げました好循環が生み出せるよう、各主体が適切に対応していくことを求めてまいります。

○塩川委員 法、技術、契約、これでは対応ができていないという現状があるということであります。

 著作者の保護のためにも、市民の権利や文化を守るためにも、AI事業者に責任を果たさせる法整備が必要だと考えます。現状では、著作権法には、著作者が自らの著作物が学習データに使われているのかを確認する開示請求権も明記されておりません。

 最後に大臣にお尋ねしますが、この法案で、AI事業者に対しデータセットの開示を義務づけるなど、法整備を行う必要があるのではありませんか。

○城内国務大臣 お答えします。

 知的財産としての適切な保護や対価還元の要否を権利者において確認するために、学習いたしましたデータセットにどのような情報を用いているかについて、AI事業者からの開示が必要となる場合があることは認識しているものであります。

 データセットを含めたAIの透明性確保の在り方は非常に重要な観点であると考えておりますので、本法案第十三条に基づきましてAIの適正な研究開発及び活用のために新たに策定する指針におきまして、データセットに係る情報提供などAIに関する透明性を確保するための内容を、ここにしっかりと盛り込んでまいる考えであります。

 いずれにしましても、しっかりと対応してまいります。

○塩川委員 プロファイリング、スコアリング、また著作権保護の立場からも、ルール作り、法整備が必要だということを申し上げて、質問を終わります。

大宮駅の街頭演説会

 はたやま和也参院比例予定候補、伊藤岳参議院議員、志位議長が訴え!

 物価高騰対策には消費税の5%減税、大幅賃上げ、医療介護経営への5千億円投入を!

 儲けを上げる大企業・富裕層への税負担、内部留保の活用など確かな財源論が実現の保障。

 トランプ関税に対して、抗議、撤回を!


どうする物価高騰、「トランプ関税」/埼玉・大宮駅前/参院選必勝/志位議長が訴え/暮らしを守りぬく――あなたの願いを日本共産党に

「しんぶん赤旗」4月13日・1面より

 日本共産党の志位和夫議長は12日、埼玉県・大宮駅前で街頭演説し、7月の参院選での、はたやま和也候補ら比例5候補全員の勝利、埼玉選挙区での伊藤岳候補(参院議員)の必勝を、詰め掛けた大勢の有権者に訴えました。志位氏は「物価高騰からどうやって暮らしを守るか」「トランプのアメリカとどう向き合うのか」―二つの大問題で打開の道筋を示しました。

 大宮駅西口には数千人が集まり、熱気に包まれました。志位氏は、伊藤議員が6年間で180回を超える国会質問を行ったことを紹介。3月の予算委員会では、埼玉県八潮市での道路陥没事故を巡り、政府が下水道管の老朽化対策を先送りし、40年以上超えると陥没事故が多発しているデータを突き付けて追及、石破茂首相に「見直しを検討」させました。30年を超える大規模下水道管の特別重点調査を行わせた実績も示し、「『命を大切にする政治』に情熱をもやし、みんなから『岳さん』と呼ばれ、親しみやすく、笑顔で一緒に解決する、素晴らしい政治家です。2度目の勝利を必ず」と呼び掛けました。

物価高騰から暮らしを守る

 「物価高騰が止まらない」―志位氏は、日本共産党が実施している500万人・要求アンケートで、「買い物に行くのが怖い」など不安の声が殺到していると紹介。「給付金」など1回限りの取りつくろい策を模索している政府を批判し、「本腰を入れた対策が必要です」として物価高騰から暮らしを守る三つの緊急提案を示しました。

 1、消費税廃止めざし緊急に5%減税、インボイス廃止―。志位氏は、消費税を5%にすることで1世帯平均で年間12万円の減税となるとして、「物価高騰から暮らしを守るうえで最も効果的です」と強調。「問題は財源をどうするかにあります」と話を進めました。

 一部に「借金で」という議論があることについて、「消費税減税は一時的な話ではありません。緊急に5%に下げたら、次は廃止する。これが私たちの大方針であり、国民の願いです。『借金で』となったら将来にわたって借金を増やし続けることになります。ひどいインフレになるリスクがある。あまりに無責任ではないでしょうか」と指摘。「本気で消費税減税を実行しようとすれば恒久的な財源を示すことが必要です」と強調し、大企業への年間11兆円にのぼる減税をやめるなど、日本共産党の具体的な財源論を明らかにし、「大企業・富裕層への減税ばらまきをやめて消費税減税を実現する。これこそ一番道理のある提案です。日本共産党躍進で実行させましょう」と訴えると、聴衆から大きな拍手が湧き起こりました。

 2、物価上昇をはねとばす大幅賃上げを政治の責任で―。志位氏は、実質賃金がピーク時より74万円も下がり、この間も減り続け、そこに物価高騰だから「暮らしがこんなに苦しい」と指摘。一方で、大企業の内部留保は200兆円増え539兆円にも膨れあがっていることを告発し、「内部留保を大幅賃上げと中小企業への引き上げに回せという国民的な大運動を起こそう」と呼び掛けました。


埼玉・大宮駅前/志位議長の訴え/1面のつづき

「しんぶん赤旗」4月13日・2面より

 志位氏は、石破首相が「最賃は5年後までに1500円」と言っているが、「5年も待てません」とズバリ。「中小企業への思い切った直接支援で最低賃金をすみやかに1500円に引き上げ、1700円をめざすべきです」と主張。岩手、徳島、奈良、群馬の各県では中小企業への直接支援を実施しており、「国にやれない道理はない」と訴えました。大企業の内部留保増加分に時限的に課税し、10兆円を中小企業の直接支援にあてる政策を示し、「日本共産党の躍進で大幅賃上げを勝ちとろう」と訴えました。

 3、物価高騰による医療・介護の崩壊を食い止め、ケア労働者の賃上げをはかる―。志位氏は「このままでは、ある日突然、病院がなくなります」との日本病院会など6病院団体による衝撃的な訴えを紹介。診療報酬が実質大幅減になるもと、61%もの病院が赤字になり、医療従事者の賃下げが行われ、退職者が続出している実態を示し、緊急に国費5000億円を投入し事態打開をはかる施策を提案しました。

 介護崩壊が深刻です。志位氏は、在宅介護の基本報酬が引き下げられ、昨年、784もの事業所が消えたことを告発。埼玉県も含め285自治体が「訪問介護報酬引き下げ撤回」の意見書を採択しており、「ただちにこの声にこたえるべきです」と訴えました。国費の負担割合を10%増やし1・3兆円を投じ、崩壊を止め介護従事者の賃上げをおこなうことを提案しました。

 志位は、8・7兆円という軍事費だけが突出している今年度予算のパネルを掲げ、「大軍拡を続けたままでは暮らしは決して守れません」と強調。トランプ米政権から「GDP(国内総生産)比3%以上」のさらなる軍事費増を要求されているとして、「大軍拡を中止し税金は暮らしへの願い、憲法9条を生かした外交の力で平和な東アジアをの願いを、日本共産党にたくしてください」と呼び掛けました。

いまこそ対等・平等の日米関係を

 「トランプのアメリカとどう向き合うか」―志位氏はトランプ大統領による関税措置について、自らも署名した日米貿易協定(2019年)で「追加関税を課さない」と約束しながら、それを一方的に覆していることを「恐喝まがいの暴挙」と糾弾。石破茂首相が7日、「(関税)撤回を求める」と国会で答弁しながら、その日夜の日米首脳電話会談では「遺憾」というのみで「撤回」を求めず、「対米投資をやっているので大目に見てほしい」というだらしない対応をしていると指摘し、「『日本だけは勘弁して』という『お願い外交』では解決しません。世界各国、市民の運動と力をあわせて、断固、撤回を求めるべきです」と力説すると「そうだ」の声が起きました。

 志位氏は、大手自動車メーカーが「コストカットでのりきる」と言っていることについて、大企業が働く人の首切りや中小企業切り捨てに犠牲を転嫁したら「大災害になる」と指摘。「政府は、暮らし・雇用・営業を守るために責任を果たせ」と訴えました。グリア米通商代表が農産物のさらなる市場開放を要求する考えを表明していることに警鐘を鳴らし、「きっぱり拒否すべきです」と主張。「各国の経済主権、食料主権を尊重し、グローバル大企業への民主的規制を行い、公正で民主的な経済秩序をつくるための国際協調の取り組みを行うべきです」と強調しました。

 志位氏は「『日米関係はこのままでいいのか』が大きく問われています」と指摘。「トランプ政権が破壊しているのは貿易ルールだけではありません。ガザの住民の『強制移住』発言を繰り返すなど、国連憲章と国際法を乱暴に破壊する言動を行っています」とその横暴を強く批判しました。

 志位氏は、アメリカの戦後の歴史でも、ここまで国際ルールを無視した横暴は初めてだとして、「アメリカ帝国(主義)の“落日”が始まった」と断じました。その上で、「こんなアメリカに、『日米同盟絶対』で言いなりを続けていいのか。言われるままに敵基地攻撃能力保有と大軍拡を続け、辺野古新基地建設を押し付け、核兵器禁止条約に背を向ける。もうやめようではありませんか。対等・平等の日米関係への大転換こそ必要です」「国民多数の合意で日米安保条約を廃棄し、日米友好条約締結を綱領に掲げる唯一の党、日本共産党の躍進で、本当の独立国といえる日本をつくろう」と呼び掛けました。

はたやま・伊藤両候補が訴え

 はたやま和也参院比例候補は、北海道、東北、北関東の各地で、米などの物価高騰で「家計が押しつぶされそう」との悲鳴や農家の厳しい状況を聞いてきたとして「農家が安心して食料をつくることができ、食べることに困らない日本へ、共産党を大きくしてください」と訴えました。

 伊藤岳参院議員・埼玉選挙区候補は、2019年の初当選以来、従来の健康保険証を存続することや、埼玉県八潮市の道路陥没事故を繰り返さないために老朽インフラの維持・管理に予算を回すことなど、国会で180回以上質問してきたとして「命・人権をないがしろにする政治は断じて認めない。ゆるがない信念です」と力を込めました。

 

日本学術会議法案を憂慮する学協会・研究者院内集会であいさつ

 日本学術会議「法人化」反対のネット署名が2万筆集まるなど、法案を憂慮する声が広がっています。

 多くの研究者の団体から反対・廃案を求める声明が出されています。

 6人の任命拒否を撤回させ、法案を廃案に追い込むために全力を挙げます。


学術会議解体法案 廃案以外の道はない/学術関係者ら国会内集会/田村委員長 決意表明

「しんぶん赤旗」4月12日・1面より

 石破政権が日本学術会議解体法案の審議入りを急ぐ中、学術会議と連携する学協会の会長や研究者らは11日、国会内で「法案には廃案以外の道はない」と訴え、集会を開きました。

 法案は、学術会議を国の機関から切り離して特殊法人化し、首相が任命する「監事」「評価委員会」などを新設。政府から独立した科学者の代表機関である学術会議を政府の監督下に置こうとするものです。

 広渡清吾・学術会議元会長は、形式的な会員の任命権しか持たなかった首相が法案によって「全体を監督する地位を与えられる」と危惧を表明。小玉重夫・日本教育学会会長は、学術会議が軍事研究に一貫して慎重な姿勢を示してきたことを紹介し、学問を軍事に動員させないためにも、廃案に追い込むことが大切な課題だと強調しました。

 三成美保・ジェンダー法学会理事は、会員選考の自律性を保障している現行の学術会議は、現会員が次期会員を選ぶ方式で、会員の女性比率を急速に伸ばしたと指摘。「現行法に何ら問題はない」と述べました。

 吉村忍・学術会議第3部前部長は、混沌(こんとん)とした社会の中で、多様な学問領域の科学者が真の科学的合意形成を進める学術会議の役割を強調。国会議員に対し「国家百年の計における熟議」を求めました。

 日本共産党の田村智子委員長が「法案の危険性を知らせ抜いて必ず廃案に追い込む」と表明。小池晃書記局長、塩川鉄也国対委員長があいさつし、堀川あきこ衆院議員が参加しました。立憲民主党、社民党、れいわ新選組の議員もあいさつしました。

 集会は、法案反対のオンライン署名を呼び掛けている学者や法律家らでつくる16団体が主催。廃案に向け声をあげることを呼び掛ける声明を発表しました。

【内閣委員会】AI推進法/リスクに応じた法規制や権利保護強化こそ

 私は、AIによる権利侵害や悪影響を抑えるために、リスクに応じた法規制や権利保護の強化が必要だと主張しました。

 法案は、産業の国際競争力を向上させることを目的に、国がAIの研究開発・活用に必要なデータセンターやデータセット(AI開発に使いやすいよう整理されたデータ)を整備し、民間事業者との共用を促進します。また自治体には独自の推進策を実施する義務を、大学や国民には国の施策に協力する努力義務を課しています。一方で、規制のための実効性ある法整備はありません。

 私は、法案に基づいて国が整備するデータセットの情報は、オープンデータに限定されず、個人情報も含まれること、そして大学や研究開発法人の情報も含まれることを確認。AIに関する意識調査では、「現在の規則や法律でAIを安全に利用できると思う」はわずか13%、「AIには規制が必要」が77%、「個人情報保護のための強固なプライバシー保護法の整備」を求める声が61%に上っていることを紹介。「国が個人情報を含む情報のデータセットを整備し、民間事業者との共用を促進するこの法案は、プライバシー権侵害の危険性を高め、規制強化を求める国民の声に逆行するのではないか」と質問しました。城内実内閣府特命担当大臣は「個人情報保護法等に従って対応していく」と答えました。

 私は、日本の個人情報保護法は、本人が個人情報の削除を求めても、消すかどうか判断するのは事業者側であること、AI学習のためにネット上で本人同意なく要配慮個人情報が違法に取得されている疑いがあるなど法の欠陥を指摘。推進一辺倒の本法案は法規制を求める国民の願いに逆行すると批判しました。

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「議事録」

第217回通常国会 令和7年4月11日(金曜日)内閣委員会 第13号

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 AI推進法案について質問いたします。

 石破政権は、世界で最もAIの研究開発、実装がしやすい国を目指すと掲げております。

 そこで、入口での確認ですので政府参考人でも結構なんですが、今回の法案というのは、AIの研究開発、活用推進のための法律であって、AI規制の法整備を行うものではないということでよろしいんでしょうか。

○渡邊政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘のとおり、これは規制法ではなくて、推進のための法律でございます。ただし、その推進のためには、リスクへの対応もしっかりやっていくということでございます。

○塩川委員 リスク対応について、法整備を行っていないということであります。

 ただ、政府の法案概要資料では、法律が必要な理由として、多くの国民がAIに対して不安を感じていることを挙げているわけです。

 紹介されているAIのリスクや安全性に関する意識調査を見ると、現在の規則や法律でAIを安全に利用できると思うと答えたのは、日本では僅か一三%。一方で、AIには規制が必要だと思うとの回答は七七%にも上っております。現状は、AIを安全に利用できる環境にはなく、規制が必要だと多くの国民の皆さんが考えておられる。これが国民多数の声だということであります。

 そうしますと、こういった国民の声に応えるためにも、この法案において、AIに対するやはり法規制が必要なんじゃないでしょうか。

○渡邊政府参考人 お答え申し上げます。

 規制という言葉の定義をどう捉えるかということでございますけれども、例えば、罰則つきの厳しい規制ももちろん規制ですし、いわゆる自主規制といいますか、事業者による自主的な取組を促して自主的にやっていただく、これも、ガイドライン等に沿ってやっていただくのも、自主規制という言葉がございまして、どう対応していくのかというのは、その国、地域のそれぞれの法体系ですとか、あるいは過去の商習慣ですとか、いろいろなところから決まってくるものというふうに考えております。

 EUは、そういう中では規制法でやっておりますけれども、アメリカはまた違う形でやっておりまして、日本としては、先ほど来申し上げておりますとおり、イノベーションとリスクの両立、そして新しい技術に適応していく。それで、どうしても予測できないものが多いものですから、それをいろいろな形で規定をするというよりはフレキシブルに対応していく、そういう形で考えた方が、むしろふさわしいのではないかというふうに考えているところでございます。

○塩川委員 ただ、こういったアンケートにおきましても、やはり、現在の法律では安全に利用できないと思っている方々が多数だというときに対応した、そういった中身に本来すべきなんじゃないのかということが問われていると思います。

 AIの活用推進に遅れることなく、必要な規制、ルール作りを行って、権利侵害や悪影響を抑える必要があると思います。今紹介があったような、EUでは、AIのリスクに応じて、禁止、第三者機関による適合性審査等の義務づけ、AIを利用していることの表示義務、規制なしの四段階に分けて規制するAI規則を、二四年八月に施行しております。日本でも同様に、AIのリスクに応じた法規制を行うべきだと考えます。

 法案の内容についてお尋ねします。

 法案の第十二条は、国が、データセットその他の知的基盤を研究開発機関とAIの活用事業者が広く利用できるように整備し、共用を促進するとしています。

 国が整備するデータセットその他の知的基盤についてお尋ねしますが、条文では、知的基盤の定義として、科学技術・イノベーション活性化法の第二十四条の四を引用しておりますが、この知的基盤の保有者には、大学や研究開発法人も含まれるということでよろしいでしょうか。

○渡邊政府参考人 知的基盤についてのお尋ねでございますけれども、これは、大学ですとか研究開発法人も含まれるというふうに想定をしております。

 また、現在進められている取組といたしましては、情報通信研究機構がAI学習用の高品質な日本語データを整備、提供しているほか、産業技術総合研究所が音声、行動データ、大気環境の情報など様々なデータセットを公開するなどの取組が行われております。

 今後は、デジタル庁で実施しております政府保有情報のオープンデータ化の取組も含めて、AIの研究開発及び促進のため、知的基盤の整備等を促進してまいりたいと考えております。

○塩川委員 NICT、産総研の話ですとか、デジ庁のオープンデータの話もありました。国がデータセットとして整備する情報には、国の情報はもちろん、このような大学や研究開発法人の情報も含まれているということであります。

 そこで、このデータセットとして整備される情報は、これはオープンデータに限定をされているんでしょうか。

○渡邊政府参考人 本法案では、データセットをオープンデータのみに限定するということではございません。現在政府が保有している情報をデータセットとしてホームページ上で公開し、AIの研究開発などの目的で広く利用が可能となるよう取組が進められているというふうに承知しております。

○塩川委員 オープンデータに限定されていないということであります。政府が保有する情報の中には個人情報も当然含まれるわけですけれども、オープンデータに限定されないということは、個人情報を含むものもデータセット化されるということでしょうか。

○渡邊政府参考人 お答え申し上げます。

 オープンデータでないものというのは、オープンじゃないということなんですけれども、これは別に機微情報を含んでいるからオープンではないというだけではなくて、元々、オープンにすることを想定していなかったというか、そんなに機微ではないんだけれども、これは誰かから使われるニーズがないだろうみたいな、そういうものもあったというふうに考えております。

 ただ、一般的には、デジタル庁から公開しておりますデータセットにつきましては、個人情報は含んでいないというふうに認識しております。今後、研究開発及び活用の促進のためには、データセットとして公開する場合、もし個人情報とか機微な情報を含むような可能性がある場合には、これは扱いには十分に注意しなければいけないというふうに考えております。

○塩川委員 個人情報を含むものについては十分注意しなければならないというのは、これは何らかの対策を取るということですか。

○渡邊政府参考人 午前中も御答弁申し上げたことではございますけれども、政府として、AIを適正に調達をして活用していく、そういうガイドラインの検討をしております。そういう中でも、データの扱いというもの、あるいは、政府はデータ戦略も別途進めておりますけれども、そういう中でも、データの適切な扱いというのは考えてまいりたいと思います。

○塩川委員 個人情報、ビッグデータを活用するということであれば、匿名加工をするとか、匿名加工情報の扱いということなども当然あるということだと思いますけれども。

 この間、匿名加工情報の提案募集制度を政府として行ってまいりました。そういった具体の事例として、独立行政法人の住宅金融支援機構から民間の住信SBIネット銀行に対して情報提供がされた。ですから、ローンの、組んでいる方の情報ですよね。そういった情報の中には、年収ですとか家族構成ですとか、職業や郵便番号などの百十八万人分の加工された個人情報が、住宅ローンのAI審査モデルの構築のために、本人の同意もなく提供されていたわけであります。

 匿名加工しているから個人は特定されないんだという話ですけれども、しかし、郵便番号となると、実際、枝番までいけば十数軒というところなんかもあるんですよね。それをどういうふうに処理しているのかによっては、ほかの情報と組み合わせれば個人が特定されかねない、そういった中身のものもあるということに対して、これは慎重な対応というのが求められていることであります。

 本案は、データセットという言葉を法律上初めて定義をし、国や大学、研究開発法人が保有する広範な情報を、AIで利用しやすいようにデータセットとして整備をし、AIを利活用する民間事業者に提供することを促進する法整備であります。

 第五条では、地方公共団体に対し、AI技術の研究開発及び活用の推進に関し、地方公共団体の区域の特性を生かした自主的な施策を策定し、実施する責務を有すると責務規定を盛り込み、自治体が持つ情報もデータセット化するよう迫るものとなっております。自治体にこそ本当に生の個人情報が大量にあるということをやって、その扱いについての慎重な対応というのは当然求められることだと思います。

 城内大臣にお尋ねいたします。

 政府は、データは競争力の源泉だと位置づけて、個人情報を含む情報の利活用を推進をし、データ標準化などを進めております。法案は、これを更に進めようというものであります。プライバシー権の侵害などの危険性を高めるものになりはしないのか。その点についてお答えください。

○城内国務大臣 お答えいたします。

 本法案は、AIの研究開発及び活用の推進のためのものでありまして、個人情報の保護を含む既存の法律の考え方を変えるものではございません。

 個人情報やプライバシー権の保護につきましては、最高法規である憲法や、既存の法令、例えば個人情報保護法等がございまして、これらに従って引き続き対応をいただくものでありまして、既存の権利利益の保護を後退させるものではございません。この点について御理解いただければ幸いです。

○塩川委員 既存のルール、規制そのものがこれでいいのかという疑問の声も当然上がるということは、先ほどの例でも紹介をしたところですけれども。

 冒頭でも紹介しましたように、現在の規則や法律でAIを安全に利用できると思うと答えたのは僅か一三%ですし、一方で、AIには規制が必要だと思うとの回答が七七%というのが国民の声です。さらに、政府に求めたいことという項目に対しては、個人情報保護のための強固なプライバシー保護法の整備というのが六一%にも上っております。また、どのようになれば生成AIを使いたいと思うかという項目に対し、最も多かった回答は、データプライバシー、情報漏えいに関する規制ができたらという回答が二二%だったということであります。

 大臣に重ねてお聞きしますけれども、国民が求めているのは、AIに係る規制の強化とともに、プライバシー権など個人情報保護の強化ではないのか。個人情報を含む情報のデータセットを整備をし、民間事業者との共用を促進をするこの法案というのは、国民の不安解消とは逆の方向に向いているのではないのか。その点についてお答えください。

○城内国務大臣 塩川委員御指摘のこともしっかり踏まえまして、やはり個人情報の保護、これは大事な、国民にとっての守るべき権利でございますので、その点もしっかり踏まえた上で、ただ、この法案が目指しているところは、人工知能関連技術の開発、活用をしっかり促進するということでありますので、それを踏まえながら、そういったリスクの対応もしっかり取り組んでまいる考えでありますし、また、AI戦略本部ができた暁には、しっかりと、指針そして基本計画において、今、塩川委員が御指摘した御懸念も含めて、関係省庁と連携して取り組んでまいる考えであります。

○塩川委員 研究開発、活用推進だけではなく、しっかりとしたやはり法整備を伴うルール作りということが国民が求めている方向なんだ、それにかなうものになっていないのがこの法案ではないのかということが問われているということであります。

 次に、AIの学習目的での個人情報の利用が拡大をし、権利侵害の危惧が高まっている一方で、自己情報コントロール権など個人情報の保護がどうなっているのかについて個人情報保護委員会にお尋ねをします。

 生成AIの学習目的で、SNSへの投稿など個人情報を含む大量の情報が事業者によって収集され、本人の自覚のないままに利用されている実態があります。

 個人情報保護法は、利用停止、削除請求の条件を権利侵害のおそれがあるときと狭く設定をしております。削除請求権について、オープンAIやメタなどはプライバシーポリシーで、お住まいの場所に応じてとしております。日本では、事業者側が権利侵害のおそれがないと判断すれば、利用停止、削除されないのではありませんか。

○佐脇政府参考人 お答えいたします。

 御本人が法律の要件に該当するとして事業者に請求されましても、事業者から見て要件に該当しないとして拒むことは想定されます。

 その場合に本人ができることはありまして、まずは、当該請求について、裁判所へ訴えの提起をいただくということが可能でございます。さらに、私ども個人情報保護委員会が本人からの苦情などを承りまして、事業者の実態、要件に該当しないというのが本当かどうかということを確認し、拒否に正当な理由がないと判断した場合には、委員会から事業者に対しまして、必要な指導、助言、勧告、命令を行うこととなります。

 以上でございます。

○塩川委員 ですから、事業者が権利侵害のおそれがないと判断をしたら裁判を起こしてくれという話なんですよ。それは余りにも利用者の方にとってみればハードルが高過ぎる問題だ。こういったことについて、削除するかどうかが事業者の判断ということで、これでは実効性がないと言わざるを得ません。

 生成AIの学習目的での情報収集は、ネット上の情報を機械的に大量に収集するスクレーピングと呼ばれる手法によって行われております。

 そこで、個情委に伺いますが、こうして収集される情報の中には要配慮個人情報も含まれている可能性があります。事前の本人同意なく要配慮個人情報を取得するというのは、これは法違反ではありませんか。

○佐脇政府参考人 お答えいたします。

 一般的な法解釈でございますけれども、個人情報取扱事業者は、原則として、あらかじめ本人の同意を得ないで要配慮個人情報を取得してはならないとされておりますので、そのように、それらを含む情報を本人の同意なく取得することは、原則として個人情報保護法違反に該当いたします。

○塩川委員 法違反に当たるということで。

 要配慮個人情報が収集をされているおそれがあるということは、個人情報保護委員会がオープンAIに対する注意喚起を行ったことにもそのことは明らかであります。ビッグテックを始めとして、事業者が法律違反を犯している疑いがある中で、個人情報保護委員会の対応が問われていると思います。

 その点で、罰則も余りに少額で、命令違反は百万円。EUの話もよく紹介されますけれども、GDPRでは最大で二千万ユーロ、あるいは前年度の会計における年間売上高の四%のいずれか高い方の額ということであります。個人情報保護法はAIの拡大に追いついていないというのが実態ではないのかと言わざるを得ません。

 それどころか、個人情報保護委員会では、AIの学習目的であれば、本人同意なしで第三者提供や公開されている要配慮個人情報の取得を可能とすることを検討している。これは個人情報保護の立場に逆行するものではありませんか。

○佐脇政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、現在、個人情報保護委員会ではいわゆる三年ごと見直しを行ってございまして、昨年六月には中間整理を公表し、意見募集を行い、その後も制度の基本的な在り方に関わる次元の論点について、改めて幅広く意見を聴取しながら検討を進めてまいりました。

 そうした検討の中におきまして、個人データ等の取扱いに対する同意などを含めました本人の関与の在り方を検討する場合には、本人の権利利益への直接の影響の有無などを切り口とすることが望ましいといった視座が得られたものでございます。

 これを踏まえまして、本年一月には、AI開発等を含む統計作成等のみを目的とした取扱いを実施する場合の本人同意の在り方というものを制度的論点の一つとして掲げまして、さらに、本年三月には、いわゆる三年ごと見直しの制度的論点の全体を改めて公表したわけでございますけれども、その中に、この論点につきましても、特定の個人との対応関係が排斥された統計情報等の作成にのみ利用されることが担保されていること等を条件に、本人同意なき個人データ等の第三者提供、公開されている要配慮個人情報の取得を可能としてはどうか、そういった規律の考え方を整理、お示ししたところでございます。

 この見直しに向けましては、この論点以外の論点も含めまして、制度全体につきまして引き続き検討を重ねてまいりたいと思います。

○塩川委員 個人情報保護委員会といっても、実際には利活用にシフトしていて、個人情報保護が棚上げ、ないがしろにされているということも厳しく問われているという点でも、本法案にも規制の新たな法整備がないという点では国民の要求に逆行するものだということを指摘をして、質問を終わります。

【内閣委員会】PFASの汚染源特定し原因者負担求めよ/全国10の自衛隊施設の汚染明らかに

 私は、栃木県内の下野市や宇都宮市で、発がん性が指摘される有機化合物PFASによる汚染が相次いで検出されている問題についてただしました。

 私は、上水に使用している地下水が汚染された下野市は、国に対し新たな水源井戸や浄化施設等の経費への支援を要望しているとして、対応を質しました。国土交通省は新たな水源井戸については財政支援可能としつつ、浄化施設については給水人口の要件が5万人未満となっているため、下野市は対象とならないと答弁しました。私は、下野市の給水人口は約5万7000人だと指摘し、「それで要件から外れて、被害を被っている住民に水道料金という形で負担を転嫁するのはおかしい」と強調しました。

 私は、汚染源を特定し原因者負担を求めていくことが重要だと述べ、防衛省に対し、防衛省・自衛隊施設における自己水源の水質結果について質問。防衛省は、小平(260ナノグラム)、東立川(343ナノグラム)、伊丹(53ナノグラム)、大久保(64ナノグラム)、宇都宮(112ナノグラム)、航空自衛隊の岐阜(86ナノグラム)、芦屋(2800ナノグラム)、府中(245ナノグラム)、山田分屯基地(58ナノグラム)、新田原(560ナノグラム)の施設の水源から暫定目標値を超えるPFOS・PFOAが検出されたと答えました。私は、宇都宮駐屯地の北にある北宇都宮駐屯地では、専用水道がありながらも使用していないという理由で調査が行われていないことを確認。「宇都宮駐屯地や北宇都宮駐屯地が汚染源である疑いがある」としてPFOSを含む泡消火薬剤の保管・使用実績や土壌調査を求めました。

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10基地PFAS目標値超/自衛隊 塩川氏に防衛省答弁

「しんぶん赤旗」4月12日・4面より

 発がん性などが指摘される有機フッ素化合物(PFAS=ピーファス)を巡り、防衛省は9日の衆院内閣委員会で、自衛隊10基地で国の暫定目標値(1リットルあたり50ナノグラム)を超えていたことを明らかにしました。日本共産党の塩川鉄也議員の質問に答えました。

 防衛省が今年3月までに基地内の水源を調査。目標値を超えていたと明らかにしたのは、陸自の小平(東京都)、東立川(同)、伊丹(兵庫県)、大久保(京都府)、宇都宮(栃木県)各駐屯地、空自の岐阜(岐阜県)、芦屋(福岡県)、府中(東京都)、新田原(宮崎県)各基地、山田分屯基地(岩手県)です。最も多かったのが芦屋の2800ナノグラムで、目標値の56倍に達しています。

 また、塩川氏は上水に使用している地下水がPFASに汚染された栃木県下野市は、水源井戸や浄化施設等の経費への支援を要望しているとして、対応をただしました。国土交通省は新たな水源井戸については財政支援可能としつつ、浄化施設については給水人口の要件が5万人未満となっており、下野市は対象外だと答弁しました。塩川氏は、下野市の給水人口は約5万7000人だと指摘し、「それで要件から外れて、被害を受けている住民に水道料金という形で負担を転嫁するのはおかしい」と強調しました。

 塩川氏は、宇都宮駐屯地や北宇都宮駐屯地が汚染源の可能性があると述べ、北宇都宮では、専用水道がありながらも使用していないという理由で調査が行われていないことを確認。両基地でPFOSを含む泡消火薬剤の保管・使用実績や土壌調査を求めました。


「議事録」

第217回通常国会 令和7年4月9日(水曜日)内閣委員会 第12号

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 発がん性が指摘をされる化学物質である有機化合物、PFASの汚染が全国で問題となっております。

 栃木県の下野市では、上水に地下水を使用しておりますが、二か所の井戸で国の暫定目標値を超えるPFASが検出をされました。市は、臨時給水所の開設や新たな井戸の掘削などの対応に追われております。

 先日、現地を訪問し、お話を伺ってまいりました。臨時給水所には、一週間に二回来ているという男性の方がいらっしゃいまして、二リットルのペットボトル十二本を抱えて給水に来ておられました。いつまでこんなことが続くのか、汚染源はどうなっているのかということを訴えておられました。

 また、付近の女性の方は、浄水器を買った人が近所でもたくさんいる、うちのは七万円くらいだった、市の補助があるけれども一万円ということでもあり、また、定期的にフィルター交換をしなければいけませんので、それに年間一万数千円かかると言われているという話をしておられました。

 大変な御苦労もある状況でありますし、下野市では畑に農業用の井戸を使用する、農作物への影響も懸念されているということも伺っているところです。

 そこで、国交省にお尋ねしますけれども、上水に使用している地下水がPFASに汚染された下野市は、水道水に関する対策への財政支援を要望しております。新たな水源井戸や浄化施設、緊急連絡管の整備、また水質検査、市民が購入する浄水器への補助及び臨時給水所設置に要する経費等の支援を国として行うことを考えてもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。

○松原政府参考人 お答え申し上げます。

 水道施設の整備や水質検査等を含め、水道事業の経営に要する経費については水道料金収入により賄うことが原則ではございます。

 その上で、施設整備に係る支援として、経営条件を判断する指標である資本単価に関する要件や給水人口に関する要件を満たす水道事業者等に対しまして、御指摘の新たな水源井戸や浄化施設、緊急連絡管の整備への財政支援を行うことができることとなっております。

○塩川委員 下野市の場合には、それが要件としては整っているということなんでしょうか。

○松原政府参考人 お答え申し上げます。

 浄化施設については、給水人口の要件を満たしていないものと承知しております。

 現在、環境省において、水道水中のPFAS及びPFOAの水道水質基準への引上げなどについてパブリックコメントを行ったところであり、今春を目途に方向性を取りまとめ、水道法に基づく省令を改正し、令和八年四月一日に施行する予定と聞いております。

 国土交通省としましては、このようなPFASに関する状況も踏まえつつ、引き続き必要な対応の検討を進めてまいります。

○塩川委員 そのようなパブコメを踏まえた対応として、その給水人口の要件などを変更するということがあるということなんでしょうか。

○松原政府参考人 お答え申し上げます。

 繰り返しになりますけれども、引き続き必要な対応の検討を進めてまいります。

○塩川委員 下野市は、やはりこういったPFASの汚染の問題、市民の皆さんから不安の声もあるということで、高度浄化施設を含めて対策を検討中と伺っております。

 補助メニューの話、給水人口の要件に届いていないという、対象とならない要件となっているということですけれども、この給水人口の要件というのは五万人とお聞きしています。下野市の給水人口というのは五万七千九百二十四人ということで、そういう意味では、それで要件から外れてしまうということで、被害を被っている住民の皆さんに結局水道料金という形で負担を転嫁をするというのはおかしいんじゃないのかという点でも、財政力が決して大きいとは言えない自治体に対して、要件緩和をしっかりと踏み込んで考えるべきではないのか。その点についてもう一度。

○松原政府参考人 お答え申し上げます。

 水道事業の経営に要する経費については水道料金で賄うことが原則でございますが、地形や水源等の条件により施設整備費が割高になるなど、経営条件が厳しい水道事業等を対象に財政支援を行っているところでございます。

 このため、資本単価要件や給水人口要件というものを設けているところではございますけれども、いずれにいたしましても、国土交通省としましては、PFASに関する状況も踏まえつつ、必要な対応の検討を進めてまいります。

○塩川委員 PFASというこれまでにない要件との関係でも、それに見合ったような支援策、国の財政措置を行う、このことを強く求めておくものであります。希望する市民の方への血液検査に対する財政支援を行うことなども必要なことだと思っております。

 その上で、やはり、汚染源を特定をし、原因者負担を求めていく、この立場が求められていると思います。

 そこで、下野市で暫定目標値を超える地下水が検出された二か所の水源というのは、下野市の北部に当たり、その北側には陸上自衛隊の宇都宮駐屯地があります。その宇都宮駐屯地内の井戸水からも暫定目標値を超えるPFASが検出をされています。

 油火災の消火のためにPFAS含有の泡消火薬剤を使用してきた。消火訓練なども恒常的に行われてきているわけであります。そういった点で、汚染源としての疑いもあるということで、防衛省の方にお尋ねしますが、防衛省・自衛隊施設における飲用に供している自己水源の水道施設についてPFOS等の水質検査を行ったと承知をしておりますが、その結果について、自治体に報告した事例に関連してお尋ねします。

 自治体に報告した自衛隊の施設の名称と、そこで検出をされたPFOS、PFOAの調査結果のデータ、この二点について、それぞれお答えいただけますか。

○森田政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛省としましては、今議員から御指摘ありましたように、隊員等の飲料水の安全確保の観点から、全国の自衛隊施設のうち、隊員の飲用に供する自衛隊施設内の水源を対象としまして、PFOS及びPFOAの調査を今年三月まで実施をいたしました。

 その結果、全国で合計十施設の水源から暫定目標値を超えるPFOS及びPFOAが検出されておりまして、これらの施設におきましては、井戸の運用を停止し、給水口に浄水器を設置するなど、対策を講じてございます。

 また、この調査の結果につきましては、関係自治体及び国土交通省へ情報提供を行っております。

 これらの水源につきましては、自衛隊施設内で使用する専用水道の独自水源でございまして、部外飲用水への供給をしているものではございません。

 具体的な駐屯地名というお尋ねだったと思いますけれども、陸上自衛隊の小平、東立川、伊丹、大久保、宇都宮、航空自衛隊の岐阜、芦屋、府中、山田分屯基地それから新田原、以上十か所でございます。(塩川委員「PFASの数値を。大きい値でいいです」と呼ぶ)数値、失礼しました。

 五十三ナノグラムから、一番大きなもので二千八百ナノグラムでございます。(塩川委員「いや、個別の十の駐屯地ごとに」と呼ぶ)はい。

 まず、岐阜基地におきましては、最大の検出値が八十六ナノグラム、小平におきましては二百六十ナノグラム、東立川におきましては三百四十三ナノグラム、伊丹におきまして五十三ナノグラム、山田分屯基地におきまして五十八ナノグラム、芦屋基地におきまして二千八百ナノグラム、府中基地におきまして二百四十五ナノグラム、新田原基地におきまして五百六十ナノグラム、大久保駐屯地におきまして六十四ナノグラム、宇都宮駐屯地におきまして百十二ナノグラムでございます。

○塩川委員 十の自衛隊施設で暫定目標値を超えるPFASが検出をされております。

 このように、多数の自衛隊施設でPFASが検出をされております。これ以外にも、海上自衛隊の下総航空基地などにおいても、基地内の排水口の三地点で暫定目標値を超えるPFASが検出をされております。浜松基地周辺でも暫定目標値を超えるPFASの検出の事例なども紹介はされているところであります。こういった、全国の自衛隊の施設においてPFASが検出をされるような状況がある。

 あわせて、宇都宮駐屯地の北側には北宇都宮駐屯地もあるんですけれども、この北宇都宮駐屯地内にも専用水道があると承知をしておりますが、これのPFASの検査実績というのはあるんでしょうか。

○茂籠政府参考人 お答えいたします。

 今御質問のありました北宇都宮駐屯地の専用水道につきましては、駐屯地の水量の全量を水道用水供給事業から受水をしているために、PFOS及びPFOAの検査をした実績はございません。

 以上です。

○塩川委員 専用水道としてはあるけれども、それを実際に使用していない、そういうことで調査をしていないということですか。

○茂籠政府参考人 委員御指摘のとおりでございます。

○塩川委員 環境省、国交省の方で、専用水道について、独自水源を持っているようなところについての調査を呼びかけたわけですけれども、自衛隊施設の中でも調べたところもあるんだけれども、実際にそういった専用水道があっても、今は使っていないからということで調査をしていないと。でも、実際にどれだけの汚染が広がっているかということを改めて明らかにする上でも、しっかりとしたPFASの検査を行う必要があると思っております。

 宇都宮駐屯地では、過去、PFAS含有の泡消火薬剤を使用してきたわけであります。宇都宮駐屯地に接する下野市北部で高濃度のPFAS汚染があることを指摘をしましたが、宇都宮駐屯地が所在をする宇都宮市内においても、周辺の十か所以上から暫定目標値を超えるPFASが検出をされています。宇都宮市として独自に調査を行った結果がその大半を占めております。

 その汚染されている地域の北側には北宇都宮駐屯地もあるわけで、こういった、宇都宮駐屯地また北宇都宮駐屯地が汚染源ではないのかという疑いがあるわけですけれども、こういうことについて、防衛省としてはしかるべく確認をすべきではありませんか。

○森田政府参考人 お答え申し上げます。

 PFOS等につきましては、これまでも様々な用途に日本国内において使用されてきたものと承知をしておりまして、現時点におきまして、PFOS等の検出と自衛隊との因果関係について確たることを申し上げることは困難だと考えております。

 その上で、宇都宮駐屯地及び北宇都宮駐屯地におきまして、PFOSを含む泡消火剤につきましては、化審法に基づく規制対象となりました平成二十二年四月以降、消火訓練や実火災での使用はなく、部外への流出事案もないことを確認しております。

 また、令和二年度末までに、保有していたPFOS含有の泡消火剤につきましては処分しておりまして、現在は保有をしていないという状況でございます。

 また、PFOAを含むものにつきましても、規制対象になった以降は使用がなくて、部外への流出等は確認されておりません。また、現時点で保有はないという状況でございます。

○塩川委員 最後に大臣に伺います。

 今言ったように、規制、禁止前にどう使ったのかを明らかにすべきなのに、その点についてのまともな調査をしないというのでは、市民の不安を解消することができません。

 そもそも、こういったPFAS類についての認識、体内にも、環境中にも長期にわたって残り続けるものですし、その点で、食品安全委員会がPFAS摂取量の規制値を定めましたけれども、米欧の基準に比べても、数十倍から数百倍の緩い値となっています。これでは国民の安心、安全を確保することができないのではないのか。それを大本から正していくことが必要だと思うんですが、大臣の認識を伺います。

○伊東国務大臣 有機フッ素化合物、PFASにつきましては、内閣府食品安全委員会におきまして、昨年六月にリスク評価報告書が取りまとめられたところであります。

 評価に当たりましては、耐容一日摂取量について、諸外国において数値が低いものから高いものまである中で、特に欧米において用いた科学的知見も含めて、最新の科学的知見を専門家が一つ一つ丁寧に精査をいたしました。その上で、それらの科学的根拠が何を意味するのか、それだけの重みがあるのかなどを総合的に判断して、耐容一日摂取量を設定したところであります。

 報告書では、まず、この耐容一日摂取量を踏まえた対応を速やかに取るとともに、高い濃度が検出された媒体に対する対応を進めることの必要性につきましても強調されておりまして、現在リスク管理機関におきまして検討中のリスク管理措置が速やかに講じられることが何よりも重要である、このように考えております。

 以上であります。

○塩川委員 規制値を定める論文の選定について非常に疑問があるという声もあるところであります。抜本的な規制策の強化を求めて、質問を終わります。

【本会議】能動的サイバー法案が可決/反対討論/国民への監視強化の危険深刻

 国民の通信情報を常時収集・監視し、政府の判断で警察や自衛隊が海外のサーバに侵入・無害化する「能動的サイバー防御法案」が8日の衆院本会議で、自民、立民、維新、国民民主、公明などの賛成多数で可決されました。日本共産党と、れいわ新選組は反対しました。

 私は反対討論で、同法案は「憲法と国際法を「踏みにじる」と批判し、廃案を求めました。

 私は、政府があらゆる民間事業者と協定を結ぶことで、本人の同意なく利用者の情報を吸いあげることが可能になると指摘。「(憲法21条に基づく)国民の『通信の秘密』侵害法案にほかならない」と批判しました。

 収集した情報の外国政府への提供も可能で、個人情報の目的外利用や第三者提供には本人の同意を事前に得るという大原則を無視していると強調しました。協定を通じ取得した情報は目的外利用の範囲に制限がなく、警察や自衛隊が自らの業務への使用も可能だと指摘。公安警察が市民運動を行う市民の個人情報を収集・提供したことが違法と断じられた大垣事件に触れ、「国民への監視強化の危険も深刻だ」と訴えました。 また、「無害化措置」について自衛隊や警察が、相手国の同意なく「疑い」だ けで実行すれば、「国際法違反の先制攻撃とみなされる危険がある」と強調。安保法制に基づく「重要影響事態」などの際、日本が武力攻撃を受けていないのに米国と交戦する国に行えば「『参戦』とみなされる。憲法9条を踏みにじり、 日本に戦争の危険を呼び込む」と批判しました。

 さらに、警察が犯罪処罰を超えて域外への実力行使が可能となり、「日本の警察のあり方を根底から覆す」と批判。裁判所の令状なく実行できる上、第三者機関は権力の濫用防止や人権を保障する機関ではないと述べ、「令状主義が形骸化し、警察の権限拡大につながる」と強調しました。 

衆議院TV・ビデオライブラリから見る


以下、討論の全文です。
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 私は、日本共産党を代表して、いわゆる「能動的サイバー防御」法案に対し、反対の討論を行います。
 反対理由の第一は、「通信の秘密」を根本から覆す違憲立法だからです。
 本法案は、サイバー攻撃の実態把握を口実として、送受信者の同意もなく、政府が電気通信設備から通信情報をコピーできるようにするものです。さらに、自治体を含む基幹インフラ事業者のみならず、あらゆる民間事業者と協定を結ぶことで、利用者情報の吸い上げを可能とします。まさに国民の「通信の秘密」の侵害法案に他なりません。
 自動選別により機械的情報のみを分析するといいますが、機械的情報はIPアドレスや指令情報など「通信の秘密」の対象となるものであることは政府自身も質疑で認めています。
 さらに、その自動選別も、特定のサイバー攻撃に関係する「機器などの探査が容易になると認めるに足りる状況のある情報」も含まれており、政府による恣意的な選別が行われる懸念はぬぐえません。
 また、収集した情報は、外国政府など第三者提供も可能です。そもそも個人情報は、必要以上に収集しないこと、目的外利用や第三者提供は事前に本人同意を得ることが大原則です。政府がこれらをことごとく無視するもので、極めて重大だと言わなければなりません。
 国民への監視強化の危険も深刻です。協定を通じて得た情報は、海外からのサイバー攻撃被害防止の目的以外にも利用できる規定が盛り込まれています。目的外利用の範囲に制限はなく、警察や自衛隊などが自らの業務に使用することも否定しませんでした。まさに公安警察が個人情報を収集・保有、提供したことについて違法と断じた大垣事件の判決をないがしろにするものであり、全く容認できません。
 反対理由の第二は、自衛隊と警察が、憲法と国際法が禁じる先制攻撃に踏み込む危険があるからです。
サイバー攻撃に関する世界の共通認識がいまだ形成途中であることは政府も認めるところです。そのような中、自衛隊と警察が海外の機器に対して侵入し、監視し、その機器を使えなくする「アクセス・無害化措置」を行えば、相手国から主権侵害と受け取られる危険があります。政府は国際法上の緊急状態によって違法性を阻却できると言いますが、そのように主張しているのは一部の国だけで、国際社会の共通認識とはなっていません。にもかかわらず、相手国の同意もなく、しかも「疑いがある」だけで、そのような措置にふみきれば、国際法違反の先制攻撃と評価される危険は否定できません。
 さらに政府は、自衛隊による「アクセス・無害化措置」について、いわゆるグレーゾーン事態や重要影響事態で、米軍が軍事行動を行う相手国のサーバーに発動できることを認めました。日本が武力攻撃を受けていないにもかかわらず、アメリカと交戦状態にある相手国に対して、日本が先制的に「アクセス・無害化措置」にふみきることになれば、日本の側から参戦してきたとみなされ、エスカレーションの引き金を引くことになりかねません。憲法9条をふみにじり、日本に戦争の危険を呼び込むものであり、断じて容認できません。
 また、警察が犯罪処罰を超えて安全保障に関わる域外の実力行使にふみこむことは、他国の領域主権を侵害し、日本の警察のあり方を根底から覆すものです。こうした行為を、裁判所の令状さえなく、第三者機関の承認などというまやかしで容認するものです。その第三者機関はあくまで法における措置の適正な実施を確保するための審査及び検査を行うための機関にすぎません。権力の濫用防止や、人権を保障する機関ではありません。戦前の反省のもと、警察権の乱用が起きないようとってきた令状主義の形骸化につながりかねず、警察の権限拡大そのものであり、全く認められません。
 以上、憲法と国際法をふみにじる本法案の廃案を求め、討論を終わります。


国民監視・戦争呼び込む危険/能動的サイバー法案/衆院通過/共産党反対/塩川氏が討論

「しんぶん赤旗」4月9日・1面より

 国民の通信情報を常時収集・監視し、政府の判断で警察や自衛隊が海外のサーバーに侵入・無害化する「能動的サイバー防御法案」が8日の衆院本会議で、自民、立民、維新、国民民主、公明などの賛成多数で可決されました。日本共産党、れいわ新選組などは反対しました。共産党の塩川鉄也議員は反対討論で、同法案は「憲法と国際法を踏みにじる」と批判し、廃案を求めました。(関連3・反対討論要旨4面)

 塩川氏は、政府があらゆる民間事業者と協定を結び本人の同意なく利用者情報を吸いあげることが可能になると指摘。「(憲法21条に基づく)国民の『通信の秘密』侵害法案にほかならない」と批判しました。

 収集した情報の外国政府への提供も可能で、個人情報の目的外利用や第三者提供には本人の同意を事前に得るという大原則を無視していると強調しました。協定を通じて取得した情報について、目的外利用の範囲に制限がなく、警察や自衛隊が自らの業務への使用も可能だと指摘。公安警察が市民運動を行う市民の個人情報を収集・提供したことが違法と断じられた大垣事件に触れ、「国民への監視強化の危険も深刻だ」と訴えました。

 また、「無害化措置」について自衛隊や警察が、相手国の同意なく「疑い」だけで実行すれば、「国際法違反の先制攻撃とみなされる危険がある」と強調。安保法制に基づく「重要影響事態」などの際、日本が武力攻撃を受けていないのに米国と交戦する国に行えば、「『参戦』とみなされる。憲法9条を踏みにじり、日本に戦争の危険を呼び込む」と批判しました。

 さらに、警察が犯罪処罰を超えて域外への実力行使が可能となり、「日本の警察のあり方を根底から覆す」と批判。裁判所の令状なく実行できる上、第三者機関は権力の乱用防止や人権を保障する機関ではないと述べ、「令状主義が形骸化し、警察の権限拡大につながる」と強調しました。


能動的サイバー防御法案/共産党の論戦が危険暴く/違憲 違法 廃案しかない

「しんぶん赤旗」4月9日・3面より

 8日に衆院を通過した「能動的サイバー防御法案」を巡っては、個人情報の監視・収集による憲法21条が保障する「通信の秘密」の侵害、自衛隊と警察が憲法と国際法が禁じる先制攻撃に踏み込んで戦争を招くリスク、警察に令状さえ不要な実力行使の容認など、日本共産党の国会論戦で、その危険な実態が浮き彫りになりました。

通信の秘密 根底から覆す

 法案は、政府が国民の通信情報を送受信者の同意なく電気通信設備からコピーできるとしています。日本共産党の塩川鉄也議員が「通信の秘密、プライバシー権の侵害そのものだ」と追及すると石破茂首相は「『通信の秘密』に対する制約は必要やむを得ない限度にとどまる」と侵害することを認めました。

 塩川氏は、電気・水道など基幹インフラ事業者と協定を結べば、その利用者の通信情報が政府に提供されることについて、重要インフラであればほぼすべての国民が利用者にあたると追及。内閣官房の小柳誠二審議官は、重要インフラ事業者に限らず、自治体、家電や自動車メーカーなどあらゆる民間事業者と協定さえ結べば、利用者の情報を吸い上げることが可能であると認めました。

 政府は「自動選別」でIPアドレス(ネットワーク上の住所)など「機械的情報」のみを分析するとしていますが、塩川氏の追及に対し小柳氏は「機械的情報」も「『通信の秘密』の保護を受ける」対象だと認めました。塩川氏は「自動選別」情報には「(政府が)機器などの探査が容易になると認めるに足りる情報」も含まれると指摘し、「恣意(しい)的な選別が行われる懸念はぬぐえない」と強調しました。まさに国民の「通信の秘密」を侵害する法案にほかなりません。

 法案は、収集した情報を外国政府など第三者に提供することが可能な仕組みです。日本共産党は、必要以上に収集せず、目的外利用や第三者提供は事前に本人同意を得るという個人情報保護の大原則をことごとく無視するもので極めて重大だと追及しました。

 塩川氏が、協定当事者の同意を得れば、取得した情報をサイバー攻撃の被害防止以外の目的に利用できる同法案の規定についてただすと、小柳氏は規定の存在を認めた上で、同規定が警察や自衛隊にも準用されると答弁しました。

 塩川氏が、警察や自衛隊がサイバー攻撃の被害防止とは無関係な自らの業務に取得した情報を利用できてしまうと追及すると、平将明デジタル相は「利用目的は必ずしも特定被害防止目的に限られない」と認めました。

 塩川氏は、脱原発運動や平和運動をしていた市民の個人情報を公安警察が収集・保有、提供したことを違法とする判決が出た「大垣事件」を挙げ、取得した情報が「市民運動を監視する目的で使われる可能性もある」と指摘しました。法案はこの判決をないがしろにするものです。

先制攻撃と評価 戦争招く

 法案は、警察や自衛隊が疑わしいと判断したサーバーに侵入・監視し、その機器を使用不能にする「アクセス・無害化措置」を可能としています。政府は、同措置を国外にあるサーバーなどに対し行う場合、「緊急状態」(緊急避難)等の国際法上の法理を援用するなどして、国際法上許容される範囲で実施するとしています。

 この点について塩川氏は、海外で緊急避難の「援用」が認められるとの見解を表明しているのはドイツ、オランダ、ノルウェーにとどまると指摘し、「援用」は「国際社会の共通認識にはなっていない」と追及。岩屋毅外相は「サイバー行動に適用される国際法について自国の詳細な立場を対外的に網羅的に明らかにしている国は一部にとどまる」と認めました。

 塩川氏は「通信の傍受や他国領域に存在する情報システムに対するサイバー行動そのものが主権侵害を構成し得る」(ブラジル)など他国の見解を示し、「無害化措置の根拠に緊急避難を挙げても相手国から主権侵害を主張される恐れがある」と批判しました。

 相手国の同意もなく「疑いがある」だけで同措置に踏み切れば、国際法違反の先制攻撃と評価される危険があります。

 日本共産党の赤嶺政賢議員は、平時でも有事でもない「グレーゾーン事態」や安保法制に基づく「重要影響事態」の際も、米国が軍事行動を行う相手国に対し同措置などが可能なのかと追及。「特定の事態の発生の有無にかかわらず可能」と述べた平氏に対し、「日本が武力攻撃を受けていないにもかかわらず措置に踏み切れば相手国から参戦してきたとみなされる」と批判しました。

 同措置が事態のエスカレーションの引き金を引くことになりかねません。憲法9条を踏みにじり、戦争の危険を呼び込むものです。

 政府が、同措置は令状の必要な捜査行為ではないとしていることについて塩川氏が警察権乱用の危険を指摘すると、平氏は、第三者機関の承認などがあるため「乱用する恐れはない」と強弁。塩川氏は、同機関は人権を保障する機関ではなく、中身がブラックボックスで、首相が任命する組織であり独立機関と言えないと反論しました。

 塩川氏は「警察が犯罪処罰を超えて安全保障に関わる域外の実力行使に踏み込むことは、他国の領域主権を侵害し、日本の警察のあり方を根底から覆す」と述べ、「戦前の反省のもと、警察権乱用が起きないようとってきた令状主義の形骸化につながりかねず、警察の権限拡大そのものだ」として廃案を迫りました。


「能動的サイバー防御」法案/塩川議員の反対討論(要旨)/衆院本会議

「しんぶん赤旗」4月9日・4面より

 日本共産党の塩川鉄也議員が8日の衆院本会議で行った「能動的サイバー防御」法案についての反対討論の要旨は次の通りです。

 反対理由の第一は、「通信の秘密」を根本から覆す違憲立法だからです。

 本法案は、サイバー攻撃の実態把握を口実に、送受信者の同意もなく、政府が電気通信設備から通信情報をコピーでき、自治体を含む基幹インフラ事業者やあらゆる民間事業者と協定を結ぶことで利用者情報の吸い上げを可能とします。

 自動選別で分析する機械的情報はIPアドレスや指令情報など「通信の秘密」の対象となると政府も質疑で認めています。特定のサイバー攻撃に関係する「機器などの探査が容易になると認めるに足りる状況のある情報」も含まれ、政府による恣意(しい)的な選別が行われる懸念はぬぐえません。収集情報は外国政府など第三者提供も可能です。個人情報は必要以上に収集せず、目的外利用や第三者提供は事前に本人同意を得るのが大原則です。これらを無視するもので極めて重大です。

 協定で得た情報は海外からのサイバー攻撃被害防止目的以外にも利用できる規定が盛り込まれ、目的外利用の範囲に制限はなく、警察や自衛隊などが業務に使用することも否定しませんでした。公安警察の個人情報収集・保有、提供は違法と断じた大垣事件判決をないがしろにするものです。

 反対理由の第二は、自衛隊と警察が、憲法と国際法が禁じる先制攻撃に踏み込む危険があるからです。

 サイバー攻撃に関する世界の共通認識はいまだ形成途中で、自衛隊と警察が海外の機器に侵入し、監視し、使えなくする「アクセス・無害化措置」を行えば、相手国から主権侵害と受け取られる危険があります。政府は国際法上の緊急状態によって違法性を阻却できると言いますが、そう主張するのは一部の国だけで、国際社会の共通認識ではなく、相手国の同意もなく「疑い」だけでそのような措置にふみきれば、国際法違反の先制攻撃と評価される危険は否定できません。

 政府は、自衛隊による「アクセス・無害化措置」を、グレーゾーン事態や重要影響事態で、米軍が軍事行動を行う相手国のサーバーに発動できると認めました。日本が武力攻撃を受けていないのに、米国と交戦状態にある相手国に先制的に「アクセス・無害化措置」にふみきれば、日本から参戦してきたとみなされかねず、憲法9条をふみにじり、日本に戦争の危険を呼び込むものです。

 警察が犯罪処罰を超えて安全保障に関わる域外の実力行使にふみこむのは、他国の領域主権を侵害し、警察のあり方を根底から覆し、こうした行為を裁判所の令状もなく第三者機関の承認などのまやかしで容認するものです。第三者機関は法における措置の適正な実施を確保するための審査や検査を行う機関にすぎず、権力乱用防止や人権保障の機関ではなく、令状主義を形骸化させかねず、警察の権限拡大そのものです。


「議事録」

第217回通常国会 令和7年4月8日(火曜日)本会議 第17号

○塩川鉄也君 私は、日本共産党を代表して、いわゆる能動的サイバー防御法案に対して、反対の討論を行います。(拍手)

 反対理由の第一は、通信の秘密を根本から覆す違憲立法だからです。

 本法案は、サイバー攻撃の実態把握を口実として、送受信者の同意もなく、政府が電気通信設備から通信情報をコピーできるようにするものです。さらに、自治体を含む基幹インフラ事業者のみならず、あらゆる民間事業者と協定を結ぶことで、利用者情報の吸い上げを可能としています。まさに、国民の通信の秘密の侵害法案にほかなりません。

 自動選別により機械的情報のみを分析するといいますが、機械的情報は、IPアドレスや指令情報など、通信の秘密の対象となるものであることは政府自身も質疑で認めております。

 さらに、その自動選別も、特定のサイバー攻撃に関係する機器などの探査が容易になると認めるに足りる状況のある情報も含まれており、政府による恣意的な選別が行われる懸念は拭えません。

 また、収集した情報は、外国政府など第三者提供も可能です。そもそも個人情報は、必要以上に収集しないこと、目的外利用や第三者提供は事前に本人同意を得ることが大原則です。政府がこれらをことごとく無視するもので、極めて重大だと言わなければなりません。

 国民への監視強化の危険も深刻です。協定を通じて得た情報は、海外からのサイバー攻撃被害防止の目的以外にも利用できる規定が盛り込まれています。目的外利用の範囲に制限はなく、警察や自衛隊などが自らの業務に使用することも否定しませんでした。まさに公安警察が個人情報を収集、保有、提供したことについて違法と断じた大垣事件の判決をないがしろにするものであり、全く容認できません。

 反対理由の第二は、自衛隊と警察が、憲法と国際法が禁じる先制攻撃に踏み込む危険があるからです。

 サイバー攻撃に関する世界の共通認識がいまだ形成途中であることは、政府も認めるところです。そのような中、自衛隊と警察が海外の機器に対して侵入し、監視し、その機器を使えなくするアクセス・無害化措置を行えば、相手国から主権侵害と受け取られる危険があります。政府は国際法上の緊急状態によって違法性を阻却できると言いますが、そのように主張しているのは一部の国だけで、国際社会の共通認識とはなっていません。にもかかわらず、相手国の同意もなく、しかも疑いがあるだけでそのような措置に踏み切れば、国際法違反の先制攻撃と評価される危険は否定できません。

 さらに、政府は、自衛隊によるアクセス・無害化措置について、いわゆるグレーゾーン事態や重要影響事態で、米軍が軍事行動を行う相手国のサーバーに発動できることを認めました。日本が武力攻撃を受けていないにもかかわらず、アメリカと交戦状態にある相手国に対して日本が先制的にアクセス・無害化措置に踏み切ることになれば、日本の側から参戦してきたとみなされ、エスカレーションの引き金を引くことになりかねません。憲法九条を踏みにじり、日本に戦争の危険を呼び込むものであり、断じて容認できません。

 また、警察が犯罪処罰を超えて安全保障に関わる域外の実力行使に踏み込むことは、他国の領域主権を侵害し、日本の警察の在り方を根底から覆すものです。こうした行為を、裁判所の令状さえなく、第三者機関の承認などというまやかしで容認するものです。その第三者機関は、あくまで、法における措置の適正な実施を確保するための審査及び検査を行うための機関にすぎません。権力の濫用防止や人権を保障する機関ではありません。戦前の反省の下、警察権の濫用が起きないよう取ってきた令状主義の形骸化につながりかねず、警察の権限拡大そのものであり、全く認められません。

 以上、憲法と国際法を踏みにじる本法案の廃案を求め、討論を終わります。(拍手)

市議選が目前に迫った飯能市で街頭演説会

 金子としえ・新井たくみ・滝沢おさむの各市議と新人の山口のりひろさんと訴え!

 帯状疱疹予防接種助成や運転免許証自主返納者への奨励金など豊かな実績。

 学校給食費無料化、国保税値上げストップを!

 物価高騰には消費税減税。

 5%への引下げで12万円の減税に。


子育て・老後安心の飯能市へ/埼玉/塩川氏迎え街頭演説

「しんぶん赤旗」4月8日・10面より

  埼玉県飯能(はんのう)市の日木共産党は6日、20日告示(27日投票)の市議選(定数19)の勝利をめざし、塩川鉄也国対委員長・衆院議員を迎えて街頭演説を行いました。

 現有3議席からの議席増をめざす、金子としえ、新井たくみ、滝沢おさむ=以上現=、山囗のりひろ=新=の4候補が決意表明しました。

 4候補は、現市政は自然豊かな阿須山中の里山を壊してメガソーラー事業を続行し、国民健康保険税の連続値上げを進め、10月からは下水道科金の25%値上げも計画していると批判。共産党市議団が、市民の願い実現ヘインボイス制度の廃止を求める請願などを採択させてきたことや、学校・保育所の給食無償化、市独自の返済不要の奨学金制度創設、地域公共交通の充実などの政策を語り「市民の声が届き、子育ても老後も安心の飯能市をつくります。4人そろって押し上げてください」と呼びかけました。

 塩川氏は、トランプ米大統領の一方的な関税政策に抗議し、企業・団体献金の禁止や消費税減税、高額療養費の負担上限引き上げの撤回、大軍拡より暮らしを守る予算の実現などを求めていくためにも、市議選は重要だと強調。「共産党か議席を伸ばすことが、国の政冶にもおかしいと声をあげる大きな力になる」と訴えました。

栃木県下野市内のPFAS調査

 水道水に地下水を使う下野市では、2カ所の取水源から暫定目標値を超えるPFASを検出(現在、取水停止)。

 市は給水車による給水や浄水器の購入補助を実施。

 住民の方は「週2回、水を取りに来ている。いつまで続くのか」「浄水器を買った。フィルター交換にもお金がかかる」と。

 自治体、住民に対する国の財政支援の実施や汚染源の特定が必要。

 下野市に隣接する陸自宇都宮駐屯地では暫定目標値を超えるPFASが検出されている。

 周辺の宇都宮市域でも高濃度のPFASが検出されている。

 PFAS含有の泡消火薬剤を使用したことのある自衛隊施設内の調査をさらに求めていきたい。

佐野市議選告示、つるみ義明・滝田よう子候補の応援に!

 18歳までの医療費無料化、50歳以上の帯状疱疹予防接種助成など豊かな実績。

 国保税引下げ、学校給食費の無償化を!

 トランプ関税に断固抗議、撤回を!

 政府は国民の暮らしと雇用、営業を守れ!

 大企業は内部留保を活用し、雇用と関連企業を支えよ!

 


11市議・補選が告示/栃木・佐野/滝田・つるみ氏

「しんぶん赤旗」4月7日・4面より

 10市議選と1市議補選が6日告示(13日投票)されました。

 栃木県佐野市(定数24、立候補28人)では、日本共産党の滝田よう子(70)、つるみ義明(72)=ともに現=の2氏が、現有2議席確保へ立候補しました。

 両候補は第一声で、▽学校給食費の無償化▽国保税の引き下げと子どもの均等割ゼロ▽加齢性難聴者の補聴器購入への助成―などを公約に掲げました。

 塩川鉄也衆院議員が応援に駆け付けました。

 

【内閣委員会】サイバー法案が可決/戦争呼び込む違憲立法/反対討論

 国民の通信情報を常時収集・監視し、政府の判断で警察・自衛隊がサーバーに侵入・「無害化」できる「能動的サイバー防御法案」が4日の衆院内閣委員会で一部修正され、自民、立民、維新、国民民主、公明などの賛成多数で可決しました。日本共産党と、れいわ新選組は反対しました。

 私が反対討論に立ち、反対理由の第一に「『通信の秘密』を根本から覆す違憲立法だ」と主張。政府が送受信者の同意なく通信情報をコピーでき、基幹インフラ事業者や民間事業者と協定を結べばその利用者の情報を取得できると指摘しました。「自動選別」でIPアドレス(ネットワーク上の住所)など機械的情報のみを分析すると言うが「機械的情報」も「通信の秘密」だと強調。情報は外国政府にも提供可能で、事業者と協定を結めば警察や自衛隊などが自らの業務に使用することも可能だと批判しました。

 第二に「憲法と国際法が禁じる先制攻撃に踏み込む危険がある」と指摘。政府は「アクセス・無害化措置」の違法性を阻却(取り外すこと)できると言うが、それは国際社会の共通認識となっておらず相手国の同意がないまま、「疑い」だけで実行すれば「国際法違反の先制攻撃とされる危険は否定できない」と強調しました。

 安保法制に基づく「重要「影響事態」などの際、米軍が軍事行動を行う相手国に対し同措置を実施できるとしていることに対し、先制的に実施すれば「『参戦』と見なされる。憲法9条を踏みにじり、戦争の危険を呼び込むもので断じて容認できない」と批判。警察が令状なしに、犯罪処罰を超えて安全保障にかかわる域外実力行使が可能なことは令状主義の形骸化と警察権力の肥大化をもたらすと断じました。

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以下、反対討論の全文です。
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 私は、日本共産党を代表して、いわゆる「能動的サイバー防御」法案に、反対の討論を行います。

 第一の理由は、「通信の秘密」を根本から覆す違憲立法だからです。
本案は、サイバー攻撃の実態把握のためと言って、送受信者の同意なく、政府が通信情報をコピーできるとしています。さらに自治体を含む基幹インフラ事業者に加え、あらゆる民間事業者と協定を結び、その利用者の情報を吸い上げることを可能とします。国民の「通信の秘密」侵害法案に他なりません。

 自動選別によりIPアドレスなど機械的情報のみを分析するといいますが、機械的情報も「通信の秘密」の対象であることは政府も認めたではありませんか。

 また、収集した情報は、外国政府など第三者提供も可能です。そもそも個人情報の原則は、必要以上に収集しないこと、目的外利用や第三者提供は事前に本人同意を得ることです。政府がこれらをことごとく無視するのは極めて重大です。

 国民への監視強化の危険も深刻です。協定で得た情報は、目的外利用も可能でその範囲に制限はなく、警察や自衛隊などが自らの業務に使用することも政府は否定しませんでした。まさに公安警察が個人情報を収集・保有、提供したことについて違法と断じた大垣事件の判決をないがしろにするものであり、全く容認できません。

 第二に、自衛隊と警察が、憲法と国際法が禁じる先制攻撃に踏み込む危険があるからです。

 政府も認めるように、サイバー攻撃に関する世界の共通認識はいまだ形成途中です。そのような中、「アクセス・無害化措置」を海外の機器に対して行えば、相手国から主権侵害と受け取られる危険があります。政府は国際法上の緊急状態によって違法性を阻却できると言いますが、国際社会の共通認識とはなっていません。にもかかわらず、相手国の同意もなく、しかも「疑いがある」だけで、そのような措置にふみきれば、国際法違反の先制攻撃と評価される危険は否定できません。

 さらに政府は、自衛隊がいわゆるグレーゾーン事態や重要影響事態で、米軍が軍事行動を行う相手国のサーバーに措置できることを認めました。日本が武力攻撃を受けていないにもかかわらず、先制的に無害化措置や通信防護措置にふみきることになれば、日本の側から参戦してきたとみなされかねません。憲法9条をふみにじり、日本に戦争の危険を呼び込むもので、断じて容認できません。

 また、警察が犯罪処罰を超えて安全保障に関わる域外の実力行使にふみこむことは、日本の警察のあり方を根底から覆すものです。こうした行為を裁判所の令状さえなく、第三者機関の承認などというまやかしで容認することは、令状主義の形骸化と警察権力の肥大化をもたらすもので全く認められません。

 なお、修正案は、法案の問題点を改めるものではなく賛成できません。

 以上、憲法と国際法をふみにじる本法案の廃案を求め、討論を終わります。


先制攻撃に道開く危険/能動的サイバー法案 衆院内閣委で可決/塩川氏が反対討論

「しんぶん赤旗」4月5日・1面より

 国民の通信情報を常時収集・監視し、政府の判断で警察・自衛隊がサーバーに侵入・「無害化」できる「能動的サイバー防御法案」が4日の衆院内閣委員会で一部修正され、自民、立民、維新、国民民主、公明などの賛成多数で可決しました。日本共産党と、れいわ新選組は反対しました。(関連2面)

 日本共産党の塩川鉄也議員が反対討論に立ち、反対理由の第一に「『通信の秘密』を根本から覆す違憲立法だ」と主張。政府は送受信者の同意なく通信情報をコピーでき、基幹インフラ事業者や民間事業者と協定を結べばその利用者の情報を取得できると指摘しました。「自動選別」でIPアドレス(ネットワーク上の住所)など機械的情報のみを分析すると言うが「機械的情報」も「通信の秘密」だと強調。情報は外国政府にも提供可能で、事業者と協定を結べば警察や自衛隊などが自らの業務に使用することも可能だと批判しました。

 第二に「憲法と国際法が禁じる先制攻撃に踏み込む危険がある」と指摘。政府は「アクセス・無害化措置」の違法性を阻却(取り外すこと)できると言うが、それは国際社会の共通認識となっておらず相手国の同意がないまま、「疑い」だけで実行すれば「国際法違反の先制攻撃とされる危険は否定できない」と強調しました。

 安保法制に基づく「重要影響事態」などの際、米軍が軍事行動を行う相手国に対し同措置を実施できるとしていることに対し、先制的に実施すれば「『参戦』と見なされる。憲法9条を踏みにじり、戦争の危険を呼び込むもので断じて容認できない」と批判。警察が令状なしに、犯罪処罰を超えて安全保障にかかわる域外実力行使が可能なことは令状主義の形骸化と警察権力の肥大化をもたらすと強調しました。

 

【内閣委員会】サイバー法案/警察権乱用につながる

 私は、「能動的サイバー防御法案」に含まれる警察官職務執行法(警職法) 改定の問題点を追及しました。

 私は、疑わしいサーバーに侵入・監視しその機器を使用不能にする「アクセス・無害化措置」実施を警察に認め、政府機関などが使用する「重要電子計算機」だけでなく一般的な機器をも対象とし、警察権乱用につながるものだと告発。

 逢阪貴士警視庁サイバー警察局長は、「限定することは適当でない」とする有識者会議の提言に沿ったとして正当化しました。私は、政府が同措置を令状の必要な捜査行為ではないとしていることに対し、同措置により得られた情報を「捜査に用いないと法文で明確にせよ」と迫りました。

 私は、同措置は事前からの一定の準備の期間が必要な上、警察庁長官の指揮下で行われると指摘し、現場の警官が危害防止のための即時執行(即時強制)を行うという警職法の性質に「そもそもそぐわない」と強調しました。

 警職法に新たな条文が追加されるのは1948年の制定以来、初めて。私は、警察官の職務質問の権限を大幅に広げる改定が58年に狙われ「戦前の治安維持法の復活だ」との国民的な反対運動で阻止した歴史を紹介し、「戦前の反省のもと、警察権の乱用が起きないようとってきた令状主義が形骸化しかねない。歯止めはあるのか」と追及すると、平将明デジタル相は、第三者機関の承認などがあるため「乱用する恐れはない」と強弁。私は、第三者機関の中身がブラックボックスで、首相が任命する組織であり独立機関と言えないと反論し、同法案はサイバー攻撃対処を名目に、際限のない警察権拡大をするものだと批判しました。

衆議院TV・ビデオライブラリから見る


警察権乱用につながる/衆院内閣委/能動的サイバー法案/塩川氏が追及

「しんぶん赤旗」4月5日・2面より

 日本共産党の塩川鉄也議員は4日の衆院内閣委員会で、「能動的サイバー防御法案」に含まれる警察官職務執行法(警職法)改定の問題点を追及しました。

 塩川氏は、疑わしいサーバーに侵入・監視しその機器を使用不能にする「アクセス・無害化措置」実施を警察に認め、政府機関などが使用する「重要電子計算機」だけでなく一般的な機器をも対象としており、警察権乱用につながると告発。逢阪貴士警察庁サイバー警察局長は「限定することは必ずしも適当でない」とする有識者会議の提言に沿ったと正当化しました。政府が同措置を令状の必要な捜査行為ではないとしていることに対し、塩川氏は同措置により得た情報を「捜査に用いないと法文で明確にせよ」と迫りました。

 塩川氏は同措置について、事前から一定の準備期間が必要な上、警察庁長官等の指揮下で行われると指摘し、現場の警官が危害防止のための即時執行(即時強制)を行うという警職法の性質に「そもそもそぐわない」と強調しました。

 警職法に新たな条文が追加されるのは1948年の制定以来、初めて。塩川氏は、警察官の職務質問の権限を大幅に広げる改定が58年に狙われ「戦前の治安維持法の復活だ」との国民的な反対運動で阻止した歴史を紹介し、「令状主義が形骸化しかねない。歯止めはあるのか」と追及。平将明デジタル相は、第三者機関の承認などがあるため「乱用する恐れはない」と強弁しました。塩川氏は、第三者機関の中身がブラックボックスで、首相が任命する組織であり独立機関と言えないと反論。同法案はサイバー攻撃対処を名目に、際限のない警察権拡大をするものだと批判しました。

 

【しんぶん赤旗掲載】他国の主権侵害の危険/衆院委/サイバー法案巡り

「しんぶん赤旗」4月3日・2面より

 私は2日の衆院内閣委員会で、「能動的サイバー防御法案」が可能とする、警察・自衛隊が疑わしいと判断した海外のサーバーに侵入・監視し、その機器を使用不能にする「アクセス・無害化措置」が他国への干渉や主権侵害となる危険を告発しました。

 私は、政府は「国家はサイバー行動によって他国の主権を侵害してはならず、他国の国内管轄事項に干渉してはならない」としているのに「アクセス・無害化措置」はこの「干渉」にあたると批判。他国領域内での違法行為を止める責任はその国にあり、責任の履行を当事国に働きかけるべきだと強調しました。

 政府は「アクセス・無害化措置」を国外にあるサーバーなどに対して行う場合、「緊急状態」(緊急避難)等の国際法上の法理を援用するなどして国際法上許容される範囲で実施するとしていますが、海外でサイバー行動に対して緊急避難の援用が認められるとの見解を表明しているのはドイツ、オランダ、ノルウェーにとどまります。

 私は、緊急避難の援用は「国際社会の共通認識にはなっていない」と指摘。「通信の傍受や他国領域に存在する情報システムに対するサイバー行動そのものが主権侵害を構成し得る」(ブラジル)など他国の見解を示し「無害化措置の根拠に緊急避難を挙げても相手国から主権侵害を主張される恐れがある」と追及しました。

 「特段の問題があるとは考えていない」と開き直った岩屋毅外務相に対し私は、「援用」は乱用の危険が大きく「国際法システムを弱体化させる恐れがある」など専門家の指摘も示し、「国際法に基づく規範形成の努力に逆行する」と厳しく批判しました。

 

【新聞「新埼玉」掲載】塩川鉄也の 国会から 埼玉から/八潮の道路陥没事故/国が工事費

新聞「新埼玉」4月号より 

 この間、党国会議員団は、八潮市の下水道管破損に伴う道路陥没事故について、下水道事業の大規模化を自治体に押し付けてきた国の責任を追及してきました。中川流域の下水道処理施設は、全国に2200ある下水道事業の中で9番目に大規模。120万人の住民生活に深刻な影響を与えました。下水道には迂回(うかい)路もなく、硫化水素による施設の腐食の問題、地下で点検も困難といった他のインフラにはない特徴があります。国が責任をもって財政措置を行うべきだと要求してきました。

 政府は3月18日、予備費の支出を決定。八潮市の道路陥没事故に対して「緊急下水道管路改築事業」として、工事費用の半分である45億円を充てることとしました。また、30年以上経過した大口径管の全国調査を行い、調査結果を踏まえ緊急改築を行う予算措置もとることになりました。

 伊藤岳参議院議員の予算委員会での質問などが大きな力を発揮しました。改築だけでなく、修繕にも国費を充てることや被害者への補償など、さらなる改善の収り組みを要求していきます。

【政治改革に関する特別委員会】企業・団体献金禁止法案、自公国が否決のため採決強行を狙う、野党が反対し委員会開会せず

 企業・団体献金を存続させることで合意している自民、公明、国民民主の3党は、政治改革特委員会の理事会で、野党5会派共同提出の禁止法案を否決するため、採決を要求しました。

 これに対し、日本共産党、立憲民主党、日本維新の会、れいわ新選組、衆院会派「有志の会」は、否決させないため採決に反対。今日は委員会を開かないことになりました。

 私は、理事会で、共産党が一貫して提出し続けてきた企業・団体献金の禁止法案が、立憲や維新からも法案提出され「大きな流れになってきている」と述べ、全面禁止の実現の向け、引き続き取り組むことを強調。

 国民民主と公明が禁止ではなく、受取政党支部や献金上限額を規制する案を提示している中「これまで議論してきた(野党5会派の禁止)法案について、採決して審議を打ち切っては、まともな議論はできない」と指摘しました。

 また、自民、公明、国民民主の3党派実務者協議を行い、再度、企業・団体献金は禁止しないことを確認。

 その上で、自民の要求を受け入れ、収支報告書をオンライン提出さえすれば企業・団体献金の受取支部となれることと、公開の範囲を拡大するものではない内容を、3党で合意。

 企業・団体献金の規制には全くならないものです。

 企業・団体献金の存続に固執する、自公国3党の姿勢があらわになっています。