国会での奮闘をご紹介します
 
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国会での取組み


●168臨時国会●
2008年1月15日 総務委員会 公立病院改革ガイドライン/「医師不足で経営難」と総務相
 「公立病院改革ガイドライン」(2007年12月)について質問。ガイドラインは、病床利用率(一般・療養病床)が過去三年間連続で70%未満の病院に対し、病床数の削減や診療所化を求めるなど、公立病院の統合・削減を狙うもの。

 自治体病院の赤字事業数は、2000年の46%から06年には77%に急増している。公立病院の経営が悪化している原因を質問すると、増田寛也総務相は「医師不足が経営悪化に与えている影響もかなりある」と答弁。

 医師不足が原因と認めるなら、ガイドラインで医師不足は解消するのかと質問したのに対し、増田総務相は「医師不足の解決策は(昨年5月にまとめた)緊急医師確保対策が有効」と答弁。しかし、同対策は医師抑制政策を変えるものにはなっていない。

 また、ガイドラインで普通交付税の算定基準を病床数から病床利用率へ変更しようとしているが、過疎地でも都市部でも恒常的に病床利用率が低いのは医師不足に原因があると指摘。病床数から病床利用率に変えることは交付税を減らすことになる。

 総務相が「恒常的に低ければ見直す」と答弁。常勤医師が確保できないから患者が少なく、病床利用率も低くなる。こうした実情を踏まえないペナルティー的なやり方はやめるべきだ。

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2007年12月6日 総務委員会 放送法改定案を修正可決 塩川議員 “政府介入に道”と反対 衆院委
 放送法改定案が六日、衆院総務委員会で採決され、一部修正のうえ、自民、民主、公明、国民新の賛成多数で可決しました。日本共産党、社民党は改定案、修正案とも反対しました。日本共産党の塩川鉄也衆院議員が「改定案はNHK経営委員会の合議制をゆがめ、政府の介入につながるものだ」として反対討論を行いました。

 塩川議員は改定案について、▽認定放送持株会社制度の導入によって、マスメディア集中排除原則を空洞化させる▽NHKの経営委員会の合議制をゆがめ、政府の介入につながる仕組みをつくる▽国際放送の命令制度について、命令を要請に変えても、政府の介入を排除できない―と問題点を指摘しました。

 自民、民主、公明が共同提出した修正案については、「表現の自由、番組編集の自由を侵害する再発防止計画に関する改定規定の削除は当然」とのべつつ、他の問題点を修正するものではないとして反対しました。また、放送の今後のあり方を転換する重要な審議を、わずか六時間で終局したことに遺憾の意を表しました。

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2007年12月4日 総務委員会 表現の自由損なわれる/放送法改定で参考人質疑
 午前中、放送法改定について、橋本元一NHK会長ら5人の参考人の意見陳述とそれに対する質疑をした。

 意見陳述では、橋本NHK会長、広瀬道貞日本民間放送連盟(民放連)会長、飽戸弘放送倫理・番組向上機構(BPO)理事長が、改定案の放送局への行政処分規定について、表現の自由が損なわれるとの懸念を表明。

 NHKのガバナンス(統治)強化について、橋本NHK会長は、「自主自律の精神で、経営委員会と執行部それぞれの役割を果たしたい」と述べた。

 わたしは、NHKのガバナンス強化の方向は会社法をそっくり写したものであり、経営委員の一部を常勤化し、監査業務をかねることは、合議機関としてのあり方をゆがめると指摘。これに対し、参考人の郷原信郎・桐蔭横浜大学法科大学院教授は「株式会社といった事業法人と公益的な使命を担う放送事業者とはガバナンスのあり方は違う。個々の職員の努力を生かすガバナンスのあり方を考えるべきだ」と答えた。

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2007年12月4日 総務委員会 放送法改定は政府の介入強める
 放送法改定の2度目の審議。自民、民主、公明が修正案を共同提出、政府案と修正案の両案に対する質疑が行われた。

 修正案は、政府案の放送局への行政処分規定は削除されているが、NHK経営委員の一部を常勤化し、強い権限を持つ監査委員会を設置することは、そのままになっている。経営委員会を通して総務省の意向をNHKに反映させようという仕組みが残り、放送の自律の点から問題。民放に認定放送持株会社制度を設ける条項も残った。

 権限が強化されるNHKの経営委員会については、新設される監査委員は、経営委員を兼任し、新たに監督と監査を行える強い権限を持つことになる。しかも、監査委員のうち1人以上は常勤とするように定めている。

 内閣総理大臣が、常勤か非常勤かを特定して、経営委員を提案し、任命することになるのかと確認すると、総務省の小笠原倫明情報通信政策局長は「その通り」と答弁。

 それではとても強い権限をもつ監査委員を常勤の経営委員として、政府与党が任命することになる。これは、政府与党の意をくんだ人物を監査委員に送りこめる仕組みだ。政府の介入をいっそう強めることになりかねない。

 認定放送持株会社制度については、異なる地域の地上放送局をいくつも子会社にできる制度の導入で、キー局中心の集中・寡占が進み、放送の多元性、多様性、地域性が空洞化する。背景にデジタル化への投資増大による地方局の経営難などがある。政府が進める実情に合わない、地上デジタル化放送の2011年完全実施こそ延期すべきだ。

 衆院総務委員会での放送法改定の審議は、この日で終局。わずか2回の審議で、採決が行われる。

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2007年11月29日 総務委員会 放送法改定/「報道の自由を侵害」/処分規定削除を
 通常国会に提出されていた放送法改定案の審議が、衆院総務委員会で始まった。放送局への公権力の介入を強める新たな行政処分を改定案に新設したことは、報道と表現の自由を侵害する。同規定の削除を求めた。

 行政処分は、番組にねつ造が発覚した場合、総務相が放送局に再発防止計画の提出を求め、意見を付けて公表するとしている。今年1月に発覚した関西テレビの「あるある大事典」のねつ造問題を口実にして盛り込まれた。

 この運用にあたって増田寛也総務相が「(放送事業者)自らの判断を尊重し、運用を抑制的におこなう」としている。わたしは、その規定を条文に盛り込まない理由を質問。小笠原倫明局長は「社会的要請も考えて、せばめる明文化はしない」と答弁。大臣の判断で規定を発動することが明らかになった。

 また、総務省が「BPO(放送倫理・番組向上機構)の対策が機能している場合は発動しない」と説明しているが、機能しているか判断するのも大臣。行政処分を発動する判断基準が大臣の考えに左右されかねない。きっぱり規定は削除すべきと要求した。

 ねつ造問題の背景になっている放送業界の不当な下請けいじめの構造こそメスを入れ、下請取引適正化のためのガイドラインをつくるよう求めた。総務相は「公正取引委員会とも連携して適正に対処したい」と答えた。



解説:自律掲げる現行法の改悪


 言論・表現の自由、政府や権力からの自律は放送の生命線です。それを掲げた現行の放送法は、戦前のNHKが準国営放送の道をたどった反省から、主権者である国民の手に放送を取り戻すことを眼目にしています。

 今回、政府が主導して国会に提出した放送法改定案は、現行の放送法の精神を180度転換させようとするものです。

 改定案の柱は3つ。1つがNHK経営委員会の強化。2つ目が、「あるある大事典」のねつ造をきっかけにした行政処分、3つ目が民放に対する認定放送持株会社制度の導入です。

 改定案の趣旨には「NHKに係る事項を中心として放送制度を改正」とあり、NHK経営委員会が「NHKの経営に関する基本方針」をはじめ19項目の職務を行うことを定めています。中には「番組基準、放送番組の編集に関する基本計画」など、表現の自由に直接かかわる事項も含まれています。

 持株会社制度は、言論の多様性を保障したマスメディア集中排除原則(総務省令)を大幅に緩和して、東京キー局の支配を強めようとするものです。

 NHKのETV番組への政治介入や制作費流用などの不祥事、「あるある大事典」でのねつ造問題と、視聴者の放送への不信が大きくなっているのも事実です。これらの問題は、「政治的に公平」「事実を曲げない」放送をすることを掲げた現行の放送法からの大きな逸脱こそが問われなければなりません。

 放送法改定案の3つの柱は、昨年の「通信・放送の在り方に関する政府・与党合意」の主張そのままです。そこには、公共放送としてのNHKの解体や民放を再編成する内容が記されています。

 民主主義社会の形成に及ぼす放送の役割を考えるとき、それに反する改定案を成立させるわけにはいきません。

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2007年11月15日 総務委員会 「通知」として自治への国関与が増えている問題をただす
 地方自治に対する国の関与の問題について、総務委員会で取り上げた。

 自治体が自主的に判断すべき自治事務が、総務省など中央省庁から、「技術的助言」と称する「通知」が最近、増えている。増田寛也総務相に、地方分権を預かる大臣としての所見をただした。

 増田総務相は「本来、自治体が独自に判断すべき自治事務だから、国の関与は、必要最小限にとどめ、(通知の)本数は少なくしていくべきだ」と答弁。

 また、法的拘束力がない自治事務の「通知」が、事細かに何度もくることによって、拘束力を持つかのように「錯覚する」事態が、自治体でおきている。例えば、法的拘束力をもたない総務省の「通知」を根拠として、構造改革特区法による「特区」の申請が行われた。これでは、かえって国の関与を強めるような形になり、地方分権の趣旨に反することを、総務省がやっていることになる。

 増田総務相は「私もおかしいと思う」と認め、今後の検討を約束した。

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2007年11月6日 総務委員会 官製ワーキングプアなくせ――省庁の非常勤職員の実態調査・改善を
 省庁の非常勤職員の深刻な労働実態を取り上げ、実態調査を行い改善するよう求めた。増田寛也総務相は「人事院に各省が協力して実態を調査し、結果をもとに必要な対応を検討したい」と答えた。

 非常勤職員が市民の問い合わせへの回答や稟議(りんぎ)書案の作成など常勤職員並みの基幹的業務まで担う一方、「年度末に予算がきついので賃下げしたいといわれた」「まともな理由説明もなく雇い止めされた」「2年働いても1日も有給休暇がない」などの声が寄せられるほど劣悪な実態にある。マスコミも「官製ワーキングプアだ」と報じている。この実態を政府あげて早急に把握する必要がある。

 さらに、「日々雇用」という1日単位の契約で雇い止めの不安にさらされており、時代遅れの任用形態を見直す必要がある。賃金、勤務時間、休暇等の労働条件を文書で明示していない実態をただすよう求めた。

 谷公士人事院総裁は、日々雇用について「ご指摘の点もある。見直すべきか検討する」と答弁。労働条件の明示については「必要だと通知等で定めている。明示されていない事例があれば、指導する」と答えた。

 わたしは、公務現場の定員削減の影響も実態調査が必要。公務員との均等待遇を保障するよう求めた。人事院勧告を完全実施せず、公務員給与法案で給与を改定しない職員をつくることは、人事院勧告を値切り、制度を形骸(けいがい)化するもの。公務員の労働基本権を全面回復すべきだ。

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2007年10月30日 総務委員会 簡易郵便局の一時閉鎖の「早急に再開」を
 郵政事業の分割・民営化が10月1日にスタートし、過疎地を中心に簡易郵便局の閉鎖が相次ぐなか、住民から批判が強い金融サービスの低下問題で、郵政民営化の見直しを求めた。

 簡易局は、郵政公社化(03年4月)後、一貫して減少。廃止数は222局で、一時閉鎖にいたっては417局にのぼる。

 これで金融アクセス権が保障されているといえるのか。簡易局の減少に対し、日本郵政株式会社は「移動郵便車」や、週2〜3回で1回あたり数時間の営業をおこなう「移動郵便局」などで対応しようとしているが、代替にはならない。一時閉鎖局の再開を早急に進めるよう求めた。

 日本郵政株式会社の西川善文社長は「金融アクセス権はきちんと確保しなければならない」と答弁。「移動郵便車」「移動郵便局」についても、「簡易局の再開が第一であり、その間の応急措置」と述べた。

 また、分割・民営化により郵政事業の障害者サービスも、現場で後退している。視覚障害者に対する、ゆうちょ銀行窓口の「代筆サービス」「貯金取引記録の点字通知サービス」などは引き続き維持するよう求めた。

 ゆうちょ銀行の古川洽次会長は、「サービスは継続する」と表明。点字印刷物などの郵送に活用されている第三種・第四種郵便物の集荷サービスについても、郵便事業株式会社の北村憲雄会長が「今後も引き続き維持する」と答えた。

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2007年10月18日 総務委員会 国家公務員の初任給官民較差解消を要求
 人事院勧告について質問し、官民較差の解消のため国家公務員の初任給の引き上げを求めた。

 2007年の人事院勧告では、官民較差の解消のため、国家公務員の給与水準を決める俸給表の改善を8年ぶりにおこなった。しかし、それでも国家公務員と民間企業との初任給の較差は高卒で1万6千円、大卒で2万円前後ある。依然、初任給の官民較差が解消されていない。なぜ、民間にあわせ若年層の俸給水準をひきあげようとしないのか。

 谷公士人事院総裁は、人事院が国家公務員の給与水準を全体として引き下げる給与構造「改革」を実施していることなどを理由に、若年層の俸給引き上げを拒否。

 わたしは官民較差の解消のための給与改定であれば本来、俸給の改定にあてる必要があると、人事院の姿勢を批判した。

 また、人事院勧告と同時にだされた報告が国家公務員の非常勤職員に初めて言及したことは、深刻な労働実態の是正を求める運動の反映であり前進だと評価できるが、労働実態改善を検討を求めた。

 谷総裁は「(非常勤職員の給与や処遇が)所属する部署によって必ずしも均衡が取れていない」として、問題点の検討をすすめていく姿勢を示した。

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2007年10月18日 総務委員会 地方交付税の削減見直しを
 都市と地方の格差拡大の要因である地方交付税の削減路線の見直しを強く求めた。

 小泉内閣発足の2001年度以降の地方交付税額の推移をみると、人口4000人未満の小規模自治体では、いずれも交付税が減少している。その結果、住民サービスなど必要な行政費用もねん出できなくなって、自主財源が乏しい自治体ほど地方交付税削減の影響が大きくなっている。

 増田寛也総務相は「交付税額がこの間、減少していることが(小規模自治体の)財政に大きな影響を与えている。これが(自治体の)財政力の格差につながっている」と認め、「この点を十分認識して対応にあたっていかなければならない」と答弁。わたしが(地方六団体からも強い要望があがっている)地方交付税の増額を求めたことに対しては、「地方交付税の総額確保につとめていきたい」と述べた。

 また、総務省の「がんばる地方応援プログラム」では、交付税配分総額2220億円のうち1270億円が自治体の歳出削減率に応じて配分されており、これでは「自治体リストラ推進が中心の内容だ」として路線の転換を要求した。増田総務相は「財源を別途確保してほしいという地方からの要望もふまえて工夫する」と述べ、交付税以外に別途、財源を確保する措置を検討することを示唆した。

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