悪質ホストクラブによる被害防止を目的とした風営法改正案が全会一致で可決されました。改正案は、恋愛感情などを利用した接客方法で、女性客に多額の借金を負わせ、返済のために性売買や性風俗店に勤務させるなどの恋を禁じます。性風俗店による紹介料(スカウトバック)の禁止や罰金刑の引き上げ等を盛り込んでいます。
私は質疑で、悪質なホストクラブ営業への規制強化とともに、被害者の相談体制の整備が国の責務だと強調。政府広報ビラに悪質ホスト問題の相談先として記載されている女性相談支援センターで働く女性相談支援員の待遇をただしました。
厚生労働省の岡本利久審議官は、2024年4月時点で2年以上働く支援員のうち、約9割が非正規職員で、その平均時給は1496円だと答えました。
私は、高度な専門知識と経験、継続性が求められる職務に見合った待遇になっていないと批判。支援員への国庫補助基準額の時給1576円を上回ったのは5都県のみだとして、都道府県で差が出ない一律の賃金体系や正規職員化など待遇改善を求めました。
また、同様に相談先として記載されている消費生活支援センターの消費生活相談員についても質問。83%は非正規で、その多くを占める会計年度任用職員の雇い止めが横行していると指摘。「悪質ホスト対策としても知識やノウハウを持つ相談員の雇い止めは重大な社会的損失だ」と迫りました。
消費者庁の尾原知明審議官は、任用回数に上限を設けて雇い止めする制度は「消費生活相談の職の特性に反する」と答弁。私は相談員が安心して働ける待遇改善を強く求めました。
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風営法改正案/悪質ホスト被害防止/衆院委で可決/塩川氏 支援員の待遇改善を
「しんぶん赤旗」5月17日・13面より
悪質ホストクラブによる被害防止を目的とした風営法改正案が16日、衆院内閣委員会で全会一致で可決されました。改正案は、恋愛感情などを利用した接客方法で女性客に多額の借金を負わせ、返済のために性売買や性風俗店に勤務させるなどの行為を禁じます。性風俗店による紹介料の禁止や罰金刑の引き上げなどを盛り込んでいます。
日本共産党の塩川鉄也議員は質疑で、悪質なホストクラブ営業への規制強化とともに、被害者の相談体制の整備は国の責務だと強調。政府広報ビラに悪質ホスト問題の相談先として記載されている女性相談支援センターで働く女性相談支援員の待遇をただしました。
厚生労働省の岡本利久審議官は、2024年4月時点で2年以上働く支援員のうち約9割が非正規職員で、その平均時給は1496円だと答えました。
塩川氏は、高度な専門知識と経験、継続性が求められる職務に見合った待遇になっていないと批判。支援員への国庫補助基準額の時給1576円を上回ったのは5都県のみだとして、都道府県で差が出ない一律の賃金体系や正規職員化など待遇改善を求めました。
また、同様に相談先として記載されている消費生活支援センターの消費生活相談員についても質問。83%が非正規で、多くを占める会計年度任用職員の雇い止めが横行しているとして「悪質ホスト対策としても知識やノウハウを持つ相談員の雇い止めは重大な社会的損失だ」と迫りました。
消費者庁の尾原知明審議官は、任用回数に上限を設けて雇い止めする制度は「消費生活相談の職の特性に反する」と答弁。塩川氏は相談員が安心して働ける待遇改善を強く求めました。
「議事録」
第217回通常国会 令和7年5月16日(金曜日)内閣委員会 第21号
○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
風営法案について質問いたします。
本法案では、悪質ホストクラブ問題に対応するための規制が強化をされるということであります。制度の整備はもちろん重要であります。同時に、被害に遭った女性たちがどこに相談すればよいか分からないというようなことがあってはなりません。相談窓口の周知は必要ですし、その窓口の体制を整備することは国の大きな責務であります。
そこで、坂井国家公安委員長にお尋ねをいたします。
警察庁も、三月には、広報啓発や真摯な相談対応、そして関係行政機関との連携に関する通達を都道府県警宛てに発出をしております。悪質ホストに関連する警察への相談件数が急増しているということですけれども、その要因と、どのような相談対応を行ってきたのか、今後、相談対応における改善点はどうなっているのか、この点についてお尋ねいたします。
○坂井国務大臣 警察への相談件数でございますが、令和三年、二千四十四件、四年、二千八十九件、五年、二千六百七十五件、六年、二千七百七十六件と、近年増加しております。
この背景について断定的にお答えするのは困難でありますが、やはり、コロナ禍を経て、孤独、孤立、人のつながりや自己肯定感を求める、こういう若い女性がホストクラブを訪れる、また、派手な看板であったりアドトラックであったり、広告宣伝がSNSにまで入ってくるというようなことで、様々なこういった情報に触れ合う機会が増え、身近に感じ、すごくハードルが下がったというようなことが考えられるのではないかなと思っております。
警察におきましては、悪質ホストクラブ問題を深刻な問題と認識をし、これまでも、風営適正化法のみならず、売春防止法、職業安定法等を駆使して取締りを強化をしてきましたと同時に、立入り等を通じた行政処分、広報啓発等の対策も講じてまいりました。
本法案が成立した暁には、こういった取締り等々と同時に、先ほど辻副大臣からも答弁がありましたが、関係行政機関等と連携をして、幅広く、様々な場所づくりであったり、また相談の機能であったり、こういった強化を、各種取組を進めてまいりたいと思っております。
○塩川委員 相談件数が非常に増えてきているということの背景についてもお話をいただきました。是非、そういったものについてしっかりとした相談体制を整えていく、そういう点でも関係機関との連携という話がございました。是非、こういった取組を行っていくときに、相談対応についての関係行政機関との連携において、連携先について警察庁としても示しているところであります。
その一つでもあります女性相談支援センターについてですけれども、女性相談支援員の処遇改善についてお尋ねをいたします。
悪質ホストクラブ問題についての政府広報ビラで、初めに述べたように、被害女性が、どこに相談すればよいか分からない場合は、まず、お住まいの地域の女性相談支援センターに電話で御相談くださいとなっております。
同センターは、女性の様々な悩みに関する相談に応じ、様々な支援を行う機関で、本問題においても重要な立ち位置にあります。その点において、実際相談を受ける女性相談支援員の役割は極めて重要であります。
女性相談支援員は、昨年施行の女性支援新法で職務が改めて定められました。電話、面接、出張訪問の相談や同行支援、関係機関との連携といった事業の中心の担い手で、高度な専門知識と経験が求められます。昨年八月の国の調査でも、相談件数全体は延べで四十万件を超えた状況で高止まりをしている。そういった際に、女性相談支援員の仕事の役割も極めて大きくなっていると思います。
厚生労働省にお尋ねします。この調査では、給与等の処遇についても調査をしています。まず配置状況について、正規、非正規の割合はどうなっておりますか。
○岡本政府参考人 お答え申し上げます。
女性相談支援員の配置状況ということでございますが、令和六年四月一日時点で各自治体に配置されております女性相談支援員のうち、令和四年度以前から配置されている方につきましては、正規職員が百八名、非正規職員が九百五十名ということでございまして、全体に占める割合としては、正規職員の方が約一割、非正規職員の方が約九割というふうになっているということでございます。
○塩川委員 非正規の方が九割ということであります。
このような非正規職員の給与というのはどうなっておりますか。
○岡本政府参考人 お答え申し上げます。
令和六年四月一日時点で配置をされている非正規の女性相談支援員のうち、令和四年度以前から当該自治体に配置されている方につきまして、令和六年四月の基本給を時給換算いたしますと、平均で千四百九十六円というふうなことでございます。
○塩川委員 時給が千四百九十六円というのは余りにも低いと言わざるを得ません。本当に専門性が求められる、丁寧な相談活動を担っておられるこういった方についての、時給換算での千五百円にも届かないというのは余りにも低いということを言わざるを得ません。
さらに、この調査では、この実態について、国庫補助基準額はおおむね時給千五百七十六円、多くの自治体で乖離が見られると厚労省も指摘をしております。
実際、基準額を超えているのは五都県と承知をしておりまして、残りの四十二道府県はこれを下回っているということで、厚労省として、こういう乖離をどう改めていくのか、引き上げていくのか、この点についてお答えください。
○岡本政府参考人 お答え申し上げます。
女性相談支援員につきましては、困難な問題を抱える女性にとっての最初の窓口として相談に応じ、女性の状況などに応じた必要な支援のコーディネートを行うなど、女性支援において重要な役割を担っているということでございます。
女性相談支援員につきましては地方公務員ということでございますので、任用や労働条件につきましては自治体において判断をしていただくということではございますが、職務を行うために必要な能力、専門的な知識経験を有する人材の登用、職務に見合った処遇に御配慮をいただきたいというふうに考えております。
こうしたことから、厚生労働省におきましては、女性相談支援員が非常勤として配置される場合であっても、その役割に見合った適切な処遇が確保されるよう、基本額に加え、経験年数や職務に応じた加算、期末手当、勤勉手当加算などの補助を行っているということとともに、令和七年度からは、有識者や職員OBが知識や経験を生かして女性相談支援員が抱える困難事例に対する助言を行うなど、支援の質の向上や業務負担を軽減するためのスーパービジョン整備事業というものを行っているところでございます。
こうした取組を通じまして、女性相談支援員の職務に見合った処遇の確保あるいは職場環境の整備ということを推進してまいりたいと考えております。
○塩川委員 女性相談支援員の方々というのは専門的な知見、知識を持って対応しておられるわけです。こういった仕事、役割、能力について、都道府県で差があるわけではありません。そういう点でも、そこで賃金の違いが生まれるということ自身がおかしいわけであって、やはり、一律のこういう賃金体系にしていくような、こういう取組を促していく姿勢というのが国には求められるということを申し上げます。
あわせて、処遇改善の話もありました。是非とも正規化を目指すような処遇改善というのは必要だということを強調しておきたいと思います。厚労省の資料によれば、在職年数が三年未満の相談員が、都道府県では四一・四%、市町村では四〇・三%となっております。自治体全体で十人にも満たない人員のところもあります。
さきに述べたように、高度な専門知識と経験が求められますし、支援には継続性が必要であります。女性版骨太方針でも、「女性相談支援員の人材の養成・処遇改善の推進」と記載をされております。支援員の適切な人員体制と、雇い止めのない雇用を含めた待遇改善が必要だということを強調しておきます。
次に、同じように相談活動を行う窓口として、連携をする対象として、消費生活センター、消費生活相談員の処遇の問題があります。
消費者庁にお尋ねしますが、このような消費生活センターでは、悪質ホストクラブ問題にどのように対応しておられるんでしょうか。
○黒木政府参考人 お答え申し上げます。
消費生活センターでは、消費者トラブルに遭われた消費者などからの御相談を受け付け、専門の消費生活相談員が相談内容に応じて助言等を行っているところでございます。
ホストクラブ関係の御相談につきましては、相談者によってその内容が様々でございます。まずは相談員が相談者の置かれた状況や事情を丁寧にヒアリングした上で、その内容に応じて、例えば、消費者契約法の御紹介や専門的な御助言、それから、弁護士や法律相談の御紹介、また、先ほども御指摘のありました女性相談支援センター、その他関係機関の窓口の御紹介などを行っておりまして、最大限相談者に寄り添った対応を行っているところでございます。
○塩川委員 個々の事情を丁寧に伺って、具体的な相談の中身に対応してアドバイスをし、また、必要な関係機関を案内をする、そういう点でも極めて重要な役割を果たしているのが消費生活相談員の方ですけれども、高度な専門性や知識経験が必要ですが、その実態を見ますと八三%が非正規となっており、そのほぼ全てが会計年度任用職員となっております。
我が党の本村議員が消費者特で取り上げましたように、雇い止めが増加をしているという問題もあるということで、消費者庁にお聞きしますが、悪質ホスト対策という点でも、多くの知識やノウハウを持つ相談員の方々が雇い止めされてしまうというのは、本当に重大な、社会的な損失だと言わなければなりません。是非、対策が必要ではありませんか。
○尾原政府参考人 お答え申し上げます。
消費生活相談員に求められる能力や経験は一朝一夕に身につくものではなく、中長期的な視点に立って任用、育成等を行っていくことが重要でございます。
消費生活相談員の任用は、地方公務員法等に基づき、各地方自治体で検討、実行されているものではありますが、消費者庁としましては、こうした相談員の方々の能力や経験等に見合った処遇となることが重要であると考えております。
そのため、これまで様々な機会を通じて地方公共団体に働きかけなどを行ってきたところであり、引き続き、任用面を含めて適切な処遇となるよう働きかけに努めてまいります。
○塩川委員 雇い止めが横行するような事態はやはりふさわしくない、雇い止めが横行するような事態というのはやはり改めるべきだ、そういうことをはっきりと言うべきじゃありませんか。
○尾原政府参考人 お答え申し上げます。
いわゆる雇い止め、任用回数に上限を設け、上限を超えた場合には同一者を一切再任用しないといった規定、人事慣行等は、消費生活相談員の職務の特性に反するものであると考えております。
繰り返しになりますけれども、我々としましては、様々な機会を通じて地方公共団体に任用面も含めて適切な処遇となるよう働きかけをしているところでございます。
○塩川委員 この仕事を培っていく、そういった点でも、養成には中長期的な対応が必要なわけですから、雇い止めというのはまさにそれを断ち切る話であって、そこをやはり改めていく、そういった対応というのを消費者庁としても働きかけを求めていきたいと思います。消費生活相談員の方々が安心して働けるように、このような処遇改善を強く求めていくものであります。
最後に、ワンストップ支援センターについてですが、代金の支払いのため女性に性風俗を強制させるという行為が重大な問題となり、本案でも一定の規制が設けられております。そういった被害を受けた女性のため、保護や心身の負担軽減、身体の回復を目的として、各都道府県に性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターが設置をされております。
内閣府にお尋ねしますが、夜間の相談対応や緊急対応も必要な、二十四時間三百六十五日いつでも対応できることが重要であります。現状がどうなっているのか、この点についての今後の対応をどう考えているのかを併せてお聞きします。
○岡田政府参考人 お答え申し上げます。
お尋ねの性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターにつきまして、二十四時間三百六十五日対応が可能なセンターが整備されているのは二十都府県となっております。
なお、それ以外の道府県につきましても、内閣府が運用いたします夜間休日コールセンターの利用によりまして、二十四時間三百六十五日相談していただくことが可能となってございます。
また、緊急時には、各センターの相談員等がオンコール対応を行う体制を取っております。
ワンストップ支援センターは都道府県等がそれぞれの地域の状況に応じて体制整備をしているものでありまして、センターの相談受付時間につきましても各都道府県において判断していただいてございます。
内閣府といたしましては、都道府県等に交付いたします性犯罪・性暴力被害者支援のための交付金におきまして、二十四時間三百六十五日対応可能なセンターを整備している場合には、上限を設けることなく、運営に要する所要額の全額の交付申請を可能とするなど、二十四時間三百六十五日対応の取組を支援しているところでございます。
なお、センター自身で常時相談を受け付けるという体制を取ることが難しい場合でありましても、被害に遭われた方が時間、曜日を問わずいつでも相談することができ、状況に応じて必要な医療的支援等を受けられることが重要と考えておりまして、先ほど申し上げましたとおり、繰り返しになりますけれども、内閣府といたしましては、夜間休日コールセンターの運営とオンコール体制の整備によりまして、各都道府県等と協力いたしまして相談支援体制の整備を図っているところでございます。
○塩川委員 終わりにしますけれども、二十四時間対応といっても、コールセンターということでは、遠いわけですよ。実際には、逃げ込める場所、駆け込める場所が必要なわけです。
医療的なケアも含めた対応という点でのワンストップ支援センターについて、二十四時間三百六十五日対応の、医療拠点型のそういう施設をしっかりとつくっていく、こういった形で支援を行っていく。そのことを強く求めまして、質問を終わります。