私は、学術会議解体法案をめぐり、同法案による最初の会長人事にも「政府が深く関与する」法案であることや、新たに秘密保持義務違反への罰則規定を設けており、公開を原則とする学術に関する法案になっていないと批判しました。
同法案では、会長が選任されるまでは、首相が指名する「会長職務代行者」が、総会に向けて議案を提出し、新しい学術会議に必要なルールづくりにかかわります。
私は、「会長職務代行者が新たな会長の選任方法のルール作りにも深く関与する。会長職務代行者は、首相が会員予定者のうちから指名をする。事実上、会長職務代行者が新法人の学長職術会議の初代会長となる」と指摘。これに対し笹川武内閣府総合政策推進室室長は「会長職務代行者が会長になれるかということについては、これは排除する規定はございません」と述べました。私は「政府の深い関与のもとで、『新しい学術会議』がスタートする」と批判しました。
私は、現行法の学術会議法案にはない、会員に対する罰則規定が同法案にあり、秘密保特義務違反への罰則規定もあることを指摘。「秘密保持義務をかけることは、公開を原則とする学術会議の性格にそぐわない。公開を通じて真理を探究することが、学術の大本だ」と強調しました。そのうえで、「政府の情報が学術会議に提供される」から守秘義務をかけるという政府の答弁を示し、「どういう情報が提供されるのか」と質問。坂井学内閣府特命担当相は「具体的な想定はない」とまともに答えませんでした。私は「何が秘密かもわからないのに、罰則を設けることは会員の活動を委縮させる」と断じました。
私は、同日の答弁も含め、政府が4度も答弁を誤ったことを「国会を愚弄するものだ」と批判、大岡委員長も「政府に厳重に注意する」と発言しました。私は、「審議の前提を欠いている」と質疑終局、採決に反対しました。
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会長人事も政府関与/学術会議解体法案/塩川氏が批判/衆院内閣委
「しんぶん赤旗」5月10日・2面より
日本共産党の塩川鉄也議員は9日、衆院内閣委員会で、学術会議解体法案をめぐり、同法案による最初の会長人事にも「政府が深く関与する」法案であることや、新たに秘密保持義務違反への罰則規定を設けており公開を原則とする学術に関する法案になっていないと批判しました。
同法案では、会長が選任されるまでは、首相が指名する「会長職務代行者」が、総会に議案を提出し、新しい学術会議に必要なルールづくりにかかわります。
塩川氏は、「会長職務代行者が新たな会長の選任方法のルール作りにも深く関与する。会長職務代行者は、首相が会員予定者のうちから指名をする。事実上、会長職務代行者が新法人の学術会議の初代会長となる」と指摘。これに対し、笹川武内閣府総合政策推進室室長は「会長職務代行者が会長になれるかということについては、これは排除する規定はございません」と述べました。塩川氏は「政府の深い関与のもとで、『新しい学術会議』がスタートする」と批判しました。
塩川氏は、同法案には現行法にはない罰則規定があり、秘密保持義務違反への罰則規定があると指摘。「秘密保持義務をかけることは、公開を原則とする学術会議の性格にそぐわない。公開を通じて真理を探究することが学術の大本だ」と強調しました。そのうえで「政府の情報が学術会議に提供される」から守秘義務をかけるという政府の答弁を示し、「どういう情報が提供されるのか」と質問。坂井学内閣府特命担当相は「具体的に想定していない」とまともに答えませんでした。
塩川氏は「何が秘密かもわからないのに罰則を設けることは会員の活動を萎縮させる」と断じました。
塩川氏は同日の政府の答弁も含めて、4度も答弁を誤ったことを「国会をぐろうするもの」と批判し「審議の前提を欠いている」と採決に反対しました。
「議事録」
第217回通常国会 令和7年5月9日(金曜日)内閣委員会 第19号
○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
日本学術会議法案について質問いたします。
まず最初に、先ほどの日本維新の会の三木委員の発言ですけれども、この間の学術会議に対する不当な発言、我が党に対する不当な攻撃に対して強く抗議するものであります。
ましてや、市民の発言を抑圧するようなことは許されるものではありません。さらには、大臣が、特別な発言を繰り返すような会員には解任を持ち出すかのような答弁というのは、断じて認められるものではないということも申し上げておきます。
我が党が学術会議に不当に介入、干渉をした事実は全くありません。
三木議員は、本会議で、「日本共産党の七十年」の本には、同党が日本学術会議の設立に一定の役割を果たしたと書かれていると述べておりましたけれども、しかし、実際に、党の七十年の歴史の本の中では、同党が、日本共産党が、が主語ではなくて、民主主義科学者協会が日本学術会議の設立に一定の役割を果たしたと書いてあるんです。まさに、七十年の党史の記述を改ざんをして本会議で質問の材料にする、とんでもない話であります。
こんな我が党への攻撃、同じようなことをやっているような団体があるなと思いましたら、そういう団体というのが、あの統一協会系の団体の国際勝共連合や世界日報であります。解散命令の対象となるような統一協会系の世界日報の社説では、「日本学術会議 共産党の影響力を排除せよ」などと中傷する社説が書かれているところであります。
結局、三木委員のやっていることは反社会的集団の統一協会系団体と同じものでありまして、統一協会と一体と見られても仕方がない。恥ずかしくて本人もいなくなってしまった。軍拡推進で政府・与党と気脈を通じているということが大本にあるということを厳しく批判をし、質問に入ります。
ただ、質問に入る上でも、この間の答弁の誤りは余りにもひどいということを言わざるを得ません。
本会議において、大臣が、候補者選考委員と候補者選定委員を言い間違える。その修正の答弁についても誤りがあった。また、笹川室長の答弁においては、会長職務代行者を会長予定者と繰り返し述べるようなことがありました。さらには、今日明らかになりましたように、会長の選任方法を、総会の決議による選任と言うべきところを現行法と同じ互選と述べるという。私も長年国会議員をやっておりますけれども、こんなに政府の答弁が一つの質問で繰り返されるようなことは経験したことがありません。これは国会の審議を愚弄するものじゃないでしょうか。
これは、委員長として、はっきりと政府に対して、そういう旨、強く伝えるべきではありませんか。
○大岡委員長 私にも発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。
いずれも、塩川先生の御指摘で明らかになったミスだと思っております。
政府に対しましては、法案説明それから答弁においては正確な言葉を使うように、私からも強く、厳重に注意をさせていただきたいと思います。
○塩川委員 余りにもひどいと。
大臣、こんなに、四回も答弁を誤るような政府の対応というのは看過し難いと思っております。こういう問題について、大臣として率直に発言をいただきたい。
○坂井国務大臣 私なりに一生懸命やってきたわけでありますし、笹川室長も懸命にやっていただいていると思いますが、このような結果になりましたことは申し訳なく思いますけれども、誠心誠意努めてまいりたいと思います。
○塩川委員 大体、質問をしても、答弁が間違っているかどうかをチェックしなくちゃいけない、そんなところから始めるという、まともな議論にならないのは当然のことではないでしょうか。
丁寧な議論が必要だ。まさに現行法を廃止をして新法を作るわけですから、まさに新法を逐条的に議論することこそ、当委員会が行うべきことであって、今日で質疑終局、採決のようなことを与党が提案しているのは断じて認めることはできません。徹底審議を是非とも求めていくものであります。
その上で、この答弁間違いに関連して、幾つかお尋ねします。
今日、笹川室長が間違えた会長の選任方法の件ですけれども、この新法において、「総会が、その決議により選任する。」という会長職ですけれども、この新法において、会長の選任方法というのは誰がどのように決めるものでしょうか。
○笹川政府参考人 総会で選任するところまでの流れというような意味合いでしょうか。
いずれにしても、どういったプロセスで議決するかとか、説明の段取りを進めていくかといったようなことは、基本的には、学術会議の中において決められることだと思っています。
内部の選考、選任手続ということであれば、そういう答弁をさせていただきます。
○塩川委員 新法における会長の選任方法なんですけれども、これは、新法人の総会の議長ともなる会長職務代行者が関わって、こういったルール作り、会長そのものの選任方法についての下部、下位規定を定める、そういうことになるんですか。
○笹川政府参考人 基本的には、会長の職務代行者が議案を準備するということですので、その方がどういった方に相談というか、していくかということだと思っております。
○塩川委員 議案を用意する会長職務代行者がそれを担うということであります。
現行の法律にあります会長の選任方法は互選ということですけれども、これは日本学術会議の細則で、細かい規定が求められているものであります。
こういった、それこそ、今のコンクラーベと同じように、会員が互選をする、過半数を得るまで繰り返すと。三回やっても成らないときには、上位二名の決選投票という形で、細かく規定をしているわけですよね。
今回の、総会における、総会の決議により選任されるというのは、こういうのを、念頭にあるんでしょうか、全く別物ということになるんでしょうか。
○笹川政府参考人 委員会に諮問するとか、諮問というか意見を聞くといった、そういったプロセスは当然委員会がないからできないんですけれども、塩川先生がおっしゃっているような意味合いであれば、基本的には、その後の通常のプロセスと同じような丁寧なやり方を考えていただくということだというふうに思っております。
○塩川委員 いや、答えになっていない話で、結局は、会長職務代行者が議案を提出する、それに当たって必要なルール作りに深く関わっていくということになるわけですけれども、この会長職務代行者が新たな会長の選任方法のルール作りに深く関与するということで、その会長職務代行者は、総理が会員予定者のうちから指名をするということになるわけであります。
こうなると、事実上、会長職務代行者が新法人の学術会議の初代会長となる、そういう人がルールも決めるということに取られるんじゃないでしょうか。
○笹川政府参考人 会長職務代行者自体は、元々の仕事としては、設立時総会の招集とか、先生おっしゃった、議事の進行を務め、議案を作る、そういったことでございます。非常に重要な役割の方なので、ここは会員の予定者から選ぶという、当たり前ですけれども、外部から取ってこないということにしております。
そして、会長職務代行者というのは、会長が選任されるまでの間代行するということでございまして、会長が選任されれば職務に従事しなくなるということでございます。
それで、会長職務代行者が会長になれるかということについては、たしか先ほど申し上げたかもしれませんが、これは排除する規定はございませんが、それを想定してやるという条文でもございませんで、あくまでも総会で選任していただくということでございます。
○塩川委員 総理が指名するという、いわばお墨つきがあり、会長の選任方法についてのルール作りにも深く会長職務代行者が関わるということになれば、二重の意味で、やはり新会長に当たる、そういうのに大きな力を発揮をする。それは、自らなるということも含めてそういうことが行われるようになれば、これはやはり政府の深い関与の下で新しい学術会議がスタートすることになる。会長人事にも政府が深く関与して、いわばその手のひらの上に乗せるということを担保するような法案と言わざるを得ないということを申し上げておくものであります。
それと、この間、私は、現行法と新法と、政府は、この新法について、現行の学術会議の機能を強化するために行うんだということですから、では、機能強化をするというのであれば、その対照表、比較対照表を出してくれというのも最初のときからずっと要求をしてまいりました。私が求めていたものは、現在になっても出ておりません。そういう点でも、附則の部分も含めて、会員選考の方法、部分も組み込んだような対照表というのは是非とも出していただきたい。
その上で、今日、理事会で罰則の話の議論がありました。現行法の学術会議法には罰則の規定がありません。新法には罰則の規定がたくさん盛り込まれております。その際に、理事会のやり取りの中で、政府の方からの説明では、国家公務員法における罰則の関連もあってというので、現行の会員に対して何らかの罰則がかかるという話の説明があったんですけれども、この件についてはどういうふうな整理がされたところなんでしょうか。
○笹川政府参考人 お答え申し上げます。
会員に適用される罰則ということでしたので、急ぎ確認いたしました。
結果として、特別職公務員である会員にかかる罰則はございません。
○塩川委員 ですから、理事会での説明がいいかげんだったということですかね。
○笹川政府参考人 そういうつもりではなくて、例えば、連携会員は一般職公務員ですので、これは、余り不正確なことは言えませんけれども、国家公務員法とか、違う体系になってきます。会員というふうに限定していただいたので、急ぎ確認して、結果を申し上げたということでございます。
○塩川委員 だから、理事会の、私は最初から、罰則についての対象ということを言ってきたにもかかわらず、やっと今日の私の質問開始の十分前に説明があったということで、これでまともな議論ができるのかと率直に言って言わざるを得ません。
それで、結果として、会員にかかる罰則はないということでありますと、今回の新法によって、幾つもの罰則が会員にかけられることになる。それが、だから大きなおもしになるんじゃないのかということになってくるわけであります。
第五十五条で、秘密保持義務に違反する場合についての罰則が設けられているわけであります。これは拘禁刑ですから、有期刑で、非常に重いものにもなるわけでありますけれども、こういった秘密保持義務をかける。私は、学術会議の性格からして、おかしいんじゃないのかと。
そもそも、学術というのは公開が基本原則なんですよ。公開を通じてまさに真理を探求をする、ここにこそまさに学術の大本があるわけで、これに対して何で秘密保持義務で罰則までかけるのか。おかしいんじゃないですか。大臣。
○坂井国務大臣 特殊法人であります学術会議には、独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律、公文書等の管理に関する法律などが適用されることから、情報公開等については、これらの法令の下で適切に対応されるべきものであり、総会の公開を含む法人化後の学術会議の適切な運営の具体的な在り方については、学術会議におきまして適切に検討されるものと承知しておりますが、学術会議にも政府の様々な情報が提供される場合もございます。そういう中に様々なものがあるということを想定をする中で、そういった場合においての守秘義務というものを要は今回つけているということでございます。
○塩川委員 現行の学術会議において、こういった秘密に関わるような情報というのは提供されてきたという経緯があるんですか。そもそも、そういうのがない中で、このような様々な貢献、成果を上げてきているのが学術会議だと思うんですけれども。
政府の情報が提供される、それは現行だって、政府から情報は提供されているでしょう。何でそこに秘密保持義務をかける必要があるんですか。
○坂井国務大臣 罰則につきましては、基本的には、現行は政府の中の組織であるということであります。今回、外部の組織、法人化になって外部の組織に出るので、こういった形で担保しているということでございます。
○塩川委員 現行で問題となる事例がない。特別職国家公務員において、そもそも罰則をかけないでやってきているわけですから。そういう中での業務。その機能強化で、何で会員に秘密保持義務で違反すれば罰則をかける必要があるのかと聞いているんですよ。その際に、政府の情報が提供されるからだという話ですから、どんな情報が提供されるから罰則が必要だということなんですか。
○笹川政府参考人 済みません、先に事務局からお答えさせていただきます。
この守秘義務規定は、一般的に、例えば独法なんかでも、その役員について置かれているものであって、特段、学術会議だけ今回罰則を置いている、守秘義務については、ということではございません。
ということと、それから、どういう場合というのは、これはそういう意味では様々ですけれども、それほど機微にわたる情報がないのであれば、当然この規定は適用されませんので、それほど問題はなかろうと思います。(発言する者あり)
ただ、これは前から申し上げているとおり、最後申し上げますと、国が設立して、それは国のお金で運営される法人でございますので、その法人が適正、適切に運営される責任を負っているというのは先ほど申し上げました。その一環として、やはり役員は守秘義務をかけておく必要があるということでございます。
○塩川委員 いや、大臣は、政府の情報が提供されるから、その場合に秘密保持義務が必要であり、それに違反するようだったら罰則が必要だと述べていたんですよ。ここの、政府の情報が提供されるという、その情報が、まさに秘密に関わるものだ、特定秘密とか特別防衛秘密とか経済安保保護情報、こういった秘密が提供されるということを念頭に、この罰則規定があるということですか。
○坂井国務大臣 最初からちょっと整理をさせていただきますと、現行の日本学術会議の会員には罰則規定はかかりません。これは逆に言うと、総理が任命をするということによって、それが外されているという意味合いがあるそうです。そして、その代わり、連携会員、連携会員は公務員でございますので、連携会員に関しては公務員の守秘義務がかかっているということでございます。
それで、ですから、今回は法人で、外に出ますし、総理大臣の任命ではなくなりますので、そこで守秘義務がかかるということでございまして、その中身に関して様々な場合があるということが想定、想定というか可能性を示しておるわけで、具体的にどんな情報がどうだという話を私は想定をして申し上げたわけではありませんが、しかし、そういう可能性もあるということも含めてそこは申し上げたところでございます。
○塩川委員 いや、だから、具体的にどういう事例があるか示してもらわないと議論にならないじゃないですか。何で入れたんですか、いや、一般的にそうなんです、そんな話ではなくて、現行はないんですから。ないものに何でこういった秘密保持義務をかけて罰則をかけるのかといった点について、これはやはりきちっと説明してもらわないと。
○坂井国務大臣 一応そこは今説明させていただいたつもりなんですが、総理が指名に関わり、総理が任命をしたということで外させていただいている。そうではなくて、今回、総理の任命は一切関係がなくなりますので、その分かけさせていただいているということは申し上げたつもりでございます。
○塩川委員 それじゃ説明として納得いかないですね。
この秘密保持義務と言っている秘密について、これは先ほども言いましたけれども、特定秘密だとか特別防衛秘密あるいは経済安保保護情報、こういった秘密に係る、そういった案件が、ここで言っているものに対象としては入っているということですか。
○坂井国務大臣 将来、いろいろな形といろいろな場面が出てくると思いますので、それは全てを排除するものではないとは思っております。
○塩川委員 だから、デュアルユースなんかも念頭に、こういうことをやるのかという疑念というのは当然出てくるわけであります。
こういったことが、要するに、秘密と言われるものが何なのかが分からない、会員の皆さんについても、何が秘密かが秘密で分からないというときに、こういったこと自身が会員の活動に対しての様々な萎縮効果をもたらすことになりかねないということになると思いませんか。
○坂井国務大臣 基本というか、普通は萎縮されることはないと思います。これは全く通常とは違う扱いでありますので、そこは大丈夫だと思っております。
○塩川委員 それでは、何が秘密か分からない中で秘密保持義務と言われても、それはやはり、会員にしてみれば、様々遠慮せざるを得ないという効果にならざるを得ないというのは、もう明らかじゃないでしょうか。
あわせて、罰則の五十七条の五号には、会議の業務、第三十七条に規定をする会議の業務以外の業務を行ったときに罰則をかけているわけであります。この三十七条では、一号から五号まで書かれておりますけれども、いわば学術会議の政策目的に沿った項目が会議の業務に掲げられているんですが、この限定列挙の会議の業務以外の業務を行ったときに罰則ということになると、これは誰がその判断を、つまり、会議の業務以外の業務をやっていたということはどういうふうに判断するものなんですか。
○笹川政府参考人 そこは、最後は罰則の話になりますので、司法判断なんだと思います。
ただ、これは、業務以外の業務という意味合いは、学術会議の、おっしゃっている業務以外の全然関係ない業務を、あたかも学術会議がやっているようにとか会員の名前でやるとか、そういうことを防止しようとしているのであって、副業みたいなのが駄目だとか、そういうことを言っているわけじゃございません。
それから、これも一般的に国が設置する法人において設けられている規定でございまして、ある意味、守秘義務と一緒で、法人のガバナンスを担保するためのもので、どういう場合か、それは、申し訳ないですけれども、ケース・バイ・ケースということになります。通常の場合、そんなにと思っています。済みません。
○塩川委員 学術会議というのは、通常の独立行政法人のような業務執行の法人、機関ではありません、審議機関ですから。そういったことについて、会議の業務の範囲を超えたらこれは罰則にするといったものというのが、やはり様々な審議に対しての萎縮効果にもつながりかねない。一体誰が外れていると判断するのかといったことなんかも問われてくるんじゃないですか。
○笹川政府参考人 先生、言葉尻を捉えるわけじゃないですけれども、ここで言っているのは、例えば人事とか会計みたいなやつもこれは入りますので、そこは、そういう意味では、例えば人事の秘密みたいなのも、何か狭い例で申し訳ないですけれども、入ってき得る話でございます、さっきの守秘義務ですね。
同じように、法人の基本的に中でやっている分には、普通は業務外にはなりませんけれども、さっき言った、よそに行って何か学術会議の名前をかたってというふうなことであればなり得るということでございます。
○塩川委員 いや、だから、誰が業務から外れていることの問題について指摘をするのかという問題が出てくるわけですよ。
ですから、三十七条の一号から四号までには、それぞれ事項が述べられています。五号には、こういった「前各号に掲げる業務に附帯する業務を行う」というのがあるんですよ。附帯の業務ですから、その範囲だって当然幅があるわけですよね。どこまでが業務の範囲であって、どこから先が業務外なのか、この線引きというのは誰がどういうふうにやるんですか。大臣。
○笹川政府参考人 それは、通常は法人の長ということだと思っております。
○塩川委員 これは、監事は全く関わらないということですか。
○笹川政府参考人 法人の長だけと言っているわけじゃないんですけれども、最終的に判断し、例えば懲戒処分みたいなのを打つとか、そういう形になっていくのは法人の長だということを申し上げました。
もちろん、監事であっても、会長に見つけたという報告をするとか、そういったことはございます。
それから、もっと言ったら、それ以外の方も、端緒があったら、しかるべき者に報告するということだと思いますけれども、やはり法人の中ですから、一義的には法人の長が判断されるというふうに思います。
○塩川委員 だから、会議の業務から外れていますよといったことを指摘するのは監事の仕事の範囲内ということですね。
○笹川政府参考人 まず、監事だけじゃなくて役員もそういうことはできますし、それから、監事は何でもできるかというと、基本的に法人の中ですので、どこか、その人の家で何か違法行為をやったというのを監事がやるということじゃありません。監事はあくまでも法人の業務に関する監査をするということでございます。
○塩川委員 だから、会議の業務、外れていますといったことをやれば罰則の対象ですよと。その外れていますよという判断を監事がするということですね。
○笹川政府参考人 ですから、ですからと失礼しました。
会長が判断して、例えばその人を処分するとか注意するということで、監事はあくまでも、見つけたら会長に報告するということでございます。
○塩川委員 会長とともに総理大臣にも言うんですよね。
○笹川政府参考人 そうです。ただ、一義的と言ったら変ですね、法人の内部で違法あるいは不当な行為を是正する権限を持っているのは会長ですので、通常は会長に言いますし、同時に総理に言われても、総理はある意味何もすることがないです。
総理が何をするかというと、是正の求めというのがございますので、どうしても法人の中で是正がされなかったようなときには、そういう求めをするというようなことはございますけれども、基本的には、会長、総理に報告して、会長がまず動く、そういうことでございます。
○塩川委員 総理に任命される監事が、非常に大きな権限があって、白か黒かといったことについて事細かに監視、監査をするというのが今回の法案にならざるを得ないんじゃないのかということを強く危惧するものであります。
私が質問したかったのはこれからの話なんですけれども、光石会長に伺います。
現行法の前文には、日本学術会議は、科学が文化国家の基礎であるという確信に立って、科学者の総意の下に、我が国の平和的復興、人類社会の福祉に貢献し、世界の学界と連携して学術の進歩に寄与することを使命とし、ここに設立されるとあります。
ここにあります「科学者の総意の下に、」の意味するところは何かについてお答えください。
○光石参考人 お答えします。
現行の日本学術会議法の制定に際しては、全国各分野の研究者から選出された委員で構成する学術体制刷新委員会において審議、決定し、総理に報告された日本学術会議法要綱を基に法案が作られたと承知をしております。
このような経緯を踏まえ、現行法の前文に、「科学者の総意の下に、」という文言が規定されているというふうに考えております。
○塩川委員 今、会長から御説明がありましたように、やはり、現行の日本学術会議法が、戦後の学術の新体制を検討するために国内の科学者の選挙によって選ばれた学術体制刷新委員会により起草され、そして総理に提出をされた。それが国会審議などを通じて現行の学術会議法になっているところであります。やはり、戦前の日本が学術を政治に従属をさせ、また学術の側も戦争遂行に加担する役割を果たしたとの痛苦の反省に立ったものが、この日本学術会議法の出発点にあるところであります。
このような日本学術会議法は、科学者の総意の下に法の基本理念や制度がつくられ、政府による提案と国会による審議を経て成立したものであります。その後の改正でもこの基本理念は維持されてきました。
ところが、本法案は、日本学術会議との合意もないまま、科学者の代表により起草された現行法を廃止をし、基本理念や会員選考方法、組織の在り方等を政府が一方的に定め、新たに法人としての別組織を設立するというものであり、科学者の総意の下に設立するという学術会議の在り方そのものを否定するものではないのか。大臣に伺います。
○坂井国務大臣 先ほどから申し上げておりますように、こういった理念の表現の仕方は現代風に変わってはおりますが、しかし、その大本でございます考え方というのは継続をしていると考えておりますし、先ほども触れましたけれども、四月十五日の学術会議の声明でしたか、発表した文書におきましてもそこは継続をしていると認識をしております。
○塩川委員 先日の参考人質疑で、梶田前会長は、各国アカデミーの連合体と言える国際学術会議から、日本政府は、日本学術会議の運営と会員選考の手続に干渉しようとする度重なる試みに対し深い懸念を表明するとのメッセージをいただいたと紹介をしておられました。政府による干渉を退けて、科学者の総意の下に運営、会員選考を行うのがいわば国際的なスタンダードだという立場からの厳しい批判が寄せられているということをしっかりと受け止めるべきであります。
また、梶田参考人は、学術会議との真摯な協議を欠き、同意を得ないまま、組織や選考などの変更を法定化すること自体、ナショナルアカデミーの独立性、自律性を脅かす懸念があると述べているとおりであります。今回の法案は、現行の日本学術会議を解体する法案だと言わざるを得ません。
その上で、法案における会員選考の仕組みについてお尋ねします。
光石会長にお聞きします。
日本学術会議の在り方に関する有識者懇談会における意見交換の場で、五つの懸念を述べました。そのうち、会員選考に係る、次期以降の会員の選考に特別な方法を導入すること(コオプテーションの考え方の逸脱になる)、選定助言委員会の設置を法定することの二点について述べられている、この懸念の内容を御説明いただきたいと思います。
○光石参考人 お答えいたします。
法人発足時及び三年後の会員選定につきましては、現行のコオプテーション方式とは異なり、現会員ではない外部の有識者を入れた候補者選考委員会により会員候補者を選考するとされております。これは日本学術会議の人的継続性を失わせることを念頭に規定されているのではないかとの懸念があります。
政府の見解では平成十七年度改正時を参考にしたことを述べておりますが、学会における推薦制から現在のコオプテーションへと制度変更された当時と今回の改正は、コオプテーションの仕組み自体は変わらないことを考えると、果たしてこうした特別な仕組みが必要なのか、疑念は残るところでございます。
○塩川委員 まさにその人的な継続性を損なうという点での今回の措置に強い懸念の声が寄せられているところであります。
こういった人的な継続性を損なうようなこういうやり方が、まさに現行の学術会議をなきものにして新しいものをつくるという形を目指すというのが今回の法案ということは極めて重大で、これで質疑が打切りではないと思っておりますし、是非この法案の問題点を更に深めていく。
私が本体でやろうと思った質問はまだたくさん残されておりますので、こういった点でも引き続き審議を行っていくということを改めて求めて、今日の質疑は終わります。