【内閣委員会】学術会議の原点を否定する法案

 日本学術会議を解体する法案の質疑が始まりました。私は法案の撤回を要求。現行の学術会議は、学術が政治に従属し戦争に協力した戦前の反省の上に立ち、科学者の総意によって設立されたと述べ、法案はその原点を否定するものだと批判しました。

 法案は、現行法を廃止し、国の「特別の機関」である学術会議を特殊法人化。首相任命の「監事」や、外部者による「助言委員会」などを設け、政府が介入できる仕組みになっています。これを坂井学内閣府特命担当相は、「国から補助金を入れるということで最低限の説明責任等に関する仕組みをいれたうえでできるかぎり独立をした組織に変えるものを目指した。」と答弁しました。

 私は、国の機関でありつつ法律上の独立性を担保され、政府への勧告権も持つ現行の制度を変える積極的理由は見いせだせないとした内閣府の有識者会議の報告(2015年)に言及。なぜ現行法のもとで独立性を高める措置をとらず、新法を定める必要があるのかと追及しました。

 法案は、日本の平和的復興と人類社会の福祉への貢献を使命とすると明記した現行法の前文を削除しています。塩川議員は、現行法は日本国憲法23条「学問の自由」を具体化したものであり「憲法に立脚する学術会議の原点を真っ向から否定するものだ」と強調しました。

 さらに、1949年の同会議発会式で吉田茂首相が、科学者の総意による設立と、政治的干渉を受けないための「高度の自主性」に言及していたと指摘。法案は、この学術会議の立脚点を否定し、現行法にはある独立性の保障規定を削除していると批判しました。

 学術会議は2017年に、防衛装備庁の軍事研究委託制度に対し「問題が多い」とする声明を発表しています。私はその後の20年に菅義偉首相が学術会議会員の任命を拒否した経過に触れ「学問研究の軍事利用推進の立場から、学問の自由を掲げ、科学者の自主性・自律性を尊重してきた学術会議に干渉・介入しようとしている」と、法案の狙いを批判。坂井大臣は「指摘は違っている」と開き直りました。私は任命拒否と法案の撤回を強く求めました。

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学問軍事化へ政府介入/学術会議解体法案/塩川議員が狙い告発/衆院委で審議入り

「しんぶん赤旗」4月26日・1面より

 日本学術会議を解体する法案の質疑が25日、衆院内閣委員会で始まりました。日本共産党の塩川鉄也議員は法案の撤回を要求。現行の学術会議は、学術が政治に従属し戦争に協力した戦前の反省の上に立ち、科学者の総意によって設立されたと述べ、法案はその原点の否定だと批判しました。

 法案は現行法を廃止し、国の「特別の機関」である学術会議を特殊法人化。首相任命の「監事」や、外部者による「助言委員会」などを設け、政府が介入できる仕組みになっています。坂井学内閣府特命担当相は「国から補助金を入れるということで最低限の説明責任に関する仕組みを入れた上で、できる限り独立した組織に変えるものを目指した」と答弁しました。

 塩川氏は、国の機関でありつつ法律上独立性を担保され、政府への勧告権も持つ現行の制度を変える積極的理由は見いだしにくいとした内閣府の有識者会議の報告(2015年)に言及。なぜ現行法のもとで独立性を高める措置をとらず、新法を定める必要があるのかと追及しました。

 法案は、日本の平和的復興と人類社会の福祉への貢献を使命とすると明記した現行法の前文を削除しています。塩川氏は、現行法は日本国憲法23条「学問の自由」の具体化であり、法案は「憲法に立脚する学術会議の原点を真っ向から否定する」と強調しました。

 さらに、1949年の同会議発会式で吉田茂首相が、科学者の総意による設立と、政治的干渉を受けないための「高度の自主性」に言及していたと指摘。法案は、この学術会議の立脚点を否定し、現行法にはある独立性の保障規定を削除していると批判しました。

 学術会議は2017年、防衛装備庁の軍事研究委託制度には「問題が多い」とする声明を発表。塩川氏はその後20年に菅義偉首相が学術会議会員の任命を拒否した経過に触れ「学問研究の軍事利用推進の立場から、学問の自由を掲げ、科学者の自主性・自律性を尊重してきた学術会議に干渉・介入しようとしている」と法案の狙いを批判。坂井氏はまともに反論できませんでした。塩川氏は、任命拒否と法案いずれも撤回を強く求めました。


「議事録」

第217回通常国会 令和7年4月25日(金曜日)内閣委員会 第17号

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 日本学術会議法案について質問をいたします。

 最初に、今日の委員会の冒頭で、大臣の方から答弁の訂正がありました。四月十八日の衆議院本会議の答弁において、候補者選考委員会と申し上げるべきところを候補者選定委員会と間違えたという点、それぞれの機能、役割が違うものを間違えているという点は極めて重大であります。

 ただ、大臣の答弁で、候補者選定委員会と言っている場所が全部で四か所あるんですよ。市來議員のところで二か所と、三木議員のところで一か所と、私のところで一か所なんですけれども、これを全部訂正するということなのか。

○坂井国務大臣 申し訳ありません。まだそこを全部当たっておりませんので。御指摘をいただいたところだけ。

○塩川委員 要するに、そういう格好で、精査していないという話だと思いますよ。

 ということについて、私は、改めて、理事会でしっかり対応を議論する必要があると思いますので、この件について、理事会での協議を求めたいと思います。

○大岡委員長 この件につきましては、後刻理事会で協議をいたします。

○塩川委員 そういう点でも、この法案の準備が本当にいいのか、こういうことも、こういった一つの事例でも極めて問われていると思っております。

 その上で、今日の質疑を聞いておりまして、やはり、現行の日本学術会議法が廃止をされるというような今回の法案のたてつけになっているわけであります。附則の第二十八条で、日本学術会議法を廃止をすると。

 率直に思うんですけれども、なぜ現行の学術会議法を廃止をし、現行の学術会議を廃止しなければならないのか、この点についてお答えいただけますか。

○笹川政府参考人 済みません、法制的な話になりますので、お答えさせていただきます。

 独立行政法人とか特殊法人、国の組織を外の法人にするときには、元々国の中にあった組織について書いている法律を廃止して新法でやるという形、国立大学もそうでございました、それに倣ったところでございます。

 全く、学術会議をここで断ち切ってということではなくて、理念が拡大、深化しているということは我々も申し上げておりますので、そういうつもりはございません。法制的な理由です。

○塩川委員 外の組織にするときには新法で行うというだけの話であって、だったら、現行の組織の下で独立性や自律性を高めればいいんじゃありませんか。大臣、いかがですか。

○坂井国務大臣 懇談会の報告書でもありましたように、今、時代の流れ等の中で、学術会議に対していろいろな役割を求められているという状況の中で、今の組織ではそれに十分に応えることができないということを受けて、今回は特殊法人化ということで法案を作成をして、提出をさせていただいたということでございます。

○塩川委員 現行の組織の下で独立性、自律性を高める措置を取ればいいんじゃないのかと聞いているんですが、もう一度。

○笹川政府参考人 いろいろな理由がございましたけれども、分かりやすく二つ申し上げますと、法人になることによって、国の外、国とは別の組織になるということでございます。二つ目は、これによって、会員の選考、選任が完全に自由になって、国の関与がなくなる。

 この二つで、海外のアカデミーと同様な自律性の高い組織になるというふうに思っております。

○塩川委員 いや、それは説明になっていません。

 元々、だって、二〇一五年の有識者の報告の中で、「国の機関でありつつ法律上独立性が担保されており、かつ、政府に対して勧告を行う権限を有している現在の制度は、日本学術会議に期待される機能に照らして相応しいものであり、これを変える積極的な理由は見出しにくい。」と言っていた。それを覆すような説明にまるでなっていないわけでありますよ。

 これは、科学者の総意として、科学者自身によって立法された学術会議の七十六年の歴史を否定する、そういうものじゃありませんか、大臣。

○坂井国務大臣 設立以来七十六年余りの学術の進歩と社会の変化を踏まえると、学術会議には拡大、深化する役割に実効的に対応していくことが求められるという懇談会の報告書を踏まえて今回の法案が作成されたものでありますが、この拡大、深化する使命、目的を現代の視点から捉え直し、法制的な観点から適切な用語を用いて記述して作ったのがこの新法でありまして、学術会議の継続性が失われることはないと考えております。ですから、否定をするものでもないということかと思います。

 「科学が文化国家の基礎」「わが国の平和的復興」という理念は、「学術に関する知見が人類共有の知的資源」「経済社会の健全な発展」という表現に包含されているものと考えております。

○塩川委員 学術会議の廃止は、やはり学術会議の原点を否定するものだと言わなければなりません。

 是非、この問題についてしっかりと議論を深めていく上でも、大臣も、学術会議の継続性が失われるものではない、継続するんだと言うわけですけれども、法律上は新法なんですよ。だから、現行法と新法との対比をしっかり行っていくことがこの委員会での議論を深めることになる。そういう意味では、新旧対照表のようなものが必要なんですよ。

 これは要望したんだけれども、作っていないと言うんだけれども、それを作ってもらえませんか。現行法と新法との対照表、どこが変わってどこが同じなのかと異同が分かるような。そういうことによって当委員会での審議を深めていく。こういう、現行法と新法の対照表、是非作って、委員会に出してもらえませんか。

○坂井国務大臣 新法において、新旧というのが、今まで、新法の場合はやはり作ってこなかったということがあろうかと思います。旧はないということで、新旧、なかなかこれは難しいかと思います。

○塩川委員 だから、比較対照表でいいんですよ。別に新旧でなくていいから。比較対照表、作ってもらえませんか。

○坂井国務大臣 いや、申し訳ありませんが、今ここで拙速にちょっと私が決められる話ではないと思いますので。

 今の法案は、とにかく新法ではございます。おっしゃるような、学術会議を継続をするという意味合いで我々臨んではおりますが、新法は新法でございますので、そういった立場を考えながら、ちょっとこれは考えさせていただきたいと思います。

○塩川委員 是非作っていただきたい。過去に例もあるんですよ。この委員会でも議論した、経済安保情報保護法。これは特定秘密保護法を念頭に置いて作っているわけですよ。私が要望しましたら、特定秘密保護法と経済安保情報保護法の比較対照表を作って持ってきましたよ。ちゃんと仕事していますよね。

 議論を深めるのであれば、経済安保情報保護法と特定秘密保護法の対照表を作ったのと同様に現行法と新法の比較対照表を出すというのは、議論を本当に深めていく、政府が本当にいいと思うのであれば、そういう比較対照表を出すということが審議の大前提として必要じゃありませんか。

○坂井国務大臣 私も、法制局的にはなかなか難しいということですが、今御指摘をされた案件も含めて検討させてもらいたいと思います。

○塩川委員 是非、連休明けには出していただきたいと思います。理事会としても要望するということについて、是非求めたいと思いますが。

○大岡委員長 この件につきましては、後刻理事会で協議をいたします。

○塩川委員 是非、こういった対応で審議を深めていくことをお願いしたいと思っております。

 大臣にお尋ねします。

 現行の日本学術会議法は、その前文で、科学が文化国家の基礎であるという確信に立って、科学者の総意の下に、我が国の平和的復興、人類社会の福祉に貢献し、世界の学界と協力して技術の進歩に寄与することを使命とするという設立趣旨をうたっております。

 これは、戦前の日本が学術を政治に従属させ、また学術の側も戦争遂行に加担する役割を果たしたとの痛苦の反省の上に、学問の自由を保障する日本国憲法を具体化した日本学術会議法の歴史的な出発点を記したものであります。

 ところが、本法案は、この前文を削除し、文化、平和の文言は消え、社会課題の解決に寄与することを目的とし、学術を経済社会の健全な発展の基礎と置き換えております。これは、憲法に立脚する学術会議の理念を真っ向から否定するものではありませんか。

○坂井国務大臣 この法案における学術会議の目的及び基本理念は、学術会議の拡大、深化する使命、目的を現代の視点から捉え直し、適切な用語を用いて記述したものであり、この現行法の基本理念は新法に引き継がれていき、学術会議の継続性が失われることではないと思います。

 国が設立する法人に対して国民が負託する使命、目的を表現する用語は、より恒久的、普遍的なものとすることが適切であり、法制的な観点からこのような表現としたと考えております。

○塩川委員 学術会議の使命というのが削除されているということが極めて重大だということであります。

 一九四九年一月の日本学術会議第一回総会において、発足に当たっての決意表明ということが行われております。「われわれは、これまでわが国の科学者がとりきたつた態度について強く反省し、今後は、科学が文化国家ないし平和国家の基礎であるという確信の下に、わが国の平和的復興と人類の福祉増進のために貢献せんことを誓うものである。」と述べております。

 このように、戦前、戦中に科学者が戦争に協力した、その反省に立っての決意が、日本国憲法に基づく日本学術会議の原点であります。前文の削除によってこの原点を投げ捨てることになるんじゃありませんか。

○坂井国務大臣 繰り返しになりますが、この理念は、用語を変えてはございますが、引き継いでいるということをまずは認識をしております。

 学術会議の在り方については、まず、令和三年四月に、学術会議において、検討すべき課題があるという認識の下、「日本学術会議のより良い役割発揮に向けて」を取りまとめ、改革に向けての取組を開始したと承知しております。

 これを受けて、政府としても、学術会議を国から独立した法人とする案と国の機関のままとする案の両方を俎上にのせて議論することとし、令和五年八月から有識者懇談会を開催し、学術会議に求められる機能及びそれにふさわしい組織形態の在り方について検討を重ねたものでございます。この有識者懇談会も三十三回真剣な議論をいただいて、現在の出した報告書が取りまとめられております。

 先ほども申し上げましたが、国の機関のままの改革では限界があるということから今回の法案につながっているということでございますが、学術会議からの意見も踏まえて修正を行ったり、配慮してこの法案を作成したものと考えております。

 学術会議に対しては、この法案に関して示された懸念事項に対して内閣府から詳細な見解を示すなど、丁寧な説明をしてきたものと承知しており、また学術会議も、この法案や法人化をすること自体に反対するものではない旨表明されていると承知しております。

 学術会議においては、会員選考の透明性の向上に努めるとともに、アクションプランを作成し、社会の課題の解決に向けての取組などに努めていただいているものと承知しており、独立性、自律性の強化や会員選考の透明性向上などの改革の方向性はこの法案と同じであると考えております。そういうことです。

○塩川委員 いや、学術会議の原点の話をしているわけで、やはり戦前、戦中に戦争に協力した、そういう科学者が取り来った態度について強く反省する、これが前文に盛り込まれている、科学者の総意の下における決意であった。ここのところが削除しているということに、その原点を投げ捨てることになる、このことについて、まともにお答えすることがありませんでした。

 現行の学術会議法の審議における政府答弁においては、「科学者の総意の下に、我が国科学者の代表機関として、このような組織が確立されて、初めて科学による我が国の再建と、科学による世界文化への寄与とが期し得られるのであります。この法案制定の理由は、右のような役割を果し得る新組織、即ち科学者みずからの自主的団体たる日本学術会議を設立するにあるのであります。」と述べています。科学者自らの自主的団体として、科学者の総意の下に設立されたのが日本学術会議でした。

 しかし、今回、日本学術会議の意見も聞かず、押し切るように提出をされた本法案というのは、科学者の総意による設立を否定をして、国の都合による新法人の設立を図る、こういうものになっているというのが実態ではありませんか。

○笹川政府参考人 お答え申し上げます。

 私ども、繰り返しですけれども、学術会議の連続性について、継続性、大切なことだと思います。それが拡大、深化していくものに合わせて、時代にフィットした組織になっていただきたいということで、設立時の思い、理念、それは大事なものだと我々も思っておりますけれども、それを更に我が国のよい未来、歴史につなげていく、それは多分共通の思いだろうと思います。

 私どもは、前文が基本理念、第二条に移ったことによって、そういった思いの重さが軽くなるというふうには思っておりません。あくまでも法制的な理由でそうなりましたけれども、きちんと今後も独立性、自律性を尊重しながら対応していきたいと思います。

○塩川委員 今の答弁はその前の質問の答弁で、それ自身もなっていませんけれども、科学者の総意の下にということが立脚点としてある、そのことが問われているということで、一九四九年の日本学術会議の発会式におきまして、吉田茂総理は、本会議の組織運営の構想は、全国科学者の総意に基づいたものであると祝辞を述べておりましたように、科学者の総意による設立というのが学術会議の立脚点であります。今回の法案は、この立脚点を否定するものと言わなければなりません。

 さらに、吉田総理のこの祝辞では、日本学術会議はもちろん国の機関ではありますが、その使命達成のためには、時々の政治的便宜のための制肘を受けることのないよう、高度の自主性が与えられていると述べていました。第三条の、日本学術会議は独立して職務を行うという独立性の保障を指すものであります。

 しかしながら、本法案ではこの規定を削除しました。大臣、独立性の保障という学術会議の根幹を否定するものではありませんか。

○坂井国務大臣 この法案は、独立性、自律性を抜本的に高めることによる学術会議の機能強化と説明責任の担保を図るものであり、独立を阻害をするというか、そういったものではないと考えております。

 現行法では、行政機関で学術会議がございますから、関係府省庁との調整等によって自由な意思表出等ができなくなることを避けるために、独立して職務を行うという規定が置いてございますが、既にこの法案によって法人化ということをすれば、当然、組織的な面からも独立性が明確になるということでございますので、もう分かり切って、見たからに分かる独立しているという状況に際して、独立といった文言が、これは必要がなくなっているということかと思っております。

○塩川委員 独立性という言葉がなくなる。その一方で、いろいろな仕組みで新法人の独立性や自律性を侵害するような仕組みがある。これから議論していくわけですけれども、監事や評価委員会や中期的な計画、また、コオプテーションの考え方の逸脱や選定助言委員会の問題などがあるわけであります。

 だから、新法ではなく、よりよくするのであれば、現行法でしっかりやればいいだけの話であって、しっかりとした独立性の保障ということを掲げた学術会議の活動のより発展につながる、そういう議論こそ行うことが求められていると思います。

 日本学術会議は、二〇一七年三月に、軍事的安全保障研究に関する声明を発表しました。学術会議が一九五〇年に発した、戦争を目的とする研究はこれを行わないとする声明と、六七年発表の、軍事目的のための研究を行わない声明を継承すると明記をし、学問の公開性と軍事的安全保障研究の秘密性との緊張関係について注意喚起をし、二〇一五年に発足した防衛装備庁の軍事研究である安全保障技術研究推進制度に対して、適切な審査による自主的な対応を求めておりました。

 そのことなどを受けて、二〇一七年十一月末の日本防衛研究大会では、元三菱重工航空宇宙事業本部顧問の西山氏が、学術会議の議論は全然論理的じゃないと批判を行いました。防衛装備庁の初代長官だった渡辺秀明氏が若干時間がかかると述べていたと、しんぶん赤旗が取材をしております。

 その一年後の一八年十一月、内閣府が、学術会議の推薦と内閣総理大臣の任命との関係について、これまでの形式的な任命という立場を投げ捨て、推薦のとおりに任命すべき義務があるとまで言えないという内部文書を取りまとめました。これが二〇二〇年の任命拒否につながっているわけであります。

 学問研究の軍事利用を推進する、そういう立場から、学問の自由を掲げ、科学者の自主性、自律性を尊重してきた学術会議に干渉、介入しようとする、これがこの法案の中身ということではありませんか。

○坂井国務大臣 この法案は、国の機関から学術会議を独立をさせ特殊法人化をし、そして独立性も機能も強化をする中で、様々社会の期待に応えられる、そして世界のナショナルアカデミーとして冠たる地位をまた築くといったことを期待をして、また求めて、独立をするということで特殊法人化、そして、その後も国からお金を入れるという、補助として入れるということから、最低限の説明責任等々に関する仕組みを入れて、できる限り独立をした、いわば学術会議自らが決める、運営をしていく、こういった組織に変えることを目指してこの法案化をしたものであり、委員御指摘の点を考えてというのは違っております。

○塩川委員 歴史的経緯を考えれば私が申し上げたとおりで、防衛省の軍事研究の推進の背景には、安倍政権の下での集団的自衛権行使容認の安保法制があるわけであります。軍学共同を進める安倍官邸が学術会議の会員選考に介入をしたというのが出発点です。

 この六人の任命拒否、そして本法案の撤回を求めて、質問を終わります。

【しんぶん赤旗掲載】秘密保全に国会組み込む/証言法改定案を批判

「しんぶん赤旗」4月28日・2面より

 2024年に成立した経済秘密保護法を受け、国会が重要経済安保情報の提供を受ける際の手続きなどを定める国会法・議院証言法改定案が24日の衆院本会議で、自民、公明、立民、維新、国民民主などの賛成多数で可決されました。日本共産党は反対しました。

 現行国会法・議院証言法は、国会が内閣・官公署に証言・報告・記録の提出を求めたときは「応じなければならない」と義務づけています。法案は、政府や省庁が重要経済安保情報が含まれているとすれば拒否できると規定。提供された重要経済安保情報を知り得た議員が院外で情報を漏らせば刑罰を科し、委員会の質問でとりあげれば懲罰の対象とし、議員の除名処分までとれるようにします。

 同日の衆院議院運営委員会で私は「改定案は、秘密保護法の規定に準じて国会の委員会や議員が秘密情報を漏らさない厳格な仕組みをつくり、政府が拡大した秘密保全体制に国会を組み込むものだ」と批判。「憲法が保障する国会の国政調査権を制約し、国会議員の発言・質問の自由を奪うものであり、断じて認められない」と表明しました。

 【内閣委員会】学校の校庭が知らぬ間に不時着場に/野球場や陸上競技場も/自衛隊機低空飛行問題

 私は、学校の校庭などが管理者に連絡もなく自衛隊機の不時着場とされている実態を暴露しました。

 最低安全高度以下の低空飛行をする際、人や物件などの安全を守るため不時着地点を設定するなど国交省の許可が必要です。

 昨年11月に朝霞駐屯地で総理出席のもと行われた自衛隊観閲式の展示飛行とその訓練でも、自衛隊が近隣の学校の校庭や朝霞市の野球場、陸上競技場などを不時着場として設定しました。

 「管理者に事前了解を得ているか」と私がただしたのに対し、防衛省の中西礎之大臣官房審議官は得ていないことを認めました。

 私が観閲式当日、これらの施設では学校公開と保護者引き渡し訓練、野球やサッカーの大会などが行われていたことを指摘したことに、防衛省は「承知していない」と答弁。

 私は「市民の安全に配慮しないことを続けることは断じて認められない」と政府に中止を迫りました。

 それに対し林芳正官房長官は「法令を遵守し安全確保に万全を期す」と繰り返すのみで、背を向けています。

 さらにこのような展示飛行は、観閲式だけではなく各地の基地航空祭でも同様であり、私は危険な低空飛行の中止を求めました。

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校庭も不時着場とは/塩川氏 自衛隊機飛行で抗議/衆院内閣委

「しんぶん赤旗」4月29日・2面より

 塩川鉄也議員は23日の衆院内閣委員会で、学校の校庭などが管理者に連絡もなく自衛隊機の不時着場に設定されている実態を暴露しました。

 航空機の最低安全高度以下の低空飛行には、人や物件などの安全を守るため不時着地点を設定するなどして、国土交通省の許可を得ることが義務づけられています。昨年11月に陸自朝霞駐屯地(東京都、埼玉県)で石破茂首相出席のもと行われた自衛隊観閲式の展示飛行や飛行訓練でも、自衛隊が近隣の学校の校庭や埼玉県朝霞市の野球場、陸上競技場などを不時着場に設定しました。

 「管理者に事前了解を得ているか」との塩川氏の追及に、防衛省の中西礎之審議官は得ていないと認めました。塩川氏が観閲式当日、各施設では学校公開と保護者引き渡し訓練、野球やサッカーの大会などが行われていたと指摘すると、防衛省は「承知していない」と答弁。塩川氏は「市民の安全に配慮しないことを続けることは断じて認められない」と中止を迫りました。林芳正官房長官は「法令を順守し安全確保に万全を期す」などと繰り返し、中止要求に背を向けました。

 塩川氏は、同様の危険な低空飛行は各地の基地航空祭でも行われているとして中止を求めました。


「議事録」

第217回通常国会 令和7年4月23日(水曜日)内閣委員会 第16号

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 今日は、自衛隊観閲式、また自衛隊基地の航空祭における自衛隊機の低空飛行問題について質問いたします。

 昨年十一月の九日、陸自の朝霞駐屯地におきまして、石破総理出席の下、防衛省・自衛隊七十周年自衛隊観閲式が行われました。その際、朝霞駐屯地周辺において自衛隊機の観閲飛行が実施をされ、航空法で禁止をされている集団飛行及び最低安全高度以下の高度での飛行が行われました。人口密集地域における最低安全高度三百メートルを下回る低空飛行、編隊飛行が行われたわけであります。

 資料をお配りさせていただきました。

 一枚目にありますとおり、自衛隊から国交省に対して、最低安全高度以下の高度の飛行許可申請書が出されております。赤い線を引いてあるところですけれども、「低空飛行実施経路周辺の障害物等及び回転翼航空機における不時着地点 付図第三のとおり。」となっておりますが、その一枚を資料の二枚目につけておきました。

 国交省にお聞きします。

 航空法において、最低安全高度以下の飛行についてどのように規定をされているか、許可に当たって、緊急時の不時着陸地点を定めることが要件となっているのはなぜか、お答えください。

○北澤政府参考人 お答え申し上げます。

 航空法第八十一条の規定により、地上又は水上の人又は物件の安全及び航空機の安全を確保するため、離陸又は着陸を行う場合を除いて、最低安全高度以下での航空機の低空飛行を原則として禁止しており、最低安全高度以下での飛行を行う場合は国土交通大臣の許可を受ける必要があります。

 最低安全高度以下の飛行の許可に当たっては、通常よりも低い高度で飛行するため、万一の際に不時着陸が可能となる地点を探す時間的猶予が短いことから、申請の際に、あらかじめ不時着陸地点を定めることを求めているものでございます。

○塩川委員 基本、禁止をされている措置ですけれども、しかし、それを認めるような場合については、あらかじめ不時着陸地点を定めておくということが必要だということであります。

 最低安全高度以下の飛行許可基準には、緊急時の不時着陸を確保することが要件となっております。

 防衛省にお尋ねいたします。

 朝霞駐屯地の観閲式観閲飛行において、配付資料の二枚目にありますように、黄色い線で囲っているところが、回転翼航空機、ヘリコプターの不時着地点となっております。吹き出しをつけたのは、うちの事務所の方ですけれども。

 改めて、この黄色い枠で囲まれた不時着地点となっている場所がどのような施設なのかについて御説明ください。

○中西政府参考人 お答え申し上げます。

 令和六年度に実施した観閲式の観閲飛行においては、国土交通省令で定める高度以下の高度で飛行する必要があったことから、航空法第八十一条ただし書の規定による許可を得るため、陸上自衛隊から国土交通省に申請をいたしました。

 委員御指摘の資料は、当該申請におきまして添付した、緊急の際に利用可能な不時着陸地点を図示した書面であり、当該申請の十四ページ目、配付資料の二枚目になりますけれども、こちらの黄色い線で囲った場所は、朝霞中央公園の競技場及び野球場、また、埼玉県立朝霞西高校など、各学校のグラウンドになるというところと認識しております。

○塩川委員 小中学校のグラウンドですとか、朝霞中央公園にあります野球場や陸上競技場というのが対象で。

 今答弁にもありましたけれども、緊急時に利用可能な場所ということでヘリの不時着地点としているわけですけれども、この不時着地点となっている施設の管理者に、ここを不時着地点にしますよということを事前に連絡をし、またその了解を取ったということなんですか。

○中西政府参考人 お答え申し上げます。

 航空法第八十一条ただし書の規定による許可を得るために必要な申請におきまして、緊急の際に利用可能な不時着陸地点を図示した書面を添付することとされておりますが、当該地点について施設管理者の了解を得る必要があるとは承知しておりません。

 したがって、不時着地点となっている施設の管理者に事前に連絡し了解を取っていることはいたしておりませんけれども、航空法第八十一条ただし書の規定にのっとって適切な手続を行っており、手続に問題があったとは考えておりません。

○塩川委員 緊急の際に利用可能な場所ということで、何かあったときにはそこに不時着するというふうに決めている場所だということです。ただ、その施設の管理者には事前に連絡もしていないし、了解も取っていないということです。

 この観閲式の当日に、これらのグラウンドや校庭というのが、様々な行事が行われていたんですけれども、それは御存じでしたか。

○中西政府参考人 お答え申し上げます。

 観閲式を実施するに当たりまして、観閲式当日の十一月九日のみならず、十月下旬から訓練及び予行等を開始するため航空機の飛行等を行うことを埼玉県や朝霞市などの周辺自治体に対して事前に周知を行っております。また、朝霞訓練場周辺の学校に対しても同様に、飛行訓練実施予定日など飛行予定をお知らせをしているところであります。

 観閲式の当日に御指摘の場所においてどのような行事が行われていたのか、具体的に承知はしておりませんが、観閲式当日を含め、航空機の飛行等、周辺自治体に事前に幅広く周知を行った上で飛行しているというところでございます。

○塩川委員 航空機の飛行については事前に案内をしていますよ、学校関係にもその旨の通知とかがあったという話ですけれども、この学校の校庭やグラウンドを何かあったときのヘリの不時着の場所にしますよ、そういう連絡はしていないし、当然、了解も取っていなかったという話であります。

 去年の十一月の九日、自衛隊の観閲式の当日は土曜日であります。学校はお休みかと思いましたら、例えば、第八小学校では学校公開の日になっておりまして、全児童の引渡訓練を行う日だったんですよ。ですから、グラウンドに広く児童だけじゃなくて保護者も集まるような、そういう場所だったんですよね。また、第九小学校では、学校開放で団体による野球とサッカーの活動も行われておりました。野球場では中学生の野球大会が行われておりましたし、陸上競技場ではサッカー大会が行われていたわけであります。

 こういうように、ヘリの何かあったときの緊急の着陸場所にしているところに、多くの児童生徒や市民の方々が利用されておられる。そういった方々に何の事前の周知もしないで、何か危ないときにはヘリが行きますよと。こんなの、通る話じゃないじゃないですか。おかしいと思いませんか。

○中西政府参考人 ただいま申し上げましたとおり、御指摘の場所においての行事が行われたか、具体的に承知をしておりませんが、観閲式当日を含め、航空機の飛行については周辺自治体に事前に幅広く周知を行った上で飛行しておりまして、いずれにしましても、航空機の安全、飛行の安全については万全の留意をいたしまして飛行を行っているところでございます。

○塩川委員 何かあったときに航空機の安全を確保するための不時着地点があるわけですけれども、しかし、そこを利用している市民の安全ということについて、事前に何らの配慮もしていないということじゃありませんか。

○中西政府参考人 お答え申し上げます。

 予定された離着陸場所というところがございまして、こちらはあくまでも緊急時において緊急着陸をする際の地点というところを、最低高度で飛行する場合においては時間が十分にないという観点から指定しているところでございます。

 その観点から申しますと、実際に緊急時におきましては、当然、地上の状況というところも確認しながら緊急着陸というところを行っているところでありまして、そういう万全の配慮を行って飛行を行っているというところでございます。

○塩川委員 グラウンドを市民や子供たちが利用しているようなところに、行きますよなんというのをどうやって伝わるのか。そういう点でも、こういう対応は極めておかしい。

 官房長官にお尋ねします。

 総理が出席をした観閲式で、緊急時の自衛隊機の不時着場所を管理者の了解もなく勝手に指定するようなやり方を容認するんですか。

○林国務大臣 今事務方からも答弁がありましたように、お尋ねいただいておりますこの観閲飛行につきましては、航空法第八十一条ただし書の規定に基づきまして、陸上自衛隊が国土交通省に対し申請するなど適切に手続を実施したもの、そういうふうに承知をいたしております。

 政府といたしましては、引き続き、関係法令等を遵守して安全に万全を期してまいりたいと考えております。

○塩川委員 航空機が不時着をするような場所を市民が利用している、こういった事態を放置したままこんな観閲式を続けるのかということが問われているわけで、こういうことに対して、市民の安全を担保できないようなやり方であれば、観閲式を、こういう形で観閲飛行をやるというのは、これはもうきっぱりと中止すべきじゃありませんか。安全対策の対応を含めて、改めてお答えください。

○林国務大臣 自衛隊が航空機を運航するに当たっては、関係法令等を遵守いたしまして安全に万全を期していく、これは当然のことであろうというふうに思っております。

 今後とも、引き続き、国土交通省令で定める高度以下の高度で飛行する場合には国土交通大臣の許可を受けるなど、関係法令等を遵守いたしまして安全確保に万全を期してまいりたいと考えております。

○塩川委員 今までどおりこんな市民の安全に配慮しないようなことを続けるということは認められない、こんな観閲飛行は中止をすべきだと強く申し上げます。

 自衛隊機の低空飛行は観閲式だけではありません。各地の自衛隊基地の航空祭でも、ブルーインパルスなどの展示飛行が行われております。

 資料の三枚目、四枚目ですけれども、三枚目が百里基地の航空祭、四枚目が入間基地の航空祭における航空機の不時着場所の地図であります。

 三ページの方の百里基地の航空祭の場合の不時着場所というのは、ピンクになっていますけれども、霞ケ浦や北浦や涸沼、そして太平洋と、大きな湖沼と海が示されております。しかし、内陸の入間基地の不時着区域は、入間基地の滑走路だけなんです。

 安全面で、入間基地の航空祭は大丈夫なのか。人口密集地域でのブルーインパルスの飛行、中止こそするべきなんじゃありませんか。

○中西政府参考人 お答え申し上げます。

 ブルーインパルスの飛行は広報活動の一環として行っているものでございます。我が国の平和と安全を守る自衛隊の活動は国民一人一人の理解と支持があって始めて成立するものだという観点で、広報活動を積極的に行い、国民の信頼と協力を得ることが重要と考えております。

 このような取組の一環として、ブルーインパルスは、ただいま御指摘のありました航空祭などで展示飛行を行っておりまして、多くの皆様に当該飛行を御覧いただくことは、自衛隊に対する認識と理解を深めていただく重要な機会と認識しております。

 国民の理解を深める上では、安全な飛行というところは当然の前提でございまして、関係法令を遵守して航空機の安全な運航に十分に配慮しながら、ブルーインパルスの展示飛行、今後も続けてまいりたいと考えております。

○塩川委員 不時着の場所が滑走路だけでいいのか。

○中西政府参考人 お答え申し上げます。

 ブルーインパルスの展示飛行の実施に当たりましては、あらかじめ指定した不時着陸地点に緊急の際に安全に着陸できるように飛行の高度及び範囲を設定しているというところでございます。このようなことから、防衛省・自衛隊としては、不時着地点の数によって危険性が変化するとは考えておりません。

 いずれにしましても、ブルーインパルスの展示飛行に当たっては、安全な運航に十分配慮しながら行ってまいりたいと考えております。

○塩川委員 この百里基地との対比を見てほしいんですよ。要するに、水面が一定確保できるといったところと、内陸の場合についてはそういう場所がないということですから、万が一何かあったときに本当に安全に対応できるのかというのが問われているわけであります。

 かつて、一九九九年に入間基地の航空機が墜落事故を起こして二人の隊員が亡くなるという痛ましい事故がありました。あの際にも、やはり人口密集地域でのこういった訓練飛行というのはなかなか大きな障害を持っているということが、その事故を取っても改めて問われているところであります。

 ブルーインパルスも、過去、訓練中に僚機が接触をすることによって水平尾翼の大半が欠損するようなことなどもありましたし、こういった実態も踏まえて、少なくとも首都圏など陸上部分での自衛隊機の低空飛行というのは、これはやはり中止をすべきだということを改めて求めて、質問を終わります。

飯能市議選告示

 1増の4議席めざし、金子としえ・新井たくみ・滝沢おさむ・山口のりひろ候補が全力!

 下水道使用料値上げストップ、小中学校・保育所の給食費は無料に!

 消費税は廃止に向けて、緊急対策として5%への引き下げ、インボイス廃止を!

 年11兆円にのぼる大企業減税やめて、応分の税の負担を!

 


14市議・補選告示/1市無投票/埼玉・飯能/金子・新井・滝沢・山口氏

「しんぶん赤旗」4月22日・11面より

 埼玉県飯能(はんのう)市(定数19、立候補22人)では、日本共産党の金子としえ(69)、新井たくみ(69)、滝沢おさむ(69)=以上現=、山口のりひろ(60)=新=の4氏が現有3議席から1議席増をめざし立候補しました。

 4候補は、▽学校・保育所の給食無償化▽国民健康保険税・下水道料金の値上げストップ▽ひとり親家庭・多子世帯への「お米購入券」支給―などの政策を訴えました。

 塩川鉄也衆院議員、伊藤岳参院議員が応援に駆け付けました。

【本会議】学術会議”解体”法案、審議入り

 日本学術会議を別組織に作り替え学術会議“解体”法案が、衆議院本会議で審議入りしました。

 私は、この法案が憲法に基づく学術会議の理念を否定し、「学術会議から、独立性・自主性・自律性を奪い、政府の意向に従う組織に変質させる憲法違反の立法」だと批判し、「断固廃案」を主張しました。

 私は、この法案のきっかけとなった菅首相の学術会議会員の任命拒否を、首相による「形式的任命」という「確定した法解釈を覆す」もので「到底許されない」と批判。任命拒否の理由と経緯などを明らかにし、任命拒否の撤回を要求。

 任命拒否問題を学術会議の在り方の問題にすり替える政府に「法案提出の資格はない」と主張しました。

 戦前の学術を政治に従属させ学術側も戦争加担したことの反省の上に、「学問の自由」を保障する憲法を具体化した現行法は、「科学が文化国家の基礎」であり「平和的復興、人類社会の福祉に貢献」を前文で掲げています。

 今回の法案では、この前文を削除しており、私は「憲法に立脚する学術会議の理念を真っ向から否定するもの」だと批判しました。

 私は、この法案が現行法の「独立して職務を行う」という規定を削除し、学術会議の組織・運営を内閣府の所掌事務と位置付けていると指摘。「独立性の担保はどこにあるのか」とただしました。

 坂井学内閣府特命担当大臣は「組織としての説明責任の担保を内容とするもの」などと答弁。

 私は、この法案が、学術会議の運営・財務に政府や外部者が介入できる仕組みや、会員選考に外部の意向を反映可能な仕組みを設けている点を指摘。

 さらに、これまでの会員による選考方法を投げ捨て、会員をリセットしようとしていると批判し、「学術会議の運営・活動における政府からの独立性・自主性・自律性をはく奪するもの」だと主張しました。

 今日の本会議での質疑の中で、日本維新の会の三木圭恵議員が、「日本学術会議が設立された当時、…、日本共産党は、民主主義科学者協会をはじめとする社会主義に同調的な科学者を組織し、学術会議の中心メンバーとして送り込んでいる。『日本共産党の七十年』の本には、同党が日本学術会議の設立に一定の役割を果たしたと誇らしげに書かれている」「学術会議の設立当初には選挙で会員を選定していたが、日本共産党が会員選挙に介入し、大勢の党員学者を立候補させたことで混乱が生じたことから、選挙をやめ、現行の推薦方式に変わった」などと述べました。

 これに対し、私は、「学術会議に対する全く事実無根の誹謗中傷の中で、わが党に対する言及もあった。しかし、わが党は、学術会議に対し、不当な介入・干渉を行った事実は一切ない。わが党の党史には指摘のような記述はない。断固抗議し、撤回を求める」と厳しく批判しました。

以下、私の質問要旨です。

*****
 日本共産党を代表して、日本学術会議法案に対し質問します。

 先程、学術会議に対する全く事実無根の誹謗中傷の中で、わが党に対する言及もありました。しかし、わが党は、学術会議に対し、不当な介入・干渉を行った事実は一切ありません。わが党の党史には指摘のような記述はありません。断固抗議し、撤回を求めるものです。

 まず、任命拒否問題です。2020年10月、学術会議会員の改選にあたり、菅総理が、6名の任命を拒否したことは、学術会議の推薦に基づき内閣総理大臣が形式的に任命するという確定した法解釈を覆すもので、到底許されるものではありません。

 しかも、20年6月、学術会議が候補選考中の段階で、官邸側が学術会議事務局に6人を選考対象から外すよう求めていた文書が明らかになりました。きわめて重大です。

 政府は、任命拒否の理由、事前介入の経緯を、すべて明らかにし、任命拒否を撤回すべきです。

 任命拒否問題を棚上げにしたまま、学術会議の在り方の問題にすり替えた政府に、法案を提出する資格はありません。

 本法案は、現行の日本学術会議を廃止し、別組織に変えようというものです。

 現行法は、戦前の日本が学術を政治に従属させ、学術の側も戦争遂行に加担する役割を果たしたとの痛苦の反省のうえに、「学問の自由」を保障する日本国憲法を具体化したものです。

 現行法の前文は、「科学が文化国家の基礎」であり「平和的復興、人類社会の福祉に貢献」すると学術会議の使命を謳っています。しかし本法案は、この前文を削除して、学術を「経済社会の健全な発展の基礎」「社会課題の解決に寄与」するものと置き換えています。

 本法案は、憲法に立脚する学術会議の理念を真っ向から否定するものではありませんか。

 日本学術会議はナショナルアカデミーです。その組織が満たすべき5つの要件は、①学術的に国を代表する機関としての地位、②そのための公的資格の付与、③国家財政支出による安定した財政基盤、④活動面での政府からの独立、⑤会員選考における自主性・独立性です。

 現行の学術会議は、政府からの独立を保障するルールを厳格に定め、学術の立場から政府の政策に反する提言や勧告も行ってきました。

 法案は、現行法の「独立して職務を行う」を削除し「法人とする」と定め、学術会議の組織・運営に関する事務を内閣府の所掌事務に位置づけています。

 学術会議を、政府の監督の下に置かれる組織へと変えるものではありませんか。独立性の担保はどこにあるのですか。

 さらに、学術会議の運営・財務に、政府や学術会議以外の者が介入できる仕組みを設けています。

 本法案は、外部者で構成される「監事」、「日本学術会議評価委員会」、「運営助言委員会」を新設し、学術会議の「中期的な活動計画」は評価委員会が意見を述べることとしています。

 これらの規定は、学術会議の運営・活動における政府からの独立性・自主性・自律性を剥奪するものではありませんか。

 政府からの独立が確保されなければ、学術会議の勧告権は失われるのではありませんか。

 会員選考においても、法案は、会員以外の者で構成される「選定助言委員会」を設置し、外部の意向が反映可能な仕組みを設けています。

 さらに、新たな組織の設立時、新会員候補者は内閣総理大臣が関与する「候補者選考委員会」が推薦するとし、3年の任期が残っている会員は3年後の再任を認めないとしています。

 これまでの会員自身による選考方法を投げ捨て、会員をリセットしようというものではありませんか。会員選考における自主性・独立性を著しく毀損すると言わざるを得ません。

 今週開かれた日本学術会議の総会は、本法案がナショナルアカデミーの要件を充足しておらず、懸念を払拭していないと厳しく批判しています。このことを重く受け止めるべきです。「カネを出すから従え」という政府などの言い分は、国際的にみても、全く道理がありません。

 本法案は、科学の成果を軍事に利用し、目先の経済的利益追求に貢献させるため、現行法の理念を全面的に否定し、学術会議から、独立性・自主性・自律性を奪い、政府の意向に従う組織へと変質させる憲法違反の立法です。断固廃案を求め質問を終わります。

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学術会議解体法案/衆院で審議入り/組織変質狙う違憲立法/塩川氏 廃案訴え

「しんぶん赤旗」4月19日・1面より

 日本学術会議を別組織につくり変える「学術会議解体法案」が18日、衆院本会議で審議入りしました。日本共産党の塩川鉄也議員は、同法案が憲法に基づく学術会議の理念を否定し、「学術会議から、独立性・自主性・自律性を奪い、政府の意向に従う組織に変質させる憲法違反の立法」だと批判し、「断固廃案」をと主張しました。(関連2・質問要旨4面)

 塩川氏は、同法案策定のきっかけとなった菅義偉首相の学術会議会員の任命拒否は、首相による「形式的任命」という確定した法解釈を覆したもので「到底許されない」と批判。任命拒否の理由と経緯などを明らかにし、撤回するよう要求。任命拒否問題を学術会議のあり方の問題にすり替える政府に「法案提出の資格はない」と主張しました。

 戦前の戦争加担への反省の上に「学問の自由」を保障する憲法を具体化した現行法は前文で「科学は文化の基礎であり」「平和的復興、人類社会の福祉に貢献」を掲げています。塩川氏は、この前文を削除する同法案は「憲法に立脚する学術会議の理念を真っ向から否定するものだ」と批判しました。

 塩川氏は、同法案が現行法の「独立して職務を行う」との規定を削除し、学術会議の組織・運営を内閣府の所掌事務と位置づけるが、「独立性の担保はどこにあるのか」と質問。坂井学内閣府特命担当相は「組織としての説明責任の担保を内容とするもの」だなどと答弁しました。

 塩川氏は、同法案が学術会議の運営・財務に政府や外部者が介入できる仕組みや、会員選考に外部の意向を反映することが可能な仕組みを設け、これまでの会員をリセットしようとしており、「学術会議の運営・活動における政府からの独立性・自主性・自律性を剥奪するものだ」と批判しました。


維新が学術会議攻撃/衆院本会議/解体法案質疑で/反共・軍拡の突撃隊の恥ずべき本性、自ら明らかに/抗議・撤回を

「しんぶん赤旗」4月19日・2面より

 維新の会の三木圭恵議員が18日の衆院本会議での日本学術会議解体法案についての質疑で、「日本学術会議が設立された当時、日本共産党が社会主義に同調的な科学者を組織し、学術会議の中心メンバーとして送り込んでいた。『日本共産党の70年』の本には同党が『日本学術会議の設立に一定の役割をはたした』と書かれている」「日本共産党が会員選挙に介入し大勢の党員学者を立候補させた。混乱が生じたことから選挙をやめ、現行の推薦方式に変わった」などとのべました。

 その直後に質疑に立った日本共産党の塩川鉄也議員は、三木氏の発言について、「日本学術会議への事実無根の誹謗(ひぼう)中傷のなかで、(三木議員は)日本共産党に言及したが、わが党が学術会議に不当に介入、干渉したという事実は全くない。わが党の党史には指摘のような記述はない。強く抗議し、撤回を求める」と厳しく批判しました。全く当然です。維新の会の質疑は、この党が反共・軍拡の突撃隊であることを自ら明らかにするものとなりました。

悪質な歪曲

 塩川議員が批判したように、『日本共産党の70年』は、「民科(民主主義科学者協会)は…学術会議の設立に一定の役割をはたした」との記述がありますが、三木氏の発言は、この部分の「民科」を「日本共産党」と読み替えた、悪質な歪曲(わいきょく)です。

 設立当時の学術会議は会員公選制をとり、科学者による直接選挙で会員を選んでいました。それぞれの候補者の思想・信条も公表したうえで、有権者である科学者の投票に委ねられていました。立候補した学者が社会主義にどういう態度をとるかは、その学者の学識に関わるものです。日本共産党が学術会議に不当に介入、干渉していたかのように描くことは、まったく事実の歪曲です。

 会員の公選制から推薦にもとづく首相の任命制に変更した1983年の法改正も、「学術研究の細分化・専門化などの進歩発展に対応し、日本学術会議の目的をはたすため」(法案の趣旨説明)に行われたのです。共産党員学者が立候補していたことで混乱が起きたという事実はどこにもなく、それが法改正の理由でもありません。

ネタ元は統一協会

 こうした学術会議攻撃は、もともと国際勝共連合=統一協会の常とう句です。「世界日報」の2022年7月29日付「社説」でも「日本学術会議 共産党の影響力を排除せよ」とし、「日本学術会議には当初から日本共産党が浸透していた」「現在も210人の会員のうち党員や支持者が7割を占める」などと中傷しています。三木氏の攻撃は、いわば勝共連合の主張をおうむ返しに唱えているだけです。

 こうした反共デマ攻撃の一方で三木氏は、日本学術会議は1950年に戦争を目的とする科学の研究には絶対に従わない決意の表明を、67年に軍事目的の科学研究を行わない声明を、そして2017年には軍事的安全保障に関する声明を発表したとして、「わが国の防衛に関する研究を拒否し続けている」と非難。「戦争を防止し、平和を維持するためにも、他国からの侵略を抑止するための防衛技術の研究開発を進めていく必要がある」として「かたくなな軍学共同反対のスローガンを改め、科学者がわが国の防衛や平和の維持に寄与できるようにしていただきたい」と述べました。

 反共を声高に、学問の軍事利用のために学術会議を解体する狙いをあけすけに語るもので、「戦争する国」づくりの突撃隊の恥ずべき本性を示すものとなりました。


衆院本会議・学術会議解体法案/塩川議員の質問(要旨)

「しんぶん赤旗」4月19日・4面より

 日本共産党の塩川鉄也議員が18日の衆院本会議で行った学術会議解体法案についての質問の要旨は次の通りです。

 2020年10月、菅首相が6名の学術会議会員任命を拒否したのは、学術会議の推薦に基づき首相が形式的に任命するという確定した法解釈を覆すもので、到底許されません。しかも、同年6月、学術会議が候補選考中の段階で、官邸側が学術会議事務局に6人を選考対象から外すよう求めていた文書が明らかになりました。政府は任命拒否の理由、事前介入の経緯をすべて明らかにし、任命拒否を撤回すべきです。

 任命拒否問題を棚上げにしたまま、学術会議の在り方の問題にすり替えた政府に、法案を提出の資格はありません。

 現行法は戦前の日本が学術を政治に従属させ、学術の側も戦争遂行に加担する役割を果たした痛苦の反省の上に、「学問の自由」を保障する日本国憲法を具体化したものです。

 現行法の前文は「科学が文化国家の基礎」であり「平和的復興、人類社会の福祉に貢献」すると学術会議の使命をうたっていますが、本法案はこの前文を削除し、学術を「経済社会の健全な発展の基礎」「社会課題の解決に寄与」するものと置き換えています。

 本法案は憲法に立脚する学術会議の理念を真っ向から否定するものではありませんか。

 学術会議は政府からの独立を保障するルールを厳格に定め、学術の立場から政府の政策に反する提言や勧告も行ってきました。

 法案は、現行法の「独立して職務を行う」を削除し「法人とする」と定め、学術会議の組織・運営に関する事務を内閣府の所掌事務に位置づけています。学術会議を政府の監督の下に置かれる組織へと変えるものではありませんか。

 さらに、学術会議の運営・財務に、政府や学術会議以外の者が介入できる仕組みを設けています。

 本法案は外部者で構成される「監事」、「日本学術会議評価委員会」、「運営助言委員会」を新設し、学術会議の「中期的な活動計画」に評価委員会が意見を述べることとしています。これらの規定は、学術会議の運営・活動における政府からの独立性・自主性・自律性を剥奪するものではありませんか。政府からの独立が確保されなければ、学術会議の勧告権は失われるのではありませんか。

 会員選考でも、法案は会員以外の者で構成される「選定助言委員会」を設置し、外部の意向が反映可能な仕組みを設けています。さらに、新たな組織の設立時の特別な仕組みを設けており、これまでの会員による選考方法を投げ捨て、会員をリセットするもの。会員選考での自主性・独立性を著しく毀損(きそん)すると言わざるを得ません。

 科学の成果を軍事に利用し、目先の経済的利益追求に貢献させるため、現行法の理念を全面的に否定し、学術会議から独立性・自主性・自律性を奪い、政府の意向に従う組織へと変質させる憲法違反の立法です。断固廃案を求めます。


「議事録」

第217回通常国会 令和7年4月18日(金曜日)本会議 第22号

○塩川鉄也君 私は、日本共産党を代表して、日本学術会議法案について質問します。(拍手)

 先ほど、学術会議に対する全く事実無根の誹謗中傷の中で、我が党に対する言及がありました。しかし、我が党は、学術会議に対し、不当な介入、干渉を行った事実は一切ありません。我が党の党史には指摘のような記述はありません。断固抗議し、撤回を求めるものであります。

 その上で、まず、任命拒否問題です。

 二〇二〇年十月、学術会議会員の改選に当たり、菅総理が六名の任命を拒否したことは、学術会議の推薦に基づき内閣総理大臣が形式的に任命するという確定した法解釈を覆すもので、到底許されるものではありません。

 しかも、二〇年六月、学術会議が候補選考中の段階で、官邸側が学術会議事務局に六人を選考対象から外すよう求めていた文書が明らかになりました。極めて重大です。

 政府は、任命拒否の理由、事前介入の経緯を全て明らかにし、任命拒否を撤回すべきであります。任命拒否問題を棚上げにしたまま、学術会議の在り方の問題にすり替えた政府に、法案を提出する資格はありません。

 本法案は、現行の日本学術会議を廃止し、別組織に変えようというものです。

 現行法は、戦前の日本が学術を政治に従属させ、学術の側も戦争遂行に加担する役割を果たしたとの痛苦の反省の上に、学問の自由を保障する日本国憲法を具体化したものです。現行法の前文は、科学が文化国家の基礎であり、平和的復興、人類社会の福祉に貢献すると学術会議の使命をうたっています。しかし、本法案は、この前文を削除して、学術を経済社会の健全な発展の基礎、社会課題の解決に寄与するものと置き換えています。

 本法案は、憲法に立脚する学術会議の理念を真っ向から否定するものではありませんか。

 日本学術会議はナショナルアカデミーです。その組織が満たすべき五つの要件は、学術的に国を代表する機関としての地位、そのための公的資格の付与、国家財政支出による安定した財政基盤、活動面での政府からの独立、会員選考における自主性、独立性です。

 現行の学術会議は、政府からの独立を保障するルールを厳格に定め、学術の立場から政府の政策に反する提言や勧告も行ってきました。法案は、現行法の独立して職務を行うを削除し、法人とすると定め、学術会議の組織、運営に関する事務を内閣府の所掌事務に位置づけています。

 学術会議を政府の監督の下に置かれる組織へと変えるものではありませんか。独立性の担保はどこにあるのですか。

 さらに、学術会議の運営、財務に、政府や学術会議以外の者が介入できる仕組みを設けています。本法案は、外部者で構成される監事、日本学術会議評価委員会、運営助言委員会を新設し、学術会議の中期的な活動計画は評価委員会が意見を述べることとしています。

 これらの規定は、学術会議の運営、活動における政府からの独立性、自主性、自律性を剥奪するものではありませんか。政府からの独立が確保されなければ、学術会議の勧告権は失われるのではありませんか。

 会員選考においても、法案は、会員以外の者で構成される選定助言委員会を設置し、外部の意向が反映可能な仕組みを設けています。さらに、新たな組織の設立時、新会員候補者は、内閣総理大臣が関与する候補者選考委員会が推薦するとし、三年の任期が残っている会員は三年後の再任を認めないとしています。

 これまでの会員自身による選考方法を投げ捨て、会員をリセットしようというものではありませんか。会員選考における自主性、独立性を著しく毀損すると言わざるを得ません。

 今週開かれた日本学術会議の総会は、本法案がナショナルアカデミーの要件を充足しておらず、懸念を払拭していないと厳しく批判しています。このことを重く受け止めるべきです。金を出すから従えという政府などの言い分は、国際的に見ても、全く道理がありません。

 本法案は、科学の成果を軍事に利用し、目先の経済的利益追求に貢献させるため、現行法の理念を全面的に否定し、学術会議から独立性、自主性、自律性を奪い、政府の意向に従う組織へと変質させる憲法違反の立法です。

 断固廃案を求め、質問を終わります。(拍手)

    〔国務大臣林芳正君登壇〕

○国務大臣(林芳正君) 塩川鉄也議員にお答えをいたします。

 二〇二〇年の日本学術会議の会員任命についてお尋ねがありました。

 二〇二〇年の日本学術会議の会員任命については、日本学術会議法に沿って、任命権者である当時の内閣総理大臣が総合的、俯瞰的な活動を確保する観点から判断を行ったものと承知をしております。

 その上で、当時の内閣総理大臣や官房長官が国会で答弁しているとおり、日本学術会議から推薦名簿を提出する前に、事務局を介して学術会議の会長と任命権者との間で意見交換が行われていましたが、二〇二〇年の任命に当たっても、これまでと同様に、推薦名簿が提出される前に意見交換が日本学術会議の会長との間で行われたものの、その中で任命の考え方のすり合わせまで至らなかったものと承知をしております。

 なお、二〇二〇年の会員任命については、一連の手続は終了しているものと承知をしております。

 次に、法案提出についてお尋ねがありました。

 この法案は、我が国の研究力の向上や国際競争力の強化などの観点から、学術会議の機能強化が先延ばしできない喫緊の課題となっている中、学術会議の機能強化に向けて独立性、自律性を抜本的に高めるため、よりよい役割、機能の発揮にふさわしい組織形態として学術会議を法人化するため提出したものです。(拍手)

    〔国務大臣坂井学君登壇〕

○国務大臣(坂井学君) 学術会議の理念についてお尋ねがありました。

 戦後間もなくの立法例を除けば、いわゆる基本法のほかは特に補償等を行う場合を除き前文は置かれていません。組織法である日本学術会議法案においても、基本理念は条文の形で規定をしております。

 法案における日本学術会議の目的及び基本理念は、日本学術会議の拡大、深化する使命、目的を現代の視点から捉え直し、法制的な観点も踏まえつつ、より恒久的、普遍的な用語を用いるという考えの下、科学が文化国家の基礎、我が国の平和的復興を包含する、学術に関する知見が人類共有の知的資源、経済社会の健全な発展という表現を用いています。

 その上で、有識者懇談会の報告書では、学術会議には拡大、深化する役割に実効的に対応していくことが求められており、国の機関のままの改革では限界があることから、機能強化に向けて独立性、自律性を抜本的に高めるため、よりよい役割、機能の発揮にふさわしい組織形態として学術会議を法人化することが提言されています。

 学術会議が拡大、深化するアカデミーの役割にふさわしい組織にステップアップし、海外アカデミーのような活動しやすい体制を整えていくことが法人化の目的であり、学術会議の継続性が失われるということにはなりません。

 独立性の担保についてお尋ねがありました。

 この法案は、有識者懇談会の最終報告書を踏まえ、学術会議の独立性、自律性を抜本的に高めることによる機能強化と、国が設立し国の財政的支援を受けて運営される組織としての説明責任の担保を内容とするものであり、学術会議の独立性、自主的、自律的な活動を阻害するようなものではありません。

 現行法では、行政機関である学術会議が、関係省庁との調整等により自由な意思表出等ができなくなることを避けるため、独立して職務を行うと規定されておりますが、法人化により、学術会議の独立性は組織面でも明確になり、海外アカデミーと同様に、政府とは完全に別な立場で活動できるようになります。

 なお、国の責務として、日本学術会議の自主性、自律性に常に配慮しなければならない旨も条文に明記しているところです。

 法案で置かれる組織が学術会議の運営、活動に与える影響についてお尋ねがありました。

 この法案は、有識者懇談会の報告書を踏まえ、学術会議の機能強化に向けて独立性、自律性を抜本的に高めるため、よりよい役割、機能の発揮にふさわしい組織形態として特殊法人に移行するものです。

 一方、国が設立し国の財政的支援を受けて運営される法人である学術会議について、活動、運営を国民に説明する仕組み、活動、運営が適正、適法に行われるための仕組みなどを法定して制度的に担保することは、国が設立する他の法人でも同様に設けられている仕組みであり、活動の学術的な価値や独立性の尊重とは別な、財政民主主義からの要請によるものでございます。

 この法案については、懇談会からも、国民からの負託に実効的に応えるための体制整備と国の財政的負担により運営される法人としての説明責任の担保が、学術会議の独立性、自律性を尊重しつつ実現されたものであり、最終報告書に沿って適切に法案化されたものだと評価していただいたところです。

 勧告権についてお尋ねがありました。

 この法案は、有識者懇談会の最終報告書を踏まえ、学術会議の独立性、自律性を抜本的に高めることによる機能強化と、国が設立し国の財政的支援を受けて運営される組織としての説明責任の担保を内容とするものであり、学術会議の独立性、自主的、自律的な活動を阻害するようなものではありません。

 また、法人化することにより、学術会議の独立性が組織面でも明確になり、海外アカデミーと同様に、政府とは完全に別な立場で活動できるようになります。

 この改革を通じて、学術会議が、サイエンス・フォー・サイエンスのみならず、サイエンス・フォー・ソサエティーやサイエンス・フォー・ポリシーなどの役割に主体的にチャレンジし、国民の期待に応えていくことを期待しています。

 会員選考の仕組みについてお尋ねがありました。

 選定助言委員会については、有識者懇談会からも、アカデミア全体や産業界等から会長が任命する会員等以外の科学者を委員とする選定助言委員会を法定し、会員選考の方針の案等を作成するに当たって意見を聞くことは、学術の独立性や日本学術会議の自律性、コオプテーションの理念と外部の知見を取り入れる必要性、分野や選考の固定化、既得権益化の抑止、議論や決定過程の透明化、国民への説明責任などを調和させる工夫として、極めて優れた仕組みであると評価されているところです。

 選定助言委員会の委員は総会が選任し、意見に法的な拘束力はありません。個別の会員の選考について意見を言わないことも、条文上明らかです。

 新法人発足時の会員の選定方法については、有識者懇談会最終報告書において、新分野、融合分野への対応などの観点から、現会員だけによる精査では必要十分な選考を行うことは難しく、大幅な見直しを行った平成十七年制度改正時を参考にして、現会員だけによるコオプテーションではなく、多様な視点からよりオープンに慎重かつ幅広く選考する方法により行うことが適当であるとされています。

 このため、この法案では、平成十七年制度改正時と同様に、新たに会員となる二百五十人の選考、選任は、オープンに慎重かつ幅広い方法で行うこととしました。

 その上で、学術会議の意見にも十分に配慮して、コオプテーションの要請を尊重し、平成十七年制度改正時とは異なり、現会員が候補者選定委員会の委員になることが可能であり、総会による承認、推薦の手続も追加していることから、新会員の選定に現会員の意向が反映されることになっています。

 新法人発足時に任期が残っている会員にも、引き続き会員として活躍していただくことになっており、組織としての継続性にも十分に配慮しているところです。(拍手)

【内閣委員会】AIの軍事利用やめよ/日米で次期戦闘機と連動する無人機のAI開発

 AI推進法案の採決を行い、与党などの賛成多数で可決しました。日本共産党は反対しました。私は質疑でAIの軍事利用は禁止すべきだと主張しました。

 法案は、基本理念で、AI技術は「安全保障の観点から重要な技術」と明記しています。私は、日米が2023年12月に、次期戦闘機と連動する無人機のAI技術を共同研究することに合意していることを指摘。三菱重工が公開した無人機のコンセプトには、兵器を搭載可能とされていることをあげ、「戦闘機と連動する無人機は、殺傷兵器そのものではないか」と質問。防衛省は「現時点で性能は決まっていない」と答えました。

 私は、米空軍が2025年3月に史上初めて正式な型式名を与えた無人戦闘機は、AIによる「半自律」を特徴とし、人によるおおまかな指示のもと、攻撃対象などをAIが決めるものだと指摘。「このようなAIを日米で共同開発することは、憲法9条を持つ日本として断じて認めることはできない」と強調し、「殺傷兵器にAIを使用するのは禁止すべきだ」と主張しました。城内実内閣府特命担当大臣は「我が国は完全自律型の致死兵器を開発する意思はない」と答えたのに対し私は「完全自律か半自律かを問わず、AIの軍事利用は行わないと明確にすべきだ」と強調しました。

以下、AI推進法案への反対討論です。
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 私は日本共産党を代表して、AI推進法に反対の討論を行います。
 急速に発展するAIは多分野で深刻な問題を引き起こしています。大量の個人情報の収集・漏洩によるプライバシー権の侵害、ブラックボックスであるAIが人を評価・選別するプロファイリングやスコアリングによる差別や不利益、著作権などの知的財産の侵害、軍事利用、偽情報・誤情報を用いた選挙への介入、開発・運用に必要な大量の電力消費による地球温暖化への悪影響などです。企業の利益追求のAI開発・活用によって、市民の権利が侵害されているのが現状です。
 今必要なのは、AIの発展に遅れることなく、予防的な観点も含めて、権利保護の強化やリスクに応じた規制を行うことです。AIに関する意識調査を見ても、「現状はAIを安心して利用できる環境にない」「規制が必要だ」というのが市民多数の声です。
 にもかかわらず、法案はAI推進一辺倒です。法案に基づき国がデータセットとして整備する情報の対象は、国が持つ情報に加え、大学や研究開発法人に及び、オープンデータに限定されず、個人情報も含まれます。自治体の責務規定や大学、国民の努力義務まで盛り込み、行政、学術、国民の広範な情報を、AIの研究開発、活用のために整備し、提供することを促進するもので、プライバシー権侵害の危険性を高めるものだと言わざるを得ません。
 また、国の責務として、「行政事務の効率化を図るため、国の行政機関におけるAI技術の積極的な活用を進める」と明記しています。AIには、バイアスやブラックボックス化の問題があります。こども家庭庁が開発した児童虐待判定を行うAIに正確性の問題が見つかり、導入を見送った事例からも明らかなように、AIに判断を委ねるのは極めて危険であり、慎重な対応が必要です。
 さらに、法案がAI技術を「安全保障の観点からも重要な技術」と位置づけていることは重大です。日米は、次期戦闘機と連動する無人機のAI技術を共同研究することに合意しています。法案は、こうした殺傷兵器につながるデュアルユース技術の研究開発・活用も含めて推進するものであり、認められません。
 法案の基本理念で、AI技術の研究開発・活用を「産業の国際競争力を向上させることを旨に行う」と掲げている通り、法案は、AI技術を、市民の権利を守り、生活や福祉を向上させるためではなく、産業界の利益のために使うことを推進するものです。だから、この法案には、実効性ある新たな規制の法整備がないのです。AI推進一辺倒で、市民の権利を侵害し、社会への悪影響を拡大させる危険を高めるものだと言わざるを得ません。以上、討論を終わります。

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AIの軍事利用禁止を/衆院委/無人機開発合意で塩川氏

「しんぶん赤旗」4月20日・2面より

 AI推進法案が18日の衆院内閣委員会で、自民、公明、立民、維新などの賛成多数で可決しました。日本共産党、れいわ新選組は反対しました。日本共産党の塩川鉄也議員は質疑で、AIの軍事利用は禁止すべきだと主張しました。

 同法案は基本理念で、AI技術は「安全保障の観点から重要な技術」だと明記しています。塩川氏は、日米が2023年12月に次期戦闘機と連動する無人機のAI技術の共同研究に合意していると指摘。三菱重工が公開した無人機のコンセプトでは、兵器を搭載可能としているとして、「戦闘機と連動する無人機は殺傷兵器そのものではないか」と質問しました。防衛省の家護谷昌徳サイバーセキュリティ・情報化審議官は「現時点で性能は決まっていない」と答えました。

 塩川氏は、米空軍が25年3月に史上初めて正式な型式名を与えた無人戦闘機は、AIによる「半自律」が特徴で、人によるおおまかな指示のもと、攻撃対象などをAIが決めると指摘。「このようなAIを日米で共同開発することは、憲法9条を持つ日本として断じて認めることはできない」として、「殺傷兵器にAIを使用するのは禁止すべきだ」と主張しました。

 城内実内閣府特命担当相は「わが国は完全自律型の致死兵器を開発する意思はない」と答弁。塩川氏は「完全自律か半自律かを問わず、AIの軍事利用は行わないと明確にすべきだ」と主張しました。


「議事録」

第217回通常国会 令和7年4月18日(金曜日)内閣委員会 第15号

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 AI推進法案について、AIの軍事利用についてお尋ねをいたします。

 法案は、基本理念に、AI技術は安全保障の観点からも重要な技術と明記をしております。そこで質問しますが、法案が研究開発、活用を推進するAIには、殺傷兵器に使われるAIも含まれるのか、お答えください。

○渡邊政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案では、我が国として、AIの研究開発力の保持、国際競争力を向上させることが重要である旨を規定しております。その理由の一つとして、AIが安全保障の観点からも重要な技術であるということを掲げているところであります。このため、御指摘の殺傷兵器に使われるAIの研究開発、活用につきましては、この法案においては想定をしていないということでございます。

○塩川委員 想定をしていないということですけれども、一方で、防衛省及び米国防省による合意というのがありまして、これは、二〇二三年の十二月に、次期戦闘機と連動する無人機の行動判断に適用されるAI技術を共同研究することで合意をしております。無人航空機へ適用するAI技術に係る日米共同研究に関する事業取決めの署名ということが行われております。

 また、二四年の四月には、米英豪の安全保障の枠組みであるAUKUSが、AIを含む先端技術分野での協力に日本の参加を検討すると発表しております。さらに、二五年三月三日付の日経新聞によると、AUKUSが二四年末までに防衛省に対し、次期戦闘機と連動する無人機に搭載するAIの共同研究を軸にした連携を打診したと報じられております。

 実際にAI技術を、このような戦闘機に連動した無人機に活用する、そういうAI技術というのはまさに殺傷兵器に係るAI技術であって、想定していないということが実態とすれば、防衛省と米国防省の間でそういった研究開発が行われているということは極めて重大であります。

 三菱重工が公開をした無人機のコンセプトの一つには戦闘型の戦闘支援無人機もあり、兵器を内装化をしたり、レーダーを搭載したりと、運用に合わせて様々な使い方ができるよう設計され、陸上から離陸をし、相手を攻撃して帰還するコンセプトとなっています。

 防衛省に聞きます。戦闘機と連動する無人機は、まさに殺傷兵器そのものではありませんか。

○家護谷政府参考人 防衛省からお答えいたします。

 諸外国において戦闘機と連携して行動する無人機の研究開発が進められている中、防衛省及び米国防省は、二〇二三年十二月、無人航空機へ適用するAI技術に係る日米共同研究に関する事業取決めに署名し、パイロット等の指揮の下、自律的に行動するためのAI技術について日米共同研究を実施しているところでございます。

 次期戦闘機と連携する無人機の本体については、今後、現防衛力整備計画期間中に研究開発に着手することとしていますが、現時点で具体的な性能等が決まっているものではありません。

 いずれにしましても、我が国としては、人間の関与が及ばない完全自律型の致死性兵器の開発を行う意図は有していないとの立場を明確にしてきており、また、当然のことながら、国際法や国内法により使用が認められていない装備の開発を行うことはありません。

○塩川委員 完全自律の話をしましたけれども、米空軍が行っている開発においては、半自律、半分自律ですよね、そういった形での、有人戦闘機を補佐する、そういった無人戦闘機の開発を計画をしているということであります。

 そうしますと、防衛省と米国防省が進めているような無人戦闘機、戦闘無人機についてのAI技術の共同研究というのは、今回の法案の対象外、そういう趣旨ということになるわけですか。

○渡邊政府参考人 お答え申し上げます。

 AI技術はデュアルユースでございますので、その技術が経済社会のためになりますし、安全保障のためにもなるという両方の可能性があるわけでございますけれども、専ら、武器といいますか、兵器に使われるようなAI、それを専門とするようなAIにつきましては、この法案では対象としておりません。

○塩川委員 でも、実際にはそういう開発が行われているわけですし、国際競争力の観点で、軍事力、そういった中での兵器生産についても、これを支援を行うという大きな枠組みはあるわけで、安保三文書にもそういう方向が示されているところであります。

 このような殺傷兵器そのものの兵器開発にAI技術の研究開発、活用を進めていくというのは極めて重大で、憲法九条を持つ日本として断じて認めることはできません。

 大臣にお尋ねしますけれども、このような殺傷兵器にAI技術を使用する、こういうことは禁止をすべきではありませんか。

○城内国務大臣 現在のAIの軍事利用につきましては、国際的な議論が別途なされているところでありますが、先ほど防衛装備庁からも答弁がありましたとおり、我が国としては、人間の関与が及ばない完全自律型の致死性兵器の開発を行う意図は有していないとの立場を明確にしておると承知しております。

 引き続き、国際的な議論の場において、責任あるAIの軍事利用について、人道と安全保障の視点を勘案したバランスの取れた議論がなされることを期待しております。

○塩川委員 半自律も含めてAIの軍事利用は禁止をすべきだということをはっきりとさせることを求めて、質問を終わります。

【内閣委員会】生成AIの学習目的で著作物無断学習/法規制を/市民の権利と文化を守れ

 私は、AI事業者による著作権侵害について質しました。 

 私は、2018年の著作権法改悪によって、AIの学習目的であれば、原則権利者の許諾なく著作物の収集を行うことが認められているもとで、AI事業者による許諾無しでの収集が横行していると指摘。日本新聞協会から「AI事業者に対し、報道コンテンツを生成AIに利用する場合は、許諾を得るよう繰り返し求めているが、改善がみられないままサービスは拡大の一途を辿っている」「ガイドライン等のソフトローでは対応しきれない状況だ」との意見が出されていることを示し、「無断学習を認める著作権法を改正し、事前に権利者の許諾を得ることを必須とすべきだ」と質問しました。文化庁は「まずは事例の集積や諸外国における検討状況などを踏まえながら検討していく」と法改正には触れませんでした。

 私は、「AIを推進する法案を出す一方で、何かあれば当事者で裁判をやってくれということでは、政治の責任を果たしているとは言えない」と強調。AIの学習目的での知的財産の侵害は、イラストや俳優・声優の「声」など他分野に及ぶとして、「知的財産を保護せず生成AIの推進だけを推し進めれば、コンテンツ再生産のサイクルは機能しなくなる。この問題は、権利者に留まらず市民の権利や文化に取り返しのつかない不利益をもたらす問題だという認識はあるか」と追及。

 城内実内閣府特命担当大臣は「法、技術、契約の適切な組み合わせにより対応していくことが必要だ」と答弁。私は、それで対応できていないのが現状だと批判。著作権法には、著作者が自らの著作物がAIの学習データに使われているかを確認する開示請求権すらないと指摘し、「AI事業者に対しデータセットの開示を義務付けるべきだ」と主張。城内大臣は「開示が必要となる場合があることは認識している」としつつ「法案に基づく指針で対応していく」と述べるに留まりました。

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「議事録」

第217回通常国会 令和7年4月16日(水曜日)内閣委員会 第14号

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 AI推進法案について質問します。

 今日は、まず、AIによるプロファイリング、またスコアリングの問題について質問をいたします。

 二〇一九年に、リクナビを運営するリクルートキャリアが、就活生のサイト閲覧履歴などの情報をAIで分析し、約九万人の内定辞退率をスコア化し、本人同意なく採用企業に販売していたことが大問題となりました。企業によるAIを用いたプロファイリング、スコアリングの利用実態が明らかになった事件の一つであります。このことが、学生たちの就職活動、人生に不利益となる影響を与えてしまった可能性は否定しようがないと思います。

 時事通信が主要企業百社に行った調査結果によると、採用活動でAIを導入する企業は約三割に上っておりますが、雇用や採用選考は人生を左右するような重大な判断であり、労働者や採用希望者に不利益がもたらされることがないよう、極めて慎重な対応が必要であります。

 質問します。

 AIによる評価、分析のバイアスについてお聞きします。

 政府が取りまとめた人間中心のAI原則では、AIに関するバイアスにはどのようなものがあると記載をしておりますか。

○渡邊政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいまの人間中心のAI社会原則は二〇一九年三月に策定されたものでございますけれども、この中では、書いてあることをそのまま申し上げますけれども、AIの長所、短所をよく理解しており、とりわけAIの情報リソースとなるデータ、アルゴリズム、又はその双方にはバイアスが含まれること、これらを認識する能力を人々が持つことが重要とされております。

 また、データのバイアスには主として三つございまして、一つは統計的なバイアス、二つ目は社会の態様によって生じるバイアス、三つ目はAI利用者の悪意によるバイアス、この三種類があることを認識していることが望ましいというふうにされております。

○塩川委員 そのようにAIによるバイアスの指摘があるところです。

 実際、アメリカのアマゾンは、開発したAIを活用した人材採用システムに女性を差別する機械学習の結果が判明をし、運用を取りやめたという例もあります。AIが学習したデータが男性が大半である過去十年間の応募者データであり、男性の応募者の方が有望、女性は低く評価すると学習してしまったために起こったと報じられています。

 また、AIには、判断の過程や根拠が不透明であるブラックボックス化という問題もあります。

 お尋ねしますが、AI事業者ガイドラインでは、ブラックボックス化の事例としてどのような事例を紹介していますか。

○渡邊政府参考人 お答え申し上げます。

 AI事業者ガイドライン、これは総務省と経済産業省が策定しているものでございますけれども、これの本体というよりは別添になりますけれども、別添に記述がございますので、読み上げをさせていただきます。

 「AIの判断のブラックボックス化に起因する問題も生じている。とあるクレジットカードにおいて、同じ年収を有する男性及び女性に対して、女性の方が利用限度額が低いとの報告がSNS上で広がった。この問題に対し、金融当局が調査を実施し、クレジットカードを提供した企業に対してアルゴリズムの正当性の証明を求めた。しかし、企業はアルゴリズムの具体的な機能及び動作について説明することができなかった」という記述がございます。

○塩川委員 説明することができなかった。AIの利用には、バイアスやブラックボックス化という差別や不利益につながる深刻な問題があるということであります。

 国内でも、既にAIによる人事評価が問題となっています。

 その一つが日本IBMでありまして、日本IBMが人事評価と賃金決定にAIを導入したことに対して、同社の労働組合でありますJMITU、労働組合IBM支部が、AIの学習データやAIが表示するアウトプットの内容などの開示と説明を求めたところ、同社はこれを拒否しました。

 労働組合は、不当労働行為である不誠実交渉だ、支配介入に当たるとして、二〇二〇年に東京都労働委員会に救済を申し立てました。四年の交渉を経て、二四年八月、ようやく事業者側がAIによる評価項目を全開示することなどで和解をしたということであります。

 労働組合は声明で、社会の様々な領域でAIの利用が進む一方、社会に残る差別をAIが学習して再現したり、判断過程がブラックボックス化して理解不能に陥るなどの弊害が指摘されている、企業が人事管理にAIを利用する場合、公正性と透明性の確保が課題となるが、法規制は進んでおらず、個々の労働者の努力には限界があると指摘をしています。

 また、組合の中央執行委員長は東京新聞のインタビューに、当時はAIが何を考慮するのか全く明らかにされず、どのような根拠で判断するかも見えない、そしてその結果も知らされないという状態だった、もしかしたら組合員であることが影響するかもしれないと問題点を指摘しておりました。

 ここでお尋ねしますが、AIによる評価、分析は、バイアスがかかるという問題や、その過程や根拠がブラックボックスである問題があります。採用選考や人事評価などにAIを用いる事業者に対し、AIのデータセットやアルゴリズム、AIによる評価結果やその根拠を開示する義務を課すべきではありませんか。

○渡邊政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案では、AIのデータセットですとかアルゴリズム等の開示を求める規制は想定をしておりません。

 他方で、本法案に基づいて国が指針を整備していく予定でございますけれども、そのときに、広島AIプロセスの国際指針等の国際規範に準拠するということを考えております。

 それによりますと、AIのライフサイクル全般、このライフサイクルというのは開発から活用までの全ての段階ということでございますけれども、そこにおけるリスクを特定して軽減するため適切な措置を講じるということが指針の中には書いてございまして、その適切な措置には多様なテストというのが含まれまして、そのテストのために、AI開発者はデータセット等に関するトレーサビリティーを可能にするよう努めるべきという記述がこの国際指針の中にございます。この趣旨を、是非、私どもとしては、指針の中に反映していきたいと思います。

 指針には罰則はございませんけれども、先日来の御審議のとおり、違法行為に対して適用される既存の法律と今回のAI法案とを組み合わせて対応してまいりたいというふうに考えております。

○塩川委員 指針でという話ですけれども、それでいいのかという問題であります。

 この日本IBMのケースでは、労働組合の皆さんが頑張って、四年間の運動を通じて和解に至ったけれども、ほかの事例もそうなるとは限りません。この日本IBMの問題でも、背景にはアメリカの本社が進める三千九百人の人員削減の計画があるんです。AIがリストラツールに使われる懸念もあります。そこに法的規制がないのでは労働者の権利を守ることはできないのではないのか、このことが問われていると思います。

 大臣にお尋ねします。

 EUではAI法を作り、雇用や人事、採用選考などでAIを利用することをハイリスクと位置づけ、第三者機関による適合性審査などを義務づけております。日本企業がEUで活動する場合には、当然、AI法に基づきこの適合性審査などを受ける義務を負うわけで、日本ではそれがないという点でのダブルスタンダードになるわけです。EUでできることは是非この日本でもやってもらったらいいじゃないか、国内でもEUと同等の義務づけを求める、そういう措置が必要ではないでしょうか。

○城内国務大臣 お答えします。

 私も、塩川委員御指摘のとおり、こういったAIが巨大企業の経営者の安直なリストラツールになるようなことがあってはならないというふうに思います。

 それを踏まえてお答えしますが、EUのAI法では、確かに、御指摘のとおり、AIをリスクに基づき四つのランクに分けまして、最上位から二段階目にハイリスクなAIシステムを設定いたしまして、この段階のAIシステムを扱う事業者には基準遵守義務が課されている状況というふうに伺っております。

 先ほどの今井委員からの御指摘も踏まえて御答弁したことと重なりますけれども、雇用や人事、採用選考の在り方につきましては、我が国においては、AIに特化したものではないものの、厚生労働省のガイドライン等において一定の考え方が示されております。その上で、例えば男女雇用機会均等法では、雇用管理の各ステージにおきまして性別を理由とする差別が禁止されているなど、既存法による一定の取組もございます。

 ここがちょっと重要だと思うんですが、国によってやはりその歴史や文化、そういった社会的背景などが異なるため、その結果、各国の制度体系というのは全部一緒ではなくて異なっているということでありますので、繰り返しになりますけれども、我が国としては、既存法、そしてソフトローを適切に組み合わせてリスクに対応することを基本としながら、本法案の第十六条にございます情報収集や調査、指導、助言、情報提供等を通じて必要な対応を図っていくということを考えております。

○塩川委員 人権で国によって違いがあってはならないと思います。

 AIによるプロファイリングやスコアリングが、バイアスやブラックボックス化の問題があり、差別や不利益をもたらす危険があるわけです。分野によっては、禁止することも含めて、AIによる評価を拒否する権利、評価を開示し、その根拠を説明する義務、第三者機関による審査と監視などの規制、不利益を受けた際の救済措置などが必要だということを申し上げておきます。

 続いて、著作権保護についてお聞きします。

 二〇一八年の著作権法改正に盛り込まれた権利制限規定によって、AIの学習目的であれば、原則、著作物の収集を権利者の許諾なく行うことが認められております。このため、AI事業者によって、ネット上で公表されている新聞記事やイラストなどの著作物が権利者の許諾なく収集される事態となっております。

 文化庁に聞きます。

 日本新聞協会は、二〇二五年一月に、新聞協会はAI事業者に対し、報道コンテンツを生成AIに利用する場合は許諾を得るよう繰り返し求めているが、改善が見られないままサービスは拡大の一途をたどっていると意見を出しております。政府としてはどのように対応したでしょうか。

○中原政府参考人 文化庁におきましては、クリエーター等の権利者からの懸念のお声を受けまして、AIと著作権の関係につきまして議論を行いまして、令和六年三月に、AIと著作権に関する考え方についてを取りまとめたところでございます。特に、AIと著作権に関するクリエーター等の権利者の懸念を払拭する観点から、AI学習のための著作物の利用であっても、いわゆる著作権法第三十条の四の要件を満たさず、権利者から許諾を得ることが必要な場合があり得ることなどをお示ししております。

 文化庁におきましては、この考え方につきまして、セミナーなどを通じて周知啓発を行うとともに、文化庁において設けられております相談窓口等を通じた著作権侵害に対する具体的な事例の集積を行っているところでございます。

 こうした周知啓発や事例の集積、そしてAIやこれに関する技術の発展、諸外国における検討状況などの進展等を踏まえながら、必要に応じた検討を続けてまいりたいと存じます。

○塩川委員 周知啓発でいいのかという問題であります。

 新聞協会からは、この間の政府の対応について、現状では機能しているとは言い難い、そもそも現行の法体系が生成AI時代に沿ったものとは言い難いとの指摘がされております。ですから、新聞協会は、AI事業者による自主的な取組や、ガイドライン等のソフトローでは対応し切れない状況を打開するため、著作権法の改正を含め、生成AI時代に沿った法整備を出すべきだと指摘をしております。

 無断学習を認める著作権法を改正し、事前に権利者の許諾を得る、こういったことを必須とする、そういった改正が必要ではありませんか。

○中原政府参考人 AIと著作権に関する考え方を発出以降、先ほど御説明を申し上げました相談窓口などの設置のほかに、令和六年四月以降は、関係当事者間の適切なコミュニケーションを推進しまして、AIの適正な開発及び利用の環境を実現する観点から、AIの学習における望ましい著作物の利用方法などについて関係当事者間で情報共有を図る場を創設しまして、情報交換などにも取り組んでおります。こうした中で、民間事業者の取組の例としても、クリエーターがAIを活用して創作活動を行う例や、権利者への対価還元に向けた取組も出てきているところでございます。

 そして、先ほどの相談窓口に寄せられた例としましては、自身が作成したイラストがAIを利用して改変されたですとか、学習用データとして収集されて、いわゆる海賊版サイトに自身の画像が無断で転載されたなどといった御相談をいただいておりまして、これらは考え方において想定されていたものでありまして、著作権侵害として対応可能な例であるというふうに考えております。

 まずは、こうした周知啓発や事例の集積、AIやこれに関する技術の発展、そして諸外国における検討状況などの進展等を踏まえながら、必要に応じた検討を続けてまいりたいと存じます。

○塩川委員 コミュニケーション、情報共有といっても、それ自身が、相手の事業者がそれを受けない、特に海外の事業者はそういう対応を行わないという実態があるわけで、新聞協会の指摘を重く受け止めるべきであります。

 前回の個人情報の問題でも同様でしたが、AIの研究開発、活用を推進する法案を出す一方で、著作権や個人情報の問題があれば、結局、当事者が裁判をやってくれということでは、政治の責任を果たしているとは言えないということです。

 チャットGPT―4oの画像生成機能でのジブリ風の加工の話も、著作権法違反に当たる可能性がある、こういう問題もありますし、俳優や声優の声が本人の同意なしに生成AIによって加工され、利用されている実態もありますが、声は著作権の対象外ということで事実上放置されているということもあります。これに対して、俳優、声優の方たちからは、声の肖像権の設立を求める声明も出されております。

 大臣にお尋ねします。

 知的財産を保護せず、生成AIの推進だけを推し進めれば、コンテンツ再生産のサイクルは機能しなくなる。例えば、報道機関が縮小すれば市民の知る権利が後退することにつながるように、この問題は、権利者の問題にとどまらず、市民の権利や文化に取り返しのつかない不利益をもたらす、こういう問題だという認識はお持ちでしょうか。

○城内国務大臣 塩川委員御指摘のとおり、AIの研究開発や活用の推進を図っていく中にあっても、やはり知的財産が適切に保護されることで新たなコンテンツが継続的に創作される環境を実現することが、知る権利あるいは文化の発展を守っていく上で極めて重要であります。

 その上で、例えば、信頼できるAI開発者の下に良質なデータが集められ、それを用いてより高度なAIが開発、提供されることで、新たなコンテンツ創作活動につながる好循環を実現することが理想だと考えております。

 このため、令和六年五月に公表いたしましたAI時代の知的財産権検討会の中間取りまとめでは、そのような好循環を生み出すための方策として、法、技術、契約、この三つの手段の適切な組合せにより、AIに関する懸念や知的財産権の侵害リスクに対応していくことが必要である旨が示されているところであります。

 政府としても、新たなコンテンツの創作活動につながる、今申し上げました好循環が生み出せるよう、各主体が適切に対応していくことを求めてまいります。

○塩川委員 法、技術、契約、これでは対応ができていないという現状があるということであります。

 著作者の保護のためにも、市民の権利や文化を守るためにも、AI事業者に責任を果たさせる法整備が必要だと考えます。現状では、著作権法には、著作者が自らの著作物が学習データに使われているのかを確認する開示請求権も明記されておりません。

 最後に大臣にお尋ねしますが、この法案で、AI事業者に対しデータセットの開示を義務づけるなど、法整備を行う必要があるのではありませんか。

○城内国務大臣 お答えします。

 知的財産としての適切な保護や対価還元の要否を権利者において確認するために、学習いたしましたデータセットにどのような情報を用いているかについて、AI事業者からの開示が必要となる場合があることは認識しているものであります。

 データセットを含めたAIの透明性確保の在り方は非常に重要な観点であると考えておりますので、本法案第十三条に基づきましてAIの適正な研究開発及び活用のために新たに策定する指針におきまして、データセットに係る情報提供などAIに関する透明性を確保するための内容を、ここにしっかりと盛り込んでまいる考えであります。

 いずれにしましても、しっかりと対応してまいります。

○塩川委員 プロファイリング、スコアリング、また著作権保護の立場からも、ルール作り、法整備が必要だということを申し上げて、質問を終わります。

【内閣委員会】AIが人を評価・選別するプロファイリング/差別・不利益の危険/法規制を

 私は、AI推進法の質疑に立ち、AIが人を評価、選別するプロファイリングとスコアリングの問題を追及しました。

 私は、米アマゾンが開発したAIを活用した人材採用システムに女性を差別する欠陥が見つかった事例を示し、AIには差別や不利益につながるバイアスがあると指摘。また、AIには判断の過程や根拠がブラックボックス化する問題があるとして、政府が把握している具体例を質問。内閣府は「あるクレジットカードにおいて、同じ年収であっても女性の方が利用限度額が低い傾向があるとの疑いに対し、企業はそのアルゴリズムについて説明することができなかった」と答えました。

 私は、時事通信が主要企業100社に行った調査によると、採用活動でAIを導入する企業は約3割に上っていることを紹介し、「雇用は人生を左右する重大な判断であり、労働者に不利益がもたらされることがないよう極めて慎重な対応が必要だ」と強調。日本IBMでは会社側が人事評価と賃金決定にAIを導入したことに対し、労働組合がAIによる評価内容の開示を求めたところ、会社側が拒否をしたことを示し、「法的規制がないのでは労働者の権利を守ることはできない」と批判。EUではAI法を作り、雇用や人事採用選考などでAIを利用することをハイリスクと位置づけ、第三者機関による適合性審査などを義務付けているとして、「国内でも同等の措置を義務付けるべきだ」と主張しました。

 城内実内閣府特命担当大臣が「既存法とソフトローを組み合わせて対応していく」と答えたのに対し、私は、日本IBMの問題の背景には米本社の人員削減計画があるとして「AIがリストラツールに使われる懸念もある。人権が国で違いがあってはならない」と強調しました。

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「議事録」

第217回通常国会 令和7年4月16日(水曜日)内閣委員会 第14号

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 AI推進法案について質問します。

 今日は、まず、AIによるプロファイリング、またスコアリングの問題について質問をいたします。

 二〇一九年に、リクナビを運営するリクルートキャリアが、就活生のサイト閲覧履歴などの情報をAIで分析し、約九万人の内定辞退率をスコア化し、本人同意なく採用企業に販売していたことが大問題となりました。企業によるAIを用いたプロファイリング、スコアリングの利用実態が明らかになった事件の一つであります。このことが、学生たちの就職活動、人生に不利益となる影響を与えてしまった可能性は否定しようがないと思います。

 時事通信が主要企業百社に行った調査結果によると、採用活動でAIを導入する企業は約三割に上っておりますが、雇用や採用選考は人生を左右するような重大な判断であり、労働者や採用希望者に不利益がもたらされることがないよう、極めて慎重な対応が必要であります。

 質問します。

 AIによる評価、分析のバイアスについてお聞きします。

 政府が取りまとめた人間中心のAI原則では、AIに関するバイアスにはどのようなものがあると記載をしておりますか。

○渡邊政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいまの人間中心のAI社会原則は二〇一九年三月に策定されたものでございますけれども、この中では、書いてあることをそのまま申し上げますけれども、AIの長所、短所をよく理解しており、とりわけAIの情報リソースとなるデータ、アルゴリズム、又はその双方にはバイアスが含まれること、これらを認識する能力を人々が持つことが重要とされております。

 また、データのバイアスには主として三つございまして、一つは統計的なバイアス、二つ目は社会の態様によって生じるバイアス、三つ目はAI利用者の悪意によるバイアス、この三種類があることを認識していることが望ましいというふうにされております。

○塩川委員 そのようにAIによるバイアスの指摘があるところです。

 実際、アメリカのアマゾンは、開発したAIを活用した人材採用システムに女性を差別する機械学習の結果が判明をし、運用を取りやめたという例もあります。AIが学習したデータが男性が大半である過去十年間の応募者データであり、男性の応募者の方が有望、女性は低く評価すると学習してしまったために起こったと報じられています。

 また、AIには、判断の過程や根拠が不透明であるブラックボックス化という問題もあります。

 お尋ねしますが、AI事業者ガイドラインでは、ブラックボックス化の事例としてどのような事例を紹介していますか。

○渡邊政府参考人 お答え申し上げます。

 AI事業者ガイドライン、これは総務省と経済産業省が策定しているものでございますけれども、これの本体というよりは別添になりますけれども、別添に記述がございますので、読み上げをさせていただきます。

 「AIの判断のブラックボックス化に起因する問題も生じている。とあるクレジットカードにおいて、同じ年収を有する男性及び女性に対して、女性の方が利用限度額が低いとの報告がSNS上で広がった。この問題に対し、金融当局が調査を実施し、クレジットカードを提供した企業に対してアルゴリズムの正当性の証明を求めた。しかし、企業はアルゴリズムの具体的な機能及び動作について説明することができなかった」という記述がございます。

○塩川委員 説明することができなかった。AIの利用には、バイアスやブラックボックス化という差別や不利益につながる深刻な問題があるということであります。

 国内でも、既にAIによる人事評価が問題となっています。

 その一つが日本IBMでありまして、日本IBMが人事評価と賃金決定にAIを導入したことに対して、同社の労働組合でありますJMITU、労働組合IBM支部が、AIの学習データやAIが表示するアウトプットの内容などの開示と説明を求めたところ、同社はこれを拒否しました。

 労働組合は、不当労働行為である不誠実交渉だ、支配介入に当たるとして、二〇二〇年に東京都労働委員会に救済を申し立てました。四年の交渉を経て、二四年八月、ようやく事業者側がAIによる評価項目を全開示することなどで和解をしたということであります。

 労働組合は声明で、社会の様々な領域でAIの利用が進む一方、社会に残る差別をAIが学習して再現したり、判断過程がブラックボックス化して理解不能に陥るなどの弊害が指摘されている、企業が人事管理にAIを利用する場合、公正性と透明性の確保が課題となるが、法規制は進んでおらず、個々の労働者の努力には限界があると指摘をしています。

 また、組合の中央執行委員長は東京新聞のインタビューに、当時はAIが何を考慮するのか全く明らかにされず、どのような根拠で判断するかも見えない、そしてその結果も知らされないという状態だった、もしかしたら組合員であることが影響するかもしれないと問題点を指摘しておりました。

 ここでお尋ねしますが、AIによる評価、分析は、バイアスがかかるという問題や、その過程や根拠がブラックボックスである問題があります。採用選考や人事評価などにAIを用いる事業者に対し、AIのデータセットやアルゴリズム、AIによる評価結果やその根拠を開示する義務を課すべきではありませんか。

○渡邊政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案では、AIのデータセットですとかアルゴリズム等の開示を求める規制は想定をしておりません。

 他方で、本法案に基づいて国が指針を整備していく予定でございますけれども、そのときに、広島AIプロセスの国際指針等の国際規範に準拠するということを考えております。

 それによりますと、AIのライフサイクル全般、このライフサイクルというのは開発から活用までの全ての段階ということでございますけれども、そこにおけるリスクを特定して軽減するため適切な措置を講じるということが指針の中には書いてございまして、その適切な措置には多様なテストというのが含まれまして、そのテストのために、AI開発者はデータセット等に関するトレーサビリティーを可能にするよう努めるべきという記述がこの国際指針の中にございます。この趣旨を、是非、私どもとしては、指針の中に反映していきたいと思います。

 指針には罰則はございませんけれども、先日来の御審議のとおり、違法行為に対して適用される既存の法律と今回のAI法案とを組み合わせて対応してまいりたいというふうに考えております。

○塩川委員 指針でという話ですけれども、それでいいのかという問題であります。

 この日本IBMのケースでは、労働組合の皆さんが頑張って、四年間の運動を通じて和解に至ったけれども、ほかの事例もそうなるとは限りません。この日本IBMの問題でも、背景にはアメリカの本社が進める三千九百人の人員削減の計画があるんです。AIがリストラツールに使われる懸念もあります。そこに法的規制がないのでは労働者の権利を守ることはできないのではないのか、このことが問われていると思います。

 大臣にお尋ねします。

 EUではAI法を作り、雇用や人事、採用選考などでAIを利用することをハイリスクと位置づけ、第三者機関による適合性審査などを義務づけております。日本企業がEUで活動する場合には、当然、AI法に基づきこの適合性審査などを受ける義務を負うわけで、日本ではそれがないという点でのダブルスタンダードになるわけです。EUでできることは是非この日本でもやってもらったらいいじゃないか、国内でもEUと同等の義務づけを求める、そういう措置が必要ではないでしょうか。

○城内国務大臣 お答えします。

 私も、塩川委員御指摘のとおり、こういったAIが巨大企業の経営者の安直なリストラツールになるようなことがあってはならないというふうに思います。

 それを踏まえてお答えしますが、EUのAI法では、確かに、御指摘のとおり、AIをリスクに基づき四つのランクに分けまして、最上位から二段階目にハイリスクなAIシステムを設定いたしまして、この段階のAIシステムを扱う事業者には基準遵守義務が課されている状況というふうに伺っております。

 先ほどの今井委員からの御指摘も踏まえて御答弁したことと重なりますけれども、雇用や人事、採用選考の在り方につきましては、我が国においては、AIに特化したものではないものの、厚生労働省のガイドライン等において一定の考え方が示されております。その上で、例えば男女雇用機会均等法では、雇用管理の各ステージにおきまして性別を理由とする差別が禁止されているなど、既存法による一定の取組もございます。

 ここがちょっと重要だと思うんですが、国によってやはりその歴史や文化、そういった社会的背景などが異なるため、その結果、各国の制度体系というのは全部一緒ではなくて異なっているということでありますので、繰り返しになりますけれども、我が国としては、既存法、そしてソフトローを適切に組み合わせてリスクに対応することを基本としながら、本法案の第十六条にございます情報収集や調査、指導、助言、情報提供等を通じて必要な対応を図っていくということを考えております。

○塩川委員 人権で国によって違いがあってはならないと思います。

 AIによるプロファイリングやスコアリングが、バイアスやブラックボックス化の問題があり、差別や不利益をもたらす危険があるわけです。分野によっては、禁止することも含めて、AIによる評価を拒否する権利、評価を開示し、その根拠を説明する義務、第三者機関による審査と監視などの規制、不利益を受けた際の救済措置などが必要だということを申し上げておきます。

 続いて、著作権保護についてお聞きします。

 二〇一八年の著作権法改正に盛り込まれた権利制限規定によって、AIの学習目的であれば、原則、著作物の収集を権利者の許諾なく行うことが認められております。このため、AI事業者によって、ネット上で公表されている新聞記事やイラストなどの著作物が権利者の許諾なく収集される事態となっております。

 文化庁に聞きます。

 日本新聞協会は、二〇二五年一月に、新聞協会はAI事業者に対し、報道コンテンツを生成AIに利用する場合は許諾を得るよう繰り返し求めているが、改善が見られないままサービスは拡大の一途をたどっていると意見を出しております。政府としてはどのように対応したでしょうか。

○中原政府参考人 文化庁におきましては、クリエーター等の権利者からの懸念のお声を受けまして、AIと著作権の関係につきまして議論を行いまして、令和六年三月に、AIと著作権に関する考え方についてを取りまとめたところでございます。特に、AIと著作権に関するクリエーター等の権利者の懸念を払拭する観点から、AI学習のための著作物の利用であっても、いわゆる著作権法第三十条の四の要件を満たさず、権利者から許諾を得ることが必要な場合があり得ることなどをお示ししております。

 文化庁におきましては、この考え方につきまして、セミナーなどを通じて周知啓発を行うとともに、文化庁において設けられております相談窓口等を通じた著作権侵害に対する具体的な事例の集積を行っているところでございます。

 こうした周知啓発や事例の集積、そしてAIやこれに関する技術の発展、諸外国における検討状況などの進展等を踏まえながら、必要に応じた検討を続けてまいりたいと存じます。

○塩川委員 周知啓発でいいのかという問題であります。

 新聞協会からは、この間の政府の対応について、現状では機能しているとは言い難い、そもそも現行の法体系が生成AI時代に沿ったものとは言い難いとの指摘がされております。ですから、新聞協会は、AI事業者による自主的な取組や、ガイドライン等のソフトローでは対応し切れない状況を打開するため、著作権法の改正を含め、生成AI時代に沿った法整備を出すべきだと指摘をしております。

 無断学習を認める著作権法を改正し、事前に権利者の許諾を得る、こういったことを必須とする、そういった改正が必要ではありませんか。

○中原政府参考人 AIと著作権に関する考え方を発出以降、先ほど御説明を申し上げました相談窓口などの設置のほかに、令和六年四月以降は、関係当事者間の適切なコミュニケーションを推進しまして、AIの適正な開発及び利用の環境を実現する観点から、AIの学習における望ましい著作物の利用方法などについて関係当事者間で情報共有を図る場を創設しまして、情報交換などにも取り組んでおります。こうした中で、民間事業者の取組の例としても、クリエーターがAIを活用して創作活動を行う例や、権利者への対価還元に向けた取組も出てきているところでございます。

 そして、先ほどの相談窓口に寄せられた例としましては、自身が作成したイラストがAIを利用して改変されたですとか、学習用データとして収集されて、いわゆる海賊版サイトに自身の画像が無断で転載されたなどといった御相談をいただいておりまして、これらは考え方において想定されていたものでありまして、著作権侵害として対応可能な例であるというふうに考えております。

 まずは、こうした周知啓発や事例の集積、AIやこれに関する技術の発展、そして諸外国における検討状況などの進展等を踏まえながら、必要に応じた検討を続けてまいりたいと存じます。

○塩川委員 コミュニケーション、情報共有といっても、それ自身が、相手の事業者がそれを受けない、特に海外の事業者はそういう対応を行わないという実態があるわけで、新聞協会の指摘を重く受け止めるべきであります。

 前回の個人情報の問題でも同様でしたが、AIの研究開発、活用を推進する法案を出す一方で、著作権や個人情報の問題があれば、結局、当事者が裁判をやってくれということでは、政治の責任を果たしているとは言えないということです。

 チャットGPT―4oの画像生成機能でのジブリ風の加工の話も、著作権法違反に当たる可能性がある、こういう問題もありますし、俳優や声優の声が本人の同意なしに生成AIによって加工され、利用されている実態もありますが、声は著作権の対象外ということで事実上放置されているということもあります。これに対して、俳優、声優の方たちからは、声の肖像権の設立を求める声明も出されております。

 大臣にお尋ねします。

 知的財産を保護せず、生成AIの推進だけを推し進めれば、コンテンツ再生産のサイクルは機能しなくなる。例えば、報道機関が縮小すれば市民の知る権利が後退することにつながるように、この問題は、権利者の問題にとどまらず、市民の権利や文化に取り返しのつかない不利益をもたらす、こういう問題だという認識はお持ちでしょうか。

○城内国務大臣 塩川委員御指摘のとおり、AIの研究開発や活用の推進を図っていく中にあっても、やはり知的財産が適切に保護されることで新たなコンテンツが継続的に創作される環境を実現することが、知る権利あるいは文化の発展を守っていく上で極めて重要であります。

 その上で、例えば、信頼できるAI開発者の下に良質なデータが集められ、それを用いてより高度なAIが開発、提供されることで、新たなコンテンツ創作活動につながる好循環を実現することが理想だと考えております。

 このため、令和六年五月に公表いたしましたAI時代の知的財産権検討会の中間取りまとめでは、そのような好循環を生み出すための方策として、法、技術、契約、この三つの手段の適切な組合せにより、AIに関する懸念や知的財産権の侵害リスクに対応していくことが必要である旨が示されているところであります。

 政府としても、新たなコンテンツの創作活動につながる、今申し上げました好循環が生み出せるよう、各主体が適切に対応していくことを求めてまいります。

○塩川委員 法、技術、契約、これでは対応ができていないという現状があるということであります。

 著作者の保護のためにも、市民の権利や文化を守るためにも、AI事業者に責任を果たさせる法整備が必要だと考えます。現状では、著作権法には、著作者が自らの著作物が学習データに使われているのかを確認する開示請求権も明記されておりません。

 最後に大臣にお尋ねしますが、この法案で、AI事業者に対しデータセットの開示を義務づけるなど、法整備を行う必要があるのではありませんか。

○城内国務大臣 お答えします。

 知的財産としての適切な保護や対価還元の要否を権利者において確認するために、学習いたしましたデータセットにどのような情報を用いているかについて、AI事業者からの開示が必要となる場合があることは認識しているものであります。

 データセットを含めたAIの透明性確保の在り方は非常に重要な観点であると考えておりますので、本法案第十三条に基づきましてAIの適正な研究開発及び活用のために新たに策定する指針におきまして、データセットに係る情報提供などAIに関する透明性を確保するための内容を、ここにしっかりと盛り込んでまいる考えであります。

 いずれにしましても、しっかりと対応してまいります。

○塩川委員 プロファイリング、スコアリング、また著作権保護の立場からも、ルール作り、法整備が必要だということを申し上げて、質問を終わります。

大宮駅の街頭演説会

 はたやま和也参院比例予定候補、伊藤岳参議院議員、志位議長が訴え!

 物価高騰対策には消費税の5%減税、大幅賃上げ、医療介護経営への5千億円投入を!

 儲けを上げる大企業・富裕層への税負担、内部留保の活用など確かな財源論が実現の保障。

 トランプ関税に対して、抗議、撤回を!


どうする物価高騰、「トランプ関税」/埼玉・大宮駅前/参院選必勝/志位議長が訴え/暮らしを守りぬく――あなたの願いを日本共産党に

「しんぶん赤旗」4月13日・1面より

 日本共産党の志位和夫議長は12日、埼玉県・大宮駅前で街頭演説し、7月の参院選での、はたやま和也候補ら比例5候補全員の勝利、埼玉選挙区での伊藤岳候補(参院議員)の必勝を、詰め掛けた大勢の有権者に訴えました。志位氏は「物価高騰からどうやって暮らしを守るか」「トランプのアメリカとどう向き合うのか」―二つの大問題で打開の道筋を示しました。

 大宮駅西口には数千人が集まり、熱気に包まれました。志位氏は、伊藤議員が6年間で180回を超える国会質問を行ったことを紹介。3月の予算委員会では、埼玉県八潮市での道路陥没事故を巡り、政府が下水道管の老朽化対策を先送りし、40年以上超えると陥没事故が多発しているデータを突き付けて追及、石破茂首相に「見直しを検討」させました。30年を超える大規模下水道管の特別重点調査を行わせた実績も示し、「『命を大切にする政治』に情熱をもやし、みんなから『岳さん』と呼ばれ、親しみやすく、笑顔で一緒に解決する、素晴らしい政治家です。2度目の勝利を必ず」と呼び掛けました。

物価高騰から暮らしを守る

 「物価高騰が止まらない」―志位氏は、日本共産党が実施している500万人・要求アンケートで、「買い物に行くのが怖い」など不安の声が殺到していると紹介。「給付金」など1回限りの取りつくろい策を模索している政府を批判し、「本腰を入れた対策が必要です」として物価高騰から暮らしを守る三つの緊急提案を示しました。

 1、消費税廃止めざし緊急に5%減税、インボイス廃止―。志位氏は、消費税を5%にすることで1世帯平均で年間12万円の減税となるとして、「物価高騰から暮らしを守るうえで最も効果的です」と強調。「問題は財源をどうするかにあります」と話を進めました。

 一部に「借金で」という議論があることについて、「消費税減税は一時的な話ではありません。緊急に5%に下げたら、次は廃止する。これが私たちの大方針であり、国民の願いです。『借金で』となったら将来にわたって借金を増やし続けることになります。ひどいインフレになるリスクがある。あまりに無責任ではないでしょうか」と指摘。「本気で消費税減税を実行しようとすれば恒久的な財源を示すことが必要です」と強調し、大企業への年間11兆円にのぼる減税をやめるなど、日本共産党の具体的な財源論を明らかにし、「大企業・富裕層への減税ばらまきをやめて消費税減税を実現する。これこそ一番道理のある提案です。日本共産党躍進で実行させましょう」と訴えると、聴衆から大きな拍手が湧き起こりました。

 2、物価上昇をはねとばす大幅賃上げを政治の責任で―。志位氏は、実質賃金がピーク時より74万円も下がり、この間も減り続け、そこに物価高騰だから「暮らしがこんなに苦しい」と指摘。一方で、大企業の内部留保は200兆円増え539兆円にも膨れあがっていることを告発し、「内部留保を大幅賃上げと中小企業への引き上げに回せという国民的な大運動を起こそう」と呼び掛けました。


埼玉・大宮駅前/志位議長の訴え/1面のつづき

「しんぶん赤旗」4月13日・2面より

 志位氏は、石破首相が「最賃は5年後までに1500円」と言っているが、「5年も待てません」とズバリ。「中小企業への思い切った直接支援で最低賃金をすみやかに1500円に引き上げ、1700円をめざすべきです」と主張。岩手、徳島、奈良、群馬の各県では中小企業への直接支援を実施しており、「国にやれない道理はない」と訴えました。大企業の内部留保増加分に時限的に課税し、10兆円を中小企業の直接支援にあてる政策を示し、「日本共産党の躍進で大幅賃上げを勝ちとろう」と訴えました。

 3、物価高騰による医療・介護の崩壊を食い止め、ケア労働者の賃上げをはかる―。志位氏は「このままでは、ある日突然、病院がなくなります」との日本病院会など6病院団体による衝撃的な訴えを紹介。診療報酬が実質大幅減になるもと、61%もの病院が赤字になり、医療従事者の賃下げが行われ、退職者が続出している実態を示し、緊急に国費5000億円を投入し事態打開をはかる施策を提案しました。

 介護崩壊が深刻です。志位氏は、在宅介護の基本報酬が引き下げられ、昨年、784もの事業所が消えたことを告発。埼玉県も含め285自治体が「訪問介護報酬引き下げ撤回」の意見書を採択しており、「ただちにこの声にこたえるべきです」と訴えました。国費の負担割合を10%増やし1・3兆円を投じ、崩壊を止め介護従事者の賃上げをおこなうことを提案しました。

 志位は、8・7兆円という軍事費だけが突出している今年度予算のパネルを掲げ、「大軍拡を続けたままでは暮らしは決して守れません」と強調。トランプ米政権から「GDP(国内総生産)比3%以上」のさらなる軍事費増を要求されているとして、「大軍拡を中止し税金は暮らしへの願い、憲法9条を生かした外交の力で平和な東アジアをの願いを、日本共産党にたくしてください」と呼び掛けました。

いまこそ対等・平等の日米関係を

 「トランプのアメリカとどう向き合うか」―志位氏はトランプ大統領による関税措置について、自らも署名した日米貿易協定(2019年)で「追加関税を課さない」と約束しながら、それを一方的に覆していることを「恐喝まがいの暴挙」と糾弾。石破茂首相が7日、「(関税)撤回を求める」と国会で答弁しながら、その日夜の日米首脳電話会談では「遺憾」というのみで「撤回」を求めず、「対米投資をやっているので大目に見てほしい」というだらしない対応をしていると指摘し、「『日本だけは勘弁して』という『お願い外交』では解決しません。世界各国、市民の運動と力をあわせて、断固、撤回を求めるべきです」と力説すると「そうだ」の声が起きました。

 志位氏は、大手自動車メーカーが「コストカットでのりきる」と言っていることについて、大企業が働く人の首切りや中小企業切り捨てに犠牲を転嫁したら「大災害になる」と指摘。「政府は、暮らし・雇用・営業を守るために責任を果たせ」と訴えました。グリア米通商代表が農産物のさらなる市場開放を要求する考えを表明していることに警鐘を鳴らし、「きっぱり拒否すべきです」と主張。「各国の経済主権、食料主権を尊重し、グローバル大企業への民主的規制を行い、公正で民主的な経済秩序をつくるための国際協調の取り組みを行うべきです」と強調しました。

 志位氏は「『日米関係はこのままでいいのか』が大きく問われています」と指摘。「トランプ政権が破壊しているのは貿易ルールだけではありません。ガザの住民の『強制移住』発言を繰り返すなど、国連憲章と国際法を乱暴に破壊する言動を行っています」とその横暴を強く批判しました。

 志位氏は、アメリカの戦後の歴史でも、ここまで国際ルールを無視した横暴は初めてだとして、「アメリカ帝国(主義)の“落日”が始まった」と断じました。その上で、「こんなアメリカに、『日米同盟絶対』で言いなりを続けていいのか。言われるままに敵基地攻撃能力保有と大軍拡を続け、辺野古新基地建設を押し付け、核兵器禁止条約に背を向ける。もうやめようではありませんか。対等・平等の日米関係への大転換こそ必要です」「国民多数の合意で日米安保条約を廃棄し、日米友好条約締結を綱領に掲げる唯一の党、日本共産党の躍進で、本当の独立国といえる日本をつくろう」と呼び掛けました。

はたやま・伊藤両候補が訴え

 はたやま和也参院比例候補は、北海道、東北、北関東の各地で、米などの物価高騰で「家計が押しつぶされそう」との悲鳴や農家の厳しい状況を聞いてきたとして「農家が安心して食料をつくることができ、食べることに困らない日本へ、共産党を大きくしてください」と訴えました。

 伊藤岳参院議員・埼玉選挙区候補は、2019年の初当選以来、従来の健康保険証を存続することや、埼玉県八潮市の道路陥没事故を繰り返さないために老朽インフラの維持・管理に予算を回すことなど、国会で180回以上質問してきたとして「命・人権をないがしろにする政治は断じて認めない。ゆるがない信念です」と力を込めました。

 

日本学術会議法案を憂慮する学協会・研究者院内集会であいさつ

 日本学術会議「法人化」反対のネット署名が2万筆集まるなど、法案を憂慮する声が広がっています。

 多くの研究者の団体から反対・廃案を求める声明が出されています。

 6人の任命拒否を撤回させ、法案を廃案に追い込むために全力を挙げます。


学術会議解体法案 廃案以外の道はない/学術関係者ら国会内集会/田村委員長 決意表明

「しんぶん赤旗」4月12日・1面より

 石破政権が日本学術会議解体法案の審議入りを急ぐ中、学術会議と連携する学協会の会長や研究者らは11日、国会内で「法案には廃案以外の道はない」と訴え、集会を開きました。

 法案は、学術会議を国の機関から切り離して特殊法人化し、首相が任命する「監事」「評価委員会」などを新設。政府から独立した科学者の代表機関である学術会議を政府の監督下に置こうとするものです。

 広渡清吾・学術会議元会長は、形式的な会員の任命権しか持たなかった首相が法案によって「全体を監督する地位を与えられる」と危惧を表明。小玉重夫・日本教育学会会長は、学術会議が軍事研究に一貫して慎重な姿勢を示してきたことを紹介し、学問を軍事に動員させないためにも、廃案に追い込むことが大切な課題だと強調しました。

 三成美保・ジェンダー法学会理事は、会員選考の自律性を保障している現行の学術会議は、現会員が次期会員を選ぶ方式で、会員の女性比率を急速に伸ばしたと指摘。「現行法に何ら問題はない」と述べました。

 吉村忍・学術会議第3部前部長は、混沌(こんとん)とした社会の中で、多様な学問領域の科学者が真の科学的合意形成を進める学術会議の役割を強調。国会議員に対し「国家百年の計における熟議」を求めました。

 日本共産党の田村智子委員長が「法案の危険性を知らせ抜いて必ず廃案に追い込む」と表明。小池晃書記局長、塩川鉄也国対委員長があいさつし、堀川あきこ衆院議員が参加しました。立憲民主党、社民党、れいわ新選組の議員もあいさつしました。

 集会は、法案反対のオンライン署名を呼び掛けている学者や法律家らでつくる16団体が主催。廃案に向け声をあげることを呼び掛ける声明を発表しました。

【内閣委員会】AI推進法/リスクに応じた法規制や権利保護強化こそ

 私は、AIによる権利侵害や悪影響を抑えるために、リスクに応じた法規制や権利保護の強化が必要だと主張しました。

 法案は、産業の国際競争力を向上させることを目的に、国がAIの研究開発・活用に必要なデータセンターやデータセット(AI開発に使いやすいよう整理されたデータ)を整備し、民間事業者との共用を促進します。また自治体には独自の推進策を実施する義務を、大学や国民には国の施策に協力する努力義務を課しています。一方で、規制のための実効性ある法整備はありません。

 私は、法案に基づいて国が整備するデータセットの情報は、オープンデータに限定されず、個人情報も含まれること、そして大学や研究開発法人の情報も含まれることを確認。AIに関する意識調査では、「現在の規則や法律でAIを安全に利用できると思う」はわずか13%、「AIには規制が必要」が77%、「個人情報保護のための強固なプライバシー保護法の整備」を求める声が61%に上っていることを紹介。「国が個人情報を含む情報のデータセットを整備し、民間事業者との共用を促進するこの法案は、プライバシー権侵害の危険性を高め、規制強化を求める国民の声に逆行するのではないか」と質問しました。城内実内閣府特命担当大臣は「個人情報保護法等に従って対応していく」と答えました。

 私は、日本の個人情報保護法は、本人が個人情報の削除を求めても、消すかどうか判断するのは事業者側であること、AI学習のためにネット上で本人同意なく要配慮個人情報が違法に取得されている疑いがあるなど法の欠陥を指摘。推進一辺倒の本法案は法規制を求める国民の願いに逆行すると批判しました。

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「議事録」

第217回通常国会 令和7年4月11日(金曜日)内閣委員会 第13号

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 AI推進法案について質問いたします。

 石破政権は、世界で最もAIの研究開発、実装がしやすい国を目指すと掲げております。

 そこで、入口での確認ですので政府参考人でも結構なんですが、今回の法案というのは、AIの研究開発、活用推進のための法律であって、AI規制の法整備を行うものではないということでよろしいんでしょうか。

○渡邊政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘のとおり、これは規制法ではなくて、推進のための法律でございます。ただし、その推進のためには、リスクへの対応もしっかりやっていくということでございます。

○塩川委員 リスク対応について、法整備を行っていないということであります。

 ただ、政府の法案概要資料では、法律が必要な理由として、多くの国民がAIに対して不安を感じていることを挙げているわけです。

 紹介されているAIのリスクや安全性に関する意識調査を見ると、現在の規則や法律でAIを安全に利用できると思うと答えたのは、日本では僅か一三%。一方で、AIには規制が必要だと思うとの回答は七七%にも上っております。現状は、AIを安全に利用できる環境にはなく、規制が必要だと多くの国民の皆さんが考えておられる。これが国民多数の声だということであります。

 そうしますと、こういった国民の声に応えるためにも、この法案において、AIに対するやはり法規制が必要なんじゃないでしょうか。

○渡邊政府参考人 お答え申し上げます。

 規制という言葉の定義をどう捉えるかということでございますけれども、例えば、罰則つきの厳しい規制ももちろん規制ですし、いわゆる自主規制といいますか、事業者による自主的な取組を促して自主的にやっていただく、これも、ガイドライン等に沿ってやっていただくのも、自主規制という言葉がございまして、どう対応していくのかというのは、その国、地域のそれぞれの法体系ですとか、あるいは過去の商習慣ですとか、いろいろなところから決まってくるものというふうに考えております。

 EUは、そういう中では規制法でやっておりますけれども、アメリカはまた違う形でやっておりまして、日本としては、先ほど来申し上げておりますとおり、イノベーションとリスクの両立、そして新しい技術に適応していく。それで、どうしても予測できないものが多いものですから、それをいろいろな形で規定をするというよりはフレキシブルに対応していく、そういう形で考えた方が、むしろふさわしいのではないかというふうに考えているところでございます。

○塩川委員 ただ、こういったアンケートにおきましても、やはり、現在の法律では安全に利用できないと思っている方々が多数だというときに対応した、そういった中身に本来すべきなんじゃないのかということが問われていると思います。

 AIの活用推進に遅れることなく、必要な規制、ルール作りを行って、権利侵害や悪影響を抑える必要があると思います。今紹介があったような、EUでは、AIのリスクに応じて、禁止、第三者機関による適合性審査等の義務づけ、AIを利用していることの表示義務、規制なしの四段階に分けて規制するAI規則を、二四年八月に施行しております。日本でも同様に、AIのリスクに応じた法規制を行うべきだと考えます。

 法案の内容についてお尋ねします。

 法案の第十二条は、国が、データセットその他の知的基盤を研究開発機関とAIの活用事業者が広く利用できるように整備し、共用を促進するとしています。

 国が整備するデータセットその他の知的基盤についてお尋ねしますが、条文では、知的基盤の定義として、科学技術・イノベーション活性化法の第二十四条の四を引用しておりますが、この知的基盤の保有者には、大学や研究開発法人も含まれるということでよろしいでしょうか。

○渡邊政府参考人 知的基盤についてのお尋ねでございますけれども、これは、大学ですとか研究開発法人も含まれるというふうに想定をしております。

 また、現在進められている取組といたしましては、情報通信研究機構がAI学習用の高品質な日本語データを整備、提供しているほか、産業技術総合研究所が音声、行動データ、大気環境の情報など様々なデータセットを公開するなどの取組が行われております。

 今後は、デジタル庁で実施しております政府保有情報のオープンデータ化の取組も含めて、AIの研究開発及び促進のため、知的基盤の整備等を促進してまいりたいと考えております。

○塩川委員 NICT、産総研の話ですとか、デジ庁のオープンデータの話もありました。国がデータセットとして整備する情報には、国の情報はもちろん、このような大学や研究開発法人の情報も含まれているということであります。

 そこで、このデータセットとして整備される情報は、これはオープンデータに限定をされているんでしょうか。

○渡邊政府参考人 本法案では、データセットをオープンデータのみに限定するということではございません。現在政府が保有している情報をデータセットとしてホームページ上で公開し、AIの研究開発などの目的で広く利用が可能となるよう取組が進められているというふうに承知しております。

○塩川委員 オープンデータに限定されていないということであります。政府が保有する情報の中には個人情報も当然含まれるわけですけれども、オープンデータに限定されないということは、個人情報を含むものもデータセット化されるということでしょうか。

○渡邊政府参考人 お答え申し上げます。

 オープンデータでないものというのは、オープンじゃないということなんですけれども、これは別に機微情報を含んでいるからオープンではないというだけではなくて、元々、オープンにすることを想定していなかったというか、そんなに機微ではないんだけれども、これは誰かから使われるニーズがないだろうみたいな、そういうものもあったというふうに考えております。

 ただ、一般的には、デジタル庁から公開しておりますデータセットにつきましては、個人情報は含んでいないというふうに認識しております。今後、研究開発及び活用の促進のためには、データセットとして公開する場合、もし個人情報とか機微な情報を含むような可能性がある場合には、これは扱いには十分に注意しなければいけないというふうに考えております。

○塩川委員 個人情報を含むものについては十分注意しなければならないというのは、これは何らかの対策を取るということですか。

○渡邊政府参考人 午前中も御答弁申し上げたことではございますけれども、政府として、AIを適正に調達をして活用していく、そういうガイドラインの検討をしております。そういう中でも、データの扱いというもの、あるいは、政府はデータ戦略も別途進めておりますけれども、そういう中でも、データの適切な扱いというのは考えてまいりたいと思います。

○塩川委員 個人情報、ビッグデータを活用するということであれば、匿名加工をするとか、匿名加工情報の扱いということなども当然あるということだと思いますけれども。

 この間、匿名加工情報の提案募集制度を政府として行ってまいりました。そういった具体の事例として、独立行政法人の住宅金融支援機構から民間の住信SBIネット銀行に対して情報提供がされた。ですから、ローンの、組んでいる方の情報ですよね。そういった情報の中には、年収ですとか家族構成ですとか、職業や郵便番号などの百十八万人分の加工された個人情報が、住宅ローンのAI審査モデルの構築のために、本人の同意もなく提供されていたわけであります。

 匿名加工しているから個人は特定されないんだという話ですけれども、しかし、郵便番号となると、実際、枝番までいけば十数軒というところなんかもあるんですよね。それをどういうふうに処理しているのかによっては、ほかの情報と組み合わせれば個人が特定されかねない、そういった中身のものもあるということに対して、これは慎重な対応というのが求められていることであります。

 本案は、データセットという言葉を法律上初めて定義をし、国や大学、研究開発法人が保有する広範な情報を、AIで利用しやすいようにデータセットとして整備をし、AIを利活用する民間事業者に提供することを促進する法整備であります。

 第五条では、地方公共団体に対し、AI技術の研究開発及び活用の推進に関し、地方公共団体の区域の特性を生かした自主的な施策を策定し、実施する責務を有すると責務規定を盛り込み、自治体が持つ情報もデータセット化するよう迫るものとなっております。自治体にこそ本当に生の個人情報が大量にあるということをやって、その扱いについての慎重な対応というのは当然求められることだと思います。

 城内大臣にお尋ねいたします。

 政府は、データは競争力の源泉だと位置づけて、個人情報を含む情報の利活用を推進をし、データ標準化などを進めております。法案は、これを更に進めようというものであります。プライバシー権の侵害などの危険性を高めるものになりはしないのか。その点についてお答えください。

○城内国務大臣 お答えいたします。

 本法案は、AIの研究開発及び活用の推進のためのものでありまして、個人情報の保護を含む既存の法律の考え方を変えるものではございません。

 個人情報やプライバシー権の保護につきましては、最高法規である憲法や、既存の法令、例えば個人情報保護法等がございまして、これらに従って引き続き対応をいただくものでありまして、既存の権利利益の保護を後退させるものではございません。この点について御理解いただければ幸いです。

○塩川委員 既存のルール、規制そのものがこれでいいのかという疑問の声も当然上がるということは、先ほどの例でも紹介をしたところですけれども。

 冒頭でも紹介しましたように、現在の規則や法律でAIを安全に利用できると思うと答えたのは僅か一三%ですし、一方で、AIには規制が必要だと思うとの回答が七七%というのが国民の声です。さらに、政府に求めたいことという項目に対しては、個人情報保護のための強固なプライバシー保護法の整備というのが六一%にも上っております。また、どのようになれば生成AIを使いたいと思うかという項目に対し、最も多かった回答は、データプライバシー、情報漏えいに関する規制ができたらという回答が二二%だったということであります。

 大臣に重ねてお聞きしますけれども、国民が求めているのは、AIに係る規制の強化とともに、プライバシー権など個人情報保護の強化ではないのか。個人情報を含む情報のデータセットを整備をし、民間事業者との共用を促進をするこの法案というのは、国民の不安解消とは逆の方向に向いているのではないのか。その点についてお答えください。

○城内国務大臣 塩川委員御指摘のこともしっかり踏まえまして、やはり個人情報の保護、これは大事な、国民にとっての守るべき権利でございますので、その点もしっかり踏まえた上で、ただ、この法案が目指しているところは、人工知能関連技術の開発、活用をしっかり促進するということでありますので、それを踏まえながら、そういったリスクの対応もしっかり取り組んでまいる考えでありますし、また、AI戦略本部ができた暁には、しっかりと、指針そして基本計画において、今、塩川委員が御指摘した御懸念も含めて、関係省庁と連携して取り組んでまいる考えであります。

○塩川委員 研究開発、活用推進だけではなく、しっかりとしたやはり法整備を伴うルール作りということが国民が求めている方向なんだ、それにかなうものになっていないのがこの法案ではないのかということが問われているということであります。

 次に、AIの学習目的での個人情報の利用が拡大をし、権利侵害の危惧が高まっている一方で、自己情報コントロール権など個人情報の保護がどうなっているのかについて個人情報保護委員会にお尋ねをします。

 生成AIの学習目的で、SNSへの投稿など個人情報を含む大量の情報が事業者によって収集され、本人の自覚のないままに利用されている実態があります。

 個人情報保護法は、利用停止、削除請求の条件を権利侵害のおそれがあるときと狭く設定をしております。削除請求権について、オープンAIやメタなどはプライバシーポリシーで、お住まいの場所に応じてとしております。日本では、事業者側が権利侵害のおそれがないと判断すれば、利用停止、削除されないのではありませんか。

○佐脇政府参考人 お答えいたします。

 御本人が法律の要件に該当するとして事業者に請求されましても、事業者から見て要件に該当しないとして拒むことは想定されます。

 その場合に本人ができることはありまして、まずは、当該請求について、裁判所へ訴えの提起をいただくということが可能でございます。さらに、私ども個人情報保護委員会が本人からの苦情などを承りまして、事業者の実態、要件に該当しないというのが本当かどうかということを確認し、拒否に正当な理由がないと判断した場合には、委員会から事業者に対しまして、必要な指導、助言、勧告、命令を行うこととなります。

 以上でございます。

○塩川委員 ですから、事業者が権利侵害のおそれがないと判断をしたら裁判を起こしてくれという話なんですよ。それは余りにも利用者の方にとってみればハードルが高過ぎる問題だ。こういったことについて、削除するかどうかが事業者の判断ということで、これでは実効性がないと言わざるを得ません。

 生成AIの学習目的での情報収集は、ネット上の情報を機械的に大量に収集するスクレーピングと呼ばれる手法によって行われております。

 そこで、個情委に伺いますが、こうして収集される情報の中には要配慮個人情報も含まれている可能性があります。事前の本人同意なく要配慮個人情報を取得するというのは、これは法違反ではありませんか。

○佐脇政府参考人 お答えいたします。

 一般的な法解釈でございますけれども、個人情報取扱事業者は、原則として、あらかじめ本人の同意を得ないで要配慮個人情報を取得してはならないとされておりますので、そのように、それらを含む情報を本人の同意なく取得することは、原則として個人情報保護法違反に該当いたします。

○塩川委員 法違反に当たるということで。

 要配慮個人情報が収集をされているおそれがあるということは、個人情報保護委員会がオープンAIに対する注意喚起を行ったことにもそのことは明らかであります。ビッグテックを始めとして、事業者が法律違反を犯している疑いがある中で、個人情報保護委員会の対応が問われていると思います。

 その点で、罰則も余りに少額で、命令違反は百万円。EUの話もよく紹介されますけれども、GDPRでは最大で二千万ユーロ、あるいは前年度の会計における年間売上高の四%のいずれか高い方の額ということであります。個人情報保護法はAIの拡大に追いついていないというのが実態ではないのかと言わざるを得ません。

 それどころか、個人情報保護委員会では、AIの学習目的であれば、本人同意なしで第三者提供や公開されている要配慮個人情報の取得を可能とすることを検討している。これは個人情報保護の立場に逆行するものではありませんか。

○佐脇政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、現在、個人情報保護委員会ではいわゆる三年ごと見直しを行ってございまして、昨年六月には中間整理を公表し、意見募集を行い、その後も制度の基本的な在り方に関わる次元の論点について、改めて幅広く意見を聴取しながら検討を進めてまいりました。

 そうした検討の中におきまして、個人データ等の取扱いに対する同意などを含めました本人の関与の在り方を検討する場合には、本人の権利利益への直接の影響の有無などを切り口とすることが望ましいといった視座が得られたものでございます。

 これを踏まえまして、本年一月には、AI開発等を含む統計作成等のみを目的とした取扱いを実施する場合の本人同意の在り方というものを制度的論点の一つとして掲げまして、さらに、本年三月には、いわゆる三年ごと見直しの制度的論点の全体を改めて公表したわけでございますけれども、その中に、この論点につきましても、特定の個人との対応関係が排斥された統計情報等の作成にのみ利用されることが担保されていること等を条件に、本人同意なき個人データ等の第三者提供、公開されている要配慮個人情報の取得を可能としてはどうか、そういった規律の考え方を整理、お示ししたところでございます。

 この見直しに向けましては、この論点以外の論点も含めまして、制度全体につきまして引き続き検討を重ねてまいりたいと思います。

○塩川委員 個人情報保護委員会といっても、実際には利活用にシフトしていて、個人情報保護が棚上げ、ないがしろにされているということも厳しく問われているという点でも、本法案にも規制の新たな法整備がないという点では国民の要求に逆行するものだということを指摘をして、質問を終わります。

【内閣委員会】PFASの汚染源特定し原因者負担求めよ/全国10の自衛隊施設の汚染明らかに

 私は、栃木県内の下野市や宇都宮市で、発がん性が指摘される有機化合物PFASによる汚染が相次いで検出されている問題についてただしました。

 私は、上水に使用している地下水が汚染された下野市は、国に対し新たな水源井戸や浄化施設等の経費への支援を要望しているとして、対応を質しました。国土交通省は新たな水源井戸については財政支援可能としつつ、浄化施設については給水人口の要件が5万人未満となっているため、下野市は対象とならないと答弁しました。私は、下野市の給水人口は約5万7000人だと指摘し、「それで要件から外れて、被害を被っている住民に水道料金という形で負担を転嫁するのはおかしい」と強調しました。

 私は、汚染源を特定し原因者負担を求めていくことが重要だと述べ、防衛省に対し、防衛省・自衛隊施設における自己水源の水質結果について質問。防衛省は、小平(260ナノグラム)、東立川(343ナノグラム)、伊丹(53ナノグラム)、大久保(64ナノグラム)、宇都宮(112ナノグラム)、航空自衛隊の岐阜(86ナノグラム)、芦屋(2800ナノグラム)、府中(245ナノグラム)、山田分屯基地(58ナノグラム)、新田原(560ナノグラム)の施設の水源から暫定目標値を超えるPFOS・PFOAが検出されたと答えました。私は、宇都宮駐屯地の北にある北宇都宮駐屯地では、専用水道がありながらも使用していないという理由で調査が行われていないことを確認。「宇都宮駐屯地や北宇都宮駐屯地が汚染源である疑いがある」としてPFOSを含む泡消火薬剤の保管・使用実績や土壌調査を求めました。

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10基地PFAS目標値超/自衛隊 塩川氏に防衛省答弁

「しんぶん赤旗」4月12日・4面より

 発がん性などが指摘される有機フッ素化合物(PFAS=ピーファス)を巡り、防衛省は9日の衆院内閣委員会で、自衛隊10基地で国の暫定目標値(1リットルあたり50ナノグラム)を超えていたことを明らかにしました。日本共産党の塩川鉄也議員の質問に答えました。

 防衛省が今年3月までに基地内の水源を調査。目標値を超えていたと明らかにしたのは、陸自の小平(東京都)、東立川(同)、伊丹(兵庫県)、大久保(京都府)、宇都宮(栃木県)各駐屯地、空自の岐阜(岐阜県)、芦屋(福岡県)、府中(東京都)、新田原(宮崎県)各基地、山田分屯基地(岩手県)です。最も多かったのが芦屋の2800ナノグラムで、目標値の56倍に達しています。

 また、塩川氏は上水に使用している地下水がPFASに汚染された栃木県下野市は、水源井戸や浄化施設等の経費への支援を要望しているとして、対応をただしました。国土交通省は新たな水源井戸については財政支援可能としつつ、浄化施設については給水人口の要件が5万人未満となっており、下野市は対象外だと答弁しました。塩川氏は、下野市の給水人口は約5万7000人だと指摘し、「それで要件から外れて、被害を受けている住民に水道料金という形で負担を転嫁するのはおかしい」と強調しました。

 塩川氏は、宇都宮駐屯地や北宇都宮駐屯地が汚染源の可能性があると述べ、北宇都宮では、専用水道がありながらも使用していないという理由で調査が行われていないことを確認。両基地でPFOSを含む泡消火薬剤の保管・使用実績や土壌調査を求めました。


「議事録」

第217回通常国会 令和7年4月9日(水曜日)内閣委員会 第12号

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 発がん性が指摘をされる化学物質である有機化合物、PFASの汚染が全国で問題となっております。

 栃木県の下野市では、上水に地下水を使用しておりますが、二か所の井戸で国の暫定目標値を超えるPFASが検出をされました。市は、臨時給水所の開設や新たな井戸の掘削などの対応に追われております。

 先日、現地を訪問し、お話を伺ってまいりました。臨時給水所には、一週間に二回来ているという男性の方がいらっしゃいまして、二リットルのペットボトル十二本を抱えて給水に来ておられました。いつまでこんなことが続くのか、汚染源はどうなっているのかということを訴えておられました。

 また、付近の女性の方は、浄水器を買った人が近所でもたくさんいる、うちのは七万円くらいだった、市の補助があるけれども一万円ということでもあり、また、定期的にフィルター交換をしなければいけませんので、それに年間一万数千円かかると言われているという話をしておられました。

 大変な御苦労もある状況でありますし、下野市では畑に農業用の井戸を使用する、農作物への影響も懸念されているということも伺っているところです。

 そこで、国交省にお尋ねしますけれども、上水に使用している地下水がPFASに汚染された下野市は、水道水に関する対策への財政支援を要望しております。新たな水源井戸や浄化施設、緊急連絡管の整備、また水質検査、市民が購入する浄水器への補助及び臨時給水所設置に要する経費等の支援を国として行うことを考えてもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。

○松原政府参考人 お答え申し上げます。

 水道施設の整備や水質検査等を含め、水道事業の経営に要する経費については水道料金収入により賄うことが原則ではございます。

 その上で、施設整備に係る支援として、経営条件を判断する指標である資本単価に関する要件や給水人口に関する要件を満たす水道事業者等に対しまして、御指摘の新たな水源井戸や浄化施設、緊急連絡管の整備への財政支援を行うことができることとなっております。

○塩川委員 下野市の場合には、それが要件としては整っているということなんでしょうか。

○松原政府参考人 お答え申し上げます。

 浄化施設については、給水人口の要件を満たしていないものと承知しております。

 現在、環境省において、水道水中のPFAS及びPFOAの水道水質基準への引上げなどについてパブリックコメントを行ったところであり、今春を目途に方向性を取りまとめ、水道法に基づく省令を改正し、令和八年四月一日に施行する予定と聞いております。

 国土交通省としましては、このようなPFASに関する状況も踏まえつつ、引き続き必要な対応の検討を進めてまいります。

○塩川委員 そのようなパブコメを踏まえた対応として、その給水人口の要件などを変更するということがあるということなんでしょうか。

○松原政府参考人 お答え申し上げます。

 繰り返しになりますけれども、引き続き必要な対応の検討を進めてまいります。

○塩川委員 下野市は、やはりこういったPFASの汚染の問題、市民の皆さんから不安の声もあるということで、高度浄化施設を含めて対策を検討中と伺っております。

 補助メニューの話、給水人口の要件に届いていないという、対象とならない要件となっているということですけれども、この給水人口の要件というのは五万人とお聞きしています。下野市の給水人口というのは五万七千九百二十四人ということで、そういう意味では、それで要件から外れてしまうということで、被害を被っている住民の皆さんに結局水道料金という形で負担を転嫁をするというのはおかしいんじゃないのかという点でも、財政力が決して大きいとは言えない自治体に対して、要件緩和をしっかりと踏み込んで考えるべきではないのか。その点についてもう一度。

○松原政府参考人 お答え申し上げます。

 水道事業の経営に要する経費については水道料金で賄うことが原則でございますが、地形や水源等の条件により施設整備費が割高になるなど、経営条件が厳しい水道事業等を対象に財政支援を行っているところでございます。

 このため、資本単価要件や給水人口要件というものを設けているところではございますけれども、いずれにいたしましても、国土交通省としましては、PFASに関する状況も踏まえつつ、必要な対応の検討を進めてまいります。

○塩川委員 PFASというこれまでにない要件との関係でも、それに見合ったような支援策、国の財政措置を行う、このことを強く求めておくものであります。希望する市民の方への血液検査に対する財政支援を行うことなども必要なことだと思っております。

 その上で、やはり、汚染源を特定をし、原因者負担を求めていく、この立場が求められていると思います。

 そこで、下野市で暫定目標値を超える地下水が検出された二か所の水源というのは、下野市の北部に当たり、その北側には陸上自衛隊の宇都宮駐屯地があります。その宇都宮駐屯地内の井戸水からも暫定目標値を超えるPFASが検出をされています。

 油火災の消火のためにPFAS含有の泡消火薬剤を使用してきた。消火訓練なども恒常的に行われてきているわけであります。そういった点で、汚染源としての疑いもあるということで、防衛省の方にお尋ねしますが、防衛省・自衛隊施設における飲用に供している自己水源の水道施設についてPFOS等の水質検査を行ったと承知をしておりますが、その結果について、自治体に報告した事例に関連してお尋ねします。

 自治体に報告した自衛隊の施設の名称と、そこで検出をされたPFOS、PFOAの調査結果のデータ、この二点について、それぞれお答えいただけますか。

○森田政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛省としましては、今議員から御指摘ありましたように、隊員等の飲料水の安全確保の観点から、全国の自衛隊施設のうち、隊員の飲用に供する自衛隊施設内の水源を対象としまして、PFOS及びPFOAの調査を今年三月まで実施をいたしました。

 その結果、全国で合計十施設の水源から暫定目標値を超えるPFOS及びPFOAが検出されておりまして、これらの施設におきましては、井戸の運用を停止し、給水口に浄水器を設置するなど、対策を講じてございます。

 また、この調査の結果につきましては、関係自治体及び国土交通省へ情報提供を行っております。

 これらの水源につきましては、自衛隊施設内で使用する専用水道の独自水源でございまして、部外飲用水への供給をしているものではございません。

 具体的な駐屯地名というお尋ねだったと思いますけれども、陸上自衛隊の小平、東立川、伊丹、大久保、宇都宮、航空自衛隊の岐阜、芦屋、府中、山田分屯基地それから新田原、以上十か所でございます。(塩川委員「PFASの数値を。大きい値でいいです」と呼ぶ)数値、失礼しました。

 五十三ナノグラムから、一番大きなもので二千八百ナノグラムでございます。(塩川委員「いや、個別の十の駐屯地ごとに」と呼ぶ)はい。

 まず、岐阜基地におきましては、最大の検出値が八十六ナノグラム、小平におきましては二百六十ナノグラム、東立川におきましては三百四十三ナノグラム、伊丹におきまして五十三ナノグラム、山田分屯基地におきまして五十八ナノグラム、芦屋基地におきまして二千八百ナノグラム、府中基地におきまして二百四十五ナノグラム、新田原基地におきまして五百六十ナノグラム、大久保駐屯地におきまして六十四ナノグラム、宇都宮駐屯地におきまして百十二ナノグラムでございます。

○塩川委員 十の自衛隊施設で暫定目標値を超えるPFASが検出をされております。

 このように、多数の自衛隊施設でPFASが検出をされております。これ以外にも、海上自衛隊の下総航空基地などにおいても、基地内の排水口の三地点で暫定目標値を超えるPFASが検出をされております。浜松基地周辺でも暫定目標値を超えるPFASの検出の事例なども紹介はされているところであります。こういった、全国の自衛隊の施設においてPFASが検出をされるような状況がある。

 あわせて、宇都宮駐屯地の北側には北宇都宮駐屯地もあるんですけれども、この北宇都宮駐屯地内にも専用水道があると承知をしておりますが、これのPFASの検査実績というのはあるんでしょうか。

○茂籠政府参考人 お答えいたします。

 今御質問のありました北宇都宮駐屯地の専用水道につきましては、駐屯地の水量の全量を水道用水供給事業から受水をしているために、PFOS及びPFOAの検査をした実績はございません。

 以上です。

○塩川委員 専用水道としてはあるけれども、それを実際に使用していない、そういうことで調査をしていないということですか。

○茂籠政府参考人 委員御指摘のとおりでございます。

○塩川委員 環境省、国交省の方で、専用水道について、独自水源を持っているようなところについての調査を呼びかけたわけですけれども、自衛隊施設の中でも調べたところもあるんだけれども、実際にそういった専用水道があっても、今は使っていないからということで調査をしていないと。でも、実際にどれだけの汚染が広がっているかということを改めて明らかにする上でも、しっかりとしたPFASの検査を行う必要があると思っております。

 宇都宮駐屯地では、過去、PFAS含有の泡消火薬剤を使用してきたわけであります。宇都宮駐屯地に接する下野市北部で高濃度のPFAS汚染があることを指摘をしましたが、宇都宮駐屯地が所在をする宇都宮市内においても、周辺の十か所以上から暫定目標値を超えるPFASが検出をされています。宇都宮市として独自に調査を行った結果がその大半を占めております。

 その汚染されている地域の北側には北宇都宮駐屯地もあるわけで、こういった、宇都宮駐屯地また北宇都宮駐屯地が汚染源ではないのかという疑いがあるわけですけれども、こういうことについて、防衛省としてはしかるべく確認をすべきではありませんか。

○森田政府参考人 お答え申し上げます。

 PFOS等につきましては、これまでも様々な用途に日本国内において使用されてきたものと承知をしておりまして、現時点におきまして、PFOS等の検出と自衛隊との因果関係について確たることを申し上げることは困難だと考えております。

 その上で、宇都宮駐屯地及び北宇都宮駐屯地におきまして、PFOSを含む泡消火剤につきましては、化審法に基づく規制対象となりました平成二十二年四月以降、消火訓練や実火災での使用はなく、部外への流出事案もないことを確認しております。

 また、令和二年度末までに、保有していたPFOS含有の泡消火剤につきましては処分しておりまして、現在は保有をしていないという状況でございます。

 また、PFOAを含むものにつきましても、規制対象になった以降は使用がなくて、部外への流出等は確認されておりません。また、現時点で保有はないという状況でございます。

○塩川委員 最後に大臣に伺います。

 今言ったように、規制、禁止前にどう使ったのかを明らかにすべきなのに、その点についてのまともな調査をしないというのでは、市民の不安を解消することができません。

 そもそも、こういったPFAS類についての認識、体内にも、環境中にも長期にわたって残り続けるものですし、その点で、食品安全委員会がPFAS摂取量の規制値を定めましたけれども、米欧の基準に比べても、数十倍から数百倍の緩い値となっています。これでは国民の安心、安全を確保することができないのではないのか。それを大本から正していくことが必要だと思うんですが、大臣の認識を伺います。

○伊東国務大臣 有機フッ素化合物、PFASにつきましては、内閣府食品安全委員会におきまして、昨年六月にリスク評価報告書が取りまとめられたところであります。

 評価に当たりましては、耐容一日摂取量について、諸外国において数値が低いものから高いものまである中で、特に欧米において用いた科学的知見も含めて、最新の科学的知見を専門家が一つ一つ丁寧に精査をいたしました。その上で、それらの科学的根拠が何を意味するのか、それだけの重みがあるのかなどを総合的に判断して、耐容一日摂取量を設定したところであります。

 報告書では、まず、この耐容一日摂取量を踏まえた対応を速やかに取るとともに、高い濃度が検出された媒体に対する対応を進めることの必要性につきましても強調されておりまして、現在リスク管理機関におきまして検討中のリスク管理措置が速やかに講じられることが何よりも重要である、このように考えております。

 以上であります。

○塩川委員 規制値を定める論文の選定について非常に疑問があるという声もあるところであります。抜本的な規制策の強化を求めて、質問を終わります。

【本会議】能動的サイバー法案が可決/反対討論/国民への監視強化の危険深刻

 国民の通信情報を常時収集・監視し、政府の判断で警察や自衛隊が海外のサーバに侵入・無害化する「能動的サイバー防御法案」が8日の衆院本会議で、自民、立民、維新、国民民主、公明などの賛成多数で可決されました。日本共産党と、れいわ新選組は反対しました。

 私は反対討論で、同法案は「憲法と国際法を「踏みにじる」と批判し、廃案を求めました。

 私は、政府があらゆる民間事業者と協定を結ぶことで、本人の同意なく利用者の情報を吸いあげることが可能になると指摘。「(憲法21条に基づく)国民の『通信の秘密』侵害法案にほかならない」と批判しました。

 収集した情報の外国政府への提供も可能で、個人情報の目的外利用や第三者提供には本人の同意を事前に得るという大原則を無視していると強調しました。協定を通じ取得した情報は目的外利用の範囲に制限がなく、警察や自衛隊が自らの業務への使用も可能だと指摘。公安警察が市民運動を行う市民の個人情報を収集・提供したことが違法と断じられた大垣事件に触れ、「国民への監視強化の危険も深刻だ」と訴えました。 また、「無害化措置」について自衛隊や警察が、相手国の同意なく「疑い」だ けで実行すれば、「国際法違反の先制攻撃とみなされる危険がある」と強調。安保法制に基づく「重要影響事態」などの際、日本が武力攻撃を受けていないのに米国と交戦する国に行えば「『参戦』とみなされる。憲法9条を踏みにじり、 日本に戦争の危険を呼び込む」と批判しました。

 さらに、警察が犯罪処罰を超えて域外への実力行使が可能となり、「日本の警察のあり方を根底から覆す」と批判。裁判所の令状なく実行できる上、第三者機関は権力の濫用防止や人権を保障する機関ではないと述べ、「令状主義が形骸化し、警察の権限拡大につながる」と強調しました。 

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以下、討論の全文です。
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 私は、日本共産党を代表して、いわゆる「能動的サイバー防御」法案に対し、反対の討論を行います。
 反対理由の第一は、「通信の秘密」を根本から覆す違憲立法だからです。
 本法案は、サイバー攻撃の実態把握を口実として、送受信者の同意もなく、政府が電気通信設備から通信情報をコピーできるようにするものです。さらに、自治体を含む基幹インフラ事業者のみならず、あらゆる民間事業者と協定を結ぶことで、利用者情報の吸い上げを可能とします。まさに国民の「通信の秘密」の侵害法案に他なりません。
 自動選別により機械的情報のみを分析するといいますが、機械的情報はIPアドレスや指令情報など「通信の秘密」の対象となるものであることは政府自身も質疑で認めています。
 さらに、その自動選別も、特定のサイバー攻撃に関係する「機器などの探査が容易になると認めるに足りる状況のある情報」も含まれており、政府による恣意的な選別が行われる懸念はぬぐえません。
 また、収集した情報は、外国政府など第三者提供も可能です。そもそも個人情報は、必要以上に収集しないこと、目的外利用や第三者提供は事前に本人同意を得ることが大原則です。政府がこれらをことごとく無視するもので、極めて重大だと言わなければなりません。
 国民への監視強化の危険も深刻です。協定を通じて得た情報は、海外からのサイバー攻撃被害防止の目的以外にも利用できる規定が盛り込まれています。目的外利用の範囲に制限はなく、警察や自衛隊などが自らの業務に使用することも否定しませんでした。まさに公安警察が個人情報を収集・保有、提供したことについて違法と断じた大垣事件の判決をないがしろにするものであり、全く容認できません。
 反対理由の第二は、自衛隊と警察が、憲法と国際法が禁じる先制攻撃に踏み込む危険があるからです。
サイバー攻撃に関する世界の共通認識がいまだ形成途中であることは政府も認めるところです。そのような中、自衛隊と警察が海外の機器に対して侵入し、監視し、その機器を使えなくする「アクセス・無害化措置」を行えば、相手国から主権侵害と受け取られる危険があります。政府は国際法上の緊急状態によって違法性を阻却できると言いますが、そのように主張しているのは一部の国だけで、国際社会の共通認識とはなっていません。にもかかわらず、相手国の同意もなく、しかも「疑いがある」だけで、そのような措置にふみきれば、国際法違反の先制攻撃と評価される危険は否定できません。
 さらに政府は、自衛隊による「アクセス・無害化措置」について、いわゆるグレーゾーン事態や重要影響事態で、米軍が軍事行動を行う相手国のサーバーに発動できることを認めました。日本が武力攻撃を受けていないにもかかわらず、アメリカと交戦状態にある相手国に対して、日本が先制的に「アクセス・無害化措置」にふみきることになれば、日本の側から参戦してきたとみなされ、エスカレーションの引き金を引くことになりかねません。憲法9条をふみにじり、日本に戦争の危険を呼び込むものであり、断じて容認できません。
 また、警察が犯罪処罰を超えて安全保障に関わる域外の実力行使にふみこむことは、他国の領域主権を侵害し、日本の警察のあり方を根底から覆すものです。こうした行為を、裁判所の令状さえなく、第三者機関の承認などというまやかしで容認するものです。その第三者機関はあくまで法における措置の適正な実施を確保するための審査及び検査を行うための機関にすぎません。権力の濫用防止や、人権を保障する機関ではありません。戦前の反省のもと、警察権の乱用が起きないようとってきた令状主義の形骸化につながりかねず、警察の権限拡大そのものであり、全く認められません。
 以上、憲法と国際法をふみにじる本法案の廃案を求め、討論を終わります。


国民監視・戦争呼び込む危険/能動的サイバー法案/衆院通過/共産党反対/塩川氏が討論

「しんぶん赤旗」4月9日・1面より

 国民の通信情報を常時収集・監視し、政府の判断で警察や自衛隊が海外のサーバーに侵入・無害化する「能動的サイバー防御法案」が8日の衆院本会議で、自民、立民、維新、国民民主、公明などの賛成多数で可決されました。日本共産党、れいわ新選組などは反対しました。共産党の塩川鉄也議員は反対討論で、同法案は「憲法と国際法を踏みにじる」と批判し、廃案を求めました。(関連3・反対討論要旨4面)

 塩川氏は、政府があらゆる民間事業者と協定を結び本人の同意なく利用者情報を吸いあげることが可能になると指摘。「(憲法21条に基づく)国民の『通信の秘密』侵害法案にほかならない」と批判しました。

 収集した情報の外国政府への提供も可能で、個人情報の目的外利用や第三者提供には本人の同意を事前に得るという大原則を無視していると強調しました。協定を通じて取得した情報について、目的外利用の範囲に制限がなく、警察や自衛隊が自らの業務への使用も可能だと指摘。公安警察が市民運動を行う市民の個人情報を収集・提供したことが違法と断じられた大垣事件に触れ、「国民への監視強化の危険も深刻だ」と訴えました。

 また、「無害化措置」について自衛隊や警察が、相手国の同意なく「疑い」だけで実行すれば、「国際法違反の先制攻撃とみなされる危険がある」と強調。安保法制に基づく「重要影響事態」などの際、日本が武力攻撃を受けていないのに米国と交戦する国に行えば、「『参戦』とみなされる。憲法9条を踏みにじり、日本に戦争の危険を呼び込む」と批判しました。

 さらに、警察が犯罪処罰を超えて域外への実力行使が可能となり、「日本の警察のあり方を根底から覆す」と批判。裁判所の令状なく実行できる上、第三者機関は権力の乱用防止や人権を保障する機関ではないと述べ、「令状主義が形骸化し、警察の権限拡大につながる」と強調しました。


能動的サイバー防御法案/共産党の論戦が危険暴く/違憲 違法 廃案しかない

「しんぶん赤旗」4月9日・3面より

 8日に衆院を通過した「能動的サイバー防御法案」を巡っては、個人情報の監視・収集による憲法21条が保障する「通信の秘密」の侵害、自衛隊と警察が憲法と国際法が禁じる先制攻撃に踏み込んで戦争を招くリスク、警察に令状さえ不要な実力行使の容認など、日本共産党の国会論戦で、その危険な実態が浮き彫りになりました。

通信の秘密 根底から覆す

 法案は、政府が国民の通信情報を送受信者の同意なく電気通信設備からコピーできるとしています。日本共産党の塩川鉄也議員が「通信の秘密、プライバシー権の侵害そのものだ」と追及すると石破茂首相は「『通信の秘密』に対する制約は必要やむを得ない限度にとどまる」と侵害することを認めました。

 塩川氏は、電気・水道など基幹インフラ事業者と協定を結べば、その利用者の通信情報が政府に提供されることについて、重要インフラであればほぼすべての国民が利用者にあたると追及。内閣官房の小柳誠二審議官は、重要インフラ事業者に限らず、自治体、家電や自動車メーカーなどあらゆる民間事業者と協定さえ結べば、利用者の情報を吸い上げることが可能であると認めました。

 政府は「自動選別」でIPアドレス(ネットワーク上の住所)など「機械的情報」のみを分析するとしていますが、塩川氏の追及に対し小柳氏は「機械的情報」も「『通信の秘密』の保護を受ける」対象だと認めました。塩川氏は「自動選別」情報には「(政府が)機器などの探査が容易になると認めるに足りる情報」も含まれると指摘し、「恣意(しい)的な選別が行われる懸念はぬぐえない」と強調しました。まさに国民の「通信の秘密」を侵害する法案にほかなりません。

 法案は、収集した情報を外国政府など第三者に提供することが可能な仕組みです。日本共産党は、必要以上に収集せず、目的外利用や第三者提供は事前に本人同意を得るという個人情報保護の大原則をことごとく無視するもので極めて重大だと追及しました。

 塩川氏が、協定当事者の同意を得れば、取得した情報をサイバー攻撃の被害防止以外の目的に利用できる同法案の規定についてただすと、小柳氏は規定の存在を認めた上で、同規定が警察や自衛隊にも準用されると答弁しました。

 塩川氏が、警察や自衛隊がサイバー攻撃の被害防止とは無関係な自らの業務に取得した情報を利用できてしまうと追及すると、平将明デジタル相は「利用目的は必ずしも特定被害防止目的に限られない」と認めました。

 塩川氏は、脱原発運動や平和運動をしていた市民の個人情報を公安警察が収集・保有、提供したことを違法とする判決が出た「大垣事件」を挙げ、取得した情報が「市民運動を監視する目的で使われる可能性もある」と指摘しました。法案はこの判決をないがしろにするものです。

先制攻撃と評価 戦争招く

 法案は、警察や自衛隊が疑わしいと判断したサーバーに侵入・監視し、その機器を使用不能にする「アクセス・無害化措置」を可能としています。政府は、同措置を国外にあるサーバーなどに対し行う場合、「緊急状態」(緊急避難)等の国際法上の法理を援用するなどして、国際法上許容される範囲で実施するとしています。

 この点について塩川氏は、海外で緊急避難の「援用」が認められるとの見解を表明しているのはドイツ、オランダ、ノルウェーにとどまると指摘し、「援用」は「国際社会の共通認識にはなっていない」と追及。岩屋毅外相は「サイバー行動に適用される国際法について自国の詳細な立場を対外的に網羅的に明らかにしている国は一部にとどまる」と認めました。

 塩川氏は「通信の傍受や他国領域に存在する情報システムに対するサイバー行動そのものが主権侵害を構成し得る」(ブラジル)など他国の見解を示し、「無害化措置の根拠に緊急避難を挙げても相手国から主権侵害を主張される恐れがある」と批判しました。

 相手国の同意もなく「疑いがある」だけで同措置に踏み切れば、国際法違反の先制攻撃と評価される危険があります。

 日本共産党の赤嶺政賢議員は、平時でも有事でもない「グレーゾーン事態」や安保法制に基づく「重要影響事態」の際も、米国が軍事行動を行う相手国に対し同措置などが可能なのかと追及。「特定の事態の発生の有無にかかわらず可能」と述べた平氏に対し、「日本が武力攻撃を受けていないにもかかわらず措置に踏み切れば相手国から参戦してきたとみなされる」と批判しました。

 同措置が事態のエスカレーションの引き金を引くことになりかねません。憲法9条を踏みにじり、戦争の危険を呼び込むものです。

 政府が、同措置は令状の必要な捜査行為ではないとしていることについて塩川氏が警察権乱用の危険を指摘すると、平氏は、第三者機関の承認などがあるため「乱用する恐れはない」と強弁。塩川氏は、同機関は人権を保障する機関ではなく、中身がブラックボックスで、首相が任命する組織であり独立機関と言えないと反論しました。

 塩川氏は「警察が犯罪処罰を超えて安全保障に関わる域外の実力行使に踏み込むことは、他国の領域主権を侵害し、日本の警察のあり方を根底から覆す」と述べ、「戦前の反省のもと、警察権乱用が起きないようとってきた令状主義の形骸化につながりかねず、警察の権限拡大そのものだ」として廃案を迫りました。


「能動的サイバー防御」法案/塩川議員の反対討論(要旨)/衆院本会議

「しんぶん赤旗」4月9日・4面より

 日本共産党の塩川鉄也議員が8日の衆院本会議で行った「能動的サイバー防御」法案についての反対討論の要旨は次の通りです。

 反対理由の第一は、「通信の秘密」を根本から覆す違憲立法だからです。

 本法案は、サイバー攻撃の実態把握を口実に、送受信者の同意もなく、政府が電気通信設備から通信情報をコピーでき、自治体を含む基幹インフラ事業者やあらゆる民間事業者と協定を結ぶことで利用者情報の吸い上げを可能とします。

 自動選別で分析する機械的情報はIPアドレスや指令情報など「通信の秘密」の対象となると政府も質疑で認めています。特定のサイバー攻撃に関係する「機器などの探査が容易になると認めるに足りる状況のある情報」も含まれ、政府による恣意(しい)的な選別が行われる懸念はぬぐえません。収集情報は外国政府など第三者提供も可能です。個人情報は必要以上に収集せず、目的外利用や第三者提供は事前に本人同意を得るのが大原則です。これらを無視するもので極めて重大です。

 協定で得た情報は海外からのサイバー攻撃被害防止目的以外にも利用できる規定が盛り込まれ、目的外利用の範囲に制限はなく、警察や自衛隊などが業務に使用することも否定しませんでした。公安警察の個人情報収集・保有、提供は違法と断じた大垣事件判決をないがしろにするものです。

 反対理由の第二は、自衛隊と警察が、憲法と国際法が禁じる先制攻撃に踏み込む危険があるからです。

 サイバー攻撃に関する世界の共通認識はいまだ形成途中で、自衛隊と警察が海外の機器に侵入し、監視し、使えなくする「アクセス・無害化措置」を行えば、相手国から主権侵害と受け取られる危険があります。政府は国際法上の緊急状態によって違法性を阻却できると言いますが、そう主張するのは一部の国だけで、国際社会の共通認識ではなく、相手国の同意もなく「疑い」だけでそのような措置にふみきれば、国際法違反の先制攻撃と評価される危険は否定できません。

 政府は、自衛隊による「アクセス・無害化措置」を、グレーゾーン事態や重要影響事態で、米軍が軍事行動を行う相手国のサーバーに発動できると認めました。日本が武力攻撃を受けていないのに、米国と交戦状態にある相手国に先制的に「アクセス・無害化措置」にふみきれば、日本から参戦してきたとみなされかねず、憲法9条をふみにじり、日本に戦争の危険を呼び込むものです。

 警察が犯罪処罰を超えて安全保障に関わる域外の実力行使にふみこむのは、他国の領域主権を侵害し、警察のあり方を根底から覆し、こうした行為を裁判所の令状もなく第三者機関の承認などのまやかしで容認するものです。第三者機関は法における措置の適正な実施を確保するための審査や検査を行う機関にすぎず、権力乱用防止や人権保障の機関ではなく、令状主義を形骸化させかねず、警察の権限拡大そのものです。


「議事録」

第217回通常国会 令和7年4月8日(火曜日)本会議 第17号

○塩川鉄也君 私は、日本共産党を代表して、いわゆる能動的サイバー防御法案に対して、反対の討論を行います。(拍手)

 反対理由の第一は、通信の秘密を根本から覆す違憲立法だからです。

 本法案は、サイバー攻撃の実態把握を口実として、送受信者の同意もなく、政府が電気通信設備から通信情報をコピーできるようにするものです。さらに、自治体を含む基幹インフラ事業者のみならず、あらゆる民間事業者と協定を結ぶことで、利用者情報の吸い上げを可能としています。まさに、国民の通信の秘密の侵害法案にほかなりません。

 自動選別により機械的情報のみを分析するといいますが、機械的情報は、IPアドレスや指令情報など、通信の秘密の対象となるものであることは政府自身も質疑で認めております。

 さらに、その自動選別も、特定のサイバー攻撃に関係する機器などの探査が容易になると認めるに足りる状況のある情報も含まれており、政府による恣意的な選別が行われる懸念は拭えません。

 また、収集した情報は、外国政府など第三者提供も可能です。そもそも個人情報は、必要以上に収集しないこと、目的外利用や第三者提供は事前に本人同意を得ることが大原則です。政府がこれらをことごとく無視するもので、極めて重大だと言わなければなりません。

 国民への監視強化の危険も深刻です。協定を通じて得た情報は、海外からのサイバー攻撃被害防止の目的以外にも利用できる規定が盛り込まれています。目的外利用の範囲に制限はなく、警察や自衛隊などが自らの業務に使用することも否定しませんでした。まさに公安警察が個人情報を収集、保有、提供したことについて違法と断じた大垣事件の判決をないがしろにするものであり、全く容認できません。

 反対理由の第二は、自衛隊と警察が、憲法と国際法が禁じる先制攻撃に踏み込む危険があるからです。

 サイバー攻撃に関する世界の共通認識がいまだ形成途中であることは、政府も認めるところです。そのような中、自衛隊と警察が海外の機器に対して侵入し、監視し、その機器を使えなくするアクセス・無害化措置を行えば、相手国から主権侵害と受け取られる危険があります。政府は国際法上の緊急状態によって違法性を阻却できると言いますが、そのように主張しているのは一部の国だけで、国際社会の共通認識とはなっていません。にもかかわらず、相手国の同意もなく、しかも疑いがあるだけでそのような措置に踏み切れば、国際法違反の先制攻撃と評価される危険は否定できません。

 さらに、政府は、自衛隊によるアクセス・無害化措置について、いわゆるグレーゾーン事態や重要影響事態で、米軍が軍事行動を行う相手国のサーバーに発動できることを認めました。日本が武力攻撃を受けていないにもかかわらず、アメリカと交戦状態にある相手国に対して日本が先制的にアクセス・無害化措置に踏み切ることになれば、日本の側から参戦してきたとみなされ、エスカレーションの引き金を引くことになりかねません。憲法九条を踏みにじり、日本に戦争の危険を呼び込むものであり、断じて容認できません。

 また、警察が犯罪処罰を超えて安全保障に関わる域外の実力行使に踏み込むことは、他国の領域主権を侵害し、日本の警察の在り方を根底から覆すものです。こうした行為を、裁判所の令状さえなく、第三者機関の承認などというまやかしで容認するものです。その第三者機関は、あくまで、法における措置の適正な実施を確保するための審査及び検査を行うための機関にすぎません。権力の濫用防止や人権を保障する機関ではありません。戦前の反省の下、警察権の濫用が起きないよう取ってきた令状主義の形骸化につながりかねず、警察の権限拡大そのものであり、全く認められません。

 以上、憲法と国際法を踏みにじる本法案の廃案を求め、討論を終わります。(拍手)

市議選が目前に迫った飯能市で街頭演説会

 金子としえ・新井たくみ・滝沢おさむの各市議と新人の山口のりひろさんと訴え!

 帯状疱疹予防接種助成や運転免許証自主返納者への奨励金など豊かな実績。

 学校給食費無料化、国保税値上げストップを!

 物価高騰には消費税減税。

 5%への引下げで12万円の減税に。


子育て・老後安心の飯能市へ/埼玉/塩川氏迎え街頭演説

「しんぶん赤旗」4月8日・10面より

  埼玉県飯能(はんのう)市の日木共産党は6日、20日告示(27日投票)の市議選(定数19)の勝利をめざし、塩川鉄也国対委員長・衆院議員を迎えて街頭演説を行いました。

 現有3議席からの議席増をめざす、金子としえ、新井たくみ、滝沢おさむ=以上現=、山囗のりひろ=新=の4候補が決意表明しました。

 4候補は、現市政は自然豊かな阿須山中の里山を壊してメガソーラー事業を続行し、国民健康保険税の連続値上げを進め、10月からは下水道科金の25%値上げも計画していると批判。共産党市議団が、市民の願い実現ヘインボイス制度の廃止を求める請願などを採択させてきたことや、学校・保育所の給食無償化、市独自の返済不要の奨学金制度創設、地域公共交通の充実などの政策を語り「市民の声が届き、子育ても老後も安心の飯能市をつくります。4人そろって押し上げてください」と呼びかけました。

 塩川氏は、トランプ米大統領の一方的な関税政策に抗議し、企業・団体献金の禁止や消費税減税、高額療養費の負担上限引き上げの撤回、大軍拡より暮らしを守る予算の実現などを求めていくためにも、市議選は重要だと強調。「共産党か議席を伸ばすことが、国の政冶にもおかしいと声をあげる大きな力になる」と訴えました。

栃木県下野市内のPFAS調査

 水道水に地下水を使う下野市では、2カ所の取水源から暫定目標値を超えるPFASを検出(現在、取水停止)。

 市は給水車による給水や浄水器の購入補助を実施。

 住民の方は「週2回、水を取りに来ている。いつまで続くのか」「浄水器を買った。フィルター交換にもお金がかかる」と。

 自治体、住民に対する国の財政支援の実施や汚染源の特定が必要。

 下野市に隣接する陸自宇都宮駐屯地では暫定目標値を超えるPFASが検出されている。

 周辺の宇都宮市域でも高濃度のPFASが検出されている。

 PFAS含有の泡消火薬剤を使用したことのある自衛隊施設内の調査をさらに求めていきたい。