日本共産党綱領と日本の未来を語る「夏のつどい」/宇都宮

 宇都宮市内で、山下副委員長が党の魅力を縦横に語りました。

 参加者から「今日の話はどれも納得」「意見の違いを戦争にせず、乗り越えていく日本共産党の提案に共感」「共産党の名前に引っかかっていたけど、今日の話で誤解が解けた」と。

原水爆禁止国民平和大行進の狭山出発集会に参加

 被爆者をはじめ核廃絶を願う世界の世論と運動が核兵器禁止条約の実現につながった。

 禁止条約は、核保有国の手を縛る役割を発揮している。

 禁止条約に背を向け、核抑止論にしがみつく日本政府に署名を迫ろう!署名しないならば、政府そのものを変えよう!

【衆院選挙制度抜本改革超党派議連】選挙制度協議機関設置を要請

    全ての会派で構成される正式な選挙制度協議機関を国会に設置するよう 額賀衆院議長に要請。

 私は、有識者に丸投げするのではなく、大政党に振り回されることなく、国民の声に耳を傾ける協議の場とすることを求めました。

 議連として勉強会を行うことも確認。

【しんぶん赤旗掲載】通常国会150日/政権追い詰めた共産党の論戦(1)

「しんぶん赤旗」6月24日・1、3面より

裏金 核心に迫る

 通常国会が23日に閉会しました。自民党の裏金事件で国民の政治不信が頂点に達しても、岸田政権は真相究明に背を向け、「抜け穴」温存の大改悪法を強行。さらに「経済無策」を続ける一方で、「戦争国家」づくりの数々の悪法を押し通しました。どの問題でも“自民党政治はもうダメだ”という行き詰まりが示される中、国民の怒りと運動を広げ、岸田政権を窮地に追い詰める抜群の役割を果たした日本共産党の論戦を振り返ります。

 「赤旗」日曜版のスクープをきっかけに政権を揺るがす大問題となった自民党の組織的な裏金づくりが、今国会最大の焦点になりました。前代未聞の裏金事件を起こしながら、真相を隠蔽(いんぺい)し、金権腐敗政治を温存しようとする岸田文雄首相に対し、一貫して徹底的な真相究明に奮闘し、真の政治改革とは何かを太く明らかにしたのが日本共産党です。

組織的犯罪行為

 自民党議員の2割を超える82人が組織的に関与した裏金事件。裏金がどうして始まり、何に使われたのか、根本を明らかにするための追及が繰り返されました。

 「自民党による組織的犯罪行為という認識はあるか」―。日本共産党の田村智子委員長は3月5日の参院予算委員会で、裏金事件の違法性をどう認識しているのかという問題の核心をただしました。

 田村氏は、自民党がまとめた裏金事件の「聞き取り調査」などから浮かび上がった(1)派閥による犯罪行為の指導(2)所得隠しの悪質な所得税法違反の可能性(3)裏金が選挙買収に使われた疑惑―の3点を追及。紛れもない組織的犯罪であることを明確に示して迫るも、岸田首相は「組織的犯罪という定義は承知していない」と、ごまかしの答弁に終始しました。

政倫審を開くも

 今国会では日本共産党などの求めに応じ、真相解明のための政治倫理審査会(政倫審)が開かれました。岸田首相をはじめ自民党の派閥幹部などが出席し弁明したものの、真相は何一つ語らずじまい。残りも、衆院で44人、参院で29人の出席と説明が求められていますが、いまだに誰一人応じていません。

企業献金禁止が国民的世論に/賄賂性を追及しリード

 清和政策研究会(安倍派)を巡っては、裏金づくりの違法性の認識を派閥幹部で共有していた可能性が浮上しました。日本共産党の塩川鉄也議員は3月1日の衆院政倫審で、安倍派がいったん裏金づくりをやめると決めながら復活させた経緯を追及。幹部会合で「還流分を“合法的”に出す案」が示されたことを指摘し、「違法性の認識があったからではないか」と厳しく批判しました。その後、幹部の発言内容に食い違いが生じるなど疑惑がますます深まる事態に…。

 誰が裏金づくりを始めたのか。山下芳生議員は同14日の参院政倫審で、安倍派幹部らの証言から、裏金づくりが始まった時期は1997~2000年の間だと推察されると指摘。「この間の清和会の会長はだいたい森喜朗元総理だ」と追及しました。キーパーソンである森元首相の参考人招致、証人喚問を求める世論が一気に高まりました。

 ところが、その後、岸田首相が森元首相に行ったという「電話での聞き取り」は、第三者の立ち合いもない形だけのものだったことが明らかになっています。さらにこの間、安倍派の会計責任者の公判での証言で、政倫審で弁明した幹部らの発言が偽りだった疑いも浮上。このまま幕引きを許すわけにはいきません。

肝心要が欠落の自民案

 「政治資金パーティー券の購入者の公開基準の引き下げや、政策活動費改革を含む、政治資金規正法改正を実現することができた」―。岸田首相は事実上国会閉会となった6月21日の会見で、「政治改革」の「成果」を強調しました。

 今回の裏金の原資は政治資金パーティー収入という「抜け穴」を利用した企業・団体献金です。パーティー券購入も含めた企業・団体献金の全面禁止こそ、最大の再発防止策になります。

 日本共産党は参院に「企業・団体献金全面禁止法案」と「政党助成法廃止法案」を提出し、金権腐敗の根を大本から断つ抜本的な提案を示して論戦に臨みました。

 企業・団体献金は本質的に賄賂性を持ちます。見返りを求める企業・団体からの巨額の献金が自民党に流れ込み、政治がゆがめられてきたことこそ、今回の裏金問題の本質です。

 山添拓議員は10日の参院決算委員会で、自民党が日本建設業界連合会(日建連)に額まで示して献金を依頼している「献金あっせん」の実態を告発。日建連加盟企業から自民党への献金が10年間で20億円を超える中、政府が日建連の要望通りの予算編成の仕組みを実現していることを示し、「自民党が政策に値札を付けて売ってきた」と厳しく批判しました。

 一方で自民党が提出した規正法改定案(自民案)は、肝心要の企業・団体献金禁止がすっぽりと抜け落ちています。それどころか、政治資金の流れをさらに不透明化する改悪の内容も審議を通じて明らかになりました。

真の改革 共産党2法案

 自民党が幹事長などの役職者に対して支給してきた巨額の「政策活動費」。使途の詳細は全く明かされず、規正法の趣旨に反する脱法的な闇金です。塩川氏は3日の衆院政治改革特別委員会で、自民案が、規正法上規定のない政策活動費を初めて法定化=合法化するものだと明らかにしました。

 自民案は官報や都道府県の公報への政治資金収支報告書の「要旨」の作成・公表義務を削除しています。山下氏は17日の参院政治改革特委で、「規正法の目的である政治活動に対する『国民の不断の監視』を後退させるものだ」と批判。専門家からも「要旨の作成を廃止すれば、過去3年を超える政治資金に関する公的な資料がなくなり、政治資金の監視に困難を伴う」(上脇博之神戸学院大学教授)との指摘があがっていることを突き付けました。

 参院では日本共産党が「企業・団体献金全面禁止法案」など2法案を提出したため、党議員が法案提出者として質問に答える場面もありました。井上哲士議員は10日の参院政治改革特委で、「大企業や業界は選挙権は持たないが、個人の力を超える巨大な財力を持っている。その力で政治を左右することは国民の基本的人権である参政権を侵害する」と指摘し、共産党は「政治改革の核心として企業・団体献金をパーティー券購入も含め全面禁止することを提案している」と説明。17日の同委でも答弁に立ちました。

 真の政治改革を求め、法案を30年間国会に提出し続けてきた日本共産党の論戦を力に、いま、企業・団体献金禁止を求める声が国民的世論となっています。カネの力でゆがめられる政治をこのまま続けさせるわけにはいきません。

【しんぶん赤旗掲載】金権腐敗政治一掃しよう/さいたま/塩川・岩渕・伊藤氏ら訴え

「しんぶん赤旗」6月22日・10面より

 通常国会が事実上閉会した21日、さいたま市のJR浦和駅東口で宣伝し、城下のり子県議や、さいたま市議団とともに訴えました。

 岩渕氏は.「大企業からの自民党への献金が政治をゆがめ、働く人の賃金か上からず、暮らしが良くならなかった。こんな政治を変えよう」と強調。伊藤氏は、憲法が保障する団体自治、住民自治を踏みにじる改定地方自治法が成立するなど、岸田政権の憲法破壊の動きを批判し「立憲主義に基づいた国づくりを、市民と野党の共闘で取り戻そう」と呼びかけました。

 私は、自民党の裏金事件を受けた改定政冶資金規正法について、企業・団体献金を禁止せず、政策活動費を合法化するものだと批判。「自民党は逃げ切ったと思っているかもしれないが、とんでもない。総選挙では金権腐敗政冶を一掃し、国民が主人公の政冶を貫く共産党を大きく伸ばしてください」と訴えました。

 訴えに立ち止まる人や、うなずきながら聞く人も。77歳男性は「裏金問題の真相が明らかにされないまま、抜け穴だらけの改定政治資金規正法が強行されたことに怒り心頭です。こんな政治を変えたい」と話しました。

 

【しんぶん赤旗掲載】衆院選挙制度/抜本改革へ/超党派議連が発足/約100人入会

「しんぶん赤旗」2024年6月21日・2面より

 現行の衆院・小選挙区比例代表並立制に代わる抜本的な選挙制度改革の実現に向け、超党派の議員連盟が18日、国会内で設立総会を行いました。衆院議員の福島伸享(有志の会)、塩川鉄也(日本共産党)などの各氏が呼びかけたもの。自民、立民、維新、公明など全会派から約100人の議員が入会しました。

 同議連は、「政治改革」から約30年がたち、相変わらず政治とカネの問題が相次いでいることなどをあげ、日本の政治システムの機能不全の根本原因として、小選挙区比例代表並立制の導入による「政治システムの硬直化、政治家自身の劣化」を指摘。抜本的な選挙制度の改革を実現するため、現行制度の「問題点を共有し、新たな選挙制度の実現に向けた共通認識を醸成する」ことを目的としています。今後、有識者の意見を聞くなどの活動を行います。

百里基地周辺の視察

 16日、川井ひろこ茨城2区予定候補らと百里基地周辺の視察。

 核・化学・生物兵器攻撃にも対処するという基地強靭化の施設整備として、200棟近い建物の建替や改修が計画されています。アラート待機用の格納庫の整備、航空機隠蔽用施設、分散パッドなどの建設も予定されています。およそ10年間で300~500億円の施設整備費をつぎ込む大軍拡の一環です。

 百里基地には、航空機火災の泡消火薬剤に由来するPFAS汚染の懸念や火薬取締法に抵触する火薬庫の保安距離が不足していた問題もあります。

 百里平和公園には、今年2月に建立した憲法9条の碑があります。「政府の行為によって再び戦争の惨禍がおこることのないようにすることを決意」し、戦争準備でなく、戦争させない政治の実現のために全力を挙げます。

茨城革新懇総会で国政報告

 金権腐敗政治一掃、暮らしと営業を守る経済再生プラン、東アジア平和構築への提言を訴え!

 岸田大軍拡の下、百里基地の強靭化の計画が進んでいる。200近い施設の建替・改修のマスタープランを策定中。

 戦火を呼び込む戦争準備の政治でなく、憲法9条の平和の準備の政治こそ!


政治革新へ出番の情勢/茨城革新懇総会塩川氏国会報告

「しんぶん赤旗」6月22日・10面より

 水戸市で15日、平和・民主・革新の日本をめざす茨城の会(茨城革新懇)の第42回定期総会が開かれ、国会報告を行いました。

 開会あいさつで田中重博代表世話人(茨城大学名誉教授)は「4月の衆院3補選での野党の勝利は、共闘分断攻撃を乗り越え、市民と野党の共闘の再構築が可能なことを示した」と強調しました。

 私は、自民・公明両党と日本維新の会が合意した政冶資金規正法改正案について「肝心かなめの企業・団体献金の禁止がなく、不透明な政策活動費の廃止もない。規正法の中核部分である公開の原則も後退させる重大な改悪だ」と批判し、「世論と運動を広げ参院での廃案を」と訴えました。

 来賓の二見伸明氏 (元公明党副委員長)は「県内で地域革新懇ゼロの地域をなくそう」と呼ひかけました。上野高志党県委員長は「自民党政冶が末期的状況に陥り、新しい政冶が切望されている。政治革新へ革新懇運動の出番の情勢だ」と述べました。

 討論では民青同盟や、茨城労連、茨商連、農民連、新婦人、原水協などの代表が、要求運動や草の根での取り組みを発言しました。

北関東キャラバン宣伝/水戸

 水戸市内で高橋誠一郎茨城1区予定候補らと。

 裏金問題の反省もなく、企業・団体献金温存、政策活動費合法化、政治資金の収支公開の後退など、規正法改悪の自民・公明・維新に審判を!企業団体献金、政策活動費、政党助成金の廃止をめざす日本共産党の法案の実現こそ!

北関東キャラバン宣伝/川口・浦和・大宮

  川口駅、浦和駅、大宮駅で、北関東ブロック宣伝行動。

 足を止め、応援してくれるたくさんの人。「自民党のカネはひどい。赤旗が暴露したこと知ってる。頑張って!」「テレビで質問見たよ」。

 民青埼玉作成のボード「大学学費値上げ反対!」を見て、小学生が「お母さん、いいこと書いてる!」。

 

 


比例候補/各地キャラバン/ミサイルより教育/塩川・梅村氏/埼玉

「しんぶん赤旗」6月9日・4面より

 総選挙の比例北関東ブロックでの日本共産党の2議席獲得をめざすキャラバン宣伝が始まりました。私と衆院北関東比例予定候補の梅村さえこ元衆院議員が、埼玉県の川口、浦和、大宮の各駅前で訴えました。

 梅村氏が東京大学の学費値上げ問題に触れると、通りかかった学生たちが「東大で値上げ?」と反応する姿も。梅村氏は「ミサイルを買うより、教育予算を増やそう。大学の入学金は廃止し、学費を半額に」と訴えました。

 私は、自公と維新の賛成によって衆院を通過した政治資金規正法改定案について、企業・団体献金禁止が抜け落ち、政策活動費を合法化するものだと批判。「共産党を大きく伸ばし、政治とカネ問題の一掃を」と呼びかけました。

 川口駅前では、おくだ智子衆院埼玉2区予定候補、大宮駅前では山本ゆう子同5区予定候補が訴えました。

 川口駅前では「しんぶん赤旗」日曜版の見本紙を配布し、受け取ってじっくり読む人も。大宮駅前では、日本民主青年同盟が学費値上げ反対の署名を呼びかけました。

 浦和駅前で訴えに足を止め、拍手していた女性(46)は「3人の子育て中で、一番上は中学生だから、これからお金がかかる。学費が下がったら助かります」と話しました。

 

【本会議】政治資金規正法自民党案が衆院通過/企業・団体献金禁止せず、政策活動非合法化、収支公開改悪/反対討論

 自民党が提出し、昨日に修正した政治資金規正法改正案が、今日の衆議院本会議で、自民、公明、維新の賛成多数で可決されました。

 この法案は、企業・団体献金の禁止には全く触れず、脱法的な政策活動費を合法化し、収支公開を改悪させる内容です。

 日本共産党、立憲民主党などが反対しました。

 私は反対討論に立ち、裏金事件の当事者である自民党が真相究明に背を向けたまま提出した法案には、企業・団体献金の禁止がすっぽり抜け落ちているとして「国民の要求にこたえるものではない」と指摘しました。

 裏金事件は自民党派閥の政治資金パーティー収入を原資とした組織ぐるみの違法行為。企業・団体による献金の禁止、その抜け道であるパーティー券購入の禁止が、再発防止に不可欠だと主張しました。

 企業・団体献金は、本質的に政治を買収する賄賂であり、国民の権利である参政権を侵害するものだとのべ、「金権腐敗政治根絶の核心は、企業・団体献金の全面禁止だ」と強調しました。

 また、「政策活動費を合法化し、温存することは重大な改悪だ」と主張。

 岸田総理も、政策活動費は現行法に規定がなく、だから法定化すると述べ、合法化する法案だと認めざるを得なかったと指摘。「政策活動費はきっぱり廃止すべきだ」と主張しました。

 さらに、収支報告書の要旨の作成・公表義務の削除する規定について、要旨すらなくなれば、政治資金の流れは見えなくなる。不祥事を隠蔽するものだと批判。

 国民の監視を妨害する要旨作成の廃止はやめるべきだ、と主張しました。

 私の反対討論(5分)は、以下のYouTubeからご覧ください。


裏金幕引き改定案/衆院通過政治資金規正法/共産党は反対

「しんぶん赤旗」6月7日・1面より

 自民党が提出し、修正された政治資金規正法改定案が6日の衆院本会議で、自民、公明、日本維新の会の賛成多数で可決されました。日本共産党、立憲民主党、国民民主党などは反対しました。

 私は討論で、裏金事件の当事者である自民党が真相究明に背をむけたまま提出した法案は企業・団体献金禁止が抜け落ちているとして「国民の要求に応えるものではない」と指摘。裏金事件は自民党派閥の政治資金パーティー収入を原資とした組織ぐるみの違法行為であり、企業・団体献金とその抜け道であるパー券購入の禁止が再発防止に不可欠だと主張しました。

 企業・団体献金は本質的に政治を買収する賄賂であり、国民の参政権を侵害すると述べ「金権腐敗政治根絶の核心は、企業・団体献金の全面禁止だ」と強調しました。

 また「政策活動費を合法化し温存することは重大な改悪だ」と強調。岸田首相も、現行法に規定がないから「法定化する」と述べ、政策活動費を合法化する法案だと認めたとして「きっぱり廃止すべきだ」と求めました。

 収支報告書の要旨の作成・公表義務を削除する規定について、政治資金の流れを見えなくし、不祥事を隠蔽(いんぺい)するものだと指摘。国民監視の妨害をやめるよう主張しました。

 

 
 

「議事録」

第33号 令和6年6月6日(木曜日)

○塩川鉄也君 私は、日本共産党を代表し、自民党提出の政治資金規正法改正案と修正案に反対の討論を行います。(拍手)

 まず、法案及び修正案について、条文を吟味する時間も与えず、僅かな質疑時間、拙速な審議で採決をしたことは重大であります。民主政治の健全な発達に寄与することを目的とする政治資金規正法の審議でこのような暴挙を行ったことに、強く抗議をするものであります。

 裏金事件の真相を徹底解明し、再発防止の抜本改革を実現することは、今国会に課せられた重要な責務であります。ところが、当事者である自民党が真相究明に背を向けたまま提出した法案は、肝腎要の企業、団体による献金や政治資金パーティー券購入の禁止がすっぽり抜け落ちているではありませんか。到底、国民の要求に応えるものではありません。

 裏金事件は、自民党派閥のパーティー収入を原資とした組織ぐるみの違法行為です。企業・団体献金を禁止し、その抜け道である企業、団体によるパーティー券購入を禁止することが再発防止に不可欠です。修正案は、パーティー券購入の公開基準を五万円超にしたと言いますが、一回当たりにすぎず、複数回に分ければ、これまでと何ら変わるものではありません。抜け道を温存するものです。

 営利を目的とする企業は、金を出せば必ず見返りを期待するものであり、企業・団体献金は、本質的に政治を買収する賄賂です。選挙権を持たない企業が巨大な資金力で政治に影響力を行使し、金の力で政治をゆがめることは、国民一人一人の権利である参政権を侵害するものです。金権腐敗政治根絶の核心は、企業・団体献金の全面禁止です。企業・団体献金を聖域とする自民党案は、国民の願いを裏切るものであり、断じて認められません。

 第二に、政策活動費を合法化し、温存することは、重大な改悪であります。

 自民党は、政策活動費と称して、政党本部から政治家個人に巨額の資金を支出してきました。政策活動費は政党のために使う支出だと言いますが、政党の支出であれば、そのまま収支報告書に支出を記載すればよいのであります。現行法に規定がないにもかかわらず、政治家を迂回させることで支出の実態を隠そうとするものであり、収支を全て公開するという規正法の趣旨に反する脱法行為であります。

 しかも、岸田総理は、政策活動費は法律に基づいて認められていると強弁する一方で、現行法に定めがないことも認め、だから今回法定化すると述べ、脱法行為を合法化する法案であることを認めざるを得ませんでした。

 さらに、維新の会との合意による修正案で政策活動費の上限を定め、十年後には支出状況を公開するかのように言っていますが、提案者は、上限額も公開内容も、今後の検討で結論を得ると繰り返すだけでした。政策活動費に固執している自民党と維新で、都合のいい制度をつくろうというものであります。政策活動費はきっぱり廃止すべきです。

 第三に、自民党案が収支報告書の要旨の作成、公開義務を削除したことは、規正法の柱である収支公開に逆行するものです。

 収支報告書の根幹部分が記載されている要旨すらなくなれば、収支報告書の公開三年後には、政治資金の流れが全く見えなくなります。裏金事件が起きても、過去に遡って金の流れを検証し、政治的、道義的責任を明らかにすることができなくなるのであります。不祥事を隠蔽するものと言わざるを得ません。国民の不断の監視と批判の下に置くとした規正法の基本理念を貫き、収支報告書は公的に永久に残すことこそ必要です。国民の監視を妨害する要旨作成の廃止はやめるべきです。

 日本共産党は、企業・団体献金、政党助成金を一切受け取らず、政治資金パーティー券購入を含む企業・団体献金禁止法案をこの三十年間、国会に提出し続けてきました。その実現に全力を挙げることを申し述べ、討論を終わります。(拍手)

【政治改革特別委員会】裏金事件再発防止にも抜本改革にもならない、政治資金規正法の自民党案/衆院の委員会で可決

 政治資金規正法改正案などの採決が行われ、自民党が提出した改定案が、自民、公明、維新の賛成多数で修正のうえ可決しました。日本共産党は、反対しました。

 自民党は、企業・団体献金の禁止に触れず、政策活動費を合法化し、収支公開に逆行するものです。

 私は、反対討論で、「裏金事件の当事者である自民党が真相究明に背を向けたままだ」と指摘し。「自民党提出の法案と修正案は、再発防止にも抜本改革にもならない」と強調しました。

 私は、自民党案で抜け落ちている企業・団体による献金や政治資金パーティー券購入の禁止こそが「再発防止に不可欠だ」と主張。「企業・団体献金は、本質的に政治を買収する賄賂」「選挙権を持たない企業が巨大な資金力で政治を歪めることは国民の参政権を侵害する」と主張しました。

 私は、現行法に規定がない政策活動費は「規正法の趣旨に反する脱法行為だ」と指摘。自民案は「政策活動費を新たに法定化し、堂々とやれるようにしようというものだ」と批判。さらに、修正案に盛り込まれた10年後公開の検討は「政策活動費に固執している自民と維新で都合がいい制度をつくろうというものだ。政策活動費の合法化、温存は認められない」と強調しました。

 また、自民党案が収支報告書の要旨の作成・公開義務を削除したことは、規正法の柱である「収支公開」に逆行するものだと指摘。「過去の不祥事を隠蔽するもの」と批判し、要旨作成の廃止はやめるべきだと主張しました。


衆院特委/規正法改定案を可決/企業・団体献金も政策活動費も温存/共産党反対「抜本改革できず」

「しんぶん赤旗」6月6日・1面より

 自民党が提出した政治資金規正法改定案は5日の衆院政治改革特別委員会で、自民、公明と日本維新の会の3党の賛成多数で修正のうえ可決しました。自民党の改定案は、企業・団体献金の禁止に触れず、政策活動費を合法化し、収支公開に逆行するもの。日本共産党と立憲民主党などは反対しました。

 私は反対討論で「裏金事件の当事者である自民党が真相究明に背を向けたままだ」と指摘し、「自民党提出の法案と修正案は、再発防止にも抜本改革にもならない」と強調しました。

 私は、自民案で抜け落ちている企業・団体による献金や政治資金パーティー券購入の禁止こそが「再発防止に不可欠だ」と主張。「企業・団体による献金は、本質的に政治を買収する賄賂だ」「選挙権を持たない企業が巨大な資金力で政治をゆがめることは、国民の参政権を侵害する」と批判しました。

 私は、現行法に規定がない政策活動費は「規正法の趣旨に反する脱法行為だ」と指摘。自民案は「政策活動費を新たに法定化し、堂々とやれるようにしようというものだ」と批判し、修正案に盛り込まれた10年後の公開の検討についても「政策活動費に固執している自民党と維新で都合のいい制度をつくろうというものだ。政策活動費の合法化、温存は認められない」と強調しました。

 自民案で政治資金収支報告書の要旨の作成・公開義務を削除したのは、規正法の柱である「収支公開」に逆行すると指摘。「過去の不祥事を隠ぺいするものだ」と批判しました。


「議事録」

第213回通常国会 令和6年6月5日(水曜日) 政治改革に関する特別委員会 第8号

○塩川委員 日本共産党を代表し、政治資金規正法に関する四法案と修正案の討論を行います。

 まず、法案及び修正案の条文を吟味する時間も与えず、僅かな審議時間、拙速な審議で採決することに断固抗議をするものです。

 裏金事件の当事者である自民党は、真相究明に背を向けたままであり、自民党提出の法案と修正案は、再発防止にも抜本改革にもなりません。

 第一に、肝腎要の企業、団体による献金や政治資金パーティー券購入の禁止がすっぽり抜け落ちています。

 裏金事件は、自民党派閥のパーティー収入を原資とした組織ぐるみの違法行為です。企業・団体献金の禁止、抜け道であるパーティー券購入も禁止することが再発防止に不可欠です。修正案は、パーティー券購入の公開基準を五万円超としていますが、複数回に分ければ、これまで同様に非公開で購入できます。抜け道を温存するものです。

 企業・団体献金は、本質的に政治を買収する賄賂です。選挙権を持たない企業が巨大な資金力で政治をゆがめることは、国民一人一人の権利である参政権を侵害するものです。企業・団体献金を聖域とする自民党案は、国民の願いに反するものであり、認められません。

 第二に、現行法に規定がない政策活動費は、政治家を迂回させることで支出の目的を明らかにしないものであり、規正法の趣旨に反する脱法行為であります。

 自民党案は、政策活動費を新たに法定化し、堂々とやれるようにしようというものです。

 さらに、修正案で政策活動費の上限を定め、十年後には領収書等を公開するかのように言っていますが、上限額も内容も、提案者は今後の検討で結論を得ると繰り返すだけで、政策活動費に固執している自民党と維新で都合のいい制度をつくろうというものです。

 政策活動費の合法化、温存は認められません。きっぱり廃止すべきです。

 第三に、自民党案が収支報告書の要旨の作成、公開義務を削除したことは、規正法の柱である収支公開に逆行するものです。収支報告書の根幹部分が記載されている要旨すらなくなれば、収支報告書の公開三年後には、政治資金の流れが全く見えなくなります。過去の不祥事を隠蔽するものと言わざるを得ません。国民の不断の監視と批判の下に置くとした規正法の基本理念を貫き、収支報告書は公的に永久に残すことこそ必要です。国民の監視を妨害する要旨作成の廃止はやめるべきです。

 このほか、お墨つきを与えるだけの政治資金監査制度の拡大や政党助成金を利用した法違反のペナルティー制度の創設の検討、第三者機関へのルール作りの丸投げの検討など、看過できない規定が盛り込まれています。

 立憲、国民、有志案も同様の理由から反対です。立憲のパーティー開催禁止法案も賛同できません。立憲の企業・団体献金禁止法案は賛成をするものです。

 日本共産党は、企業・団体献金、政党助成金を一切受け取らず、政治資金パーティー券購入を含む企業・団体献金禁止法案をこの三十年間、国会に提出し続けてきました。その実現に全力を挙げることを申し述べ、討論を終わります。(拍手)

【政治改革特別委員会】カネの力で「政策買収」する自民党の賄賂政治を追及

 私は、赤旗日曜版のスクープを紹介して企業・団体献金が政治を歪める実態を指摘し、企業・団体献金禁止に踏み込まない自民党案を批判しました。

 私は、政権交代後の2013年参院選前に、自民党の政治資金団体(国民政治協会)が、日本建設業連合会(日建連)に企業献金4億7100万円の請求書を出していると指摘し、「夏には参院選があるといって、『国土強靭化』の政策を訴え、献金を請求した。まさに特定政策を誘導する形で、企業献金を催促してきたのが自民党だ」と批判しました。

 岸田総理は「請求ではなく自発的寄附のお願いだ。特定選挙と政策と連動するわけではない」と言い訳したうえで「政治資金団体が献金を受け取ることは、法的に何ら問題はない」と開き直りました。

 私は「この20年間で、日建連会員企業から自民党への献金額は20億円を超えており、その見返りに日建連会員企業が受注した大型公共事業額は27兆円を超えている。政策をカネで売り買いする賄賂政治そのものだ」と強調しました。

 さらに、私は企業・団体による政治資金パーティー券購入が形をかえた企業・団体献金である実態を追及。
 私は、パーティー建購入の公開基準が引き下げられるのは、自民党の修正案の施行日2027年1月1日であると述べ、「その間に総選挙や参院選挙がある」と指摘。

 今回の裏金事件で、安倍派の22年参院選改選の参院議員は全額キックバックを受けていましたが、同じ22年参院選前に、岸田派の国交省OB足立敏之参院議員の例を指摘。足立議員側が、日建連に対し、3000万円のパーティー券購入を依頼し、各社に100万円以上を割り振っていたことを暴露。目前に迫った総選挙・参院選挙で、従来通り企業・団体からのパーティー収入を得ようとしているのではないかと追及。

 岸田総理は、「(法施行までに)準備が必要であり設けたものだ」とまともに答えませんでした。

 私は、「自民党案は、企業・団体献金を聖域にするものだ」と厳しく批判しました。


政策買収の自民政治政治改革特委/塩川氏が首相追及

「しんぶん赤旗」6月6日・2面より

 私は、衆院政治改革特別委員会の政治資金規正法改正案の審議で「赤旗」日曜版のスクープを紹介し、岸田文雄首相を追及しました。

 私は、政権交代後の2013年の参院選前に自民党の政治資金団体が、日本建設業連合会(日建連)に企業献金4億7100万円の請求書を出していると指摘。「夏には参院選があると言って、『国土強靱(きょうじん)化』を訴えて献金を請求した。まさに特定政策を誘導する形で、企業献金を催促してきた」と批判しました。首相は「政治資金団体が献金を受け取ることは、法的に何ら問題はない」と開き直りました。

 私は「この10年間で、日建連会員企業から自民党への献金額は20億円を超えており、その見返りに日建連会員企業が受注した大型公共事業額は27兆円を超えている。政策を金で売り買いする賄賂政治そのものだ」と強調しました。

 さらに、自民党の修正案では、パー券購入の公開基準が引き下げられるのは施行日の2027年1月1日だとして、「その間に総選挙や参院選がある」と指摘。22年参院選前に岸田派で国交省出身の足立敏之参院議員が、日建連に3000万円のパーティー券購入を依頼し、日建連が各社に100万円以上を割りふっていたことを暴露し、目前に迫った国政選挙で従来通り、企業・団体からパーティー収入を得ようとしているのではないかと追及しました。首相は「(法施行までに)準備が必要であり、設けたものだ」とまともに答えませんでした。私は「自民党案は企業・団体献金を聖域にするもの」と批判しました。

 


「議事録」

第213回通常国会 令和6年6月5日(水曜日) 政治改革に関する特別委員会 第8号

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 法案提出者の、自民党総裁である岸田総理にお尋ねをいたします。

 まず、企業・団体献金について質問をいたします。

 今回の法案には、企業・団体献金の禁止は全く入っておりません。岸田総理は、特定企業からの寄附が政策決定に影響を与えることはないと述べておられますが、特定の企業、団体からお金を受け取って政治がゆがめられたことがなかったと言い切れるんですか。

○岸田内閣総理大臣 企業・団体献金によって政策がゆがめられた例はないと言い切れるかという御質問でありますが、これについては、予算委員会等、国会の様々な委員会において議論を行わさせていただきましたが、そもそも政治団体の収入については、多様な考え方の多くの出し手による様々な収入を確保することが政策立案における中立公正やバランスの確保において重要である、こういった考え方を申し上げております。

 その上で、平成元年の政治改革大綱においても、法人などの寄附を禁止する理由はない、あるいは、よく例に挙げられます昭和四十五年の最高裁判決においても、政治活動の自由の一環として政治資金の寄附の自由を企業は有する、こういった判決もある、さらには、政策決定のプロセスについても紹介をさせていただく、こういったことにおいて、一部の企業からお金を受けることによって政策がゆがめられる、こういったことはないと説明をさせていただいております。

○塩川委員 実際、この間を見ても、例えば自民党の国会議員だった吉川農水大臣の鶏卵汚職事件を始めとして、企業との癒着によって政治がゆがめられた、このことが問題となった事例というのは枚挙にいとまがないわけであります。

 政治資金のバランスの問題という話をいつもされるんですけれども、ということは、三分の二の自民党の収入は政党助成金、バランスが悪いということであれば、その他の企業・団体献金はもっと増やす、こういう議論にバランス論で言えばなるんじゃないでしょうか。全く反省がないと言わざるを得ません。

 民主党政権からの政権交代後、自民党は、二〇一三年の参議院選挙を前にして、ゼネコン業界に企業献金の請求書を出していたことを、当時、しんぶん赤旗日曜版が暴露しております。

 自民党の政治資金団体の国民政治協会が、ゼネコン業界団体、日本建設業連合会、日建連に出した文書であります。自民党の文書には石破幹事長を始め党幹部の名前が並び、「夏には、参議院選挙が行われます。」として、「「強靱な国土」の建設へと全力で立ち向かっております。」と述べて、四億七千百万円の献金を請求をしておりました。総理は承知しておられますか。

○岸田内閣総理大臣 お尋ねについては、これは、まず、請求書というような類いのものではありません。これは、自民党の政治資金団体である一般財団法人国民政治協会から、政治活動に対する一般的な支援要請として、日本建設業連合会に対し、会員による自発的な寄附の御協力のお願いを行ったものであると承知をしております。

 当然のことでありますが、当該寄附の要請は特定の選挙に関してなされるものや公共事業などと連動するものではなく、企業、団体から政治資金団体が献金を受け取ることも法的には何ら問題があるものではないと認識をしております。

○塩川委員 公共事業受注企業からの献金を迫るといったこと自身が問われているわけで、夏には参議院選挙が行われますということで、国土強靱化、この政策を訴えて、四億七千百万円の献金を請求していた。業界団体に、まさに特定の政策を誘導する形で企業献金を催促してきたのが自民党であります。

 その後、どうなったか。昨年、しんぶん赤旗日曜版が、自民党からゼネコン各社への献金割り振り額が示された日建連の内部文書をスクープしております。

 日建連加盟の大手五十七社で構成される社会貢献活動協議会の例会においてであります。

 二〇一九年例会、事務部会進行シナリオには、国民政治協会への各社の献金割り振り額が記されております。国政協に対する政治寄附の目安金額を第一グループから順に申し上げますので、メモしていただきますようお願いいたしますとして、第一グループ一千八百万円、第二グループ九百万円などとグループ別に金額を読み上げております。そして、例年同様、本日、社会貢献協議会の例会が終わったことを国民政治協会に連絡させていただきますので、後日、国政協の担当者から各社をお訪ねしたい旨のアポイントが入ることになります。

 このような、まさにシナリオを読み上げていたわけであります。

 自民党と一体で献金あっせんをしているのが日建連であります。この十年間で、日建連会員企業から自民党への献金額は二十億円を超えております。その見返りに、日建連会員企業が受注した国の大型公共事業額は、この十年間で二十七兆円を超えています。政策を金で売り買いする賄賂政治そのものではありませんか。

○岸田内閣総理大臣 まず、御指摘の文書については私自身承知しておりませんし、逆に、特定の団体の内部文書について私の立場からコメントすることはいたしません。

 しかし、企業・団体献金について、賄賂性があるのではないか、政策をゆがめているのではないか、こういったことについては、先ほどの説明に加えまして、一般論として、我が国の自由主義経済の重要な構成要素である企業等が、個別の政策云々にかかわらず、我が国の経済の発展に力を尽くそうとしている政党の活動を応援する、これは政治活動の自由の在り方ということにおいて責められるものではないと認識をしております。

○塩川委員 選挙権のない企業が金の力を使って政治に口を出すというのは、まさに国民の参政権を侵害するものと言わざるを得ません。断じて認めることができません。

 次に、自民党の政治資金パーティー収入については、形を変えた企業・団体献金ということで、その政治資金パーティー券についてですが、公開基準を二十万円超から五万円超に引き下げるという、党首会談でこの点を合意をし、修正案が出されました。

 総理にお尋ねしますが、この五万円超というのは、パーティー一回に限っての話であって、年間ではありません。四回あれば二十万円を超えるというのと同じことになるんじゃありませんか。

○岸田内閣総理大臣 政治資金パーティーの公開基準の議論につきましても、この国会において、予算委員会等で様々な議論が行われてきました。私も度々答弁をさせていただいたところでありますが、これは、先ほども紹介させていただきました最高裁の判決等においても、政治活動の自由の観点から、企業において政治資金の寄附の自由というものは認められているというような判断等を考えますときに、こうした政治活動の自由と、一方で、国民が民主主義の基本である政治資金についてしっかりと実態を承知する、透明性を高める、この二つのバランスの中でどうあるべきなのか、こういった議論であると考えております。

 それを、今回、従来より引き下げるということで、今申し上げた二つの課題に対するバランスのありようを考えたというのが今回の結論であったと承知をしております。

○塩川委員 自民党と日建連の癒着がまさに行政、政治をゆがめるということが問われているときに、こういった、今回の、四回あれば二十万円を超えると同じじゃないかということについてのお答えはなかった、否定をされませんでした。何の規制にもなっていないということも申し上げておきます。

 この仕組みの施行期日は二〇二七年の一月一日で、それまでは先送りであります。それまでは公開基準二十万円超が続くことになります。その間にあるのが総選挙であり、参議院選挙であります。

 今回の裏金問題では、二〇二二年の参議院選挙改選組の議員に対して、安倍派においてノルマなしの全額キックバックが行われていたことが明らかになりました。選挙の裏金だったのではないのかということが問われているわけであります。

 同じく、二〇二二年の参議院選挙前に、岸田派の国交省OBである足立敏之参議院議員が政治資金パーティーを行い、その際に、日建連に対して三千万円分のパー券購入依頼を行い、各社に百万円以上割り振ったと、これもしんぶん赤旗日曜版が報道しているところであります。

 日建連に対して選挙前にパーティー券を割り振ったように、目前に迫った総選挙や参議院選挙で、従来どおり、企業、団体から、二十万円超、公開基準でパーティー収入を受け取れるようにする、施行期日の、実施の先送りというのがまさにそのことを示す、まさに国政選挙を前にして、政治資金パーティーにおいて企業、団体からのお金を受け取る、こういう仕組みを続ける、このことが大本にあるんじゃありませんか。

○岸田内閣総理大臣 まず、委員が今紹介された具体的な事例につきましては、私は、実態を承知しておりませんし、それについて申し上げる材料は持ち合わせておりませんが、今回の法改正の議論の中で、内容によってこの法律の施行期日等を検討した、こういったことについては、それぞれの内容において、それぞれの国会議員が、それぞれの政党が、様々な準備を行わなければいけない、こういった実態に即して、それぞれの施行期日について議論を行い、確定したものであると承知をしております。

○塩川委員 総選挙、参議院選挙前は今の仕組みでやれるという点では、従来どおりの企業、団体からのお金集めのパーティーとなっていくということは明らかであります。

 この法案は、企業・団体献金に全く手をつけておりません。企業・団体献金を聖域にする法案であります。企業、団体による政治資金パーティー券購入を含む企業・団体献金は、賄賂性を持ち、政治をゆがめるものであり、国民の参政権を侵害するものです。企業・団体献金は禁止しかありません。

 最後に、政策活動費についてお尋ねをいたします。

 岸田総理は、法律に基づいて政策活動費というものが認められているということを三月二日の予算委員会で答弁をしておりますが、自民党案の提出者は、政策活動費については現行法令上の定めがないと答えております。食い違っておりますが、これはどういうことなんでしょうか。

○岸田内閣総理大臣 今委員がまさに発言されたように、政治資金規正法上認められるということと、規定されている、これは別物であります。

 法律上、これは、そうした政治活動費というものが認められるということを私は申し上げました。そして今回は、この法律の中において、政策活動費について、これを法定化する、規定を設けるということであります。この違いが、まさに今御指摘の発言の違いであると認識をしております。

○塩川委員 元々規正法は、国民の前に収支の実態を明らかにするということなんですよ。それが不透明なままというのは、そもそも政策活動費というのは、政治資金規正法上、脱法的なやり方だということを認めるということであります。こういった形でこれを合法化するような今回の法案は認めることができません。

 我が党と立憲、国民、有志の会は、政策活動費廃止の法案を出しております。公明党は政策活動費を使っていないと言っておられます。政策活動費に固執しているのは自民党と維新だけであって、政策活動費の制度設計について、しがみついている自民と維新が相談して決めるのでは、国民は納得はしません。

 政策活動費は廃止すべきだ。こんな法案に公明党も加担をしているということも許されないことであって、抜本的な対策としての企業・団体献金の禁止、政策活動費の廃止、強く求めて質問を終わります。

【政治改革特別委員会】政策活動費を合法化、温存する自民党案

 私は、自民党の政治資金規正法改正案について、規正法の趣旨に反する脱法的な「政策活動費」を合法化し、温存するものだと追及しました。

 私は、政策活動費について、岸田総理が、3月の衆院予算委員会で「法律に基づいて認められている」と新たな解釈を持ち出したことを指摘。一方、自民党提案者は「現行法令上の定めがない」と答弁しており、食い違いをただすと、岸田総理は「法で認められていることと、規定されることは別物。今回の法案で法定化する」と答えました。

 まさに、政治活動費が脱法行為であることを認める答弁であり、岸田総理の答弁を合わせるために「脱法的な政策活動費を合法化するための法案だ」と厳しく批判しました。

 さらに、「政策活動費のすべての支出に、領収書などの保存・提出・公開を義務付けるのか」と追及。

 自民党の鈴木馨介議員は「様々な考慮が必要なこともあり、今後各党間での協議を行う」と述べるだけ。

 私は「裏金を合理化する口実ともなった政策活動費は廃止しかない」と迫りました。

 また、自民党案の政治資金監査の強化に関し、この間の事件をみても、現行の監査制度が意味をなさないことを露呈していると指摘。

 私は「政治資金は、公開して国民の不断の監視と批判の下におき、国民の判断に委ねることが基本だ。真相究明も行わず、第三者機関に政治資金の監査のルール作りまで丸投げすることは許されない」と批判しました。


規正法改定案/政策活動費を合法化/衆院特別委/塩川氏が追及

「しんぶん赤旗」6月7日・2面より

 私は5日の衆院政治改革特別委員会で、自民党の政治資金規正法改定案は同法の趣旨に反する脱法的な「政策活動費」を合法化し、温存するものだと追及しました。

 私は、岸田文雄首相が3月の衆院予算委で政策活動費は「法律に基づいて認められている」との新たな解釈を持ち出していたと指摘。一方、自民案の提出者は「現行法令上の定めがない」と答弁しているとして「食い違っている」とただしました。

 岸田首相は「法で認められていることと、規定されることは別物。今回の法案で法定化する」と答えました。

 私は、政策活動費が脱法行為だと認める答弁だとして、岸田首相の発言に合わせるために脱法的な政策活動費を合法化するものだと厳しく批判しました。

 さらに「政策活動費の全ての支出について領収書などの保存、提出、公開を義務付けるのか」と追及。自民党の鈴木馨祐議員は「さまざまな考慮が必要なこともあり今後各党間での協議を行う」と述べるだけ。私は「裏金を合理化する口実ともなった政策活動費は廃止しかない」と迫りました。

 また、自民案の政治資金監査の強化にかんし、この間の事件でも現行の監査制度が意味をなさないことが露呈していると指摘。「政治資金は、公開して国民の不断の監視と批判のもとに置き、国民の判断にゆだねることが基本だ。真相究明も行わず、第三者機関に政治資金の監査のルールづくりまで丸投げすることは許されない」と批判しました。


「議事録」

第213回通常国会 令和6年6月5日(水曜日) 政治改革に関する特別委員会 第8号

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 質問いたします。

 最初は自民党案の提出者にお尋ねしますけれども、今回、修正案を撤回して再修正案を出されたということですが、昨日の十一時二十分の理事会のときに、その再修正案についてのいわば未定稿のものが出された。それに基づいて質問通告をしたわけですけれども、質問準備をしている中で、夕方に届いた最終版を見ると、大きな変更があるわけですよ。

 昨日の理事会のときには、ハネの部分が若干残りますということを言っていたのが、ハネどころじゃないという点では、この再修正案の未定稿と最終版に幾つもあった変更点、これについて簡単に説明してもらえますか。

○鈴木(馨)委員 今回の再修正案につきましては、基本的には五十万円のところを削るということ、そして、そういったことを中心といたしまして、その実質的な機能といたしましては、まさにハネ、あるいは関連する改正というところが未定稿との違いというふうに承知しております。

○塩川委員 今日の朝の理事会で法制局から説明がありましたけれども、十三条の二の第三項、第四項は、元々は未定稿段階の準用というものを適用の読替規定に変更するという、いわば手続についての重要な変更が行われているわけですよ。ハネじゃないんですよ。

 それと、附則の第十四条のところには、元々未定稿には同項の報告書とあって、同項がどこなのかが書いていないんですよ。全くの間違いなんです。こういう間違った未定稿で質問をしろということ自身がおかしいんじゃないでしょうか。

 これは法制局の、事務方の責任じゃありません。岸田総理が、やはり今国会で何としても成立させるんだ、こんなことで、採決先にありきの拙速な作業をし、そして拙速な審議を行ってきた。余りにもひどい。これでまともな議論ができるはずはない。だから、今日の採決日程なんかはとんでもないということをまず最初に申し上げておくものであります。

 そこで、政策活動費についてお尋ねをいたします。

 規正法の九条一項二号においては、会計帳簿の記載の規定が置かれております。全ての支出、当該政治団体のためにその代表者又は会計責任者と意思を通じてされた支出を含む、並びに支出を受けた者の氏名及び住所並びにその支出の目的、金額及び年月日を会計帳簿に記載しなければならないとしております。つまり、渡し切りを含め、会計帳簿に必要事項を記載しなければならないと規定しております。

 自民党案の提出者は、政策活動費については現行の法令上の定義が定められていないと答弁をしております。そうなると、政策活動費の現在の自民党のような支出の在り方というのは、規正法の趣旨にそもそも反しているのではないのか。この点、お答えください。

○勝目委員 お答え申し上げます。

 先日来御説明させていただいておりますとおり、我が党におきます政策活動費でありますけれども、党勢拡大、政策立案、そして調査研究という三つの目的で、党に代わって、役職者の職責に応じて支給をされている、党から議員個人に対する支出として行われているということでありまして、また、当該支出をしているということについては、これは収支報告書にも計上、記載をしているところであります。

 そして、今回の政治資金規正法の改正、これは本則の十三条の二の方の改正におきまして、それについて、また項目ごとに、かつ年月を記載するという形で透明性の向上を図っているということであります。

 あわせまして、このような経費が必要だという理由でありますけれども、これも先日来御説明をさせていただいておりますとおり、受け手のプライバシー、営業の秘密、あるいは我が党の方向性が外国勢力に見られたらいけないという、そういったもろもろの観点を鑑みましてこのような経費を必要としているということでありますけれども、透明性の向上、これが必要だということに鑑みて、今回の改正を御提案させていただいているところであります。

○塩川委員 規正法に反する脱法的な政策活動費について、これを合法化しようというのが今回の法案だ。若干、備考欄に項目とか金額とか年月を書くとしても、それ以上のものはないわけですよ。これでどうして、規正法の趣旨に立った、国民の前に公開を図っていく、こういったことにかなうのか。全く中身が伴っていないということを言わざるを得ません。

 再修正案では、第十三条の二第三項に、政党から国会議員及び国政候補者への五万円未満の支出に関する記載事項の追加が規定をされています。

 収支報告書は、全ての支出について、五万円以上のものは支出先の氏名、住所、支出の目的、金額、年月日を記載することになっておりますが、この改正では、適用除外だった五万円未満についても、政党から国会議員等への同様の記載をするというものであります。

 しかしながら、お尋ねしますが、自民党においては、自民党の言う政策活動費について、五万円未満の支出は実際にはこれまでなかったので、五万円未満の支出の記載を求められても、自民党にとっては新たに記載するものというのは何もないということになるんじゃないですか。

○鈴木(馨)委員 私どもとしては、これまで様々な支出におきまして適切な対応を、これは党内のガバナンスも含めて、行ってきたところであります。

 五万円以下ということで今言及がありましたが、例えば、これは我々も精査しなきゃ分かりませんが、恐らく、いわゆる遊説旅費等のところではそういった支出もあった可能性がありますので、そういったものについては新たに対象となるという理解であります。

○塩川委員 政策活動費についてはどうですか。

○鈴木(馨)委員 これはこの委員会でもずっと申し上げておりますが、我が党においては、これまで、政策活動費ということでいえば、その規模の支出はありません。

 そういったことでいうと、我々としては、当初五十万円ということで、なぜそこで切ったかというと、これはあり得ないからということでありましたが、この度、様々な御指摘をいただいて、そこの修正をしたところであります。

 そういったことでいうと、御指摘の五万円以下ということが政策活動費としてこれまであったかということは、なかったと思いますし、今後あり得るかというと、そういったことも想定はされないということであります。

○塩川委員 今問題となっている政策活動費について、二〇二二年の自民党の収支報告書を見ても、五万円未満の支出はありません。最も少ない支出は百五十万円ですから、この再修正で五万円未満について新たに収支報告書に記載するようになっても、自民党にとって、政策活動費については何の変更もない、痛くもかゆくもないというのが今回の再修正の中身だと言わなければなりません。

 続いて、附則の第十四条についてお尋ねをいたします。

 政策活動費の支出の上限金額については、上限の目安もないんでしょうか。政党ごとに上限額も変更されるということもあるということなんでしょうか。

○鈴木(馨)委員 これもこれまで委員会で御答弁申し上げておりますが、今後、各党の間での協議ということになりますが、当然、それは各党においても、活動の規模であったり、そういったものが異なるということも考えていく必要があるとは思います。その上で、各党の中でそういった議論を進めた結果として、適切な検討がされることを期待しております。

○塩川委員 適切な検討ということで、何も決まったものはない。結局、政策活動費を必要としている自民党と維新が二人で相談して決めるということでしかないということを言わざるを得ません。

 再修正案では、「支出の状況に係る領収書、明細書等の公開(そのための保存及び提出を含む。)」とありますが、この公開については、収支報告書とは別の仕組みでの公開ということになるんでしょうか。

○勝目委員 お答え申し上げます。

 この附則十四条に記載をされているとおりでございまして、まさに「政治活動に関連してした支出の状況に係る領収書、明細書等の公開(そのための保存及び提出を含む。)をする」ということであります。その具体的な内容については、早期に検討が加えられ、結論を得るということになっておりますので、まさにそのとおりだということでございます。

○塩川委員 何も決まったものがないということでいうと、政策活動費の使用状況の公開、収支報告書に新たに記載をする、そういうことも明らかではないということになります。どんな別な仕組みができるのか、そういうことにもなるのかということも、現時点では分からないということであります。

 公開については、十年後は誰が公開するんですか。

○勝目委員 お答えを申し上げます。

 公開の具体的な内容については、早期に検討が加えられ、結論を得るものとするというのが附則十四条の規定でございます。

 今後、プライバシー等の保護の観点も含めて、早期に検討が加えられまして、その中で結論を得るということになるものと承知しております。

○塩川委員 だから、総務省、都道府県選管でないかもしれない。政党の公開だといった場合には、十年後になくなっている政党もたくさんあるわけですよ。まさに闇の中に葬られるというのがこの仕組みということになるんじゃないでしょうか。

 政策活動費の支出の全てについて領収書等の保存、提出、公開を義務づけることになるのか。政策活動費の支出の全てについて義務づけということになるんですか。

○鈴木(馨)委員 原則的にはそういった方向になると思います。

 その上で、もちろん、ただ一方で、プライバシーであったり、様々な考慮が必要なこともありますので、そういった点について適切な形をつくれるように、今後、各党間での協議を行っていきたいと思います。

○塩川委員 様々な考慮という点でいえば、まさにそこが抜け道になるということも言えるわけであります。墨塗りの話も今回の委員会の質疑でも行われてきているところであります。

 領収書等の公開の担保もありません。制度設計が全く不透明で、領収書の全面公開が行われるという保証はどこにもありません。政策活動費を合法化し、温存するものでしかない。裏金を合理化する口実ともなった政策活動費は廃止しかないということを申し上げておきます。

 最後に、自民党案は政治資金監査の強化を掲げておりますが、現行の政治資金監査制度がそもそも有効に機能していると言えるのか、このことが問われております。

 一昨年、政治資金制度を所管する寺田稔総務大臣の政治資金規正法違反の疑惑が大問題となりました。例えば、寺田氏の後援会が亡くなっている方をそのまま会計責任者にしていても、監査では問題なしとなっていた。また、領収書の宛名の追加記載疑惑があっても、法律上は問題はないと強弁をした。さらには、適正化委員会のQアンドAで望ましくないとしている、顧問税理士が関係五団体全ての監査人であることを指摘されても、好ましいかどうかはケース・バイ・ケースと、寺田大臣は開き直りの答弁でありました。

 こんなでたらめな実態で、政治資金監査制度が有効に機能していると言えるんですか。

○小倉議員 今回の外部監査の拡充というのは、これまで対象ではなかった収入面での外部監査を導入すること、そして、国会議員関係政治団体とみなされなかった政策研究団体についても、これを対象とすることで、外部監査を拡充いたしております。

 それと同時に、不記載や虚偽記入を防ぐためには、外部監査だけではなくて、そもそも、会計責任者と政治団体の代表者、これのコンプライアンスの向上が重要だと思っております。その点、我が党の案につきましては、代表者がしっかり会計責任者から話を聞いて、そして、その上で確認書を交付するという制度もございますし、それ以前も、定時、随時の確認を政治団体の代表者自身がするということでございますので、そういったことを組み合わせて、より虚偽記入や不記載を防ぐことにつながるもの、そういうふうに認識しております。

○塩川委員 現行の政治資金監査制度が有効に機能しているという点でのお話はありませんでした。

 そもそも、裏金問題でも監査制度が役割を果たしていなかった。ほかにも、不明朗支出や白紙領収書問題、河井夫妻が有罪となった巨額選挙買収事件などが相次ぎ、この制度が意味を成さないということを露呈しております。

 問題のある監査で個別に指導助言を受けた監査人は、過去八年間で二百七十六人にも上ります。制度上の逸脱のあった報告書の件数は三百七十件に上ります。政治資金監査制度は実務上も破綻していると言わなければなりません。結局、監査人のチェックを受けたというお墨つきを得ようとするだけの仕組みでしかない。

 政治資金は、政治団体がその収支を公開し、国民の不断の監視と批判の下に置き、国民の判断に委ねることが基本であります。収支はそのまま速やかに公表すればいいのであって、政治資金監査制度は必要がありません。

 真相究明も行わず、第三者機関に政治資金の監査のルール作りまで丸投げすることは許されない。要旨の削除などはとんでもない。このことを申し上げて、質問を終わります。

【「しんぶん赤旗」掲載】追いつめられる自民/ 規正法改定で公明・維新「助け舟」

「しんぶん赤旗」6月5日・3面より

 自民党の裏金事件を受けた政治資金規正法の改定をめぐって、自民党が厳しい批判を受け追い込まれています。自民党は同法改定案を出したものの、公明・維新との合意を受けた修正案をめぐって二転三転。4日に予定していた衆院政治改革特別委員会の採決も、直前に見送らざるを得なくなるなど迷走しています。

企業献金「公開」にすり替え

 裏金事件の真相解明に背を向けてきた自民党が最初に提示した改定案は「政治改革の名に値しないもの」(5月10日、日本共産党の山添拓政策委員長)でした。金権腐敗政治の温床である企業・団体献金の全面禁止にも、「ブラックボックス」と批判されている政策活動費の廃止にも触れておらず、世論調査でも約7割が「評価しない」と回答。今国会での自民案の成立は完全に暗礁に乗り上げていました。

 この事態を受けて、自民党に「助け舟」をだしたのが公明党です。公明党はパーティー券の購入金額の公開基準の引き下げを言いますが、詳細は先送りすることで自民案に大筋合意を表明(5月9日)。「同じ穴のむじな」だとの批判が殺到すると、突然、「そのまま賛同できない」(同30日、山口那津男代表)と主張し始めました。

 しかし、公明党が問題視したのは政治資金パーティー券購入者の公開基準を自民案の「10万円超」から「5万円超」に下げろというだけでした。事実上の企業・団体献金である企業のパー券購入の存続をはかるもの。企業・団体献金の“抜け穴”を放置したまま「公開基準」に論点をすり替えることで自民党を支えた格好です。

 さらに、自民党の「助け舟」になったのが日本維新の会です。

 維新は自民案について「絶望的にお粗末な案」(5月23日、青柳仁士議員)と酷評し、「サイドメニューばかり」「メインディッシュは企業・団体献金だ」と主張。ところが、修正案では企業・団体献金の禁止にまったく触れておらず、腰砕けです。

 また、維新は日本共産党や立憲民主党、国民民主党とともに(1)企業・団体献金を禁止する(2)政策活動費を廃止する(3)会計責任者と同等の責任を政治家に負わせる―3点を求めることで一致していました。ところが、修正では企業・団体献金の禁止はおろか、政策活動費の廃止も、政治家の責任への言及もありません。

 維新は「100%わが党の考え方が通った」(5月31日、馬場伸幸代表)「自信をもって賛成したい」(6月4日、遠藤敬国対委員長)と述べますが、結局、苦境の自民党を助けるだけです。

 肝心の企業・団体献金の禁止にはまったく触れず、政策活動費の存続を前提にした修正では、国民の求める根本的な解決にはなりません。悪法をゴリ押しする自民、公明、維新の一体ぶりは明らかです。

政策活動費 抜け穴だらけ

 自民案は、政党の「機密費」ともいうべき政策活動費を廃止どころか合法化するものです。自民と維新が合意した修正案に盛り込まれた「政策活動費の10年後の公開」も具体的な内容が何も定まっていないことが発覚。「ブラックボックス」を温存する抜け穴だらけの改悪案です。

 政策活動費とは規正法に規定されたものではなく、政党が党幹部などに渡す“つかみ金”です。自民案では政策活動費を「政党から個人への支出」と規定。これまで法令上の定めがなかった政策活動費を初めて法定化し、事実上“合法化”しています。

 政策活動費が党幹部など議員個人に渡った後、どう使われるかは「ブラックボックス」となっていますが、政党からの支出は政治家を経由せずに行い、政治資金収支報告書に支出の項目や金額を記載すれば透明化は図れます。自民案はこれに逆行し、政治家経由の「迂回(うかい)支出」を容認するものになっています。

 自民案は維新の要求を反映させ、政策活動費は、収支報告書の公表から10年後に領収書など「支出の状況」を公開するとしています。一方で、制度の具体的な内容は「早期に検討し、結論を得る」と曖昧で、領収書の公開方法や年間支出の上限金額も未定のままです。

 そもそも、政治資金の流れを公開する意味は直ちにチェックを受けるためにあるはずです。また、収支報告書の保存期間は3年、虚偽記載や不記載の罪に問われる公訴時効は5年であり、10年後の公開にどれほどの意味があるのかも不明です。

 3日の衆院政治改革特別委員会では、私が「(10年後の公開時に)領収書、明細書を付けないこともあり得るのか」とただすと、自民案提出者の鈴木馨祐議員は「運用については各党間の協議による」と否定せず。立憲民主党の山岸一生議員は「領収書の黒塗りを認めることはあり得るのか」と質問しましたが、鈴木氏は「プライバシーや営業秘密とのバランスは考慮されないといけない」と含みを持たせました。

 上限金額については、私が、維新の提示した「政党交付金の1%または5千万円の少ない額」などが自民案には入っていないと指摘。鈴木氏は「政党によって活動規模がまちまち」などと政党によって上限金額が異なる可能性も示しました。

透明性の向上どころか後退

 しかも、自民案は「透明性の向上」どころか、収支の公開をさらに後退させる重大な改悪を含んでいます。

 自民案は、官報や都道府県公報への政治資金収支報告書の要旨の作成・公表義務を削除しています。要旨には、寄付者の氏名や寄付額、項目ごとの収入額や支出額など収支報告書の根幹部分が記載されています。

 インターネットなどで公開される収支報告書そのものは3年で見られなくなるため、要旨を削除すれば過去にさかのぼっての確認ができなくなってしまいます。

 私は、3日の委員会で「透明性の向上どころか後退だ」と迫りましたが、自民党の本田太郎衆院議員は「(行政の)業務負担の増加につながる」などと強弁するだけ。「業務量」を理由に、「政治資金を国民の不断の監視と批判の下に置く」という規正法の趣旨に反する改悪を行うことは許されません。

 また、政治資金に関する独立性が確保された機関の設置についても、政治資金の「透明性の向上」からかけ離れたものになっています。第三者機関の設置について自民案は付則で「必要な措置が講ぜられる」と規定。しかし、その具体的内容は全て検討課題です。

 3日の委員会でも自民党の鈴木氏は「第三者機関の組織あるいは権限の内容はこれから議論される」と述べるだけ。検討の結果、実際に設置されるのかもわかりません。

 裏金づくりを反省するどころか、暴露されないよう、透明性を後退させる法改悪を行う―。私は自民案について「国民による政治資金の監視を妨げる法案だ」と厳しく批判しました。


「議事録」