【内閣委員会】住民主導の交通安全対策/国からの技術的、財政的支援強化を

 私は、地域住民が主体となって交通安全対策に取り組む千葉県船橋市習志野台8丁目町会の取組を紹介し、国からの技術的、財政的支援を強めるよう求めました。

 国土交通省は、生活道路に速度抑制のためのハンプや狭さくといった物理的デバイスを円滑に導入した先進事例として習志野台8丁目をあげています。私は、8丁目町会の取組の特徴について質問。国交省は「住民の方々自身が町歩き点検するなど住民主導で合意形成を図ったことだ」と答えました。

 私は、8丁目町会に現地視察した際に聞いた「近隣の日本大学理工学部の専門家からの協力・アドバイスが力になった」との声を紹介し、他の地域でも取組を進めるために、道路管理者や住民に対して国が専門家を紹介することが有効だと主張。国交省は「自治体を通じて要請があれば専門家を紹介している」と答えました。

 私は、物理的デバイスの設置に対する国交省の補助制度について、「例えば国交省の基準ではハンプの高さは10cmとなっているが、騒音や振動対策としてより低い高さで導入した場合でも対象となるのか」と質問。国交省は「対象となる。地域の方々の理解を得るのは重要だ」と答えました。私は、住民合意を取組の要にしていくことが重要だと強調しました。

衆議院TV・ビデオライブラリから見る


「議事録」

第217回通常国会 令和7年5月21日(水曜日)内閣委員会 第22号

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 先週に続きまして、生活道路の交通安全対策についてお尋ねをいたします。

 三原大臣に質問いたします。

 交通安全白書では、生活道路における人優先の安全、安心な徒歩空間の整備を掲げております。生活道路の交通環境の整備に当たっては、生活道路を利用する地域住民の参加が欠かせません。地域住民が主体となった生活道路の交通安全対策を推進することが求められているのではないのか、この点についてお答えください。

○三原国務大臣 生活道路の交通環境の整備に当たりましては、地域住民が主体的に参加することが極めて重要であると認識しております。

 現行の第十一次交通安全基本計画におきましても、生活道路における各種対策を実施していく上では、対策着手段階からの一貫した住民の関わりが重要であるというふうにされております。

 なお、内閣府におきましては、令和八年度から開始いたします第十二次交通安全基本計画の策定作業、これを進めているところでありまして、こちらにおきましても、委員御指摘の地域住民の参加の観点、こうしたものも十分考慮してまいりたいと考えております。

○塩川委員 交通安全基本計画の策定の内容についても触れていただきました。地域住民の主体的な参加が欠かせないということであります。

 国交省にお聞きします。ゾーン30プラスの取組の推進に向けた国交省の支援策について確認します。

 国交省は、生活道路への物理的デバイス設置における合意形成のための参考資料を作成しております。物理的デバイスの設置に当たって地域の方々と合意形成がうまくいかないという声があることを踏まえ、生活道路の交通安全対策を円滑に進めた全国の九つの地域の合意形成事例を紹介しております。

 その一つに、船橋市の習志野台八丁目町会の例が紹介されております。私も先日伺ってまいりました。この習志野台八丁目町会の取組の特徴は何なのかについて御説明ください。

○佐々木政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御指摘いただきました船橋市の習志野台八丁目町会の取組につきましては、大型商業施設の建設を契機といたしまして、懸念される生活道路への通過交通の流入等を防ぐため、狭窄、イメージハンプなどの交通安全対策を実施した事例でございます。

 この事例の特徴といたしましては、地域住民から成る地元町会が中心となりまして有識者への相談を行い、また、住民の方々自身が町歩き点検等を行うといったことを行いました。これら住民が主導となって合意形成を図ったという点が特徴だと認識しております。

○塩川委員 この習志野台八丁目町会の役員の方の話を伺いました。大型店の出店を機に生活道路の交通安全対策を進めようと、町会として、住民アンケートや、またヒヤリ・ハット調査なども行ってきたということで、船橋市や警察、専門家と連携して、住民合意の努力と対策の具体化に取り組んできたとお聞きしました。

 今答弁でもありましたけれども、たまたますぐそばに日大の理工学部がありまして、そこに交通システム工学科というのが置かれていて、その大学の方に直接町会として連絡を取ってお願いしたところ、専門家の方の協力を得ることができたということでありました。交通量の調査や分析、対策案の提示など、貴重なアドバイスを受けたということであります。

 国交省にお聞きしますが、国として、このような道路管理者や住民に対し、専門家の紹介、あっせん、これをきちっと行っていく必要があるのではないのか、この点についてお答えください。

○佐々木政府参考人 ただいま御指摘いただきましたとおり、有識者の方々の御意見を聞きながら進めることというのは非常に重要だと考えております。

 国土交通省といたしましては、ゾーン30プラスの技術的支援の一つとしまして、地方公共団体を通じて有識者派遣の要請があった場合には、的確な課題把握や対策メニューの技術的相談ができるように、有識者の紹介やあっせんを実施しております。

○塩川委員 ですから、自治会や町会など住民の皆さんの方から、自治体、市役所などを通じて国交省に要望すれば、専門家を紹介してもらう、こういう仕組みということで受け止めました。

 そんな際に、国交省の技術支援の一つとして、ETC二・〇によるビッグデータの分析結果の提供とあるわけですけれども、どのようなデータをどのように提供することを具体的に行っているのか、この点について御説明ください。

○佐々木政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘いただきましたとおり、ETC二・〇のデータを活用して、加工したデータを御提供させていただいております。

 ETC二・〇のデータといたしまして、自動車の走行速度、加速度、あるいは走行経路などが分かります。こうしたものを加工することによりまして、地域内の速度超過割合、車の走った走行台数の中でどれだけ速度超過をしたのかという割合、あるいは急ブレーキ回数を多く用いた箇所、そして抜け道利用などの潜在的な危険がある箇所、こうしたものを整理、抽出したものを御提供させていただいております。

○塩川委員 住民の皆さんが実感をしている、この辺は危ない通りだなといったことをデータで確認をしながら分析を行っていく、それを踏まえて具体的な対策につなげていくという点でも、技術支援の一つとしてのこのようなビッグデータの活用は重要なことだと思っております。

 国交省として、このような技術支援については、その他に、物理的デバイスの整備に関する技術情報の提供ですとか、ハンプにつきましても貸出しをするような、こういう仕組みなどもあるということですので、こういう支援策がきちっと地に足が着いた形で進められていくことを求めていきたいと思います。

 次に、国交省の財政支援について伺いますが、ゾーン30プラスに係る財政支援として、交通安全対策補助制度(地区内連携)ということで紹介をされておりますけれども、この制度というのはどのような補助制度になるんでしょうか。

○佐々木政府参考人 生活道路の交通安全対策は、地域の合意形成に基づきまして進めることが大変重要であると私どもとしても認識しております。

 交通安全対策補助制度の地域内連携につきましては、生活道路の面的な対策を計画的かつ集中的に実施できるよう、一定の区域において、関係住民の代表者、関係行政機関、これらの方々の合意に基づき実施される交通安全対策に対して財政的な支援を行うものです。

 具体的には、速度低下や流入抑制を促すためのハンプや防護柵の設置などの対策について、国が地方公共団体に対しまして補助を行っておるところでございます。

○塩川委員 このような交通安全対策補助制度、地区内連携についてですけれども、この制度については、ゾーン30プラスはもちろん、ゾーン30の場合でも、それにも入っていない、指定となっていない地域においても、要件に合えば財政支援の対象となるということでよろしいでしょうか。

○佐々木政府参考人 御指摘のとおり、この補助金につきましては、ゾーン30の指定にかかわらず、地域の合意形成に基づく面的な対策を実施するなどの補助要件に合致していれば補助の対象となります。

○塩川委員 それで、令和五年度から始まっているこの補助制度なんですけれども、ちょっと時間の関係で予算措置状況については割愛しますけれども、私がこの間お話を聞いてきたさいたま市ですとか船橋市の場合には、生活道路の交通安全対策として防災・安全交付金を使っている例が多いんです。

 このような交通安全対策補助制度の地区内連携と防災・安全交付金の制度との違いは何なのか、その点について説明いただけますか。

○佐々木政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御説明をさせていただきました交通安全対策補助制度、地区内連携につきましては、関係者間の合意に基づきまして面的な交通安全対策を実施する個別地区に対しまして支援するというものでございます。

 これに対しまして、防災・安全交付金は、交通安全対策を含めて、各地域の課題に応じて地方公共団体が柔軟に活用することができる自由度の高い支援制度になっております。交付金の配分に当たりましては、通学路交通安全プログラムに基づくものや、未就学児が日常的に集団で移動する経路、必ずしも面的に限らず、一定の経路などについて行う交通安全対策に対しまして機動的に支援をすることができるものとなっております。

 国土交通省といたしましては、今後とも、この防災・安全交付金や個別補助制度も活用しまして、地域の御要望に応じて必要な支援を行ってまいります。

○塩川委員 防災・安全交付金について、課題に応じて、自由度の高い、そういった活用が可能だという話で、それはそれとして結構なんですけれども、交通安全対策補助制度の地区内連携について、使い勝手が悪いというようなことでは困るので、そういった点での工夫や措置や、該当の道路管理者の自治体に対してのアドバイスとかが必要なのではないかと思うんですが、利用促進に当たって必要な対策を行うべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○佐々木政府参考人 お答え申し上げます。

 この補助金の活用の要件になっておりますのが、地域内の合意形成となっております。この合意に基づいて計画を作っていただくというところがやはり一つ大きなネックになっておるところもございますので、先ほど来お答えもさせていただいておりますが、有識者の紹介ですとか、あるいは、ハンプを設けるといっても、ハンプにも、騒音が出るといったような、住民の方々でも御意見は様々ありますので、試しに使っていただけるようなものを導入して、試行という形でやっていただくなど、合意形成を支援するように、私どもとしても、地域の方々の御意見を聞きながら、必要な、柔らかい、ソフトの対策になりますけれども、そういう配慮、支援をさせていただきたいと思っております。

○塩川委員 今、ハンプの話がありました。道路に高まりをすることによって速度抑制を図る。国交省のハンプの高さの基準は十センチというふうに承知しております。しかし、習志野台八丁目町内会でハンプを設置をした、船橋市として実施したわけですけれども、そのハンプの高さは、住民要望に基づいて八センチにしているということなんですね。

 ですから、国交省が一般に示している基準とは違うそういった高さにしているわけですけれども、こういった場合もこれらの事業の補助対象となるということで、どうなのか、お答えください。

○佐々木政府参考人 御指摘のとおり、国土交通省が定めた技術基準では、ハンプの高さは十センチを標準としております。

 ただし、先ほど来申し上げておりますが、地域の交通対策を進める上では皆さん方の御意見は非常に重要でございますので、ハンプが高いと、どうしても騒音が出るとか日常走行が不快になるといったような問題もございます。

 こうしたこともありますので、地域の方々の理解を得るために、必ずしも十センチじゃなくても交通安全対策補助の地区内連携の補助対象とさせていただいております。

○塩川委員 最後に、三原大臣にお尋ねします。

 やはり国のレベルにおきましても、国交省や警察庁や内閣府が連携して取り組んでいく、その基本に、冒頭お答えいただきましたように、住民の意思を尊重していく、住民の理解、合意を取組の要にしていくということが重要だ。

 そういう点でも、現場において、道路管理者の方や警察や、何よりも地元住民の方、こういった方々の意向を踏まえた、そういう住民合意につながるような技術的、財政的な支援が必要ではないかと思いますが、その点についてお答えいただければと思います。

○三原国務大臣 ゾーン30プラスを含む交通安全対策につきましては、国土交通省におきまして、今委員御質問がありましたように、住民合意につながるようなデータの分析結果の提供ですとかハンプの貸出しなど、そうした技術支援、そしてまた、住民等との合意に基づく交通安全対策補助といった財政支援などが行われているものと承知をしております。

 内閣府におきましても、こうした支援が十分に行われるように、国土交通省に、関係省庁に対してしっかりと働きかけをしていきたいというふうに考えております。

○塩川委員 地域住民が主体となった生活道路の交通安全対策が前に進めるように取組をお願いし、質問を終わります。

野党国対委員長会談開く

 「コメを買ったことがない」などと発言した江藤農水大臣について、更迭を求めることで一致。

 私は「コメ高騰に有効な対策を取れず事実上無策となっていることに加え、消費者の気持ちを傷つけた江藤農水大臣は、二重の意味で大臣の資格がない。辞任すべき」と要求。


江藤農水相の更迭求める/5党国対委員長が一致

「しんぶん赤旗」5月21日・2面より

 日本共産党、立憲民主党、日本維新の会、国民民主党、れいわ新選組の5党の国対委員長は20日、国会内で会談し、「コメを買ったことがない」などと発言した江藤拓農水相の更迭を石破茂首相に求める方針で一致しました。

 日本共産党の塩川鉄也国対委員長は「コメ価格高騰に対して有効な対策をとれず事実上無策に陥っているうえ、消費者の気持ちを傷つける発言をした江藤氏は二重の意味で農水相の資格がない。辞任すべきであり、石破首相の任命責任が問われる」と強調しました。

イスマイーロフ・ウズベキスタン下院議長一行が額賀衆院議長を表敬訪問

 国会は二院制。

 下院は定数150。

 小選挙区で75議席、州単位の比例代表選挙区で75議席を選出。

 女性議員が4割を占めます。

 産業振興に注力。

 アラル海の水涸れなど環境問題も大きな課題です。

生活道路の安全対策に取り組んできた船橋市習志野台8丁目町会の現地視察に

 住民主導の取り組みとして、国交省も紹介しています。

 アンケートや日大理工学部の専門家の知見も活かし、ハンプや狭さく、イメージハンプ、グリーンベルトなど、多くの提案が実現し、事故減少につながっています。

埼玉県杉戸町で演説会

 消費税問題が熱い争点に!

 消費税5%への減税は1世帯年間12万円の減税効果。

 全品目の一律減税、インボイス廃止と一体、廃止に向けたステップとして。

 財源が最大の焦点に。

 恒久措置は借金でなく、担税力のある大企業や富裕層への減税を見直すことで財源示す。

 日本共産党の躍進を!

猿島土建定期大会であいさつ

 賃金・単価の引上げ、中建国保を守り発展させる運動、公契約条例・公契約法実現の取り組みなど、建設労働者の労働条件と権利を守るたたかいの先頭に立つ活動に敬意。

 昨年は、100万人署名運動で、担い手三法成立に貢献しました。

 消費税5%減税、インボイス中止を!

【内閣委員会】風営法改正案 可決/悪質ホスト対策/女性相談支援員・消費生活相談員の待遇改善を

 悪質ホストクラブによる被害防止を目的とした風営法改正案が全会一致で可決されました。改正案は、恋愛感情などを利用した接客方法で、女性客に多額の借金を負わせ、返済のために性売買や性風俗店に勤務させるなどの恋を禁じます。性風俗店による紹介料(スカウトバック)の禁止や罰金刑の引き上げ等を盛り込んでいます。

 私は質疑で、悪質なホストクラブ営業への規制強化とともに、被害者の相談体制の整備が国の責務だと強調。政府広報ビラに悪質ホスト問題の相談先として記載されている女性相談支援センターで働く女性相談支援員の待遇をただしました。

 厚生労働省の岡本利久審議官は、2024年4月時点で2年以上働く支援員のうち、約9割が非正規職員で、その平均時給は1496円だと答えました。

 私は、高度な専門知識と経験、継続性が求められる職務に見合った待遇になっていないと批判。支援員への国庫補助基準額の時給1576円を上回ったのは5都県のみだとして、都道府県で差が出ない一律の賃金体系や正規職員化など待遇改善を求めました。

 また、同様に相談先として記載されている消費生活支援センターの消費生活相談員についても質問。83%は非正規で、その多くを占める会計年度任用職員の雇い止めが横行していると指摘。「悪質ホスト対策としても知識やノウハウを持つ相談員の雇い止めは重大な社会的損失だ」と迫りました。

 消費者庁の尾原知明審議官は、任用回数に上限を設けて雇い止めする制度は「消費生活相談の職の特性に反する」と答弁。私は相談員が安心して働ける待遇改善を強く求めました。

衆議院TV・ビデオライブラリから見る


風営法改正案/悪質ホスト被害防止/衆院委で可決/塩川氏 支援員の待遇改善を

「しんぶん赤旗」5月17日・13面より

 悪質ホストクラブによる被害防止を目的とした風営法改正案が16日、衆院内閣委員会で全会一致で可決されました。改正案は、恋愛感情などを利用した接客方法で女性客に多額の借金を負わせ、返済のために性売買や性風俗店に勤務させるなどの行為を禁じます。性風俗店による紹介料の禁止や罰金刑の引き上げなどを盛り込んでいます。

 日本共産党の塩川鉄也議員は質疑で、悪質なホストクラブ営業への規制強化とともに、被害者の相談体制の整備は国の責務だと強調。政府広報ビラに悪質ホスト問題の相談先として記載されている女性相談支援センターで働く女性相談支援員の待遇をただしました。

 厚生労働省の岡本利久審議官は、2024年4月時点で2年以上働く支援員のうち約9割が非正規職員で、その平均時給は1496円だと答えました。

 塩川氏は、高度な専門知識と経験、継続性が求められる職務に見合った待遇になっていないと批判。支援員への国庫補助基準額の時給1576円を上回ったのは5都県のみだとして、都道府県で差が出ない一律の賃金体系や正規職員化など待遇改善を求めました。

 また、同様に相談先として記載されている消費生活支援センターの消費生活相談員についても質問。83%が非正規で、多くを占める会計年度任用職員の雇い止めが横行しているとして「悪質ホスト対策としても知識やノウハウを持つ相談員の雇い止めは重大な社会的損失だ」と迫りました。

 消費者庁の尾原知明審議官は、任用回数に上限を設けて雇い止めする制度は「消費生活相談の職の特性に反する」と答弁。塩川氏は相談員が安心して働ける待遇改善を強く求めました。


「議事録」

第217回通常国会 令和7年5月16日(金曜日)内閣委員会 第21号

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 風営法案について質問いたします。

 本法案では、悪質ホストクラブ問題に対応するための規制が強化をされるということであります。制度の整備はもちろん重要であります。同時に、被害に遭った女性たちがどこに相談すればよいか分からないというようなことがあってはなりません。相談窓口の周知は必要ですし、その窓口の体制を整備することは国の大きな責務であります。

 そこで、坂井国家公安委員長にお尋ねをいたします。

 警察庁も、三月には、広報啓発や真摯な相談対応、そして関係行政機関との連携に関する通達を都道府県警宛てに発出をしております。悪質ホストに関連する警察への相談件数が急増しているということですけれども、その要因と、どのような相談対応を行ってきたのか、今後、相談対応における改善点はどうなっているのか、この点についてお尋ねいたします。

○坂井国務大臣 警察への相談件数でございますが、令和三年、二千四十四件、四年、二千八十九件、五年、二千六百七十五件、六年、二千七百七十六件と、近年増加しております。

 この背景について断定的にお答えするのは困難でありますが、やはり、コロナ禍を経て、孤独、孤立、人のつながりや自己肯定感を求める、こういう若い女性がホストクラブを訪れる、また、派手な看板であったりアドトラックであったり、広告宣伝がSNSにまで入ってくるというようなことで、様々なこういった情報に触れ合う機会が増え、身近に感じ、すごくハードルが下がったというようなことが考えられるのではないかなと思っております。

 警察におきましては、悪質ホストクラブ問題を深刻な問題と認識をし、これまでも、風営適正化法のみならず、売春防止法、職業安定法等を駆使して取締りを強化をしてきましたと同時に、立入り等を通じた行政処分、広報啓発等の対策も講じてまいりました。

 本法案が成立した暁には、こういった取締り等々と同時に、先ほど辻副大臣からも答弁がありましたが、関係行政機関等と連携をして、幅広く、様々な場所づくりであったり、また相談の機能であったり、こういった強化を、各種取組を進めてまいりたいと思っております。

○塩川委員 相談件数が非常に増えてきているということの背景についてもお話をいただきました。是非、そういったものについてしっかりとした相談体制を整えていく、そういう点でも関係機関との連携という話がございました。是非、こういった取組を行っていくときに、相談対応についての関係行政機関との連携において、連携先について警察庁としても示しているところであります。

 その一つでもあります女性相談支援センターについてですけれども、女性相談支援員の処遇改善についてお尋ねをいたします。

 悪質ホストクラブ問題についての政府広報ビラで、初めに述べたように、被害女性が、どこに相談すればよいか分からない場合は、まず、お住まいの地域の女性相談支援センターに電話で御相談くださいとなっております。

 同センターは、女性の様々な悩みに関する相談に応じ、様々な支援を行う機関で、本問題においても重要な立ち位置にあります。その点において、実際相談を受ける女性相談支援員の役割は極めて重要であります。

 女性相談支援員は、昨年施行の女性支援新法で職務が改めて定められました。電話、面接、出張訪問の相談や同行支援、関係機関との連携といった事業の中心の担い手で、高度な専門知識と経験が求められます。昨年八月の国の調査でも、相談件数全体は延べで四十万件を超えた状況で高止まりをしている。そういった際に、女性相談支援員の仕事の役割も極めて大きくなっていると思います。

 厚生労働省にお尋ねします。この調査では、給与等の処遇についても調査をしています。まず配置状況について、正規、非正規の割合はどうなっておりますか。

○岡本政府参考人 お答え申し上げます。

 女性相談支援員の配置状況ということでございますが、令和六年四月一日時点で各自治体に配置されております女性相談支援員のうち、令和四年度以前から配置されている方につきましては、正規職員が百八名、非正規職員が九百五十名ということでございまして、全体に占める割合としては、正規職員の方が約一割、非正規職員の方が約九割というふうになっているということでございます。

○塩川委員 非正規の方が九割ということであります。

 このような非正規職員の給与というのはどうなっておりますか。

○岡本政府参考人 お答え申し上げます。

 令和六年四月一日時点で配置をされている非正規の女性相談支援員のうち、令和四年度以前から当該自治体に配置されている方につきまして、令和六年四月の基本給を時給換算いたしますと、平均で千四百九十六円というふうなことでございます。

○塩川委員 時給が千四百九十六円というのは余りにも低いと言わざるを得ません。本当に専門性が求められる、丁寧な相談活動を担っておられるこういった方についての、時給換算での千五百円にも届かないというのは余りにも低いということを言わざるを得ません。

 さらに、この調査では、この実態について、国庫補助基準額はおおむね時給千五百七十六円、多くの自治体で乖離が見られると厚労省も指摘をしております。

 実際、基準額を超えているのは五都県と承知をしておりまして、残りの四十二道府県はこれを下回っているということで、厚労省として、こういう乖離をどう改めていくのか、引き上げていくのか、この点についてお答えください。

○岡本政府参考人 お答え申し上げます。

 女性相談支援員につきましては、困難な問題を抱える女性にとっての最初の窓口として相談に応じ、女性の状況などに応じた必要な支援のコーディネートを行うなど、女性支援において重要な役割を担っているということでございます。

 女性相談支援員につきましては地方公務員ということでございますので、任用や労働条件につきましては自治体において判断をしていただくということではございますが、職務を行うために必要な能力、専門的な知識経験を有する人材の登用、職務に見合った処遇に御配慮をいただきたいというふうに考えております。

 こうしたことから、厚生労働省におきましては、女性相談支援員が非常勤として配置される場合であっても、その役割に見合った適切な処遇が確保されるよう、基本額に加え、経験年数や職務に応じた加算、期末手当、勤勉手当加算などの補助を行っているということとともに、令和七年度からは、有識者や職員OBが知識や経験を生かして女性相談支援員が抱える困難事例に対する助言を行うなど、支援の質の向上や業務負担を軽減するためのスーパービジョン整備事業というものを行っているところでございます。

 こうした取組を通じまして、女性相談支援員の職務に見合った処遇の確保あるいは職場環境の整備ということを推進してまいりたいと考えております。

○塩川委員 女性相談支援員の方々というのは専門的な知見、知識を持って対応しておられるわけです。こういった仕事、役割、能力について、都道府県で差があるわけではありません。そういう点でも、そこで賃金の違いが生まれるということ自身がおかしいわけであって、やはり、一律のこういう賃金体系にしていくような、こういう取組を促していく姿勢というのが国には求められるということを申し上げます。

 あわせて、処遇改善の話もありました。是非とも正規化を目指すような処遇改善というのは必要だということを強調しておきたいと思います。厚労省の資料によれば、在職年数が三年未満の相談員が、都道府県では四一・四%、市町村では四〇・三%となっております。自治体全体で十人にも満たない人員のところもあります。

 さきに述べたように、高度な専門知識と経験が求められますし、支援には継続性が必要であります。女性版骨太方針でも、「女性相談支援員の人材の養成・処遇改善の推進」と記載をされております。支援員の適切な人員体制と、雇い止めのない雇用を含めた待遇改善が必要だということを強調しておきます。

 次に、同じように相談活動を行う窓口として、連携をする対象として、消費生活センター、消費生活相談員の処遇の問題があります。

 消費者庁にお尋ねしますが、このような消費生活センターでは、悪質ホストクラブ問題にどのように対応しておられるんでしょうか。

○黒木政府参考人 お答え申し上げます。

 消費生活センターでは、消費者トラブルに遭われた消費者などからの御相談を受け付け、専門の消費生活相談員が相談内容に応じて助言等を行っているところでございます。

 ホストクラブ関係の御相談につきましては、相談者によってその内容が様々でございます。まずは相談員が相談者の置かれた状況や事情を丁寧にヒアリングした上で、その内容に応じて、例えば、消費者契約法の御紹介や専門的な御助言、それから、弁護士や法律相談の御紹介、また、先ほども御指摘のありました女性相談支援センター、その他関係機関の窓口の御紹介などを行っておりまして、最大限相談者に寄り添った対応を行っているところでございます。

○塩川委員 個々の事情を丁寧に伺って、具体的な相談の中身に対応してアドバイスをし、また、必要な関係機関を案内をする、そういう点でも極めて重要な役割を果たしているのが消費生活相談員の方ですけれども、高度な専門性や知識経験が必要ですが、その実態を見ますと八三%が非正規となっており、そのほぼ全てが会計年度任用職員となっております。

 我が党の本村議員が消費者特で取り上げましたように、雇い止めが増加をしているという問題もあるということで、消費者庁にお聞きしますが、悪質ホスト対策という点でも、多くの知識やノウハウを持つ相談員の方々が雇い止めされてしまうというのは、本当に重大な、社会的な損失だと言わなければなりません。是非、対策が必要ではありませんか。

○尾原政府参考人 お答え申し上げます。

 消費生活相談員に求められる能力や経験は一朝一夕に身につくものではなく、中長期的な視点に立って任用、育成等を行っていくことが重要でございます。

 消費生活相談員の任用は、地方公務員法等に基づき、各地方自治体で検討、実行されているものではありますが、消費者庁としましては、こうした相談員の方々の能力や経験等に見合った処遇となることが重要であると考えております。

 そのため、これまで様々な機会を通じて地方公共団体に働きかけなどを行ってきたところであり、引き続き、任用面を含めて適切な処遇となるよう働きかけに努めてまいります。

○塩川委員 雇い止めが横行するような事態はやはりふさわしくない、雇い止めが横行するような事態というのはやはり改めるべきだ、そういうことをはっきりと言うべきじゃありませんか。

○尾原政府参考人 お答え申し上げます。

 いわゆる雇い止め、任用回数に上限を設け、上限を超えた場合には同一者を一切再任用しないといった規定、人事慣行等は、消費生活相談員の職務の特性に反するものであると考えております。

 繰り返しになりますけれども、我々としましては、様々な機会を通じて地方公共団体に任用面も含めて適切な処遇となるよう働きかけをしているところでございます。

○塩川委員 この仕事を培っていく、そういった点でも、養成には中長期的な対応が必要なわけですから、雇い止めというのはまさにそれを断ち切る話であって、そこをやはり改めていく、そういった対応というのを消費者庁としても働きかけを求めていきたいと思います。消費生活相談員の方々が安心して働けるように、このような処遇改善を強く求めていくものであります。

 最後に、ワンストップ支援センターについてですが、代金の支払いのため女性に性風俗を強制させるという行為が重大な問題となり、本案でも一定の規制が設けられております。そういった被害を受けた女性のため、保護や心身の負担軽減、身体の回復を目的として、各都道府県に性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターが設置をされております。

 内閣府にお尋ねしますが、夜間の相談対応や緊急対応も必要な、二十四時間三百六十五日いつでも対応できることが重要であります。現状がどうなっているのか、この点についての今後の対応をどう考えているのかを併せてお聞きします。

○岡田政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターにつきまして、二十四時間三百六十五日対応が可能なセンターが整備されているのは二十都府県となっております。

 なお、それ以外の道府県につきましても、内閣府が運用いたします夜間休日コールセンターの利用によりまして、二十四時間三百六十五日相談していただくことが可能となってございます。

 また、緊急時には、各センターの相談員等がオンコール対応を行う体制を取っております。

 ワンストップ支援センターは都道府県等がそれぞれの地域の状況に応じて体制整備をしているものでありまして、センターの相談受付時間につきましても各都道府県において判断していただいてございます。

 内閣府といたしましては、都道府県等に交付いたします性犯罪・性暴力被害者支援のための交付金におきまして、二十四時間三百六十五日対応可能なセンターを整備している場合には、上限を設けることなく、運営に要する所要額の全額の交付申請を可能とするなど、二十四時間三百六十五日対応の取組を支援しているところでございます。

 なお、センター自身で常時相談を受け付けるという体制を取ることが難しい場合でありましても、被害に遭われた方が時間、曜日を問わずいつでも相談することができ、状況に応じて必要な医療的支援等を受けられることが重要と考えておりまして、先ほど申し上げましたとおり、繰り返しになりますけれども、内閣府といたしましては、夜間休日コールセンターの運営とオンコール体制の整備によりまして、各都道府県等と協力いたしまして相談支援体制の整備を図っているところでございます。

○塩川委員 終わりにしますけれども、二十四時間対応といっても、コールセンターということでは、遠いわけですよ。実際には、逃げ込める場所、駆け込める場所が必要なわけです。

 医療的なケアも含めた対応という点でのワンストップ支援センターについて、二十四時間三百六十五日対応の、医療拠点型のそういう施設をしっかりとつくっていく、こういった形で支援を行っていく。そのことを強く求めまして、質問を終わります。

企業・団体献金めぐり 今国会中の結論を、自公国は誠実な対応を要求/禁止求める野党が共同会見

 今国会で焦点となっている企業・団体献金の禁止を巡り、日本共産党をはじめ禁止を求める野党各党は、今日、記者会見を行い、「今国会で結論を得ること」、態度を具体的に示していない国民民主党・公明党と企業・団体献金の存続を主張する自民党に対し「速やかに対応すること」を求めました。

 企業・団体献金をめぐっては、政治改革特別委員会で、立憲民主党など野党5会派が禁止法案を提出し、日本共産党は参院に法案を提出しています。一方、自民党は、企業・団体献金を温存し、一定期間を過ぎると一部の高額寄附しかわからなくなる法案を提出しています。

 今国会、審議が行われてきましたが、国民民主党と公明党は、禁止ではなく、受取支部の制限や量的規制の検討を言うものの、法案は提出せず、温存したい自民党を助けてきました。自公国は、3月末に、実務者協議で「禁止しない」ことを確認しています。

 私は「この問題の発端は自民党の裏金事件であり、裏金の原資である政治資金パーティー収入は形を変えた企業・団体献金だからこそ、禁止することが大きな世論になっている」と強調。自民党の支持層であっても禁止に賛成が多数であることを示した世論調査(朝日新聞、15日付)に言及し「企業・団体献金の禁止こそ、今国会で行うべきであり、国民に託された責務だ」と述べ、各党に前向きな対応を強く求めました。


企業・団体献金の結論を/野党/自公国に速やかな対応要求

「しんぶん赤旗」5月16日・2面より

 今国会で焦点となっている企業・団体献金の禁止を巡り、日本共産党をはじめ禁止を求める野党各党は15日、国会内で記者会見を開き、今国会で結論を得るため、態度を具体的に示していない公明党、国民民主党と、存続を主張する自民党に対し、速やかに対応するよう求めました。

 企業・団体献金を巡っては、衆院政治改革特別委員会で、立憲民主党など野党5会派が全面禁止法案を提出し、日本共産党は参院に法案を提出しています。一方、自民党は企業・団体献金を温存し一定期間を過ぎると一部の高額寄付しか分からなくなる法案を提出しています。

 今国会で企業・団体献金禁止を巡り審議が行われてきましたが、国民民主と公明は禁止ではなく、受け取り支部の制限や量的規制の検討を言うものの、法案は提出せず、温存したい自民党を助けてきました。自公国は3月末に実務者協議で「禁止しない」ことを確認しています。

 日本共産党の塩川鉄也議員は「この問題の発端は自民党の裏金事件であり、裏金の原資である政治資金パーティーの収入は形を変えた企業・団体献金だからこそ、禁止は大きな世論になっている」と強調。自民党支持層であっても禁止に賛成が多数であることを示した15日付「朝日」の世論調査に言及し「企業・団体献金の禁止こそ、今国会で行うべきで、国民に託された責務だ」と述べ、各党に前向きな対応を強く求めました。

【政治改革に関する特別委員会】選挙執行事務ミスの急増/基準の見直しを

 私は、選管による選挙執行事務ミスの激増問題について質問しました。

 私は、「選挙は民主主義の根幹で、主権者・国民の参政権の問題であり、不正があれば選挙無効になりかねず、ひいては選挙権を行使できなくなる」と指摘したうえで、「選挙執行にあたって最も重要なことは、公正で間違いがあってはならないこと」と強調。

 2004年と22年の参院選における管理執行上問題となった行為の件数は、04年が63件22年が224件へ、15年余りで3倍以上に急増しています。

 私が、選挙ミスが増えているのはなぜかとただすと、村上誠一郎総務相は「多くは単純ミスや思い込み等によるもの」と答弁。

 私は、参院選では非拘束式名簿方式を導入した01年以降に比例代表の候補者で得票ゼロになった例が少なくとも16件あるとの報道や、解散から公示まで短期間だった24年総選挙では不在者投票で受け付けた票の入れ忘れなどがあったことを示し、「有権者が投票した票が消える事案が全国各地で起こっていることに、危機感を持つべきだ」と批判。

 さらに、私は、開票所経費は抑えられ、開票所は大幅に減り、開票所の事務従事者数は激減し、経費積算の前提となる開票時間の基準が減らされていることを指摘。

 参院選においては基準時間以内に終了した開票所は4割しかなく、この基準を維持することが開票のプレッシャーになりミスにつながっていると強調。

 抜本的に見直し信頼される選挙の開票事務にするよう求めました。

衆議院TV・ビデオライブラリから見る


「議事録」

第217回通常国会 令和7年5月15日(木曜日)政治改革に関する特別委員会 第15号

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 前回の質疑に続いて、選挙執行事務に関連して質問をいたします。

 選挙は民主主義の根幹であり、主権者である国民の参政権の問題であります。不正があれば選挙の正当性が失われることになり、選挙無効になりかねないので、ひいては選挙権を行使できなくなる。二〇一九年、当時の石田大臣は私の質問に対し、選挙は民主主義の根幹をなすものであることから、適正な管理、執行により選挙の公正を確保することは極めて重要であると答弁しております。

 村上大臣にお尋ねいたします。選挙執行に当たって最も重要なことは公正で、間違いがあってはならないということだと思いますが、確認したいと思います。

○村上国務大臣 お答えいたします。

 選挙は民主主義の根幹を成すものであることから、適切な管理、執行により選挙の公正を確保することは極めて重要であると考えております。

○塩川委員 石田大臣と同じ答弁だったわけですけれども。

 投票用紙の交付ミスや不在者投票の運用の誤りなど、管理執行上問題となった行為、いわゆる選挙事務ミスについてお尋ねをします。総務省にお聞きしますが、二〇二四年の総選挙については集計中とのことですので、二〇〇四年の参議院選挙と二〇二二年の参議院選挙における管理執行上問題となった行為というのはそれぞれ何件あるでしょうか。

○笠置政府参考人 総務省では、国政選挙や統一地方選挙の際に各都道府県選管から管理執行上問題となった事項について報告をいただいております。御指摘の平成十六年、二〇〇四年及び令和四年、二〇二二年の参院選において管理執行上問題となった事項として報告のあった件数は、平成十六年、二〇〇四年が六十三件、令和四年、二〇二二年が二百二十四件であります。

○塩川委員 参議院選挙では、十五年余りで六十三件が二百二十四件と三倍以上、四倍近くに急増しております。二〇一五年、私の質問に対して当時の高市大臣は、選挙事務に携わった職員が不正を行うという事案が発生したことで、選挙への信頼を揺るがしかねない、ゆゆしきことと述べ、しっかりと注意喚起していくと答弁をしました。一九年の質問では、当時の石田大臣は、改めて通知を発出し、研修に選管OBを派遣する制度を新設するなどと述べております。

 村上大臣にお聞きしますが、しかしながら、二〇一九年参院選でのこのような管理執行上問題となった行為二百件が三年後の二二年参院選では二百二十四件で、引き続き増えているわけです。こういった選挙ミスが増えている理由は何なのか、この点についてお答えください。

    〔委員長退席、後藤(祐)委員長代理着席〕

○村上国務大臣 国政選挙等におきまして管理執行上問題となった事項としましては、投票用紙の交付誤りや、本人確認を十分に行わないまま投票用紙の交付を行うことなど、多くは単純ミスや思い込み等によるものであると考えております。

 総務省としましては、このような事務的ミスの発生を避けるためにも、各選挙管理委員会において、選挙事務に従事する応援職員に対する研修の実施等により、個々の事務の目的や必要性について十分に確認いただくことが重要と考えております。

 今後、参院選に向けた全国の担当者会議におきましてその徹底を要請するとともに、実務に精通した者を派遣する管理執行アドバイザー制度や、各選挙管理委員会における研修の徹底などを通じて、選挙の厳正な管理、執行に万全を期すよう取り組んでまいりたい、そのように考えております。

○塩川委員 単純ミス、事務的なミスがあるんだと言うんですけれども、ではそれが何で増えたのかというところが問題だと思います。同じことが繰り返されるだけじゃなくて、増えているわけですから。

 そういった点で、参議院選挙の場合に、比例代表選挙は非拘束名簿式、二〇二二年の立候補者数は百七十八人であります。この人数の候補者の個人名票をそれぞれ集計して、政党名票と合わせて各政党の得票数とし、当選者数を決め、個人名票が多い順に当選者が決まる。さらに、優先的に当選する特定枠も加わりました。候補者数が多く、複雑で膨大な開票作業が行われております。

 参議院選挙で非拘束名簿式を導入した二〇〇一年以降、比例代表の候補者で得票ゼロでトラブルになったというのが少なくとも十六件あるとの報道があります。

○後藤(祐)委員長代理 今恐らく急用で大臣が退席されましたが、大臣に対する質問を予定するのであれば止めますが。(塩川委員「次があるものですから、止めてもらえれば」と呼ぶ)では、一旦止めます。

 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

    〔後藤(祐)委員長代理退席、委員長着席〕

○渡辺委員長 速記を起こしてください。

 塩川君。

○塩川委員 もう一問お答えいただいてから中座ということで事前に了解をしておったものですから。(村上国務大臣「済みませんでした」と呼ぶ)いえいえ。

 このように、得票ゼロという開票区が比例代表の個人名であったという例というのが十六件あるとの報道もありました。

 我が党の山下芳生参議院議員も、二〇一九年の参院選で大阪府堺市美原区でゼロ票となっておりました。その後、山下議員に投票した有権者の方々が、自分の一票はどこに行ったのかと訴えられたところであります。山下議員がこの問題を参議院の倫選特でも取り上げたところですけれども、自分の願いを託して一票を投じた有権者が、票が消えてしまったと、憲法に保障された参政権を侵害されたことに強い憤りを感じておられたということで、票が消えてしまったという方の中には、お年が百歳の方で、二人の方に介助してもらって投票所に行って投票した、その方なども、一票の重みを忘れないでほしい、こういうことを訴えておられたそうであります。このように、国民の参政権が侵害をされる、こういった事態は絶対にあってはならないことであります。

 有権者が託した一票の重みを受け止めるべきだ、そういった際に、先ほどはミスが増えたのはなぜかということをお聞きしたんですが、今回は、何で選挙ミスがなくならないのか、こういったことについて大臣のお考えをお聞かせください。

○村上国務大臣 先ほどは失礼いたしました、許可が出たもので行ったので。

 繰り返しになるんですけれども、総務省としましては、このような事務的ミスの発生を避けるためにも応援職員に対して研修の実施等により個々の事務の目的や必要性について一生懸命やっているつもりなんですが、やはりどうしても応援の方をいっぱい頼むこともありまして、残念ながらそういう申し訳ないミスが多々起こっているのではないかと思います。

○塩川委員 要するに、こういったミスというのが参議院選挙だけではなくて衆議院選挙においても、二〇〇五年の六十四件が二一年の二百九十六件と激増しているわけです。二〇二四年の総選挙の場合には解散から公示までが非常に短期間であった、こういった点で不在者投票の入れ忘れや投票用紙の二重交付などが全国で相次ぎました。

 報道によれば、大阪府豊中市では不在者投票で受け付けた比例代表の五百二十五票を投票箱に入れ忘れていずれも無効になるとか、大阪府の富田林市でも不在者投票を執行室の保管庫に入れたまま投票を締め切り比例代表の三十二票が無効になるとか、川崎市ではパソコンの充電切れで投票システムが一時停止し約二十人が投票できなかったとか、有権者が投票した票が消えてしまう、無効にされてしまう、これが全国各地で起こっているということに危機感を持つべきであります。

 しかも、二〇一〇年代に現憲法下で起こらなかったことが三件も立て続けに起こりました。国政選挙における選管による開票不正であります。一三年参院選での高松市選管の不正開票事件や、一四年総選挙での仙台市選挙管理委員会の不正開票。また、一七年の総選挙では、甲賀市の選管が、投票総数より開票した票数が少なかったために白票の水増しでつじつまを合わせて、見つかった未集計の投票用紙を焼却処分していた。甲賀市選管の不正に関わり四百票の投票用紙を焼却した元総務課長はインタビューで、国政選挙では職員のプレッシャーが大きい、他の市町の開票状況も気になる、正確さは当たり前で速さが問われると答えております。何度も指摘してきていることですが、こういう事件の背景に、開票時間の短縮を求める、そういうプレッシャーがあったことは明らかだと思います。

 基礎的な数字を確認しますけれども、一九九五年と二〇二二年の参院選時の開票所総数はそれぞれ幾つか、何か所減少したかを確認します。

○笠置政府参考人 参院選における開票所数でございます。平成七年、一九九五年は三千四百十か所、令和四年、二〇二二年は千八百九十七か所となってございます。

 平成七年と令和四年を比較すると、開票所の減少数は千五百十三か所となってございます。

 開票区は原則市町村単位、政令市の場合は区でございますが、そういった単位でございますので、市町村合併によりその数は減少しているということでございます。

○塩川委員 この二十五年間で開票所は四四%も減少しております。

 現行の非拘束名簿方式が導入された二〇〇一年と直近二〇二二年の参院選時の開票所事務従事者の総数、これはそれぞれ何人でしょうか。

○笠置政府参考人 開票所事務従事者数でございますが、平成十三年、二〇〇一年は三十三万四百十三人、令和四年、二〇二二年は二十万九千九百二十三人となっています。

○塩川委員 二〇〇一年は三十三万人、二二年は二十一万人、開票所の事務従事者というのがこの二十年間で大幅に減少しているわけであります。

 そして、国政選挙経費の基準額積算の前提となる開票時間の基準がどんどん減らされている。現行の基準は、準備、撤去の時間も含めて四・五時間となっています。二〇〇四年の改定までは、参院選の基準は六・五時間だったわけであります。二〇二二年の参議院選挙において四・五時間以内と六・五時間以内に開票終了している開票所の割合がそれぞれどうなっているのかについてお示しください。

○笠置政府参考人 令和四年の参院選におきまして、四・五時間以内に開票が終了した開票所の比率は約四一%、六・五時間以内に開票が終了した開票所の比率は約八三%となっています。

○塩川委員 開票時間の基準、現行の四・五時間以内にそれぞれ開票終了しているのは四割しかないんですよ。昔の基準の六・五時間に照らしても八二・六%ということですから、この開票時間の基準というのがもう実態に合っていないということを言わなければなりません。

 今国会提出の執行経費法案でも開票時間基準が四・五時間のままです。四割しか終わっていないのに何で四・五時間のままにしているんですか。

○笠置政府参考人 令和四年の参院選の実態調査をしたところでございます。全ての開票所の平均開票時間が四時間五十分でございました。令和元年の平均開票時間は四時間四十五分、平成二十八年参院選の平均開票時間は四時間五十分と大差がなかったことから、現行の基準時間、四時間半を維持することとしたところでございます。

○塩川委員 時間が参りましたので終わりますけれども、四割の開票所しか達成していない開票時間の基準を四・五時間のままにしているということが開票時間のプレッシャーにつながって、ミスにつながっている、こういう問題があるということは真摯に受け止めるべきであります。開票所経費は抑えられ、開票所は大幅に減り、開票所の事務従事者数は激減をし、開票時間の基準は短時間のまま、こういった基準そのものを抜本的に見直して本当に信頼される選挙の開票事務を行わせていく、このことを強く求めて、質問を終わります。

【内閣委員会】生活道路の安全対策/住民合意大切に普及進めよ

 私は、生活道路の安全対策について住民合意を重視しながら進めるよう求めました。

 住宅街などにあってセンターラインのないいわゆる生活道路は、これまで最高速度の標識などがある区間を除き、法定速度は時速60キロでしたが、道路交通法施行令が改正され、2026年9月から時速30キロに引き下げられます。一般道の約7割が対象となる大きな転換です。

 私は、法定速度を時速30キロとする理由について質問。警察庁は「自動車の速度が30キロを超えると歩行者の致死率が急激に高まる」ことをあげました。私は、警察庁が「引き下げの対象となる道路のうち時速30キロの規制が実態と合わないものについては適切な速度規制を行う」としていることに対して、地域住民の意見を踏まえた対応が必要だと強調しました。

 また、私は、時速30キロの区域規制を行う「ゾーン30」と一体で、ハンプ・狭さくなどの物理的対策で速度抑制を図る「ゾーン30プラス」がわが党の提案で実現したことを紹介し、その効果を質問。警察庁は「死亡・重症事故が減少している」と答えました。私は普及にどのように取り組んでいくのかと質問。坂井学国家公安委員会委員長は「国交省や道路管理者と連携するとともに、地域住民の理解が大事だ。ゾーン30プラスの効果を示して、理解が得られるよう丁寧に取り組んでいきたい」と答えました。

衆議院TV・ビデオライブラリから見る


「議事録」

第217回通常国会 令和7年5月14日(水曜日)内閣委員会 第20号

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 今日は、生活道路の交通安全対策について質問をいたします。

 警察庁は、いわゆる生活道路の法定速度の見直しを行うとしております。

 そこで、坂井国家公安委員長にお尋ねしますが、生活道路とはどのようなものなのか、また、どのような見直しを行うのか、その理由は何か、この点についてお答えください。

○坂井国務大臣 生活道路とは、主として地域住民の日常生活に利用される生活道路であり、中央線などがない道路を想定をしております。

 自動車と歩行者、自転車との交通事故を防止するためには、自動車の速度抑制を行うことが効果的であり、交通実態に合わせたより安全な道路交通環境を確保することが重要であると認識をしております。

 道路標識等により最高速度が指定されている場合以外は、一般道路の自動車の法定速度は時速六十キロメートルとされておりますが、これまでも、こうした生活道路のうち、交通事故の発生状況等を勘案しつつ、速度を抑えるべき道路については、時速三十キロメートルの交通規制を行うよう努めているところでございます。

 さらに、昨年七月には道路交通法施行令が改正され、中央線や中央分離帯などにより自動車の通行が往復の方向別に分離されていない一般道路などを対象に法定速度を時速三十キロに引き下げ、令和八年九月一日から施行されることとしております。

○塩川委員 今御説明いただきました、資料として、警察庁のポスターを配付をしたところであります。生活道路における自動車の法定速度が引き下げられますということで、六十キロとされているものが三十キロ。生活道路の交通安全対策として、やはりこういった速度規制を図るという点は大事な点だと思っております。

 生活道路といった場合に、地域住民の日常生活に利用されるような中央線がない道路ということなんですが、よく五・五メートル未満といった整理の仕方も聞くんですが、そこは、生活道路との関係はどんな整理なのか分かりますか。

○早川政府参考人 お答えいたします。

 今回の道路交通法施行令の改正により法定速度の引下げの対象となります一般道路は、中央線の設置されていない道路等でございます。先ほど大臣が御答弁申し上げたとおりであります。

 そうした中で、車道幅員が五・五メートル未満の道路は、通常、車道の中央線がなく、法定速度の引下げの対象となる、こういうふうに整理をしているところでございます。

○塩川委員 中央線のない五・五メートル未満、こういう道路は生活道路ということで、今回のこのような措置につながっていくということです。

 警察庁にお尋ねしますが、生活道路全ての速度規制を時速三十キロとするというのは、どういう趣旨なんでしょうか。

○早川政府参考人 お答えいたします。

 これまで御答弁申し上げておりますが、道路標識などによります速度規制がない場合には、一般道路における法定速度は時速六十キロメートルと、現在、道路交通法施行令で規定をされているところでございます。

 しかしながら、一般道路のうち、車道幅員の狭い五・五メートル未満の道路におきましては、交通事故死傷者数に占める自転車乗用中や歩行中の交通事故死傷者数の割合が高い傾向にあるなど、こうした交通事故を抑止することが課題となっているところでございます。

 一方で、自動車の速度と死亡事故との関係は、自動車の速度が時速三十キロメートルを超えると歩行者の致死率が急激に高まることなどが明らかとなっておりまして、こうしたことを踏まえまして、道路交通法施行令を改正し、対象となる道路の法定速度を時速三十キロメートルに引き下げることとしたものでございます。

○塩川委員 時速三十キロを超えると歩行者の致死率が急激に上昇するということが背景にあるということであります。

 そこで、今、若干触れていましたけれども、こういった生活道路における交通事故の実態がどうなっているのかを少し推移も含めて御説明いただけますか。

○早川政府参考人 お答えいたします。

 車道幅員が五・五メートル未満の道路の状況についてお答え申し上げますが、五・五メートル未満の道路における交通事故発生件数は、令和六年中、交通事故件数全体の二三・二%を占めており、近年、その比率は横ばいで推移をしているところでございます。

 また、車道幅員が五・五メートル以上と五・五メートル未満の道路の状態別の令和六年中の交通事故死傷者数を見ると、車道幅員五・五メートル未満の道路における歩行中、自転車乗用中の死傷者が占める割合は、車道幅員が五・五メートル以上の道路の約一・九倍でございました。

 こうした交通事故の状況を踏まえ、歩行者、自転車の交通事故を防止する観点から、対象となる道路の法定速度の引下げを行うこととしたものでございます。

○塩川委員 重大な事故は、もちろん大きな道路で起こる場合がありますけれども、しかし、生活道路において、こういった死亡事故につながるような、歩行中やまた自転車を利用している方の死傷者の占める割合がやはり五・五メートル以上に比べても大変高いという点が生活道路の課題だということでの今回の措置だと承知をしております。このような生活道路の歩行者や自転車利用者の安全を確保する対策が必要であります。

 坂井国家公安委員長にお尋ねしますけれども、道路法上の道路の総延長が百二十三万キロあると聞いております。そのうち、五・五メートル未満のいわゆる生活道路は八十七万キロということで、全体の七割に当たります。

 今まで最高速度を時速六十キロとしていたものが、道路標識があるものは当然除くわけですけれども、今回、時速三十キロになるわけです。そういう意味では大きな転換になるわけですけれども、これについてどのようにやはり周知を図っていくのか、この点についてお答えください。

○坂井国務大臣 多くの方に知っていただくというのは大変大事なことでありまして、周知というのは大変重要であろうかと思っております。

 今日お配りいただいたポスターでありますが、個人的に思いましても、かなりよくできたものではないかなと思っておりますけれども、こういったチラシやポスターなどを活用すると同時に、来年九月の施行に向けて、関係機関の協力を得つつ、国民の皆様に対する広報啓発をいろいろな機会を捉えてお願いをすると同時に、進めていくよう、警察を指導してまいりたいと思っております。

○塩川委員 時速三十キロというのは、非常に重大な死傷につながるような事故が大きく増えるというその目安というところの認識を多くのやはりドライバーの方に周知をするということが本来の趣旨でもあろうかと思います。

 そういう点での大きな転換にもなるという点では、その周知について、ポスターだけだとどうしても限りがありますので、そういった点についての様々な対応について工夫をいただきたいと思っております。

 道路法上の道路の話で今まで来ているわけですけれども、道路法上の道路でない林道ですとか農道ですとか港湾の道路などもあります。そういったところについても、このような生活道路対策、速度規制の見直しについてはどのように対応することになっているんでしょうか。

○早川政府参考人 お答えいたします。

 道路法上の道路に限らず、お尋ねの農道や林道、港湾道路を含めまして、一般交通の用に供されている道路は法定速度の見直しの対象となり、中央線がないなどの場合は、法定速度は時速三十キロメートルとなります。

 一方で、農道等につきましては、幅員が広いものの中央線がないものや、センターラインがあっても道路交通法上の中央線に該当しないものもございまして、実際に、これまでも、速度規制がない場合には、その法定速度は時速六十キロメートルとなっているものもございます。

 したがいまして、時速三十キロメートルの法定速度の対象となり得る農道といった道路につきまして、交通量や車道幅員、設計速度などの観点から、それが実態と合わないものの把握に努めるなどし、法定速度の対象とすることが適当でないものにつきましては、今後、交通実態等を踏まえた速度規制を実施する必要があるものと考えているところでございます。

○塩川委員 警察庁の通達には、引下げ対象道路のうち、交通量や車道幅員、設計速度等の観点から、時速三十キロの最高速度が適用されることが実態と合わないものの把握に努めるということもありますので、そういう点で、当然、実情に沿った対応になるわけですけれども、地域住民の方の意見や要望を踏まえた対応ということで是非行っていただきたいと思っています。

 この措置との関係で、私がこの間取り上げてきたゾーン30プラスですけれども、生活道路の交通安全対策として、警察による最高速度時速三十キロの区域規制を行うゾーン30と、あと、道路管理者による、国交省などが行ってきたハンプや狭窄やスラロームなどの物理的対策である生活道路対策エリア、これがばらばらに行われてきた。それはやはり一体的にやることが必要じゃないかということを求めてまいりましたけれども、こういった私の提案も受けて、二〇二一年の八月にこのゾーン30プラスを開始をしたところであります。

 警察庁と国土交通省が、生活道路における人優先の安全、安心な通行空間の整備に取り組むとして、ゾーン30プラスを行うということになりました。全国で一番取組が進んでいるのが埼玉県と承知をしております。その中でも、件数でいうと、さいたま市が実施地区として多いところです。

 埼玉県警、さいたま市では、ゾーン30プラスについてどのような取組を行っているのか、また、その効果はどうなのか、その点について御説明ください。

○早川政府参考人 お答えいたします。

 ゾーン30プラスは、時速三十キロメートルの速度規制を一定の区域において行う警察の交通規制と、速度抑制を行うハンプといった物理的デバイスの道路管理者による設置との適切な組合せにより、生活道路における交通安全の向上を図るものでございます。

 ゾーン30プラスは、令和五年度末現在、全国で百二十八地区において整備されており、埼玉県では、さいたま市内の十地区を含め、県内に二十地区が整備されているところでございます。

 ゾーン30プラスの整備に際しましては、地域の要望などを把握し、道路管理者と警察が検討段階から緊密に連携することや、交通規制を実施したり物理的デバイスを設置したりすることにつきまして、地域住民の方々の御理解が不可欠であります。埼玉県警察におきましては、さいたま市と、連絡会議の場を活用するなどして緊密に連携するとともに、地域住民に対する説明会を合同で開催するなどし、ゾーン30プラスの整備を進めてきたものと承知をしております。

 埼玉県におけるゾーン30プラスの整備は令和四年度から開始されておりまして、今後、その効果につきまして継続的に確認する必要がございますが、例えば、四年度に整備いたしました十地区につきまして、前年度の三年度と翌年度の五年度を比較すると、当該地区における死亡、重傷事故が減少したものと承知をしております。

○塩川委員 令和六年度末で、埼玉県に二十地区、その後、更に増やして、八地区ぐらいプラスになっているというふうにもお聞きしました。さいたま市の現場での御説明も、埼玉県警や、またさいたま市にも伺ったところです。

 坂井委員長にお尋ねしますけれども、このようなゾーン30プラスの普及のために是非取組を強めていただきたいと思うんですが、今後どのような取組を行っていくのかについてお答えください。

○坂井国務大臣 もう御説明がありましたが、このゾーン30プラスは、警察の交通規制と道路管理者による物理的デバイスの設置により自動車の速度を抑制するなどし、生活道路における安全、安心な通行空間を確保するものであります。

 今、政府参考人からもありましたが、令和四年度から埼玉における整備が進んでいるということでございますが、この後、様々な情報が出てくると思いますし、成果が出てくると思いますので、こういった成果を横展開し、多くのところに活用しながら、しかし、同時に、警察と道路管理者との連携でありましたり、地域住民への丁寧な説明と理解の確保が必要となりますので、このように大変効果が上がるものだということを実際に示しながら、丁寧に説明をして取組を進めるよう、指導してまいりたいと思います。

○塩川委員 関係者の連携、また住民の皆さんの合意を得られるような、そういう取組というのは非常に重要です。

 それと併せて、促すための技術支援、財政支援も必要だ。狭窄といって、狭くする、ポールを立てる、あれなんかも一か所五十万かかるとか、ハンプと言われる高まりを造って速度を抑制する、五百万かかるとか、いろいろ幅もあるみたいですけれども、それなりの金額もかかるというのも念頭に、そういった財政措置なども更に進めてもらうことも強く求めて、質問を終わります。

【政治改革に関する特別委員会】選挙権奪う投票時間短縮/投票所増を 

 私は、国民の基本的な権利である投票権の行使を制約することにつながる投票時間の短縮や投票所総数の減少について質問。2024年総選挙で、投票時間繰上投票所は全体の39・2%。投票所総数は96年総選挙と比べ7785カ所の減少しています。

 私は、全投票所で投票時間短縮を行っている栃木県について、「人口51万人の宇都宮市は学生・若者も多いが、なぜ一律19時までなのか」と質問。

 笠置隆範・総務省選挙部長は「夜間の投票者が少ないこと、地域からの要望が寄せられていること等の理由と聞いている」と答弁。

 私は午後6時以降の投票者は、50歳代以上は少ないが若い現役の世代は割合が高いというアンケート結果を示し、「若い人の投票行動を見ても、閉鎖時刻の繰上げは逆行するものだ」と強調。

 これに対し、村上誠一郎総務大臣は、統計をとることを検討すると実態把握の必要性を述べたうえで、「厳正に対応するよう各選管に要請する」と答弁しました。

 また私は、投票所まで遠くなると投票参加率が大きく低下している結果を示し、「有権者の投票機会を奪わないよう、投票所そのものを増やしていく必要がある」と主張。

 村上大臣は「投票機会の確保につながる施策を積極的に講じるように要請する」と答弁しました。

 私は、1人であっても有権者の権利を奪ってはいけないという立場で、「国が選管を支援すべきで、ふさわしい財政措置を行うべきだ」と強調しました。

衆議院TV・ビデオライブラリから見る


「議事録」

第217回通常国会 令和7年5月13日(火曜日)政治改革に関する特別委員会 第14号

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 国政選挙執行経費基準法案に関わって、この間、私が取り上げてまいりました投票時間の繰上げ問題についてまず最初にお尋ねいたします。

 主権者国民の代表を選ぶ選挙は民主主義の根本であり、公務員の選定、罷免権の行使という憲法上保障された国民主権と議会制民主主義上の原則に関わる問題であります。国民の参政権行使を保障するには投票機会の保障が不可欠であり、これなしに選挙権の保障はありません。

 一九九七年に投票時間が二十時までと延長されたにもかかわらず、投票時間を繰り上げる、投票時間を短縮する投票所が増大しております。そこで、まずお尋ねしますが、一九九六年の総選挙と二〇二四年の総選挙において閉鎖時間を繰り上げている投票所数、全投票所数に占める割合はどれだけかについてお答えください。

○笠置政府参考人 平成八年、一九九六年の衆議院議員総選挙において、閉鎖時間を繰り上げている投票所は三千九か所でございます。投票所総数が五万三千二百十四でございますので、総数に占める割合は五・七%となってございます。

 一方、令和六年、二〇二四年の衆議院議員総選挙において、閉鎖時間を繰り上げている投票所は一万七千八百十三か所でございまして、投票所総数四万五千四百二十九に占める割合は三九・二%となっております。

 なお、投票所の閉鎖時刻につきましては、平成八年当時は原則午後六時までとされておりまして、先ほどもお話をいただきましたけれども、平成九年の公選法改正によって原則午後八時までとされたというところでございます。

○塩川委員 九六年の総選挙では時間繰上げの投票所は五・七%だったものが、回数を経るごとにどんどんと割合が高くなって、今では四割近くの投票所で閉鎖時間の繰上げを行っております。

 この問題について、我が党は、国民の基本的な権利である投票権の行使を制約することにつながるのではないかと何度も取り上げてまいりました。二〇二二年改定の際にも、投票所の閉鎖時刻をむやみに繰り上げることは決して好ましいことではないと考えておりますとの答弁もあったところであります。

 そこで、お聞きしますが、二〇二一年の総選挙と二四年総選挙を比べて、繰上げ投票所数、繰上げ投票所の割合を共に減少させている都道府県はどこでしょうか。

○笠置政府参考人 令和六年、二〇二四年の衆議院議員総選挙において、令和三年、二〇二一年の衆議院議員総選挙から繰上げ投票所数と繰上げ投票所の割合が共に減少した都道府県は、岩手県、秋田県、埼玉県、富山県、静岡県、三重県、和歌山県、島根県、徳島県、愛媛県、高知県、宮崎県、鹿児島県の十三県となってございます。

○塩川委員 十三県が繰上げ投票所数を減らし、その割合を減少させております。あわせて投票所そのものも減少させており、この点は極めて問題であります。

 群馬県では、二〇一二年の総選挙、二〇一三年の参院選、二〇一四年総選挙の間、九九%の投票所が投票時間短縮を行っていました。私もその際に取り上げましたが、その後の二〇一六年の参院選では九〇・四八%、二二年の参院選では八七・五七%まで繰上げ投票所は減少しました。

 二〇一四年当時、群馬県で唯一午後八時まで投票を受け付けていたみなかみ町の月夜野地区の関係者は、たとえ一人でも有権者の権利を奪ってはいけないと述べておられたということです。二〇一五年の知事選から投票時間を元に戻した大泉町の選管は、立会人からは非常に長いと言われたこともあるが交代制を取るなど工夫している、そういう努力の話がありましたし、投票時間を原則どおりとしている明和町の選管は、繰り上げるにはよほど特別な理由が要るはず、投票の機会をなるべく設けたいという国の方針に従っていると述べておられたということです。また、投票時間の短縮を行っていない神奈川県選管は、ぎりぎりに駆け込む人もいる、投票権の行使には同じ時間を継続させることが大事だと。大阪府の選管も、過去、台風直撃で繰り上げたところもあったが、フルで開けておくのが基本だ、逆に早める特別な理由がないと述べておられます。

 国は、この立場で選挙事務を行う選挙管理委員会などを支援すべきですし、ふさわしい財政措置を行うということが求められております。

 一方で、繰上げ投票所を増やしている県があります。その一つの栃木県は、二〇一九年の参院選時に二〇・四八%だったのが、二一年の総選挙では五九・〇六%、二二年の参院選では九一・一三%、二四年の総選挙では一〇〇%の投票所で繰り上げたということです。そこで、お尋ねしますが、栃木県が全ての投票所で投票時間を短縮しているのはなぜか。特に人口五十一万人という宇都宮市、大学もたくさんあります、学生、若者も多い、そういった宇都宮市でもなぜ一律十九時への繰上げになっているのか。その点について御説明ください。

○笠置政府参考人 投票所の開閉時間の繰上げ又は繰下げにつきましては、市町村の選挙管理委員会の判断ということで行うことができるということでございます。

 栃木県におきましては、夜間の投票者が少ないこと、地域からの要望が寄せられていることなどの理由で投票所閉鎖時刻の繰上げが行われていると聞いてございます。

○塩川委員 夜間の投票が少ないって、本当にそうなのかと。後でも紹介しますけれども、本当にそういった市町村の選管の判断が妥当なのかということが問われているところだと思います。

 群馬県においては、二四年の衆院選で繰上げ投票所をまた増やしているということもありました。一時間前倒しをした前橋市の選管は、開票も一時間早く始められ、市職員の働き方改革にもつながると。県庁所在地の前橋市の選管は、期日前を増やした方が投票率向上につながるなどの要望があったと述べております。また、千葉県館山市の選管は、二二年の参院選で初めて繰上げを行い午後六時に全投票所を閉めた、事前に削減効果を試算し、職員の手当を約九十二万円削減できると述べています。

 こんな効率性重視で有権者の投票権を制限するということについて、やはり問題が問われなければならない。有権者の投票権を何だと考えているのかということが問われていると思います。都市部での繰上げは、特に投票機会を奪うことになります。

 二〇一五年のとき、当時の高市大臣は、都市部で投票所の閉鎖時刻をむやみに繰り上げてしまうと投票人の投票の機会を奪うことになると答弁しておりました。

 明るい選挙推進協会が行った二〇二四年総選挙のアンケートによると、午後六時から八時の間においての投票者は全体では一六・七%でありました。そのうち、三十歳代は二一・四%、四十歳代は二一・一%が六時から八時の間に投票しています。確かに五十歳以上における投票者の数は六時から八時は少ないんですけれども、若い現役の世代の方々は六時から八時の割合が高いんですよ。そういったときに市町村の選管が夜間の投票者が少ないからという理由で繰り上げるのは、妥当なものとは言えないということを言わざるを得ません。若い人の投票行動を見ても、閉鎖時刻の繰上げは逆行するものだと思います。

 そこで、大臣にお尋ねをいたします。投票時間の繰上げは、投票人の投票機会を奪うことになります。若い世代の投票機会を確保するためにも、繰上げ投票所の増加を食い止め、投票権を制限しないためにどのような対策を行うのかについて、お答えください。

○村上国務大臣 塩川委員の御質問にお答えします。

 ただ、私のようなところの田舎は期日前でばんばんやっちゃうもので、六時以降がどれだけあってどれだけ少なくなるかというのは、先ほど質問にもあったように統計を一回取ってみないと分からないと思うんですが、そこら辺を考えながら答弁を申し上げます。

 投票所の開始時刻の繰下げ又は閉鎖時刻の繰上げにつきましては、各市町村の選挙管理委員会の判断で、選挙人の投票に支障を来さないと認められる特別の事情がある場合に限り行うことができるとなっております。

 こうした中、地域の実情により、例えば山間部などは大半の選挙人が早めに投票を済ませていることなどを理由に繰り上げることがあるというふうに承知しております。

 総務省としましては、投票所の開始時刻の繰下げ又は閉鎖時刻の繰上げにつきましては、地域の実情等を十分に検討した上で厳正に対応してもらい、選挙人に対して丁寧に説明を行うことが必要と考えておりまして、引き続き各選挙管理委員会へその旨を要請していきたい、そういうふうに考えております。

○塩川委員 統計を取って考えないといけないというお話もありました。是非実態をリアルにつかんで、宇都宮のような大都市で七時に繰り上げるというのは、そこはどう考えても投票人の投票機会を制約するものと言わざるを得ないといった点などについてもしっかりと見ていただきたいと思っております。

 その上で、投票所そのものが激減していることが大問題ということで、一九九六年の総選挙のときに投票所数は五万三千二百十四か所だったものが、二四年の総選挙では四万五千四百二十九か所と、七千七百八十五か所も減っております。

 明るい選挙推進協会の二四年総選挙のアンケートによると、投票所までの所要時間と投票参加率が関連づけられているわけですけれども、五分未満で投票所に行けるという場合に参加率は八三・四%、十分未満で行けるという投票所の場合には七七・三%、二十分未満の場合には六五・四%、二十分以上かかるという投票所の場合には参加率が五三・一%へと、所要時間が増加するのに伴い投票参加率も大きく低下をしています。五分未満の人と二十分以上の人の値の差は三〇ポイントに達する、このように協会の文書にもあるところであります。

 大臣にお尋ねします。このような期日前投票が増えているから投票日の投票所は現状のまま減らし続けていてもよいということにはなりません。有権者の投票機会を奪わないように、投票所そのものを増やしていく必要があるのではないのか。減らすという方向ではなくて、増やす必要があるのではないか。大臣のお考えをお聞かせください。

○村上国務大臣 総務省におきましては、国政選挙や統一地方選挙に際しまして、投票所からの距離や選挙人の数を踏まえた投票所の設置につきまして、各選挙管理委員会に対して要請しているところであります。

 投票所の数については、選挙人の数の減少や投票区の見直しなどで減少してきているものと承知しております。

 その中で、投票所への交通手段の確保が難しい選挙人のための投票所への移動支援や、かつて投票所があった地域での期日前投票所の設置など、選挙人の投票機会の確保に向けて取り組んでもらっているところであります。

 引き続き、各選挙管理委員会に対しまして選挙人の投票機会の確保につながる施策を積極的に講じるよう要請していきたい、そのように考えております。

○塩川委員 我が国の公選法は投票日当日投票所投票主義を取っているわけでありますから、投票日の重みにふさわしい体制を取るといった点においても投票所の確保というのは必要だ。投票所そのものを増やすという方向が求められているということと、高齢の方や障害で移動困難な方々の投票機会の確保の観点から、我が党は巡回投票制度が必要だということを訴えております。選管が立会人と一緒に投票箱を持って車に乗って、施設や自宅など、要望がある場所に行き投票できる巡回投票を提案してきました。その点、移動期日前投票所も有用な制度だと思っております。大分広がってきていることだと思います。

 二四年の総選挙では、北海道の大樹町では移動式の期日前投票所(車)を開設して、一日限定ですけれども、投票箱を乗せた車が希望する有権者の自宅まで運び、そこで投票する、こういったことが行われているということが報道されました。まさに巡回投票であります。こういった取組を是非とも国が大いに支援していただきたいといった財政措置も求めて、質問を終わります。

【本会議】学術会議解体法衆院通過/反対討論/「平和復興への貢献」消去、許されない

 日本学術会議を解体し、政府の監督下に置く日本学術会議法案が1日の衆院本会議で、自民、公明、日本維新の会の賛成多数で可決しました。日本共産党と、立憲民主、国民民主、れいわ新選組、参政、日本保守の各党は反対しました。

 反対討論に立った私は、政府にはそもそも法案提出の資格がないと指摘。違法な学術会議会員候補の任命拒否を撤回せず「乱暴なやり方で『学問の自由』を踏み荒らす姿勢に断固抗議する」と述べました。

 法案は、国の特別の組織である学術会議を特殊法人化し、首相任命の監事や外部者でつくる助言委員会などを新設。現行の日本学術会議法前文には「科学者の総意の下に、わが国の平和的復興、人類社会の福祉に貢献」との文言がありますが、その前文は削除されます。

 私は「戦前の日本が学術を政治に従属させ、学術が戦争遂行に加担したことへの痛苦の反省の上に『学問の自由』を保障する憲法に立脚し、科学者の総意の下、平和的復興への貢献を使命とした戦後の出発点を消し去ることは許されない」と批判しました。

 坂井学内閣府担当相が9日の法案質疑で「特定のイデオロギーや党派的主張を繰り返す会員は解任できる」などと答弁したことを巡り、私は「政府の意に沿わない会員は、学識にかかわらず『党派的』と決めつけ排除する法案だ」と指摘し、「学問の自由」「思想信条の自由」へのあからさまな侵害だと批判。法案の本質は、学術会議の独立性を奪い、軍事研究はじめ政府・財界の意に沿うよう学術界を動員することだと強調し、「日本の進路をも誤らせる」と警告しました。

 私は、学術会議の4月の総会声明が法案に深刻な懸念を示していることを重く受け止めるよう要求。法案に反対する多くの学者や市民とともに廃案に力を尽くすと表明しました。

 賛成討論に立った維新の会の三木圭恵議員は、日本共産党が過去に学術会議の会員選考に介入したなどと主張。私は、事実をゆがめた暴言だと抗議し、撤回を求めました。

反対討論の要旨は次の通りです。

 先ほどの日本維新の会の三木圭恵議員のわが党に対する発言は、事実を歪めた暴言で断じて認められません。統一協会の主張の丸写しで、維新の会の知的退廃と堕落を露呈しています。このような賛成討論をするしかないこと自体、本法案がいかに道理がないかを証明しています。断固抗議し撤回を求めます。

 そもそも政府には本法案を提出する資格がありません。安倍・菅両政権が行った会員候補6人に対する違法・不当な任命拒否を撤回せず、理由も明らかにしないまま、一方的に現行の学術会議を全く別組織につくりかえ、「学問の自由」を踏み荒らす政府の姿勢に断固抗議します。

 法案が廃止を明記した現行の日本学術会議法は、前文で「科学者の総意の下にわが国の平和的復興、人類社会の福祉に貢献し、世界の学界と提携して学術の進歩に寄与する」と設立の趣旨をうたっています。戦前の日本が学術を政治に従属させ、学術の側も戦争遂行に加担したことへの痛苦の反省の上に「学問の自由」を保障する日本国憲法に立脚し、科学者の総意の下平和的復興への貢献を使命とした戦後の出発点を消し去ることは、到底許されません。

 重大なことは、坂井学内閣府担当相が「特定のイデオロギーや党派的主張をくりかえす会員は、今度の法案では解任できる」と答弁したことです。政府の意に沿わない会員は、学者の学識にかかわらず「党派的」と勝手に決めつけ排除する法案だと述べたものです。「学問の自由」「思想信条の自由」へのあからさまな侵害で、法案の本質が、学術会議を解体して独立性を奪い、軍事研究をはじめ政府や財界の意に沿う方向への学術界の動員であることを示すものです。この道が、学問の自由を奪い、学術の衰退をもたらし、日本の進路をも誤らせることは歴史の教訓です。国学術会議の運営・財務、会員選考にまで政府が介入できる仕組みをつくろうとしていることに対し、学術会議の総会声明が「独立性の阻害が意図されている」と深刻な懸念を表明したことを重く受け止めるべきです。日本の学術を圧殺する法案に反対する多くの学者学協会や市民とともに、廃案にするため最後まで力を尽くします。

衆議院TV・ビデオライブラリから見る


学術会議解体法案/自公維強行/学問の自由 踏み荒らす/衆院通過/塩川議員が反対討論

「しんぶん赤旗」5月14日・1面より

 日本学術会議を解体し、政府の監督下に置く日本学術会議法案が13日の衆院本会議で、自民、公明、日本維新の会の賛成多数で可決しました。日本共産党と立憲民主、国民民主、れいわ新選組、参政、日本保守の各党は反対しました。

 反対討論に立った日本共産党の塩川鉄也議員は、政府にはそもそも法案提出の資格がないと指摘。学術会議会員候補の違法な任命拒否を撤回せず「乱暴なやり方で『学問の自由』を踏み荒らす姿勢に断固抗議する」と述べました。

 法案は、国の特別の機関である学術会議を特殊法人化し、首相任命の監事や外部者でつくる助言委員会などを新設。現行の日本学術会議法から「科学者の総意の下に、わが国の平和的復興、人類社会の福祉に貢献」との文言のある前文を削除します。

 塩川氏は「戦前の日本が学術を政治に従属させ、学術が戦争遂行に加担したことへの痛苦の反省の上に『学問の自由』を保障する憲法に立脚し、科学者の総意の下、平和的復興への貢献を使命とした戦後の出発点を消し去ることは許されない」と批判しました。

 坂井学内閣府担当相が9日の法案質疑で「特定のイデオロギーや党派的主張を繰り返す会員は解任できる」などと答弁したことを巡り、塩川氏は「政府の意に沿わない会員は、学識にかかわらず『党派的』と決めつけ排除する法案だ」と指摘し、「学問の自由」「思想信条の自由」へのあからさまな侵害だと批判。法案の本質は、学術会議の独立性を奪い、軍事研究はじめ政府・財界の意に沿うよう学術界を動員することだと強調し、「日本の進路をも誤らせる」と警告しました。

 塩川氏は、学術会議の4月の総会声明が法案に深刻な懸念を示していることを重く受け止めるよう要求。法案に反対する多くの学者や市民とともに廃案に力を尽くすと表明しました。

 賛成討論に立った維新の会の三木圭恵議員は、日本共産党が過去に学術会議の会員選考に介入したなどと主張。塩川氏は、事実をゆがめた暴言だと抗議し、撤回を求めました。(関連2・3面、塩川氏の反対討論要旨5面)


維新・三木氏、また暴言/学術会議/平和理念を敵視/退廃と堕落を露呈

「しんぶん赤旗」年5月14日・2面より

 日本維新の会の三木圭恵議員は日本学術会議解体法案を採決した13日の衆院本会議で、日本共産党の宮本顕治氏が1950年発行の機関誌『前衛』47号で「学術会議選挙で党員専門家が最高点を得た成果について『アカハタ』は大きくとり上げた」と述べていたことをあげ、「あからさまに会員選挙に党として介入した」などと述べました。

 日本共産党の塩川鉄也議員は直後に行った反対討論の冒頭、三木氏の発言について「事実をゆがめた暴言で断じて認められない。暴言は統一協会の主張を丸写ししたものであり、維新の会の知的退廃と堕落を露呈したもの。このような賛成討論しかできないこと自体が、本法案がいかに道理がないかを証明するものだ」と厳しく批判しました。

 塩川氏の批判は当然です。設立当時の学術会議は会員公選制をとり、科学者による直接選挙で会員を選んでいました。それぞれの候補者の思想・信条も公表したうえで、有権者である科学者の投票に委ねられていました。立候補した学者がどういう政治信条をもっているかは、その学者の学識に関わるものです。

 日本共産党が学術会議に不当に介入、干渉していたかのように描くことは、まったく事実の歪曲(わいきょく)です。共産党員学者が立候補していたことで混乱が起きたという事実はどこにもありません。公選のもとで「党員専門家が最高点を得た」ことは、党としても誇るべきことで、当時、機関紙「アカハタ」が大きく取り上げたことは自然なことです。

 会員は、その研究・業績を評価されて選出・推薦されてきました。その個人的思想・信条によって選別されることがあってはならないはずです。

 もし共産党に所属する学者が会員になることが「介入」だというなら、自民党の猪口邦子参院議員が学術会議会員を務めた(2005年から)ことも「介入」だということになります。三木氏は全く制度の仕組みを理解せず、知性のかけらもないでたらめな攻撃をしているにすぎません。

 一方で三木氏は、この日も「学術会議は設立以来、軍学共同反対のスローガンのもと、かたくなに国防技術の研究への協力を拒み続け、そのことが科学技術一般の進歩の妨げになってきた」などと言い放ちました。まさに「軍事、戦争によって科学技術が発展する」という軍事至上主義の本性を自ら語るものです。戦争がなければ科学の発展はないのか。そして核兵器開発に示されるように戦争によって科学の「発展」があったとしても、それが倫理に反することはないのか。その反省に立って、日本学術会議が「平和的復興」への貢献を理念に戦後の出発をしたのではないか。学術会議解体法案審議の根本問題として、厳しく問われます。


学術会議法案衆院通過/消える戦争の反省

「しんぶん赤旗」5月14日・3面より

 学術会議解体法案が13日、衆院本会議で採決され、自民、公明、日本維新の会の賛成で通過し、参院に送られました。学問の平和利用という根本理念や学問の自由を脅かす重大な法案をわずか3日の実質審議で採決強行したことに、厳しい批判の声が上がっています。

狙いは軍事動員
 政府案の最大の問題は、学術を軍事動員するために、これに抵抗する学術会議を解体するというその狙いにこそあります。防衛装備庁が2015年から始めた大学・研究機関に対し資金提供する軍事研究の委託制度である「安全保障技術研究推進制度」に対し、学術会議が17年の声明で慎重姿勢を呼び掛けました。防衛装備庁や自民党、軍需産業の関係者らから学術会議を敵視する発言が相次いでいました。

 法案審議の中で、この狙いをあからさまに示す発言が出されました。

 日本維新の会の三木圭恵議員は4月18日の衆院本会議で、17年の学術会議の声明が、1950年の「戦争を目的とする研究は絶対にこれを行わない」声明、67年の「軍事目的のための研究を行わない」声明を引用していることも示し「(学術会議は)防衛に関する研究を拒否し続けている」「かたくなな軍学共同反対のスローガンは改めろ」と壇上から叫んだのです。5月9日の内閣委員会でも同氏は、17年の声明で「多くの大学が軍事的安全保障研究にしり込みするようになった」と述べ、13日の本会議では「今後は防衛技術の研究に貢献していただきたい」などと言い放ちました。いずれの場面でも自民党席から喝采の拍手が湧き起こりました。

 自公が公然と語れない学術会議解体の狙いをあけすけに代弁する、補完勢力としての本性をむき出しにしたのです。

意見違えば排除
 国会審議を通じて、法案の危険性が明らかになりました。

 日本共産党の塩川鉄也議員は、同法案が現行の学術会議法の前文を削除していることについて、「文化、平和の文言が消え、社会課題の解決に寄与することを目的とし、学術を経済社会の健全な発展の基礎と置き換えている」と指摘。学問の自由を保障する憲法に立脚した学術会議の理念を否定するものだと批判しました。坂井担当相は「継続性は失われることはない」と繰り返し、「表現を変えた」と称して「平和、文化」を削除した理由を答えられませんでした(4月25日、衆内閣委)。

 現行法の「独立して職務を行う」の規定を削除した同法案は、幾重にも学術会議の独立性と自律性を侵害する仕組みを設けています。新たに「監事」や「評価委員会」が置かれ、活動を監督。両者とも会員以外から「内閣総理大臣が指名」します。会員選考では、会員以外の者でつくる選定助言委員会が選定方針や候補者選定に意見を述べるなどと規定。5月7日の参考人質疑で、梶田隆章前学術会議会長は独立性を奪われることに懸念を繰り返し表明しました。

 坂井担当相は「特定のイデオロギーや党派的な主張を繰り返す会員は、学術会議の中で、今度の法案の中で、解任ができる」と発言。法案には「解任」の規定(32条2項)が新設され、「(会員が)著しく不適当な行為をしたとき」は解任を求めることができるとしています。「著しく不適当」が何かは不明確です。「特定のイデオロギーや党派的な主張を繰り返す」ことを「不適当」だとして、解任できるとなれば、学者の学識にかかわらず、「党派的」と決めつけて排除することになります。

“お抱え研究者”化の恐れ
学術会議法学委員会委員長 同志社大学教授 川嶋四郎さん
 日本学術会議の法学委員会委員長として、内閣府に同法案のさまざまな問題点を指摘してきた川嶋四郎同志社大学教授に、政府の主張のいいかげんさと、同法案が成立することの危険性を聞きました。(若林明)

 政府の法案は、現行の学術会議法の前文を無くしています。前文の中に「平和的復興」および「文化国家」という言葉があり、戦後期の将来に向けたあるべき姿が書かれています。

 現行の学術会議法は、各学問分野から選ばれた構成員でつくられる学術体制刷新委員会の答申に基づいて制定されました。まさに科学者の総意を体現する法律であり、前文は法律のそういった基本的性格を顕著に示しています。

 学術会議法の制定時には、科学者が国家に動員され、戦争に動員され、結局、国家を破滅に導いてしまったという自責の念が当然ありました。国民の福祉と利益のため、国民の皆が豊かになるように活用されるべき科学が、戦争に悪用された。それは許されないという強い反省のもとにつくられたことも前文は示しています。

 科学者を代表する学術会議の同意を得ることなく前文を廃止し、勝手に新たな基本目的に変更することは、学術会議を根本的に変質させる危うさがあります。

 内閣府は、法案は(組織について定める)組織法にすぎず、「前文」はいらないと言っていますが、学術会議法は、日本の科学全体の将来のあり方を考えていこうという「基本法」の性質も持っているのです。

 内閣府は、前文の内容が、各条文に書かれているといいます。法案が削除した現行法の「科学が文化国家の基礎」「わが国の平和的復興」は、法案の「学術に関する知見が人類共通の知的資源」「経済社会の健全な発展」に含まれていると説明します。しかし、戦前は「満蒙(まんもう)は日本の生命線」と言って、日本のみ「経済」的な「発展」のために侵略戦争を正当化したのです。

 政府は「独立性の問題はありません」と言いつつ、法案には、人事、活動、予算を監視・監督する仕組みを幾重にもつくられています。結局は、政府が関与・介入し、政府が統制できる組織をつくろうとしているということは明らかです。

 自由な知の探究が認められていることを前提に、多様な考え方を認めることが学問の進歩を促し、それが国民の利益につながるのです。学術会議を、目先の「政治的利害」ばかり重視するお抱え“研究者集団”にしてはいけません。


衆院本会議・学術会議解体法案/塩川議員の反対討論(要旨)

「しんぶん赤旗」5月14日・5面より

 日本共産党の塩川鉄也議員が13日の衆院本会議で行った日本学術会議解体法案に対する反対討論(要旨)は次の通りです。


 先ほどの日本維新の会の三木圭恵議員のわが党に対する発言は、事実をゆがめた暴言で断じて認められません。統一協会の主張の丸写しで、維新の会の知的退廃と堕落を露呈しています。このような賛成討論をするしかないこと自体、本法案がいかに道理がないかを証明しています。断固抗議し、撤回を求めます。

 そもそも政府には本法案を提出する資格がありません。安倍・菅両政権が行った会員候補6人に対する違法・不当な任命拒否を撤回せず、理由も明らかにしないまま、一方的に現行の学術会議を全く別組織につくりかえ、「学問の自由」を踏み荒らす政府の姿勢に断固抗議します。

 法案が廃止を明記した現行の日本学術会議法は前文で「科学者の総意の下に、わが国の平和的復興、人類社会の福祉に貢献し、世界の学界と提携して学術の進歩に寄与する」と設立の趣旨をうたっています。戦前の日本が学術を政治に従属させ、学術の側も戦争遂行に加担したことへの痛苦の反省の上に「学問の自由」を保障する日本国憲法に立脚し、科学者の総意の下、平和的復興への貢献を使命とした戦後の出発点を消し去ることは、到底許されません。

 重大なことは、坂井学内閣府担当相が「特定のイデオロギーや党派的主張を繰り返す会員は、今度の法案では解任できる」と答弁したことです。政府の意に沿わない会員は、学者の学識にかかわらず「党派的」と勝手に決めつけ排除する法案だと述べたものです。

 「学問の自由」「思想信条の自由」へのあからさまな侵害で、法案の本質が、学術会議を解体して独立性を奪い、軍事研究をはじめ政府や財界の意に沿う方向への学術界の動員であることを示すものです。この道が学問の自由を奪い、学術の衰退をもたらし、日本の進路をも誤らせることは歴史の教訓です。

 学術会議の運営・財務、会員選考にまで政府が介入できる仕組みをつくろうとしていることに対し、学術会議の総会声明が「独立性の阻害が意図されている」と深刻な懸念を表明したことを重く受け止めるべきです。日本の学術を圧殺する法案に反対する多くの学者、学協会や市民とともに、廃案にするため最後まで力を尽くします。


「議事録」

第217回通常国会 令和7年5月13日(火曜日)本会議 第25号

○塩川鉄也君 私は、日本共産党を代表して、日本学術会議法案に反対の討論を行います。(拍手)

 先ほどの、維新、三木議員の我が党に対する発言は、事実をゆがめた暴言であり、断じて認めることはできません。その暴言は、統一協会の主張を丸写ししたものであり、維新の会の知的退廃と堕落を露呈したことを示しています。今日、このような賛成討論をするしかないこと自体が、本法案がいかに道理がないかを証明するものであります。断固抗議し、撤回を求めるものであります。

 そもそも、政府には本法案を提出する資格がありません。安倍、菅両政権が行った会員候補六名に対する違法、不当な任命拒否をいまだ撤回せず、その理由すら明らかにしないまま、一方的に、現行の日本学術会議を解体して全く別の組織につくり変えるという乱暴なやり方で学問の自由を踏み荒らす政府の姿勢に断固抗議をするものです。

 法案が廃止を明記した現行の日本学術会議法は、その前文で、「科学が文化国家の基礎であるという確信に立つて、科学者の総意の下に、わが国の平和的復興、人類社会の福祉に貢献し、世界の学界と提携して学術の進歩に寄与する」と学術会議設立の趣旨をうたっています。

 戦前の日本が学術を政治に従属させ、また、学術の側も戦争遂行に加担する役割を果たしたことへの痛苦の反省の上に、学問の自由を保障する日本国憲法に立脚し、科学者の総意の下に我が国の平和的復興に貢献することを使命とした戦後の出発点を消し去ることは、到底許されるものではありません。

 重大なことは、坂井担当大臣が、特定のイデオロギーや党派的主張を繰り返す会員は今度の法案では解任できると答弁したことです。政府の意に沿わない会員は、学者の学識にかかわらず、党派的と勝手に決めつけて排除する法案だと述べたものであります。学問の自由、思想信条の自由に対するあからさまな侵害であり、法案の本質が、日本学術会議を解体し、その独立性を奪い、軍事研究を始め政府や財界の意に沿う方向に学術界を動員することを示すものです。この道が学問の自由を奪い、学術の衰退をもたらし、日本の進路をも誤らせることは、歴史の教訓であります。

 法案が、現行法にある独立して職務を行うとの規定を削除し、日本学術会議の運営、財務、会員選考にまで政府が介入できる仕組みをつくろうとしていることに、学術会議の総会が採択した声明は、独立性の阻害が意図されていると深刻な懸念を表明したことを重く受け止めるべきであります。

 日本の学術を圧殺する法案に反対する多くの学者、学協会や市民とともに、本法案を廃案にするため最後まで力を尽くすことを表明し、討論を終わります。(拍手)

 

さいたま市長選告示、日本共産党の加川よしみつ候補の応援に!

 暮らしが大変な市民に、国保税9年連続値上げ、介護保険料も値上げ。

 隠れ待機児童1300人なのに、公立保育所60園を30園に削減する計画や介護施設廃止の一方で、大型開発に多額の税金投入する市政から市民の暮らし応援の市政に変えよう!


さいたま市長選/加川氏第一声

「しんぶん赤旗」5月13日・4面より

 さいたま市長選が11日告示(25日投票)され、日本共産党公認の加川よしみつ氏(75)=新=が立候補しました。加川氏と現職の清水勇人氏(63)、元維新衆院議員の沢田良氏(45)、ミュージシャンの小袋成彬氏(34)ら現新5人が立候補しています。

 加川氏は第一声で、大型開発に多額の税金を投入する一方、市民の声を聞かずに市営レジャープールの削減などを進める清水市政を批判。「住民が主人公の、憲法を生かした市政をつくります」と訴えました。

 塩川鉄也国対委員長・衆院議員が応援に駆け付けました。


ハコモノ行政を転換/さいたま市長選/加川氏が第一声

「しんぶん赤旗」5月13日・11面より

 11日告示(25日投票)された、さいたま市長選(立候補5人)に立候補した日本共産党公認の加川よしみつ候補(75)は第一声で、市政転換へ決意を語りました。

 加川氏は、5選をめざす清水勇人市長(63)が、浦和駅西口の再開発や中央区の与野中央公園への大型アリーナ建設などの大型開発に多額の予算をつぎ込む一方、市民の声を聞かずに大規模校解消に逆行する3000人以上の義務教育学校建設や、市営レジャープールの削減などを進めていると批判。大型開発を見直し、水道料金の引き下げ、補聴器購入助成制度や住宅リフォーム助成制度の創設などを実現すると語り「住民が主人公の、憲法を生かした市政の実現へ、みなさんと一緒に頑張ります」と訴えました。

 塩川鉄也国対委員長・衆院議員や松村敏夫市議団長・党さいたま地区委員長、子育て中の母親が応援。塩川氏は「憲法違反の政治を改め、暮らしが大変な時に消費税減税を求めるなど、国に対して堂々とものが言える市長こそ必要です。何としても勝たせてほしい」と呼びかけました。

 訴えを聞いた女性(81)は「プールを減らすのではなく、もっと子どもたちにお金を使って」、男性(53)は「開発優先のハコモノ行政から、暮らし第一の市政に転換してほしい」と加川氏に期待を寄せました。

【内閣委員会】学術会議法案採決強行/政府の意向に沿う組織に変質/廃案要求

 日本学術会議を解体する法案の採決が9日の衆院内閣委員会で強行され、自民党、公明党、日本維新の会の賛成で可決されました。日本共産党、立憲民主党、国民民主党、れいわ新選組、有志の会は反対しました。私は「学術会議を政府の意向に沿う組織へと変質させるもので、断じて容認できない」と述べ、廃案を要求。国会前では、学者や市民らが「人間の鎖」行動で廃案を訴えました。

 法案は、現行の日本学術会議法を廃止し、国の特別の機関である学術会議を特殊法人化。首相が任命する監事や評価委員会、外部者でつくる会員選定助言委員会などを新設します。内閣委で反対討論に立った塩川議員は、採決の強行に「断固抗議する」と表明し現行法に記されている学術会議の設立趣旨や基本理念の意義を強調しました。

 現行法の前文は、戦前、学術が政治に従属し、戦争遂行に加担した痛苦の反省にたち「科学者の総意の下にわが国の平和的復興、人類社会の福祉に貢献」と明記しています。

 私は、前文には同会議の歴史的出発点が記され「その下で独立性や自律性を確保する理念や制度が作られた」と指摘。法案は「学術会議の合意もないまま現行法を廃止し、政府が理念や会員選考方法、組織のあり方を一方的に定めて別組織を設立する」ものだと批判しました。

 学術会議は政府の監督下に置かれ、活動や会員選考における独立性などナショナル・アカデミーが備えるべき要件は充足されないと強調。法案の目的は「科学の成果を軍事に利用し、目先の経済的利益追求に貢献させるため、学術会議から独立性・自主性・自律性を奪う」ことだと指摘しました。

 国会前の「人間の鎖」行動では、菅義偉首相(2020年当時)に任命拒否された会員候補者の一人である岡田正則早稲田大学教授がスピーチに立ち「学術会議を解体して日本の学術を破壊し、さらに軍事研究に役立つよう変える非常に危険な法案だ」と指摘し、廃案を求めました。

【反対討論要旨】

 私は、日本共産党を代表して、日本学術会議法案に対し、反対の討論を行います。

 政府は4回も答弁を誤り、まともな資料も出してきません。ただすべき点が多々あるにもかかわらず、審議を打ち切り、採決することに断固反対するものです。

 現行の日本学術会議法は、その前文で「科学が文化国家の基礎であるという確信に立つて、科学者の総意の下に、わが国の平和的復興、人類社会の福祉に貢献し、世界の学界と提携して学術の進歩に寄与することを使命」とするという設立趣旨をうたっています。これは、戦前の日本が学術を政治に従属させ、また学術の側も戦争遂行に加担する役割を果たしたとの痛苦の反省のうえに、「学問の自由」を保障する日本国憲法を具体化するという日本学術会議法の歴史的な出発点を記したものです。そのもとで、独立性や自律性を確保するものとして基本理念や制度が作られました。

 また、各国のナショナルアカデミーは、「①学術的に国を代表する機関としての地位、②そのための公的資格の付与、③国家財政⽀出による安定した財政基盤、④活動⾯での政府からの独⽴、⑤会員選考における⾃主性・独⽴性」の5つの要件を確保しています。

 ところが本案は、日本学術会議の合意もないまま現行法を廃止するものです。前文はまるごと削除され、政府が基本理念や会員選考方法、組織のあり方などを一方的に定めたうえで、新たに法人としての別組織を設立します。さらに学術会議の運営・財務、会員選考にまで政府が介入できる仕組みをさまざま設け、現行法における「独立して職務を行う」との規定も削除します。日本学術会議の組織及び運営に関する事務が内閣府の所掌事務に位置づけられるなど、政府の監督の下に置かれる組織へと変質させるもので、5つの要件を充足しているとは到底言えません。

 本案は、科学の成果を軍事に利用し、目先の経済的利益追求に貢献させるため、学術会議から独立性・自主性・自律性を奪い、政府の意向に従う組織へと変質させるもので、断じて容認できません。

 先の参考人質疑において、梶田隆章前会長が「学術会議との真摯な協議を欠き、同意を得ないまま、組織・選考などの変更を法定化すること自体、ナショナルアカデミーの独立性・自律性を脅かす懸念がある」と述べている通りです。

 本案提出の契機となった6名の任命拒否の撤回、そして現行の日本学術会議を解体する本案の廃案を求め、討論を終わります。

衆議院TV・ビデオライブラリから見る


学術会議法案 採決強行/政府の意向沿う組織に変質/衆院内閣委/塩川議員が廃案要求

「しんぶん赤旗」5月10日・1面より

 日本学術会議を解体する法案の採決が9日の衆院内閣委員会で強行され、自民党、公明党、日本維新の会の賛成で可決されました。日本共産党、立憲民主党、国民民主党、れいわ新選組、有志の会は反対しました。日本共産党の塩川鉄也議員は「学術会議を政府の意向に沿う組織へと変質させるもので断じて容認できない」と述べ、廃案を要求。国会前では、学者や市民らが「人間の鎖」行動で廃案を訴えました。(関連2面)

 法案は、現行の日本学術会議法を廃止し、国の特別の機関である学術会議を特殊法人化。首相が任命する監事や評価委員会、外部者でつくる会員選定助言委員会などを新設します。

 内閣委で反対討論に立った塩川氏は、採決の強行に「断固抗議する」と表明し、現行法に記されている学術会議の設立趣旨や基本理念の意義を強調しました。

 現行法の前文は、戦前、学術が政治に従属し戦争遂行に加担した痛苦の反省にたち「科学者の総意の下に、わが国の平和的復興、人類社会の福祉に貢献し」と明記しています。

 塩川氏は、前文には同会議の歴史的出発点が記され、「その下で独立性や自律性を確保する理念や制度がつくられた」と指摘。法案は「学術会議の合意もないまま現行法を廃止し、政府が理念や会員選考方法、組織のあり方を一方的に定めて別組織を設立する」ものだと批判しました。

 塩川氏は、学術会議は政府の監督下に置かれ、活動や会員選考における独立性などナショナル・アカデミーが備えるべき要件は充足されないと強調。法案の目的は「科学の成果を軍事に利用し、目先の経済的利益追求に貢献させるため、学術会議から独立性・自主性・自律性を奪う」ことだと指摘しました。

 国会前の「人間の鎖」行動では、菅義偉首相(2020年当時)に任命拒否された会員候補者の一人である岡田正則早稲田大学教授がスピーチに立ち「学術会議を解体して日本の学術を破壊し、さらに軍事研究に役立つよう変える、非常に危険な法案だ」と指摘し、廃案を求めました。


採決強行された学術会議解体法案/本質は軍事動員批判の排除

「しんぶん赤旗」5月10日・2面より

 9日の衆院内閣委員会で、自民、公明、日本維新の各党は学術会議解体法案の採決を強行しました。実質審議入りからわずか3日、20時間にみたない審議での採決強行です。少数与党に維新が協力する中で、数を頼みにしての専制採決です。

「障害」として敵視

 法案の最大の狙いは、学術の軍事動員を強める動きに対し、一貫してこれを拒否し慎重姿勢を示してきた学術会議を「障害」として敵視し解体することです。

 衆院本会議で法案が審議入りした4月15日、維新の三木圭恵議員は「(学術会議は)防衛に関する研究を拒否し続けている」「かたくなな軍学共同反対のスローガンは改めろ」と壇上から叫んだのです。法案の本質を代弁したものです。

 三木氏は採決に先立つ9日の質疑で、2017年に学術会議が発出した「軍事的安全保障研究に関する声明」の影響で「多くの大学が軍事的安全保障研究にしり込みするようになった」などとして学術会議の姿勢を改めて敵視。一方、「声明」から5、6年後に北海道大学で「防衛装備庁への応募が解禁された。喜ばしい」などと述べました。

 17年の学術会議の声明とは、1950年の「戦争を目的とする研究は絶対にこれを行わない」声明、67年の「軍事目的のための研究を行わない」声明を引用し、防衛装備庁からの有償委託研究に応じることに慎重姿勢を呼びかけたものです。

党派所属の会員も

 一方で三木氏は、軍事研究に反対する学者・研究者に対し驚くべき「反共レッテル」攻撃を展開。「反共は戦争の前夜」の言葉を想起させる異様な主張を繰り広げました。

 広渡清吾元学術会議会長が「赤旗」に見解を示したことがあることや市民連合の活動をしたことがあるとして、同氏が元会長として名前を連ねている「日本学術会議法案(仮称)の撤回を求める声明」が「政治的に中立と言えるのか」などと“追及”。これに対し坂井学内閣府特命担当相は「特定の勢力に沿った活動は望まれない。特定のイデオロギーや主張を繰り返す会員は今度の法案では解任できる」と答弁したのです。

 恐るべき発言です。社会科学的研究に基づく見解は、本来、研究者の立場によってさまざまであることは当然です。特に時の政治権力に対し、批判的見解を持つことも当然あり得ます。広渡氏の行動は、学者個人としての学識に基づくもので、思想信条の自由、政治活動の自由で保障されるものです。三木氏と坂井担当相のやりとりによれば、「中立」の名のもとに、体制批判・軍事動員批判をする人は、学術会議から締め出されることになりかねません。法案の極めて危険な本質を露呈した瞬間です。

 一方で、学術会議の運営そのものが政治的中立を欠いてはならないのは当然です。運営の中立性と個人の思想的「中立」とは全く別の事柄です。

 他方、明確に党派に所属していても学術会議会員になる例はこれまでもありました。自民党の猪口邦子参院議員は、政治学者の立場で2005年から学術会議会員を歴任していました。三木氏の発言は支離滅裂でもあります。(中祖寅一)


「議事録」

第217回通常国会 令和7年5月9日(金曜日)内閣委員会 第19号

 ○塩川委員 私は、日本共産党を代表して、日本学術会議法案に反対の討論を行います。

 政府は四回も答弁を誤り、まともな資料も出してこない。ただすべき点が多々あるにもかかわらず質疑を打ち切り採決をすることに、断固抗議をするものであります。

 現行の日本学術会議法は、その前文で、「科学が文化国家の基礎であるという確信に立つて、科学者の総意の下に、わが国の平和的復興、人類社会の福祉に貢献し、世界の学界と提携して学術の進歩に寄与することを使命」とするという設立趣旨をうたっています。これは、戦前の日本が学術を政治に従属させ、また学術の側も戦争遂行に加担する役割を果たしたとの痛苦の反省の上に、学問の自由を保障する日本国憲法を具体化するという日本学術会議法の歴史的な出発点を記したものです。その下で、独立性や自律性を確保するものとして基本理念や制度がつくられました。

 また、各国のナショナルアカデミーは、学術的に国を代表する機関としての地位、そのための公的資格の付与、国家財政支出による安定した財政基盤、活動面での政府からの独立、会員選考における自主性、独立性の五つの要件を確保しています。

 ところが、本案は、日本学術会議の合意もないまま現行法を廃止するものです。前文は丸ごと削除され、政府が基本理念や会員選考方法、組織の在り方などを一方的に定めた上で、新たに法人としての別組織を設立します。さらに、学術会議の運営、財務、会員選考にまで政府が介入できる仕組みを様々設け、現行法における、独立して職務を行うとの規定も削除します。日本学術会議の組織及び運営に関する事務が内閣府の所掌事務に位置づけられるなど、政府の監督の下に置かれる組織へと変質させるもので、五つの要件を充足するものとは到底言えません。

 本案は、科学の成果を軍事に利用し、目先の経済的利益追求に貢献させるため、学術会議から独立性、自主性、自律性を奪い、政府の意向に従う組織へと変質させるもので、断じて容認できません。

 さきの参考人質疑において、梶田隆章前会長が、学術会議との真摯な協議を欠き、同意を得ないまま、組織、選考などの変更を法定化すること自体、ナショナルアカデミーの独立性、自律性を脅かす懸念があると述べているとおりです。

 本案提出の契機となった六名の任命拒否は撤回を、そして、現行の日本学術会議を解体する本法案の廃案を求め、討論を終わります。(拍手)

【内閣委員会】学術会議法/会長人事にも政府が深く関与/会員を委縮させる罰則規定も

 私は、学術会議解体法案をめぐり、同法案による最初の会長人事にも「政府が深く関与する」法案であることや、新たに秘密保持義務違反への罰則規定を設けており、公開を原則とする学術に関する法案になっていないと批判しました。

 同法案では、会長が選任されるまでは、首相が指名する「会長職務代行者」が、総会に向けて議案を提出し、新しい学術会議に必要なルールづくりにかかわります。

 私は、「会長職務代行者が新たな会長の選任方法のルール作りにも深く関与する。会長職務代行者は、首相が会員予定者のうちから指名をする。事実上、会長職務代行者が新法人の学長職術会議の初代会長となる」と指摘。これに対し笹川武内閣府総合政策推進室室長は「会長職務代行者が会長になれるかということについては、これは排除する規定はございません」と述べました。私は「政府の深い関与のもとで、『新しい学術会議』がスタートする」と批判しました。

 私は、現行法の学術会議法案にはない、会員に対する罰則規定が同法案にあり、秘密保特義務違反への罰則規定もあることを指摘。「秘密保持義務をかけることは、公開を原則とする学術会議の性格にそぐわない。公開を通じて真理を探究することが、学術の大本だ」と強調しました。そのうえで、「政府の情報が学術会議に提供される」から守秘義務をかけるという政府の答弁を示し、「どういう情報が提供されるのか」と質問。坂井学内閣府特命担当相は「具体的な想定はない」とまともに答えませんでした。私は「何が秘密かもわからないのに、罰則を設けることは会員の活動を委縮させる」と断じました。

 私は、同日の答弁も含め、政府が4度も答弁を誤ったことを「国会を愚弄するものだ」と批判、大岡委員長も「政府に厳重に注意する」と発言しました。私は、「審議の前提を欠いている」と質疑終局、採決に反対しました。 

衆議院TV・ビデオライブラリから見る


会長人事も政府関与/学術会議解体法案/塩川氏が批判/衆院内閣委

「しんぶん赤旗」5月10日・2面より

 日本共産党の塩川鉄也議員は9日、衆院内閣委員会で、学術会議解体法案をめぐり、同法案による最初の会長人事にも「政府が深く関与する」法案であることや、新たに秘密保持義務違反への罰則規定を設けており公開を原則とする学術に関する法案になっていないと批判しました。

 同法案では、会長が選任されるまでは、首相が指名する「会長職務代行者」が、総会に議案を提出し、新しい学術会議に必要なルールづくりにかかわります。

 塩川氏は、「会長職務代行者が新たな会長の選任方法のルール作りにも深く関与する。会長職務代行者は、首相が会員予定者のうちから指名をする。事実上、会長職務代行者が新法人の学術会議の初代会長となる」と指摘。これに対し、笹川武内閣府総合政策推進室室長は「会長職務代行者が会長になれるかということについては、これは排除する規定はございません」と述べました。塩川氏は「政府の深い関与のもとで、『新しい学術会議』がスタートする」と批判しました。

 塩川氏は、同法案には現行法にはない罰則規定があり、秘密保持義務違反への罰則規定があると指摘。「秘密保持義務をかけることは、公開を原則とする学術会議の性格にそぐわない。公開を通じて真理を探究することが学術の大本だ」と強調しました。そのうえで「政府の情報が学術会議に提供される」から守秘義務をかけるという政府の答弁を示し、「どういう情報が提供されるのか」と質問。坂井学内閣府特命担当相は「具体的に想定していない」とまともに答えませんでした。

 塩川氏は「何が秘密かもわからないのに罰則を設けることは会員の活動を萎縮させる」と断じました。

 塩川氏は同日の政府の答弁も含めて、4度も答弁を誤ったことを「国会をぐろうするもの」と批判し「審議の前提を欠いている」と採決に反対しました。


「議事録」

第217回通常国会 令和7年5月9日(金曜日)内閣委員会 第19号

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 日本学術会議法案について質問いたします。

 まず最初に、先ほどの日本維新の会の三木委員の発言ですけれども、この間の学術会議に対する不当な発言、我が党に対する不当な攻撃に対して強く抗議するものであります。

 ましてや、市民の発言を抑圧するようなことは許されるものではありません。さらには、大臣が、特別な発言を繰り返すような会員には解任を持ち出すかのような答弁というのは、断じて認められるものではないということも申し上げておきます。

 我が党が学術会議に不当に介入、干渉をした事実は全くありません。

 三木議員は、本会議で、「日本共産党の七十年」の本には、同党が日本学術会議の設立に一定の役割を果たしたと書かれていると述べておりましたけれども、しかし、実際に、党の七十年の歴史の本の中では、同党が、日本共産党が、が主語ではなくて、民主主義科学者協会が日本学術会議の設立に一定の役割を果たしたと書いてあるんです。まさに、七十年の党史の記述を改ざんをして本会議で質問の材料にする、とんでもない話であります。

 こんな我が党への攻撃、同じようなことをやっているような団体があるなと思いましたら、そういう団体というのが、あの統一協会系の団体の国際勝共連合や世界日報であります。解散命令の対象となるような統一協会系の世界日報の社説では、「日本学術会議 共産党の影響力を排除せよ」などと中傷する社説が書かれているところであります。

 結局、三木委員のやっていることは反社会的集団の統一協会系団体と同じものでありまして、統一協会と一体と見られても仕方がない。恥ずかしくて本人もいなくなってしまった。軍拡推進で政府・与党と気脈を通じているということが大本にあるということを厳しく批判をし、質問に入ります。

 ただ、質問に入る上でも、この間の答弁の誤りは余りにもひどいということを言わざるを得ません。

 本会議において、大臣が、候補者選考委員と候補者選定委員を言い間違える。その修正の答弁についても誤りがあった。また、笹川室長の答弁においては、会長職務代行者を会長予定者と繰り返し述べるようなことがありました。さらには、今日明らかになりましたように、会長の選任方法を、総会の決議による選任と言うべきところを現行法と同じ互選と述べるという。私も長年国会議員をやっておりますけれども、こんなに政府の答弁が一つの質問で繰り返されるようなことは経験したことがありません。これは国会の審議を愚弄するものじゃないでしょうか。

 これは、委員長として、はっきりと政府に対して、そういう旨、強く伝えるべきではありませんか。

○大岡委員長 私にも発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 いずれも、塩川先生の御指摘で明らかになったミスだと思っております。

 政府に対しましては、法案説明それから答弁においては正確な言葉を使うように、私からも強く、厳重に注意をさせていただきたいと思います。

○塩川委員 余りにもひどいと。

 大臣、こんなに、四回も答弁を誤るような政府の対応というのは看過し難いと思っております。こういう問題について、大臣として率直に発言をいただきたい。

○坂井国務大臣 私なりに一生懸命やってきたわけでありますし、笹川室長も懸命にやっていただいていると思いますが、このような結果になりましたことは申し訳なく思いますけれども、誠心誠意努めてまいりたいと思います。

○塩川委員 大体、質問をしても、答弁が間違っているかどうかをチェックしなくちゃいけない、そんなところから始めるという、まともな議論にならないのは当然のことではないでしょうか。

 丁寧な議論が必要だ。まさに現行法を廃止をして新法を作るわけですから、まさに新法を逐条的に議論することこそ、当委員会が行うべきことであって、今日で質疑終局、採決のようなことを与党が提案しているのは断じて認めることはできません。徹底審議を是非とも求めていくものであります。

 その上で、この答弁間違いに関連して、幾つかお尋ねします。

 今日、笹川室長が間違えた会長の選任方法の件ですけれども、この新法において、「総会が、その決議により選任する。」という会長職ですけれども、この新法において、会長の選任方法というのは誰がどのように決めるものでしょうか。

○笹川政府参考人 総会で選任するところまでの流れというような意味合いでしょうか。

 いずれにしても、どういったプロセスで議決するかとか、説明の段取りを進めていくかといったようなことは、基本的には、学術会議の中において決められることだと思っています。

 内部の選考、選任手続ということであれば、そういう答弁をさせていただきます。

○塩川委員 新法における会長の選任方法なんですけれども、これは、新法人の総会の議長ともなる会長職務代行者が関わって、こういったルール作り、会長そのものの選任方法についての下部、下位規定を定める、そういうことになるんですか。

○笹川政府参考人 基本的には、会長の職務代行者が議案を準備するということですので、その方がどういった方に相談というか、していくかということだと思っております。

○塩川委員 議案を用意する会長職務代行者がそれを担うということであります。

 現行の法律にあります会長の選任方法は互選ということですけれども、これは日本学術会議の細則で、細かい規定が求められているものであります。

 こういった、それこそ、今のコンクラーベと同じように、会員が互選をする、過半数を得るまで繰り返すと。三回やっても成らないときには、上位二名の決選投票という形で、細かく規定をしているわけですよね。

 今回の、総会における、総会の決議により選任されるというのは、こういうのを、念頭にあるんでしょうか、全く別物ということになるんでしょうか。

○笹川政府参考人 委員会に諮問するとか、諮問というか意見を聞くといった、そういったプロセスは当然委員会がないからできないんですけれども、塩川先生がおっしゃっているような意味合いであれば、基本的には、その後の通常のプロセスと同じような丁寧なやり方を考えていただくということだというふうに思っております。

○塩川委員 いや、答えになっていない話で、結局は、会長職務代行者が議案を提出する、それに当たって必要なルール作りに深く関わっていくということになるわけですけれども、この会長職務代行者が新たな会長の選任方法のルール作りに深く関与するということで、その会長職務代行者は、総理が会員予定者のうちから指名をするということになるわけであります。

 こうなると、事実上、会長職務代行者が新法人の学術会議の初代会長となる、そういう人がルールも決めるということに取られるんじゃないでしょうか。

○笹川政府参考人 会長職務代行者自体は、元々の仕事としては、設立時総会の招集とか、先生おっしゃった、議事の進行を務め、議案を作る、そういったことでございます。非常に重要な役割の方なので、ここは会員の予定者から選ぶという、当たり前ですけれども、外部から取ってこないということにしております。

 そして、会長職務代行者というのは、会長が選任されるまでの間代行するということでございまして、会長が選任されれば職務に従事しなくなるということでございます。

 それで、会長職務代行者が会長になれるかということについては、たしか先ほど申し上げたかもしれませんが、これは排除する規定はございませんが、それを想定してやるという条文でもございませんで、あくまでも総会で選任していただくということでございます。

○塩川委員 総理が指名するという、いわばお墨つきがあり、会長の選任方法についてのルール作りにも深く会長職務代行者が関わるということになれば、二重の意味で、やはり新会長に当たる、そういうのに大きな力を発揮をする。それは、自らなるということも含めてそういうことが行われるようになれば、これはやはり政府の深い関与の下で新しい学術会議がスタートすることになる。会長人事にも政府が深く関与して、いわばその手のひらの上に乗せるということを担保するような法案と言わざるを得ないということを申し上げておくものであります。

 それと、この間、私は、現行法と新法と、政府は、この新法について、現行の学術会議の機能を強化するために行うんだということですから、では、機能強化をするというのであれば、その対照表、比較対照表を出してくれというのも最初のときからずっと要求をしてまいりました。私が求めていたものは、現在になっても出ておりません。そういう点でも、附則の部分も含めて、会員選考の方法、部分も組み込んだような対照表というのは是非とも出していただきたい。

 その上で、今日、理事会で罰則の話の議論がありました。現行法の学術会議法には罰則の規定がありません。新法には罰則の規定がたくさん盛り込まれております。その際に、理事会のやり取りの中で、政府の方からの説明では、国家公務員法における罰則の関連もあってというので、現行の会員に対して何らかの罰則がかかるという話の説明があったんですけれども、この件についてはどういうふうな整理がされたところなんでしょうか。

○笹川政府参考人 お答え申し上げます。

 会員に適用される罰則ということでしたので、急ぎ確認いたしました。

 結果として、特別職公務員である会員にかかる罰則はございません。

○塩川委員 ですから、理事会での説明がいいかげんだったということですかね。

○笹川政府参考人 そういうつもりではなくて、例えば、連携会員は一般職公務員ですので、これは、余り不正確なことは言えませんけれども、国家公務員法とか、違う体系になってきます。会員というふうに限定していただいたので、急ぎ確認して、結果を申し上げたということでございます。

○塩川委員 だから、理事会の、私は最初から、罰則についての対象ということを言ってきたにもかかわらず、やっと今日の私の質問開始の十分前に説明があったということで、これでまともな議論ができるのかと率直に言って言わざるを得ません。

 それで、結果として、会員にかかる罰則はないということでありますと、今回の新法によって、幾つもの罰則が会員にかけられることになる。それが、だから大きなおもしになるんじゃないのかということになってくるわけであります。

 第五十五条で、秘密保持義務に違反する場合についての罰則が設けられているわけであります。これは拘禁刑ですから、有期刑で、非常に重いものにもなるわけでありますけれども、こういった秘密保持義務をかける。私は、学術会議の性格からして、おかしいんじゃないのかと。

 そもそも、学術というのは公開が基本原則なんですよ。公開を通じてまさに真理を探求をする、ここにこそまさに学術の大本があるわけで、これに対して何で秘密保持義務で罰則までかけるのか。おかしいんじゃないですか。大臣。

○坂井国務大臣 特殊法人であります学術会議には、独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律、公文書等の管理に関する法律などが適用されることから、情報公開等については、これらの法令の下で適切に対応されるべきものであり、総会の公開を含む法人化後の学術会議の適切な運営の具体的な在り方については、学術会議におきまして適切に検討されるものと承知しておりますが、学術会議にも政府の様々な情報が提供される場合もございます。そういう中に様々なものがあるということを想定をする中で、そういった場合においての守秘義務というものを要は今回つけているということでございます。

○塩川委員 現行の学術会議において、こういった秘密に関わるような情報というのは提供されてきたという経緯があるんですか。そもそも、そういうのがない中で、このような様々な貢献、成果を上げてきているのが学術会議だと思うんですけれども。

 政府の情報が提供される、それは現行だって、政府から情報は提供されているでしょう。何でそこに秘密保持義務をかける必要があるんですか。

○坂井国務大臣 罰則につきましては、基本的には、現行は政府の中の組織であるということであります。今回、外部の組織、法人化になって外部の組織に出るので、こういった形で担保しているということでございます。

○塩川委員 現行で問題となる事例がない。特別職国家公務員において、そもそも罰則をかけないでやってきているわけですから。そういう中での業務。その機能強化で、何で会員に秘密保持義務で違反すれば罰則をかける必要があるのかと聞いているんですよ。その際に、政府の情報が提供されるからだという話ですから、どんな情報が提供されるから罰則が必要だということなんですか。

○笹川政府参考人 済みません、先に事務局からお答えさせていただきます。

 この守秘義務規定は、一般的に、例えば独法なんかでも、その役員について置かれているものであって、特段、学術会議だけ今回罰則を置いている、守秘義務については、ということではございません。

 ということと、それから、どういう場合というのは、これはそういう意味では様々ですけれども、それほど機微にわたる情報がないのであれば、当然この規定は適用されませんので、それほど問題はなかろうと思います。(発言する者あり)

 ただ、これは前から申し上げているとおり、最後申し上げますと、国が設立して、それは国のお金で運営される法人でございますので、その法人が適正、適切に運営される責任を負っているというのは先ほど申し上げました。その一環として、やはり役員は守秘義務をかけておく必要があるということでございます。

○塩川委員 いや、大臣は、政府の情報が提供されるから、その場合に秘密保持義務が必要であり、それに違反するようだったら罰則が必要だと述べていたんですよ。ここの、政府の情報が提供されるという、その情報が、まさに秘密に関わるものだ、特定秘密とか特別防衛秘密とか経済安保保護情報、こういった秘密が提供されるということを念頭に、この罰則規定があるということですか。

○坂井国務大臣 最初からちょっと整理をさせていただきますと、現行の日本学術会議の会員には罰則規定はかかりません。これは逆に言うと、総理が任命をするということによって、それが外されているという意味合いがあるそうです。そして、その代わり、連携会員、連携会員は公務員でございますので、連携会員に関しては公務員の守秘義務がかかっているということでございます。

 それで、ですから、今回は法人で、外に出ますし、総理大臣の任命ではなくなりますので、そこで守秘義務がかかるということでございまして、その中身に関して様々な場合があるということが想定、想定というか可能性を示しておるわけで、具体的にどんな情報がどうだという話を私は想定をして申し上げたわけではありませんが、しかし、そういう可能性もあるということも含めてそこは申し上げたところでございます。

○塩川委員 いや、だから、具体的にどういう事例があるか示してもらわないと議論にならないじゃないですか。何で入れたんですか、いや、一般的にそうなんです、そんな話ではなくて、現行はないんですから。ないものに何でこういった秘密保持義務をかけて罰則をかけるのかといった点について、これはやはりきちっと説明してもらわないと。

○坂井国務大臣 一応そこは今説明させていただいたつもりなんですが、総理が指名に関わり、総理が任命をしたということで外させていただいている。そうではなくて、今回、総理の任命は一切関係がなくなりますので、その分かけさせていただいているということは申し上げたつもりでございます。

○塩川委員 それじゃ説明として納得いかないですね。

 この秘密保持義務と言っている秘密について、これは先ほども言いましたけれども、特定秘密だとか特別防衛秘密あるいは経済安保保護情報、こういった秘密に係る、そういった案件が、ここで言っているものに対象としては入っているということですか。

○坂井国務大臣 将来、いろいろな形といろいろな場面が出てくると思いますので、それは全てを排除するものではないとは思っております。

○塩川委員 だから、デュアルユースなんかも念頭に、こういうことをやるのかという疑念というのは当然出てくるわけであります。

 こういったことが、要するに、秘密と言われるものが何なのかが分からない、会員の皆さんについても、何が秘密かが秘密で分からないというときに、こういったこと自身が会員の活動に対しての様々な萎縮効果をもたらすことになりかねないということになると思いませんか。

○坂井国務大臣 基本というか、普通は萎縮されることはないと思います。これは全く通常とは違う扱いでありますので、そこは大丈夫だと思っております。

○塩川委員 それでは、何が秘密か分からない中で秘密保持義務と言われても、それはやはり、会員にしてみれば、様々遠慮せざるを得ないという効果にならざるを得ないというのは、もう明らかじゃないでしょうか。

 あわせて、罰則の五十七条の五号には、会議の業務、第三十七条に規定をする会議の業務以外の業務を行ったときに罰則をかけているわけであります。この三十七条では、一号から五号まで書かれておりますけれども、いわば学術会議の政策目的に沿った項目が会議の業務に掲げられているんですが、この限定列挙の会議の業務以外の業務を行ったときに罰則ということになると、これは誰がその判断を、つまり、会議の業務以外の業務をやっていたということはどういうふうに判断するものなんですか。

○笹川政府参考人 そこは、最後は罰則の話になりますので、司法判断なんだと思います。

 ただ、これは、業務以外の業務という意味合いは、学術会議の、おっしゃっている業務以外の全然関係ない業務を、あたかも学術会議がやっているようにとか会員の名前でやるとか、そういうことを防止しようとしているのであって、副業みたいなのが駄目だとか、そういうことを言っているわけじゃございません。

 それから、これも一般的に国が設置する法人において設けられている規定でございまして、ある意味、守秘義務と一緒で、法人のガバナンスを担保するためのもので、どういう場合か、それは、申し訳ないですけれども、ケース・バイ・ケースということになります。通常の場合、そんなにと思っています。済みません。

○塩川委員 学術会議というのは、通常の独立行政法人のような業務執行の法人、機関ではありません、審議機関ですから。そういったことについて、会議の業務の範囲を超えたらこれは罰則にするといったものというのが、やはり様々な審議に対しての萎縮効果にもつながりかねない。一体誰が外れていると判断するのかといったことなんかも問われてくるんじゃないですか。

○笹川政府参考人 先生、言葉尻を捉えるわけじゃないですけれども、ここで言っているのは、例えば人事とか会計みたいなやつもこれは入りますので、そこは、そういう意味では、例えば人事の秘密みたいなのも、何か狭い例で申し訳ないですけれども、入ってき得る話でございます、さっきの守秘義務ですね。

 同じように、法人の基本的に中でやっている分には、普通は業務外にはなりませんけれども、さっき言った、よそに行って何か学術会議の名前をかたってというふうなことであればなり得るということでございます。

○塩川委員 いや、だから、誰が業務から外れていることの問題について指摘をするのかという問題が出てくるわけですよ。

 ですから、三十七条の一号から四号までには、それぞれ事項が述べられています。五号には、こういった「前各号に掲げる業務に附帯する業務を行う」というのがあるんですよ。附帯の業務ですから、その範囲だって当然幅があるわけですよね。どこまでが業務の範囲であって、どこから先が業務外なのか、この線引きというのは誰がどういうふうにやるんですか。大臣。

○笹川政府参考人 それは、通常は法人の長ということだと思っております。

○塩川委員 これは、監事は全く関わらないということですか。

○笹川政府参考人 法人の長だけと言っているわけじゃないんですけれども、最終的に判断し、例えば懲戒処分みたいなのを打つとか、そういう形になっていくのは法人の長だということを申し上げました。

 もちろん、監事であっても、会長に見つけたという報告をするとか、そういったことはございます。

 それから、もっと言ったら、それ以外の方も、端緒があったら、しかるべき者に報告するということだと思いますけれども、やはり法人の中ですから、一義的には法人の長が判断されるというふうに思います。

○塩川委員 だから、会議の業務から外れていますよといったことを指摘するのは監事の仕事の範囲内ということですね。

○笹川政府参考人 まず、監事だけじゃなくて役員もそういうことはできますし、それから、監事は何でもできるかというと、基本的に法人の中ですので、どこか、その人の家で何か違法行為をやったというのを監事がやるということじゃありません。監事はあくまでも法人の業務に関する監査をするということでございます。

○塩川委員 だから、会議の業務、外れていますといったことをやれば罰則の対象ですよと。その外れていますよという判断を監事がするということですね。

○笹川政府参考人 ですから、ですからと失礼しました。

 会長が判断して、例えばその人を処分するとか注意するということで、監事はあくまでも、見つけたら会長に報告するということでございます。

○塩川委員 会長とともに総理大臣にも言うんですよね。

○笹川政府参考人 そうです。ただ、一義的と言ったら変ですね、法人の内部で違法あるいは不当な行為を是正する権限を持っているのは会長ですので、通常は会長に言いますし、同時に総理に言われても、総理はある意味何もすることがないです。

 総理が何をするかというと、是正の求めというのがございますので、どうしても法人の中で是正がされなかったようなときには、そういう求めをするというようなことはございますけれども、基本的には、会長、総理に報告して、会長がまず動く、そういうことでございます。

○塩川委員 総理に任命される監事が、非常に大きな権限があって、白か黒かといったことについて事細かに監視、監査をするというのが今回の法案にならざるを得ないんじゃないのかということを強く危惧するものであります。

 私が質問したかったのはこれからの話なんですけれども、光石会長に伺います。

 現行法の前文には、日本学術会議は、科学が文化国家の基礎であるという確信に立って、科学者の総意の下に、我が国の平和的復興、人類社会の福祉に貢献し、世界の学界と連携して学術の進歩に寄与することを使命とし、ここに設立されるとあります。

 ここにあります「科学者の総意の下に、」の意味するところは何かについてお答えください。

○光石参考人 お答えします。

 現行の日本学術会議法の制定に際しては、全国各分野の研究者から選出された委員で構成する学術体制刷新委員会において審議、決定し、総理に報告された日本学術会議法要綱を基に法案が作られたと承知をしております。

 このような経緯を踏まえ、現行法の前文に、「科学者の総意の下に、」という文言が規定されているというふうに考えております。

○塩川委員 今、会長から御説明がありましたように、やはり、現行の日本学術会議法が、戦後の学術の新体制を検討するために国内の科学者の選挙によって選ばれた学術体制刷新委員会により起草され、そして総理に提出をされた。それが国会審議などを通じて現行の学術会議法になっているところであります。やはり、戦前の日本が学術を政治に従属をさせ、また学術の側も戦争遂行に加担する役割を果たしたとの痛苦の反省に立ったものが、この日本学術会議法の出発点にあるところであります。

 このような日本学術会議法は、科学者の総意の下に法の基本理念や制度がつくられ、政府による提案と国会による審議を経て成立したものであります。その後の改正でもこの基本理念は維持されてきました。

 ところが、本法案は、日本学術会議との合意もないまま、科学者の代表により起草された現行法を廃止をし、基本理念や会員選考方法、組織の在り方等を政府が一方的に定め、新たに法人としての別組織を設立するというものであり、科学者の総意の下に設立するという学術会議の在り方そのものを否定するものではないのか。大臣に伺います。

○坂井国務大臣 先ほどから申し上げておりますように、こういった理念の表現の仕方は現代風に変わってはおりますが、しかし、その大本でございます考え方というのは継続をしていると考えておりますし、先ほども触れましたけれども、四月十五日の学術会議の声明でしたか、発表した文書におきましてもそこは継続をしていると認識をしております。

○塩川委員 先日の参考人質疑で、梶田前会長は、各国アカデミーの連合体と言える国際学術会議から、日本政府は、日本学術会議の運営と会員選考の手続に干渉しようとする度重なる試みに対し深い懸念を表明するとのメッセージをいただいたと紹介をしておられました。政府による干渉を退けて、科学者の総意の下に運営、会員選考を行うのがいわば国際的なスタンダードだという立場からの厳しい批判が寄せられているということをしっかりと受け止めるべきであります。

 また、梶田参考人は、学術会議との真摯な協議を欠き、同意を得ないまま、組織や選考などの変更を法定化すること自体、ナショナルアカデミーの独立性、自律性を脅かす懸念があると述べているとおりであります。今回の法案は、現行の日本学術会議を解体する法案だと言わざるを得ません。

 その上で、法案における会員選考の仕組みについてお尋ねします。

 光石会長にお聞きします。

 日本学術会議の在り方に関する有識者懇談会における意見交換の場で、五つの懸念を述べました。そのうち、会員選考に係る、次期以降の会員の選考に特別な方法を導入すること(コオプテーションの考え方の逸脱になる)、選定助言委員会の設置を法定することの二点について述べられている、この懸念の内容を御説明いただきたいと思います。

○光石参考人 お答えいたします。

 法人発足時及び三年後の会員選定につきましては、現行のコオプテーション方式とは異なり、現会員ではない外部の有識者を入れた候補者選考委員会により会員候補者を選考するとされております。これは日本学術会議の人的継続性を失わせることを念頭に規定されているのではないかとの懸念があります。

 政府の見解では平成十七年度改正時を参考にしたことを述べておりますが、学会における推薦制から現在のコオプテーションへと制度変更された当時と今回の改正は、コオプテーションの仕組み自体は変わらないことを考えると、果たしてこうした特別な仕組みが必要なのか、疑念は残るところでございます。

○塩川委員 まさにその人的な継続性を損なうという点での今回の措置に強い懸念の声が寄せられているところであります。

 こういった人的な継続性を損なうようなこういうやり方が、まさに現行の学術会議をなきものにして新しいものをつくるという形を目指すというのが今回の法案ということは極めて重大で、これで質疑が打切りではないと思っておりますし、是非この法案の問題点を更に深めていく。

 私が本体でやろうと思った質問はまだたくさん残されておりますので、こういった点でも引き続き審議を行っていくということを改めて求めて、今日の質疑は終わります。