【内閣委員会】自転車事故増加対策/要因の詳細な分析と道路環境の整備、電動アシスト自転車の影響も調査を

 道路交通法改正案の審議で質問に立ちました。

 自転車関連事故は2020年からの3年間で4666件増加、23年には72339件となり、全交通事故に占める割合も同様に増加しています。特に東京の増加が顕著で、4117件増加し全交通事故に占める割合も5割近くとなっています。また、全国における電動アシスト自転車の事故は同時期に2642件から5712件と倍以上になっています。

 私は、こうした現状を指摘、その要因を問いましたが、具体的な答弁はありませんでした。

 私が「詳細な分析を行うべき」と迫ったのに対し、松村国家公安委員長は「事故の発生状況を多角的に分析し活用していきたい」と述べました。

 また、私は、道路環境の整備改善が必要であるとして構造物で分離した自転車道の整備や生活道路における自動車の速度規制を求めました。

 国土交通省は整備を進めたいと述べ、松村国家公安委員長は「ゾーン30プラスなどの整備を推進しており、各所と連携して歩行者と自転車の安全確保に努める」と答えました。

 自転車の重大な交通違反にも反則金を課すことや車庫証明ステッカーの廃止が主な内容の道交法・車庫法改正案は、衆院内閣委において全会一致で可決しました。

※ゾーン30プラス=30km/hの速度規制とハンプやスラロームなど物理的デバイスとの組合せにより交通安全の向上を図る区域

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「議事録」

第213回国会 令和6年4月12日(金曜日) 内閣委員会 第10号

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 道路交通法改正案について質問をいたします。

 この間、自転車関連事故は増加傾向にあるということで、全交通事故に占める割合も増加をし、二〇二二年では二三・三%に高まっています。ただ、二〇〇四年以降減少傾向にあったものが、二〇二〇年の六万七千六百七十三件を境に増加に転じ、二〇二三年は七万二千三百三十九件へと増えております。三年間で四千六百六十六件増加をしているんですが、この間、増加をしている理由は何なのかについて御説明をいただきたい。

○早川政府参考人 お答えいたします。

 全国における、令和二年、二〇二〇年でありますが、これと令和五年、二〇二三年の自転車関連事故の発生状況を比較いたしますと、自転車単独の事故の増加が目立っているほか、通勤や通学、貨物の際の事故が比較的増加をしている状況にございます。

 このように自転車関連事故が増加しているのは、平成二十八年、二〇一六年になりますが、自転車活用推進法の制定以降、自転車活用推進に向けた取組が進められていることや、国民のライフスタイルや交通活動の変化により、自転車利用のニーズが高まっている、こういったことが要因として挙げられるものと考えております。

○塩川委員 自転車単独の話とか、通勤通学の話とかありましたけれども、それだけだと理由もよく分からないわけで、ニーズが高まっているというんですが、自転車の台数そのものは減ってきているんですよね、全体としては。ですから、そういった点でもちょっと理由がよく分からないというのが現状であります。

 こういった増加をしている自転車関連事故でも、東京都の増加が顕著で、この同じ三年間で、全国が四千六百六十六件の増加なんですが、東京都が四千百十七件ということで、全国の事故増加の大宗が東京都となっておりますが、これはなぜなんでしょうか。

○早川政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、令和五年中の全国における自転車関連事故は令和二年と比べまして四千六百六十六件増加をしているところ、そのうち、御指摘のとおり、四千百十七件が東京都内における増加となっております。

 東京における令和二年と令和五年の自転車関連事故の発生状況を東京以外の地域と比較いたしますと、東京では単独での事故あるいは貨物の際の事故が大きく増加している、これに対しまして、東京以外の地域では減少している、こういう特徴が見られるところでございます。

○塩川委員 東京都における交通事故について、そもそも、全交通事故に占める自転車関連事故の割合というのは東京は高いと思うんですけれども、五割ぐらいと承知しているんですけれども、ちょっとその数字を教えていただきたいのと、さっき、単独と貨物が多いと言うんですけれども、何でそういうのが多くなってきているのかという理由について、もう一歩踏み込んで教えてもらえませんか。

○早川政府参考人 お答えいたします。

 失礼いたしました。先ほど、私、貨物と申し上げましたが、買物の誤りでございました。(塩川委員「その前のところも」と呼ぶ)はい。訂正させていただきたいと思います。

 それから、御質問のありました東京都における全交通事故に占める自転車関連事故の割合につきましては、過去三年間を見ますと、令和三年、二〇二一年は四三・六%、令和四年、二〇二二年は四六・〇%、令和五年、二〇二三年は四六・三%、こういう数字となっております。

 それから、東京都における自転車関連事故の増加の背景につきましては、なかなか具体的な理由を申し上げることは、様々な理由が考えられますが、少し難しいことでありますけれども、その背景として、一つは、シェアリング自転車の普及、あるいは新型コロナウイルス感染症の影響による人々のライフスタイルや活動の変化、こういう変化も影響しているのではないかと考えているところでございます。

○塩川委員 是非、その辺の分析をしっかりやっていただきたいと思うんですよ。特に、東京で事故件数が非常に増加をしているといった背景に、そもそも自転車事故の割合が半分ということがあるでしょう。そういった際に、シェアリング自転車の普及ですとか、この点での東京都における自転車事故の分析が必要だということを申し上げておきます。

 また、自転車台数全体は減少傾向にあるんですが、その中で増加をしているのが電動アシスト自転車であります。この電動アシスト自転車の販売台数の推移がどうなっているのか、経産省からお答えいただきたいんですが、二〇〇七年から五年刻みで二〇二二年まで、どのぐらいの台数でしょうか。

○田中政府参考人 お答え申し上げます。

 電動アシスト自転車の販売台数の推移でございますけれども、経済産業省の生産動態統計の工場出荷台数ベースで見ますと、二〇〇一年以降増加傾向にありまして、二〇〇七年で見れば約二十五万台、二〇一二年では約三十九万台、二〇一七年には約六十二万台、二〇二二年には約七十九万台となっております。

○塩川委員 国内における出荷台数、それを販売台数ということでカウントしているということですけれども、電動アシスト自転車について、二〇〇七年以降五年刻みでいうと、二十五万、三十九万、六十二万、七十九万と大幅に増えております。電動アシスト自転車の国内年間販売台数は、この十五年間で三倍に拡大をしております。

 その増加の理由は何なのか、分かりますか。

○田中政府参考人 お答え申し上げます。

 電動アシスト自転車が増加している理由としては、例えば、電動アシスト自転車が市場に登場してから三十年余りが経過いたしまして、消費者においてその利便性が認知され、浸透してきたこと、加えまして、電動アシスト自転車のバッテリーの性能向上など、自転車メーカーにおける製品開発の努力が進められてきたことなどが増加の背景にあると考えております。

○塩川委員 そうはいっても、値段が八万円とか十万円ぐらいとかの、かなり金額も大きいので、そういった点でのニーズがどういうふうになっているのかということについては、今の話からよく酌み取ることができませんでした。

 経産省は、都市部では、子育て世代の利用だけでなく、シェアサイクル、宅配業務用など様々な電動アシスト車が見られるようになってきたとあります。そういったニーズもあるということで、子育て世代の利用だけじゃなくて、シェアサイクルや宅配業務用といった用途の広がりが背景にあるのではないかと考えられます。

 次に、電動アシスト自転車の交通事故件数の推移について、この十年近くについて、二〇一四年以降、二〇一七、二〇二〇、二〇二三年で、その数字をお答えいただけますか。

○早川政府参考人 お答えいたします。

 電動アシスト自転車が関連する交通事故件数でありますが、平成二十六年、二〇一四年は千三百十九件、平成二十九年、二〇一七年は千九百八十八件、令和二年、二〇二〇年は二千六百四十二件、昨年は五千七百十二件、こういう状況になっております。

○塩川委員 この十年近くで四倍以上に増加をしております。この三年間でも二倍以上に増えているわけであります。

 ただし、子供を乗せた自転車事故が増えているわけじゃないんですね。電動アシスト車に限定した調査はないんですけれども、子供を乗せた自転車の事故件数は、二〇一四年が八百六十二件、二〇一七年が七百四十三件、二〇二〇年が四百九十四件、二〇二三年五百二十八件ということです。

 では、何で増えているのかというところなんですが、電動アシスト自転車は、車両が重く、転倒がしやすい、低速だと不安定である一方、加速が強く、スピードが出やすい機能となっています。

 こういった電動アシスト自転車の増加というのが自転車関連事故の増加にも影響を与えていないのかどうか、その点についてはどうでしょうか。

○早川政府参考人 お答えいたします。

 電動アシスト自転車を除く自転車が関連する交通事故件数、これは、令和五年中は六万六千九百七十二件発生しておりまして、令和二年と比べますと、千七百六十八件、二・七%の増加となっております。一方、電動アシスト自転車が関連する交通事故件数は、令和五年中と令和二年中を比較いたしますと、一一六・二%の増加となっております。

 このように、電動アシスト自転車の関連事故の増加が一般の自転車の増加と比べまして顕著となっておりますが、その背景には、先ほど御指摘ありました、電動アシスト自転車の普及が一つはあるものと推測をしているところでございます。

○塩川委員 松村委員長にお尋ねします。

 この間、自転車の事故が増えてきているといった点についての、やはり東京都で大きく増えているといったような特徴、あるいは電動アシスト車に関わるような、そういう点での事故の増加の特徴、こういうことを踏まえて、近年増加傾向にある自転車関連事故の詳細について是非とも分析をしていただきたいと思うんですが、お答えいただきたいと思います。

○松村国務大臣 やはり、事故の分析、それから、それに対する対応というのは重要であろうと思っております。

 警察におきましては、年間の交通事故統計が取りまとめられた時期や、春と秋の交通安全運動実施時期など、機会を捉えまして交通事故分析を行っているところでございます。

 自転車が関連する事故についても、御指摘のとおり、近年増加傾向にございますし、分析の一例を申し上げると、自転車乗車中の死者については、約半分が頭部を損傷しているにもかかわらず、頭部を損傷した死者のヘルメットの着用率は僅か八%にとどまっていることや、自転車と歩行者の事故で歩行者が死亡したり重傷を負ったケースにつきましても、約四割が歩道において発生しておりまして、自転車の運転者は二十五歳未満、歩行者は六十五歳以上が半数を占める、こういったことが分析結果として出ているところでもあります。

 今後も、こうした悲惨な事故を一件でも減らすため、御指摘のような情報収集、分析、対応、こういったものを考えまして、発生状況を多角的に分析をいたしまして、その結果を踏まえまして、指導取締りや交通安全教育、交通環境の整備を推進するように生かしてまいりたいと考えております。

○塩川委員 是非、しっかりとした詳細分析を踏まえた、効果的な対策に生かす、そういう取組を求めたいと思います。

 同時に、自転車利用に関する規制の強化だけではなくて、劣悪な道路環境の抜本的な整備環境が必要であります。やはり、幹線道路では構造物で分離した自転車道の確保をすることや、生活道路では自動車の通行抑制また速度制限などを進めることが必要だと思います。

 この点について、松村委員長と国交省から答弁を求めたいと思います。

○長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 自転車通行空間の整備に当たりましては、自動車の速度や交通量を踏まえて、自転車道や自転車専用通行帯、矢羽根型路面表示による車道混在型といった形態により整備を進めております。

 一方で、用地買収を行って自転車道や自転車専用通行帯を整備していくには時間がかかることから、限られた道路空間の中で、中央分離帯や車線などを縮小して自転車道や自転車専用通行帯の空間を生み出す、道路空間の再配分の考え方などを盛り込むべく、安全で快適な自転車利用環境創出ガイドラインの改定作業を今警察庁とともに行っているところでありまして、引き続き、自転車通行空間の整備を着実に進めてまいりたいというふうに考えております。

○松村国務大臣 今国交省からも御答弁ございましたが、自転車道路の整備については、警察におきましても自転車の通行空間の確保を推進をしているところでございます。

 御指摘の、生活道路の安全対策につきましては、歩行者や自転車の安全を確保するため、こうした道路におきまして、車両速度を抑制したり通過交通の排除を図ったりすることが大変重要であると認識をいたしておりまして、現在、警察におきましては、そうした生活道路におきまして、区域を定めて時速三十キロメートルの最高速度規制を行うゾーン30や、速度規制と道路管理者が設置する物理的デバイスとを組み合わせましたゾーン30プラス、こういったものの整備を推進しているところでございます。

 引き続き、関係機関としっかり連携を図りつつ、歩行者や自転車の安全の確保に努めるよう警察を指導してまいりたいと考えております。

○塩川委員 ゾーン30、ゾーン30プラスの話がありました。こういった形での自動車の交通抑制を含めて……

○星野委員長 申合せの時間が経過しておりますので、御協力ください。

○塩川委員 安全対策に万全を期すという取組を強化していくことを求めて、質問を終わります。

政治倫理・公選法特別委を改組し、政治改革特別委を設置

 衆院本会議で、政治倫理・公選法特別委を改組し、政治改革特別委を設置しました。

 私は、それに先立つ議運理事会で、自民党裏金問題の全容解明のため、裏金議員や森元首相の証人喚問の実施を求めるとともに、金権腐敗政治一掃のため、企業団体献金の全面禁止法の実現を要求。

 私が、同委員会を担当します。

国会行動埼玉デー集会であいさつ

 国会行動埼玉デー集会であいさつ。

 日米首脳会談の手土産として、軍需産業の国際共同開発による武器輸出推進のための秘密保護法拡大法案の衆院可決を批判、裏金に染まった自民党政治そのものを終わらせようと訴え。

 裏金追及や原発ゼロなどの要請を受け止めました。

【内閣委員会】岸田派不記載他にも/官房長官認める

 自民党の裏金問題を追及し、岸田派の政治資金収支報告書への不記載のうち、政治資金パーティー収入以外でも不記載があったことが明らかになりました。

 岸田派では政治資金収支報告書への不記載額が3059万円(2018~20年)にのぼり、元会計責任者の有罪が確定しています。岸田文雄首相や同派座長だった林芳正官房長官は、これまでの答弁で、不記載の要因の一つとして、18年分の不記載額1322万円のうち558万円について寄付の取り消し要請があったと説明しています。

 私は、岸田派が3年間分の政治資金収支報告書の訂正をした1月18日の6日後に、同派前会長の古賀誠元幹事長が代表を務める古賀誠筑後誠山会が政治資金収支報告書の訂正で19年以前からの繰越額558万円を追加したことを挙げ、「この取り消し要請は、古賀事務所に対するものか」とただしました。

 林官房長官は「18年の寄付について、同年中に寄付者から取り消しの申し出があり返金した」と認めつつ、相手が誰かなど「他の政治団体について答える立場にない」として明らかにしませんでした。

 私が558万円は、パーティー収入以外の収入かと重ねてただすと、林氏は「(558万円については)パーティー収入ではない」と認めました。

 私は、岸田首相が「(岸田派の不記載分は)パーティー専用の口座に残っており、ほかに流用したわけではないから裏金ではない」と強弁してきたが、「パーティー収入とは別のお金のやり取りがあったのであれば、きちんと説明がされないままになっている」と批判し、岸田派についても裏金事件の徹底した真相解明が必要だと強調しました。

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「議事録」

第213回国会 令和6年4月10日(水曜日) 内閣委員会 第9号

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 今日は、岸田派の裏金問題について質問をいたします。

 二月十六日の内閣委員会で、林官房長官は、宏池会座長の立場にあった者としてということで、宏池政策研究会、岸田派の裏金問題についてお答えになっておられます。

 岸田派の派閥収支報告書の不記載の要因について、このときの質疑で林官房長官が三点を指摘をしているわけですが、一つは、どの議員の紹介によるパーティー券収入か不明な場合には判明するまで収支報告書への記載を保留するという事務手続を取っていたということ、二つ目に、銀行への入金履歴を手書きで転記する際に転記ミスを起こして収支報告書への記載漏れがあったということ、三つ目に、二〇一八年の千三百二十二万円の収入不記載について、五百五十八万円は寄附の取消し要請があったということでありました。

 その内容についてお聞きします。

 まず、どの議員の紹介によるパーティー券収入か不明な場合には判明するまで収支報告書への記載を保留するという事務手続を取っていたということですが、岸田派の政治資金パーティーにおいては、パーティー専用の口座を恒常的に設けていたということですので、一つの口座によって、過去のパーティーを含め、出入金の記録は確認できるのではないかと考えます。

 そこで、二〇一八年から二二年の各年において、誰が振り込んだのか、これは明らかにできるんじゃないでしょうか。その点についてお答えいただけますか。

○林国務大臣 今御指摘がございましたように、宏池会による政治資金パーティーにおきましては、専用口座を恒常的に設けていたところでございます。当該口座の入出金の全てを把握しているわけではございませんが、宏池会のパーティー券を購入した個々の方々から振り込みがなされているほか、パーティー券の売上げを預かった個々の議員事務所からの振り込み等があった、そういうものと承知をしております。

○塩川委員 パーティーを購入した個々の方から振り込みもあったし、個々の議員の事務所からの振り込みもあった、それが口座にとどまっていた分としてあったということでよろしいですか。

○林国務大臣 お尋ねは、どういう振り込みがあったかということでございますので、個々の方々からの振り込み、またパーティー券の売上げを預かった個々の議員の事務所から振り込みがあったということでございます。

○塩川委員 それがここで言っている、保留する、保留分のお金として、個々の事務所から来た振り込み先というのは個々の議員が特定できるので、保留分にならないんじゃないかと思うんですが、そこはどうなんですか。

○林国務大臣 宏池会におきましては、前会計責任者の不確かな会計知識に基づきまして、どの議員の紹介によるパーティー券収入か不明な場合に判明するまで収支報告書への記載を保留するという事務手続が取られていたということで不記載が生じたと聞いております。

 パーティー券がどの議員との関係での売上げであるかということでございますが、振り込み時にパーティー券の番号を記載していただいたり、パーティー券の売上げを預かった議員事務所がまとめて振り込みをしたりすることなどにより確認をしていたと承知をしておりますが、振り込み時のパーティー券番号の誤記それから記載漏れ等によって、どの議員の紹介によるパーティー券収入なのか不明なものが一部生じた、そういうふうに聞いております。

○塩川委員 その誤記、記載漏れについて保留分としてずっとあったということについて、本来であればその腑分けが必要なわけですけれども、そういうことについて、されないままでいたということでしょうか。

○林国務大臣 委員が腑分けとおっしゃるのはどういうことか、明らかに、ちょっと理解したかどうか分かりませんが、まさに、議員の事務所がまとめて振り込みをすればどの議員かは分かるということでございますが、それ以外の方でもパーティー券の番号を記載していただければ分かるということですが、先ほど申し上げましたように、振り込み時のパーティー券番号の誤記、記載漏れ等によって、どの議員の紹介によるパーティー券収入か不明なもの、これが生じたということでございます。

○塩川委員 いずれにしても、購入者が支払っているお金があるわけですから、誤記や記載漏れがあったとしても、誰が振り込んだのかということについては、購入者が振り込んだ分については、これは特定できるはずなので、保留分になっているものであっても、購入者が振り込んだ分については明らかで、名前が分かるわけですよね。

 ですから、そういったものについて、収支報告書の記載、公表事項となっている二十万円を超えるような、そういうものというのも出てきていていいはずなんですけれども、そういうのが見えないというのは、そもそもきちんとした照合をこの間の詳細な実態調査の中で行っていないということでしょうか。

○林国務大臣 まさに、前会計責任者の不確かな会計知識に基づいて、どの議員の紹介によるパーティー券収入か不明な場合には判明するまで収支報告書への記載を保留する、こういう事務手続が取られていたということでございます。

○塩川委員 ですから、その実態というのがまだ、いまだに分からないままなのでお聞きしているんですが、明確なお答えがありませんでした。

 その上で、二〇一八年の略式起訴に係る千三百二十二万円、その内数として、寄附の取消し要請というのがあって、五百五十八万円だという答弁だったわけですが、この寄附の取消し要請というのは何なのか、相手方というのは誰なのか、その点について御説明ください。

○林国務大臣 御指摘のありました寄附の取消しでございますが、二〇一八年、すなわち平成三十年でございますが、この二〇一八年中に行われた寄附につきまして、同年中に寄附者からの申出があり、寄附を取り消して、同年中に返金を行っていたものでございます。

 なお、宏池会としては寄附を受ける立場でございますので、寄附の取消し理由についてはお答えする立場にはないと考えます。

 また、誰の寄附を幾ら取り消したのかということにつきましては、プライバシーにも関わるものであることから、お答えは差し控えさせていただきます。

○塩川委員 パーティー収入について虚偽記入があったということがずっと言われているんですけれども、この二〇一八年の寄附について、同年中に取消し要請があり取り消したというのは、パーティー収入とは別ということですね。

○林国務大臣 先ほど申し上げましたように、寄附の取消し、寄附があって、寄附について、同年中にその寄附者からの申出があって、寄附を取り消したということでございます。

○塩川委員 ですから、派閥のパーティーの収入とは関係ないお金ということですよね。

○林国務大臣 先ほどお答えしたとおりでございまして、これがどういう、先ほどの区分になっていたかというのは、詳細は承知をしておりません。

○塩川委員 いやいや、この前の答弁のときにも、派閥のパーティー収入で不明な分の金額の保留分については、二〇一八年については林官房長官は七百六十四万円と答弁しているんですよ。ですから、全体として不記載が千三百二十二万円、そのうち、パーティーかパーティー券についての不明分が七百六十四万、その差額の五百五十八万円が寄附の取消し要請分ということですから、パーティー収入とは別ということははっきりしていると思うんですが、そういうことですよね。

○林国務大臣 検察の処分も出ておるわけでございますが、検察がどのような判断でそういう処分をなされたのかということは私は承知しておらないわけでございますけれども、お尋ねの五百五十八万円分の寄附の取消し、これは平成三十年中に行われたものであって、五百五十八万円は令和元年以降には繰越しをしていないということでございます。したがって、不記載ということで検察から判断がなされているということでございます。

○塩川委員 ですから、二〇一八年の千三百二十二万円については、パーティー収入について保留分として口座に残っていた、まあ、その説明が妥当かどうかはあれにしても、パーティー収入の保留分というのが七百六十四万円で、寄附があったんだけれどもその年に取消しになったから、その分についてが五百五十八万円ですから、パーティー収入とは別なお金ということになるわけですから。

 そういう意味では、この間、岸田総理自身も、パーティー収入については口座できちっと記録して、そのお金も残っていたんだから問題がないということを言っていたんですが、パーティー収入とは別なお金のやり取りがあったということであれば、それは非常に不透明だと。これについてのきちんとした説明がされないままで来ていると思うんですけれども、いかがですか。

○林国務大臣 パーティー収入については、先ほど委員からも御指摘のあった数字が不記載として検察の処分ということになっておりますし、お尋ねの五百五十八万円分の寄附の取消しというのは、先ほど申し上げましたように、平成三十年中に行われたものでございます。

 寄附の取消しでございますので、パーティー収入ではないということだと思います。

○塩川委員 岸田派のかつての領袖である古賀誠元自民党幹事長が代表を務める古賀誠筑後誠山会は、一月に政治資金収支報告書の訂正を行っております。二〇一九年以前の収支に記載漏れがあったとして、報告書を訂正できる二〇年から二二年分について、前年からの繰越額として五百五十八万円を追加をしております。

 岸田派の収支報告書の訂正が一月の十八日、古賀誠筑後誠山会の収支報告書の訂正は一月の二十四日ということになると、この寄附の取消し要請の五百五十八万円分というのは、古賀事務所に対するものということになるんじゃありませんか。

○林国務大臣 他の政治団体につきまして、私から何らかお答えする立場にはないと考えております。

○塩川委員 でも、個々の議員の収支報告書などについてもきちっと明らかにするということは、聞き取り調査などで行われてきているわけであります。

 自らの派閥についてどういうお金の流れがあったのかということについて、これは当然のことながら、自民党の総裁でもあり岸田派の会長だった岸田総理としてきちんと説明されるのは当然でありますし、岸田派の座長でもあった林官房長官としても、そういう不透明なお金の流れについてきちんと説明をすべきじゃないでしょうか。

 古賀誠さんの事務所と違うというんだったら、それはそれとしてあるわけですけれども、まさに身内といいますか関係者であるわけですから、そういう不透明なお金の流れがどうなっていたのかについて、これをきちんと説明することは最低限の政治的責任じゃありませんか。

 この点について、改めてお答えください。

○林国務大臣 委員のお尋ねが宏池会とは別の政治団体についてのお尋ねでございましたので、他の政治団体については、私から何らかのお答えをする立場にはないとお答えしたところでございます。

○塩川委員 宏池政策研究会への寄附が行われているんですよ。そういう寄附があれば、それは当然のことながら、その金額からいってもきちっと記載されなければならないものであるわけで、そういった点でも、これは宏池政策研究会に係る収入としての寄附の話ですから、宏池政策研究会として、その関係者がきちんと説明するのは当然のことじゃないでしょうか。

 そういうことを行わないで、これで政治的、道義的責任を果たしたということは言えない。そもそも、処分で、これで一件落着などとは当然言えないわけで、全容解明は岸田派においてもいまだ途上だということを申し上げなければなりません。徹底解明が必要であります。

 岸田総裁、岸田派会長として処分なしというのは……

○星野委員長 申合せの時間が経過をしておりますので、おまとめください。

○塩川委員 真相解明を棚上げするものだと言わざるを得ないということを申し上げて、質問を終わります。

自衛隊化学学校の毒ガス問題資料

(資料1)陸上自衛隊化学学校と毒ガス製造問題の経緯(年表)

【活動日記】さいたま市/自衛隊化学学校の毒ガス問題を考えるつどい(12月15日)参照

(資料2)科学学校における特定物質の製造量等の実績(2008~2012年度)

【活動日記】さいたま市/自衛隊化学学校の毒ガス問題を考えるつどい(12月15日)参照

科学学校における特定物質の製造量等の実績(2013~2018年度)

(資料3)陸上自衛隊大宮駐屯地施設配置図

【活動日記】さいたま市/自衛隊化学学校の毒ガス問題を考えるつどい(12月15日)参照

(資料4)これまでの遺棄化学兵器発掘・回収事業状況

【活動日記】さいたま市/自衛隊化学学校の毒ガス問題を考えるつどい(12月15日)参照

【本会議】秘密保護法拡大法案/平和国家投げ捨て兵器の共同開発推進

 「秘密の範囲」を経済分野に拡大する経済秘密保護法案(重要経済安保情報法案)等が衆院本会議で、自民、公明、立民、維新、国民などの賛成で可決されました。日本共産党、れいわは反対しました。

 私は反対討論で、「法案は米国などの同盟国・同志国と兵器の共同開発を推進するものだ」と告発し、「憲法の平和主義を投げ捨てる暴挙に断固抗議する」と厳しく批判しました。

 私は、米国の「国家防衛産業戦略」が、多国間連携による兵器の共同開発・共同生産や維持・整備網の構築を掲げていると指摘。同法案の狙いは、岸田政権が日英伊の次期戦闘機「GCAP」、日米の極超音速兵器を迎撃する滑空段階迎撃用誘導弾「GPI」、米英豪の「AUKUS」との兵器の共同開発を進めようとする中で、秘密保護法の範囲外にまで「秘密の範囲」を広げ、同盟国・同志国と同等の秘密保全法制を整備することにあると告発。「駐日英大使が、機密技術の共同開発には、セキュリティ・クリアランス制度が欠かせない」と述べている通りだと強調しました。

 日本の財界も、「国防省関係のビジネスで、さらなる業務獲得・円滑化のためには、クリアランスが必要」と推進しているとして、「米国などの同盟国・同志国と財界の要求に応えて兵器の共同開発・輸出を進め、日本を『死の商人国家』にしようというものだ。断じて許すわけにはいかない」と批判。

 米国のキャンベル国務副長官は明日(10日)の日米首脳会談で、「極めて重要な防衛装備品の共同開発・共同生産を協議する」と述べていると指摘し、「首脳会談の手土産にするために衆院を通過させようとしているのは明らかだ」と主張。「本法案に断固反対」と強調し、廃案にすることを強く求めました。

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反対討論の概要は、以下のとおりです


 私は、日本共産党を代表して、重要経済安保情報法案等に、反対の討論を行います。

 本案は、米国などの同盟国・同志国と、兵器の共同開発を推進するものです。

 米国が初めて策定した「国家防衛産業戦略」は、「同盟国・同志国の強固な防衛産業は、米国国防総省の統合抑止の礎石であり続ける」として、多国間連携による兵器の共同開発・共同生産や、維持・整備網の構築を掲げています。

 岸田政権は、日英伊の次期戦闘機「GCAP」、日米の極超音速兵器を迎撃する滑空段階迎撃用誘導弾GPI、さらに米英豪の「AUKUS」との兵器の共同開発を進めようとしています。そのため、本案は、秘密保護法の範囲外である「コンフィデンシャル」級の情報まで秘密の範囲を広げることで、同盟国・同志国と同等の秘密保全法制を整備しようというものです。

 イギリスの駐日大使が、機密技術の共同開発には、セキュリティ・クリアランス制度が欠かせないと述べている通りです。

 日本の財界も、「国防省関係のビジネスで、さらなる業務獲得・円滑化のためには、クリアランスが必要」と推進しています。

 米国などの同盟国・同志国と財界の要求に応えて、兵器の共同開発・輸出を進め、日本を死の商人国家にしようというのが本案です。断じて許すわけにはいきません。

 米国のキャンベル国務副長官は、明日開かれる日米首脳会談で、「極めて重要な防衛装備品の共同開発・共同生産を協議する」と述べました。日米首脳会談の手土産にするために、衆議院を通過させようとしているのは明らかではありませんか。憲法の平和主義を投げ捨てる暴挙に、断固抗議します。

 軍事兵器の共同開発推進の下で、国民には何が秘密かも知らされないまま、政府が勝手に秘密を指定し、その秘密に触れただけで、拘禁刑という厳罰で処罰する秘密保護法を拡大するのが本案です。政府が指定できる秘密を経済分野まで大幅に増やし、広範な民間労働者、技術者、研究者を政府の秘密保全体制に組み込んで、監視し、処罰するなど、到底認められません。

 本案が規定する秘密を扱う人への適性評価は、政治的思想、海外渡航歴、精神疾患などの治療歴、借金や家賃の滞納、家族や同居人の過去の国籍まで、機微な個人情報を根こそぎ調べ上げるものです。事情に変更があった際には、報告させる誓約まで迫ります。

 本人だけでなく上司からも調査票を提出させ、警察・公安調査庁や医療機関などにも、本人への通知なく照会をかけます。適性評価後も、事業者に、対象者を継続的に監視させる二重三重の監視体制であることが、質疑でも明らかになりました。本人の同意が前提といいますが、労働者が調査を拒否しても不利益を被らないという保証はなく、事実上の強制です。

 思想・良心の自由、プライバシー権を踏みにじる憲法違反そのものではありませんか。

 しかも、秘密指定された情報は、国民の代表である国会議員にすら明らかにされません。修正されたところで、秘密を知った国会議員が、秘密会の外で漏らせば刑罰に処せられるなど、国会の国政調査権や議員の質問権を侵すものであることには変わりなく、反対です。

 経済分野への秘密指定の拡大は、本来あるべき研究成果の自由な公開やオープンな研究環境を制限し、学問の自由を侵害するのは明らかであり、容認できません。

 重大なのは、政府が、本案によって経済分野まで拡大される秘密の範囲に合わせて、秘密保護法を改正することなく、法の運用によって、これまで防衛、外交、スパイ活動、テロ活動の4分野に限定されていた特定秘密の範囲を拡大しようとしていることです。10年前、国民の大反対を押し切って強行した憲法違反の秘密保護法を運用で拡大するなど、断じて認められません。

 このような拡大は、政府が経済安保の名の下ででっちあげた、大川原化工機事件のような冤罪事件を引き起こすのは明白であります。

 以上、本法案に断固反対、廃案にすることを求め、討論を終わります。

さいたま市緑区の「春を呼ぶつどい」/松村としお市議とのトーク企画

 さいたま市緑区の「春を呼ぶつどい」。

 松村としお市議とトーク形式で。裏金問題でも経済・外交分野でも、自民党政治の行き詰まりが明らかに。

 金権腐敗の追及、経済・外交政策の対案など、日本共産党の果たす役割の大きさを実感。

 大型開発中心、市民サービス切り捨てのさいたま市政のゆがみも話題に。

埼玉・志木市議選告示/上野たくま候補の応援に

 志木市議選告示、上野たくま候補の応援に!水谷としみ市議とバトンタッチ。

 学校給食費完全無償化、国保税引下げ、高齢者の補聴器購入補助を実現しよう!

 国保税・介護保険料値上げにきっぱり反対、子ども医療費の税金完納要件廃止させた党だからこそ!

 裏金自民党に審判を!大軍拡やめて子育て支援を!

【内閣委員会】秘密保護法拡大法案が内閣委で採決/兵器の共同開発推進を告発

 「秘密の範囲」を経済分野に拡大する経済秘密保護法案(重要経済安保情報法案)等が衆院内閣委員会で、自民、公明、立民、維新、国民などの賛成多数で可決しました。日本共産党は反対しました。

 私は質疑で、「法案は、米国などの同盟国・同志国との多国間連携で兵器開発を推進するためのものだ」と告発しました。

 私は、米英豪の国々の発言を紹介。

 英国のロングボトム駐日大使は、日英伊の次期戦闘機(GCAP)について、セキュリティ・クリアランス制度は「機密技術の共同開発を促進するのに欠かせない」。

 米国のキャンベル国務副長官は「日米首脳会談で、極めて重要な防衛装備品の共同開発・共同生産を協議する」。

 オーストラリアのマールズ副首相・国防相は、極超音速兵器や無人機に適用されるAI技術の共同開発について「日本の参画に期待」。

 私は、米国防総省の「国家防衛産業戦略」が「同盟国・同志国による強固な防衛産業は、米国国防総省の統合抑止の礎石であり続ける」と掲げていると指摘、この戦略に沿って、GCAPや、それに連動する無人機、極超音速兵器を迎撃する滑空段階迎撃用誘導弾(GPI)などの共同開発を推進するために「日本の民間企業の参入も踏まえてセキュリティ・クリアランスが必要となるのではないか」とただしました。

 岸田文雄首相は、GCAPは法案の対象ではないとしつつ、それ以外の「国際共同開発が一層進むことが期待される」と認めました。

 私は、防衛省のシンクタンクである防衛研究所のレポートでも「米国との安全保障分野の連携に民間企業を参画させる際に無視できないのがセキュリティ・クリアランスだ」としていると指摘。「殺傷能力のある兵器を他国に売りさばく死の商人国家を目指すことは断じて認められない」と批判し、「断固反対、廃案にすることを求める」と強調しました。

衆議院TV・ビデオライブラリから見る

反対討論の概要は、以下のとおりです。


 私は、日本共産党を代表して、重要経済安保情報法案に、反対の討論を行います。

 本案は、国民には何が秘密かも知らされないまま、政府が勝手に秘密に指定し、その秘密に触れただけで拘禁刑という厳罰で処罰する秘密保護法を拡大する法案に他なりません。秘密の範囲を経済分野まで拡大することで、政府が指定できる秘密を大幅に増やし、広範な民間労働者、技術者、研究者を政府の秘密保全体制に組み込むものです。

 本案がなぜ必要なのか。米国の「国家防衛産業戦略」は「同盟国・同志国の強固な防衛産業は、米国国防総省の統合抑止の礎石であり続ける」と掲げています。

 岸田政権が進める、日米の極超音速兵器を迎撃する滑空段階迎撃用誘導弾GPI、米英豪の「AUKUS」との極超音速兵器や無人機、日英伊の次期戦闘機「GCAP」。こうした共同開発を進めるために、本案は、同盟国・同志国と同等の秘密保全法制を整備しようというものです。イギリスの駐日大使が、機密技術の共同開発にはセキュリティ・クリアランス制度が欠かせないと述べている通りです。

 日本の財界も、「国防省関係のビジネスで、さらなる業務獲得・円滑化のためにはクリアランスが必要」と推進しています。

 米国などの同盟国・同志国と財界の要求に応えて、兵器の共同開発・輸出を進め、日本を死の商人国家にしようというのが本案です。10日に開かれる日米首脳会談に間に合わせるために衆議院を通過させようなど、断じて許されません。

 軍事兵器の共同開発推進の下で、国民には罰則、身辺調査を押し付けます。本案が規定する秘密を扱う人への適性評価は、政治的思想、海外渡航歴、精神疾患などの治療歴、借金や家賃の滞納、家族や同居人の過去の国籍まで、機微な個人情報を根こそぎ調べ上げるものです。事情に変更があった際には報告させる誓約まで迫ります。

 本人だけでなく上司からも回答を提出させ、警察・公安調査庁や医療機関などにも本人への通知なく照会をかけます。適性評価後も、事業者に対象者を継続的に監視させる二重三重の監視体制であることが質疑でも明らかになりました。本人の同意が前提といいますが、労働者が調査を拒否しても不利益を被らないという保証はなく、事実上の強制です。
思想・良心の自由、プライバシー権を踏みにじる憲法違反そのものです。

 重大なのは、政府が、これまで防衛、外交、スパイ活動、テロ活動の4分野に限定されていた特定秘密の範囲を、運用の見直しによって拡大しようとしていることです。10年前、国民の大反対を押し切って強行した憲法違反の秘密保護法を、法改正無しに拡大するなど断じて認められません。

 このような拡大は、政府が経済安保の名の下ででっちあげた、大川原化工機事件のような冤罪事件を引き起こすのは明白であります。

 以上、基本的人権、国民主権、平和主義という日本国憲法の基本原理を根底から覆す秘密保護法の拡大であり、経済安保情報法案と合わせて断固反対です。両修正案にも反対であると申し述べ、討論を終わります。


「議事録」(対政府質疑)

第213回国会 令和6年4月5日(金曜日) 内閣委員会 第8号

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 今日は、同盟国、同志国による防衛装備品の国際共同開発と今回の法案の関係についてお尋ねをいたします。

 日本とイギリス、イタリアによる次期戦闘機の共同開発に係るグローバル戦闘航空プログラム、GCAPに関連し、昨年十二月、日米両政府は、次期戦闘機と連動する無人機をめぐりAI技術に関する共同研究を実施することで合意したといいますが、これはどのような内容でしょうか。

○松本(恭)政府参考人 失礼します。

 委員御指摘のとおり、昨年十二月に、防衛省及び米国防省は、日米防衛当局間で、無人機へ適用するAI技術に係る日米共同研究に関する事業取決めに署名したところです。

 本研究は、一昨年十二月に公表した次期戦闘機に係る協力に関する防衛省と米国防省による共同発表を踏まえて実施するものであり、無人機の行動判断に適用されるAI技術について防衛装備庁と米空軍研究所が共同研究を実施するものです。本共同研究の成果として得られるAI技術については、我が方においては次期戦闘機と連携する無人機等に適用することを念頭に置いています。

 無人機と有人機の連携は今後の航空領域における活動のために極めて重要な要素であり、その実現に必要な技術として、特に進展の著しいAI技術の分野における日米の協力は、日米同盟の相互運用性や技術的優位性を確保するものであると期待しているところです。

○塩川委員 無人機の行動判断に適用されるAI技術を研究するということで、日本においては次期戦闘機と連動する無人機をめぐるAI技術ということであります。次期戦闘機に連動する無人機の開発をめぐってAI技術に関する共同研究を日米で実施するということであります。

 次に、バイデン米国大統領は、昨年十月、オーストラリアのアルバニージー首相と会談をし、日本を交えた三か国で無人機分野の協力を検討すると合意したということですけれども、その内容について承知しているでしょうか。

○松本(恭)政府参考人 お答え申し上げます。

 米国、豪州間の合意の内容につきましては我々も承知しておるところでございますけれども、具体的な詳細については、我々、詳細に承知しておるわけではございませんので、引き続き、三か国とも連携して、協議を重ねてまいりたいと思います。

○塩川委員 アメリカとオーストラリアの首脳共同声明は、戦闘機とそれに連動して活動する無人機の連携が重要になるとの認識を示し、我々の協力は相互運用性の向上と技術移転の加速を狙っていると記しているそうであります。

 これは、GCAPの次期戦闘機と連動する無人機の開発に係るAI技術の共同開発について、日米豪三か国での協力を目指すものではないのかと考えられます。

 あわせて、オーストラリアのリチャード・マールズ国防相は、共同のインタビューに、AUKUSの第二の柱である極超音速兵器やAIなどの共同開発について、将来的な日本の参画に期待と述べていますが、どのような期待をオーストラリア側はしているということなんでしょうか。

○安藤政府参考人 お答え申し上げます。

 AUKUSは、一義的には米英豪三か国の協力の枠組みでございますが、先進能力分野につきましては、同盟国及び緊密なパートナーに関与する機会を模索することと承知をしておりまして、防衛省として、関心を持ってこの取組の進展を注視しているところでございます。

 その上で、今先生御指摘の報道につきましては承知をしておりますが、豪副首相兼国防相のコメントの趣旨につきまして確定的にお答えすることが困難であることにつきましては御理解を賜りたいと存じます。

○塩川委員 そういう話があるということであります。

 日米の間で、極超音速兵器を迎撃する滑空段階迎撃用誘導弾、GPIの共同開発で合意をしておりますが、リチャード・マールズ・オーストラリア副首相・国防相の、極超音速兵器の共同開発について日本の参画に期待するという発言は、それを受けてのものということであります。

 いわば、GCAPにおける次期戦闘機に係る、連動する無人機のAI技術の開発とともに、GPIに関しても日米豪三か国での共同開発が想定をされているということであります。これにはイギリスも入るということもあるかもしれません。

 そこで、米国のカート・キャンベル国務副長官は、この十日に行われます日米首脳会談で、AUKUSと日本との技術協力について議論すると明らかにしておられます。

 また、キャンベル国務副長官は、三日のワシントンでのAUKUSをテーマにした講演において、極めて重要な防衛装備品の共同開発、共同生産について日米首脳会談で協議をすると述べておりますが、これはどのような内容のものでしょうか。

○濱本政府参考人 お答え申し上げます。

 キャンベル国務副長官は、記者団等に対しまして、日米首脳会談でAUKUSと日本との技術協力についても協議が行われる見通しだとの趣旨の発言をした、具体的には、安全保障や技術の面で日本が大きな能力を発揮できる分野がある等ということを言ったと報じられていると承知しております。

○塩川委員 実際に首脳会談でどういうことを議論するんでしょうか。

○濱本政府参考人 お答え申し上げます。

 日米首脳会談における議論の内容等につきましては決まっていないところでございまして、予断を持ってお答えすることは困難であることは御理解いただけないかと思います。

 その上で、AUKUSにつきましては、現時点におきまして日本とAUKUSとの協力について決まっていることはございませんが、我が国としては、法の支配に基づく自由で開かれたインド太平洋の実現に向けて、安全保障、防衛面で重要なパートナーである米国、豪州、英国との間で引き続き様々な形での連携を強化し、我が国の防衛力強化に資する取組を今後とも進めてまいりたいと考えております。

○塩川委員 キャンベル国務副長官は、極めて重要な防衛装備品の共同開発、共同生産について日米首脳会談で協議するということを述べた。その中身について、今やり取りしましたように、やはり、GCAPに係る次期戦闘機と連動する無人機のAI技術の共同開発の面、それから、GPIの共同開発についても、日本、アメリカ、オーストラリア、さらに、イギリスも視野に入っているかもしれません、こういった共同開発の可能性ということも指摘をされるところであります。

 このように、次期戦闘機に連動する無人機に関するAI技術の共同開発及び極超音速兵器を迎撃する滑空段階迎撃用誘導弾、GPIの共同開発について、日米豪、さらにはイギリスも含め進めることになれば、日本の民間企業の参入も踏まえ、セキュリティークリアランスが必要となるのではないでしょうか。

○品川政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘のありました防衛装備品等についての開発につきましては、本法案が成立する前からあります既存の制度に基づくセキュリティークリアランスを活用していくものと理解をしております。

○塩川委員 そうなんでしょうか。

 大臣にお尋ねします。

 米国防総省は、今年一月、同盟国の軍需産業をアメリカの戦略に統合することを掲げた国家防衛産業戦略を発表しました。この国家防衛産業戦略は、同盟国や同志国の強固な防衛産業は米国国防総省の統合抑止の礎石であり続けると指摘をし、地球規模の兵器のサプライチェーンや整備拠点の確保が死活的だとして、同盟国との二国間、多国間の防衛産業の協力が掲げられております。

 このようなアメリカの国家防衛産業戦略の下、日本に対して民間企業へのセキュリティークリアランスの導入強化が求められているのではありませんか。

○高市国務大臣 アメリカの国防省が国家防衛産業戦略を公表したのは今年、二〇二四年の一月十一日でございます。

 そもそも、この法律案の検討について私が意欲を表明したのは二〇二二年の八月十日、そして、その後、総理から御指示をいただいて、有識者会議も設置して、本格的にこの法律案の準備に向けて対応を始めたのは昨年、二〇二三年の二月でございます。

 ですから、アメリカの国防省から何か言われて制度の導入を求められたという事実は全くございません。そもそも、この法律案が保護の対象とするのは、我が国の国民生活や経済活動にとって重要なインフラや重要物資のサプライチェーンの保護に関する情報でございます。

○塩川委員 防衛産業というのは重要経済基盤に当たるということでよろしいですか。

○高市国務大臣 重要経済基盤、つまり、重要な、サプライチェーンですとか重要な物資に係るものでございますけれども、デュアルユースという概念からいいますと、防衛関連企業がこれまで培ってきた知見というものを、政府が持っている情報を提供して共に研究をしていくということはあるかと思いますが、直接的に国防の用に供する装備品ということになりますと、これは特定秘密の世界に入っていくと考えております。

 本法案でそのような形のことは想定しておりません。

○塩川委員 サプライチェーンにおける防衛産業も重要経済基盤、これは否定されないわけであります。

 そういった点でも、今回の動きについて、防衛省のシンクタンクである防衛研究所の「「米国国家防衛産業戦略」を読み解く」というレポートでも、「米国との安全保障分野の連携に我が国の民間企業を参画させる際に無視できないのが、セキュリティークリアランス制度の問題である。本稿執筆中の二〇二四年一月末現在、同制度の実現に向けて法案の提出が目指されているが、防衛産業連携のいわば「共通言語」である同制度の確立と確実な普及は依然急務である。」と述べております。防衛省が、今回の法案がアメリカの国家防衛産業戦略と符合する、そういうものとしてこの確立と普及が急務だと述べているというのが、まさにこの本質を示しているのではないでしょうか。

 今回の法案は、同盟国、同志国の多国間連携で兵器開発を推進するものであります。殺傷能力のある兵器を他国に売りさばくような、死の商人国家を目指すことは断じて認められないということを申し上げて、質問を終わります。

「議事録」(総理質疑)

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 秘密保護法拡大法案について質問をいたします。

 岸田総理は、セキュリティークリアランスは、同盟国、同志国との円滑な協力のために重要と述べております。岸田政権は、イギリス、イタリアと次期戦闘機の共同開発、GCAPを進めておりますが、ジュリア・ロングボトム駐日イギリス大使は、毎日新聞の寄稿で、GCAPに関連して、セキュリティークリアランス制度は機密技術の共同開発を促進するために欠かせないと語っております。

 次期戦闘機共同開発のためにも今回の法案が必要ということではありませんか。

○岸田内閣総理大臣 現在、英国及びイタリアとの共同開発を進めている次期戦闘機の共同開発、ここで取り扱う秘密情報については、トップシークレット、シークレット、こうした二つのランクの情報として、我が国においては特定秘密に指定し、そして管理をしています。

 本法案は、コンフィデンシャル級の情報を保護の対象とする制度を創設しようとするものであり、本法案の重要経済安保情報は、その対象から特定秘密を除外しているところ、本法案が次期戦闘機の共同開発のために必要であるという御指摘は当たらないと考えています。

 ロングボトム大使の寄稿の趣旨についてお答えする立場にありませんが、本法案では、我が国の安全保障の確保に資する活動を行う事業者への重要経済安保情報の提供等について規定しており、一般的にGCAP関連以外の国際的な共同開発が一層円滑に推進されることが期待されるものであると考えています。

○塩川委員 まさに、裾野広く共同開発、共同生産を行えるような防衛産業の国際的な協力機構、その上で、民間企業へのセキュリティークリアランスが必要なのではないのか、こういう立場で、ロングボトム大使が、日本に対して民間企業に係るセキュリティークリアランスを求めてきているのではないか。その一環でこのGCAPの問題も捉える必要があるということを申し上げなければなりません。

 あわせて、来週、総理は日米首脳会談に臨まれますけれども、先ほどの質疑でもただしたところですが、アメリカのカート・キャンベル国務副長官が、この日米首脳会談でAUKUSと日本との技術協力について議論すると明らかにしたということであります。

 また、キャンベル国務副長官は、防衛装備品の共同開発、共同生産について日米首脳会談で協議すると述べたということですが、防衛装備品の共同開発、共同生産についてどのような協議を行うお考えでしょうか。

○岸田内閣総理大臣 先ほども答弁させていただきましたが、日米首脳会談については、恐らく、開催ぎりぎりまで、内容について協議、調整が続くものであると認識をしています。

 その中において、外交安全保障、経済、経済安全保障を始め、日米の連携について重要な課題が取り上げられるものであると想定はしておりますが、具体的な内容については、関係者、様々な意見や発言がある、これは承知をしておりますが、最終的にどのような会談を行うことになるのか、今の時点では具体的には確定しておりません。

○塩川委員 日本、アメリカ、それからオーストラリアの政府高官、政策担当者の発言を見ますと、例えば、GCAPの、次期戦闘機に連動する無人機に関するAI技術の共同開発、また、GPI、極超音速兵器を迎撃する滑空段階迎撃用誘導弾の共同開発、これらについて、日米豪、さらにはイギリスも含め進めるという話が出ております。

 そういったことになれば、日本の民間企業の参入も踏まえ、セキュリティークリアランスが必要となってくるのではないのか、そういうことも俎上にのった議論が行われるのではありませんか。

○岸田内閣総理大臣 今の時点で具体的な内容を申し上げることはできません。

 そして、それに向けて、いろいろな関係者が様々な意見を表明している、提案をしている、これは十分承知をしておりますが、それらを会議の中でどう、取り入れるかどうか等も含めて、今はまだ何も決まっていないというのが現状であります。

 いずれにせよ、今回の日米首脳会談、国際安全保障環境が複雑化し、そして厳しさを増している中であって、日米同盟、日本とアメリカの関係、今まで以上にその存在の重要性が高まっています。その中で、日米関係の深化を確認し、そしてそれを世界に発信する、そのために重要な会議であると認識をしています。そのために必要な内容を最後までしっかり詰めたいと思います。

○塩川委員 セキュリティークリアランスに関わる法案を国会で審議をしているときに、それにつながるような首脳会談での議論が行われるかもしれない。そういったことについて何ら明らかにされずに、この法案だけ通してくれという話は、それは筋が通らないということを言わざるを得ません。

 こういった問題について、更にお尋ねしますけれども、米国防総省は、今年一月に、同盟国の軍需産業をアメリカの戦略に統合することを掲げた国家防衛産業戦略を発表しました。地球規模の武器供給網、サプライチェーンや整備拠点の確保が死活的だとして、同盟国との二国間、多国間の防衛産業の協力が掲げられております。

 こういったアメリカの戦略の下、日本に対して民間企業へのセキュリティークリアランスの導入強化が求められているのではないのか。アメリカ政府の国家防衛産業戦略に基づき、日本に対してセキュリティークリアランスの導入強化が求められているのではないのか。この点についてお答えをいただけますか。

○岸田内閣総理大臣 今御審議いただいている法案が対象とする重要経済安保情報とは、国民の生存に不可欠な又は広く我が国の国民生活や経済活動が依拠する重要な物資のサプライチェーンに関する情報であるとされています。

 これから明らかなように、本法案は、例えば米国産の武器の日本企業による生産を容易にするとか、そういったことを狙いにするものでは全くないと考えております。

○塩川委員 今年発行されました防衛省のシンクタンクである防衛研究所のレポートにおいても、米国との安全保障分野の連携に我が国の民間企業を参画させる際に無視できないのが、セキュリティークリアランスの制度の問題である、防衛産業連携のいわば共通言語であるセキュリティークリアランス制度の確立と確実な普及は依然急務であると述べているわけであります。

 今回の法案は、同盟国、同志国との間の多国間連携で兵器開発を推進するために必要な法案、殺傷能力のある兵器を他国に売りさばくような、死の商人国家を目指すことは断じて認められないということを申し上げておきます。

 こういった軍拡を進める法案は、基本的人権も侵害することになります。

 セキュリティークリアランス、適性評価の調査についてお尋ねをいたします。

 秘密保護法の運用基準を参考に作るというこの法案における適性評価の調査でありますけれども、秘密保護法による適性評価では、対象者が提出する質問票は三十ページにも及びます。海外渡航歴や統合失調症、躁うつ病などの治療歴、国税や社会保険料、家賃の滞納状況、また、家族、同居人の国籍など、機微情報の詳細な調査を行うことになります。

 本人に聞くだけでなく上司にも調査票を提出をさせ、これらの調査の内容に疑問が生じたときは、本人とともに上司や同僚、その他知人への質問を行う、それにとどまらず、現在の企業だけでなく過去に働いていた会社も含め調査を行うというものであります。

 二重三重に調査を行う仕組みということで、このような適性評価の対象者を継続的に監視するような、こういう仕組みにならざるを得ないのではありませんか。

○岸田内閣総理大臣 お尋ねのセキュリティークリアランスに関する法案における適性評価の七つの調査項目は、自発的に情報を漏えいするおそれの有無、また、他から働きかけを受けた場合に影響を排除できず漏えいしてしまうおそれの有無、また、意図せず過失により漏えいしてしまうおそれの有無、こういった観点から信頼性を確認するための必要な項目です。

 そして、これらは個人のプライバシーに関わるものであるため、適性評価の実施に当たっては、調査項目を七項目に限定しているほか、調査項目や調査の実施方法などをあらかじめ告知した上で本人の同意を得ることとし、収集した個人情報は雇用主には渡さず、また、適性評価の結果や個人情報の目的外利用を禁止するなど、法律上で配慮を行っています。

 さらに、二十一条一項には、この法律の適用に当たっては、これを拡張して解釈して、国民の基本的人権を不当に侵害することはあってはならない、こういった規定も置いています。

 これらが運用においても政府全体できちんと担保されるよう、しっかりと対応してまいりたいと考えています。

○塩川委員 基本的な人権を侵害することはあってはならない、そういうことを規定していると言いますけれども、この仕組みの中でも、例えば警察に照会したような個人情報が消去されるんですかということについて、政府としては明言をしていないわけですよ。こういった個人情報に対しての問題、重大な人権侵害の懸念というのは拭えないということであります。

 国民に最高五年間の拘禁刑という厳罰を科し、未遂や過失、共謀、教唆、扇動、さらには取材などで秘密を取得する行為まで処罰の対象となります。

 経済安保の名の下で政府がでっち上げた冤罪事件が大川原化工機事件であります。検察が公訴を取り消したこの事件を政府はそもそも反省しているんですか。

○岸田内閣総理大臣 御指摘の点については、裁判においてまだ係争中であると承知をしております。政府の立場から、今の段階でこの事案について評価を申し上げることは控えなければなりません。

○塩川委員 裁判で現役捜査員が捏造と証言した事件ですよ。こういった問題が、経済分野全般への秘密指定の拡大によって更に同じような事件を引き起こすことになるのではないのか、こういう懸念を拭えると言えるんでしょうか。

○高市国務大臣 今回、何が対象であるかということを明確にした上で事業者に共有して、共有を受けた事業者の方々にも公務員と同様に守秘義務を負っていただく、それが今回提案している法案でございます。外為法の話とはまた別でございます。

○塩川委員 経済安保の名の下にこういった問題が生じてくるわけですから、今回の法案はそうならないということについて、しっかりとした答えというのは受け取ることができませんでした。

 基本的人権、国民主権、平和主義という日本国憲法の基本原理を根底から覆す秘密保護法を拡大するものであり、断固反対をし、廃案にすることを求めます。

 そもそも、裏金問題について、自民党ぐるみの組織的犯罪行為であるにもかかわらず、真相解明を棚上げしたまま、森元首相へ電話した中身も答えない、これでは国民に対して説明責任を果たしたと言えないのは明らかではありませんか。

○岸田内閣総理大臣 自民党としては、今日まで、今回の事案について、検察における捜査が行われ、刑事責任が明らかにされた後も、国会あるいは党において、政倫審での弁明、また党の聞き取り調査等も行われた、その中で、できる限りの事実を把握した上で、政治責任について判断をいたしました。

 しかし、信頼回復のためにはまだ道半ばであり、政治資金規正法を始めとする法改正、国会においてもしっかりとこの国会で実現することなど、引き続き政治改革について努力を続けていきたいと思います。

 自民党の信頼ということについては、強い危機感を持って、引き続き最善の努力を続けてまいります。

○塩川委員 岸田派会長、自民党総裁の処分も行わない、こんな政党、政治家に日本の政治は任せられないと申し上げて、質問を終わります。

【「しんぶん赤旗」掲載】経済秘密保護法案/立急ぐ政府・与党/塩川衆院議員に聞く

「しんぶん赤旗」4月4日・3面より

米・財界が望む武器商人国家に

 「秘密の範囲」を経済分野にまで拡大する経済秘密保護法案(重要経済安保情報法案)。政府が秘密を指定し、国民への身辺調査=「セキュリティー・クリアランス(適性評価)」も行うという重大な法案ですが、政府・与党は来週にも衆院での採決を狙っています。日米の軍事一体化を背景にした同法案の危険性について、日本共産党の塩川鉄也衆院議員(党国会議員団内閣部会長)に聞きました。

秘密指定/際限なく拡大
 ―経済秘密保護法案とはどんな法案なのでしょうか。

 同法案は、何が「秘密」なのか、国民には一切知らせないまま、政府の一存で「秘密」指定する秘密保護法と同じ法体系です。重大なのは秘密の範囲を経済分野にも拡大することです。その範囲は経済安保推進法の基幹インフラ(電気、ガス、水道、運輸、通信など14分野)や重要物資(半導体など)より広く、秘密保護法制に新たに組み込まれる食料なども含みます。

 意図していなくても秘密に触れたり、情報漏えいした場合、5年以下の拘禁刑、または500万円の厳罰が科されます。漏えい未遂、過失、共謀、教唆、扇動、取材などで秘密を取得する行為も処罰対象です。

 秘密指定された情報は、国民の代表である国会議員にすら明らかにされません。報道や国会による行政監視は一層困難となり、国民の知る権利への侵害がより深刻化していくことは明らかです。

 秘密を扱う人は民間労働者、技術者、研究者などへと、秘密保護体制が際限なく拡大できることも重大です。

強制的調査/生涯監視も
 ―「セキュリティー・クリアランス(適性評価)制度」の問題点とは?

 今回とくに重大な論点となっているのが、「セキュリティー・クリアランス制度」の導入です。「秘密」を扱う人に対する身辺調査として、政治的思想、精神疾患などの病歴、借金などの信用情報といった機微な個人情報を根こそぎ調べ上げるものです。家族や同居人の氏名、国籍、住所なども家族本人の同意なく調査されます。秘密保護法に基づく「適性評価」として、公務員を中心に約13万人がすでに対象となっています。本人に回答の提出を求める質問票は30ページに及び、海外渡航歴やそううつ病の治療歴、家賃の滞納状況まで書かせます。上司による回答も求めており、変更事項がある際には「速やかな」報告が必要です。継続的な監視を行うということです。これが民間労働者にまで大きく拡大することになります。

 調査は本人同意を前提としていますが、拒否すれば職場などで不利益を被る恐れがあり、事実上の強制です。しかも、本人や上司などから提出された調査票に疑問が生じれば、再調査や警察、公安調査庁を含む公的機関や医療機関などへの照会なども行うとしています。何重にもチェックする仕組みがつくられます。

 政府は収集した情報は10年の保存期間後に廃棄するとしていますが、照会情報を削除するための規定は設けていません。政府が本当に情報を廃棄したのか、確かめるすべもなく、保管し続けることもできます。一度でも秘密に触れた人は、秘密を漏らしていないか生涯監視が続く恐れがあります。思想、良心の自由、プライバシー権を踏みにじる憲法違反そのものです。

武器輸出・共同開発狙う
 ―次期戦闘機など国際共同開発をめぐる武器輸出との関係は?

 岸田政権は英国、イタリアと次期戦闘機の国際共同開発を進めています。先月26日には共同開発した次期戦闘機の第三国輸出を解禁するため、「防衛装備移転三原則」の運用指針を改定しました。

 岸田首相は「セキュリティー・クリアランスは、同盟国・同志国との円滑な協力のために重要」だと述べています。日米同盟のもと、2014年に集団的自衛権の行使を可能とする流れの中で、日米の軍事一体化が進められ、米国要求に応える形で秘密保護体制を構築してきました。今回は、英国等も含めた同盟国・同志国との連携強化を図ることが最大の狙いではないかとも見ることができます。

 駐日英大使のジュリア・ロングボトム氏は、毎日新聞(2月14日付)への寄稿で、次期戦闘機の共同開発を進める「グローバル戦闘航空プログラム(GCAP)」に関連して、「セキュリティー・クリアランス制度」は「機密技術の共同開発を促進するために欠かせない」と語っています。こうした発言を背景に考えると、政府は武器輸出の推進や連携強化を念頭に、英国からの要求で、政府は同制度の導入を急いでいるのではないかと思います。

 日本国内の財界からも「相手国の国防省関係の業務獲得・円滑化のためにはクリアランスが必要」との声があがっています。英伊との次期戦闘機や、米国との極超音速兵器を迎撃する滑空段階迎撃用誘導弾(GPI)の共同開発に加えて、極超音速兵器やAIの共同開発を柱とする米英豪の安全保障の枠組み「AUKUS(オーカス)」との協力が進められることも報じられています。

 米国など同盟国・同志国と財界の要求に応えて、殺傷性のある兵器の共同開発・輸出を進め、日本を「死の商人国家」にしようという法案の正体を追及していくことが、今国会の大きな焦点の一つです。基本的人権や、国民主権、平和主義という日本国憲法の基本原理を根底から覆す危険な法案を成立させてはなりません。国民世論を結集し、廃案へ追い込むことが絶対に必要です。

【内閣委員会】秘密保護法拡大法案/身辺調査=適性評価/個人情報根こそぎ調べる

 秘密保護法拡大法案(重要経済安保情報法案)で規定する「セキュリティ・クリアランス(適性評価)」は、機微な個人情報を根こそぎ調べ上げるものだと批判しました。適性評価は、政府が秘密を扱う資格者を認定する制度。

 私は、法案の適性評価は秘密保護法の運用基準を参考にして行われることを確認。秘密保護法の適性評価では、対象者が提出する質問票は30ページにも及びます。

 私は調査内容について質問。内閣官房は、海外渡航歴や躁うつ病などの精神疾患の治療歴、借金や家賃の滞納・クレジットカードが停止されたことはあるかなどの経済状況などが対象となることを認めました。

 私は、警察を含む「公務所」、医療機関などの「公私の団体」に照会して必要な事項の報告を求めることも出来ることを指摘し、警察や公安調査庁、医療機関などに対し照会を行うことは対象者に通知されるのかと質問。

 内閣官房は「本人への通知がなければ本人は知らない」と答え、通知が義務でないことを認めました。

 私は、秘密保護法の運用基準では、適性評価の調査後も、対象者が秘密を漏えいする疑いがある時には、事業者に速やかに政府に報告させる仕組みになっていると指摘。「上司から継続的に監視されることになる」「二重三重に調査がかけられる仕組みだ」と批判しました。

 内閣官房は「報告を求めるのは人事管理の範囲内のものだ」と釈明しました。

 私は「収集された大量の個人情報について削除のルールはあるのか。個人情報が政府に溜まり続けるのではないか」と追及。

 高市大臣は「適性評価の実施後、10年間は保存しておくことが必要だ」と答弁。

 私は照会を受けた警察側で保存する場合はどうかと迫ると、内閣官房は「公文書管理法などに基づき適切に廃棄される」と答えました。

 私は「大川原化工機事件に反省すら示さない政府に、不信感が募るのは当然だ」と強調しました。

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「議事録」

第213回国会 令和6年4月3日(水曜日) 内閣委員会 第7号

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 今日は、最初に適性評価の調査について質問をいたします。

 高市大臣にお尋ねしますが、今回の法案では秘密保護法と同様に適性評価を行うことになりますが、今回の法案における適性評価に当たっては、秘密保護法で作られている運用基準、これに倣って作るものなのかどうか、その点についてお答えください。

○高市国務大臣 本法案に基づく適性評価につきましては、第十二条から第十六条において、その実施に関する手続を定めております。十八条において、その実施について統一的な運用を図るための運用基準を有識者の意見を聞いて作成し、閣議決定することとしております。

 委員お尋ねの運用基準を作成するに当たってでございますが、先行制度である特定秘密保護法の運用基準を参照しながら、この法案が重要経済安保情報を我が国の安全保障の確保に資する活動を行う事業者に提供し共有する制度であることに鑑み、有識者会議最終取りまとめでも指摘されておりますとおり、民間事業者に分かりやすいものとなるように検討してまいりたいと思っております。

○塩川委員 特定秘密の運用基準を参照しながらという話でございます。

 そこで、現行の特定秘密保護法での運用基準に即して、それを踏まえて今回の法案ではどういうふうに考えるかということでお尋ねしたいと思うんです。

 運用基準に基づく適性評価の調査方法について、特定秘密において本人が提出をするという質問票は三十ページにも及ぶわけですけれども、こういった質問票については大体同様のものをこの法案でも求める考えということでよろしいでしょうか。

○飯田政府参考人 お答えをいたします。

 今御質問がありました質問票と申しますのは、適性評価のための調査において、重要経済基盤毀損活動を始めとする七項目の調査事項があるわけですけれども、それらについて、その調査事項を確認するために更に少し細目を設けまして質問を構成しているところでございまして、この質問票につきましても、特定秘密保護法と同様に、運用基準の中でどのようなものにするのかについて、有識者の意見をお聞きしながら、明確なものを今後策定していきたいというふうに考えております。

○塩川委員 この質問票においては、調査対象者の方への質問として、海外渡航歴についてはどのようなことを記入するようになっているんでしょうか。

○飯田政府参考人 お答えいたします。

 特定秘密保護法の例を申しますと、質問票には、職務上の出張を除き、過去十年以内に海外に居住又は渡航したことがある場合には、その国や都市の名称、期間、目的を記載することを求めているものと承知をしております。

 本法案におきましても、重要経済基盤毀損活動との関係に関する事項として、特定秘密保護法の例も参照しながら、質問票の中で確認する事項について運用基準の中で明確にすることを想定しております。

○塩川委員 過去十年の海外渡航歴を記載するというのを求めているということでよろしいですか。

○飯田政府参考人 今お答えしたとおり、過去十年ということでございます。

○塩川委員 精神疾患についてはどのようなことを記入するんでしょうか。

○飯田政府参考人 精神疾患につきましても、先ほど申し上げた調査項目七つの項目の一つでございまして、それらについて、具体的な病名、ちょっと今手元にございませんけれども、具体的な病名も例示をしながら、場合によっては医療機関に確認をしていただいて記載を求めるということになっております。

○塩川委員 質問票を見ますと、過去十年以内に、統合失調症、躁うつ病、薬物依存症、アルコール依存症その他の精神疾患に関し、治療又はカウンセリングを受けたことがありますかと。こういう質問項目ということでよろしいでしょうか。

○飯田政府参考人 今手元にございますので申し上げますと、精神疾患に関し、治療又はカウンセリングを受けたことがあるか記載しますが、治療又はカウンセリングを受けたことがあるとの事実だけをもって、特定秘密を漏らすおそれがないと認められないと直ちに判断されることはありません、必要な場合には、医療機関に照会した上で、具体的な症状や治療の経過、再発の可能性等を踏まえ、特定秘密を漏らすおそれがないかどうかを判断いたしますといったような記述もございます。

○塩川委員 適性評価の実施について対象者に告知を行う告知書にも、必要な場合には、医療機関等に照会した上で、具体的な症状や治療の経過、再発の可能性等を踏まえ、特定秘密を漏らすおそれがないかどうか判断されますとありますが、これはそのとおりでよろしいですか。

○飯田政府参考人 お答えいたします。

 今委員から御指摘のございました告知書と申しますのは、適性評価を実施するに当たって、まず、今御指摘のあったような事項も含めて、適性評価がどのように行われるかということを評価の対象者の方に告知をして、その上で、その内容について十分御理解をいただいた上で適性評価の実施についての同意書などをいただきます。その上で、同意いただいた方につきましては、先ほど質問がございました質問票への記入をお願いをする、そういう流れになっております。

○塩川委員 その告知書には先ほど申し上げたことが書かれているわけであります。

 質問票においては、信用状態その他の経済的な状況に関して、どのような質問を行っているでしょうか。

○飯田政府参考人 質問票におきまして、信用状態その他の経済状況としては複数の項目がございます。

 まず第一に、借入れの状況ということでございまして、住宅、車両又は耐久消費財の購入を目的としたもの、教育のためのもの、クレジットカードを使用した商品等の購入に伴うもののほか、それ以外の項目としては、過去十年以内に国税等を滞納している又は滞納したことがありますかといったような事項でありましたり、あるいは、過去十年以内に自己破産をしたことがありますか、あるいは、過去十年以内に支払いの不備等の問題によってクレジットカードの使用を停止されたことがありますか、あるいは、過去十年以内に民事執行手続を受けたことがありますか、あるいは、過去十年以内に賃金、給付金、資産を差し押さえられたことがありますか、こういったような事項が明記をされているところでございます。

○塩川委員 かなり詳細に質問項目が及んでいるわけであります。

 若干省略されましたが、国税だけではなくて社会保険料や家賃の滞納状況も質問項目にあるということですね。

○飯田政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘ございましたとおり、過去十年以内に国税や保険料、家賃等の支払いが滞納しているかどうかという記載事項もございます。

○塩川委員 これは、対象者に対する質問票と同時に、上司等による、その周辺の方々に対しての調査も行うということで、上司等による調査票を出してもらうとなっているわけですけれども、この上司等による調査票にはどのような調査項目があるんでしょうか。

○飯田政府参考人 お答えいたします。

 特定秘密保護法における、上司等に対して提出を求める調査票ということでございますけれども、先ほど申し上げました七つの調査事項のそれぞれについて、例えば、特定有害活動及びテロリズムとの関係につきましては、評価対象者が特定有害活動やテロリズムを行ったこと、又はこうした活動を支援したことが認められますかという事項が記載がございまして、これに対して該当すると認められる場合はチェックをつけていただく、そしてその内容を御存じであれば記載していただくという形の調査票になっております。

○塩川委員 対象者の周囲の方、上司などがその素行についてチェックをするということが調査票の中身となっているということであります。

 こういった調査の内容に調査機関の側で疑問が生じた場合には、何を行うことになっているんでしょうか。

○飯田政府参考人 お答えをいたします。

 特定秘密保護法では、質問票や調査票に記載された事項について疑問点が生じたときは、必要に応じまして、これは特定秘密保護法の規定に基づく権限ということでございますけれども、適性評価を実施している行政機関が評価対象者の上司等に対して質問を行ったり、現在又は過去の勤務先に人事に係る情報の報告を求めたり、あるいは評価対象者本人の方との面接を行ったり、公務所又は公私の団体に対して照会を行うことを必要に応じ行うとされております。

○塩川委員 疑問が生じた場合に調査機関が必要に応じて行うこととして、本人に対する面接、あるいはその上司や同僚その他知人への質問を行う、そういうのとともに、現在の所属企業だけではなくて過去に働いていた会社も含めて人事管理情報の報告を求めるということも今答弁であったところです。あわせて、公務所、公私の団体への照会ということです。

 調査内容に疑問が生じた場合に、上司等への質問、また、現在及び過去の所属企業に対して人事管理情報の報告、本人に対する面接、それでも疑問が解消されない場合に公務所、公私の団体への照会ということですけれども、この公務所、公私の団体への照会には警察や医療機関、金融機関への照会も入るんでしょうか。

○飯田政府参考人 お答えいたします。

 特定秘密保護法では、公務所や公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めたりするわけでございますが、これについては、先ほど申し上げました告知書で本人にあらかじめ知らせて、書面により同意を得ることとしております。当該告知書には、照会先として医療機関と信用情報機関を例示していると承知をしております。

 また、今御質問に警察とあったかと思いますが、警察に対する照会も公務所ということで実施することはあり得るというふうに承知をしておりますが、実際に照会をしているかどうか、何を照会しているかは調査に支障を及ぼすおそれがあるというふうに聞いておりまして、私としてのお答えは差し控えるべきものと承知をしております。

○塩川委員 こういった公務所、公私の団体への照会を行う際に、そのことは本人に通知はされるんでしょうか。

○飯田政府参考人 私は特定秘密保護法の担当ではございませんので、詳細については承知をしておりませんけれども、告知書において公務所照会を行うということはお知らせした上で、本人の同意をいただいているというふうに認識しております。

 個々のケース、あるいはそれぞれのときに実際に御本人に通知をしているかどうかということについては、申し訳ございません、承知をしておりません。

○塩川委員 そこは事前にお願いしていて、秘密保護法の担当が答えるのか、今回の法案の担当の方が答えるのか、それはそちらの判断でということで答弁者で指定されたわけですから。

 この点、ちょっと、本人に知らせるのかどうかというのは、事前にもお伝えしている項目ですけれども、はっきり答えてもらえますか。

○飯田政府参考人 先ほど申し上げましたとおり、照会の実施に当たってどこの公務所に照会をするかということについては、一つ一つお伝えすることについて、これはケース・バイ・ケースで判断をしているものというふうに認識をしております。

 それから、先ほど、実際に照会をするかどうか、何を照会しているかは、調査に支障を及ぼすおそれがあるケースもあるというふうに認識をしておりますので、それら全てについて御本人に通知を必ずしもするものではないというふうに認識をしております。

○塩川委員 今、曖昧ですけれども、ケース・バイ・ケースといっても、本当に伝えることになっているのかどうか、そこはちょっと改めて返事が欲しいと思います。

 それから、警察などについては何を照会しているのかも含めて明らかにできない、お答えを差し控えたいということですから、そうしますと、警察や公安調査庁に対して照会を行ったような際に、そういったことについては、本人はそういう問合せがあったということは何も分からないということなんでしょうか。

○飯田政府参考人 公務所を、行った場合について、本人に通知をしなければ本人は御存じないものというふうに思います。

○塩川委員 もう一回ちょっと答えてほしいんですが、本人に通知をしなくてもよいと。

○飯田政府参考人 公務所への照会についてはケース・バイ・ケースであろうというふうに申し上げました。その上で、本人にその旨を通知をしなかったということであれば、本人としては御存じないものというふうに認識しております。

○塩川委員 自分が知らないところでいろいろ照会、調査も行われるということになるわけであります。

 そうしますと、警察や公安調査庁に対して照会を行ったような場合に、警察や公安調査庁側に照会の記録というのは残ったままなのか、削除をされるのか、この点はどうでしょうか。

○飯田政府参考人 お答えを申し上げます。

 特定秘密保護法におきまして、警察や、今公安調査庁とおっしゃいましたでしょうか、に対する照会が実施されることはあり得るというふうに承知をしておりますが、実際に照会をしているかどうか、何を照会しているかにつきましては、お答えを差し控えたいと思います。

 その上で、一般論として申し上げますと、行政機関でございますので、照会を受けた行政機関側に照会が記録されるということはあろうかというふうに思っております。

○塩川委員 そういう点では、調査の中身が記録をされるということであります。

 それから、秘密保護法においては、適性評価の当事者には誓約書を書いてもらうことになります。その誓約書の中には、事情の変更があった場合に、どのような事情変更があったかを申告することが書かれておりますが、今回の法案でも同様の措置を取るということでよろしいでしょうか。

○飯田政府参考人 特定秘密保護法におきましては、誓約書を適性評価の対象者の方に書いていただいているわけでございますが、その誓約書の中に、特定秘密保護法の運用基準を引用いたしまして、運用基準の中に掲げる事情について変更があった場合には申告をするといったようなことが書かれているというふうに認識をしております。

 今回の法案におきましても、こうした誓約書をいただくことも想定されるわけでございますけれども、今後、有識者の意見をお聞きしながら、その内容、手続について明確にし、それを運用基準として作成してまいりたいというふうに考えております。

○塩川委員 三十ページに及ぶ質問票で、書いた後、事情の変更がありました、そういうことについては報告してくださいと誓約書にあります。そうした場合に、事情の変更があった場合には調査をやり直すということになるんでしょうか。

○飯田政府参考人 お答えをいたします。

 適性評価を受けられて、特定秘密を漏らすおそれがないと認められた方について、事情変更があったために自己申告があった場合の対応でございますけれども、その対応は、基本的には、まさに事情変更の内容に応じて行政機関において判断されるものというふうに認識しております。

○塩川委員 いわば政府による継続的な監視という仕組みになっております。

 それから、対象者、従業者の方が所属する適合事業者において、適合事業者が対象者に対する疑いを生じさせる事情があると認めたときは速やかに政府に報告するということになっているのではありませんか。

○飯田政府参考人 特定秘密保護法の運用基準におきましては、適合事業者は、従業者について、特定秘密を漏えいするおそれがないと認めることについて疑いを生じさせる事情があると認めた場合には、速やかにこれを契約先の行政機関における当該特定秘密に係る特定秘密管理者に報告することと定めているところでございます。

○塩川委員 そうなりますと、その対象者、従業者の方がホルダーとなったような場合であれば、上司から継続的にチェックをされる、上司から継続的にいわば監視をされる、こういうことになるのではありませんか。

○飯田政府参考人 お答えをいたします。

 適合事業者に事情変更があった場合に報告するということは、これは通常の事業の運営あるいは人事の管理の中で知り得た場合にお願いをしているということでございまして、適性評価を受けられて、特定秘密を漏えいするおそれがないと認められて、特定秘密の取扱いの業務に従事している方を常時監視するといったようなことを上司の方々あるいは適合事業者に要請するものでも、あるいは義務づけるものでもございません。

○塩川委員 疑いを生じさせる事情があると認めたときには、人事で知り得た場合等といいますけれども、そういった疑いを生じさせる事情があるということについては、これは、でも、継続的にチェックをするということにはなるんですよね。

○飯田政府参考人 お答えをいたします。

 どのような事情変更について報告を求めているかということの例示でございますが、例えば、罪を犯して検挙されたこと、懲戒処分の対象となる行為をしたこと、情報の取扱いに関する規則に違反したこと、違法な薬物の所持、使用など薬物の違法又は不適切な取扱いを行ったこと、こういったことの事情変更でございますので、常時監視を要請するようなものではございません。

○塩川委員 こういった調査票の項目に沿って、疑いが生じる事情があった場合についてはそれをチェックするということですから、それは五年、十年というスパンで継続的にチェックを行うという仕組みにはなるわけであります。いわば二重三重に調査がかけられる仕組みになっております。

 有識者会議最終取りまとめには、信頼性が確認された後又は信頼性の確認手続中に本人側の事情変更があった場合に、信頼性の確認、評価を行う各行政機関や調査機関がこれをタイムリーに把握できるよう、本人からの自己申告の仕組みを確保するとともに、信頼性が確認された後に各行政機関と本人とのコミュニケーション等により継続的に状況を把握する仕組みについても検討していくべきとありますけれども、これはどのような仕組みをつくるということなんでしょうか。

○飯田政府参考人 お答えをいたします。

 適性評価のための調査というのは、まさに適性評価調査の時点でのみ行われるものである一方で、これが特定秘密の場合であれば五年、あるいは今回の重要経済安保情報の場合であれば十年という期間を設定していることでございまして、有識者会議の取りまとめは、その間に事情変更があって、今回のケースでいえば重要経済安保情報、あるいは委員の方々には特定秘密についても念頭にあったかと思いますけれども、そこで、情報漏えいのおそれがないとは認められない状況になる状況というのは情報保全制度の趣旨に照らして適当ではございませんので、今委員から御指摘のあったような指摘をいただいたところです。

 具体的な仕組みについてでございますけれども、適性評価の実施後に先ほど申し上げたような事情変更があった場合には、評価を行った行政機関の長に、もちろん事前の同意を求めるわけでございますけれども、自己申告することを誓約書で求めること、あるいは、先ほどの上司の方の対応として、行政機関の職員や適合事業者の従業員について一定の事情変更があったことを知った場合には、評価を行った行政機関の長に対する報告を求めることなどを想定しております。

 いずれにいたしましても、今後、有識者の意見を聞いて検討を行います運用基準において、この重要経済安保情報の適性評価の実施を含めた運用について検討する中で、しっかりと内容について検討してまいりたいと考えております。

○塩川委員 十年間継続的に状況を把握する仕組みということですから、十年間継続的に調査、監視をするという仕組みをつくるという話であります。

 大臣にお尋ねします。

 適性評価は本人の同意が前提ということですけれども、働く労働者の側は調査を拒否すれば不利益を受けるおそれがあり、事実上の強制となるのではないのか、このような懸念があります。不利益取扱いに対する規制策はあるんでしょうか。また、個人情報の目的外利用を禁止する実効性ある対策はあるのか、罰則を設けるなど、どういう対応を考えているのか。お答えください。

○高市国務大臣 企業において、もしも上司の方が適性評価を受けることを求めた場合におきましても、それに同意しないことが許されるような状況が実質的に確保されるということが重要だと考えております。

 そのためには、適性評価を受けることに同意しなかった事実の目的外使用を禁止する十六条二項の実効性を担保するということが重要です。禁止の趣旨を事業者及び本人の双方に十分説明して理解を得るということとともに、行政機関が十二条三項による同意の確認をする際に、同意は任意であるということを説明して、さらに、強要などを受けていないかを確認するということを考えております。

 さらに、同意をしなかった方が、その後、これを理由として不利益な措置を受けることがないよう、今後策定する運用基準などにおきまして具体的な禁止事項を明示すること、禁止の遵守を契約などでも求めること、本人が不利益取扱いを受けたと考えた場合に相談できる窓口を設けることなどの措置を検討していく予定でございます。

 これらを通じて、事実上の強制ということにならないようにしてまいります。

○塩川委員 不利益取扱いとならないように契約等で担保するという話ですけれども、この件についての罰則というのはないんですよね。

○高市国務大臣 不利益取扱いの禁止の規定の違反に罰則というものは法定しておりませんけれども、この実効性を担保するために、先ほど申し上げましたように、運用基準で不利益な取扱いを明示すること、禁止規定の遵守を行政機関と適合事業者との契約などでも求めるといった措置を取ることを考えております。

 以上でございます。

○塩川委員 実効性ある対策を取れる保証を認めることはできません。

 冒頭の質疑の中で旅行先などについても調査対象となっておりますけれども、このような旅行先や交友関係なども調査対象となっているということで、そういった調査において、やはり私生活に制約を受けることになるのではないのかという懸念があるんですが、その点についてはどうですか。

○飯田政府参考人 お答えいたします。

 御質問は適性評価を受けた後の対応だというふうに認識をしておりますけれども、適性評価を受けて重要経済安保情報あるいは特定秘密、そういったものを取り扱うこととなった方に対して海外渡航等に関しての注意喚起をするということはあり得るわけですけれども、この法案の制度の下で、今御指摘のあった、例えば旅行先を制限するといったような私生活上の自由を制限することはございません。

○塩川委員 こういった個人情報が収集、集積していくわけですけれども、大臣にお尋ねします。こういった収集された大量の機微な個人情報については、削除のルールというのはあるんでしょうか。個人情報が政府にたまり続けていくことになりはしないのか懸念があるんですが、その点はいかがですか。

○高市国務大臣 適性評価のために収集した個人情報につきましては、後に事情変更の自己申告などがあった際に再評価を実施すべきかどうか判断する際に用いたり、他の行政機関による適性評価に供される可能性がありますので、適性評価の実施後十年間は保存しておくことが必要だと考えております。これは、調査を受けられる側の負担軽減にもつながることであると思っております。

 ただ、機微な個人情報でもありますので、いたずらに長期にわたって保管することは適当ではございません。先ほど申し上げた一般的な保存期間十年のほかに、適性評価への不同意に関する情報の保存期間など、十年よりも短い保存期間が設定できるケースについても、運用基準などで適切なルールを定めることを予定いたしております。

 ですから、収集した機微な個人情報を制度の趣旨から見て不必要に長い期間保有するようなことは考えておらず、御指摘のような懸念は生じないと思っております。

○塩川委員 保存期間十年ということですけれども。

 収集された個人情報が例えば公文書管理法上の公文書として取り扱われる、そういった扱いでの管理基準、廃棄のルールもあると思うんですけれども、ただ、個別の情報が例えば収集、集約されることによって、文書という形ではなくてエクセルのデータとかに転換をしていくといった先、例えば警察などにそういう情報が収集されるような場合においても、それは削除されるんでしょうか。

○飯田政府参考人 まず、適性評価を行いました行政機関における文書の保存につきましては、先ほど大臣から答弁申し上げたとおり、基本は十年ということでございますけれども、個別、個々のケースについて運用基準の中で明確にしていくことを想定しております。

 もう一つは、先ほどの御質問と関連して、公務所照会などを行った場合の文書なり情報の取扱いというふうに受け止めておりますけれども、そういった情報につきましても、もし情報が記録されているということでございましたら、これは当然のことながら、公文書管理法や個人情報保護法などに基づいて適切に廃棄されるものというふうに考えております。

○塩川委員 本人も分からないところで情報が渡される、照会もされる、それが実際どうなっているかもよく分からないというときに、一般論的に公文書管理法や情報公開法と言われても納得いくものではありません。調査項目が多岐にわたるという点では、プライバシーの侵害、人権の重大な侵害ということが起こり得るということを強く危惧するものであります。

 こういった経済安保に関わっては、大川原化工機の事件がありました。経済安保の名の下に、長期勾留された相談役が亡くなるなど、人権じゅうりんの違法捜査が行われたわけであります。

 こういった、検察が公訴取消しをした冤罪事件を政府は反省しているんでしょうか。

○飯田政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘の事案については承知をしておりますけれども、刑事事件の捜査あるいは公判の在り方については所管外でございますし、あるいは現在も訴訟が係属中ということでございますので、お答えは控えさせていただきます。

○塩川委員 検察が公訴取消しをした事件なんですよ。立件しても維持できないということで自ら取り下げるといった案件について、そのことについて政府としての反省の言葉がないんですよ。これはやはり、国民の皆さん、特に当事者の大川原化工機の関係者の皆さんにとってはとても納得のいくものではない、こういう不信感が大きくなるのは当然じゃないでしょうか。

 大臣、その点についてはどのように受け止めておられますか。

○高市国務大臣 当該事件において、お亡くなりになった方がいらっしゃいます。適切な治療が受けられなかったという、御遺族の悔しい、そして悲しいお声も伺っております。

 しかしながら、捜査の在り方そしてまた司法案件そのものは所管ではございませんので、また係争中のものでございますので、私の立場からこれについて申し上げることは控えさせていただきます。

○塩川委員 政府としての反省もないまま、経済分野全般への秘密指定の体制拡大が更に同じような事件を引き起こすんじゃないのか、こういう強い危惧を覚えるんですが、その点についてはいかがですか。

○高市国務大臣 今回の法案におきましては、何が重要経済安保情報であるのか、その要件をしっかりと法律案に書き込んでおります。これは、諸外国の例と比べましても、今回の法律案に書き込んである様々な要件というのは詳しいものでございます。

 それから、もう一つは、ちゃんとそれが重要経済安保情報であるということが表示される、これは絶対の条件でございます。

 そして、しかも、自らその情報を取り扱うということについて希望された適合事業者の方と契約を結んだ上で、その適合事業者の従業者の方で、御本人の同意を得た上で調査を行って、この情報を取り扱っていただくということでございます。

 だから、何が重要経済安保情報なのか全く分からないとか、判断がつかないとか、御本人がそれを理解しないまま取り扱うというようなことが起こるようなものではございません。

 また、外為法の方は所管外でございますけれども、明確な法律案だと思っております。

○塩川委員 重要インフラ、サプライチェーン、大きく広がるわけですから、そういう懸念は拭えないということを申し上げて、質問を終わります。

【内閣・経済産業委員会連合審査】秘密保護法拡大法案(重要経済安保情報法案)/狙いは兵器共同開発

 秘密保護法拡大法案(重要経済安保情報法案)の背景に、次期戦闘機の共同開発国である英国からの要求があることを明らかにし、「同盟国・同志国と連携して兵器開発を推進するためのものだ」と批判しました。

 同法案は、秘密の範囲を秘密保護法の「防衛・外交・スパイ活動・テロ活動」から経済分野に拡大するもの。秘密を扱う資格者を政府が認定する「セキュリティークリアランス(SC、適正評価)」の対象も民間労働者などに大きく広がります。

 私は、英国、イタリアと共同開発する次期戦闘機(GCAP、グローバル戦闘航空プログラム)について、ロングボトム駐日英国大使がインタビューなどで「GCAPの成功には当事者間で防衛技術の円滑な移転ができる仕組みが欠かせない」「セキュリティークリアランスを日本の産業界に導入することを支援する」と述べるなど、防衛技術の情報保全の強化やセキュリティークリアランス制度の導入を求める発言を繰り返し行ってきたと指摘。「今回の法案は、次期戦闘機の共同開発につながる英国側の要求に応えるものだ」と迫りました。

 内閣官房は「大使の発言の詳細は承知していない」としつつ、「(本案を含む)セキュリティークリアランス制度全般を指して話したものではないか」と否定しませんでした。

 私は、今国会に提出されているGCAPを推進する国際共同機関(GIGO)設立条約にも機密情報の保護規定があると指摘。「今回の法案は、多国間連携で兵器開発を推進するものだ。殺傷兵器を他国に売る『死の商人国家』を目指すことは断じて認められない」と強調しました。

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「議事録」

第213回国会 令和6年4月2日(火曜日) 内閣委員会経済産業委員会連合審査会 第1号

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 最初に、高市大臣にお尋ねをいたします。

 今回の法案の意義として、同盟国、同志国との国際共同開発の拡大を掲げております。同盟国のアメリカとともに同志国のNATO諸国やオーストラリアなどとの国際共同開発を大きく拡大するのが今回の法案の目的の一つではないか。この点について、お考えをお聞かせください。

    〔岡本委員長退席、星野委員長着席〕

○高市国務大臣 本法案は、安全保障の裾野が経済、技術分野にも拡大する中、経済安全保障分野においても、厳しい安全保障環境を踏まえた情報漏えいのリスクに万全を期すためにも、我が国の経済安全保障上重要な情報を適確に保護、活用するための体制を確立するものでございます。

 国際共同開発に関しまして、本法案では、それが重要経済基盤の脆弱性の解消や重要経済基盤の革新的な技術に関する調査及び研究等に該当する場合には、本法案の目的にある事業者による我が国の安全保障の確保に資する活動と位置づけられることとなります。ですから、本法案や関係する国際的な枠組みと相まって、円滑な推進が図られていくと考えております。

 この法案の枠組みの下でどの国とどのような国際共同開発を進めるかという点については現時点で申し上げることは困難でございますけれども、本法案による制度整備によりまして、米国を含む同盟国、同志国との重要情報のやり取りが円滑に行われるようになり、経済安全保障分野における国際協力というものが一層推進するということを期待いたしております。

○塩川委員 同盟国、同志国との重要情報の円滑な保護、活用ということであります。

 そこで、この法案を準備する有識者会議の議論で、「おそらくアメリカに対してはそれなりの相互のやり取りがあるため、ある種の相場観があると思うが、今後の経済安全保障上の重要機微情報に関しては、アメリカだけではいけないのではないか。例えば、防衛の特定秘密保護法の話になるかとは思うが、GCAPのようなイギリス・イタリアといった国々との関係や、将来的にはAUKUSでのいわゆる新興技術を含めた技術協力だとか、そういったことに広がりが出てくることを考えると、日米間特有の理解が他国に共有されるかどうかということは考えておくべきだと思う。」このような発言がありました。

 ここで言う「日米間特有の理解が他国に共有されるかどうか」という話ですが、日米の間と、日本とイギリス、イタリア、オーストラリアとの間では、秘密保全の体制はどこが異なるということなんでしょうか。

○品川政府参考人 お答えいたします。

 本法案につきましては、一義的には我が国の情報保全制度を整備するものでございます。特定の他国との間でのみ通用する制度として整備するものではございません。

 情報保全制度につきましては、国によって法体系等の違いも含め多様でございまして、制度として完全に同一のもの、そのような同一のものとすることが求められるといった性質のものではございません。

 一般的には、この情報保全制度は、秘密情報の保護措置、信頼性の確認を含む、情報を取り扱う者の制限、漏えい時の罰則などにつきまして国内制度を整備するものでございます。

 その上で、かかる制度の運用面も併せて考慮をしつつ、諸外国それぞれから、自国が提供する、その当該外国の提供する秘密情報につきまして、自国が提供する秘密情報については、我が国、日本において実質的に自国と同等の保護が与えられているというふうに認められるようなもの、運用を含めた我が国の情報保全制度がそのようなものになるということが必要であるというふうに考えております。これは、御指摘のございました米国とはもちろんのこと、イギリス、イタリア、オーストラリアとも同様でございます。

 したがいまして、本法案が成立した暁には、制度を運用するために必要となる関係政令や運用基準、実施体制を速やかに整備をいたしまして、制度の実効的な運用を確保するとともに、我が国の制度について、運用面も含め、諸外国にしっかり説明をしてまいりたいと考えております。

○塩川委員 確認ですけれども、アメリカとの間には特別防衛秘密がありますけれども、それ以外の国との間にはありませんよね。

○品川政府参考人 お答えいたします。

 米国との間で御指摘の特別防衛秘密に関します制度があることは、御指摘のとおりでございます。

○塩川委員 アメリカとの間には、七十年にわたってこういう情報保全の取組をやってきているわけであります。そういった点で他国との差があるというのがこのような議論の背景にあると考えております。

 そこで、二〇二二年の十二月に、日本、イギリス、イタリアの首脳は、次期戦闘機の共同開発に係るグローバル戦闘航空プログラム、GCAPを発表しました。GCAPの実施に当たり、日英伊は、GCAPの管理等を三か国のために行う国際機関を設立することで合意をしております。

 毎日新聞の二月十九日のインタビューによると、ジュリア・ロングボトム駐日イギリス大使は、GCAPの成功には当事者間での防衛技術の円滑な移転と、信頼できる開発相手国や同盟国へ将来的に機体の輸出ができるような仕組みが欠かせないと述べております。次期戦闘機の共同開発に当たって、防衛技術の情報保全の強化と武器輸出、この二つを日本に求めるものとなっております。

 ロングボトム大使は、次期戦闘機の共同開発に当たって、機密技術の共同開発を促進するために欠かせないセキュリティークリアランス制度の導入に向けた議論を歓迎する発言を行っております。イギリス側は、次期戦闘機の共同開発に当たって、日本側にセキュリティークリアランス制度の強化を求めてきたのではありませんか。

○品川政府参考人 お答えいたします。

 我が国は、相手国・機関との間で相互に提供される秘密情報について受領国政府・機関が自らの国内法や関連規則に従って保護すること等を定めます情報保護協定を締結をしております。イギリスとの間でも締結をしているところでございます。

○塩川委員 防衛省でもいいですから、駐日イギリス大使が、このように、日本側にセキュリティークリアランス制度の強化を求める、こういう発言があるというのは当然承知していますよね。

○弓削政府参考人 お答えを申し上げます。

 セキュリティークリアランスに関する御質問でございますが、現在、イギリスとイタリアとの共同開発を進めている次期戦闘機は、第五世代戦闘機を超える最新鋭の戦闘機であることから、三か国による共同開発において取り扱う秘密情報につきましては、我が国では特定秘密に指定し、管理しているところでございます。

 この点、新たなセキュリティークリアランス制度におきましては、その対象となる重要経済安保情報は特定秘密を含まないものと承知しておりまして、次期戦闘機の共同開発におきまして、民間企業の従業者は特定秘密を取り扱うため、新たなセキュリティークリアランスの対象にはならないというふうに認識しているところでございます。

 他方、次期戦闘機の共同開発に必要な特定秘密を民間企業が取り扱うに当たりましては、その従業者に対しまして特定秘密保護法に基づく適性評価を実施しておりまして、適切なクリアランスを付与しているところでございます。

○塩川委員 では、何でイギリス大使が日本にセキュリティークリアランスを求めているんですか。

○品川政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねのイギリス大使の発言が、どの時点で、どの文脈でなされたものかは承知しておりませんが、私どもの今提出しております本法案につきましては、昨年来の有識者会議での御議論を踏まえまして、経済安全保障分野におきますセキュリティークリアランス制度につきまして、我が国の法制度としてどこが必要かということを検討して提出させていただいたものでございます。

○塩川委員 GCAP発表の翌日の二〇二二年十二月十日の読売新聞でもロングボトム大使のインタビューがありまして、機微情報に触れる権限を与えるセキュリティークリアランスを日本の産業界に導入することを支援し、両国の協力関係を進展させていくということも述べております。

 昨年の四月二日の日本記者クラブ講演で、やはりロングボトム大使は、日本の産業界に実行可能なセキュリティークリアランスシステムを導入するための政府有識者会議の設置を歓迎しますと述べております。今の、まさに今回の法案を準備をする政府のコミッション、有識者会議の設置を歓迎すると述べているという点でも、セキュリティークリアランス導入についての発言を繰り返しておられます。

 そういう点でも、今回の法案というのが、まさに次期戦闘機の共同開発につながる、イギリス側のセキュリティークリアランスの要求に応える、そういうものになっているということじゃありませんか。

○飯田政府参考人 お答えいたします。

 ただいま委員から御指摘のございました有識者会議におきましては、いわゆる法形式についての議論をしていたものではございませんで、まさに経済安全保障分野における機微情報について、現行の特定秘密保護制度を含めてどのような形で重要経済安保情報を保護していくのか、あるいはそれを、国際的に通用するものをどうすべきかということについての御議論をいただいたものでございます。

 ロングボトム大使の発言の詳細については承知しておりませんけれども、そういった、我が国のセキュリティークリアランス制度を持つ既存の特定秘密保護制度、あるいは、有識者会議でその後検討されることとなる経済安全保障分野の機微情報に関するセキュリティークリアランス制度全般を指してお話しになっていたものではないかというふうに認識しております。

○塩川委員 民間企業にもセキュリティークリアランスを導入するために、今回、コンフィデンシャル級を導入する、そういうので対応しているのではないのかといったことが当然想定されるわけであります。

 このGCAPを管理する機関を設立するための条約がGIGO設立条約で、今国会に提出をされております。この条約には、秘密情報の保護規定があります。五十二条の(2)で、運営委員会は、情報保全に関する全ての分野において秘密情報を共通の程度で保護することを確保するとあります。

 この秘密情報を共通の程度で保護することを確保するという中身として、イギリス側の秘密情報の共有に必要な秘密保全の仕組みづくりのために今回の法案も含めた措置が求められているということじゃありませんか。

○弓削政府参考人 お答え申し上げます。

 日英伊の次期戦闘機の共同開発に係るGIGOや、これに対応する共同事業体制における秘密情報の保護の体制につきましては、現在、既存の日英、日伊、英伊の二国間の情報保護協定等を参考に、日英伊三か国で検討中でございます。

 その上で申し上げますと、三か国及びGIGOにおきまして、同等の秘密には同等の保護措置を与えられるよう検討を進めているところでございます。

○塩川委員 アメリカとの関係での特別防衛秘密というのはイギリスやイタリアとの関係にはない、そういった点についても、イギリス側からの要望が出てくる背景があるわけであります。

 今回の法案は、同盟国、同志国の多国間連携で兵器開発を推進するためのものと言わざるを得ません。

○星野委員長 申合せの時間が過ぎておりますので、おまとめください。

○塩川委員 殺傷能力のある兵器を他国に売りさばくような、死の商人国家を目指すことは断じて認められないということを申し上げて、質問を終わります。

震災から3カ月/復興どころか復旧にも至らず/能登半島地震災害対策本部会議

 能登半島地震災害対策本部会議。藤野やすふみ現地責任者が報告。

 震災から3カ月でも、復興どころか復旧にも至らず、未だに救助が必要。避難者は避難所、壊れた自宅、親族宅など2万人超。避難所の食事もレトルト食品で3食同じところも。断水も続いている。

 能登に住み続けたいという要望に応えた支援を!