▼2020通常国会の取組み▼【1】新型コロナウイルス感染症対策 (1)最大リスクに備えよ/新型コロナ対策求める (2)新型コロナ特措法改定案/衆院委可決/共産党は反対/私権制限の歯止め曖昧 (3)新型コロナ/緊急事態宣言/専門家判断といいながら政府主導 (4)新型コロナ対策/医療体制の確保、自粛と補償を一体で (5)新型コロナ/自粛と一体の補償を/感染拡大防止に必要 (6)補償なき「緊急事態宣言」では感染拡大を防げない (7)新型コロナ/緊急事態宣言の根拠データ/西村大臣が示す (8)自粛と一体で補償を/緊急事態宣言全国拡大 (9)緊急事態宣言延長/2次補正予算直ちに/財政支援を (10)緊急事態宣言解除/医療体制確保が重要/可視化を要求 (11)保健所弱化浮き彫り/参考人「今後議論を」 (12)必要な病床数ただし、医療機関支援求める (13)緊急事態「近畿」解除/医療機関へ財政措置を (14)緊急事態全国で解除/医療機関減収で経営深刻、補償を (15)病床確保/第2波へ偏在正せ/患者数推計をただす

【1】新型コロナウイルス感染症対策
(1)最大リスクに備えよ/新型コロナ対策求める予算委員会、1月31日
 新型コロナウイルス感染症への対応について質問に立ち、医療機関や保健所の体制の確立・強化、打撃を受ける産業への経済支援などを求めた。

(2)新型コロナ特措法改定案/衆院委可決/共産党は反対/私権制限の歯止め曖昧(内閣委員会、3月11日
 特措法の最大の問題点は、緊急事態宣言の発動で「外出自粛要請」や「学校・社会福祉施設・興行場等に使用等の制限・停止の要請・指示」などができ、私人の権利制限を行えること。特措法には制限がもたらす人権侵害の救済措置も経済的な補償もない。人権の幅広い制限をもたらし、その歯止めが極めて曖昧で問題だ。

(3)新型コロナ/緊急事態宣言/専門家判断といいながら政府主導内閣委員会、3月18日
 特措法は、緊急事態宣言を出す要件について、政府が「国民の生命及び健康に著しく重大な被害を与えるおそれ」があり「全国的かつ急速なまん延により国民生活及び国民経済に甚大な影響を及ぼし、又はそのおそれがある」と判断した場合と定めている。

 私は「おそれがある」とはどのような状況か、と質問。西村康稔担当大臣は「特措法施行令6条で定めており、感染経路が特定できない場合などだ」と答弁。

 私は、現状でも経路が特定できない患者がいる。要件を満たしているということか、と追及。

 西村大臣は「頭を悩ませているところだ。政令を素直に読めばそういう印象を持つが、法律で全国的と生活・経済に甚大な影響を及ぼすことを要件と定めている」と述べ、要件があいまいであることを認め「専門家の意見を聞いて判断する」と繰り返した。

 私は、専門家の意見を聞くお膳立ても政府が行う仕組みだ。判断の前提となるたたき台まで政府が出すとなると、政府の一存で緊急事態宣言が行われる懸念がぬぐえない、と批判した。

(4)新型コロナ対策/医療体制の確保、自粛と補償を一体で本会議、4月2日
 新型コロナウイルス感染症対策を進めるためには、情報を積極的に公開し、政府判断の根拠と展望を示すべきだ。一方的に自粛と協力を求めるだけでは、国民の理解は得られない。問われているのは政府の信頼だ。国民の命と健康を守る医療体制の確保と、自粛要請と補償を一体で行うよう安倍晋三首相に求めた。

(5)新型コロナ/自粛と一体の補償を/感染拡大防止に必要決算行政監視委員会、4月6日
 新型コロナウイルス感染者の急増を受け、政府が検討している緊急事態宣言に関し、「自粛と一体の補償」を明確にすることが感染拡大防止に必要だと求めた。

 補償は感染症拡大防止対策として行う問題だ。密閉・密集・密接の『三つの密』の環境をつくらないためには、事業者へ補償して自粛してもらうことが重要だ。

(6)補償なき「緊急事態宣言」では感染拡大を防げない議院運営委員会、4月7日
 私が、感染防止のための自粛要請によって経済的損失を被る事業者等への補償を行ってこそ、感染拡大防止対策が実効性あるものとなると迫ると、安倍晋三首相は「個別の損失を直接補償することは現実的ではない」と直接補償を拒否した。

 密閉・密集・密接の『三つの密』の場所にしっかりと自粛を要請することで感染拡大防止対策の実効性が上がる。感染拡大防止という公共の利益のために、営業自粛を実施する事業者に対して損失補償をすることは国民の理解を得られる。自粛要請と一体の補償を実施すべきだと求めた。

(7)新型コロナ/緊急事態宣言の根拠データ/西村大臣が示す内閣委員会、4月15日
 西村康稔担当大臣は私の質問に答え、新型コロナウィルスの感染者数の倍増する時間(倍加時間)と感染経路をたどれない「孤発例」の割合について、「緊急事態宣言」発令の7都府県と北海道・愛知・京都の数値を、政府として初めて明らかにした。

 感染拡大防止対策への国民の理解と協力を得るためには科学的根拠と情報開示は不可欠だ。

(8)自粛と一体で補償を/緊急事態宣言全国拡大議院運営委員会、4月16日
 私は、全国に移動の自粛や営業の自粛を要請するのであれば、自粛と一体で補償を行うことが必要だ。補償をすることが感染防止に最も効果的だと求めた。

 西村氏は補償に踏み込んでいない政府の対策を述べるにとどまった。

(9)緊急事態宣言延長/2次補正予算直ちに/財政支援を議院運営委員会、5月4日
 政府が感染症とのたたかいについて「長期戦」(安倍晋三首相、3月28日の記者会見)、「長丁場」(政府専門家会議の提言、1日)との見解を示したが、どのくらいの期間かをただした。

 西村康稔経済再生担当相は、ワクチンの完成と集団免疫を例に挙げ「1年なのか、2年なのか。かなり時間がかかるというのが専門家の共通認識だ」と答弁。

 私は、しっかりとした見通しを示せるかどうかというのが、国民の理解と協力を得る上でも極めて重要、と強調。暮らしと営業、医療機関への財政措置をしっかりと行う2次補正予算案の編成をただちに求めた。

(10)緊急事態宣言解除/医療体制確保が重要/可視化を要求議院運営委員会、5月14日
 私は、東京都の想定病床数「4000」について、医療スタッフ、器材、防護具がそろっていて直ちに入院可能な状況ということかと質問。

 西村氏は「直ちに入院可能なものではないが、医療スタッフや器材も含めて大学病院や公立・公的病院の了解を得ているものだ」と説明。

 私は、確保数2000と想定数4000の違いが分からないと指摘。厚労省の公表資料では医療体制の逼迫(ひっぱく)度が分かりづらい。PCR検査についても、解除の大前提として抜本的に増やし、感染の全体像を把握する必要がある。体制の整備・強化を改めて求めた。

(11)保健所弱化浮き彫り/参考人「今後議論を」予算委員会、5月20日
 予算委の参考人質疑。私は、コロナ危機のなかで医療機関の経営がひっ迫しているとして、財政的に支援する必要性について質問。

 尾身氏は「医療機関は懸命の努力をしてベッドを確保している。医療経営的に大変困難な状況にあることは間違いないので、国から財政的支援をお願いしたい」と答えた。

 また、私は、保健所数が大幅に減少したため、保健所活動の科学的根拠を支える診断・検査機能が大きく劣化してきたのではないか、と質問。

 尾身氏は「保健所が大規模な検査をすることを前提にした仕組みになっておらず、人員も削減されてきた」と述べ、新しい感染症の流行に対応する検査体制がとられていなかったと指摘。「感染が収束した時に、これからどうするか、しっかりと議論すべきだ」とのべた。

 さらに、私は地方衛生研究所の体制強化について質問。

 脇田氏は「地方衛生研究所では、感染症だけでなくさまざまな業務を担っており、配置転換も頻繁で、検査対応は大変だ。感染症の流行に対しては、地方衛生研究所の検査ネットワークが非常に重要なので、強化していく必要がある」と答えた。

(12)必要な病床数ただし、医療機関支援求める内閣委員会、5月20日
 新型コロナウイルス患者の入院受け入れ病床数についてただした。

 ピーク時の入院患者数は政府の計算式による試算で全国約22万人に上る一方、18日時点で都道府県が受け入れ可能と想定する病床数(確保想定病床数)は約3万にとどまっている。大きな乖離(かいり)があるが、22万床をめざし国が支援するのか、とただした。

 西村康稔経済再生相は「大きな山が来る時に備えて病床を確保しておくことが大事だ」としつつ、具体的な病床数は述べなかった。

 私は、医療機関への経営支援や包括支援交付金の抜本的な増額を要求。

 西村氏は「2次補正予算で交付金を大幅に増額し、国が全額負担する形にする」と述べた。

(13)緊急事態「近畿」解除/医療機関へ財政措置を議院運営委員会、5月21日
 政府が新型コロナウイルス感染拡大に対する「緊急事態宣言」を近畿3府県で解除するにあたって西村康稔経済再生担当相による事前報告をうけ、各党が質疑。

 私は、新型コロナ感染拡大の第2波・第3波に備え、しっかりした医療提供体制の整備拡充、医療機関への抜本的な財政措置を求めた。

 安倍晋三首相が14日の対策本部会議で「2次補正予算で医療体制に関する包括支援交付金を全額国費で負担するとともに、大幅な積み増しを行う」と述べた。政府は5万を超す病床を確保するとしているが、5万の病床確保に対応した金額の積み増しをするのか、とただした。

 西村担当相が「5万床確保を目指し、予算で対応したい」などと述べた。

 私は、コロナ対応の病床確保は空き病床の長期の保持が求められ、減収で経営が圧迫される。3万、5万床確保するなら、必要な財政措置なしにはやっていけない。日本医師会が重症者1人400万円など受け入れ病院への具体的な補助試算額を示し、2次補正予算での7・5兆円の確保を要望している。こうした声に応える金額が積み上がっているのかが問われていると追及。

 西村担当相は、1次補正予算の包括支援交付金1490億円に積み増しする」と答えた。

 私は、医療機関はこれではやっていけないと声をあげている。現場の声に応え、医療機関への抜本的な財政支援を行うべき、と強く求めた。

(14)緊急事態全国で解除/医療機関減収で経営深刻、補償を議院運営委員会、5月25日
 政府が新型コロナウイルス感染拡大に対する「緊急事態宣言」を全国で解除するにあたって西村康稔経済再生担当相による事前報告をうけ、質疑。

 私は、日本医師会による要請ではコロナ対応で1兆6千億円、通常の医療を継続するために2兆5千億円の支援を求めている。診療報酬の増額と包括支援交付金3千億円プラスアルファの予算では全く足りない、と重ねて抜本的な予算措置を求めた。

 西村担当相は「2次補正予算で対応していきたい」と繰り返し、正面から答えなかった。

 また私は、文化芸術事業への支援について、自粛要請に協力し、感染防止に大きな貢献をしてきた関係者に対して、経費負担に対する補償もいまだに行われていない。演劇・音楽・映画3団体による「文化芸術復興基金」の創設の要請が出されている。売り上げ減少、経費増大に対する補てんをしっかりと行うことが国の責務だ、と主張した。

(15)病床確保/第2波へ偏在正せ/患者数推計をただす内閣委員会、6月3日
 新型コロナウイルス第2波に備えて、最新の知見に基づくコロナ患者数の再推計についてただし、医療機関への財政措置を積み増すよう求めた。

 これまで政府は、ピーク時のコロナウイルス感染症患者数を約22万人(厚生労働省が3月に出した事務連絡に基づいて都道府県が試算したもの)と示してきた。これに対し、コロナウイルス感染症対策専門家会議の「提言」(5月29日)では、3月以降新たな経験を得たとして、今後の感染拡大を見据え、必要となる医療提供体制の確保のために「新たな患者数の再推計を行う」としている。

 私は、新たな患者の再推計とは何か、再推計に基づく第2波に備えた病床確保の目標を明らかにせよ、と質問。

 西村康稔経済再生担当相はどちらも、「厚労省において検討中」と答えた。

 私は、各都道府県が確保している病床数には大きなばらつきがある。このアンバランスをただすべきだ、と主張。

 西村氏は「2次補正予算で対応する」と答えた。

 私が、病床確保の目標は『検討中』なのに医療機関への財政措置は大丈夫だという保証はどこにあるのか、と迫ると、西村氏は、「予備費も10兆円積んでいる」と答弁。

 私は、予備費ではなく、必要な予算を積むべきだと求めた。